説明

クロストリジウム・ディフィシレの感染およびそれに関係する疾患を治療するための方法および試薬

本発明は、クロストリジウム・ディフィシレを処理するための、リファラジルを含む方法および組成物を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、細菌感染の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
グラム陽性嫌気性細菌であるクロストリジウム(C.)ディフィシレ(Clostridium difficile)は、大腸炎(結腸の炎症)および抗生物質の摂取後に生じる可能性のある抗生物質関連下痢症の主要な原因因子として認められている。C.ディフィシレ(difficile)感染は、世界中で最も一般的な病院(院内)感染のひとつである。米国内だけでも、それは年間およそ3百症例の下痢および大腸炎の原因となる。この細菌は、抗生物質治療後に病院および慢性疾患治療施設において主に獲得され、入院患者における下痢の流行の最も頻繁な原因である。C.ディフィシレ関連大腸炎の主要な特徴のひとつは、結腸細胞の破壊と関連した結腸粘膜における激しい炎症である。
【0003】
本疾患は、通常結腸において観察される有益細菌の抗生物質治療による変質が最初に関与する。C.ディフィシレまたはその芽胞が環境中に存在する場合、その変質はこの細菌による集落形成につながる。C.ディフィシレが蔓延し、患者が頻繁に抗生物質を受け入れている病院または療養所施設において、C.ディフィシレ感染は極めて一般的である。対照的に、外来患者として抗生物質で治療される個々人は、C.ディフィシレ感染を発症する危険性が非常に小さい。
【0004】
実験室での研究によって、C.ディフィシレが腸管に集落形成すると、それらが2つの強い毒素、トキシンAおよびトキシンBを放出し、それが結腸の管壁における特定の受容体に結合して最終的に下痢および大腸すなわち結腸の炎症(大腸炎)を引き起こすことが示されている。このように毒素が病原性、または疾患の発症に関与している。
【0005】
C.ディフィシレ感染にはメトロニダゾールまたはバンコマイシンによる治療が通常よく効き目を示すが、患者のうちおよそ15〜20%が、最初の治療が打ち切られた後数週間、または更に数ヶ月で、下痢およびその他の症候の再発を経験する。再発に対する通常の治療は、メトロニダゾールまたはバンコマイシンのどちらかの10〜14日間の治療単位を繰り返すことである。患者の一部は抗生物質が打ち切られるたびに再発を続け、このことは治療上の課題となっている。
【0006】
従って、C.ディフィシレ感染を治療するための改良方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明は、抗生物質関連細菌性下痢症もしくはクロストリジウム(C.)ディフィシレ(Clostridium difficile)の感染を有する被験者を治療する、または被験者における該疾患もしくは感染を予防するための方法を備える。その方法は、効果的な量のリファラジル(rifalazil)を被験者に投与して被験者を治療するステップを含む。リファラジルの用量は、0.01mgから1000mgまでの範囲であり得る。リファラジルの用量は、通常およそ1から1000mg(好ましくはおよそ1から100mg、より好ましくはおよそ1から50mg、そしてさらにより好ましくはおよそ1から25mg)である。リファラジルは、毎日(例えば、毎日1回、2回、3回または4回)、またはより低い頻度で(例えば、1日おきに1回、毎週1回もしくは2回、または毎月1回もしくは2回)投与される可能性がある。リファラジルは、被験者を治療するのに十分な期間投与される。治療は、1から31日間、好ましくは1から21日間、1から14日間またはさらに1、3、5もしくは7日間である可能性がある。必要に応じて、治療は1年まで、またはさらに被験者の生涯にわたり継続することができる。1つの例においては、リファラジルは、5〜100mgの初回量に引き続き、1〜50mgの次回投与量が3から7日間投与される。リファラジルの単回投与(例えば、1〜100mgの用量における)もまた本発明の方法において用いられ得る。リファラジルは、経口、静脈内、皮下、または直腸投与される可能性がある。
【0008】
本発明の方法は、抗生物質関連細菌性下痢症もしくはC.ディフィシレ(difficile)の感染を有しているかもしくは発症する危険がある被験者の最初の治療として用いられる可能性があり、またはそれは最初の治療(例えば、メトロニダゾール、バンコマイシン、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、およびリファキシミンによる)によって抗生物質関連細菌性下痢症もしくはC.ディフィシレの感染を十分に治療できなかった被験者を治療するために用いられる可能性がある。本方法は、例えば被験者がメトロニダゾール、バンコマイシン、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、およびリファキシミンのうち1つまたは複数に抵抗性のC.ディフィシレ菌の集落形成を受けたときに用いられる可能性がある。
【0009】
必要に応じて、リファラジルは、1つまたは複数の追加的な抗生物質とともに、またはトキシンAまたはトキシンBを結合する物質(例えば、非吸収性・毒素結合ポリマーGT160-246;米国特許第6,270,755号)とともに投与することができる。追加的な抗生物質の好ましい例は、メトロニダゾール、ゲンタマイシン、ダプトマイシン、アジスロマイシン、キヌプリスチン、ダルホプリスチン、リネゾリド、テイコプラニン、シプロフロキサシン、およびバンコマイシンである。
【0010】
本発明の一部の態様においては、その方法にはリファラジルおよびバンコマイシンを同時にまたは連続して投与することが含まれる。リファラジルおよびバンコマイシンは、互いに14日以内に、または互いに5日以内、3日以内、もしくは24時間以内に投与することができる。必要に応じて、リファラジルまたはバンコマイシンのどちらかまたは両方を経口投与できる。バンコマイシンの好ましい用量は、1日あたり20から2000mg、好ましくは1日あたり125から2000mg、最も好ましくは1日あたり500から2000mg、の範囲であり得る。
【0011】
