クリープ物性試験方法、試験装置、および試験プログラム
【課題】 本発明は、従来のクリープ試験における各温度毎の複数の応力測定の繰り返しをなくし、効率的にクリープ物性値を決定する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
クリープ試験機における応力緩和過程から材料の物性値を求めるクリープ物性値測定装置であって、対象材料の試験片に対し荷重負荷及び温度条件を設定する条件設定手段と、前記クリープ試験機における前記試験片の変位を一定状態に保持する制御を行う変位制御手段と、前記試験片に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定手段と、データベースに格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に前記応力測定手段で得られた前記プロファイルの時間毎の応力データを代入し前記試験片の物性値を算出する物性値算出手段と、前記物性値算出ステップで得られた結果を出力する結果出力手段と、を有することを特徴とするクリープ物性値測定装置。
【解決手段】
クリープ試験機における応力緩和過程から材料の物性値を求めるクリープ物性値測定装置であって、対象材料の試験片に対し荷重負荷及び温度条件を設定する条件設定手段と、前記クリープ試験機における前記試験片の変位を一定状態に保持する制御を行う変位制御手段と、前記試験片に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定手段と、データベースに格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に前記応力測定手段で得られた前記プロファイルの時間毎の応力データを代入し前記試験片の物性値を算出する物性値算出手段と、前記物性値算出ステップで得られた結果を出力する結果出力手段と、を有することを特徴とするクリープ物性値測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造材料の機械的物性値を測定する方法およびその物性値を測定する計測装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、携帯電話等の電子機器には, ハンダをはじめとする各種接合材料、構造材料が多数種類用いられている。ハンダ材料や各種樹脂材料においては、顕著なクリープ変形を示すものがあり、これらの材料物性値のクリープ特性を設計段階において評価し、製品機能が使用期間中に十分得られるか否かを検証する必要がある。
【0003】
クリープ特性については、代表的な定式化としてNorton則による定常クリープ特性の定式化方法がある(例えば、非特許文献1参照)。通常、材料のクリープ特性は、図13に示すように、1次クリープ、2次クリープ、3次クリープの各領域に区分することができる。定常クリープの定式化は、2次クリープのクリープ特性を表現したもので、一定時間毎の歪み増分を一定としている。Norton則では、以下の(1)式のように単位時間あたりのクリープ歪み増分dεc/dtが応力σのn乗に比例するという形で定式化されている。
【0004】
【数1】
(1)式中のA、nは、材料固有の値を持ち、これらの値が各材料固有のクリープ物性値となる。また、このA、nの値は環境の温度によって変化するため、材料使用時に発生すると思われる代表的な各温度毎に測定する必要がある。製品を試作する以前に製品の品質や機能を評価する方法として有限要素法などのシミュレーションによる評価手法があるが、これらの評価を行う際にもクリープ等の代表的物性値は必須となる。
【0005】
クリープ物性値を計測する方法として従来行われてきた試験方法に、JIS−Z2272( 金属材料のクリープおよびクリープ破断試験方法)等に記載された定応力( 定荷重) クリープ試験法がある。本試験方法では、一定の規格寸法に従って作成された材料試験片( 図14参照) に対して、試験中常時一定温度におかれた環境において、一定応力を負荷し、その際に発生する試験片伸びを一定時間毎に測定し、一定時間に発生した試験片の伸びから試験片の歪みを(2)式にしたがって換算し、一定応力下における経過時間と歪み増加の関係を求める。
【0006】
【数2】
(2)式において、Δεは歪み増分、Δtは経過時間(=t1−t0)、t0は測定初期時間、t1は応力負荷後一定時間後のある時間を示し、l0、l1は各測定時間における試験片標点間距離を示す。定常クリープ試験の場合は、歪み速度は一定と考えられるので、任意の時間間隔で最低1回、(2)式によって歪み速度を計測すれば良い。
【0007】
(2)式はある一定温度、一定応力における単位時間の歪み増分値であるから、これを例えば図15に示すように、各代表温度毎に何種類かの応力において測定し、応力と単位時間の歪み増分の関係を両対数グラフ上にプロットする。このプロットを最小2 乗法等の誤差を最小とする近似手法により直線近似することにより、(1)式に示した物性値A、nを各温度毎に求めることができる。
【0008】
しかしながら、従来の試験方法では、各温度毎に最低でも数種類の応力で数回の試験を行う必要があり、試験回数が増加するという問題があった。また、1回の歪み増分の計測に必要とする時間は短いもので数時間から、長時間を要するものでは数ケ月かかるため、全試験を完了するには膨大な試験時間を必要とするといった問題があった。
【0009】
(1)式で示したNorton型の定常クリープ則の他に時間とともにクリープ歪み速度の変化する以下の(3)式で示すような時間硬化型クリープ則(例えば、非特許文献2参照)がある。
【0010】
【数3】
(3)式にしたがうような材料の場合、歪み速度は時間によって変化するため、図3のような応力と歪み速度のプロットから式中のパラメータA、n、mを決定することはできない。計測手順としては、上記の定常クリープ試験の場合と同様に一定応力を試料に負荷し、一定時間間隔毎に常時、クリープ歪み速度と経過時間の関係を図1のようにプロットする。これを複数の応力において繰り返すことによって応力、歪み速度、時間の相関表が得、これらのデータを対数変換して、ln(dεc/dt)をln(σ)、ln(t)で重回帰分析することによってパラメータA、n、mを決定することになる。
【0011】
しかしながら、この場合も各温度における測定を複数の応力で実施する必要があるため、試験回数が増加するという問題を抱えている。
【非特許文献1】”材料の科学と工学”、W.D.キャリスター著、培風館、2002年出版、pp116−117
【非特許文献2】”構造物のクリープ”、J.フルト著、培風館、1973年出版、pp36−37
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、従来のクリープ試験では、Norton型の定常クリープ則および時間硬化型クリープ則などのいずれの定式においても、各温度における複数の応力において測定を繰り返し実施する必要があり、材料のクリープ物性値を決定するには大変な労力を強いられてきた。そこで、本発明では、短時間で効率的にクリープ物性値を決定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一の発明は、クリープ試験機における応力緩和過程から材料の物性値を求めるクリープ物性値測定装置であって、対象材料の試験片に対し荷重負荷及び温度条件を設定する条件設定手段と、前記クリープ試験機における前記試験片の変位を一定状態に保持する制御を行う変位制御手段と、前記試験片に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定手段と、データベースに格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に前記応力測定手段で得られた前記プロファイルの時間毎の応力データを代入し前記試験片の物性値を算出する物性値算出手段と、前記物性値算出ステップで得られた結果を出力する結果出力手段と、を有することを特徴とするクリープ物性値測定装置に関する。
