説明

クランプ付きコルゲートチューブとその製造方法

【課題】コルゲートチューブにクランプを後付けする手間を解消したり、コルゲートチューブに対するクランプの位置ずれや緩みを防止する。
【解決手段】直管部2,5と蛇腹管部3,6とを一体に備え、直管部に係止用のクランプ4が一体又は別体に設けられたクランプ付きコルゲートチューブ1,12を採用する。クランプを備えた直管部を蛇腹管部よりも肉厚に形成した。クランプ4とは反対の方向に電線挿入用のチューブ長手方向のスリット7を設けた。スリット7に連通して分岐線用の孔部8を設けた。直管部2に別体のクランプ43,51を固定するための溝部42又は孔部52を設けた。蛇腹管部の山部10bの径d2を谷部10aの径dよりも十分に大きく、山部の厚みTを先端に向かうにつれて漸次小さくした。複数の直管部2の間にそれぞれ蛇腹管部3を配置し、所要の直管部にクランプ4を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複数本の電線を挿通させた状態で係止用のクランプで車両ボディ等に係止固定させるクランプ付きコルゲートチューブとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数本の電線(ワイヤハーネス)を収容保護する合成樹脂製のコルゲートチューブを係止用のクランプ(クリップとも言う)を用いて車両等に固定するために、種々のコルゲートチューブ構造が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(図示せず)には、合成樹脂製の板部にクランプを立設し、板部をワイヤハーネスにテープ巻きで固定した状態で、クランプを車両ボディの孔部に挿入係止させることが記載されている。クランプは、支柱部と、支柱部の先端側で径方向両側に傘状に突出した係止羽根部とで構成されている。
【0004】
特許文献2(図示せず)には、合成樹脂製の結束バンドの外面にクランプを突設し、結束バンドをワイヤハーネスの外周に締付固定した状態で、クランプを車体側の孔部に挿入係止させることが記載されている。
【0005】
特許文献3(図示せず)には、合成樹脂製の分割式の固定具の外面にクランプを突設し、固定具を合成樹脂製のコルゲートチューブの外周の凹溝に嵌合固定させた状態で、クランプを車両ボディの孔部に挿入係止させることが記載されている。コルゲートチューブは、周方向の凹溝(谷部)と凸条(山部)をチューブ長手方向に交互に配列して、屈曲性を高めたハーネス保護チューブである。
【0006】
また、特許文献4(図示せず)には、ハーネス保護チューブではないが、自動車の燃料タンクと給油口を繋ぐ給油用の合成樹脂製のコルゲートチューブとして、長手方向中間部に可撓性の蛇腹部、両端部にストレート部をそれぞれ形成したことが記載されている。
【0007】
また、そのコルゲートチューブの製造方法として、一対の対向する無端ベルトに複数の分割式の成形金型を固定し、各成形金型は、蛇腹状の環状凹部を有する蛇腹部成形金型と、平坦な成形面を有するストレート部成形金型とで成り、押出成形機から熱可塑性樹脂材を成形金型内に環状に押し出しつつ、無端ベルトを回転させて成形金型を移動させることが記載されている。
【0008】
蛇腹部のみのコルゲートチューブの製造方法(押出成形した樹脂材を成形金型内で加熱しつつベルトの回転で成形金型を移動させること)は、特許文献5に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−255610号公報
【特許文献2】特開2002−310338号公報
【特許文献3】特開2002−199558号公報
【特許文献4】特開2010−260241号公報
【特許文献5】特開2003−294175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、例えば上記従来の特許文献2記載のクランプ付き結束バンドを特許文献3記載のワイヤハーネス保護用のコルゲートチューブに締付固定した状態で、クランプを車両ボディに孔部に挿入係止させる場合には、クランプをコルゲートチューブに後付けする手間がかかるという問題や、コルゲートチューブの長手方向や径方向にクランプが位置ずれして組み付けられて、車両へのコルゲートチューブの組付作業性が低下するという問題や、車両へのコルゲートチューブの組付後に例えばコルゲートチューブからクランプが緩んだり、あるいはコルゲートチューブの蛇腹部分が結束バンドで強く締め付けられて、蛇腹部分が変形して、内部の電線が傷付くといった懸念があった。
【0011】
本発明は、上記した点に鑑み、結束バンドによるコルゲートチューブ内の電線等の傷みの心配を解消することができ、それに加えて、コルゲートチューブにクランプを後付けする手間を解消したり、コルゲートチューブに対するクランプの位置ずれや緩みを防止することができるクランプ付きコルゲートチューブとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るクランプ付きコルゲートチューブは、直管部と蛇腹管部とを一体に備え、該直管部に係止用のクランプが一体又は別体に設けられたことを特徴とする。
【0013】
