説明

グリルシャッター制御装置

【課題】シャッターの作動に係る異常を速やかに解消することができるグリルシャッター制御装置を提供する。
【解決手段】中央処理装置41は、車両前方の空気をエンジンルーム内に導入するための空気導入路に設けられるシャッターを開閉作動させる第1及び第2駆動装置37,38を駆動制御する。中央処理装置41は、シャッターの作動開始後の状態に基づいて異常を検出し、該検出された異常に基づいて表示灯48にてユーザーに報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前方の空気をエンジンルーム内に導入するための空気導入路に設けられるシャッターを開閉制御するグリルシャッター制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、こうしたグリルシャッター制御装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この装置は、基本的に水温センサにより検出された水温が設定温度(例えば80°C)以下のときはシャッターを閉じることでエンジンルーム内への空気の導入を阻止し、エンジンの暖機性能を向上する。また、水温センサにより検出された水温が設定温度(例えば90°C)以上のときはシャッターを開くことで多量の空気をエンジンルーム内に導入し、ラジエター内を循環する冷却水を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−84723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、シャッターの作動に係る異常検出について何ら言及されていない。この場合、ユーザーは前記した異常に気付くことが困難であるため、当該異常状態のまま放置されることになる。これにより、例えばシャッターが閉状態で作動不能に陥った場合には、冷却性能が低下してエンジンがオーバーヒートする可能性がある。また、オーバーヒートとならない場合には、エンジンルーム内の温度が常に高い状態に維持されることになって、エンジン部品特にゴム製や樹脂製の部品の経年劣化を加速し、耐久年数を短くするおそれがある。
【0005】
つまり、オーバーヒートの場合はインストルメントパネルの水温計でユーザーは異常に気付くことができるが、オーバーヒートとならない場合はユーザーが異常に気付くことなくエンジン部品の経年劣化が加速していることになる。
【0006】
本発明の目的は、シャッターの作動に係る異常を速やかに解消することができるグリルシャッター制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両前方の空気をエンジンルーム内に導入するための空気導入路に設けられるシャッターを開閉作動させる駆動装置を駆動制御するグリルシャッター制御装置において、前記シャッターの作動開始後の状態に基づいて異常を検出する異常検出手段と、前記検出された異常に基づいてユーザーに報知する報知手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、前記異常検出手段により異常が検出されると、該異常に基づいて前記報知手段によりユーザーに報知される。これにより、ユーザーに対しディーラー等での修理を促すことができ、前記シャッターの異常を速やかに解消することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のグリルシャッター制御装置において、前記異常検出手段により前記異常が検出されたとき、前記シャッターの作動を再開するリトライ手段と、前記リトライ手段による前記シャッターの作動再開に伴い、前記異常検出手段による前記異常の検出が所定回数繰り返されたときに、異常を判定する異常判定手段とを備え、前記報知手段は、前記判定された異常に基づいてユーザーに報知することを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、前記リトライ手段による前記シャッターの作動再開に伴い、前記異常検出手段による前記異常の検出が所定回数繰り返されたときに、前記異常判定手段により異常が判定される。そして、前記報知手段は、前記判定された異常に基づいてユーザーに報知するため、例えば前記異常検出手段により一時的に前記異常が検出されたとしても、前記報知手段による徒な報知を抑制することができ、当該報知による煩わしさを抑制することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のグリルシャッター制御装置において、前記異常検出手段による前記異常の検出が所定回数繰り返されたときに、異常を判定する異常判定手段を備え、前記報知手段は、前記判定された異常に基づいてユーザーに報知することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、前記異常検出手段による前記異常の検出が所定回数繰り返されたときに、前記異常判定手段により異常が判定される。そして、前記報知手段は、前記判定された異常に基づいてユーザーに報知するため、例えば前記異常検出手段により一時的に前記異常が検出されたとしても、前記報知手段による徒な報知を抑制することができ、当該報知による煩わしさを抑制することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のグリルシャッター制御装置において、前記異常判定手段による前記異常の判定が所定回数繰り返されたときに、異常を確定する異常確定手段を備え、前記報知手段は、前記確定された異常に基づいてユーザーに報知することを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、前記異常判定手段による前記異常の判定が所定回数繰り返されたときに、前記異常確定手段により異常が確定される。そして、前記報知手段は、前記確定された異常に基づいてユーザーに報知するため、例えば前記異常判定手段により一時的に前記異常が判定されたとしても、前記報知手段による徒な報知を一層抑制することができ、当該報知による煩わしさを抑制することができる。あるいは、前記報知手段による報知の信頼性を向上することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグリルシャッター制御装置において、車両情報に基づき前記シャッターを作動する第1作動手段と、前回のイグニッションスイッチのオン状態にある期間に前記車両情報に基づく前記第1作動手段による前記シャッターの作動履歴がなかったとき、前記イグニッションスイッチがオンに切り替わることで前記シャッターを作動する第2作動手段とを備えたことを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、前回のイグニッションスイッチのオン状態にある期間(即ち前回のイグニッションスイッチのオンへの切り替わりからその後のオフへの切り替わりまでの期間)に前記車両情報に基づく前記第1作動手段による前記シャッターの作動履歴がなかったとき、当該期間を通じて前記異常検出手段による異常検出等の機会を逸することになる。この場合、次のイグニッションスイッチのオンへの切り替わりに合わせて、前記第2作動手段により前記シャッターが強制的に作動されることで、前記異常検出手段による異常検出等の機会を得ることができる。従って、例えば前記異常検出手段による異常検出等の機会が得られないまま長期間に亘って放置されることを抑制できる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグリルシャッター制御装置において、前記報知手段による報知に合わせて前記シャッターの作動を禁止する禁止手段と、前回のイグニッションスイッチのオン状態にある期間に前記報知手段による報知があったとき、前記イグニッションスイッチがオンに切り替わることで前記シャッターを作動する第3作動手段と、前記第3作動手段による前記シャッターの作動に伴う前記異常検出手段による前記異常の非検出に基づいて、前記禁止手段による前記シャッターの作動禁止を解除する解除手段とを備えたことを要旨とする。
【0018】
同構成によれば、前回のイグニッションスイッチのオン状態にある期間(即ち前回のイグニッションスイッチのオンへの切り替わりからその後のオフへの切り替わりまでの期間)に前記報知手段による報知があったとき、前記禁止手段により前記シャッターの作動が禁止される。この場合、次のイグニッションスイッチのオンへの切り替わりに合わせて、前記第3作動手段により前記シャッターが強制的に作動されることで、前記異常検出手段による異常検出等の機会を得ることができる。そして、前記異常検出手段による前記異常の非検出に基づいて、前記解除手段により前記禁止手段による前記シャッターの作動禁止が解除される。ここで、前回のイグニッションスイッチのオン状態にある期間における前記報知手段による報知の原因が、例えば前記シャッターの凍結による固着であった場合には、その後の解凍によって当該原因が解消されることがある。従って、前記報知手段による一時的な報知によって、前記禁止手段による前記シャッターの作動禁止が徒に継続されることを抑制できる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のグリルシャッター制御装置において、前記報知手段による報知に合わせて前記シャッターの作動を禁止する禁止手段と、前回のイグニッションスイッチのオン状態にある期間に前記報知手段による報知があったとき、前記イグニッションスイッチがオンに切り替わることで前記シャッターを作動する第3作動手段とを備え、前記第3作動手段による前記シャッターの作動に伴う前記異常検出手段による前記異常の非検出に基づいて、前記報知手段による報知及び前記禁止手段による前記シャッターの作動禁止を解除し、前記第3作動手段による前記シャッターの作動に伴う前記異常検出手段による前記異常の検出に基づいて、前記報知手段による報知及び前記禁止手段による前記シャッターの作動禁止を直ちに行うことを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、仮に前回のイグニッションスイッチのオフ時に前記報知手段による報知及び前記禁止手段による前記シャッターの作動禁止が一旦解除される構成であっても、前記第3作動手段による前記シャッターの作動に伴い、前記異常検出手段により前記異常が検出された場合には、前記報知手段による報知及び前記禁止手段による前記シャッターの作動禁止を直ちに行うことができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のグリルシャッター制御装置において、前記異常検出手段は、前記シャッターの作動開始後、予め設定されている停止条件の成立に基づき作動停止したときの移動位置が所定範囲から外れる場合、前記シャッターの作動開始後、予め設定されている停止条件の成立に基づき作動停止したときの移動量が所定移動量を下回る場合、前記シャッターの作動開始後の経過時間が第1の所定時間に達することなく予め設定されている停止条件が成立する場合、及び、前記シャッターの作動開始後の経過時間が第2の所定時間を超えても予め設定されている停止条件が成立しない場合の少なくとも一つが成立したときに前記異常を検出することを要旨とする。
