説明

グラチラマーの製造法

本発明は、L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法に関する。ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、好ましくは酢酸グラチラマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法を提供する。より具体的に、本発明は酢酸グラチラマーの製造法を提供する。
【背景技術】
【0002】
COPAXONE(登録商標)は、多発性硬化症の処置のためのFDAが認可した薬剤である酢酸グラチラマーの商品名である。COPAXONE(登録商標)はまたコポリマー−1としても既知である。COPAXONE(登録商標)のラベルは、COPAXONE(登録商標)が、各々0.141、0.427、0.095および0.338の平均モル分率で4種の天然に存在するアミノ酸:L−グルタミン酸、L−アラニン、L−チロシンおよびL−リシンを含み、4.7−11.0キロダルトン(kDa)の重量平均分子量を有する合成ポリペプチドの酢酸塩であることを記載している。COPAXONE(登録商標)は、異なる分子量および配列を有するポリペプチドの混合物である。COPAXONE(登録商標)の構造式は:
(Glu, Ala, Lys, Tyr)・xCHCOOH
(CNO・CNO・C14・C11NO)・xC
である。
【0003】
COPAXONE(登録商標)は、20mgの酢酸グラチラマーおよび40mgのマンニトールを含む、白色ないしオフホワイト色の、滅菌、凍結乾燥粉末である。それは、滅菌水で再構成後に皮下投与するための、一回使い切りバイアルとして供給される。
【0004】
コポリマー−1または酢酸グラチラマーの製造法は、米国特許3,849,550;5,800,808;5,981,589;6,048,898;6,054,430;6,342,476;および6,362,161に記載されている。酢酸グラチラマーの製造法は、保護されたポリペプチドを形成させるための、チロシン、アラニン、γ−ベンジルグルタミン酸およびNε−トリフルオロアセチルリシンのN−カルボキシ無水物の、無水ジオキサン中、室温での、イニシエーターとしてジエチルアミンを使用した重合を基礎とする。γ−ベンジル基の非ブロック化(最初の脱保護)は、保護されたポリペプチドを臭化水素/酢酸中、室温で撹拌することにより達成される。これらの条件はまたコポリマーの開裂も促進する。次工程は1M ピペリジンでの処理による、コポリマーのNε−トリフルオロアセチル基の除去(第二の脱保護)である。最終工程において、コポリマーを透析を介して精製し、その後酢酸で処理して酢酸塩を形成させ、そして水に対して透析してもう一回精製することにより、酢酸グラチラマーを得る。故に、これらの先行文献は、4種のN−カルボキシ無水物の重合、2回の脱保護工程、2回の精製工程および1回の酢酸塩形成工程を含む。
【0005】
米国特許6,620,847は、トリフルオロアセチルコポリマー−1を水性ピペリジンで処理して、コポリマー−1の溶液を形成させ、コポリマー−1を精製すること含む、コポリマー−1の製造法を記載する。
【0006】
米国特許出願公開2004/0091956は、酢酸グラチラマーの製造のための3工程法を記載する。該方法は、L−アラニン、L−チロシン、保護されたL−グルタミン酸および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を重合して、保護されたポリペプチドまたはその塩を得て;そして保護されたポリペプチドまたはその塩を、水素圧下のパラジウム触媒移動水素化またはパラジウム触媒水素化のいずれかにより脱保護する工程を含む。
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
本発明はL−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって:
(i)L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物;保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物;およびN−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される);そして
(ii)工程(i)で形成された保護されたポリペプチドに酸を添加して、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる(ここで、該酸はγ−p−メトキシベンジル基をグルタミン酸部分から、そしてN−t−ブトキシカルボニル基をリシン部分から開裂させる)
工程を含む、方法を提供する。
【0008】
本発明は、L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって、該保護されたポリペプチドをアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液で処理して、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる工程を含む、方法を提供する。
【0009】
本発明はL−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;
(b) 酸と工程(a)で形成された保護されたポリペプチドおよび溶媒を混合して、生成物を形成させ;そして
(c) ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質を、工程(b)で形成された生成物および水または溶媒と水の混合物と混合して、脱保護されたポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる
工程を含む、方法を提供する。
【0010】
本発明は、L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;
(b) 酸と、工程(a)で形成された保護されたポリペプチドおよび溶媒を混合して、生成物を形成させ;そして
(c) アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質と、工程(b)で形成された生成物および溶媒または溶媒と水の混合物を混合して、脱保護されたポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる
工程を含む、方法を提供する。
【0011】
発明の記載
本発明は、L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法に関する。本ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、好ましくは酢酸グラチラマーである。
【0012】
I. 酸加水分解法。
本発明の一つの態様において、本方法は下記を含む:
(i) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびN−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される);そして
(ii) 工程(i)で形成された保護されたポリペプチドに酸を添加して、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる(ここで、該酸はγ−p−メトキシベンジル基をグルタミン酸部分から、そしてN−t−ブトキシカルボニル基をリシン部分から開裂させる)。
【0013】
本発明の一つの態様において、本方法は下記を含む:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびN−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたグラチラマーを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸、およびそれらの混合物から成る群から選択される);
(b) 工程(a)で形成された保護されたグラチラマーに酸を添加してグラチラマーを形成させ(ここで、該酸はγ−p−メトキシベンジル基をグルタミン酸部分から、そしてN−t−ブトキシカルボニル基をリシン部分から開裂させる);そして
(c) 工程(b)で形成されたグラチラマーを酢酸で処理して、酢酸グラチラマーを形成させる。
【0014】
本発明の方法の重合工程、工程(i)、工程(a)、工程(a)、工程(a)'、工程(a)、工程(a)'、工程(a)および工程(a)'において、L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびN−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、好ましくは約10℃〜約40℃、より好ましくは約20℃〜約30℃の温度で重合させる。本重合反応は、好ましくは約2時間〜約80時間、より好ましくは約20時間〜約50時間の期間行う。最も好ましくは、本重合反応約24時間、約25℃の温度で行う。
【0015】
本極性非プロトン性溶媒は、好ましくはテトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルフラン、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエチレン、ジメチルスルホキシドおよびジクロロメタンから選択される。最も好ましくは、本極性非プロトン性溶媒は1,4−ジオキサンである。極性非プロトン性溶媒の混合物もまた使用できる。
【0016】
本発明の方法の工程(i)、工程(a)、工程(a)、工程(a)'、工程(a)、工程(a)'、工程(a)および工程(a)'で使用するイニシエーターは、ジアルキルまたはトリアルキルアミンのような任意のアルキルアミンイニシエーターであり得る。本アルキル基のそれぞれは、好ましくは1−6個の炭素原子を有する。好ましいアルキルアミンイニシエーターはジエチルアミンである。好ましくは、本ジエチルアミンは、L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびN−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物の重量に基づいて、約0.001重量%(wt.%)〜約2wt.%、より好ましくは約0.01wt.%〜約0.02wt.%の量で存在する。
【0017】
本発明の一つの態様において、水を、本重合混合物に重合後に添加する。水の添加は、保護されたポリペプチドの沈殿をもたらす。水を、好ましくは水および保護されたポリペプチドを含む混合物から真空濾過により除去し、回収された保護されたポリペプチドを乾燥させる。乾燥法は、真空乾燥のように、当業者に既知である。
【0018】
本発明の方法の脱保護工程、工程(ii)において、酸を、工程(i)で形成された保護されたポリペプチドに添加し、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる。本酸は、γ−p−メトキシベンジル基またはγ−ベンジル基をグルタミン酸部分から、そしてN−t−ブトキシカルボニル基をリシン部分から開裂させる。加えて、本酸は、異種ポリペプチドフラグメントを形成するポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩のアミド結合を開裂させる。
【0019】
本発明の方法の脱保護工程、工程(b)において、酸を工程(a)で形成された保護されたグラチラマーに添加し、グラチラマーを形成させる。本酸は、γ−p−メトキシベンジル基またはγ−ベンジル基をグルタミン酸部分から、そしてN−t−ブトキシカルボニル基をリシン部分から開裂させる。加えて、本酸は、異種グラチラマーフラグメントを形成するグラチラマーのアミド結合を開裂させる。
【0020】
適当な酸は、酢酸、塩酸、臭化水素、フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、トリフルオロ酢酸および硫酸を含むが、これらに限定されない。酸の混合物もまた使用できる。好ましい酸はトリフルオロ酢酸、酢酸と塩酸の混合物、酢酸と臭化水素の混合物および酢酸と硫酸の混合物から選択される。本酸は水溶液の形で添加できる。
【0021】
