グルコース検知における使用のための蛍光色素
HPTS−CysMAを含む新規クラスの化合物及びそれらを作製する方法が本明細書中で開示される。HPTS−CysMAを含む上記クラスの化合物は、検体検出用の蛍光色素として有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
検体検出における使用のための新規蛍光色素が開示される。
【0002】
[関連出願]
本出願は、2006年7月25日に出願された米国仮出願第60/833,081号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸(HPTS)及びその誘導体を含む蛍光色素は既知であり、検体検出で使用されている。例えば、米国特許第6,653,141号、同第6,627,177号、同第5,512,246号、同第5,137,833号、同第6,800,451号、同第6,794,195号、同第6,804,544号、同第6,002,954号、同第6,319,540号、同第6,766,183号、同第5,503,770号及び同第5,763,238号、並びに同時係属米国特許出願第10/456,895号及び同第11/296,898号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の一般構造を有する蛍光色素が、本発明の実施の形態により開示される:
【0005】
【化1】
【0006】
(式中、
R2は、
【0007】
【化2】
【0008】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0009】
【化3】
【0010】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【0011】
【化4】
【0012】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【0013】
【化5】
【0014】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)。
【0015】
以下の一般構造を有する蛍光色素が、本発明の好ましい実施の形態により開示される:
【0016】
【化6】
【0017】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0018】
【化7】
【0019】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【0020】
【化8】
【0021】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)。
【0022】
以下の構造を有するHPTS−CysMA(又はHPTS−TriCys−MA)と称される蛍光色素が、本発明の好ましい実施の形態により開示される。
【0023】
【化9】
【0024】
本明細書中に開示される色素(例えば、HPTS−CysMA)及び3,3’−oBBVのようなボロン酸を含む消光剤を含むグルコースセンサが、本発明の別の実施の形態により開示される。
【0025】
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第1の方法が、本発明の別の実施の形態により開示される。上記方法は下記工程を含む:
【0026】
【化10】
【0027】
(式中、
R2は、
【0028】
【化11】
【0029】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0030】
【化12】
【0031】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【0032】
【化13】
【0033】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【0034】
【化14】
【0035】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基であり、
Zは、フタルイミド、Boc及びFmocから成る群から選択されるアミノ保護基である)。
【0036】
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第2の方法が、本発明の別の実施の形態により開示される。上記方法は工程:
【0037】
【化15】
【0038】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0039】
【化16】
【0040】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【0041】
【化17】
【0042】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)
を含む。
【0043】
HPTS−CysMAを作製する具体的な方法が、本発明の別の実施の形態により開示される。上記方法は、HPTS−CysOHを作製する下記の工程:
【0044】
【化18】
【0045】
及びHPTS−CysMAを作製する下記の工程:
【0046】
【化19】
【0047】
を含む。
【0048】
HPTS−CysMAを作製する別の具体的な方法が、本発明の別の実施の形態により開示される。上記方法は、
a)TBCysを作製する下記の工程:
【0049】
【化20】
【0050】
b)Phth酸を作製する下記の工程:
【0051】
【化21】
【0052】
c)Phth MAを作製する下記の工程:
【0053】
【化22】
【0054】
d)アミノCysMAを作製する下記の工程:
【0055】
【化23】
【0056】
及びe)HPTS−CysMAを作製する下記の工程:
【0057】
【化24】
【0058】
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】溶液中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのStern―Volmer消光の図である。3,3’−oBBVの添加時の相対発光変化(Stern―Volmer曲線)を示し、3,3’−oBBVによるHPTS−CysMAの消光を示す。
【図2】溶液中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのグルコース応答の図である。HPTS−CysMA及び3,3’−oBBVへのグルコースの添加後に測定される蛍光発光を示す。
【図3】ヒドロゲル中のHPTS−CysMAの蛍光スペクトルの図である。HPTS−CysMAを含むポリマーヒドロゲルの蛍光励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。
【図4】種々のpHでのヒドロゲル中のHPTS−CysMAの時間励振(Time Drive)(Em=532nm)の図である。種々のpHでのヒドロゲル中のHPTS−CysMAの時間励振を示す。
【図5】2つの異なる励起でのHPTS−CysMAのpHプロフィール(Em=532nm)の図である。2つの異なる励起波長でのHPTS−CysMAのpHプロフィールを示す。
【図6】ヒドロゲル中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのグルコース応答の図である。ヒドロゲル中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのグルコース応答を示す。
【図7】HPTS−CysMA及びHPTS−LysMAの蛍光スペクトルの図である。HPTS−CysMA及びHPTS−LysMAの蛍光スペクトルの比較を示す。(1×10−5M)、Exスリット 8nm、Emスリット 12nm。
【図8】3,3’−oBBVによるHPTS−LysMA及びHPTS−CysMAを使用したStern―Volmer消光の比較([色素]=1×10−5M)の図である。HPTS−CysMA及びHPTS−LysMAを使用した3,3’−oBBVのStern―Volmer消光研究の比較を示す。
【図9】3,3’−oBBVによるHPTS−LysMA及びHPTS−CysMAを使用したグルコース調節の比較([色素]=1×10−5M、Q/D=150)の図である。3,3’−oBBVによるHPTS−CysMA及びHPTS−LysMAを使用したグルコース調節の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
蛍光色素
本発明の蛍光色素は、8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホネート(HPTS)の誘導体である。対イオンは、H+又は任意の他の陽イオンであり得る。HPTSは、およそ405nm及びおよそ450nmで2つの励起波長を示し、これらはそれぞれ、酸及びその共役塩基の吸収波長に相当する。励起波長の変化は、HPTS上の水酸基のpH依存的イオン化に起因する。pHが増大するにつれ、HPTSは、約450nmでの吸光度の増加、及び約420nm以下での吸光度の減少を示す。吸収極大のpH依存的シフトは、生理学的範囲における二重励起レシオメトリック検出を可能にする。色素は、3,3’−oBBVのようなボロン酸を含む消光剤とともに使用され得る。
【0061】
本発明の好ましい実施形態による色素の一般構造は:
【0062】
【化25】
【0063】
(式中、
R2は、
【0064】
【化26】
【0065】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0066】
【化27】
【0067】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【0068】
【化28】
【0069】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【0070】
