説明

クーラント濾過装置

【課題】クーラントタンクの底に溜まる切り屑などを極力少なくすると共に、フィルタの目詰まりを減少させ、フィルタのメンテナンス頻度を極めて少なくしたクーラント濾過装置を提供する。
【解決手段】底面19に堆積しているクーラント中の切り屑を搬送して、ダーティータンク11の外部に排出すると同時に、薄肉プレートに多数個の細孔を加工したフィルタプレート13の表面を摺動させるスクレーパ23を備えたチップコンベア装置12を具備したダーティータンク11と、フィルタプレート13の裏面を摺動させるためのスクレーパ14を備えたエンドレス回転体29と、フィルタプレート13を通過した濾過後のクーラントをクリーンタンク17内へと流入させるためのクーラント流路16と、クリーンタンク17内に貯液された濾過後のクーラントを工作機械へと圧送するためのクリーンポンプ18を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削をおこなうための工作機械から流出されるクーラント中の、主に非磁性体の切り屑を分離処理してクーラントの清浄化をおこなうクーラント濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界では、リサイクル性の向上のため、切削をおこなうための工作機械から流出した主に非磁性体の切り屑を含有しているクーラントの処理を、フィルタによりおこなうクーラント濾過装置において、フィルタの目詰まりが少なく、フィルタのメンテナンス頻度が極めて少ないクーラント濾過装置が要望されている。
【0003】
図4、及び図5は、切削をおこなうための工作機械から流出するクーラント中に含有する、主に非磁性体の切り屑の処理をおこなうための、従来のクーラント濾過装置の一例を示す説明図である。
【0004】
切削をおこなうための工作機械から流出された、主に非磁性体の切り屑を含有しているクーラントは、クーラント濾過装置42のダーティータンク43に流入される。
【0005】
ダーティータンク43内には、減速機付きモーター44により駆動される、エンドレス回転帯45に一定間隔でスクレーパ46が取り付けられたチップコンベア装置47が装備さわ、ダーティータンク43内に沈降した粗い切り屑は、チップコンベア装置47によりダーティータンク43外部の受け箱48内へと排出される。
【0006】
ダーティータンク43内において沈降できない細かい切り屑は、フィルタ49により濾過され、ダーティータンク43と一体構造のクリーンタンク50に流入し、クリーンタンク50上に備えられたクリーンポンプ51により、工作機械へと圧送される。
【0007】
なお、フィルタ49は、定期的、あるいはフィルタ49目詰まり時のダーティータンク43内クーラントの液面上昇を液面スイッチ52により検出することにより、頻繁に清掃の必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明に係る請求項1は、クーラントタンクの底に溜まる切り屑などを極力少なくすると共に、フィルタの目詰まりを減少させ、フィルタのメンテナンス頻度を極めて少なくしたフィルタを具備した、新規な組み合わせを採用したクーラント濾過装置を提供することを課題とする。
【0009】
本発明に係る請求項2は、フィルタの目詰まりの減少をより促進させた、クーラント濾過装置を提供することを課題とする。
【0010】
本発明に係る請求項3は、フィルタをより有効に使用することができる、クーラント濾過装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、
水平な底面を有するダーティータンクの片方を傾斜立ち上がり板とし、立ち上がり板の上端部を、切削をおこなうための工作機械から流出されるクーラント中の、主に非磁性体の切り屑の排出口としたダーティータンク内に、ダーティータンクの底面に堆積しているクーラント中の切り屑を搬送して、ダーティータンク外部に排出するためのチップコンベア装置を備えたダーティータンクと、
チップコンベア装置を備えたダーティータンク内に、薄肉プレートに多数個の細孔を加工したフィルタプレートを具備し、フィルタプレートの裏面を摺動させるためのスクレーパを備えたエンドレス回転帯を内蔵した、フィルタプレートを通過した濾過後のクーラントをクリーンタンク内へと流入させるためのクーラント流路と、
