クレーンの伸縮マスト落下防止機構
【課題】伸縮途中のマストの落下を防止することができるクレーンの伸縮マスト落下防止機構を提供する。
【解決手段】上下方向に延在する筒状の下部マスト1と、この下部マスト1に対して伸縮自在に挿入され、下部マスト1とともに伸縮式のマスト機構を構成する上部マスト2とを備えるクレーンの伸縮マストの落下防止機構100であって、下部マスト1の頂部1aに設けられたベース12と、ベース12から下部マスト1の内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキ14と、ベース12に固定され、カンヌキ14の移動を案内するガイドと、カンヌキ14とガイドとの間に介装され、カンヌキ14を下部マスト1の内部に向かう方向に付勢する弾性部材と、上部マスト2の外周に設けられ、ベース12から出されたカンヌキ14の端部に係止するカンヌキ受け18とから構成するようにした。
【解決手段】上下方向に延在する筒状の下部マスト1と、この下部マスト1に対して伸縮自在に挿入され、下部マスト1とともに伸縮式のマスト機構を構成する上部マスト2とを備えるクレーンの伸縮マストの落下防止機構100であって、下部マスト1の頂部1aに設けられたベース12と、ベース12から下部マスト1の内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキ14と、ベース12に固定され、カンヌキ14の移動を案内するガイドと、カンヌキ14とガイドとの間に介装され、カンヌキ14を下部マスト1の内部に向かう方向に付勢する弾性部材と、上部マスト2の外周に設けられ、ベース12から出されたカンヌキ14の端部に係止するカンヌキ受け18とから構成するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段伸縮式のマストを備えるクレーンの伸縮マスト落下防止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の型枠工事等においては、多段伸縮式のマストを備えたフロアクレーンを使用している。図10(1)に示すように、梁型枠を地組みして取り付ける場合には、階高に相応した揚程までマストを伸張する。そして、梁型枠を取り付けた後は、図10(2)、(3)に示すように、マストを縮小して梁底の下を通過できる高さにクレーンを折り畳み、次の施工位置まで走行する。
【0003】
ここで、伸縮式のマストは、図11に示すように、多段に配置した筒状のマスト1〜4からなる。最下段のマスト1内にはマスト2が収納され、マスト2内にはマスト3が収納され、マスト3内にはマスト4が収納されるようになっている。
【0004】
最下段のマスト1に設けた伸縮用ウインチ5にはワイヤ6aが巻回してあり、ワイヤ6aの一端側は、マスト1の頂部1aに設けたシーブ7aとマスト2の下部に設けたシーブ7bとに巻き掛けられた上でマスト1に固定されている。ウインチ5でワイヤ6aを巻き取ると、マスト2の下部シーブ7bが持ち上げられて、マスト2がマスト1内から上昇する。
【0005】
また、ワイヤ6bはその両端がマスト1の頂部1aに固定され、マスト2の頂部シーブ7cとマスト3の下部シーブ7dとに巻き掛けられており、マスト3はマスト2の上昇に合わせて同時に上昇するようになっている。同様な機構により、マスト4もワイヤ6cを介してマスト3に接続してあり、マスト3の上昇に合わせて同時に上昇する。
【0006】
一方、図12および図13に示すように、伸縮マストの落下防止機構として、マスト1の上側にカンヌキ挿入用の貫通穴8が設けてあり、マスト2が上昇しきった状態でこの貫通穴8にカンヌキ9を挿入することによりマスト2の下端を支えるようにしている。こうすることで、マスト2を上昇させてクレーン作業をする際に、ワイヤ6aが切断してマスト2が落下することを防止している。
【0007】
なお、本発明者は、こうした多段伸縮式のマストを備えたクレーンに関し、既に特願2010−128243に示す高揚程かつ軽量なクレーン装置を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の従来の伸縮マスト落下防止機構では、マスト2が完全に伸びきらないとカンヌキ9を貫通穴8に挿入することはできない。このため、伸縮途中のマスト2の落下を防止することが難しい。
【0009】
そこで、伸縮途中のマスト2の支持を可能とするために、図14に示すように、最下段のマスト1に高さを変えて複数の貫通穴8を設けることが考えられる。しかし、こうした貫通式のカンヌキの場合には、マスト1内部のマスト2が貫通穴8をかわした高さまで上昇しなければカンヌキ9を挿入できず、融通性に欠ける。
【0010】
また、マスト2はカンヌキ9で支持されるため、ワイヤ6a(図11参照)が切れても落下することはないが、マスト3とマスト4はそれぞれワイヤ6b、6c(図11参照)が切れると落下してしまう。このため、個々のマストの落下を防止できないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、伸縮途中のマストの落下を防止することができるクレーンの伸縮マスト落下防止機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、上下方向に延在する筒状の下部マストと、この下部マストに対して伸縮自在に挿入され、下部マストとともに伸縮式のマスト機構を構成する上部マストとを備えるクレーンの伸縮マストの落下防止機構であって、下部マストの頂部に設けられたベースと、前記ベースから下部マストの内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキと、前記ベースに固定され、前記カンヌキの移動を案内するガイドと、前記カンヌキと前記ガイドとの間に介装され、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢する弾性部材と、上部マストの外周に設けられ、前記ベースから出された前記カンヌキの端部に係止するカンヌキ受けとから構成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、上述した請求項1において、前記ガイドは、前記カンヌキを通すための穴をそれぞれ有し、前記ベース上に配置した第一ガイドと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに近い側に配置した第二ガイドと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに遠い側に配置した第三ガイドとからなり、前記カンヌキは、前記カンヌキ受けに近い側の外周に突設され、第一ガイドと第二ガイドとの間に位置して前記穴に挿通不能なツバと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに遠い側の外周に突設され、第三ガイドに設けた溝を通過可能なピンとを有し、前記弾性部材は、前記ツバと第一ガイドの間の前記カンヌキの外周に組み付けられ、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢するコイル状スプリングからなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、上述した請求項1または2において、前記カンヌキ受けを、上部マストの外周の高さ方向複数箇所に設けたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記ベースからの前記カンヌキの出没を検出し、この検出に基づいて上部マストの下降動作を停止するインターロック機構を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、上述した請求項1〜4のいずれか一つにおいて、前記伸縮式のマスト機構は、筒状の上部マストに対して伸縮自在に挿入される第三のマストを含んで構成され、一方側が下部マストに連結され、他方側が上部マストの頂部に設けたシーブを介して第三のマストの下部に連結される連結索を少なくとも2本有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上下方向に延在する筒状の下部マストと、この下部マストに対して伸縮自在に挿入され、下部マストとともに伸縮式のマスト機構を構成する上部マストとを備えるクレーンの伸縮マストの落下防止機構であって、下部マストの頂部に設けられたベースと、前記ベースから下部マストの内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキと、前記ベースに固定され、前記カンヌキの移動を案内するガイドと、前記カンヌキと前記ガイドとの間に介装され、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢する弾性部材と、上部マストの外周に設けられ、前記ベースから出された前記カンヌキの端部に係止するカンヌキ受けとから構成されるので、カンヌキ受けを上部マスト外周の任意の高さ位置に設け、上昇途中の上部マストのカンヌキ受けを下部マスト頂部のカンヌキ端部に係止するようにすれば、上部マストの重量を下部マストで支持することができる。したがって、伸縮途中のマストの落下を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構の実施例を示す概略側面図である。
【図2】図2は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構の概略上面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線に沿った側面図である。
【図4】図4は、図3のB−B線に沿った側面図である。
【図5】図5は、カンヌキ受けの側面図である。
【図6】図6は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構のカンヌキ未作動時の状態を示す概略側面図である。
【図7】図7は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構のカンヌキ未作動時の状態を示す概略上面図である。
【図8】図8は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構のカンヌキの動作を説明する図である。
【図9】図9は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構の他の実施例を示す断面図である。
【図10】図10は、従来のクレーンの変形態様の一例を示す図である。
【図11】図11は、従来のクレーンの多段伸縮式のマストを示す断面図である。
【図12】図12は、従来の貫通式のカンヌキによるマスト落下防止機構の側面図である。
【図13】図13は、従来の貫通式のカンヌキによるマスト落下防止機構の断面図である。