【化29】
【0071】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)である。
【0072】
本発明の好ましい実施形態による色素の一般構造は:
【0073】
【化30】
【0074】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0075】
【化31】
【0076】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【0077】
【化32】
【0078】
であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【0079】
【化33】
【0080】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)である。
【0081】
HPTS−CysMAの構造は下記の通りである:
【0082】
【化34】
【0083】
上記一般構造で示されるように、HPTSコア上のCys−MA以外の置換は、置換が負に帯電しており、且つ重合可能な基を有する限りは本発明の態様に調和する。例えば、システイン酸のL立体異性体又はD立体異性体のいずれかを使用してもよい。幾つかの実施形態では、スルホン酸のほんの1つ又は2つが置換されてもよい。同様に、上記で示されるHPTS−CysMAの変形において、NBu4+のほかに、正に帯電された金属(例えば、Na+)を含む他の対イオンを使用してもよい。他の変形では、スルホン酸基が、例えばリン酸基、カルボン酸基等の官能基で置き換えられてもよい。
【0084】
比較のために、HPTS−LysMAの構造を下記の通りに以下で描写する:
【0085】
【化35】
【0086】
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第1の方法
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第1の方法は、本発明の別の実施形態により開示される。上記方法は下記工程を含む:
【0087】
【化36】
【0088】
(式中、
R2は、
【0089】
【化37】
【0090】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0091】
【化38】
【0092】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【0093】
【化39】
【0094】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【0095】
【化40】
【0096】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基であり、
Zは、フタルイミド、Boc及びFmocから成る群から選択されるアミノ保護基である)。
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第2の方法
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第2の方法は、本発明の別の実施形態により開示される。上記方法は工程:
【0097】
【化41】
【0098】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0099】
【化42】
【0100】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【0101】
【化43】
【0102】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)
を含む。
HPTS−CysMAを合成する第1の特定の方法
システイン酸1(0.5mmol、94mg、この合成ではL立体異性体を使用したが、D立体異性体もまた使用され得る)を、室温で水酸化テトラブチルアンモニウムの水溶液(0.5mmol、0.125M溶液 4mL)で処理した(スキーム1)。30分間攪拌した後、溶液を凍結乾燥させて、2を得て、残渣をジクロロメタン(2mL)中に溶解させた。トリエチルアミン(0.6mmol、61mg)を添加した後、ジクロロメタン(2mL)中のHPTS−Cl(0.1mmol、52mg)を滴下した。混合物を室温で18時間攪拌し、続いて真空中で濃縮した。残渣を熱イソプロピルアルコール中に溶解させて、Biotage SP1 25Mシリカゲルカートリッジにかけて、NH4OH:イソプロピルアルコール(1:3)で溶出させて、黄色粉末としてHPTS−CysOHを得た(0.024mmol、39mg、24%)。1H NMR(D2O、500 MHz)d0.85(t、J=7.4Hz、36H)、1.20(s、J=7.4Hz、24H)1.44(m、24H)、2.94(m、24H)、3.24(m、6H)、4.31(m、3H)、8.19(d、J=16.8Hz、2H)、8.36(d、J=9.0Hz、1H)、8.50(d、J=9.3Hz、1H)、8.64(d、J=9.3Hz、1H)、8.71(d、J=7.1Hz、1H)、8.90(m、4H)、9.19(d、J=12.0Hz、2H)。
スキーム1
【0103】
【化44】
【0104】
HPTS−CysOH(0.0183mmol、30mg)のDMF(1mL)溶液に、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(0.055mmol、10.5mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(0.055mmol、7.4mg)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(0.055mmol、21mg)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(0.183mmol、24mg)を添加した。溶液を室温で20分間攪拌した後、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩を添加して、混合物を48時間攪拌した。反応混合物をアセトン:エーテル(5:1、10mL)中で沈殿させて、油状残渣を得た。残渣をアセトン(10mL)で粉砕して、30分間超音波処理して、粗製混合物としてHPTS−CysMAを得た(橙色粉末 35mg)。
スキーム2
【0105】
【化45】
【0106】
HPTS−CysMAを合成する第2の特定の方法
工程1:TBCysの合成:
【0107】
【化46】
【0108】
磁気攪拌棒を備えた500mLのビーカー中で、(L)−システイン酸(129.24mmol、24.1913g)をH2O(100mL)中に溶解させて、水酸化テトラブチルアンモニウム(129.24mmol、129.24mL、1.0M水溶液 128.59g)で処理した。混合物を室温で30分間攪拌した後、低温(ドライアイス/2−プロパノール)浴を使用して凍結させた。固体を3日間かけて凍結乾燥させて、ガラス状物質を得て、これをCH2Cl2(300mL)中に再溶解させた。溶液を500mLのフラスコ中で乾固するまで蒸発させて、白色泡状物質としてTBCysを得た。収量:53.3756g、129mmol、100%。
【0109】
工程2:Phth酸の合成:
【0110】
【化47】
【0111】
磁気攪拌棒を備えた500mLのフラスコ中で、TBCys(129mmol、53.1936g)をCHCl3(129mL)中に溶解させて、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(65mmol、8.385g、11.3mL)を添加した後、無水フタル酸(129mmol、19.10748g)及び4オングストロームのモレキュラーシーブ(50mL)を添加して、混合物を48時間還流させた。混合物を600mLのガラス漏斗に通して濾過して、濾液を真空中で濃縮して、ジエチルエーテル(2×100mL)で洗浄して、減圧下で乾燥させて、N,N’−ジイソプロピルエチルアミンと複合体形成したPhth酸を得た。収量:70g、129mmol、100%。1H NMR(CDCl3、500MHz)d0.95(t、J=7.4Hz、12H)、1.30(m、8H)、1.38(q、J=7.4Hz、8H)、1.61(m、8H)、2.96(q、J=7.4Hz、1H)、3.23(m、8H)、3.55(sept、J=6.7、1H)、3.62(m、1H)、3.86(dd、J1=5Hz、J2=9.4Hz、1H)、5.31(dd、J1=5.4Hz、J2=1.2Hz、1H)、7.65(q、J=3Hz、2H)、7.55(q、J=3Hz、2H);13C NMR(CDCl3、125MHz)d12.0、13.8、18.1、19.8、24.0、41.7、50.4、51.0、53.1、58.7、123.0、132.8、133.52、167.9、170.7;HPLC supelcosil LC−8−DB、5μm、150mm×4.6mm、λ=254nm、MeOH/TBAPを用いた勾配溶出(30〜70%MeOH)、Rt=5.9分。
【0112】
工程3:Phth MAの合成:
【0113】
【化48】
【0114】
