説明

クリーニング装置、画像形成装置及びプロセスユニット

【課題】従来よりもクリーニング不良の発生を抑える。
【解決手段】感光体1の移動する表面に近接した状態で自らに極性制御電圧が印加されることで、感光体1の表面上に付着しているトナーの極性を所定の極性に揃える極性制御ブレード41と、極性制御ブレード41との対向位置を通過した後の感光体1の表面に接触した状態で自らにクリーニング電圧が印加されることで、感光体1の表面上のトナーを自らに転移させてクリーニングするクリーニングブラシローラ42とを備えるクリーニング装置4において、前記対向位置を通過した後、クリーニングブラシローラ42に接触する前の感光体1の表面電位を検知する電位センサ46を設けるとともに、これによる検知結果に応じて、前記クリーニング電圧の出力値を変化させる処理を実行するように、クリーニング電源201を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被清掃体の表面に付着しているトナーをクリーニングするクリーニング装置、並びに、それを用いる画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置においては、より一層の高画質化の要求に応えるべく、トナーの小粒径化、球形化が進められている。小粒径化により、より高精度で高精細な高解像度の画像を得ることができ、球形化により現像性、転写性の向上を図ることができる。
【0003】
一方、従来より、被清掃体たる像担持体の表面に付着しているトナーをクリーニングするクリーニング装置として、ブレードクリーニング方式のものが知られている。ブレードクリーニング方式は、像担持体の表面に押し当てた弾性部材からなるクリーニングブレードにより、トナーを像担持体から掻き落として除去する方式である。
【0004】
しかしながら、近年の小粒径化、球形化が図られたトナーでは、従来の一般的なブレードクリーニング方式によって良好なクリーニングを行うことが難しくなってきている。これは、次に説明する理由による。即ち、ブレードクリーニング方式では、像担持体との摩擦抵抗によってクリーニングブレードのエッジを変形させるスティックスリップにより、像担持体とクリーニングブレードとの間に微小な空間が生ずる。近年の小粒径か、球形化が図られたトナーは、その空間に進入し易い。そして、空間内で良好に転がりながら、ブレードと像担持体との間に潜り込み、最終的にブレードと像担持体との当接部をすり抜けてしまう。このため、一般的なブレードクリーニング方式によって良好にクリーニングすることが困難である。
【0005】
近年の小粒径化、球形化が図られたトナーをブレードクリーニング方式よりも良好にクリーニングし得る方式としては、静電クリーニング方式が知られている。これは、像担持体に当接させたクリーニングブラシ等のクリーニング部材に対してトナーの帯電極性とは逆極性の電圧を印加して、トナーを像担持体からクリーニング部材に静電転移させて除去する方式である。
【0006】
ところが、静電クリーニング方式でもクリーニング不良を発生させることがある。このクリーニング不良は、転写残トナーの帯電量のばらつきに起因するものである。具体的には、像担持体の表面上のトナー像は、転写工程において転写電界の環境下で像担持体から転写体に転写される。かかる転写工程を経た後の像担持体の表面に残留している転写残トナーの中には、転写工程で電荷注入を受けるなどして、正規極性とは逆極性に帯電していたり、逆極性には至らないものの正規極性の電荷量を大幅に減少させていたりするものが存在する。それらは、正規極性とは逆極性のクリーニング電圧が印加されるクリーニング部材と静電的に反発してしまったり、静電転移するのに必要な最低限の電荷量を具備していなかったりして、クリーニング不良を引き起こし易くなる。
【0007】
そこで、本出願人は、特許文献1において、クリーニングブラシによってクリーニングする前の転写残トナーを像担持体の表面上で正規極性に帯電させる極性制御手段を設けたクリーニング装置を提案した。このクリーニング装置の極性制御手段は、クリーニングブラシとの接触位置に進入する前の像担持体表面に接触するブラシ部材と、これにトナーの正規帯電極性と同じ極性の極性制御電圧を印加する電圧印加手段とを有している。極性制御電圧を印加したブラシ部材と像担持体表面との間に進入した転写残トナーを正規の帯電極性に帯電せしめることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようにして転写残トナーを正規の帯電極性に帯電させてもなお、クリーニング不良を引き起こすことがあった。そこで、本発明者らは、その原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかってきた。即ち、転写残トナーを像担持体表面からクリーニングブラシに転移させる能力は、像担持体表面とクリーニングブラシとの電位差によって決まる。図14に示すように、その電位差が小さ過ぎたり、大き過ぎたりすると、トナーの転移が良好に行われずにクリーニング不良を引き起こしてしまう。電位差が小さすぎる場合にはトナーを像担持体表面からクリーニングブラシに転移させるために必要な十分な強さの電界を形成することができないからである。また、電位差が大きすぎる場合には、像担持体表面とクリーニングブラシとの間でトナーへの電荷注入を引き起こしてトナーを逆極性に帯電させ易くなるからである。よって、像担持体表面とクリーニングブラシとの間の電位差については、適切な範囲内にする必要がある。ところが、像担持体の表面電位は、出力画像の面積率や、転写電流等の転写条件などによって変動するため、従来のようにクリーニングブラシに対して所定のクリーニングバイアスを印加する構成では、前述の電位差を一定にすることができなかった。そして、像担持体の表面電位によっては、前述の電位差を小さくし過ぎたり、大きくし過ぎたりして、クリーニング不良を引き起こしていたのである。
【0009】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のようなクリーニング装置、並びにこれを用いる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。即ち、従来よりもクリーニング不良の発生を抑えることができるクリーニング装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、被清掃体の移動する表面に近接した状態で自らに極性制御電圧が印加されることで、前記表面上に付着しているトナーの極性を所定の極性に揃える極性制御部材と、前記極性制御部材との対向位置を通過した後の前記被清掃体の表面に接触した状態で自らにクリーニング電圧が印加されることで、前記表面上のトナーを自らに転移させてクリーニングするクリーニング部材と、前記極性制御電圧や前記クリーニング電圧を出力する電圧出力手段とを備えるクリーニング装置において、前記対向位置を通過した後、前記クリーニング部材に接触する前の前記被清掃体の表面電位を検知する表面電位検知手段を設けるとともに、該表面電位検知手段による検知結果に応じて、前記クリーニング電圧の出力値を変化させる処理を実行するように、前記電圧出力手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、自らの表面にトナー像を担持する像担持体と、前記表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記表面上のトナー像を転写体に転写する転写手段と、前記転写手段による転写工程を経た後の前記表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備える画像形成装置において、前記クリーニング手段として、請求項1のクリーニング装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置であって、前記トナー像形成手段に用いられるトナーの形状係数SF−1が、100〜150の範囲であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3の画像形成装置であって、前記トナー像形成手段が、前記像担持体としての感光体と、前記感光体の表面上に形成された静電潜像を互いに異なる色のトナーによって現像する複数の現像手段とを具備するものであり、且つ、前記転写手段が、前記感光体の表面上で互いに異なる色のトナーによって現像されたトナー像を転写体に重ね合わせて転写するものであることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2又は3の画像形成装置において、前記トナー像形成手段が、前記像担持体として複数の感光体を具備するとともに、それぞれの感光体に個別に対応して静電潜像を互いに異なる色に現像する複数の現像手段とを具備するものであり、且つ、前記転写手段が、それぞれの感光体の表面に形成された互いに異なる色のトナー像を転写体に重ね合わせて転写するものであることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2乃至5の何れかの画像形成装置において、前記像担持体として、粒子状物質を含有する表面保護層が形成されたものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項2乃至5の何れかの画像形成装置において、前記像担持体として、充填材で補強された材料からなる表面層、架橋型電荷輸送材料からなる表面層、あるいは、充填材で補強された架橋型電荷輸送材料からなる表面層、を有する有機感光体を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2乃至5の何れかの画像形成装置において、前記像担持体として、アモルファスシリコン感光体を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、自らの表面にトナー像を担持する像担持体と、前記表面上のトナー像を転写体に転写する転写手段による転写工程を経た後の前記表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを共通の保持体で保持して1つのユニットとして画像形成装置本体に対して着脱可能に構成したプロセスユニットにおいて、前記クリーニング手段として、請求項1のクリーニング装置を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
これらの発明においては、トナーの極性を所定の極性に揃える極性制御部材との対向位置を通過した後、クリーニング部材に接触する前の被清掃体の表面電位を表面電位検知手段によって検知した検知結果に応じて、クリーニング部材に対するクリーニング電圧の出力値を変化させる。これにより、前記対向位置を通過した後の被清掃体の表面電位の変動によらず、被清掃体とクリーニング部材との間において、両者の電位差を一定範囲にする。かかる構成では、被清掃体の表面電位の変動によって前記電位差を不足させていたり、過剰にしていたりした従来に比べて、クリーニング不良の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】転写ニップを通過した直後の感光体表面に付着している転写残トナーの帯電量分布を示すグラフ。
【図3】極性制御電圧と転写残トナーの帯電量分布との関係を示すグラフ。
【図4】ブラシローラ部を構成する起毛を示す縦断面図。
【図5】同プリンタのベルトクリーニング装置を紙搬送ベルトの一部とともに拡大して示す拡大構成図。
【図6】掻き取り電圧の第1制御例を示すフローチャート。
【図7】掻き取り電圧の第2制御例を示すフローチャート。
【図8】掻き取り電圧の第3制御例を示すフローチャート。
【図9】掻き取り電圧の第4制御例を示すフローチャート。
【図10】トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGと平面積AREAとを説明する模式図。
【図11】(a)、(b)、(c)、(d)は、アモルファスシリコン感光体の層構造の第1例、第2例、第3例、第4例を示す拡大模式図。
【図12】第1変形例に係るプリンタの要部を示す要部構成図。
【図13】第2変形例に係るプリンタを示す概略構成図。
【図14】クリーニング残トナー量と、感光体〜ブラシ間の電位差との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態として、電子写真方式のプリンタについて説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。本プリンタは、潜像として、地肌部よりも電位の低いものを形成してそれにトナーを付着させるネガポジ現像を採用したものである。同図において、本プリンタは、潜像担持体としてのドラム状の感光体1、帯電ローラ2、クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置4、現像手段としての現像装置5などからなるプロセスユニット6や、転写ユニット7等を備えている。また、図示しない光書込ユニットなども備えている。
【0014】
プロセスユニット6は、図中反時計回り方向に例えば205[mm/s]の線速で回転駆動される感光体1の周りに、帯電ローラ2、ドラムクリーニング装置4、現像装置5などを具備しており、それらの各装置を共通の保持体に保持させてプリンタ本体に対して一体的に着脱可能にするようにユニット化したものである。
【0015】
帯電ローラ2は、感光体1に対して所定の微小ギャップを介して非接触で対向するように配設されており、図示しない電源によって帯電バイアスが印加される。そして、暗中にて、自らと感光体1との間に放電を生じせしめることで、感光体1の表面をトナーの正規帯電極性と同極性に一様に帯電せしめる。その電位は本プリンタでは−690[V]である。なお、帯電ローラ2の代わりに、帯電ブラシ等の他の帯電部材を近接又は接触させる帯電手段を用いてもよい。また、スコロトロンチャージャのように、チャージャ方式によって感光体3Yを一様帯電させる帯電手段を用いてもよい。
【0016】
光書込ユニットは、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて、周知の技術によってレーザーダイオード等の光源を駆動して、一様帯電後の感光体1の表面を光走査する。これにより、感光体1の表面における露光箇所の電位を減衰させることで、感光体1表面に静電潜像を形成する。静電潜像の電位は、−120[V]である。
【0017】
現像装置5は、第1搬送スクリュウ51が配設された第1剤収容室52を有している。また、第2搬送スクリュウ53、現像ロール54、ドクターブレード55などが配設された第2剤収容室56も有している。これら2つの剤収容室内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のトナーとからなる二成分現像剤が内包されている。第1搬送スクリュウ51は、図示しない駆動手段によって回転駆動することで、第1剤収容室52内の現像剤を図紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送する。このようにして第1剤収容室52の図中手前側端部まで搬送された現像剤は、第1剤収容室52と第2剤収容室56とを仕切っている仕切壁に設けられた図示しない連通口を経て第2剤収容室56内に進入する。第2剤収容室56内の第2搬送スクリュウ53は、図示しない駆動手段によって回転駆動することで、現像剤を図中手前側から奥側に向けて搬送する。このようにして現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ53の斜め上方には、現像ロール54が第2搬送スクリュウ53と平行な姿勢で配設されている。この現像ロール54は、図中反時計回り方向に回転駆動する非磁性スリーブからなる現像スリーブ内に図示しないマグネットローラを内包している。第2搬送スクリュウ53によって搬送される現像剤の一部は、マグネットローラの発する磁力によって現像スリーブ表面に汲み上げられる。そして、現像スリーブ表面と所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード55によってその層厚が規制された後、感光体1と対向する現像領域まで搬送される。現像領域では、感光体1の静電潜像(−120V)と、−550[V]の現像バイアスが印加される現像スリーブとの間に現像電界が形成される。これにより、現像剤中のトナーが感光体1の静電潜像に転移して、静電潜像を現像する。現像によってトナーを消費した現像剤は、現像スリーブの回転に伴って第2搬送スクリュウ53上に戻される。そして、第2搬送スクリュウ53によって第2剤収容室56の図中奥側端部まで搬送された現像剤は、仕切壁に設けられた図示しない連通口を経て第1剤収容室52内に戻る。以上のようにして、現像剤は現像装置5内を循環搬送される。