【図14】図14は、従来の貫通式のカンヌキを複数設けた場合のマストの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
図1に示すように、クレーンのマスト機構10は、上下方向に延在する筒状の最下段のマスト1(下部マスト)と、マスト1に対して伸縮自在に挿入されるマスト2(上部マスト)とから構成される。このマスト機構10は、マスト2に対して伸縮自在に挿入されるマスト3と、このマスト3に対して伸縮自在に挿入される最上段のマスト4をさらに備える。
【0021】
図1および図2に示すように、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構100は、マスト1の頂部1aに設けられたベースプレート12(ベース)と、ベースプレート12からマスト1の内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキ14と、ベースプレート12上に固定され、カンヌキ14の移動を案内する第一〜第三ガイド16a〜cと、マスト2の外周に設けられ、ベースプレート12から出されたカンヌキ14の端部14aに係止するカンヌキ受け18とから構成される。
【0022】
図2〜図5に示すように、第一〜第三ガイド16a〜cは、カンヌキ14を通す穴20を有する穴付き板状の部材である。第二ガイド16bは、中央に配置される第一ガイド16aよりもカンヌキ受け18に近い側に配置してあり、第三ガイド16cは、第一ガイド16aよりもカンヌキ受け18に遠い側に配置してある。
【0023】
カンヌキ14は、その外周にツバ22とピン24とを有する。ツバ22は、カンヌキ受け18に近い側の外周に突設され、第一ガイド16aと第二ガイド16bとの間に位置しており、各穴20を通らず挿通不能である。ピン24は、第一ガイド16aよりもカンヌキ受け18に遠い側の外周に突設され、第三ガイド16cに設けた溝26を通過可能としてある。また、カンヌキ14の外端側には、L字状に屈曲した把持部14bが形成してある。
【0024】
また、ツバ22と第一ガイド16aの間のカンヌキ14の外周にはコイル状スプリング28(弾性部材)が組み付けてあり、カンヌキ14をマスト1の内部に向かう方向(図2のX方向)に付勢している。
【0025】
上記の構成において、カンヌキ受け18をクレーン作業に最適な任意の高さ位置に設ける。そして、上昇途中のマスト2のカンヌキ受け18をマスト1頂部1aのカンヌキ14の端部14aに係止するようにすれば、マスト2の重量をマスト1で支持することができる。したがって、伸縮途中のマスト2の落下を防止することができる。特に、カンヌキ受け18をマスト2の外周の高さ方向複数箇所に設けるようにすれば、マスト2の伸張途中の各段階における落下防止を図ることができる。なお、カンヌキ耐力が不足する場合には、カンヌキ14の設置本数などを増やすことで対応可能である。
【0026】
ここで、カンヌキ作動時および未作動時の各状態について説明する。
【0027】
[カンヌキ作動時の状態]
まず、カンヌキ作動時の状態について説明する。
図2〜図4に示すように、カンヌキ作動時には、カンヌキ14のツバ22が第一ガイド16aに支持されたスプリング28の付勢力によってX方向に押し出され、カンヌキ14の端部14aがカンヌキ受け18に挿入される。これにより、カンヌキ14がカンヌキ受け18を支持できる状態となってマスト2の落下防止が図られる。
【0028】
[カンヌキ未作動時の状態]
次に、カンヌキ未作動時の状態について説明する。
図8(1)の上面図および(2)の側面図に示すように、カンヌキ14外周に突設してあるピン24が第三ガイド16cの溝26を通過できる向きの状態のまま、カンヌキ14をスプリング28を収縮させるY方向に引っ張る。そして、ピン24が第三ガイド16cをかわした時点で、把持部14bを操作してカンヌキ14を回転させピン24を第三ガイド16cの外側に当て止めることで、カンヌキ14の端部14aをカンヌキ受け18から開放して保持する。こうすることで、図6および図7に示すようなカンヌキ未作動時の状態になる。
【0029】
したがって、本発明の伸縮マスト落下防止機構によれば、以下の効果が得られる。
伸縮途中の任意の高さにおいてマストの落下防止を図ることができる。このため、所望のマスト高においてマストの落下防止を図りながらクレーン作業を行うことができる。また、余分にマストを伸ばす必要がなくなるので、マスト伸張の際の待ち時間が短縮する。
【0030】
また、カンヌキ14は、マスト1の頂部1aに設けられてマスト1に付属された形態となり、カンヌキ未使用時にこれを別途保管する必要がなくなる。このため、カンヌキの紛失防止を図ることができる。
【0031】
上記の実施の形態において、一方側がマスト1の頂部に連結され、他方側がマスト2の頂部に設けたシーブを介してマスト3(第三のマスト)の下部に連結されるワイヤ(連結索)を少なくとも2本有するようにしてもよい。例えば、図9に示すように、マスト3を伸縮するためのワイヤ30a、30bをそれぞれマスト2の頂部シーブ34a、34bを介してマスト3の下部36a、36bに連結する。このように、ワイヤを2本構成にすることで、ワイヤ30a、30bのいずれか1本が切れても、切れていない片方のワイヤでマスト3を支持でき、マスト3の落下防止を図ることができる。
【0032】