本酸は、好ましくは、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーの重量に基づいて約0.1wt.%〜約100wt.%、より好ましくは約1wt.%〜約10wt.%の量で存在する。最も好ましくは、本酸は、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーの重量に基づいて、約2wt.%〜約6wt.%の量で存在する。
【0022】
酸添加中の反応媒体の温度は、好ましくは約10℃〜約40℃、より好ましくは15℃〜約30℃である。本酸は、好ましくは約1時間〜約30時間の期間にわたり、撹拌しながら添加する。最も好ましくは、本酸を、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーに、約25℃の温度で、約1時間〜約8時間の期間、撹拌しながら添加する。
【0023】
過剰な酸を、好ましくは本反応混合物から、本反応混合物の窒素でのパージ、凍結乾燥、または脱保護されたポリペプチドを固体形態で得るための真空下のロータリーエバポレーターの手段により除去する。しかしながら、当業者に既知の他の分離法もまた使用できる。
【0024】
遊離塩基または酸付加塩の形の脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを、好ましくは水または酢酸水溶液に溶解する。望まない低分子量、すなわち、約2kDa未満のポリペプチドまたはグラチラマーフラグメント、および高分子量、すなわち、約40kDaを超えるポリペプチドまたはグラチラマーフラグメントを、好ましくは透析またはダイアフィルトレーションのような方法で除去する。好ましい膜は、Medicell International Ltd.から入手可能な12−14kDaの分子量カットオフを有するサイズ6膜のようなVisking一部透過性セルロース膜、およびMilliporeから入手可能なPellicon XL PLCCC 10(50cm)またはPLCCC 5(50cm)のような接線流濾過(TFF)膜を含む。本発明の好ましい態様において、本脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを水に溶解し、透析に付し、続いて酢酸水溶液中で透析する。
【0025】
本発明者らは、望む分子量のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を、工程(ii)または工程(b)で添加する酸の希釈、濃縮および/または時間により制御できることを決定している。
【0026】
本発明の一つの態様において、水を、本脱保護されたポリペプチドから除去する。好ましい除去法は凍結乾燥である。凍結乾燥において、溶液を凍結させ、真空下に置き、水(氷)が融解せずに真空で気化(昇華)し、非水成分(脱保護されたポリペプチドおよび残存塩)がダメージを受けていない状態で、すなわち、化学分解なしに残る。凍結乾燥の乾燥生成物は、脱保護されたポリペプチドおよび残存塩を含む。
【0027】
本発明の一つの態様において、本脱保護されたポリペプチドを氷酢酸で処理して、酢酸グラチラマー塩を形成させる。本酢酸グラチラマー塩を、好ましくは凍結乾燥により乾燥させて、酢酸グラチラマー塩生成物を得る。
【0028】
II. 相間移動法。
本発明の一つの態様において、L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって、保護されたポリペプチドをアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液で処理して、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる工程を含む方法を提供する。
【0029】
本発明の一つの態様において、本方法は下記を含む:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;そして
(b) アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を工程(a)で形成された保護されたポリペプチドに添加し、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる。
【0030】
本発明の一つの態様において、本方法は下記を含む:
(a)' L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、γ−ベンジルL−グルタミン酸L−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびNε−トリフルオロアセチルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたグラチラマーを形成させ;
(b)' アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を工程(a)'で形成された保護されたグラチラマーに添加して、グラチラマーを形成させ;そして
(c)' グラチラマーを酢酸で処理して、酢酸グラチラマーを形成させる。
【0031】
本発明の方法の脱保護工程、工程(b)および工程(b)'において、アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を、工程(a)で形成された保護されたポリペプチドまたは工程(a)'で形成された保護されたグラチラマーに添加する。工程(b)および工程(b)'において、グルタミン酸部分上の保護基、すなわちγ−ベンジル基、およびリシン部分上の保護基、すなわちNε−トリフルオロアセチル基を除去する。加えて、本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物は、異種ポリペプチドまたはグラチラマーフラグメントを形成するポリペプチドまたはグラチラマーのアミド結合を開裂させる。
【0032】
何らかの特定の理論に縛られることを望まないが、本発明者らは、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーからの保護基の除去が、本脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーの有機相から水相への相間移動をもたらすと考える。
【0033】
工程(b)または工程(b)'における緩衝液の非存在下で、工程(b)および工程(b)'中のpHは、アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液の添加後一般に約13〜約14である。工程(b)または工程(b)'における緩衝液存在下で、pHは一般に約8〜約12である。本緩衝液は添加してよく、またはその場で形成してよい。好ましい緩衝液は、酢酸ナトリウムのような酢酸緩衝液である。
【0034】
本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物は、好ましくは水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムから選択される。より好ましくは、本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物は水酸化ナトリウムである。アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の組合せもまた使用できる。
【0035】
本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物は、好ましくは、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーの重量に基づいて約0.1wt.%〜約400wt.%、より好ましくは約10wt.%〜約300wt.%の量で存在する。最も好ましくは、本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物は、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーの重量に基づいて約140wt.%〜約260wt.%の量で存在する。
【0036】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液は、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーに、好ましくは約−78℃〜約40℃、より好ましくは−25℃〜約30℃の温度で、好ましくは約1時間〜約30時間の期間添加する。最も好ましくは、アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーに、約−10℃〜約10℃、例えば、0℃の温度で、約1時間〜約8時間の期間、撹拌しながら添加する。アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液のこの添加は、有機相および水相が形成される相分離をもたらす。
【0037】
本有機相は、実質的に極性非プロトン性溶媒および保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーを含む。本水相は、実質的に水、アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、および遊離塩基の形態の脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを含む。本水相と有機相を、好ましくは遠心分離を使用して分離し、有機相をデカントする。
【0038】
本発明の方法のさらなる利点は、アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の添加が、脱保護されたポリペプチドを形成させるための保護されたポリペプチドの脱保護、または脱保護されたグラチラマーを形成させるための保護されたグラチラマーの脱保護をもたらすことである。加えて、本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物が、ポリペプチドまたはグラチラマーフラグメントを形成させるための、脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーのアミド結合の開裂をもたらす。
【0039】
本水相を、好ましくは有機酸または鉱酸で処理して、約7〜約8のpHを達成する。pHを調節するためのこのような有機酸または鉱酸は、当業者に既知であり、酢酸、ギ酸、シュウ酸および塩酸を含むが、これらに限定されない。希塩酸が好ましい。使用する有機酸または鉱酸の量は、好ましくは工程(b)または工程(b)'中に添加するアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の量に基づいて当量であり、これは約7〜約8のpHを産生するのに十分である。
【0040】
望まない低分子量、すなわち約2kDa未満のポリペプチドまたはグラチラマーフラグメント、および高分子量、すなわち約40kDaより大きいポリペプチドまたはグラチラマーフラグメントを、好ましくは透析またはダイアフィルトレーションのような方法で除去する。好ましい膜は、好ましい膜は、Medicell International Ltd.から入手可能な12−14kDaの分子量カットオフを有するサイズ6膜のようなVisking一部透過性セルロース膜、およびMilliporeから入手可能なPellicon XL PLCCC 10(50cm)またはPLCCC 5(50cm)のような接線流濾過(TFF)膜を含む。本発明の好ましい態様において、本脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを水中の透析に付し、続いて酢酸水溶液中で透析する。
【0041】
III. アミンまたはアンモニアの使用法。
本発明の一つの態様において、本方法は下記を含む:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;
(b) 酸と、工程(a)で形成された保護されたポリペプチドおよび溶媒を混合して、生成物を形成させ、好ましくは、本酸を保護されたポリペプチドおよび溶媒を含む溶液または懸濁液と混合し;そして