【0018】
プロセスユニット6の図中下方には、無端状の紙搬送ベルト71を張架しながら図中時計回り方向に無端移動させる転写ユニット7が配設されている。転写ユニット7は、紙搬送ベルト71のほか、ベルトクリーニングユニット8、転写ローラ72、駆動ローラ73、従動ローラ74などを備えている。ベルト部材としての紙搬送ベルト71は、駆動ローラ73と従動ローラ74とによって張架されながら、駆動ローラ73の回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。転写ローラ72は、このように無端移動せしめられる紙搬送ベルト71を感光体1との間に挟み込んでいる。これにより、紙搬送ベルト71と感光体1とが当接する転写ニップが形成されている。転写ローラ72には、出力電流を定電流制御(+30μA)する図示しない定電流電源によって転写バイアスが印加されており、これによって転写ニップ内では感光体1表面のトナー像をベルト側に引き寄せる転写電界が形成される。
【0019】
感光体1にトナー像が形成されるのと並行して、図示しない給紙カセットから記録紙が送り出されて、図示しないレジストローラ対のローラ間に挟み込まれる。このレジストローラ対は、記録紙を感光体1上のトナー像に同期させるタイミングで転写ニップに向けて送り出す。そして、転写ニップ内に挟み込まれた記録紙には、感光体1上のトナー像が転写される。その後、記録紙は、紙搬送ベルト71の無端移動に伴って図示しない定着装置に送り込まれて、その表面にトナー像が定着せしめられる。
【0020】
転写ニップを通過した後の感光体1の表面には、記録紙に転写されなかった若干量の転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置4によって感光体1表面から除去される。
【0021】
以上の構成において、感光体1、帯電ローラ2、ドラムクリーニング装置4、現像装置5などからなるプロセスユニット6や、光書込ユニットは、像担持体たる感光体1の表面にトナー像を形成するトナー像形成手段として機能している。転写ユニット7は、転写手段として機能している。
【0022】
図2は、転写ニップを通過した直後の感光体1表面に付着している転写残トナーの帯電量分布を示すグラフである。図示のように、転写ニップを通過した直後の感光体1表面に付着している転写残トナーの中には、プラス極性に帯電しているトナー粒子と、マイナス極性に帯電しているトナー粒子とが混在している。マイナス帯電性のトナーにおいて、転写残トナー中にプラス極性のトナーが混在するのは、転写ニップで転写電流が流れるのに伴ってトナーにプラスの電荷が注入されるからである。
【0023】
先に示した図1において、ドラムクリーニング装置4は、極性制御部材としての極性制御ブレード41、クリーニング部材としてのクリーニングブラシローラ42、回収部材としての回収ローラ43、掻き取り部材としての掻き取りブレード44、回収スクリュウ45、ブラシ電極46などを有している。
【0024】
極性制御ブレード41は、片持ち支持された状態で自由端を感光体1表面に当接させている。そして、転写残トナーを感光体1表面上から掻き落とす。但し、転写残トナーの一部は、トナー極性ブレード41と、感光体1表面との当接部をすり抜けていく。この際、極性制御電源204によってトナーの正規帯電極性と同極性であるマイナス極性の極性制御電圧が印加される極性制御ブレード41が、前記当接部をすり抜けていく転写残トナー中のプラス帯電トナーをマイナス極性に帯電せしめる。これにより、前記当接部をすり抜けた殆どのトナーの極性を正規帯電極性(マイナス極性)にする。より詳しくは、前記当接部に挟み込まれた転写残トナーは、極性制御ブレード41からの電流の流れ込みによってマイナス極性の電荷が注入される。また、感光体1の表面電位と極性制御電圧との電位差が放電開始電圧以上の値であると、前記当接部の出入口における極性制御ブレード41と感光体1との間の微小ギャップで放電が発生して、感光体1表面上の転写残トナーにマイナス極性の電荷が付与される。これらの作用により、前記当接部をすり抜けた転写残トナーの帯電量分布が元の状態よりもマイナス側にシフトする。このシフト量は、図3に示すように、極性制御ブレード41に印加される極性制御電圧の値の増加に伴って大きくなっていく。なお、極性制御ブレード41は、導電性基板の表面に、導電性アクリル樹脂からなる表面層がコートされている。この表面層により、感光体1表面との摩擦抵抗を低下させることで、極性制御ブレード41のスティックスリップの発生を抑えている。更には、極性制御ブレード41の摩耗も抑えている。
【0025】
本プリンタにおけるトナー極性制御ブレード41の条件は次の通りである。
・導電性基板の材料:ポリウレタンにイオン導電剤及びカーボン導電剤を分散した材料
・表面層の材料:アクリル樹脂
・表面層の厚み:5[μmm]
・食い込み量(対感光体):1[mm]
・当接角度(対感光体):20[°]
・全厚み:2[mm]
・自由長:7[mm]
・硬度:60〜80[°](JIS−A硬度計)
・反発弾性:30[%]
・抵抗:10〜10[Ω・cm]
・印加電圧(極性制御電圧):−1200[V](定電圧制御)
【0026】
クリーニング部材としてのクリーニングブラシローラ42は、金属製の回転軸部材と、これの表面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部とを具備している。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に無端移動せしめられながら、ブラシ先端部を感光体1表面に摺擦させる。この摺擦により、ブレード通過後の感光体1表面に残っている転写残トナーを感光体1表面から掻き取る。
【0027】
クリーニングブラシローラ42の回転軸部材には、クリーニング電源201によってトナーの正規帯電極性とは逆極性であるプラス極性のクリーニング電圧が印加される。回転軸部材の周面上に立設せしめられてブラシローラ部を形成している複数の起毛は、導電性繊維からなる芯と、これの表面に被覆された絶縁性材料からなる絶縁層とを具備するいわゆる芯鞘構造になっており、芯はクリーニング電圧とほぼ同じ電位になる。これにより、プラス極性の転写残トナーを起毛表面に引き付ける。よって、ブラシ先端部によって感光体1表面から掻き取られた転写残トナーは、クリーニング電圧の作用によってブラシローラ部のブラシ内に捕捉される。
【0028】
図4は、ブラシローラ部を構成する起毛を示す縦断面図である。同図において、起毛は感光体1の表面に対して自らの側面を当接させるように、図示しない回転軸部材の法線方向に対して傾斜した姿勢で植毛されたいわゆる斜毛となっている。起毛の図中左側の橋は、起毛の先端である。この先端では、起毛の芯が絶縁層に覆われておらず外部に剥き出しになっている。その剥き出しの箇所と、トナーとが接触すると、トナーに対する電荷注入が起こるため、剥き出しの箇所をトナーに接触させ難くする狙いから、起毛を斜毛としている。
【0029】
本プリンタにおけるクリーニングブラシローラ42の条件は次の通りである。
・起毛の芯部材質:繊維内部に導電性カーボンを内包した導電性ポリエステル
