説明

グリコペプチドの調製法

連結反応方法に補助された糖類を使用するグリコペプチドの合成方法であって、チオエステルの形態のN末端ペプチド部分が、チオール基を含む炭水化物部分を有する、C末端ペプチド部分とカップリングする方法を提供する。本発明の実施形態は、C末端カルボキシルチオエステルを含むペプチドと、側鎖グリコシルがチオール基を含有する遊離N末端アミノ基を持つ側鎖グリコシルペプチドとの間にペプチド結合を形成する方法であって、水性媒体中で2種類の試薬を接触させ、チオエステル交換反応の工程によって形成されたチオエステルから、アシル基の分子内SからNへのシフトを介してカップリングされた生成物を形成することを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の基金に関する声明
本発明は、アメリカ合衆国のNational Institute of Healthによって授与されたグラント番号GM44154の下で、政府の支援によってなされた。米国合衆国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
先に出願された特許出願に対する優先権主張
本願は、2006年3月22日に出願された米国仮特許出願第60/743,666号の、米国特許法第119(e)条の下での利益を請求する。米国仮特許出願第60/743,666号は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0003】
発明の分野
本発明は、ペプチドチオエステルと糖部分にチオール基を有するグリコペプチドとのカップリングによるペプチド結合の形成によって、ペプチド類およびグリコペプチド類を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ペプチド類およびタンパク質の化学的合成は、広く研究されている分野であり、逐次カップリング反応を使用してそのような化合物を合成する方法、特にポリマーなどの固相への固定に関与する方法が開発されている。しかし、逐次合成方法は、より大きなペプチド類およびタンパク質の製造にはあまり適さない。このため、より小さなペプチド類を制御されたやり方で結合して大分子を製造するセグメントカップリング法が開発されてきている。
【0005】
D.S.Kempおよび共同研究者たちは、大ペプチドを製造する「チオール捕獲」法を開発した((a)Kemp,D.S.Biopolymers1981,20,1793−1804.(b)Kemp D.S.;Carey,R.I.J.Org.Chem.1993,58,2216−2222)。これにより、追加のセグメントのカップリング法が導かれた。これらの中で、ネイティブケミカルライゲーション法は、タンパク質の化学的合成の有用なツールの代表である(Dawson,P.E.;Muir,T.W.;Clark−Lewis,L;Kent,S.B.H.Science1994,266,116−119)。このアプローチでは、N末端システイン残基が、ペプチドのシステインチオエステルとして、ペプチドチオエステルの捕獲に必要であり、これは次いで、自発的な分子内SからNアシルへの転移により、連結反応部でアミド(ペプチド)結合を形成する。
【0006】
連結反応部位でシステイン残基を必要とすることから生じる制限を克服するために、異なる方法が適用され、ペプチド結合技術のレパートリーが広がっている((a)非特許文献1、(b)非特許文献2、(c)非特許文献3、(d)非特許文献4)。除去可能なチオール系補助物質の使用は、システインのチオール側鎖と同じ機能を実現する魅力的なアプローチである。1−フェニル−2−メルカプトエチルおよび2−メルカプトベンジル基などの、システインの機能に類似した機能を発揮しうるNα−結合補助物質を持つペプチド類が研究され、大ペプチド類の合成に成功裏に適用されている((a)非特許文献5、(c)非特許文献6、(d)非特許文献7、(e)非特許文献8、(f)非特許文献9)。
【0007】
簡単に入手しうる材料からのグリコペプチド類の合成は、構造的および機能的研究のための高分子量のペプチド類およびグリコペプチド類の製造の有利なアプローチの代表である。したがって、より大きなペプチド類およびタンパク質、グリコペプチド類および他のペプチド誘導体の改善された製造方法が依然として必要とされている。
【非特許文献1】Beligere,G.S.;Dawson,P.E.J.Am.Chem.Soc.1999,121,6332−6333
【非特許文献2】Yan,L.Z.;Dawson,P.E.J.Am.Chem.Soc.2001,123,526−533
【非特許文献3】Saxon,E.;Armstrong,J.L;Bertozzi,C.R.Org.Lett.2000,2,2141−2143
【非特許文献4】Nilsson,B.L.;Kiessling,L.L.;Raines,R.T.Org.Lett.2000,2,1939−1941
【非特許文献5】Canne,L.E.;Bark,S.J.;Kent,S.B.H.J.Am.Chem.Soc.1996,118,5891−5896
【非特許文献6】Low,D.W.;Hill,M.G.;Carrasco,M.R.;Kent,S.B.H.;Botti,P.Proc.Natl.Acad.ScL U.S.A.2001,98,6554−6559
【非特許文献7】Offer,J.;Boddy,C;Dawson,P.E.J.Am.Chem.Soc.2002,124,4642−4646
【非特許文献8】Macmillan,D.;Anderson,D.W.Org.Lett.2004,6,4659−4662
【非特許文献9】Lu,Y.−A.;Tarn,J.P.Org.Lett.2005,7,5003−5006
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、C末端カルボキシルチオエステルを含むペプチドと、側鎖グリコシルがチオール基を含有する遊離N末端アミノ基を持つ側鎖グリコシルペプチドとの間にペプチド結合を形成する方法であって、水性媒体中で2種類の試薬を接触させ、チオエステル交換反応の工程によって形成されたチオエステルから、アシル基の分子内SからNへのシフトを介してカップリングされた生成物を形成することを含む方法に関する。
【0009】
本発明の実施形態は、式(I):
【0010】
【化4】

(式中、
mは、0〜約10であり;
nは、1〜約4であり;
およびRは、それぞれ独立して各部位で、Hまたはアルキルであり、またはRとRとが一緒になって、オキソ(=O)であり;
pは、1、2または3であり;
Xは、OまたはCHRであり;
各Rは、独立して各部位で、水素、(C−C)アルキル、ヒドロキシまたはヒドロキシ(C−C)アルキルであり、任意のヒドロキシまたはヒドロキシアルキルは、単糖類、二糖類、オリゴ糖またはヒドロキシ保護基でO置換されていてよく;ただし、1個のRは、−OC(=O)(CH(R))SHまたは−NHC(=O)(CH(R))SH(式中、Rは、独立して各部位で、水素または(C−C)アルキル((C−C)アルキルの任意の炭素原子は、Jで置換されていてよい)であり、sは1〜約6である)を含み;
Yは、C(R)、O、NHまたはSであり;
およびRは、それぞれ独立して、H、アルキルまたはJであり;
XおよびYを有する炭素原子は、RまたはS配置であり;
各NRは、独立して、NHまたはN(C−C)アルキルであり、またはNRは、NRを有する炭素原子に結合するRまたはRと一緒になって、4〜7員環を形成することができ、または、
各R、Rc’、RおよびRe’は、独立して各部位で、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリル、あるいはブロックされていないまたは保護基でブロックされている可能性のある天然アミノ酸の側鎖であり;あるいはRおよびRc’またはRおよびRe’、あるいは両方が、これらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成し;任意のアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、0〜3個のJで置換され;
Jは、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、シクロアルキル、カルボキシ;アセタミド、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、トリフルオロメトキシ、スルファモイル、カルバモイル、スルホンアミド、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニルであり;
およびRは、それぞれ独立して、ペプチド残基またはグリコペプチド残基である)の化合物、およびその任意の立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、塩類を製造する方法であって、
式(II):
【0011】
【化5】

の化合物を、式(III):
【0012】
【化6】

(式中、Rは、アルキル、アリール、アラルキル、カルボキシアルキルまたはカルボサアミドアルキルである)の化合物と接触させ、式(I)の化合物を得ることを含む方法に関する。
【0013】
本発明の方法は、より大きなペプチド類、タンパク質およびそれらの誘導体の製造に大きな利点を提供する。化学的技術を使用しても、または生物学的技術を使用しても、製造することが困難な可能性のある大ペプチド類およびタンパク質は、医薬における治療用途および診断用途に非常に重大なものである。大ペプチド類およびタンパク質の合成のための生物学的技術は、一般的に、必須アミノ酸類に大きく限定され、特定の誘導体は、最終生成物の反応によって得ることが困難である。したがって、非天然アミノ酸類を含む、または側鎖に結合する非アミノ酸基を有するなどの大ペプチド類およびタンパク質の製造を可能にする化学的アプローチに汎用性を持たせることは、有利なことである。しかし、固相技術を使用する化学的合成は、まだ、非天然アミノ酸類および他の誘導体を含有しうる、より小さなペプチド類に大きく制限される。したがって、これらのより小さなペプチド類からより大きなペプチド類をアセンブリする効率的な技術が必要である。本発明は、効率的なセグメント連結反応アプローチによって、高収率および良好な純度で、より小さなペプチド類からより大きなものへのアセンブリを可能にする技術を提供する。さらに、ポリペプチド類の化学的合成で典型的に使用されるのは過酷な脱保護条件なので、適切な折りたたみおよび配座の達成において最終生成物を補助することができる、アミノ酸側鎖に保護基を有することを必要とせず、ペプチド類の使用を大いに可能にする本発明の方法は、最終生成物を変性する働きをすることができる。
【0014】
本発明の方法は、連結反応部位でシステイン残基を必要としない、グリコペプチド類および糖タンパク質の合成において使用され、本発明の化学的合成方法の殆どはこれに頼る。これは、水溶液中で2種の保護されていないペプチド類の選択的連結反応を可能にし、より大きなグリコペプチドを与える。さらに、骨格をさらに複雑なグリコペプチド構造とし、その糖部分をさらに酵素方法により合成し、より複雑な糖タンパク質のグリコペプチドとすることもできる。
【0015】
あるいは、変性糖部分を化学的方法または生物学的手段により除去し、脱グリコシル化されたペプチド類およびタンパク質を提供することもできる。
【0016】
生成物のチオール基は除去され、グリコシルペプチドまたはアセタミドグリコシルペプチドを提供することができる。したがって、本発明の実施形態は、本発明の方法であって、さらに、式(I)(式中、Wは、OまたはNHである)の化合物を、触媒の存在下水素源と接触させることによって、式(I)の化合物を脱硫することを含む方法に関する。チオール基は還元除去され、アセタミドグリコシルペプチドを得る。
【0017】
本発明の他の実施形態は、本発明の方法であって、さらに、式(I)(式中、WはOである)の化合物を、ヒドラジンまたはアルカリ溶液と接触させることによって、該化合物を脱硫することを含む方法に関する。チオアセチルエステル基は、アルカリ条件によって切断され、先にチオアセテートを有している位置で、保護されていないヒドロキシル基を得、グリコシルペプチドを得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
定義
本発明のある請求項ならびに構造および式を伴って示される実施例について詳細に述べる。本発明を、列挙された請求項に関連して説明するが、本発明は、これらの請求項に限定されないことは理解すべきである。対して、本発明は、請求項によって定義された本発明の範囲内に含有されうる、全ての代替、修飾および等価物を包含するものである。
【0019】
明細書中の「一実施形態」、「実施形態」、「好ましい実施形態」などについては、記載された実施形態が、ある特定の機能、構造、または特徴を有しうることを示すが、全ての実施形態において、その特定の機能、構造、または特徴を有する必要はない。さらに、該語句は、同じ実施形態に関する必要はない。また、ある特定の機能、構造または特徴が、実施形態に関連して記載されている場合、明記されている、いないに関係なく、他の実施形態に関連して、そのような機能、構造または特徴に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内であることは甘受される。
【0020】
用語「アミノ酸」は、リボソームアミノ酸類(たとえば、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrおよびVal)を含む。ただし、これらはそれぞれ、DまたはL型であってよく、および非リボソームアミノ酸類以外の天然アミノ酸(たとえば、ホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、ガンマ−カルボキシグルタメート;馬尿酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、スタチン、1,2,3,4,−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、シトルリン、α−メチル−アラニン、パラ−ベンゾイルフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシンおよびtert−ブチルグリシン)であってよい。さらに、該用語は、自然界では見られないα−アミノ酸、たとえば、フルオロ置換アミノ酸類およびアミノ基がカルボキシル基に関してα関係でないアミノ酸類、たとえば、β−、γ−およびδ−アミノ酸類も包含する。
【0021】
また、用語「アミノ酸」は、常套のアミノ保護基(たとえば、アセチルまたはベンジルオキシカルボニル)を有する天然および非天然アミノ酸類、およびカルボキシ末端で保護された天然および非天然アミノ酸類(たとえば、(C−C)アルキル、フェニルまたはベンジルエステルまたはアミドとして;またはα−メチルベンジルアミドとして)、およびカルボキシル、カルボキサミド、アミノ、グアニド、チオ、ヒドロキシルおよび保護基を有する他の基などの側鎖を持つアミノ酸類も含む。これらのタイプの全ての追加の適切な保護基は、当業者に公知である(たとえば、Greene,T.W.;Wutz,P.G.M.Proteting Groups In Organic Synthesis,第二編,John Wiley & Sons,Inc.,New York(1991)、およびこれらに列挙された参考例を参照)。
【0022】
本明細書で使用される用語「アミノ酸側鎖」は、アミノ酸のカルボン酸(COOH)基以外のアミノ酸の炭素原子に結合する1価のラジカルを言う。本発明の特定の実施形態では、用語「アミノ酸側鎖」は、リボソームα−アミノ酸の以下の構造に例示されるように、基Rを言うことができる。
【0023】
【化7】

