説明

グリスフィルター及びグリス除去装置

【課題】油分の高い除去率を維持しつつ、重量が軽く、圧力損失が低く、強度が高いグリスフィルターを提供する。
【解決手段】三次元網状構造を有する板状の金属多孔体よりなるグリスフィルターにおいて、少なくとも一面側に凹凸形状パターンを備えるグリスフィルターに係り、一面側が吸気面側であり、凹凸形状パターンは、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型であり、凹凸形状パターンにおける線状の凸部は、複数の直線からなり、複数の直線の延長方向が、凹凸形状パターンを備える一面において2方向以上であるように配置されることにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリスフィルター及びグリス除去装置に関し、特に、三次元網状構造を有する金属多孔体よりなるグリスフィルター及びグリス除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ウレタンフォームなどの三次元網状構造体で通気性の高い樹脂骨格に、金属粉をバインダーで付着させてから不活性雰囲気中高温に昇温して、粉末冶金法に従い金属粉同士を焼結する方法、並びに、無電解めっき又は導電化処理後に電気めっきを行うことにより樹脂骨格表面に金属層を析出させる方法により、三次元網状構造を有する金属多孔体を得る方法が知られている。これらの金属多孔体は、オイルミスト、塵埃等を捕捉する耐熱フィルターなどとして利用されている。
【0003】
これらに関連する先行技術として、特許文献1〜4がある。特許文献1では、金属粉末を泡だて前の発泡体に混合し、その発泡体を熱分解し金属粉末を焼結して電極を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2では、電気めっきを利用するものの内、樹脂骨格に無電解めっきを施してから電気めっきを行うことが開示されている。
また、特許文献3では、電気めっきを利用するものの内、樹脂骨格に導電塗料を塗布してから電気めっきを行うことが開示されている。
また、特許文献4では、上記文献において記載された三次元網状構造を有する金属多孔体を用いて、グリスフィルターを形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭53−067836号公報
【特許文献2】特開昭57−174484号公報
【特許文献3】特開昭61−223196号公報
【特許文献4】特開平6−285317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
三次元網状構造を有する金属多孔体よりなるグリスフィルターにおいては、そのグリスフィルターの厚さを厚くするとオイルミスト等を捕捉する量が増え、油分の除去率は高くなるが、グリスフィルター自体が重くなり、さらにはグリスフィルターでの圧力損失が大きくなる。また、そのグリスフィルターの厚さを薄くするとグリスフィルターが軽量化され、グリスフィルターでの圧力損失が小さくなるが、油分の除去率は低くなり、さらには、強度が弱くなり、グリスフィルターの定期的な交換、輸送、洗浄時などにおける衝撃、摩擦、圧縮などにより破損することがある。
【0006】
そこで、本発明の目的とするところは、油分の高い除去率を維持しつつ、重量が軽く、圧力損失が低いグリスフィルター及びグリス除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、三次元網状構造を有する板状の金属多孔体よりなるグリスフィルターにおいて、少なくとも一面側に凹凸形状パターンを備えるグリスフィルターが提供される。
これによれば、吸気面側に設けられた凹凸形状パターンの凹部により、凹部がないものに比し、グリスフィルターの平均厚みが減少し、グリスフィルターの全体重量が軽量化できる。その結果、グリスフィルターの交換、輸送、洗浄時の取扱が容易となる。また、グリスフィルターの平均厚み減少に伴い、グリスフィルターでの空気圧力損失を低減することができ、同じ風量のファンを使用した場合でも吸気性能が向上し、厨房環境を清潔に維持することができる。
【0008】
さらに、吸気面側に凹凸形状パターンを設けてもよい。吸気面側に凹凸形状パターンを設けたことにより、吸気面の表面積が増大し、平均厚みが減少しても、油分の捕捉効果を維持し、良好な油除去率を維持することができる。
【0009】
さらに、凹凸形状パターンは、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型であることを特徴としてもよい。
これによれば、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型は、点状の凹凸形状に比べ、衝撃・摩擦・圧縮に強いので、グリスフィルターの交換、輸送、洗浄時に破損することを防止することができる。また、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型では、グリスフィルターの吸気面を真下に向けて又はオーバーハングに傾けて取り付けても、点状の凹凸形状に比べ、油が点状の凸部に集中しないので、油が垂れることが少ない。
【0010】
