クレーン装置
【課題】コストを増加させることなく左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度を有効に向上させ、かつ、テンション部材の長さを調整する作業効率が高いクレーン装置を提供すること。
【解決手段】移動式クレーン1は、第1のテンション部材61と、旋回体5に一端が連結される第2のテンション部材93と、旋回体5の格納ラック95に格納され、第1のテンション部材61がマストから旋回体5に向かって延設される状態で第1のテンション部材61と前記第2のテンション部材93との間に継足し可能な第3のテンション部材97とを備える。ブーム7の伸縮状態に対応して第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整される。
【解決手段】移動式クレーン1は、第1のテンション部材61と、旋回体5に一端が連結される第2のテンション部材93と、旋回体5の格納ラック95に格納され、第1のテンション部材61がマストから旋回体5に向かって延設される状態で第1のテンション部材61と前記第2のテンション部材93との間に継足し可能な第3のテンション部材97とを備える。ブーム7の伸縮状態に対応して第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に伸縮可能なブームを備えるクレーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、長手方向に伸縮可能なブームを備えるクレーン装置では、最伸長状態でのブームの長手方向の寸法は大きくなる。このため、最伸長状態のブームでは、例えば旋回時の水平動荷重、風による荷重により、ブームに加わる左右方向の曲げモーメントが大きくなる。したがって、このようなクレーン装置では、左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度を高めることが必要となる。
【0003】
特許文献1には、左側マストの基端部及び右側マストの基端部が伸縮可能なブームの先端部に連結されたクレーン装置が開示されている。このクレーン装置では、旋回体に設けられたウインチからテンション部材である左側ワイヤロープ及び右側ワイヤロープが繰り出される。ブームを起状して作業を行う際に、ウインチから繰り出された左側ワイヤロープが左側マストの先端部に接続され、ウインチから繰り出された右側ワイヤロープが右側マストの先端部に接続されている。以上のような構成にすることにより、左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度が高められる。
【0004】
特許文献2には、左側マストの基端部及び右側マストの基端部が伸縮可能なブームに連結されたクレーン装置が開示されている。このクレーン装置では、ブームを起状して作業を行う際に、第1の左側テンション部材が左側マストの先端部からブームの基端部まで延設され、第1の右側テンション部材が右側マストの先端部からブームの基端部まで延設されている。また、第2の左側テンション部材が左側マストの先端部からブームの先端部まで延設され、第2の右側テンション部材が右側マストの先端部からブームの先端部まで延設されている。以上のような構成にすることにより、左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度が高められる。第1の左側テンション部材及び第1の右側テンション部材は、複数のテンションロッドを連結して形成され、テンションロッド同士の間の連結部で折畳み可能である。また、第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材を、第1の左側テンション部材及び第1の右側テンション部材と同様に、複数のテンションロッドを連結して形成する構成も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−273530号公報
【特許文献2】特開2008−120525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のクレーン装置では、ブームの伸縮状態に対応させてウインチを操作することにより、ウインチからの左側ワイヤロープの繰出し量及び右側ワイヤロープの繰出し量を調整している。このため、ウインチを駆動する油圧モータ等が必要となり、コストが増加し、油圧モータのメンテナンス等も必要となる。また、このクレーン装置では、左側ワイヤロープ又は右側ワイヤロープの伸びにより、左側ワイヤロープの張力と右側ワイヤロープの張力とが不均一になる場合がある。左側ワイヤロープの張力と右側ワイヤロープの張力とが不均一になることにより、左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度が低下してしまう。
【0007】
上記特許文献2のクレーン装置では、第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材を複数のテンションロッドを連結して形成することにより、第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材に伸びは発生しない。このため、第2の左側テンション部材の張力と第2の右側テンション部材の張力とは均一に保たれる。しかし、このクレーン装置では、ブームの伸縮状態に対応させて第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材で連結するテンションロッドの数を調整し、第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材の長さを調整している。ブームを起状した際には、第2の左側テンション部材が連結される左側マスト及びブームの先端部は、地上から上方向に離れた高い位置に位置している。同様に、ブームを起状した際には、第2の右側テンション部材が連結される右側マスト及びブームの先端部は、地上から上方向に離れた高い位置に位置している。このため、ブームの伸縮状態に対応して第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材の長さを調整する際には、ブームの先端部が地上の近傍に位置する状態までブームを伏状して行う必要がある。したがって、第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材の長さを調整する作業効率が低下する。
【0008】
本発明は上記課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、コストを増加させることなく左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度を有効に向上させ、かつ、テンション部材の長さを調整する作業効率が高いクレーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のある態様では、格納ラックを備える旋回体と、前記旋回体に基端部が連結され、長手方向に伸縮可能なブームと、前記ブーム又は前記ブームの先端部に連結される別部材に基端部が連結され、前記ブームの伸縮に対応して前記ブームの前記長手方向に移動するマストと、前記マストの先端部に連結される第1の部材端部と、前記第1の部材端部とは反対側の端部である第2の部材端部とを備える第1のテンション部材と、前記ブームの前記基端部又は前記旋回体に一端が連結される第2のテンション部材と、前記旋回体の前記格納ラックに格納され、前記第1のテンション部材が前記マストから前記旋回体に向かって延設される状態で前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間に継足し可能な第3のテンション部材であって、前記ブームの伸縮状態に対応して前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間への継足しの有無及び継足される長さが調整される第3のテンション部材と、を備えるクレーン装置を提供する。
【0010】
このクレーン装置では、前記第3のテンション部材は、バーユニットを備え、前記第2のテンション部材は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第1のテンション部材の前記第2の部材端部、又は、前記バーユニットのいずれか1つに選択的に連結される第1のリンク部を備え、前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間へ継足される前記バーユニットの数により、前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間への前記第3のテンション部材の継足しの有無及び継足される長さが調整されることが好ましい。この場合、それぞれの前記バーユニットは、第1の連結端部と、前記第1の連結端部とは反対側の端部である第2の連結端部とを備え、前記第1のテンション部材の前記第2の部材端部は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第2のテンション部材の前記第1のリンク部、又は、隣接する前記バーユニットの前記第1の連結端部に選択的に連結され、それぞれの前記バーユニットの前記第2の連結端部は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第2のテンション部材の前記第1のリンク部、又は、隣接する前記バーユニットの前記第1の連結端部に選択的に連結されることが好ましい。
【0011】
また、このクレーン装置では、前記第2のテンション部材は、前記旋回体又は前記ブームの基端部に連結され、前記第1のリンク部から左右方向に離れた状態で格納される第2のリンク部と、前記第1のリンク部と前記第2のリンク部との間に設けられ、前記左右方向に延設された状態で格納される中継部材とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コストを増加させることなく左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度を有効に向上させ、かつ、テンション部材の長さを調整する作業効率が高いクレーン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動式クレーンを概略的に示す側面図。
【図2】第1の実施形態に係る移動式クレーンを一部省略して示す斜視図。
【図3】第1の実施形態に係る移動式クレーンのブーム及びリアマストの構成を示す斜視図。
【図4】第1の実施形態に係る移動式クレーンのリアマストの構成を示す斜視図。
【図5】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第1のテンション部材が、リアマストに格納された状態からリアマストから旋回体に向かって延設される状態へ変化する途中の状態を示す斜視図。
【図6】第1の実施形態に係る移動式クレーンのリアマストの昇降ユニットの構成を示す斜視図。
【図7】第1の実施形態に係る移動式クレーンの旋回体の構成を示す斜視図。
【図8】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第2のテンション部材、第3のテンション部材及び格納ラックの構成を示す斜視図。
【図9】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第2のテンション部材及び第3のテンション部材の構成を示す斜視図。
【図10】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、第1のテンション部材と第2のテンション部材との間に第3のテンションユニットのバーユニットが継足れていない状態を示す側面図。
【図11】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、第1のテンション部材と第2のテンション部材との間に第3のテンションユニットのバーユニットが1つのみ継足された状態を示す側面図。
【図12】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第3のテンション部材のそれぞれのバーユニットの格納動作を説明する側面図。
【図13】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第3のテンション部材のそれぞれのバーユニットの格納ラックへ格納された状態を説明する側面図。
【図14】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第2のテンション部材の中継部材の格納動作を説明する背面図。
【図15】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第2のテンション部材の中継部材の格納された状態を説明する背面図。
【図16】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、第1のテンション部材と第2のテンション部材との間に格納されたバーユニットを1つのみ継足した状態を示す側面図。
【図17】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、図16で継足されたバーユニットが格納ラックから取出される動作を示す側面図。
【図18】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、図17で左右方向に延設された状態の第2のテンション部材の中継部材が、上下方向に延設されるまで回動した状態を示す側面図。
【図19】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、図18で格納された状態の第2のテンション部材のバー部材及び第2のリンク部が、張られる動作を示す側面図。
【図20】第1の実施形態の変形例に係る移動式クレーンを一部省略して示す斜視図。
【図21】第1の実施形態の図20とは別の変形例に係る移動式クレーンのリアマストの昇降ユニットの構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図19を参照して説明する。
【0015】
図1及び図2は、クレーン装置である移動式クレーン1の構成を示す図である。図1及び図2に示すように、移動式クレーン1は、車体3と、車体3に対して旋回可能に搭載される旋回体5とを備える。旋回体5には、ブーム7の基端部が連結されている。また、移動式クレーン1は、ブーム7を旋回体5に対して起伏させるブーム起伏シリンダ9を備える。ブーム起伏シリンダ9は、一端が旋回体5に連結され、他端がブーム7に連結されている。ブーム起伏シリンダ9を伸縮することにより、ブーム7が起伏動作を行う。
【0016】
ブーム7は長手方向に伸縮可能である。ブーム7の先端部には、ベースブラケット11の基端部が固定された状態で連結されている。また、ベースブラケット11の先端部には、ジブ13の基端部が連結されている。ジブ13は、ベースブラケット11との連結部を回動軸として、ブーム7及びベースブラケット11に対して回動可能である。ブーム7及びベースブラケット11に対してジブ13が回動することにより、ブーム7に対するジブ13のオフセット角が調整される。
【0017】
ジブ13の基端部には、フロントマスト15の基端部が連結されている。フロントマスト15は、ジブ13との連結部を回動軸として、ブーム7及びベースブラケット11に対して回動可能である。なお、本実施形態ではフロントマスト15はジブ13の基端部に連結されているが、ベースブラケット11の先端部に連結されてもよい。
【0018】
ベースブラケット11の先端部には、ミドルマスト17の基端部が連結されている。ミドルマスト17は、ベースブラケット11との連結部を回動軸として、ブーム7及びベースブラケット11に対して回動可能である。なお、本実施形態ではミドルマスト17はベースブラケット11の先端部に連結されているが、フロントマスト15より後方方向側に位置する構成であれば、ジブ13の基端部に連結されてもよい。また、本実施形態では、フロントマスト15の回動軸とミドルマスト17の回動軸は別であるが、フロントマスト15の回動軸とミドルマスト17の回動軸とが同一であってもよい。
【0019】