本発明は抗生物質関連細菌性下痢症もしくはクロストリジウム(C.)ディフィシレ(Clostridium difficile)の感染を有する被験者を治療するか、または被験者における該疾患もしくは感染を予防する方法をもまた備える。本方法は、経口または静脈内投与に適する可能性のあるリファラジルおよびバンコマイシンを含む組成物を、被験者に投与するステップを含む。リファラジルの単位投薬量は、0.01mgから1000mgまで(例えば、1〜100mg、または1〜50mg、または1〜25mg、または1〜5mg)の範囲であり得、バンコマイシンの単位投薬量は、125から2000mgまで、好ましくは500から2000mgまでの範囲であり得る。
【0012】
本方法は、(i)抗生物質関連細菌性下痢症またはC.ディフィシレの感染を有する被験者を治療するのに効果的な量におけるリファラジル;および(ii)C.ディフィシレ感染を治療または予防するために被験者にリファラジルを投与するための取扱説明を含む医薬包装物をもまた備える。好ましくは、リファラジルは0.01〜1000mg(例えば、1〜100mg、または1〜50mg、または1〜25mg、または1〜5mg)の単位量にあり、少なくとも1、3、5、7、10、14、21、または31日間治療するのに十分な量において存在する。
【0013】
本発明の医薬包装物は、1つまたは複数の抗生物質をさらに含み得る。追加的な抗生物質の好ましい例には、メトロニダゾール、ゲンタマイシン、ダプトマイシン、アジスロマイシン、キヌプリスチン、ダルホプリスチン、リネゾリド、テイコプラニン、シプロフロキサシン、およびバンコマイシンが含まれる。バンコマイシンの典型的な投与量は、20から2000mgまで、好ましくは125から2000mgまでの範囲である。
【0014】
本発明の方法において投与され得る、または本発明の医薬包装物に含まれ得る典型的な追加的抗生物質は、ペニシリン系(例えばペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフィシリン(naficillin)、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、およびテモシリン(temocillin))などのβラクタム系、セファロスポリン系(例えば、セファロチン、セファピリン、セフラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セフロキシム、セファレキシン、セフプロジル(cefprozil)、セファクロール、ロラカーベフ(loracarbef)、セフォキシチン、セフマトゾール(cefmatozole)、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフェキシム(cefixime)、セフポドキシム(cefpodoxime)、セフチブテン(ceftibuten)、セフジニル、セフピロム、セフピーム(cefpime)、BAL5788およびBAL9141)、カルバペナム系(carbapenams)(例えば、イミペネム(imipenem)、エルタペネム(ertapenem)、およびメロペネム(meropenem))、およびモノバクタム系(monobactams)(例えば、アストレオナム(astreonam));βラクタマーゼ阻害剤(例えば、クラブラネート(clavulanate)、スルバクタム、およびタゾバクタム(tazobactam));アミノグリコシド系(例えば、ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン(paromycin)、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルミシン、スペクチノマイシン、シソマイシン、ジベカリン(dibekalin)、およびイセパマイシン);テトラサイクリン系(例えば、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、およびドキシサイクリン);リポペプチド(例えば、ダプトマイシン(daptomycin));マクロライド系(例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン(azithromycin)、およびクラリスロマイシン);ケトライド系(例えば、テリスロマイシン(telithromycin)、ABT-773);リンコマイシン系(例えば、リンコマイシンおよびクリンダマイシン);糖ペプチド(例えば、バンコマイシン、オリタバンシン(oritavancin)、ダルババンシン(dalbancin)、およびテイコプラニン)、ストレプトグラミン系(例えば、キヌプリスチン(quinupristin)およびダルホプリスチン(dalfopristin));サルファ剤(例えば、スルファニルアミド、パラアミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾール、およびスルファサリディン);オキサゾリジノン系(例えば、リネゾリド(linezolid));キノロン系(例えば、ナリジクス酸、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ペフロキサシン(perfloxacin)、エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、テマフロキサシン(temafloxacin)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、フレロキサシン(fleroxacin)、グレパフロキサシン(grepafloxacin)、スパルフロキサシン(sparfloxacin)、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、クリナフロキサシン(clinafloxacin)、ガチフロキサシン(gatifloxacin)、モキシフロキサシン(moxifloxacin)、ゲミフロキサシン(gemifloxacin)、およびシタフロキサシン(sitafloxacin));リファマイシン系(例えば、リファンピシン、リファブチン(rifabutin)、リファペンチン(rifapentine)、およびリファキシミン(rifaximin));メトロニダゾール;ガレノキサシン(garenoxacin);ラモプラニン(ramoplanin);ファロペネム(faropenem);ポリミキシン;チゲサイクリン(tigecycline)、AZD2563;およびトリメトプリムである。