さらに、凹凸形状パターンにおける線状の凸部は、複数の直線からなり、その複数の直線の延長方向が、その凹凸形状パターンを備える一面において2方向以上であるように配置されることを特徴としてもよい。
これによれば、異なる方向を有する直線状の凸部が複数あるため、特定方向の曲げ加重に弱くなることがなく、多方向の曲げ荷重に対して強度を確保することができる。
【0011】
さらに、グリスフィルターは、少なくとも2種類以上の凹凸形状パターンを備えることを特徴としてもよい。
これによれば、異なる形状の波型や異なるピッチ巾を有する波型があることにより、特定方向の曲げ荷重に弱くなることがなく、多方向の曲げ荷重に対して強度を確保することができる。
【0012】
さらに、凹凸形状パターンにおける一のパターン(I)とその凹凸形状パターンにおける他のパターン(II)は、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型であり、そのパターン(II)は、そのパターン(I)のその凸部とその凹部が反転した形状であり、そのパターン(I)とそのパターン(II)は、その凹凸形状を備える一面において一定の位置関係に複数配置されていることを特徴としてもよい。
これによれば、後述されるプロファイル加工をした場合、同様の凹凸形状を有する2つのグリスフィルターを得ることができる。
【0013】
さらに、凹凸形状パターンにおける一のパターン(I)とその凹凸形状パターンにおける他のパターン(III)は、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型であり、そのパターン(III)は、その凹凸形状パターンを備える一面においてそのパターン(I)を回転させた形状のパターンであり、そのパターン(I)とそのパターン(III)は、その一面において一定の位置関係に複数配置されていることを特徴としてもよい。
これによれば、一方向の波型だと特定方向の曲げ荷重に弱くなるが、多方向の曲げ荷重に対して強度を確保することができる。
【0014】
さらに、パターン(III)は、その一面において、パターン(I)を90度回転させた形状のパターンであり、そのパターン(I)の上下左右のいずれかに配置されていることを特徴としてもよい。
これによれば、どの方向の曲げ荷重がかかっても、強度を確保することができる。
【0015】
さらに、凹凸形状パターンにおける線状の凸部は、曲線からなることを特徴としてもよい。
これによれば、線状の凸部が曲線であるため、特定方向の曲げ加重に弱くなることがなく、多方向の曲げ荷重に対して強度を確保することができる。
【0016】
さらに、グリスフィルターの排気面側は平面であり、凹凸形状パターンにおける、排気面から凹部までの最小距離に対する、排気面から垂直方向に凸部までの最大距離との比は1.1以上3以下であることを特徴としてもよい。
これによれば、グリスフィルターの吸気面の表面積増大と強度の確保のバランスが良好となる。
【0017】
また、グリスフィルターの排気面側は平面であり、凹凸形状パターンにおける、排気面から垂直方向に凸部までの最大距離と、排気面から凹部までの最小距離との差は3mm以上であることを特徴としてもよい。
これによれば、グリスフィルターの吸気面の表面積増大と強度の確保のバランスが良好となる。
【0018】
また、別の観点によれば、上記のグリスフィルターを、凹凸形状パターンが吸気面側になるように配置したグリス除去装置が提供される。
これによれば、吸気面側に設けられた凹凸形状パターンの凹部により、凹部がないものに比し、グリスフィルターの平均厚みが減少し、グリス装置の重量が軽量化できる。また、グリスフィルターの平均厚み減少に伴い、グリスフィルターでの空気圧力損失を低減することができ、同じ風量のファンを使用した場合でも吸気性能が向上し、厨房環境を清潔に維持することができるグリス除去装置を提供できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、油分の高い除去率を維持しつつ、重量が軽く、圧力損失が低いグリスフィルター及びグリス除去装置、さらにはそれに加え、強度が高いグリスフィルター及びグリス除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るグリスフィルターの吸気面における凹凸形状パターンを示す図。
【図2A】本発明に係るグリスフィルターの吸気面における凹凸形状パターンのバリエーションを示す図。
【図2B】本発明に係るグリスフィルターの、様々な凹凸形状パターンを適用した吸気面を示す図(その一)。
【図2C1】本発明に係るグリスフィルターの、様々な凹凸形状パターンを適用した吸気面を示す図(その二)。
【図2C2】本発明に係るグリスフィルターの、様々な凹凸形状パターンを適用した吸気面を示す図(その三)。
【図2D】本発明に係るグリスフィルターの、様々な凹凸形状パターンを適用した吸気面を示す図(その四)。
【図3】本発明に係るグリスフィルターに対する油除去試験を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明について詳細に説明する。本発明は、三次元網状構造を有する板状の金属多孔体よりなるグリスフィルターにおいて、少なくとも一面側に凹凸形状パターンを備えるグリスフィルターである。
【0022】