【0022】
同構成によれば、例えば前記停止条件として前記駆動装置の駆動力(又はこれに相関する物理量)の閾値判定を利用する場合、例えばシャッターの固着や異物の挟み込みなどに起因して負荷が増加すると、本来よりも過早に前記停止条件が成立する。
【0023】
この場合、例えば前記停止条件の成立に基づき作動停止したときの移動位置がずれる。従って、前記停止条件の成立に基づき作動停止したときの移動位置を監視して、該移動位置が所定範囲から外れることで前記異常を検出することができる。
【0024】
あるいは、前記停止条件の成立に基づき作動停止したときの移動量が減少する。従って、前記停止条件の成立に基づき作動停止したときの移動量を監視して、該移動量が所定移動量を下回ることで前記異常を検出することができる。
【0025】
あるいは、前記停止条件が本来よりも短時間で成立する。従って、前記シャッターの作動開始後の経過時間を監視して、該経過時間が前記第1の所定時間に達することなく前記停止条件が成立することで前記異常を検出することができる。
【0026】
一方、例えば前記駆動装置(前記シャッターとの間を連係する機構を含む)の動力伝達に異常が生じた場合、前記停止条件の成立までに本来よりも長時間を要することになる。従って、前記シャッターの作動開始後の経過時間を監視して、該経過時間が前記第2の所定時間を超えても前記停止条件が成立しないことで前記異常を検出することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、シャッターの作動に係る異常を速やかに解消することができるグリルシャッター制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】車両のエンジンルーム内を示す側面図。
【図2】車両のエンジンルーム内を示す側面図。
【図3】本発明の電気的構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第1の実施形態の制御態様を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態の制御態様を示すフローチャート。
【図6】本発明の第3の実施形態の制御態様を示すフローチャート。
【図7】本発明の第4の実施形態の制御態様を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施形態)
図1を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。同図1に示すように、自動車などの車両の前側部分に設けられるエンジンルーム1内には、走行用のエンジン2が設けられるとともに、該エンジン2の車両前側で車両ボディ3に取着されたエンジン冷却水冷却用のラジエター4が設けられている。そして、ラジエター4の車両高さ方向中間部においてその車両前側には、車両ボディ3に取着されたバンパー5が車両幅方向(紙面に直交する方向)に延在する。
【0030】
バンパー5の上側及び下側には、格子状の第1フロントグリル6及び第2フロントグリル7が装着されている。第1フロントグリル6は、ラジエター4の前面上部との間で第1空気導入通路8aを形成するとともに、第2フロントグリル7は、ラジエター4の前面下部との間で第2空気導入通路8bを形成する。これら第1及び第2空気導入通路8a,8bは、車両前方の空気をラジエター4の前面に導入するための空気導入路8を構成する。
【0031】
ラジエター4の前側に隣接して車両高さ方向に並設された略四角枠状の第1フレーム11及び第2フレーム12は、ブラケット13,14を介して車両ボディ3にそれぞれ取着されている。第1フレーム11は、先端に第1蛇腹部15aを有してブラケット13の下面に固定された第1本体枠15と、該第1本体枠15の内側に固定された第1筐体枠16とを備える。同様に、第2フレーム12は、先端に第2蛇腹部17aを有してブラケット14の上面に固定された第2本体枠17と、該第2本体枠17の内側に固定された第2筐体枠18とを備える。なお、第1筐体枠16は、ラジエター4の前面上部を取り囲むように配置されてその内側に略四角形の第1空気流通路19を形成するとともに、第2筐体枠18は、ラジエター4の前面下部を取り囲むように配置されてその内側に略四角形の第2空気流通路20を形成する。
【0032】
第1本体枠15は、第1フロントグリル6の上側から車両後方に延出する壁材21に第1蛇腹部15aの内側上部が圧接するとともに、バンパー5の上壁部に第1蛇腹部15aの内側下部が圧接することで、前記第1空気導入通路8aの上側及び下側を区画する。そして、車両前方の空気は、第1フロントグリル6及び第1空気流通路19を通ってラジエター4の前面上部に導入されるようになる。第1空気流通路19は、第1空気導入通路8aの一部を構成する。同様に、第2本体枠17は、バンパー5の下壁部に第2蛇腹部17aの内側上部が圧接するとともに、第2フロントグリル7の下側から車両後方に延出する壁材22に第2蛇腹部17aの内側下部が圧接することで、前記第2空気導入通路8bの上側及び下側を区画する。そして、車両前方の空気は、第2フロントグリル7及び第2空気流通路20を通ってラジエター4の前面下部に導入されるようになる。第2空気流通路20は、第2空気導入通路8bの一部を構成する。
【0033】
第1及び第2筐体枠16,18の内周側、即ち第1及び第2空気流通路19,20には、ラジエター4の前面に導入される車両前方の空気の流量を調整するための第1シャッター31及び第2シャッター32がそれぞれ設置されている。第1シャッター31は、車両高さ方向に間隔をおいて配設され車両幅方向に延びる軸線周りに回動可能な複数の第1可動フィン33を備える。各第1可動フィン33は、車両幅方向両端部において第1筐体枠16に軸支されており、全ての第1可動フィン33は、一体回動するように相互に連携されている。同様に、第2シャッター32は、車両高さ方向に間隔をおいて配設され車両幅方向に延びる軸線周りに回動可能な複数の第2可動フィン34を備える。各第2可動フィン34は、車両幅方向両端部において第2筐体枠18に軸支されており、全ての第2可動フィン34は、一体回動するように相互に連携されている。第1及び第2シャッター31,32は、第1及び第2可動フィン33,34が各々の軸線周りに回動することで、第1及び第2空気流通路19,20(第1及び第2空気導入通路8a,8b)をそれぞれ開閉する。
【0034】
すなわち、図1に示すように、第1及び第2可動フィン33,34が車両前後方向に略一致する第1及び第2空気流通路19,20の開口方向に延在する回動位置(以下、「全開位置」ともいう)にあるとき、第1及び第2空気流通路19,20が最大限に開放されてラジエター4の前面に導入される車両前方の空気の流量が最大となる。一方、図2に示すように、第1及び第2可動フィン33,34の縁部同士が重なるように全開位置から反時計回りに回動した回動位置(以下、「全閉位置」ともいう)にあるとき、第1及び第2空気流通路19,20が閉塞されてラジエター4の前面への車両前方の空気の導入が遮断される。これら第1及び第2シャッター31,32はシャッターを構成する。
【0035】
なお、第1及び第2筐体枠16,18には、一の第1及び第2可動フィン33,34の図示時計回りの回動軌跡上に配置されて当該第1及び第2可動フィン33,34(従って、全ての第1及び第2可動フィン33,34)を全開位置で係止する全開ストッパ35が設置されている。また、第1及び第2筐体枠16,18には、一の第1及び第2可動フィン33,34の図示反時計回りの回動軌跡上に配置されて当該第1及び第2可動フィン33,34(従って、全ての第1及び第2可動フィン33,34)を全閉位置で係止する全閉ストッパ36が設置されている。つまり、第1及び第2可動フィン33,34は、全開ストッパ35及び全閉ストッパ36によって回動が係止される全開位置及び全閉位置間に各々の可動範囲が設定されるとともに、これら全開位置及び全閉位置間の任意の回動位置に配置されることで、ラジエター4の前面に導入される車両前方の空気の流量を連続的に調整する。
【0036】
次に、本実施形態の電気的構成について説明する。図3に示すように、例えば減速機付きDCモータからなる第1駆動装置37及び第2駆動装置38は、第1及び第2シャッター31,32にそれぞれ機械的に連係されるとともに、例えばマイコンを主体に構成された制御装置40にそれぞれ電気的に接続されている。これら第1及び第2駆動装置37,38は、駆動装置を構成するもので、制御装置40により駆動制御されて第1及び第2シャッター31,32をそれぞれ開閉作動させる。
【0037】
すなわち、制御装置40は、メモリ41a及びタイマ41bを有する中央処理装置41を備えるとともに、該中央処理装置41に電気的に接続されたモータ制御回路42を備えている。そして、制御装置40は、モータ制御回路42において第1及び第2駆動装置37,38にそれぞれ電気的に接続されている。モータ制御回路42は、中央処理装置41からの通電指令が入力されると、回動方向に対応する極性で第1、第2駆動装置37,38に通電する。これにより、第1、第2可動フィン33,34が全開位置又は全閉位置へと移動する。