マスト4についても同様に、マスト4を伸縮するためのワイヤ32a、32bをそれぞれマスト3の頂部シーブ38a、38bを介してマスト4の下部40a、40bに連結する。こうすることで、ワイヤ32a、32bのいずれか1本が切れても、切れていない片方のワイヤでマスト4を支持できる。このように、マスト3、マスト4については各2本のワイヤが同時に切れない限り落下することはないので、安全性の向上が図れる。
【0033】
また、上記の実施の形態において、ベースプレート12からのカンヌキ14の出没を検出し、この検出に基づいてマスト2の下降動作を停止するインターロック機構を有するようにしてもよい。例えば、マスト2の昇降を操作する電動の伸縮用ウインチ5にインターロック回路を組み込み、カンヌキ14の出没をリミットスイッチ等で検出するようにする。そして、カンヌキ受け18にカンヌキ14を挿し入れた状態であることが検出された場合には、インターロック回路の作用によって伸縮用ウインチ5の駆動を停止させる。こうすることで、カンヌキ受け18にカンヌキ14を挿し入れた状態のままマスト2を下降させるなどの人為的な誤操作を回避することが可能となる。
【0034】
また、上記の実施の形態において、従来の貫通式のカンヌキなどの他のマスト落下防止機構を併用することも可能である。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、上下方向に延在する筒状の下部マストと、この下部マストに対して伸縮自在に挿入され、下部マストとともに伸縮式のマスト機構を構成する上部マストとを備えるクレーンの伸縮マストの落下防止機構であって、下部マストの頂部に設けられたベースと、前記ベースから下部マストの内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキと、前記ベースに固定され、前記カンヌキの移動を案内するガイドと、前記カンヌキと前記ガイドとの間に介装され、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢する弾性部材と、上部マストの外周に設けられ、前記ベースから出された前記カンヌキの端部に係止するカンヌキ受けとから構成されるので、カンヌキ受けを上部マスト外周の任意の高さ位置に設け、上昇途中の上部マストのカンヌキ受けを下部マスト頂部のカンヌキ端部に係止するようにすれば、上部マストの重量を下部マストで支持することができる。したがって、伸縮途中のマストの落下を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、多段伸縮式のマストを備えるクレーンに有用であり、特に、伸縮途中のマストの落下を防止するのに適している。
【符号の説明】
【0037】
1 マスト(下部マスト)
2 マスト(上部マスト)
3 マスト(第三のマスト)
4 マスト
5 伸縮用ウインチ
10 マスト機構
12 ベースプレート(ベース)
14 カンヌキ
16a 第一ガイド(ガイド)
16b 第二ガイド(ガイド)
16c 第三ガイド(ガイド)
18 カンヌキ受け
20 穴
22 ツバ
24 ピン
26 溝
28 スプリング(弾性部材)
30a,30b,32a,32b ワイヤ(連結索)
34a,34b,38a,38b シーブ
36a,36b マスト3の下部
40a,40b マスト4の下部
100 クレーンの伸縮マスト落下防止機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段伸縮式のマストを備えるクレーンの伸縮マスト落下防止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の型枠工事等においては、多段伸縮式のマストを備えたフロアクレーンを使用している。図10(1)に示すように、梁型枠を地組みして取り付ける場合には、階高に相応した揚程までマストを伸張する。そして、梁型枠を取り付けた後は、図10(2)、(3)に示すように、マストを縮小して梁底の下を通過できる高さにクレーンを折り畳み、次の施工位置まで走行する。
【0003】
ここで、伸縮式のマストは、図11に示すように、多段に配置した筒状のマスト1〜4からなる。最下段のマスト1内にはマスト2が収納され、マスト2内にはマスト3が収納され、マスト3内にはマスト4が収納されるようになっている。
【0004】
最下段のマスト1に設けた伸縮用ウインチ5にはワイヤ6aが巻回してあり、ワイヤ6aの一端側は、マスト1の頂部1aに設けたシーブ7aとマスト2の下部に設けたシーブ7bとに巻き掛けられた上でマスト1に固定されている。ウインチ5でワイヤ6aを巻き取ると、マスト2の下部シーブ7bが持ち上げられて、マスト2がマスト1内から上昇する。
【0005】
また、ワイヤ6bはその両端がマスト1の頂部1aに固定され、マスト2の頂部シーブ7cとマスト3の下部シーブ7dとに巻き掛けられており、マスト3はマスト2の上昇に合わせて同時に上昇するようになっている。同様な機構により、マスト4もワイヤ6cを介してマスト3に接続してあり、マスト3の上昇に合わせて同時に上昇する。
【0006】
一方、図12および図13に示すように、伸縮マストの落下防止機構として、マスト1の上側にカンヌキ挿入用の貫通穴8が設けてあり、マスト2が上昇しきった状態でこの貫通穴8にカンヌキ9を挿入することによりマスト2の下端を支えるようにしている。こうすることで、マスト2を上昇させてクレーン作業をする際に、ワイヤ6aが切断してマスト2が落下することを防止している。
【0007】
