説明

グラデーション表現を有する印刷物、グラデーション表現を有する印刷物用製版データの処理方法及び処理プログラム、並びに、グラデーション表現を有する印刷物の印刷方法

【課題】特に凹版印刷や孔版印刷において、ヘアラインや幾何学柄が徐々に消えていくグラデーション表現のうち、特にハイライト部を高精度で表現することを可能とした印刷物及び印刷方法を提供する。
【解決手段】印刷物であって、被印刷物と、前記被印刷物の上にインキで形成された絵柄と、を有し、前記絵柄を、濃度変化に応じた網点形成に代えて、格子状の単位格子に細分化し、一つの単位格子全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記網点の濃度を前記単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅によって表し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって形成された網点によって構成されたグラデーションを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアラインや幾何学柄が徐々に消えていくグラデーション表現を有する印刷物、及び、特に凹版印刷や孔版印刷において、グラデーション表現を有する印刷物を印刷する製版および印刷技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアラインや幾何学柄などのパターンの濃度が段階的に変化するグラデーションあるいは階調表現を印刷において再現する場合、柄を構成する微細な網点の大きさを連続的あるいは段階的に変化させて、グラデーションあるいは階調表現を再現する製版技術が利用されている。版を用いる印刷方式には大きく分けて凸版・平版・凹版・孔版と4種があるが、この網点の大きさを変えてグラデーションあるいは階調表現を再現する方法は印刷方式を限定することなく利用されている。
【0003】
柄を構成する網点の大きさが小さい部分は、ハイライト部と呼ばれる色の濃度が薄い側(0%側)に当たる。逆に網点が大きい部分は、シャドウ部と呼ばれる色の濃度が濃い側(100%側)に当たる。凹版の場合には、網点の大きさはセルと呼ばれる窪みの開孔率に、孔版の場合には、スクリーン上の孔の大きさに依存している。
【0004】
このグラデーション調意匠をパターンで再現するには、製版時にグラデーション調にしたいパターン部分をマスクするか、あるいは、グラデーション以外の部分を隠すようにマスクして、その上から予め用意したグラデーション表現された柄を当てる方法が一般的に知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0005】
上記の方法では、製版時、グラデーション調模様の準備段階と、マスク作成の段階とを踏み、二版分の画像データを用意する。また、意図した位置にグラデーション調模様を再現するために、予め用意したグラデーション調模様の大きさの調整や、マスクを当てる位置の調整作業を経て、最終的に製版用の一つの画像を形成する。こうして作成した製版用データを元に印刷用の版をおこし、この版を用いて印刷することで、グラデーションの再現が可能となる。
【0006】
しかし、グラデーションのハイライト部分になると網点が小さくなる。特に凹版や孔版では、小さなセルや孔から被印刷物へのインキ(インク)の転移が困難になり、ハイライト部分の表現が困難であった。その結果、濃度変化が滑らかなグラデーション表現された柄の再現が難しいという印刷時の問題があった。具体的には、網点を形成するセル(凹版)やスクリーン上の孔(孔版)でインキが詰ると、その部分のインキの転移不良が生じる。これが、ハイライト部分のように網点が小さくなると、インキが転移しにくくなる一要因である。
【0007】
また、製版時にセル形状の面積を濃度と近似的に比例するように調整してグラデーションの濃淡の階調表現を良くすることも検討されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この方法でも、ハイライト部の網点がシャドウ部の網点に対して相対的に小さくなる点は変わらないため、依然としてハイライト部における小さな網点部分でインキの転移不良のリスクが残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−174845号公報
【特許文献2】特開平2−110674号公報
【特許文献3】特開平9−43835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、従来の製版の仕方にてグラデーション表現を行う場合、その製版自体は可能であっても、印刷した際に特にハイライト部で小さな網点部分でインキが転移しない状態が生じる。このため、再現できる意匠の幅が狭くなるため、特に凹版や孔版では、グラデーションのハイライト部の再現性を良くする方法が求められている。
【0010】
本発明の目的は、特に凹版印刷や孔版印刷において、ヘアラインや幾何学柄が徐々に消えていくグラデーション表現のうち、特にハイライト部の再現性が良好な印刷物及び印刷方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る第1の態様のグラデーション表現を有する印刷物は、被印刷物と、
前記被印刷物の上にインキで形成された絵柄と、
を有し、
前記絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、格子状の単位格子に細分化し、一つの単位格子全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記絵柄の濃度変化を前記単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅の変化によって表したグラデーション表現を有し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって形成された網点によって構成されている。