【0038】
中央処理装置41には、イグニッションスイッチ43のオン・オフ操作を表す信号を入力するIG信号入力回路44が電気的に接続されている。また、中央処理装置41には、例えば一対のホール素子で構成されるパルスセンサ45の第1可動フィン33又は第2可動フィン34の開閉位置(絶対値)を表す信号(パルス信号)を入力する入力回路46が電気的に接続されている。さらに、中央処理装置41には、適宜のセンサで検出された各種車両情報を受信する通信回路47が電気的に接続されている。具体的には、通信回路47は、車両速度を表す車速信号、ラジエター4における冷却水温度を表す水温信号、車両周囲の外気温度を表す外気温信号、空調システムの冷媒圧力を表す冷媒圧信号、及び空調システムのオン・オフ状態や冷房・暖房運転状態を表す空調状態信号の少なくとも一つを受信する。中央処理装置41は、通信回路47で受信したこれらの信号に基づいて、車両速度、ラジエター4における冷却水温度、車両周囲の温度、空調システムの冷媒圧力、空調システムのオン・オフ状態、冷房・暖房運転状態などを取得する。
【0039】
また、中央処理装置41には、例えばLEDからなる報知手段としての表示灯48に駆動信号を出力する出力回路49が電気的に接続されている。表示灯48は、例えばインストルメンタルパネルに設置されており、出力回路49は、中央処理装置41からの通電指令が入力されることで、表示灯48に駆動信号を出力する。これにより、表示灯48が点灯する。
【0040】
中央処理装置41は、イグニッションスイッチ43のオン・オフ状態、第1可動フィン33又は第2可動フィン34の開閉位置及び各種車両情報に基づいて、所定の開閉作動条件の成立を判断したときに、第1、第2シャッター31,32の開閉作動を開始すべく、モータ制御回路42に対する通電指令の出力を開始する。これにより、第1、第2駆動装置37,38が駆動されて、第1、第2可動フィン33,34が全開位置又は全閉位置へと移動する。なお、第1、第2可動フィン33,34の全開位置又は全閉位置への移動が完了すると、前述の態様で第1、第2可動フィン33,34の移動が係止される。これにより、第1、第2駆動装置37,38においてモータロックが発生し、これに伴う負荷の増大によって第1、第2駆動装置37,38への通電量が増加する。中央処理装置41は、基本的に第1、第2駆動装置37,38への通電量の増加を監視することで、第1、第2可動フィン33,34の全開位置又は全閉位置への移動が完了したことを検知するとともに、該検知に基づいて第1、第2シャッター31,32の開閉作動を停止すべく、モータ制御回路42に対する通電指令の出力を停止する。本実施形態では、第1及び第2シャッター31,32の開閉作動及びその停止が同期するように、第1及び第2駆動装置37,38を同時に駆動するように設定されている。
【0041】
なお、上記した停止判定に係るモータロックの検出にあたっては、モータ回転を検出するパルスセンサ45のパルス間隔が所定時間以上になったことを利用してもよい。
また、中央処理装置41は、第1及び第2シャッター31,32の開閉作動開始後(開閉作動条件の成立後)の状態に基づいて異常を検出する(異常検出手段)。
【0042】
ここで、中央処理装置41による第1及び第2駆動装置37,38の駆動制御態様、即ち第1及び第2シャッター31,32の開閉制御態様について説明する。図4に示すように、イグニッションスイッチ43のオンへの切り替わりに伴いこのルーチンが開始されると、S(ステップ)1において開作動条件が成立か否かが判断される。そして、開作動条件が成立していないと判断されると、S2において閉作動条件が成立か否かが判断され、ここで閉作動条件が成立していないと判断されると、S1の処理に戻る。つまり、中央処理装置41は、S1における開作動条件の成立、あるいはS2における閉作動条件の成立を待って、それ以降の処理に進む。
【0043】
S1において開作動条件が成立していると判断されると、S3に移行して第1及び第2シャッター31,32を開作動する(第1作動手段)。具体的には、中央処理装置41は、モータ制御回路42に対し第1及び第2シャッター31,32を開作動する旨を表す通電指令を出力する。これにより、第1、第2駆動装置37,38が開作動に対応する極性で通電されて、第1及び第2可動フィン33,34が全開位置へと移動する。
【0044】
次に、S4において停止条件が成立か否かが判断される。この停止条件は、第1及び第2駆動装置37,38への通電量が、第1及び第2可動フィン33,34の移動係止を表す一定レベルを超えることとなっている。これは、第1及び第2可動フィン33,34の移動が係止されることで、通常は第1及び第2可動フィン33,34の全開位置への移動が完了したと見なせることによる。
【0045】
S4において停止条件が成立していないと判断されると、S5において所定時間T1だけ経過したか否かが判断され、ここで所定時間T1だけ経過していないと判断されると、S4の処理に戻る。また、S4において停止条件が成立していると判断されるとS6において第1及び第2シャッター31,32の開作動を停止し、あるいはS5において所定時間T1だけ経過したと判断されるとS7において第1及び第2シャッター31,32の開作動を停止する。つまり、中央処理装置41は、S4において停止条件が成立していないと判断されると、所定時間T1だけ経過するまで第1及び第2シャッター31,32の開作動を継続する。この所定時間T1は、開作動を開始した第1及び第2可動フィン33,34が全開位置への移動を確実に完了する時間に基づき設定されている。
【0046】
S6において第1及び第2シャッター31,32の開作動が停止されると、S8において第1及び第2可動フィン33,34が全開位置に到達しているか否かが判断される。具体的には、パルスセンサ45により検出された第1及び第2可動フィン33,34の開閉位置が全開位置に一致するか否かが判断される。そして、第1及び第2可動フィン33,34が全開位置に到達していないと判断されると、停止条件が成立する何らかの異常(例えば挟み込みなどによる負荷の増大など)が発生していると判断して(異常検出手段)、S9に移行する。また、S7において第1及び第2シャッター31,32の開作動が停止されると、停止条件が成立しない何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S9に移行する。これは、例えば第1及び第2駆動装置37,38(第1及び第2シャッター31,32との間を連係する機構を含む)の動力伝達に異常(例えばギヤ欠けによる空転等による第1及び第2可動フィン33,34の全開位置への移動不能など)が生じた場合、停止条件の成立までに本来よりも長時間を要することによる。
【0047】
S9では、リトライの実施済みか否かが判断される。このリトライは、前述の異常が判断された際に、S6又はS7で一旦停止した第1及び第2シャッター31,32の開作動を再開する処理である(リトライ手段)。従って、S9においてリトライが実施済みでないと判断されると、S3に戻って同様の処理が繰り返される。そして、S9においてリトライが実施済みと判断されると、S10において異常判定がなされる(異常判定手段)。つまり、中央処理装置41は、前述の第1及び第2シャッター31,32の開作動の再開に伴い、前述の異常の判断が所定回数(本実施形態では2回)繰り返されたときに、S10において異常判定を行っている。なお、中央処理装置41は、異常判定がなされたとき、当該判定の回数を計数する異常判定カウンタCNTをインクリメントする。
【0048】
続いて、S11において、異常判定カウンタCNTが所定数NM以上か否かに基づき、異常判定の回数が所定回数以上か否かが判断される。そして、異常判定の回数が所定回数以上と判断されると(異常確定手段)、S12においてコーション表示が実施されるとともに、第1及び第2シャッター31,32の作動が禁止される(禁止手段)。すなわち、中央処理装置41は、出力回路49に対し表示灯48を点灯する旨を表す通電指令を出力する。これにより、表示灯48が点灯して第1及び第2シャッター31,32の異常がユーザーに対し報知される。同時に、中央処理装置41は、モータ制御回路42に対する通電指令の出力(即ち第1及び第2シャッター31,32の作動)を禁止する。
【0049】
また、S8において第1及び第2可動フィン33,34が全開位置に到達していると判断されると、S13において正常判定してS1の処理に戻る。あるいは、S11において異常判定の回数が所定回数未満と判断されると、S1の処理に戻る。
【0050】
一方、S2において閉作動条件が成立していると判断されると、S14に移行して第1及び第2シャッター31,32を閉作動する(第1作動手段)。具体的には、中央処理装置41は、モータ制御回路42に対し第1及び第2シャッター31,32を閉作動する旨を表す通電指令を出力する。これにより、第1、第2駆動装置37,38が閉作動に対応する極性で通電されて、第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置へと移動する。
【0051】
次に、S15において停止条件が成立か否かが判断される。この停止条件は、第1及び第2駆動装置37,38への通電量が、第1及び第2可動フィン33,34の移動係止を表す一定レベルを超えることとなっている。これは、第1及び第2可動フィン33,34の移動が係止されることで、通常は第1及び第2可動フィン33,34の全閉位置への移動が完了したと見なせることによる。
【0052】
S15において停止条件が成立していないと判断されると、S16において所定時間T2だけ経過したか否かが判断され、ここで所定時間T2だけ経過していないと判断されると、S15の処理に戻る。また、S15において停止条件が成立していると判断されるとS17において第1及び第2シャッター31,32の閉作動を停止し、あるいはS16において所定時間T2だけ経過したと判断されるとS18において第1及び第2シャッター31,32の閉作動を停止する。つまり、中央処理装置41は、S15において停止条件が成立していないと判断されると、所定時間T2だけ経過するまで第1及び第2シャッター31,32の閉作動を継続する。この所定時間T2は、閉作動を開始した第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置への移動を確実に完了する時間に基づき設定されている。