上記構成により、一体のクランプの場合は、直管部とクランプと蛇腹管部とが一体化され、チューブ構造が簡素化・低コスト化される。一体又は別体のクランプの場合は、蛇腹管部よりも屈曲性が低く剛性の高い直管部にクランプが配置されて、車両ボディ等の孔部へのクランプの挿入時や、別体のクランプの装着時における直管部の潰れが防止される。クランプが車両ボディ等の孔部に挿入係止され、その際のクランプと孔部との位置ずれは蛇腹管部がチューブ長手方向(軸方向)に伸縮することで吸収される。一体又は別体のクランプは、直管部から直管部方向に突出した支柱部と、支柱部から支柱部径方向に突出した複数の爪部とを備え、別体のクランプは固定用のバンド部を有する。
【0014】
請求項2に係るクランプ付きコルゲートチューブは、請求項1記載のクランプ付きコルゲートチューブにおいて、前記クランプを備えた前記直管部が前記蛇腹管部よりも肉厚に形成されたことを特徴とする。
【0015】
上記構成により、直管部の剛性が高まり、直管部に対するクランプの固着強度が高まると共に、クランプを車両ボディ等の孔部に挿入係止させる際の直管部の潰れ変形が防止され、車両ボディ等の孔部へのクランプの挿入作業性が向上する。また、直管部への別体のクランプの装着性が高まり、且つクランプ装着時の直管部の潰れ変形が防止される。
【0016】
請求項3に係るクランプ付きコルゲートチューブは、請求項1又は2記載のクランプ付きコルゲートチューブにおいて、前記クランプとは反対の方向に電線挿入用のチューブ長手方向のスリットが設けられ、該スリットから挿入された複数本の電線と共に自動車用ワイヤハーネスを構成することを特徴とする。
【0017】
上記構成により、電線挿入用のスリットによるチューブの剛性低下の影響をクランプが受けにくくなり、車両ボディ等の孔部へのクランプの挿入係止性が高まる。
【0018】
請求項4に係るクランプ付きコルゲートチューブは、請求項3記載のクランプ付きコルゲートチューブにおいて、前記スリットに連通して分岐線用の孔部が設けられたことを特徴とする。
【0019】
上記構成により、スリットからコルゲートチューブ内に電線が挿入されつつ、そのうちの分岐用の電線(分岐線)が孔部から外部に作業性良く導出される。孔部はスリットと同様にクランプとは反対側に位置するので、孔部によるチューブの剛性低下の影響を受けずにクランプが車両ボディ等の孔部にスムーズに挿入係止される。
【0020】
請求項5に係るクランプ付きコルゲートチューブは、請求項1〜4の何れかに記載のクランプ付きコルゲートチューブにおいて、前記直管部に前記別体のクランプを固定するための溝部又は孔部が設けられたことを特徴とする。
【0021】
上記構成により、直管部の溝部に別体のクランプのバンド部が締め付け固定され、溝部でクランプが位置決めされる。直管部の孔部に別体のクランプの支柱部における例えば段部ないし周溝が挿入係止され、孔部でクランプが位置決めされる。
【0022】
請求項6に係るクランプ付きコルゲートチューブは、請求項1〜5の何れかに記載のクランプ付きコルゲートチューブにおいて、前記蛇腹管部の山部の径が谷部の径よりも十分に大きく、該山部の厚みが先端に向かうにつれて漸次小さくなっていることを特徴とする。
【0023】
上記構成により、蛇腹管部の屈曲性が高まり、蛇腹管部が小さな屈曲半径でスムーズに屈曲され、蛇腹管部の両端に続く各直管部が車両ボディ等の壁面に沿って例えば略V字状に配索され、その直管部におけるクランプが車両ボディ等の孔部にスムーズに挿入可能となる。
【0024】
請求項7に係るクランプ付きコルゲートチューブは、請求項1〜6の何れかに記載のクランプ付きコルゲートチューブにおいて、複数の前記直管部の間にそれぞれ前記蛇腹管部が配置され、所要の該直管部に前記クランプが設けられたことを特徴とする。
【0025】
上記構成により、クランプ付きコルゲートチューブが複数の直管部と複数の蛇腹管部と所要数のクランプとで構成され、例えば車両ボディ等の三次元的な屈曲壁面に沿ってクランプ付きコルゲートチューブが蛇腹管部から三次元形状に屈曲配索されてクランプでスムーズに固定される。
【0026】
請求項8に係るクランプ付きコルゲートチューブの製造方法は、請求項1における前記一体のクランプを有するクランプ付きコルゲートチューブの製造方法であって、複数の分割式の金型ブロックに直管部形成用の溝と、蛇腹管部形成用の溝と、クランプ形成用の小溝とを連通して設け、溶融した柔軟な筒状の樹脂材を各溝の内面に密着させると共に該小溝内に充填することを特徴とする。
【0027】
上記構成により、複数の金型ブロックにおける直管部形成用の溝でクランプ付きコルゲートチューブの直管部が樹脂成形され、蛇腹管部形成用の溝で蛇腹管部が樹脂成形され、直管部の樹脂成形と同時に、クランプ形成用の小溝でクランプが一体に樹脂成形される。
【0028】
請求項9に係るクランプ付きコルゲートチューブの製造方法は、請求項8記載のクランプ付きコルゲートチューブの製造方法において、前記蛇腹管部形成用の溝に対して前記直管部形成用の溝の内径を変更し、前記樹脂材を各溝内に押出成形で供給しつつ、前記金型ブロックの送り速度を一定として、前記直管部の厚みを制御することを特徴とする。
【0029】
