クーロンカウンタおよび電子情報機器
【課題】2次電池の充放電量(クーロン量)の積算を内部で行うことができ、任意のタイミングで積算したクーロン量を読み出すことができ、回路規模の縮小を可能とした低コスト化が見込めるクーロンカウンタを得る。
【解決手段】検出抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、該入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタ100aにおいて、該入力電圧を入力信号とし、該入力電圧に応じたデューティー比を有するパルス信号を出力デルタ−シグマ・モジュレータ100と、クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがハイレベルであるときカウントアップし、該クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがローレベルであるときカウントダウンするアップダウン・カウンタ101とを備えた。
【解決手段】検出抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、該入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタ100aにおいて、該入力電圧を入力信号とし、該入力電圧に応じたデューティー比を有するパルス信号を出力デルタ−シグマ・モジュレータ100と、クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがハイレベルであるときカウントアップし、該クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがローレベルであるときカウントダウンするアップダウン・カウンタ101とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーロンカウンタおよび電子情報機器に関し、特に、回路規模の縮小を可能としたクーロンカウンタ、およびこのようなクーロンカウンタを搭載した電子情報機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ノート型パソコン(PC)、携帯電話やゲーム機等の2次電池を用いるモバイル機器の分野では、使用中の2次電池の電池残量を検出するために電池残留検出装置を有するものが広く利用されている。
【0003】
この電池残留検出装置は、クーロンカウンタとも呼ばれ、検出抵抗(センス抵抗)を流れる充放電の電流を電圧に変換し、変換された電圧値を基に2次電池の電池残量を検知するものである。
【0004】
図10は、例えば、特許文献1に開示のクーロンカウンタを説明する図であり、クーロンカウンタとその適用対象となるシステムとの関係を概念的に示している。
【0005】
このクーロンカウンタ200の適用対象となるシステムSは、例えば、ノート型パソコン、携帯電話又はゲーム機等の電子機器である。このようなシステムSには、例えば、リチウムイオン電池等の充放電可能な2次電池が着脱可能に装着されている。
【0006】
このクーロンカウンタ200は、検出抵抗(以下、センス抵抗)Rsと、センス抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、この入力電圧に比例したカウント値を出力するIC部50とを備えている。ここで、センス抵抗Rsは2次電池に流れ込む又は2次電池から流れ出す電流(即ち、充放電の電流)を検出するための抵抗素子であり、その一端が例えばシステムS側の2次電池に接続され、その他端が例えば接地電位に接続されている。
【0007】
また、IC部50には2つの入力端子Vin+、Vin−が設けられており、これら入力端子Vin+、Vin−がそれぞれセンス抵抗Rsの両端に接続されている。従って、センス抵抗Rsに充放電の電流が流れると、電流の向きと大きさに応じて入力端子Vin+、Vin−間に電位差(即ち、入力電圧)が生じる。つまり、センス抵抗Rsにより、充放電の電流が入力電圧に変換される。そして、この入力電圧に比例して、IC部50から例えば13ビットのカウント値が出力される。
【0008】
図11は、上記IC部50の構成例を示すブロック図である。
【0009】
上記クーロンカウン200を構成するIC部50は、例えば、スイッチA1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2、S1、S2、R1、R2、I1、I2と、サンプリング容量Cs1、Cs2と、積分容量Ci1、Ci2と、全差動入力オペアンプ1と、基準電圧発生回路(以下、VREF回路)3と、コンパレータ5と、ロジック回路10と、を備えている。
【0010】
つまり、このIC部50では、サンプリング容量Cs1の入力側電極はスイッチA1を介して入力端子Vin+に接続されると共に、スイッチB1を介して入力端子Vin−に接続されている。また、この入力側電極はスイッチC1を介してVREF回路3のX端子に接続されると共に、スイッチD1を介してVREF回路3のY端子に接続されている。また、上記サンプリング容量Cs1の出力側電極は全差動入力オペアンプ1の正(+)入力端子に接続されると共に、スイッチS1を介してコモン電圧(以下、VCM)に接続されている。なお、VCMは例えば1Vである。
【0011】
また、上記IC部50では、サンプリング容量Cs2の入力側電極はスイッチA2を介して入力端子Vin−に接続されると共に、スイッチB2を介して入力端子Vin+に接続されている。また、このサンプリング容量Cs2の入力側電極はスイッチD2を介してVREF回路3のX端子に接続されると共に、スイッチC2を介してVREF回路3のY端子に接続されている。また、サンプリング容量Cs2の出力側電極は全差動入力オペアンプ1の負(−)入力端子に接続されると共に、スイッチS2を介してコモン電圧(VCM)に接続されている。
【0012】
なお、これらスイッチA1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2、S1、S2、R1、R2、I1、I2は、例えば、MOS電界効果トランジスタからなり、そのオン・オフはロジック回路10から出力される制御信号により行われる。
【0013】
また、上記IC部50では、積分容量Ci1の入力側電極が全差動入力オペアンプ1の正入力端子に接続されると共に、その出力側電極がスイッチI1を介して全差動入力オペアンプ1の負出力端子に接続されている。積分容量Ci2の入力側電極が全差動入力オペアンプ1の負入力端子に接続されると共に、その出力側電極がスイッチI2を介して全差動入力オペアンプ1の正出力端子に接続されている。さらに、積分容量Ci1、Ci2の両端には放電用のスイッチR1、R2がそれぞれ接続されている。
【0014】
全差動入力オペアンプ1の負出力端子及び正出力端子はそれぞれコンパレータ5に接続されており、負出力端子側の電位Vout−がコンパレータ5の入力端子In+に入力され、正出力端子側の電位Vout+がコンパレータ5の入力端子In−に入力されるようになっている。さらに、コンパレータ5はロジック回路10に接続され、コンパレータ5の出力端子Qから出力される非反転信号(信号Q)と、コンパレータ5の出力端子QBから出力される反転信号(信号QB)とがそれぞれロジック回路10に入力されるようになっている。また、図示しないが、発振回路もロジック回路10に接続されており、発振回路で生成されるクロック(CLOCK)信号がロジック回路10に入力されるようになっている。
【0015】
図12は、上記ロジック回路10の構成例を示すブロック図である。
【0016】
このロジック回路10は、内部カウンタ11と、分周器13と、更新パルス発生器15と、電流測定レジスタ(CMR:CurrentMeasurement Registor)17と、演算回路18と、積算電流レジスタ(ACR:Accumulated Current Registor)19とを備える。電流測定レジスタ(CMR)17と積算電流レジスタ(ACR)19は、例えば、それぞれが複数個のフリップフロップからなるレジスタである。
【0017】
図12に示すように、内部カウンタ11には、図示しない発振回路で生成されたクロック(CLOCK)信号と、分周器13によりCLOCK信号が例えば2分周された(即ち、パルス幅が2倍に調整された)分周信号ClkDiv1と、CLOCK信号を基に更新パルス発生器15で生成されたレジスタ更新パルス(以下、更新パルス)と、コンパレータ5(図11参照)から出力される信号Q、QBが入力されるようになっている。
【0018】
さらに、内部カウンタ11は、少なくとも2つ以上の出力端子を有し、第1の端子は電流測定レジスタ(CMR)17に接続され、第2の端子は演算回路18を介して積算電流レジスタ(ACR)19に接続されている。
【0019】
ここで、電流測定レジスタ(CMR)17は、更新パルスが入力されたときに内部カウンタ11から出力される内部カウント値を「1回変換時間当たりのカウント値」として保持すると共に、その保持する値を外部に出力するようになっている。また、演算回路18は、更新パルスが入力されたときに内部カウンタ11から出力される内部カウント値に所定の演算処理を行って演算値を出力する。ACR19は、この演算値を順次積算して「単位時間当たりのカウント値」を保持すると共に、その保持する値を外部に出力するようになっている。なお、「1回変換時間当たりのカウント値」、「単位時間当たりのカウント値」は、その両方とも2次電池の充放電状態を示すデータである。
【0020】
次に、クーロンカウンタの動作例について説明する。
【0021】
図13は、クーロンカウンタが有するスイッチ等の動作例を示すタイミングチャートである。
【0022】
図13において、「CLKR」は図11に示したスイッチR1、R2のクロック動作を示し、「CLKA」はスイッチA1、A2のクロック動作を示し、「CLKB」はスイッチB1、B2のクロック動作を示し、「CLKC」はスイッチC1、C2のクロック動作を示し、「CLKD」はスイッチD1、D2のクロック動作を示し、「CLKS」はスイッチS1、S2のクロック動作を示し、「CLKI」はスイッチS1、S2のクロック動作を示す。また、「EN」はコンパレータ5に入力される、出力制御信号(Enable)を示す。
【0023】
まず、Timing(タイミング)1では、スイッチR1、R2がオンとなり、積分容量Ci1、Ci2の電荷が放電される。これにより、積分容量の蓄積電荷は0(ゼロ)となる。なお、この放電操作は、クーロンカウンタによるカウント動作の開始前、即ち、リセット時にのみ行われる。
【0024】
次に、Timing2では、スイッチA1、A2、S1、S2がオンとなり、他のスイッチは全てオフとなる。これにより、入力電圧のサンプリング動作が行われる。
【0025】
次に、Timing3では、スイッチB1、B2、I1、I2がオンとなり、他のスイッチは全てオフとなる。これにより、入力電圧の積分動作が行われる。
【0026】
次に、Timing4では、スイッチC1、C2、S1、S2がオンとなり、他のスイッチは全てオフとなる。これにより、基準電圧のサンプリング動作が行われる。
【0027】
次に、Timing5では、スイッチD1、D2、I1、I2がオンとなり、他のスイッチは全てオフとなる。これにより、基準電圧の積分動作が行われる。
以降は、Timing2〜4の動作を繰り返し行って、入力電圧をコンパレータ5により信号Q,QBに変換し、コンパレータ5からは、信号Q,QBとして、入力電圧の大きさに応じたデューティー比を有する相補的なパルス信号が出力される。
【0028】
具体的には、例えば、検出抵抗に電流が流れていない状態では、信号Qのデューティ比は50%となり、放電状態では、電流量に応じてデューティー比が50%より大きな値となり、一方、放電状態では、電流量に応じてデューティー比が50%より小さな値となる。
【0029】
図14は、上記コンパレータ5から出力される信号Q,QBをロジック回路10でカウントする方法を説明する図である。
【0030】
図14において、分周信号ClkDiv1の1周期は例えば102μsec(≒0.8sec/8192、8192=213)に設定されている。また、更新パルスの1周期は例えば0.8sec(≒3600sec/4096、4096=212)に設定されており、1時間当たり約212回更新パルスが出力される。