【0053】
S17において第1及び第2シャッター31,32の閉作動が停止されると、S19において第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置に到達しているか否かが判断される。具体的には、パルスセンサ45により検出された第1及び第2可動フィン33,34の開閉位置が全閉位置に一致するか否かが判断される。そして、第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置に到達していないと判断されると、停止条件が成立する何らかの異常(例えば挟み込みなどによる負荷の増大など)が発生していると判断して(異常検出手段)、S20に移行する。また、S18において第1及び第2シャッター31,32の閉作動が停止されると、停止条件が成立しない何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S20に移行する。これは、例えば第1及び第2駆動装置37,38の動力伝達に異常(例えばギヤ欠けによる空転等による第1及び第2可動フィン33,34の全閉位置への移動不能など)が生じた場合、停止条件の成立までに本来よりも長時間を要することによる。
【0054】
S20では、リトライの実施済みか否かが判断される。このリトライは、前述の異常が判断された際に、S17又はS18で一旦停止した第1及び第2シャッター31,32の閉作動を再開する処理である(リトライ手段)。従って、S20においてリトライが実施済みでないと判断されると、S14に戻って同様の処理が繰り返される。そして、S20においてリトライが実施済みと判断されると、S21において異常判定がなされる(異常判定手段)。つまり、中央処理装置41は、前述の第1及び第2シャッター31,32の閉作動の再開に伴い、前述の異常の判断が所定回数(本実施形態では2回)繰り返されたときに、S21において異常判定を行っている。なお、中央処理装置41は、異常判定がなされたとき、前記異常判定カウンタCNTをインクリメントする。つまり、異常判定カウンタCNTは、第1及び第2シャッター31,32の開作動及び閉作動に伴う異常判定の回数をまとめて計数した値である。
【0055】
続いて、S22において、異常判定カウンタCNTが前記所定数NM以上か否かに基づき、異常判定の回数が所定回数以上か否かが判断される。そして、異常判定の回数が所定回数以上と判断されると(異常確定手段)、S23においてコーション表示が実施されるとともに、第1及び第2シャッター31,32の作動が禁止される(禁止手段)。
【0056】
また、S19において第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置に到達していると判断されると、S24において正常判定するとともに、S25において第1及び第2可動フィン33,34が全開位置及び全閉位置で共に正常か否か、即ち第1及び第2シャッター31,32の開作動においても正常判定(S13)がなされているか否かを判断する。そして、第1及び第2可動フィン33,34が全開位置及び全閉位置で共に正常と判断されると、S26において異常判定カウンタCNTをゼロにクリアする。S22において異常判定の回数が所定回数未満と判断され、あるいはS25において第1及び第2可動フィン33,34が全開位置及び全閉位置で共に正常でない(第1及び第2シャッター31,32の開作動において正常判定がなされていない)と判断され、あるいはS26において異常判定カウンタCNTがクリアされると、S1の処理に戻る。
【0057】
なお、上述のルーチンは、コーション表示等が実施されない限り、イグニッションスイッチ43がオン状態にある期間を通じて繰り返されるとともに、該イグニッションスイッチ43がオフに切り替わることで終了する。特に、中央処理装置41は、イグニッションスイッチ43がオン状態にある当該期間において、作動条件の成立(S1又はS2でYES)に伴い第1及び第2シャッター31,32を作動すると、当該作動の実施を表す作動履歴をそのメモリ41aにバッテリバックアップされた状態で記憶・保持する。あるいは、中央処理装置41は、イグニッションスイッチ43がオン状態にある当該期間において、コーション表示等を実施すると(S12又はS23)、当該コーション表示等の実施を表す履歴をそのメモリ41aにバッテリバックアップされた状態で記憶・保持する。
【0058】
次に、本実施形態の動作について説明する。
本実施形態では、第1及び第2シャッター31,32の開閉作動に伴い異常判断がなされると(S5若しくはS16でYES、又はS8若しくはS19でNO)、リトライの実施を前提に異常判定がなされる(S10又はS21)。そして、異常判定の回数が所定回数以上と判断されると(S11又はS22でYES)、表示灯48が点灯してコーション表示される。これにより、第1及び第2シャッター31,32の異常がユーザーに報知される。
【0059】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、検出された異常(S5若しくはS16でYES、又はS8若しくはS19でNO)に基づいて表示灯48によりユーザーに報知される。これにより、ユーザーに対しディーラー等での修理を促すことができ、第1及び第2シャッター31,32の異常を速やかに解消することができる。そして、例えば第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置で固着したままになってエンジンルーム1内の温度が常に高い状態に維持されることを抑制でき、エンジン部品の経年劣化の加速を抑えることができる。
【0060】
(2)本実施形態では、異常が検出されたとき、第1及び第2シャッター31,32の作動再開に伴い、前記異常の検出が所定回数繰り返されたときに(S9又はS20でYES)、異常が判定される。そして、表示灯48は、前記判定された異常に基づいてユーザーに報知するため、例えば前記異常が一時的に検出されたとしても、表示灯48による徒な報知を抑制することができ、当該報知による煩わしさを抑制することができる。
【0061】
(3)本実施形態では、前記異常の判定が所定回数繰り返されたときに(S11又はS22でYES)、異常が確定される。そして、表示灯48は、前記確定された異常に基づいてユーザーに報知するため、例えば前記異常が一時的に判定されたとしても、表示灯48による徒な報知を一層抑制することができ、当該報知による煩わしさを抑制することができる。あるいは、表示灯48による誤報知を抑制して当該報知(コーション表示)の信頼性を向上することができる。
【0062】
(4)本実施形態では、停止条件の成立に基づき第1及び第2シャッター31,32を作動停止したときの移動位置(開閉位置)をパルスセンサ45で監視して、該移動位置が所定範囲から外れる(全開位置又は全閉位置に一致しない)ことで前記異常を検出することができる。あるいは、第1及び第2シャッター31,32の作動開始後の経過時間をタイマ41bで監視して、該経過時間が所定時間(T1,T2)を超えても停止条件が成立しないことで前記異常を検出することができる。
【0063】
(5)本実施形態では、イグニッションスイッチ43がオンに切り替わってエンジン2が始動すると、作動条件の成立(S1又はS2でYES)によって車両の走行開始を待つことなく第1及び第2シャッター31,32の異常検出等を行うことができる。
【0064】
(第2の実施形態)
図5を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、例えば前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間(即ち前回のイグニッションスイッチ43のオンへの切り替わりからその後のオフへの切り替わりまでの期間)において、作動条件の成立(S1又はS2でYES)に伴う第1及び第2シャッター31,32の作動履歴がなかったとき、あるいはコーション表示及び作動禁止(S12又はS23)があったときに、イグニッションスイッチ43がオンに切り替わることで第1及び第2シャッター31,32を強制的に作動させるように変更したことが前記第1の実施形態とは異なる。従って、前記第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0065】
図5に示すように、イグニッションスイッチ43のオンへの切り替わりに伴いこのルーチンが開始されると、S31において前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間において作動条件の成立に伴う第1及び第2シャッター31,32の作動履歴がなかったか否かが判断される。そして、前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間において当該作動履歴があると判断されると、S32において前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間においてコーション表示等があったか否かが判断される。前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間においてコーション表示等がなかったと判断されると、図4のS1に移行して前記第1の実施形態における第1及び第2シャッター31,32の開閉制御(以下、通常制御ともいう)に移行する。
【0066】
一方、S31において前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間において作動条件の成立に伴う第1及び第2シャッター31,32の作動履歴がないと判断されると、S33に移行して第1及び第2シャッター31,32を閉作動する(第2作動手段)。あるいは、S32において前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間においてコーション表示等があったと判断されると、S33に移行して第1及び第2シャッター31,32を閉作動する(第3作動手段)。これにより、第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置へと移動する。
