説明

グランドフレアーおよびその燃焼制御方法

【課題】燃焼振動を防止して被処理ガスを安定的に燃焼させることができるグランドフレアーおよびその燃焼制御方法を提供する。
【解決手段】燃焼筒2の下部に被処理ガスを導入する被処理ガス導入路4と燃焼器5を有し、燃焼筒の底部から燃焼用空気を供給し、被処理ガスを燃焼処理するグランドフレアー1において、燃焼器5の下方に燃焼用空気を供給する第一空気供給路15と、燃焼器5の上方に燃焼用空気を供給する第二空気供給路18と、被処理ガスを燃焼させるために必要な空気量を計算する空気量計算手段と、空気量計算手段によって計算された空気量に基づき、第一空気供給路15および第二空気供給路18から燃焼用空気を分割供給する空気供給量制御手段とを備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱量が変動する排ガスを安定的に燃焼させることができるグランドフレアーおよびその燃焼制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油精製等の各種プラントや製鉄製造設備において発生する余剰ガスを燃焼処理するための設備としてフレアースタックがある。
【0003】
一般的なフレアースタックとしては、石油精製基地に設置される架構支持型フレアースタックが知られている。この種のフレアースタックは、被処理ガスを高所に導いて燃焼させるようになっており、高さ方向に距離を取ることによって輻射熱を軽減させることができるようになっている。
【0004】
しかしながら、上記フレアースタックでは輻射熱や火炎が周囲に影響するため、これらの問題を解消すべくグランドフレアーが開発され、各地に設置されている。
【0005】
グランドフレアーは、地上に設置した円筒状燃焼筒内で被処理ガスを燃焼させるため、火炎が見えることがなく、しかも低騒音で被処理ガスを燃焼処理することができるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
したがって、上記グランドフレアーによって被処理ガスを処理すれば、周辺環境に対して影響が少ないという利点がある。
【0007】
図8は上記グランドフレアーの構成を示したものである。
【0008】
グランドフレアー50は、燃焼筒51の底部に燃焼用空気の取入口52が設けられており、この取入口52から、煙突の通風力(ドラフト)によってのみ燃焼用空気を吸引するというシンプルな構成のものが一般的である。なお、図中、符号53はバーナーを示している。
【特許文献1】特開昭53−98531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記したグランドフレアーは、高発熱量の被処理ガスについては安定して燃焼させることができるものの、例えば燃焼ガスや不活性ガスを含む低発熱量の被処理ガスについては燃焼性が悪いため火炎が安定せず、周囲の空気の流れの影響を受けて火炎の吹き飛びと再着火が繰り返され、場合によっては、いわゆる燃焼振動を発生する場合がある。
【0010】
特に、グランドフレアー内の温度が上昇すると自然吸引量が増加し、バーナー53近傍のガスの流れの乱れが大きくなるため、より燃焼振動が発生しやすくなる。
【0011】
一旦、燃焼振動が発生すると、共鳴、増幅等により振動が激しくなり、操業を継続することができなくなる場合があり、最悪の場合は、設備を破損する虞れもある。
【0012】
なお、低発熱量の被処理ガス、あるいはガス組成や供給量が変化するような被処理ガスを処理する場合、助燃ガスをその被処理ガスに混合することにより、火炎を安定させることができる。
【0013】
しかしながら、常時、助燃ガスを使用すると燃焼筒内の温度が上昇し過ぎて設備が危険な状態になり、さらに、無駄な燃料を消費してしまうことになり環境上問題がある。
【0014】
本発明は以上のような従来のグランドフレアーにおける課題を考慮してなされたものであり、燃焼振動を防止して被処理ガスを安定的に燃焼させることができるグランドフレアーおよびその燃焼制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、燃焼筒に供給する被処理ガス流量に基づいて燃焼用空気を分割供給する第一の発明と、燃焼筒内の温度に基づいて燃焼用空気を分割供給する第二の発明がある。
【0016】
1 第一の発明
