説明

グリース組成物及び機械部品

【課題】常温から低温下(例えば、−50℃、好ましくは−40℃程度)に至るまで、耐フレッチング性に優れたグリース組成物を提供すること。
【解決手段】基油、増ちょう剤及び添加剤を含有するグリース組成物において、
基油の40℃の動粘度が50〜200mm2/sであり、
増ちょう剤が次の一般式(I)で表されるジウレア化合物を含有し、
一般式(I):R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3
(式中、R2は炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基、R1およびR3は同一または異なる基であり、シクロヘキシル基、炭素数8〜22の直鎖または分岐アルキル基を示す。)
添加剤が、ナフテン酸金属塩、炭素数6から10の脂肪酸と炭素数6から10の脂肪族アミンの塩、及び有機スルホン酸金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするグリース組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリース組成物及び機械部品に関し、特に、常温から低温下で耐フレッチング性に優れる潤滑グリース組成物及びこれを封入した軸受等の機械部品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や電機製品、各種機械部品や製品は鉄道やトラックで運搬される場合が多い。この運搬時、レールの継ぎ目や悪路が起因した振動で、グリースが塗布された潤滑部品にフレッチングが発生する。フレッチングは微小振幅下で発生する表面損傷であり、大気中では酸化摩耗粉を生成し、そのアブレッシブ作用により激しい摩耗を生じることが多いといわれている(非特許文献1)。
この対策としては、(1)相対滑り量を低減する、(2)両面の分離、直接接触の防止、(3)リン酸塩被膜などの接触面の被覆又は潤滑油・グリースの供給による表面間の凝着の防止、等が提案されている(非特許文献1)。
【0003】
実際の耐フレッチング性に優れるグリースは、自動車用ホイールベアリング用グリース技術分野において開発・検討されることが多い。例えば、増ちょう剤として芳香族ジウレアを用い、ちょう度を軟らかくしたものが、従来の増ちょう剤としてリチウム石けんを用いたグリースと比較して、耐フレッチング性が著しく改善されたなどの報告がある(非特許文献2)。
このように現実的には、増ちょう剤の種類を変更したり、ちょう度を軟らかくしてグリースの流入を良くする等の対応がとられてきた。
【0004】
しかし、芳香族ジウレアは、流動性に劣り、たとえば軸受に使用した場合、深溝玉軸受では長寿命を呈するものの、アンギュラ玉軸受では潤滑部への流入不足から潤滑寿命が短いという欠点を有し、使用できる軸受が限られる。このように、増ちょう剤の変更による改善は、得られたグリースが汎用性に欠けるという問題がある。
また、ちょう度を軟らかくすると、漏えいの問題が生じ、漏れが問題となる個所へは使用できない。したがって、これもグリースとして汎用性に欠けるものとなる。
しかし、これらはいずれも常温下で発生するフレッチングに対する対策であり、低温下で発生するフレッチングを防止出来るという報告は殆どない。
【0005】
更に、低温下では基油の粘度増加に伴い、グリースの流入性が低下するため、上記(3)グリースの供給による表面間の凝着を防止する能力が低下する。したがって、低温下での基油の粘度増加を起こさないために高価な合成油を主体とした基油を用いるという対策が考えられるが、充分な基油粘度上昇の抑制効果はなく、原料費の高騰を招いてしまうという欠点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】山本雄二ら:トライボロジー,理工学社、1999年11月25日発行201〜203頁
【非特許文献2】T.Endo : Eurogrease, November/December(1997) 25〜40頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、耐フレッチング性に優れたグリース組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、高価な合成油を主体とした基油に頼ることなく、常温から低温下(例えば、−50℃、好ましくは−40℃程度)に至るまで、耐フレッチング性に優れたグリース組成物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上記グリース組成物を使用した機械部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記に示すグリース組成物及び機械部品を提供するものである。
1.基油、増ちょう剤及び添加剤を含有するグリース組成物において、
基油の40℃の動粘度が50〜200mm2/sであり、
増ちょう剤が次の一般式(I)で表されるジウレア化合物を含有し、
一般式(I):R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3
(式中、R2は炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基、R1およびR3は同一または異なる基であり、シクロヘキシル基、炭素数8〜22の直鎖または分岐アルキル基を示す。)