【0067】
次に、S34において停止条件が成立か否かが判断される。この停止条件は、第1及び第2駆動装置37,38への通電量が、第1及び第2可動フィン33,34の移動係止を表す一定レベルを超えることとなっている。
【0068】
S34において停止条件が成立していないと判断されると、S35において前記所定時間T2だけ経過したか否かが判断され、ここで所定時間T2だけ経過していないと判断されると、S34の処理に戻る。また、S34において停止条件が成立していると判断されるとS36において第1及び第2シャッター31,32の閉作動を停止し、あるいはS35において所定時間T2だけ経過したと判断されるとS37において第1及び第2シャッター31,32の閉作動を停止する。つまり、中央処理装置41は、S34において停止条件が成立していないと判断されると、所定時間T2だけ経過するまで第1及び第2シャッター31,32の閉作動を継続する。
【0069】
S36において第1及び第2シャッター31,32の閉作動が停止されると、S38において第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置に到達しているか否かが判断される。そして、第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置に到達していないと判断されると、停止条件が成立する何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S39に移行する。また、S37において第1及び第2シャッター31,32の閉作動が停止されると、停止条件が成立しない何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S39に移行する。
【0070】
S39では、リトライの実施済みか否かが判断される。このリトライは、前述の異常が判断された際に、S36又はS37で一旦停止した第1及び第2シャッター31,32の閉作動を再開する処理である(リトライ手段)。従って、S39においてリトライが実施済みでないと判断されると、S33に戻って同様の処理が繰り返される。そして、S39においてリトライが実施済みと判断されると、S40において異常判定がなされる(異常判定手段)。なお、中央処理装置41は、異常判定がなされたとき、前記異常判定カウンタCNTをインクリメントする。
【0071】
続いて、S41において、異常判定カウンタCNTが所定数NM以上か否かに基づき、異常判定の回数が所定回数以上か否かが判断される。そして、異常判定の回数が所定回数以上と判断されると(異常確定手段)、S42においてコーション表示が実施されるとともに、第1及び第2シャッター31,32の作動が禁止される(禁止手段)。
【0072】
また、S38において第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置に到達していると判断されると、S43において正常判定してS44に移行する。あるいは、S41において異常判定の回数が所定回数未満と判断されると、S44に移行する。
【0073】
そして、S44において第1及び第2シャッター31,32を開作動する(第2作動手段又は第3作動手段)。これにより、第1及び第2可動フィン33,34が全開位置へと移動する。
【0074】
次に、S45において停止条件が成立か否かが判断される。この停止条件は、第1及び第2駆動装置37,38への通電量が、第1及び第2可動フィン33,34の移動係止を表す一定レベルを超えることとなっている。
【0075】
S45において停止条件が成立していないと判断されると、S46において前記所定時間T1だけ経過したか否かが判断され、ここで所定時間T1だけ経過していないと判断されると、S45の処理に戻る。また、S45において停止条件が成立していると判断されるとS47において第1及び第2シャッター31,32の開作動を停止し、あるいはS46において所定時間T1だけ経過したと判断されるとS48において第1及び第2シャッター31,32の開作動を停止する。つまり、中央処理装置41は、S45において停止条件が成立していないと判断されると、所定時間T1だけ経過するまで第1及び第2シャッター31,32の開作動を継続する。
【0076】
S47において第1及び第2シャッター31,32の開作動が停止されると、S49において第1及び第2可動フィン33,34が全開位置に到達しているか否かが判断される。そして、第1及び第2可動フィン33,34が全開位置に到達していないと判断されると、停止条件が成立する何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S50に移行する。また、S48において第1及び第2シャッター31,32の開作動が停止されると、停止条件が成立しない何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S50に移行する。
【0077】
S50では、リトライの実施済みか否かが判断される。このリトライは、前述の異常が判断された際に、S47又はS48で一旦停止した第1及び第2シャッター31,32の開作動を再開する処理である(リトライ手段)。従って、S50においてリトライが実施済みでないと判断されると、S44に戻って同様の処理が繰り返される。そして、S50においてリトライが実施済みと判断されると、S51において異常判定がなされる(異常判定手段)。なお、中央処理装置41は、異常判定がなされたとき、前記異常判定カウンタCNTをインクリメントする。
【0078】
続いて、S52において、異常判定の回数が所定回数以上か否かが判断される。そして、異常判定の回数が所定回数以上と判断されると(異常確定手段)、S53においてコーション表示が実施されるとともに、第1及び第2シャッター31,32の作動が禁止される(禁止手段)。
【0079】
また、S49において第1及び第2可動フィン33,34が全開位置に到達していると判断されると、S54において正常判定するとともに、S55において第1及び第2可動フィン33,34が全開位置及び全閉位置で共に正常か否か、即ち第1及び第2シャッター31,32の閉作動においても正常判定(S43)がなされているか否かを判断する。そして、第1及び第2可動フィン33,34が全開位置及び全閉位置で共に正常と判断されると、S56において異常判定カウンタCNTをゼロにクリアする。S52において異常判定の回数が所定回数未満と判断され、あるいはS55において全開位置及び全閉位置で共に正常でない(第1及び第2シャッター31,32の開作動において正常判定がなされていない)と判断され、あるいはS56において異常判定カウンタCNTがクリアされると、図4のS1に移行して前述の通常制御に移行する。
【0080】
これにより、例えば通常制御において作動条件の成立(S1又はS2でYES)とこれに伴う第1及び第2シャッター31,32の作動がなかったとしても、第1及び第2シャッター31,32の異常検出等の機会が得られる。あるいは、今回のイグニッションスイッチ43のオンまで(即ちイグニッションスイッチ43のオフ中)に第1及び第2シャッター31,32が正常復帰していれば(S41又はS52でNO)、コーション表示が実施されないとともに、第1及び第2シャッター31,32の作動禁止が解除される(解除手段)。これは、前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間におけるコーション表示の原因が、例えば第1及び第2シャッター31,32の凍結による固着であった場合には、その後の解凍によって当該原因が解消されることがあり、これに対応して正常復帰の機会を得るためである。
【0081】
なお、上述のルーチンは、コーション表示等が実施されない限り、イグニッションスイッチ43がオン状態にある期間を通じて実行されるとともに、該イグニッションスイッチ43がオフに切り替わることで終了する。特に、中央処理装置41は、イグニッションスイッチ43がオン状態にある当該期間において、コーション表示等を実施すると(S42又はS53)、当該コーション表示等の実施を表す履歴をそのメモリ41aにバッテリバックアップされた状態で記憶・保持する。
【0082】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間に作動条件の成立(S1又はS2でYES)による第1及び第2シャッター31,32の作動履歴がなかったとき、次のイグニッションスイッチ43のオンへの切り替わりに合わせて、第1及び第2シャッター31,32が強制的に作動される。これにより、異常検出等の機会を得ることができる。従って、例えば異常検出等の機会が得られないまま長期間に亘って放置されることを抑制できる。
【0083】
(2)本実施形態では、前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間にコーション表示があったとき、第1及び第2シャッター31,32の作動が禁止される。この場合、次のイグニッションスイッチ43のオンへの切り替わりに合わせて、第1及び第2シャッター31,32が強制的に作動されることで、異常検出等の機会を得ることができる。そして、前記異常の非検出等(S41又はS52でNO)に基づいて第1及び第2シャッター31,32の作動禁止が解除される。従って、一時的なコーション表示によって、第1及び第2シャッター31,32の作動禁止が徒に継続されることを抑制できる。
【0084】
(第3の実施形態)
図6を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態は、主として第1及び第2シャッター31,32の移動量に基づいて前記異常を検出するように変更したことが前記第1の実施形態とは異なる。従って、前記第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。なお、第1、第2シャッター31,32の移動量は、第1、第2シャッター31,32の作動開始時及び停止時の開閉位置をパルスセンサ45でそれぞれ監視して、これら両開閉位置の偏差(相対値)を算出することで取得される。
