説明

グループ識別子生成システム、携帯端末、識別サーバ、グループ識別子生成方法、アプリケーションサービスシステム及びコンピュータプログラム

【課題】初対面同士がメンバーであるグループであっても、各メンバーによる簡単な端末操作でグループの識別子を各メンバーの端末へ配信することを図る。
【解決手段】同じグループに属する各メンバーの携帯端末1が、同じ被写体5を撮像した画像を識別サーバ3へ送信し(S1)、識別サーバが、複数の携帯端末1から受信した画像の類似度に基づいて同じグループに属するメンバーの携帯端末1を判定し(S3)、該判定の結果に基づいて同じグループに属するメンバーの携帯端末へ当該グループ用識別子を返信する(S5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループ識別子生成システム、携帯端末、識別サーバ、グループ識別子生成方法、アプリケーションサービスシステム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ある特定のグループに対し、アプリケーションの実行又はダウンロードといったアプリケーションサービスを提供するシステムとして、例えば非特許文献1のオンライン写真共有サービスシステムが知られている。このオンライン写真共有サービスシステムでは、あるユーザに対し、オンライン上で、アルバムをアップロードする記憶スペースを提供し、その記憶スペースを他のユーザにも公開可能とする。そのオンライン写真共有サービスシステムにおいて、あるグループ用に写真を共有するときのユーザの手順を説明する。
【0003】
はじめに、あるグループの一人のユーザが、オンライン写真共有サービスの参加を申し込み、アカウントを取得する。次いで、ユーザが、そのアカウント上で、あるグループ用のアルバムスペース(記憶スペース)を作成する。そのアルバムスペースには一意に識別可能な識別子(例えば、URL(Uniform Resource Locator)など)が付与される。次いで、ユーザが、アルバムスペースをグループで共有するために、グループに対し、識別子を送信する。この識別子の送信方法としては、電子メールで送信したり、或いは、赤外線通信により直接的に端末間で受け渡したりする。次いで、識別子を受け取ったユーザが該識別子を使ってアルバムスペースにアクセスすることにより、写真共有サービスを受けることができる。
【0004】
また、特許文献1には、グループ内で共通鍵を生成し、共通鍵を共有する方法が開示されている。この方法では、知り合い関係にある一部のメンバー間で互いの端末の識別子をアドレス帳に登録しておく。そして、グループ間の全員のメールアドレスなどのID情報を共有していなくても、一部のメンバー間が知り合い関係にいる場合、その知り合い関係情報を利用して、その情報をアドホックネットワーク経由で通知しあい、共有鍵の生成ならびに共有を行う。
【非特許文献1】“Picasaウェブアルバム”、[平成20年12月8日検索]、インターネット<URL:http://picasaweb.google.com/home>
【特許文献1】特開2005−223773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来技術では、旅先などで偶然に一時的に結成され、初対面同士がメンバーであるグループに対して共通のアプリケーションサービスを提供する場合、グループの識別子又は共通鍵をグループで共有する点において不都合である。例えば、非特許文献1では、アカウントを取得したユーザが、グループの識別子を電子メールで送信するために、グループに属するメンバー全員の電子メールアドレスを一人ずつ教えてもらう必要があり、手間がかかる。また、電子メールアドレスの漏洩を恐れて参加を躊躇するメンバーが現れることも考えられる。赤外線通信を利用して識別子を送信することも考えられるが、アカウントを取得したユーザが一人一人に赤外線通信を行う必要があり、手間がかかる。
【0006】
また、特許文献1では、メンバー全員が初対面の場合には利用することができない。さらに、無線LANでアドホックネットワークを構築するためにはネットワークに参加するための識別子としてSSIDと呼ばれる識別子が必要となるが、メンバー全員が初対面の場合にはSSIDをメンバー間で教えあう必要があり、手間がかかる。各ユーザの端末がSSIDをビーコンに搭載してブロードキャストすることも可能であるが、この場合、グループのメンバーだけではなく、近くにいる無関係の端末にSSIDが漏洩する恐れがある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、初対面同士がメンバーであるグループであっても、各メンバーによる簡単な端末操作でグループの識別子を各メンバーの端末へ配信することのできるグループ識別子生成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るグループ識別子生成システムは、携帯端末と識別サーバが移動通信網を介して通信可能に構成されているグループ識別子生成システムであり、前記携帯端末は、撮像手段又は音声入力手段と、撮像された画像又は入力された音声を記録する記録手段と、記録された画像又は音声を前記識別サーバへ送信する送信手段と、該送信に対する返信として前記識別サーバからグループ用識別子を受信する受信手段と、を有し、前記識別サーバは、前記携帯端末から画像又は音声を受信する受信手段と、受信された画像又は音声を蓄積するデータベースと、複数の携帯端末から受信した画像又は音声の類似度に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末を判定する同一グループ判定手段と、前記判定の結果に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末へ当該グループ用識別子を返信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るグループ識別子生成システムにおいては、前記同一グループ判定手段において、画像又は音声の類似度の判定用の閾値として、一グループに属するメンバーの数に応じた値を複数設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るグループ識別子生成システムにおいては、前記識別サーバは、前記データベースに画像又は音声の登録時刻を記録し、前記同一グループ判定手段は、前記登録時刻の時間差が一定時間内である場合にのみ、該当する携帯端末同士を同一グループに属する候補とすることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るグループ識別子生成システムにおいては、前記携帯端末の送信手段は、画像又は音声と共に送信時刻を前記識別サーバへ送信し、前記識別サーバは、前記データベースに前記送信時刻を記録し、前記同一グループ判定手段は、前記送信時刻の時間差が一定時間内である場合にのみ、該当する携帯端末同士を同一グループに属する候補とすることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るグループ識別子生成システムにおいては、前記携帯端末の送信手段は、画像又は音声と共に自端末の位置情報を前記識別サーバへ送信し、前記識別サーバは、前記