(c) ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニア、およびそれらの混合物から成る群から選択される物質と、工程(b)において形成された生成物および水または溶媒と水の混合物を混合して、脱保護されたポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる。
【0042】
本発明の一つの態様において、本方法は下記を含む:
(a)' L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたグラチラマーを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される);
(b)' 酸と工程(a')で形成された保護されたグラチラマーおよび溶媒を混合して、生成物を形成させ;
(c)' ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質と、工程(b)で形成された生成物、および水または溶媒と水の混合物を混合して、脱保護されたグラチラマーを形成させ;そして
(d)' 工程(c)'で形成された脱保護されたグラチラマーを酢酸で処理して、酢酸グラチラマーを形成させる。
【0043】
本発明の方法の最初の脱保護工程、工程(b)および工程(b)'において、酸を、工程(a)で形成された保護されたポリペプチドまたは工程(a)'で形成された保護されたグラチラマー、および溶媒と混合して、生成物を形成させる。好ましくは、本酸を混合物、すなわち、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーおよび溶媒を含む溶液または懸濁液に添加する。工程(b)および工程(b)'において、グルタミン酸部分上の保護基、すなわち、γ−p−メトキシベンジル基および/またはγ−ベンジル基を除去する。何らかの特定の理論に縛られることを望まないが、本発明者らは、本酸がまた異種ポリペプチドまたはグラチラマーフラグメントを形成する保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーのアミド結合を開裂させると考える。
【0044】
適当な酸は、酢酸、塩酸、臭化水素、フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、トリフルオロ酢酸および硫酸を含むが、これらに限定されない。酸の混合物もまた使用できる。好ましい酸はトリフルオロ酢酸、酢酸と塩酸の混合物、酢酸と臭化水素の混合物および酢酸と硫酸の混合物から選択される。本酸は、水溶液の形態で添加できる。
【0045】
本酸は、好ましくは、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーの重量に基づいて約0.1wt.%〜約100wt.%、より好ましくは約1wt.%〜約10wt.%の量で存在する。最も好ましくは、本酸は、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーの重量に基づいて約2wt.%〜約6wt.%の量で存在する。
【0046】
酸添加中の反応媒体の温度は、好ましくは約10℃〜約40℃、より好ましくは15℃〜約30℃である。本酸は、好ましくは約1時間〜約30時間の期間にわたり、撹拌しながら添加する。最も好ましくは、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーに、約25℃の温度で、約1時間〜約8時間の期間、撹拌しながら添加する。
【0047】
最初の脱保護工程、工程(b)および工程(b)'で使用する溶媒は、極性プロトン性溶媒および極性非プロトン性溶媒から選択される。好ましくは、工程(b)および工程(b)'で使用する溶媒は、酢酸、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルフラン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエチレン、ジメチルスルホキシドおよびジクロロメタンから選択される。溶媒の混合物もまた使用できる。最も好ましくは、工程(b)および工程(b)'で使用する溶媒はテトラヒドロフランまたは酢酸である。
【0048】
工程(b)および工程(b)'で使用する溶媒の量は、工程(b)または工程(b)'において使用する保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーの量に基づいて、好ましくは約1倍(wt.)〜約1,000倍(wt.)、より好ましくは約10倍(wt.)〜約500倍(wt.)である。
【0049】
本発明の方法の第二の脱保護工程、工程(c)および工程(c)'において、ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質を、工程(b)または工程(b)'において形成された生成物および水または溶媒と水の混合物と混合し、脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを形成させる。
【0050】
好ましくは、ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質を、混合物、すなわち、工程(b)または工程(b)'で形成された生成物および水または溶媒と水の混合物を含む溶液または懸濁液に添加する。アンモニアはNH(水性)またはNH(ガス)の形態である。好ましくは約7〜約14のpHを有するアンモニア水溶液を使用する。ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質の、工程(b)または工程(b)'において形成された生成物への添加は、好ましくはリシン部分のNε−トリフルオロアセチル基のような保護基を除去する。好ましくは、本脱保護されたポリペプチドは、遊離塩基の形態の脱保護されたグラチラマーである。
【0051】
ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質は、工程(c)または工程(c)'において使用される工程(b)または工程(b)'の生成物の総重量に基づいて、好ましくは約1倍(wt.)〜約1,000倍(wt.)、より好ましくは約10倍(wt.)〜約500倍(wt.)である。最も好ましくは、ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質は、約50倍(wt.)〜約150倍(wt.)の量で存在する。
【0052】
ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質は、好ましくは工程(b)または工程(b)'において形成された生成物および水または溶媒と水の混合物を含む溶液または懸濁液と、約10℃〜約60℃、より好ましくは15℃〜約40℃の温度で、好ましくは約1分〜約60時間の期間混合し、脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを形成させる。適当な溶媒は、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルフラン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエチレン、ジメチルスルホキシドおよびジクロロメタンを含むが、これらに限定されない。好ましい溶媒はテトラヒドロフランである。
【0053】
より好ましくは、ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質を、工程(b)または工程(b)'において形成された生成物および水または溶媒と水の混合物を含む溶液または懸濁液と、約20℃〜約30℃の温度で、約1時間〜約30時間の期間混合し、脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを形成させる。未反応のジイソプロピルアミンまたはアンモニア、または何らかの溶媒または水を、好ましくは蒸発または真空蒸留により除去する。
【0054】
望まない低分子量、すなわち約2kDa未満のポリペプチドまたはグラチラマーフラグメント、および高分子量、すなわち約40kDaより大きいポリペプチドまたはグラチラマーフラグメントを、好ましくは透析またはダイアフィルトレーションのような方法で除去する。好ましい膜は、Medicell International Ltd.から入手可能な12−14kDaの分子量カットオフを有するサイズ6膜のようなVisking一部透過性セルロース膜、およびMilliporeから入手可能なPellicon XL PLCCC 10(50cm)またはPLCCC 5(50cm)のような接線流濾過(TFF)膜を含む。本発明の好ましい態様において、本脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを水中の透析に付し、続いて酢酸水溶液中で透析する。
【0055】
IV. アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩または炭酸水素塩の使用法。
本発明の一つの態様において、本方法は下記を含む:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;
(b) 酸と工程(a)で形成された保護されたポリペプチドおよび溶媒を混合して、生成物を形成させ、好ましくは、本酸を、保護されたポリペプチドおよび溶媒を含む溶液または懸濁液と混合し;そして
(c) アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質と、工程(b)で形成された生成物および溶媒または溶媒と水の混合物を混合して、脱保護されたポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる。
【0056】
本発明の一つの態様において、本方法は下記を含む:
(a)' L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびNε−トリフルオロアセチルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたグラチラマーを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される);
(b)' 酸と工程(a)'で形成された保護されたグラチラマーおよび溶媒を含む混合物を混合して、生成物を形成させ;
(c)' アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質と、工程(b)'で形成された生成物および溶媒または溶媒と水の混合物を含む混合物を混合して、脱保護されたグラチラマーを形成させ;そして
(d)' 工程(c)'で形成された脱保護されたグラチラマーを酢酸で処理して、酢酸グラチラマーを形成させる。
【0057】
本発明の方法の最初の脱保護工程、工程(b)および工程(b)'において、酸を、工程(a)で形成された保護されたポリペプチドまたは工程(a)'で形成された保護されたグラチラマーおよび溶媒と混合して、生成物を形成させる。好ましくは、本酸を混合物、すなわち、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーおよび溶媒を含む溶液または懸濁液に添加する。工程(b)および工程(b)'において、グルタミン酸部分上の保護基、すなわち、γ−p−メトキシベンジル基および/またはγ−ベンジル基を除去する。何らかの特定の理論に縛られることを望まないが、本発明者らは、本酸がまた異種ポリペプチドフラグメントを形成する保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーのアミド結合を開裂させると考える。
【0058】
適当な酸は、酢酸、塩酸、臭化水素、フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、トリフルオロ酢酸および硫酸を含むが、これらに限定されない。酸の混合物もまた使用できる。好ましい酸はトリフルオロ酢酸、酢酸と塩酸の混合物、酢酸と臭化水素の混合物および酢酸と硫酸の混合物から選択される。本酸は、水溶液の形態で添加できる。
【0059】