磁気攪拌棒を備えた250mLの丸底フラスコ中で、Phth酸(24.9mmol、13.46g)を0℃でCH2Cl2(85mL)中に溶解させて、EDC(27mmol、5.157g)、HOBT(27mmol、3.645g)及びトリエチルアミン(54mmol、5.4g、7.5mL)を順次添加して、混合物を窒素下で20分間攪拌した。N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(27mmol、4.806g)を添加して、混合物を2時間かけて室温に到達させた後、室温でさらに14時間攪拌した。溶液を飽和NaHCO3(100mL)で処理して、CH2Cl2(3×20mL)で抽出した。CH2Cl2層をMgSO4で乾燥させて、真空中で濃縮して、橙色油状物質を得て、これをBiotage KP−sil 40Mカートリッジにかけた。この物質は、5%〜15%MeOH/CH2Cl2を用いた勾配溶出によって精製した。生成物は白色泡状物質として単離された(収率72%)。1H NMR(CDCl3、500MHz)d0.99(t、J=7.4Hz、12H)、1.44(sext、J=7.4Hz、8H)、1.66(m、10H)、1.89(s、3H)、3.28(m、11H)、3.38(sext、2H)、3.96(dd、J1=9Hz、J2=5.9Hz、1H)、5.22(t、J=1.4Hz、1H)、5.44(dd、J1=1.9Hz、J2=9.0Hz、1H)、5.69(s、1H)、5.91(t、J=6.0Hz、1H)、7.70(m、2H)、7.82(m、2H)、9.09(t、J=5.8Hz、1H);13C NMR(CDCl3、125MHz)d13.8、18.7、19.8、24.1、29.1、36.0、36.4、50.5、53.2、58.9、119.6、123.4、132.3、134.0、140.0、167.9、168.5、169.3;HPLC supelcosil LC−8−DB、5μm、150mm×4.6mm、λ=254nm、MeOH/TBAPを用いた勾配溶出(30〜70%MeOH)、Rt=6.6分。
【0115】
工程4:アミノCysMAの合成:
【0116】
【化49】
【0117】
磁気攪拌棒を備えた100mLの丸底フラスコ中で、Phth MA(2.59mmol、1.7225g)をエタノール(20mL)中に溶解させて、ヒドラジン一水和物(2.59mmol、0.130g、0.126mL)を添加して、混合物を80℃で2時間加熱した。溶液を室温に冷却して、CH2Cl2(20mL)を添加した。形成された沈殿物を、ガラス漏斗を使用して濾過して、さらにCH2Cl2(10mL)で洗浄して、濾液を真空中で濃縮した。残渣をCH2Cl2(5mL)中に溶解させて、Biotage KP−NH 40Mカートリッジにかけて、1%〜15%MeOH/CH2Cl2で溶出させた。分画を収集して、真空中で濃縮して、無色油状物質としてアミノCysMAを得た。収率:60%。1H NMR(CD3OD、500MHz)d1.03(t、J=7.4Hz、12H)、1.42(sext、J=7.4Hz、8H)、1.66(m、8H)、1.95(s、3H)、2.87(q、J1=9.4Hz、J2=4.4Hz、1H)、3.23(m、10H)、3.81(dd、J1=3.3Hz、J2=6.0Hz、1H)、5.37(s、1H)、5.73(s、1H);HPLC supelcosil LC−8−DB、5μm、150mm×4.6mm、λ=254nm、MeOH/TBAPを用いた勾配溶出(30〜70%MeOH)、Rt=3.5分。
【0118】
工程5:HPTS−CysMAの合成:
【0119】
【化50】
【0120】
50mLの丸底フラスコ中で、アミノCysMA(1.09mmol、0.5827g)をCH2Cl2(10mL)中に溶解させて、HPTS−Cl(0.29mmol、0.163g)を添加した。トリエチルアミン(1.1mmol、0.153mL)を添加して、混合物を室温で16時間攪拌した。赤色溶液を1M NaOH(10mL)で処理して、30分間攪拌して、2層を分液漏斗で分離させた。橙色水層をDowex 50W樹脂(H+形態)のカラムに通して、pH紙で測定される場合にpH=4を有する黄色/緑色溶液を得た。次に、水溶液をDowex 50W(Na+形態)のカラムに通して、HPTS−CysMAの粗製ナトリウム塩を得た。溶液をポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂(250g)上へ吸着させて、H2O(5×500mL)で洗浄した。洗液を保存して、吸着された材料を、MeOH(1L)を用いて樹脂から取り出した。新鮮なMeOH(4×500mL)による多重同時蒸発後に、MeOH/水抽出物を乾固するまで蒸発させて、残渣をMeOH(0.5mL)中に再溶解させた。アセトン(15mL)を添加して、沈殿物を遠心分離により収集して、アルゴン気流下で乾燥させて、橙色/黄色固体としてHPTS−CysMAを得た。さらなる生成物を、同じMeOH抽出手順を使用して洗液から単離した。収率:40%。1H NMR(500MHz、D2O、ppm):1.18−1.09(m、6H)、1.76−1.53(m、9H)、2.73−2.23(m、12H);HPLC supelcosil LC−8−DB、5μm、150mm×4.6mm、FLD検出器、MeOH/TBAPを用いた勾配溶出(30〜70%MeOH)、Rt=11.6分;C46H58N9Na3O22S6に関するMALDI−TOF[MH]+:1350、[MH−Na+H]+:1328、[MH−2Na+2H]+:1306、[MH−3Na+3H]+:1284(major)。
消光剤
本明細書中で使用する場合、「消光剤」という用語は、その存在時に、蛍光色素(例えば、HPTS−CysMA)の発光を低減する化合物を指す。
【0121】
幾つかの実施形態では、消光剤部分は、グルコース認識を提供する。かかる部分は好ましくは、芳香族ボロン酸を含む。より具体的には、ボロン酸は、共役窒素含有複素環式芳香族ビスオニウム構造(例えば、ビオロゲン)に共有結合され、ここでボロン酸は、水性媒体、有機媒体又は組合せ媒体中でグルコースと可逆的に或いは不可逆的に反応して、ボロン酸エステルを形成する。反応の程度は、媒体中のグルコース濃度に関連する。
【0122】
ビスオニウム塩は、共役複素環式芳香族二窒素化合物から調製される。共役複素環式芳香族二窒素は、例えばジピリジル、ジピリジルエチレン、ジピリジルフェニレン、フェナントロリン及びジアザフルオレンである。両方の窒素が置換され得る上記共役複素環式芳香族二窒素化合物の全ての異性体が、本発明で有用である。ボロン酸置換されたビオロゲン及びボロン酸置換されたポリビオロゲンは、同時係属米国出願第11/671,880号(その全体が参照により本明細書に援用される)に詳述されている。
【0123】
他の実施形態では、ピリジニウムボロン酸消光剤は、本発明の色素と組み合わせて使用される。ピリジニウムボロン酸消光剤は、米国仮出願第60/915,372号(その全体が参照により本明細書に援用される)に詳述されている。
【0124】
1つの好ましい実施形態では、3,3’−oBBVは、消光剤部分として使用され得る。3,3’−oBBVの構造は:
【0125】
【化51】
【0126】
である。
色素の機能分析
HPTS−CysMAを、蛍光光度計を使用して溶液中で試験して、HPTS−CysMAをHPTS−LysMAと比較する方法を確定した。Stern―Volmer研究及びグルコース応答研究を同一条件下で連続して実施して、直接的な比較を保証した。
溶液研究
HPTS−CysMAの溶液(pH 7.4 PBS中に1×10−5M)に、増加量の3,3’−oBBV(MeOH中に30mM)を添加して、各添加後に蛍光発光を測定した。図1は、3,3’−oBBVの添加時の相対発光変化(Stern―Volmer曲線)を付与し、3,3’−oBBVによるHPTS−CysMAの消光を示す。蛍光光度計設定は下記の通りであった:1%減衰、exスリット 8nm、emスリット 12nm、486nm ex λ、537nm em λ。
【0127】
HPTS−CysMA(1×10−5M)及び3,3’−oBBV(3×10−3M)を、pH 7.4 PBS中のグルコースの原液(31250mg/dL)で滴定して、グルコースの各添加後に蛍光発光を測定した。グルコースの添加時の相対変化は図2に付与される。
ポリマー研究
HPTS−CysMA(1mg)、N,N’−ジメチルアクリルアミド(400mg)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(8mg)、HCl(1M溶液 10μL)及びVA−044(1mg)を水中に溶解させて、メスフラスコ中で1mLに希釈した。溶液を凍結−吸引−解凍させて(freeze-pump-thaw)(3回)、0.005”ポリイミドスペーサーを含有する型へ注入して、55℃で16時間重合させた。得られたフィルムをpH 7.4リン酸緩衝液中に置いて、その蛍光励起スペクトル及び発光スペクトルを得た(図3)。
【0128】
フィルムはフローセル構成において2つの異なる励起波長(418nm及び486nm)で様々なpH(最初はpH5.1にて、pH 5.75、6.26、6.5、6.9、7.4、8.02に変化させて、続いてpH 7.4に戻す)で試験して、1つの発光波長(532nm)で経時的にモニタリングした(図4)。蛍光光度計設定は下記の通りであった:exスリット 5nm、emスリット 3.5nm、515nm カットオフフィルタ、418nm ex λ、486nm ex λ、532nm em λ。pHプロフィールは図5に要約される。
【0129】
HPTS−CysMA(2mg)、3,3’−oBBV(15mg)、N,N’−ジメチルアクリルアミド(400mg)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(8mg)、HCl(1M溶液 10μL)及びVA−044(1mg)を水中に溶解させて、メスフラスコ中で1mLに希釈した。溶液を凍結−吸引−解凍させて(3回)、0.005”ポリイミドスペーサーを含有する型へ注入して、55℃で16時間重合させた。得られたフィルムをpH 7.4リン酸緩衝液中に置いて、フローセル構成において増加量のグルコース(0、50、100、200、400mg/dL)を用いて試験した。グルコースの添加時の相対蛍光変化は図6に付与される。蛍光光度計設定は下記の通りであった:exスリット 8nm、emスリット 3.5nm、515nm カットオフフィルタ、486nm ex λ、532nm em λ。
比較研究
溶液中のCysMA色素及びLysMA色素の蛍光スペクトルの比較は図7に示される。CysMA色素は、LysMA色素に対して青色側へシフトする。