【0031】
図14において、内部カウンタ11は、ClkDiv1がLOW(ロウ)で、且つ、CLOCK信号が立ち下がるときに、信号Qの入力があれば+1をカウントし、信号QBの入力があれば−1をカウントする。そして、更新パルスの入力のタイミングで、内部カウンタ11は信号Q,QBを足した値(以下、内部カウント値)をCMR17とACR19の両方に向けて出力すると共に、内部カウント値をゼロ(0)にリセットする。
【0032】
例えば、図11(b)では、更新パルスが入力されたときの内部カウント値の一例として6726を記載しているが、この内部カウント値(6726)がCMR17とACR19の両方に向けて同時に出力される。
【0033】
なお、かりに、更新パルスが入力されてから次の更新パルスが入力されるまでの間に信号Qのみが内部カウンタ11に入力された場合は、内部カウント値は例えば8192となる。その逆に、信号QBのみが内部カウンタ11に入力された場合は内部カウント値は例えば−8192となる。
【0034】
上記のように、内部カウント値(6726)がCMR17とACR19の両方に向けて同時に出力されると、CMR17では、この内部カウント値を「1回変換時間当たりのカウント値」として保持する。ここで、1回変換時間とは、更新パルスが入力されてから次の更新パルスが入力されるまでの時間(即ち、更新パルスの1周期)のことである。
【0035】
また、ACR19に向けて出力される内部カウント値(6726)は、演算回路18によって演算処理されてからACR19に入力される。例えば、内部カウント値(6726)は演算回路によって4096(=212)で割り算され、小数点以下を切り捨てた値(例えば、整数1)がACR19に入力される。そして、ACR19は、更新パルスが入力されるたびに、このような整数値を足して「単位時間当たりのカウント値」として保持する。ここで、単位時間は任意に設定可能な時間であり、例えば、1回変換時間×4096回(≒0.8sec×4096≒1hour)である。ACR19により保持される「単位時間当たりのカウント値」は、単位時間当たりの充放電量を示しており、この値は外部に出力される。
【0036】
そして、更新パルス毎の、上記1回変換時間当たりのカウント値を加算することで、更新パルスの回数に相当する時間に測定された充放電量が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2009−192464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
ところで、特許文献1に開示された電池残留検出装置(クーロンカウンタ)では、上記のとおり、分周器の出力や更新パルスのタイミングで、デジタ−シグマ・モジュレータからの出力値が保持されるようになっており、つまり分周器の出力に基づいて得られる単位時間当たりのカウント値(つまり、単位時間当たりの電流量)と、更新パルス発生器の出力に基づいて得られる1回変換時間当たりのカウント値(電流量の測定時間)とを用いて消費あるいは充電された電流量を計算しており、このため、上記の従来例では、電池残量を算出するために分周器や更新パルス発生器が必要であり、少なくともその分だけ回路規模が大きくなってしまうという問題があった。
【0039】
また、上述した従来の電池残留検出装置では、一定時間毎に、デジタ−シグマ・モジュレータの出力から変換されたカウント値に基づいてクーロン量を判定しているため、任意のタイミングでクーロン値(電流量)を把握することができず、さらに、ロジックICの内部カウンタからカウント値を読み出して、該カウント値に対応するクーロン量(電流量)を加算しているため、カウンタ値を読み出すことができない場合は、クーロン量を加算することができない。
【0040】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、2次電池の充放電量(クーロン量)の積算を内部で行うことができ、任意のタイミングで積算したクーロン量を読み出すことができ、回路規模の縮小を可能とした低コスト化が見込めるクーロンカウンタ及びこのようなクーロンカウンタを用いた電子情報機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明に係るクーロンカウンタは、検出抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、該入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタであって、該入力電圧を入力信号とし、該入力電圧に応じたデューティー比を有するパルス信号を出力デルタ−シグマ・モジュレータと、クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがハイレベルであるときカウントアップし、該クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがローレベルであるときカウントダウンするアップダウン・カウンタとを備えたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0042】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタに入ったクロック信号の数をカウントするカウンタ回路を備えていることが好ましい。
【0043】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記検出抵抗をショートするスイッチを備えていることが好ましい。
【0044】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値に任意の値を足し算する足し算回路を備えていることが好ましい。
【0045】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値から任意の値を引き算する引き算回路を備えていることが好ましい。
【0046】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値に任意の値を掛け算する掛け算回路と、前記掛け算回路により得られた掛け算値を記憶する記憶回路とを備えていることが好ましい。
【0047】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値を任意の値で割り算する割り算回路と、前記割り算回路により得られた割り算値を記憶する記憶回路とを備えていることが好ましい。
【0048】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタが出力するカウンタ値を任意のタイミングで保持する記憶回路を備えていることが好ましい。
【0049】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタのカウンタ値をリセットするリセット回路を備えていることが好ましい。
【0050】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記デルタ−シグマ・モジュレータは、入力信号として差動信号を受ける入力端子を有することが好ましい。
【0051】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記デルタ−シグマ・モジュレータは、その動作モードをスタンバイモードに切り替えるスタンバイ回路を備えていることが好ましい。
【0052】
本発明に係る電子情報機器は、所定の回路動作を行う機能回路と、該機能回路を駆動する2次電池とを備えた電子情報機器であって、該2次電池の残量を検出する残量検出部を有し、該残量検出回路は、請求項1に記載のクーロンカウンタを有しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0053】
次に本発明の作用について説明する。
【0054】
本発明においては、検出抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、前記入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタにおいて、前記入力電圧を入力信号とするデルタ−シグマ・モジュレータと、アップダウン・カウンタを備え、アップダウン・カウンタでは、デルタ−シグマ・モジュレータの出力である、アップとダウンの切り替え信号により、例えば、クロック毎にデルタ−シグマ・モジュレータの出力がHighの時は+1カウントされ、Low時は−1カウントされる。
【0055】
このような構成によれば、アップダウン・カウンタのカウント値から、検出抵抗を流れる電流量を把握することができる。従って、例えば、検出抵抗の一端が2次電池に接続されている場合は、検出抵抗を流れる充放電の電流量をカウント値から把握することができる。
【0056】
また、アップダウン・カウント回路のカウント値は検出抵抗の両端に生じる電位差(即ち、入力電圧)に比例した数であり、検出抵抗を流れる電流に比例した数である。従って、分周器や更新パルス発生器は不要であり、回路規模の縮小が可能である。
【0057】
本発明においては、クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタに入ったクロック信号をカウントするカウンタ回路を備えているので、クロック信号をカウントするカウンタ回路回路のカウント値と、クロック周波数の掛けた時間内に検出抵抗に流れた総電流を知ることができる。
【0058】
本発明においては、クーロンカウンタにおいて、前記検出抵抗をショートするスイッチを備えているので、前記検出抵抗をショートするスイッチを使用した場合に、抵抗の両端に生じる電位差はゼロになり、アップダウン・カウンタのカウント値もゼロになるはずである。もしも、アップダウン・カウンタのカウント値がゼロ以外の値となったなら、クーロンカウンタにオフセット値が発生していることになり、オフセット値を知ることができる。
【0059】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウント値に任意の値を足し算する回路を備えているので、上記のようにクーロンカウンタで知ることができたオフセット値をカウンタ値に足し算することにより、オフセット値を補正することができる。
【0060】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウント値から任意の値を引き算する回路を備えているので、上記のようにクーロンカウンタで知ることができたオフセット値をカウンタ値から引き算することにより、オフセット値を補正することができる。
【0061】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウント値と任意の値を掛け算する掛け算回路と、前記掛け算回路の掛け算値を記憶する記憶回路とを備えているので、検出抵抗の値がばらついたり、ときには検出抵抗の抵抗値が変化し、両端に生じる電位差も変化してしまったりする場合でも、検出抵抗に発生する電位差の変化に対するカウント値の変化を補正することができる。
【0062】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウント値を任意の値で割り算する割り算回路と、前記割り算回路の割り算値を記憶する記憶回路とを備えているので、検出抵抗の値がばらついたり、ときには検出抵抗の抵抗値が変化し、両端に生じる電位差も変化してしまったりする場合でも、検出抵抗に発生する電位差の変化に対するカウント値の変化を補正することができる。
【0063】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウンタ値を任意のタイミングで保持する記憶回路を備えているので、アップダウン・カウンタのカウンタ値を読み出す前に保持することができ、読み出しタイミングでカウンタ値が変わってしまい、間違ったカウント値を読み出すのを回避できる。