本酸は、好ましくは、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーの重量に基づいて約0.1wt.%〜約100wt.%、より好ましくは約1wt.%〜約10wt.%の量で存在する。最も好ましくは、本酸は、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーの重量に基づいて約2wt.%〜約6wt.%の量で存在する。
【0060】
酸添加中の反応媒体の温度は、好ましくは約10℃〜約40℃、より好ましくは15℃〜約30℃である。本酸は、好ましくは約1時間〜約30時間の期間にわたり、撹拌しながら添加する。最も好ましくは、保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーに、約25℃の温度で、約1時間〜約8時間の期間、撹拌しながら添加する。
【0061】
最初の脱保護工程、工程(b)および工程(b)'において使用する溶媒は、極性プロトン性溶媒および極性非プロトン性溶媒から選択される。好ましくは、工程(b)および工程(b)'で使用する溶媒は、酢酸、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルフラン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエチレン、ジメチルスルホキシドおよびジクロロメタンから選択される。溶媒の混合物もまた使用できる。最も好ましくは、工程(b)および工程(b)'で使用する溶媒は、テトラヒドロフランまたは酢酸である。
【0062】
工程(b)および工程(b)'で使用する溶媒の量は、工程(b)または工程(b)'において使用する保護されたポリペプチドまたは保護されたグラチラマーの量に基づいて、好ましくは約1倍(wt.)〜約1,000倍(wt.)、より好ましくは約10倍(wt.)〜約500倍(wt.)である。
【0063】
本発明の方法の第二の脱保護工程、工程(c)および工程(c)'において、アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質を、工程(b)または工程(b)'において形成された生成物および水または溶媒と水の混合物と混合して、脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを形成させる。
【0064】
好ましくは、本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質を、混合物、すなわち、工程(b)または工程(b)'において形成された生成物および水または溶媒と水の混合物を含む溶液または懸濁液に添加する。アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質の、工程(b)または工程(b)'における生成物への添加は、好ましくはリシン部分のNε−トリフルオロアセチル基を除去する。好ましくは本脱保護されたポリペプチドは、遊離塩基形態の脱保護されたグラチラマーである。
【0065】
アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩から選択される物質は、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸水素ナトリウムから成る群から選択される。より好ましくは、工程(c)または工程(c)'において使用する物質は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムおよび水酸化カリウムから成る群から選択される。
【0066】
本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質は、工程(c)または工程(c)'に使用する工程(b)または工程(b)'の生成物の総重量に基づいて、好ましくは約1倍(wt.)〜約1,000倍(wt.)、より好ましくは約10倍(wt.)〜約500倍(wt.)の量で存在する。最も好ましくは、本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質は、約50倍(wt.)〜約150倍(wt.)の量で存在する。
【0067】
本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質は、好ましくは工程(b)または工程(b)'において形成された生成物および水または溶媒と水の混合物を含む溶液または懸濁液と、約10℃〜約60℃、より好ましくは15℃〜約40℃の温度で、好ましくは約1分〜約60時間の期間混合し、脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを形成させる。適当な溶媒は、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルフラン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエチレン、ジメチルスルホキシドおよびジクロロメタンを含むが、これらに限定されない。好ましい溶媒はテトラヒドロフランである。
【0068】
より好ましくは、本アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質を、工程(b)または工程(b)'において形成された生成物および水または溶媒と水の混合物を含む溶液または懸濁液と、約20℃〜約30℃の温度で、約1時間〜約30時間の期間混合し、脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを形成させる。未反応のアルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩または何らかの溶媒または水を、好ましくは蒸発または真空蒸留により除去する。
【0069】
工程(c)または工程(c)'において使用する溶媒または溶媒と水の混合物の量は、工程(c)または工程(c)'に使用する工程(b)または工程(b)'の生成物の総重量に基づいて、好ましくは約1倍(wt.)〜約1,000倍(wt.)、より好ましくは約10倍(wt.)〜約500倍(wt.)である。
【0070】
第二の脱保護工程、工程(c)および工程(c)'の後、全ての相を好ましくは分液漏斗で分離するか、または溶媒を好ましくは蒸発または真空蒸留により除去する。本脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーは、好ましくは水溶液として得る。
【0071】
望まない低分子量、すなわち約2kDa未満のポリペプチドまたはグラチラマーフラグメントおよび高分子量、すなわち約40kDaより大きいポリペプチドまたはグラチラマーフラグメントを、好ましくは透析またはダイアフィルトレーションのような方法で除去する。好ましい膜は、Medicell International Ltd.から入手可能な12−14kDaの分子量カットオフを有するサイズ6膜のようなVisking一部透過性セルロース膜、およびMilliporeから入手可能なPellicon XL PLCCC 10(50cm)またはPLCCC 5(50cm)のような接線流濾過(TFF)膜を含む。本発明の好ましい態様において、本脱保護されたポリペプチドまたは脱保護されたグラチラマーを水中の透析に付し、続いて酢酸水溶液中で透析する。
【0072】
本発明の方法で製造したポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の重量平均分子量は、ガス浸透クロマトグラフィー(GPC)で決定して、好ましくは約2kDa〜約30kDa、より好ましくは約4.7kDa〜約11kDa、および最も好ましくは約7kDa〜約10kDaである。好ましくは、本ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、約40kDaより大きい分子量を有するポリペプチドフラグメントを実質的に含まない。好ましくは、本ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、約2kDa未満の分子量を有するポリペプチドフラグメントを実質的に含まない。ここで使用する“実質的に含まない”は、本発明の方法で製造したポリペプチドの約5重量%未満、より好ましくは約2.5重量%未満を意味する。
【0073】
本発明の方法により製造したポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩、好ましくは酢酸グラチラマーは、当分野で既知の慣用法により製剤できる。
【0074】
本発明の一つの態様において、本発明の方法により製造したポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を、水のような許容される医薬用(pharmaceutical)液体媒体に溶解し、その溶液または懸濁液を体内に注射する。
【0075】
本発明の一つの態様において、本酢酸グラチラマー塩を、水およびマンニトールを含む混合物に溶解し、その溶液を体内に注射する。
【0076】
典型的に、本ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を、多発性硬化症を有する患者に、毎日、例えば、20mgの酢酸グラチラマーの用量で投与する。
【0077】
下記の非限定的実施例は、本発明のさらなる局面を説明する。
実施例1−7は、酢酸グラチラマーを製造するための酸加水分解法に関する。
【実施例】
【0078】
実施例1
保護されたポリペプチドの製造。
L−アラニンのN−カルボキシ無水物(860mg、7.5mmol)、γ−ベンジルL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物(600mg、2.3mmol)、N−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物(1410mg、5.2mmol)およびL−チロシンのN−カルボキシ無水物(300mg、1.4mmol)を三首フラスコに入れる。蒸留した無水ジオキサン(57mL)を添加する。ジエチルアミン(3.4μL)を添加する。得られた混合物を、24時間、約22−25℃の温度で機械的に撹拌する。混合物を100mL 脱イオン水にゆっくり注ぎ、真空下濾過する。固体を真空下12時間置く。
【0079】
実施例2
保護されたポリペプチドの製造。
L−アラニンのN−カルボキシ無水物(430mg、3.75mmol)、γ−ベンジルL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物(300mg、1.15mmol)、N−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物(705mg、2.6mmol)およびL−チロシンのN−カルボキシ無水物(150mg、0.7mmol)を三首フラスコに入れる。蒸留した無水ジオキサン(28.5mL)を添加する。ジエチルアミン(1.7μL)を添加する。得られた混合物を、24時間、約22−25℃の温度で機械的に撹拌する。混合物を100mL 脱イオン水にゆっくり注ぎ、真空下濾過する。固体を真空下12時間置く。
【0080】
実施例3
実施例1で製造した保護されたポリペプチドのHBr/酢酸での脱保護。
実施例1で製造した保護されたポリペプチド(200mg)を、7mLの33%臭化水素の酢酸溶液に懸濁する。出発物質はゆっくり溶解し、赤褐色溶液を形成する。混合物を、17時間、約22℃の温度で撹拌する。HBr/酢酸の溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して減圧下蒸発乾固する。この残渣に、100mLの水を添加して固体を溶解させる。溶液を、サイズ6のチューブの形であり、12−14kDaの分子量カットオフを有するVisking一部透過性セルロース膜に置く。サイズ6チューブは、27/32インチ、21.5mmの直径、および32−34mmの幅を有する。チューブはMedicell International Ltd.から入手可能である。溶液を含むチューブを、水のビーカー中で撹拌する。約2kDa未満の分子量を有するポリペプチドフラグメントを、透析チューブから浸透により除去する。チューブを水から除去し、0.3%酢酸水溶液を含むビーカー中で撹拌する。得られた生成物をチューブから除去し、凍結乾燥して、純粋白色固体として酢酸グラチラマーを得る。
【0081】
実施例4
実施例1で製造した保護されたポリペプチドのHCl/酢酸での脱保護。