【0012】
本発明に係る第2の態様のグラデーション表現を有する印刷物は、被印刷物と、
前記被印刷物の上にインキで形成された絵柄と、
を有し、
前記絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、前記絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域に分割し、一つの矩形領域全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記矩形領域の濃度を前記絵柄の濃度変化の方向にわたって延びる線分の線幅によって表したグラデーション表現を有し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって形成された網点によって構成されている。
【0013】
本発明に係る第3の態様のグラデーション表現を有する絵柄を印刷した印刷物の製版用データの処理方法は、グラデーション表現を有する絵柄を印刷した印刷物の製版用データの処理方法であって、
グラデーションを有する絵柄の画像データを格子状の複数の単位格子に細分化するステップと、
前記各単位格子に含まれる画像データに基づいて、前記各単位格子の濃度を設定するステップと、
前記各単位格子の濃度を前記単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅に変換するステップと、
版上における前記各単位格子の位置と、線分の線幅とを有する製版データを記録するステップと、
を含む。
【0014】
本発明に係る第4の態様のグラデーション表現を有する絵柄を印刷した印刷物の製版用データの処理方法は、グラデーション表現を有する絵柄を印刷した印刷物の製版用データの処理方法であって、
グラデーションを有する絵柄の画像データを、前記絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域に分割するステップと、
分割した前記各矩形領域に含まれる画像データに基づいて、前記各矩形領域の濃度を設定するステップと、
前記各矩形領域の濃度を前記矩形領域の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅に変換するステップと、
版上における前記各矩形領域の位置と、線分の線幅とを有する製版データを記録するステップと、
を含む。
【0015】
本発明に係る第5の態様のグラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法は、グラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法であって、
被印刷物を準備するステップと、
絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、形成するセル(又は孔)の形状を同一にそろえた格子状の単位格子に細分化し、一つの単位格子全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記各単位格子の濃度を前記単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅によって表し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって構成されたグラデーションを有する版を準備するステップと、
前記被印刷物の上に前記版によって印刷するステップと、
を含む。
【0016】
本発明に係る第6の態様のグラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法は、グラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法であって、
被印刷物を準備するステップと、
絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、前記絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域に分割し、一つの矩形領域全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記各矩形領域の濃度を前記絵柄の濃度変化の方向にわたって延びる線分の線幅によって表し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって構成されたグラデーションを有する版を準備するステップと、
前記被印刷物の上に前記版によって印刷するステップと、
を含む。
【0017】
本発明に係る第7の態様のグラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法は、グラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法であって、
被印刷物を準備するステップと、
絵柄を、濃度に応じた網点形成の代わりに前記絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域に分割し、一つの矩形領域全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記各矩形領域の濃度を前記絵柄の濃度変化の方向にわたって延びる線分の線幅によって表し、前記各矩形領域を前記絵柄の濃度の変化方向に垂直な方向に沿って複数の単位領域に分割し、前記各矩形領域に設定された線分の線幅を前記複数の単位領域に配分して、少なくとも一つの単位領域内に配分された線幅を有する線分として表し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって構成されたグラデーションを有する版を準備するステップと、