・起毛の表面層材質:絶縁性のポリエステル
・起毛長さ:4[mm]
・起毛の原糸抵抗10[Ω・cm]
・起毛の植毛密度:10[万本/inch
・起毛の直毛形態:ブラシ回転方向下流側に先端を向けるように傾斜
・外径:14[mm]
・食い込み量(対感光体):1[mm]
・線速:205[mm/s](感光体と等速)
・印加電圧(クリーニング電圧、金属製の回転軸部材に印加):+150[V]程度(可変)
【0030】
先に図2に示した回収ローラ43は、ローラ状の芯金と、これの表面に被覆された絶縁性のPVDFからなる絶縁層(5E+13Ω・cm以上)とを具備している。そして、クリーニングブラシローラ42のブラシ先端部に当接しながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される。この回収ローラ42の芯金には、回収電源202により、トナーの帯電極性とは逆極性であるプラス極性で且つクリーニング電圧よりも大きな値の回収電圧が印加されている。これにより、クリーニングブラシローラ42のブラシローラ部内に捕捉されていた転写残トナーが、ブラシ内から回収ローラ43表面に静電転移する。回収ローラ43の表面を絶縁層で覆うことで、ブラシと回収ローラ43との当接部における回収ローラ43からトナーへの電荷注入の発生を抑えることができる。
【0031】
また、回収ローラ43は、クリーニングブラシローラ42に付着したトナーをブラシと回収ローラ43との電位勾配によってブラシから回収ローラ43に転位させる機能さえ発揮できれば、どのような材料からなっていてもかまわない。そこで、回収ローラ43の表面を覆う絶縁層、あるいはその上に被覆する表面層の材料として、摩擦係数の低い材料を用いることで、回収ローラの耐久性を向上させたり、ローラ表面からのトナー離型性を促したりすることができる。かかる材料としては、PVDFやPFAなどのフッ素樹脂を例示することができる。
【0032】
本プリンタにおける回収ローラ43の条件は次の通りである。
・芯金材質:ステンレス
・芯金上の絶縁層の材料:PVDFチューブ
・絶縁層の厚み:100[μm]
・絶縁層の上に被覆された表面層の材質:アクリル
・表面層の厚み:5[μm]
・ローラ直径:12[mm]
・線速:205[mm/s]
・印加電圧(回収電圧、芯金に印加):+550[V]程度(可変)
【0033】
掻き取りブレード44は、片持ち支持された状態で、自由端を回収ローラ43表面に当接させており、転写残トナーを回収ローラ43表面から掻き落とす。この際、転写残トナーが回収ローラ43の表面上にマイナス極性の電荷を残していくことで、回収ローラ43の表面がマイナス極性側にチャージアップしていき、これによって回収ローラ43の全体におけるプラス極性の電位が徐々に小さくなっていくことがある。そこで、本プリンタにおいては、掻き取り電源203により、トナーの帯電極性とは逆極性であるプラス極性で且つ回収電圧よりも大きな値の掻き取り電圧を掻き取りブレード44に印加している。これにより、回収ローラ43の表面におけるマイナス極性側へのチャージアップを回避するとともに、ローラからブレードへのトナーの静電転移を促している。
【0034】
本プリンタにおける掻き取りブレード44の条件は次の通りである。
・ブレード厚み:2[mm]
・基板材質:ポリウレタンにイオン導電剤及びカーボン導電剤を分散したもの
・表面層材質:導電性アクリル
・表面層厚み:5[μm]
・食い込み量:1[mm]
・当接角度(対回収ローラ):20[°]
・自由長:7[mm]
・硬度:60〜80(JISA硬度計)
・反発弾性:30[%]
・電気抵抗:10〜10[Ω・cm]
・印加電圧(掻き取り電圧):+550[V]程度(可変)
【0035】
なお、感光体1とクリーニングブラシローラ42との当接部や、クリーニングブラシローラ42と回収ローラ43との当接部では、部材間の電位差によって転写残トナーへの電荷注入がどうしても発生してしまう。このため、極性制御ブレード41による極性制御後の転写残トナーの帯電量q/d分布については、0[fC/μm]より少しだけマイナス側にシフトした値、具体的には−0.2[fC/μm]以上にすることが望ましい。このようにすることで、転写残トナーに対して多少の電荷注入が起きても、極性制御後の転写残トナーの帯電量をマイナス極性にすることが可能になる。但し、マイナス側に大きくし過ぎると、クリーニングブラシローラ42による転写残トナーのクリーニングが良好に行われなくなるので、−0.8[fCμm]以下にすることが望ましい。つまり、極性制御後における転写残トナーの帯電量q/dについては、−0.2[fC/μm]〜−0.8[fC/μm]の範囲に制御することが望ましい。
【0036】
トナー抑制制御ブレード41によって感光体1表面から掻き落とされたトナーや、掻き取りブレード44によって回収ローラ43表面から掻き落とされたトナーは、回収スクリュウ45によってドラムクリーニング装置4の外部に排出された後、図示しない廃トナーボトルに収容される。
【0037】
記録紙のジャムが発生したり、機内でトナー飛散が発生したりすると、感光体1の下方で無端移動せしめられる紙搬送ベルト71の表面がトナーで汚れることがある。このような場合、そのトナー汚れはベルトクリーニング装置8によってベルト表面から除去される。
【0038】
図5は、ベルトクリーニング装置8を紙搬送ベルト71の一部とともに拡大して示す拡大構成図である。このベルトクリーニング装置8は、極性制御ブレード81、クリーニング部材としてのクリーニングブラシローラ82、回収部材としての回収ローラ83、掻き取り部材としての掻き取りブレード84、回収スクリュウ85、ブラシ電極46などを有している。
【0039】
極性制御部材としての極性制御ブレード81は、支持板金上に接着された板状の導電性弾性体であり、片持ち支持された状態で、自由端を紙搬送ベルト71に対してカウンター方向において当接圧20〜40[g/cm]で当接させている。電気抵抗1×10Ω・cm〜1×10Ω・cm、厚み2.4〜2.8mm、自由長7mm〜9mm、JIS−A硬度60〜80、ブレード反発弾性係数45%という条件を具備するものである。ブレードを構成する導電性弾性体は、例えばポリウレタンゴムを素材と、カーボンブラックやイオン系の導電剤を混練することで導電性を付与するもので、電気抵抗は、2×10Ω・cm〜5×10Ω・cmが好ましい。厚みは1〜3mmの範囲内とするのが良い。厚さが薄すぎると、中間転写ベルト18表面及び極性制御ブレード520自体のうねり等によって中間転写ベルト18への押しつけ量が確保しにくくなる。硬度はJIS−A硬度計で40〜85の範囲内であれば良い。
【0040】
像担持体としての紙搬送ベルト71に付着したトナーは、極性制御ブレード81によってベルト表面から掻き落とされるが、一部のトナーはブレードとベルトとの当接部をすり抜ける。この際、極性制御電源208によってマイナス極性の極性制御電圧が印加される極性制御ブレード81からの電荷注入や放電により、トナーの帯電極性が正規のマイナス極性に揃えられる。その後、ベルトの無端移動に伴ってクリーニングブラシローラ82の位置まで搬送される。
【0041】
クリーニングブラシローラ82は、金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部とを具備しており、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動されながら、ブラシ先端部を紙搬送ベルト71表面に摺擦させる。その回転軸部材には、クリーニング電源209によってトナーの正規帯電極性とは逆極性(正極性)のクリーニング電圧が印加されている。これにより、ベルト表面から掻き取られたトナーがブラシ内に静電的に捕捉される。
【0042】
ベルトクリーニング装置8において、クリーニングブラシローラ82の条件は、通常環境(高温高湿環境以外)で次の通りである。
・ブラシ材質:導電性ポリエステル(繊維内部に導電性カーボンを内包し、繊維表面はポリエステル、いわゆる芯鞘構造)
・ブラシ抵抗:1×10Ω・cm(1000Vの電圧印加条件で測定)
・ブラシ軸印加電圧(クリーニング電圧):+800V