【0014】
つまり、第一の発明は、材料のNorton則による定常クリープ物性値または時間硬化型クリープ物性値を応力緩和過程の荷重履歴から計測する方法である。材料の応力緩和過程から各温度毎に一度の試験でクリープ物性値を求める方法を提案するものである。この応力緩和過程の荷重履歴に着眼して材料のクリープ物性値が算出される仕組みを以下にさらに述べる。
【0015】
従来のクリープ物性試験方法では、応力を一定として歪み増分変化を計算するのに対し、本発明の応力緩和試験では、これとは逆に、一定荷重負荷後に変位を一定(歪みを一定)に保持し、一定経過時間毎の応力変化(荷重変化)を計測する。そして、応力緩和試験では、例えば、図2に示すような経過時間と応力の変化に関するグラフが得られる。
【0016】
このような応力緩和試験実施過程においては、試験片の歪みを一定に保持しているので、単位時間における全歪み増分は、以下の(4)式に示すように0となる。ここで、全歪みdεは、(4)式で示すように弾性歪みdεe、塑性歪みdεp、クリープ歪みdεcの和として定義される。
【0017】
【数4】
塑性歪みは時間変化とともに変化しない非弾性歪みと定義されるため、初期荷重負荷時に応力によっては一定値をとる可能性があるが、応力緩和試験中は変化しない。このため、dεp/dt=0である。応力緩和試験時の応力を塑性歪みの発生しない降伏応力以下の値で行えば、初期から緩和試験中も含めて常時εp=0となる。
【0018】
したがって、(4)式から(5)式が得られる。また、弾性歪みεeは、フックの法則から(6)式が成り立つ。ここで、Eは材料のヤング率である。ヤング率は時間で変化しないと考えられるので、(6)式をさらに時間で微分すれば(7)式が得られる。
【0019】
【数5】
ここで、クリープ歪みεcは(1)式で表されるので(1)、(5)、(7)式から以下の(8)式が導かれる。
【0020】
【数6】
(8)式から両辺の自然対数をとると(9)式となり、応力σと−(dσ/dt)の両対数プロットによる近似直線の傾きaと切片bの値から定数A、nが(10)、(11)式から求められる(実施例にて後述)。なお、dσ/dtについては近似的に時間tnとtn−1時点の応力σn、σn−1から(12)式で求めるものとする。
【0021】
【数7】
また、(3)式で示すような時間硬化型クリープ則にしたがう材料に関しても、Norton型定常クリープ則の場合と同様に本手法により、パラメータを決定することができる。以下のように、(5)〜(7)式は時間硬化型クリープの場合も同様に成立する。ここで、クリープ歪みεcは、時間硬化型では(3)式で表されるので、(3)、(5)、(7)式から以下の(13)式が成り立つ。
【0022】
【数8】
以上、(13)式からさらに両辺の自然対数をとると(14)式が得られる。
【0023】
【数9】
この(14)式によって、応力σと−(dσ/dt)を両対数プロットした時の重回帰分析結果から定数A、n、mを求めることが可能となる。
【0024】
すなわち、第一の発明によれば、定常クリープ物性値は、応力測定手段によって得られた応力緩和過程のプロファイルのデータを(9)式に代入することによって算出され、また、時間硬化型クリープ物性値は、同様に(13)式に代入することによって算出が可能となる。本発明によって、各温度条件に対し一回で緩和過程の応力プロファイルが得られ、その応力データの適用により材料の物性値を求めることができ、従来のように複数の応力測定を繰り返す必要がなくなり、大幅に作業時間の短縮を図ることができる。
【0025】
第二の発明は、前記クリープ試験機は、試験片に荷重負荷を与える荷重負荷部と、前記荷重を計測するロードセルを直列に接続させた試験片を載せる試料台と、前記試料の変位を一定位置に保持する変位制御板とから構成されることを特徴とする上記第一の発明に記載のクリープ物性測定装置に関する。
【0026】
すなわち、第二の発明によれば、測定対象の試料片を一定位置に保持する変位制御板を基準位置に固定させ、かつ、試料片を載せる試料台に直列にバネなどを利用したロードセルを接続することによって一定荷重負荷後の微細な応力変化を捉えることが可能となり、本クリープ試験機の仕組みによって、試料片の応力緩和過程のプロファイルの測定が、簡便かつ高精度に実現できる。
【0027】
第三の発明は、前記クリープ試験機における前記試験片は、円筒状であることを特徴とする請求項1に記載のクリープ物性値測定装置に関する。
【0028】
すなわち、第三の発明によれば、測定に供する試験片は、従来のクリープ試験機で適用してきた複雑な形状に代わって、径と長さを規定する円筒状の試験片とすることによって、試験片の加工が極めて容易となる。
【発明の効果】
【0029】
上記した本発明によって以下の効果が生じる。
1)従来のクリープ試験方法による物性値の同定と較べて、極めて短時間で効率的にクリープ物性値を得ることが可能となる。
2)また、試験片は、図5で示すような簡易的試験が可能であり、図14のような作りにくい試験片の加工の必要がなくなる。
3)さらに、Norton型の定常クリープ則および時間硬化型クリープ則のいずれの定式においてもクリープ物性値の同定も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態になる本発明の実施の形態になるクリープ物性値測定システムの基本構成を示す。
【0032】
本発明のクリープ物性値測定システムは、クリープ物性値測定装置1と、一定温度環境の恒温槽0内に置かれ、試験片21への荷重に対する挙動を測定するクリープ試験機2とで構成される。
【0033】
また、クリープ物性値測定装置1は、クリープ試験機2の恒温槽0の温度設定および荷重負荷の条件を設定する条件設定部11、クリープ試験機2における試験片21の変位を一定状態に保持する制御を行う変位制御部12、試験片21に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定部13、データベース100に格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に応力測定部13によって得られた応力緩和過程の時間毎の応力データを代入して試験片21の物性値を算出する物性値算出部14、および各種のクリープ則による物性値計算式及び物性値算出部14で算出された物性値の結果をデータベース100に格納するクリープ則格納部15から構成されている。
【0034】
ここで、クリープ物性値測定装置1は、図示していないが、CPU(Central Processing Unit )、メモリ、補助記憶装置、および入出力装置を備えるコンピュータであり、上記各処理部を有するクリープ物性値測定プログラムは、補助記憶装置などに格納され、起動時にメモリに展開され、CPUによって実行される。
【0035】
また、当該プログラムは、図示していないが、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、ROM(Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、内蔵あるいは外部接続された媒体読取装置にセットし、起動時にメモリにロードすることによって実行可能な状態としてもよい。
【0036】
以下に、クリープ試験機2において、試験片21の応力緩和過程が測定される仕組みについて述べる。
<クリープ試験機の構造>