前記被印刷物の上に前記版によって印刷するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る印刷物では、格子状に分割した各単位格子内の各線分は、巨視的には小さな面積であっても、その中に形成される各セル(又は孔)の大きさは絵柄の濃度変化に依存しておらず、最大寸法のセルを利用でき、インキの転移性で劣る小さなセルの形成を避けることができる。これによって、ハイライト部についてもより鮮明に表現できるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1に係る印刷物の絵柄のグラデーション表現の一例を示す拡大平面図である。
【図2】実施の形態1に係る印刷物の製版用データの処理方法のフローチャートである。
【図3】実施の形態1に係る印刷物の印刷方法のフローチャートである。
【図4】線分が、最大寸法のセル又は孔によって形成された網点によって構成されていることを表す概略図である。
【図5】(a)は、線分の幅と濃度との関係を示す一例であり、(b)は、線分の幅と濃度との関係を示す別例であり、(c)は、線分の幅と濃度との関係を示すさらに異なる別例である。
【図6】(a)は、製版用データの処理装置の機能的構成を示すブロック図であり、(b)は、(a)の製版用データの処理装置の物理的構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2に係る印刷物の絵柄のグラデーション表現の一例を示す拡大平面図である。
【図8】複数のヘアライン30aについてのグラデーション表現の一例を示す平面図である。
【図9】実施の形態2に係る製版用データの処理方法のフローチャートである。
【図10】実施の形態2に係るグラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法のフローチャートである。
【図11】実施の形態3に係る印刷物60の絵柄のグラデーション表現の一例を示す拡大平面図である。
【図12】実施の形態3に係るグラデーション表現を有する絵柄を印刷した印刷物の製版用データの処理方法のフローチャートである。
【図13】実施の形態3に係る製版用データの処理方法の変形例のフローチャートである。
【図14】実施の形態3に係るグラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を用いて、本発明の実施の形態に係るグラデーション表現を有する印刷物、及び、その印刷物を印刷する印刷方法について説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材は同一の符号を付している。
【0021】
(実施の形態1)
<印刷物>
図1は、実施の形態1に係るグラデーション表現を有する絵柄を含む印刷物1の一例を示す平面図である。この印刷物1は、被印刷物(絵柄の下地であり、図示せず)と、被印刷物の上にインキで形成された絵柄と、を有する。さらに、絵柄を、濃度に応じた網点形成の代わりに、格子状に細分化した各単位格子2について、一つの単位格子全体にわたる場合を濃度100%とみなす。また、絵柄の濃度変化を単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分3の線幅の変化として表している。この印刷物1では、網点の大きさではなく、絵柄自体を複数の単位格子に分割して、各単位格子内の線分の線幅の太さ又は細さで濃淡を表してグラデーション表現を行っていることを特徴とする。なお、単位格子としては長方形に限られず、単位格子を構成する各線が互いに鋭角をなす菱形であってもよい。また、単位格子は、四角形に限られず、三角形等の多角形であってもよい。
【0022】
また、この印刷物1では、絵柄自体を格子状の単位格子に分割し、絵柄の濃度変化を単位格子内の矩形状の線分の幅で表すことを特徴としている。さらに、図4に示すように、各線分3は、最大寸法のセル又は孔によって形成された網点4によって構成されている。つまり、絵柄を形成するためのセル又は孔の大きさは最大寸法のままとしている。なお、最大寸法のセル又は孔によって形成された網点4によって、濃度100%を実現できる。
従来のようにハイライト部を形成するためには版のセル又は孔の大きさが小さくなるため、インキの転移性が低下してハイライト部がうまく表現できなかった。
本発明では、上記のように、印刷物の絵柄を、濃度に応じた網点形成の代わりに、格子状に細分化した各単位格子2について、絵柄の濃度変化を線分3の線幅の変化として表している。また、各線分3は最大寸法のセル又は孔によって形成できるため、インキの転移性を損なうことなくハイライト部についてもより鮮明に表現できる。
【0023】
なお、単位格子2の線分3は、絵柄の濃度の変化方向に垂直な方向に線幅を変化させてもよい。また、図5(a)〜(c)に示すように、単位格子2の線分3は、表現する濃度と線幅との間のあらかじめ規定された関係式によって設定してもよい。
【0024】
以下に本発明に係る印刷物を構成する被印刷物及びインキの例を示す。なお、以下の被印刷物及びインキの例は例示であって、これだけに限定するものではない。
【0025】
<被印刷物>
絵柄を刷る紙やフィルムなどの被印刷物の素材については、使用するインキと適合するものであれば特に限定されない。なお、グラデーション表現のハイライト部において、インキの転移性に難がある素材の被印刷物であっても、上記のような本発明の効果が得られるので使用できる場合がある。また、インキの転移性を高めるため、被印刷物の表面にコロナ処理による改質や、受容層や易接着層を設けるなどの表面処理がされていても構わない。