【0064】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウンタ値をリセットするリセット回路を備えているので、クーロンカウンタのスタート時にこれまでのアップダウン・カウンタのカウンタ値をリセットすることや、アップダウン・カウンタのカウンタ値が溢れる前に、つまり上限値を超える前に、カウント値をリセットすることができる。
【0065】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、デルタ−シグマ・モジュレータを、差動信号入力により動作するよう構成したので、クーロンカウンタに入る同相信号を除去することができ、S/N比を上げることができる。
【0066】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、デルタ−シグマ・モジュレータがスタンバイ回路を備えているので、携帯機器がOFF状態といったクーロンカウンタを必要としない状態では、スタンバイ回路により、クーロンカウンタのカウント動作、つまりデジタ−シグマ・モジュレータやアップダウンカウンタの動作を停止することが可能となり、低消費電力化を行うことができる。
【発明の効果】
【0067】
以上のように、本発明によれば、2次電池の充放電量(クーロン量)の積算を内部で行うことができ、任意のタイミングで積算したクーロン量を読み出すことができ、回路規模の縮小を可能とした低コスト化が見込めるクーロンカウンタ及びこのようなクーロンカウンタを用いた電子情報機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本発明の実施形態1によるクーロンカウンタを説明する図であり、クーロンカウンタ1000と、検出抵抗2000と、負荷3000と、2次電池4000との関係を示している。
【図2】図2は、本発明の実施形態2によるクーロンカウンタを説明する図であり、クロックをカウントするカウンタ回路を含む構成を示している。
【図3】図3は、本発明の実施形態3によるクーロンカウンタを説明する図であり、検出抵抗をショートするスイッチを含む構成を示している。
【図4】図4は、本発明の実施形態4によるクーロンカウンタを説明する図であり、カウント値を演算する演算器を含む構成を示している。
【図5】図5は、本発明の実施形態4によるクーロンカウンタを説明する図であり、カウント値とオフセット補正との関係(図5(a))、及びカウント値と傾き補正との関係(図5(b))を示している。
【図6】図6は、本発明の実施形態5によるクーロンカウンタを説明する図であり、カウンタ値を保持する記憶回路とリセット回路を含む構成を示している
【図7】図7は、本発明の実施形態6によるクーロンカウンタを説明する図であり、入力信号として差動信号を用いるデルタ−シグマ・モジュレータを示している。
【図8】図8は、本発明の実施形態6によるクーロンカウンタを説明する図であり、プリント基板上でのクーロンカウンタの配置(図(a)及び図(b))を示している。
【図9】図9は、本発明の実施形態7によるクーロンカウンタを説明する図であり、スタンバイ回路を含むデルタ−シグマ・モジュレータを示している。
【図10】図10は、特許文献1に開示されている従来のクーロンカウンタ100を説明する図であり、該クーロンカウンタとシステムSとの関係を示している。
【図11】図11は、従来のクーロンカウンタ100を構成するIC部50の構成例を示す図である。
【図12】図12は、上記IC部を構成するロジック回路10の構成例を示す図である。
【図13】上記従来のクーロンカウンタ100を構成するIC部50の動作を説明する図であり、スイッチなどの動作をタイミングチャートで示している。
【図14】上記従来のクーロンカウンタ100の動作を説明する図であり、該IC部50を構成するデルタ−シグマ・モジュレータが出力する信号Q、信号QBのカウント方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0070】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1によるクーロンカウンタ100aを説明する図であり、クーロンカウンタの構成例を示している。
【0071】
本実施形態1のクーロンカウンタ100aは、検出抵抗200の両端に生じる電位差を入力電圧とし、前記入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタである。
【0072】
ここで、検出抵抗200は、負荷300と電源としてのバッテリー(2次電池)400とに対して直列に接続されている。なお、バッテリーの充電時には、負荷300と充電回路(図示せず)とが切替られる。
【0073】
ここで、検出抵抗200は2次電池に流れ込む又は2次電池から流れ出す電流(即ち、充放電の電流)を検出するための抵抗素子であり、その一端が、例えば2次電池のマイナス側に接続され、その他端が例えば接地電位に接続されている。
【0074】
このクーロンカウンタ100aは、前記入力電圧を入力信号(IN_P)とし、該入力電圧に応じたデューティー比を有するパルス信号(出力パルス)Qを出力するデルタ−シグマ・モジュレータ100と、クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータ100の出力パルスQがハイレベルであるときカウントアップし、該クロック信号CLKの入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータ100の出力パルスQがローレベルであるとき、カウントダウンするアップダウン・カウンタ101とを備えている。ここで、デルタ−シグマ・モジュレータ100は、図11に示す従来のクーロンカウンタ200におけるデルタ−シグマ・モジュレータ50と同一の回路構成となっており、一方の入力端子Vin+を検出抵抗200のバッテリ側端に接続し、他方の入力端子Vin−を接地したものである。
【0075】
次に作用効果について説明する。
【0076】
このようなクーロンカウンタ100aでは、アップダウン・カウンタ101は、デルタ−シグマ・モジュレータ100の出力Qに基づいて、アップカウントとダウンカウントの切り替えを行う。例えば、クロック毎にデルタ−シグマ・モジュレータの出力がHighかLowかに応じてカウントを行い、具体的には、デルタ−シグマ・モジュレータの出力がHighの時は+1カウント(アップカウント)して、その出力がLowの時は−1カウント(ダウンカウント)する。
【0077】
このような構成のクーロンカウンタ100aでは、アップダウン・カウンタ101のカウント値から、検出抵抗200を流れる電流量を把握することができる。従って、例えば、検出抵抗200の一端が2次電池に接続されている場合は、検出抵抗を流れる充放電の電流量をカウント値から把握することができる。
【0078】
また、アップダウン・カウンタ101のカウント値は検出抵抗の両端に生じる電位差(即ち、入力電圧)に比例した数であり、検出抵抗を流れる電流に比例した数である。従って、特許文献1に開示のクーロンカウンタのように、カウント値から、検出抵抗を流れる電流を求めるためのタイミング信号である、分周器や更新パルス発生器などからのパルス信号は不要であり、回路規模の縮小が可能である。
【0079】
このように本実施形態1では、検出抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、前記入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタ100aにおいて、前記入力電圧を入力信号とし、該入力電圧に応じたデューティー比を有するパルス信号を出力デルタ−シグマ・モジュレータ100と、クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがハイレベルであるときカウントアップし、該クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがローレベルであるときカウントダウンするアップダウン・カウンタ101とを備えたので、2次電池の充放電量(クーロン量)の積算をクーロンカウンタの内部で行うことができ、任意のタイミングで積算したクーロン量を読み出すことができ、回路規模の縮小を可能とした低コスト化が見込めるクーロンカウンタを得ることができる。
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態2よるクーロンカウンタを説明する図であり、クロックをカウントするカウンタ回路を含む構成を示している。
【0080】
この実施形態2のクーロンカウンタ100bは、上記実施形態1のクーロンカウンタ100aの構成に加えて、アップダウンカウンタ101に入力されるクロック信号をカウントするカウンタ回路を備えたものである。
【0081】
このような構成のクーロンカウンタ100bでは、上記実施形態1の効果に加えて、クロック信号をカウントするカウンタ回路102のカウント値とクロック周期を掛けることにより、クーロンカウンタでのカウント開始から現時点までの時間が得られるので、クーロンカウンタでのカウント開始から現時点までの経過時間の間に検出抵抗に流れた総電流を知ることができる効果が得られる。
(実施形態3)
図3は、本発明の実施形態3によるクーロンカウンタを説明する図である。
【0082】
この実施形態3のクーロンカウンタ100cは、上記実施形態1のクーロンカウンタ100aの構成に加えて、検出抵抗200に並列に接続されたスイッチ103を備えたものである。
【0083】
このような構成の実施形態3のクーロンカウンタ100cでは、上記スイッチ103をオンすることにより、検出抵抗をショートすることができる。このように、検出抵抗200をショートすると、デルタ−シグマ・モジュレータ100への入力電圧が0となり、クーロンカウンタ100のオフセット値を測定することができる。
【0084】
つまり、前記検出抵抗200をショートするスイッチ103をオンした場合、該検出抵抗200の両端に生じる電位差は、ゼロになり、アップダウン・カウンタのカウント値もゼロになるはずである。
【0085】
従って、アップダウン・カウンタのカウント値がゼロ以外の値となれば、クーロンカウンタにオフセット値が発生していることになり、このときのゼロ以外のカウント値をオフセット値として検知することができる。
(実施形態4)
図4は、本発明の実施形態4によるクーロンカウンタを説明する図である。
【0086】
この実施形態4のクーロンカウンタ100dは、実施形態1のクーロンカウンタ100aの構成に加えて、アップダウン・カウンタ101の出力に任意の値を用いた演算処理を行う演算器104と、その演算結果を記憶する記憶回路105とを備えたものである。
【0087】
ここで、任意の値は、デジタ−シグマ・モジュレータ100のオフセット値やゲインなどのデータDATAであり、この実施形態では、該任意の値は、クーロンカウンタ100dの外部から上記クーロンカウンタの演算器104に供給する構成となっている。
【0088】
例えば、上記演算器104を、オフセット値(つまり、入力電圧が0であるときのデジタ−シグマ・モジュレータの信号Qの値に相当するカウント値)を上記アップダウン・カウンタの出力(カウント値)に足し算する足し算回路とすることで、図5(a)に示すように、クーロンカウンタの入力電圧に対するその出力(カウント値)が、破線グラフ12で示すように、実線グラブ10で示す正常状態のものから一定量だけマイナス側にオフセットしている場合に、そのオフセットを修正して、正常状態にすることができる。
【0089】
一方、上記演算器104を、オフセット値(つまり、入力電圧が0であるときのデジタ−シグマ・モジュレータの信号Qの値に相当するカウント値)を上記アップダウン・カウンタの出力(カウント値)から引き算する引き算回路とすることで、図5(a)に示すように、クーロンカウンタの入力電圧に対するその出力(カウント値)が、破線グラフ11で示すように、実線グラブ10で示す正常状態のものから一定量だけプラス側にオフセットしている場合に、そのオフセットを修正して、正常状態にすることができる。
【0090】
また、上記演算器104を、所定の補正ゲイン(つまり、入力電圧の単位変化量に対するカウンタ値の変化量の補正量)を上記アップダウン・カウンタの出力(カウント値)に掛け算する掛け算回路とすることで、図5(b)に示すように、クーロンカウンタの入力電圧の変化に対するその出力(カウント値)の変化が、2点鎖線のグラフ14で示すように、実線グラブ10で示す正常状態のものから一定量だけ大きい場合に、クーロンカウンタにおけるゲインを修正して、正常状態にすることができる。