上記試験を実施するためには、荷重を負荷し、変位を一定に制御する装置と、保持時の荷重変化を計測する装置があれば良い。この目的のための試験機の構造としては、図3、4に示すような構造が考えられる。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態になるクリープ試験機における応力緩和測定の一構造例(圧縮加圧型−試験開始前の状態)を示す。また、図4は、本発明の実施の形態になるクリープ試験機における応力緩和測定の一構造例(圧縮加圧型−試験開始後の状態)を示す。図3に示すように、試験片21を荷重計測ロードセル上の試料台23に配置し、上部に変位制御のための変位制御板22を置く。実施例では、ロードセル24は、校正済みのバネの例で示してある。変位制御板22の下端と保持構造26上部にはU0の間隙を有するように試験片21の長さも含め、各部の寸法を調整する。
【0038】
そして図4に示すように、応力緩和試験開始時には、変位制御板22の上部に適切な荷重をもった重り27を負荷する。重り27の重量により試験片21は変位u、ロードセルは変位Uの変形をするが、変位制御板22が保持構造26により停止されるため、以下の(15)式に示したように、U0=U+uの変形をした状態で変位一定に制御される。ロードセル24の変位は変位計測器25から計測する。
【0039】
【数10】
ロードセル24に作用する荷重はロードセル24の変位から(16)式で計算できる。ここで、Kはロードセル24のバネ定数であり、Kの値は事前に校正して求められているものとする。
【0040】
【数11】
測定試料片21とロードセル24は直列構造であるから、試料片21に作用する荷重はロードセル24に作用する荷重に等しく、Fとなる。したがって試料片21に作用する応力σは以下の(17)から求められる。
【0041】
【数12】
ここでSは測定試料片21の断面積である。(16)、(17)式から応力を試験開始から任意の時点で計測することが可能となり、そこから(9)〜(12)式に基づいてNorton型のクリープ定数を求めることが可能となる。時間硬化型クリープ則にしたがう材料に関しても、同様に(14)式の重回帰分析結果からパラメータを計算することができる。なお、装置全体は温度を一定に保つため、適切な温度に維持可能な恒温槽0内に配置されているものとする。
[実施例1]
図5は、本発明の実施の形態になるクリープ試験機における試験片の形状例を示す。試験片21は、加圧圧縮に適するように、直径をD、高さをLとする円筒型を採用した。
【0042】
以下に、本発明の手法による実際の計測データから試料片21のクリープ物性値を同定した例を示す。
【0043】
図6は、本発明の実施の形態になる応力緩和の測定例を示す。実施例の応力緩和曲線は、ある金属材料の室温25℃における応力−Stress( MPa)の時間変化(hr)を表している。
【0044】
図7は、応力緩和曲線における応力の実測値を示す。実施例は、図6の応力緩和曲線から読み取った時間(hr)に対する応力(MPa)及びdσ/dt(MPa/hr)の実測値を示している。
【0045】
図8は、応力緩和試験における応力(σ)と−dσ/dtの対数プロットを示す。図8は、図7の本試験結果から得られた応力( σ) と−d σ/dt について対数プロットしたものである。
【0046】
上記対数プロット直線の回帰直線から、以下の(18)式が得られる。
【0047】
【数13】
(9)〜(11)式からクリープ指数n=10.602、クリープ定数A=1.82868x10-15 である。
【0048】
図9は、クリープ物性値の測定結果比較を示す。従来手法の定応力試験から得られた実測値と比較して値を表として示した。本発明の測定方法では、クリープ指数,クリープ定数Aは共に従来手法とほぼオーダ的に一致する結果が得られることが確認できた。
【0049】
図10は、本発明の実施の形態になるクリープ物性値算出の処理フロー(その1)を示す。本処理フローは、測定対象の材料のクリープ構成則が、上記してきたNorton型の定常クリープ則または時間硬化型クリープ則である場合における試料片21のクリープ物性値を求める算出処理のフローを示すものである。
【0050】
まず、ステップS11において、測定対象である試験片21のクリープ試験機2における恒温槽0の温度、荷重負荷などの測定条件を設定する。つぎに、ステップS12において、試験片21に荷重負荷をかけた後、変位を一定に保持した場合の試料片21の応力緩和の時間に対するプロファイルを測定する。ステップS13において、測定試料がNorton型であれば、ステップS13において、(9)式にしたがってクリープ物性値が算出される。また、測定試料が樹脂材などの時間硬化型であれば、ステップS15において、(14)式にしたがってクリープ物性値が算出される。
【0051】
そして、ステップS16において、クリープ物性値としてのパラメータA、n、mが決定される。
[実施例2]
<より複雑な構成式への対応>
クリープ構成則についてはNorton型より複雑な構成式として、双曲線型構成則(19)式などが提案されている(例えば、”結晶の高温塑性”、J.P.ポアリエ著、養賢堂、1980年出版、p42)。ここでは双曲線型構成則(19)式を例として、これらの複雑な構成則のパラメータを決定する方法を示す。
【0052】
【数14】
(19)式において、A、α、Q、nは未定定数であり、これらが求める材料物性値となる。また,式中のRはガス定数R=8.314J/(mol・K)であり, σは試験片の応力、Tは試験片の絶対温度を示す。また式中のヤング率Eについては別途計測するものとする。(19)式のような未知パラメータについては、変数変換を行っても簡単に線形近似できないため、線形最小2乗法でパラメータ値を同定することは困難である。
【0053】
そこで本案では近似多項式を用いて近似的にパラメータを推定する方法を提案する。以下に具体的手段を示す。
【0054】
図11は、本発明の実施の形態になるクリープ物性値算出の処理フローを示す。本フローは、双曲線型のクリープ構成則を適用した場合のクリープ物性値算出処理のフローを示している。
【0055】
まず、ステップS21において、測定試料の初期物性値を設定する。未知の材料物性値を持つ測定対象物に関しては、パラメータ既知の材料から類似材料を選択し、初期材料物性値を予測し、材料物性値初期値を初期予測値(A0,α0, Q0, n0)とする。
【0056】
つぎに、ステップS22において、測定対象物の初期予測物性値を基準として、各材料パラメータを+または−方向に何割( 例えば、5%〜100%)か変動させた水準値を何水準か設定する。例えば、A0の値が100の場合、±50%変動させた水準値50、100、150を設定する。同様に他の材料物性値についても予測物性値を基準として以下のように何水準か設定を行う。
物性値A:水準1=A1, 水準2=A2, 水準3=A3
物性値α:水準1=α1, 水準2=α2, 水準3=α3
物性値Q:水準1=Q1, 水準2=Q2,水準3=Q3 ・・・・・など
さらに、ステップS23において、実験計画法に基づいて各水準の組合せを決定する。このように設定した各水準の材料物性値を以下に示す方法により適切に組み合わせたパラメータサンプルがある場合、ステップS24において、各ケースについて、発生するクリープ歪み増分(dσc/dt)の計算を(18)式に基づいて実施する。例えば、材料の物性値が(A1,α2, Q1, n3など) の場合の計算をする。
【0057】
なお、変動幅は、経験的に材料物性値がその範囲に入ると予測される範囲を指定する。全く不明な場合には、一律、元物性値の何%かの変動(例えば、50%変動)を与える。そして、計算結果から推定されるサンプルクリープ歪み増分が、実験結果と一致しない場合は、パラメータ範囲の拡大、縮小を実施する。この範囲内で計算させる物性値間の組み合わせを何ケースどのような組み合わせで決定するかについては、後述する直交表に基づく実験計画法、全因子実験、CCD実験(Central Composite Design:中央複合計画)など、他の実験計画法によって必要回数を設定する。
【0058】
また、パラメータサンプリング点が適切に選択されなければ、精度の良い物性値は得られない。本発明では、複数の未知物性値がある場合の適切なサンプリング点を選択する方法として実験計画法を提案する。
【0059】