【0130】
溶液中のCysMA及びLysMAに関するStern―Volmer消光研究の比較は図8に付与され、グルコース応答は図9に付与される。
【0131】
HPTS−CysMAは、HPTS−LysMAよりも効果的に3,3’−oBBVにより消光される。HPTS−CysMAは、スルホン酸のために、カルボン酸を有するHPTS−LysMAよりも強力な複合体を形成し、よりしっかりとした複合体がより大きなグルコース応答を導く。このため、スルホネート基で置換された色素が好ましい。
グルコースセンサ
1つの好ましい実施形態では、血中グルコース濃度を確定するための装置が開示される。装置は、血管内で展開用に寸法を取った光ファイバを含むセンサを備える。センサは、不水溶性ポリマーマトリックス(ここでポリマーマトリックスは、グルコースにとって透過性である)、ポリマーマトリックスに結合された本明細書中で開示されるような蛍光色素、血中グルコース濃度に関連する量のグルコースを可逆的に結合するように適応された本明細書中に開示されるような消光剤(ここで、消光剤もまた、ポリマーマトリックスに結合されて、蛍光色素と操作可能にカップリングされ、また消光剤は、結合されたグルコースの量に関連する蛍光色素により発光される光を調節するように設計される)、少なくとも1つの励起光源及び発光検出器をさらに含む。
【0132】
血中グルコース濃度を測定する方法もまた開示される。上記方法は、上述の装置を準備する工程、血管へセンサを挿入する工程、励起波長でセンサを照射する工程、発光波長でセンサの蛍光発光を検出する工程、及び血中グルコース濃度を測定する工程を含む。
【0133】
幾つかの実施形態では、移動している流れを包含しないin vitroでの使用に関して、検知構成成分は、個々の(別個の)構成成分として使用される。色素及び消光剤は液体溶液中で一緒に混合されて、検体が添加されて、蛍光強度の変化が測定され、構成成分は廃棄される。浸出を防止するために検知構成成分を捕捉するのに使用することができる高分子マトリックスは存在する必要がない。任意に、検知構成成分は固定化されて、それらの使用が、移動している流れにおいて検体を測定するのを可能にする。
【0134】
in vivo用途に関しては、センサは、1つ又は複数のポリヒドロキシル有機化合物を含有するか、或いは上記化合物を含有する筋肉のような組織中に植え込まれている生理液、好ましくは血液の移動している流れにおいて使用される。したがって、検知部分はいずれもセンサ組立品から抜け出ないことが好ましい。したがって、in vivoでの使用に関して、検知構成成分は好ましくは、有機ポリマー検知組立品の一部である。可溶性色素及び消光剤は、検体の通過を可能にするが、検知部分の通過を阻止する半透膜により閉じ込められ得る。このことは、検体分子よりも実質的に大きい可溶性検知部分(検体の分子量の少なくとも2倍、又は1000より大きい、好ましくは5000より大きい分子量)を使用すること、及び検知部分が定量的に保持されるように2つの間で特定の分子量カットオフを有する選択的半透膜(例えば、透析又は限外濾過膜)を用いることにより実現することができる。
【0135】
好ましくは、検知部分は、グルコースにとって自由に透過性である不溶性ポリマーマトリックスに固定化される。ポリマーマトリックスは、有機ポリマー、無機ポリマー又はそれらのポリマーの組合せで構成される。マトリックスは、生体適合性材料で構成されてもよい。あるいは、マトリックスは、第2の生体適合性ポリマー、及び/又は所定の検体にとって透過性である半透膜でコーティングされる。
【0136】
ポリマーマトリックスの機能は、検体との接触を可能とし、且つ検体をボロン酸に結合させると同時に、蛍光色素及び消光剤部分を一緒に保持及び固定化することである。この効果を達成するには、マトリックスは、媒体中では不溶性でなくてはならず、マトリックスと検体溶液との間で高表面積界面を確立することにより検体と密接に結び付かなくてはならない。例えば、超薄フィルム又は微孔質支持体マトリックスが使用される。あるいは、マトリックスは、検体溶液中で膨潤性であり、例えばヒドロゲルマトリックスが水系で使用される。場合によっては、検知ポリマーは、光導管の表面のような表面に結合されるか、或いは微孔質膜中に含浸される。全ての場合において、マトリックスは、結合部位への検体の輸送を妨害してはならず、その結果、2相間で平衡が確立され得る。超薄フィルム、微孔質ポリマー、微孔質ゾルゲル及びヒドロゲルを調製するための技法は当該技術分野で確立されている。有用なマトリックスは全て、検体透過性であるとして規定される。
【0137】
明瞭性及び理解の目的で本発明を幾らか詳細に記載してきたが、本発明の真の範囲を逸脱することなく、形態及び詳細において様々な変更が成され得ることは当業者に理解されよう。図、表及び付録並びに上記で参照した特許、出願及び刊行物は全て、参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0001】
検体検出における使用のための新規蛍光色素が開示される。
【0002】
[関連出願]
本出願は、2006年7月25日に出願された米国仮出願第60/833,081号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸(HPTS)及びその誘導体を含む蛍光色素は既知であり、検体検出で使用されている。例えば、米国特許第6,653,141号、同第6,627,177号、同第5,512,246号、同第5,137,833号、同第6,800,451号、同第6,794,195号、同第6,804,544号、同第6,002,954号、同第6,319,540号、同第6,766,183号、同第5,503,770号及び同第5,763,238号、並びに同時係属米国特許出願第10/456,895号及び同第11/296,898号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下の一般構造を有する蛍光色素が、本発明の実施の形態により開示される:
【0005】
【化1】
【0006】
(式中、
R2は、
【0007】
【化2】
【0008】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0009】
【化3】
【0010】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【0011】
【化4】
【0012】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【0013】
【化5】
【0014】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)。
【0015】
以下の一般構造を有する蛍光色素が、本発明の好ましい実施の形態により開示される:
【0016】
【化6】
【0017】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0018】
【化7】
【0019】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【0020】
【化8】
【0021】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)。
【0022】
以下の構造を有するHPTS−CysMA(又はHPTS−TriCys−MA)と称される蛍光色素が、本発明の好ましい実施の形態により開示される。
【0023】
【化9】
【0024】
本明細書中に開示される色素(例えば、HPTS−CysMA)及び3,3’−oBBVのようなボロン酸を含む消光剤を含むグルコースセンサが、本発明の別の実施の形態により開示される。
【0025】
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第1の方法が、本発明の別の実施の形態により開示される。上記方法は下記工程を含む:
【0026】
【化10】
【0027】
(式中、
R2は、
【0028】
【化11】
【0029】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0030】
【化12】
【0031】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【0032】
【化13】
【0033】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【0034】
【化14】
【0035】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基であり、
Zは、フタルイミド、Boc及びFmocから成る群から選択されるアミノ保護基である)。
【0036】
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第2の方法が、本発明の別の実施の形態により開示される。上記方法は工程:
【0037】
【化15】
【0038】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0039】
【化16】
【0040】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【0041】
【化17】
【0042】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)
を含む。
【0043】
HPTS−CysMAを作製する具体的な方法が、本発明の別の実施の形態により開示される。上記方法は、HPTS−CysOHを作製する下記の工程:
【0044】
【化18】
【0045】
及びHPTS−CysMAを作製する下記の工程:
【0046】
【化19】
【0047】
を含む。
【0048】
HPTS−CysMAを作製する別の具体的な方法が、本発明の別の実施の形態により開示される。上記方法は、