・ブラシ植毛密度:10万本/inch、繊維径約25〜35μm、ブラシ先端の毛倒れ処理あり
・ブラシ直径:16mm
・紙搬送ベルトへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
【0043】
回収ローラ83は、クリーニングブラシローラ92に当接するよう設けられ、回収電源209により、正極性で且つクリーニング電圧より大きな値の回収電圧が印加されている。クリーニングブラシローラ82と、回収ローラ83との電位差により、ブラシ内のトナーは回収ローラ83表面に静電転移する。
【0044】
回収ローラ83の条件は次の通りである。
・回収ローラ芯金材質:SUS
・回収ローラ表面材質:PVDF(厚み100μm)の表層にアクリル系UV硬化樹脂層(厚み3〜5μm)
・回収ローラ体積抵抗:1×1013Ω・cm(25℃50%にて測定)
・ローラ直径:14mm
・回収ローラへのブラシ繊維喰い込み量:1mm
・回収ローラ芯金印加電圧(回収電圧):+1200V
【0045】
導電性カーボン含有ポリウレタンゴムからなる掻き取りブレード84は、片持ち支持された状態で自由端を回収ローラ83に当接させるように配設されており、回収ローラ83上のトナーを掻き落とす。掻き落とされたトナーは、回収スクリュウ85によって装置外に排出された後、図示しない廃トナーボトルに収容される。なお、掻き取りブレード84には、掻き取り電源211により、正極性で且つ回収電圧よりも大きな値の掻き取り電圧が印加されている。
【0046】
掻き取りブレード84の条件は次の通りである。
・導電性カーボン含有ポリウレタンゴムの体積抵抗:1×10Ω・cm(25℃50%にて測定)
・ブレード当接角度:20°
・ブレード厚み:2.8mm
・回収ローラへのブレード喰い込み量:0.6mm
・掻き取りブレードへの印加電圧(掻き取り電圧):+2000V
【0047】
本発明者らは、以上の構成を備えるプリンタ試験機を用いて、所定のテスト画像を連続出力した。そして、連続出力中に適宜装置を一時停止させて、感光体1のクリーニング不良の有無を確認する実験を行った。すると、低温低湿の環境下や、中温中湿の環境下では、クリーニング不良が発生しないことを確認したが、高温高湿の環境下では、クリーニング不良の発生を確認した。そこで、この原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことを見出した。即ち、表1に示すように、高温高湿の環境下では、極性制御ブレード41の電気抵抗が低温低湿や中温中湿の環境下のときよりも低下する。これにより、極性制御ブレード41との接触位置を通過した後の感光体1の表面電位がトナーの正規帯電極性であるマイナス側により大きくなって、感光体1の表面電位Vsとクリーニングブラシローラ42(クリーニング電圧Vbr)との電位差がより大きくなる。すると、感光体1とクリーニングブラシローラ42との接触部で転写残トナーに対してプラス極性の電荷注入が起こって、トナーをプラス極性に逆帯電させ易くなる。この逆帯電により、トナーが感光体1表面からクリーニングブラシローラ42に転移し難くなって、クリーニング不良が引き起こされていた。
【表1】

【0048】
なお、表1に示した実験では、低温低湿の環境下で極性制御ブレード41の抵抗の上昇が認められていないが、各種電圧やブレード材料などによっては、低温低湿の環境下でブレードの抵抗を上昇させて、上記電位差の不足に起因するクリーニング不良を発生させるおそれもある。
【0049】
このような電位差(|クリーニング電圧Vbr−感光体表面電位Vs|)の変動によるクリーニング不良の発生を抑える対策として、温湿度の検知結果に基づいて極性制御電圧の値を変化させて、感光体表面電位の安定化を図ることが考えられる。しかしながら、この場合、極性制御ブレード41との接触位置を通過した後の感光体表面電位Vsを安定化させる代わりに、転写残トナーの帯電量q/dを変動させてしまうので、−0.2[fC/μm]〜−0.8[fC/μm]という上述の適正範囲に収めることが困難になってしまう。
【0050】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
先に示した図1において、極性制御ブレード41は被清掃体たる感光体1に対して近接する状態で配設されている。この近接は、接触又は微小ギャップを介して対向するように配設されることである。実施形態では、上述したように、極性制御ブレード41を被清掃体たる感光体1に接触させている。
【0051】
ドラムクリーニング装置4は、表面電位検知手段としての表面電位センサ46を具備している。この表面電位センサ46は、極性制御ブレード41との接触位置を通過した後、クリーニングブラシローラ42に接触する前の感光体1の表面電位を検知するように配設されている。
【0052】
クリーニングブラシローラ42にクリーニング電圧を出力するクリーニング電源201は、表面電位センサ46の検知結果に基づいて、感光体表面電位Vsとクリーニングブラシローラ42との電位差を一定の値にするように、必要に応じてクリーニング電圧Vbrの出力値を変化させる。詳しくは、感光体表面電位Vsに対して所定値(例えば+600V)を加算した値を、クリーニング電圧Vbrの出力値とする。
【0053】
かかる構成の本プリンタにおいては、転写残トナーの極性をマイナス極性に揃えるための極性制御ブレード41との接触位置を通過した後、クリーニングブラシローラ42に接触する前における感光体1の表面電位Vsの変動によらず、表面電位Vsとクリーニングブラシローラ42との電位差を一定範囲にする。よって、表面電位Vsの変動によって前記電位差を不足させていたり、過剰にしていたりした従来に比べて、クリーニング不良の発生を抑えることができる。
【0054】
本発明者らは、実施形態に係るプリンタと同様の構成のプリンタ試験機を用意してプリントテストを行った。すると、先に表1に示した低温低湿や中温中湿の条件下と、高温高湿の条件下とで、何れも前記電位差(|Vbr−Vs|)を600[V]にして、環境にかかわらず、良好なクリーニング性能を得ることができた。なお、低温低湿や中温中湿の条件下におけるクリーニング電圧Vbrは+150[V]であったのに対し、高温高湿の条件下におけるクリーニング電圧Vbrは0[V]であった。
【0055】
回収ローラ43に回収電圧を印加する回収電源202は、クリーニング電源201から出力されるクリーニング電圧Vbrと、自らが出力する回収電圧との間に所定の電位差を設けるように、クリーニング電圧Vbrの変化に応じて回収電圧を変化させる。これにより、クリーニング電源201がクリーニング電圧Vbrの出力値を変化させても、回収電源202からの回収電圧の出力値もそれに応じて変化させて、クリーニングブラシローラ42から転写残トナーを良好に回収することができる。
【0056】
また、掻き取りブレード44に掻き取り電圧を印加する掻き取り電源203は、回種電源202から出力される回収電圧と、自らが出力する掻き取り電圧との間に所定の電位差を設けるように、回収電圧の変化に応じて掻き取り電圧を変化させる。これにより、回収電源202が回収電圧の出力値を変化させても、掻き取り電源203からの掻き取り電圧の出力値もそれに応じて変化させて、回収ローラ43からトナーを良好に掻き取ることができる。
【0057】
クリーニング電源201からのクリーニング電圧の出力値を感光体1の表面電位Vsに応じて変化させるタイミングとしては、所定の時間間隔毎のタイミングを例示することができる。制御回路の負担を軽減する目的から、大きな環境変動が起こったときだけ、クリーニング電圧を変化させるか否かを判定させるようにしてもよい。
【0058】