まず、グリスフィルターの吸気面側に凹凸形状パターンを形成する方法について説明する。一般的に、ウレタンフォーム等の柔軟な発泡体の表面に凹凸形状を形成する方法としては、プロファイル加工やCFカット加工等の切削加工が用いられる。特に規則的な凸凹形状を形成する加工方法として、プロファイル加工が好適に用いられる。本発明に係るグリスフィルターに用いられる金属多孔体の原材料としてのウレタンフォーム及びメラミンフォームに対しても、上記切削加工により、凸凹形状パターンが形成される。
【0023】
プロファイル加工は、概ね、以下のように行われる。プロファイル加工は、ウレタンフォーム等の表面に施すべき所定の凸凹形状パターンが突起によりそれぞれの外周面に形成された2つの押圧ロールを用いて、その間にウレタンフォーム等を挟み押圧しながら切断することにより行われる。
【0024】
より具体的には、2つの押圧ロールを突起が対応して合致するように相互に反対方向に回転させ、押圧ロール間にウレタンフォーム等を供給する。そうすると、ウレタンフォーム等の両面が押圧ロールにより狭圧され、この圧縮・変形状態にあるウレタンフォーム等を、2つの押圧ロールの間で送り方向に沿って切断手段(例えば、刃)により切断する。そうすると、切断面に所定の凹凸形状パターンが形成され、所定の凹凸形状パターンが一面に形成された板状のウレタンフォーム等を2つ得ることができる。
【0025】
ウレタンフォーム等の、凹凸形状パターンが形成されない他の面は、ウレタンフォーム等の初期の形状のままであり、通常平面である。本発明に係るグリスフィルターにおいては、好ましくは、この凹凸形状パターンが形成された面を、グリスフィルターの吸気面として使用し、凹凸形状パターンが形成されない他の面は、グリスフィルターの排気面として使用される。
【0026】
次に、本発明に係るグリスフィルターに用いる金属多孔体について説明する。この金属多孔体は、公知の方法により製造することができる。例えば、セル膜のない三次元網状構造を有する連続気泡樹脂発泡体であるウレタンフォーム等を用い、これを導電化処理後に電気めっきをする方法、無電解めっきにより直接金属を付着させる方法、金属パウダーをスラリー化して含浸する方法などにより骨格を金属で被覆する方法などを用い、ウレタンフォーム等の三次元網状構造の骨格に金属を付着させ、その後、還元雰囲気下にて焼成し、金属骨格のみを有する金属多孔体を得ることができる。
【0027】
このようにして得られた、本発明に係るグリスフィルターに用いる金属多孔体は、セル膜のない三次元網状構造を有し、この三次元網状構造が立体的に連続し連通した空間を形成する。オイルミスト中の油分が、グリスフィルターの吸気面から吸引され、その空間を通過する途中で金属骨格に衝突し、排気面に至るまでの間に、オイルミスト中の油分の大半は除去されることとなる。
【0028】
グリスフィルターに用いられる金属多孔体の基体としての金属は、一般的に、ニッケル又はニッケル合金が用いられる。これらは、耐アルカリ性、耐酸性であり、化学的に安定した金属であるため好ましい。本発明における金属多孔体においても、特に限定されず、一般的にグリスフィルターに用いられる金属多孔体に使用される金属を用いることができる。グリスフィルターは、使用すると金属骨格に油分が付着し目詰まりが生じるため、定期的に油分の洗浄除去が行われるが、洗浄効果のあるカセイソーダのようなアルカリ剤を用いて洗浄されるので、グリスフィルターは、長時間の浸漬においてもアルカリに侵されないことが必要であり、この点でニッケル又はニッケル合金が好ましい。
【0029】
グリスフィルターに用いられる金属多孔体において、一般的に、セル数は5〜40個/25mm、見掛け比重は0.1〜0.8である。本発明にかかるグリスフィルターに用いられる金属多孔体においても、特に限定されず、一般的にグリスフィルターに用いられる金属多孔体を用いることができる。
【0030】
本発明に係るグリスフィルターは、少なくとも一面側に、上述の切削加工によって形成された凹凸形状パターンを備えたウレタンフォーム等に上述のめっき等を施すことによって、前記凹凸形状パターンを備えた面を有する上記の金属多孔体が作製される。
【0031】
このようにして作製された、三次元網状構造を有する金属多孔体よりなり、少なくとも一面側に凹凸形状パターンを備えるグリスフィルターにおいては、少なくとも一面側に設けられた凹凸形状パターンの凹部により、凹部がないものに比し、グリスフィルターの平均厚みが減少し、グリスフィルターの全体重量が軽量化できる。また、グリスフィルターの片面に当たる吸気面側に、凹凸形状パターンを備えてもよい。
【0032】
その結果、グリスフィルターの交換、輸送、洗浄時の取扱が容易となる。また、グリスフィルターの平均厚み減少に伴い、グリスフィルターでの空気圧力損失を低減することができ、同じ風量のファンを使用した場合でも吸気性能が向上し、厨房環境を清潔に維持することができる。さらに、吸気面側に凹凸形状パターンを設けた場合、吸気面の表面積が増大し、平均厚みが減少しても、油分の捕捉効果を維持し、良好な油除去率を維持することができる。
【0033】
凹凸形状パターンは、図1(A)と(B)に示すような点状の凸部と凹部が交互に繰り返す形状であってもよいし、点状ではなく、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型であってもよい。線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型とは、点状の凸部と凹部が交互に繰り返す形状に比べ、線状の線に垂直な断面におけるグリスフィルターの吸気面側の断面形状が、断面の平行移動によっても、変化が少ない形状を言う。
