グレートーンマスクの欠陥修正方法、グレートーンマスクの製造方法及びグレートーンマスク
【課題】半透光部に発生した欠陥を好適に修正できるグレートーンマスクの欠陥修正方法を提供する。
【解決手段】半透光部は半透光膜26により形成され、半透光部において欠陥50、51が生じたときに該欠陥部分を特定し、特定した欠陥部分に修正膜27a、27bを形成するための成膜手段と成膜素材を決定し、決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、露光光の透過量が所定範囲となるような成膜面積を決定し、決定した成膜面積の修正膜27a、27bを形成する。
【解決手段】半透光部は半透光膜26により形成され、半透光部において欠陥50、51が生じたときに該欠陥部分を特定し、特定した欠陥部分に修正膜27a、27bを形成するための成膜手段と成膜素材を決定し、決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、露光光の透過量が所定範囲となるような成膜面積を決定し、決定した成膜面積の修正膜27a、27bを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置(Liquid CrystalDisplay:以下、LCDと呼ぶ)製造等に用いられるグレートーンマスクの欠陥修正方法、グレートーンマスクの製造方法及びグレートーンマスクに関するものであり、特に薄膜トランジスタ液晶表示装置の製造に用いられる薄膜トランジスタ基板(TFT基板)の製造に好適に使用されるグレートーンマスクの欠陥修正方法、グレートーンマスクの製造方法及びグレートーンマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、LCDの分野において、薄膜トランジスタ液晶表示装置(Thin FilmTransistor Liquid Crystal Display:以下、TFT−LCDと呼ぶ)は、CRT(陰極線管)に比較して、薄型にしやすく消費電力が低いという利点から、現在商品化が急速に進んでいる。TFT−LCDは、マトリックス状に配列された各画素にTFTが配列された構造のTFT基板と、各画素に対応して、レッド、グリーン、及びブルーの画素パターンが配列されたカラーフィルターが液晶相の介在の下に重ね合わされた概略構造を有する。TFT−LCDでは、製造工程数が多く、TFT基板だけでも5〜6枚のフォトマスクを用いて製造されていた。このような状況の下、TFT基板の製造を4枚のフォトマスクを用いて行う方法が提案された(例えば下記非特許文献1)。
【0003】
この方法は、遮光部と透光部と半透光部(グレートーン部)を有するフォトマスク(以下、グレートーンマスクという)を用いることにより、使用するマスク枚数を低減するというものである。ここで、半透光部とは、マスクを使用してパターンを被転写体に転写する際、透過する露光光の透過量を所定量低減させ、被転写体上のフォトレジスト膜の現像後の残膜量を制御する部分をいい、そのような半透光部を、遮光部、透光部とともに備えているフォトマスクをグレートーンマスクという。
【0004】
図7及び図8(図8は図7の製造工程の続き)に、グレートーンマスクを用いたTFT基板の製造工程の一例を示す。
ガラス基板1上に、ゲート電極用金属膜が形成され、フォトマスクを用いたフォトリソプロセスによりゲート電極2が形成される。その後、ゲート絶縁膜3、第1半導体膜4(a−Si)、第2半導体膜5(N+a−Si)、ソースドレイン用金属膜6、及びポジ型フォトレジスト膜7が形成される(図7(1))。次に、遮光部11と透光部12と半透光部13を有するグレートーンマスク10を用いて、ポジ型フォトレジスト膜7を露光し、現像することにより、TFTチャネル部及びソースドレイン形成領域と、データライン形成領域を覆い、かつチャネル部形成領域がソースドレイン形成領域よりも薄くなるように第1レジストパターン7aが形成される(図7(2))。次に、第1レジストパターン7aをマスクとして、ソースドレイン金属膜6及び第2、第1半導体膜5,4をエッチングする(図7(3))。次に、チャネル部形成領域の薄いレジスト膜を酸素によるアッシングにより除去し、第2レジストパターン7bを形成する(図8(1))。しかる後、第2レジストパターン7bをマスクとして、ソースドレイン用金属膜6がエッチングされ、ソース/ドレイン6a、6bが形成され、次いで第2半導体膜5をエッチングし(図8(2))、最後に残存した第2レジストパターン7bを剥離する(図8(3))。
【0005】