クリーンタンク内に貯液された濾過後のクーラントを、工作機械へと圧送するためのクリーンポンプを具備することを特徴とするものである。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1の、クーラント濾過装置において、
エンドレス回転帯に一定間隔でスクレーパが取り付けられ、エンドレス回転帯の移動により、スクレーパ全面でクーラントタンクの底面に堆積しているクーラント中の切り屑を掻き出すと同時に、スクレーパがフィルタプレートの表面を摺動する構造としたチップコンベア装置を具備することを特徴とするものである。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1、及び請求項2の、クーラント濾過装置において、
チップコンベア装置を備えたダーティータンク内に、フィルタプレートを傾斜して具備することを特徴とするものでわる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る、工作機械から流出したクーラント内に含有する、切削加工後の主に非磁性体切り屑などを処理するクーラント濾過装置では、
チップコンベア装置を備えたダーティータンクと、
チップコンベア装置を備えたダーティータンク内に、フィルタプレートと、フィルタプレートの裏面を摺動させるためのスクレーパを備えたエンドレス回転体を内蔵したクーラント流路と、
クリーンタンク内に貯液された濾過後のクーラントを、工作機械へと圧送するためのクリーンポンプにより、
従来のクーラント濾過装置と比較し、フィルタプレートの目詰まりを少なくすることにより、メンテナンスに要する時間を極めて短縮することができる新規なクーラント濾過装置を提供できる。
【0015】
請求項2に係る、チップコンベア装置のスクレーパが、フィルタプレートの表面をも摺動する構造のクーラント濾過装置によれば、
フィルタプレートの目詰まりを、より少なくすることができる新規なクーラント濾過装置を提供できる。
【0016】
請求項3に係る、チップコンベア装置が備えられたダーティータンク内に、フィルタプレートを傾斜させて具備されたクーラント濾過装置によれば、
フィルタプレートの長寿命化を図ることができる新規なクーラント濾過装置を提供できる。
【0017】
また、上記の効果の他、ランニングコストの低減、クーラントタンク内の清掃頻度の減少、などの効果が考えられ、反復使用する工作機械に関し、クーラントの清浄度を維持し寿命を延長させることにより、工作機械の性能を保持でき全体的に稼働費用の低減に寄与できるものである。
【発明を実施するための最良の状態】
【0018】
本実施形態に係るクーラント濾過装置は、工作機械から流出された、切削加工後の主に非磁性体切り屑などを含有しているクーラントの処理をおこなうクーラント濾過装置である。
なお、本実施形態に係るクーラント濾過装置は、工作機械から流出した切削加工後の主に非磁性体切り屑などを含有しているクーラントの濾過をおこなう際に、フィルタの目詰まりを少なくすることにより、メンテナンスに要する時間を極めて短縮することができると共に、フィルタの長寿命化を図ることができるクーラント濾過装置が要望されている。
【0019】
以下、本発明の代表的な実施形態を図面を参照して説明する。
ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、形状、材質、その相対位置などは、特に特定的な記載がないかぎりはこの発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
工作機械から流出したクーラント内に含有する切削加工後の切り屑が主に非磁性体切り屑の場合の、本実施形態に係るクーラント濾過装置について図1、図2及び図3に基ずいて説明する。
【0021】
工作機械から流出したクーラント内に含有する切削加工後の切り屑が主に非磁性体切り屑の場合の、本実施形態に係るクーラント清浄装置は、
ダーティータンク11内に備えられたチップコンベア装置12、
同じくダーティータンク11内に備えられたフィルタプレート13と、フィルタプレート13の裏面を摺動させるためのスクレーパ14を備えたエンドレス回転体15を内蔵したクーラント流路16、
濾過後のクーラントを工作機械へと圧送するための、クリーンタンク17に具備されたクリーンポンプ18、
などにより構成されている。