【0085】
図6に示すように、イグニッションスイッチ43のオンへの切り替わりに伴いこのルーチンが開始されると、S61において開作動条件が成立か否かが判断される。そして、開作動条件が成立していないと判断されると、S62において閉作動条件が成立か否かが判断され、ここで閉作動条件が成立していないと判断されると、S61の処理に戻る。
【0086】
S61において開作動条件が成立していると判断されると、S63に移行して第1及び第2シャッター31,32を開作動する(第1作動手段)。これにより、第1及び第2可動フィン33,34が全開位置へと移動する。
【0087】
次に、S64において停止条件が成立か否かが判断される。この停止条件は、第1及び第2駆動装置37,38への通電量が、第1及び第2可動フィン33,34の移動係止を表す一定レベルを超えることとなっている。
【0088】
S64において停止条件が成立していないと判断されると、S65において第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A1を超えたか否かが判断される。この所定移動量A1は、開作動を開始した第1及び第2可動フィン33,34が全開位置への移動を確実に完了する第1及び第2シャッター31,32の移動量に基づき設定されている。ここで、第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A1を超えていないと判断されると、S66において前記所定時間T1だけ経過したか否かが判断される。そして、所定時間T1だけ経過していないと判断されると、S64の処理に戻る。また、S64において停止条件が成立していると判断されると、S67において第1及び第2シャッター31,32の開作動を停止する。S65において第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A1を超えたと判断され、あるいはS66において所定時間T1だけ経過したと判断されると、S68において第1及び第2シャッター31,32の開作動を停止する。つまり、中央処理装置41は、S64において停止条件が成立していないと判断されると、第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A1を超えるまで、あるいは所定時間T1だけ経過するまで第1及び第2シャッター31,32の開作動を継続する。
【0089】
S67において第1及び第2シャッター31,32の開作動が停止されると、S69において第1及び第2シャッター31,32の移動量が正常か否かが判断される。具体的には、パルスセンサ45により検出された第1、第2シャッター31,32の作動開始時及び停止時の両開閉位置の偏差に基づく移動量が、第1、第2可動フィン33,34の全開位置に相当する所定の移動量Ao以上か否かが判断される。そして、第1及び第2シャッター31,32の移動量が移動量Aoを下回って正常でないと判断されると、停止条件が成立する何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S70に移行して異常判定を行う。また、S68において第1及び第2シャッター31,32の開作動が停止されると、停止条件が成立しない何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S70に移行して異常判定を行う。これは、例えば第1及び第2駆動装置37,38(第1及び第2シャッター31,32との間を連係する機構を含む)の動力伝達に異常(例えばギヤ欠けによる空転等による第1及び第2可動フィン33,34の全開位置への移動不能など)が生じた場合、見かけ上、停止条件の成立までに本来よりも大きな移動量を要し、あるいは停止条件の成立までに本来よりも長時間を要することによる。なお、中央処理装置41は、異常判定がなされたとき、当該判定の回数を計数する異常判定カウンタCNT1をインクリメントする。
【0090】
続いて、S71において、異常判定カウンタCNT1が所定数NM1以上か否かに基づき、異常判定の回数が所定回数以上か否かが判断される。そして、異常判定の回数が所定回数以上と判断されると(異常判定手段)、S72においてコーション表示が実施されるとともに、第1及び第2シャッター31,32の作動が禁止される(禁止手段)。
【0091】
また、S69において第1及び第2シャッター31,32の移動量が移動量Ao以上で正常と判断されると、S73において正常判定する。そして、S74において異常判定カウンタCNT1をゼロにクリアし、S61の処理に戻る。あるいは、S71において異常判定の回数が所定回数未満と判断されると、S61の処理に戻る。
【0092】
一方、S62において閉作動条件が成立していると判断されると、S75に移行して第1及び第2シャッター31,32を閉作動する(第1作動手段)。これにより、第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置へと移動する。
【0093】
次に、S76において停止条件が成立か否かが判断される。この停止条件は、第1及び第2駆動装置37,38への通電量が、第1及び第2可動フィン33,34の移動係止を表す一定レベルを超えることとなっている。
【0094】
S76において停止条件が成立していないと判断されると、S77において第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A2を超えたか否かが判断される。この所定移動量A2は、閉作動を開始した第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置への移動を確実に完了する第1及び第2シャッター31,32の移動量に基づき設定されている。ここで、第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A2を超えていないと判断されると、S78において前記所定時間T2だけ経過したか否かが判断される。そして、所定時間T2だけ経過していないと判断されると、S76の処理に戻る。また、S76において停止条件が成立していると判断されると、S79において第1及び第2シャッター31,32の閉作動を停止する。S77において第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A2を超えたと判断され、あるいはS78において所定時間T2だけ経過したと判断されると、S80において第1及び第2シャッター31,32の閉作動を停止する。つまり、中央処理装置41は、S76において停止条件が成立していないと判断されると、第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A2を超えるまで、あるいは所定時間T2だけ経過するまで第1及び第2シャッター31,32の閉作動を継続する。
【0095】
S79において第1及び第2シャッター31,32の閉作動が停止されると、S81において第1及び第2シャッター31,32の移動量が正常か否かが判断される。具体的には、パルスセンサ45により検出された第1、第2シャッター31,32の作動開始時及び停止時の両開閉位置の偏差に基づく移動量が、第1、第2可動フィン33,34の全閉位置に相当する所定の移動量Ac以上か否かが判断される。そして、第1及び第2シャッター31,32の移動量が移動量Acを下回って正常でないと判断されると、停止条件が成立する何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S82に移行して異常判定を行う。また、S80において第1及び第2シャッター31,32の閉作動が停止されると、停止条件が成立しない何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S82に移行して異常判定を行う。これは、例えば第1及び第2駆動装置37,38(第1及び第2シャッター31,32との間を連係する機構を含む)の動力伝達に異常が生じた場合、見かけ上、停止条件の成立までに本来よりも大きな移動量を要し、あるいは停止条件の成立までに本来よりも長時間を要することによる。なお、中央処理装置41は、異常判定がなされたとき、前記異常判定カウンタCNT1をインクリメントする。つまり、異常判定カウンタCNT1は、第1及び第2シャッター31,32の開作動及び閉作動に伴う異常判定の回数をまとめて計数した値である。
【0096】
続いて、S83において、異常判定の回数が所定回数以上か否かが判断される。そして、異常判定の回数が所定回数以上と判断されると(異常判定手段)、S84においてコーション表示が実施されるとともに、第1及び第2シャッター31,32の作動が禁止される(禁止手段)。
【0097】
また、S81において第1及び第2シャッター31,32の移動量が移動量Ac以上で正常と判断されると、S85において正常判定する。そして、S86において異常判定カウンタCNT1をゼロにクリアし、S61の処理に戻る。あるいは、S83において異常判定の回数が所定回数未満と判断されると、S61の処理に戻る。
【0098】
なお、上述のルーチンは、コーション表示等が実施されない限り、イグニッションスイッチ43がオン状態にある期間を通じて繰り返されるとともに、該イグニッションスイッチ43がオフに切り替わることで終了する。特に、中央処理装置41は、イグニッションスイッチ43がオン状態にある当該期間において、作動条件の成立(S61又はS62でYES)に伴い第1及び第2シャッター31,32を作動すると、当該作動の実施を表す作動履歴をそのメモリ41aにバッテリバックアップされた状態で記憶・保持する。あるいは、中央処理装置41は、イグニッションスイッチ43がオン状態にある当該期間において、コーション表示等を実施すると(S72又はS74)、当該コーション表示等の実施を表す履歴をそのメモリ41aにバッテリバックアップされた状態で記憶・保持する。