【0026】
<インキ>
印刷に当たっては印刷方式に合ったインキを用いるのが望ましい。それぞれの印刷方式に合ったインキを用いることで印刷適性が発揮されるため印刷品質面で好ましい結果が得られる。例えば、凹版印刷では凹版用インキを用いることが好ましく、孔版印刷では孔版印刷用インキを用いることが好ましい。
【0027】
また、使用するインキの組成については特に限定しない。インキを構成する色材としても顔料系であっても染料系であってもよい。また両者の混合系であってもよい。また、樹脂系は、アクリル系、ウレタン系、ビニル系等があるが、用いる印刷方式で使用できるインキであればその成分を限定しない。溶剤系についても、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどエステル系、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系など、またそれらの混合系も存在するが、本発明ではインキとして印刷適性のある状態を保てる系であれば、その成分を限定しない。
【0028】
<製版データの処理方法>
図2は、実施の形態1に係るグラデーション表現を有する絵柄を印刷した印刷物の製版用データの処理方法のフローチャートである。
(a)グラデーションを有する絵柄の画像データを格子状の単位格子に細分化する(S01)。
(b)細分化した各単位格子について、各単位格子に含まれる画像データに基づいて、各単位格子の濃度を設定する(S02)。
(c)各単位格子の濃度を単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅に変換する(S03)。
(d)版上における各単位格子の位置と、線分の線幅とを有する製版データを記録する(S04)。
以上の各ステップによって、製版用データを作成できる。
【0029】
なお、製版データの形式は、一般的には、絵柄の画像データに対してアフィン変換を行う場合には、拡大縮小などの変形をしてもデータの劣化が少ないベクタ形式の方がより望ましいとされるが、最終的な印刷物の鮮鋭さは解像度にも依存するので、ベクタ形式でもラスタ形式でもよい。
【0030】
また、濃度を段階的に変化させる数は、データ処理の面で2の倍数が利用しやすい。一般に濃度変化させる数を増やした方が濃度変化は滑らかになる。しかし、デザイナーの趣向によっては濃度変化の数が少ない方が美しいと感じる場合もあるので、その数自体は限定しない。
なお、濃度を段階的に変化させる数については、作業の便宜上次のように数えることとする。例えば、等間隔に変化させる例であれば、100%、50%、0%と濃度を変化させる場合、2段階に変化させると数える。また、100%、75%、50%、25%、0%と変化させる場合は4段階に変化させると数える。等間隔でない場合、例えば、100%、60%、30%、15%と変化させる場合は、3段階と数える。
【0031】
また、分割した個々の単位格子について、実施するアフィン変換では、絵柄のグラデーションの濃度の変化方向に対して垂直方向の線幅を段階的に変化させてもよい。アフィン変換では、濃度のパーセントと一致させるように線幅方向の縮小率を変化させる。例えば、濃度100%の部分の線幅が1mmに対応する場合、50%の濃度とする領域では線幅は0.5mmとなる。
【0032】
さらに、線分の幅と濃度との関係を線形関係としてもよい。例えば、図5(a)に示すように、各単位格子の線分が左から濃度100%、80%、60%、40%、20%、0%を表す場合、濃度20%を表す線分の幅xに対して濃度100%を表す線分の幅を5xとしてもよい。また、図5(b)に示すように、各単位格子の線分が左から濃度100%、60%、20%、0%を表す場合も、濃度20%を表す線分の幅xに対して濃度100%を表す線分の幅を5xとしてもよい。
なお、図5(c)に示すように、各単位格子の線分が左から濃度100%、60%、40%、0%を表す場合、濃度40%を表す線分の幅xに対して濃度100%を表す線分の幅は2.5xとなる。この場合には、最小線分の濃度と0%との濃度差が大きくなる。
【0033】
なお、最小の線幅については、グラデーション調の濃淡を表現するために段階的に変化させる数と最小とする線幅との積を最大の線幅以下とすることが好ましい。また、段階的に変化させる数と最小とする線幅との積を最大の線幅以下とすることによって、グラデーションの濃度0%に近いハイライト部での再現性が良好となるだけでなく、段階的な濃度変化を滑らかに再現できるという効果が得られる。
【0034】
また、最小の線幅については絵柄による制限もあるために特に限定しないが、1mm未満であるとよい。望ましくは0.5mm未満がよく、インキの転移性や絵柄の意匠性を考慮すると、可能であれば、0.2mmから0.02mmの範囲がさらに望ましい。なお、最小の線幅は、上述のように最大寸法のセル又は孔によって形成された網点の幅以上となる。これによって、ハイライト部分であってもインキの転移性を損なうことなく鮮明に再現できる。
【0035】
<製版データの処理装置>
図6の(a)は、製版用データの処理装置の機能的構成を示すブロック図であり、図6の(b)は、図6の(a)の製版用データの処理装置の物理的構成を示すブロック図である。この製版用データの処理装置10は、機能的構成の点では、単位格子細分化手段12と、単位格子濃度設定手段14と、濃度−線幅変換手段16と、製版データ記憶手段18とを備える。単位格子細分化手段12によってグラデーションを有する絵柄の画像データを格子状の単位格子に細分化する。単位格子濃度設定手段14によって各単位格子に含まれる画像データに基づいて、各単位格子の濃度を設定する。濃度−線幅変換手段16によって各単位格子の濃度を単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅に変換する。製版データ記憶手段18によって版上における各単位格子の位置と、線分の線幅とを有する製版データを記録する。