【0034】
具体的には、図2A(A1)に示す吸気面の凹凸形状パターンは、平面(吸気面)視直線状の凸部と凹部が交互に一定間隔で繰り返す、直線に垂直な面による断面形状が波型であり、図2A(A2)に示す凹凸形状パターンは、平面(吸気面)視曲線(波形)状の凸部と凹部が交互に一定間隔で繰り返す、曲線(波形)の接線に垂直な面による断面形状が波型であり、図2A(D1)は、平面(吸気面)視点状の凸部と凹部が交互に一定間隔で繰り返す波型である。なお、図2A〜2Dにおいて、吸気面上に表わされた点又は線は、凸部である頂点又は稜線を表わしている。
【0035】
線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型は、凸部の突起が点である点状の凹凸形状に比べ、衝撃・摩擦・圧縮に強いので、グリスフィルターの交換、輸送、洗浄時に破損することを防止することができる。また、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型では、グリスフィルターの吸気面を真下に向けて又はオーバーハングに傾けて取り付けても、点状の凹凸形状に比べ、油が点状の凸部に集中しないので、油が垂れることが少ない。従って、凹凸形状パターンは、好ましくは、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型である。
【0036】
平面視で連続する線状(直線状・曲線状)の凸部が波状に配置される凹凸形状パターン(図2A(A1)及び(A2)に示す凹凸形状パターン)を用いたグリスフィルターにおいては、凸部である稜線が水平とならないように、即ち、凸部である稜線と排気面が平行な場合は連続する線状凸部の両端を結ぶ直線が水平とならないように傾斜させて設置すれば、フィルター表面に付着した油が重力により線状凸部に集まり、線状凸部に沿って流れやすいので好ましい。
【0037】
従って、連続する線状凸部の両端を結ぶ直線が排気面に平行である場合には、グリスフィルターの吸気面自体を真下に向けずに傾斜を付けて設置すると好ましい。逆に、グリスフィルターの吸気面自体を真下に向けて設置する場合は、連続する線状凸部の両端を結ぶ直線が排気面に水平でなく一定方向に傾斜していると、凸部の稜線即ち連続する線状凸部の両端を結ぶ直線が水平とならず傾斜するので好ましい。また、連続する線状凸部の両端を結ぶ直線が、鉛直方向に近づくようにすれば、さらに付着後の油が流動しやすく、付着した油を回収しやすい。
【0038】
なお、図1(A)に示す点状の凸部と凹部が交互に繰り返す形状における点のピッチは21mmであり、図1(B)示す形状における点のピッチは11mmである。また、図1(C)示す線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型における波のピッチは、5mm以上25mm以下が好ましい。
【0039】
点状の凹凸形状パターンは、上記の押圧ロールの突起が点状の凹凸形状パターンを有していることにより、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型のパターンは、上記の押圧ロールの突起が線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型のパターンを有していることにより、作製される。
【0040】
本発明に係るグリスフィルターは、さらに、吸気面側に少なくとも2種類以上の凹凸形状パターンを備えてもよい。異なる形状の波型や異なるピッチ巾を有する波型があることにより、特定方向の曲げ荷重に弱くなることがなく、多方向の曲げ荷重に対して強度を確保することができる。
【0041】
本発明に係るグリスフィルターは、さらに、凹凸形状パターンにおける一のパターンと他のパターンを、即ち、2種類以上の波型の凹凸形状パターンを備え、そのうち、2種類の凹凸形状パターンは、同じ線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型であってもよい。同じ線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型とは、線が直線の場合は直線が互いに同じ方向に並んで並行であり、線が曲線の場合は曲線の形や曲率が同じであり、また、凸部と凹部が交互に繰り返す波型のピッチは同じであり、凸部と凹部の高さの差が同じであり、凹凸形状パターン自体の形状(長方形、菱形、六角形、円形など)や大きさが同じであることを言う。従って、直線や曲線の本数や長さが異なっていても、同じパターンとみなす。
【0042】
即ち、さらに、他のパターンは、吸気面において一のパターンを回転させた形状のパターンであり、一のパターンと他のパターンは、吸気面に交互に配置されていてもよい。換言すれば、2種類以上の波型の凹凸形状パターンの内、一方の波型凹凸形状パターンは、他方の波型凹凸形状パターンを、吸気面上で平行移動及び回転移動させたものに等しい。
【0043】
換言すれば、線が直線の場合は、一方の波型凹凸形状パターンにおける波型を構成する直線状の凸部及び凹部の直線方向と、他方の波型凹凸形状パターンにおける波型を構成する直線状の凸部及び凹部の直線方向とが、平行でない。このような構成であれば、一方向の波型だと特定方向の曲げ荷重に弱くなるが、多方向の曲げ荷重に対して強度を確保することができる。