なお、本発明者は、こうした多段伸縮式のマストを備えたクレーンに関し、既に特願2010−128243に示す高揚程かつ軽量なクレーン装置を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記の従来の伸縮マスト落下防止機構では、マスト2が完全に伸びきらないとカンヌキ9を貫通穴8に挿入することはできない。このため、伸縮途中のマスト2の落下を防止することが難しい。
【0009】
そこで、伸縮途中のマスト2の支持を可能とするために、図14に示すように、最下段のマスト1に高さを変えて複数の貫通穴8を設けることが考えられる。しかし、こうした貫通式のカンヌキの場合には、マスト1内部のマスト2が貫通穴8をかわした高さまで上昇しなければカンヌキ9を挿入できず、融通性に欠ける。
【0010】
また、マスト2はカンヌキ9で支持されるため、ワイヤ6a(図11参照)が切れても落下することはないが、マスト3とマスト4はそれぞれワイヤ6b、6c(図11参照)が切れると落下してしまう。このため、個々のマストの落下を防止できないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、伸縮途中のマストの落下を防止することができるクレーンの伸縮マスト落下防止機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、上下方向に延在する筒状の下部マストと、この下部マストに対して伸縮自在に挿入され、下部マストとともに伸縮式のマスト機構を構成する上部マストとを備えるクレーンの伸縮マストの落下防止機構であって、下部マストの頂部に設けられたベースと、前記ベースから下部マストの内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキと、前記ベースに固定され、前記カンヌキの移動を案内するガイドと、前記カンヌキと前記ガイドとの間に介装され、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢する弾性部材と、上部マストの外周に設けられ、前記ベースから出された前記カンヌキの端部に係止するカンヌキ受けとから構成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、上述した請求項1において、前記ガイドは、前記カンヌキを通すための穴をそれぞれ有し、前記ベース上に配置した第一ガイドと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに近い側に配置した第二ガイドと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに遠い側に配置した第三ガイドとからなり、前記カンヌキは、前記カンヌキ受けに近い側の外周に突設され、第一ガイドと第二ガイドとの間に位置して前記穴に挿通不能なツバと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに遠い側の外周に突設され、第三ガイドに設けた溝を通過可能なピンとを有し、前記弾性部材は、前記ツバと第一ガイドの間の前記カンヌキの外周に組み付けられ、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢するコイル状スプリングからなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、上述した請求項1または2において、前記カンヌキ受けを、上部マストの外周の高さ方向複数箇所に設けたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記ベースからの前記カンヌキの出没を検出し、この検出に基づいて上部マストの下降動作を停止するインターロック機構を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、上述した請求項1〜4のいずれか一つにおいて、前記伸縮式のマスト機構は、筒状の上部マストに対して伸縮自在に挿入される第三のマストを含んで構成され、一方側が下部マストに連結され、他方側が上部マストの頂部に設けたシーブを介して第三のマストの下部に連結される連結索を少なくとも2本有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上下方向に延在する筒状の下部マストと、この下部マストに対して伸縮自在に挿入され、下部マストとともに伸縮式のマスト機構を構成する上部マストとを備えるクレーンの伸縮マストの落下防止機構であって、下部マストの頂部に設けられたベースと、前記ベースから下部マストの内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキと、前記ベースに固定され、前記カンヌキの移動を案内するガイドと、前記カンヌキと前記ガイドとの間に介装され、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢する弾性部材と、上部マストの外周に設けられ、前記ベースから出された前記カンヌキの端部に係止するカンヌキ受けとから構成されるので、カンヌキ受けを上部マスト外周の任意の高さ位置に設け、上昇途中の上部マストのカンヌキ受けを下部マスト頂部のカンヌキ端部に係止するようにすれば、上部マストの重量を下部マストで支持することができる。したがって、伸縮途中のマストの落下を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構の実施例を示す概略側面図である。