上記構成により、樹脂押出成形で金型ブロック内に柔軟な樹脂材が供給されつつ、金型ブロックが樹脂材供給方向に移動して長形のクランプ付きコルゲートチューブが形成される。ここで、蛇腹管部形成用の溝の内径よりも直管部形成用の溝の内径を大径に設定することで、金型ブロックの送り速度を変動させることなく一定のままで、直管部の肉厚を増加させて、直管部へのクランプの固着強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0030】
請求項1記載の発明によれば、係止用のクランプを直管部に一体に設けた場合は、従来のコルゲートチューブにクランプを後付けする手間を解消することができると共に、コルゲートチューブに対するクランプの位置ずれや緩みを防止して、車両ボディ等へのコルゲートチューブの係止の信頼性を高めることができる。また、従来のクランプ付きの結束バンドを用いないので、結束バンドの締め付け過ぎによるコルゲートチューブ内の電線等の傷みの心配を解消することができる。また、係止用のクランプを直管部に別体に設けた場合は、クランプのバンド部で直管部を締め付けても、蛇腹管部よりも屈曲性の低い高剛性の直管部が潰れにくいので、コルゲートチューブ内の電線等の傷みの心配を解消することができる。
【0031】
請求項2記載の発明によれば、例えばクランプを車両ボディ等の孔部に挿入係止させる際に、クランプの根本の直管部が一層潰れ変形しにくいので、車両ボディ等の孔部へのクランプの挿入作業性を高めることができると共に、コルゲートチューブ内に挿通された電線等の傷みの心配を解消することができる。
【0032】
請求項3記載の発明によれば、スリットからコルゲートチューブ内に電線を挿入した状態で、挿入する際に、スリットによるチューブの剛性低下の影響を受けずに、クランプを車両ボディ等の孔部にスムーズに挿入係止させることができる。
【0033】
請求項4記載の発明によれば、分岐線をスリットから孔部に作業性良くスムーズに導出させることができると共に、孔部によるチューブの剛性低下の影響を受けることなく、クランプを車両ボディ等の孔部にスムーズに挿入係止させることができる。
【0034】
請求項5記載の発明によれば、直管部の溝部や孔部で別体のクランプをコルゲートチューブ長手方向に位置決めすることができる。
【0035】
請求項6記載の発明によれば、蛇腹管部の屈曲性を高めて、蛇腹管部に続く直管部におけるクランプを車両ボディ等の孔部に容易に位置決めしてスムーズに挿入係止させることができる。
【0036】
請求項7記載の発明によれば、クランプ付きコルゲートチューブを車両ボディ等の三次元的な壁面に沿って三次元形状に屈曲させつつクランプでスムーズ且つ確実に固定させることができる。
【0037】
請求項8記載の発明によれば、直管部と蛇腹管部と係止用のクランプとを各金型ブロックで同時にないしほぼ同時に一体樹脂成形して、効率(生産性)良くクランプ付きコルゲートチューブを得ることができる。
【0038】
請求項9記載の発明によれば、金型ブロックの送り速度を制御することなく、クランプを付ける直管部の板厚を蛇腹管部の板厚よりも簡単且つ確実に増加させて、直管部へのクランプの固定強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るクランプ付きコルゲートチューブの第一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】クランプ付きコルゲートチューブの組付時の一形態を示す斜視図である。
【図3】クランプ付きコルゲートチューブの一変形例を示す斜視図である。
【図4】(a)(b)はクランプ付きコルゲートチューブの蛇腹部の各形態を示す正面図である。
【図5】クランプ付きコルゲートチューブの製造装置及び製造方法の第一の実施形態を示す斜視図である。
【図6】(a)同じく製造装置の要部を示す平面図、(b)は製造装置の金型ブロックを示す正面図、(c)は金型ブロックを示す斜視図である。
【図7】(a)〜(e)は、クランプ付きコルゲートチューブの製造装置及び製造方法の他の実施形態を工程順に示す正面図((b)の枠内は要部拡大断面図)である。
【図8】クランプ付きコルゲートチューブの第二の実施形態を示す斜視図である。
【図9】第二の実施形態で使用するクランプの一形態を示す斜視図である。
【図10】同じくコルゲートチューブの製造装置の金型ブロックの一形態を示す正面図である。
【図11】同じく金型ブロックの他の形態を示す断面図である。
【図12】クランプ付きコルゲートチューブの一変形例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明に係るクランプ付きコルゲートチューブの第一の実施形態を示すものである。
【0041】
このクランプ付きコルゲートチューブ1は、合成樹脂を材料として、複数箇所の直管部2(21〜24)と、各直管部21〜24の間に一体に連結配置された蛇腹管部3(31〜33)と、所要の直管部21,24に一体に設けられた係止用のクランプ4とで構成されるものである。
【0042】
図1の例のクランプ付きコルゲートチューブ1は、図で左側から順に、短い第一の直管部21と、第一の直管部21に続く短い第一の蛇腹管部31と、第一の蛇腹管部31に続く短い第二の直管部22と、第二の直管部22に続く短い第二の蛇腹管部32と、第二の蛇腹管部32に続く長い第三の直管部23と、第三の直管部23に続く短い第三の蛇腹管部33と、第三の蛇腹管部33に続く短い第四の直管部24とで構成されている。