【0091】
一方、上記演算器104を、所定の補正ゲイン(つまり、入力電圧の単位量の変化に対するカウンタ値の変化量の補正量)で上記アップダウン・カウンタの出力(カウント値)を割り算する割り算回路とすることで、図5(b)に示すように、クーロンカウンタの入力電圧の変化に対するその出力(カウント値)の変化が、2点鎖線のグラフ13で示すように、実線グラフ10で示す正常状態のものから一定量だけ小さい場合に、クーロンカウンタにおけるゲインを修正して、正常状態にすることができる。
【0092】
特に、検出抵抗の値がばらついたり、ときには検出抵抗の抵抗値が変化してその両端に生じる電位差も変化してしまったりした場合でも、抵抗の電位差(オフセット)とカウント値の傾き(ゲイン)を補正することができる。
【0093】
このように、本実施形態4では、アップダウン・カウンタに対して任意の値を用いた演算処理を施す演算器を備えたので、この演算器を、アップダウン・カウンタのカウンタ値に対して所定の値を足し算、引き算、掛け算、あるいは割り算するよう構成することにより、クーロンカウンタのカウント値のオフセットあるいはそのゲインを調整することができる。
(実施形態5)
図6は、本発明の実施形態5によるクーロンカウンタを説明する図である。
【0094】
このクーロンカウンタ100eは、実施形態1のクーロンカウンタ100aの構成に加えて、アップダウン・カウンタ101のカウンタ値を任意のタイミングで保持し、記憶したカウンタ値を任意のタイミングでリセットする記憶回路106を備えたものである。
【0095】
ここでは、記憶回路106は、クーロンカウンタ100eの外部からのラッチ(LAT)信号により記憶し、クーロンカウンタ100eの外部からのリセット(RESET)信号により、記憶したカウンタ値をリセットするよう構成されている。
【0096】
このような構成のクーロンカウンタ100eでは、記憶回路106はアップダウン・カウンタ101のカウンタ値をLAT信号のタイミングで記憶することができるので、アップダウン・カウンタのカウンタ値を読み出す前に保持することができ、読み出しタイミングでカウンタ値が変わってしまい、間違ったカウント値を読み出すことがない。
【0097】
また、記憶回路106はRESET信号でカウンタ値をリセットすることができるので、クーロンカウンタのスタート時にこれまでのアップダウン・カウンタのカウンタ値をリセットすることや、アップダウン・カウンタのカウンタ値が溢れる前に値をリセットすることができる。
【0098】
なお、上記実施形態5では、アップダウン・カウンタ101のカウンタ値を任意のタイミングで保持する記憶回路を、記憶したカウンタ値を任意のタイミングでリセットする構成としているが、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタ101を、そのカウンタ値が所定のリセット信号よりリセットされるよう構成し、該リセット信号を生成するリセット回路を備えてもよい。
(実施形態6)
図7は、本発明の実施形態6によるクーロンカウンタを説明する図であり、入力信号として差動信号を用いるデルタ−シグマ・モジュレータを示している。
【0099】
このクーロンカウンタ100fは、実施形態1のクーロンカウンタ100aを構成するデジタ−シグマ・モジュレータ100に変えて、入力信号として差動信号を用いるデジタ−シグマ・モジュレータ110を有するものであり、その他の構成は、実施形態1のクーロンカウンタと同一である。
【0100】
つまり、この実施形態のクーロンカウンタ100fでは、IN_P電位とGND電位の差を入力電圧(IN)としてカウントしていた実施形態1のデルタ−シグマ・モジュレータ100とは異なり、検出抵抗の両端の電位であるIN_P電位とIN_N電位の差を入力電圧(IN)としたデジタ−シグマ・モジュレータ110を用いている。
【0101】
このような構成の実施形態6のクーロンカウンタ100fでは、検出抵抗200の両端とデジタ−シグマ・モジュレータの一対の差動入力端子とが、基板配線を介することなく直接、専用の導体パターンにより接続されることとなり、基板配線によって生じる入力電圧の誤差を少なくすることができる。
【0102】
また、デジタ−シグマ・モジュレータ110の入力信号を差動信号とすることで、GNDや電源に混入したノイズや、クロックのノイズを低減する同相ノイズ除去の効果を得ることができ、S/N比を上げることができる。
【0103】
さらに、プリント基板上でのクーロンカウンタとしてのICの配置の自由度を高めることができる。
【0104】
図8は、プリント基板上でのクーロンカウンタとしてのICの配置を説明する図であり、差動入力のクーロンカウンタの配置(図(a))と、差動入力ではないクーロンカウンタの配置(図(b))とを対比して示している。
【0105】
例えば、図8(a)に示すように、プリント基板上に電気的に分離された導体層T1及びT2が形成されており、一方の導体層T1は、バッテリー400の負側端子に接続され、他方の導体層T2は、負荷300を介してバッテリー400の正側端子に接続されている。また、上記一対の導体層T1及びT2の対向する部分には、検出抵抗200を構成する抵抗層200aが、上記導体層T1及びT2に跨るよう形成され、この抵抗層200aの一端は、一方の導体層T1にコンタクト部Cを介して接続され、この抵抗層200aの他端は、他方の導体層T2にコンタクト部Cを介して接続されている。
【0106】
さらに、上記抵抗層200aの両端には、一対の配線層L1及びL2を介して上記クーロンカウンタ100fの一対の差動入力端子が接続されている。
【0107】
一方、図8(b)に示すように、差動入力ではない例えば実施形態1のクーロンカウンタ100を検出抵抗200に接続する場合は、クーロンカウンタを構成するデジタ−シグマ・モジュレータの一方の入力は、図8(a)に示す場合と同様、配線層Lを介して抵抗層T1の一端に接続し、デジタ−シグマ・モジュレータの他方の入力は接地する、つまり、上記一対の導体層のうちの接地されている接地側導体層T2に接続する。
【0108】
この場合、検出抵抗200としての抵抗層200aの他端側から、接地側導体層T2におけるデジタ−シグマ・モジュレータの他方の入力が接続されている部分までの抵抗成分ΔRがカウンタ出力に及ぼす影響を抑えるため、クーロンカウンタとしてのICを、抵抗層200aのできるだけ近い位置に配置する必要が生ずる。
【0109】
従って、本実施形態6のように、クーロンカウンタを、入力信号として差動信号を用いる構成とすることで、プリント基板上でのクーロンカウンタとしてのICの配置の自由度を高めることができる。
(実施形態7)
図9は、本発明の実施形態7によるクーロンカウンタを説明する図である。
【0110】
この実施形態7のクーロンカウンタ100gは、実施形態1のクーロンカウンタ100aを構成するデジタ−シグマ・モジュレータ100に変えて、スタンバイ回路107を備えたデジタ−シグマ・モジュレータ120を有するものであり、その他の構成は、実施形態1のクーロンカウンタと同一である。
【0111】
スタンバイ回路は107は、クーロンカウンタ100gの外部からのスタンバイ(STB)信号に基づいて、デルタ−シグマ・モジュレータ100を動作させないスタンバイ状態(非動作状態)と、デルタ−シグマ・モジュレータ100を動作させる動作状態との間で切替制御するものである。
【0112】
このような構成の本発明の実施形態7のクーロンカウンタ100gでは、クーロンカウントを行わない時には、スタンバイ回路107により、デジタ−シグマ・モジュレータをこれが動作しないスタンバイ状態とすることで、動作電流を少なくすることができ、これにより携帯機器のバッテリ寿命を延ばすことができる。
【0113】
さらに、上記実施形態1〜7では、特に説明しなかったが、上記実施形態1〜7のいずれかのクーロンカウンタは、携帯電話やノートパソコンなどのバッテリー駆動のモバイル機器に用いられてバッテリーの残量を検出するものであり、上記実施形態1〜7のいずれかによるクーロンカウンタを用いたモバイル機器では、クーロンカウンタを構成する回路数を少なくして、低コスト化を図ることができ、クーロンカウンタによる電池残量の検出をいつでも正確に行うことも可能である。
【0114】
例えば、このようなモバイル機器としての電子情報機器は、所定の回路動作を行う機能回路と、該機能回路を駆動するバッテリとを備えた電子情報機器であって、2次電池であるバッテリの残量を検出する残量検出部を有し、該残量検出回路は、上記実施形態1〜7のいずれかのクーロンカウンタを有するものである。
【0115】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、クーロンカウンタおよび電子情報機器の分野において、回路規模の縮小を可能としたクーロンカウンタ、およびこのようなクーロンカウンタを搭載した電子情報機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0117】
100、110、120 デルタ−シグマ・モジュレータ
100a〜100g クーロンカウンタ
101 アップダウン・カウンタ
102 カウンタ回路
103 スイッチ
104 演算器
105、106 記憶回路
107 スタンバイ回路
200 検出抵抗
200a 抵抗層
300 負荷
400 2次電池
T1、T2 導体層
L、L1、L2 配線層
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーロンカウンタおよび電子情報機器に関し、特に、回路規模の縮小を可能としたクーロンカウンタ、およびこのようなクーロンカウンタを搭載した電子情報機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ノート型パソコン(PC)、携帯電話やゲーム機等の2次電池を用いるモバイル機器の分野では、使用中の2次電池の電池残量を検出するために電池残留検出装置を有するものが広く利用されている。
【0003】
この電池残留検出装置は、クーロンカウンタとも呼ばれ、検出抵抗(センス抵抗)を流れる充放電の電流を電圧に変換し、変換された電圧値を基に2次電池の電池残量を検知するものである。
【0004】
図10は、例えば、特許文献1に開示のクーロンカウンタを説明する図であり、クーロンカウンタとその適用対象となるシステムとの関係を概念的に示している。
【0005】
このクーロンカウンタ200の適用対象となるシステムSは、例えば、ノート型パソコン、携帯電話又はゲーム機等の電子機器である。このようなシステムSには、例えば、リチウムイオン電池等の充放電可能な2次電池が着脱可能に装着されている。
【0006】
このクーロンカウンタ200は、検出抵抗(以下、センス抵抗)Rsと、センス抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、この入力電圧に比例したカウント値を出力するIC部50とを備えている。ここで、センス抵抗Rsは2次電池に流れ込む又は2次電池から流れ出す電流(即ち、充放電の電流)を検出するための抵抗素子であり、その一端が例えばシステムS側の2次電池に接続され、その他端が例えば接地電位に接続されている。
【0007】
また、IC部50には2つの入力端子Vin+、Vin−が設けられており、これら入力端子Vin+、Vin−がそれぞれセンス抵抗Rsの両端に接続されている。従って、センス抵抗Rsに充放電の電流が流れると、電流の向きと大きさに応じて入力端子Vin+、Vin−間に電位差(即ち、入力電圧)が生じる。つまり、センス抵抗Rsにより、充放電の電流が入力電圧に変換される。そして、この入力電圧に比例して、IC部50から例えば13ビットのカウント値が出力される。
【0008】
図11は、上記IC部50の構成例を示すブロック図である。
【0009】
上記クーロンカウン200を構成するIC部50は、例えば、スイッチA1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2、S1、S2、R1、R2、I1、I2と、サンプリング容量Cs1、Cs2と、積分容量Ci1、Ci2と、全差動入力オペアンプ1と、基準電圧発生回路(以下、VREF回路)3と、コンパレータ5と、ロジック回路10と、を備えている。