【図2】図2は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構の概略上面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線に沿った側面図である。
【図4】図4は、図3のB−B線に沿った側面図である。
【図5】図5は、カンヌキ受けの側面図である。
【図6】図6は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構のカンヌキ未作動時の状態を示す概略側面図である。
【図7】図7は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構のカンヌキ未作動時の状態を示す概略上面図である。
【図8】図8は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構のカンヌキの動作を説明する図である。
【図9】図9は、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構の他の実施例を示す断面図である。
【図10】図10は、従来のクレーンの変形態様の一例を示す図である。
【図11】図11は、従来のクレーンの多段伸縮式のマストを示す断面図である。
【図12】図12は、従来の貫通式のカンヌキによるマスト落下防止機構の側面図である。
【図13】図13は、従来の貫通式のカンヌキによるマスト落下防止機構の断面図である。
【図14】図14は、従来の貫通式のカンヌキを複数設けた場合のマストの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
図1に示すように、クレーンのマスト機構10は、上下方向に延在する筒状の最下段のマスト1(下部マスト)と、マスト1に対して伸縮自在に挿入されるマスト2(上部マスト)とから構成される。このマスト機構10は、マスト2に対して伸縮自在に挿入されるマスト3と、このマスト3に対して伸縮自在に挿入される最上段のマスト4をさらに備える。
【0021】
図1および図2に示すように、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構100は、マスト1の頂部1aに設けられたベースプレート12(ベース)と、ベースプレート12からマスト1の内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキ14と、ベースプレート12上に固定され、カンヌキ14の移動を案内する第一〜第三ガイド16a〜cと、マスト2の外周に設けられ、ベースプレート12から出されたカンヌキ14の端部14aに係止するカンヌキ受け18とから構成される。
【0022】
図2〜図5に示すように、第一〜第三ガイド16a〜cは、カンヌキ14を通す穴20を有する穴付き板状の部材である。第二ガイド16bは、中央に配置される第一ガイド16aよりもカンヌキ受け18に近い側に配置してあり、第三ガイド16cは、第一ガイド16aよりもカンヌキ受け18に遠い側に配置してある。
【0023】
カンヌキ14は、その外周にツバ22とピン24とを有する。ツバ22は、カンヌキ受け18に近い側の外周に突設され、第一ガイド16aと第二ガイド16bとの間に位置しており、各穴20を通らず挿通不能である。ピン24は、第一ガイド16aよりもカンヌキ受け18に遠い側の外周に突設され、第三ガイド16cに設けた溝26を通過可能としてある。また、カンヌキ14の外端側には、L字状に屈曲した把持部14bが形成してある。
【0024】
また、ツバ22と第一ガイド16aの間のカンヌキ14の外周にはコイル状スプリング28(弾性部材)が組み付けてあり、カンヌキ14をマスト1の内部に向かう方向(図2のX方向)に付勢している。
【0025】
上記の構成において、カンヌキ受け18をクレーン作業に最適な任意の高さ位置に設ける。そして、上昇途中のマスト2のカンヌキ受け18をマスト1頂部1aのカンヌキ14の端部14aに係止するようにすれば、マスト2の重量をマスト1で支持することができる。したがって、伸縮途中のマスト2の落下を防止することができる。特に、カンヌキ受け18をマスト2の外周の高さ方向複数箇所に設けるようにすれば、マスト2の伸張途中の各段階における落下防止を図ることができる。なお、カンヌキ耐力が不足する場合には、カンヌキ14の設置本数などを増やすことで対応可能である。
【0026】
ここで、カンヌキ作動時および未作動時の各状態について説明する。
【0027】
[カンヌキ作動時の状態]
まず、カンヌキ作動時の状態について説明する。
図2〜図4に示すように、カンヌキ作動時には、カンヌキ14のツバ22が第一ガイド16aに支持されたスプリング28の付勢力によってX方向に押し出され、カンヌキ14の端部14aがカンヌキ受け18に挿入される。これにより、カンヌキ14がカンヌキ受け18を支持できる状態となってマスト2の落下防止が図られる。
【0028】
[カンヌキ未作動時の状態]
次に、カンヌキ未作動時の状態について説明する。
図8(1)の上面図および(2)の側面図に示すように、カンヌキ14外周に突設してあるピン24が第三ガイド16cの溝26を通過できる向きの状態のまま、カンヌキ14をスプリング28を収縮させるY方向に引っ張る。そして、ピン24が第三ガイド16cをかわした時点で、把持部14bを操作してカンヌキ14を回転させピン24を第三ガイド16cの外側に当て止めることで、カンヌキ14の端部14aをカンヌキ受け18から開放して保持する。こうすることで、図6および図7に示すようなカンヌキ未作動時の状態になる。