大きな環境変動が起きたか否かを判断する方法としては、図6に示すように、図示しない温度センサからの出力により、前回調整時からの温度変化が所定温度以上(図示の例では3℃以上)になったことを検知した場合に、クリーニング電圧Vbrの出力値を新たに設定し直す方法を例示することができる。また、図7に示すように、図示しない湿度センサからの出力により、前回設定時からの湿度変化が所定値以上(図示の例では10%以上)になったことを検知した場合に、クリーニング電圧Vbrの出力値を新たに設定し直す方法でもよい。また、図8に示すように、前回設定時からのプリント枚数が所定枚数(図示の例では200枚)になったことに基づく方法でもよい。また、図9に示すように、前回設定時からの経過時間が所定時間(図示の例では5時間)に達したことに基づく方法でもよい。
【0059】
浮遊したトナーを電位検知センサ46の電位検知面に付着させると、表面電位Vsの電位測定精度を低下させしまう。そこで、電位検知センサ46の電位検知面にシャッターを設け、必要なときだけシャッターを開くようにしてもよい。
【0060】
先に示した図5において、ベルトクリーニング装置8は、表面電位検知手段としての表面電位センサ86を具備している。この表面電位センサ86は、極性制御ブレード81との接触位置を通過した後、クリーニングブラシローラ82に接触する前の紙搬送ベルト71の表面電位を検知するように配設されている。
【0061】
クリーニングブラシローラ82にクリーニング電圧を出力するクリーニング電源209は、表面電位センサ86の検知結果に基づいて、ベルト表面電位とクリーニングブラシローラ82との電位差を一定の値にするように、必要に応じてクリーニング電圧の出力値を変化させる。詳しくは、ベルト表面電位に対して所定値(例えば+600V)を加算した値を、クリーニング電圧の出力値とする。
【0062】
かかる構成の本プリンタにおいては、トナーの極性をマイナス極性に揃えるための極性制御ブレード81との接触位置を通過した後、クリーニングブラシローラ82に接触する前における紙搬送ベルト71の表面電位の変動によらず、ベルト表面電位とクリーニングブラシローラ82との電位差を一定範囲にする。よって、ベルト表面電位の変動によって前記電位差を不足させていたり、過剰にしていたりした従来に比べて、クリーニング不良の発生を抑えることができる。
【0063】
トナーとしては、形状係数SF1が100以上、180以下であるものを用いることが望ましい。図10は、トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGと平面積AREAとを説明する模式図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、「SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π)/4」という式で求められる。トナー粒子の2次元平面に対する投影像の最大径MXLNGの二乗を平面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0064】
形状係数SF−1の測定は、具体的には、トナーの中から100個のトナー粒子を無作為に選出してその写真を走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)で撮影し、その撮影像を画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入し、個々のトナー粒子の形状係数を解析した後、それらの平均値を最終的な形状係数とした。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1が180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0065】
感光体1としては、素材中にフィラーを分散させた材料からなる表面層を具備するもの、充填材で補強された表面層を具備する有機感光体、架橋型電荷輸送材料からなる電荷輸送層を有する有機感光体、あるいはアモルファスシリコン感光体の何れかを用いることが望ましい。
【0066】
素材中にフィラーを分散させた材料からなる表面層を具備する感光体1における有機フィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられる。無機フィラーとしては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。これらのフィラーは単独もしくは2種類以上混合して用いられる。これらフィラーは、保護層用塗工液に適当な分散機を用いることにより分散できる。また、フィラーの平均粒径は、0.5[μm]以下、好ましくは0.2[μm]以下にあることが表面層の透過率の点から好ましい。表面層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
【0067】
架橋型電荷輸送材料からなる電荷輸送層を有する感光体1としては、次のようなものを例示することができる。即ち、最外層がビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルより選ばれる化合物の重合体もしくは共重合からなる。基材となる導電性支持体としては、アルミニウム、ステンレスなどの金属、紙、プラスチックなどの円筒状シリンダーまたはフィルムが用いられる。これらの導電性支持体の上には、バリアー機能と下引機能をもつ下引層(接着層)を設けることができる。下引層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的被覆に対する保護などのために形成される。下引層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、等が知られている。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その膜厚は0.2〜2μm程度である。感光層の具体例としては、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造を有する感光層、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単一の層から成る感光層などがある。電荷発生物質としては、ピリリウム、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン系顔料、非対称キノシアニン、キノシアニンなどを用いることができる。電荷輸送物質としては、ピレン、N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テトラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)エタン等のポリアリールアルカン類、およびトリアリールアミン類などを用いることができる。
【0068】
アモルファスシリコン感光体としては、以下のようなものを例示することができる。即ち、導電性支持体を50〜400[℃]に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を形成したアモルファスシリコン感光体(以下、「a−Si系感光体」と言う)である。アモルファスシリコン感光体の層構成は例えば以下のようなものである。即ち、図11(a)に示すアモルファスシリコン感光体は、支持体1aの上にa−Si:H,X(Hは水素原子、Xはハロゲン原子(F,Cl,Br,I))からなり光導電性を有する光導電層1bが設けられている。図11(b)に示すアモルファスシリコン感光体は、支持体1aの上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層1bと、アモルファスシリコン系表面層1cとが積層されている。図11(c)に示すアモルファスシリコン感光体は、支持体1aの上に、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層1dと、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層1bと、アモルファスシリコン系表面層1cとが順次積層されたものである。図11(d)に示すアモルファスシリコン感光体は、支持体1aの上に、光導電層が設けられたものである。この光導電層は、a−Si:H,Xからなる電荷発生層1eと、電荷輸送層1fとからなり、その上にアモルファスシリコン系表面層1cが設けられている。