(式中、Rはメチル(Ala);Rは3−グアニドプロピル(Arg);Rはカルボキサミドメチル(Asn);Rはカルボキシメチル(Asp);Rはチオールメチル(Cys);Rはカルボキシエチル(Glu);Rはカルボキサミドエチル(Gln);Rは水素(Gly);Rは(4−イミダゾリル)メチル(His);Rはイソブチル(Ile);Rはsec−ブチル(Leu);Rは4−アミノブチル(Lys);Rは2−(メチルチオ)エチル(Met);Rはベンジル(Phe);Rはヒドロキシメチル(Ser);Rは1−ヒドロキシエチル(Thr);Rは3−インドリルメチル(Trp);Rはp−ヒドロキシベンジル(Tyr);およびRはイソプロピル(Val)である)。追加の炭素原子が、アミノ酸のカルボキシル基とアミノ基との間に存在してもよく、R基は、それらの任意の炭素原子上の残基であってもよいことは理解される。α−アミノ酸において、構造は先に示したが、「アミノ酸側鎖」は、β−、γ−またはδ−アミノ酸のカルボキシル炭素以外の炭素原子上に配置されていてよい。
【0024】
用語「ペプチド」は、アミノ酸類がアミド(ペプチド)結合によって順次結合した2個以上のアミノ酸類の配列(たとえば、先に記載したように)を言う。配列は、直線でも環状でもよい。配列が環状の場合、ペプチドは、さらに、アミノ酸に結合する他の結合タイプ、たとえば、エステル結合(デプシペプチド)またはジスルフィド結合を含んでよい。たとえば、環状ペプチドは、ある配列中の2個のシステイン残基の間にジスルフィド架橋を形成することによって製造することができ、またはその結果得られるものであってよい。本明細書で具体的に挙げるペプチド配列は、左側がアミノまたはN−末端、右側がカルボキシまたはC末端として記載されている。
【0025】
「ペプチド残基」は、アミノ酸類の配列、すなわち、アミド結合によって結合しているアミノ酸類を言い、これは、N末端およびC末端は、必ずしも遊離した形態である必要はなく、さらに、追加のアミノ酸または他のラジカルに結合していてよい。したがって、単一のペプチドは、本明細書で定義する、大きな一組の可能性のあるペプチド残基を含有してよい。
【0026】
本明細書で使用する用語「炭水化物」は、糖類として通常知られている化合物、および糖に化学的に関連のある化合物のクラスを含む。したがって、該用語は、単一の単糖類、二糖類および高分子物質を含む。該用語は、糖類、デンプン類、ガム類、セルロースおよびヘミセルロースを含む化合物群を包含する。さらに、該用語は、糖誘導体、たとえば、2−アミノ−2−デオキシグルコースのようなアミノ糖類、およびそれらのオリゴマーおよびポリマー、硫酸化糖類;およびヒドロキシル、アミノ、および保護基を有する他の基を持つ糖類も包含する。
【0027】
本明細書で定義する炭水化物は、ベータ(β)またはアルファ(α)アノマー立体化学を持つ糖類または糖誘導体を含み;さらに該糖類は、(R)または(S)相対配置を有することができ、(+)または(−)異性体として存在することができ、DまたはL配置で存在することができる。用語「アノマー」または「アノマーの」は、当該分野で周知のように、アセタール、ヘミアセタールまたはケタール炭素原子での立体化学的配置を言う。
【0028】
用語「グリコペプチド」は、炭水化物に共有結合するペプチドを言う。典型的には、炭水化物は、ヒドロキシル、アミノ、アミド、またはカルボキシル基を含むアミノ酸側鎖を介して結合する。炭水化物は、アノマーヒドロキシル基を介して、他のヒドロキシル基を介して、アミノ基を介して、あるいは他の官能基を介して、炭水化物部分に結合してよい。
【0029】
「アルキル」は、第一級、第二級、第三級または環状炭素原子を含有するC〜約C18炭化水素を言う。例示として、メチル(Me,−CH)、エチル(Et,−CHCH)、1−プロピル(n−Pr,n−プロピル,−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr,i−プロピル,−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu,n−ブチル,−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu,i−ブチル,−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu,s−ブチル,−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu,t−ブチル,−C(CH)などがある。アルキルは、先に記載し例示したように、単一ラジカルに結合することができる1価のラジカル、あるいは2個の異なる1価のラジカルまたは単一の2価のラジカルに結合することができる2価のラジカルであってよい。
【0030】
アルキルは、場合によっては、1個以上のアルキル、アルケニル、アルキリデニル、アルケニリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、アセタミド、アセトキシ、アセチル、ベンズアミド、ベンゼンスルフィニル、ベンゼンスルホンアミド、ベンゼンスルホニル、ベンゼンスルホニルアミノ、ベンゾイル、ベンゾイルアミノ、ベンゾイルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルオキシカルボニル、ベンジルチオ、カルバモイル、カルバメート、イソシアナト、スルファモイル、スルフィナモイル、スルフィノ、スルホ、スルホアミノ、チオスルホ、NRおよび/またはCOOR(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキルまたはヒドロキシである)で置換されうる。アルキルは、場合によっては、1個以上の非パーオキシドオキシ(−O−)、チオ(−S−)、イミノ(−N(H)−)、メチレンジオキシ(−OCHO−)、カルボニル(−C(=O)−)、カルボキシ(−C(=O)O−)、カルボニルジオキシ(−OC(=O)O−)、カルボキシレート(−OC(=O)−)、イミン(C=NH)、スルフィニル(SO)またはスルホニル(SO)で分断されうる。さらに、アルキルは、場合によっては、少なくとも部分的に不飽和で、それによってアルケニルを提供することができる。
【0031】
用語「アリール」は、単環(たとえば、フェニル)または複数の縮合環を有する6〜約20個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環基であって、少なくとも1個の環は芳香族(たとえば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニルまたはアントリル)である基を言う。好ましいアリールとして、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。
【0032】
アリールは、場合によっては、1個以上のアルキル、アルケニル、アルキリデニル、アルケニリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、アセタミド、アセトキシ、アセチル、ベンズアミド、ベンゼンスルフィニル、ベンゼンスルホンアミド、ベンゼンスルホニル、ベンゼンスルホニルアミノ、ベンゾイル、ベンゾイルアミノ、ベンゾイルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルオキシカルボニル、ベンジルチオ、カルバモイル、カルバメート、イソシアナト、スルファモイル、スルフィナモイル、スルフィノ、スルホ、スルホアミノ、チオスルホ、NRおよび/またはCOOR(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキルまたはヒドロキシである)で置換されうる。
【0033】
用語「シクロアルキル」は、単一の環または複数の縮合環、たとえば、ビシクロ、トリシクロ、またはそれ以上のポリシクロ部分を有する3〜20個の炭素原子の環状アルキル基を言う。そのようなシクロアルキル基として、たとえば、単環構造、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなど、または複数の環構造、たとえば、アダマンタニル、ピナン類のようなビシクロ構造体などが挙げられる。
【0034】
シクロアルキルは、場合によっては、1個以上のアルキル、アルケニル、アルキリデニル、アルケニリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、アセタミド、アセトキシ、アセチル、ベンズアミド、ベンゼンスルフィニル、ベンゼンスルホンアミド、ベンゼンスルホニル、ベンゼンスルホニルアミノ、ベンゾイル、ベンゾイルアミノ、ベンゾイルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルオキシカルボニル、ベンジルチオ、カルバモイル、カルバメート、イソシアナト、スルファモイル、スルフィナモイル、スルフィノ、スルホ、スルホアミノ、チオスルホ、NRおよび/またはCOOR(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキルまたはヒドロキシである)で置換されうる。
【0035】
シクロアルキルは、場合によっては、少なくとも部分的に不飽和で、それによりシクロアルケニルを提供しうる。
【0036】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、環炭素原子の1個以上が、ヘテロ原子、たとえば、酸素、窒素、リンまたはイオウによって置き換えられたシクロアルキル基を言う。該用語は、2個以上の炭素原子が置き換えられ、各原子が異なるタイプのヘテロ原子で置き換えられた構造も包含する。
【0037】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書では、1、2または3個の芳香族環を含み、芳香族環中に少なくとも1個の窒素、酸素またはイオウ原子を含む単環、二環または三環の環系であって、置換されていなくても置換されていてもよい環系と定義される。ヘテロアリール基の例として、2H−ピロリル、3H−インドリル、4H−キノリジニル、4nH−カルバゾリル、アクリジニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾチアゾリル、β−カルボリニル、カルバゾリル、クロメニル、シンナオリニル(cinnaolinyl)、ジベンゾ[b,d]フラニル、フラザニル、フリル、イミダゾリル、イミジゾリル、インダゾリル、インドリシニル(indolisinyl)、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、ナフト[2,3−b]、オキサゾリル、ペリミジニル、フェナンチリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル(phenarsazinyl)、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリルおよびキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、用語「ヘテロアリール」は、炭素、およびパーオキシドではない酸素、イオウおよびN(Z)(式中、Zは存在しない、あるいはΗ、O、アルキル、フェニルまたはベンジルである)の群から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む5または6個の環原子を含む単環芳香族環を示す。別の実施形態では、ヘテロアリールは、約8〜10個の環原子のオルソ−縮合二環式ヘテロ環、特にベンズ誘導体またはプロピレンまたはテトラメチレンジラジカルをベンズ誘導体に縮合することによって誘導されるものを示す。
【0038】
ヘテロアリールは、場合によっては、1個以上のアルキル、アルケニル、アルキリデニル、アルケニリデニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、イミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シアノ、アセタミド、アセトキシ、アセチル、ベンズアミド、ベンゼンスルフィニル、ベンゼンスルホンアミド、ベンゼンスルホニル、ベンゼンスルホニルアミノ、ベンゾイル、ベンゾイルアミノ、ベンゾイルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルオキシカルボニル、ベンジルチオ、カルバモイル、カルバメート、イソシアナト、スルファモイル、スルフィンアモイル、スルフィノ、スルホ、スルホアミノ、チオスルホ、NRおよび/またはCOOR(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキルまたはヒドロキシである)で置換されうる。
【0039】
本明細書で使用される「ラジカル」は、任意の原子組成の分子構造単位を言う。「1価のラジカル」は、1個の分子に1個の共有結合を形成しうる、1非充填原子価を持つ分子構造単位である。「2価のラジカル」は、2個の分子全体のそれぞれに1個の共有結合を形成しうる、または1個の分子全体に共有二重結合を形成する、2非充填原子価を持つ構造単位である。ラジカルは、1個の原子でもよく、非常に複雑な多原子構造であってよい。
【0040】
用語「アミノ」は、−NHを言い、用語「アルキルアミノ」は、−NR(式中、少なくとも1個のRはアルキルであり、第2のRは、アルキルまたは水素である)を言う。用語「アシルアミノ」は、RC(=O)N(式中、Rは、アルキルまたはアリールである)を言う。
【0041】
用語「カルボキシ」または「カルボキシル」は、1価のラジカル:−COHまたは−COM(式中、Mは、カチオンであり、−CO部分は、負の電荷を帯びる)を言い、どちらの基も、置換基に対する単結合の形成により充填される1個の追加の原子価を持つ。C(=O)ラジカルは、「カルボニル」と言われ、2個の別々の置換基への単結合によって、または1個の置換基に二重結合によって充填される、2原子価を持つ、2価のラジカルである。
【0042】
用語「チオール」または「メルカプト」は、1価のラジカル:−SHを言う。充填されていない1価に関して、1個の置換基に結合しうる。
【0043】
本明細書で使用される用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」は、典型的には炭素原子に結合する1価の−OHラジカルを言うが、該用語は、ヘテロ原子に結合する−OH基も包含する。「ヒドロキシル保護基」は、−OH基の水素原子を置き換え、ある条件下で、該基の反応性をより低く、あるいは反応性をなくすようにしうるような任意の基を言う。たとえば、Greene,T.W.;Wutz,P.G.M.Protecting Groups In Organic Synthesis,第2編,John Wiley & Sons,Inc.,New York(1991)およびその引用文献を参照のこと。したがって、本明細書で使用される「ヒドロキシル保護基」は、アセテート類およびベンゾエート類などのエステル類、炭酸メチルなどの炭酸エステル類、ジメチルアミノカルバメートなどのウレタン類、テトラヒドロピラニルエーテルおよびメトキシメチルエーテルなどのアセタール類、p−トルエンスルホニルエステルなどのスルホネートエステル類、tert−ブチルジフェニルシリルエーテルなどのシリルエーテル類を包含する。
【0044】
本明細書で使用される用語「オキソ」またはオキソ基」は、式:=Oの2価のラジカルであって、1個の酸素原子は、共有二重結合を介して、他の原子と結合するラジカルを言う。オキソ基が炭素原子に結合する場合、該基は、カルボニルラジカルである。
【0045】
本発明による、炭水化物補助グリコペプチド連結反応(「糖補助連結反応(SAL)」)は、ペプチドのアミノ酸側鎖に共有結合し、該ペプチドと、C末端チオエステル基を有する他のペプチドとをカップリングさせるチオール含有炭水化物部分の使用を含む。本明細書で記載するように、アミノ酸残基に共有結合する糖部分は、メルカプトアセテートまたはメルカプトアセタミドなどのチオール含有部分を含有し、これは、ペプチドチオエステル試薬でチオエステルを形成し、内部チオエステルは、次いで、分子内SからNへのアシル移動を起こす。好ましい実施形態では、カップリング反応は、水溶液中で行われ、多くの場合、アミノ酸側鎖保護基を使用することなく行われうる。また、炭水化物ヒドロキシル基は、保護されていない形態で存在してもよい。「ネイティブケミカルライゲーション(NCL)」は、ペプチドチオエステルとN末端アミノ酸がシステインであるペプチドとの間で行うことができ、チオエステル結合は、最初、システインで形成され、次いで分子内SからNへのアシル移動が行われる。
【0046】
炭水化物チオール基の指向効果により得られる高カップリング収率は、本発明の特筆すべき機能である。これは、フラグメント連結反応方法を、既存の技術と関連させて使用する場合、高分子量ペプチド類の製造を簡単にする。
【0047】
明らかに、本発明の数多くの修飾および変形が、前記技術に照らして可能である。したがって、本明細書での具体的な記載によりというより、添付の請求項の範囲内で、本発明を実施することができることが理解されよう。
【0048】
以下に示す特定の範囲、値および実施形態は、説明目的のためだけに記載したものであり、請求項によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。
【0049】
特定の範囲、値および実施形態
本発明の実施形態は、式(I):
【0050】
【化8】

(式中、
mは、0〜約10であり;
nは、1〜約4であり;
およびRは、それぞれ独立して各部位で、Hまたはアルキルであり、またはRとRとが一緒になって、オキソ(=O)であり;
pは、1、2または3であり;
Xは、OまたはCHRであり;
各Rは、独立して各部位で、水素、(C−C)アルキル、ヒドロキシまたはヒドロキシ(C−C)アルキルであり、任意のヒドロキシまたはヒドロキシアルキルは、単糖類、二糖類、オリゴ糖またはヒドロキシ保護基でO置換されていてよく;ただし、1個のRは、−OC(=O)(CH(R))SHまたは−NHC(=O)(CH(R))SH(式中、Rは、独立して各部位で、水素または(C−C)アルキル((C−C)アルキルの任意の炭素原子は、Jで置換されてもよい)であり、sは1〜約6である)を含み;
Yは、C(R)、O、NHまたはSであり;
およびRは、それぞれ独立して、H、アルキルまたはJであり;
XおよびYを有する炭素原子は、RまたはS配置であり;
各NRは、独立して、NHまたはN(C−C)アルキルであり、またはNRは、NRを有する炭素原子に結合するRまたはRと一緒になって、4〜7員環を形成することができ、または、
各R、Rc’、RおよびRe’は、独立して各部位で、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリル、あるいはブロックされていないまたは保護基でブロックされている可能性のある天然アミノ酸の側鎖であり;あるいはRおよびRc’またはRおよびRe’、あるいは両方が、これらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成し;任意のアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、0〜3個のJで置換され;
Jは、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、シクロアルキル、カルボキシ;アセタミド、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、トリフルオロメトキシ、スルファモイル、カルバモイル、スルホンアミド、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニルであり;
およびRは、それぞれ独立して、ペプチド残基またはグリコペプチド残基である)の化合物、およびその任意の立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、塩類を製造する方法であって、
式(II):
【0051】
【化9】