また、この製版用データの処理装置10は、物理的構成の点では、通常のコンピュータと同様に、例えば、CPU21、メモリ22、HDD23、外部の記録媒体27の読み取りを行う記録媒体読み取り部24、表示部25、画像データ28及び製版データ29の入出力を行う入出力部26を備える。
【0036】
<製版方式>
上記の版は、通常の製版方式で作成できる。凹版の製版について述べると、版となるシリンダーの表面にセルを形成する方法は、大きく分けてフォトリソグラフィ方式と彫刻方式がある。
まず、フォトリソグラフィ方式とは、感光剤を塗ったシリンダーの表面にパターンを焼付け、化学処理による腐蝕でセルを形成する化学的な加工方式である。このフォトリソグラフィ式には、カメラワークの名残からのフィルムを介して絵柄を焼き付ける写真製版と、1990年に日本のシンク・ラボラトリーが開発したレーザー光線で直接焼き付けるレーザーストリーム方式の2方式があり、今日ではハンドリングの良さから後者が広く使用されている。
一方、彫刻方式とは、ダイヤモンドの針でシリンダーの表面に直接セルを刻み付けてセルを形成する物理的な加工方式である。なお、この製版方式は、1963年にドイツのHELL社が開発したヘリオクリショグラフにちなんで、ヘリオと呼ばれることもある。
なお、上記製版方式は例示であって、本発明の実施においては、製版方式による限定を受けないことはもちろんである。場合によっては、本願明細書によるデータ処理を伴えば、無版であっても本発明の効果を利用できる。
【0037】
<印刷方法>
次に、実施の形態1に係る印刷物の印刷方法について説明する。図3は、実施の形態1に係るグラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法のフローチャートである。
(a)被印刷物を準備する(S11)。
(b)絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、形成するセル(又は孔)の形状を同一にそろえた格子状の単位格子に細分化し、一つの単位格子全体にわたる場合を濃度100%とみなし、単位格子の濃度を単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅によって表し、各線分は、最大寸法のセル又は孔によって構成されたグラデーションを有する版を準備する(S12)。
(c)被印刷物の上に上記版によって印刷する(S13)。
以上の各ステップによって、インキでグラデーション表現された絵柄を有する印刷物を得ることができる。
【0038】
(変形例)
なお、この領域の分割がデータのサイズが大きく画像処理に時間がかかるなどの理由で実行が難しい場合、中間部の領域分割における線幅の段階的な変化の代わりにテーバー形状を当てることで近似しても良い。
【0039】
(実施の形態2)
<印刷物>
図7は、実施の形態2に係る印刷物30の絵柄のグラデーション表現の一例を示す拡大平面図である。図8は、複数のヘアライン30aについてのグラデーション表現の一例を示す平面図である。実施の形態2に係る印刷物30は、実施の形態1に係る印刷物と比較すると、絵柄の濃度の変化方向に沿って複数の矩形領域31〜41に分割し、各矩形領域31〜41において、濃度を絵柄の濃度の変化方向に沿って延びる線分42〜51の線幅として表している点で相違する。図7の拡大平面図に示すように、この印刷物30は、被印刷物と、被印刷物の上にインキで形成された絵柄と、を有する。また、この印刷物30では、絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域31〜41に分割している。さらに、一つの矩形領域全体にわたる場合を濃度100%とみなし、各矩形領域の濃度を絵柄の濃度変化の方向にわたって延びる線分42〜51の線幅によって表し、グラデーションを表現している。なお、矩形領域の線幅は、表現する濃度と線幅との間のあらかじめ規定された関係式によって設定してもよい。また、実施の形態1と同様に、絵柄を形成するためのセル又は孔の大きさは最大寸法のものを用いている。すなわち、各線分は、最大寸法のセル又は孔によって形成された網点によって構成されている。
この印刷物30では、絵柄の濃度の変化方向にわたって延びる線分42〜51の線幅によって濃度を表すので、例えば、絵柄がヘアラインの場合には、破線のように途切れることなく、図8に示すように連続した直線状の絵柄を再現できる。
【0040】
<製版用データの処理方法>
図9は、実施の形態2に係る製版用データの処理方法のフローチャートである。
(a)グラデーションを有する絵柄の画像データを、絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域31〜41に分割する(S21)。なお、分割する数は、濃度を段階的に変化させる数以上とする。また、分割の間隔は、濃度変化に沿って等間隔でなくてもよいが、滑らかな濃度変化を再現するには、等間隔に近い方が望ましい。また、濃度0%となる位置は、グラデーションが終わる部分にあわせるとよい。
(b)各矩形領域31〜41に含まれる画像データに基づいて、矩形領域31〜41の濃度を設定する(S22)。
(c)各矩形領域31〜41の濃度を各矩形領域の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分42〜51の線幅に変換する(S23)。