【0043】
本例において、各蛇腹管部3の長さは同程度であり、第一〜第三の各直管部21〜23の長さは各蛇腹管部3よりも長く、第四の直管部24の長さは各蛇腹管部3の長さと同程度である。各直管部2と各蛇腹管部3はそれぞれ断面円形に形成され、各直管部2の外径は各蛇腹管部3の外径よりも小さく、各直管部2の外径は同等で、各蛇腹管部3の外径は同等である。図1の各蛇腹管部3を屈曲させない初期形態で各直管部2と各蛇腹管部3とは同心(同軸)に真直に配置されている。
【0044】
図1の例において第一と第四の直管部21,24すなわち前後両端側の直管部2にそれぞれ係止用のクランプ4が設けられている。各クランプ4は各直管部2の外面2aから径方向に突出している。各クランプ4は、各直管部2の外面2aに直交して一体に続く支柱部4aと、支柱部4aの先端側において左右ないし前後に一体に突出した一対の係止用の弾性の爪部4bとで構成されている(クランプ4の図示は簡略化している)。
【0045】
クランプ4の形状は既存のものであり、例えば弾性の爪部4bが一対ではなく放射状に複数配置されたものでもよい。何れにせよ各爪部4bは、不図示の車両ボディやパネル等の円形の孔部に挿入されて車両ボディやパネル等の裏面に係合して抜け止めをする係止面4b1を有する。
【0046】
各直管部2は硬質で高剛性であり、通常の配索形態で真直な状態を維持する。各蛇腹管部3はその蛇腹形状によって上下左右(360°の範囲)に屈曲自在である。直管部2の板厚は蛇腹管部3の板厚よりも厚いことが、真直形状を維持し、且つ、クランプ4を直管部2に一体にしっかりと固定させて、車両ボディ等の孔部に挿入する(押し込む)際の直管部2の潰れ変形を防ぐ上で好ましい。
【0047】
クランプ4は硬質な直管部2と一体であっても、柔軟な蛇腹管部3の伸縮によって車両ボディ等の孔部に対するチューブ長手方向の位置ずれが吸収されて、作業性良く車両ボディ等の孔部に挿入係止される。
【0048】
蛇腹管部3は、既存のコルゲートチューブの蛇腹部と同様に周方向の凹溝(谷部)3aと凸条(山部)3bをチューブ長手方向に交互に配列して構成されている。凹溝3aと凸条3bの不図示の各内周面は外周面と同様の蛇腹形状をしている。クランプ付きコルゲートチューブ1には不図示の複数本の電線(ワイヤハーネス)を挿通させるための長手方向の真直なスリット(図示せず)がクランプ4とは180°反対側に設けられることが好ましい。
【0049】
図2は、クランプ付きコルゲートチューブ12を三次元的に屈曲させて車両ボディ等に組み付ける(組み付けた)状態を示すものである。
【0050】
図2のクランプ付きコルゲートチューブ12は図1の例と較べて直管部5や蛇腹管部6の数がそれぞれ一つ多くなっている。直管部5と蛇腹管部6はチューブ長手方向に交互に配置されている。所要の直管部5に係止用のクランプ4が一体に設けられている。図1,図2の直管部2,5と蛇腹管部3,6の構成は同じである(便宜上符号を変えて説明している)。
【0051】
図2において、左側から第一の直管部51が水平に位置し、第一の直管部51に続く第一の蛇腹管部61が斜め下向きに屈曲し、第一の蛇腹管部61に続く第二の直管部52が右下がりに傾斜し、第二の直管部52に続く第二の蛇腹管部62が横向きに屈曲し、第二の蛇腹管部62に続く第三の直管部53が水平に位置し、第三の直管部53に続く第三の蛇腹管部63が上向きに屈曲し、第三の蛇腹管部63に続く第四の直管部54が右上がりに傾斜し、第四の直管部54に続く第四の蛇腹管部64が横向きに屈曲し、第四の蛇腹管部64に続く第五の直管部55が水平に位置している。
【0052】
図2の例では第一と第四の直管部51,54にそれぞれクランプ4を一体に設けている。クランプ4は車両ボディ等の孔部の位置に応じて適宜所要の直管部5に配設可能である。車両ボディ等の三次元的な屈曲形態(屈曲壁面)に応じて各蛇腹管部6を所望方向に屈曲させて各直管部5を車両ボディ等の壁面に沿って配索することができる。
【0053】
クランプ付きコルゲートチューブ12の内側には不図示の複数本の電線(ワイヤハーネス)が予め挿通されており、クランプ付きコルゲートチューブ12の外面のクランプ4を車両ボディ等の壁面の孔部に挿入係止させることで、ワイヤハーネスが車両ボディ等の壁面に沿って三次元形状に配索されつつクランプ付きコルゲートチューブ12で外部との干渉等から安全に保護される。
【0054】
図3は、図1のクランプ付きコルゲートチューブの一変形例を示すものである。図1と同じ構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
このクランプ付きコルゲートチューブ13は、クランプ4とは180°反対側において長手方向に真直なスリット7を設けると共に、スリット7に連通するハーネス分岐用の孔部8を直管部2に設けたものである。
【0056】
本例の孔部8は円形ないし長円形に形成され、クランプ4とは180°反対側に配置されている。孔部8の数は不図示の分岐線(分岐ハーネス)の数に応じて適宜設定される。孔部8が硬質な直管部2に設けられたことで、分岐線が径方向に引っ張られたりした場合でも孔部8の変形が起こらず、分岐位置が正確に維持される。
【0057】