データベースに前記位置情報を記録し、前記同一グループ判定手段は、前記位置情報に基づいた位置の距離差が一定の距離内である場合にのみ、該当する携帯端末同士を同一グループに属する候補とすることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るグループ識別子生成システムにおいては、前記携帯端末の送信手段は、画像又は音声と共に該画像の撮像時刻又は該音声の入力時刻を前記識別サーバへ送信し、前記識別サーバは、前記データベースに前記撮像時刻又は音声入力時刻を記録し、前記同一グループ判定手段は、前記撮像時刻又は音声入力時刻の時間差が一定時間内である場合にのみ、該当する携帯端末同士を同一グループに属する候補とすることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るグループ識別子生成システムにおいては、前記同一グループ判定手段は、前記送信時刻の時間差、位置の距離差、又は、撮像時刻もしくは音声入力時刻の時間差に応じて、類似度を補正することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る携帯端末は、識別サーバと移動通信網を介して通信可能な携帯端末であり、撮像手段又は音声入力手段と、撮像された画像又は入力された音声を記録する記録手段と、記録された画像又は音声を前記識別サーバへ送信する送信手段と、該送信に対する返信として前記識別サーバからグループ用識別子を受信する受信手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る識別サーバは、携帯端末と移動通信網を介して通信可能な識別サーバであり、前記携帯端末から該携帯端末で撮像された画像又は入力された音声を受信する受信手段と、受信された画像又は音声を蓄積するデータベースと、複数の携帯端末から受信した画像又は音声の類似度に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末を判定する同一グループ判定手段と、前記判定の結果に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末へ当該グループ用識別子を返信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るコンピュータプログラムは、携帯端末と移動通信網を介して通信可能な識別サーバにおけるグループ識別子生成処理を行うためのコンピュータプログラムであって、前記携帯端末から該携帯端末で撮像された画像又は入力された音声を受信するステップと、受信された画像又は音声をデータベースに蓄積するステップと、複数の携帯端末から受信した画像又は音声の類似度に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末を判定するステップと、前記判定の結果に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末へ当該グループ用識別子を返信するステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
これにより、前述の識別サーバがコンピュータを利用して実現できるようになる。
【0018】
本発明に係るグループ識別子生成方法は、携帯端末と識別サーバが移動通信網を介して通信可能に構成されているグループ識別子生成システムにおけるグループ識別子生成方法であって、同じグループに属する各メンバーの前記携帯端末が、同じ被写体を撮像した画像又は同じ音源から入力した音声を前記識別サーバへ送信するステップと、前記識別サーバが、複数の携帯端末から受信した画像又は音声の類似度に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末を判定するステップと、前記識別サーバが、該判定の結果に基づいて同じグループに属するメンバーの携帯端末へ当該グループ用識別子を返信するステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明に係るアプリケーションサービスシステムは、前述のいずれかのグループ識別子生成システムと、前記グループ識別子生成システムの識別サーバと連携して、同じグループに属するメンバーの携帯端末に対しアプリケーションサービスを提供するアプリケーションサーバと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、初対面同士がメンバーであるグループであっても、各メンバーによる簡単な端末操作でグループの識別子を各メンバーの端末へ配信することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るグループ識別子生成システムの構成図である。図1において、携帯端末1は、グループに属するメンバーが有するものであり、移動通信網2に無線接続して通信することが可能である。識別サーバ3は、移動通信網2に対して直接的に又はインターネット等の他の通信網を介して間接的に接続し、移動通信網2を介して携帯端末1と通信を行うことが可能である。アプリケーションサーバ4は、移動通信網2に対して直接的に又はインターネット等の他の通信網(図示せず)を介して間接的に接続し、移動通信網2を介して携帯端末1と通信を行うことが可能である。また、アプリケーションサーバ4は、インターネット等の通信網(図示せず)を介して識別サーバ3と通信を行うことが可能である。被写体5及び音源6は、グループに属するメンバーに共通のものである。
【0022】
図2は、図1に示す携帯端末1の構成図である。図2において、携帯端末1は、メディア情報取得部10、通信部16及びアプリケーション部17を有する。メディア情報取得部10は、カメラ11、録画部12、マイク13、録音部14及び情報生成部15を有する。
【0023】
メディア情報取得部10において、カメラ11は被写体を撮像する。撮像画像は、静止画であってもよく、或いは、動画像であってもよい。録画部12は、撮像された画像を録画する。マイク13は、音声を入力する。録音部14は、入力された音声を録音する。
【0024】
情報生成部15は、メディア情報を生成する。メディア情報は、録画された画像又は録音された音声を含む。さらに、画像を撮像した時刻又は音声を入力した時刻の情報をメディア情報に含めるようにしてもよい。メディア情報取得部10は、メディア情報を通信部16へ出力する。
【0025】
通信部16は、移動通信網2に無線接続して通信を行う。通信部16は、識別用情報を識別サーバ3へ送信する。識別用情報はメディア情報を含む。さらに、識別用情報を送信する時の時刻又は位置の情報を識別用情報に含めるようにしてもよい。携帯端末1の位置の情報としては、例えば、GPS(Global Positioning System)で計測した位置情報、自携帯端末1が無線接続している基地局を特定可能な情報(基地局情報)などである。
【0026】
通信部16は、識別用情報の送信に対する応答として、識別サーバ3からグループ用識別子を受信する。通信部16は、受信したグループ用識別子をアプリケーション部17へ送る。
【0027】
アプリケーション部17は、通信部16から受け取ったグループ用識別子を用いて、アプリケーションサーバ4へアクセスし、アプリケーションサービスの提供を受ける。アプリケーション部17は、通信部16を介してアプリケーションサーバ4との間でデータを送受する。