の化合物を、式(III):
【0052】
【化10】

(式中、Rは、アルキル、アリール、アラルキル、カルボキシアルキルまたはカルボキサミドアルキルである)の化合物と接触させ、式(I)の化合物を得ることを含む方法に関する。
【0053】
式(I)の化合物に関しては以下の通りである。
【0054】
mの具体的な値は、1、2、3、4、5または6である。
【0055】
nの具体的な値は、1、2または3である。
【0056】
pの具体的な値は、1または2である。
【0057】
の具体的な値は、H、またはメチルである。
【0058】
の具体的な値は、Hである。
【0059】
各Rの具体的な値は、OHである。
【0060】
Wの具体的な値は、NHまたはOである。
【0061】
Xの具体的な値は、Oである。
【0062】
Yの具体的な値は、Oである。
【0063】
の具体的な値は、アミノ酸側鎖である。Rの別の具体的な値は、H、メチルまたは(4−イミダゾリル)−メチルである。
【0064】
の具体的な値は、アミノ酸側鎖である。別の具体的な値は、Hである。
【0065】
各Rの具体的な値は、Hである。
【0066】
RとRとが一緒になった別の具体的な値は、ピロリジン環である。
【0067】
の具体的な値は、N−アセチル−Leu−Tyr−Arg−Ala(配列番号:1は、非修飾アミノ酸類に相当する)である。
【0068】
の具体的な値は、フェニルアラニンアミドである。別の具体的な値は、P−Y−G−S−NH(配列番号:2は、非修飾アミノ酸類に相当する)である。
【0069】
式(II)の化合物に関しては以下の通りである。
【0070】
mの具体的な値は、1、2、3、4、5または6である。
【0071】
nの具体的な値は、1、2または3である。
【0072】
pの具体的な値は、1または2である。
【0073】
の具体的な値は、Hまたはメチルである。
【0074】
の具体的な値は、Hである。
【0075】
各Rの具体的な値は、OHである。
【0076】
Wの具体的な値は、NHまたはOである。
【0077】
Xの具体的な値の具体的な値は、Oである。
【0078】
Yの具体的な値は、Oである。
【0079】
の具体的な値は、アミノ酸側鎖である。Rの別の具体的な値は、H、メチルまたは(4−イミダゾリル)−メチルである。
【0080】
の具体的な値は、アミノ酸側鎖である。別の具体的な値は、Hである。
【0081】
各Rの具体的な値は、Hである。
【0082】
RとRとが一緒になった別の具体的な値は、ピロリジン環である。
【0083】
の具体的な値は、N−アセチル−Leu−Tyr−Arg−Ala(配列番号;1は、非修飾アミノ酸類に相当する)である。
【0084】
の具体的な値は、フェニルアラニンアミドである。別の具体的な値は、P−Y−G−S−NH(配列番号:2は、非修飾アミノ酸類に相当する)である。
【0085】
式(III)の化合物に関しては、以下の通りである。
【0086】
の具体的な値は、N−アセチル−Leu−Tyr−Arg−Alaである。
【0087】
の具体的な値は、フェニルまたは−CHCHCONHである。
【0088】
詳細な記載
図1を参照すると、本発明の実施形態による合成スキームが示されている。生成物のN末端セグメントを形成する「ペプチド1」と言うペプチドを、アミド(ペプチド)結合形成のためのセグメントを活性化する働きをするC末端カルボキシチオエステルで製造する。ペプチド1は、場合によっては、そのN末端を、たとえば、N−アセチル基で保護してもよく、あるいは遊離アミノ基を有してもよい。そうでなければ、システイン残基が配列中に存在する場合を除いて、側鎖部分をブロックまたは保護する必要はない。リシンの場合のように遊離アミノ基、チロシン、セリンおよびスレオニンの場合のように遊離ヒドロキシル基、アルギニンの場合のように遊離グアニド基、アスパルテートまたはグルタメートの場合のように遊離のカルボキシル基、ならびにアスパラギンおよびグルタミンの場合のように遊離カルボキサミド基を含む側鎖が、カップリング反応の間、保護されていない形態で存在してもよい。しかし、システイン残基は、たとえば、アセタミドメチルまたはtert−ブチル誘導体として、カップリング反応中、ブロックすることができる。
【0089】
本発明の方法において反応体として使用するためのペプチド1チオエステルを製造するために、C末端カルボキシル基を、任意の適切な方法を使用して、チオエステルの形態で得てもよい。C末端チオエステル基は、公知の固相ペプチド合成手法を使用して得るのが好ましく、該手法では、アンカーポリマーを、アセンブルされたペプチドを該ポリマーから最終除去する際、望ましいチオエステルが得られる基で誘導体化する。最終的にチオエステルが得られる基は、ペプチド1の固相合成の前に、前記ポリマーとカップリングさせる。たとえば、3−(トリチルチオ)プロピオネート残基を該ポリマーに結合することによって、β−メルカプトプロピオニル基を、p−メチルベンズホドリルアミン−(MBHA)置換ポリスチレンなどのポリマーにプレロードし、次いで酸を持つS−トリチル基を除去することができる。3−(トリチルチオ)プロピオニル残基がプレロードされたMBHA樹脂は、たとえば、Novabiochem(登録商標)カタログ番号01−64−0449として、市販されている。次いで、ペプチドの残りを合成し、その後、側鎖の脱ブロックおよび所望の場合α−アミノ基の脱ブロックとなる条件で、該樹脂から切断し、β−メルカプトプロピオンアミドチオエステルとして、C末端カルボキシル基を持つペプチド1を得る。
【0090】
図1において、「ペプチド2」として示されているペプチドセグメントは、カップリングされたグリコペプチドのC末端部分を形成する。ペプチド2は、炭水化物部分を共有結合する側鎖を有するアミノ酸を含む。ペプチド2は、本発明の方法によって、ペプチド1のカルボキシルチオエステルとカップリングするα−アミノ基を含む。好ましい実施形態では、炭水化物部分は、ペプチド2に共有結合する2−アミノ−2−デオキシグルコース基を含み、ここでは、糖類の2−アミノ基が、メルカプトアセテート基に共有結合している。結合チオール基を持つ炭水化物部分は、セリン側鎖のヒドロキシル基を持つグルコシド結合を介してペプチドに結合するのが好ましい。あるいは、本発明の原理を逸脱しなければ、炭水化物部分は、スレオニン側鎖のヒドロキシル基を介して、あるいは、たとえば、アスパラギン残基のように、アミノ基、カルボキシル基またはカルボキサミド基を含む側鎖を介して、ペプチド2に結合してもよい。同様に、炭水化物部分を、チオール基を用いて、2−アミノ−2−デオキシグルコースのメルカプトアセタミドの形成以外の方法で得てもよい。たとえば、チオール基を、糖ヒドロキシル基のメルカプトアセテートエステルとして、炭水化物部分に結合することができる。
【0091】
炭水化物部分とアミノ酸側鎖との間の結合は、炭水化物部分のβ−アノマー配置の結合を含んでもよいことは理解される。しかし、アミノ酸側鎖と炭水化物部分との間の結合は、α−アノマー配置であってもよい。
【0092】
図1に示すように、新しいペプチド結合を形成するカップリングが起こるメカニズムは、ペプチド1のカルボキシルチオエステルが交換され、ペプチド2の炭水化物部分を持つチオール基を有する、ペプチド1の新しいカルボキシルチオエステルが形成された中間体を介することが考えられる。図1の第2分子構造として示されているように、ペプチド1のβ−チオプロピオンアミド基は、炭水化物チオール基によって置き換えられ、結合チオエステル中間体を得る。このようなチオエステル中間体が存在するという証拠は、少なくともペプチド1のC末端残基がバリンである場合、実施例28にて提供される。実施例23に示すように、カップリング反応に関し、ペプチド1のC末端アミノ酸残基がバリンである場合の半減期は、C末端アミノ酸残基がグリシン、アラニンまたはヒスチジンである場合と比べて、実質的に大きい。実施例28において、質量スペクトル分析は、バリンの場合、ペプチド1と炭水化物部分のチオール基との間にチオエステル結合が存在することを示し、一方、C末端アミノ酸がグリシン、アラニンまたはヒスチジンの場合、観察された生成物は、アミド結合が形成されたカップリングされたペプチド生成物を含むことを示す。したがって、このタイプの中間体が他のカップリング反応で存在する場合があり、そこでは、中間体チオエステルが、自発的に、該反応条件で、図1の第3構造体として示されるカップリング生成物に移行すると考えられる。しかし、本発明の原理を逸脱しない限り、反応のメカニズムは、本明細書で理論化しているものと異なってもよい。
【0093】
図1で第3構造体として示される最終カップリング生成物は、本発明のカップリング反応によって得られた、ペプチド1とペプチド2との間で新しく形成されたアミド結合を示す。該カップリング反応は、弱アルカリ水溶液中で行うのが好ましく、pHは約8.5が好ましいが、本発明の原理を逸脱しない限り、他のpHを使用してもよい。約0.2Mのリン酸緩衝液を、該水溶液を約pH8.5で緩衝処理するために使用するのが好ましい。追加の試薬は、水溶液に加えるのが好ましく、たとえば、グアニジンを約6Mの濃度で加えてもよい。また、反応体中のチオール基の酸化を最小限にするために、チオフェノール、ベンジルメルカプタンまたは2−メルカプトエタンスルホネートなどのチオール試薬を加えるのも好ましい。カップリング反応は、不活性雰囲気下、酸素の不存在下で行うのが好ましい。
【0094】
カップリング反応は、約37℃で行うのが好ましく、該温度で、半減期は、典型的には、数時間〜約10時間の範囲である。反応の半減期は、ペプチド1のC末端アミノ酸残基の同一性に依存する。実施例23に示すように、その位置に立体的により嵩高い側鎖を有するアミノ酸は、反応速度が遅く、したがってカップリング反応の半減期は延びる。
【0095】
カップリング反応の進行は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を使用して、簡単にモニタリングされる。例示が実施例23および25にて提供される。また、結合生成物は、分取スケールHPLCを使用することによって簡単に精製される。実施例23では、反応は、37℃で約12時間後に止まり、収率76%の精製されたカップリングされたグリコペプチドが、分取HPLCにより単離された。HPLC後に得られた生成物の純度は、90%を越えていた。
【0096】
カップリングされたグリコペプチド生成物を、好ましくは精製された形態で得ると、脱硫してもよいが、本発明の原理を逸脱しない限り、依然としてチオール基を含むカップリングされたグリコペプチド生成物を、他の方法で使用または転移させてもよい。図1に示す最終変換において示されているグリコペプチド生成物を脱硫するために、該生成物を、チオール基のイオウ原子が水素原子に置き換えられるような還元条件に曝す。好ましいメルカプトアセチル基は、図1の第4構造体に示されるように、アセチル基に還元的に変換される。脱硫反応を行う好ましい方法は、チオール含有グリコペプチドを、金属触媒の存在下で水素源に曝すことである。好ましい水素源は水素ガスである。別の好ましい水素源は、ホウ化水素ナトリウムなどのホウ化水素塩である。触媒は、水素化反応に使用される任意の適切な触媒、たとえば、パラジウム、白金またはロジウムなどの貴金属触媒、またはラネーニッケルなどのニッケル触媒であってよい。
【0097】
脱硫反応は、任意の適切な溶媒中で行ってよいが、水性媒体を使用するのが好ましい。水性媒体は、そのpHで約0.1Mのリン酸緩衝液を用いて緩衝化された、pH約5.8の僅かな酸性が好ましい。パラジウムなどの貴金属触媒を用いる場合は、反応が実質的に完了するまで、典型的には数時間、反応混合物を大気圧程度で水素ガス下に保つ。再び、反応は、HPLCを使用して簡単にモニタリングされる。実施例24および25には、典型的な脱硫反応の詳細が提供される。脱硫された生成物は、分取HPLCによって精製されてもよい。あるいは、以下に記載するように、ヒドラジン分解またはアルカリケン化によって、脱硫反応を、糖基のメルカプトアセチルエステル上で行うこともできる。
【0098】
実施例29〜37には、アミノ糖窒素原子上にメルカプトアセテート基を有する2−アミノグリコースを使用する別の合成に関する追加の実験の詳細が記載されている。
【0099】
実施例38〜40には、以下のスキームに示される、チオール含有基として、グルコースの3−メルカプトアセテートエステルを使用する合成の実験の詳細が記載されている。
【0100】
【化11】

本発明では、発明者らによって、分子内SからNへの再配置を受けるチオエステル中間体を形成し、最終生成物を与えるチオール含有基は、水素化を使用することなく簡単に除去できるように、異なるタイプの共有結合によって処理することができることが見出された。2−アミノグルコースのメルカプトアセタミドから、連結反応を触媒するチオ含有基を得る場合、該チオール基は、パラジウム触媒を使用する反応などの水素化によって除去する。しかし、実施例38〜40で代表されるシリーズでは、グルコース部分の3−OHなどのヒドロキシル基のメルカプトアセチルエステルを使用して、連結反応を引き起こすことができる。そのようなエステル基のアルカリケン化に対する感受性のために、連結反応後、水素化より加水分解によってチオール基を除去することができる。エステル結合の開裂により、遊離グルコースヒドロキシル基が放出される。
【0101】
実施例41〜43には、アミノ酸残基であって、該残基のN末端が糖部分を有する残基が数多く存在する合成の実験の詳細が記載されている。以下のスキームは、a)SAL(14員環)およびb)6つのアミノ酸延長グリコシル化残基(29員環)に対しN末端に関するSAL、R=アミノ酸側鎖官能基、の提案される転移状態を示す。
【0102】
【化12】

以下に詳細に記載するように、本発明の糖補助連結反応(SAL)は、たとえ糖部分を有するペプチドのN末端が、グリコシル化アミノ酸から離れた数個のアミノ酸残基であっても、効果があることが発見された。0〜約10個のアミノ酸残基チオール含有残基を持つ残基のN末端が存在しうることがここで本発明者らによって発見された。たとえば、約1〜6個のアミノ酸残基グリコシル化残基のN末端の存在が可能で、カップリング収率は比較的高く保たれる。先に説明したような大きな環状転移状態は、この効果から成ると考えられる。実施例44は、糖が、アスパラギン側鎖のアミド窒素原子に結合するカップリング反応の例である。
【0103】
特許、特許文献または本明細書で開示された参考文献のいずれも、参照として、この発明に組み込まれ、本発明の一部を形成する。本発明を、以下の限定ではない例によって説明する。
【実施例】
【0104】
略語
Boc tert−ブトキシカルボニル
DCM ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
EA 酢酸エチル
ESI−TOF エレクトロスプレーイオン化−飛しょう時間
Fmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニル
HBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3,−テトラメチルウロニウムPF
Hex ヘキサン
HOBt N−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HRMS 高分解能質量スペクトル分析
MALDI−TOF 質量補助レーザー脱離イオン化−飛しょう時間
MBHA メチルベンズヒドリルアミン
MS 分子ふるい
NMA N−メチルアニリン
NMM N−メチルモルホリン
PMB p−メトキシベンジル
PyBOP 1−(7−アザベンズトリアゾリルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムPF
rt 室温
Tf トリフルオロメタンスルホネート
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMS トリメチルシリル
Trt トリチル。
【0105】
実施例1
グリコペプチド2の合成スキーム
【0106】
【化13】

(a)FmocSer−Oアリル、TMSOTf、CHCl、分子ふるい、−78℃;(b)Zn、AcOH;(c)TrtS−CH−COOH、HBTU、DIEA、DMF;(d)DMF中20%ピペリジン;(e)Boc−Gly−OH、HBTU、HOBt、DIEA、DMF;(f)Pd(PPh、NMA、THF;(g)H−Phe−NH、HBTU、HOBt、DIEA、DMF;(h)0.05NのNaOH、MeOH、pH約10;(i)TFA/Et3SiH/HO(9/0.5/0.5)。
【0107】
実施例2
化合物5:化合物4(5.54g、8.92mmol)を、乾燥CHCl(30mL)中のFmoc−Ser−Oアリル(3.92g、10.70mmol)およびMS(AW−300、5g)に加えた。反応系を、アルゴン下、室温で1時間保った。次いで反応混合物を−78℃とし、TMSOTf(174μL、0.89mmol)をゆっくり加えた。反応混合物を−78℃で1.5時間攪拌し、DIEA(155.3μL、0.89mmol)を加えてクエンチした。反応混合物をろ過し、ろ液を20mLのCHClで希釈し、水洗した。有機層をMgSOで乾燥し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(EA/Hex、1:2)で濃縮した。その後、精製された生成物(6.28g、85%)を、20mLのAcOHに懸濁し、次いでZn微粉を加えた。反応混合物をrtで8時間攪拌した。ろ過後、溶媒を真空除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EA/Hex、3:1)に供し、化合物5(4.36g、88%)を得た。
【0108】
実施例3
化合物6:化合物5(1.0g、1.4mmol)を、予備活性化S−トリチル−2−メルカプト酢酸(932.4mg、2.8mmol)に、乾燥DMF(10mL)中のHBTU(1.06g、2.8mmoL)およびDIEA(1mL、5.6mmoL)と共に加えた。反応混合物を、アルゴン下、rtで2時間攪拌した。反応溶液を、80mLの酢酸エチルで希釈し、水次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(EA/Hex1:2)で濃縮した。化合物6(1.0g、90%)を、白色固体として得た。
【0109】
【化14】

【0110】
【化15】

HRMS(ESI−TOF)C545413S[M+Na]について計算値:993.3239。測定値:993.3244。
【0111】
実施例4
化合物7:化合物6を、DMF中の20%ピペリジンに溶解し、rtで45分攪拌する。全ての溶媒を真空除去した後、残基を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(EA/Hex4:1、次いでMeOH/CHCl1:9)に供した。精製した生成物(1.30g、1.74mmol)、BocGly−OH(913mg、5.21mmol)、HBTU(1.32g、3.48mmol)およびHOBt(533mg、3.48mmol)を、Ar下DMF(15mL)に溶解し、次いでDIEA(3.03mL、17.4mmol)を加えた。この反応混合物を、rtで2時間攪拌した。全ての溶媒を除去した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EA/Hex1:1)に供し、化合物7(1.42g、90%)を得た。HRMS(ESI−TOF)C465514S[M+H]について計算値:906.3477。測定値:906.3480。
【0112】
実施例5
化合物8:化合物7(660mg、0.73mmol)を、THF(10mL)に懸濁し、N−メチルアニリン(792μL、7.3mmol)および(PPhPdを引き続いて加えた。反応混合物をrtで45分攪拌した。溶媒を除去した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EA/Hex4:1、次いでMeOH/CHCl8:1)に供し、生成物(545mg、86%)を得た。精製した生成物(520mg、0.60mmol)、NHPhe−NH(361mg、1.8mmol)、HBTU(456mg、1.20mmol)およびHOBt(184mg、1.20mmol)を、アルゴン下で、DMF(15mL)に溶解し、次いでDIEA(1.04mL、6.01mmol)を注入した。反応混合物をrtで2時間攪拌した。全ての溶媒を除去した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EA/Hex4:1、次いでMeOH/CHCl1:9)に供し、化合物8(395mg、65%)を得た。HRMS(ESI−TOF)C526114S[M+H]について計算値:1012.4008。測定値:1012.4001。
【0113】
実施例6
化合物9:化合物8(250mg、0.24mmol)をMeOHに溶解し、0.05NのNaOHをpHが10程度になるまで、滴下した。反応混合物を、rtで1時間攪拌し続けた。反応系を酸性樹脂でpH7の中性とし、次いで真空濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(MeOH/CHCl1:9、次いで1:5)に供し、化合物9(178mg、82%)を得た。
【0114】
【化16】