【0010】
つまり、このIC部50では、サンプリング容量Cs1の入力側電極はスイッチA1を介して入力端子Vin+に接続されると共に、スイッチB1を介して入力端子Vin−に接続されている。また、この入力側電極はスイッチC1を介してVREF回路3のX端子に接続されると共に、スイッチD1を介してVREF回路3のY端子に接続されている。また、上記サンプリング容量Cs1の出力側電極は全差動入力オペアンプ1の正(+)入力端子に接続されると共に、スイッチS1を介してコモン電圧(以下、VCM)に接続されている。なお、VCMは例えば1Vである。
【0011】
また、上記IC部50では、サンプリング容量Cs2の入力側電極はスイッチA2を介して入力端子Vin−に接続されると共に、スイッチB2を介して入力端子Vin+に接続されている。また、このサンプリング容量Cs2の入力側電極はスイッチD2を介してVREF回路3のX端子に接続されると共に、スイッチC2を介してVREF回路3のY端子に接続されている。また、サンプリング容量Cs2の出力側電極は全差動入力オペアンプ1の負(−)入力端子に接続されると共に、スイッチS2を介してコモン電圧(VCM)に接続されている。
【0012】
なお、これらスイッチA1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2、S1、S2、R1、R2、I1、I2は、例えば、MOS電界効果トランジスタからなり、そのオン・オフはロジック回路10から出力される制御信号により行われる。
【0013】
また、上記IC部50では、積分容量Ci1の入力側電極が全差動入力オペアンプ1の正入力端子に接続されると共に、その出力側電極がスイッチI1を介して全差動入力オペアンプ1の負出力端子に接続されている。積分容量Ci2の入力側電極が全差動入力オペアンプ1の負入力端子に接続されると共に、その出力側電極がスイッチI2を介して全差動入力オペアンプ1の正出力端子に接続されている。さらに、積分容量Ci1、Ci2の両端には放電用のスイッチR1、R2がそれぞれ接続されている。
【0014】
全差動入力オペアンプ1の負出力端子及び正出力端子はそれぞれコンパレータ5に接続されており、負出力端子側の電位Vout−がコンパレータ5の入力端子In+に入力され、正出力端子側の電位Vout+がコンパレータ5の入力端子In−に入力されるようになっている。さらに、コンパレータ5はロジック回路10に接続され、コンパレータ5の出力端子Qから出力される非反転信号(信号Q)と、コンパレータ5の出力端子QBから出力される反転信号(信号QB)とがそれぞれロジック回路10に入力されるようになっている。また、図示しないが、発振回路もロジック回路10に接続されており、発振回路で生成されるクロック(CLOCK)信号がロジック回路10に入力されるようになっている。
【0015】
図12は、上記ロジック回路10の構成例を示すブロック図である。
【0016】
このロジック回路10は、内部カウンタ11と、分周器13と、更新パルス発生器15と、電流測定レジスタ(CMR:CurrentMeasurement Registor)17と、演算回路18と、積算電流レジスタ(ACR:Accumulated Current Registor)19とを備える。電流測定レジスタ(CMR)17と積算電流レジスタ(ACR)19は、例えば、それぞれが複数個のフリップフロップからなるレジスタである。
【0017】
図12に示すように、内部カウンタ11には、図示しない発振回路で生成されたクロック(CLOCK)信号と、分周器13によりCLOCK信号が例えば2分周された(即ち、パルス幅が2倍に調整された)分周信号ClkDiv1と、CLOCK信号を基に更新パルス発生器15で生成されたレジスタ更新パルス(以下、更新パルス)と、コンパレータ5(図11参照)から出力される信号Q、QBが入力されるようになっている。
【0018】
さらに、内部カウンタ11は、少なくとも2つ以上の出力端子を有し、第1の端子は電流測定レジスタ(CMR)17に接続され、第2の端子は演算回路18を介して積算電流レジスタ(ACR)19に接続されている。
【0019】
ここで、電流測定レジスタ(CMR)17は、更新パルスが入力されたときに内部カウンタ11から出力される内部カウント値を「1回変換時間当たりのカウント値」として保持すると共に、その保持する値を外部に出力するようになっている。また、演算回路18は、更新パルスが入力されたときに内部カウンタ11から出力される内部カウント値に所定の演算処理を行って演算値を出力する。ACR19は、この演算値を順次積算して「単位時間当たりのカウント値」を保持すると共に、その保持する値を外部に出力するようになっている。なお、「1回変換時間当たりのカウント値」、「単位時間当たりのカウント値」は、その両方とも2次電池の充放電状態を示すデータである。
【0020】
次に、クーロンカウンタの動作例について説明する。
【0021】
図13は、クーロンカウンタが有するスイッチ等の動作例を示すタイミングチャートである。
【0022】
図13において、「CLKR」は図11に示したスイッチR1、R2のクロック動作を示し、「CLKA」はスイッチA1、A2のクロック動作を示し、「CLKB」はスイッチB1、B2のクロック動作を示し、「CLKC」はスイッチC1、C2のクロック動作を示し、「CLKD」はスイッチD1、D2のクロック動作を示し、「CLKS」はスイッチS1、S2のクロック動作を示し、「CLKI」はスイッチS1、S2のクロック動作を示す。また、「EN」はコンパレータ5に入力される、出力制御信号(Enable)を示す。
【0023】
まず、Timing(タイミング)1では、スイッチR1、R2がオンとなり、積分容量Ci1、Ci2の電荷が放電される。これにより、積分容量の蓄積電荷は0(ゼロ)となる。なお、この放電操作は、クーロンカウンタによるカウント動作の開始前、即ち、リセット時にのみ行われる。
【0024】
次に、Timing2では、スイッチA1、A2、S1、S2がオンとなり、他のスイッチは全てオフとなる。これにより、入力電圧のサンプリング動作が行われる。
【0025】
次に、Timing3では、スイッチB1、B2、I1、I2がオンとなり、他のスイッチは全てオフとなる。これにより、入力電圧の積分動作が行われる。
【0026】
次に、Timing4では、スイッチC1、C2、S1、S2がオンとなり、他のスイッチは全てオフとなる。これにより、基準電圧のサンプリング動作が行われる。
【0027】
次に、Timing5では、スイッチD1、D2、I1、I2がオンとなり、他のスイッチは全てオフとなる。これにより、基準電圧の積分動作が行われる。
以降は、Timing2〜4の動作を繰り返し行って、入力電圧をコンパレータ5により信号Q,QBに変換し、コンパレータ5からは、信号Q,QBとして、入力電圧の大きさに応じたデューティー比を有する相補的なパルス信号が出力される。
【0028】
具体的には、例えば、検出抵抗に電流が流れていない状態では、信号Qのデューティ比は50%となり、放電状態では、電流量に応じてデューティー比が50%より大きな値となり、一方、放電状態では、電流量に応じてデューティー比が50%より小さな値となる。
【0029】
図14は、上記コンパレータ5から出力される信号Q,QBをロジック回路10でカウントする方法を説明する図である。
【0030】
図14において、分周信号ClkDiv1の1周期は例えば102μsec(≒0.8sec/8192、8192=213)に設定されている。また、更新パルスの1周期は例えば0.8sec(≒3600sec/4096、4096=212)に設定されており、1時間当たり約212回更新パルスが出力される。
【0031】
図14において、内部カウンタ11は、ClkDiv1がLOW(ロウ)で、且つ、CLOCK信号が立ち下がるときに、信号Qの入力があれば+1をカウントし、信号QBの入力があれば−1をカウントする。そして、更新パルスの入力のタイミングで、内部カウンタ11は信号Q,QBを足した値(以下、内部カウント値)をCMR17とACR19の両方に向けて出力すると共に、内部カウント値をゼロ(0)にリセットする。
【0032】
例えば、図11(b)では、更新パルスが入力されたときの内部カウント値の一例として6726を記載しているが、この内部カウント値(6726)がCMR17とACR19の両方に向けて同時に出力される。
【0033】
なお、かりに、更新パルスが入力されてから次の更新パルスが入力されるまでの間に信号Qのみが内部カウンタ11に入力された場合は、内部カウント値は例えば8192となる。その逆に、信号QBのみが内部カウンタ11に入力された場合は内部カウント値は例えば−8192となる。
【0034】
上記のように、内部カウント値(6726)がCMR17とACR19の両方に向けて同時に出力されると、CMR17では、この内部カウント値を「1回変換時間当たりのカウント値」として保持する。ここで、1回変換時間とは、更新パルスが入力されてから次の更新パルスが入力されるまでの時間(即ち、更新パルスの1周期)のことである。
【0035】
また、ACR19に向けて出力される内部カウント値(6726)は、演算回路18によって演算処理されてからACR19に入力される。例えば、内部カウント値(6726)は演算回路によって4096(=212)で割り算され、小数点以下を切り捨てた値(例えば、整数1)がACR19に入力される。そして、ACR19は、更新パルスが入力されるたびに、このような整数値を足して「単位時間当たりのカウント値」として保持する。ここで、単位時間は任意に設定可能な時間であり、例えば、1回変換時間×4096回(≒0.8sec×4096≒1hour)である。ACR19により保持される「単位時間当たりのカウント値」は、単位時間当たりの充放電量を示しており、この値は外部に出力される。
【0036】
そして、更新パルス毎の、上記1回変換時間当たりのカウント値を加算することで、更新パルスの回数に相当する時間に測定された充放電量が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2009−192464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
ところで、特許文献1に開示された電池残留検出装置(クーロンカウンタ)では、上記のとおり、分周器の出力や更新パルスのタイミングで、デジタ−シグマ・モジュレータからの出力値が保持されるようになっており、つまり分周器の出力に基づいて得られる単位時間当たりのカウント値(つまり、単位時間当たりの電流量)と、更新パルス発生器の出力に基づいて得られる1回変換時間当たりのカウント値(電流量の測定時間)とを用いて消費あるいは充電された電流量を計算しており、このため、上記の従来例では、電池残量を算出するために分周器や更新パルス発生器が必要であり、少なくともその分だけ回路規模が大きくなってしまうという問題があった。
【0039】
また、上述した従来の電池残留検出装置では、一定時間毎に、デジタ−シグマ・モジュレータの出力から変換されたカウント値に基づいてクーロン量を判定しているため、任意のタイミングでクーロン値(電流量)を把握することができず、さらに、ロジックICの内部カウンタからカウント値を読み出して、該カウント値に対応するクーロン量(電流量)を加算しているため、カウンタ値を読み出すことができない場合は、クーロン量を加算することができない。