実施例1で製造した保護されたポリペプチド(200mg)を、氷酢酸で20mLに調整した9.4mL 濃塩酸から調製した20mLの混合物に懸濁する。出発物質はゆっくり溶解し、わずかに濁った溶液を形成する。混合物を、17時間、約22℃の温度で撹拌する。HCl/酢酸の溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して減圧下蒸発乾固する。この残渣に、100mLの水を添加して固体を溶解させる。溶液を、サイズ6のチューブの形であり、12−14kDaの分子量カットオフを有するVisking一部透過性セルロース膜に置く。サイズ6チューブは、27/32インチ、21.5mmの直径、および32−34mmの幅を有する。チューブはMedicell International Ltd.から入手可能である。溶液を含むチューブを、水のビーカー中で撹拌する。約2kDa未満の分子量を有するポリペプチドフラグメントを、透析チューブから浸透により除去する。チューブを水から除去し、0.3%酢酸水溶液を含むビーカー中で撹拌する。得られた生成物をチューブから除去し、凍結乾燥して、純粋白色固体として酢酸グラチラマーを得る。
【0082】
実施例5
実施例2で製造した保護されたポリペプチドのHCl/酢酸での脱保護。
実施例2で製造した保護されたポリペプチド(200mg)を、氷酢酸で20mLに調整した9.4mL 濃塩酸から調製した20mLの混合物に懸濁する。出発物質はゆっくり溶解し、わずかに濁った溶液を形成する。混合物を、17時間、約22℃の温度で撹拌する。HCl/酢酸の溶液を、ロータリーエバポレーターを使用して減圧下蒸発乾固する。この残渣に、100mLの水を添加して固体を溶解させる。溶液をサイズ6のチューブの形であり、12−14kDaの分子量カットオフを有するVisking一部透過性セルロース膜に置く。サイズ6チューブは、27/32インチ、21.5mmの直径、および32−34mmの幅を有する。チューブはMedicell International Ltd.から入手可能である。溶液を含むチューブを、水のビーカー中で撹拌する。約2kDa未満の分子量を有するポリペプチドフラグメントを、透析チューブから浸透により除去する。チューブを水から除去し、0.3%酢酸水溶液を含むビーカー中で撹拌する。得られた生成物をチューブから除去し、凍結乾燥して、純粋白色固体として酢酸グラチラマーを得る。
【0083】
実施例6
UVディテクターを使用したGPCによる相対的分子量決定。
【表1】

GPCの試験結果を表Iに要約する。
【0084】
【表2】

表Iの試験結果は、本発明の方法により製造した酢酸グラチラマー、サンプルAおよびBの重量平均分子量が各々8.551kDaおよび7.689kDaであり、そしてCOPAXONE(登録商標)の重量平均分子量は、ロット番号に依存して7.923kDaおよび9.524kDaであることを明らかに示す。
【0085】
実施例7
屈折率ディテクターを使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による相対的分子量決定。
【表3】

RIディテクターでのGPCの試験結果を表IIに要約する。
【0086】
【表4】

表IIの試験結果は、本発明の方法により製造した酢酸グラチラマー、サンプルAおよびBの重量平均分子量が各々9.581kDaおよび8.224kDaであり、COPAXONE(登録商標)の重量平均分子量は、ロット番号に依存して8.663kDaおよび9.641kDaであることを明らかに示す。
【0087】
実施例8−17は、酢酸グラチラマーの製造のための相間移動法に関する。
本発明者らは、グラチラマー形成におけるアルカリ化合物(水酸化ナトリウム)の影響を定量するために、1(低)から5(高)のスケールを確立している。試験結果を表IIIに要約する。
【0088】
【表5】

【0089】
表IIIの結果は、0.1−1.0N 水酸化ナトリウム溶液を、本発明のポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩生成物の製造に使用できることを明らかに示す。表IIIの結果はまた、少なくとも0.25N濃度の水酸化ナトリウムが、有機相と水相の相分離を促進するために好ましいことも示す。
【0090】
実施例8
重合工程(a)。
チロシンのN−カルボキシ無水物(30mg、0.010mm)、アラニンのN−カルボキシ無水物(62mg、0.054mm)、γ−ベンジルグルタミン酸のN−カルボキシ無水物(42mg、0.016mm)およびE−N−トリフルオロアセチルリシンのN−カルボキシ無水物(100mg、0.037mm)を、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコに入れる。この混合物に、20mLの乾燥テトラヒドロフランを添加する。透明溶液が得られる。ジエチルアミン(10μL)を添加する。得られた混合物を48時間撹拌する。テトラヒドロフランを蒸発により除去する。水(150mL)をを残渣に添加し、撹拌を続ける。白色固体が得られる。固体を濾過し、真空下、デシケーターで乾燥させる。
収量は154mgであると決定される。
【0091】
実施例9
脱保護工程(b)。
実施例8で製造した保護された酢酸グラチラマー、75mgを、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコに移す。テトラヒドロフラン(15mL)をフラスコに添加して、撹拌する。透明溶液が得られる。0.5N 水酸化ナトリウム水溶液(8mL)を添加する。水酸化ナトリウム溶液添加の結果、その混合物は濁る。混合物を、1時間、24−26℃で撹拌する。2相の形成が観察される。底層を分離し、希1N HCl水溶液を使用して、撹拌しながらpH=6.0まで酸性化する。粗グラチラマー遊離塩基溶液を、ナイロンフィルター(0.2ミクロンNylon Acrodisk)を使用して濾過する。
【0092】
実施例10
実施例8で製造した保護された酢酸グラチラマー、75mgを、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコに移す。テトラヒドロフラン(15mL)をフラスコに添加して、撹拌する。透明溶液が得られる。0.25N 水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を添加する。水酸化ナトリウム溶液添加の結果、その混合物は濁る。混合物を16時間、25−26℃で撹拌する。反応混合物を15分遠心分離する。2相の形成が観察される。底層を分離し、希HCl水溶液を使用して、撹拌しながらpH=7−7.5まで酸性化する。撹拌をさらに30分続け、pHはpH=8.0であると決定される。粗グラチラマー遊離塩基溶液を濾過する。
【0093】
実施例11
重合工程。
チロシンのN−カルボキシ無水物(30mg、0.010mm)、アラニンのN−カルボキシ無水物(62mg、0.054mm)、γ−ベンジルグルタミン酸のN−カルボキシ無水物(42mg、0.016mm)およびE−N−トリフルオロアセチルリシンのN−カルボキシ無水物(100mg、0.037mm)を、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコに入れる。この混合物に、20mLの乾燥ジオキサンを添加する。透明溶液が得られる。ジエチルアミン(10μL)を添加する。得られた混合物を48時間撹拌する。これに、水(150mL)を撹拌しながらゆっくり添加する。白色固体が得られる。固体を濾過し、真空下、デシケーターで乾燥させる。
収量は170mgであると決定される。
【0094】
実施例12
脱保護工程。
実施例11で製造した保護された酢酸グラチラマー、75mgを、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコに移す。ジオキサン(15mL)をフラスコに添加して、撹拌する。透明溶液が得られる。0.5N 水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を添加する。水酸化ナトリウム溶液添加の結果、その混合物は濁る。混合物を、16時間、25−26℃で撹拌する。反応混合物を15分遠心分離する。2相の形成が観察される。底層を分離し、希HCl水溶液を使用して、撹拌しながらpH=7−7.5まで酸性化する。撹拌をさらに30分続け、pHはpH=8.0であると決定される。粗グラチラマー遊離塩基溶液を濾過する。
【0095】
実施例13
低温で行う脱保護工程。
実施例12で製造した保護された酢酸グラチラマー、75mgを、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコに移す。テトラヒドロフラン(15mL)をフラスコに添加し、溶液の温度を0℃まで下げる。0.5N 水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を温度を0℃に維持しながら、溶液に添加する。水酸化ナトリウム添加の結果、その混合物は濁る。溶液を、3時間、0℃で撹拌する。2相の形成が観察される。底層を分離し、0℃で希HCl水溶液を使用して、撹拌しながらpH=7−7.5まで酸性化する。撹拌をさらに30分続け、pHは約pH=8.0であると決定される。粗グラチラマー遊離塩基溶液を濾過する。
【0096】
実施例14
酢酸緩衝液での脱保護工程。
実施例12で製造された保護された酢酸グラチラマー、75mgを、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコに移す。テトラヒドロフラン(15mL)をフラスコに添加し、溶液の温度を0℃まで下げる。0.5N 水酸化ナトリウム水溶液(10mL)、および酢酸(2mL)を温度を0℃におよびpH=12に維持しながら、溶液に添加する。水酸化ナトリウムおよび酢酸添加の結果、その混合物は濁る。溶液を、3時間、0℃で撹拌する。2相の形成が観察される。底層を分離し、0℃で希HCl水溶液を使用して、撹拌しながらpH=7−7.5まで酸性化する。撹拌をさらに30分続け、pHは約pH=8.0であると決定される。粗グラチラマー遊離塩基溶液を濾過する。
【0097】
実施例15
実施例8で製造した保護された酢酸グラチラマー、75mgを、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコに移す。ジオキサン(15mL)をフラスコに添加して、撹拌する。透明溶液が得られる。0.25N 水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を添加する。水酸化ナトリウム溶液添加の結果、その混合物は濁る。混合物を、16時間、25−26℃で撹拌する。反応混合物を15分遠心分離する。2相の形成が観察される。底層を分離し、希HCl水溶液を使用して、撹拌しながらpH=7−7.5まで酸性化する。撹拌をさらに30分続け、pHはpH=8.0であると決定される。粗グラチラマー遊離塩基溶液を濾過する。
【0098】
実施例16
ダイアフィルトレーション(接線流濾過)。
実施例9で製造した粗グラチラマー遊離塩基溶液を、水で120に希釈する。希釈溶液を、最初にMilliporeから入手可能な10Kダイアフィルトレーション膜、Pellicon XL、PLCCC 10(50cm)を通して濾過し、次いで、Milliporeから入手可能な10Kダイアフィルトレーション膜、Pellicon XL、PLCCC 5(50cm)を通して濾過する。得られた濃縮溶液を凍結乾燥する。白色粉末が得られる。
【0099】
実施例17
酢酸グラチラマーの精製のクロマトグラフ法。
実施例9で製造した粗グラチラマー遊離塩基溶液を、クロマトグラフ分離に付す。ゲル濾過用カラム、FRACTOGEL TSK HW55(600×26mm)を、Superformance 26 Merckカートリッジ中に製造業者の指示に従い調製する。カラムを0.2M アンモニウム酢酸緩衝液pH5.0で平衡化し、30mLのグラチラマー遊離塩基溶液サンプル(20mg/mL、0.2M 酢酸アンモニウムpH5.0中)をカラムに載せ、フラクションを10分毎に回収する。7−8KDaの平均分子量を有するフラクションを単離する。
【0100】
実施例18−25は、アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩を使用した酢酸グラチラマーの製造法に関する。
【0101】