【0022】
水平な底面19を有するダーティータンク11の片方を傾斜立ち上がり板20とし、傾斜立ち上がり板20の上端部を切り屑排出口21としたダーティータンク11内に具備されるチップコンベア装置12は、
左右2本のエンドレスチェーンベルト22と、左右2本のエンドレスチェーンベルト22に一定間隔に取り付けられたスクレーパ23、エンドレスチェーンベルト22を駆動する減速機付きモーター24、切り屑排出口21より排出された切り屑を収容する受け箱25、などにより構成されている。
【0023】
工作機械から流出された切り屑を含有したクーラントは、チップコンベア装置12を備えたダーティータンク11内に流入する。
ダーティータンク11内に備えられたチップコンベア装置12は、左右2本のエンドレスチェーンベルト22に一定間隔で取り付けられたスクレーパ23を、
チップコンベア水平部テール側26に取り付けられた左右2個のテール軸スプロケット27と、チップコンベア装置12により切り屑を外部に排出するための、ダーティータンク11の傾斜立ち上がり板20の先端に取り付けられた左右2個の駆動軸スプロケット28よりなる回動機構を介して、減速機付きモーター24により動作させ、ダーティータンク11内に沈降した切り屑を傾斜立ち上がり板20端部の切り屑排出口21に搬送する。
【0024】
チップコンベア装置12により、ダーティータンク11の傾斜立ち上がり板20端部の切り屑排出口21まで搬送された切り屑は、切り屑排出口21よりダーティータンク11外部の受け箱25内へと排出される。
【0025】
チップコンベア装置12を備えたダーティータンク11内には、ダーティータンク11内で沈降せずにダーティータンク11内に浮遊する切り屑を濾過し、濾過されたクーラントをクリーンタンク17内へと流入させるための、薄肉プレートに多数個の細孔(例えば0.1mm〜0.5mm)を加工したフィルタプレート13と、フィルタプレート13の裏面を摺動させるためのスクレーパ14を備えたエンドレス回転体15を内蔵したクーラント流路16が具備される。
【0026】
クーラント流路16内に備えられたエンドレス回転体15は、
左右2本のエンドレスチェーンベルト29に一定間隔で取り付けられたスクレーパ14を、クーラント流路16の左右両端に備えられた軸30、31に、それぞれ2個のスプロケット32を回転自在に装着してなる回動機構を介して、フィルタプレート13の裏面を摺動させながら回転させる。
【0027】
クーラント流路16内に備えられたエンドレス回転体15を回転させるための動力は、チップコンベア装置12の回転力を利用する。
【0028】
チップコンベア装置12のアイドラ軸33に装着されたスプロケット34と、クーラント流路16に備えられた軸30に装着されたスプロケット35をエンドレスチェーンベルト36により連結し、チップコンベア装置12の回転に連動させて、エンドレス回転体15を回転させる。
【0029】
フィルタプレート13の表面、及び裏面を摺動させる、チップコンベア装置12のスクレーパ23、及びクーラント流路16内に具備されたスクレーパ14には、フィルタプレート13を摺動させるための、例えば各種ゴム、あるいはプラスチックなどによる掻き板37、38が具備され、この掻き板37、38をフィルタプレート13の表面、及び裏面に摺動させることにより、フィルタプレート13の目詰まりを防止すると共に、フィルタプレート13の長寿命化を図ることができる。
【0030】
チップコンベア装置12を備えたダーティータンク11内に具備された、フィルタプレート13とエンドレス回転体15を内蔵したクーラント流路16を、ダーティータンク11内に傾斜して具備することにより、フィルタプレート13の濾過面積を広くすることが出来ると共に、フィルタプレート13の目詰まりが、傾斜したフィルタプレート13の下部から徐々に発生するため、フィルタプレート13を有効に活用することができる。
【0031】
チップコンベア装置12を備えたダーティータンク11には、
ダーティータンク11内に貯液されたクーラントの液面上昇により、フィルタプレート13の目詰まりを検知するための液面スイッチ39が具備され、
まさかの異常時(液面スイッチ39の故障等)に、ダーティータンク11から床面へのクーラントの溢れを防止するため、ダーティータンク11からクリーンタンク17へのクーラントオーバーフロー口40が具備される。
【0032】