【0040】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、2次電池の充放電量(クーロン量)の積算を内部で行うことができ、任意のタイミングで積算したクーロン量を読み出すことができ、回路規模の縮小を可能とした低コスト化が見込めるクーロンカウンタ及びこのようなクーロンカウンタを用いた電子情報機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明に係るクーロンカウンタは、検出抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、該入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタであって、該入力電圧を入力信号とし、該入力電圧に応じたデューティー比を有するパルス信号を出力デルタ−シグマ・モジュレータと、クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがハイレベルであるときカウントアップし、該クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがローレベルであるときカウントダウンするアップダウン・カウンタとを備えたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0042】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタに入ったクロック信号の数をカウントするカウンタ回路を備えていることが好ましい。
【0043】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記検出抵抗をショートするスイッチを備えていることが好ましい。
【0044】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値に任意の値を足し算する足し算回路を備えていることが好ましい。
【0045】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値から任意の値を引き算する引き算回路を備えていることが好ましい。
【0046】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値に任意の値を掛け算する掛け算回路と、前記掛け算回路により得られた掛け算値を記憶する記憶回路とを備えていることが好ましい。
【0047】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値を任意の値で割り算する割り算回路と、前記割り算回路により得られた割り算値を記憶する記憶回路とを備えていることが好ましい。
【0048】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタが出力するカウンタ値を任意のタイミングで保持する記憶回路を備えていることが好ましい。
【0049】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記アップダウン・カウンタのカウンタ値をリセットするリセット回路を備えていることが好ましい。
【0050】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記デルタ−シグマ・モジュレータは、入力信号として差動信号を受ける入力端子を有することが好ましい。
【0051】
本発明は、上記クーロンカウンタにおいて、前記デルタ−シグマ・モジュレータは、その動作モードをスタンバイモードに切り替えるスタンバイ回路を備えていることが好ましい。
【0052】
本発明に係る電子情報機器は、所定の回路動作を行う機能回路と、該機能回路を駆動する2次電池とを備えた電子情報機器であって、該2次電池の残量を検出する残量検出部を有し、該残量検出回路は、請求項1に記載のクーロンカウンタを有しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0053】
次に本発明の作用について説明する。
【0054】
本発明においては、検出抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、前記入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタにおいて、前記入力電圧を入力信号とするデルタ−シグマ・モジュレータと、アップダウン・カウンタを備え、アップダウン・カウンタでは、デルタ−シグマ・モジュレータの出力である、アップとダウンの切り替え信号により、例えば、クロック毎にデルタ−シグマ・モジュレータの出力がHighの時は+1カウントされ、Low時は−1カウントされる。
【0055】
このような構成によれば、アップダウン・カウンタのカウント値から、検出抵抗を流れる電流量を把握することができる。従って、例えば、検出抵抗の一端が2次電池に接続されている場合は、検出抵抗を流れる充放電の電流量をカウント値から把握することができる。
【0056】
また、アップダウン・カウント回路のカウント値は検出抵抗の両端に生じる電位差(即ち、入力電圧)に比例した数であり、検出抵抗を流れる電流に比例した数である。従って、分周器や更新パルス発生器は不要であり、回路規模の縮小が可能である。
【0057】
本発明においては、クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタに入ったクロック信号をカウントするカウンタ回路を備えているので、クロック信号をカウントするカウンタ回路回路のカウント値と、クロック周波数の掛けた時間内に検出抵抗に流れた総電流を知ることができる。
【0058】
本発明においては、クーロンカウンタにおいて、前記検出抵抗をショートするスイッチを備えているので、前記検出抵抗をショートするスイッチを使用した場合に、抵抗の両端に生じる電位差はゼロになり、アップダウン・カウンタのカウント値もゼロになるはずである。もしも、アップダウン・カウンタのカウント値がゼロ以外の値となったなら、クーロンカウンタにオフセット値が発生していることになり、オフセット値を知ることができる。
【0059】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウント値に任意の値を足し算する回路を備えているので、上記のようにクーロンカウンタで知ることができたオフセット値をカウンタ値に足し算することにより、オフセット値を補正することができる。
【0060】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウント値から任意の値を引き算する回路を備えているので、上記のようにクーロンカウンタで知ることができたオフセット値をカウンタ値から引き算することにより、オフセット値を補正することができる。
【0061】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウント値と任意の値を掛け算する掛け算回路と、前記掛け算回路の掛け算値を記憶する記憶回路とを備えているので、検出抵抗の値がばらついたり、ときには検出抵抗の抵抗値が変化し、両端に生じる電位差も変化してしまったりする場合でも、検出抵抗に発生する電位差の変化に対するカウント値の変化を補正することができる。
【0062】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウント値を任意の値で割り算する割り算回路と、前記割り算回路の割り算値を記憶する記憶回路とを備えているので、検出抵抗の値がばらついたり、ときには検出抵抗の抵抗値が変化し、両端に生じる電位差も変化してしまったりする場合でも、検出抵抗に発生する電位差の変化に対するカウント値の変化を補正することができる。
【0063】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウンタ値を任意のタイミングで保持する記憶回路を備えているので、アップダウン・カウンタのカウンタ値を読み出す前に保持することができ、読み出しタイミングでカウンタ値が変わってしまい、間違ったカウント値を読み出すのを回避できる。
【0064】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタのカウンタ値をリセットするリセット回路を備えているので、クーロンカウンタのスタート時にこれまでのアップダウン・カウンタのカウンタ値をリセットすることや、アップダウン・カウンタのカウンタ値が溢れる前に、つまり上限値を超える前に、カウント値をリセットすることができる。
【0065】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、デルタ−シグマ・モジュレータを、差動信号入力により動作するよう構成したので、クーロンカウンタに入る同相信号を除去することができ、S/N比を上げることができる。
【0066】
本発明においては、上記クーロンカウンタにおいて、デルタ−シグマ・モジュレータがスタンバイ回路を備えているので、携帯機器がOFF状態といったクーロンカウンタを必要としない状態では、スタンバイ回路により、クーロンカウンタのカウント動作、つまりデジタ−シグマ・モジュレータやアップダウンカウンタの動作を停止することが可能となり、低消費電力化を行うことができる。
【発明の効果】
【0067】
以上のように、本発明によれば、2次電池の充放電量(クーロン量)の積算を内部で行うことができ、任意のタイミングで積算したクーロン量を読み出すことができ、回路規模の縮小を可能とした低コスト化が見込めるクーロンカウンタ及びこのようなクーロンカウンタを用いた電子情報機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本発明の実施形態1によるクーロンカウンタを説明する図であり、クーロンカウンタ1000と、検出抵抗2000と、負荷3000と、2次電池4000との関係を示している。
【図2】図2は、本発明の実施形態2によるクーロンカウンタを説明する図であり、クロックをカウントするカウンタ回路を含む構成を示している。
【図3】図3は、本発明の実施形態3によるクーロンカウンタを説明する図であり、検出抵抗をショートするスイッチを含む構成を示している。
【図4】図4は、本発明の実施形態4によるクーロンカウンタを説明する図であり、カウント値を演算する演算器を含む構成を示している。
【図5】図5は、本発明の実施形態4によるクーロンカウンタを説明する図であり、カウント値とオフセット補正との関係(図5(a))、及びカウント値と傾き補正との関係(図5(b))を示している。
【図6】図6は、本発明の実施形態5によるクーロンカウンタを説明する図であり、カウンタ値を保持する記憶回路とリセット回路を含む構成を示している
【図7】図7は、本発明の実施形態6によるクーロンカウンタを説明する図であり、入力信号として差動信号を用いるデルタ−シグマ・モジュレータを示している。
【図8】図8は、本発明の実施形態6によるクーロンカウンタを説明する図であり、プリント基板上でのクーロンカウンタの配置(図(a)及び図(b))を示している。
【図9】図9は、本発明の実施形態7によるクーロンカウンタを説明する図であり、スタンバイ回路を含むデルタ−シグマ・モジュレータを示している。
【図10】図10は、特許文献1に開示されている従来のクーロンカウンタ100を説明する図であり、該クーロンカウンタとシステムSとの関係を示している。
【図11】図11は、従来のクーロンカウンタ100を構成するIC部50の構成例を示す図である。
【図12】図12は、上記IC部を構成するロジック回路10の構成例を示す図である。
【図13】上記従来のクーロンカウンタ100を構成するIC部50の動作を説明する図であり、スイッチなどの動作をタイミングチャートで示している。
【図14】上記従来のクーロンカウンタ100の動作を説明する図であり、該IC部50を構成するデルタ−シグマ・モジュレータが出力する信号Q、信号QBのカウント方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0070】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1によるクーロンカウンタ100aを説明する図であり、クーロンカウンタの構成例を示している。
【0071】
本実施形態1のクーロンカウンタ100aは、検出抵抗200の両端に生じる電位差を入力電圧とし、前記入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタである。
【0072】
ここで、検出抵抗200は、負荷300と電源としてのバッテリー(2次電池)400とに対して直列に接続されている。なお、バッテリーの充電時には、負荷300と充電回路(図示せず)とが切替られる。
【0073】