実施例18
保護されたポリペプチドの製造。
L−チロシンのN−カルボキシ無水物(207.19mg、1.0mM)、L−アラニンのN−カルボキシ無水物(620mg、5.4mM)、γ−ベンジルL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物(430mg、1.6mM)およびNε−トリフルオロアセチルL−リシンのN−カルボキシ無水物(1.01g、3.73mM)を、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコ(100mL)に入れる。この混合物に40mLのテトラヒドロフランを添加する。ジエチルアミン(10μL)を添加する。得られた混合物を、24時間、約25℃の温度で撹拌する。混合物を、撹拌しながら100mL 水にゆっくり注ぐ。固体が沈殿する。固体を2時間撹拌後に濾過し、水で洗浄する。固体を100mL 水に再懸濁し、濾過する。固体を、真空下約12時間静置する。
【0102】
実施例19
保護されたポリペプチドの製造。
L−チロシンのN−カルボキシ無水物(207.19mg、1.0mM)、L−アラニンのN−カルボキシ無水物(620mg、5.4mM)、γ−ベンジルL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物(430mg、1.6mM)およびNε−トリフルオロアセチルL−リシンのN−カルボキシ無水物(1.01g、3.73mM)を、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコ(100mL)に入れる。この混合物に40mLのジオキサンを添加する。ジエチルアミン(10μL)を添加する。得られた混合物を48時間約25℃の温度で撹拌する。混合物を、撹拌しながら100mL 水にゆっくり注ぐ。固体が沈殿する。固体を濾過し、水で洗浄する。固体を100mL 水に再懸濁し、濾過する。固体を、真空下約12時間静置する。
【0103】
実施例20
実施例2で製造したポリペプチドからのγ−ベンジル部分の開裂。
実施例19で製造した保護されたポリペプチド、100mgをテトラヒドロフラン(20mL)に懸濁し、氷水浴で冷却する。濃硫酸、4mLを添加する。得られた透明溶液を、20時間、約25℃の温度で撹拌する。溶媒、テトラヒドロフランを25℃で蒸発により除去し、粘性液体を形成させる。水、50mLを撹拌しながら粘性液体に添加する。白色沈殿が形成され、それを真空下濾過し、五酸化リンで、真空化、25℃で約12時間暗所で乾燥させる。白色固体が得られる。固体を濾過し、真空下、デシケーターで乾燥させる。収量は75mgであると決定される。
【0104】
実施例21
実施例20で製造したポリペプチドからのNε−トリフルオロアセチル部分の開裂。
実施例20で製造した保護されたポリペプチド、75mgを12mLのテトラヒドロフランに分配し、4mLの0.5M 水性水酸化ナトリウムを撹拌しながら添加する。混合物を3時間、環境温度(約22℃)で撹拌する。低水層を分離し、酢酸でpH=6.0に酸性化する。
【0105】
実施例22
実施例19で製造したポリペプチドからのγ−ベンジル部分の開裂。
実施例19で製造した保護されたポリペプチド、1gを、氷酢酸で100mLに調整した47mL 濃HClから調製した50mLの混合物に懸濁させる。出発物質はゆっくり溶解し、わずかに濁った溶液を形成する。混合物を、18時間、約22℃の温度で撹拌する。溶液を、1,000mLの撹拌している水に注ぐ。白色沈殿が形成される。懸濁液をさらに3時間撹拌し、次いで濾過する。生成物を水で洗浄し、真空下、50℃で約17時間乾燥させる。
【0106】
実施例23
実施例22で製造したポリペプチドからのNε−トリフルオロアセチル部分の開裂。
実施例22で製造した保護されたポリペプチド、300mgを、45mLのテトラヒドロフランに分散させ、25mLの0.5M 水性水酸化ナトリウムを撹拌しながら添加する。混合物を3時間、環境温度(約22℃)で撹拌する。透明、2相液体系が形成される。低水層を分離し、酢酸でpH=6.0に酸性化する。透明、無色溶液を、透析袋に入れ、環境温度で一度0.3%水性酢酸に対して、次いで水に対して5.5のpHが達成されるまで透析する。この溶液を濾過し、凍結乾燥して、酢酸グラチラマーを白色固体として得る。
【0107】
実施例24
ダイアフィルトレーション(接線流濾過)。
実施例21で製造した酢酸グラチラマー溶液を、水で120mLに調整し、酢酸グラチラマーの濃度を0.5−0.6mg/mLとする。希釈溶液を、最初にMilliporeから入手可能な30Kダイアフィルトレーション膜、Pellicon XL、PLCCC 10(50cm)を通して濾過し、次いで、Milliporeから入手可能な3Kダイアフィルトレーション膜、Pellicon XL、PLCCC 5(50cm)を通して濾過する。得られた濃縮溶液を、凍結乾燥して固体形態の酢酸グラチラマーを得る。
【0108】
実施例25
酢酸グラチラマーの精製のクロマトグラフ法。
実施例23で製造した、pH=6の抽出物としてのグラチラマーを、真空で濃縮乾固し、クロマトグラフ分離に付す。ゲル濾過用カラム、FRACTOGEL TSK HW55(600×26mm)を、Superformance 26 Merckカートリッジ中に製造業者の指示に従い調製する。カラムを0.2M アンモニウム酢酸緩衝液pH5.0で平衡化し、30mLのグラチラマー遊離塩基溶液サンプル(20mg/mL、0.2M 酢酸アンモニウムpH5.0中)をカラムに載せ、フラクションを回収する。7−10kDaの平均分子量を有するフラクションを単離する。
【0109】
実施例26−33は、アミンまたはアンモニアを使用した酢酸グラチラマーの製造法に関する。
【0110】
実施例26
保護されたポリペプチドの製造。
L−チロシンのN−カルボキシ無水物(207.19mg、1.0mM)、L−アラニンのN−カルボキシ無水物(620mg、5.4mM)、γ−ベンジルL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物(430mg、1.6mM)およびNε−トリフルオロアセチルL−リシンのN−カルボキシ無水物(1.01g、3.73mM)を、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコ(100mL)に入れる。この混合物に40mLのテトラヒドロフランを添加する。ジエチルアミン(10μL)を添加する。得られた混合物を24時間、約25℃の温度で撹拌する。混合物を、撹拌しながら100mL 水にゆっくり注ぐ。固体が沈殿する。固体を2時間撹拌後に濾過し、水で洗浄する。固体を100mL 水に再懸濁し、濾過する。固体を、真空下約12時間静置する。
【0111】
実施例27
保護されたポリペプチドの製造。
L−チロシンのN−カルボキシ無水物(207.19mg、1.0mM)、L−アラニンのN−カルボキシ無水物(620mg、5.4mM)、γ−ベンジルL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物(430mg、1.6mM)およびNε−トリフルオロアセチルL−リシンのN−カルボキシ無水物(1.01g、3.73mM)を、マグネティックスターラーを備えた一首フラスコ(100mL)に入れる。この混合物に40mLのジオキサンを添加する。ジエチルアミン(10μL)を添加する。得られた混合物を48時間約25℃の温度で撹拌する。混合物を、撹拌しながら100mL 水にゆっくり注ぐ。固体が沈殿する。固体を濾過し、水で洗浄する。固体を100mL 水に再懸濁し、濾過する。固体を、真空下約12時間静置する。
【0112】
実施例28
実施例27で製造したポリペプチドからのγ−ベンジル部分の開裂。
実施例27で製造した保護されたポリペプチド、100mgを、テトラヒドロフラン(20mL)に懸濁し、氷水浴で冷却する。濃硫酸、4mLを添加する。得られた透明溶液を、20時間、約25℃の温度で撹拌する。溶媒、テトラヒドロフランを25℃で蒸発により除去し、粘性液体を形成させる。水、50mLを撹拌しながら粘性液体に添加する。白色沈殿が形成され、それを真空下濾過し、五酸化リンで、真空化、25℃で約12時間暗所で乾燥させる。白色固体が得られる。固体を濾過し、真空下、デシケーターで乾燥させる。収量は75mgであると決定される。
【0113】
実施例29
実施例27で製造したポリペプチドからのγ−ベンジル部分の除去。
実施例27で製造した保護されたポリペプチド、1gを、氷酢酸で100mLに調整した47mL 濃HClから調製した50mLの混合物に懸濁させる。出発物質はゆっくり溶解し、わずかに濁った溶液を形成する。混合物を、18時間、約22℃の温度で撹拌する。溶液を、1,000mLの撹拌している水に注ぐ。白色沈殿が形成される。懸濁液をさらに3時間撹拌し、次いで濾過する。生成物を水で洗浄し、真空下、50℃で約17時間乾燥させる。
【0114】
実施例30
実施例28で製造したポリペプチドからのNε−トリフルオロアセチル部分の開裂に使用すべきアミンの評価。
実施例28で製造したポリペプチド、75mgを15mLの水に懸濁させる。アミン、7mLを懸濁液に添加して、アミン濃度を3Mとする。アミンのリストを表IVに提供する。脱保護されたポリペプチドが水に可溶性であるため、この反応を、溶液の透明度によりモニターする。各アミンの結果を、表IVに要約する。
【0115】
【表6】

【0116】
表IVの結果は、実施例28で製造したポリペプチドの遊離塩基形態が、ジイソプロピルアミンまたはイソプロピルアミンの添加でのみ形成されることを明らかに示す。表IVの結果はまたジプロピルアミン、モルホリン、N−メチル−ピペラジン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ピロリジン、およびメチルアミンが、ポリペプチドの遊離塩基形態の産生に失敗したことを示す。
【0117】
故に、出願人は、本発明の方法の第二の脱保護工程、工程(b)において、ジイソプロピルアミンおよびイソプロピルアミンだけが、リシン部分のNε−トリフルオロアセチル基を十分に除去できたアミンであることを、予期外に決定した。
【0118】
実施例31
実施例28で製造したポリペプチドからのNε−トリフルオロアセチル部分の開裂。
実施例28で製造したポリペプチド、75mgを、15mLの水に懸濁する。ジイソプロピルアミン、7mLを懸濁液に添加して、アミン濃度を3Mとする。乳白色−白色溶液が約1時間で透明になり、透明溶液を25℃で20時間撹拌する。反応混合物を約25℃で蒸発させ、粘性液体の形態の粗グラチラマー遊離塩基を形成させる。五十パーセント(50%)酢酸(15mL)を混合物に添加し、30分撹拌して、酢酸グラチラマー溶液を形成させる。
【0119】
実施例32
ダイアフィルトレーション(接線流濾過)。
実施例31で製造した酢酸グラチラマー溶液を、水で120mLに希釈する。希釈溶液を、最初にMilliporeから入手可能な30Kダイアフィルトレーション膜、Pellicon XL、PLCCC 10(50cm)を通して濾過し、次いで、Milliporeから入手可能な3Kダイアフィルトレーション膜、Pellicon XL、PLCCC 5(50cm)を通して濾過する。得られた濃縮溶液を、凍結乾燥して固体形態の酢酸グラチラマーを得る。
【0120】
実施例33
酢酸グラチラマーの精製のクロマトグラフ法。
実施例31で製造した酢酸グラチラマー溶液を、真空で濃縮乾固し、クロマトグラフ分離に付す。ゲル濾過用カラム、FRACTOGEL TSK HW55(600×26mm)を、Superformance 26 Merckカートリッジ中に製造業者の指示に従い調製する。カラムを0.2M アンモニウム酢酸緩衝液pH5.0で平衡化し、30mLのグラチラマー遊離塩基溶液サンプル(20mg/mL、0.2M 酢酸アンモニウムpH5.0中)をカラムに載せ、フラクションを回収する。7−10kDaの平均分子量を有するフラクションを単離する。
【0121】
本発明は、ある態様を特に参照して記載しているが、変化および修飾が、添付の特許請求の範囲の範囲および精神の範囲内で当業者により為し得ることは、理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって:
(i) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびN−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される);そして