HRMS(ESI−TOF)C465511S[M+Na]について計算値:908.3511。測定値:908.3508。
【0115】
実施例7
化合物2:10mLのTFA/EtSiH/CHCl(9:0.5:0.5)を、Ar下で化合物9に加えた。反応系をrtで40分攪拌した。殆どのTFAを除去した後、脱保護されたグリコペプチドを、冷EtOを加えることによって、析出させた。白色析出物を集め、少量のHOに再懸濁させた。粗生成物を0.45μmシリンジフィルターでろ過し、次いで精製のためにHPLCに供した。凍結乾燥後、白色粉末としての純粋な化合物2を、次の連結反応工程のために用意した。HRMS(ESI−TOF)C2233S[M+Na]について計算値:566.1891。測定値:566.1875。
【0116】
実施例8
グリコペプチド3の合成スキーム
【0117】
【化17】

(a)FmocSer−Oアリル、TMSOTf、CHCl、分子ふるい、−78℃;(b)Zn、AcO;(c)DMF中20%ピペリジン;(d)Boc−Gly−OH、HBTU、HOBt、DIEA、DMF;(e)Pd(PPh、NMA、THF;(f)H−Phe−NH、HBTU、HOBt、DIEA、DMF;(g)0.05NのNaOH、MeOH、pH約10;(h)HO中95%TFA。
【0118】
実施例9
【0119】
【化18】

化合物11:HRMS(ESI−TOF)C274114[M+Na]について計算値:654.2481。測定値:654.2473。
【0120】
実施例10
【0121】
【化19】

化合物12:
【0122】
【化20】

HRMS(ESI−TOF)C334714[M+Na]について計算値:738.3192。測定値:738.3180。
【0123】
実施例11
【0124】
【化21】

化合物3:HRMS(ESI−TOF)C2233[M+H]について計算値:512.2351。測定値:512.2373。
【0125】
実施例12
グリコペプチド1の合成スキーム
【0126】
【化22】

(a)Pd(PPh、NMA、THF(b)H−Phe−NH、HBTU、HOBt、DIEA、DMF;(c)DMF中20%ピペリジン;(d)0.05NのNaOH、MeOH、pH約10;(e)TFA/Et3SiH/HO(9/0.5/0.5)。
【0127】
実施例13
【0128】
【化23】

化合物13:HRMS(ESI−TOF)C606013S[M+H]について計算値:1077.3950。測定値:1077.3932。
【0129】
実施例14
【0130】
【化24】

化合物14:HRMS(ESI−TOF)C455011S[M+H]について計算値:855.3269。測定値:855.3269。
【0131】
実施例15
【0132】
【化25】

化合物1:HRMS(ESI−TOF)C2030S[M+H]について計算値:487.1857。測定値:487.1852。
【0133】
実施例16
固相ペプチド合成
一般的方法。テトラヒドロフラン(THF)を、ナトリウム/ベンゾフェノンで蒸留し、塩化メチレン(CHCl)を塩化カルシウムで蒸留した。市販品質の試薬を購入し、さらに精製することなく使用した。グリコシル化実験を、反応前に高真空下で火炎乾燥した分子ふるい(AW300)を使用して行った。薄層クロマトグラフ(TLC)分析を、シリカゲル60F254ガラスプレートを使用して行い、化合物スポットは、UV光(254nm)およびクエン酸モリブデン酸アンモニウム(citric ammonium molybdate)で染色することによって視覚化した。フラッシュクロマトグラフィを、シリカゲル60Geduran(登録商標)(35〜75μm、EM Science)で行った。H、13C−NMRスペクトルを、Bruker AMX−500MHzスペクトロメータで記録した。カップリング定数(J)はヘルツで報告し、化学シフトはテトラメチルシラン(TMS、0.0ppm)に対する百万分率(ppm)で報告する。
3−(トリチルチオ)プロパン酸のMBHA−リンカーへのプレローディング:樹脂ローディングは、樹脂を過剰に加えることによって、約300μmol/gを目的とした。先ず、樹脂を洗浄(5×DCM、5%DIEA/DCMで3分、5×DCM、5×DMF)した。3−(トリチルチオ)プロパン酸の予備活性化のため、PyBOP(1当量)を、3−(トリチルチオ)プロパン酸の2当量のNMMを含むDMF0.1M溶液に加えた。予備活性化の5分後、混合物を樹脂に加えた。2時間後、樹脂を洗浄(5×DMF、5×DCM、5%DIPEA/DCMで3分、5×DCM、5×DMF)した。キャッピングのため、樹脂を無水酢酸/ピリジン(1:9)(2×10分)で処理し、洗浄(5×DMF、10×DCM)し、最後に真空乾燥した。
【0134】
固相化学実験を、Torviqから購入した、テフロン(登録商標)製のフィルターを備えるシリンジで行った。他に記載がない限り、全ての反応は室温で行った。分取HPLCは、分取カラム(Varian Dynamax250×21.4mm、S/N3059Microsorb60−8C18)を使用するHitachi(D−7000HPLCシステム)装置を用い、流速8mL/分で行った。DMFは、バイオテク級のものを購入した。市販の試薬をさらに精製することなく使用した。樹脂、保護アミノ酸類およびPyBOPは、Novabiochemから購入した。
【0135】
実施例17
Boc法による固相合成:Boc切断:樹脂を5%のm−クレゾール/TFA(2×4分、4mL)で処理した後、DCM(8×4mL)およびDMF(5×4mL)で洗浄した。カップリング:4当量の保護アミノ酸(最終濃度:DMF中0.1M)を、4当量のPyBOPおよび8当量のNMMを使用して5分間予備活性化した後、該溶液を樹脂に加えた。30分後、樹脂をDMF(5×4mL)、DCM(5×4mL)およびDMF(5×4mL)で洗浄した。キャッピング:無水酢酸/ピリジン(1:9、4mL)を樹脂に加えた。5分後、樹脂を、DMF(5×4mL)およびDCM(5×4mL)で洗浄した。末端キャッピング:無水酢酸/ピリジン(1:9、4mL)を樹脂に加えた。10分後、樹脂をDMF(5×4mL)およびDCM(8×4mL)で洗浄した。切断:TFMSA/TFA/チオアニソール(2:8:1)の混合物を樹脂に加えた。3時間後、樹脂をTFA(4×4mL)で洗浄した。検査:合わせた溶液を真空濃縮した。残渣を水に溶解し、分取HPLCで精製し、MALDI−TOF/MS(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸)で分析した。
【0136】
実施例18
Ac−Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−S(CHCONH15(配列番号:3は、非修飾アミノ酸類に相当する)。:3−(トリチルチオ)プロパン酸がプレロードされたMBHA−樹脂、400mg(100μmol)から出発し、線状アセンブリをBoc法に準じて行った。収量:50.6mg(71.5μmol、72%)。MALDI−TOF/MS(m/z):708.8([M+H]、計算値708.8);C3149S(707.84)。
【0137】
実施例19
Ac−Leu−Tyr−Arg−Ala−Ala−S(CHCONH16(配列番号:4は非修飾アミノ酸類に相当する)。:3−(トリチルチオ)プロパン酸がプレロードされたMBHA−樹脂、400mg(100μmol)から出発し、線状アセンブリをBoc法に準じて行った。収量:39mg(54μmol、54%)。MALDI−TOF/MS(m/z):723.0([M+H]、計算値:722.9);C3251S(721.87)。
【0138】
実施例20
Ac−Leu−Tyr−Arg−Ala−Val−S(CHCONH17(配列番号:5は、非修飾アミノ酸類に相当する)。:3−(トリチルチオ)プロパン酸がプレロードされたMBHA−樹脂、400mg(100μmol)から出発し、線状アセンブリをBoc法に準じて行った。MALDI−TOF/MS(m/z):750.6([M+H]、計算値:750.9);C3455S(749.92)。
【0139】
実施例21
Ac−Leu−Tyr−Arg−Ala−His−S(CHCONH18(配列番号:6は、非修飾アミノ酸類に相当する)。:3−(トリチルチオ)プロパン酸がプレロードされたMBHA−樹脂、400mg(100μmol)から出発し、線状アセンブリをBoc法に準じて行った。収量:31mg(39.3μmol、39%)。MALDI−TOF/MS(m/z):789.4([M+H]、計算値:788.9);C355311S(787.93)。
【0140】
実施例22
【0141】
【化26】

実施例23
化学連結反応
保護されていない合成ペプチドセグメントの連結反応を以下のように行った。使用する前に、6Mのグアニジンを含む0.2Mのリン酸緩衝液(pH8.5)を、アルゴンで10分間脱ガスした。ペプチド類を最終濃度10mMで溶解し、次いで2%チオフェノールを添加した。連結反応を37℃で、加熱ブロック中で行い、周期的にボルテックスし、チオール付加物を平衡化した。反応は、LCMS(Agilent1100単一四極子質量スペクトロメータに付随するAgilent1100LC、カラムはAgilent SB C8 50×4.6mm)および/またはHPLC{分析カラム(XTeraMS、Cl8 3.5μm、4.6×l00mmを用いるHitachi D−7000HPLCシステク装置)を用い、流速1mL/分で}を使用してモニタリングした。
【0142】
グリコペプチド連結反応および分取精製に関する代表的な例は、以下の通りである。2.8mgのグリコペプチド2を、4.4mg(1.1当量)チオエステルペプチドAc−LYRAG−C(O)S−(CH−CONH15(配列番号:3は非修飾アミノ酸類に相当する)。の、6Mのグアニジンおよび12μLのチオフェノールを含む600μLの0.2Mリン酸緩衝液(pH8.5)溶液に加えた。連結反応を、37℃で、加熱ブロック中で行い、周期的にボルテックスし、チオール付加物を平衡化した。12時間後、TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)リン酸・塩酸塩;50mM)を加え、ジスルフィド結合形成を減少させた。次いで、反応系を、逆相HPLC{セミ分取カラムを使用するHitachi D−7000HPLCシステム装置、Vydac C−18 10μm、10×250mm)を用い、流速5mL/分で行う}を使用し生成した。水/0.1%TFA中のアセトニトリルの線形勾配を、結合ペプチド類を溶出するために使用した。予期される質量を持つ画分を集め、凍結乾燥し、4.4mgの純粋なグリコペプチド19を得た。76%の収率であった。
【0143】
異なるpH(pH7〜9)での異なる連結反応条件、および2−メルカプトエタンスルホン酸塩(MES)、ベンジルメルカプタン、チオフェノールなどのチオール付加物を種々変え、およびチオールなしでテストを行った。驚くべきことに、反応はこれらの条件の殆どで良好に進行したが、6Mのグアニジンを含む200mMリン酸緩衝液(pH8.5)中の2%チオフェノールを使用した場合、HPLC分析によって最もクリーンな反応が得られることが見出された。MES(1mg/ml)の使用は、反応が5時間未満で完了したように、速度促進の点では優れていたが、ペプチドチオエステルの加水分解速度がより速いことが観察された。C末端にグリシンを持つペプチド−α−フェニルチオエステルも生成し、これを、他のチオール付加物なしで、連結反応混合物に直接使用した。このモデルペプチドでは、反応は4時間以内に完了した。
【0144】
連結反応速度におけるペプチドチオエステルのC末端アミノ酸の効果
【0145】
【化27】

(LYRA−AAは、配列番号:7に相当し、これは非修飾アミノ酸類を表わす)。
(LYRA−AA−GSFは、配列番号:8に相当し、これは非修飾アミノ酸類を表わす)。
:ESI−MSによる特性決定。
【0146】
実施例24
脱硫の一般的手順
【0147】
【化28】

(Leu−Tyr−Arg−Ala−Glyは、配列番号:3に相当し、これは非修飾アミノ酸類を表わす)。
(Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−Gly−Ser−Pheは、配列番号:79に相当し、これは非修飾アミノ酸類を表わす)。
【0148】
脱硫反応は、pH5.8で6.0Mのグアニジン、10mMのTCEPを含む0.1Mのリン酸緩衝液中、室温で行った。緩衝液は、通常、各使用前に、10分間アルゴンをバブリングすることによって脱ガスした。Pd/Alを加え(ペプチドの重さの10〜20倍)、反応系を水素下に保った。脱硫反応は、分析HPLC{分析カラム(XTeraMS、C18 3.5μm、4.6×l00mm)を使用するHitachi D−7000HPLCシステム装置を用い、流速1mL/分で行う}に準じた。
【0149】
また、脱硫は、ラネーニッケルも使用して行い、これはペプチドの重量の10倍用いた。ラネーニッケルは以下のようにして生成した。酢酸ニッケル(600mg)を15mLのHOに溶解し、次いでホウ化水素ナトリウム(100mg)を攪拌しながらゆっくり加えた。黒色アモルファスニッケル析出物をろ過し、蒸留水で中性になるまで洗浄した。次いでニッケルを閉鎖したボトルに移し、HO中で保存した。ラネーニッケルの場合、反応に水素ガスを必要としないが、反応は、通常、Pd/Alを用いる還元より遅かった(12時間)。
【0150】
実施例25
【0151】
【化29】

A)2の連結反応から精製された連結反応生成物19およびチオエステルペプチド15のHPLCおよびMALDI−TOF分析。生成物は、214nmで、分析カラム(XTeraMS、C18 3.5mm、4.6×100mm)を使用するHitachi D−7000HPLCシステムを用い、流速1mL/分で行う)でモニタリングした。B)水素下Pd/Alを使用した、2とチオエステルペプチド15との間の連結反応生成物19の脱硫粗反応生成物20のHPLCおよびMALDI−TOF分析。反応は、214nmで、分析カラム(XTeraMS、C18 3.5mm、4.6×l00mm)を使用するHitachi D−7000HPLCシステムを用い、流速1mL/分で行う)でモニタリングした。
【0152】
実施例26
連結反応生成物19のH−NMRスペクトル(DO、Bruker MAX−500MHZ)。(Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−Glyは、配列番号:9に相当し、これは非修飾アミノ酸類を表わす)。
【0153】
【化30】

実施例27
脱硫生成物20のH−NMRスペクトル(DO、Bruker MAX−500MHZ)。(Leu−Tyr−Arg−Ala−Gly−Glyは、配列番号:9に相当し、これは非修飾アミノ酸類を表わす)。
【0154】
【化31】

実施例28
質量スペクトル分析によるチオエステル中間体および連結反応生成物の分析
LCMSによる、異なる連結反応の分析の間、以下に示すように、断片化が起こるのが観察された。連結反応生成物が形成された場合は、断片化により、糖部のない全連結反応ペプチドが得られたであろう。しかし、連結反応中間体は形成されるが、ペプチド結合形成が起こらない場合は、断片化により、出発ペプチドチオエステル、およびメルカプトアセタミド−結合された糖が得られる。
【0155】
【化32】

(Leu−Tyr−Arg−Ala−X−Gly−Ser−Pheは、配列番号:80に相当し、これは非修飾アミノ酸類を表わす)。
(Leu−Tyr−Arg−Ala−Xは、配列番号:81に相当し、これは非修飾アミノ酸類を表わす)。
【0156】
グリコペプチド類生成物および連結反応からの中間体の糖部上のアノマー中心での断片化。
【0157】
【化33】

質量スペクトル分析により、連結反応生成物および異なるフラグメントの質量が認められた。エントリー1、2、3は、所望の連結反応生成物の形成に相当する。しかし、バリンチオエステル(エントリー4)の場合は、24時間後、主生成物として連結反応中間体が観察された。この場合、連結反応混合物のpHが11へ上昇したことにより、この中間体が消え、加水分解されたチオエステルが現れた。また、過剰のMESチオール付加物の添加により、チオエステル交換反応が起こり、MESチオエステルペプチドを形成した。エントリー1、2、3の場合は、いずれもこれらの変化は起こらなかった。
【0158】
【化34】

【0159】
【化35】

【0160】
【化36】

グリコペプチド生成物および連結反応中間体の糖部上のアノマー中心での観察された断片化。測定は、Agilent1100単一四極子質量スペクトロメータに付随するAgilent1100LCを使用して行なった。カラムは、Agilent SB C8 50×4.6mmである。A:エントリー1に相当;B:エントリー2に相当;C:エントリー3に相当;D:エントリー4に相当;E:グリコペプチド2およびチオエステルペプチド15からの脱硫生成物20に相当。
【0161】
実施例29
構造ブロック24aおよび24bの合成
【0162】
【化37】