第一の発明に係るグランドフレアーは、燃焼筒の下部に被処理ガスを導入する被処理ガス導入路と燃焼器を有し、上記燃焼筒の底部から燃焼用空気を供給し、上記被処理ガスを燃焼処理するグランドフレアーにおいて、
上記燃焼器の下方に燃焼用空気を供給する第一空気供給路と、
上記燃焼器の上方に燃焼用空気を供給する第二空気供給路と、
上記被処理ガスを燃焼させるために必要な空気量を計算する空気量計算手段と、
上記空気量計算手段によって計算された空気量に基づき、上記第一空気供給路および上記第二空気供給路から燃焼用空気を分割供給する空気供給量制御手段とを備えてなることを要旨とする。
【0017】
上記グランドフレアーにおいて、上記第一および第二空気供給路として、上記燃焼筒内に連通するダクトと、このダクトに上記燃焼用空気を送り込むブロアーと、上記ダクト内の空気供給量を測定しその測定データを上記空気供給量制御手段に与える流量計と、上記ダクト内に設けられ上記空気供給量制御手段によって開度が調整されるダンパーとを備えることができる。
【0018】
また、上記被処理ガス導入路に、バルブを介して助燃ガス供給路を接続することができる。
【0019】
また、上記第二空気供給路は、上記燃焼器の火炎上端に向けて上記燃焼用空気を供給するように構成することが好ましい。
【0020】
第一の発明に係るグランドフレアーの燃焼制御方法は、燃焼筒の下部に被処理ガスを導入し、燃焼器によって燃焼させ、上記燃焼筒の底部から燃焼用空気を供給するグランドフレアーの燃焼方法において、
上記被処理ガスを燃焼させるために必要な空気量を空気量計算手段によって計算し、
上記空気量計算手段によって計算された空気量に基づいて、上記燃焼器の下方に設けられ燃焼用空気を供給する第一空気供給路と、上記燃焼器の上方に設けられ燃焼用空気を供給する第二空気供給路からそれぞれ燃焼用空気を分割して供給することを要旨とする。
【0021】
2 第二の発明
第二の発明に係るグランドフレアーは、燃焼筒の下部に被処理ガスを導入する被処理ガス導入路と燃焼器を有し、上記燃焼筒の底部から燃焼用空気を供給し、上記被処理ガスを燃焼処理するグランドフレアーにおいて、
上記燃焼器の下方に燃焼用空気を供給する第一空気供給路と、
上記燃焼器の上方に燃焼用空気を供給する第二空気供給路と、
上記燃焼筒の燃焼部の温度を測定する第一温度計と、
上記燃焼筒の出口部の温度を測定する第二温度計と、
上記第一温度計によって測定された温度に基づいて上記第一空気供給路を流れる空気量を制御するとともに、上記第二温度計によって測定された温度に基づいて上記第二空気供給路を流れる空気量を制御する空気供給量個別制御手段とを備えてなることを要旨とする。
【0022】
第二の発明に係るグランドフレアーの燃焼制御方法は、燃焼筒の下部に被処理ガスを導入し、燃焼器によって燃焼させ、上記燃焼筒の底部から燃焼用空気を供給するグランドフレアーの燃焼方法において、
上記燃焼筒の燃焼部の温度を第一温度計により、出口部の温度を第二温度計によりそれぞれ測定し、
上記第一温度計によって測定された温度に基づいて上記第一空気供給路を流れる空気量を制御するとともに、上記第二温度計によって測定された温度に基づいて上記第二空気供給路を流れる空気量を制御することを要旨とする。
【0023】
なお、本発明における被処理ガスとは、例えば製鉄設備、溶解炉等から排出される燃焼ガスや不活性ガスを含む低発熱量からなるガスが示される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、低発熱量の被処理ガスを供給しても燃焼振動を起こさず安定的に燃焼させることができるため、大気汚染を防止することができるなど、環境保全が図れるという長所を有する。また、設備を破損する虞れがなく、グランドフレアーの長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0026】
1 第一の発明
1.1 グランドフレアーの構成
図1は、本発明に係る第一の燃焼制御方法が適用されるグランドフレアーおよびその周辺設備の構成を示したものである。
【0027】
同図において、グランドフレアー1は、垂直に配置された円筒状の燃焼筒2を有し、この燃焼筒2は、コンクリート製の台座3上に設置されている。
【0028】
燃焼筒2内の下部には、被処理ガス導入管(被処理ガス導入路)4が設けられており、この被処理ガス導入管4は、燃焼器としてのバーナー5に接続されている。
【0029】