a)TBCysを作製する下記の工程:
【0049】
【化20】
【0050】
b)Phth酸を作製する下記の工程:
【0051】
【化21】
【0052】
c)Phth MAを作製する下記の工程:
【0053】
【化22】
【0054】
d)アミノCysMAを作製する下記の工程:
【0055】
【化23】
【0056】
及びe)HPTS−CysMAを作製する下記の工程:
【0057】
【化24】
【0058】
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】溶液中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのStern―Volmer消光の図である。3,3’−oBBVの添加時の相対発光変化(Stern―Volmer曲線)を示し、3,3’−oBBVによるHPTS−CysMAの消光を示す。
【図2】溶液中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのグルコース応答の図である。HPTS−CysMA及び3,3’−oBBVへのグルコースの添加後に測定される蛍光発光を示す。
【図3】ヒドロゲル中のHPTS−CysMAの蛍光スペクトルの図である。HPTS−CysMAを含むポリマーヒドロゲルの蛍光励起スペクトル及び発光スペクトルを示す。
【図4】種々のpHでのヒドロゲル中のHPTS−CysMAの時間励振(Time Drive)(Em=532nm)の図である。種々のpHでのヒドロゲル中のHPTS−CysMAの時間励振を示す。
【図5】2つの異なる励起でのHPTS−CysMAのpHプロフィール(Em=532nm)の図である。2つの異なる励起波長でのHPTS−CysMAのpHプロフィールを示す。
【図6】ヒドロゲル中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのグルコース応答の図である。ヒドロゲル中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのグルコース応答を示す。
【図7】HPTS−CysMA及びHPTS−LysMAの蛍光スペクトルの図である。HPTS−CysMA及びHPTS−LysMAの蛍光スペクトルの比較を示す。(1×10−5M)、Exスリット 8nm、Emスリット 12nm。
【図8】3,3’−oBBVによるHPTS−LysMA及びHPTS−CysMAを使用したStern―Volmer消光の比較([色素]=1×10−5M)の図である。HPTS−CysMA及びHPTS−LysMAを使用した3,3’−oBBVのStern―Volmer消光研究の比較を示す。
【図9】3,3’−oBBVによるHPTS−LysMA及びHPTS−CysMAを使用したグルコース調節の比較([色素]=1×10−5M、Q/D=150)の図である。3,3’−oBBVによるHPTS−CysMA及びHPTS−LysMAを使用したグルコース調節の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
蛍光色素
本発明の蛍光色素は、8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホネート(HPTS)の誘導体である。対イオンは、H+又は任意の他の陽イオンであり得る。HPTSは、およそ405nm及びおよそ450nmで2つの励起波長を示し、これらはそれぞれ、酸及びその共役塩基の吸収波長に相当する。励起波長の変化は、HPTS上の水酸基のpH依存的イオン化に起因する。pHが増大するにつれ、HPTSは、約450nmでの吸光度の増加、及び約420nm以下での吸光度の減少を示す。吸収極大のpH依存的シフトは、生理学的範囲における二重励起レシオメトリック検出を可能にする。色素は、3,3’−oBBVのようなボロン酸を含む消光剤とともに使用され得る。
【0061】
本発明の好ましい実施形態による色素の一般構造は:
【0062】
【化25】
【0063】
(式中、
R2は、
【0064】
【化26】
【0065】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0066】
【化27】
【0067】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【0068】
【化28】
【0069】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【0070】
【化29】
【0071】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)である。
【0072】
本発明の好ましい実施形態による色素の一般構造は:
【0073】
【化30】
【0074】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0075】
【化31】
【0076】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【0077】
【化32】
【0078】
であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【0079】
【化33】
【0080】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)である。
【0081】
HPTS−CysMAの構造は下記の通りである:
【0082】
【化34】
【0083】
上記一般構造で示されるように、HPTSコア上のCys−MA以外の置換は、置換が負に帯電しており、且つ重合可能な基を有する限りは本発明の態様に調和する。例えば、システイン酸のL立体異性体又はD立体異性体のいずれかを使用してもよい。幾つかの実施形態では、スルホン酸のほんの1つ又は2つが置換されてもよい。同様に、上記で示されるHPTS−CysMAの変形において、NBu4+のほかに、正に帯電された金属(例えば、Na+)を含む他の対イオンを使用してもよい。他の変形では、スルホン酸基が、例えばリン酸基、カルボン酸基等の官能基で置き換えられてもよい。
【0084】
比較のために、HPTS−LysMAの構造を下記の通りに以下で描写する:
【0085】
【化35】
【0086】
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第1の方法
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第1の方法は、本発明の別の実施形態により開示される。上記方法は下記工程を含む:
【0087】
【化36】
【0088】
(式中、
R2は、
【0089】
【化37】
【0090】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0091】
【化38】
【0092】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【0093】
【化39】
【0094】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【0095】
【化40】
【0096】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基であり、
Zは、フタルイミド、Boc及びFmocから成る群から選択されるアミノ保護基である)。
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第2の方法
HPTS−CysMAが属する一般クラスの化合物を作製する第2の方法は、本発明の別の実施形態により開示される。上記方法は工程:
【0097】
【化41】
【0098】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【0099】
【化42】
【0100】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【0101】
【化43】
【0102】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)
を含む。
HPTS−CysMAを合成する第1の特定の方法
システイン酸1(0.5mmol、94mg、この合成ではL立体異性体を使用したが、D立体異性体もまた使用され得る)を、室温で水酸化テトラブチルアンモニウムの水溶液(0.5mmol、0.125M溶液 4mL)で処理した(スキーム1)。30分間攪拌した後、溶液を凍結乾燥させて、2を得て、残渣をジクロロメタン(2mL)中に溶解させた。トリエチルアミン(0.6mmol、61mg)を添加した後、ジクロロメタン(2mL)中のHPTS−Cl(0.1mmol、52mg)を滴下した。混合物を室温で18時間攪拌し、続いて真空中で濃縮した。残渣を熱イソプロピルアルコール中に溶解させて、Biotage SP1 25Mシリカゲルカートリッジにかけて、NH4OH:イソプロピルアルコール(1:3)で溶出させて、黄色粉末としてHPTS−CysOHを得た(0.024mmol、39mg、24%)。1H NMR(D2O、500 MHz)d0.85(t、J=7.4Hz、36H)、1.20(s、J=7.4Hz、24H)1.44(m、24H)、2.94(m、24H)、3.24(m、6H)、4.31(m、3H)、8.19(d、J=16.8Hz、2H)、8.36(d、J=9.0Hz、1H)、8.50(d、J=9.3Hz、1H)、8.64(d、J=9.3Hz、1H)、8.71(d、J=7.1Hz、1H)、8.90(m、4H)、9.19(d、J=12.0Hz、2H)。
スキーム1
【0103】
【化44】
【0104】