例えば、全因子実験計画法では、各未知物性値の推定される上限、下限を最初に設定する。例えば、未知パラメータがA、B、Cの3種類存在することを仮定し、その上限と下限をそれぞれ、(A1,Amax)、(B1,Bmax)、(C1,Cmax)とする。この上限と下限の間を適当な水準数で(n−1)、(m−1)、(p−1)分割し、その値を(A1,A2,A3,・・・,An), (B1,B2,B3,・・・,Bm), (C1,C2,C3,・・・,Cp)とする。この分割は等間隔に分割しても良いし、あるいはなんらかの関数関係にしたがって分割しても良い。
【0060】
さらに、全因子実験計画では、この得られた各変数の全ての組み合わせ計算を実施する。すなわち、(A1,B1,C1), ・・・,(An,Bm,Cp)の全ての組み合わせを実施する。したがって全計算数はn×m×p通りとなる。A、B、Cの水準数がそれぞれ3の場合は3×3×3=27通りの組み合わせの計算を実施することになる。全因子実験では、因子数と水準数が増加していった場合に、計算回数の組み合わせが急激に増加する。したがって、より効率的な実験計画法が必要である。
【0061】
一方、直交表を用いた実験計画法は変数の水準数などに制約条件が発生するが、より計算回数の少ない計算数で全ての因子の影響を調査することができる。例えば、A、B、Cの3因子を未知物性値として、その予測値として、(A1,A2,A3)、(B1,B2,B3)、(C1,C2,C3)の各3水準を設定したとする。この場合に全因子実験計画では3×3×3=27通りの計算が必要であるが、直交表を用いた実験計画法を用いれば、以下の9通りの計算を実施すれば良い。
【0062】
図12に直交表を用いた実験計画法の例を示している。A、B、C3通りの水準に対して9通りの組合せが、図のように示されている。
【0063】
そして、ステップS25において、測定した各温度、各応力でのクリープ歪み増分(dσc/dt)の実測値y0と、上記の実験計画に基づき計算した各計算ケースにおけるクリープ歪み増分計算結果yとの比較を行い、各計算ケースにおける実測と計算間の誤差(y−y0)を求める。誤差を2乗することで、各計算ケースにおける実測値との誤差2 乗値が求められる。
【0064】
さらにステップS26において、最小2乗法によって誤差を最小にする物性値パラメータの決定を行う。すなわち、計算した各計算ケースにおける材料物性値水準と求められた計算結果に基づいて実測値と各計算値との誤差2乗値と材料物性値間の最小2乗法による近似式を作成する。近似式は、以下の(20)式に示すような各材料物性値の多項式で行うことが可能となる。また、それ以外のより一般的な関数(三角関数、対数関数、指数関数など)を用いて表現することも出来る。
【0065】
【数15】
〔上式において、a1、a2、b1、b2等は最小2乗法等により決定される定数、また、A、α・・・は各材料物性〕
さらに、クリープ歪み増分計算値と実測値間の誤差2乗値を最小化する誤差最小化の原理に基づいて作成した近似式を用い、実測値との誤差を最小化する材料物性値の同定を行う。誤差2乗値を最小化する材料物性値の決定は、逐次2 次計画法などの汎用的な数理計画法のアルゴリズムを用いて行うか、その他、これに類する最適化アルゴリズム(遺伝的アルゴリズム、焼き鈍し法など)を用いておこなうことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態になるクリープ物性値測定システムの基本構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態になる応力緩和試験の計測グラフを示す。
【図3】本発明の実施の形態になるクリープ試験機における応力緩和測定の一構造例(圧縮加圧型−試験開始前の状態)を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態になるクリープ試験機における応力緩和測定の一構造例(圧縮加圧型−試験開始後の状態)を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態になるクリープ試験機における試験片の形状例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態になる応力緩和の測定例を示す図である。
【図7】応力緩和曲線における応力の実測値を示す図である。
【図8】応力緩和試験における応力(σ)と−dσ/dtの対数プロットを示す図である。
【図9】クリープ物性値の測定結果比較を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態になるクリープ物性値算出の処理フロー( その1) を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態になるクリープ物性値算出の処理フロー(その2)を示す図である。
【図12】直交表を用いた実験計画法の例を示す図である。
【図13】一般的な金属材料等のクリープ特性を示す図である。本発明の実施の形態になる文書開示の処理フローを示す図である。
【図14】従来のクリープ試験のための試験片の例を示す図である。
【図15】各温度における応力と単位時間ひずみ増分の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
0 恒温槽
1 クリープ物性値測定装置
2 クリープ試験機
11 条件設定部
12 変位制御部
13 応力測定部
14 物性値算出部
15 クリープ則核格納部
21 試料片
100 データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造材料の機械的物性値を測定する方法およびその物性値を測定する計測装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、携帯電話等の電子機器には, ハンダをはじめとする各種接合材料、構造材料が多数種類用いられている。ハンダ材料や各種樹脂材料においては、顕著なクリープ変形を示すものがあり、これらの材料物性値のクリープ特性を設計段階において評価し、製品機能が使用期間中に十分得られるか否かを検証する必要がある。
【0003】
クリープ特性については、代表的な定式化としてNorton則による定常クリープ特性の定式化方法がある(例えば、非特許文献1参照)。通常、材料のクリープ特性は、図13に示すように、1次クリープ、2次クリープ、3次クリープの各領域に区分することができる。定常クリープの定式化は、2次クリープのクリープ特性を表現したもので、一定時間毎の歪み増分を一定としている。Norton則では、以下の(1)式のように単位時間あたりのクリープ歪み増分dεc/dtが応力σのn乗に比例するという形で定式化されている。
【0004】
【数1】
(1)式中のA、nは、材料固有の値を持ち、これらの値が各材料固有のクリープ物性値となる。また、このA、nの値は環境の温度によって変化するため、材料使用時に発生すると思われる代表的な各温度毎に測定する必要がある。製品を試作する以前に製品の品質や機能を評価する方法として有限要素法などのシミュレーションによる評価手法があるが、これらの評価を行う際にもクリープ等の代表的物性値は必須となる。
【0005】
クリープ物性値を計測する方法として従来行われてきた試験方法に、JIS−Z2272( 金属材料のクリープおよびクリープ破断試験方法)等に記載された定応力( 定荷重) クリープ試験法がある。本試験方法では、一定の規格寸法に従って作成された材料試験片( 図14参照) に対して、試験中常時一定温度におかれた環境において、一定応力を負荷し、その際に発生する試験片伸びを一定時間毎に測定し、一定時間に発生した試験片の伸びから試験片の歪みを(2)式にしたがって換算し、一定応力下における経過時間と歪み増加の関係を求める。
【0006】
【数2】