上記被処理ガス導入管4には、未燃ガスを含む被処理ガスがブロアー6によって加圧された状態で供給されるようになっており、上記ブロアー6は、水封槽8上流側の配管13に接続されている。すなわち、燃焼処理すべき被処理ガスはブロアー6によって水封槽8内に送り込まれ、空気の逆流を防ぐ滞水部8aから気泡となって浮上し、配管7から被処理ガス導入管4に送られるようになっている。
【0030】
被処理ガス導入管4を流れる被処理ガスの流量は流量計9で測定されるようになっている。
【0031】
また、水封槽8にはバルブ10を介して助燃ガス供給管11が接続されており、被処理ガスの発熱量が低すぎる場合には、そのバルブ10を開いて助燃ガスを供給するようになっている。
【0032】
上記バルブ10を介して供給される助燃ガスは、水封槽8内で被処理ガスと混合され、発熱量が高められた被処理ガスとして配管7に送られるようになっている。
【0033】
また、助燃ガスの供給量は、助燃ガス供給管(助燃ガス供給路)11に設けられた流量計12によって測定され、被処理ガスの流量は配管13に設けられた流量計14によって測定されるようになっている。
【0034】
このようにして被処理ガス、または助燃ガスを混合することによって発熱量の高められた被処理ガスは、被処理ガス導入管4を通じて上記バーナー5に導入される。
【0035】
一方、燃焼筒2の下段(底部)には第一ダクト(第一空気供給路)15が接続され、この第一ダクト15には第一ブロアー16が接続されている。また、第一ダクト15内には燃焼筒2内に供給する空気量を調節するための第一ダンパー15aが設けられている。なお、図中、符号17は第一ダクト15に設けられた第一流量計であり、燃焼筒2内に供給される空気量を測定するようになっている。
【0036】
燃焼筒2の中段には、第二ダクト(第二空気供給路)18と第二ブロアー19が接続されており、バーナー5から発生する火炎Aの上端部分Bに向けて空気を供給するようになっている。また、上記第二ダクト18内には、供給する空気量を調節するための第二ダンパー18aが設けられている。また、空気量を測定する第二流量計20が第二ダクト18に設けられている。
【0037】
燃焼筒2の上段には、第三ダクト21と第三ブロアー22が接続されており、燃焼筒2の出口側内部に向けて空気を供給するようになっている。また、上記第三ダクト21内には、供給する空気量を調節するための第三ダンパー21aが設けられている。また、その空気量を測定する第三流量計23が第三ダクト21に設けられている。
【0038】
このように、本実施形態では燃焼筒2内の下段と中段の二カ所から空気を供給して燃焼を行ない、必要に応じて上段からも空気を供給するようになっている。具体的には下段、中断、上段目の空気配分を例えば5:4:1とすることでバーナー5近傍のガスの流れを安定させ、燃焼振動を防止するように構成されている。
【0039】
また、燃焼筒2には、その燃焼筒2内の燃焼温度が耐火温度を超えないように監視するための第一温度計24が設けられている。
【0040】
また、上記配管13には酸素濃度計25が設けられ、燃焼筒2の上部出口部には排ガス量を計測するための出口流量計26が設けられている。
【0041】
上記各流量計9,12,14,17,20,23および26によって測定される流量、上記第一温度計24によって測定される温度、および酸素濃度計25によって測定される酸素濃度は、それぞれ制御器27(図2参照)に与えられる。
【0042】
この制御器27は予めプログラムされた手順にしたがって、後述する燃焼制御動作を実行するようになっており、被処理ガスを燃焼させるために必要な空気量を計算する空気量計算手段、および計算された空気量に基づいて、上記第一ダクト15および上記第二ダクト18から燃焼用空気を分割供給する空気供給量制御手段として機能するようになっている。
【0043】
また、バルブ10の開閉、および必要に応じて第三ダクト21からの燃焼用空気量も制御するようになっている。
【0044】
上記被処理ガス導入管4を通じて被処理ガスが燃焼筒2内に導入されると、パイロットバーナー5aによってバーナー5に着火され、その結果、燃焼筒2内にドラフト効果が生じ、第一ダクト15から供給される空気が燃焼筒2内に吸引される。
【0045】
被処理ガスの負荷が上昇してドラフトが強くなると、さらに大量の空気が第一ダクト15から吸引され、バーナー5付近の流れが乱されて燃焼振動が発生しやすくなる。