【0069】
アモルファスシリコン感光体の支持体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、AL、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。支持体の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状、無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光体を形成し得るように適宜決定するが、画像形成装置用感光体としての可撓性が要求される場合には、支持体としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10[μm]以上とされる。
【0070】
アモルファスシリコン感光体には、必要に応じて導電性支持体と光導電層との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層を設けてもよい(図11(c))。詳しくは、電荷注入阻止層は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能が発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比べ比較的多く含有させる。電荷注入阻止層の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5[μm]、より好ましくは0.3〜4[μm]、最適には0.5〜3[μm]とされるのが望ましい。
【0071】
光導電層は必要に応じて下引き層上に形成され、光導電層の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは1〜100[μm]、より好ましくは20〜50[μm]、最適には23〜45[μm]とされるのが望ましい。
【0072】
電荷輸送層は、光導電層を機能分離した場合の電荷を輸送する機能を主として奏する層である。この電荷輸送層は、その構成要素として少なくともシリコン原子と炭素原子と弗素原子とを含み、必要であれば水素原子、酸素原子を含むa−SiC(H、F、O)からなり、所望の光導電特性、特に電荷保持特性,電荷発生特性および電荷輸送特性を有する。酸素原子を含有することが特に好ましい。電荷輸送層の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果などの点から適宜所望にしたがって決定され、電荷輸送層については、好ましくは5〜50[μm]、より好ましくは10〜40[μm]、最適には20〜30[μm]とされるのが望ましい。
【0073】
電荷発生層は、光導電層を機能分離した場合の電荷を発生する機能を主として奏する層である。この電荷発生層は、構成要素として少なくともシリコン原子を含み、実質的に炭素原子を含まず、必要であれば水素原子を含むa−Si:Hから成り、所望の光導電特性、特に電荷発生特性,電荷輸送特性を有する。電荷発生層の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは0.5〜15[μm]、より好ましくは1〜10[μm]、最適には1〜5[μm]とされる。
【0074】
アモルファスシリコン感光体には必要に応じて、上述のようにして支持体上に形成された光導電層の上に、更に表面層を設けることも可能である。この表面層は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性を向上させるために設けられる。表面層の層厚としては、通常0.01〜3[μm]、好適には0.05〜2[μm]、最適には0.1〜1[μm]とされるのが望ましいものである。層厚が0.01[μm]よりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまい、3[μm]を超えると残留電位の増加等の電子写真特性低下がみられる。
【0075】
次に、実施形態に係るプリンタの各変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各変形例に係るプリンタの構成は実施形態と同様である。
[第1変形例]
図12は、第1変形例に係るプリンタの要部を示す要部構成図である。同図において、プロセスユニット6の感光体1の左側方には、リボルバ現像装置500が配設されている。このリボルバ現像装置500は、回転可能な回転体500aの周囲に、イエロー(Y)トナーによって現像を行うY現像器5Y、マゼンタ(M)トナーによって現像を行うM現像器5M、シアン(C)トナーによって現像を行うC現像器5C、黒トナーによって現像を行うK現像器5Kを有している。そして、回転体500aを中心に回転することで、感光体1に対向する現像位置に位置させる現像器を切り替える。
【0076】
感光体1には、周知の電子写真プロセスにより、Y,M,C,K用の静電潜像が順次形成される。そして、Y,M,C,K用の静電潜像は、Y現像器5Y,M現像器5M,C現像器5C,K現像器5Kによって現像される。この現像によって感光体1上に順次形成されるY,M,C,Kトナー像は、図示しない中間転写ベルトに重ね合わせて転写されてフルカラートナー像になった後、記録紙に一括2次転写される。
【0077】
プロセスユニット6におけるドラムクリーニング装置4は、実施形態に係るプリンタのものと同様の構成を有しており、クリーニング電源からの出力値を感光体表面電位の検知結果に基づいて制御する。
【0078】
[第2変形例]
図13は、第2変形例に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、Y,M,C,Kのトナー像を生成するための4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kを備えている。4つのプロセスユニット6Y,M,C,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他はほぼ同様の構成になっており、その構成は、実施形態に係るプリンタのプロセスユニット6と同様である。
【0079】
プロセスユニット6Y,M,C,Kの上方には、像担持体たる中間転写ベルト18を備えた転写ユニット17が配設されている。中間転写ベルト18は、テンションローラ14、駆動ローラ12、支持ローラ13、15,16等の複数のローラに掛け回されており、図中反時計回り方向に回転駆動される。中間転写ベルト18を挟んで感光体1Y,M,C,Kに対向する位置には、感光体1Y,M,C,K上に形成されたトナー像を中間転写ベルト18上に転写するために1次転写ローラ9Y,M,C,Kが配設されている。また、中間転写ベルト18の回転方向に関して1次転写ローラ9Y,M,C,Kより下流部には、中間転写ベルト18の周面に当接し、中間転写ベルト18上のトナー像を記録紙に転写する2次転写ローラ19を有する2次転写装置を有している。なお、2次転写装置は、2次転写ローラ19に限るものではなく、数本の支持ローラと駆動ローラにより掛け渡される2次転写ベルトであっても良い。
【0080】
2次転写ローラ19よりも下流には、2次転写ローラ19による転写後に中間転写ベルト18上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置10が、中間転写ベルト18を介してテンションローラ14に対向するよう設けられている。このベルトクリーニング装置10は中間転写体8と一体的に交換可能であるが、中間転写ベルト18と寿命設定が異なる場合は単独で脱着が可能としてもよい。
【0081】