フロントマスト15の先端部には、第1の左側ペンダントロープ19Aの一端及び第1の右側ペンダントロープ19Bの一端が接続されている。第1の左側ペンダントロープ19Aの他端及び第1の右側ペンダントロープ19Bの他端は、ジブ13の先端部に接続されている。また、フロントマスト15の先端部には、第2の左側ペンダントロープ21Aの一端及び第2の右側ペンダントロープ21Bの一端が接続されている。第2の左側ペンダントロープ21Aの他端及び第2の右側ペンダントロープ21Bの他端は、ジブ13に接続されている。ジブ13をブーム7に対するオフセット角を調整する際には、第1の左側ペンダントロープ19A、第1の右側ペンダントロープ19B、第2の左側ペンダントロープ21A及び第2の右側ペンダントロープ21Bのペンダント部材を介して、フロントマスト15はジブ13を支持している。以上のような構成にすることにより、ジブ13、フロントマスト15、ペンダント部材(19A,19B,21A,21B)がブーム7及びベースブラケット11に対して一体に回動する。
【0020】
また、ベースブラケット11の先端部には、ストッパ23が設けられている。ジブ13がストッパ23に突当ることにより、ジブ13、フロントマスト15及びペンダント部材(19A,19B,21A,21B)のミドルマスト17が位置する方向への回動が規制される。
【0021】
また、ブーム7の先端部には、リアマスト25の基端部が連結されている。リアマスト25は、ブーム7の伸縮に対応してブーム7の長手方向に移動する。また、リアマスト25は、ブーム7との連結部を回動軸として、ブーム7及びベースブラケット11に対して回動可能である。なお、本実施形態ではリアマスト25はブーム7の先端部に連結されているが、ミドルマスト17より後方方向側に位置する構成であれば、ベースブラケット11の基端部に連結されてもよい。すなわち、リアマスト25は、ブーム7又はブーム7の先端部に連結される別部材(例えばベースブラケット11)に基端部が連結され、ブーム7の伸縮に対応してブーム7の長手方向に移動すればよい。
【0022】
フロントマスト15の先端部には第1の滑車ユニット27Aが設けられ、ミドルマスト17の先端部には第2の滑車ユニット27Bが設けられている。また、リアマスト25の先端部には、シーブ29が設けられている。旋回体5には、ウインチ31が設けられている。ウインチ31には、ジブ13の起伏に用いられるロープ33の一端が巻回されている。ロープ33は、シーブ29により第1の滑車ユニット27A及び第2の滑車ユニット27Bに導かれる。そして、ロープ33の他端は、第1の滑車ユニット27A及び第2の滑車ユニット27Bのそれぞれに複数回ずつ交互に掛回される。以上のような構成にすることにより、ウインチ31からのロープ33の繰出し量を調整することによって、フロントマスト15がブーム7及びミドルマスト17に対して回動し、フロントマスト15とミドルマスト17との間の角度が調整される。ここで、ジブ13はフロントマスト15と一体に回動する。このため、フロントマスト15が回動することにより、ジブ13がブーム7及びミドルマスト17に対して回動し、ジブ13のブーム7に対するオフセット角が調整される。
【0023】
また、ミドルマスト17の先端部には、第1の左側テンションユニット35Aの一端及び第1の右側テンションユニット35Bの一端が連結されている。第1の左側テンションユニット35Aの他端及び第1の右側テンションユニット35Bの他端は、リアマスト25の先端部に連結されている。第1の左側テンションユニット35A及び第1の右側テンションユニット35Bは、複数のテンションバー37を連結して形成されている。第1の左側テンションユニット35A及び第1の右側テンションユニット35Bは、テンションバー37同士の間の連結部で折畳み可能である。
【0024】
また、リアマスト25の先端部には、第2の左側テンションユニット39Aの一端及び第2の右側テンションユニット39Bの一端が連結されている。第2の左側テンションユニット39Aの他端及び第2の右側テンションユニット39Bの他端は、旋回体5に連結されている。ミドルマスト17、リアマスト25、第1の左側テンションユニット35A、第1の右側テンションユニット35B、第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bを設けることにより、左右方向の曲げモーメントに対するブーム7及びベースブラケット11の強度が高められる。なお、本実施形態では第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bは旋回体5に連結されているが、第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bはブーム7の基端部に連結されてもよい。
【0025】
また、ジブ13の先端部には、トップシーブ41及びルースタシーブ43が設けられている。ジブ13の基端部にはシーブ45が設けられ、リアマスト25にはシーブ47が設けられている。また、旋回体5にはウインチ49が設けられている。ウインチ49には、第1の吊上げロープ51Aの一端及び第2の吊上げロープ51Bの一端が巻回されている。第1の吊上げロープ51Aは、シーブ47、シーブ45及びトップシーブ41に掛けられ、他端がメインフック53に接続されている。ウインチ49からの第1の吊上げロープ51Aの繰出し量により、メインフック53の位置が調整される。第2の吊上げロープ51Bは、シーブ47、シーブ45及びルースタシーブ43に掛けられ、他端がサブフック55に接続されている。ウインチ49からの第2の吊上げロープ51Bの繰出し量により、サブフック55の位置が調整される。
【0026】
以下、第2の左側テンションユニット39Aの構成について説明する。なお、第2の右側テンションユニット39Bについては、第2の左側テンションユニット39Aと同一の構成及び機能を有するため、第2の左側テンションユニット39Aと同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0027】
図3は、ブーム7及びリアマスト25を示す図である。図3に示すように、第2の左側テンションユニット39Aは、第1のテンション部材61を備える。第1のテンション部材61は、リアマスト25の先端部に連結される第1の部材端部63と、第1の部材端部63と反対側の端部である第2の部材端部65とを備える。第1のテンション部材61は、複数のテンションバー67を連結して形成され、テンションバー67同士の間の連結部で折畳み可能である。
【0028】
図4は、リアマスト25の構成を示す図である。図4に示すように、リアマスト25は複数の格納ブラケット69を備える。第1のテンション部材61は、格納ブラケット69により支持された状態で、リアマスト25に格納される。第1のテンション部材61がリアマスト25に格納された際には、テンションバー67同士の間の連結部の中の1つの連結部で、第1のテンション部材61が折畳まれている。
【0029】
リアマスト25には、昇降ユニット71が設けられている。昇降ユニット71により、第1のテンション部材61がリアマスト25に格納された状態(図4参照)と第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)との間で、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が昇降する。図6は、昇降ユニット71の構成を示す図である。図4及び図6に示すように、昇降ユニット71は、ワイヤロープ73を備える。ワイヤロープ73は、第1のテンション部材61の第2の部材端部65に接続される第1のワイヤ端部75Aを備える。ワイヤロープ73は、リアマスト25に設けられるシーブ77に掛けられ、第1のワイヤ端部75Aとは反対側の端部である第2のワイヤ端部75Bが昇降ユニット71の繰出し部79に接続されている。昇降ユニット71は、リアマスト25に取付けられる伸縮シリンダ81を備える。繰出し部79は、固定シーブブロック83と、伸縮シリンダ81の伸縮に対応して固定シーブブロック83に対して移動する可動シーブブロック85とを備える。伸縮シリンダ81の最伸長した状態では可動シーブブロック85は図6の位置A1に位置し、伸縮シリンダ81の最収縮した状態では可動シーブブロック85は図6の位置A2に位置している。ワイヤロープ73の第2のワイヤ端部75Bは、固定シーブブロック83及び可動シーブブロック85のそれぞれに複数回ずつ交互に掛け回され、リアマスト25のワイヤ固定部材87に固定されている。
【0030】
以上のような構成にすることにより、伸縮シリンダ81の伸縮に対応して可動シーブブロック85が固定シーブブロック83に対して移動し、固定シーブブロック83と可動シーブブロック85との間の寸法が変化する。伸縮シリンダ81の伸縮は、リモコン(図示しない)等での遠隔操作により行われる。固定シーブブロック83と可動シーブブロック85との間の寸法の変化により、繰出し部79からのワイヤロープ73の繰出し量が調整される。ワイヤロープ73の繰出し量を調整することにより、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が移動し、リアマスト25に格納された状態(図4参照)とリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)との間で第1のテンション部材61の状態が変化する。なお、図5は、リアマスト25に格納された状態(図4参照)からリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)へ第1のテンション部材61が変化する途中の状態を示している。
【0031】
図6に示すように、リアマスト25には、ガイド部材89が取付けられている。ガイド部材89には、ワイヤ固定部材87が移動可能に取付けられている。また、ワイヤ固定部材87には、弾性部材であるバネ部材91の一端が取付けられている。バネ部材91の他端は、リアマスト25に固定されている。以上のような構成にすることにより、バネ部材91によりワイヤロープ73の弛みが防止され、ワイヤロープ73に張力が作用する状態が保持される。
【0032】
図7は、旋回体5の構成を示す図である。図7に示すように、第2の左側テンションユニット39Aは、一端が旋回体5に連結される第2のテンション部材93を備える。また、旋回体5は、格納ラック95を備える。第2の左側テンションユニット39Aは、格納ラック95に格納される第3のテンション部材97を備える。格納ラック95は、第3のテンション部材97の前後方向及び左右方向への移動を規制するガイド部材98を備える。第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5に向かって延設される状態で、第3のテンション部材97は第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に継足し可能である。第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さは、ブーム7の伸縮状態に対応して調整される。なお、本実施形態では、第2のテンション部材93の一端が旋回体5に連結されているが、第2のテンション部材93の一端がブーム7の基端部に連結されてもよい。
【0033】
図8及び図9は、第2のテンション部材93及び第3のテンション部材97の構成を示す図である。図8及び図9に示すように、第3のテンション部材97は、(本実施形態では3つ)のバーユニット99A〜99Cを備える。それぞれのバーユニット99A〜99Cは、第1の連結端部101A〜101Cと、第1の連結端部101A〜101Cとは反対側の端部である第2の連結端部103A〜103Cとを備える。それぞれのバーユニット99A〜99Cは、複数のバー部材105を連結して形成され、バー部材105同士の間の連結部で折畳み可能である。格納ラック95に第3のテンション部材97が格納された状態では、それぞれのバーユニット99A〜99Cはバー部材105同士の間の連結部の中の1つの連結部で折畳まれている。
【0034】
図10及び図11は、それぞれのバーユニット99A〜99Cの第2の連結端部103A〜103Bの連結状態を説明する図である。図10及び図11に示すように、バーユニット99Aの第1の連結端部101Aには、孔状部106Aが設けられている。同様に、バーユニット99Bの第1の連結端部101Bには孔状部106Bが、バーユニット99Cの第1の連結端部101Cには孔状部106Cが設けられている。
【0035】
また、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aには、第1の孔状部107Aと、第2の孔状部109Aとが設けられている。第1の孔状部107A及び第2の孔状部109Aには、連結部材である連結ピン111Aが挿通可能である。バーユニット99Bの第2の連結端部103Bには、バーユニット99Aと同様に、連結部材である連結ピン111Bが挿通可能な第1の孔状部107B及び第2の孔状部109Bが設けられている。また、バーユニット99Cの第2の連結端部103Cには、連結部材である連結ピン111Cが挿通可能な孔状部(第2の孔状部)109Cが設けられている。
【0036】
また、第3のテンション部材97は、中継部材113を備える。第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態で、中継部材113は、第1のテンション部材61の第2の部材端部65と第3のテンション部材97のバーユニット99Aの第1の連結端部101Aとの間を中継可能である。中継部材113には、連結ピン111Dが挿通可能な第1の孔状部107D及び第2の孔状部109Dが設けられている。なお、本実施形態では中継部材113が設けられているがこれに限るものではない。例えば、第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態で、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が第3のテンション部材97のバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに直接的に連結可能であってもよい。
【0037】
第2のテンション部材93は、第1のリンク部115と、第1のリンク部115が上下方向に移動可能に取付けられるガイド部材117とを備える。第1のリンク部115には、孔状部116が設けられている。第1のリンク部115は、ブーム7の伸縮状態に対応して、第1のテンション部材61の第2の部材端部65又はバーユニット99A〜99Cのいずれか1つに選択的に連結される。第1のリンク部115の連結状態が変化することにより、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間へ継足されるバーユニット99A〜99Cの数が調整される。これにより、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整される。なお、本実施形態では第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、中継部材113を介して第1のリンク部115に連結可能であるが、これに限るものではない。例えば、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が、直接的に第1のリンク部115に連結可能であってもよい。この場合、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に、第3のテンション部材97が継足されない。
【0038】
図10及び図11に示すように、ガイド部材117には、ストッパ119が着脱されるストッパ着脱部121A,121B,121Dが設けられている。第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に中継部材113のみを継足した状態で作業を行う場合、バーユニット99A〜99Cは継足されない(図10参照)。この場合、ストッパ着脱部121Dにストッパ119が取付けられる。そして、第1のリンク部115の移動がストッパ119により規制され、第1のリンク部115は中継部材113に直接的に接続可能な位置に配置される。この際、孔状部116及び第2の孔状部109Dで連結ピン111Dが挿通され、第1のリンク部115は中継部材113に接続される。また、第1の孔状部107D及びバーユニット99Aの孔状部106Aには連結ピン111Dが挿入されていないため、中継部材113は隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに接続されていない。したがって、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに連結されていない。