HPTS−CysOH(0.0183mmol、30mg)のDMF(1mL)溶液に、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(0.055mmol、10.5mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(0.055mmol、7.4mg)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(0.055mmol、21mg)及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(0.183mmol、24mg)を添加した。溶液を室温で20分間攪拌した後、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩を添加して、混合物を48時間攪拌した。反応混合物をアセトン:エーテル(5:1、10mL)中で沈殿させて、油状残渣を得た。残渣をアセトン(10mL)で粉砕して、30分間超音波処理して、粗製混合物としてHPTS−CysMAを得た(橙色粉末 35mg)。
スキーム2
【0105】
【化45】
【0106】
HPTS−CysMAを合成する第2の特定の方法
工程1:TBCysの合成:
【0107】
【化46】
【0108】
磁気攪拌棒を備えた500mLのビーカー中で、(L)−システイン酸(129.24mmol、24.1913g)をH2O(100mL)中に溶解させて、水酸化テトラブチルアンモニウム(129.24mmol、129.24mL、1.0M水溶液 128.59g)で処理した。混合物を室温で30分間攪拌した後、低温(ドライアイス/2−プロパノール)浴を使用して凍結させた。固体を3日間かけて凍結乾燥させて、ガラス状物質を得て、これをCH2Cl2(300mL)中に再溶解させた。溶液を500mLのフラスコ中で乾固するまで蒸発させて、白色泡状物質としてTBCysを得た。収量:53.3756g、129mmol、100%。
【0109】
工程2:Phth酸の合成:
【0110】
【化47】
【0111】
磁気攪拌棒を備えた500mLのフラスコ中で、TBCys(129mmol、53.1936g)をCHCl3(129mL)中に溶解させて、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(65mmol、8.385g、11.3mL)を添加した後、無水フタル酸(129mmol、19.10748g)及び4オングストロームのモレキュラーシーブ(50mL)を添加して、混合物を48時間還流させた。混合物を600mLのガラス漏斗に通して濾過して、濾液を真空中で濃縮して、ジエチルエーテル(2×100mL)で洗浄して、減圧下で乾燥させて、N,N’−ジイソプロピルエチルアミンと複合体形成したPhth酸を得た。収量:70g、129mmol、100%。1H NMR(CDCl3、500MHz)d0.95(t、J=7.4Hz、12H)、1.30(m、8H)、1.38(q、J=7.4Hz、8H)、1.61(m、8H)、2.96(q、J=7.4Hz、1H)、3.23(m、8H)、3.55(sept、J=6.7、1H)、3.62(m、1H)、3.86(dd、J1=5Hz、J2=9.4Hz、1H)、5.31(dd、J1=5.4Hz、J2=1.2Hz、1H)、7.65(q、J=3Hz、2H)、7.55(q、J=3Hz、2H);13C NMR(CDCl3、125MHz)d12.0、13.8、18.1、19.8、24.0、41.7、50.4、51.0、53.1、58.7、123.0、132.8、133.52、167.9、170.7;HPLC supelcosil LC−8−DB、5μm、150mm×4.6mm、λ=254nm、MeOH/TBAPを用いた勾配溶出(30〜70%MeOH)、Rt=5.9分。
【0112】
工程3:Phth MAの合成:
【0113】
【化48】
【0114】
磁気攪拌棒を備えた250mLの丸底フラスコ中で、Phth酸(24.9mmol、13.46g)を0℃でCH2Cl2(85mL)中に溶解させて、EDC(27mmol、5.157g)、HOBT(27mmol、3.645g)及びトリエチルアミン(54mmol、5.4g、7.5mL)を順次添加して、混合物を窒素下で20分間攪拌した。N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(27mmol、4.806g)を添加して、混合物を2時間かけて室温に到達させた後、室温でさらに14時間攪拌した。溶液を飽和NaHCO3(100mL)で処理して、CH2Cl2(3×20mL)で抽出した。CH2Cl2層をMgSO4で乾燥させて、真空中で濃縮して、橙色油状物質を得て、これをBiotage KP−sil 40Mカートリッジにかけた。この物質は、5%〜15%MeOH/CH2Cl2を用いた勾配溶出によって精製した。生成物は白色泡状物質として単離された(収率72%)。1H NMR(CDCl3、500MHz)d0.99(t、J=7.4Hz、12H)、1.44(sext、J=7.4Hz、8H)、1.66(m、10H)、1.89(s、3H)、3.28(m、11H)、3.38(sext、2H)、3.96(dd、J1=9Hz、J2=5.9Hz、1H)、5.22(t、J=1.4Hz、1H)、5.44(dd、J1=1.9Hz、J2=9.0Hz、1H)、5.69(s、1H)、5.91(t、J=6.0Hz、1H)、7.70(m、2H)、7.82(m、2H)、9.09(t、J=5.8Hz、1H);13C NMR(CDCl3、125MHz)d13.8、18.7、19.8、24.1、29.1、36.0、36.4、50.5、53.2、58.9、119.6、123.4、132.3、134.0、140.0、167.9、168.5、169.3;HPLC supelcosil LC−8−DB、5μm、150mm×4.6mm、λ=254nm、MeOH/TBAPを用いた勾配溶出(30〜70%MeOH)、Rt=6.6分。
【0115】
工程4:アミノCysMAの合成:
【0116】
【化49】
【0117】
磁気攪拌棒を備えた100mLの丸底フラスコ中で、Phth MA(2.59mmol、1.7225g)をエタノール(20mL)中に溶解させて、ヒドラジン一水和物(2.59mmol、0.130g、0.126mL)を添加して、混合物を80℃で2時間加熱した。溶液を室温に冷却して、CH2Cl2(20mL)を添加した。形成された沈殿物を、ガラス漏斗を使用して濾過して、さらにCH2Cl2(10mL)で洗浄して、濾液を真空中で濃縮した。残渣をCH2Cl2(5mL)中に溶解させて、Biotage KP−NH 40Mカートリッジにかけて、1%〜15%MeOH/CH2Cl2で溶出させた。分画を収集して、真空中で濃縮して、無色油状物質としてアミノCysMAを得た。収率:60%。1H NMR(CD3OD、500MHz)d1.03(t、J=7.4Hz、12H)、1.42(sext、J=7.4Hz、8H)、1.66(m、8H)、1.95(s、3H)、2.87(q、J1=9.4Hz、J2=4.4Hz、1H)、3.23(m、10H)、3.81(dd、J1=3.3Hz、J2=6.0Hz、1H)、5.37(s、1H)、5.73(s、1H);HPLC supelcosil LC−8−DB、5μm、150mm×4.6mm、λ=254nm、MeOH/TBAPを用いた勾配溶出(30〜70%MeOH)、Rt=3.5分。
【0118】
工程5:HPTS−CysMAの合成:
【0119】
【化50】
【0120】
50mLの丸底フラスコ中で、アミノCysMA(1.09mmol、0.5827g)をCH2Cl2(10mL)中に溶解させて、HPTS−Cl(0.29mmol、0.163g)を添加した。トリエチルアミン(1.1mmol、0.153mL)を添加して、混合物を室温で16時間攪拌した。赤色溶液を1M NaOH(10mL)で処理して、30分間攪拌して、2層を分液漏斗で分離させた。橙色水層をDowex 50W樹脂(H+形態)のカラムに通して、pH紙で測定される場合にpH=4を有する黄色/緑色溶液を得た。次に、水溶液をDowex 50W(Na+形態)のカラムに通して、HPTS−CysMAの粗製ナトリウム塩を得た。溶液をポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂(250g)上へ吸着させて、H2O(5×500mL)で洗浄した。洗液を保存して、吸着された材料を、MeOH(1L)を用いて樹脂から取り出した。新鮮なMeOH(4×500mL)による多重同時蒸発後に、MeOH/水抽出物を乾固するまで蒸発させて、残渣をMeOH(0.5mL)中に再溶解させた。アセトン(15mL)を添加して、沈殿物を遠心分離により収集して、アルゴン気流下で乾燥させて、橙色/黄色固体としてHPTS−CysMAを得た。さらなる生成物を、同じMeOH抽出手順を使用して洗液から単離した。収率:40%。1H NMR(500MHz、D2O、ppm):1.18−1.09(m、6H)、1.76−1.53(m、9H)、2.73−2.23(m、12H);HPLC supelcosil LC−8−DB、5μm、150mm×4.6mm、FLD検出器、MeOH/TBAPを用いた勾配溶出(30〜70%MeOH)、Rt=11.6分;C46H58N9Na3O22S6に関するMALDI−TOF[MH]+:1350、[MH−Na+H]+:1328、[MH−2Na+2H]+:1306、[MH−3Na+3H]+:1284(major)。
消光剤
本明細書中で使用する場合、「消光剤」という用語は、その存在時に、蛍光色素(例えば、HPTS−CysMA)の発光を低減する化合物を指す。
【0121】
幾つかの実施形態では、消光剤部分は、グルコース認識を提供する。かかる部分は好ましくは、芳香族ボロン酸を含む。より具体的には、ボロン酸は、共役窒素含有複素環式芳香族ビスオニウム構造(例えば、ビオロゲン)に共有結合され、ここでボロン酸は、水性媒体、有機媒体又は組合せ媒体中でグルコースと可逆的に或いは不可逆的に反応して、ボロン酸エステルを形成する。反応の程度は、媒体中のグルコース濃度に関連する。
【0122】