【0099】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態の(1)(5)(6)の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、異常検出(S65、S66、S77若しくはS78でYES、又はS69若しくはS81でNO)が所定回数繰り返されたときに(S71又はS83でYES)、異常が判定される。そして、表示灯48は、前記判定された異常に基づいてユーザーに報知するため、例えば前記異常が一時的に検出されたとしても、表示灯48による徒な報知を抑制することができ、当該報知による煩わしさを抑制することができる。あるいは、表示灯48による誤報知を抑制して当該報知(コーション表示)の信頼性を向上することができる。
【0100】
(2)本実施形態では、停止条件の成立に基づき第1及び第2シャッター31,32を作動停止したときの移動量をパルスセンサ45で監視して、該移動量が所定の移動量Ao,Acを下回ることで前記異常を検出することができる。あるいは、第1及び第2シャッター31,32の作動開始後の経過時間をタイマ41bで監視して、該経過時間が所定時間(T1,T2)を超えても停止条件が成立しないことで前記異常を検出することができる。
【0101】
(第4の実施形態)
図7を参照して本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第4の実施形態は、例えば前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間において、作動条件の成立(S61又はS62でYES)に伴う第1及び第2シャッター31,32の作動履歴がなかったとき、あるいはコーション表示及び作動禁止(S72又はS84)があったときに、イグニッションスイッチ43がオンに切り替わることで第1及び第2シャッター31,32を強制的に作動させるように変更したことが前記第3の実施形態とは異なる。従って、前記第3の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0102】
図7に示すように、イグニッションスイッチ43のオンへの切り替わりに伴いこのルーチンが開始されると、S91において前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間において作動条件の成立に伴う第1及び第2シャッター31,32の作動履歴がなかったか否かが判断される。そして、前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間において当該作動履歴があると判断されると、S92において前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間においてコーション表示等があったか否かが判断される。前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間においてコーション表示等がなかったと判断されると、図6のS61に移行して前記第3の実施形態における第1及び第2シャッター31,32の開閉制御(以下、通常制御ともいう)に移行する。
【0103】
一方、S91において前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間において作動条件の成立に伴う第1及び第2シャッター31,32の作動履歴がないと判断されると、S93に移行して第1及び第2シャッター31,32を閉作動する(第2作動手段)。あるいは、S92において前回のイグニッションスイッチ43のオン状態にある期間においてコーション表示等があったと判断されると、S93に移行して第1及び第2シャッター31,32を閉作動する(第3作動手段)。これにより、第1及び第2可動フィン33,34が全閉位置へと移動する。
【0104】
次に、S94において停止条件が成立か否かが判断される。この停止条件は、第1及び第2駆動装置37,38への通電量が、第1及び第2可動フィン33,34の移動係止を表す一定レベルを超えることとなっている。
【0105】
S94において停止条件の成立が判断されることを前提に、S95において第1及び第2シャッター31,32の閉作動を停止する。続いて、S96において第1及び第2シャッター31,32を開作動する(第2作動手段又は第3作動手段)。これにより、第1及び第2可動フィン33,34が全開位置へと移動する。そして、S97において停止条件が成立か否かが判断される。この停止条件は、第1及び第2駆動装置37,38への通電量が、第1及び第2可動フィン33,34の移動係止を表す一定レベルを超えることとなっている。
【0106】
S97において停止条件が成立していないと判断されると、S98において第1及び第2シャッター31,32の移動量が前記所定移動量A1を超えたか否かが判断される。ここで、第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A1を超えていないと判断されると、S99において前記所定時間T1だけ経過したか否かが判断される。そして、所定時間T1だけ経過していないと判断されると、S97の処理に戻る。また、S97において停止条件が成立していると判断されると、S100において第1及び第2シャッター31,32の開作動を停止する。S98において第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A1を超えたと判断され、あるいはS99において所定時間T1だけ経過したと判断されると、S101において第1及び第2シャッター31,32の開作動を停止する。つまり、中央処理装置41は、S97において停止条件が成立していないと判断されると、第1及び第2シャッター31,32の移動量が所定移動量A1を超えるまで、あるいは所定時間T1だけ経過するまで第1及び第2シャッター31,32の開作動を継続する。
【0107】
S100において第1及び第2シャッター31,32の開作動が停止されると、S102において第1及び第2シャッター31,32の移動量が正常か否かが判断される。そして、第1及び第2シャッター31,32の移動量が正常でないと判断されると、停止条件が成立する何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S103に移行して異常判定を行う。また、S101において第1及び第2シャッター31,32の開作動が停止されると、停止条件が成立しない何らかの異常が発生していると判断して(異常検出手段)、S103に移行して異常判定を行う。なお、中央処理装置41は、異常判定がなされたとき、前記異常判定カウンタCNT1をインクリメントする。つまり、今回のルーチンの現段階での異常判定カウンタCNT1は、第1及び第2シャッター31,32の開作動に伴う異常判定の回数のみを計数した値である。これは、特に第1及び第2シャッター31,32の移動量に基づいて異常検出等を行う場合、基本的に開作動及び閉作動のいずれか一方でのみ行えばよいことによる。
【0108】
続いて、S104において、異常判定の回数が所定回数以上か否かが判断される。そして、異常判定の回数が所定回数以上と判断されると(異常判定手段)、S105においてコーション表示が実施されるとともに、第1及び第2シャッター31,32の作動が禁止される(禁止手段)。
【0109】
また、S102において第1及び第2シャッター31,32の移動量が正常と判断されると、S106において正常判定する。そして、S107において異常判定カウンタCNT1をゼロにクリアし、図6のS61に移行して前述の通常制御に移行する。あるいは、S104において異常判定の回数が所定回数未満と判断されると、図6のS61に移行して通常制御に移行する。
【0110】
これにより、例えば通常制御において作動条件の成立(S61又はS62でYES)とこれに伴う第1及び第2シャッター31,32の作動がなかったとしても、第1及び第2シャッター31,32の異常検出等の機会が得られる。あるいは、今回のイグニッションスイッチ43のオンまで(即ちイグニッションスイッチ43のオフ中)に第1及び第2シャッター31,32が正常復帰していれば(S104でNO)、コーション表示が実施されないとともに、第1及び第2シャッター31,32の作動禁止が解除される(解除手段)。
【0111】
なお、上述のルーチンは、コーション表示等が実施されない限り、イグニッションスイッチ43がオン状態にある期間を通じて実行されるとともに、該イグニッションスイッチ43がオフに切り替わることで終了する。特に、中央処理装置41は、イグニッションスイッチ43がオン状態にある当該期間において、コーション表示等を実施すると(S105)、当該コーション表示等の実施を表す履歴をそのメモリ41aにバッテリバックアップされた状態で記憶・保持する。
【0112】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第2及び第3の実施形態の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、第1及び第2シャッター31,32の開作動のみで異常検出(S98若しくはS99でYES、又はS102でNO)を行うようにしたことで、処理を簡素化することができる。
【0113】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第1の実施形態において、異常検出時(S5若しくはS16でYES、又はS8若しくはS19でNO)のリトライは、割愛してもよいし3回以上行うようにしてもよい。また、リトライを行う場合、一定時間を待って行うようにしてもよい。
【0114】
・前記第2の実施形態において、異常検出時(S35若しくはS46でYES、又はS38若しくはS49でNO)のリトライは、割愛してもよいし3回以上行うようにしてもよい。また、リトライを行う場合、一定時間を待って行うようにしてもよい。
【0115】
・前記第2の実施形態において、通常制御に先立つ異常検出等は、第1及び第2シャッター31,32の開作動及び閉作動のいずれか一方でのみを行うようにしてもよい。
・前記第3の実施形態において、異常検出時(S65、S66、S77若しくはS78でYES、又はS69若しくはS81でNO)、複数回のリトライを行うようにしてもよい。この場合、一定時間を待ってリトライを行うようにしてもよい。
【0116】