【0039】
そして、図10の状態からブーム7をさらに伸長する場合には、バーユニット99Aを継足す必要がある(図11参照)。この場合、ストッパ119をストッパ着脱部121Dから取り外し、ストッパ着脱部121Aに取付ける。そして、第1のリンク部115の移動がストッパ119により規制され、第1のリンク部115はバーユニット99Aの第2の連結端部103Aに連結可能な位置に配置される。この際、孔状部116及び第2の孔状部109Aに連結ピン111Aが挿通され、第1のリンク部115はバーユニット99Aの第2の連結端部103Aに連結される。また、第1の孔状部107A及びバーユニット99Bの孔状部106Bには連結ピン111Aが挿入されていないため、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aは隣接するバーユニット99Bの第1の連結端部101Bに連結されていない。さらに、中継部材113の第1の孔状部107D及びバーユニット99Aの孔状部106Aには連結ピン111Dが挿入され、中継部材113は隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに接続されている。したがって、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに連結されている。以上のように、第1のテンション部材61の第2の部材端部65、第2のテンション部材93の第1のリンク部115及びバーユニット99Aの第2の連結端部103Aの連結状態を変化させることにより、バーユニット99Aが第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に継足される。
【0040】
図11の状態からブーム7をさらに伸長する場合には、バーユニット99B,99Cを継足す。バーユニット99B,99Cの継足しについては、バーユニット99Aを継足す場合と同様である。すなわち、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに選択的に連結される。また、それぞれのバーユニット99A,99Bの第2の連結端部103A,103Bは、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット(バーユニット99Aに隣接するバーユニットは99B、バーユニット99Bに隣接するバーユニットは99C)の第1の連結端部101B,101Cに選択的に連結される。さらに、バーユニット99Cの第2の連結端部103Cは、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115に連結された状態と連結されない状態との間で、連結状態が選択される。以上のように、第1のテンション部材61の第2の部材端部65、第2のテンション部材93の第1のリンク部115及びそれぞれのバーユニット99A〜99Cの第2の連結端部103A〜103Cの連結状態を変化させることにより、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間へ継足されるバーユニット99A〜99Cの数が調整される。これにより、ブーム7の伸縮状態に対応して、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整される。なお、本実施形態では、継足されるバーユニット99A〜99Cの数を0〜3個の範囲で調整可能である。
【0041】
図10及び図11に示すように、それぞれのバーユニット99A,99Bの第2の連結端部103A,103Bには、ストッパ123A,123Bが設けられている。また、中継部材113には、ストッパ123Dが設けられている。図12及び図13は、バーユニット99Aを格納する動作を説明する図である。図12及び図13は、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間にバーユニット99Aのみが継足された状態を示している。第3のテンション部材97のバーユニット99Aを格納ラック95に格納する際には、第2のテンション部材93の第1のリンク部115が、ストッパ着脱部121Aに取付けられたストッパ119に接触する。そして、ストッパ119を支点として第1のリンク部115が回動する(図12参照)。これにより、バーユニット99Aが格納ラック95に格納される。この際、第1の孔状部107Aとバーユニット99Bの孔状部106Bが略同軸となる状態に、ストッパ123Aによりバーユニット99Aの位置が規制されている(図13参照)。これにより、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aが第1の孔状部107Aで隣接するバーユニット99Bの第1の連結端部101Bに連結可能な状態で、バーユニット99Aが格納される。同様に、バーユニット99Bを格納ラック95に格納する際には、ストッパ123Bによりバーユニット99Bの位置が規制される。また、中継部材113を格納する際には、ストッパ123Dにより中継部材113の位置が規制されている。
【0042】
図8及び図9に示すように、第2のテンション部材93は、旋回体5に連結される第2のリンク部125を備える。第2のリンク部125は、第1のリンク部115から左右方向(本実施形態では外方向)に離れた状態で格納されている。第2のリンク部125には、バー部材126の一端が連結されている。バー部材126の他端には、バー部材127の一端が連結されている。第2のテンション部材93は、バー部材126とバー部材127との間の連結部で折畳み可能であり、バー部材126とバー部材127との間の連結部で折畳まれた状態で格納されている。第2のテンション部材93には、バー部材127とガイド部材117との間を連結する中継部材129が設けられている。すなわち、中継部材129は、第1のリンク部115と第2のリンク部125との間に設けられている。中継部材129は、左右方向に延設された状態で格納される。このため、第2のリンク部125は、第1のリンク部115から左右方向に離れた状態で格納される。なお、本実施形態では、第2のリンク部125は、旋回体5に連結されているが、ブーム7の基端部に連結されてもよい。また、第2のリンク部125は、第1のリンク部115から外方向に離れた状態で格納されているが、これに限るものではない。例えば、第2のリンク部125が、第1のリンク部115から内方向に離れた状態で格納されてもよい。
【0043】
図14及び図15は、中継部材129の格納状態を説明する図である。図14及び図15に示すように、旋回体5の格納ラック95には、ガイド部材131と、ローラ133と設けられている。中継部材129を格納する際には、バー部材127と中継部材129との間の連結部で、バー部材127がガイド部材131により案内される。これにより、バー部材127が格納ラック95と接触する。この際、中継部材129は、ローラ133に接触し、ローラ133により案内される。自重及びローラ133での案内により、中継部材129は、上下方向に延設される状態(図14参照)から左右方向に延設される状態(図15参照)まで、傾斜する。そして、左右方向に延設される状態で、中継部材129が格納される。
【0044】
次に、クレーン装置である移動式クレーン1の作用について説明する。以下、リアマスト25から旋回体5まで第2の左側テンションユニット39Aを張る作業について、説明する。なお、第2の右側テンションユニット39Bを張る作業については、第2の左側テンションユニット39Aと同一であるため、その説明は省略する。
【0045】
リアマスト25から旋回体5まで第2の左側テンションユニット39Aを張る際には、ブーム起伏シリンダ9によりブーム7を起状する。そして、昇降ユニット71により、リアマスト25に格納された状態(図4参照)からリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)へ、第1のテンション部材61の状態を変化させる。この際、リモコン(図示しない)等での遠隔操作により、伸縮シリンダ81を伸長する。これにより、可動シーブブロック85が固定シーブブロック83に対して移動し、固定シーブブロック83と可動シーブブロック85との間の寸法が小さくなる。固定シーブブロック83と可動シーブブロック85との間の寸法が小さくなることにより、繰出し部79からのワイヤロープ73の繰出し量が大きくなる。これにより、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が降下し、リアマスト25に格納された状態(図4参照)からリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)へ第1のテンション部材61の状態が変化する。
【0046】
一般にクレーン装置では、マスト(リアマスト25)に格納された状態(図4参照)とマスト(リアマスト25)から旋回体(5)へ向かって延設される状態(図3参照)との間で、テンション部材(第1のテンション部材61)の状態を変化させる昇降ユニット(71)は設けられていない。このため、ブーム7を伏状した状態で、リアマスト25から旋回体(5)又はブーム(7)の基端部までテンション部材(第2の左側テンションユニット39A、第2の右側テンションユニット39B)を張る。そして、マスト(リアマスト25)から旋回体(5)又はブーム(7)の基端部までテンション部材(第2の左側テンションユニット39A、第2の右側テンションユニット39B)を張った状態で、ブーム(7)を起状する。このため、ブーム(7)の起状により、テンション部材(第2の左側テンションユニット39A)が振動する。したがって、テンション部材(第2の左側テンションユニット39A)を張る作業において、危険性が増加し、作業性が低下する。
【0047】
特開平8−324971号公報には、ポスト(マスト)に伸縮シリンダを備えるクレーン装置が開示されている。このクレーン装置では、ポストの先端部にペンダントロープの一端が接続されている。ペンダントロープの他端は、ブライドルに接続されている。伸縮シリンダを収縮することにより、ペンダントロープがポスト側に引き込まれる。そして、ポストの先端部とブライドルとの間に、ペンダントロープが弛みなく張られる。
【0048】
しかし、特開平8−324971号公報では、ポスト(マスト)の先端部とブライドルとの間に張られるペンダントロープを引き込む構成のみ開示されている。すなわち、マスト(リアマスト25)に格納された状態とマスト(リアマスト25)から旋回体(5)へ向かって延設される状態との間で、テンション部材(第1のテンション部材61)の状態を変化させる構成は開示されていない。以上より、マスト(リアマスト25)から旋回体(5)又はブーム(7)の基端部までテンション部材(第2の左側テンションユニット39A、第2の右側テンションユニット39B)を張る作業において、危険性を低減し、作業性を向上させるクレーン装置を提供することが必要となる。
【0049】
そこで、本実施形態の移動式クレーン1では、第1のテンション部材61の第2の部材端部65にワイヤロープ73の第1のワイヤ端部75Aが接続されている。そして、第1のワイヤ端部75Aとは反対側の端部である第2のワイヤ端部75Bが繰出し部79に接続されている。繰出し部79でワイヤロープ73の繰出し量を調整することにより、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が昇降する。そして、リアマスト25に格納された状態(図4参照)とリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)との間で、第1のテンション部材61の状態が変化する。以上のように、第1のテンション部材61の状態を調整可能であるため、ブーム7を起状した状態でリアマスト25から旋回体5まで第2の左側テンションユニット39A(第2の右側テンションユニット39B)を張ることが可能となる。また、ブーム7を起状する際には、第1のテンション部材61はリアマスト25に格納されている。したがって、ブーム7の起状により、第1のテンション部材61が振動することもない。
【0050】
また、リアマスト25には、弾性部材であるバネ部材91が設けられている。第1のテンション部材61の状態を調整する際は、バネ部材91によりワイヤロープ73の弛みが防止され、ワイヤロープ73に張力が作用する状態が保持される。このため、ワイヤロープ73のブーム7等への絡みが有効に防止される。
【0051】
次に、第2の左側テンションユニット39Aにおいて、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さを調整する作業について説明する。なお、以下の説明では、第2の左側テンションユニット39Aについてのみ説明するが、第2の右側テンションユニット39Bについては、第2の左側テンションユニット39Aと同一であるため、その説明は省略する。
【0052】
移動式クレーン1では、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに選択的に連結される。また、それぞれのバーユニット99A,99Bの第2の連結端部103A,103Bは、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット(バーユニット99Aに隣接するバーユニットは99B、バーユニット99Bに隣接するバーユニットは99C)の第1の連結端部101B,101Cに選択的に連結される。さらに、バーユニット99Cの第2の連結端部103Cは、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115に連結された状態と連結されない状態との間で、連結状態が選択される。以上のように、第1のテンション部材61の第2の部材端部65、第2のテンション部材93の第1のリンク部115及びそれぞれのバーユニット99A〜99Cの第2の連結端部103A〜103Cの連結状態を変化させることにより、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間へ継足されるバーユニット99A〜99Cの数が調整される。これにより、ブーム7の伸縮状態に対応して、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整される。したがって、ブーム7を起状した状態で、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さを調整可能となる。
【0053】
図16乃至図19は、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間にバーユニット99Aのみが継足された第2の左側テンションユニット29Aを張る作業を示す図である。図16に示すように、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間にバーユニット99Aのみを継足す場合には、ストッパ119をストッパ着脱部121Aに取付ける。そして、第1のリンク部115の移動がストッパ119により規制され、第1のリンク部115はバーユニット99Aの第2の連結端部103Aに連結可能な位置に配置される。この際、孔状部116及び第2の孔状部109Aに連結ピン111Aが挿通され、第1のリンク部115はバーユニット99Aの第2の連結端部103Aに連結される。また、第1の孔状部107A及びバーユニット99Bの孔状部106Bには連結ピン111Aが挿入されていないため、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aは隣接するバーユニット99Bの第1の連結端部101Bに連結されていない。さらに、中継部材113の第1の孔状部107D及びバーユニット99Aの孔状部106Aには連結ピン111Dが挿入され、中継部材113は隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに接続されている。したがって、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに連結されている。以上のように、バーユニット99Aのみが第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に継足される(図11参照)。