試薬および条件:(a)Fmoc−Thr−Oアリル(22aに関し、R=CH)、またはFmoc−Ser−Oアリル(22bに関し、R=H)、TMSOTf、分子ふるいAW300、CHCl、−70℃、78〜83%、α/β=4/3;
(b)Zn/AcOH;(c)TrtS−CHCOOH、HBTU、DIEA、DMF、84%(2工程);(d)Pd(PPh、NMA、THF、95%。
化合物22aα。反応前に、化合物21(5.0g、10.5mmol)およびFmoc−Thr−Oアリル(4.83g、12.7mmol)を混合し、高真空で一晩乾燥した。次いで混合物をN下で無水CHCl(30mL)に溶解し、3.0gの新しい、火炎乾燥した分子ふるいを加え、混合物を室温で1時間攪拌した。その後、−78℃に冷却し、TMSOTf(203.9μL、1.066mmol)を反応溶液にゆっくり加えた。次いで、混合物を−78℃に保ち、45分攪拌した。反応が落ちると、EtNを加えてクエンチし、温度を室温まで上げた。分子ふるいをセライトによるろ過により除去し、ろ液を真空濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中20〜50%EtOAc)で生成し、純粋なα生成物(3.31g、4.77mmol、45.4%)を得た。
【0163】
【化38】

HRMS(ESI−TOF)C343812[M+H]について計算値:695.2559。測定値:695.2553。
【0164】
化合物23a。化合物22aα(2.68g、3.86mmol)をAcOH(25mL)に溶解し、亜鉛(15.0g)を加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。反応が成し遂げられると、亜鉛をセライトでろ取し、CHClで洗浄した。ろ液を真空濃縮した。次いで、濃縮残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc中20%ヘキサン)で生成し、純粋なアミン生成物(2.40g、3.62mmole、94%)を得た。
【0165】
【化39】

【0166】
【化40】

HRMS(ESI−TOF)C344012[M+H]について計算値:669.2654。測定値:669.2641。該アミン(650mg、0.973mmol)をDMF(15mL)に溶解した。TrtS−CHCOOH(651mg、1.95mmol)、HBTU(740mg、1.95mmol)およびDIPEA(678μL、3.89mmol)を続けてアミンに加えた。反応系を室温で2時間攪拌した。反応が成し遂げられると、反応溶液を真空濃縮した。濃縮残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中20〜40%EtOAc)で精製し、純粋な化合物23a(877.7mg、0.892mmol、91%)を得た。
【0167】
【化41】

HRMS(ESI−TOF)C555613S[M+Na]について計算値:1007.3395。測定値:1007.3390。
【0168】
化合物24a。化合物23a(750mg、0.762mmol)をTHF(20mL)に溶解した。Pd(PPh(88.0mg、0.076mmol)およびN−メチルアニリン(827μL、7.62mmol)を加え、次いで反応混合物を室温で45分攪拌した。反応が成し遂げられると、溶液を真空濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中50%EtOAc、次いでCHCl中10%MeOH)で精製し、純粋な化合物24a(690mg、0.731mmol、95%)を得た。
【0169】
【化42】

【0170】
【化43】

HRMS(ESI−TOF)C525213S[M+Na]について計算値:967.3082。測定値:967.3059。
【0171】
化合物22bα。反応前に、化合物21(1.33g、2.81mmol)およびFmoc−Ser−Oアリル(858.8mg、2.34mmol)を混合し、高真空で一晩乾燥した。次いで混合物をN下無水CHCl(15mL)に溶解した。1.5gの新しい火炎乾燥した分子ふるいを加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。その後、反応混合物を−78℃に冷却し、TMSOTf(54.3μL、0.281mmol)を反応溶液にゆっくり加えた。反応系を−78℃に保ち、45分攪拌した。反応が成し遂げられると、EtNを加えてクエンチし、温度を室温に上げた。分子ふるいをセライトでろ取し、ろ液を真空濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中20〜50%EtOAc)で精製し、純粋なα生成物(872mg、1.28mmol、45%)を得た。
【0172】
【化44】

HRMS(ESI−TOF)C333612[M+Na]について計算値:703.2222。測定値:703.2208。
【0173】
化合物23b。アミン(822mg、1.26mmol)[HRMS(ESI−TOF)C333812[M+H]について計算値:655.2497、測定値:655.2499]を、DMF(10mL)に溶解した。TrtS−CHCOOH(840mg、2.51mmol)、HBTU(953mg、2.51mmol)およびDIPEA(875μL、5.03mmol)を、アミンに続けて加えた。反応系を室温で2時間攪拌した。反応が成し遂げられると、溶液を真空濃縮した。次いで、濃縮残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中20〜40%EtOAc)で精製し、純粋な化合物23b(1.03g、1.06mmol、84%)を得た。
【0174】
【化45】

HRMS(ESI−TOF)C545413S[M+Na]について計算値:993.3239。測定値:993.3240。
【0175】
化合物24b。化合物23b(420mg、0.433mmol)をTHF(10mL)に、続けてPd(PPh(50.0mg、0.043mmol)およびN−メチルアニリン(470μL、4.33mmol)を加えた。反応混合物を室温で45分攪拌した。反応が成し遂げられると、反応溶液を真空濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中50%EtOAc、次いでCHCl中10%MeOH)で精製し、純粋な化合物24b(390mg、0.420mmol、96%)を得た。
【0176】
【化46】

HRMS(ESI−TOF)C515013S[M+Na]について計算値:953.2926。測定値:953.2892。
【0177】
実施例30
糖補助連結反応(SAL)を使用するα−O−結合グリコペプチド類の合成
糖補助連結反応(SAL)の連結反応効率を調べるため、4種のモデルα−O−結合グリコペプチド類25a〜bおよび26a〜b、ならびにチオエステルペプチドCys(Acm)37−Gly52を、Gly−Val連結反応部を発現するジプテリシンの配列に基づいて生成した。ここで使用した連結反応条件は、我々の先の研究で使用した条件に類似するが、チオフェノールは省いた。
α−結合グリコペプチド類のSAL
【0178】
【化47】

:t1/2は、反応体グリコペプチドが50%消費されるために必要な反応時間を示す。:LCMSにより特性決定。:各反応における反応体グリコペプチドの濃度は、6mMである。
【0179】
先に示すように、α−O−結合グリコペプチド類は、β−O−結合およびN−結合グリコペプチド類(エントリー1〜4)と類似の効率で、SALによって、順番に合成することができる。特に、GalNAc(SH)−Thrを含むグリコペプチド類は、スレオニン(エントリー1〜4)のメチル基からの追加の立体因子にもかかわらず、GalNAc(SH)−Serを含むグリコペプチド類と類似の速度で到達した。予測どおり、Gly−Val接続部を持つ場合の連結反応速度は、チオフェノール(エントリー4および5)がない場合より、速かった。また、数種の条件をグリコペプチド26bおよびチオエステルペプチドCys(Acm)37−Gly52を用いてスクリーニングし、ジプテリシンの合成のための連結反応条件を最適化した。ミクロ電極により反応pHを測定すると、SALのための理想的な反応pHは7.2〜7.4である。前記表「α−結合グリコペプチド類のSAL」に示すように、より良好なpH安定性を与える、より濃縮されたリン酸緩衝液を使用することによって、優れた連結反応効率を達成した(エントリー4および6)。このpH範囲で、加水分解されたチオエステルは最小量でありながら、連結反応は最高効率を達成した。同じ条件下、この遅い連結反応において、加水分解されたチオエステルを相殺するために、2当量のペプチドチオエステルを加えると、最適連結反応結果を得た(エントリー4、7および8)。
【0180】
実施例31
(A)構造ブロック30の合成。(B)側鎖アンカー法を使用するグリコペプチドチオエステルAsp−Asn36
【0181】
【化48】

試薬および条件:(a)BF−OEt、TolSH、CHCl、0℃、次いでrt;(b)NaOMe、MeOH、pH約11;(c)PMBCl、NaH、DMF、0℃、次いでrt、68%(3工程);(d)Fmoc−Thr−Oアリル、NTS、触媒TfOH、分子ふるいAW300、CHCl、−15℃、83%、α/β=3/2;(e)AcSH、ピリジン、86%;(f)Pd(PPh、NMA、THF、95%。TolSH=p−チオクレゾール、NIS=N−ヨードスクシンイミド
化合物28α。化合物27(10.28g、27.55mmol)およびp−チオクレゾール(5.1g、41.3mmol)を、N(ガス)下でCHCl(40mL)に溶解した。反応溶液を氷浴で0℃に冷却した。この溶液に、BFOEt(6.92mL、55.1mmol)をゆっくり加えた。その後、反応温度を徐々に室温まで上げた。8時間後、反応系に飽和NaHCOをゆっくり加えることによりクエンチし、CHClで希釈した。生成物を、飽和NaHCOで洗浄し、CHClで抽出した。有機層を集め、真空濃縮した。次いで、濃縮残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中20〜40%EtOAc)で精製し、純粋な生成物(αおよびβ混合物、10.3g、23.6mmol、85%)を得た。精製チオグリコシドをMeOHに溶解した。NaOMe(MeOH中25重量%)を、pHが11〜12程度になるまで、反応溶液に滴下した。反応混合物を室温で1時間攪拌し、酸性樹脂(Dowex50WX2−200(H))で中性とした。次いで、樹脂をろ取し、CHClで洗浄した。ろ液を真空濃縮した。次いで、濃縮残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(CHCl中5〜10%MeOH)で精製した。次いで、純粋なチオグリコシド(7.83g、25.2mmol)を60mLの乾燥DMFに0℃で溶解し、PMBCl(20.5mL、151mmol)およびNaH(3.62g、151mmol)を加えることにより、PMB基で完全に保護した。反応混合物を室温で2時間攪拌し、MeOHでクエンチした。MeOHを除去した後、真空濃縮した。次いで、生成物をEtOAcで抽出し、HOで洗浄した。有機層を集め、飽和食塩水で再び洗浄した。有機層を真空濃縮した後、粗残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中10〜40%EtOAc)で精製し、純粋なPMB保護チオグリコシド28αおよび28βをそれぞれ得た。[15.5g、23.2mmol(α+β)、92%]。
【0182】
【化49】

HRMS(ESI−TOF)C3741S[M+Na]について計算値:694.2557。測定値:694.2556。
【0183】
化合物28β
【0184】
【化50】

【0185】
【化51】

HRMS(ESI−TOF)C3741S[M+Na]について計算値:694.2557。測定値:694.2556。
【0186】
Fmoc−Thr−Oアリル。炭酸セシウム(2.28g、7.0mmol)を、N(ガス)下でFmoc−Thr−OH(4.75g、13.9mmol)の乾燥MeOH(40mL)懸濁液に加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次いで真空下、蒸発乾固した。濃縮残渣をさらに2時間高真空下で乾燥した。その後、乾燥混合物を、N下で乾燥DMF(40mL)に再び溶解し、臭化アリル(1.45mL、16.7mmol)を加えた。反応混合物を室温で8時間攪拌した。白色析出物をセライトでろ取し、CHClで洗浄した。ろ液を真空濃縮し、次いでフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中25〜50%EtOAc)で精製し、純粋な白色粉末(4.64g、12.2mmol、87%)を得た。
【0187】
【化52】

HRMS(ESI−TOF)C2223NO[M+Na]について計算値:404.1468。測定値:404.1468。
【0188】
化合物29α。反応前に、化合物28(917mg、1.366mmol)およびFmoc−Thr−Oアリル(624.7mg、1.639mmol)を混合し、高真空で一晩乾燥した。次いで、反応混合物をN下、CHClに溶解した。新しい火炎乾燥した分子ふるい(AW300)(3g)を反応混合物に加え、約2時間攪拌し、反応系を−20℃に冷却し、次いでN−ヨードスクシンイミド(338.1mg、1.503mmol)を加えた。この混合物に、−20℃で新しく製造したTfOH(0.05当量)をゆっくり加えた。反応系を−15℃で1時間攪拌した。反応が成し遂げられると、飽和Na(水溶液)および飽和NaHCO(水溶液)を加えることによりクエンチした。分子ふるいをセライトでろ取し、CHClで洗浄した。ろ液をCHClで抽出し、飽和Na(水溶液)および飽和NaHCO(水溶液)で洗浄した。NaSOで乾燥した後、ろ液を真空下で蒸発乾固した。濃縮残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中25〜50%EtOAc)で精製し、α生成物(506.7mg、0.546mmol、40%)を得た。
【0189】
【化53】

HRMS(ESI−TOF)C525612[M+H]について計算値:929.3967。測定値:929.3954。
【0190】
化合物30。化合物29α(200mg、0.215mmol)を0℃でピリジン(1.2mL)に溶解し、次いでAcSH(1.2mL)を加えた。次いで、反応系を室温まで上げた。反応混合物を4時間攪拌した。反応が成し遂げられると、混合物を真空下で蒸発乾固した。濃縮残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中20%〜50%EtOAc、次いでEtOAc中30%ヘキサン)で精製し、次のアリル除去工程用の純粋な生成物(174.7mg、0.185mmol、86%)を得た。
【0191】
【化54】

【0192】
【化55】

HRMS(ESI−TOF)C546013[M+Na]について計算値:967.3987。測定値:967.3984。アリル除去工程では、前の工程の生成物(720mg、0.762mmol)をTHF(10mL)に溶解し、次いでPd(PhP)(88.1mg、0.076mmol)およびN−メチルアニリン(827μL、7.62mmol)を継続して加えた。反応混合物を室温で45分攪拌した。反応が成し遂げられると、反応溶液を真空下で蒸発乾固した。次いで、濃縮残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中50%EtOAc、次いでCHCl中10%MeOH)で精製し、純粋な化合物10(655mg、0.724mmol、95%)を得た。
【0193】
【化56】