【0046】
そこで、本実施形態では、第二ダクト18からも空気を吸引することにより、バーナー5付近でのガスの流れが乱れないようにしている。
【0047】
1.2 第一の発明の燃焼制御方法
以下、燃焼制御方法について図2〜図4を参照しながら説明する。
【0048】
まず、図2はグランドフレアーの模式図であり、以下の燃焼制御の説明で使用する記号を図中に示している。また、リストにすると以下の通りである。
AI-100:被処理ガスの流量
FI-200:助燃ガスの流量
FI-101:第一ダクト15からの空気量
FI-102:第二ダクト18からの空気量
FI-103:第三ダクト21からの空気量
TI-101:燃焼温度
AI-O2 :酸素濃度
【0049】
図3は、制御器27による制御動作を示したフローチャートである。
【0050】
同図において、グランドフレアー1を運転するにあたっては、第一ダンパー15aと第二ダンパー18aがそれぞれ全開に設定(初期設定)されているものとする。
【0051】
また、流量計14によって被処理ガスの流量が測定され、流量計12によって助燃ガスの流量が測定される(ステップS1)。
【0052】
次いで、下記式(1)により被処理ガスを完全燃焼させるのに必要な空気量Aを求める(ステップS2)。
空気量A=a・(AI-100)+a′・(FI-200)……(1)
ただし、a,a′は理論燃焼空気量[m3N/ kg−燃料]
【0053】
次いで、第一流量計17によって第一ダクト15から導入される空気量を測定し、測定された空気量FI-101を上記空気量Aで除算することにより、被処理ガスを燃焼させるのに必要な空気量を、空気比に換算する。
【0054】
次いで、求められた空気比FI-101/Aが、下記(2)式を満足するかどうかについて判断する(ステップS3)。
1.0<FI-101/A<1.5……(2)
【0055】
なお、燃焼筒の下部に設けられた一つのダクトから空気を供給する従来のグランドフレアーでは、空気比は、通常、2程度に設定されるのが一般的である。これに対し、本実施形態では、まず、第一ダクト15からは1.0〜1.5の範囲で空気を供給する。
【0056】
ステップS3の判断結果がNOであれば、第一ダンパー15aの開度を調整し(ステップS4)、ステップS1に戻る。
【0057】
具体的には、第一ダクト15から燃焼筒2に対し、設定範囲以上に空気が供給されている場合には、第一ダンパー15aを絞り、空気が設定範囲に満たない場合には第一ダンパー15aを開くように制御する。
【0058】
第一ダンパー15aの調整によってステップS3における判断の結果がYESになると、第一ダンパー15の開度を現状のまま保持する(ステップS5)。
【0059】
次いで、第二ダクト18から導入される空気量を測定し、測定された空気量FI-102が、下記式(3)を満足するかどうかを判断する(ステップS6)。
0<FI-102/A<1.0……(3)
判断結果がNOであれば、第二ダンパー18aを開動作させ、ステップS1に戻る。
【0060】
すなわち、第一ダクト15から導入されている空気量が不足していれば、その不足分に見合った量の空気を第二ダクト18から導入する。
【0061】
なお、ステップS6における判断結果がYESであれば、第二ダンパー18aを閉動作させ(ステップS8)、ステップS1に戻る。
【0062】
このように、本発明に係る第一の発明の燃焼制御方法では、空気量Aに基づいて第一ダクト15から導入する空気量を決定し、第一ダクト15から導入した空気量に応じて第二ダクト18からの空気量を決定し、二つのダクト15,18から燃焼用の空気を分割供給するようになっている。
【0063】
図4は、被処理ガスを適正濃度で燃焼させるための制御を示したフローチャートである。
【0064】
まず、酸素濃度計25によって配管13を流れる被処理ガスの酸素濃度AI-O2を計測する(ステップS10)。
【0065】
次いで、爆発防止のためAI-O2が、酸素濃度4%以下であるかどうかを判断する(ステップS11)。
【0066】
ステップS11において、YESであれば、さらに、
目標被処理ガス燃焼温度T−燃焼温度TI-101≧30℃
であるかどうかを判断する(ステップS12)。
【0067】
ここで判断結果がYESであれば、燃焼温度が高くなり過ぎないようにバルブ10を開動作させる(ステップS13)。
【0068】
一方、判断結果がNOであれば、さらに、