【0054】
そして、図16の状態からブーム7を伸長すると、図17に示すように、第3のテンション部材97のバーユニット99Aが格納ラック95から取出され、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に張られる。この際、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aは隣接するバーユニット99Bの第1の連結端部101Bに連結されていないため、バーユニット99B,99Cは格納ラック95に格納された状態で残る。
【0055】
そして、図17の状態からブーム7を伸長すると、第2のテンション部材93が格納された状態からバーユニット99Aと旋回体5との間に張られる状態へ変化する。この際、図18に示すように、中継部材129は、上方に引張られ、左右方向に延設される状態(図15参照)から上下方向に延設される状態(図14参照)まで、回動する。中継部材129が上下方向に延設されることにより、第1のリンク部115及びガイド部材117が外方向に移動する。
【0056】
第1のリンク部115及びガイド部材117が外方向に移動した後、図19に示すように、第2のリンク部125及びバー部材126,127が格納された状態から張られる。ここで、中継部材129は、左右方向に延設された状態で格納される。このため、第2のリンク部125及びバー部材126,127は、第1のリンク部115から左右方向に離れた状態で格納される。したがって、第2のテンション部材93が張られる際に、第2のリンク部125及びバー部材126,127の格納ラック95及び格納ラック95に残ったバーユニット99B,99Cへの干渉が防止される。
【0057】
また、第2のテンション部材93及び第3のテンション部材97(バーユニット99A)格納する作業は、第2のテンション部材93及び第3のテンション部材97を張る作業と逆の手順により行われる。
【0058】
第2のテンション部材93の中継部材129を格納する際には、バー部材127と中継部材129との間の連結部で、バー部材127がガイド部材131により案内される。これにより、バー部材127が格納ラック95と接触する。この際、中継部材129は、ローラ133に接触し、ローラ133により案内される。自重及びローラ133での案内により、中継部材129は、上下方向に延設される状態(図14参照)から左右方向に延設される状態(図15参照)まで、傾斜する。ローラ133に案内されることにより、左右方向に延設される状態で中継部材129が格納することが容易となる。
【0059】
また、第3のテンション部材97のバーユニット99Aを格納ラック95に格納する際には、第2のテンション部材93の第1のリンク部115が、ストッパ着脱部121Aに取付けられたストッパ119に接触する。そして、ストッパ119を支点として第1のリンク部115が回動する(図12参照)。これにより、バーユニット99Aが格納ラック95に格納される。この際、第1の孔状部107Aとバーユニット99Bの孔状部106Bが略同軸となる状態に、ストッパ123Aによりバーユニット99Aの位置が規制されている(図13参照)。これにより、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aが第1の孔状部107Aで隣接するバーユニット99Bの第1の連結端部101Bに連結可能な状態で、バーユニット99Aが格納される。
【0060】
そこで、上記構成のクレーン装置である移動式クレーン1では、以下の効果を奏する。すなわち、移動式クレーン1では、第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5に向かって延設される状態で、第3のテンション部材97は第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に継足し可能である。第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さは、ブーム7の伸縮状態に対応して調整される。以上のように、第3のテンション部材97を継足す作業が行われるため、ブーム7を起状した状態で第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bの長さを調整することができる。したがって、第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bの長さを調整する作業効率を高めることができる。
【0061】
また、第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bでは、第1のテンション部材61は複数のテンションバー67を連結して形成され、第3のテンション部材97のそれぞれのバーユニット99A〜99Cは複数のバー部材105を連結してされている。このため、コストを増加させることなく左右方向の曲げモーメントに対するブーム7の強度を有効に向上させることができる。
【0062】
また、移動式クレーン1では、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに選択的に連結される。また、それぞれのバーユニット99A,99Bの第2の連結端部103A,103Bは、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット(バーユニット99Aに隣接するバーユニットは99B、バーユニット99Bに隣接するバーユニットは99C)の第1の連結端部101B,101Cに選択的に連結される。以上のように、第1のテンション部材61の第2の部材端部65、第2のテンション部材93の第1のリンク部115及びそれぞれのバーユニット99A,99Bの第2の連結端部103A,103Bの連結状態を変化させることにより、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間へ継足されるバーユニット99A〜99Cの数が調整される。これにより、ブーム7の伸縮状態に対応して、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整される。したがって、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整をより容易に行うことができる。
【0063】
また、移動式クレーン1では、第2のテンション部材93の中継部材129は、左右方向に延設された状態で格納される。このため、第2のテンション部材93では、第2のリンク部125は、第1のリンク部115から左右方向に離れた状態で格納される。したがって、第2のテンション部材93が張られる際に、第2のリンク部125の格納ラック95及び格納ラック95に残ったバーユニット(例えば99B,99C)への干渉を防止することができる。
【0064】
また、移動式クレーン1では、第1のテンション部材61の第2の部材端部65にワイヤロープ73の第1のワイヤ端部75Aが接続されている。そして、第1のワイヤ端部75Aとは反対側の端部である第2のワイヤ端部75Bが繰出し部79に接続されている。繰出し部79でワイヤロープ73の繰出し量を調整することにより、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が昇降する。そして、リアマスト25に格納された状態とリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態との間で、第1のテンション部材61の状態が変化する。以上のように、第1のテンション部材61の状態を調整可能であるため、ブーム7を起状した状態でリアマスト25から旋回体5まで第2の左側テンションユニット39A(第2の右側テンションユニット39B)を張ることができる。また、ブーム7を起状する際には、第1のテンション部材61はリアマスト25に格納されている。このため、ブーム7の起状により、第1のテンション部材61が振動することもない。したがって、第2の左側テンションユニット39A(第2の右側テンションユニット39B)を張る作業において、危険性を低減させ、作業性を向上させることができる。
【0065】
さらに、リアマスト25には、弾性部材であるバネ部材91が設けられている。第1のテンション部材61の状態を調整する際は、バネ部材91によりワイヤロープ73の弛みが防止され、ワイヤロープ73に張力が作用する状態が保持される。このため、ワイヤロープ73のブーム7等への絡みが有効に防止することができる。
【0066】
(変形例)
なお、第1の実施形態では、第1のリンク部115、ガイド部材117、中継部材129及びバー部材126,127は、旋回体5に一端が連結される第2のテンション部材93の一部であるが、これに限るものではない。例えば、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が、直接的に第2のリンク部125に連結可能であってもよい。この場合、第2のテンション部材(93)は、第2のリンク部125のみから構成される。そして、第1のリンク部115、ガイド部材117、中継部材129及びバー部材126,127は、ブーム4の伸縮状態に対応して第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への継足しの有無が調整される。すなわち、第1のリンク部115、ガイド部材117、中継部材129及びバー部材126,127は、第3のテンション部材(97)
の一部となる。
【0067】
また、第1の実施形態では、ミドルマスト17及びリアマスト25が設けられているが、これに限るものではない。例えば、図20に示すように、ミドルマスト17のみが設けられてもよい。この場合、左側テンションユニット141A及び右側テンションユニット141Bが、ミドルマスト17の先端部と旋回体5との間に張られる。そして、左側テンションユニット141A及び右側テンションユニット141Bは、第1の実施形態の第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bと同様に、第1のテンション部材61と、第2のテンション部材93と、第3のテンション部材97とを備える。
【0068】
また、第1の実施形態では、第1のテンション部材61がリアマスト25に格納された状態(図4参照)と第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)との間で、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が昇降する昇降ユニット71が設けられている。この昇降ユニット71は、第1の実施形態のようにブーム7が長手方向に伸縮する移動式クレーン1だけでなく、ブーム7が伸縮しないクレーン装置にも適用可能である。すなわち、昇降ユニット71が適用されるクレーン装置は、ブーム(7)又はブーム(7)の先端部に連結される別部材(例えばベースブラケット11)に基端部が連結されるマスト(25)を備えればよい。そして、昇降ユニット71により、テンション部材(61)はマスト(25)に格納された状態とマスト(25)から旋回体(5)に向かって延設される状態との間で状態が変化すればよい。
【0069】
さらに、第1の実施形態では、伸縮シリンダ81の伸縮に対応して固定シーブブロック83と可動シーブブロック85との間の寸法が変化することにより、繰出し部79からのワイヤロープ73の繰出し量が調整されるが、これに限るものではない。例えば、図21に示すように、繰出し部79がウインチ143を備えてもよい。この場合、ウインチ143により、繰出し部79からのワイヤロープ73の繰出し量が調整される。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。
【0071】
以下、本発明の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1)
旋回体と、
旋回体に基端部が連結されるブームと、
前記ブーム又は前記ブームの先端部に連結される別部材に基端部が連結されるマストと、
前記マストの先端部に連結される第1の部材端部と、前記第1の部材端部と反対側の端部である第2の部材端部とを備え、前記マストに格納された状態と前記マストから前記旋回体に向かって延設される状態との間で状態が変化するテンション部材と、
前記テンション部材の前記第2の部材端部に接続される第1のワイヤ端部と、前記第1のワイヤ端部とは反対側の端部である第2のワイヤ端部とを備えるワイヤロープと、
前記ワイヤロープの前記第2のワイヤ端部が接続され、前記ワイヤロープの繰出し量を調整することにより、前記第2の部材端部を昇降し、前記テンション部材の状態を変化させる繰出し部と、
を具備することを特徴とするクレーン装置。
【0072】
(付記項2)
伸縮可能な伸縮シリンダをさらに具備し、
前記繰出し部は、固定シーブブロックと、前記伸縮シリンダの伸縮に対応して前記固定シーブブロックに対して移動する可動シーブブロックとを備え、
前記ワイヤロープの前記第2のワイヤ端部は、前記固定シーブブロック及び前記可動シーブブロックのそれぞれに複数回ずつ交互に巻回され、
前記繰出し部は、前記固定シーブブロックと前記可動シーブブロックとの間の寸法の変化に対応して、前記ワイヤロープの繰出し量を調整することを特徴とする付記項1のクレーン装置。
【0073】
(付記項3)
前記ワイヤロープの弛みを防止し、前記ワイヤロープに張力が作用する状態を保持する弾性部材をさらに具備することを特徴とする付記項1又は付記項2のクレーン装置。
【符号の説明】
【0074】
1…移動式クレーン、5…旋回体、7…ブーム、11…ベースブラケット、13…ジブ、25…リアマスト、35A…第2の左側テンションユニット、35B…第2の右側テンションユニット、61…第1のテンション部材、93…第2のテンション部材、95…格納ラック、97…第3のテンション部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に伸縮可能なブームを備えるクレーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、長手方向に伸縮可能なブームを備えるクレーン装置では、最伸長状態でのブームの長手方向の寸法は大きくなる。このため、最伸長状態のブームでは、例えば旋回時の水平動荷重、風による荷重により、ブームに加わる左右方向の曲げモーメントが大きくなる。したがって、このようなクレーン装置では、左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度を高めることが必要となる。
【0003】
特許文献1には、左側マストの基端部及び右側マストの基端部が伸縮可能なブームの先端部に連結されたクレーン装置が開示されている。このクレーン装置では、旋回体に設けられたウインチからテンション部材である左側ワイヤロープ及び右側ワイヤロープが繰り出される。ブームを起状して作業を行う際に、ウインチから繰り出された左側ワイヤロープが左側マストの先端部に接続され、ウインチから繰り出された右側ワイヤロープが右側マストの先端部に接続されている。以上のような構成にすることにより、左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度が高められる。
【0004】
特許文献2には、左側マストの基端部及び右側マストの基端部が伸縮可能なブームに連結されたクレーン装置が開示されている。このクレーン装置では、ブームを起状して作業を行う際に、第1の左側テンション部材が左側マストの先端部からブームの基端部まで延設され、第1の右側テンション部材が右側マストの先端部からブームの基端部まで延設されている。また、第2の左側テンション部材が左側マストの先端部からブームの先端部まで延設され、第2の右側テンション部材が右側マストの先端部からブームの先端部まで延設されている。以上のような構成にすることにより、左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度が高められる。第1の左側テンション部材及び第1の右側テンション部材は、複数のテンションロッドを連結して形成され、テンションロッド同士の間の連結部で折畳み可能である。また、第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材を、第1の左側テンション部材及び第1の右側テンション部材と同様に、複数のテンションロッドを連結して形成する構成も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−273530号公報