本例のクランプ4はチューブ長手方向の前後端側の直管部21,24に一体に設けられているが、端部の直管部2に限らず長手方向中間部の直管部22,23に配置することも可能であり、また、ハーネス分岐用の孔部8はスリット7と共にクランプ4に対して180°方向ではなく例えば90°方向等に一つないし複数配置することも可能である。
【0058】
図2のクランプ付きコルゲートチューブ12にハーネス分岐用の孔部8を設けた場合は、クランプ4に対して90°ないしその近傍の方向の孔部8から分岐線が導出されて車両ボディ等の壁面に沿って配索され、あるいはクランプ4に対して180°反対方向の孔部8から車両ボディ等の壁面に交差する方向に分岐線が導出される。
【0059】
図4(a)は、既存のコルゲートチューブの蛇腹部9の形状を示すものであり、凹溝(谷部)9aと凸条(山部)9bがチューブ長手方向に矩形波状に連続している。図1〜図3のクランプ付きコルゲートチューブ1,12,13は、図4(a)の形状の蛇腹管部9を有してもよいが、図4(b)の如く、凸条(山部)10bを既存(図4(a))のものよりも高く突出形成した蛇腹管部10を適用することで、クランプ付きコルゲートチューブ1,12,13の蛇腹管部3,6の屈曲性を高めることができる。
【0060】
本例の凸部(山部)10bの突出高さhは凹溝(谷部)10aの外径dの半分よりも大きく、凸部(山部)10bの外径d2は凹溝(谷部)10aの外径dよりも十分に大きい。図4(a)(b)の各凹溝9a,10aの外径dは同じである。図4(b)の凸条10bの突出先端部10b1は断面矩形状ではなく断面略V字ないし略逆V字状に突出して、凸条10bの厚みTが先端に向かうにつれて湾曲テーパ状に漸次小さくなっている。
【0061】
凸条10bのピッチP1は図4(a)の既存の凸条9bのピッチP2よりも小さく、凸条10b同士がチューブ長手方向に接近しており、それによっても蛇腹管部10(3,6)の屈曲性が高められている。蛇腹管部10(3,6)の屈曲性を高める、すなわち蛇腹管部10(3,6)を大きな角度で柔軟に屈曲可能とすることで、蛇腹管部3,6に続く屈曲しない直管部2,5の車両ボディ等への配索性を高めることができる。蛇腹管部10(3,6)の屈曲方向が規定されている場合は、屈曲内側の凸条10bを低く、屈曲外側の凸条10bを高く形成することも可能である。
【0062】
図5〜図6は、クランプ付きコルゲートチューブの製造装置及び製造方法の第一の実施形態を示すものである。
【0063】
図5の如く、このクランプ付きコルゲートチューブの製造装置11は、樹脂押出部12と、樹脂押出部12に続くチューブ成形部13と、チューブ成形部13に続くチューブ冷却部14と、チューブ冷却部14の終端に配置されたチューブ切断部15とを備えるものである。
【0064】
樹脂押出部12は、樹脂原材料投入用のホッパ16と、ホッパ16に続く水平な押出部本体17と、押出部本体17の先端側に突出したダイス18とを備え、ダイス18は円形スリット状の樹脂材押出口18aを有し、樹脂材押出口18aはチューブ成形部13の入口内に進入している。
【0065】
図6(a)の如く、チューブ成形部13は、既存の形態の前後各一対のタイミングプーリ19で回転駆動される左右一対の無端ベルト20と、各無端ベルト20に左右対向するように固定された複数の金型ブロック21とを備えている。左右の各金型ブロック21は左右一対の金型ブロック群21’を構成する。
【0066】
図6(b)の正面図と図6(c)の斜視図で示す如く、各金型ブロック21は前後の隙間なく密着して配置され、前側の金型ブロック211は直管部形成用の水平で真直な断面半円状の溝22を有し、前側の金型ブロック211に続く中間側の二つの金型ブロック212,213は、蛇腹管部形成用の凹凸(波形)形状部23を成す周溝23aを水平な断面半円状の溝24の内周部に有し、中間側の金型ブロック213に続く後側の金型ブロック214は、上向きのクランプ形成用の半割溝25を直管部形成用の水平で真直な断面半円状の溝22に連通して有し、後側の金型ブロック214の後側に続く金型ブロック215は直管部形成用の水平で真直な断面半円状の溝22を有している。
【0067】
図6(b)の蛇腹管部形成用の凹凸形状部23は概ね図4(b)の蛇腹管部10の突出高さの長い凸条10bに対応している。凹凸形状部23にはそれぞれ径方向に吸引孔27が設けられている。クランプ形成用の半割溝25は、金型ブロック214の垂直な分割面21aにおいて、断面半円状の溝22に直交した上向きの支柱部形成用の断面半円形の溝部25aと、溝部25aに続く爪部形成用の前後及び/又は左右の溝部25bとで成る。
【0068】
クランプ形成用の半割溝25にも、周溝23aにおけると同様な吸引孔(27)を設けておくことが好ましい。対向する左右各一対の金型ブロック21が接合して、直管部形成用の断面円形の孔(22)と、蛇腹管部形成用の内周凹凸形状の孔(24)と、クランプ形成用の小穴(25)とが構成される。孔22,24は前後に貫通されており、小穴25は貫通されていない。
【0069】
図5において、ダイス18から溶融した柔軟な筒状の熱可塑性樹脂材をチューブ成形部13に導入しつつ、図6(a)のチューブ成形部13の無端ベルト20を矢印Aの如く前向きに回転させて各金型ブロック21を前方に移動させる。ダイス18から導入された柔軟な筒状の樹脂材34は、各金型ブロック21の断面円形の孔22,24の内周面22a,24aに密着して直管部2,5と蛇腹管部3,6を形成すると共に、直管部2,5の外面から突出したクランプ4を形成する。