燃焼温度TI-101−目標排ガス燃焼温度T≧50℃
であるかどうかを判断する(ステップS14)。
【0069】
ステップS14における判断結果がYES、すなわち、正常な燃焼が行なわれている場合は、バルブ10を閉動作させ(ステップS15)、また、判断結果がNO、すなわち燃焼が不完全の場合は、バルブ10の開度を現状に保持し、助燃ガスを継続して供給する(ステップS16)。
【0070】
このようにして燃焼筒2での適正燃焼が確保される。
【0071】
2 本発明に係る第二の発明
次に、第二の発明に係る燃焼制御方法について図5〜図7を参照しながら説明する。なお、図5は第二の発明に係る燃焼制御方法が適用されるグランドフレアーの構成を示したものであり、同図において図1と同じ構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0072】
2.1 グランドフレアーの構成
燃焼筒2の上部には排ガス出口温度を測定するための第二温度計30が設けられ、第一温度計24および第二温度計30によって測定された温度は、第二の制御器31に入力され、この第二の制御器31から出力される制御信号によって第一ダンパー15aおよび第二ダンパー18aの開閉動作が制御されるようになっている。
【0073】
上記第二の制御器31は、第一温度計24によって測定された温度に基づいて第一ダクト15を流れる空気量を制御するとともに、第二温度計30によって測定された温度に基づいて第二ダクト18を流れる空気量を制御する空気供給量個別制御手段として機能するようになっている。
【0074】
2.2 第二の発明の燃焼制御方法
図6および図7は上記第二の制御器31による制御動作を示したフローチャートである。
【0075】
まず、図6において、第一温度計24によって測定された温度をθ1、燃焼部での目標温度をT1とするとき、
θ1>T1であるかどうかを判断する(ステップS30)。
【0076】
この判断結果がNOであれば、第一ダンパー15aの開度を下げて燃焼温度が上昇するように制御する(ステップS31)。
【0077】
判断結果がYESの場合、引き続き、θ1が燃焼部の上限温度T1maxを超えたかどうかを判断する(ステップS32)。
【0078】
T1maxを超えていれば、第一ダンパー15aの開度を上げて燃焼温度を抑制する(ステップS33)。
【0079】
ステップS32において、NOであれば、ステップS30に戻る。
【0080】
次に、図7において、第二温度計30によって測定された温度をθ2、燃焼筒出口部での目標温度をT2とするとき、
θ2>T2であるかどうかを判断する(ステップS34)。
【0081】
この判断結果がNOであれば、第二ダンパー18aの開度を下げて燃焼温度が上昇するように制御する(ステップS35)。
【0082】
判断結果がYESの場合、引き続き、θ2が燃焼筒出口部での上限温度T2maxを超えたかどうかを判断する(ステップS36)。
【0083】
T2maxを超えていれば、第二ダンパー18aの開度を上げて燃焼温度を抑制する(ステップS37)。
【0084】
ステップS36において、NOであれば、ステップS34に戻る。
【0085】
このように、本発明の燃焼制御方法は、燃焼筒2の各部の設けられた温度計からの出力に基づいて制御することもできる。
【0086】
また、上記図6および図7に示した各制御は、それぞれ独立して実行されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る第一の発明のグランドフレアーの構成図である。
【図2】燃焼制御の説明に使用する記号を示したグランドフレアーの模式図である。
【図3】第一の発明の燃焼制御動作を示すフローチャートである。
【図4】第一の燃焼制御動作において、適正燃焼を実行するため制御内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る第二の発明のグランドフレアーの模式図である。
【図6】第二の発明の燃焼制御動作を示すフローチャートである。
【図7】第二の発明の燃焼制御動作を示すフローチャートである。
【図8】従来のグランドフレアーの燃焼方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0088】
1 グランドフレアー
2 燃焼筒
3 台座
4 被処理ガス導入管(被処理ガス導入路)