【特許文献2】特開2008−120525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のクレーン装置では、ブームの伸縮状態に対応させてウインチを操作することにより、ウインチからの左側ワイヤロープの繰出し量及び右側ワイヤロープの繰出し量を調整している。このため、ウインチを駆動する油圧モータ等が必要となり、コストが増加し、油圧モータのメンテナンス等も必要となる。また、このクレーン装置では、左側ワイヤロープ又は右側ワイヤロープの伸びにより、左側ワイヤロープの張力と右側ワイヤロープの張力とが不均一になる場合がある。左側ワイヤロープの張力と右側ワイヤロープの張力とが不均一になることにより、左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度が低下してしまう。
【0007】
上記特許文献2のクレーン装置では、第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材を複数のテンションロッドを連結して形成することにより、第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材に伸びは発生しない。このため、第2の左側テンション部材の張力と第2の右側テンション部材の張力とは均一に保たれる。しかし、このクレーン装置では、ブームの伸縮状態に対応させて第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材で連結するテンションロッドの数を調整し、第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材の長さを調整している。ブームを起状した際には、第2の左側テンション部材が連結される左側マスト及びブームの先端部は、地上から上方向に離れた高い位置に位置している。同様に、ブームを起状した際には、第2の右側テンション部材が連結される右側マスト及びブームの先端部は、地上から上方向に離れた高い位置に位置している。このため、ブームの伸縮状態に対応して第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材の長さを調整する際には、ブームの先端部が地上の近傍に位置する状態までブームを伏状して行う必要がある。したがって、第2の左側テンション部材及び第2の右側テンション部材の長さを調整する作業効率が低下する。
【0008】
本発明は上記課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、コストを増加させることなく左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度を有効に向上させ、かつ、テンション部材の長さを調整する作業効率が高いクレーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のある態様では、格納ラックを備える旋回体と、前記旋回体に基端部が連結され、長手方向に伸縮可能なブームと、前記ブーム又は前記ブームの先端部に連結される別部材に基端部が連結され、前記ブームの伸縮に対応して前記ブームの前記長手方向に移動するマストと、前記マストの先端部に連結される第1の部材端部と、前記第1の部材端部とは反対側の端部である第2の部材端部とを備える第1のテンション部材と、前記ブームの前記基端部又は前記旋回体に一端が連結される第2のテンション部材と、前記旋回体の前記格納ラックに格納され、前記第1のテンション部材が前記マストから前記旋回体に向かって延設される状態で前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間に継足し可能な第3のテンション部材であって、前記ブームの伸縮状態に対応して前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間への継足しの有無及び継足される長さが調整される第3のテンション部材と、を備えるクレーン装置を提供する。
【0010】
このクレーン装置では、前記第3のテンション部材は、バーユニットを備え、前記第2のテンション部材は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第1のテンション部材の前記第2の部材端部、又は、前記バーユニットのいずれか1つに選択的に連結される第1のリンク部を備え、前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間へ継足される前記バーユニットの数により、前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間への前記第3のテンション部材の継足しの有無及び継足される長さが調整されることが好ましい。この場合、それぞれの前記バーユニットは、第1の連結端部と、前記第1の連結端部とは反対側の端部である第2の連結端部とを備え、前記第1のテンション部材の前記第2の部材端部は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第2のテンション部材の前記第1のリンク部、又は、隣接する前記バーユニットの前記第1の連結端部に選択的に連結され、それぞれの前記バーユニットの前記第2の連結端部は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第2のテンション部材の前記第1のリンク部、又は、隣接する前記バーユニットの前記第1の連結端部に選択的に連結されることが好ましい。
【0011】
また、このクレーン装置では、前記第2のテンション部材は、前記旋回体又は前記ブームの基端部に連結され、前記第1のリンク部から左右方向に離れた状態で格納される第2のリンク部と、前記第1のリンク部と前記第2のリンク部との間に設けられ、前記左右方向に延設された状態で格納される中継部材とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コストを増加させることなく左右方向の曲げモーメントに対するブームの強度を有効に向上させ、かつ、テンション部材の長さを調整する作業効率が高いクレーン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動式クレーンを概略的に示す側面図。
【図2】第1の実施形態に係る移動式クレーンを一部省略して示す斜視図。
【図3】第1の実施形態に係る移動式クレーンのブーム及びリアマストの構成を示す斜視図。
【図4】第1の実施形態に係る移動式クレーンのリアマストの構成を示す斜視図。
【図5】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第1のテンション部材が、リアマストに格納された状態からリアマストから旋回体に向かって延設される状態へ変化する途中の状態を示す斜視図。
【図6】第1の実施形態に係る移動式クレーンのリアマストの昇降ユニットの構成を示す斜視図。
【図7】第1の実施形態に係る移動式クレーンの旋回体の構成を示す斜視図。
【図8】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第2のテンション部材、第3のテンション部材及び格納ラックの構成を示す斜視図。
【図9】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第2のテンション部材及び第3のテンション部材の構成を示す斜視図。
【図10】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、第1のテンション部材と第2のテンション部材との間に第3のテンションユニットのバーユニットが継足れていない状態を示す側面図。
【図11】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、第1のテンション部材と第2のテンション部材との間に第3のテンションユニットのバーユニットが1つのみ継足された状態を示す側面図。
【図12】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第3のテンション部材のそれぞれのバーユニットの格納動作を説明する側面図。
【図13】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第3のテンション部材のそれぞれのバーユニットの格納ラックへ格納された状態を説明する側面図。
【図14】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第2のテンション部材の中継部材の格納動作を説明する背面図。
【図15】第1の実施形態に係る移動式クレーンの第2のテンション部材の中継部材の格納された状態を説明する背面図。
【図16】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、第1のテンション部材と第2のテンション部材との間に格納されたバーユニットを1つのみ継足した状態を示す側面図。
【図17】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、図16で継足されたバーユニットが格納ラックから取出される動作を示す側面図。
【図18】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、図17で左右方向に延設された状態の第2のテンション部材の中継部材が、上下方向に延設されるまで回動した状態を示す側面図。
【図19】第1の実施形態に係る移動式クレーンで、図18で格納された状態の第2のテンション部材のバー部材及び第2のリンク部が、張られる動作を示す側面図。
【図20】第1の実施形態の変形例に係る移動式クレーンを一部省略して示す斜視図。
【図21】第1の実施形態の図20とは別の変形例に係る移動式クレーンのリアマストの昇降ユニットの構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図19を参照して説明する。
【0015】
図1及び図2は、クレーン装置である移動式クレーン1の構成を示す図である。図1及び図2に示すように、移動式クレーン1は、車体3と、車体3に対して旋回可能に搭載される旋回体5とを備える。旋回体5には、ブーム7の基端部が連結されている。また、移動式クレーン1は、ブーム7を旋回体5に対して起伏させるブーム起伏シリンダ9を備える。ブーム起伏シリンダ9は、一端が旋回体5に連結され、他端がブーム7に連結されている。ブーム起伏シリンダ9を伸縮することにより、ブーム7が起伏動作を行う。
【0016】
ブーム7は長手方向に伸縮可能である。ブーム7の先端部には、ベースブラケット11の基端部が固定された状態で連結されている。また、ベースブラケット11の先端部には、ジブ13の基端部が連結されている。ジブ13は、ベースブラケット11との連結部を回動軸として、ブーム7及びベースブラケット11に対して回動可能である。ブーム7及びベースブラケット11に対してジブ13が回動することにより、ブーム7に対するジブ13のオフセット角が調整される。
【0017】
ジブ13の基端部には、フロントマスト15の基端部が連結されている。フロントマスト15は、ジブ13との連結部を回動軸として、ブーム7及びベースブラケット11に対して回動可能である。なお、本実施形態ではフロントマスト15はジブ13の基端部に連結されているが、ベースブラケット11の先端部に連結されてもよい。
【0018】
ベースブラケット11の先端部には、ミドルマスト17の基端部が連結されている。ミドルマスト17は、ベースブラケット11との連結部を回動軸として、ブーム7及びベースブラケット11に対して回動可能である。なお、本実施形態ではミドルマスト17はベースブラケット11の先端部に連結されているが、フロントマスト15より後方方向側に位置する構成であれば、ジブ13の基端部に連結されてもよい。また、本実施形態では、フロントマスト15の回動軸とミドルマスト17の回動軸は別であるが、フロントマスト15の回動軸とミドルマスト17の回動軸とが同一であってもよい。
【0019】
フロントマスト15の先端部には、第1の左側ペンダントロープ19Aの一端及び第1の右側ペンダントロープ19Bの一端が接続されている。第1の左側ペンダントロープ19Aの他端及び第1の右側ペンダントロープ19Bの他端は、ジブ13の先端部に接続されている。また、フロントマスト15の先端部には、第2の左側ペンダントロープ21Aの一端及び第2の右側ペンダントロープ21Bの一端が接続されている。第2の左側ペンダントロープ21Aの他端及び第2の右側ペンダントロープ21Bの他端は、ジブ13に接続されている。ジブ13をブーム7に対するオフセット角を調整する際には、第1の左側ペンダントロープ19A、第1の右側ペンダントロープ19B、第2の左側ペンダントロープ21A及び第2の右側ペンダントロープ21Bのペンダント部材を介して、フロントマスト15はジブ13を支持している。以上のような構成にすることにより、ジブ13、フロントマスト15、ペンダント部材(19A,19B,21A,21B)がブーム7及びベースブラケット11に対して一体に回動する。
【0020】
また、ベースブラケット11の先端部には、ストッパ23が設けられている。ジブ13がストッパ23に突当ることにより、ジブ13、フロントマスト15及びペンダント部材(19A,19B,21A,21B)のミドルマスト17が位置する方向への回動が規制される。
【0021】
また、ブーム7の先端部には、リアマスト25の基端部が連結されている。リアマスト25は、ブーム7の伸縮に対応してブーム7の長手方向に移動する。また、リアマスト25は、ブーム7との連結部を回動軸として、ブーム7及びベースブラケット11に対して回動可能である。なお、本実施形態ではリアマスト25はブーム7の先端部に連結されているが、ミドルマスト17より後方方向側に位置する構成であれば、ベースブラケット11の基端部に連結されてもよい。すなわち、リアマスト25は、ブーム7又はブーム7の先端部に連結される別部材(例えばベースブラケット11)に基端部が連結され、ブーム7の伸縮に対応してブーム7の長手方向に移動すればよい。
【0022】
フロントマスト15の先端部には第1の滑車ユニット27Aが設けられ、ミドルマスト17の先端部には第2の滑車ユニット27Bが設けられている。また、リアマスト25の先端部には、シーブ29が設けられている。旋回体5には、ウインチ31が設けられている。ウインチ31には、ジブ13の起伏に用いられるロープ33の一端が巻回されている。ロープ33は、シーブ29により第1の滑車ユニット27A及び第2の滑車ユニット27Bに導かれる。そして、ロープ33の他端は、第1の滑車ユニット27A及び第2の滑車ユニット27Bのそれぞれに複数回ずつ交互に掛回される。以上のような構成にすることにより、ウインチ31からのロープ33の繰出し量を調整することによって、フロントマスト15がブーム7及びミドルマスト17に対して回動し、フロントマスト15とミドルマスト17との間の角度が調整される。ここで、ジブ13はフロントマスト15と一体に回動する。このため、フロントマスト15が回動することにより、ジブ13がブーム7及びミドルマスト17に対して回動し、ジブ13のブーム7に対するオフセット角が調整される。
【0023】
また、ミドルマスト17の先端部には、第1の左側テンションユニット35Aの一端及び第1の右側テンションユニット35Bの一端が連結されている。第1の左側テンションユニット35Aの他端及び第1の右側テンションユニット35Bの他端は、リアマスト25の先端部に連結されている。第1の左側テンションユニット35A及び第1の右側テンションユニット35Bは、複数のテンションバー37を連結して形成されている。第1の左側テンションユニット35A及び第1の右側テンションユニット35Bは、テンションバー37同士の間の連結部で折畳み可能である。
【0024】
また、リアマスト25の先端部には、第2の左側テンションユニット39Aの一端及び第2の右側テンションユニット39Bの一端が連結されている。第2の左側テンションユニット39Aの他端及び第2の右側テンションユニット39Bの他端は、旋回体5に連結されている。ミドルマスト17、リアマスト25、第1の左側テンションユニット35A、第1の右側テンションユニット35B、第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bを設けることにより、左右方向の曲げモーメントに対するブーム7及びベースブラケット11の強度が高められる。なお、本実施形態では第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bは旋回体5に連結されているが、第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bはブーム7の基端部に連結されてもよい。