【0015】
「効果的な量」とは、C.ディフィシレを検出する診断テストによって判定される限りにおいて、結果として被験者からC.ディフィシレを根絶させるためかまたはC.ディフィシレの感染を予防するために必要な、リファラジルまたは1つもしくは複数の追加的な抗生物質と組み合わせたリファラジルの量を意味する。診断テストの一例は、市販の酵素結合免疫測定法(ELISA;Immunocard;Meridian Diagnostics Inc.、シンシナティ、オハイオ州)の使用であり、盲腸内容抽出物中にC.ディフィシレのトキシンAタンパク質の存在を検出する。診断テストのもう一つの例は、ヒト線維芽細胞を使用した細胞傷害性テスト(Toxi-Titer;Bartels Inc.、イサクアー、ワシントン州)の使用であり、C.ディフィシレのトキシンBタンパク質の存在を検出する。これらの例のうち両方をMcVayおよびRolfe(Antimicrobial Agents and Chemo. 44:2254-2258, 2000)に見出すことができる。「効果的な量」は、被験者または動物モデルにおけるC.ディフィシレ関連疾患の症状を軽減するために必要な、リファラジルまたは1つもしくは複数の追加的な抗生物質と組み合わせたリファラジルの量をもまた意味し得る。症状には、下痢、体重減少、嗜眠、および特定の動物モデルにおける毛皮の乱れが含まれる。本分野に存在する標準的な検定法を用いて、疾患の症状を評価することができる(検定法の例としては、BoonおよびBeale、Drugs Suppl. 5:57-63, 1985、および前記McVayおよびRolfeを参照のこと)。リファラジルまたは1つまたは複数の追加的な抗生物質と組み合わせたリファラジルの「効果的な量」は、被験者におけるC.ディフィシレ関連性疾患の症状を、未治療の被験者と比較して、20%、好ましくは30%または40%、より好ましくは50%または60%、そして最も好ましくは70%、80%、90%、またはそれより多く軽減する。
【0016】
「リファラジル」とは、3'-ヒドロキシ-5'-(4-イソブチル-1-ピペラジニル)ベンゾキサジノリファマイシンを意味し、KRM-1648またはABI1648としても知られる。リファラジルおよびその微小粒状製剤を製造する方法は、米国特許第4,983,602号および第5,547,683号にそれぞれ記載されている。
【0017】
「抗生物質関連細菌性下痢症」は、抗生物質治療が消化管の微生物叢のバランスを乱し、C.ディフィシレのような病原性有機体が繁茂するのを許している状態を意味する。これらの有機体が下痢をもたらす。抗生物質関連細菌性下痢症には、C.ディフィシレ関連性下痢症(CDAD)および偽膜性大腸炎のような状態が含まれる。
【0018】
「偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis)」は、偽膜性全腸炎(pseudomembranous enterocolitis)または腸炎(enteritis)としても知られ、便中における偽膜性物質(フィブリン、粘膜、壊死性上皮細胞および白血球からなる)の形成および排泄を伴う、小腸および大腸両方の粘膜の炎症を意味する。
【0019】
「下方消化管」という用語は、小腸(回腸)の下部および結腸を意味する。
【0020】
「腸溶コーティング」という用語は、中心部を囲むコーティングを意味し、コーティングの溶解性がpHに依存性なので、それが胃における薬物の放出を実質的に防ぐが、その製剤が胃からなくなった後のある段階で薬物の放出を可能にする。「pH依存性腸管ポリマー」という用語は、その安定性がpHに依存性なのでそれは胃液に不溶性だが、その製剤が胃からなくなった後のある段階で溶解するようなポリマーを意味する。
【0021】
「被験者」は、限定するものではないがヒト、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、トリ、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、ヒヒなどを含む、任意の温血動物を意味する。被験者がヒトであることが最も好ましい。
【0022】
発明の詳細な説明
我々は、単独のまたは1つもしくは複数の追加的な抗生物質と組み合わせたリファラジルの投与が、抗生物質関連細菌性下痢症またはクロストリジウム(C.)ディフィシレの感染を有する被験者を治療するのに効果的であることを発見した。
【0023】
リファラジルの投与量は、およそ0.01から1000mgの範囲であり得る。リファラジルの投与量は、通常およそ1から1000mg(好ましくはおよそ1から100mg、より好ましくはおよそ1から50mg、そしてさらにより好ましくはおよそ1から25mg)である。リファラジルは、毎日(例えば、毎日1回、2回、3回または4回)、またはより低い頻度で(例えば、1日おきに1回、毎週1回もしくは2回、または毎月)投与される可能性がある。リファラジルの投与は、結果として効果的な量の化合物が標的部位に達する任意の適当な方法による可能性がある。化合物は任意の適当な担体物質中に任意の適当な量において含まれる可能性があり、通常、組成物の全体重量のうち重量で1〜95%の量において存在する。一態様においては、組成物は経口投与に適した投薬形態、例えば錠剤、カプセル、丸薬、粉末、顆粒、懸濁液、乳剤、液剤、またはゲル、において提供される。または、組成物は静脈内または直腸投与向けに処方される可能性ある。リファラジルの静脈内投与は、米国特許出願(Utility application)第10/453,155号(2003年6月3日出願)に記載されている。医薬組成物は概ね慣例的な薬務に従って処方することができる(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (第20版)、A. R. Gennaro編、2000、Lippincott Williams & Wilkins、フィラデルフィア、および、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology、J. SwarbrickおよびJ. C. Boylan編、1988-1999、Marcel Dekker、ニューヨーク、を参照のこと)。