添加剤が、ナフテン酸金属塩、炭素数6から10の脂肪酸と炭素数6から10の脂肪族アミンの塩、及び有機スルホン酸金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするグリース組成物。
2.前記ナフテン酸金属塩がシクロペンタン酸亜鉛及びシクロヘキサン酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記アミン塩が炭素数6から10の直鎖脂肪酸と炭素数6から10の直鎖脂肪族アミンの塩であり、前記有機スルホン酸塩がジノニルナフタレンスルホン酸カルシウム塩、ジノニルナフタレンスルホン酸亜鉛塩、及びジノニルナフタレンスルホン酸バリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1記載のグリース組成物。
3.グリース組成物中、前記ナフテン酸金属塩の含有量が、0.5から5.0質量%、前記アミン塩の含有量が、1.5から5.0質量%、前記有機スルホン酸金属塩の含有量が、1.5から5.0質量%であることを特徴とする上記1又は2記載のグリース組成物。
4.上記1〜3のいずれか1項記載のグリース組成物を封入してなる機械部品。
【発明の効果】
【0009】
本発明のグリース組成物は耐フレッチング性に優れている。このため、本発明のグリース組成物は種々の機械部品の潤滑に使用できる。対象とする機械部品は特に限定されないが、例えば、転がり軸受、ボールねじ、直動案内軸受、各種のギヤ、カム、および等速ジョイント、ジャーナル軸受(滑り軸受)、ピストン、ねじ、ロープ、チェーンなどが挙げられる。特に転がり軸受に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のグリース組成物に使用する基油は、40℃の動粘度が50〜200mm2/sのものであれば特に制限されない。40℃の動粘度が50mm2/s未満では、油膜が薄くなる傾向があり充分な油膜厚さを確保出来ない場合があり、200mm2/sを超えると粘性抵抗が増加してしまう傾向がある。
コスト及び性能の観点から鉱油が最も好ましい。必要に応じて鉱油又は合成油を混合して使用することが可能である。
合成油としては、例えば、ジエステル、ポリオールエステルに代表されるエステル系合成油、ポリαオレフィン、ポリブテンに代表される合成炭化水素油、アルキルジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールに代表されるエーテル系合成油、シリコーン油など各種合成油が使用可能であり、これらは単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
但し、コスト及び性能の観点から基油中の鉱油の含有量は、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80〜100質量%、最も好ましくは100質量%である。
【0011】
本発明のグリース組成物に使用する増ちょう剤は、一般式(I)で表される特定のジウレア化合物を含有する。
本発明のグリース組成物中のジウレア化合物の含有量は、グリース組成物のちょう度が好ましくは235〜325、さらに好ましくは280〜325となる程度の量である。具体的には、グリース組成物全体に対して、好ましくは5〜15質量%、更に好ましくは8〜12質量%である。
5質量%未満では、グリースにせん断が加わった際、軟化し、グリースが機械部品から漏洩し易く、15質量%以上ではグリースの流入性が低下してしまうことがある。
一方、リチウム石けんなどの金属石けんを増ちょう剤としたグリースでは、充分な耐フレッチング性を付与することは出来ない。
【0012】
本発明のグリース組成物に使用する添加剤は、ナフテン酸金属塩、炭素数6から10の脂肪酸と炭素数6から10の脂肪族アミンの塩、及び有機スルホン酸金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する。
ナフテン酸金属塩の金属としては、亜鉛,マグネシウム,カルシウム,アルミニウムなどが挙げられる。中でも亜鉛塩が特に優れている。
前記アミン塩を構成する炭素数6から10の脂肪酸は、直鎖または分岐脂肪酸でよい。また、前記アミン塩を構成する炭素数6から10の脂肪族アミンも、直鎖または分岐脂肪族アミンでよい。好ましくは炭素数6から10の直鎖脂肪酸と炭素数6から10の直鎖脂肪族アミンの塩、更に好ましくは炭素数8の直鎖脂肪酸と炭素数8の直鎖脂肪族アミンの塩である。
【0013】
前記有機スルホン酸金属塩を構成する有機スルホン酸としては、潤滑油留分中の芳香族炭化水素成分のスルホン化によって得られる石油スルホネート、ジノニルナフタレンスルホン酸、重質アルキルベンゼンスルホン酸のような合成スルホン酸が挙げられる。
前記有機スルホン酸金属塩の金属としては、カルシウム,亜鉛,バリウム,ナトリウムなどが挙げられる。有機スルホン酸カルシウム塩は中性でも高塩基性塩でもよく、例えば、塩基価50〜500mgKOH/g程度のカルシウム塩が用いられる。
好ましくは、ジノニルナフタレンスルホン酸の金属塩で、特に好ましくはジノニルナフタレンスルホン酸のカルシウム塩,亜鉛塩,バリウム塩である。
【0014】
本発明のグリース組成物中、ナフテン酸金属塩の含有量は、好ましくは0.5から5.0質量%、特に好ましくは1.0から5.0質量%である、