ここで、検出抵抗200は2次電池に流れ込む又は2次電池から流れ出す電流(即ち、充放電の電流)を検出するための抵抗素子であり、その一端が、例えば2次電池のマイナス側に接続され、その他端が例えば接地電位に接続されている。
【0074】
このクーロンカウンタ100aは、前記入力電圧を入力信号(IN_P)とし、該入力電圧に応じたデューティー比を有するパルス信号(出力パルス)Qを出力するデルタ−シグマ・モジュレータ100と、クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータ100の出力パルスQがハイレベルであるときカウントアップし、該クロック信号CLKの入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータ100の出力パルスQがローレベルであるとき、カウントダウンするアップダウン・カウンタ101とを備えている。ここで、デルタ−シグマ・モジュレータ100は、図11に示す従来のクーロンカウンタ200におけるデルタ−シグマ・モジュレータ50と同一の回路構成となっており、一方の入力端子Vin+を検出抵抗200のバッテリ側端に接続し、他方の入力端子Vin−を接地したものである。
【0075】
次に作用効果について説明する。
【0076】
このようなクーロンカウンタ100aでは、アップダウン・カウンタ101は、デルタ−シグマ・モジュレータ100の出力Qに基づいて、アップカウントとダウンカウントの切り替えを行う。例えば、クロック毎にデルタ−シグマ・モジュレータの出力がHighかLowかに応じてカウントを行い、具体的には、デルタ−シグマ・モジュレータの出力がHighの時は+1カウント(アップカウント)して、その出力がLowの時は−1カウント(ダウンカウント)する。
【0077】
このような構成のクーロンカウンタ100aでは、アップダウン・カウンタ101のカウント値から、検出抵抗200を流れる電流量を把握することができる。従って、例えば、検出抵抗200の一端が2次電池に接続されている場合は、検出抵抗を流れる充放電の電流量をカウント値から把握することができる。
【0078】
また、アップダウン・カウンタ101のカウント値は検出抵抗の両端に生じる電位差(即ち、入力電圧)に比例した数であり、検出抵抗を流れる電流に比例した数である。従って、特許文献1に開示のクーロンカウンタのように、カウント値から、検出抵抗を流れる電流を求めるためのタイミング信号である、分周器や更新パルス発生器などからのパルス信号は不要であり、回路規模の縮小が可能である。
【0079】
このように本実施形態1では、検出抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、前記入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタ100aにおいて、前記入力電圧を入力信号とし、該入力電圧に応じたデューティー比を有するパルス信号を出力デルタ−シグマ・モジュレータ100と、クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがハイレベルであるときカウントアップし、該クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがローレベルであるときカウントダウンするアップダウン・カウンタ101とを備えたので、2次電池の充放電量(クーロン量)の積算をクーロンカウンタの内部で行うことができ、任意のタイミングで積算したクーロン量を読み出すことができ、回路規模の縮小を可能とした低コスト化が見込めるクーロンカウンタを得ることができる。
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態2よるクーロンカウンタを説明する図であり、クロックをカウントするカウンタ回路を含む構成を示している。
【0080】
この実施形態2のクーロンカウンタ100bは、上記実施形態1のクーロンカウンタ100aの構成に加えて、アップダウンカウンタ101に入力されるクロック信号をカウントするカウンタ回路を備えたものである。
【0081】
このような構成のクーロンカウンタ100bでは、上記実施形態1の効果に加えて、クロック信号をカウントするカウンタ回路102のカウント値とクロック周期を掛けることにより、クーロンカウンタでのカウント開始から現時点までの時間が得られるので、クーロンカウンタでのカウント開始から現時点までの経過時間の間に検出抵抗に流れた総電流を知ることができる効果が得られる。
(実施形態3)
図3は、本発明の実施形態3によるクーロンカウンタを説明する図である。
【0082】
この実施形態3のクーロンカウンタ100cは、上記実施形態1のクーロンカウンタ100aの構成に加えて、検出抵抗200に並列に接続されたスイッチ103を備えたものである。
【0083】
このような構成の実施形態3のクーロンカウンタ100cでは、上記スイッチ103をオンすることにより、検出抵抗をショートすることができる。このように、検出抵抗200をショートすると、デルタ−シグマ・モジュレータ100への入力電圧が0となり、クーロンカウンタ100のオフセット値を測定することができる。
【0084】
つまり、前記検出抵抗200をショートするスイッチ103をオンした場合、該検出抵抗200の両端に生じる電位差は、ゼロになり、アップダウン・カウンタのカウント値もゼロになるはずである。
【0085】
従って、アップダウン・カウンタのカウント値がゼロ以外の値となれば、クーロンカウンタにオフセット値が発生していることになり、このときのゼロ以外のカウント値をオフセット値として検知することができる。
(実施形態4)
図4は、本発明の実施形態4によるクーロンカウンタを説明する図である。
【0086】
この実施形態4のクーロンカウンタ100dは、実施形態1のクーロンカウンタ100aの構成に加えて、アップダウン・カウンタ101の出力に任意の値を用いた演算処理を行う演算器104と、その演算結果を記憶する記憶回路105とを備えたものである。
【0087】
ここで、任意の値は、デジタ−シグマ・モジュレータ100のオフセット値やゲインなどのデータDATAであり、この実施形態では、該任意の値は、クーロンカウンタ100dの外部から上記クーロンカウンタの演算器104に供給する構成となっている。
【0088】
例えば、上記演算器104を、オフセット値(つまり、入力電圧が0であるときのデジタ−シグマ・モジュレータの信号Qの値に相当するカウント値)を上記アップダウン・カウンタの出力(カウント値)に足し算する足し算回路とすることで、図5(a)に示すように、クーロンカウンタの入力電圧に対するその出力(カウント値)が、破線グラフ12で示すように、実線グラブ10で示す正常状態のものから一定量だけマイナス側にオフセットしている場合に、そのオフセットを修正して、正常状態にすることができる。
【0089】
一方、上記演算器104を、オフセット値(つまり、入力電圧が0であるときのデジタ−シグマ・モジュレータの信号Qの値に相当するカウント値)を上記アップダウン・カウンタの出力(カウント値)から引き算する引き算回路とすることで、図5(a)に示すように、クーロンカウンタの入力電圧に対するその出力(カウント値)が、破線グラフ11で示すように、実線グラブ10で示す正常状態のものから一定量だけプラス側にオフセットしている場合に、そのオフセットを修正して、正常状態にすることができる。
【0090】
また、上記演算器104を、所定の補正ゲイン(つまり、入力電圧の単位変化量に対するカウンタ値の変化量の補正量)を上記アップダウン・カウンタの出力(カウント値)に掛け算する掛け算回路とすることで、図5(b)に示すように、クーロンカウンタの入力電圧の変化に対するその出力(カウント値)の変化が、2点鎖線のグラフ14で示すように、実線グラブ10で示す正常状態のものから一定量だけ大きい場合に、クーロンカウンタにおけるゲインを修正して、正常状態にすることができる。
【0091】
一方、上記演算器104を、所定の補正ゲイン(つまり、入力電圧の単位量の変化に対するカウンタ値の変化量の補正量)で上記アップダウン・カウンタの出力(カウント値)を割り算する割り算回路とすることで、図5(b)に示すように、クーロンカウンタの入力電圧の変化に対するその出力(カウント値)の変化が、2点鎖線のグラフ13で示すように、実線グラフ10で示す正常状態のものから一定量だけ小さい場合に、クーロンカウンタにおけるゲインを修正して、正常状態にすることができる。
【0092】
特に、検出抵抗の値がばらついたり、ときには検出抵抗の抵抗値が変化してその両端に生じる電位差も変化してしまったりした場合でも、抵抗の電位差(オフセット)とカウント値の傾き(ゲイン)を補正することができる。
【0093】
このように、本実施形態4では、アップダウン・カウンタに対して任意の値を用いた演算処理を施す演算器を備えたので、この演算器を、アップダウン・カウンタのカウンタ値に対して所定の値を足し算、引き算、掛け算、あるいは割り算するよう構成することにより、クーロンカウンタのカウント値のオフセットあるいはそのゲインを調整することができる。
(実施形態5)
図6は、本発明の実施形態5によるクーロンカウンタを説明する図である。
【0094】
このクーロンカウンタ100eは、実施形態1のクーロンカウンタ100aの構成に加えて、アップダウン・カウンタ101のカウンタ値を任意のタイミングで保持し、記憶したカウンタ値を任意のタイミングでリセットする記憶回路106を備えたものである。
【0095】
ここでは、記憶回路106は、クーロンカウンタ100eの外部からのラッチ(LAT)信号により記憶し、クーロンカウンタ100eの外部からのリセット(RESET)信号により、記憶したカウンタ値をリセットするよう構成されている。
【0096】
このような構成のクーロンカウンタ100eでは、記憶回路106はアップダウン・カウンタ101のカウンタ値をLAT信号のタイミングで記憶することができるので、アップダウン・カウンタのカウンタ値を読み出す前に保持することができ、読み出しタイミングでカウンタ値が変わってしまい、間違ったカウント値を読み出すことがない。
【0097】
また、記憶回路106はRESET信号でカウンタ値をリセットすることができるので、クーロンカウンタのスタート時にこれまでのアップダウン・カウンタのカウンタ値をリセットすることや、アップダウン・カウンタのカウンタ値が溢れる前に値をリセットすることができる。
【0098】
なお、上記実施形態5では、アップダウン・カウンタ101のカウンタ値を任意のタイミングで保持する記憶回路を、記憶したカウンタ値を任意のタイミングでリセットする構成としているが、上記クーロンカウンタにおいて、アップダウン・カウンタ101を、そのカウンタ値が所定のリセット信号よりリセットされるよう構成し、該リセット信号を生成するリセット回路を備えてもよい。
(実施形態6)
図7は、本発明の実施形態6によるクーロンカウンタを説明する図であり、入力信号として差動信号を用いるデルタ−シグマ・モジュレータを示している。
【0099】
このクーロンカウンタ100fは、実施形態1のクーロンカウンタ100aを構成するデジタ−シグマ・モジュレータ100に変えて、入力信号として差動信号を用いるデジタ−シグマ・モジュレータ110を有するものであり、その他の構成は、実施形態1のクーロンカウンタと同一である。
【0100】
つまり、この実施形態のクーロンカウンタ100fでは、IN_P電位とGND電位の差を入力電圧(IN)としてカウントしていた実施形態1のデルタ−シグマ・モジュレータ100とは異なり、検出抵抗の両端の電位であるIN_P電位とIN_N電位の差を入力電圧(IN)としたデジタ−シグマ・モジュレータ110を用いている。
【0101】
このような構成の実施形態6のクーロンカウンタ100fでは、検出抵抗200の両端とデジタ−シグマ・モジュレータの一対の差動入力端子とが、基板配線を介することなく直接、専用の導体パターンにより接続されることとなり、基板配線によって生じる入力電圧の誤差を少なくすることができる。
【0102】
また、デジタ−シグマ・モジュレータ110の入力信号を差動信号とすることで、GNDや電源に混入したノイズや、クロックのノイズを低減する同相ノイズ除去の効果を得ることができ、S/N比を上げることができる。
【0103】
さらに、プリント基板上でのクーロンカウンタとしてのICの配置の自由度を高めることができる。
【0104】