【0070】
各金型21は無端ベルト20の前端20a側で左右に分離されて(開かれて)、成形済みのチューブ部分1’が前方へ送り出されつつ、図5の樋状の冷却部14で冷却固化され、切断部15の上下のカッタで所要長さに切断され、製品1としてパレット28内に収容される。クランプ付きコルゲートチューブ13の長手方向のハーネス挿入用のスリット7は、例えば切断部15の手前で冷却部14の不図示の底壁側に設けられた垂直なカッタで切断形成される。クランプ付きコルゲートチューブ13におけるクランプ4は上側に位置し、スリット7は下側に位置する。
【0071】
図3のクランプ付きコルゲートチューブ13の分岐線用の孔部8の形成は、例えば、図6(b)において左右の金型ブロック21に孔部形成用の不図示の半円柱状の各分割ボスを進退自在に設けておき、樹脂材の供給後に金型ブロック21の閉じ時に一旦無端ベルト20の送りを停止させて、各分割ボスを円柱状のボスとして進入(突出)させて円形の孔部8をあけ、ボスを退避させて無端ベルト20の送りを再開することで行うことができる。また、後工程で孔部8を加工することも可能である。
【0072】
無端ベルト20の回転速度すなわち金型ブロック21の送り速度が一定であっても、図6(b)における例えば蛇腹管部形成用の金型ブロック212の孔24の内径に対して、選択的に所要の直管部形成用の金型ブロック214の孔22の内径Dを変更(拡大)することで、直管部2,5の板厚を増して直管部2,5の剛性すなわち直管部2,5へのクランプ4の固定強度を高めることができる。無端ベルト20の送り速度が一定である場合は、分岐線用の孔部8は後工程で形成する。
【0073】
図7は、クランプ付きコルゲートチューブの製造装置及び製造方法の他の実施形態を示すものである。
【0074】
このクランプ付きコルゲートチューブの製造装置31は、短尺ブロー成形装置であり、図7(a)の如く、上下方向に並列な複数の金型ブロック32で成る左右一対の対向した金型ブロック群32’を備え、左右の開いた金型ブロック群32’の間に下向きのノズル(ダイス)33から溶融した柔軟な筒状の熱可塑性樹脂材34を供給(投入)し、図7(b)の如く左右の金型ブロック群32’を閉じて、ノズル33から筒状の樹脂材34の内側に圧縮空気を吹き込み、金型ブロック群32’の間でクランプ付きコルゲートチューブ1を成形して、図7(c)の如く金型ブロック群32’を開いてクランプ付きコルゲートチューブ1を取り出すものである。
【0075】
図7(b)の要部拡大横断面図の如く、各金型ブロック32は閉じた状態で上下の隙間なく密着して配置され、下側の金型ブロック321は直管部形成用の垂直で真直な断面半円状の左右の溝35で成る断面円形の孔(35)を有し、下側の金型ブロック321に続く中間側の金型ブロック322,323は、蛇腹管部形成用の凹凸(波形)形状部36を成す周溝36aを、垂直な断面半円状の左右の溝37で成る断面円形の孔(37)の内周部に有し、中間側の金型ブロック323に続く上側の金型ブロック324は、横(前)向きのクランプ形成用の左右の半割状jの小溝38で成る小穴(38)を、直管部形成用の垂直で真直な断面半円状の左右の溝35で成る孔(35)に連通して有し、上側の金型ブロック324の上側に続く金型ブロック325は直管部形成用の垂直で真直な断面半円状の左右の溝35で成る孔(35)を有している。
【0076】
図7(a)の樹脂材34の供給(投入)後に矢印Bの如く金型ブロック群32’を閉じて、図7(b)のブロー工程で金型ブロック32の孔35,37の内周面に樹脂材34を筒状に密着させて張り付けつつ、小穴38内においてクランプ4を充填形成し、冷却後に図7(c)の如く金型ブロック群32’を開いて製品であるクランプ付きコルゲートチューブ1を完成する。
【0077】
クランプ付きコルゲートチューブ1の種類(品番)に応じて、図7(d)の如く、金型ブロック群32’を開いた状態で各金型ブロック32を矢印Cの如く下向きに展開して分離させ、金型ブロック32の位置を上下に入れ替えて、直管部2や蛇腹管部3やクランプ4の配置を変更する。図7(e)の如く各金型ブロック32を矢印Dの如く上向きに合体して、図7(a)と同様に樹脂材34を供給(投入)して、以下図7(b)〜(c)の順で異なる品番のクランプ付きコルゲートチューブ12を成形する。
【0078】
クランプ付きコルゲートチューブ13の長手方向のハーネス挿入用のスリット7は、例えばブロー成形装置31から排出されたクランプ付きコルゲートチューブ1を不図示のカッタで長手方向に切断することで形成される。
【0079】
図3のクランプ付きコルゲートチューブ13の分岐線用の孔部8の形成は、例えば、図7(a)において左右の金型ブロック32に孔部形成用の不図示の半円柱状の各分割ボスを設けておき、図7(b)の金型ブロック32の閉じ動作で各分割ボスを円柱状のボスに合体させつつボスで円形の孔部8をあけることができる。
【0080】