(2)式において、Δεは歪み増分、Δtは経過時間(=t1−t0)、t0は測定初期時間、t1は応力負荷後一定時間後のある時間を示し、l0、l1は各測定時間における試験片標点間距離を示す。定常クリープ試験の場合は、歪み速度は一定と考えられるので、任意の時間間隔で最低1回、(2)式によって歪み速度を計測すれば良い。
【0007】
(2)式はある一定温度、一定応力における単位時間の歪み増分値であるから、これを例えば図15に示すように、各代表温度毎に何種類かの応力において測定し、応力と単位時間の歪み増分の関係を両対数グラフ上にプロットする。このプロットを最小2 乗法等の誤差を最小とする近似手法により直線近似することにより、(1)式に示した物性値A、nを各温度毎に求めることができる。
【0008】
しかしながら、従来の試験方法では、各温度毎に最低でも数種類の応力で数回の試験を行う必要があり、試験回数が増加するという問題があった。また、1回の歪み増分の計測に必要とする時間は短いもので数時間から、長時間を要するものでは数ケ月かかるため、全試験を完了するには膨大な試験時間を必要とするといった問題があった。
【0009】
(1)式で示したNorton型の定常クリープ則の他に時間とともにクリープ歪み速度の変化する以下の(3)式で示すような時間硬化型クリープ則(例えば、非特許文献2参照)がある。
【0010】
【数3】
(3)式にしたがうような材料の場合、歪み速度は時間によって変化するため、図3のような応力と歪み速度のプロットから式中のパラメータA、n、mを決定することはできない。計測手順としては、上記の定常クリープ試験の場合と同様に一定応力を試料に負荷し、一定時間間隔毎に常時、クリープ歪み速度と経過時間の関係を図1のようにプロットする。これを複数の応力において繰り返すことによって応力、歪み速度、時間の相関表が得、これらのデータを対数変換して、ln(dεc/dt)をln(σ)、ln(t)で重回帰分析することによってパラメータA、n、mを決定することになる。
【0011】
しかしながら、この場合も各温度における測定を複数の応力で実施する必要があるため、試験回数が増加するという問題を抱えている。
【非特許文献1】”材料の科学と工学”、W.D.キャリスター著、培風館、2002年出版、pp116−117
【非特許文献2】”構造物のクリープ”、J.フルト著、培風館、1973年出版、pp36−37
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、従来のクリープ試験では、Norton型の定常クリープ則および時間硬化型クリープ則などのいずれの定式においても、各温度における複数の応力において測定を繰り返し実施する必要があり、材料のクリープ物性値を決定するには大変な労力を強いられてきた。そこで、本発明では、短時間で効率的にクリープ物性値を決定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一の発明は、クリープ試験機における応力緩和過程から材料の物性値を求めるクリープ物性値測定装置であって、対象材料の試験片に対し荷重負荷及び温度条件を設定する条件設定手段と、前記クリープ試験機における前記試験片の変位を一定状態に保持する制御を行う変位制御手段と、前記試験片に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定手段と、データベースに格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に前記応力測定手段で得られた前記プロファイルの時間毎の応力データを代入し前記試験片の物性値を算出する物性値算出手段と、前記物性値算出ステップで得られた結果を出力する結果出力手段と、を有することを特徴とするクリープ物性値測定装置に関する。
【0014】
つまり、第一の発明は、材料のNorton則による定常クリープ物性値または時間硬化型クリープ物性値を応力緩和過程の荷重履歴から計測する方法である。材料の応力緩和過程から各温度毎に一度の試験でクリープ物性値を求める方法を提案するものである。この応力緩和過程の荷重履歴に着眼して材料のクリープ物性値が算出される仕組みを以下にさらに述べる。
【0015】
従来のクリープ物性試験方法では、応力を一定として歪み増分変化を計算するのに対し、本発明の応力緩和試験では、これとは逆に、一定荷重負荷後に変位を一定(歪みを一定)に保持し、一定経過時間毎の応力変化(荷重変化)を計測する。そして、応力緩和試験では、例えば、図2に示すような経過時間と応力の変化に関するグラフが得られる。
【0016】
このような応力緩和試験実施過程においては、試験片の歪みを一定に保持しているので、単位時間における全歪み増分は、以下の(4)式に示すように0となる。ここで、全歪みdεは、(4)式で示すように弾性歪みdεe、塑性歪みdεp、クリープ歪みdεcの和として定義される。
【0017】
【数4】
塑性歪みは時間変化とともに変化しない非弾性歪みと定義されるため、初期荷重負荷時に応力によっては一定値をとる可能性があるが、応力緩和試験中は変化しない。このため、dεp/dt=0である。応力緩和試験時の応力を塑性歪みの発生しない降伏応力以下の値で行えば、初期から緩和試験中も含めて常時εp=0となる。
【0018】
したがって、(4)式から(5)式が得られる。また、弾性歪みεeは、フックの法則から(6)式が成り立つ。ここで、Eは材料のヤング率である。ヤング率は時間で変化しないと考えられるので、(6)式をさらに時間で微分すれば(7)式が得られる。
【0019】
【数5】
ここで、クリープ歪みεcは(1)式で表されるので(1)、(5)、(7)式から以下の(8)式が導かれる。
【0020】
【数6】
(8)式から両辺の自然対数をとると(9)式となり、応力σと−(dσ/dt)の両対数プロットによる近似直線の傾きaと切片bの値から定数A、nが(10)、(11)式から求められる(実施例にて後述)。なお、dσ/dtについては近似的に時間tnとtn−1時点の応力σn、σn−1から(12)式で求めるものとする。
【0021】
【数7】
また、(3)式で示すような時間硬化型クリープ則にしたがう材料に関しても、Norton型定常クリープ則の場合と同様に本手法により、パラメータを決定することができる。以下のように、(5)〜(7)式は時間硬化型クリープの場合も同様に成立する。ここで、クリープ歪みεcは、時間硬化型では(3)式で表されるので、(3)、(5)、(7)式から以下の(13)式が成り立つ。
【0022】
【数8】
以上、(13)式からさらに両辺の自然対数をとると(14)式が得られる。
【0023】
【数9】
この(14)式によって、応力σと−(dσ/dt)を両対数プロットした時の重回帰分析結果から定数A、n、mを求めることが可能となる。
【0024】
すなわち、第一の発明によれば、定常クリープ物性値は、応力測定手段によって得られた応力緩和過程のプロファイルのデータを(9)式に代入することによって算出され、また、時間硬化型クリープ物性値は、同様に(13)式に代入することによって算出が可能となる。本発明によって、各温度条件に対し一回で緩和過程の応力プロファイルが得られ、その応力データの適用により材料の物性値を求めることができ、従来のように複数の応力測定を繰り返す必要がなくなり、大幅に作業時間の短縮を図ることができる。
【0025】
第二の発明は、前記クリープ試験機は、試験片に荷重負荷を与える荷重負荷部と、前記荷重を計測するロードセルを直列に接続させた試験片を載せる試料台と、前記試料の変位を一定位置に保持する変位制御板とから構成されることを特徴とする上記第一の発明に記載のクリープ物性測定装置に関する。
【0026】
すなわち、第二の発明によれば、測定対象の試料片を一定位置に保持する変位制御板を基準位置に固定させ、かつ、試料片を載せる試料台に直列にバネなどを利用したロードセルを接続することによって一定荷重負荷後の微細な応力変化を捉えることが可能となり、本クリープ試験機の仕組みによって、試料片の応力緩和過程のプロファイルの測定が、簡便かつ高精度に実現できる。
【0027】