【0025】
また、ジブ13の先端部には、トップシーブ41及びルースタシーブ43が設けられている。ジブ13の基端部にはシーブ45が設けられ、リアマスト25にはシーブ47が設けられている。また、旋回体5にはウインチ49が設けられている。ウインチ49には、第1の吊上げロープ51Aの一端及び第2の吊上げロープ51Bの一端が巻回されている。第1の吊上げロープ51Aは、シーブ47、シーブ45及びトップシーブ41に掛けられ、他端がメインフック53に接続されている。ウインチ49からの第1の吊上げロープ51Aの繰出し量により、メインフック53の位置が調整される。第2の吊上げロープ51Bは、シーブ47、シーブ45及びルースタシーブ43に掛けられ、他端がサブフック55に接続されている。ウインチ49からの第2の吊上げロープ51Bの繰出し量により、サブフック55の位置が調整される。
【0026】
以下、第2の左側テンションユニット39Aの構成について説明する。なお、第2の右側テンションユニット39Bについては、第2の左側テンションユニット39Aと同一の構成及び機能を有するため、第2の左側テンションユニット39Aと同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0027】
図3は、ブーム7及びリアマスト25を示す図である。図3に示すように、第2の左側テンションユニット39Aは、第1のテンション部材61を備える。第1のテンション部材61は、リアマスト25の先端部に連結される第1の部材端部63と、第1の部材端部63と反対側の端部である第2の部材端部65とを備える。第1のテンション部材61は、複数のテンションバー67を連結して形成され、テンションバー67同士の間の連結部で折畳み可能である。
【0028】
図4は、リアマスト25の構成を示す図である。図4に示すように、リアマスト25は複数の格納ブラケット69を備える。第1のテンション部材61は、格納ブラケット69により支持された状態で、リアマスト25に格納される。第1のテンション部材61がリアマスト25に格納された際には、テンションバー67同士の間の連結部の中の1つの連結部で、第1のテンション部材61が折畳まれている。
【0029】
リアマスト25には、昇降ユニット71が設けられている。昇降ユニット71により、第1のテンション部材61がリアマスト25に格納された状態(図4参照)と第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)との間で、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が昇降する。図6は、昇降ユニット71の構成を示す図である。図4及び図6に示すように、昇降ユニット71は、ワイヤロープ73を備える。ワイヤロープ73は、第1のテンション部材61の第2の部材端部65に接続される第1のワイヤ端部75Aを備える。ワイヤロープ73は、リアマスト25に設けられるシーブ77に掛けられ、第1のワイヤ端部75Aとは反対側の端部である第2のワイヤ端部75Bが昇降ユニット71の繰出し部79に接続されている。昇降ユニット71は、リアマスト25に取付けられる伸縮シリンダ81を備える。繰出し部79は、固定シーブブロック83と、伸縮シリンダ81の伸縮に対応して固定シーブブロック83に対して移動する可動シーブブロック85とを備える。伸縮シリンダ81の最伸長した状態では可動シーブブロック85は図6の位置A1に位置し、伸縮シリンダ81の最収縮した状態では可動シーブブロック85は図6の位置A2に位置している。ワイヤロープ73の第2のワイヤ端部75Bは、固定シーブブロック83及び可動シーブブロック85のそれぞれに複数回ずつ交互に掛け回され、リアマスト25のワイヤ固定部材87に固定されている。
【0030】
以上のような構成にすることにより、伸縮シリンダ81の伸縮に対応して可動シーブブロック85が固定シーブブロック83に対して移動し、固定シーブブロック83と可動シーブブロック85との間の寸法が変化する。伸縮シリンダ81の伸縮は、リモコン(図示しない)等での遠隔操作により行われる。固定シーブブロック83と可動シーブブロック85との間の寸法の変化により、繰出し部79からのワイヤロープ73の繰出し量が調整される。ワイヤロープ73の繰出し量を調整することにより、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が移動し、リアマスト25に格納された状態(図4参照)とリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)との間で第1のテンション部材61の状態が変化する。なお、図5は、リアマスト25に格納された状態(図4参照)からリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)へ第1のテンション部材61が変化する途中の状態を示している。
【0031】
図6に示すように、リアマスト25には、ガイド部材89が取付けられている。ガイド部材89には、ワイヤ固定部材87が移動可能に取付けられている。また、ワイヤ固定部材87には、弾性部材であるバネ部材91の一端が取付けられている。バネ部材91の他端は、リアマスト25に固定されている。以上のような構成にすることにより、バネ部材91によりワイヤロープ73の弛みが防止され、ワイヤロープ73に張力が作用する状態が保持される。
【0032】
図7は、旋回体5の構成を示す図である。図7に示すように、第2の左側テンションユニット39Aは、一端が旋回体5に連結される第2のテンション部材93を備える。また、旋回体5は、格納ラック95を備える。第2の左側テンションユニット39Aは、格納ラック95に格納される第3のテンション部材97を備える。格納ラック95は、第3のテンション部材97の前後方向及び左右方向への移動を規制するガイド部材98を備える。第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5に向かって延設される状態で、第3のテンション部材97は第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に継足し可能である。第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さは、ブーム7の伸縮状態に対応して調整される。なお、本実施形態では、第2のテンション部材93の一端が旋回体5に連結されているが、第2のテンション部材93の一端がブーム7の基端部に連結されてもよい。
【0033】
図8及び図9は、第2のテンション部材93及び第3のテンション部材97の構成を示す図である。図8及び図9に示すように、第3のテンション部材97は、(本実施形態では3つ)のバーユニット99A〜99Cを備える。それぞれのバーユニット99A〜99Cは、第1の連結端部101A〜101Cと、第1の連結端部101A〜101Cとは反対側の端部である第2の連結端部103A〜103Cとを備える。それぞれのバーユニット99A〜99Cは、複数のバー部材105を連結して形成され、バー部材105同士の間の連結部で折畳み可能である。格納ラック95に第3のテンション部材97が格納された状態では、それぞれのバーユニット99A〜99Cはバー部材105同士の間の連結部の中の1つの連結部で折畳まれている。
【0034】
図10及び図11は、それぞれのバーユニット99A〜99Cの第2の連結端部103A〜103Bの連結状態を説明する図である。図10及び図11に示すように、バーユニット99Aの第1の連結端部101Aには、孔状部106Aが設けられている。同様に、バーユニット99Bの第1の連結端部101Bには孔状部106Bが、バーユニット99Cの第1の連結端部101Cには孔状部106Cが設けられている。
【0035】
また、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aには、第1の孔状部107Aと、第2の孔状部109Aとが設けられている。第1の孔状部107A及び第2の孔状部109Aには、連結部材である連結ピン111Aが挿通可能である。バーユニット99Bの第2の連結端部103Bには、バーユニット99Aと同様に、連結部材である連結ピン111Bが挿通可能な第1の孔状部107B及び第2の孔状部109Bが設けられている。また、バーユニット99Cの第2の連結端部103Cには、連結部材である連結ピン111Cが挿通可能な孔状部(第2の孔状部)109Cが設けられている。
【0036】
また、第3のテンション部材97は、中継部材113を備える。第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態で、中継部材113は、第1のテンション部材61の第2の部材端部65と第3のテンション部材97のバーユニット99Aの第1の連結端部101Aとの間を中継可能である。中継部材113には、連結ピン111Dが挿通可能な第1の孔状部107D及び第2の孔状部109Dが設けられている。なお、本実施形態では中継部材113が設けられているがこれに限るものではない。例えば、第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態で、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が第3のテンション部材97のバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに直接的に連結可能であってもよい。
【0037】
第2のテンション部材93は、第1のリンク部115と、第1のリンク部115が上下方向に移動可能に取付けられるガイド部材117とを備える。第1のリンク部115には、孔状部116が設けられている。第1のリンク部115は、ブーム7の伸縮状態に対応して、第1のテンション部材61の第2の部材端部65又はバーユニット99A〜99Cのいずれか1つに選択的に連結される。第1のリンク部115の連結状態が変化することにより、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間へ継足されるバーユニット99A〜99Cの数が調整される。これにより、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整される。なお、本実施形態では第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、中継部材113を介して第1のリンク部115に連結可能であるが、これに限るものではない。例えば、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が、直接的に第1のリンク部115に連結可能であってもよい。この場合、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に、第3のテンション部材97が継足されない。
【0038】
図10及び図11に示すように、ガイド部材117には、ストッパ119が着脱されるストッパ着脱部121A,121B,121Dが設けられている。第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に中継部材113のみを継足した状態で作業を行う場合、バーユニット99A〜99Cは継足されない(図10参照)。この場合、ストッパ着脱部121Dにストッパ119が取付けられる。そして、第1のリンク部115の移動がストッパ119により規制され、第1のリンク部115は中継部材113に直接的に接続可能な位置に配置される。この際、孔状部116及び第2の孔状部109Dで連結ピン111Dが挿通され、第1のリンク部115は中継部材113に接続される。また、第1の孔状部107D及びバーユニット99Aの孔状部106Aには連結ピン111Dが挿入されていないため、中継部材113は隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに接続されていない。したがって、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに連結されていない。
【0039】
そして、図10の状態からブーム7をさらに伸長する場合には、バーユニット99Aを継足す必要がある(図11参照)。この場合、ストッパ119をストッパ着脱部121Dから取り外し、ストッパ着脱部121Aに取付ける。そして、第1のリンク部115の移動がストッパ119により規制され、第1のリンク部115はバーユニット99Aの第2の連結端部103Aに連結可能な位置に配置される。この際、孔状部116及び第2の孔状部109Aに連結ピン111Aが挿通され、第1のリンク部115はバーユニット99Aの第2の連結端部103Aに連結される。また、第1の孔状部107A及びバーユニット99Bの孔状部106Bには連結ピン111Aが挿入されていないため、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aは隣接するバーユニット99Bの第1の連結端部101Bに連結されていない。さらに、中継部材113の第1の孔状部107D及びバーユニット99Aの孔状部106Aには連結ピン111Dが挿入され、中継部材113は隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに接続されている。したがって、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに連結されている。以上のように、第1のテンション部材61の第2の部材端部65、第2のテンション部材93の第1のリンク部115及びバーユニット99Aの第2の連結端部103Aの連結状態を変化させることにより、バーユニット99Aが第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に継足される。
【0040】
図11の状態からブーム7をさらに伸長する場合には、バーユニット99B,99Cを継足す。バーユニット99B,99Cの継足しについては、バーユニット99Aを継足す場合と同様である。すなわち、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに選択的に連結される。また、それぞれのバーユニット99A,99Bの第2の連結端部103A,103Bは、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット(バーユニット99Aに隣接するバーユニットは99B、バーユニット99Bに隣接するバーユニットは99C)の第1の連結端部101B,101Cに選択的に連結される。さらに、バーユニット99Cの第2の連結端部103Cは、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115に連結された状態と連結されない状態との間で、連結状態が選択される。以上のように、第1のテンション部材61の第2の部材端部65、第2のテンション部材93の第1のリンク部115及びそれぞれのバーユニット99A〜99Cの第2の連結端部103A〜103Cの連結状態を変化させることにより、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間へ継足されるバーユニット99A〜99Cの数が調整される。これにより、ブーム7の伸縮状態に対応して、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整される。なお、本実施形態では、継足されるバーユニット99A〜99Cの数を0〜3個の範囲で調整可能である。
【0041】