(ii) 工程(i)で形成された保護されたポリペプチドに酸を添加し、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる(ここで、該酸はγ−p−メトキシベンジル基をグルタミン酸部分から、そしてN−t−ブトキシカルボニル基をリシン部分から開裂させる)
工程を含む、方法。
【請求項2】
酢酸グラチラマーの製造法であって:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびN−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたグラチラマーを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸、およびそれらの混合物から成る群から選択される);
(b) 工程(a)で形成された保護されたグラチラマーに酸を添加して、グラチラマーを形成させ(ここで、該酸はγ−p−メトキシベンジル基をグルタミン酸部分から、そしてN−t−ブトキシカルボニル基をリシン部分から開裂させる);そして
(c) 工程(b)で形成されたグラチラマーを酢酸で処理して、酢酸グラチラマーを形成させる
工程を含む、方法。
【請求項3】
酸が酢酸、塩酸、臭化水素、フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
酸が酢酸と塩酸の混合物である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
酸が酢酸と臭化水素の混合物である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
酸が酢酸と硫酸の混合物である、請求項3記載の方法。
【請求項7】
酸がトリフルオロ酢酸である、請求項3記載の方法。
【請求項8】
酢酸グラチラマーが約2kDa〜約30kDaの重量平均分子量を有する、請求項2記載の方法。
【請求項9】
酢酸グラチラマーが約4.7kDa〜約11kDaの重量平均分子量を有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
酢酸グラチラマーが約7kDa〜約10kDaの重量平均分子量を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ポリペプチドが約40kDaより大きい分子量を有するポリペプチドフラグメントを実質的に含まない、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ポリペプチドが約2kDa未満の分子量を有するポリペプチドフラグメントを実質的に含まない、請求項1記載の方法。
【請求項13】
工程(ii)が約10℃〜約40℃の温度で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
工程(ii)が約15℃〜約30℃の温度で行われる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
工程(ii)が約22℃〜約25℃の温度で行われる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
イニシエーターがジエチルアミンである、請求項1記載の方法。
【請求項17】
極性非プロトン性溶媒がテトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルフラン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエチレン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンおよびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
極性非プロトン性溶媒が1,4−ジオキサンである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
極性非プロトン性溶媒がテトラヒドロフランである、請求項17記載の方法。
【請求項20】
酸がポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の総重量に基づいて約0.1重量%(wt.%)〜約100wt.%の量で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項21】
酸がポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の総重量に基づいて約1wt.%〜約10wt.%の量で存在する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
酸がポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の総重量に基づいて約2wt.%〜約6wt.%の量で存在する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
(i) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびN−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される);そして
(ii) 工程(i)で形成された保護されたポリペプチドに酸を添加し、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる(ここで、該酸はγ−p−メトキシベンジル基をグルタミン酸部分から、そしてN−t−ブトキシカルボニル基をリシン部分から開裂させる)
工程を含む方法により製造された、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびN−t−ブトキシカルボニルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたグラチラマーを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸、およびそれらの混合物から成る群から選択される);
(b) 工程(a)で形成された保護されたグラチラマーに酸を添加して、グラチラマーを形成させ(ここで、該酸はγ−p−メトキシベンジル基をグルタミン酸部分から、そしてN−t−ブトキシカルボニル基をリシン部分から開裂させる);そして
(c) 工程(b)で形成されたグラチラマーを酢酸で処理して、酢酸グラチラマーを形成させる
工程を含む方法により製造された、酢酸グラチラマー。
【請求項25】
2kDa未満の重量平均分子量を有するグラチラマーが工程(c)の前に除去されている、請求項24に記載の方法により製造された酢酸グラチラマー。
【請求項26】
2kDa未満の重量平均分子量を有するグラチラマーが透析およびダイアフィルトレーションから成る群から選択される方法により除去されている、請求項25記載の酢酸グラチラマー。
【請求項27】
透析を最初に水中で行い、酢酸水溶液中の透析が続く、請求項26記載の酢酸グラチラマー。
【請求項28】
グラチラマーを酢酸で処理した後に凍結乾燥工程をさらに含む、請求項24記載の方法により製造された酢酸グラチラマー。
【請求項29】
炎症性、非自己免疫性中枢神経系疾患を有する患者を処置するまたはこのような疾患の症状を軽減する方法であって、請求項1記載の方法により製造されたポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を炎症性、非自己免疫性中枢神経系疾患の処置に十分な量かつ期間患者に投与することを含む、方法。
【請求項30】
炎症性、非自己免疫性中枢神経系疾患を有する患者を処置するまたはこのような疾患の症状を軽減する方法であって、請求項2記載の方法により製造された酢酸グラチラマーを炎症性、非自己免疫性中枢神経系疾患の処置に十分な量かつ期間患者に投与することを含む、方法。
【請求項31】
非自己免疫性中枢神経系疾患が多発性硬化症である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
保護されたポリペプチドをアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液で処理し、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させることを含む、L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法。
【請求項33】
L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;そして
(b) 工程(a)で形成された保護されたポリペプチドにアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を添加して、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる
工程を含む、方法。
【請求項34】
酢酸グラチラマーの製造法であって:
(a)' L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、γ−ベンジルL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびNε−トリフルオロアセチルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合化させて、保護されたグラチラマーを形成させ;
(b)' 工程(a)'で形成された保護されたグラチラマーにアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を添加して、グラチラマーを形成させ;そして
(c)' グラチラマーを酢酸で処理して、酢酸グラチラマーを形成させる
工程を含む、方法。
【請求項35】
工程(b)が約−78℃〜約40℃の温度で行われる、請求項33記載の方法。
【請求項36】
工程(b)が約−25℃〜約30℃の温度で行われる、請求項35記載の方法。
【請求項37】
工程(b)が約−10℃〜約10℃の温度で行われる、請求項36記載の方法。
【請求項38】
工程(b)が約0℃の温度で行われる、請求項37記載の方法。
【請求項39】
pHが約13〜約14である、請求項32記載の方法。
【請求項40】
さらに緩衝液を含む、請求項32記載の方法。
【請求項41】
緩衝液が酢酸緩衝液であり、pHが約8〜約12である、請求項32記載の方法。
【請求項42】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物が水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項32記載の方法。
【請求項43】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物が水酸化ナトリウムである、請求項42記載の方法。
【請求項44】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物がポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の総重量に基づいて約0.1wt.%〜約400wt.%の量で存在する、請求項32記載の方法。
【請求項45】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物がポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の総重量に基づいて約10wt.%〜約300wt.%の量で存在する、請求項44記載の方法。
【請求項46】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物がポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の総重量に基づいて約140wt.%〜約260wt.%の量で存在する、請求項45記載の方法。
【請求項47】