【0024】
本発明に従った医薬組成物は、実質的に投与されるや否や、または投与後の任意の所定の時間または時限においてリファラジルが放出されるように処方される可能性がある。後者のタイプの組成物は一般に除放性処方として知られ、それには(i)長期間に渡り体内で薬物の実質的に一定の濃度をつくりだす処方;(ii)所定の遅延時間の後、長期間に渡り体内で薬物の実質的に一定の濃度をつくりだす処方;(iii)活性原薬の血漿レベルにおける変動(鋸歯状動的パターン)と関連した好ましくない副作用の付随的極小化とともに体内における相対的で、持続的で、効果的な薬物レベルを維持することにより、所定の時限の間薬物作用を持続させる処方;(iv)病的な組織または臓器の隣接部または内部における除放性組成物の空間的な配置などによって、薬物作用を限局する処方;および(v)薬物を特定タイプの標的細胞に送達する担体または化学的誘導体を使用することによって薬物作用を標的化させる処方が含まれる。本発明の方法において用いられる可能性のある除放性製剤には米国特許第5,007,790号、第5,525,634号、第5,582,837号、第5,811,388号、第5,849,327号、第5,962,024号、第5,968,554号、第5,972,389号、第6,319,518号、第6,340,475号、第6,488,962号、および第6,506,407号において記載されているものが含まれ、その各々が参照として本明細書に組み入れられる。
【0025】
経口使用のための固形投薬形態
経口使用のための処方には、活性成分を毒性のない薬学的に許容される賦形剤との混合物の状態で含んだ錠剤が含まれる。これらの賦形剤は、例えば、不活性の希釈剤または充填剤(例えば、ショ糖、ソルビトール、砂糖、マンニトール、微結晶性セルロース、馬鈴薯殿粉を含むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);粒状化および分散剤(例えば、微結晶性セルロースを含むセルロース誘導体、馬鈴薯殿粉を含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、またはアルギン酸);結合剤(例えば、ショ糖、ブドウ糖、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール);および潤滑剤、流動促進剤、および固形防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油、およびタルク)である可能性がある。その他の薬学的に許容される賦形剤は、着色料、香料添加剤、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤などであり得る。
【0026】
錠剤はコーティングされていない可能性があり、またはそれらは、選択的に、消化管において分散および吸収を遅らせ、その結果より長期に渡る持続的作用を提供するために、既知の手法によってコーティングされている可能性がある。コーティングは、(例えば、徐放性処方を実現するために)所定のパターンで活性薬物成分を放出するように適合している可能性があり、またはそれは胃の通過後まで活性薬物成分を放出しないように適合している可能性がある;これは腸溶コーティング(例えば、pH依存性腸管ポリマー)を用いて実現できる。好ましくは、かなりの薬物が下方消化管において放出される。コーティングは、糖衣、フィルム・コーティング(例えば、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、および/またはポリビニルピロリドンに基づく)、またはメタクリル酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、酢酸フタル酸ビニール、シェラック、および/もしくはエチルセルロースに基づくコーティングである可能性がある。さらに、例えばグリセロール・モノステアレートまたはグリセロール・ジステアレートのような時間遅延素材が用いられる可能性がある。
【0027】
固形錠剤組成には、好ましくない化学変化(例えば、活性薬物成分の放出に先立つ化学分解)から組成物を保護すべく適合したコーティングが含まれる可能性がある。コーティングは、前記Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されているものと同様な方法で、固形の投薬形態に適用される可能性がある。
【0028】
経口使用のための処方は、チュアブル錠として、またはその中で活性成分が不活性な個体希釈剤(例えば、馬鈴薯殿粉、乳糖、微結晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセルとして、またはその中で活性成分が水もしくは油性媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして与えられる可能性もある。散剤および顆粒剤は、上記の錠剤およびカプセルのところで言及した成分を用いて、例えばミキサー、流動層装置、または噴霧乾燥装置を用いた慣例的な方法において、調合される可能性がある。
【0029】
徐放経口投薬形態
活性薬物を放出するために、経口使用のための徐放組成物が、活性薬物成分の溶解および/または拡散を制御することによって構築される可能性がある。
【0030】
該当する化合物の放出速度が代謝速度に勝るような徐放を得るために、多数の戦略のうち任意のものを遂行することができる。1の例において、徐放は、例えば様々なタイプの徐放組成物およびコーティングを含む、様々な処方パラメータおよび成分の適当な選択によって得られる。従って薬物は、投与時に制御された様態で薬物を放出する薬学的な組成物の中に適当な賦形剤を入れた状態で処方される。例としては、単一または複数単位の錠剤またはカプセル組成物、油剤、懸濁剤、乳剤、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノ粒子、添付剤およびリポソームが挙げられる。
【0031】