図8は、プリント基板上でのクーロンカウンタとしてのICの配置を説明する図であり、差動入力のクーロンカウンタの配置(図(a))と、差動入力ではないクーロンカウンタの配置(図(b))とを対比して示している。
【0105】
例えば、図8(a)に示すように、プリント基板上に電気的に分離された導体層T1及びT2が形成されており、一方の導体層T1は、バッテリー400の負側端子に接続され、他方の導体層T2は、負荷300を介してバッテリー400の正側端子に接続されている。また、上記一対の導体層T1及びT2の対向する部分には、検出抵抗200を構成する抵抗層200aが、上記導体層T1及びT2に跨るよう形成され、この抵抗層200aの一端は、一方の導体層T1にコンタクト部Cを介して接続され、この抵抗層200aの他端は、他方の導体層T2にコンタクト部Cを介して接続されている。
【0106】
さらに、上記抵抗層200aの両端には、一対の配線層L1及びL2を介して上記クーロンカウンタ100fの一対の差動入力端子が接続されている。
【0107】
一方、図8(b)に示すように、差動入力ではない例えば実施形態1のクーロンカウンタ100を検出抵抗200に接続する場合は、クーロンカウンタを構成するデジタ−シグマ・モジュレータの一方の入力は、図8(a)に示す場合と同様、配線層Lを介して抵抗層T1の一端に接続し、デジタ−シグマ・モジュレータの他方の入力は接地する、つまり、上記一対の導体層のうちの接地されている接地側導体層T2に接続する。
【0108】
この場合、検出抵抗200としての抵抗層200aの他端側から、接地側導体層T2におけるデジタ−シグマ・モジュレータの他方の入力が接続されている部分までの抵抗成分ΔRがカウンタ出力に及ぼす影響を抑えるため、クーロンカウンタとしてのICを、抵抗層200aのできるだけ近い位置に配置する必要が生ずる。
【0109】
従って、本実施形態6のように、クーロンカウンタを、入力信号として差動信号を用いる構成とすることで、プリント基板上でのクーロンカウンタとしてのICの配置の自由度を高めることができる。
(実施形態7)
図9は、本発明の実施形態7によるクーロンカウンタを説明する図である。
【0110】
この実施形態7のクーロンカウンタ100gは、実施形態1のクーロンカウンタ100aを構成するデジタ−シグマ・モジュレータ100に変えて、スタンバイ回路107を備えたデジタ−シグマ・モジュレータ120を有するものであり、その他の構成は、実施形態1のクーロンカウンタと同一である。
【0111】
スタンバイ回路は107は、クーロンカウンタ100gの外部からのスタンバイ(STB)信号に基づいて、デルタ−シグマ・モジュレータ100を動作させないスタンバイ状態(非動作状態)と、デルタ−シグマ・モジュレータ100を動作させる動作状態との間で切替制御するものである。
【0112】
このような構成の本発明の実施形態7のクーロンカウンタ100gでは、クーロンカウントを行わない時には、スタンバイ回路107により、デジタ−シグマ・モジュレータをこれが動作しないスタンバイ状態とすることで、動作電流を少なくすることができ、これにより携帯機器のバッテリ寿命を延ばすことができる。
【0113】
さらに、上記実施形態1〜7では、特に説明しなかったが、上記実施形態1〜7のいずれかのクーロンカウンタは、携帯電話やノートパソコンなどのバッテリー駆動のモバイル機器に用いられてバッテリーの残量を検出するものであり、上記実施形態1〜7のいずれかによるクーロンカウンタを用いたモバイル機器では、クーロンカウンタを構成する回路数を少なくして、低コスト化を図ることができ、クーロンカウンタによる電池残量の検出をいつでも正確に行うことも可能である。
【0114】
例えば、このようなモバイル機器としての電子情報機器は、所定の回路動作を行う機能回路と、該機能回路を駆動するバッテリとを備えた電子情報機器であって、2次電池であるバッテリの残量を検出する残量検出部を有し、該残量検出回路は、上記実施形態1〜7のいずれかのクーロンカウンタを有するものである。
【0115】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、クーロンカウンタおよび電子情報機器の分野において、回路規模の縮小を可能としたクーロンカウンタ、およびこのようなクーロンカウンタを搭載した電子情報機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0117】
100、110、120 デルタ−シグマ・モジュレータ
100a〜100g クーロンカウンタ
101 アップダウン・カウンタ
102 カウンタ回路
103 スイッチ
104 演算器
105、106 記憶回路
107 スタンバイ回路
200 検出抵抗
200a 抵抗層
300 負荷
400 2次電池
T1、T2 導体層
L、L1、L2 配線層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、該入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタであって、
該入力電圧を入力信号とし、該入力電圧に応じたデューティー比を有するパルス信号を出力デルタ−シグマ・モジュレータと、
クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがハイレベルであるときカウントアップし、該クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがローレベルであるときカウントダウンするアップダウン・カウンタとを備えたクーロンカウンタ。
【請求項2】
前記アップダウン・カウンタに入ったクロック信号の数をカウントするカウンタ回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項3】
前記検出抵抗をショートするスイッチを備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項4】
前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値に任意の値を足し算する足し算回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項5】
前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値から任意の値を引き算する引き算回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項6】
前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値に任意の値を掛け算する掛け算回路と、
前記掛け算回路により得られた掛け算値を記憶する記憶回路とを備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項7】
前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値を任意の値で割り算する割り算回路と、
前記割り算回路により得られた割り算値を記憶する記憶回路とを備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項8】
前記アップダウン・カウンタが出力するカウンタ値を任意のタイミングで保持する記憶回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項9】
前記アップダウン・カウンタのカウンタ値をリセットするリセット回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項10】
前記デルタ−シグマ・モジュレータは、入力信号として差動信号を受ける入力端子を有する請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項11】
前記デルタ−シグマ・モジュレータは、その動作モードをスタンバイモードに切り替えるスタンバイ回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項12】
所定の回路動作を行う機能回路と、該機能回路を駆動する2次電池とを備えた電子情報機器であって、
該2次電池の残量を検出する残量検出部を有し、
該残量検出回路は、請求項1に記載のクーロンカウンタを有する、電子情報機器。
【請求項1】
検出抵抗の両端に生じる電位差を入力電圧とし、該入力電圧に比例したカウント値を出力するクーロンカウンタであって、
該入力電圧を入力信号とし、該入力電圧に応じたデューティー比を有するパルス信号を出力デルタ−シグマ・モジュレータと、
クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがハイレベルであるときカウントアップし、該クロック信号の入力時に、該デルタ−シグマ・モジュレータの出力パルスがローレベルであるときカウントダウンするアップダウン・カウンタとを備えたクーロンカウンタ。
【請求項2】
前記アップダウン・カウンタに入ったクロック信号の数をカウントするカウンタ回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項3】
前記検出抵抗をショートするスイッチを備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項4】
前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値に任意の値を足し算する足し算回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項5】
前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値から任意の値を引き算する引き算回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項6】
前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値に任意の値を掛け算する掛け算回路と、
前記掛け算回路により得られた掛け算値を記憶する記憶回路とを備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項7】
前記アップダウン・カウンタが出力するカウント値を任意の値で割り算する割り算回路と、
前記割り算回路により得られた割り算値を記憶する記憶回路とを備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項8】
前記アップダウン・カウンタが出力するカウンタ値を任意のタイミングで保持する記憶回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項9】
前記アップダウン・カウンタのカウンタ値をリセットするリセット回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項10】
前記デルタ−シグマ・モジュレータは、入力信号として差動信号を受ける入力端子を有する請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項11】
前記デルタ−シグマ・モジュレータは、その動作モードをスタンバイモードに切り替えるスタンバイ回路を備えた請求項1に記載のクーロンカウンタ。
【請求項12】
所定の回路動作を行う機能回路と、該機能回路を駆動する2次電池とを備えた電子情報機器であって、
該2次電池の残量を検出する残量検出部を有し、
該残量検出回路は、請求項1に記載のクーロンカウンタを有する、電子情報機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−163458(P2012−163458A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24470(P2011−24470)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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