第三の発明は、前記クリープ試験機における前記試験片は、円筒状であることを特徴とする請求項1に記載のクリープ物性値測定装置に関する。
【0028】
すなわち、第三の発明によれば、測定に供する試験片は、従来のクリープ試験機で適用してきた複雑な形状に代わって、径と長さを規定する円筒状の試験片とすることによって、試験片の加工が極めて容易となる。
【発明の効果】
【0029】
上記した本発明によって以下の効果が生じる。
1)従来のクリープ試験方法による物性値の同定と較べて、極めて短時間で効率的にクリープ物性値を得ることが可能となる。
2)また、試験片は、図5で示すような簡易的試験が可能であり、図14のような作りにくい試験片の加工の必要がなくなる。
3)さらに、Norton型の定常クリープ則および時間硬化型クリープ則のいずれの定式においてもクリープ物性値の同定も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態になる本発明の実施の形態になるクリープ物性値測定システムの基本構成を示す。
【0032】
本発明のクリープ物性値測定システムは、クリープ物性値測定装置1と、一定温度環境の恒温槽0内に置かれ、試験片21への荷重に対する挙動を測定するクリープ試験機2とで構成される。
【0033】
また、クリープ物性値測定装置1は、クリープ試験機2の恒温槽0の温度設定および荷重負荷の条件を設定する条件設定部11、クリープ試験機2における試験片21の変位を一定状態に保持する制御を行う変位制御部12、試験片21に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定部13、データベース100に格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に応力測定部13によって得られた応力緩和過程の時間毎の応力データを代入して試験片21の物性値を算出する物性値算出部14、および各種のクリープ則による物性値計算式及び物性値算出部14で算出された物性値の結果をデータベース100に格納するクリープ則格納部15から構成されている。
【0034】
ここで、クリープ物性値測定装置1は、図示していないが、CPU(Central Processing Unit )、メモリ、補助記憶装置、および入出力装置を備えるコンピュータであり、上記各処理部を有するクリープ物性値測定プログラムは、補助記憶装置などに格納され、起動時にメモリに展開され、CPUによって実行される。
【0035】
また、当該プログラムは、図示していないが、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、ROM(Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、内蔵あるいは外部接続された媒体読取装置にセットし、起動時にメモリにロードすることによって実行可能な状態としてもよい。
【0036】
以下に、クリープ試験機2において、試験片21の応力緩和過程が測定される仕組みについて述べる。
<クリープ試験機の構造>
上記試験を実施するためには、荷重を負荷し、変位を一定に制御する装置と、保持時の荷重変化を計測する装置があれば良い。この目的のための試験機の構造としては、図3、4に示すような構造が考えられる。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態になるクリープ試験機における応力緩和測定の一構造例(圧縮加圧型−試験開始前の状態)を示す。また、図4は、本発明の実施の形態になるクリープ試験機における応力緩和測定の一構造例(圧縮加圧型−試験開始後の状態)を示す。図3に示すように、試験片21を荷重計測ロードセル上の試料台23に配置し、上部に変位制御のための変位制御板22を置く。実施例では、ロードセル24は、校正済みのバネの例で示してある。変位制御板22の下端と保持構造26上部にはU0の間隙を有するように試験片21の長さも含め、各部の寸法を調整する。
【0038】
そして図4に示すように、応力緩和試験開始時には、変位制御板22の上部に適切な荷重をもった重り27を負荷する。重り27の重量により試験片21は変位u、ロードセルは変位Uの変形をするが、変位制御板22が保持構造26により停止されるため、以下の(15)式に示したように、U0=U+uの変形をした状態で変位一定に制御される。ロードセル24の変位は変位計測器25から計測する。
【0039】
【数10】
ロードセル24に作用する荷重はロードセル24の変位から(16)式で計算できる。ここで、Kはロードセル24のバネ定数であり、Kの値は事前に校正して求められているものとする。
【0040】
【数11】
測定試料片21とロードセル24は直列構造であるから、試料片21に作用する荷重はロードセル24に作用する荷重に等しく、Fとなる。したがって試料片21に作用する応力σは以下の(17)から求められる。
【0041】
【数12】
ここでSは測定試料片21の断面積である。(16)、(17)式から応力を試験開始から任意の時点で計測することが可能となり、そこから(9)〜(12)式に基づいてNorton型のクリープ定数を求めることが可能となる。時間硬化型クリープ則にしたがう材料に関しても、同様に(14)式の重回帰分析結果からパラメータを計算することができる。なお、装置全体は温度を一定に保つため、適切な温度に維持可能な恒温槽0内に配置されているものとする。
[実施例1]
図5は、本発明の実施の形態になるクリープ試験機における試験片の形状例を示す。試験片21は、加圧圧縮に適するように、直径をD、高さをLとする円筒型を採用した。
【0042】
以下に、本発明の手法による実際の計測データから試料片21のクリープ物性値を同定した例を示す。
【0043】
図6は、本発明の実施の形態になる応力緩和の測定例を示す。実施例の応力緩和曲線は、ある金属材料の室温25℃における応力−Stress( MPa)の時間変化(hr)を表している。
【0044】
図7は、応力緩和曲線における応力の実測値を示す。実施例は、図6の応力緩和曲線から読み取った時間(hr)に対する応力(MPa)及びdσ/dt(MPa/hr)の実測値を示している。
【0045】
図8は、応力緩和試験における応力(σ)と−dσ/dtの対数プロットを示す。図8は、図7の本試験結果から得られた応力( σ) と−d σ/dt について対数プロットしたものである。
【0046】
上記対数プロット直線の回帰直線から、以下の(18)式が得られる。
【0047】
【数13】
(9)〜(11)式からクリープ指数n=10.602、クリープ定数A=1.82868x10-15 である。
【0048】
図9は、クリープ物性値の測定結果比較を示す。従来手法の定応力試験から得られた実測値と比較して値を表として示した。本発明の測定方法では、クリープ指数,クリープ定数Aは共に従来手法とほぼオーダ的に一致する結果が得られることが確認できた。
【0049】
図10は、本発明の実施の形態になるクリープ物性値算出の処理フロー(その1)を示す。本処理フローは、測定対象の材料のクリープ構成則が、上記してきたNorton型の定常クリープ則または時間硬化型クリープ則である場合における試料片21のクリープ物性値を求める算出処理のフローを示すものである。
【0050】
まず、ステップS11において、測定対象である試験片21のクリープ試験機2における恒温槽0の温度、荷重負荷などの測定条件を設定する。つぎに、ステップS12において、試験片21に荷重負荷をかけた後、変位を一定に保持した場合の試料片21の応力緩和の時間に対するプロファイルを測定する。ステップS13において、測定試料がNorton型であれば、ステップS13において、(9)式にしたがってクリープ物性値が算出される。また、測定試料が樹脂材などの時間硬化型であれば、ステップS15において、(14)式にしたがってクリープ物性値が算出される。
【0051】