ビスオニウム塩は、共役複素環式芳香族二窒素化合物から調製される。共役複素環式芳香族二窒素は、例えばジピリジル、ジピリジルエチレン、ジピリジルフェニレン、フェナントロリン及びジアザフルオレンである。両方の窒素が置換され得る上記共役複素環式芳香族二窒素化合物の全ての異性体が、本発明で有用である。ボロン酸置換されたビオロゲン及びボロン酸置換されたポリビオロゲンは、同時係属米国出願第11/671,880号(その全体が参照により本明細書に援用される)に詳述されている。
【0123】
他の実施形態では、ピリジニウムボロン酸消光剤は、本発明の色素と組み合わせて使用される。ピリジニウムボロン酸消光剤は、米国仮出願第60/915,372号(その全体が参照により本明細書に援用される)に詳述されている。
【0124】
1つの好ましい実施形態では、3,3’−oBBVは、消光剤部分として使用され得る。3,3’−oBBVの構造は:
【0125】
【化51】
【0126】
である。
色素の機能分析
HPTS−CysMAを、蛍光光度計を使用して溶液中で試験して、HPTS−CysMAをHPTS−LysMAと比較する方法を確定した。Stern―Volmer研究及びグルコース応答研究を同一条件下で連続して実施して、直接的な比較を保証した。
溶液研究
HPTS−CysMAの溶液(pH 7.4 PBS中に1×10−5M)に、増加量の3,3’−oBBV(MeOH中に30mM)を添加して、各添加後に蛍光発光を測定した。図1は、3,3’−oBBVの添加時の相対発光変化(Stern―Volmer曲線)を付与し、3,3’−oBBVによるHPTS−CysMAの消光を示す。蛍光光度計設定は下記の通りであった:1%減衰、exスリット 8nm、emスリット 12nm、486nm ex λ、537nm em λ。
【0127】
HPTS−CysMA(1×10−5M)及び3,3’−oBBV(3×10−3M)を、pH 7.4 PBS中のグルコースの原液(31250mg/dL)で滴定して、グルコースの各添加後に蛍光発光を測定した。グルコースの添加時の相対変化は図2に付与される。
ポリマー研究
HPTS−CysMA(1mg)、N,N’−ジメチルアクリルアミド(400mg)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(8mg)、HCl(1M溶液 10μL)及びVA−044(1mg)を水中に溶解させて、メスフラスコ中で1mLに希釈した。溶液を凍結−吸引−解凍させて(freeze-pump-thaw)(3回)、0.005”ポリイミドスペーサーを含有する型へ注入して、55℃で16時間重合させた。得られたフィルムをpH 7.4リン酸緩衝液中に置いて、その蛍光励起スペクトル及び発光スペクトルを得た(図3)。
【0128】
フィルムはフローセル構成において2つの異なる励起波長(418nm及び486nm)で様々なpH(最初はpH5.1にて、pH 5.75、6.26、6.5、6.9、7.4、8.02に変化させて、続いてpH 7.4に戻す)で試験して、1つの発光波長(532nm)で経時的にモニタリングした(図4)。蛍光光度計設定は下記の通りであった:exスリット 5nm、emスリット 3.5nm、515nm カットオフフィルタ、418nm ex λ、486nm ex λ、532nm em λ。pHプロフィールは図5に要約される。
【0129】
HPTS−CysMA(2mg)、3,3’−oBBV(15mg)、N,N’−ジメチルアクリルアミド(400mg)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(8mg)、HCl(1M溶液 10μL)及びVA−044(1mg)を水中に溶解させて、メスフラスコ中で1mLに希釈した。溶液を凍結−吸引−解凍させて(3回)、0.005”ポリイミドスペーサーを含有する型へ注入して、55℃で16時間重合させた。得られたフィルムをpH 7.4リン酸緩衝液中に置いて、フローセル構成において増加量のグルコース(0、50、100、200、400mg/dL)を用いて試験した。グルコースの添加時の相対蛍光変化は図6に付与される。蛍光光度計設定は下記の通りであった:exスリット 8nm、emスリット 3.5nm、515nm カットオフフィルタ、486nm ex λ、532nm em λ。
比較研究
溶液中のCysMA色素及びLysMA色素の蛍光スペクトルの比較は図7に示される。CysMA色素は、LysMA色素に対して青色側へシフトする。
【0130】
溶液中のCysMA及びLysMAに関するStern―Volmer消光研究の比較は図8に付与され、グルコース応答は図9に付与される。
【0131】
HPTS−CysMAは、HPTS−LysMAよりも効果的に3,3’−oBBVにより消光される。HPTS−CysMAは、スルホン酸のために、カルボン酸を有するHPTS−LysMAよりも強力な複合体を形成し、よりしっかりとした複合体がより大きなグルコース応答を導く。このため、スルホネート基で置換された色素が好ましい。
グルコースセンサ
1つの好ましい実施形態では、血中グルコース濃度を確定するための装置が開示される。装置は、血管内で展開用に寸法を取った光ファイバを含むセンサを備える。センサは、不水溶性ポリマーマトリックス(ここでポリマーマトリックスは、グルコースにとって透過性である)、ポリマーマトリックスに結合された本明細書中で開示されるような蛍光色素、血中グルコース濃度に関連する量のグルコースを可逆的に結合するように適応された本明細書中に開示されるような消光剤(ここで、消光剤もまた、ポリマーマトリックスに結合されて、蛍光色素と操作可能にカップリングされ、また消光剤は、結合されたグルコースの量に関連する蛍光色素により発光される光を調節するように設計される)、少なくとも1つの励起光源及び発光検出器をさらに含む。
【0132】
血中グルコース濃度を測定する方法もまた開示される。上記方法は、上述の装置を準備する工程、血管へセンサを挿入する工程、励起波長でセンサを照射する工程、発光波長でセンサの蛍光発光を検出する工程、及び血中グルコース濃度を測定する工程を含む。
【0133】
幾つかの実施形態では、移動している流れを包含しないin vitroでの使用に関して、検知構成成分は、個々の(別個の)構成成分として使用される。色素及び消光剤は液体溶液中で一緒に混合されて、検体が添加されて、蛍光強度の変化が測定され、構成成分は廃棄される。浸出を防止するために検知構成成分を捕捉するのに使用することができる高分子マトリックスは存在する必要がない。任意に、検知構成成分は固定化されて、それらの使用が、移動している流れにおいて検体を測定するのを可能にする。
【0134】
in vivo用途に関しては、センサは、1つ又は複数のポリヒドロキシル有機化合物を含有するか、或いは上記化合物を含有する筋肉のような組織中に植え込まれている生理液、好ましくは血液の移動している流れにおいて使用される。したがって、検知部分はいずれもセンサ組立品から抜け出ないことが好ましい。したがって、in vivoでの使用に関して、検知構成成分は好ましくは、有機ポリマー検知組立品の一部である。可溶性色素及び消光剤は、検体の通過を可能にするが、検知部分の通過を阻止する半透膜により閉じ込められ得る。このことは、検体分子よりも実質的に大きい可溶性検知部分(検体の分子量の少なくとも2倍、又は1000より大きい、好ましくは5000より大きい分子量)を使用すること、及び検知部分が定量的に保持されるように2つの間で特定の分子量カットオフを有する選択的半透膜(例えば、透析又は限外濾過膜)を用いることにより実現することができる。
【0135】
好ましくは、検知部分は、グルコースにとって自由に透過性である不溶性ポリマーマトリックスに固定化される。ポリマーマトリックスは、有機ポリマー、無機ポリマー又はそれらのポリマーの組合せで構成される。マトリックスは、生体適合性材料で構成されてもよい。あるいは、マトリックスは、第2の生体適合性ポリマー、及び/又は所定の検体にとって透過性である半透膜でコーティングされる。
【0136】
ポリマーマトリックスの機能は、検体との接触を可能とし、且つ検体をボロン酸に結合させると同時に、蛍光色素及び消光剤部分を一緒に保持及び固定化することである。この効果を達成するには、マトリックスは、媒体中では不溶性でなくてはならず、マトリックスと検体溶液との間で高表面積界面を確立することにより検体と密接に結び付かなくてはならない。例えば、超薄フィルム又は微孔質支持体マトリックスが使用される。あるいは、マトリックスは、検体溶液中で膨潤性であり、例えばヒドロゲルマトリックスが水系で使用される。場合によっては、検知ポリマーは、光導管の表面のような表面に結合されるか、或いは微孔質膜中に含浸される。全ての場合において、マトリックスは、結合部位への検体の輸送を妨害してはならず、その結果、2相間で平衡が確立され得る。超薄フィルム、微孔質ポリマー、微孔質ゾルゲル及びヒドロゲルを調製するための技法は当該技術分野で確立されている。有用なマトリックスは全て、検体透過性であるとして規定される。
【0137】
明瞭性及び理解の目的で本発明を幾らか詳細に記載してきたが、本発明の真の範囲を逸脱することなく、形態及び詳細において様々な変更が成され得ることは当業者に理解されよう。図、表及び付録並びに上記で参照した特許、出願及び刊行物は全て、参照により本明細書に援用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物:
【化1】
(式中、
R2は、
【化2】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【化3】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【化4】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【化5】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)。