【0028】
図3は、図1に示す識別サーバ3の構成図である。図3において、識別サーバ3は、通信部31、識別部32、アプリケーション連携部33及びデータベース34を有する。
通信部31は、移動通信網2を介して携帯端末1と通信を行う。また、通信部31は、インターネット等の通信網を介してアプリケーションサーバ4と通信を行う。
【0029】
識別部32は、通信部31を介して携帯端末1との間でデータを送受する。識別部32は、携帯端末1から識別用情報を受信する。データベース34は、携帯端末1から受信した識別用情報を蓄積する。識別部32は、複数の携帯端末1から受信した識別用情報に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末1を判定する。識別部32は、その判定結果に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末1に対し、当該グループ用識別子を返信する。
【0030】
また、識別部32は、同じグループに属するメンバーの携帯端末1の端末識別子と該グループ用識別子の組をアプリケーション連携部33へ送る。
【0031】
アプリケーション連携部33は、通信部31を介してアプリケーションサーバ4との間でデータを送受する。アプリケーション連携部33は、識別部32から受け取った、同じグループに属するメンバーの携帯端末1の端末識別子と該グループ用識別子の組をアプリケーションサーバ4へ送信する。
【0032】
図4は、図1に示すアプリケーションサーバ4の構成図である。図4において、アプリケーションサーバ4は、通信部41及びアプリケーション提供部42を有する。
通信部41は、移動通信網2を介して携帯端末1と通信を行う。また、通信部41は、インターネット等の通信網を介して識別サーバ3と通信を行う。
【0033】
アプリケーション提供部42は、識別サーバ3から、同じグループに属するメンバーの携帯端末1の端末識別子と該グループ用識別子の組を受信する。アプリケーション提供部42は、その受信した端末識別子とグループ用識別子の組に基づいて、アプリケーションサービスの提供を準備する。そして、アプリケーション提供部42は、携帯端末1からアクセスされた際、端末識別子とグループ用識別子に基づいて、アプリケーションサービスを提供する。
【0034】
図5は、本実施形態に係るグループ識別子生成手順の全体の流れを示すシーケンスチャートである。以下、図5を参照して、本実施形態に係るグループ識別子生成システムの動作を説明する。なお、以降の説明では、メディア情報として携帯端末1で録画された画像を利用する場合を例に挙げて説明する。
【0035】
ステップS1:同じグループに属する各メンバーは、それぞれの携帯端末1を用いて、同じ被写体5を撮像する。これにより、携帯端末1は、撮像した被写体5の画像を録画する。このとき、携帯端末1は、撮像した時刻を録画した画像に関連付けて記録する。携帯端末1は、録画した画像と撮像時刻の情報とを含むメディア情報を生成する。
【0036】
ステップS2:各メンバーは、それぞれの携帯端末1を用いて、識別サーバ3へ識別用情報を送信する。これにより、携帯端末1は、メディア情報と識別用情報を送信する時刻の情報と自端末の位置の情報とを含む識別用情報を自端末識別子と共に識別サーバ3へ送信する。
【0037】
ステップS3:識別サーバ3は、複数の携帯端末1から受信した識別用情報に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末1を判定する。この同一グループ判定処理については後述する。識別サーバ3は、同一グループ判定処理の結果に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末1に対する当該グループ用識別子を生成する。
【0038】
ステップS4−1:識別サーバ3は、同じグループに属するメンバーの携帯端末1の端末識別子と該グループ用識別子の組をアプリケーションサーバ4へ送信する。
ステップS4−2:アプリケーションサーバ4は、識別サーバ3から、同じグループに属するメンバーの携帯端末1の端末識別子と該グループ用識別子の組を受信すると、その受信した端末識別子とグループ用識別子の組に基づいて、アプリケーションサービスを提供するための準備を行う。例えば、オンライン写真共有サービスを提供する場合、グループ用識別子に対応したアルバムスペース(記憶スペース)を確保すると共に、該グループ用識別子の組に含まれる端末識別子に対してのみアクセス権を与えるように設定する。
【0039】
ステップS5:識別サーバ3は、ステップS3の同一グループ判定処理の結果に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末1に対し、当該グループ用識別子を返信する。このとき、識別サーバ3は、メンバーの確認用にグループのメンバー数をグループ用識別子と共に通知してもよい。これにより、メンバーは、その通知されたメンバー数が実際のメンバー数と異なる場合には、グループ用識別子の生成をやり直すことにより、グループ用識別子の安全性を高めることができる。
【0040】
ステップS6:各メンバーは、それぞれの携帯端末1を用いて、アプリケーションサーバ4へアクセスし、アプリケーションサービスの提供を要求する。これにより、携帯端末1は、識別サーバ3から受信したグループ用識別子と共に自端末識別子をアプリケーションサーバ4へ送信し、アプリケーションサービスの提供を要求する。アプリケーションサーバ4は、携帯端末1から受信した端末識別子及びグループ用識別子に対してアプリケーションサービスの提供の可否を判断し、提供可である場合に当該携帯端末1へアプリケーションサービスの提供を開始する。例えば、オンライン写真共有サービスを提供する場合、携帯端末1から受信したグループ用識別子に対応したアルバムスペースについて、該携帯端末1から受信した端末識別子に対し、アクセス権を付与してもよいか否かをアクセス権設定情報に基づいて判断し、アクセス権付与可である場合にアクセス権を付与する。これにより、アルバムスペースへのアクセス権が付与された端末識別子を持つ携帯端末1は、該アルバムスペースに対し、写真をアップロードしたり、或いは、アップロードされている写真を閲覧したりすることができる。
【0041】
なお、上記ステップS2において携帯端末1が識別用情報と共にユーザ識別子を識別サーバ3へ送信し、上記ステップS4−1において識別サーバ3が該ユーザ識別子もアプリケーションサーバ4へ送信するようにしてもよい。該ユーザ識別子は、任意のものであよく、ニックネームのように利用され、グループメンバーの確認用などに利用することができる。また、アプリケーションサーバ4が提供するアプリケーション上で、ユーザ識別子がグループ用識別子及び端末識別子と組み合わされることにより、グループの一意性を保つようにしてもよい。
【0042】
また、アプリケーションサーバ4が複数のアプリケーションサービスを提供したり、或いは、アプリケーションサーバ4を複数設けたりする場合には、上記ステップS2において携帯端末1が識別用情報と共にアプリケーションを指定する情報を識別サーバ3へ送信し、ステップS4−1において識別サーバ3が該指定されたアプリケーションサーバ4へ情報を送信するように構成すればよい。