図10及び図11に示すように、それぞれのバーユニット99A,99Bの第2の連結端部103A,103Bには、ストッパ123A,123Bが設けられている。また、中継部材113には、ストッパ123Dが設けられている。図12及び図13は、バーユニット99Aを格納する動作を説明する図である。図12及び図13は、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間にバーユニット99Aのみが継足された状態を示している。第3のテンション部材97のバーユニット99Aを格納ラック95に格納する際には、第2のテンション部材93の第1のリンク部115が、ストッパ着脱部121Aに取付けられたストッパ119に接触する。そして、ストッパ119を支点として第1のリンク部115が回動する(図12参照)。これにより、バーユニット99Aが格納ラック95に格納される。この際、第1の孔状部107Aとバーユニット99Bの孔状部106Bが略同軸となる状態に、ストッパ123Aによりバーユニット99Aの位置が規制されている(図13参照)。これにより、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aが第1の孔状部107Aで隣接するバーユニット99Bの第1の連結端部101Bに連結可能な状態で、バーユニット99Aが格納される。同様に、バーユニット99Bを格納ラック95に格納する際には、ストッパ123Bによりバーユニット99Bの位置が規制される。また、中継部材113を格納する際には、ストッパ123Dにより中継部材113の位置が規制されている。
【0042】
図8及び図9に示すように、第2のテンション部材93は、旋回体5に連結される第2のリンク部125を備える。第2のリンク部125は、第1のリンク部115から左右方向(本実施形態では外方向)に離れた状態で格納されている。第2のリンク部125には、バー部材126の一端が連結されている。バー部材126の他端には、バー部材127の一端が連結されている。第2のテンション部材93は、バー部材126とバー部材127との間の連結部で折畳み可能であり、バー部材126とバー部材127との間の連結部で折畳まれた状態で格納されている。第2のテンション部材93には、バー部材127とガイド部材117との間を連結する中継部材129が設けられている。すなわち、中継部材129は、第1のリンク部115と第2のリンク部125との間に設けられている。中継部材129は、左右方向に延設された状態で格納される。このため、第2のリンク部125は、第1のリンク部115から左右方向に離れた状態で格納される。なお、本実施形態では、第2のリンク部125は、旋回体5に連結されているが、ブーム7の基端部に連結されてもよい。また、第2のリンク部125は、第1のリンク部115から外方向に離れた状態で格納されているが、これに限るものではない。例えば、第2のリンク部125が、第1のリンク部115から内方向に離れた状態で格納されてもよい。
【0043】
図14及び図15は、中継部材129の格納状態を説明する図である。図14及び図15に示すように、旋回体5の格納ラック95には、ガイド部材131と、ローラ133と設けられている。中継部材129を格納する際には、バー部材127と中継部材129との間の連結部で、バー部材127がガイド部材131により案内される。これにより、バー部材127が格納ラック95と接触する。この際、中継部材129は、ローラ133に接触し、ローラ133により案内される。自重及びローラ133での案内により、中継部材129は、上下方向に延設される状態(図14参照)から左右方向に延設される状態(図15参照)まで、傾斜する。そして、左右方向に延設される状態で、中継部材129が格納される。
【0044】
次に、クレーン装置である移動式クレーン1の作用について説明する。以下、リアマスト25から旋回体5まで第2の左側テンションユニット39Aを張る作業について、説明する。なお、第2の右側テンションユニット39Bを張る作業については、第2の左側テンションユニット39Aと同一であるため、その説明は省略する。
【0045】
リアマスト25から旋回体5まで第2の左側テンションユニット39Aを張る際には、ブーム起伏シリンダ9によりブーム7を起状する。そして、昇降ユニット71により、リアマスト25に格納された状態(図4参照)からリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)へ、第1のテンション部材61の状態を変化させる。この際、リモコン(図示しない)等での遠隔操作により、伸縮シリンダ81を伸長する。これにより、可動シーブブロック85が固定シーブブロック83に対して移動し、固定シーブブロック83と可動シーブブロック85との間の寸法が小さくなる。固定シーブブロック83と可動シーブブロック85との間の寸法が小さくなることにより、繰出し部79からのワイヤロープ73の繰出し量が大きくなる。これにより、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が降下し、リアマスト25に格納された状態(図4参照)からリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)へ第1のテンション部材61の状態が変化する。
【0046】
一般にクレーン装置では、マスト(リアマスト25)に格納された状態(図4参照)とマスト(リアマスト25)から旋回体(5)へ向かって延設される状態(図3参照)との間で、テンション部材(第1のテンション部材61)の状態を変化させる昇降ユニット(71)は設けられていない。このため、ブーム7を伏状した状態で、リアマスト25から旋回体(5)又はブーム(7)の基端部までテンション部材(第2の左側テンションユニット39A、第2の右側テンションユニット39B)を張る。そして、マスト(リアマスト25)から旋回体(5)又はブーム(7)の基端部までテンション部材(第2の左側テンションユニット39A、第2の右側テンションユニット39B)を張った状態で、ブーム(7)を起状する。このため、ブーム(7)の起状により、テンション部材(第2の左側テンションユニット39A)が振動する。したがって、テンション部材(第2の左側テンションユニット39A)を張る作業において、危険性が増加し、作業性が低下する。
【0047】
特開平8−324971号公報には、ポスト(マスト)に伸縮シリンダを備えるクレーン装置が開示されている。このクレーン装置では、ポストの先端部にペンダントロープの一端が接続されている。ペンダントロープの他端は、ブライドルに接続されている。伸縮シリンダを収縮することにより、ペンダントロープがポスト側に引き込まれる。そして、ポストの先端部とブライドルとの間に、ペンダントロープが弛みなく張られる。
【0048】
しかし、特開平8−324971号公報では、ポスト(マスト)の先端部とブライドルとの間に張られるペンダントロープを引き込む構成のみ開示されている。すなわち、マスト(リアマスト25)に格納された状態とマスト(リアマスト25)から旋回体(5)へ向かって延設される状態との間で、テンション部材(第1のテンション部材61)の状態を変化させる構成は開示されていない。以上より、マスト(リアマスト25)から旋回体(5)又はブーム(7)の基端部までテンション部材(第2の左側テンションユニット39A、第2の右側テンションユニット39B)を張る作業において、危険性を低減し、作業性を向上させるクレーン装置を提供することが必要となる。
【0049】
そこで、本実施形態の移動式クレーン1では、第1のテンション部材61の第2の部材端部65にワイヤロープ73の第1のワイヤ端部75Aが接続されている。そして、第1のワイヤ端部75Aとは反対側の端部である第2のワイヤ端部75Bが繰出し部79に接続されている。繰出し部79でワイヤロープ73の繰出し量を調整することにより、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が昇降する。そして、リアマスト25に格納された状態(図4参照)とリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)との間で、第1のテンション部材61の状態が変化する。以上のように、第1のテンション部材61の状態を調整可能であるため、ブーム7を起状した状態でリアマスト25から旋回体5まで第2の左側テンションユニット39A(第2の右側テンションユニット39B)を張ることが可能となる。また、ブーム7を起状する際には、第1のテンション部材61はリアマスト25に格納されている。したがって、ブーム7の起状により、第1のテンション部材61が振動することもない。
【0050】
また、リアマスト25には、弾性部材であるバネ部材91が設けられている。第1のテンション部材61の状態を調整する際は、バネ部材91によりワイヤロープ73の弛みが防止され、ワイヤロープ73に張力が作用する状態が保持される。このため、ワイヤロープ73のブーム7等への絡みが有効に防止される。
【0051】
次に、第2の左側テンションユニット39Aにおいて、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さを調整する作業について説明する。なお、以下の説明では、第2の左側テンションユニット39Aについてのみ説明するが、第2の右側テンションユニット39Bについては、第2の左側テンションユニット39Aと同一であるため、その説明は省略する。
【0052】
移動式クレーン1では、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに選択的に連結される。また、それぞれのバーユニット99A,99Bの第2の連結端部103A,103Bは、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット(バーユニット99Aに隣接するバーユニットは99B、バーユニット99Bに隣接するバーユニットは99C)の第1の連結端部101B,101Cに選択的に連結される。さらに、バーユニット99Cの第2の連結端部103Cは、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115に連結された状態と連結されない状態との間で、連結状態が選択される。以上のように、第1のテンション部材61の第2の部材端部65、第2のテンション部材93の第1のリンク部115及びそれぞれのバーユニット99A〜99Cの第2の連結端部103A〜103Cの連結状態を変化させることにより、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間へ継足されるバーユニット99A〜99Cの数が調整される。これにより、ブーム7の伸縮状態に対応して、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整される。したがって、ブーム7を起状した状態で、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さを調整可能となる。
【0053】
図16乃至図19は、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間にバーユニット99Aのみが継足された第2の左側テンションユニット29Aを張る作業を示す図である。図16に示すように、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間にバーユニット99Aのみを継足す場合には、ストッパ119をストッパ着脱部121Aに取付ける。そして、第1のリンク部115の移動がストッパ119により規制され、第1のリンク部115はバーユニット99Aの第2の連結端部103Aに連結可能な位置に配置される。この際、孔状部116及び第2の孔状部109Aに連結ピン111Aが挿通され、第1のリンク部115はバーユニット99Aの第2の連結端部103Aに連結される。また、第1の孔状部107A及びバーユニット99Bの孔状部106Bには連結ピン111Aが挿入されていないため、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aは隣接するバーユニット99Bの第1の連結端部101Bに連結されていない。さらに、中継部材113の第1の孔状部107D及びバーユニット99Aの孔状部106Aには連結ピン111Dが挿入され、中継部材113は隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに接続されている。したがって、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに連結されている。以上のように、バーユニット99Aのみが第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に継足される(図11参照)。
【0054】
そして、図16の状態からブーム7を伸長すると、図17に示すように、第3のテンション部材97のバーユニット99Aが格納ラック95から取出され、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に張られる。この際、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aは隣接するバーユニット99Bの第1の連結端部101Bに連結されていないため、バーユニット99B,99Cは格納ラック95に格納された状態で残る。
【0055】
そして、図17の状態からブーム7を伸長すると、第2のテンション部材93が格納された状態からバーユニット99Aと旋回体5との間に張られる状態へ変化する。この際、図18に示すように、中継部材129は、上方に引張られ、左右方向に延設される状態(図15参照)から上下方向に延設される状態(図14参照)まで、回動する。中継部材129が上下方向に延設されることにより、第1のリンク部115及びガイド部材117が外方向に移動する。
【0056】
第1のリンク部115及びガイド部材117が外方向に移動した後、図19に示すように、第2のリンク部125及びバー部材126,127が格納された状態から張られる。ここで、中継部材129は、左右方向に延設された状態で格納される。このため、第2のリンク部125及びバー部材126,127は、第1のリンク部115から左右方向に離れた状態で格納される。したがって、第2のテンション部材93が張られる際に、第2のリンク部125及びバー部材126,127の格納ラック95及び格納ラック95に残ったバーユニット99B,99Cへの干渉が防止される。
【0057】
また、第2のテンション部材93及び第3のテンション部材97(バーユニット99A)格納する作業は、第2のテンション部材93及び第3のテンション部材97を張る作業と逆の手順により行われる。
【0058】
第2のテンション部材93の中継部材129を格納する際には、バー部材127と中継部材129との間の連結部で、バー部材127がガイド部材131により案内される。これにより、バー部材127が格納ラック95と接触する。この際、中継部材129は、ローラ133に接触し、ローラ133により案内される。自重及びローラ133での案内により、中継部材129は、上下方向に延設される状態(図14参照)から左右方向に延設される状態(図15参照)まで、傾斜する。ローラ133に案内されることにより、左右方向に延設される状態で中継部材129が格納することが容易となる。
【0059】
また、第3のテンション部材97のバーユニット99Aを格納ラック95に格納する際には、第2のテンション部材93の第1のリンク部115が、ストッパ着脱部121Aに取付けられたストッパ119に接触する。そして、ストッパ119を支点として第1のリンク部115が回動する(図12参照)。これにより、バーユニット99Aが格納ラック95に格納される。この際、第1の孔状部107Aとバーユニット99Bの孔状部106Bが略同軸となる状態に、ストッパ123Aによりバーユニット99Aの位置が規制されている(図13参照)。これにより、バーユニット99Aの第2の連結端部103Aが第1の孔状部107Aで隣接するバーユニット99Bの第1の連結端部101Bに連結可能な状態で、バーユニット99Aが格納される。
【0060】
そこで、上記構成のクレーン装置である移動式クレーン1では、以下の効果を奏する。すなわち、移動式クレーン1では、第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5に向かって延設される状態で、第3のテンション部材97は第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間に継足し可能である。第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さは、ブーム7の伸縮状態に対応して調整される。以上のように、第3のテンション部材97を継足す作業が行われるため、ブーム7を起状した状態で第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bの長さを調整することができる。したがって、第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bの長さを調整する作業効率を高めることができる。