そして、ステップS16において、クリープ物性値としてのパラメータA、n、mが決定される。
[実施例2]
<より複雑な構成式への対応>
クリープ構成則についてはNorton型より複雑な構成式として、双曲線型構成則(19)式などが提案されている(例えば、”結晶の高温塑性”、J.P.ポアリエ著、養賢堂、1980年出版、p42)。ここでは双曲線型構成則(19)式を例として、これらの複雑な構成則のパラメータを決定する方法を示す。
【0052】
【数14】
(19)式において、A、α、Q、nは未定定数であり、これらが求める材料物性値となる。また,式中のRはガス定数R=8.314J/(mol・K)であり, σは試験片の応力、Tは試験片の絶対温度を示す。また式中のヤング率Eについては別途計測するものとする。(19)式のような未知パラメータについては、変数変換を行っても簡単に線形近似できないため、線形最小2乗法でパラメータ値を同定することは困難である。
【0053】
そこで本案では近似多項式を用いて近似的にパラメータを推定する方法を提案する。以下に具体的手段を示す。
【0054】
図11は、本発明の実施の形態になるクリープ物性値算出の処理フローを示す。本フローは、双曲線型のクリープ構成則を適用した場合のクリープ物性値算出処理のフローを示している。
【0055】
まず、ステップS21において、測定試料の初期物性値を設定する。未知の材料物性値を持つ測定対象物に関しては、パラメータ既知の材料から類似材料を選択し、初期材料物性値を予測し、材料物性値初期値を初期予測値(A0,α0, Q0, n0)とする。
【0056】
つぎに、ステップS22において、測定対象物の初期予測物性値を基準として、各材料パラメータを+または−方向に何割( 例えば、5%〜100%)か変動させた水準値を何水準か設定する。例えば、A0の値が100の場合、±50%変動させた水準値50、100、150を設定する。同様に他の材料物性値についても予測物性値を基準として以下のように何水準か設定を行う。
物性値A:水準1=A1, 水準2=A2, 水準3=A3
物性値α:水準1=α1, 水準2=α2, 水準3=α3
物性値Q:水準1=Q1, 水準2=Q2,水準3=Q3 ・・・・・など
さらに、ステップS23において、実験計画法に基づいて各水準の組合せを決定する。このように設定した各水準の材料物性値を以下に示す方法により適切に組み合わせたパラメータサンプルがある場合、ステップS24において、各ケースについて、発生するクリープ歪み増分(dσc/dt)の計算を(18)式に基づいて実施する。例えば、材料の物性値が(A1,α2, Q1, n3など) の場合の計算をする。
【0057】
なお、変動幅は、経験的に材料物性値がその範囲に入ると予測される範囲を指定する。全く不明な場合には、一律、元物性値の何%かの変動(例えば、50%変動)を与える。そして、計算結果から推定されるサンプルクリープ歪み増分が、実験結果と一致しない場合は、パラメータ範囲の拡大、縮小を実施する。この範囲内で計算させる物性値間の組み合わせを何ケースどのような組み合わせで決定するかについては、後述する直交表に基づく実験計画法、全因子実験、CCD実験(Central Composite Design:中央複合計画)など、他の実験計画法によって必要回数を設定する。
【0058】
また、パラメータサンプリング点が適切に選択されなければ、精度の良い物性値は得られない。本発明では、複数の未知物性値がある場合の適切なサンプリング点を選択する方法として実験計画法を提案する。
【0059】
例えば、全因子実験計画法では、各未知物性値の推定される上限、下限を最初に設定する。例えば、未知パラメータがA、B、Cの3種類存在することを仮定し、その上限と下限をそれぞれ、(A1,Amax)、(B1,Bmax)、(C1,Cmax)とする。この上限と下限の間を適当な水準数で(n−1)、(m−1)、(p−1)分割し、その値を(A1,A2,A3,・・・,An), (B1,B2,B3,・・・,Bm), (C1,C2,C3,・・・,Cp)とする。この分割は等間隔に分割しても良いし、あるいはなんらかの関数関係にしたがって分割しても良い。
【0060】
さらに、全因子実験計画では、この得られた各変数の全ての組み合わせ計算を実施する。すなわち、(A1,B1,C1), ・・・,(An,Bm,Cp)の全ての組み合わせを実施する。したがって全計算数はn×m×p通りとなる。A、B、Cの水準数がそれぞれ3の場合は3×3×3=27通りの組み合わせの計算を実施することになる。全因子実験では、因子数と水準数が増加していった場合に、計算回数の組み合わせが急激に増加する。したがって、より効率的な実験計画法が必要である。
【0061】
一方、直交表を用いた実験計画法は変数の水準数などに制約条件が発生するが、より計算回数の少ない計算数で全ての因子の影響を調査することができる。例えば、A、B、Cの3因子を未知物性値として、その予測値として、(A1,A2,A3)、(B1,B2,B3)、(C1,C2,C3)の各3水準を設定したとする。この場合に全因子実験計画では3×3×3=27通りの計算が必要であるが、直交表を用いた実験計画法を用いれば、以下の9通りの計算を実施すれば良い。
【0062】
図12に直交表を用いた実験計画法の例を示している。A、B、C3通りの水準に対して9通りの組合せが、図のように示されている。
【0063】
そして、ステップS25において、測定した各温度、各応力でのクリープ歪み増分(dσc/dt)の実測値y0と、上記の実験計画に基づき計算した各計算ケースにおけるクリープ歪み増分計算結果yとの比較を行い、各計算ケースにおける実測と計算間の誤差(y−y0)を求める。誤差を2乗することで、各計算ケースにおける実測値との誤差2 乗値が求められる。
【0064】
さらにステップS26において、最小2乗法によって誤差を最小にする物性値パラメータの決定を行う。すなわち、計算した各計算ケースにおける材料物性値水準と求められた計算結果に基づいて実測値と各計算値との誤差2乗値と材料物性値間の最小2乗法による近似式を作成する。近似式は、以下の(20)式に示すような各材料物性値の多項式で行うことが可能となる。また、それ以外のより一般的な関数(三角関数、対数関数、指数関数など)を用いて表現することも出来る。
【0065】
【数15】
〔上式において、a1、a2、b1、b2等は最小2乗法等により決定される定数、また、A、α・・・は各材料物性〕
さらに、クリープ歪み増分計算値と実測値間の誤差2乗値を最小化する誤差最小化の原理に基づいて作成した近似式を用い、実測値との誤差を最小化する材料物性値の同定を行う。誤差2乗値を最小化する材料物性値の決定は、逐次2 次計画法などの汎用的な数理計画法のアルゴリズムを用いて行うか、その他、これに類する最適化アルゴリズム(遺伝的アルゴリズム、焼き鈍し法など)を用いておこなうことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態になるクリープ物性値測定システムの基本構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態になる応力緩和試験の計測グラフを示す。
【図3】本発明の実施の形態になるクリープ試験機における応力緩和測定の一構造例(圧縮加圧型−試験開始前の状態)を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態になるクリープ試験機における応力緩和測定の一構造例(圧縮加圧型−試験開始後の状態)を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態になるクリープ試験機における試験片の形状例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態になる応力緩和の測定例を示す図である。
【図7】応力緩和曲線における応力の実測値を示す図である。
【図8】応力緩和試験における応力(σ)と−dσ/dtの対数プロットを示す図である。