【0043】
次に、図5に示すステップS3の同一グループ判定処理を説明する。
図6は、図3に示す識別部32が行う同一グループ判定処理の手順を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、本実施形態に係る同一グループ判定処理を説明する。
【0044】
ステップS3−1:識別部32は、ある携帯端末1から受信した識別用情報をデータベース34に登録する。データベース34に登録された識別用情報は、データベース34内で登録順に並べられる。さらに、その登録された時刻がデータベース34に記録される。なお、ステップS3−1で新規にデータベース34に登録された識別用情報のことを「登録情報」と称する。
【0045】
ステップS3−2:識別部32は、登録情報と比較する対象の識別用情報を、データベース34の中から登録の新しいものから古いものへと登録の逆順で選択しながら、以降のステップS3−3からS3−14を繰り返す。この繰り返しが全て終わると図6の処理を終了する。なお、ステップS3−2で、登録情報と比較する対象として選択された識別用情報のことを「比較情報」と称する。
【0046】
ステップS3−3:識別部32は、登録情報と比較情報について、データベース34への登録時刻を比較し、その時間差が一定時間内であるかを判定する。登録情報と比較情報の登録時刻の時間差が一定時間内であればステップS3−4へ進み、そうでなければ図6の処理を終了する。この理由は、同じグループに属するメンバーに係る識別用情報であれば、それほど長くない期間内に識別サーバ3へ送信されるはずであるので、直前に登録された識別用情報との登録時刻の差が一定時間内でなければ、当該登録情報は所属グループでは初めて登録された識別用情報である可能性が高く、従って、まだ、当該登録情報に係る同一グループを判定することができない可能性が高いことから、図6の処理を終了し、同一グループ判定処理の効率向上を図るためである。
なお、一定時間の値(閾値)は、後述する送信時刻の時間差の制限(限界値)及び撮像時刻の時間差の制限(限界値)よりも大きくする。
【0047】
ステップS3−4:識別部32は、登録情報と比較情報のそれぞれに通信時の情報(送信時刻情報、位置情報)が付加されている場合、その情報を比較する。送信時刻情報が付加されている場合、その送信時刻を比較する。位置情報が付加されている場合、その位置を比較する。ここで、送信時刻の比較方法と位置の比較方法を説明する。
【0048】
[送信時刻の比較方法]
登録情報に係る送信時刻と比較情報に係る送信時刻との時間差を計算し、その差分値と限界値を比較し、差分値が限界値を超えるか判断する。差分値が限界値を超える場合、当該比較情報は登録情報とは異なるグループに係るものであるとして、ステップS3−2へ戻り、次の識別用情報を比較情報として処理を行う。一方、差分値が限界値以内である場合、差分値に応じて、類似度に対するボーナスを決定する。このボーナスの例が図7に示されている。ボーナスの与え方としては、ボーナス加算とボーナス積算との二通りがある。図7には、ボーナス加算を採用する場合のボーナスの例と、ボーナス積算を採用する場合のボーナスの例とが示されている。
【0049】
[位置の比較方法]
登録情報に係る位置と比較情報に係る位置との距離差を計算し、その差分値と限界値を比較し、差分値が限界値を超えるか判断する。差分値が限界値を超える場合、当該比較情報は登録情報とは異なるグループに係るものであるとして、ステップS3−2へ戻り、次の識別用情報を比較情報として処理を行う。一方、差分値が限界値以内である場合、差分値に応じて、類似度に対するボーナスを決定する。ボーナスの与え方としては、ボーナス加算とボーナス積算との二通りがある。ボーナス加算を採用する場合のボーナスの例としては、
完全一致の場合:+10%、
隣接している場合:+5%、
などが挙げられる。ボーナス積算を採用する場合のボーナスの例としては、
完全一致の場合:*1.1倍、
隣接している場合:*1.05倍
などが挙げられる。隣接しているか否かは閾値(限界値よりも小さい値)を設けて判定する。
なお、位置情報が移動通信網2の基地局の情報である場合、同じグループに属するメンバーの携帯端末1であっても、異なる基地局に無線接続していることが考えられる。このため、単に基地局の一致だけではなく、隣接する基地局についても容認するようにしてもよい。
【0050】
ステップS3−5:識別部32は、登録情報と比較情報のそれぞれに撮像時刻の情報が付加されている場合、その撮像時刻を比較する。ここで、撮像時刻の比較方法を説明する。
【0051】
[撮像時刻の比較方法]
登録情報に係る撮像時刻と比較情報に係る撮像時刻との時間差を計算し、その差分値と限界値を比較し、差分値が限界値を超えるか判断する。差分値が限界値を超える場合、当該比較情報は登録情報とは異なるグループに係るものであるとして、ステップS3−2へ戻り、次の識別用情報を比較情報として処理を行う。一方、差分値が限界値以内である場合、差分値に応じて、類似度に対するボーナスを決定する。このボーナスの与え方及びその例は上記図7と同様である。
【0052】
ステップS3−6:識別部32は、登録情報と比較情報のそれぞれに付加されている画像を比較する。ここで、画像の比較方法を説明する。
【0053】
[画像の比較方法]
登録情報に係る画像の特徴量と比較情報に係る画像の特徴量をそれぞれ算出し、両者の特徴量を比較する。この比較の結果に基づいて、登録情報に係る画像と比較情報に係る画像との類似度を所定の規則に従って求める。そして、その求めた類似度に対し、上記ステップS3−4,S3−5で決定されたボーナスを与える。以後の判定には、このボーナス付与後の類似度を使用する。なお、画像の特徴量としては、例えば、画像に含まれる色種類のヒストグラムなどが利用可能である。
【0054】
ステップS3−7:識別部32は、ステップS3−6で決定した類似度を閾値と比較し、該類似度が閾値以上であるかを判定する。この結果、類似度が閾値以上であればステップS3−8へ進む。一方、類似度が閾値未満である場合には、当該比較情報は登録情報とは異なるグループに係るものであるとして、ステップS3−2へ戻り、次の識別用情報を比較情報として処理を行う。
【0055】
なお、ステップS3−7において、類似度の判定用の閾値を複数設けてもよい。それら複数の閾値は、一グループに属するメンバーの数に応じた値とする。類似度の判定用の閾値を複数設けた場合には、以降のステップS3−8からS3−13を該閾値毎に行い、該閾値毎にその結果を記録する。
【0056】
ステップS3−8:識別部32は、データベース34内の登録情報のエントリにおいて、比較対象の欄に比較情報のエントリを参照するための参照情報を記録すると共に、該比較情報との類似度を記録する。さらに、識別部32は、比較情報のエントリにおいて、比較対象の欄に登録情報のエントリを参照するための参照情報を記録すると共に、該登録情報との類似度を記録する。これにより、登録情報のエントリと比較情報のエントリとは相互に参照可能となり、登録情報と比較情報の類似度についても相互に参照可能となる。
【0057】