(d)版上における各矩形領域31〜41の位置と、線分42〜51の線幅とを有する製版データを記録する(S24)。
以上の各ステップによって、製版用データを作成できる。
【0041】
<印刷方法>
図10は、実施の形態2に係るグラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法のフローチャートである。
(a)被印刷物を準備する(S31)。
(b)絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域に分割し、一つの矩形領域全体にわたる場合を濃度100%とみなし、矩形領域の濃度を絵柄の濃度変化の方向にわたって延びる線分の線幅によって表し、各線分は、最大寸法のセル又は孔によって構成されたグラデーションを有する版を準備する(S32)。
(c)被印刷物の上に上記版によって印刷する(S33)。
以上の各ステップによって、インキでグラデーション表現された絵柄を有する印刷物を得ることができる。
【0042】
(実施の形態3)
<印刷物>
図11は、実施の形態3に係る印刷物60の絵柄のグラデーション表現の一例を示す拡大平面図である。実施の形態3に係る印刷物60を実施の形態2に係る印刷物と比較すると、さらに矩形領域61〜71を濃度の変化方向に垂直な方向に沿って複数の単位領域72〜76に分割し、各矩形領域に設定された線分の線幅を複数の単位領域に配分し、少なくとも一つの単位領域に配分された線幅を有する線分として表して、グラデーションを表現している点で相違している。具体的には、この印刷物60は、被印刷物と、被印刷物の上にインキで形成された絵柄と、を有する。また、この印刷物60では、絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域61〜71に分割している。さらに、一つの矩形領域全体にわたる場合を濃度100%とみなし、各矩形領域61〜71の濃度を絵柄の濃度変化の方向にわたって延びる線分の線幅によって表している。また、実施の形態1と同様に、絵柄を形成するためのセル又は孔の大きさは最大寸法のものを用いている。すなわち、各線分は、最大寸法のセル又は孔によって形成された網点によって構成されている。さらに、各矩形領域61〜71を絵柄の濃度の変化方向に垂直な方向に沿って複数の単位領域72〜76に分割している。また、各矩形領域61〜71に設定された線分の線幅を複数の単位領域72〜76に配分して、少なくとも一つの単位領域72〜76内に配分された線幅を有する線分として表してグラデーションを表現している。
【0043】
なお、絵柄の濃度の変化方向について互いに隣接する2つの単位領域72〜76の互いに接する各辺において、各線分の端部の接している部分の長さを最小とするように、各単位領域72〜76内で線分を再配置してもよい。再配置の手順は次のようにおこなう。
(i)まず、グラデーションの濃度の変化方向に対して垂直方向に沿って、各矩形領域61〜71を複数の単位領域72〜76に分割する。
(ii)次に、各矩形領域61〜71に設定された線幅を複数の単位領域72〜76に配分する。具体的には、一つの矩形領域に設定された線幅を、例えば単位領域72〜76の数に配分する。この場合、それぞれの単位領域72〜76への配分は同じ線幅であっても異なっていてもよい。なお、全ての単位領域72〜76に配分する必要はなく、少なくとも一つの単位領域に配分すればよい。また、配分した線幅の合計は矩形領域に設定された線幅と同じである。さらに、一つの単位領域に配分する線幅は、版のセル又は孔の最大幅以上とする。これによってインキの転移性を良好に維持できる。
(iii)次いで、一つの単位領域内において、線分の端部の位置を移動させる。線分の端部の位置を動かす方向は、グラデーションの濃度の変化方向に対して垂直方向とする。また、線分の端部を動かす際は、濃度の変化方向に沿って互いに隣接す単位領域の線分の端部の接している部分の長さを最小とすることが好ましい。また、線分を再配置する場合、濃度の変化方向に対して垂直方向での各線分の間隔を等間隔にすることが好ましいが、これに限定するものではない。
【0044】
<製版用データの処理方法>
図12は、実施の形態3に係るグラデーション表現を有する絵柄を印刷した印刷物の製版用データの処理方法のフローチャートである。
(a)グラデーションを有する絵柄の画像データを、絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域61〜71に分割する(S41)。
(b)各矩形領域61〜71に含まれる画像データに基づいて、各矩形領域61〜71の濃度を設定する(S42)。
(c)各矩形領域61〜71の濃度を矩形領域の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅に変換する(S43)。
(d)各矩形領域61〜71を絵柄の濃度の変化方向に垂直な方向に沿って複数の単位領域72〜76に分割する(S44)。
(e)各矩形領域61〜71に設定された線分の線幅を複数の単位領域72〜76に配分して、少なくとも一つの単位領域内にそれぞれ配分された線幅を有する線分として表す(S45)。
(f)版上における各単位領域の位置と、各単位領域に配分された線分の線幅とを有する製版データを記録する(S46)、
以上の各ステップによって、製版用データを作成できる。
これによって、一つの矩形領域の線分を複数の単位領域の線分に配分できる。そのため、矩形領域内の一箇所に線分が片寄らないため、絵柄全体を眺めた時に絵柄が幅を持っているように見せかけることができる。
【0045】
(変形例)
なお、図13は、実施の形態3に係る製版用データの処理方法の変形例のフローチャートである。この変形例のフローチャートでは、図12のフローチャートと比較して、少なくとも一つの単位領域内にそれぞれ配分された線幅を有する線分として表すステップ(S45)と、製版データを記録するステップ(S46)との間に、以下のステップを含む点で相違する。