【0061】
また、第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bでは、第1のテンション部材61は複数のテンションバー67を連結して形成され、第3のテンション部材97のそれぞれのバーユニット99A〜99Cは複数のバー部材105を連結してされている。このため、コストを増加させることなく左右方向の曲げモーメントに対するブーム7の強度を有効に向上させることができる。
【0062】
また、移動式クレーン1では、第1のテンション部材61の第2の部材端部65は、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット99Aの第1の連結端部101Aに選択的に連結される。また、それぞれのバーユニット99A,99Bの第2の連結端部103A,103Bは、ブーム7の伸縮状態に対応して、第2のテンション部材93の第1のリンク部115、又は、隣接するバーユニット(バーユニット99Aに隣接するバーユニットは99B、バーユニット99Bに隣接するバーユニットは99C)の第1の連結端部101B,101Cに選択的に連結される。以上のように、第1のテンション部材61の第2の部材端部65、第2のテンション部材93の第1のリンク部115及びそれぞれのバーユニット99A,99Bの第2の連結端部103A,103Bの連結状態を変化させることにより、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間へ継足されるバーユニット99A〜99Cの数が調整される。これにより、ブーム7の伸縮状態に対応して、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整される。したがって、第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への第3のテンション部材97の継足しの有無及び継足される長さが調整をより容易に行うことができる。
【0063】
また、移動式クレーン1では、第2のテンション部材93の中継部材129は、左右方向に延設された状態で格納される。このため、第2のテンション部材93では、第2のリンク部125は、第1のリンク部115から左右方向に離れた状態で格納される。したがって、第2のテンション部材93が張られる際に、第2のリンク部125の格納ラック95及び格納ラック95に残ったバーユニット(例えば99B,99C)への干渉を防止することができる。
【0064】
また、移動式クレーン1では、第1のテンション部材61の第2の部材端部65にワイヤロープ73の第1のワイヤ端部75Aが接続されている。そして、第1のワイヤ端部75Aとは反対側の端部である第2のワイヤ端部75Bが繰出し部79に接続されている。繰出し部79でワイヤロープ73の繰出し量を調整することにより、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が昇降する。そして、リアマスト25に格納された状態とリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態との間で、第1のテンション部材61の状態が変化する。以上のように、第1のテンション部材61の状態を調整可能であるため、ブーム7を起状した状態でリアマスト25から旋回体5まで第2の左側テンションユニット39A(第2の右側テンションユニット39B)を張ることができる。また、ブーム7を起状する際には、第1のテンション部材61はリアマスト25に格納されている。このため、ブーム7の起状により、第1のテンション部材61が振動することもない。したがって、第2の左側テンションユニット39A(第2の右側テンションユニット39B)を張る作業において、危険性を低減させ、作業性を向上させることができる。
【0065】
さらに、リアマスト25には、弾性部材であるバネ部材91が設けられている。第1のテンション部材61の状態を調整する際は、バネ部材91によりワイヤロープ73の弛みが防止され、ワイヤロープ73に張力が作用する状態が保持される。このため、ワイヤロープ73のブーム7等への絡みが有効に防止することができる。
【0066】
(変形例)
なお、第1の実施形態では、第1のリンク部115、ガイド部材117、中継部材129及びバー部材126,127は、旋回体5に一端が連結される第2のテンション部材93の一部であるが、これに限るものではない。例えば、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が、直接的に第2のリンク部125に連結可能であってもよい。この場合、第2のテンション部材(93)は、第2のリンク部125のみから構成される。そして、第1のリンク部115、ガイド部材117、中継部材129及びバー部材126,127は、ブーム4の伸縮状態に対応して第1のテンション部材61と第2のテンション部材93との間への継足しの有無が調整される。すなわち、第1のリンク部115、ガイド部材117、中継部材129及びバー部材126,127は、第3のテンション部材(97)
の一部となる。
【0067】
また、第1の実施形態では、ミドルマスト17及びリアマスト25が設けられているが、これに限るものではない。例えば、図20に示すように、ミドルマスト17のみが設けられてもよい。この場合、左側テンションユニット141A及び右側テンションユニット141Bが、ミドルマスト17の先端部と旋回体5との間に張られる。そして、左側テンションユニット141A及び右側テンションユニット141Bは、第1の実施形態の第2の左側テンションユニット39A及び第2の右側テンションユニット39Bと同様に、第1のテンション部材61と、第2のテンション部材93と、第3のテンション部材97とを備える。
【0068】
また、第1の実施形態では、第1のテンション部材61がリアマスト25に格納された状態(図4参照)と第1のテンション部材61がリアマスト25から旋回体5へ向かって延設される状態(図3参照)との間で、第1のテンション部材61の第2の部材端部65が昇降する昇降ユニット71が設けられている。この昇降ユニット71は、第1の実施形態のようにブーム7が長手方向に伸縮する移動式クレーン1だけでなく、ブーム7が伸縮しないクレーン装置にも適用可能である。すなわち、昇降ユニット71が適用されるクレーン装置は、ブーム(7)又はブーム(7)の先端部に連結される別部材(例えばベースブラケット11)に基端部が連結されるマスト(25)を備えればよい。そして、昇降ユニット71により、テンション部材(61)はマスト(25)に格納された状態とマスト(25)から旋回体(5)に向かって延設される状態との間で状態が変化すればよい。
【0069】
さらに、第1の実施形態では、伸縮シリンダ81の伸縮に対応して固定シーブブロック83と可動シーブブロック85との間の寸法が変化することにより、繰出し部79からのワイヤロープ73の繰出し量が調整されるが、これに限るものではない。例えば、図21に示すように、繰出し部79がウインチ143を備えてもよい。この場合、ウインチ143により、繰出し部79からのワイヤロープ73の繰出し量が調整される。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。
【0071】
以下、本発明の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1)
旋回体と、
旋回体に基端部が連結されるブームと、
前記ブーム又は前記ブームの先端部に連結される別部材に基端部が連結されるマストと、
前記マストの先端部に連結される第1の部材端部と、前記第1の部材端部と反対側の端部である第2の部材端部とを備え、前記マストに格納された状態と前記マストから前記旋回体に向かって延設される状態との間で状態が変化するテンション部材と、
前記テンション部材の前記第2の部材端部に接続される第1のワイヤ端部と、前記第1のワイヤ端部とは反対側の端部である第2のワイヤ端部とを備えるワイヤロープと、
前記ワイヤロープの前記第2のワイヤ端部が接続され、前記ワイヤロープの繰出し量を調整することにより、前記第2の部材端部を昇降し、前記テンション部材の状態を変化させる繰出し部と、
を具備することを特徴とするクレーン装置。
【0072】
(付記項2)
伸縮可能な伸縮シリンダをさらに具備し、
前記繰出し部は、固定シーブブロックと、前記伸縮シリンダの伸縮に対応して前記固定シーブブロックに対して移動する可動シーブブロックとを備え、
前記ワイヤロープの前記第2のワイヤ端部は、前記固定シーブブロック及び前記可動シーブブロックのそれぞれに複数回ずつ交互に巻回され、
前記繰出し部は、前記固定シーブブロックと前記可動シーブブロックとの間の寸法の変化に対応して、前記ワイヤロープの繰出し量を調整することを特徴とする付記項1のクレーン装置。
【0073】
(付記項3)
前記ワイヤロープの弛みを防止し、前記ワイヤロープに張力が作用する状態を保持する弾性部材をさらに具備することを特徴とする付記項1又は付記項2のクレーン装置。
【符号の説明】
【0074】
1…移動式クレーン、5…旋回体、7…ブーム、11…ベースブラケット、13…ジブ、25…リアマスト、35A…第2の左側テンションユニット、35B…第2の右側テンションユニット、61…第1のテンション部材、93…第2のテンション部材、95…格納ラック、97…第3のテンション部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納ラックを備える旋回体と、
前記旋回体に基端部が連結され、長手方向に伸縮可能なブームと、
前記ブーム又は前記ブームの先端部に連結される別部材に基端部が連結され、前記ブームの伸縮に対応して前記ブームの前記長手方向に移動するマストと、
前記マストの先端部に連結される第1の部材端部と、前記第1の部材端部とは反対側の端部である第2の部材端部とを備える第1のテンション部材と、
前記ブームの前記基端部又は前記旋回体に一端が連結される第2のテンション部材と、
前記旋回体の前記格納ラックに格納され、前記第1のテンション部材が前記マストから前記旋回体に向かって延設される状態で前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間に継足し可能な第3のテンション部材であって、前記ブームの伸縮状態に対応して前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間への継足しの有無及び継足される長さが調整される第3のテンション部材と、
を具備することを特徴とするクレーン装置。
【請求項2】
前記第3のテンション部材は、バーユニットを備え、
前記第2のテンション部材は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第1のテンション部材の前記第2の部材端部、又は、前記バーユニットのいずれか1つに選択的に連結される第1のリンク部を備え、
前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間へ継足される前記バーユニットの数により、前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間への前記第3のテンション部材の継足しの有無及び継足される長さが調整されることを特徴とする請求項1のクレーン装置。
【請求項3】
それぞれの前記バーユニットは、第1の連結端部と、前記第1の連結端部とは反対側の端部である第2の連結端部とを備え、
前記第1のテンション部材の前記第2の部材端部は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第2のテンション部材の前記第1のリンク部、又は、隣接する前記バーユニットの前記第1の連結端部に選択的に連結され、
それぞれの前記バーユニットの前記第2の連結端部は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第2のテンション部材の前記第1のリンク部、又は、隣接する前記バーユニットの前記第1の連結端部に選択的に連結されることを特徴とする請求項2のクレーン装置。
【請求項4】
前記第2のテンション部材は、前記旋回体又は前記ブームの基端部に連結され、前記第1のリンク部から左右方向に離れた状態で格納される第2のリンク部と、前記第1のリンク部と前記第2のリンク部との間に設けられ、前記左右方向に延設された状態で格納される中継部材とを備えることを特徴とする請求項2又は請求項3のクレーン装置。
【請求項1】
格納ラックを備える旋回体と、
前記旋回体に基端部が連結され、長手方向に伸縮可能なブームと、
前記ブーム又は前記ブームの先端部に連結される別部材に基端部が連結され、前記ブームの伸縮に対応して前記ブームの前記長手方向に移動するマストと、
前記マストの先端部に連結される第1の部材端部と、前記第1の部材端部とは反対側の端部である第2の部材端部とを備える第1のテンション部材と、
前記ブームの前記基端部又は前記旋回体に一端が連結される第2のテンション部材と、
前記旋回体の前記格納ラックに格納され、前記第1のテンション部材が前記マストから前記旋回体に向かって延設される状態で前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間に継足し可能な第3のテンション部材であって、前記ブームの伸縮状態に対応して前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間への継足しの有無及び継足される長さが調整される第3のテンション部材と、
を具備することを特徴とするクレーン装置。
【請求項2】
前記第3のテンション部材は、バーユニットを備え、
前記第2のテンション部材は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第1のテンション部材の前記第2の部材端部、又は、前記バーユニットのいずれか1つに選択的に連結される第1のリンク部を備え、
前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間へ継足される前記バーユニットの数により、前記第1のテンション部材と前記第2のテンション部材との間への前記第3のテンション部材の継足しの有無及び継足される長さが調整されることを特徴とする請求項1のクレーン装置。
【請求項3】
それぞれの前記バーユニットは、第1の連結端部と、前記第1の連結端部とは反対側の端部である第2の連結端部とを備え、
前記第1のテンション部材の前記第2の部材端部は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第2のテンション部材の前記第1のリンク部、又は、隣接する前記バーユニットの前記第1の連結端部に選択的に連結され、
それぞれの前記バーユニットの前記第2の連結端部は、前記ブームの伸縮状態に対応して、前記第2のテンション部材の前記第1のリンク部、又は、隣接する前記バーユニットの前記第1の連結端部に選択的に連結されることを特徴とする請求項2のクレーン装置。
【請求項4】
前記第2のテンション部材は、前記旋回体又は前記ブームの基端部に連結され、前記第1のリンク部から左右方向に離れた状態で格納される第2のリンク部と、前記第1のリンク部と前記第2のリンク部との間に設けられ、前記左右方向に延設された状態で格納される中継部材とを備えることを特徴とする請求項2又は請求項3のクレーン装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−148867(P2012−148867A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10031(P2011−10031)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000140719)株式会社加藤製作所 (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000140719)株式会社加藤製作所 (29)
【Fターム(参考)】
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