ステップS3−9:識別部32は、データベース34内の比較情報のエントリにおいて、グループ用識別子の欄にグループ用識別子が記録されているかを確認する。この結果、既にグループ用識別子が記録されている場合にはステップS3−10へ進み、まだグループ用識別子が記録されていない場合にはステップS3−13へ進む。
【0058】
ステップS3−10:識別部32は、データベース34内の登録情報のエントリのグループ用識別子の欄に、比較情報のエントリのグループ用識別子の欄のデータ(グループ用識別子)をコピーする。さらに、識別部32は、データベース34内の登録情報のエントリのメンバー数の欄に、比較情報のエントリのメンバー数の欄の値に1を加えた値(この値を「N」とする)を記録する。
【0059】
ステップS3−11:識別部32は、データベース34内の比較情報のエントリを起点にして、各エントリ内の全ての比較対象の欄に記録された参照情報で参照できる全エントリに対し、ステップS3−12の処理を繰り返す。そして、その対象となる全エントリに対するステップS3−12の処理が終了した後に、ステップS3−14へ進む。なお、各エントリにおいて比較対象の欄は一つとは限らず、複数存在する場合があるが、そのそれぞれについてステップS3−12の処理を行う。また、ここで処理対象となるのは、あるエントリの比較対象の欄で参照されるエントリに加え、その参照されるエントリにおける比較対象の欄で参照されるエントリについても含む。つまり、比較対象の欄の参照情報で関連付けされている全てのエントリを処理対象とする。但し、一度処理したエントリは重複して処理しない。
【0060】
ステップS3−12:識別部32は、処理対象のエントリにおいて、メンバー数の欄の値をNに更新する。この後、ステップS3−11に戻る。
【0061】
ステップS3−13:識別部32は、登録情報と比較情報に対して、新たに一意なグループ用識別子を割り当てる。そして、識別部32は、登録情報と比較情報の両方のエントリにおいて、グループ用識別子の欄にその割り当てたグループ用識別子を記録すると共に、メンバー数の欄に「2」(この「2」を「N」とする)を記録する。この後、ステップS3−14へ進む。
【0062】
ステップS3−14:識別部32は、同一グループの判定を行う。このとき、ステップS3−7において類似度の判定用の閾値が唯一つである場合は、上記ステップS3−8からS3−13の結果は唯一つであるので、その結果を用い、登録情報のエントリの比較対象の欄に記録された参照情報から関連付けされる識別用情報を、登録情報と同じグループに係るものであると判定する。
【0063】
一方、ステップS3−7において類似度の判定用の閾値が複数である場合は、その閾値毎に上記ステップS3−8からS3−13の結果が存在するが、それら結果のうち、現時点のメンバー数である「N」に対応した閾値に係る結果に従って、登録情報のエントリの比較対象の欄に記録された参照情報から関連付けされる識別用情報を、登録情報と同一グループに係るものであると判定する。
【0064】
識別部32は、同一グループに係る識別用情報の送信元の携帯端末1を、同じグループに属するメンバーの携帯端末1であるとする。
【0065】
上述した図6の同一グループ判定処理により、識別用情報に含まれる画像の類似度に基づいて、類似度の高い画像を含む識別用情報の送信元の携帯端末1同士が同じグループに属するものであると判定される。但し、一定の条件を満たすものだけを同じグループに含める。具体的には、識別用情報の登録時刻が一定の範囲内におさまるものだけを同じグループに含める。又は、識別用情報の送信時刻が一定の範囲内におさまるものだけを同じグループに含める。又は、識別用情報の送信時の携帯端末1の位置が一定の範囲内におさまるものだけを同じグループに含める。又は、識別用情報に含まれる画像の撮像時刻が一定の範囲内におさまるものだけを同じグループに含める。また、その一定の条件を満たす度合いに応じて、画像の類似度を補正する。
【0066】
また、ステップS3−7で使用される画像の類似度の判定用の閾値については、一グループに属するメンバーの数に応じた値を複数設定することができる。この理由は、グループに属するメンバー数に応じて類似度の判定基準を変更した方が、合理的な運用を行うことができるからである。
例えば、メンバー数が多い場合、たとえ同じ被写体5を撮像したとしても、多数(例えば、100台)の携帯端末1間で類似度の高い画像を取得することは困難であることが予想される。このような場合、類似度の判定用の閾値を下げて類似度の判定基準を緩和することにより、同一グループであるとの判定結果の精度を向上させることが合理的である。
【0067】
その逆に、メンバー数が少ない場合(例えば、2,3人)、各メンバーの携帯端末1間で類似度の高い画像が取得されることが期待できる。このため、類似度の判定用の閾値を上げて類似度の判定基準を厳しくしても、同一グループであるとの判定結果の精度を問題ないレベルに維持することが期待できるので、グループの安全性の観点から類似度の判定基準を厳しくした運用を行うことが合理的である。
【0068】
図8から図12は、図3に示すデータベース34の構成例である。図8から図12の例は、4台の携帯端末1(端末識別子が、a,b,c,dとする)から順次、識別用情報が識別サーバ3へ送信されてきた場合における、データベース34の各登録結果である。以下、図8から図12を参照して、上述した図6の同一グループ判定処理を具体的に説明する。なお、画像の類似度の判定用の閾値は90%、登録時刻の時間差の閾値は1分、撮像時刻及び送信時刻の時間差の限界値は30秒であるとする。また、携帯端末1の接続先の基地局が同じである場合のみ同一グループであると判定する。
【0069】
はじめに、図8を参照して、携帯端末1(a)からの識別用情報が受信されたときのデータベース34の登録結果を説明する。この段階では、データベース34内に他の識別用情報が登録されていないか、或いは、登録時刻の時間差が閾値を越えているために、図6のステップS3−3以降の処理が行われない。
【0070】
次に、図9を参照して、携帯端末1(b)からの識別用情報が受信されたときのデータベース34の登録結果を説明する。この段階では、携帯端末1(b)からの識別用情報を登録情報とし、携帯端末1(a)からの識別用情報を比較情報として、図6のステップS3−3以降の処理が行われる。ステップS3−3では、登録時刻の時間差が3秒であり閾値「1分」以内であるので、ステップS3−4に進む。ステップS3−4では、送信時刻の時間差が3秒であり送信時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+7.5%」を適用する。さらに、接続先が同じ基地局であるので、ボーナス加算「+10%」を適用する。次いで、ステップS3−5では、撮像時刻の時間差が5秒であり撮像時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+7.5%」を適用する。これにより、ボーナス加算の合計は「+25%」となる。
【0071】
次いで、ステップS3−6では、画像の類似度の計算結果が「0%」となるが、ボーナス加算「+25%」を反映した結果、画像の類似度は「25%」に決定される。次いで、ステップS3−7では画像の類似度が「25%」であり閾値「90%」を下回るので、ステップS3−2に戻り、未処理の比較対象がなくなったので、図6の処理が終了する。図9の例では、撮像時の情報及び通信時の情報は一致するものの、画像の類似度が低いために、携帯端末1(a)と携帯端末1(b)は同じグループに係るものとは判定されなかった。