【0044】
さらに、本発明に係るグリスフィルターは、凹凸形状パターンにおける線状の凸部は、複数の直線からなり、その複数の直線の延長方向が、凹凸形状パターンを備える一面において2方向以上であるように配置されてもよい。ここで、2方向以上とは、複数の直線又はその延長方向が互いに平行でないことを言う。このような構成であれば、異なる方向を有する直線状の凸部が複数あるため、特定方向の曲げ加重に弱くなることがなく、多方向の曲げ荷重に対して強度を確保することができる。なお、1パターン内における直線状の凸部及び凹部の直線の長さは20mm〜100mm程度である。
【0045】
好ましくは、他のパターンは、吸気面において、一のパターンを90度回転させた形状のパターンである。換言すれば、線が直線の場合は、一方の波型凹凸形状パターンにおける波型を構成する直線状の凸部及び凹部の直線方向と、他方の波型凹凸形状パターンにおける波型を構成する直線状の凸部及び凹部の直線方向とが、直角を形成する。仮に、3種類のパターンを含む場合は、同じ線状の凹凸が交互に繰り返す波形が、0°、45°、90°の関係をもって互いに回転させてもよい。
【0046】
さらに、他のパターンは、一のパターンの上下左右に交互に配置されていることが好ましい。このような構成であれば、どの方向の曲げ荷重がかかっても、強度を確保することができる。
【0047】
より具体的には、図2A(A1)、(A2)には、1種類の凹凸形状パターンが表わされており、それぞれを同じ向きで上下左右に交互に配置しただけでは、強度が弱くなる方向があるので、図で示されたパターンを一のパターンとし、90°回転させたパターンを他のパターンとし、上下左右に交互に配置すると、どの方向の曲げ荷重がかかっても強度を確保することができる。
【0048】
図2A(B1)〜(C2)には、この凹凸形状の中に、既に複数の凹凸パターンが表わされているので、図2Bと図2C1に示すように、それぞれを同じ向きで上下左右に交互に配置すれば、どの方向の曲げ荷重がかかっても強度を確保することができる。図2A(B1)は、互いに90°回転させた2種類の直線が一定幅に並んで配置される凹凸形状パターンが表わされている。なお、このような4つのパターン(矩形点線で囲われた部分)を一つの単位として取り扱うと、この4つのパターンのうち、左側2つのパターンの凹凸形状が反転されて、右側の2つのパターンが形成され、互いの反転形状が対角線上に配置される。このため、板状のウレタンフォーム等を厚み方向の中央において、前記プロファイル加工の切断手段により切断すると、全く同じ凹凸形状を備えたグリスフィルターを2つ得ることができる。
【0049】
図2A(B2)は、図2A(B1)と同様、この矩形の一単位内において、矩形の辺と垂直及び平行な線状の凸部から構成された凹凸形状パターンを表わしている。このパターンも、図2Bに示すように、それぞれを同じ向きで上下左右に交互に配置すれば、どの方向の曲げ荷重がかかっても強度を確保することができる。
【0050】
図2A(C1)〜(C3)には、この矩形の一単位内において、矩形の辺と垂直でも平行でもない線状の凸部から構成された凹凸形状パターンが表わされている。このパターンも、図2C1と図2C2に示すように、それぞれを同じ向きで上下左右に交互に配置すれば、どの方向の曲げ荷重がかかっても強度を確保することができる。さらに、連続する線状凸部の両端を結ぶどの直線も、即ち、どの凸部の稜線も、グリスフィルターを傾けて設置した際に水平とならないので、フィルター表面に付着した油が、重力により線状凸部に集まり、線状凸部にそって流れやすいので好ましい。
【0051】
図2A(D2)には、曲線(円形)状の凸部と凹部が同心円状に一定間隔で繰り返す波型の凹凸形状パターンが表わされている。このパターンも、図2Dに示すように、それぞれを同じ向きで上下左右に交互に配置すれば、どの方向の曲げ荷重がかかっても強度を確保することができる。
【0052】
さらに好ましくは、グリスフィルターの排気面側は平面であり、凹凸形状パターンの厚み方向における、排気面から凹部までの最小距離に対する、排気面から垂直方向に凸部までの最大距離との比(凹凸比率)は1.1以上3以下であってもよい。換言すると、凹凸形状パターンにおける、排気面から凹部までの最小距離に対する、排気面から垂直方向に凸部までの最大距離から排気面から凹部までの最小距離の差との比(割比率)は、0.1以上2以下であってもよい。また、排気面から垂直方向に吸気面の線状の凸部までの最大距離と、排気面から吸気面の凹部までの最小距離の差は、1mm以上10mm以下であってもよく、好ましくは2mm以上8mm以下であってもよい。さらに好ましくは、3mm以上であり、グリスフィルターの厚み(排気面から垂直方向に吸気面の線状の凸部までの最大距離)が30mmの場合、凹凸比率は1.1、割比率は0.1である。
【0053】
このような凹凸形状の波型であれば、グリスフィルターの吸気面の表面積増大と強度の確保のバランスが良好となる。即ち、凹凸比率や割比率が大きくなると吸気面の表面積は増加するが、凹凸の差が大きくなるので、凸部が破損しやすく、凹部が折れ曲がり易くなる。一方、凹凸比率や割比率が小さくなると凹凸の差が小さくなるので、凸部が破損し難く、凹部が折れ曲がり難くなるが、吸気面の表面積の増大が小さいので、油分の捕捉効果が小さくなる。従って、上記範囲内であれば、両者のバランスが取れたものとなる。