図7(b)における例えば蛇腹管部形成用の金型ブロック322の孔37の内径に対して、選択的に所要の直管部形成用の金型ブロック324の孔35の内径Dを変更(拡大)することで、直管部2,5の板厚を増して直管部2,5の剛性すなわち直管部2,5へのクランプ4の固定強度を高めることができる。同様に、蛇腹管部形成用の金型ブロック322の孔37の内径に対して、直管部形成用の金型ブロック324の孔35の内径Dを縮小することで、直管部2,5の板厚を蛇腹管部3,6の板厚よりも薄くすることも可能である。
【0081】
上記各実施形態において、クランプ付きコルゲートチューブ用の樹脂材料として、例えばポリプロピレンやナイロン等が好適である。車両におけるクランプ付きコルゲートチューブ1の適用位置に応じて樹脂材料を変更することで、車両部位ごとに求められる耐熱寿命温度に対応することができる。耐熱寿命温度とは、その温度に1万時間曝しても製品として問題のない上限温度であり、例えばポリプロピレンの耐熱寿命温度は95°C、ナイロンの耐熱寿命温度は125°Cである。
【0082】
図8は、本発明に係るクランプ付きコルゲートチューブの第二の実施形態を示すものである。
【0083】
このクランプ付きコルゲートチューブ41は、直管部2と蛇腹管部(図示せず)とを有するコルゲートチューブにおいて、直管部2に周方向の溝部42を設け、溝部42に係止用のクランプ43のバンド部43aを締め付け固定させたものである。
【0084】
溝部42は直管部2の全周に渡って形成され、本例の溝部42は円弧状の外周面(符号42で代用)と内周面(図示せず)を有する。溝部42の幅方向中央すなわち円弧状の外周面の最も小径に窪んだ部分にクランプ43のバンド部43aが締め付けられて、クランプ43がチューブ長手方向に正確に位置決めされている。直管部2と不図示の蛇腹管部は図1や図2の実施形態のように適宜長さ及び数で交互に配列されている。溝部42の板厚は直管部2の板厚に等しく、直管部2と同様に高い剛性を有している。
【0085】
図9にも示す如く、クランプ43は、バンド挿通係止孔43bを有する矩形状の枠部43cと、枠部43cの一端から一体に延長されたバンド部43aと、枠部43cの底面に一体に設けられた皿状のばね部43dと、ばね部43dの中央に垂設された支柱部43e(図8)と、支柱部43eの先端に設けられた一対の爪部43fとで構成された既存のものである。枠部43c内には不図示の係止片が突設され、バンド部43aには鋸歯状の複数の突起43gが設けられ、突起43gが係止片で係止され、バンド余長部は切断除去される(図8参照)。図8においてはばね部43dを省略している。
【0086】
図10は、図8のクランプ付きコルゲートチューブ41のチューブ本体41aを樹脂材の押出成形と部分コルゲート成形で形成するための金型ブロック群21”の一形態を示すものである。図10は第一の実施形態の図6(b)に対応したものである。チューブ本体41aは直管部2と蛇腹管部で構成される。
【0087】
すなわち、クランプ43がチューブ本体41aとは別体で後嵌め式のものであるので、チューブ本体41aにクランプ43のバンド部43aを位置決め固定する溝部42を形成するための半割状の金型ブロック214’を図6(b)のクランプ形成用の金型ブロック214に代えて用いている。それ以外の金型ブロック211〜213,215の構成は図6(b)におけると同様であるので、同様の構成部分には図6(b)におけると同じ符号を用いて説明を省略する。
【0088】
金型ブロック214’は、直管部形成用の溝22と、溝22の長手方向中央において溝22の内周面から内向きに突出した溝部形成用の突条44とを有している。突条44は断面円弧状の外面を有して、溝22の180°全周に渡って形成されている。左右一対の金型ブロック214’の溝22が合体して円形の孔となり、同じく左右一対の金型ブロック214’の突条44が合体して環状の突条となる。
【0089】
図10で、符号21”は金型ブロック群、211〜215は各金型ブロック、23は凹凸(波形)形状部、23aは周溝、22,24は断面半円状の溝、27は吸引孔をそれぞれ示している。
【0090】
図11は、図8のクランプ付きコルゲートチューブ41のチューブ本体41aを樹脂材の短尺ブロー成形で形成するための金型ブロックの他の形態を示すものである。図11は第一の実施形態の図7(b)の拡大図に対応したものである。
【0091】
すなわち、図8のクランプ43がチューブ本体41aとは別体で後嵌め式であるので、チューブ本体41aにクランプ43のバンド部43aを位置決め固定する溝部42を形成するための半割状の金型ブロック324’を図7(b)のクランプ形成用の金型ブロック324に代えて用いている。それ以外の金型ブロック321〜323,325の構成は図7(b)におけると同様であるので、同様の構成部分には図7(b)におけると同じ符号を用いて説明を省略する。
【0092】
金型ブロック324’は、直管部形成用の溝35と、溝35の長手方向中央において溝35の内周面から内向きに突出した溝部形成用の突条45とを有している。突条45は断面円弧状の外面を有して、溝35の180°全周に渡って形成されている。左右一対の金型ブロック324’の溝35が合体して円形の孔となり、同じく一対の突条45が合体して環状の突条となる。
【0093】
図11で、符号32”は金型ブロック群、321〜325は金型ブロック、35は断面半円状の左右の溝、36は凹凸(波形)形状部をそれぞれ示している。