【0072】
次に、図10を参照して、携帯端末1(c)からの識別用情報が受信されたときのデータベース34の登録結果を説明する。この段階では、携帯端末1(c)からの識別用情報を登録情報とし、はじめに携帯端末1(b)からの識別用情報を比較情報として、図6のステップS3−3以降の処理が行われる。ステップS3−3では、登録時刻の時間差が2秒であり閾値「1分」以内であるので、ステップS3−4に進む。ステップS3−4では、送信時刻の時間差が2秒であり送信時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+7.5%」を適用する。
【0073】
しかし、接続先の基地局が異なるので、ステップS3−2に戻り、次の識別用情報(携帯端末1(a)からの識別用情報)を比較情報として、図6のステップS3−3以降の処理が行われる。ステップS3−3では、登録時刻の時間差が5秒であり閾値「1分」以内であるので、ステップS3−4に進む。ステップS3−4では、送信時刻の時間差が5秒であり送信時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+7.5%」を適用する。しかし、接続先の基地局が異なるので、ステップS3−2に戻り、未処理の比較対象がなくなったので、図6の処理が終了する。図10の例では、接続先の基地局が異なるために、携帯端末1(c)は携帯端末1(a),(b)のいずれとも、同じグループに係るものとは判定されなかった。
【0074】
次に、図11を参照して、携帯端末1(d)からの識別用情報が受信されたときのデータベース34の登録結果を説明する。この段階では、携帯端末1(d)からの識別用情報を登録情報とし、はじめに携帯端末1(c)からの識別用情報を比較情報として、図6のステップS3−3以降の処理が行われる。ステップS3−3では、登録時刻の時間差が3秒であり閾値「1分」以内であるので、ステップS3−4に進む。ステップS3−4では、送信時刻の時間差が8秒であり送信時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+7.5%」を適用する。
【0075】
しかし、接続先の基地局が異なるので、ステップS3−2に戻り、次の識別用情報(携帯端末1(b)からの識別用情報)を比較情報として、図6のステップS3−3以降の処理が行われる。ステップS3−3では、登録時刻の時間差が5秒であり閾値「1分」以内であるので、ステップS3−4に進む。ステップS3−4では、送信時刻の時間差が6秒であり送信時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+7.5%」を適用する。さらに、接続先が同じ基地局であるので、ボーナス加算「+10%」を適用する。次いで、ステップS3−5では、撮像時刻の時間差が2秒であり撮像時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+7.5%」を適用する。これにより、ボーナス加算の合計は「+25%」となる。
【0076】
次いで、ステップS3−6では、画像の類似度の計算結果が「0%」となるが、ボーナス加算「+25%」を反映した結果、画像の類似度は「25%」に決定される。次いで、ステップS3−7では画像の類似度が「25%」であり閾値「90%」を下回るので、ステップS3−2に戻り、次の識別用情報(携帯端末1(a)からの識別用情報)を比較情報として、図6のステップS3−3以降の処理が行われる。ステップS3−3では、登録時刻の時間差が8秒であり閾値「1分」以内であるので、ステップS3−4に進む。ステップS3−4では、送信時刻の時間差が3秒であり送信時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+7.5%」を適用する。さらに、接続先が同じ基地局であるので、ボーナス加算「+10%」を適用する。次いで、ステップS3−5では、撮像時刻の時間差が3秒であり撮像時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+7.5%」を適用する。これにより、ボーナス加算の合計は「+25%」となる。
【0077】
次いで、ステップS3−6では、画像の類似度の計算結果が「85%」となるが、ボーナス加算「+25%」を反映した結果、画像の類似度は「110%」に決定される。次いで、ステップS3−7では画像の類似度が「110%」であり閾値「90%」を上回るので、ステップS3−8へ進む。ステップS3−8では、登録情報(携帯端末1(d)からの識別用情報)のエントリの比較対象1の欄に比較情報(携帯端末1(a)からの識別用情報)のエントリを参照するための参照情報(データベースID「1」)を記録すると共に、該比較情報との類似度の値「110」を記録する。さらに、比較情報(携帯端末1(a)からの識別用情報)のエントリにおいて、比較対象の欄に登録情報(携帯端末1(d)からの識別用情報)のエントリを参照するための参照情報(データベースID「4」)を記録すると共に、該登録情報との類似度の値「110」を記録する。
【0078】
次いで、ステップS3−9では、比較情報(携帯端末1(a)からの識別用情報)のエントリにおいて、グループ用識別子の欄が登録されていないので、ステップS3−13へ進む。ステップS3−13では、新たなグループ用識別子として「abcde」を割り当て、登録情報(携帯端末1(d)からの識別用情報)と比較情報(携帯端末1(a)からの識別用情報)の両方のエントリにおいて、グループ用識別子の欄にその割り当てたグループ用識別子「abcde」を記録すると共に、メンバー数の欄に「2」を記録する。
【0079】
次いで、ステップS3−14では、この例では、画像の類似度の判定用の閾値が一つであるので、同一グループ判定処理の結果は一つであり、“携帯端末1(a),(d)が同一グループに係るものであり、グループ用識別子は「abcde」である”となる。この後、ステップS3−2に戻り、未処理の比較対象がなくなったので、図6の処理が終了する。図11の例では、画像自体の類似度「85%」は閾値「90%」を下回るが、ボーナス加算「+25%」によって閾値「90%」を上回ることにより、携帯端末1(a)と携帯端末1(d)は同じグループに係るものであると判定された。
【0080】
次に、図12を参照して、携帯端末1(e)からの識別用情報が受信されたときのデータベース34の登録結果を説明する。この例では、画像の類似度の判定用の閾値として、同じグループに属するメンバーの数に応じた2つ閾値が設けられているとする。メンバー数が10以下である場合の閾値は「80%」、メンバー数が10を越える場合の閾値は「60%」である。以下、画像の類似度の判定用の閾値が唯一つである場合との違いに着目して説明するために、携帯端末1(e)からの識別用情報を登録情報とし、携帯端末1(c)からの識別用情報を比較情報とする。
【0081】
ステップS3−3では、登録時刻の時間差が3秒であり閾値「1分」以内であるので、ステップS3−4に進む。ステップS3−4では、送信時刻の時間差が30秒であり送信時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+0%」を適用する。さらに、接続先が同じ基地局であるので、ボーナス加算「+10%」を適用する。次いで、ステップS3−5では、撮像時刻の時間差が30秒であり撮像時刻の時間差の限界値「30秒」以内であるので、図7のボーナス加算「+0%」を適用する。これにより、ボーナス加算の合計は「+10%」となる。