プリンタの下方には、転写紙Pを収容する給紙カセット26と、給紙カセット26から転写紙Pを給紙する給紙ローラ27とを有する給紙部が設けられている。また、転写紙の搬送方向に関して2次転写ローラ19の上流側には、給紙カセット26から給紙された転写紙を一端停止させて、2次転写位置に向かって送り出すレジストローラ28が設けられている。一方、2次転写位置より転写紙の搬送方向に下流側には、定着装置20が設けられている。また、プロセスユニット6Y,M,C,Kのそれぞれの現像装置に補給する新しいトナーが充填されたトナーボトル32Y,M,C,Kがプリンタの上方にあり、ここから図示しない搬送経路によって、所定の補給量だけ各色の現像装置に補給する。
【0082】
パーソナルコンピュータ等から画像情報が送られてくると、転写ユニット17では、不図示の駆動モータで駆動ローラ12を回転駆動して、他のローラ13,14,15,16を従動回転し、中間転写ベルト18を回転する。同時に、各プロセスユニット6Y,M,C,Kで各感光体1Y,M,C,Kを回転して、それぞれ帯電ローラ2Y,M,C,Kにより一様に帯電し、ついで、露光装置7により露光して静電潜像を形成する。各静電潜像は、それぞれ各色の現像装置により現像され、感光体1Y,M,C,K上にイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの単色画像を形成する。中間転写ベルト18の回転とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト18上に合成カラー画像を形成する。
【0083】
一方、給紙部では、給紙ローラ27が給紙カセット26から転写紙Pを1枚づつ繰り出して給紙路に入れ、レジストローラ28に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト18上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ28を回転し、中間転写ベルト18と2次転写ローラ19との間に転写紙を送り込み、転写紙上にカラー画像を2次転写する。転写後の転写紙は、定着装置20へと送り込まれ、定着装置20により熱と圧力とを加えて画像を定着した後排出される。一方、1次転写後の感光体1Y,M,C,Kは、それぞれのドラムクリーニング装置で残留トナーが除去され、その後除電され、次の作像に備える。また、2次転写後の中間転写ベルト18は、ベルトクリーニング装置10によって残留トナーが除去され、タンデム画像形成装置による再度の画像形成に備える。
【0084】
プロセスユニット6Y,M,C,Kのドラムクリーニング装置は、実施形態に係るプリンタのものと同様の構成を有しており、クリーニング電源からの出力値を感光体表面電位の検知結果に基づいて制御する。また、ベルトクリーニング装置10は、実施形態に係るプリンタのベルトクリーニング装置8と同様の構成を有しており、クリーニング電源からの出力値をベルト表面電位の検知結果に基づいて制御する。
【符号の説明】
【0085】
1:感光体(被清掃体)
4:ドラムクリーニング装置
41:極性制御ブレード(極性制御部材)
42:クリーニングブラシローラ(クリーニング部材)
46:表面電位センサ(表面電位検知手段)
201:クリーニング電源(電圧出力手段)
8:ベルトクリーニング装置
71:紙搬送ベルト(被清掃体)
81:極性制御ブレード(極性制御部材)
82:クリーニングブラシローラ(クリーニング部材)
86:表面電位センサ(表面電位検知手段)
209:クリーニング電源(電圧出力手段)
5:現像装置(現像手段)
7:転写ユニット(転写手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2004−212823号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃体の移動する表面に近接した状態で自らに極性制御電圧が印加されることで、前記表面上に付着しているトナーの極性を所定の極性に揃える極性制御部材と、
前記極性制御部材との対向位置を通過した後の前記被清掃体の表面に接触した状態で自らにクリーニング電圧が印加されることで、前記表面上のトナーを自らに転移させてクリーニングするクリーニング部材と、
前記極性制御電圧や前記クリーニング電圧を出力する電圧出力手段とを備えるクリーニング装置において、
前記対向位置を通過した後、前記クリーニング部材に接触する前の前記被清掃体の表面電位を検知する表面電位検知手段を設けるとともに、
該表面電位検知手段による検知結果に応じて、前記クリーニング電圧の出力値を変化させる処理を実行するように、前記電圧出力手段を構成したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
自らの表面にトナー像を担持する像担持体と、
前記表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記表面上のトナー像を転写体に転写する転写手段と、
前記転写手段による転写工程を経た後の前記表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを備える画像形成装置において、
前記クリーニング手段として、請求項1のクリーニング装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置であって、
前記トナー像形成手段に用いられるトナーの形状係数SF−1が、100〜150の範囲であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3の画像形成装置であって、
前記トナー像形成手段が、前記像担持体としての感光体と、前記感光体の表面上に形成された静電潜像を互いに異なる色のトナーによって現像する複数の現像手段とを具備するものであり、
且つ、前記転写手段が、前記感光体の表面上で互いに異なる色のトナーによって現像されたトナー像を転写体に重ね合わせて転写するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2又は3の画像形成装置において、
前記トナー像形成手段が、前記像担持体として複数の感光体を具備するとともに、それぞれの感光体に個別に対応して静電潜像を互いに異なる色に現像する複数の現像手段とを具備するものであり、
且つ、前記転写手段が、それぞれの感光体の表面に形成された互いに異なる色のトナー像を転写体に重ね合わせて転写するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れかの画像形成装置において、
前記像担持体として、粒子状物質を含有する表面保護層が形成されたものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項2乃至5の何れかの画像形成装置において、
前記像担持体として、充填材で補強された材料からなる表面層、架橋型電荷輸送材料からなる表面層、あるいは、充填材で補強された架橋型電荷輸送材料からなる表面層、を有する有機感光体を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項2乃至5の何れかの画像形成装置において、
前記像担持体として、アモルファスシリコン感光体を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
自らの表面にトナー像を担持する像担持体と、
前記表面上のトナー像を転写体に転写する転写手段による転写工程を経た後の前記表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とを共通の保持体で保持して1つのユニットとして画像形成装置本体に対して着脱可能に構成したプロセスユニットにおいて、
前記クリーニング手段として、請求項1のクリーニング装置を用いたことを特徴とするプロセスユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−59555(P2011−59555A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211502(P2009−211502)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】