5 バーナー(燃焼器)
6 ブロアー
7 配管
8 水封槽
9 流量計
10 バルブ
11 助燃ガス供給管(助燃ガス供給路)
12 流量計
13 配管
14 流量計
15 第一ダクト(第一空気供給路)
15a 第一ダンパー
16 第一ブロアー
17 第一流量計
18 第二ダクト(第二空気供給路)
18a 第二ダンパー
19 第二ブロアー
20 第二流量計
21 第三ダクト
21a 第三ダンパー
22 第三ブロアー
23 第三流量計
24 第一温度計
25 酸素濃度計
26 出口流量計
27 制御器
30 第二温度計
31 第二の制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼筒の下部に被処理ガスを導入する被処理ガス導入路と燃焼器を有し、上記燃焼筒の底部から燃焼用空気を供給し、上記被処理ガスを燃焼処理するグランドフレアーにおいて、
上記燃焼器の下方に燃焼用空気を供給する第一空気供給路と、
上記燃焼器の上方に燃焼用空気を供給する第二空気供給路と、
上記被処理ガスを燃焼させるために必要な空気量を計算する空気量計算手段と、
上記空気量計算手段によって計算された空気量に基づき、上記第一空気供給路および上記第二空気供給路から燃焼用空気を分割供給する空気供給量制御手段とを備えてなることを特徴とするグランドフレアー。
【請求項2】
上記第一および第二空気供給路として、上記燃焼筒内に連通するダクトと、このダクトに上記燃焼用空気を送り込むブロアーと、上記ダクト内の空気供給量を測定しその測定データを上記空気供給量制御手段に与える流量計と、上記ダクト内に設けられ上記空気供給量制御手段によって開度が調整されるダンパーとを備えてなる請求項1記載のグランドフレアー。
【請求項3】
上記被処理ガス導入路に、助燃ガス供給路がバルブを介して接続されている請求項1または2記載のグランドフレアー。
【請求項4】
上記第二空気供給路は、上記燃焼器の火炎上端に向けて上記燃焼用空気を供給するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のグランドフレアー。
【請求項5】
燃焼筒の下部に被処理ガスを導入し、燃焼器によって燃焼させ、上記燃焼筒の底部から燃焼用空気を供給するグランドフレアーの燃焼方法において、
上記被処理ガスを燃焼させるために必要な空気量を空気量計算手段によって計算し、
上記空気量計算手段によって計算された空気量に基づいて、上記燃焼器の下方に設けられ燃焼用空気を供給する第一空気供給路と、上記燃焼器の上方に設けられ燃焼用空気を供給する第二空気供給路からそれぞれ燃焼用空気を分割して供給することを特徴とするグランドフレアーの燃焼制御方法。
【請求項6】
燃焼筒の下部に被処理ガスを導入する被処理ガス導入路と燃焼器を有し、上記燃焼筒の底部から燃焼用空気を供給し、上記被処理ガスを燃焼処理するグランドフレアーにおいて、
上記燃焼器の下方に燃焼用空気を供給する第一空気供給路と、
上記燃焼器の上方に燃焼用空気を供給する第二空気供給路と、
上記燃焼筒の燃焼部の温度を測定する第一温度計と、
上記燃焼筒の出口部の温度を測定する第二温度計と、
上記第一温度計によって測定された温度に基づいて上記第一空気供給路を流れる空気量を制御するとともに、上記第二温度計によって測定された温度に基づいて上記第二空気供給路を流れる空気量を制御する空気供給量個別制御手段とを備えてなることを特徴とするグランドフレアー。
【請求項7】
燃焼筒の下部に被処理ガスを導入し、燃焼器によって燃焼させ、上記燃焼筒の底部から燃焼用空気を供給するグランドフレアーの燃焼方法において、
上記燃焼筒の燃焼部の温度を第一温度計により、出口部の温度を第二温度計によりそれぞれ測定し、
上記第一温度計によって測定された温度に基づいて上記第一空気供給路を流れる空気量を制御するとともに、上記第二温度計によって測定された温度に基づいて上記第二空気供給路を流れる空気量を制御することを特徴とするグランドフレアーの燃焼制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−174741(P2009−174741A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11869(P2008−11869)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】