【0082】
次いで、ステップS3−6では、画像の類似度の計算結果が「60%」となるが、ボーナス加算「+10%」を反映した結果、画像の類似度は「70%」に決定される。次いで、ステップS3−7では画像の類似度が「70%」であり、メンバー数が10以下である場合の閾値「80%」を下回るので、閾値「80%」に対応する欄に対しては処理を終了し更新しない。しかし、画像の類似度「70%」は、メンバー数が10を越える場合の閾値「60%」を越えるので、閾値「60%」に対応する欄に対しては処理を継続する。従って、以降の処理結果は、閾値「60%」に対応する欄に対して記録される。
【0083】
次いで、ステップS3−8では、登録情報(携帯端末1(e)からの識別用情報)のエントリの比較対象1の欄に比較情報(携帯端末1(c)からの識別用情報)のエントリを参照するための参照情報(データベースID「3」)を記録すると共に、該比較情報との類似度の値「70」を記録する。さらに、比較情報(携帯端末1(c)からの識別用情報)のエントリにおいて、比較対象の欄に登録情報(携帯端末1(e)からの識別用情報)のエントリを参照するための参照情報(データベースID「5」)を記録すると共に、該登録情報との類似度の値「70」を記録する。
【0084】
次いで、ステップS3−9では、比較情報(携帯端末1(c)からの識別用情報)のエントリにおいて、グループ用識別子の欄が登録されていないので、ステップS3−13へ進む。ステップS3−13では、新たなグループ用識別子として「fghij」を割り当て、登録情報(携帯端末1(e)からの識別用情報)と比較情報(携帯端末1(c)からの識別用情報)の両方のエントリにおいて、グループ用識別子の欄にその割り当てたグループ用識別子「fghij」を記録すると共に、メンバー数の欄に「2」を記録する。
【0085】
次いで、ステップS3−14では、この例では、画像の類似度の判定用の閾値が二つあるので、メンバー数「2」に対応する閾値「80%」の方の欄の結果を用いる。この結果、この時点では、まだ、携帯端末1(c),(e)が同一グループに係るものであるとは判定されない。この後、ステップS3−2に戻り、未処理の比較対象がなくなったので、図6の処理が終了する。しかし、これ以降、さらに携帯端末1からの識別用情報が受信され、携帯端末1(c),(e)に係る閾値「60%」に対応するメンバー数が10を超えた場合には、“携帯端末1(c,(e)が同一グループに係るものであり、グループ用識別子は「fghij」である”との判定結果になる。
【0086】
なお、上述の実施例では、メディア情報として携帯端末1で録画された画像を利用したが、メディア情報として携帯端末1で録音された音声を利用する場合も、同様に適用可能である。この場合、識別サーバ3が用いる音声判定方法としては、2つの携帯端末1から各々受信した2つの音声を音声の波形パターンで比較し、この比較結果から算出される相関係数に基づいて類似度を判定するなどがある。
【0087】
上述したように本実施形態によれば、初対面同士がメンバーであるグループであっても、例えば同一の被写体を携帯端末で撮像して識別サーバへ送信するという簡単な端末操作を各メンバーが行うことにより、各メンバーは当該グループ用識別子を識別サーバから携帯端末上に取得することができる。これにより、メンバー同士が互いの情報を知らなくても、さらには、互いの情報を電子メールや赤外線通信などで直接的にやりとりしなくてもよいので、手間がかからない、情報の漏洩の心配がない、などの効果が得られる。
【0088】
また、撮像時や通信時の情報も用いて同一グループ判定処理を行うことにより、類似度の判定基準を緩和することができる。
【0089】
また、類似度の判定用の閾値として一グループに属するメンバーの数に応じた値を複数設けることにより、メンバー数に応じて類似度の判定基準を変更することができ、合理的な運用に寄与することが可能になる。
【0090】
また、あるメンバーが有するアプリケーション用の識別子を他のメンバーが間借りするのではなく、そのグループ特有の、特定のメンバーだけが所有するのではないアプリケーションサービスを利用することができる。例えば、アプリケーションの提供を受けた後、一定時間後には利用できないように設定することで、一時的な利用に適した使い捨て型の利用方法が可能となる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
上述した実施形態では、グループ用識別子を用いてアプリケーションサービスの提供を受けることを想定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、アドホックネットワークの構築にも適用することができる。アドホックネットワークでは、ネットワークの接続確立のためにネットワークIDが必要であり、また、暗号化通信するためにはWEPキーが必要となる。特にネットワークIDについては、通常、ビーコンで周知されることから、誰でもネットワークIDを取得することができ、アクセス可能となってしまうため、暗号化のためのWEPキーが重要となる。これらのネットワークIDやWEPキーをメンバー間で共有するためには、従来、面倒な操作が必要である。そこで、本発明を適用し、アドホックネットワークに参加する各メンバーが、本発明により取得したグループ用識別子を、ネットワークID又はWEPキーとして利用することにより、その共有のための操作を簡単にすることができる。
【0092】
また、上述した実施形態では、識別サーバ3とアプリケーションサーバ4が連携したが、識別サーバ3とアプリケーションサーバ4が独立していてもよい。この場合、図5の手順でステップS4−1,S4−2が削除され、ステップS6において、ステップS5で取得されたグループ用識別子を用いた、アプリケーションサーバ4に対するアプリケーションサービスの利用申請が行われる。
【0093】
また、図5に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、グループ識別子生成処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0094】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態に係るグループ識別子生成システムの構成図である。
【図2】図1に示す携帯端末1の構成図である。
【図3】図1に示す識別サーバ3の構成図である。
【図4】図1に示すアプリケーションサーバ4の構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るグループ識別子生成手順の全体の流れを示すシーケンスチャートである。
【図6】図3に示す識別部32が行う同一グループ判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る類似度に対するボーナスの例である。
【図8】図3に示すデータベース34の構成例である。
【図9】図3に示すデータベース34の構成例である。
【図10】図3に示すデータベース34の構成例である。