【0029】
したがって、本発明の伸縮マスト落下防止機構によれば、以下の効果が得られる。
伸縮途中の任意の高さにおいてマストの落下防止を図ることができる。このため、所望のマスト高においてマストの落下防止を図りながらクレーン作業を行うことができる。また、余分にマストを伸ばす必要がなくなるので、マスト伸張の際の待ち時間が短縮する。
【0030】
また、カンヌキ14は、マスト1の頂部1aに設けられてマスト1に付属された形態となり、カンヌキ未使用時にこれを別途保管する必要がなくなる。このため、カンヌキの紛失防止を図ることができる。
【0031】
上記の実施の形態において、一方側がマスト1の頂部に連結され、他方側がマスト2の頂部に設けたシーブを介してマスト3(第三のマスト)の下部に連結されるワイヤ(連結索)を少なくとも2本有するようにしてもよい。例えば、図9に示すように、マスト3を伸縮するためのワイヤ30a、30bをそれぞれマスト2の頂部シーブ34a、34bを介してマスト3の下部36a、36bに連結する。このように、ワイヤを2本構成にすることで、ワイヤ30a、30bのいずれか1本が切れても、切れていない片方のワイヤでマスト3を支持でき、マスト3の落下防止を図ることができる。
【0032】
マスト4についても同様に、マスト4を伸縮するためのワイヤ32a、32bをそれぞれマスト3の頂部シーブ38a、38bを介してマスト4の下部40a、40bに連結する。こうすることで、ワイヤ32a、32bのいずれか1本が切れても、切れていない片方のワイヤでマスト4を支持できる。このように、マスト3、マスト4については各2本のワイヤが同時に切れない限り落下することはないので、安全性の向上が図れる。
【0033】
また、上記の実施の形態において、ベースプレート12からのカンヌキ14の出没を検出し、この検出に基づいてマスト2の下降動作を停止するインターロック機構を有するようにしてもよい。例えば、マスト2の昇降を操作する電動の伸縮用ウインチ5にインターロック回路を組み込み、カンヌキ14の出没をリミットスイッチ等で検出するようにする。そして、カンヌキ受け18にカンヌキ14を挿し入れた状態であることが検出された場合には、インターロック回路の作用によって伸縮用ウインチ5の駆動を停止させる。こうすることで、カンヌキ受け18にカンヌキ14を挿し入れた状態のままマスト2を下降させるなどの人為的な誤操作を回避することが可能となる。
【0034】
また、上記の実施の形態において、従来の貫通式のカンヌキなどの他のマスト落下防止機構を併用することも可能である。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、上下方向に延在する筒状の下部マストと、この下部マストに対して伸縮自在に挿入され、下部マストとともに伸縮式のマスト機構を構成する上部マストとを備えるクレーンの伸縮マストの落下防止機構であって、下部マストの頂部に設けられたベースと、前記ベースから下部マストの内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキと、前記ベースに固定され、前記カンヌキの移動を案内するガイドと、前記カンヌキと前記ガイドとの間に介装され、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢する弾性部材と、上部マストの外周に設けられ、前記ベースから出された前記カンヌキの端部に係止するカンヌキ受けとから構成されるので、カンヌキ受けを上部マスト外周の任意の高さ位置に設け、上昇途中の上部マストのカンヌキ受けを下部マスト頂部のカンヌキ端部に係止するようにすれば、上部マストの重量を下部マストで支持することができる。したがって、伸縮途中のマストの落下を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明に係るクレーンの伸縮マスト落下防止機構は、多段伸縮式のマストを備えるクレーンに有用であり、特に、伸縮途中のマストの落下を防止するのに適している。
【符号の説明】
【0037】
1 マスト(下部マスト)
2 マスト(上部マスト)
3 マスト(第三のマスト)
4 マスト
5 伸縮用ウインチ
10 マスト機構
12 ベースプレート(ベース)
14 カンヌキ
16a 第一ガイド(ガイド)
16b 第二ガイド(ガイド)
16c 第三ガイド(ガイド)
18 カンヌキ受け
20 穴
22 ツバ
24 ピン
26 溝
28 スプリング(弾性部材)
30a,30b,32a,32b ワイヤ(連結索)
34a,34b,38a,38b シーブ
36a,36b マスト3の下部
40a,40b マスト4の下部
100 クレーンの伸縮マスト落下防止機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在する筒状の下部マストと、この下部マストに対して伸縮自在に挿入され、下部マストとともに伸縮式のマスト機構を構成する上部マストとを備えるクレーンの伸縮マストの落下防止機構であって、
下部マストの頂部に設けられたベースと、前記ベースから下部マストの内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキと、前記ベースに固定され、前記カンヌキの移動を案内するガイドと、前記カンヌキと前記ガイドとの間に介装され、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢する弾性部材と、