【請求項2】
化合物:
【化6】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【化7】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【化8】
であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【化9】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)。
【請求項3】
化合物:
【化10】
【請求項4】
NBu4が任意の他の対イオンである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
システインのL立体異性体、D立体異性体又はL及びD立体異性体を含む、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物を含むグルコースセンサ。
【請求項7】
消光剤部分(quencher moiety)をさらに含む、請求項6に記載のグルコースセンサ。
【請求項8】
前記消光剤部分は、ボロン酸を含む、請求項7に記載のグルコースセンサ。
【請求項9】
前記ボロン酸消光剤は、3,3’−oBBVである、請求項8に記載のグルコースセンサ。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物を作製する方法であって、
【化11】
(式中、
R2は、
【化12】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【化13】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【化14】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【化15】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基であり、
Zは、フタルイミド、Boc及びFmocから成る群から選択されるアミノ保護基である)
の工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項2に記載の化合物を作製する方法であって、
【化16】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【化17】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【化18】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)
の工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項3に記載の化合物を作製する方法であって、HPTS−CysOHを作製する下記の工程:
【化19】
及びHPTS−CysMAを作製する下記の工程:
【化20】
を含む、方法。
【請求項13】
請求項3に記載の化合物を作製する方法であって、TBCysを作製する下記の工程:
【化21】
、Phth酸を作製する下記の工程:
【化22】
、Phth MAを作製する下記の工程:
【化23】
、アミノCysMAを作製する下記の工程:
【化24】
及びHPTS−CysMAを作製する下記の工程
【化25】
を含む、方法。
【請求項1】
化合物:
【化1】
(式中、
R2は、
【化2】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【化3】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【化4】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【化5】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)。
【請求項2】
化合物:
【化6】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【化7】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【化8】
であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【化9】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)。
【請求項3】
化合物:
【化10】
【請求項4】
NBu4が任意の他の対イオンである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
システインのL立体異性体、D立体異性体又はL及びD立体異性体を含む、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物を含むグルコースセンサ。
【請求項7】
消光剤部分(quencher moiety)をさらに含む、請求項6に記載のグルコースセンサ。
【請求項8】
前記消光剤部分は、ボロン酸を含む、請求項7に記載のグルコースセンサ。
【請求項9】
前記ボロン酸消光剤は、3,3’−oBBVである、請求項8に記載のグルコースセンサ。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物を作製する方法であって、
【化11】
(式中、
R2は、
【化12】
であり、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【化13】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R4は、
【化14】
であり、
R5は、Y−(CH2)n−R6及び
【化15】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しく、Yは、NH及びOから成る群から選択される)から成る群から選択され、
R6は、NHR7、OR7及びCO2Hから成る群から選択され、
R7は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基であり、
Zは、フタルイミド、Boc及びFmocから成る群から選択されるアミノ保護基である)
の工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項2に記載の化合物を作製する方法であって、
【化16】
(式中、
R3は、−(CH2)n−A−M+
(式中、nは、1〜4であり、
A−は、SO3−、HPO3−、CO2−及び
【化17】
から成る群から選択される陰イオン基であり、
M+は、H+、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+、オニウムイオン及びNR4+(式中、Rは、アルキル、アルキルアリール及び芳香族基から成る群から選択される)から成る群から選択される陽イオン基である)であり、
R8は、−(CH2)n−R9及び
【化18】
(式中、nは、1〜10に等しく、n’は、2〜4に等しい)から成る群から選択され、
R9は、NHR10、OR10及びCO2Hから成る群から選択され、
R10は、H、又はメタクリロイル、アクリロイル、スチリル、アクリルアミド及びメタクリルアミドから成る群から選択されるエチレン性不飽和基である)
の工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項3に記載の化合物を作製する方法であって、HPTS−CysOHを作製する下記の工程:
【化19】
及びHPTS−CysMAを作製する下記の工程:
【化20】
を含む、方法。
【請求項13】
請求項3に記載の化合物を作製する方法であって、TBCysを作製する下記の工程:
【化21】
、Phth酸を作製する下記の工程:
【化22】
、Phth MAを作製する下記の工程:
【化23】
、アミノCysMAを作製する下記の工程:
【化24】
及びHPTS−CysMAを作製する下記の工程
【化25】
を含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2009−544729(P2009−544729A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521962(P2009−521962)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/074255
【国際公開番号】WO2008/014280
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(507262693)グルメトリックス,インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】GluMetrics,Inc.
【住所又は居所原語表記】15375 Barranca Parkway, Ste I−108,Irvine, CA 92618 U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/074255
【国際公開番号】WO2008/014280
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(507262693)グルメトリックス,インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】GluMetrics,Inc.
【住所又は居所原語表記】15375 Barranca Parkway, Ste I−108,Irvine, CA 92618 U.S.A.
【Fターム(参考)】
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