HRMS(ESI−TOF)C515613[M+Na]について計算値:927.3674。測定値:927.3680。
【0194】
実施例32
グリコペプチドVal53−Phe82の固相合成
C末端グリコペプチドセグメント(53−82)の合成は、HN−Phe−2−ClTrt−樹脂から始め、Fmoc法を使用して行った。グリコシル化アミノ酸を樹脂にカップリングするため、2当量の構造ブロック24aを使用し、反応系を24時間振盪した。SPPSが完了すると、糖上のアセテート基を、ヒドラジン/MeOH(1/6)で6時間処理することによって、固体支持体から除去した。このアセテート除去工程の後、樹脂をMeOH、DMFおよびCHClで洗浄した。得られたグリコペプチドを脱保護し、TFA/HO/EtSiH/チオアニソール(17/1/1/1)を用いて室温で50分処理することにより、樹脂から切断した。粗グリコペプチド溶液を蒸留し、切断混合物溶液を全て除去し、次いで、HPLC精製のために乾燥残渣をHO/CHCN(1/1)に再溶解した。精製されたグリコペプチドを凍結乾燥し、純粋なグリコペプチド(18%の収率)を得た。ESI−MS:3528Da。(ペプチド塊は、ペプチドの観察されたプロトン化状態の全てからの実験的質量/電荷(m/z)比から再構築した)。
【0195】
実施例33
チオエステルペプチドCys(Acm)37−Gly52の合成
チオエステルペプチドの合成は、3−(トリチルチオ)プロパン酸をMBHA−樹脂LLへのプレローディングから始めた。プレローディング手順の詳細は、J.Am.Chem,Soc.2006,128,5626−5627に見ることができ、該文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0196】
固相ペプチド合成は、Boc法を使用して行った。固体支持体への全配列が完了した後、N末端のBoc基を除去し、HF切断中の副反応を最小限に抑えた。次いで、10%(v/v)のアニソールで最終切断を行う前に、樹脂を高真空下で4時間乾燥した。粗チオエステルペプチドをHPLCで精製し、純粋な生成物を43%の収率で得た。ESI−MS:1982Da。(ペプチド塊は、ペプチドの観察されたプロトン化状態の全てからの実験的質量/電荷(m/z)比から再構築された)。
【0197】
実施例34
グリコペプチドチオエステルAsp−Asn36の合成
合成は、Wangらによって、Int.J.Pept Res.Therap.2005,11,117−123に公表された手順に基づいて行った。該文献は参照により本明細書に組み込まれる。合成は、Rinkアミド樹脂から出発した。20%ピペリジン(DMF中)を用い20分(×2)処理することによりFmoc基を除去した後、HBTU(4当量)およびDIEA(10当量)のDMFカップリング溶液と2時間混合することにより、樹脂をFmoc−Asp−Oアリル(4当量)でロードした。その後、樹脂をDMF(4mL×4)で洗浄し、次いでAcO/DIEA/DMF(1:2:17)を用いて樹脂上の遊離アミンのアセチル化を20分行った。その後、樹脂を、DMF(4mL×4)、DCM(4mL×4)およびDMF(4mL×4)で洗浄した。Fmoc−SPPSを、HBTU/DIEAカップリング条件を用いて行った。グリコシル化アミノ酸をカップリングするために、2当量の構造ブロック16を合成に使用し、カップリング時間を1日に延ばした。樹脂上にグリコペプチドの完全な配列が完了すると、DCM中、Pd(PPh(25mg/0.1mmol樹脂)およびPhSiH(10当量)で30分(×2)処理することにより、アリル基を除去した。DCM(4mL×4)、DMF(4m×4)、次いでDCM(4mL×4)で洗浄した後、該樹脂を、エチル3−メルカプトプロピオネート(24当量)、DIEA(37.5当量)、無水HOBt(30当量)、DIC(30当量)およびDCM/DMF(1/4)を含む反応溶液と6時間(×2)混合することによって、遊離酸をチオエステルに変換した。その後、樹脂を、DCM(4mL×4)、DMF(4m×4)、次いでDCM(4mL×4)で洗浄した。TFA/HO/チオアニソール/TES(17/1/1/1)での処理により、完全脱保護とともに、グリコペプチドを樹脂から切断した。粗生成物をHPLC精製に供し、純粋な生成物を9%の収量で得た。ESI−MS:3977Da。(ペプチド塊は、ペプチドの観察されたプロトン化状態の全てからの実験的質量/電荷(m/z)比から再構築された)。
【0198】
実施例35
糖補助連結反応(SAL)の一般的手順
保護されていないペプチドセグメントの連結反応は、以下のようにして行った。反応の前、連結反応溶液(6MのGn−HCl、0.2Mリン酸緩衝液、pH8.5)を10分間脱ガスした。続いて、グリコペプチドおよびチオエステルペプチドを、Ar下で、連結反応溶液に溶解した。反応は37℃で行い、周期的にボルテックスし、反応混合物を平衡化した。HPLCまたはLC/MS分析の前に、TCEP(60mM)または10%(v/v)の2−メルカプトエタノールを加え、形成されたジスルフィド結合を減らした。
【0199】
実施例36
脱硫の一般的手順
脱硫反応は、室温で、15mMのTCEPを含む、6MのGn−HCl、0.2Mリン酸緩衝液、pH5.8の溶液中で行った。緩衝液は、使用する前、該溶液にArを10分バブリングすることにより脱ガスした。Pd/Al(グリコペプチドの重さの15倍)の添加の後、Hバルーンを使用して、反応混合物をH下に保った。脱硫反応は、分析HPLCクロマトグラフィおよびLC/MSによってモニタリングした。反応が完了すると、Pd/Alを遠心分離によって沈降させ、上澄み液をHPLC精製のために集めた。
【0200】
実施例37
ジプテリシングリコペプチドセグメントCys(Acm)37−Phe82からのAcm基の除去
Cys(Acm)37−Phe82(3mg)を、30当量のHg(OAc)を含む10%AcOH(pH4.0)、1mLに溶解した。反応混合物をよく混合し、室温で1時間攪拌した。反応が成し遂げられると、120当量のDTTを加え、混合物を12時間反応させると、全てのHg(OAc)が析出した。その後、黒色析出物を沈降させ、上澄み液をHPLC精製のために集めた。
【0201】
実施例38
ジプテリシングリコペプチドCys37−Phe82およびジプテリシングルコペプチドチオエステルAsp−Asn36のネイティブケミカルライゲーション(NCL)
グリコペプチドセグメントCys37−Phe82(2.9mM)およびグリコペプチドチオエステルセグメントAsp−Asn36(4.4mM)の連結反応を、37℃で、2%(v/v)のチオフェノールおよび2%(v/v)ベンジルメルカプタンを含む、6MのGn・ΗCl、200mMリン酸緩衝液、pH7.9の溶液中で行った。16時間後、連結反応が完了したことが観察され、連結反応生成物をESI−MSによって確認した。HPLC精製後、純粋な生成物が47%で観察された。
【0202】
実施例39
3−O−メルカプトアセチルセリン試薬35の合成
【0203】
【化57】

(D)−グルコサミンからの3−O−トリチルメルカプトアセチルセリン試薬35の合成
a)AcO、AcOH、Zn微粉、91%;b)Pd(PPh、NMA、THF;c)NaOMe、MeOH、pH9;d)臭化アリル、DIEA、DMF;e)ベンズアルデヒドジメチルアセタール、p−TsOH、MeCN、32から、51%;f)TrtSCHCOOH、DIC、DMAP、CHCl、0℃、91%;g)Pd(PPh、NMA、THF、91%。AcOH=酢酸、NMA=N−メチルアニリン、DIEA=N,N−ジイソプロピルエチルアミン、p−TsOH=p−トルエン−4−スルホン酸、Troc=2,2,2−トリクロロエチルカルバメート、Trt=トリチル、DIC=N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、DMAP=4−ジメチルアミノピリジン。
【0204】
(3S,4R,5S,6R)−6−((R)−2−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)−3−(アリルオキシ)−3−オキソプロポキシ)−5−アセタミド−2−(アセトキシメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4−ジイルジアセテート32
【0205】
【化58】

Troc保護グリコシルアミノ酸31(1.07g、1.29mmol)を無水酢酸(16ml)に溶解し、反応系を0℃に冷却した。予備活性化させたZn微粉[5g、1MのHCl(100ml)、水(2×100ml)、ジエチルエーテル(2×100ml)で洗浄することにより活性化させる]、次いで酢酸(4.8ml)を加え、反応系をrtで90分攪拌した。反応系をセライトのプラグでろ過し、ジクロロメタンで洗浄し、溶媒を真空除去した。カラムクロマトグラフィ(溶出液:3:1v/v酢酸エチル/ヘキサン)による精製により、所望の生成物32を白色固体(0.82g、91%)として得た。
(3:1v/v酢酸エチル/ヘキサン)=0.23;H−および13C−NMRスペクトルデータは、文献23で報告されたデータと一致した。HRMS(ESI−TOF)C354013[M+H]について計算値:697.2603。測定値:697.2602。
【0206】
(2R)−アリル2−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)−3−((6R,7S,8R,8aS)−7−アセタミド−8−ヒドロキシ−2−フェニルヘキサヒドロピラノ[3,2−d][1,3]ジオキシン−6−イルオキシ)プロパノエート33
【0207】
【化59】

グリコシルアミノ酸32(1.83g、2.63mmol)を、THF(37ml)に懸濁した。N−メチルアニリン(2.86ml、26.3mmol)およびPd(PPh(303mg、0.26mmol)を加え、反応系をrtで30分攪拌した。溶媒を真空除去し、生成物をカラムクロマトグラフィ(溶出液:9:1v/vジクロロメタン/メタノール+1%AcOH)で精製し、酸をクリーム状固体[1.7g、95%、R(9:1v/vジクロロメタン/メタノール)=0.07]として得た。得られた酸を乾燥メタノール(55ml)に溶解し、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(0.5M溶液)をpHが9.0になるまで加えた。反応系をrtで2時間攪拌し、その後、ダウエックス50H樹脂の添加により中性とした。反応系をろ過し、溶媒を真空除去し、所望のトリオールを得た。これをさらに精製することなく使用した。該トリオールをDMF(16ml)に溶解し、0℃に冷却した。DIEA(0.90ml、5.18mmol)および臭化アリル(0.45ml、5.18mmol)を滴下し、反応系をrtで6時間攪拌した。溶媒を真空除去し、生成物をカラムクロマトグラフィ(溶出液:9:1v/vジクロロメタン/メタノール)で精製し、アリル保護化合物を白色固体(0.77g)として得た。得られたトリオール(0.77g、1.35mmol)をMeCN(33ml)に溶解した。ベンズアルデヒドジメチルアセタール(0.41ml、2.70mmol)およびp−トルエンスルホン酸(26mg、0.13mmol)を加え、反応系をrtで3時間攪拌した。溶媒を真空除去し、生成物をカラムクロマトグラフィ(溶出液:4:1v/v酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、所望のアルコール33を白色固体(0.87g、32から、98%および51%)として得た。
【0208】
【化60】

HRMS(ESI−TOF)C363810[M+H]について計算値:659.2599。測定値:659.2597。
【0209】
(2R)−アリル2−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)−3−((6R,7S,8R,8aS)−7−アセタミド−2−フェニル−8−(2−(トリチルチオ)アセトキシ)ヘキサヒドロプラノ[3,2−d][1,3]ジオキシン−6−イルオキシ)プロパノエート34
【0210】
【化61】

アルコール33(142mg、0.22mmol)を、乾燥ジクロロメタン(7.5ml)に溶解した。S−トリチル−メルカプト酢酸(110mg、0.32mmol)を加え、反応系を0℃に冷却した。DIC(50μl、0.32mmol)およびDMAP(1.3mg、0.01mmol)を加え、反応系を0℃で15分攪拌した。溶媒を真空除去し、生成物をカラムクロマトグラフィ(溶出液:2:1ヘキサン/酢酸エチル−1:1v/vヘキサン/酢酸エチル)で精製し、34を白色固体(190mg、91%)として得た。
(1:1v/vヘキサン/酢酸エチル)=0.57;
【0211】
【化62】

HRMS(ESI−TOF)C575411S[M+H]について計算値:975.3521。測定値:935.3526。
【0212】
(2R)−2−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)−3−((6R,7S,8R,8aS)−7−アセタミド−2−フェニル−8−(2−(トリチルチオ)アセトキシ)ヘキサヒドロピラノ[3,2−d][1,3]ジオキシン−6−イルオキシ)プロパン酸35
【0213】
【化63】

アリル保護グリコシルアミノ酸34(135mg、0.14mmol)をTHF(6ml)に懸濁した。N−メチルアニリン(0.15ml、1.38mmol)およびPd(PPh(16mg、0.01mmol)を加え、反応系をrtで20分攪拌した。溶媒を真空除去し、生成物をカラムクロマトグラフィ(溶出液:95:5v/vジクロロメタン/メタノール−9:1v/vジクロロメタン/メタノール)で精製し、所望の酸35を淡黄色固体(123mg、95%)として得た。
(95:5v/vジクロロメタン/メタノール)=0.26;
【0214】
【化64】

HRMS(ESI−TOF)C545011S[M+H]について計算値:935.3208。測定値:935.3211。
【0215】
実施例40
3−O−メルカプトアセチル−2−アセタミドグルコシルペプチドフラグメントの固相ペプチド
【0216】
【化65】

(X−Ser−X−Gly−Tyr−Serは、配列番号:82に相当し、これは非修飾アミノ酸類を表わす)。
【0217】
一般的手順
分析HPLCは、分析カラム(Grace Vydac「タンパク質およびペプチドC18」、150×4.6mm、粒径:10μm、流速:1.5ml/分)を使用して、Hitachi(D−7000HPLCシステム)装置で行った。セミ分取HPLCは、セミ分取カラム(Grace Vydac「タンパク質およびペプチドC18」、250×10mm、粒径:10〜15μm、流速:4mL/分)を使用して、Hitachi(D−7000HPLCシステム)装置で行った。分取HPLCは、分取カラム(Grace Vydac「タンパク質およびペプチドC18」、250×22mm、粒径:10〜15μm、流速:8mL/分)を使用して、Hitachi(D−7000HPLCシステム)装置で行った。シグナルの検出は、フォトダイオードアレイ検出器を用い、λ=280nmの波長で行った。溶出液A(水中0.1%TFA)およびB(アセトニトリル中0.1%TFA)を、50℃の線形勾配において使用した。勾配:30分で、A:0%B→80%B。
【0218】
材料
水は、Milli−Q超純粋精製システム(Millipore社)から取った。DMFは、バイオテク級のものを購入した。市販の試薬は、Sigma−AldrichまたはAcros Organicsから購入し、さらに精製することなく使用した。テトラヒドロフラン(THF)はナトリウム/ベンゾフェノンで蒸留し、ジクロロメタン(CHCl)は塩化カルシウムで蒸留した。他の無水物級の溶媒は、Sigma−Aldrichから購入し、直接使用した。分子ふるい(AW300)は、グリコシル化実験の前に、新しく粉砕し、直接火炎乾燥した。分析薄層クロマトグラフ(TLC)は、シリカゲル60F254ガラスプレートを使用して行った。化合物スポットは、酸性モリブデン酸セリウムアンモニウムで染色し、UV光(254nm)によって視覚化した。フラッシュクロマトグラフィは、シリカゲル60Geduran(35〜75μm、EMD Science)で行った。樹脂、保護されたアミノ酸類およびPyBOPは、Novabiochemから購入した。重水素化溶媒は、Cambridge Isotope Laboratories社から購入した。
【0219】
NMRスペクトル観測
H−NMRおよび13C−NMRは、それぞれ、600MHzおよび150MHzで操作し、CryoProbeを備えるBruker DRX−600スペクトロメータを使用して記録した。カップリング定数(J)は、可能な場合は、ヘルツ(Hz)で報告し、化学シフトは、テトラメチルシラン(TMS、0.00ppm)に対する百万分率(ppm)として報告する。
【0220】
質量スペクトル分析
MALDI−TOF質量スペクトルは、PerSeptive BiosystemsのVoyager−DE Pro生体分光光度ワークステーションで測定した。0.1%TFAを含む10mg/mlのα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸溶液を、プローブ−マトリックス混合物を生成するために使用した。
【0221】
高分解能質量スペクトル分析は、Flight質量スペクトロメータのAgilent6210Timeで測定した。
ペプチド合成
Torviqから購入した、テフロン(登録商標)フィルターを備えたシリンジ中で、固相化学を行った。
【0222】
3−(トリチルチオ)プロパン酸のMBHA−リンカーへのプレローディング:樹脂ローディングは、過剰の樹脂を加えることにより、約300μmol/gを目的とした。先ず、樹脂を洗浄(5×DCM、3分で5%DIPEA/DCM、5×DCM、5×DMF)した。3−(トリチルチオ)プロパン酸の予備活性化のために、PyBOP(1当量)を、2当量のNMMを含む、3−(トリチルチオ)プロパン酸のDMF、0.1M溶液に加えた。予備活性化の5分後、混合物を樹脂に加えた。2時間後、樹脂を洗浄(5×DMF、5×DCM、3分で5%DIPEA/DCM、5×DCM、5×DMF)した。キャッピングのために、樹脂を無水酢酸/ピリジン(1:9)(2×10分)で処理し、洗浄(5×DMF、10×DCM)し、最後に真空乾燥した。
【0223】
Boc法による固相合成:Boc切断:樹脂を5%のm−クレゾール/TFA(2×4分)で処理した後、DCM(8×)およびDMF(5×)で洗浄した。カップリング:4当量のPyBOPおよび8当量のNMMを使用して、4当量の保護アミノ酸(最終濃度:DMF中0.1M)を5分間予備活性化した後、該溶液を樹脂に加えた。30分後、樹脂を、DMF(5×)、DCM(5×)およびDMF(8×)で洗浄した。キャッピング:無水酢酸/ピリジン(1:9)を樹脂に加えた。5分後、樹脂を、DMF(5×)およびDCM(5×)で洗浄した。末端キャッピング:無水酢酸/ピリジン(1:9)を樹脂に加えた。10分後、樹脂を、DMF(5×)およびDCM(8×)で洗浄した。切断:TFMSA/TFA/チオアニソール(2:8:1)の混合物を、樹脂に加えた。2時間後、樹脂をTFA(4×)で洗浄した。検査:合わせた溶液を真空濃縮した。残渣を水に溶解し、分取HPLCで精製し、MALDI−TOF/MS(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸)で分析した。
【0224】
Rinkアミド樹脂のプレローディング:先ず、樹脂を洗浄(5×DCM、5×DMF)し、次いで10%ピペリジン/DMF(2×5分)で処理することによりFmoc基を除去し、さらに洗浄工程(5×DMF、5×DCM、5×DMF)を行った。第1保護アミノ酸の予備活性化に関し、4当量のPyBOPおよび8当量のNMMを、構造ブロック(0.1M)のDMF溶液に加えた。予備活性化の5分後、混合物を樹脂に加えた。2時間後、樹脂を洗浄(5×DMF、5×DCM、5×DMF)し、無水酢酸/ピリジン(1:9)(2×5分)でキャップし、洗浄(5×DMF、5×DCM、5×DMF)した。
Fmoc法によるグリコペプチド固相合成:Fmoc切断:樹脂を10%のピペリジン/DMF(2×5分)で処理した後、洗浄(5×DMF、5×DCM、5×DMF)した。カップリング:4当量のPyBOPおよび8当量のNMMを使用して、4当量の保護アミノ酸(最終濃度:DMF中0.1M)を5分間予備活性化した後、該溶液を樹脂に加えた。30分後、樹脂を、DMF(5×)、DCM(5×)およびDMF(5×)で洗浄した。キャッピング:無水酢酸/ピリジン(1:9)を樹脂に加えた。5分後、樹脂を、DMF(5×)、DCM(5×)およびDMF(5×)で洗浄した。糖含有モノマーのカップリング:1当量のPyBOPおよび2当量のNMMを使用して、1当量の構造ブロック(最終濃度:DMF中0.1M)を5分間予備活性化した後、該溶液を樹脂に加えた。6時間後、樹脂を、DMF(5×)、DCM(5×)およびDMF(5×)で洗浄した。切断:TFA、チオアニソール、トリイプロピルシランおよび水(17:1:1:1)の混合物を加えた。2時間後、樹脂をTFA(4×4mL)で洗浄した。検査:合わせた溶液を、真空濃縮した。残渣を水に溶解し、分取HPLCで精製し、MALDI−TOF/MS(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸)で分析した。
【0225】
固相ペプチド合成(SPPS)により生成されたグリコペプチド類
【0226】
【化66】