溶解性または拡散性徐放は、化合物の錠剤状、カプセル状、ペレット剤状、もしくは顆粒状処方の適当なコーティングによって、または化合物を適当な基質に組み込むことによって実現し得る。徐放コーティングには、上述のコーティング物質および/または、例えば、シェラック、蜜ろう、glycowax、カスターワックス、カルナウバろう、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリン、パルミートステアリン酸グリセリン、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl-ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸、メタクリル酸メチル、2-ヒドロキシメタクリル酸、メタクリル酸ヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、メタクリル酸エチレングリコール、および/またはポリエチレングリコールのうちの1つまたは複数が含まれる可能性がある。徐放基質処方においては、基質素材には、例えば、ヒドロメチルセルロース、カルナウバろう、およびステアリルアルコール、carbopol 934、シリコン、トリステアリン酸グリセリン、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、および/または、ハロゲン化フルオロカーボンもまた含まれる。
【0032】
リファラジルを含む徐放組成物は、浮揚性の錠剤またはカプセル(すなわち、経口投与時に、一定期間胃内容物の上に浮く錠剤またはカプセル)の形態である可能性がある。化合物の浮揚性錠剤処方は、薬物と賦形剤および重量比20〜75%の親水コロイド、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピル・メチルセルロース、との混合物を顆粒状にすることによって調製できる。得られた顆粒は、次に、圧縮して錠剤にすることができる。胃液との接触に際し、錠剤はその表層の周りに実質的に不透水性のゲル・バリヤーを形成する。このゲル・バリヤーが、密度1以下を保持することに関与し、その結果錠剤が胃液に浮揚したままの状態を可能にする。
【0033】
経口投与のための液剤
水の添加による水溶性懸濁液の調製に適した粉剤、分散性粉剤、または顆粒は、リファラジルの経口投与のために便利な投薬形態である。懸濁液としての処方は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1つまたは複数の保存剤と混合した状態の活性成分を提供する。適当な分散剤または湿潤剤は、例えば、天然のリン脂質(例えば、レクチンまたはエチレンオキシドと脂肪酸、長鎖脂肪族アルコール、もしくは脂肪酸由来の部分エステルとの濃縮産物)およびヘキシトールまたは無水ヘキシトール(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなど)である。適当な懸濁化剤は、例えば、カルボキシルメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。
【0034】
組み合わせ療法のための処方および投与量
リファラジルは、抗生物質関連細菌性下痢症またはC.ディフィシレの感染を有する被験者に、1つまたは複数の追加的な抗生物質とともに投与することができる。リファラジルは、追加的な抗生物質の投与の前、間、もしくは後に、またはそれらの任意の組み合わせにおいて投与することができる。必要に応じて、リファラジルの投与は、追加的な抗生物質が投与されている間、継続することができる。
【0035】
本発明の方法において投与され得る典型的な抗生物質は、ペニシリン系(例えばペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフィシリン(naficillin)、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、およびテモシリン(temocillin))などのβラクタム系、セファロスポリン系(例えば、セファロチン、セファピリン、セフラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セフロキシム、セファレキシン、セフプロジル(cefprozil)、セファクロール、ロラカーベフ(loracarbef)、セフォキシチン、セフマトゾール(cefmatozole)、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフェキシム(cefixime)、セフポドキシム(cefpodoxime)、セフチブテン(ceftibuten)、セフジニル、セフピロム、セフピーム(cefpime)、BAL5788およびBAL9141)、カルバペナム系(carbapenams)(例えば、イミペネム(imipenem)、エルタペネム(ertapenem)、およびメロペネム(meropenem))、およびモノバクタム系(monobactams)(例えば、アストレオナム(astreonam));βラクタマーゼ阻害剤(例えば、クラブラネート(clavulanate)、スルバクタム、およびタゾバクタム(tazobactam));アミノグリコシド系(例えば、ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン(paromycin)、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルミシン、スペクチノマイシン、シソマイシン、ジベカリン(dibekalin)、およびイセパマイシン);テトラサイクリン系(例えば、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、およびドキシサイクリン);リポペプチド(例えば、ダプトマイシン(daptomycin));マクロライド系(例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン(azithromycin)、およびクラリスロマイシン);ケトライド系(例えば、テリスロマイシン(telithromycin)、ABT-773);リンコマイシン系(例えば、リンコマイシンおよびクリンダマイシン);糖ペプチド(例えば、バンコマイシン、オリタバンシン(oritavancin)、ダルババンシン(dalbancin)、およびテイコプラニン);ストレプトグラミン系(例えば、キヌプリスチン(quinupristin)およびダルホプリスチン(dalfopristin));サルファ剤(例えば、スルファニルアミド、パラアミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾール、およびスルファサリディン);オキサゾリジノン系(例えば、リネゾリド(linezolid));キノロン系(例えば、ナリジクス酸、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ペフロキサシン(perfloxacin)、エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、テマフロキサシン(temafloxacin)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、フレロキサシン(fleroxacin)、グレパフロキサシン(grepafloxacin)、スパルフロキサシン(sparfloxacin)、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、クリナフロキサシン(clinafloxacin)、ガチフロキサシン(gatifloxacin)、モキシフロキサシン(moxifloxacin)、ゲミフロキサシン(gemifloxacin)、およびシタフロキサシン(sitafloxacin));リファマイシン系(例えば、リファンピシン、リファブチン(rifabutin)、リファペンチン(rifapentine)、およびリファキシミン(rifaximin));メトロニダゾール;ガレノキサシン(garenoxacin);ラモプラニン(ramoplanin);ファロペネム(faropenem);ポリミキシン;チゲサイクリン(tigecycline)、AZD2563;およびトリメトプリムである。
【0036】
これらの抗生物質は、これらの物質に関して現在知られそして用いられている用量域および処方において用いることができる。被験者の臨床症状、治療の目標(処置または予防)、予期される持続期間、およびC.ディフィシレ感染の重症度次第で、異なる濃度が用いられる可能性がある。用量選択において追加的に考慮すべき事項としては、感染のタイプ、被験者の年齢(例えば、小児、成人、または老人)、身体全体の健康、および共存症が挙げられる。どの濃度を用いるかを判断することは、薬剤師、医薬品化学者、または医師の技能の範囲内にある。典型的な用量および投与間隔は、例えばMerck Manual of Diagnosis & Therapy(第17版、MH Beersら、Merck & Co.)およびPhysicians' Desk Reference 2003(第57版、Medical Economics Staffら、Medical Economics Co., 2002)に提供されている。
【0037】
1つの例においては、リファラジルはバンコマイシンと組み合わせて投与される。リファラジルまたはバンコマイシンのどちらかまたは両方が、毎日(例えば、毎日1回、2回、3回、または4回)またはより低い頻度で(例えば、1日おきに1回、3日おきに1回、毎週1回もしくは2回、または毎月)与えられる可能性がある。バンコマイシンの典型的な1日投与量は、20mgから2g、好ましくは125mgから2g、または500mgから2gの範囲であるが、それは必要に応じて任意のより高い許容量において投与される可能性がある。バンコマイシンの1日投与量は、1服以上4服までに配分し得る。典型的な1日経口投与量を挙げると、成人の被験者に対しては500mgから2gが1服以上4服までに配分され、小児の被験者に対しては40mg/kgが1服以上4服までに配分される。静脈内投与は、24時間につき1回ボーラスとして、または24時間に渡る任意の時間のサブセット(30分、1時間、2時間、4時間、24時間に至るまで)において与えることができる。
【0038】
組み合わせ療法については、リファラジルおよび追加的な抗生物質を同時にまたは連続して投与することができる。連続投与については、リファラジルは、追加的な抗生物質の投与の前、間、もしくは後に、またはそれらの任意の組み合わせにおいて投与することができる。1つの例においては、バンコマイシンを5日間投与し、第6日目にリファラジルを単回投与として投与する。もう1つの例においては、第1日目にバンコマイシンおよびリファラジルを同時に投与し、引き続き、更なる6日間バンコマイシンを投与する。これらの例は、連続治療の2つの可能な組み合わせを説明するために提供する。それらは決して本発明を限定することを意図しない。
【0039】
組み合わせ療法については、組み合わせの各々の構成要素の投与の投与量および投与間隔は、独立して調整できる。例えば、化合物の1つ(例えば、リファラジルまたは追加的な抗生物質)は毎日3回投与される可能性があり、一方で2つめの化合物は毎日1回投与される可能性がある。1回の投与によって両方の化合物が送達されるように、それらの化合物が一緒に処方される可能性もある。1のとりわけ好ましい態様においては、リファラジルが経口または静脈内投与され、一方で追加的な抗生物質が経口投与される。もう1つの好ましい態様においては、リファラジルおよび追加的な抗生物質(例えば、バンコマイシン)の両方が経口投与される。
【0040】
以下の例は本発明を説明するために示されるものであり、限定するものではない。
【0041】
実施例
実施例1. C.ディフィシレ関連疾患の動物モデル
リファラジル単独の、またはもうひとつの薬物化合物との組み合わせにおける、最適な投与量および処方は、当分野において既知の標準的な動物モデルを用いて求めることができる。C.ディフィシレ関連疾患のための動物モデルの1例は、ゴールデン・シリアンハムスターである。リファラジルの最適な投与計画を求めるため、ゴールデン・シリアンハムスターにクリンダマイシン燐酸塩(10mg/kg)の皮下注射をし、引き続き24時間後、105コロニー形成単位(CFU)のC.ディフィシレを経口的に強制飼養した。C.ディフィシレの投与と同時かまたは24時間後のいずれかにおいて、経口的に、静脈内に、または腹膜内に抗生物質治療をさらに施した。動物は、当分野において既知の標準的な方法を用いて予防プロトコルを施した動物との比較において、生存、重量偏差、盲腸内容物におけるC.ディフィシレ毒素の同定、および盲腸への組織的損傷についてモニタリングした(例えば、Anton P. M.ら、抄録識別番号102471、出版識別番号T1741、American Gastroenterological Association Meeting、2003年5月17-22日、において発表;Anton P. M.ら、Gastroenterology 124: A558、2003年を参照のこと)。