【0054】
なお、グリスフィルターの厚みが十分であり強度がある場合(例えば、厚みが30mm以上の場合)は、排気面から垂直方向に吸気面の線状の凸部までの最大距離と、排気面から吸気面の凹部までの最小距離の差は、1mm以上、好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上であってよい。このような凹凸形状の波型であれば、グリスフィルターの吸気面の表面積を増大させ、油分の捕捉効果を維持し、良好な油除去率を維持することができる。
【0055】
本発明に係るグリスフィルターは、通常、図1に示すように、その形状は一辺が200〜500mmである四角形であり、四角型のフィルター枠に納めて用いられる。本発明に係るグリス除去装置は、上述したグリスフィルターを、フィルター枠に納め、凹凸形状パターンが吸気面側になるように配置したグリス除去装置である。グリス除去装置は、グリスフィルターを備えたフードと、前記フードに連接される吸気ダクトおよび吸気ダクトに設けられる空気吸引装置からなる。前記フードは油脂蒸気の発生箇所の上部を覆うように設けられ、その一部は開口されており、その開口部の上流側にフィルター枠に納めたグリスフィルターが設置されている。前記フード開口部に下流側に吸気ダクトが延設され、さらに吸気ダクトの流路には、空気吸引のためのブロワー等の吸引装置が設けられている。前記吸引装置により前記吸気ダクト内が負圧にされて気流が生じ、油脂蒸気を含む空気がグリスフィルターを通過し、所定の油の除去がなされた後、吸気ダクト内に流入する。
【0056】
本発明の諸態様について説明する。本発明に係るグリスフィルターの製造方法は、三次元網状構造を有する板状の金属多孔体よりなるグリスフィルターの製造方法であって、三次元網状構造骨格を有する連続気泡樹脂発泡体からなる板状体を成形し、前記板状体の少なくとも一面に、プロファイル加工やCF加工などの切削加工によって、凹凸形状パターンが形成され、その後に、導電化処理後に電気めっきをする方法、無電解めっきにより直接金属を付着させる方法、金属粉体をスラリー化して含浸する方法のうち少なくとも一つの方法によって前記板状体の三次元網状構造骨格に金属を付着させることを特徴とするグリスフィルターの製造方法である。このようにすれば、軽量で圧力損失の低い三次元網状構造を有する板状の金属多孔体よりなるグリスフィルターが簡単に製造できる。
【実施例】
【0057】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、さらに具体的に説明する。
<実施例1>
セル膜を除去し、図1(C)に示すイノカームというプロファイル加工を行ったウレタンフォーム(セル数:25個/25mm)に導電化処理を行い、見掛け比重が0.4となるようにニッケル電気めっきを行った後、還元雰囲気下にて焼成(900°C)し、金属多孔体即ちグリスフィルターを得た。大きさは500×500mm角であり、重量は818g(グラム)である。
【0058】
図1(C)に示すように、イノカームという凹凸形状パターンは、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型4種類のパターンからなる。左上に位置するaと右下に位置するcを一組、右上に位置するbと左下に位置するdを他の一組とすると、各組の一方の凸部が他方の凹部となるように、凹凸が反転された形状となる。また、aとbは略同じ凹凸形状パターンを有し、aの凹凸形状パターンは、bのパターンを90度回転させた形状のパターンであり、cとdは略同じ凹凸形状パターンを有し、cの凹凸形状パターンは、dのパターンを90度回転させた形状のパターンであり、互いに隣接するよう配置されている。波型のピッチ巾は10〜15mm、1パターン内における直線状の凸部及び凹部の直線の長さは25〜35mmである
【0059】
金属多孔体の厚み、即ち、排気面から垂直方向に吸気面の線状の凸部までの最大距離は、10mmである。また、凹凸形状パターンにおける、排気面から凹部までの最小距離に対する、排気面から垂直方向に凸部までの最大距離との比(凹凸比率)は、1.5(3/2)であり、凹凸形状パターンにおける、排気面から凹部までの最小距離に対する、排気面から垂直方向に凸部までの最大距離から排気面から凹部までの最小距離の差との比(割比率)は、0.5(1/2)である。また、排気面から垂直方向に吸気面の線状の凸部までの最大距離と、排気面から吸気面の凹部までの最小距離の差は、3.3mmである。
【0060】
上記のように作製されたグリスフィルターにおいて、圧力損失は16.2Pa(パスカル)、油除去率は91.3%であった。なお、圧力損失及び油除去率の測定・評価方法は後述する。
【0061】
<実施例2>
グリスフィルターの凹凸比率は2(2/1)、割比率は1(1/1)であり、また、重量は735gである。その他は、実施例1と同じである。
その結果、圧力損失は13.4Pa、油除去率は87.5%であった。
【0062】
<実施例3>
グリスフィルターの凹凸比率は3(3/1)、割比率は2(2/1)であり、また、重量は653gである。その他は、実施例1と同じである。
その結果、圧力損失は11.3Pa、油除去率は84.3%であった。