(配列番号:12は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0227】
100μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発し、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:36mg(43μmol、43%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):843.3181([M+H]、理論値:843.3189)。HPLC:t:6.6分(勾配A);C345015S(842.3116)。
【0228】
【化67】

(配列番号:13は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0229】
100μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発して、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:35mg(41μmol、41%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):849.2737([M+H]、理論値:849.2753)。HPLC:t:5.6分(勾配A);C324815(848.2680)
【0230】
【化68】

(配列番号:14は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0231】
66.5μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発して、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:21.5mg(24μmol、36%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):907.2796([M+H]、理論値:907.2808).HPLC:t:5.7分(勾配A);C345017(906.2735)。
【0232】
【化69】

(配列番号:15は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0233】
66.5μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発して、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:25mg(27μmol、41%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):929.3123([M+H]、理論値:929.3128)。HPLC:t:5.9分(勾配A);C36521015(928.3055)。
【0234】
【化70】

(配列番号:16は、非修飾アミノ酸に相当する)。
【0235】
100μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発して、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:20mg(21μmol、21%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):942.3860([M+H]、理論値:942.3873)、HPLC:t:6.7分(勾配A);C395916S(941.3800)。
【0236】
【化71】

(配列番号:17は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0237】
66.5μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発して、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:11mg(12μmol、18%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):948.3421([M+H]、理論値:948.3437)。HPLC:t;6.6分(勾配A);C375716(947.3365)。
【0238】
【化72】

(配列番号:18は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0239】
66.5μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発して、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:12mg(12μmol、18%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):1006.3484([M+H]、理論値:1006.3492)。HPLC:t:6.6分(勾配A);C395918(1005.3419)。
【0240】
【化73】

(配列番号:19は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0241】
66.5μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発して、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:10mg(10μmol、14%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):1028.3804([M+H]、理論値:1028.3812)。HPLC:t:6.5分(勾配A);C41611116(1027.3739)。
【0242】
【化74】

(配列番号:20は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0243】
66.5μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発して、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:12mg(11μmol、17%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):1061.4271([M+H]、理論値:1061.4278)。HPLC:t:9.0分(勾配A);C43681017(1060.4205)。
【0244】
【化75】

(配列番号:21は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0245】
66.5μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発して、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:3mg(3μmol、4%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):1118.4488([M+H]、理論値:1118.4493)。HPLC:t:8.8分(勾配A);C45711118(1117.4420)。
【0246】
【化76−1】

(配列番号:22は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0247】
66.5μmolのFmoc−Ser−Rinkアミド樹脂から出発して、線状アセンブリをFmoc法に準じて行った。収量:7mg(6μmol、9%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):1175.4706([M+H]、理論値:1175.4707)。HPLC:t:8.4分(勾配A);C47741219(1174.4634)。
SPPSにより生成されるペプチドチオエステル類
【0248】
【化76−2】

(配列番号:23は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0249】
100μmolの、3−(トリチルチオ)プロパン酸がプレロードされたMBHA−樹脂から出発して、線状アセンブリをBoc法に準じて行った。収量:50.6mg(72μmol、72%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):708.3499([M+H]、理論値:708.3497)。HPLC:t:8.4分(勾配A);C3149S(707.3425)。
【0250】
【化76−3】

(配列番号:24は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0251】
100μmolの、3−(トリチルチオ)プロパン酸がプレロードされたMBHA−樹脂から出発して、線状アセンブリをBoc法に準じて行った。収量:39mg(52μmol、52%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):722、3644([M+H]、理論値:722.3654)。HPLC;t:8.8分(勾配A);C3251S(721.3581)。
【0252】
【化76−4】

(配列番号:25は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0253】
100μmolの、3−(トリチルチオ)プロパン酸がプレロードされたMBHA−樹脂から出発して、線状アセンブリをBoc法に準じて行った。収量:33.3mg(41μmol、41%)。ESI−TOF high−acc.(m/z);814.3901([M+H]、理論値:814.3916)。HPLC:t:9.3分(勾配A);C3855S(813.3843)。
【0254】
【化76−5】

(配列番号:26は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0255】
100μmolの、3−(トリチルチオ)プロパン酸がプレロードされたMBHA−樹脂から出発して、線状アセンブリをBoc法に準じて行った。収量:31mg(39μmol、39%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):788.3863([M+H]、理論値:788.3872)。HPLC:t:8.0分(勾配A);C355311S(787.3799)。
【0256】
【化76−6】

(配列番号:27は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0257】
100μmolの、3−(トリチルチオ)プロパン酸がプレロードされたMBHA−樹脂から出発して、線状アセンブリをBoc法に準じて行った。収量:8.7mg(11μmol、11%)。ESI−TOF high−acc.(m/z):798.3963([M+H]、理論値:798.3967)。HPLC:t:9.5分(勾配A);C3855S(797.3894)。
【0258】
ペプチド連結反応
グリコペプチド類(1.5当量、約3μmol)を、脱酸素化連結反応緩衝液(4:1v/vN−メチル−2−ピロリジノン;6Mのグアニジン塩酸塩、1MのHEPES、pH=8.5)に溶解した。この溶液を、ペプチドチオエステル(約2μmol)を含むエッペンドルフチューブに移した。チオフェノール(2体積%、3μl)を加え、反応系を緩やかに混合した。連結反応混合物を、LC−MSが反応の完了を示すまで、12時間毎に緩やかに混合しながら、37℃で培養した。
連結反応生成物
【0259】
【化77】

(配列番号:28は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:69%。MALDI−TOF(m/z):1446.2([M+H]、理論値:1446.6)。HPLC:t:8.7分(勾配A);C62921622S(1445.6)。
【0260】
【化78】

(配列番号:28は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1371.8([M+H]、理論値:1372.5)。HPLC:t:7.8分(勾配A);C60901621(1371.5)。
【0261】
【化79】

(配列番号:29は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:84%。MALDI−TOF(m/z):1451.7([M+H]、理論値:1452.6)。HPLC:t:8.7分(勾配A);C60901622(1451.6)
【0262】
【化80】

(配列番号:29は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1378.3([M+H]、理論値:1378.5)。HPLC:t:8.1分(勾配A);C58881621S(1377.5)
【0263】
【化81】

(配列番号:30は、非修飾アミノ酸類に相当する)。.
収率:28%。MALDI−TOF(m/z):1533.1([M+H]、理論値:1532.7)。HPLC:t:8.9分(勾配A);C64941822(1531.7)
【0264】
【化82】

(配列番号:30は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1458.0([M+H]、理論値:1458.6)。HPLC:t:8.3分(勾配A);C62921821S(1457.6)。
【0265】
【化83】

(配列番号:31は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:27%。MALDI−TOF(m/z):1612.4([M+H]、理論値:1612.8)。HPLC:t:8.1分(勾配A);C68992022(1611.8)。
【0266】
【化84】

(配列番号:31は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1538.0([M+H]、理論値:1538.7)。HPLC:t:7.6分(勾配A);C66962021S(1537.7)。
【0267】
【化85】

(配列番号:32は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:38%。MALDI−TOF(m/z):1509.3([M+H]、理論値:1510.6)。HPLC:t:9.3分(勾配A);C62921624(1509.6)。
【0268】
【化86】

(配列番号:32は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1435.9([M+H]、理論値:1436.5)。HPLC:t:8.2分(勾配A);C60901623S(1435.5)。
【0269】
【化87】

(配列番号:33は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:22%。MALDI−TOF(m/z):1590.5([M+H]、理論値:1590.7)。HPLC:t:8.3分(勾配A);C66971824(1589.7)。
【0270】
【化88】

(配列番号:33は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1514.6([M+H]、理論値:1516.6)。HPLC:t:8.3分(勾配A);C64941823S(1515.6)。
【0271】
【化89】

(配列番号:34は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:40%。MALDI−TOF(m/z):1616.4([M+H]、理論値:1616.7)。HPLC:t:9.9分(勾配A);C69981625(1615.7)。
【0272】
【化90】

(配列番号:34は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1541.8([M+H]、理論値:1542.6)。HPLC:t:8.8分(勾配A);C67961624S(1541.6)。
【0273】
【化91】

(配列番号:35は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:28%。MALDI−TOF(m/z):1466.2([M+H]、理論値:1466.6)。HPLC:t:9.8分(勾配A);C61921622(1465.6)。
【0274】
【化92】

(配列番号:35は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1392.5([M+H]、理論値:1392.5)。HPLC:t:8.6分(勾配A);C59901621S(1391.5)。
【0275】
【化93】

(配列番号:36は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:32%。MALDI−TOF(m/z):1637.5([M+H]、理論値:1638.8)。HPLC:t:9.6分(勾配A);C711001823(1637.8)。
【0276】
【化94】

(配列番号:36は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1564.6([M+H]、理論値:1564.7)。HPLC:t:8.4分(勾配A);C69981822S(1563.7)。
【0277】
【化95】

(配列番号:37は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:40%。MALDI−TOF(m/z):1548.2([M+H]、理論値:1546.7)。HPLC:t:9.6分(勾配A);C65961822(1545.7)。
【0278】
【化96】

(配列番号:37は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1472.6([M+H]、理論値:1472.6)。HPLC:t:8.2分(勾配A);C63941821S(1471.6)。
【0279】
【化97】

(配列番号:38は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:59%。MALDI−TOF(m/z):1524.8([M+H]、理論値:1524.7)。HPLC:t:9.8分(勾配A);C63941624(1523.6)。
【0280】
【化98】

(配列番号:38は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1450.8([M+H]、理論値:1450.5)。HPLC:t:8.2分(勾配A);C61921623S(1449.5)。
【0281】
【化99】

(配列番号:39は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:62%。MALDI−TOF(m/z):1531.3([M+H]、理論値:1532.7)。HPLC:t:9.2分(勾配A);C64941822(1531.7)。
【0282】
【化100】

(配列番号:39は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1459.7([M+H]、理論値:1458.6)。HPLC:t:7.8分(勾配A);C62921821S(1457.6)。
【0283】
【化101】

(配列番号:40は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:65%。MALDI−TOF(m/z):1559.6([M+H]、理論値:1559.7)。HPLC:t:9.8分(勾配A);C681031723S(1558.7)。
【0284】
【化102】

(配列番号:40は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1485.2([M+H]、理論値:1485.6)。HPLC:t:8.9分(勾配A);C661011722(1484.6)。
【0285】
【化103】

(配列番号:41は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:58%。MALDI−TOF(m/z):1625.7([M+H]、理論値:1625.8)。HPLC:t:9.3分(勾配A);C711051923S(1624.8)。
【0286】
【化104】

(配列番号:41は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1551.7([M+H]、理論値:1551.7)。HPLC:t:8.2分(勾配A);C691041922(1550.7)。
【0287】
【化105】

(配列番号:42は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:48%。MALDI−TOF(m/z):1565.4([M+H]、理論値:1565.7)。HPLC:t:10.0分(勾配A);C661011723(1564.7)。
【0288】
【化106】

(配列番号:42は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1491.7([M+H]、理論値:1491.6)。HPLC:t:9.0分(勾配A);C64991722S(1490.6)。
【0289】
【化107】

(配列番号:43は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:66%。MALDI−TOF(m/z):1550.8([M+H]、理論値:1551.7)。HPLC:t:9.4分(勾配A);C55991723(1550.7)。
【0290】
【化108】

(配列番号:43は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1477.3([M+H]、理論値:1477.6)。HPLC:t:8.4分(勾配A);C63971722S(1476.6)。
【0291】
【化109】

(配列番号:44は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:68%。MALDI−TOF(m/z):1545.5([M+H]、理論値:1545.7)。HPLC:t:9.9分(勾配A);C571011723S(1544.7)。
【0292】
【化110】

(配列番号:44は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1471.7([M+H]、理論値:1471.6)。HPLC:t:8.5分(勾配A);C65951722(1470.6)。
【0293】
【化111】

(配列番号:45は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:60%。MALDI−TOF(m/z):1632.2([M+H]、理論値:1631.8)。HPLC:t:9.3分(勾配A);C691031923(1630.8)。
【0294】
【化112】

(配列番号:45は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1557.9([M+H]、理論値:1557.7)。HPLC:t:8.3分(勾配A);C671011922S(1556.7)。
【0295】
【化113】

(配列番号:46は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:45%。MALDI−TOF(m/z):1657.5([M+H]、理論値:1657.8)。HPLC:t:10.6分(勾配A);C721051724(1656.8)。
【0296】
【化114】

(配列番号:46は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1583.1([M+H]、理論値:1583.7)。HPLC:t:9.6分(勾配A);C701031723S(1582.7)。
【0297】
【化115】

(配列番号:47は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:55%。MALDI−TOF(m/z):1630.3([M+H]、理論値:1631.8)。HPLC:t:9.0分(勾配A);C691031923(1630.8)。
【0298】
【化116】

(配列番号:47は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1558.3([M+H]、理論値:1557.7)。HPLC:t:8.2分(勾配A);C671011922S(1556.7)。
【0299】
【化117】

(配列番号:48は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:23%。MALDI−TOF(m/z):1647.3([M+H]、理論値:1645.8)。HPLC:t:10.2分(勾配A);C701051923(1644.8)。
【0300】
【化118】

(配列番号:48は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1571.0([M+H]、理論値:1571.7)。HPLC:t:9.5分(勾配A);C681031922S(1570.7)。
【0301】
【化119】

(配列番号:49は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:40%。MALDI−TOF(m/z):1712.4([M+H]、理論値:1711.9)。HPLC:t:8.5分(勾配A);C731072123(1710.9)。
【0302】
【化120】

(配列番号:49は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1638.6([M+H]、理論値:1637.8)。HPLC:t:8.6分(勾配A);C711052122S(1636.8)。
【0303】
【化121】

(配列番号:50は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:39%。MALDI−TOF(m/z):1737.5([M+H]、理論値:1737.9)。HPLC:t:10.4分(勾配A);C761091924(1736.9)。
【0304】
【化122】

(配列番号:50は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1663.4([M+H]、理論値:1663.8)。HPLC:t:9.5分(勾配A);C741071923S(1662.8)。
【0305】
【化123】

(配列番号:51は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:81%。MALDI−TOF(m/z):1608.5([M+H]、理論値:1609.8)。HPLC:t:9.8分(勾配A);C671011725(1608.7)。
【0306】
【化124】

(配列番号:51は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1535.2([M+H]、理論値:1535.7)。HPLC:t:9.0分(勾配A);C65991724S(1534.6)。
【0307】
【化125】

(配列番号:52は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:50%。MALDI−TOF(m/z):1623.3([M+H]、理論値:1623.8)。HPLC:t:10.2分(勾配A);C681031725(1622、8)。
【0308】
【化126】

(配列番号:52は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1548.8([M+H]、理論値:1549.7)。HPLC:t:9.3分(勾配A);C661011724S(1548.7)。
【0309】
【化127】

(配列番号:53は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:60%。MALDI−TOF(m/z):1687.8([M+H]、理論値:1689.8)。HPLC:t:9.4分(勾配A);C711051925(1688.8)。
【0310】
【化128】