【0042】
実施例2. 32株のC.ディフィシレに対するリファラジル(ABI1648)の最小阻止濃度
リファラジルの最小阻止濃度(MIC)を32株のC.ディフィシレに対して求めた。全てのC.ディフィシレ分離株は、1987年から1992年までに米国の病院において集められた。MICは、NCCLSが定義した方法論(National Committee for Clinical Laboratory Standards、嫌気性細菌の抗菌物質感受性試験のための方法、承認規格Mll-A5、第5版、2001年)を用いて、寒天希釈によって求めた。リファラジルおよびメトロニダゾールは、11回の2倍希釈の濃度範囲に渡って検定した。
【0043】
寒天希釈検定パネルは、検定する日に作成した。ビタミンKおよびヘミンを含む寒天を融解して50℃まで冷却し、このとき1mlの血液サプリメントを加えた。各々の抗菌物質の調製した濃度のものを適当な寒天チューブに加え、十分に混合した。寒天混合物は円形ぺトリ皿に注ぎ込み、凝固させた;プレートは次に35〜37℃インキュベータに30分間収め、寒天表面の過剰な水分を蒸発させた。
【0044】
寒天希釈感受性試験については、-70℃で凍結した分離株を解凍し、ブルセラ寒天上への継代培養を、それぞれの継代培養に続く4〜7% CO2中48-72時間の35℃インキュベーションとともに、2回行った。細菌懸濁液をブルセラブロス中に調製し、0.5マックファーランド標準の濁度に合わせた。適当な濃度の抗菌物質を含む寒天プレートに、1〜2μlの細菌懸濁液(スポットあたり105CFU)を接種した。接種し次第、プレートを裏返し、嫌気性条件において35〜37℃でインキュベーションした。48時間のインキュベーション後、プレートを読み取りMICを求めた。
【0045】
リファラジルのMICを、31株のC.ディフィシレに対して同じく求めたメトロニダゾールのMICと比較した。これらの結果は表1に示されている。
【0046】
(表1)31株のC.ディフィシレ(C. defficile)に対するリファラジルおよびメトロニダゾールのMIC(μg/ml)

*Fujiiら(Antimicrob. Agents Chemother. 38 : 1118-1122, 1994)がこの生物体に対し1.0という値、表1に記載されているものと異なる値、を得たことに言及しておかなけらばならない。
【0047】
これらのデータは、リファラジルが、31株のC.ディフィシレのほとんど全てに対して、メトロニダゾールよりはるかに効果的であったことを実証する。リファラジルのMICは、0.0005から0.5μg/mlの範囲にあり、一方、メトロニダゾールのMICは、0.25から0.5μg/mlの範囲にあった。さらに、これらの菌株の同一性解析を可能な限り行ったが、それらは検定を行ったC.ディフィシレの菌株が同一でなかったことを示す。
【0048】
80株および29-5-30株は、メトロニダゾールおよびリファラジルに感受性がより低いと思われ、それゆえ、C.ディフィシレの一部の菌株の効果的な治療のため、本明細書に記載されている組み合わせ治療の必要性が示唆される。
【0049】
その他の態様
上記明細書中に言及した全ての刊行物および特許は、参照として本明細書に組み入れられる。本発明の記載された方法およびシステムの様々な改変および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱せずに、当業者に明らかであろう。本発明は具体的な好ましい態様に関連して記載されているが、請求の範囲にある本発明がそのような具体的な態様に不当に限定されるべきでないことを理解すべきである。実際に、微生物学または関連した領域における当業者に明らかな、本発明を実行するための記載された方法の様々な改変は、本発明の範囲の中に意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロストリジウム・ディフィシレの感染を有している被験者を治療するか、または該被験者においてクロストリジウム・ディフィシレの感染を予防するための方法であって、効果的な量のリファラジルを該被験者に投与する段階を含む方法。
【請求項2】
リファラジルが、0.01〜1000mg/日、好ましくは1〜100mg/日、より好ましくは1〜50mg/日、最も好ましくは5〜25mg/日の量において投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
リファラジルが、1〜14日間、好ましくは3〜7日間投与される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
リファラジルが単回投与として投与される、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
リファラジルが、5〜100mgの初回量に引き続き、1〜50mgの次回投与量が3から7日間投与される、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
クロストリジウム・ディフィシレの感染が、バンコマイシン;例えばリファンピシン、リファブチン、リファペンチン、およびリファキシミンなどのリファマイシン系;ならびにメトロニダゾールから選択される1つまたは複数の抗生物質に抵抗性のクロストリジウム・ディフィシレの菌株を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
リファラジルが、経口、静脈内、皮下、または直腸投与される、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
クロストリジウム・ディフィシレのトキシンAまたはトキシンBに結合する薬物を被験者に投与する段階をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