フィルタプレート13によりクーラントの濾過が完了したクーラントは、クーラント流路16を経由して切り欠き孔41からクリーンタンク17内へと流入し、クリーンタンク17に具備されたクリーンポンプ18により工作機械へと圧送される。
【0033】
その他本発明装置は、前にも述べたように、上記し、かつ図面に示した実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のクーラント濾過装置の正面を示す説明図である。
【図2】本発明のクーラント濾過装置の平面を示す説明図である。
【図3】本発明のクーラント濾過装置のフィルタ部の断面を示す説明図である。
【図4】従来のクーラント濾過装置の正面を示す説明図である。
【図5】従来のクーラント濾過装置の平面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
11・・・ダーティータンク 12・・・チップコンベア装置
13・・・フィルタプレート 14・・・スクレーパ
15・・・エンドレス回転体 16・・・クーラント流路
17・・・クリーンタンク 18・・・クリーンポンプ
19・・・底板 20・・・傾斜立ち上がり板
21・・・切り屑排出口 22・・・エンドレスチェーンベルト
23・・・スクレーパ 24・・・減速機付きモーター
25・・・受け箱 26・・・チップコンベア水平部テール側
27・・・テール軸スプロケット 28・・・駆動軸スプロケット
29・・・エンドレスチェーンベルト 30・・・軸
31・・・軸 32・・・スプロケット
33・・・アイドラ軸 34・・・スプロケット
35・・・スプロケット 36・・・エンドレスチェーンベルト
37・・・掻き板 38・・・掻き板
39・・・液面スイッチ 40・・・クーラントオーバーフロー口
41・・・切り掻き穴 42・・・クーラント濾過装置
43・・・ダーテイータンク 44・・・減速機付きモーター
45・・・エンドレス回転体 46・・・スクレーパ
47・・・チップコンベア装置 48・・・受け箱
49・・・フィルタ 50・・・クリーンタンク
51・・・クリーンポンプ 52・・・液面スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な底面を有するダーティータンクの片方を傾斜立ち上がり板とし、前記立ち上がり板の上端部を、切削をおこなうための工作機械から流出されるクーラント中の、主に非磁性体の切り屑の排出口としたダーティータンク内に、前記ダーティータンクの底面に堆積している前記クーラント中の前記切り屑を搬送して、前記ダーティータンク外部に排出するためのチップコンベア装置を備えた前記ダーティータンクと、
前記チップコンベア装置を備えた前記ダーティータンク内に、薄肉プレートに多数個の細孔を加工したフィルタプレートを具備し、前記フィルタプレートの裏面を摺動させるためのスクレーパを備えたエンドレス回転体を内蔵した、前記フィルタプレートを通過した濾過後のクーラントをクリーンタンク内へと流入させるためのクーラント流路と、
前記クリーンタンク内に貯液された濾過後のクーラントを、前記工作機械へと圧送するためのクリーンポンプを具備することを特徴とするクーラント濾過装置。
【請求項2】
請求項1の、クーラント濾過装置において、
エンドレス回転帯に一定間隔でスクレーパが取り付けられ、エンドレス回転帯の移動により、スクレーパ全面で前記ダーティータンクの底面に堆積している前記クーラント中の前記切り屑を掻き出すと同時に、前記スクレーパが前記フィルタプレートの表面を摺動する構造としたチップコンベア装置を具備することを特徴とするクーラント濾過装置。
【請求項3】
請求項1、及び請求項2の、クーラント濾過装置において、
前記チップコンベア装置を備えた前記ダーティータンク内に、前記フィルタプレートを傾斜して具備することを特徴とするクーラント濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−159393(P2006−159393A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382243(P2004−382243)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(591139574)株式会社CNK (25)
【Fターム(参考)】