【図9】クリープ物性値の測定結果比較を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態になるクリープ物性値算出の処理フロー( その1) を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態になるクリープ物性値算出の処理フロー(その2)を示す図である。
【図12】直交表を用いた実験計画法の例を示す図である。
【図13】一般的な金属材料等のクリープ特性を示す図である。本発明の実施の形態になる文書開示の処理フローを示す図である。
【図14】従来のクリープ試験のための試験片の例を示す図である。
【図15】各温度における応力と単位時間ひずみ増分の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
0 恒温槽
1 クリープ物性値測定装置
2 クリープ試験機
11 条件設定部
12 変位制御部
13 応力測定部
14 物性値算出部
15 クリープ則核格納部
21 試料片
100 データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリープ試験機における応力緩和過程から材料の物性値を求めるクリープ物性値測定装置であって、
対象材料の試験片に対し荷重負荷及び温度条件を設定する条件設定手段と、
前記クリープ試験機における前記試験片の変位を一定状態に保持する制御を行う変位制御手段と、
前記試験片に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定手段と、
データベースに格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に前記応力測定手段で得られた前記プロファイルの時間毎の応力データを代入し前記試験片の物性値を算出する物性値算出手段と、
前記物性値算出ステップで得られた結果を出力する結果出力手段と、
を有することを特徴とするクリープ物性値測定装置。
【請求項2】
前記クリープ試験機は、試験片に荷重負荷を与える荷重負荷部と、前記荷重を計測するロードセルを直列に接続させた試験片を載せる試料台と、前記試料の変位を一定位置に保持する変位制御板とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のクリープ物性測定装置。
【請求項3】
前記クリープ試験機における前記試験片は、円筒状であることを特徴とする請求項1に記載のクリープ物性値測定装置。
【請求項4】
クリープ試験機における応力緩和過程から材料の物性値を求めるクリープ物性値測定方法であって、
対象材料の試験片に対し荷重負荷及び温度条件を設定する条件設定ステップと、
前記試験片の変位を一定状態に保持する変位制御ステップと、
前記試験片に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定ステップと、
データベースに格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に前記応力測定ステップで得られた前記プロファイルの時間毎の応力データを代入し前記試験片の物性値を算出する物性値算出ステップと、
前記物性値算出ステップで得られた結果を出力する結果出力ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするクリープ物性値測定方法。
【請求項5】
クリープ試験機における応力緩和過程から材料の物性値を求めるクリープ物性値測定プログラムであって、
コンピュータに、
対象材料の試験片に対し荷重負荷及び温度条件を設定する条件設定ステップと、
前記試験片の変位を一定状態に保持する変位制御ステップと、
前記試験片に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定ステップと、
データベースに格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に前記応力測定ステップで得られた前記プロファイルの時間毎の応力データを代入し前記試験片の物性値を算出する物性値算出ステップと、
前記物性値算出ステップで得られた結果を出力する結果出力ステップと、
を実行させるクリープ物性値測定プログラム。
【請求項1】
クリープ試験機における応力緩和過程から材料の物性値を求めるクリープ物性値測定装置であって、
対象材料の試験片に対し荷重負荷及び温度条件を設定する条件設定手段と、
前記クリープ試験機における前記試験片の変位を一定状態に保持する制御を行う変位制御手段と、
前記試験片に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定手段と、
データベースに格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に前記応力測定手段で得られた前記プロファイルの時間毎の応力データを代入し前記試験片の物性値を算出する物性値算出手段と、
前記物性値算出ステップで得られた結果を出力する結果出力手段と、
を有することを特徴とするクリープ物性値測定装置。
【請求項2】
前記クリープ試験機は、試験片に荷重負荷を与える荷重負荷部と、前記荷重を計測するロードセルを直列に接続させた試験片を載せる試料台と、前記試料の変位を一定位置に保持する変位制御板とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のクリープ物性測定装置。
【請求項3】
前記クリープ試験機における前記試験片は、円筒状であることを特徴とする請求項1に記載のクリープ物性値測定装置。
【請求項4】
クリープ試験機における応力緩和過程から材料の物性値を求めるクリープ物性値測定方法であって、
対象材料の試験片に対し荷重負荷及び温度条件を設定する条件設定ステップと、
前記試験片の変位を一定状態に保持する変位制御ステップと、
前記試験片に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定ステップと、
データベースに格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に前記応力測定ステップで得られた前記プロファイルの時間毎の応力データを代入し前記試験片の物性値を算出する物性値算出ステップと、
前記物性値算出ステップで得られた結果を出力する結果出力ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするクリープ物性値測定方法。
【請求項5】
クリープ試験機における応力緩和過程から材料の物性値を求めるクリープ物性値測定プログラムであって、
コンピュータに、
対象材料の試験片に対し荷重負荷及び温度条件を設定する条件設定ステップと、
前記試験片の変位を一定状態に保持する変位制御ステップと、
前記試験片に荷重負荷をかけた後に刻々変化する応力の緩和過程のプロファイルを測定する応力測定ステップと、
データベースに格納されている物性値計算式をメモリに展開し、前記物性値計算式に前記応力測定ステップで得られた前記プロファイルの時間毎の応力データを代入し前記試験片の物性値を算出する物性値算出ステップと、
前記物性値算出ステップで得られた結果を出力する結果出力ステップと、
を実行させるクリープ物性値測定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−85778(P2007−85778A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272257(P2005−272257)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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