医薬包装物であって、
(i)クロストリジウム・ディフィシレの感染を有している被験者を治療するか、または該被験者においてクロストリジウム・ディフィシレの感染を予防するのに効果的な量におけるリファラジル;および
(ii)クロストリジウム・ディフィシレ感染を治療または予防するために該被験者に該リファラジルを投与するための取扱説明
を含む医薬包装物。
【請求項10】
リファラジルが、0.01〜100mg、好ましくは1〜50mg、より好ましくは1〜25mg、そして最も好ましくは5〜25mgの単位投薬量にある、請求項9記載の医薬包装物。
【請求項11】
以下からなる群より選択される1つまたは複数の抗生物質をさらに含む、請求項1〜8に記載の方法または請求項9〜10記載の医薬包装物:
例えばペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフィシリン、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、およびテモシリンなどのペニシリン系などの、βラクタム系;
例えばセファロチン、セファピリン、セフラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セフロキシム、セファレキシン、セフプロジル、セファクロール、ロラカーベフ、セフォキシチン、セフマトゾール、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフェキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフジニル、セフピロム、セフピーム、BAL5788およびBAL9141、などのセファロスポリン系;例えばイミペネム、エルタペネム、およびメロペネムなどのカルバペナム系;ならびに、例えばアストレオナムなどのモノバクタム系;
例えばクラブラネート、スルバクタム、およびタゾバクタムなどのβラクタマーゼ阻害剤;
例えばストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルミシン、スペクチノマイシン、シソマイシン、ジベカリン、およびイセパマイシンなどのアミノグリコシド系;
例えばテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、およびドキシサイクリンなどのテトラサイクリン系;
例えばダプトマイシンなどのリポペプチド;
例えばエリスロマイシン、アジスロマイシン、およびクラリスロマイシンなどのマクロライド系;
例えばテリスロマイシンおよびABT-773などのケトライド系;
例えばリンコマイシンおよびクリンダマイシンなどのリンコマイシン系;
例えばバンコマイシン、オリタバンシン、ダルババンシン、およびテイコプラニンなどの糖ペプチド;
例えばキヌプリスチンおよびダルホプリスチンなどのストレプトグラミン系;
例えばスルファニルアミド、パラアミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾール、およびスルファサリディンなどのサルファ剤;
例えばリネゾリドなどのオキサゾリジノン系;
例えばナリジクス酸、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、テマフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、ゲミフロキサシン、およびシタフロキサシンなどのキノロン系;
例えばリファンピシン、リファブチン、リファペンチン、およびリファキシミンなどのリファマイシン系;メトロニダゾール;ガレノキサシン;ラモプラニン;ファロペネム;ポリミキシン;チゲサイクリン;AZD2563;およびトリメトプリム。
【請求項12】
糖ペプチドがバンコマイシンである、請求項11記載の方法または医薬包装物。
【請求項13】
バンコマイシンが125〜2000mg、好ましくは500〜2000mgの量にある、請求項12記載の方法または医薬包装物。
【請求項14】
リファラジルおよびバンコマイシンが同時に投与される、請求項12記載の方法または医薬包装物。
【請求項15】
リファラジルおよびバンコマイシンが連続して投与される、請求項12記載の方法または医薬包装物。
【請求項16】
リファラジルおよびバンコマイシンが互いに14日以内に、好ましくは互いに5日以内に、好ましくは互いに3日以内に、好ましくは互いに24時間以内に投与される、請求項12記載の方法または医薬包装物。
【請求項17】
リファラジルおよびバンコマイシンのうちどちらかまたは両方が経口投与される、請求項12記載の方法または医薬包装物。
【請求項18】
クロストリジウム・ディフィシレの感染を有している被験者を治療するか、または該被験者においてクロストリジウム・ディフィシレの感染を予防するための方法であって、リファラジルおよびバンコマイシンを含む組成物を該被験者に投与する段階を含む方法。
【請求項19】
組成物が経口または静脈内投与に適する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
リファラジルの単位投薬量が0.01〜100mgであって、バンコマイシンの単位投薬量が125〜2000mgである;
好ましくはリファラジルの単位投薬量が1〜50mgであって、バンコマイシンが500〜2000mgの単位投薬量である;
より好ましくはリファラジルの単位投薬量が1〜25mgであって、バンコマイシンの単位投薬量が500〜2000mgである、請求項18記載の方法。

【公表番号】特表2006−501310(P2006−501310A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569768(P2004−569768)
【出願日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/027305
【国際公開番号】WO2004/019907
【国際公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(504195255)アクティブバイオティクス インコーポレイティッド (1)
【Fターム(参考)】