保護されたポリペプチドをアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液で処理して、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる工程を含む方法により製造された、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩(ここで、該ポリペプチドはL−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含む)。
【請求項48】
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;そして
(b) 工程(a)で形成された保護されたポリペプチドにアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を添加して、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる
工程を含む方法により製造された、ポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項49】
(a)' L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、γ−ベンジルL−グルタミン酸L−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびNε−トリフルオロアセチルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合化させて、保護されたグラチラマーを形成させ;
(b)' 工程(a)'で形成された保護されたグラチラマーにアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物の水溶液を添加して、グラチラマーを形成させ;そして
(c)' 工程(b)'で形成されたグラチラマーを酢酸で処理して、酢酸グラチラマーを形成させる
工程を含む方法により製造された、酢酸グラチラマー。
【請求項50】
L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;
(b) 酸と工程(a)で形成された保護されたポリペプチドおよび溶媒を混合して生成物を形成させ;そして
(c) ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニア、およびそれらの混合物から成る群から選択される物質と工程(b)で形成された生成物、および水または溶媒と水の混合物と混合して、脱保護されたポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる
工程を含む、方法。
【請求項51】
L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;
(b) 酸と工程(a)で形成された保護されたポリペプチドおよび溶媒を含む溶液または懸濁液を混合して、生成物を形成させ;そして
(c) ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニア、およびそれらの混合物から成る群から選択される物質と工程(b)で形成された生成物、および水または溶媒と水の混合物を混合して、脱保護されたポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる
工程を含む、方法。
【請求項52】
保護されたL−リシンがNε−トリフルオロアセチルL−リシンである、請求項50記載の方法。
【請求項53】
保護されたL−グルタミン酸がγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項50記載の方法。
【請求項54】
保護されたL−グルタミン酸がγ−ベンジルL−グルタミン酸である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
酢酸グラチラマーの製造法であって:
(a)' L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたグラチラマーを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される);
(b)' 酸と工程(a)'で形成された保護されたグラチラマーおよび溶媒を混合して、生成物を形成させ;
(c)' ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニア、およびそれらの混合物から成る群から選択される物質と工程(b)'で形成された生成物、および水または溶媒と水の混合物を混合して、脱保護されたグラチラマーを形成させ;そして
(d)' 工程(c)'で形成された脱保護されたグラチラマーを酢酸で処理して、酢酸グラチラマーを形成させる
工程を含む、方法。
【請求項56】
工程(b)で使用する溶媒が極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項50記載の方法。
【請求項57】
溶媒が酢酸、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルフラン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエチレン、ジメチルスルホキシドおよびジクロロメタンから成る群から選択される、請求項56記載の方法。
【請求項58】
溶媒がテトラヒドロフランである、請求項57記載の方法。
【請求項59】
溶媒が酢酸である、請求項57記載の方法。
【請求項60】
ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質が、工程(c)に使用する工程(b)の生成物の総重量に基づいて、約1倍(wt.)〜約1,000倍(wt.)の量で存在する、請求項50記載の方法。
【請求項61】
ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質が約10倍(wt.)〜約500倍(wt.)の量で存在する、請求項60記載の方法。
【請求項62】
ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、アンモニアおよびそれらの混合物から成る群から選択される物質が約50倍(wt.)〜約150倍(wt.)の量で存在する、請求項61記載の方法。
【請求項63】
L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;
(b) 酸と工程(a)で形成された保護されたポリペプチドおよび溶媒を混合して、生成物を形成させ;そして
(c) アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質と工程(b)で形成された生成物、および溶媒または溶媒と水の混合物を混合して、脱保護されたポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項64】
L−チロシン、L−アラニン、L−グルタミン酸およびL−リシンを含むポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩の製造法であって:
(a) L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物および保護されたL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたポリペプチドを形成させ;
(b) 酸と工程(a)で形成された保護されたポリペプチドおよび溶媒の混合物を混合して、生成物を形成させ;そして
(c) アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質と、工程(b)で形成された生成物および溶媒または溶媒と水の混合物を混合して、脱保護されたポリペプチドまたはその薬学的に許容される塩を形成させる
工程を含む、方法。
【請求項65】
保護されたL−リシンがNε−トリフルオロアセチルL−リシンである、請求項63記載の方法。
【請求項66】
保護されたL−グルタミン酸がγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項63記載の方法。
【請求項67】
酢酸グラチラマーの製造法であって:
(a)' L−チロシンのN−カルボキシ無水物、L−アラニンのN−カルボキシ無水物、保護されたL−グルタミン酸のN−カルボキシ無水物およびNε−トリフルオロアセチルL−リシンのN−カルボキシ無水物の混合物を、極性非プロトン性溶媒中、イニシエーター存在下で重合させて、保護されたグラチラマーを形成させ(ここで、該保護されたL−グルタミン酸はγ−p−メトキシベンジルL−グルタミン酸、γ−ベンジルL−グルタミン酸およびそれらの混合物から成る群から選択される);
(b)' 酸と工程(a)'で形成された保護されたグラチラマーおよび溶媒を含む混合物を混合して、生成物を形成させ;
(c)' アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質と、工程(b)'で形成された生成物および溶媒または溶媒と水の混合物を含む混合物を混合して、脱保護されたグラチラマーを形成させ;そして
(d)' 工程(c)'で形成された脱保護されたグラチラマーを酢酸で処理して、酢酸グラチラマーを形成させる
工程を含む、方法。
【請求項68】
工程(b)で使用する溶媒が極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項63記載の方法。
【請求項69】
溶媒が酢酸、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジメチルフラン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエチレン、ジメチルスルホキシドおよびジクロロメタンから成る群から選択される、請求項68記載の方法。
【請求項70】
溶媒がテトラヒドロフランである、請求項69記載の方法。
【請求項71】
溶媒が酢酸である、請求項69記載の方法。
【請求項72】
アルカリもしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質が、工程(c)において使用する溶媒または溶媒と水の混合物の総重量に基づいて約0.1wt.%〜約10wt.%の量で存在する、請求項63記載の方法。
【請求項73】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質が、工程(c)において使用する溶媒または溶媒と水の混合物の総重量に基づいて約0.1wt.%〜約5wt.%の量で存在する、請求項72記載の方法。
【請求項74】
工程(c)において使用する溶媒または溶媒と水の混合物が、工程(c)において使用する工程(b)の生成物の総重量に基づいて、約1倍(wt.)〜約1000倍(wt.)の量で存在する、請求項63記載の方法。
【請求項75】
工程(c)において使用する溶媒または溶媒と水の混合物が、工程(c)において使用する工程(b)の生成物の総重量に基づいて、約10倍(wt.)〜約500倍(wt.)の量で存在する、請求項74記載の方法。
【請求項76】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩およびそれらの混合物から成る群から選択される物質が、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸水素ナトリウムから成る群から選択される、請求項63記載の方法。
【請求項77】
物質が水酸化ナトリウム、水酸化リチウムおよび水酸化カリウムから成る群から選択される、請求項76記載の方法。

【公表番号】特表2008−518930(P2008−518930A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539184(P2007−539184)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/039003
【国際公開番号】WO2006/050122
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(305008042)サンド・アクチエンゲゼルシヤフト (54)
【Fターム(参考)】