(g)絵柄の濃度の変化方向について互いに隣接する2つの単位領域の互いに接する各辺において、各線分の端部の接している部分の長さを最小とするように、各単位領域内で線分を再配置する(S47)。
これによって、さらに、絵柄の濃度変化の方向と垂直な方向に線分を分散して再配置して、印刷物上で絵柄を分割した各単位格子の一部に線分が偏らないようにできるため、絵柄全体を眺めた時に絵柄が幅を持っているように見せかけることができる。
【0046】
<印刷方法>
図14は、実施の形態3に係るグラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法のフローチャートである。
(a)被印刷物を準備する(S51)。
(b)絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域に分割し、一つの矩形領域全体にわたる場合を濃度100%とみなし、矩形領域の濃度を絵柄の濃度変化の方向にわたって延びる線分の線幅によって表し、各矩形領域を絵柄の濃度の変化方向に垂直な方向に沿って複数の単位領域に分割し、矩形領域に設定された線分の線幅を複数の単位領域に配分して、少なくとも一つの単位領域内に配分された線幅を有する線分として表し、各線分は、最大寸法のセル又は孔によって構成されたグラデーションを有する版を準備する(S52)。
(c)被印刷物の上に上記版によって印刷する(S53)。
以上の各ステップによって、インキでグラデーション表現された絵柄を有する印刷物を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る印刷物、製版用データの処理方法、及び、印刷方法は、グラデーション表現のうち、特にハイライト部分を鮮明に表現できるので、特に凹版印刷及び孔版印刷におけるグラデーション表現を有する印刷物及び印刷方法として有用である。
【符号の説明】
【0048】
1、30、30a、60 印刷物
2 単位格子
3 線分
4 網点
10 製版用データ処理装置
12 単位格子細分化手段
14 単位格子濃度設定手段
16 濃度−線幅変換手段
18 製版データ記憶手段
21 CPU
22 メモリ
23 HDD
24 記録媒体読み取り部
25 表示部
26 入出力部
27 記録媒体
28 画像データ
29 製版データ
31〜41 矩形領域
42〜51 線分
61〜71 矩形領域
72〜76 単位領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷物と、
前記被印刷物の上にインキで形成された絵柄と、
を有し、
前記絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、格子状の単位格子に細分化し、一つの単位格子全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記絵柄の濃度を前記単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅によって表し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって形成された網点によって構成されたグラデーション表現を有する印刷物。
【請求項2】
前記単位格子の線分は、前記絵柄の濃度の変化方向に垂直な方向に前記線幅を変化させた、請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
前記単位格子の線分は、グラデーションの濃淡を表現するために段階的に変化させる数と、最小とする線幅との積を最大の線幅以下とする関係式によって設定される、請求項1又は2に記載の印刷物。
【請求項4】
被印刷物と、
前記被印刷物の上にインキで形成された絵柄と、
を有し、
前記絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、前記絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域に分割し、一つの矩形領域全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記矩形領域の濃度を前記絵柄の濃度変化の方向にわたって延びる線分の線幅によって表し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって形成された網点によって構成されたグラデーション表現を有する印刷物。
【請求項5】
前記矩形領域の線幅は、グラデーションの濃淡を表現するために段階的に変化させる数と、最小とする線幅との積を最大の線幅以下とする関係式によって設定される、請求項4に記載の印刷物。
【請求項6】
前記矩形領域を前記絵柄の濃度の変化方向に垂直な方向に沿って複数の単位領域に分割し、前記矩形領域に設定された線分の線幅を前記複数の単位領域に配分して、少なくとも一つの単位領域内に配分された線幅を有する線分として表す、請求項5に記載の印刷物。
【請求項7】
前記絵柄の濃度の変化方向について互いに隣接する2つの単位領域の互いに接する各辺において、各線分の端部の接している部分の長さを最小とするように、前記各単位領域内で前記線分を再配置する、請求項6に記載の印刷物。
【請求項8】
前記各単位領域に設定された線分は、0.02mm以上の線幅となるように前記矩形領域から前記各単位領域に配分する、請求項6又は7に記載の印刷物。
【請求項9】
グラデーション表現を有する絵柄を印刷した印刷物の製版用データの処理方法であって、
グラデーションを有する絵柄の画像データを格子状の複数の単位格子に細分化するステップと、