(配列番号:53は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1616.0([M+H]、理論値:1615.7)。HPLC:t:8.6分(勾配A);C691031924S(1614.7)。
【0311】
【化129】

(配列番号:54は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:37%。MALDI−TOF(m/z):1714.9([M+H]、理論値:1715.9)。HPLC:t:10.6分(勾配A);C741071726(1714.9)。
【0312】
【化130】

(配列番号:54は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1640.8([M+H]、理論値:1641.8)。HPLC:t:9.9分(勾配A);C721051725S(1640.8)。
【0313】
【化131】

(配列番号:55は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:62%。MALDI−TOF(m/z):1664.0([M+H]、理論値:1664.9)。HPLC:t:11.3分(勾配A);C711101824(1663.9)。
【0314】
【化132】

(配列番号:55は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1588.7([M+H]、理論値:1590.8)。HPLC:t:11.0分(勾配A);C691081823S(1589.8)。
【0315】
【化133】

(配列番号:56は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:81%。MALDI−TOF(m/z):1745.2([M+H]、理論値:1745.0)。HPLC:t:10.8分(勾配A);C751142024(1744.0)。
【0316】
【化134】

(配列番号:56は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1670.0([M+H]、理論値:1670.9)。HPLC:t:9.5分(勾配A);C731122023S(1669.9)。
【0317】
【化135】

(配列番号:57は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:56%。MALDI−TOF(m/z):1722.0([M+H]、理論値:1721.9)。HPLC:t:11.4分(勾配A);C731131925(1720.9)。
【0318】
【化136】

(配列番号:57は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1647.5([M+H]、理論値:1647.8)。HPLC:t:10.0分(勾配A);C711111924S(1646.8)。
【0319】
【化137】

(配列番号:58は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:62%。MALDI−TOF(m/z):1778.8([M+H]、理論値:1779.0)。HPLC:t:10.8分(勾配A);C751162026(1778)。
【0320】
【化138】

(配列番号:58は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
収率:>95%。MALDI−TOF(m/z):1704.9([M+H]、理論値:1704.9)。HPLC:t:10.4分(勾配A);C731142025S(1703.9)。
【0321】
実施例41
N末端延長グリコペプチド試薬の合成
【0322】
【化139】

グリコペプチド類の固相ペプチド合成
N末端延長グリコペプチド類44〜48の合成は、Fmoc−保護Rinkアミド樹脂から出発して、Fmoc法に準じて固相ペプチド合成(SPPS)により行った。不必要なモノマーの消費を避けるため、1当量だけを使用し、反応時間を6時間に増やした。302nmでのFmoc/ピペリジン付加物のUV吸収により、これらの条件が許容しうるカップリング収率を提供することを示唆した。立体障害方側鎖を持つアミノ酸類は、N末端をグリコシル化アミノ酸に導入し、糖タンパク質配列を負荷する方法の適応性を実証した。たとえば、グリコペプチド48は、N末端グリシンの導入前、配列:Ala−Ser−Arg−Val−Leu(配列番号:63)を含む。所望のアミノ酸配列をカップリングした後、先ずヒドラジンを使用してアセテート基を除去し、そして樹脂をトリフルオロ酢酸/チオアニソール/トリイソプロピルシラン/水(85:5:5:5)で処理し、トリチル保護基、側鎖保護基を切断し、固体支持体からオリゴマーを放出させた。HPLCによる精製後、グリコペプチド類44〜48を46%と52%との間の収率で得た。
【0323】
実施例42
延長糖補助連結反応
アミノ酸類グリシン、ヒスチジン、アラニンおよびチロシンをC末端に持つチオエステル類を、Boc法によるSPPSを使用して合成した。
【0324】
N末端延長グリコペプチドおよびC末端グリシン残基を持つチオエステルの初期連結反応を、標準的な連結反応条件(6MのGn.HCl、100mMのリン酸二水素カリウム、2%PhSH、37℃)で行った。ここで、これらの条件では、有意量の加水分解されたチオエステルをもたらし、連結反応収率は減少した。この問題を解決するため、様々な混合溶媒の連結反応条件を分析した。最も効果的な溶媒系は、N−メチルピロリジノンおよびHEPES緩衝液(4:1v/vNMP:6MのGn.HCl、1MのHEPES、pH8.5、2%PhSH、37℃)の混合物であり、これは、加水分解により最小損失のチオエステルにカップリングする容易な連結反応を可能にし、これらの条件下での全ての延長グリコペプチド類(44〜48)およびチオエステル(49)の反応は、高収率で単離された連結反応生成物をもたらした。用語「延長SAL」(exSAL)、「二倍」(dexSAL)、「三倍」(texSAL)、「四倍」(qexSAL)および「5倍延長」SAL(pexSAL)は、糖基を有する残基と遊離N末端アミノ基を持つ残基との間のアミノ酸残基の数を言う。SALにおいては、糖を有するアミノ酸、たとえばセリンに結合するGlyが存在する。exSALでは、1個の追加の介在アミノ酸残基が存在し、dexSALでは、2個の追加の介在アミノ酸残基が存在し、その他同様である。延長SAL(exSAL)により86%の単離収率がもたらされ、それぞれ、70%および60%の収率である、2倍延長SAL(dexSAL)および3倍延長SAL(texSAL)より有意に高かった。4倍延長および5倍延長SAL(qexSALおよびpexSAL)反応は、さらに低い収率(それぞれ38%および49%)で進んだ。
(配列番号:64は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0325】
【化140】

グリコペプチド類44〜48およびC末端グリシンチオエステル49の延長された糖補助連結反応の単離収率;条件:4:1v/vNMP:6MのGn.HCl、1MのHEPES、pH8.5、2%のPhSH、37℃、この連結反応のHPLC収率は、texSALに類似していた。HPLCによる単離が難しい生成物は、単離収率が減少した。
反応速度研究
これらの研究から、アミノ酸類をグリコペプチド類のN末端に付加させると、連結反応収率に、有意な減少があることが明らかになる。得られる単離収率にいくらかの光明を投じることを期待して、研究の次の段階は、反応の速度論を分析することに関する。この目的のために、延長SAL方法の速度を、先に報告されたSAL方法と比較した。生成物形成の速度を、HPLCにより、最初の11時間は2時間ごとにモニタリングし、終点は24時間後とした。SAL反応の半減期は9時間であり、12時間の半減期を示したexSAL反応より僅かに速かった。連結反応速度は、追加のアミノ酸類がN末端に付加されると、より遅くなり始めた。興味深いことに、dexSAL、texSALおよびqexSAL反応は、19時間の半減期を持つ連結反応と類似する速度を示した。pexSALにおける第6番目のアミノ酸残基の付加により、連結反応速度が大きく落ちる結果となり、そのため、反応は、24時間後に42%しか進まなかった。これらの反応速度研究により、SALは、その延長された相当物より容易であるが、これらの速度は、大きさの順番によって異ならず、このように、これら延長方法の全て(exSAL、dexSAL、texSAL、qexSALおよびpexSAL)は、合成的に有用であることが示される。
【0326】
実施例43
exSALの範囲
exSAL中の連結反応部にある他のアミノ酸残基の効果を研究するために、以下に示すグリコペプチド−ペプチドチオエステル対を調べた。N末端ヒスチジンを含有するグリコペプチド類と、アスパラギン酸残基とを、SPPS(Fmoc法)により合成した。これらを、C末端グリシン、ヒスチジンおよびアラニン残基を含むペプチドチオエステル類と、混合溶媒系で反応させた。グリコペプチド44と、C末端グリシンを有するペプチドチオエステル49との間の連結反応では、86%の単離収率を得た。(上記エントリー1)。C末端ヒスチジン残基を含有するペプチドチオエステルは、先に報告したSAL法に従って、良好な収率(70%、以下のエントリー2)で連結反応させた。チオエステル成分のC末端アミノ酸の立体的嵩高さの増加によって、連結反応効率は実質的に減少した(Ala−Glyが44%、以下のエントリー3)。N末端アスパラギン酸残基を有するグリコペプチド類は、注目に値する連結反応効率を達成した。このグリコペプチドを利用した単離連結反応収率は、グリシングリコペプチド44の単離連結反応収率(64〜91%の収率、以下のエントリー7〜9)を超えていた。驚くべきことに、立体的に困難な連結反応部、たとえばHis−His(73%、以下のエントリー5)、Ala−His(77%、以下のエントリー6)およびHis−Asp(91%、以下のエントリー8)でさえ、優れた収率を示した。
【0327】
延長糖補助連結反応(exSAL)の範囲;条件:4:1v/vNMP:6MのGn.HCl、1MのHEPES、pH8.5、2%PhSH、37℃。
(配列番号:70は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0328】
【化141】

連結反応生成物の後続脱硫により、2位に未変性N−アセチル官能基を含有するグリコペプチド類を得た。これは、アルミナ上のパラジウムを使用する水素化条件によって行った。生成物を定量的収率(以下を参照)で、普通に単離(HPLC生成後)した。
【0329】
【化142】

dexSALの範囲
dexSAL方法を、種々のアミノ酸類に連結反応部で適用することにより、さらなる延長の範囲を試験した(以下を参照)。グリコペプチド類は、SPPS(Fmoc法)により合成した。これらのグリコペプチド類を、先に記載した混合溶媒系を使用して、C末端グリシン、アラニン、ヒスチジンおよびチロシン残基を有するペプチドチオエステル類と反応させた。グリシングリコペプチド類を使用する反応により、連結反応生成物を良好な収率(44〜70%)で得た。対照的に、N末端ヒスチジン残基を含有するグリコペプチド類は、延長SAL法(24〜48%)と比べると、著しく低い収率で連結反応した。Gly−HisおよびHis−His連結反応は、十分な収率で単離したが、立体的に妨害されたアラニンおよびチロシンペプチドチオエステル類の導入により、収率が著しく低下する(それぞれ28%および24%)結果となった。アスパラギン酸塩で延長されたグリコペプチド類は、全てのケースにおいて、高収率(49〜76%)で連結反応させた。
(配列番号:70は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0330】
【化143】

連結反応部で種々のアミノ酸類を用いた、exSAL法およびdexSAL法の観察された可撓性は、それぞれ、texSAL、qexSALおよびpexSALによるグリコペプチド類46〜48を持つ立体障害ペプチドチオエステル類の連結反応にまで拡大された。これらのグリコペプチド類は、このチオエステルと満足のいく収率で連結反応させた(texSAL、qexSALおよびpexSALに関し、それぞれ、49、48および31%)。
(配列番号:70は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
【0331】
【化144】

実施例44
Asn−結合糖部分を持つ連結反応
【0332】
【化145】

(配列番号:78は、非修飾アミノ酸類に相当する)。
A)構造ブロック56の合成:試薬および条件:a)プロパンジチオール、DIEA、MeOH、4時間、rt;b)Fmoc−(Asp)−OAll、HBTU、DIEA、DMF、12時間、90%;c)Zn、AcOH、rt、12時間、85%;d)TrtS−CH−COOH、HBTU、DIEA、DMF、4時間、rt、78%;e)Pd(PPh、NMA、THF、1時間、rt、90%。
B)Fmoc−Rinkアミドポリスチレン樹脂上のグリコペプチドのSPPS合成
【図面の簡単な説明】
【0333】
【図1】本発明に従ってグリコペプチドを製造するための合成スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
mは、0〜約10であり;
nは、1〜約4であり;
およびRは、それぞれ独立して各部位で、Hまたはアルキルであり、またはRとRとが一緒になって、オキソ(=O)であり;
pは、1、2または3であり;
Xは、OまたはCHRであり;
各Rは、独立して各部位で、水素、(C−C)アルキル、ヒドロキシまたはヒドロキシ(C−C)アルキルであり、任意のヒドロキシまたはヒドロキシアルキルは、単糖類、二糖類、オリゴ糖またはヒドロキシ保護基でO置換されていてよく;ただし、1個のRは、−OC(=O)(CH(R))SHまたは−NHC(=O)(CH(R))SH(式中、Rは、独立して各部位で、水素または(C−C)アルキル((C−C)アルキルの任意の炭素原子は、Jで置換されていてよい)であり、sは1〜約6である)を含み;
Yは、C(R)、O、NHまたはSであり;
およびRは、それぞれ独立して、H、アルキルまたはJであり;
XおよびYを有する炭素原子は、RまたはS配置であり;
各NRは、独立して、NHまたはN(C−C)アルキルであり、またはNRは、NRを有する炭素原子に結合するRまたはRと一緒になって、4〜7員環を形成することができ、または、
各R、Rc’、RおよびRe’は、独立して各部位で、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリル、あるいはブロックされていなくても保護基でブロックされていてもよい天然のアミノ酸の側鎖であり;あるいはRおよびRc’またはRおよびRe’、あるいは両方が、これらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成し;任意のアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルは、0〜3個のJで置換され;
Jは、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシ、シクロアルキル、カルボキシ;アセタミド、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、トリフルオロメトキシ、スルファモイル、カルバモイル、スルホンアミド、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニルであり;
およびRは、それぞれ独立して、ペプチド残基またはグリコペプチド残基である)の化合物、およびその任意の立体異性体、互変異性体、溶媒和物、水和物、または塩を製造する方法であって、
式(II):
【化2】

の化合物を、式(III):
【化3】

(式中、Rは、アルキル、アリール、アラルキル、カルボキシアルキルまたはカルボサアミドアルキルである)の化合物と接触させ、式(I)の化合物を得ることを含む方法。
【請求項2】
はHであり、sは1である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
pは、1または2であり、WはOである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
pは、1または2であり、WはNHである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
nは1であり、YはOであり、RはHまたはメチルであり、RはHである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
YはNHであり、(CRは、−CHC(O)−または−(CHC(O)−である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
は、メチル、フェニルまたは−(CHC(O)NHである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
mは、1、2、3、4、5または6である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
XおよびYを有する炭素原子が、R配置である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
XおよびYを有する炭素原子が、S配置である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
は、フェニルアラニンアミドである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
は、N−アセチル−Leu−Tyr−Arg−Ala(配列番号:1)である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
式(II)の化合物のN末端アミノ酸残基のRおよびRe’が、両方Hである請求項1に記載の方法。
【請求項14】
XがOである請求項1に記載の方法。
【請求項15】
XがCHOHである請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記接触が、水溶液中で接触することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記接触が、アルカリ水溶液中で接触することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記接触が、グアニジンを含むアルカリ水溶液中で接触することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記接触が、チオールを含むアルカリ水溶液中で接触することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記接触が、チオフェノールを含むアルカリ水溶液中で接触することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記接触を、約35℃〜約40℃で行う請求項1に記載の方法。
【請求項22】
式(III)の化合物の濃度が、約5mM〜約20mMである請求項1に記載の方法。
【請求項23】
式(III)の化合物の濃度が、約7.5mM〜約15mMである請求項1に記載の方法。
【請求項24】
式(II)の化合物および式(III)の化合物を、約0.8〜約1.2のモル比で使用する請求項1に記載の方法。
【請求項25】
式(I)の化合物を、少なくとも約70モル%の収率で得る請求項1に記載の方法。
【請求項26】
式(I)の化合物を、約90%を超える純度で得る請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記接触を、約6時間〜約24時間の間で行う請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記接触を、約6時間〜約18時間の間で行う請求項1に記載の方法。
【請求項29】
さらに、式(I)の化合物をHPLCにより精製することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項30】
さらに、式(I)(式中、Wは、OまたはNHである)の化合物を、触媒の存在下、水素源と接触させることによって、該化合物を脱硫することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記水素源が水素ガスである請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記触媒が、パラジウム族の金属である請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記触媒が、パラジウム金属である請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記水素源が、ホウ化水素塩である請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記水素源が、ホウ化水素ナトリウムである請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記触媒が、ラネーニッケルである請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記接触が、水溶液中で接触させることを含む請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記接触が、グアニジンを含む水溶液中で接触させることを含む請求項30に記載の方法。
【請求項39】
さらに、式(I)(式中、WはOである)の化合物を、ヒドラジンまたはアルカリ溶液と接触させることによって、該化合物を脱硫させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項40】
請求項1の方法で製造された式(I)の化合物。


【図1】
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【公表番号】特表2009−533328(P2009−533328A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501561(P2009−501561)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/007142
【国際公開番号】WO2007/111952
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(593052785)ザ スクリップス リサーチ インスティテュート (91)
【Fターム(参考)】