・前記第4の実施形態において、異常検出時(S98若しくはS99でYES、又はS102でNO)、複数回のリトライを行うようにしてもよい。この場合、一定時間を待ってリトライを行うようにしてもよい。
【0117】
・前記第4の実施形態において、通常制御に先立つ異常検出等は、第1及び第2シャッター31,32の開作動に代えて、若しくは加えて、閉作動で行うようにしてもよい。
・前記第1及び第2の実施形態において、全開位置又は全閉位置の判断は、例えばリミットスイッチのオン・オフ信号で行ってもよい。
【0118】
・前記各実施形態において、コーション表示及び第1及び第2シャッター31,32の作動禁止の状態でイグニッションスイッチ43がオフされた際、コーション表示等の状態が一旦解除される構成であってもよい。そして、次のイグニッションスイッチ43のオンへの切り替わりに合わせて、第1及び第2シャッター31,32を強制的に作動させてもよい(第3作動手段)。この場合、次のイグニッションスイッチ43のオンへの切り替わりに合わせて、第1及び第2シャッター31,32の作動に伴う異常検出等の機会を得ることができる。このとき、前記異常の非検出時には、コーション表示及び第1及び第2シャッター31,32の作動禁止を解除して正常復帰させる。一方、前記異常の検出時には、コーション表示及び第1及び第2シャッター31,32の作動禁止を直ちに行う。
【0119】
・前記各実施形態において、第1及び第2シャッター31,32の作動開始後の経過時間が所定時間(第1の所定時間)に達することなく該当の停止条件が成立する場合に、第1及び第2シャッター31,32の異常を検出するようにしてもよい。これは、例えば第1及び第2シャッター31,32の固着や異物の挟み込みなどに起因して負荷が増加すると、本来よりも過早に停止条件が成立することによる。従って、第1及び第2シャッター31,32の作動開始後の経過時間を監視して、該経過時間が前記所定時間に達することなく停止条件が成立することで異常を検出することができる。
【0120】
・前記各実施形態において、異常検出の都度、あるいはリトライ後の異常判定の都度、ユーザーに対する報知を行うようにしてもよい。
・前記各実施形態において、停止条件の判断は、第1及び第2駆動装置37,38の駆動力に相関する適宜の物理量を利用して行えばよい。
【0121】
・前記各実施形態において、コーション表示の際に、第1及び第2シャッター31,32のその後の作動を必ずしも禁止しなくてもよい。
・前記各実施形態において、異常検出時等のユーザーに対する報知は、例えば報知手段としてのスピーカやブザーによる発声で行ってもよい。
【0122】
・前記各実施形態において、第1及び第2駆動装置37,38を単独の駆動装置で構成して、第1及び第2シャッター31,32をまとめて開閉作動させるようにしてもよい。
・前記各実施形態において、例えば閉作動開始条件として外気温度が低いときに、第1及び第2シャッター31,32を全閉位置に移動させることで、エンジン2の暖機性能を向上することができる。一方、開作動開始条件としてエンジン冷却水温度が高いときに、第1及び第2シャッター31,32を全開位置に移動させることで、冷却性能を向上することができる。
【0123】
・前記各実施形態において、例えば閉作動開始条件として暖房運転状態や当該状態での冷媒圧が高いときに、第1及び第2シャッター31,32を全閉位置に移動させることで、暖房性能を向上することができる。一方、開作動開始条件として冷房状態や当該状態での冷媒圧が高いときに、第1及び第2シャッター31,32を全開位置に移動させることで、冷房性能を向上することができる。
【0124】
・前記各実施形態において、例えば閉作動開始条件として車両速度が大きいときに、第1及び第2シャッター31,32を全閉位置に移動させることで、空気抵抗(空気抵抗係数)及び揚力を低減するとともに、車両の前方側の空気の床面下側への流れによって車両を下向きに引っ張るダウンフォースを発生することができる。そして、車両の安定した走行状態を確保することができる。
【0125】
・前記各実施形態において、車両情報に基づく第1及び第2シャッター31,32の開閉作動は、全閉位置及び全開位置間の任意の開閉位置に調整するものであってもよい。
・前記各実施形態において、第1及び第2駆動装置37,38を単独の駆動装置で構成して、第1及び第2シャッター31,32のいずれか一方のみを開閉作動させるようにしてもよい。つまり、第1及び第2シャッター31,32のいずれか他方は、例えば開状態で固定されていてもよい。この場合、第2シャッター32を開状態で固定することがより好ましい。
【0126】
・前記各実施形態において、第1及び第2シャッター31,32は、例えばスライド移動などで開閉作動するものであってもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…エンジンルーム、8…空気導入路、31…第1シャッター(シャッター)、32…第2シャッター(シャッター)、37…第1駆動装置(駆動装置)、38…第2駆動装置(駆動装置)、41…中央処理装置(異常検出手段、リトライ手段、異常判定手段、異常確定手段、第1〜第3作動手段、禁止手段、解除手段)、43…イグニッションスイッチ、48…表示灯(報知手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方の空気をエンジンルーム内に導入するための空気導入路に設けられるシャッターを開閉作動させる駆動装置を駆動制御するグリルシャッター制御装置において、
前記シャッターの作動開始後の状態に基づいて異常を検出する異常検出手段と、
前記検出された異常に基づいてユーザーに報知する報知手段とを備えたことを特徴とするグリルシャッター制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のグリルシャッター制御装置において、
前記異常検出手段により前記異常が検出されたとき、前記シャッターの作動を再開するリトライ手段と、
前記リトライ手段による前記シャッターの作動再開に伴い、前記異常検出手段による前記異常の検出が所定回数繰り返されたときに、異常を判定する異常判定手段とを備え、
前記報知手段は、前記判定された異常に基づいてユーザーに報知することを特徴とするグリルシャッター制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のグリルシャッター制御装置において、
前記異常検出手段による前記異常の検出が所定回数繰り返されたときに、異常を判定する異常判定手段を備え、
前記報知手段は、前記判定された異常に基づいてユーザーに報知することを特徴とするグリルシャッター制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載のグリルシャッター制御装置において、
前記異常判定手段による前記異常の判定が所定回数繰り返されたときに、異常を確定する異常確定手段を備え、
前記報知手段は、前記確定された異常に基づいてユーザーに報知することを特徴とするグリルシャッター制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のグリルシャッター制御装置において、
車両情報に基づき前記シャッターを作動する第1作動手段と、
前回のイグニッションスイッチのオン状態にある期間に前記車両情報に基づく前記第1作動手段による前記シャッターの作動履歴がなかったとき、前記イグニッションスイッチがオンに切り替わることで前記シャッターを作動する第2作動手段とを備えたことを特徴とするグリルシャッター制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のグリルシャッター制御装置において、
前記報知手段による報知に合わせて前記シャッターの作動を禁止する禁止手段と、
前回のイグニッションスイッチのオン状態にある期間に前記報知手段による報知があったとき、前記イグニッションスイッチがオンに切り替わることで前記シャッターを作動する第3作動手段と、
前記第3作動手段による前記シャッターの作動に伴う前記異常検出手段による前記異常の非検出に基づいて、前記禁止手段による前記シャッターの作動禁止を解除する解除手段とを備えたことを特徴とするグリルシャッター制御装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のグリルシャッター制御装置において、
前記報知手段による報知に合わせて前記シャッターの作動を禁止する禁止手段と、
前回のイグニッションスイッチのオン状態にある期間に前記報知手段による報知があったとき、前記イグニッションスイッチがオンに切り替わることで前記シャッターを作動する第3作動手段とを備え、
前記第3作動手段による前記シャッターの作動に伴う前記異常検出手段による前記異常の非検出に基づいて、前記報知手段による報知及び前記禁止手段による前記シャッターの作動禁止を解除し、
前記第3作動手段による前記シャッターの作動に伴う前記異常検出手段による前記異常の検出に基づいて、前記報知手段による報知及び前記禁止手段による前記シャッターの作動禁止を直ちに行うことを特徴とするグリルシャッター制御装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のグリルシャッター制御装置において、
前記異常検出手段は、
前記シャッターの作動開始後、予め設定されている停止条件の成立に基づき作動停止したときの移動位置が所定範囲から外れる場合、
前記シャッターの作動開始後、予め設定されている停止条件の成立に基づき作動停止したときの移動量が所定移動量を下回る場合、
前記シャッターの作動開始後の経過時間が第1の所定時間に達することなく予め設定されている停止条件が成立する場合、
及び、前記シャッターの作動開始後の経過時間が第2の所定時間を超えても予め設定されている停止条件が成立しない場合
の少なくとも一つが成立したときに前記異常を検出することを特徴とするグリルシャッター制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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