炭素数6から10の脂肪酸と炭素数6から10の脂肪族アミンの塩の含有量は、好ましくは1.5から5.0質量%、特に好ましくは2.0から5.0質量%である。
有機スルホン酸金属塩の含有量は、好ましくは1.5から5.0質量%、特に好ましくは2.0から5.0質量%である。
2種以上を併用する場合には、適宜含有量を調整すればよい。
含有量が上記未満では錆止め剤としての効果はあるが、常温から低温下で発生するフレッチング防止効果は不充分であり、5.0質量%以上添加してもそれ以上の添加効果は認められず不経済である。
【0015】
本発明のグリース組成物の添加剤として使用する、ナフテン酸金属塩、脂肪酸アミン塩、有機スルホン酸塩は、潤滑油の錆止め剤として一般的で、広い用途で用いられ、グリースにも同様に錆止め剤として使用されている。
しかし、上記ナフテン酸金属塩、アミン塩、有機スルホン酸金属塩が、常温から低温下で発生するフレッチング防止に効果を有する旨の報告・開示は全くない。
【0016】
本発明のグリース組成物には必要に応じて、上記ナフテン酸金属塩、アミン塩、有機スルホン酸金属塩以外の汎用の他の添加剤を添加しても良い。例えば、以下に示す添加剤が挙げられる。
・酸化防止剤
アミン類:フェニルαナフチルアミン、アルキル化フェニルαナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミンなど
フェノール類:2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのヒンダードフェノールなど
キノリン系:2、2、4−トリメチル−1、2ジヒドロキノリン重合体など
・錆止め剤
カルボン酸およびその誘導体:アルケニルコハク酸無水物、アルケニルコハク酸エステル、アルケニルコハク酸ハーフエステル
カルボン酸塩:脂肪酸、二塩基酸、ラノリン脂肪酸、アルケニルコハク酸などの金属塩(Ca、Ba、Mg、Al、Zn、Naなど)又はアミン塩
不働態化剤:亜硝酸Na、モリブデン酸Naなど
エステル:ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレートなど
金属腐食防止剤:ベンゾトリアゾール又はその誘導体、酸化亜鉛など
・極圧剤
リン系化合物:トリクレジルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェートなど
硫黄系化合物:ジベンジルジサルファイド、各種ポリサルファイドなど
硫黄−リン系化合物:トリフェニルホスホロチオネート
有機金属系極圧剤:ジアルキルジチオリン酸のZn、Mo、Sb、Biなどの塩、ジアルキルジチオカルバミン酸のZn、Mo、Sb、Ni、Cu、Biなどの塩など
その他、無灰ジチオカーバメート、無灰ジチオホスフェートカーバメートなど
・固体潤滑剤:二硫化モリブデン、グラファイト、PTFE、MCAなど。
【0017】
常温下のフレッチング防止は、増ちょう剤種類の変更(芳香族ウレア皮膜による上記(2)の効果)や、ちょう度を軟らかくすること(グリースの流入を良くする)で対応可能である(後述の比較例6〜10、比較例19,20)。
しかし、低温下ではグリース流入性の低下により、グリースの供給によるフレッチング防止効果が期待できない。
【0018】
本発明のグリース組成物は特定の添加剤(ナフテン酸金属塩、炭素数6から10の脂肪酸と炭素数6から10の脂肪族アミンの塩、または有機スルホン酸金属塩)を含有する。このため、これを例えば、軸受に使用した場合、この添加剤の部材表面に対する強い吸着力により、ジウレアグリースとボール及び内外輪レースとの界面で接着作用を発揮し、グリース流入性の低下する環境下においても、両面を充分に分離し、直接接触を防止することにより、低温下のフレッチングを防止できるものと考えられる。
特定の添加剤の添加により常温から低温下の耐フレッチング性を改善できるという本発明の効果は、当業者が容易に予測できるものではない。
【0019】
<実施例1〜14、比較例1〜17>
基油中で原料イソシアネート1モルに対し原料アミン2モルの比率で所定量を反応させ、添加剤を所定量加え、3本ロールミルで規定のちょう度になるように調整した。
【0020】
<比較例18>
所定量の基油中で所定量のヒドロキシステアリン酸リチウムを混合加熱溶解し、冷却した後、添加剤を所定量加え、3本ロールミルで規定のちょう度になるように調整した。
【0021】
<試験方法>
・混和ちょう度:JIS K 2220.7
・Fafnir friction oxidation test(ADTM D 4170準拠)
・耐フレッチング性を評価する規格試験
下記試験スラスト軸受2組に試験グリースを塗布し、規定の揺動運転を行い、摩耗量(フレッチング摩耗による重量減)を求める。
[試験条件]
軸受 :ANDREWS W 5/8
荷重 :2450N(550lbf)(面圧:1861MPa)
揺動角 :0.21rad(12°)
揺動サイクル :25Hz
時間 :22h
温度 :25℃,−30℃
グリース封入量:軸受1組当たり1.0g
摩耗量 :軸受1組当たりのレース質量減(試験軸受レースの総質量減/2)
[判定]
◎:摩耗量2.0mg以下(耐フレッチング性:非常に大きい)
○:摩耗量2.0超5.0mg未満(耐フレッチング性:大きい)
△:摩耗量5.0超15.0mg未満(耐フレッチング性:少しあり)