前記各単位格子に含まれる画像データに基づいて、前記各単位格子の濃度を設定するステップと、
前記各単位格子の濃度を前記単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅に変換するステップと、
版上における前記各単位格子の位置と、線分の線幅とを有する製版データを記録するステップと、
を含む、製版用データの処理方法。
【請求項10】
グラデーション表現を有する絵柄を印刷した印刷物の製版用データの処理方法であって、
グラデーションを有する絵柄の画像データを、前記絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域に分割するステップと、
分割した前記各矩形領域に含まれる画像データに基づいて、前記各矩形領域の濃度を設定するステップと、
前記各矩形領域の濃度を前記矩形領域の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅に変換するステップと、
版上における前記各矩形領域の位置と、線分の線幅とを有する製版データを記録するステップと、
を含む、製版用データの処理方法。
【請求項11】
前記各矩形領域を前記絵柄の濃度の変化方向に垂直な方向に沿って複数の単位領域に分割するステップと、
前記各矩形領域に設定された線分の線幅を前記複数の単位領域に配分して、少なくとも一つの単位領域内に配分された線幅を有する線分として表すステップと、
をさらに含み、
前記版上における前記各矩形領域の位置と、線分の線幅とを有する製版データを記録するステップは、前記版上における前記各単位領域の位置と、前記各単位領域に配分された線分の線幅とを有する製版データを記録するステップと読み替える、請求項10に記載の製版用データの処理方法。
【請求項12】
前記絵柄の濃度の変化方向について互いに隣接する2つの単位領域の互いに接する各辺において、各線分の端部の接している部分の長さを最小とするように、前記各単位領域内で前記線分を配置するステップをさらに含む、請求項11に記載の製版用データの処理方法。
【請求項13】
グラデーションの濃淡を表現するために段階的に変化させる数と、最小とする線幅との積を最大の線幅以下とする、請求項9から12のいずれか一項に記載の製版用データの処理方法。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか一項に記載の製版用データの処理方法の各ステップをコンピュータにおいて実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項16】
グラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法であって、
被印刷物を準備するステップと、
絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、形成するセル(又は孔)の形状を同一にそろえた格子状の単位格子に細分化し、一つの単位格子全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記各単位格子の濃度を前記単位格子の対向する一方の辺から他方の辺にわたって延びる線分の線幅によって表し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって構成されたグラデーションを有する版を準備するステップと、
前記被印刷物の上に前記版によって印刷するステップと、
を含む、印刷方法。
【請求項17】
グラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法であって、
被印刷物を準備するステップと、
絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、前記絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域に分割し、一つの矩形領域全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記各矩形領域の濃度を前記絵柄の濃度変化の方向にわたって延びる線分の線幅によって表し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって構成されたグラデーションを有する版を準備するステップと、
前記被印刷物の上に前記版によって印刷するステップと、
を含む、印刷方法。
【請求項18】
グラデーション表現を有する絵柄を印刷する印刷方法であって、
被印刷物を準備するステップと、
絵柄を、濃度に応じた網点形成に代えて、前記絵柄の濃度変化の方向に沿って複数の矩形領域に分割し、一つの矩形領域全体にわたる場合を濃度100%とみなし、前記各矩形領域の濃度を前記絵柄の濃度変化の方向にわたって延びる線分の線幅によって表し、前記各矩形領域を前記絵柄の濃度の変化方向に垂直な方向に沿って複数の単位領域に分割し、前記各矩形領域に設定された線分の線幅を前記複数の単位領域に配分して、少なくとも一つの単位領域内に配分された線幅を有する線分として表し、前記各線分は、最大寸法のセル又は孔によって構成されたグラデーションを有する版を準備するステップと、
前記被印刷物の上に前記版によって印刷するステップと、
を含む、印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−173331(P2012−173331A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32231(P2011−32231)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】