【0063】
<実施例4>
グリスフィルターのプロファイル加工は、図1(A)に示す、点状の凸部と凹部が交互に繰り返す形状を有するP−1である。また、重量は820gである。その他は、実施例1と同じである。
その結果、圧力損失は15.8Pa、油除去率は90.6%であった。
【0064】
<実施例5>
使用したウレタンフォームのセル数は、20個/25mmである。グリスフィルターの見掛け比重は0.3であり、厚みは20mmである。また、重量は1225gである。その他は、実施例1と同じである。
その結果、圧力損失は18.2Pa、油除去率は92.9%であった。
【0065】
<実施例6>
グリスフィルターの見掛け比重は0.18であり、重量は368gである。その他は、実施例1と同じである。
その結果、圧力損失は15.2Pa、油除去率は90.6%であった。
【0066】
<比較例>
グリスフィルターのプロファイル加工は行われておらず、吸気面は平面である。厚み10mmは、吸気面と排気面の距離である。また、重量は980gである。その他は、実施例1と同じである。
その結果、圧力損失は20.3Pa、油除去率は90.5%であった。
【0067】
【表1】

【0068】
<実施例と比較例の対比>
実施例1と比較例を対比すると、厚み、見掛け比重、セル数は同じだが、実施例1はプロファイル加工(イノカーム)が吸気面側に施されたことにより、吸気面での凹部によりその分の重量が減少し、比較例が980gの重量に対して、818gの重量となり、約17%の軽量化が図られた。また、実施例1は、プロファイル加工の凹部により、圧力損失においても、比較例の20.3Paに対して、16.2Paと約20%減少した。
【0069】
一方で、油除去率においては、比較例の90.5%に対して、実施例1は91.3%となり、全体重量が減少し平均厚みが減少しているにもかかわらず、吸気面側にプロファイル加工を施したことにより表面積が増大したために、却って油除去率は向上した。
【0070】
実施例1と実施例2を対比すると、実施例2は、実施例1に比べ、凹凸比率及び割比率が大きく、吸気面での凹凸の度合いが大きくなり、表面積がより大きくなっている。一方で、全体重量が減少し平均厚みが減少しているので、実施例2の圧力損失は、実施例1の16.2Paに比し、13.4Paと減少しているものの、油除去率は4%弱悪くなっている。但し、社団法人日本厨房工業会の手引書が、油除去率は75%以上であることがグリスフィルターに求められる要件としていることを鑑みると、実施例2における油除去率は十分にその要件を満たすものである。
【0071】
実施例1と実施例3を対比すると、実施例3は、実施例1に比べ、実施例2よりもさらに、凹凸比率及び割比率が大きく、吸気面での凹凸の度合いが大きくなり、表面積がより大きくなっている。一方で、全体重量が減少し平均厚みが減少しているので、実施例3の圧力損失は、11.3Paと減少しているものの、油除去率はさらに3%程度悪くなっている。但し、社団法人日本厨房工業会の手引書が、油除去率は75%以上であることがグリスフィルターに求められる要件としていることを鑑みると、実施例3における油除去率は十分にその要件を満たすものである。
【0072】
実施例1と実施例4を対比すると、実施例4は、実施例1とはプロファイル加工の形状が異なり、P−1という、点状の凸部と凹部が交互に繰り返す形状を吸気面に有するグリスフィルターである。両者の重量はほぼ同じである。実施例4の圧力損失は実施例1に比べ却って小さくなるが、表面積が実施例1のプロファイル加工より大きくなるためか、油除去率は90.6%と、実施例1をわずかに下回るに留まる。一方、実施例1には、上述したように、これらの数字には表れない、定性的に優れた点(衝撃・摩擦・圧縮に強い、油が垂れにくい)があることは言うまでもない。
【0073】
実施例1と実施例5を対比すると、実施例5は、実施例1に比べ、見掛け比重が小さく、厚みが倍である。その結果、グリスフィルターの重量は50%程度重くなっている。油除去率が向上することは言うまでもないが、厚みを倍にしても、圧力損失は、実施例1よりは大きくなるが、比較例よりは2Pa以上小さい。これは、吸気面にプロファイル加工を施すことにより吸気面の表面積が増大したことに起因する。換言すれば、吸気面に凹凸形状を備えることは、グリスフィルターの厚みを増大させても、圧力損失がそれほど大きくならないという効果を有すると言える。
【0074】
実施例1と実施例6を対比すると、実施例6の見掛け比重が0.18であり、実施例1に比べ、半分以下と小さい。その結果、重量は368gと、比較例に比べ60%以上、実施例1に比べても約55%の軽量化が図られた。さらに、圧力損失はさらに向上する共に、油除去率においては90.6であり、実施例1よりわずかに劣るものの、比較例1と同等の性能を示した。これは、吸気面にプロファイル加工を施すことにより吸気面の表面積が増大したことに起因する。換言すれば、吸気面に凹凸形状を備えることは、グリスフィルターの見掛け比重を小さくしても、油除去率はそれほど減少しないという効果を有すると言える。
【0075】
<測定・評価方法>