【図11】図3に示すデータベース34の構成例である。
【図12】図3に示すデータベース34の構成例である。
【符号の説明】
【0096】
1…携帯端末、2…移動通信網、3…識別サーバ、4…アプリケーションサーバ、5…被写体、6…音源、10…メディア情報取得部、11…カメラ、12…録画部、13…マイク、14…録音部、15…情報生成部、16,41…通信部、17…アプリケーション部、31…通信部、32…識別部、33…アプリケーション連携部、34…データベース、42…アプリケーション提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と識別サーバが移動通信網を介して通信可能に構成されているグループ識別子生成システムであり、
前記携帯端末は、
撮像手段又は音声入力手段と、
撮像された画像又は入力された音声を記録する記録手段と、
記録された画像又は音声を前記識別サーバへ送信する送信手段と、
該送信に対する返信として前記識別サーバからグループ用識別子を受信する受信手段と、を有し、
前記識別サーバは、
前記携帯端末から画像又は音声を受信する受信手段と、
受信された画像又は音声を蓄積するデータベースと、
複数の携帯端末から受信した画像又は音声の類似度に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末を判定する同一グループ判定手段と、
前記判定の結果に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末へ当該グループ用識別子を返信する送信手段と、を有する、
ことを特徴とするグループ識別子生成システム。
【請求項2】
前記同一グループ判定手段において、画像又は音声の類似度の判定用の閾値として、一グループに属するメンバーの数に応じた値を複数設けたことを特徴とする請求項1に記載のグループ識別子生成システム。
【請求項3】
前記識別サーバは、前記データベースに画像又は音声の登録時刻を記録し、
前記同一グループ判定手段は、前記登録時刻の時間差が一定時間内である場合にのみ、該当する携帯端末同士を同一グループに属する候補とすることを特徴とする請求項1に記載のグループ識別子生成システム。
【請求項4】
前記携帯端末の送信手段は、画像又は音声と共に送信時刻を前記識別サーバへ送信し、
前記識別サーバは、前記データベースに前記送信時刻を記録し、
前記同一グループ判定手段は、前記送信時刻の時間差が一定時間内である場合にのみ、該当する携帯端末同士を同一グループに属する候補とすることを特徴とする請求項1に記載のグループ識別子生成システム。
【請求項5】
前記携帯端末の送信手段は、画像又は音声と共に自端末の位置情報を前記識別サーバへ送信し、
前記識別サーバは、前記データベースに前記位置情報を記録し、
前記同一グループ判定手段は、前記位置情報に基づいた位置の距離差が一定の距離内である場合にのみ、該当する携帯端末同士を同一グループに属する候補とすることを特徴とする請求項1に記載のグループ識別子生成システム。
【請求項6】
前記携帯端末の送信手段は、画像又は音声と共に該画像の撮像時刻又は該音声の入力時刻を前記識別サーバへ送信し、
前記識別サーバは、前記データベースに前記撮像時刻又は音声入力時刻を記録し、
前記同一グループ判定手段は、前記撮像時刻又は音声入力時刻の時間差が一定時間内である場合にのみ、該当する携帯端末同士を同一グループに属する候補とすることを特徴とする請求項1に記載のグループ識別子生成システム。
【請求項7】
前記同一グループ判定手段は、前記送信時刻の時間差、位置の距離差、又は、撮像時刻もしくは音声入力時刻の時間差に応じて、類似度を補正することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載のグループ識別子生成システム。
【請求項8】
識別サーバと移動通信網を介して通信可能な携帯端末であり、
撮像手段又は音声入力手段と、
撮像された画像又は入力された音声を記録する記録手段と、
記録された画像又は音声を前記識別サーバへ送信する送信手段と、
該送信に対する返信として前記識別サーバからグループ用識別子を受信する受信手段と、
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項9】
携帯端末と移動通信網を介して通信可能な識別サーバであり、
前記携帯端末から該携帯端末で撮像された画像又は入力された音声を受信する受信手段と、
受信された画像又は音声を蓄積するデータベースと、
複数の携帯端末から受信した画像又は音声の類似度に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末を判定する同一グループ判定手段と、
前記判定の結果に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末へ当該グループ用識別子を返信する送信手段と、
を有することを特徴とする識別サーバ。
【請求項10】
携帯端末と移動通信網を介して通信可能な識別サーバにおけるグループ識別子生成処理を行うためのコンピュータプログラムであって、
前記携帯端末から該携帯端末で撮像された画像又は入力された音声を受信するステップと、
受信された画像又は音声をデータベースに蓄積するステップと、
複数の携帯端末から受信した画像又は音声の類似度に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末を判定するステップと、
前記判定の結果に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末へ当該グループ用識別子を返信するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
携帯端末と識別サーバが移動通信網を介して通信可能に構成されているグループ識別子生成システムにおけるグループ識別子生成方法であって、
同じグループに属する各メンバーの前記携帯端末が、同じ被写体を撮像した画像又は同じ音源から入力した音声を前記識別サーバへ送信するステップと、
前記識別サーバが、複数の携帯端末から受信した画像又は音声の類似度に基づいて、同じグループに属するメンバーの携帯端末を判定するステップと、
前記識別サーバが、該判定の結果に基づいて同じグループに属するメンバーの携帯端末へ当該グループ用識別子を返信するステップと、
を含むことを特徴とするグループ識別子生成方法。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか1項に記載のグループ識別子生成システムと、
前記グループ識別子生成システムの識別サーバと連携して、同じグループに属するメンバーの携帯端末に対しアプリケーションサービスを提供するアプリケーションサーバと、
を有することを特徴とするアプリケーションサービスシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−154261(P2010−154261A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330561(P2008−330561)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】