上部マストの外周に設けられ、前記ベースから出された前記カンヌキの端部に係止するカンヌキ受けとから構成されることを特徴とするクレーンの伸縮マスト落下防止機構。
【請求項2】
前記ガイドは、前記カンヌキを通すための穴をそれぞれ有し、前記ベース上に配置した第一ガイドと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに近い側に配置した第二ガイドと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに遠い側に配置した第三ガイドとからなり、
前記カンヌキは、前記カンヌキ受けに近い側の外周に突設され、第一ガイドと第二ガイドとの間に位置して前記穴に挿通不能なツバと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに遠い側の外周に突設され、第三ガイドに設けた溝を通過可能なピンとを有し、
前記弾性部材は、前記ツバと第一ガイドの間の前記カンヌキの外周に組み付けられ、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢するコイル状スプリングからなることを特徴とする請求項1に記載のクレーンの伸縮マスト落下防止機構。
【請求項3】
前記カンヌキ受けを、上部マストの外周の高さ方向複数箇所に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のクレーンの伸縮マスト落下防止機構。
【請求項4】
前記ベースからの前記カンヌキの出没を検出し、この検出に基づいて上部マストの下降動作を停止するインターロック機構を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のクレーンの伸縮マスト落下防止機構。
【請求項5】
前記伸縮式のマスト機構は、筒状の上部マストに対して伸縮自在に挿入される第三のマストを含んで構成され、
一方側が下部マストに連結され、他方側が上部マストの頂部に設けたシーブを介して第三のマストの下部に連結される連結索を少なくとも2本有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のクレーンの伸縮マスト落下防止機構。
【請求項1】
上下方向に延在する筒状の下部マストと、この下部マストに対して伸縮自在に挿入され、下部マストとともに伸縮式のマスト機構を構成する上部マストとを備えるクレーンの伸縮マストの落下防止機構であって、
下部マストの頂部に設けられたベースと、前記ベースから下部マストの内部に向けて出没自在な棒状のカンヌキと、前記ベースに固定され、前記カンヌキの移動を案内するガイドと、前記カンヌキと前記ガイドとの間に介装され、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢する弾性部材と、
上部マストの外周に設けられ、前記ベースから出された前記カンヌキの端部に係止するカンヌキ受けとから構成されることを特徴とするクレーンの伸縮マスト落下防止機構。
【請求項2】
前記ガイドは、前記カンヌキを通すための穴をそれぞれ有し、前記ベース上に配置した第一ガイドと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに近い側に配置した第二ガイドと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに遠い側に配置した第三ガイドとからなり、
前記カンヌキは、前記カンヌキ受けに近い側の外周に突設され、第一ガイドと第二ガイドとの間に位置して前記穴に挿通不能なツバと、第一ガイドよりも前記カンヌキ受けに遠い側の外周に突設され、第三ガイドに設けた溝を通過可能なピンとを有し、
前記弾性部材は、前記ツバと第一ガイドの間の前記カンヌキの外周に組み付けられ、前記カンヌキを下部マストの内部に向かう方向に付勢するコイル状スプリングからなることを特徴とする請求項1に記載のクレーンの伸縮マスト落下防止機構。
【請求項3】
前記カンヌキ受けを、上部マストの外周の高さ方向複数箇所に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のクレーンの伸縮マスト落下防止機構。
【請求項4】
前記ベースからの前記カンヌキの出没を検出し、この検出に基づいて上部マストの下降動作を停止するインターロック機構を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のクレーンの伸縮マスト落下防止機構。
【請求項5】
前記伸縮式のマスト機構は、筒状の上部マストに対して伸縮自在に挿入される第三のマストを含んで構成され、
一方側が下部マストに連結され、他方側が上部マストの頂部に設けたシーブを介して第三のマストの下部に連結される連結索を少なくとも2本有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のクレーンの伸縮マスト落下防止機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−171774(P2012−171774A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38118(P2011−38118)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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