油除去試験は、図3に示すように、社団法人日本厨房工業会の手引書に基づき、概ね以下のように行う。まず、グリスフィルター1は、グリスフィルター1の下限とヒーター4の距離を45cm程とし、水平面に対し45度の傾斜を以って配置される。温度を270°Cに保つように設定した油脂蒸気発生容器3に油(植物油)及び水を同時に滴下し、油脂蒸気を発生させる。油の供給は5分間の点滴量13g程度(10秒10滴程度)とし、水の供給は5分間の点滴量40g程度(10秒30滴程度)とする。グリスフィルター1前方の風速は、風量調整用ダンパー(図示せず)の調整により、平均風速1.1m/秒〜1.2m/秒とする。なお、試験時間は連続4時間である。グリスフィルター1により捕捉された油脂は、グリス回収用トイ2に回収される。
【0076】
上記のようにして測定したデータを基に、油除去率は、次の式により求められる。
油除去率(%)=(グリス回収容器回収量(g)+グリスフィルター付着量(g))÷油脂蒸気の油使用量(g)×100
【0077】
また、圧力損失は、グリスフィルターに定格風量で使用した時の入口の圧力(上流側静圧)と出口(下流側静圧)の差の圧力である。圧力損失は、微差圧計を用いて測定する。
圧力損失(Pa)=上流側静圧(Pa)−下流側静圧(Pa)
【0078】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 グリスフィルター
2 グリス回収用トイ
3 油脂蒸気発生容器
4 ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元網状構造を有する板状の金属多孔体よりなるグリスフィルターにおいて、
少なくとも一面側に凹凸形状パターンを備えるグリスフィルター。
【請求項2】
前記一面側が吸気面側である請求項1に記載のグリスフィルター。
【請求項3】
前記凹凸形状パターンは、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型であることを特徴とする請求項1又は2に記載のグリスフィルター。
【請求項4】
前記凹凸形状パターンにおける線状の凸部は、複数の直線からなり、前記複数の直線の延長方向が、前記凹凸形状パターンを備える一面において2方向以上であるように配置されることを特徴とする請求項3に記載のグリスフィルター。
【請求項5】
前記グリスフィルターは、少なくとも2種類以上の凹凸形状パターンを備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載のグリスフィルター。
【請求項6】
前記凹凸形状パターンにおける一のパターン(I)と前記凹凸形状パターンにおける他のパターン(II)は、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型であり、
前記パターン(II)は、前記パターン(I)の前記凸部と前記凹部が反転した形状であり、
前記パターン(I)と前記パターン(II)は、前記凹凸形状を備える一面において一定の位置関係に複数配置されていることを特徴とする請求項5に記載のグリスフィルター。
【請求項7】
前記凹凸形状パターンにおける一のパターン(I)と前記凹凸形状パターンにおける他のパターン(III)は、線状の凸部と凹部が交互に繰り返す波型であり、
前記パターン(III)は、前記凹凸形状パターンを備える一面において前記パターン(I)を回転させた形状のパターンであり、
前記パターン(I)と前記パターン(III)は、前記一面において一定の位置関係に複数配置されていることを特徴とする請求項5に記載のグリスフィルター。
【請求項8】
前記パターン(III)は、前記一面において、前記パターン(I)を90度回転させた形状のパターンであり、前記パターン(I)の上下左右のいずれかに配置されていることを特徴とする請求項7に記載のグリスフィルター。
【請求項9】
前記凹凸形状パターンにおける線状の凸部は、曲線からなることを特徴とする請求項3に記載のグリスフィルター。
【請求項10】
前記グリスフィルターの排気面側は平面であり、
前記凹凸形状パターンにおける、前記排気面から前記凹部までの最小距離に対する、前記排気面から垂直方向に前記凸部までの最大距離との比は1.1以上3以下であることを特徴とする請求項2乃至9いずれかに記載のグリスフィルター。
【請求項11】
前記グリスフィルターの排気面側は平面であり、
前記凹凸形状パターンにおける、前記排気面から垂直方向に前記凸部までの最大距離と、前記排気面から前記凹部までの最小距離との差は3mm以上であることを特徴とする請求項2乃至9いずれかに記載のグリスフィルター。
【請求項12】
請求項1乃至11に記載のグリスフィルターを、凹凸形状パターンが吸気面側になるように配置したグリス除去装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C1】
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【図2C2】
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【図2D】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−27807(P2013−27807A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164798(P2011−164798)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】