×:摩耗量15.0mg以上(耐フレッチング性:なし)
防錆試験:ASTM D1743−73 軸受防錆試験
[判定]
○:錆なし
×:錆あり
結果を表1〜5に示す。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
【表5】

【0027】
※1;ジフェニルメタンジイソシアネート
※2;シクロペンタン酸亜鉛を主成分とするナフテン酸金属塩
※3;炭素数8の直鎖脂肪酸と炭素数8の直鎖脂肪族アミンの塩
※4;ジノニルナフタレンスルホン酸カルシウム
※5;ジノニルナフタレンスルホン酸亜鉛
※6;ジノニルナフタレンスルホン酸バリウム
※7;アルキルホスホロチオネート化合物とアミン系化合物の混合物 商品名HITEC833(アフトンケミカル社製)
※8;炭酸カルシウム
※9;ステアリン酸亜鉛
※10;商品名MOLYVAN A(R.T.VANDERBILT社製)
※11;商品名LUBRIZOL 1395(日本ルーブリゾール社製)
ODA:オクタデシルアミン
CHA:シクロヘキシルアミン
OA:オクチルアミン
PAO:ポリ−α−オレフィン
尚、表中※2〜※6,※8,※9の( )内グリース全量中の添加量:質量%は、添加剤の有効成分濃度を表す。
また、表中※7,※10,※11の( )内グリース全量中の添加量:質量%は、商品の添加濃度を表す。
【0028】
添加剤としてナフテン酸金属塩、炭素数6から10の脂肪酸と炭素数6から10の脂肪族アミンの塩、又は有機スルホン酸金属塩を添加した実施例1〜14のグリース組成物は、ちょう度をやわらかくすることなしに、常温及び低温下において、摩耗量が少なく耐フレッチング性に優れ、防錆性にも優れている。
本発明の特定の添加剤を含まない比較例1、9及び10のグリース組成物は、常温及び低温下において、摩耗量が多く耐フレッチング性に劣り、かつ防錆性も劣っている。
本発明の特定の添加剤とは異なる添加剤を含む比較例2、4、11及び13のグリース組成物は、常温において、摩耗量が少ないが、低温下において摩耗量が多く耐フレッチング性に劣り、かつ防錆性も劣っている。
本発明の特定の添加剤とは異なる添加剤を含む比較例3、5、6、12、14、15のグリース組成物は、常温及び低温下において、摩耗量が多く耐フレッチング性に劣り、かつ防錆性も劣っている。
動粘度が低い基油を使用した比較例7及び16のグリース組成物は、常温において、摩耗量がやや少ないが、低温下において摩耗量が多く耐フレッチング性に劣り、かつ防錆性も劣っている。
増ちょう剤の含有量を少なくした比較例8及び17のグリース組成物は、混和ちょう度が高く、常温において、摩耗量がやや少ないが、低温下において摩耗量が多く耐フレッチング性に劣り、かつ防錆性も劣っている。
増ちょう剤としてリチウム石けんを使用した比較例18のグリース組成物は、防錆性は優れているが、常温及び低温下において、摩耗量が多く耐フレッチング性に劣っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油、増ちょう剤及び添加剤を含有するグリース組成物において、
基油の40℃の動粘度が50〜200mm2/sであり、
増ちょう剤が次の一般式(I)で表されるジウレア化合物を含有し、
一般式(I):R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3
(式中、R2は炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基、R1およびR3は同一または異なる基であり、シクロヘキシル基、炭素数8〜22の直鎖または分岐アルキル基を示す。)
添加剤が、ナフテン酸金属塩、炭素数6から10の脂肪酸と炭素数6から10の脂肪族アミンの塩、及び有機スルホン酸金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするグリース組成物。
【請求項2】
前記ナフテン酸金属塩がシクロペンタン酸亜鉛及びシクロヘキサン酸亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記アミン塩が炭素数6から10の直鎖脂肪酸と炭素数6から10の直鎖脂肪族アミンの塩であり、前記有機スルホン酸塩がジノニルナフタレンスルホン酸カルシウム塩、ジノニルナフタレンスルホン酸亜鉛塩、及びジノニルナフタレンスルホン酸バリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
【請求項3】
グリース組成物中、前記ナフテン酸金属塩の含有量が、0.5から5.0質量%、前記アミン塩の含有量が、1.5から5.0質量%、前記有機スルホン酸金属塩の含有量が、1.5から5.0質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のグリース組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のグリース組成物を封入してなる機械部品。

【公開番号】特開2011−37975(P2011−37975A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185793(P2009−185793)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000162423)協同油脂株式会社 (165)
【Fターム(参考)】