【0094】
図12は、クランプ後嵌め式のクランプ付きコルゲートチューブの一変形例(他の形態)を示すものである。このクランプ付きコルゲートチューブ51は、チューブ本体51aの直管部2に径方向の孔部52を設け、孔部52に別体のクランプ53の支柱部54を嵌合固定させるものである。
【0095】
本例のクランプ53は、支柱部54と、支柱部54の先端の爪部55とで成り、支柱部54は、基端側の短い大径部54aと爪部寄りの長い小径部54bとで成る。例えば大径部54aが直管部2の孔部52内に押し込まれ、小径部54bが孔部52から外側に突出する。大径部54a寄りにおいて小径部54bに皿状のばね部(図9の符号43d)を設け、大径部54aを孔部52内に押し込み、大径部54aとばね部との間の短い小径部分(54b)を孔部52に貫通させ、ばね部の裏面をストッパ面として直管部2の外面に当接させることも可能である。
【0096】
孔部52は図3の実施例のハーネス分岐用の孔部8と同様に樹脂成形金型ブロックの凸部やドリル加工等で形成される。孔部52は図3のチューブ長手方向のスリット7とは異なる位置(例えば180°反対側)に設けられることが好ましい。
【0097】
本例のチューブ本体51aは、中央の長い直管部2と、その長手方向の前後両側の蛇腹管部3と、各蛇腹管部3に続く端部側の短い直管部2とで構成され、中央の長い直管部2の端部寄りにクランプ嵌合用の孔部52が設けられている。直管部2や蛇腹管部3の位置や長さや形状等は適宜設定可能であり、孔部52の位置も必要に応じて適宜の直管部2に適宜設定される。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明に係るクランプ付きコルゲートチューブは、電線や光ファイバや給水用等のパイプ等といった複数本の線状体を挿通して、例えば車両ボディ等の三次元的に屈曲した壁面に作業性良くスムーズに組み付けるために利用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1,12,13,41,51 クランプ付きコルゲートチューブ
2,5 直管部
3,6 蛇腹管部
4 一体のクランプ
7 スリット
8 分岐線用の孔部
10a 谷部
10b 山部
21,32 金型ブロック
22,35 直管部形成用の溝
24,37 蛇腹管部形成用の溝
25,38 クランプ形成用の小溝
34 樹脂材
42 溝部
43,51 別体のクランプ
52 孔部
T 山部の厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管部と蛇腹管部とを一体に備え、該直管部に係止用のクランプが一体又は別体に設けられたことを特徴とするクランプ付きコルゲートチューブ。
【請求項2】
前記クランプを備えた前記直管部が前記蛇腹管部よりも肉厚に形成されたことを特徴とする請求項1記載のクランプ付きコルゲートチューブ。
【請求項3】
前記クランプとは反対の方向に電線挿入用のチューブ長手方向のスリットが設けられ、該スリットから挿入された複数本の電線と共に自動車用ワイヤハーネスを構成することを特徴とする請求項1又は2記載のクランプ付きコルゲートチューブ。
【請求項4】
前記スリットに連通して分岐線用の孔部が設けられたことを特徴とする請求項3記載のクランプ付きコルゲートチューブ。
【請求項5】
前記直管部に前記別体のクランプを固定するための溝部又は孔部が設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のクランプ付きコルゲートチューブ。
【請求項6】
前記蛇腹管部の山部の径が谷部の径よりも十分に大きく、該山部の厚みが先端に向かうにつれて漸次小さくなっていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のクランプ付きコルゲートチューブ。
【請求項7】
複数の前記直管部の間にそれぞれ前記蛇腹管部が配置され、所要の該直管部に前記クランプが設けられたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のクランプ付きコルゲートチューブ。
【請求項8】
請求項1における前記一体のクランプを有するクランプ付きコルゲートチューブの製造方法であって、複数の分割式の金型ブロックに直管部形成用の溝と、蛇腹管部形成用の溝と、クランプ形成用の小溝とを連通して設け、溶融した柔軟な筒状の樹脂材を各溝の内面に密着させると共に該小溝内に充填することを特徴とするクランプ付きコルゲートチューブの製造方法。
【請求項9】
前記蛇腹管部形成用の溝に対して前記直管部形成用の溝の内径を変更し、前記樹脂材を各溝内に押出成形で供給しつつ、前記金型ブロックの送り速度を一定として、前記直管部の厚みを制御することを特徴とする請求項8記載のクランプ付きコルゲートチューブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−17317(P2013−17317A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148851(P2011−148851)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】