ここで用いられるグレートーンマスクとしては、半透光部が微細パターンで形成されている構造のものが知られている。例えば図9に示されるように、ソース/ドレインに対応する遮光部11a、11bと、透光部12と、チャネル部に対応する半透光部(グレートーン部)13とを有し、半透光部13は、グレートーンマスクを使用するLCD用露光機の解像限界以下の微細パターンからなる遮光パターン13aを形成した領域である。遮光部11a、11bと遮光パターン13aはともにクロムやクロム化合物等の同じ材料からなる同じ厚さの膜から通常形成されている。グレートーンマスクを使用するLCD用露光機の解像限界は、多くの場合、ステッパ方式の露光機で約3μm、ミラープロジェクション方式の露光機で約4μmである。このため、例えば、図9で半透光部13における透過部13bのスペース幅を3μm未満、遮光パターン13aのライン幅を露光機の解像限界以下の3μm未満とすることができる。
【0006】
上述の微細パターンタイプの半透光部は、グレートーン部分の設計、具体的には遮光部と透光部の中間的なハーフトーン効果を持たせるための微細パターンをライン・アンド・スペースタイプにするのかドット(網点)タイプにするのか、或いはその他のパターンにするのかの選択があり、さらにライン・アンド・スペースタイプの場合、線幅をどのくらいにするのか、光が透過する部分と遮光される部分の比率をどうするか、全体の透過率をどの程度に設計するかなどを考慮し設計することができる。
【0007】
一方、ハーフトーン露光したい部分を半透過性のハーフトーン膜(半透光膜)とすることが従来提案されている(例えば下記特許文献1)。このハーフトーン膜を用いることでハーフトーン部分の露光量を少なくしてハーフトーン露光することが出来る。ハーフトーン膜を用いる場合、設計においては全体の透過率がどのくらい必要かを検討し、マスクにおいてはハーフトーン膜の膜種(素材)であるとか膜厚を選択することでマスクの生産が可能となる。マスク製造ではハーフトーン膜の膜厚制御を行う。TFTチャンネル部をグレートーンマスクのグレートーン部で形成する場合、ハーフトーン膜であればフォトリソグラフィー工程により容易にパターニングできるので、TFTチャンネル部の形状が複雑なパターン形状であっても可能であるという利点がある。
【0008】
また、下記特許文献2には、遮光部と、透光部とグレートーン部を有するグレートーンマスクにおいて、グレートーン部の欠陥を修正する際に、グレートーン部の膜が正常なグレートーン効果が得られるような膜厚となるように、FIB(Focused Ion Beam Deposition)を用いたエッチングによる膜厚の低減、又は膜形成が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2002−189280号公報
【特許文献2】特開2004−309515号公報
【非特許文献1】「月刊エフピーディ・インテリジェンス(FPD Intelligence)」、1999年5月、p.31−35
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のような特許文献1に記載のグレートーンマスクにおいて、半透光膜からなるグレートーン部に欠陥が生じることは避けられない。
一方、上記特許文献2によると、グレートーン部に微細パターンを有するグレートーンマスクにおいて、この微細パターン部分に生じた欠陥に対し、比較的容易に、修正度の高い修正を行うことができるとされている。すなわち、正常パターンが微細であるために、欠陥が生じたときにその微細なパターンを同じ形状に復元することが困難であるが、例えばレーザーCVD装置を用いて白欠陥部分に遮光膜を形成する、又は黒欠陥部分を除去して改めて遮光膜を形成するといった方法では、適切なグレートーン効果を得るための透過率制御が容易でないという課題を解決している。
なお、ここでは、膜パターンの余剰や遮光膜成分の付着、又は異物によって、透過率が所定より低くなる欠陥を黒欠陥、膜パターンの不足によって透過率が所定より高くなる欠陥を白欠陥と称する。
【0011】
しかしながら、上記特許文献2のようにFIBを用いたとしても、欠陥部分に対して、所定の露光光の透過量を確保するような修正を実施することは必ずしも容易なことではない。例えば、半透光部に、半透光膜を用いて、露光光の透過量を制御するタイプのグレートーンマスクにおいて、該半透光膜の欠落による白欠陥が生じた場合、理想的には、予め所定の光透過量となるような修正膜の膜素材、膜厚と、それを成膜するための条件等を決定した後、当該欠陥部分に修正膜を形成すればよい。黒欠陥の場合には、黒欠陥部分の膜を除去した上で、同様に、除去部分に上記修正膜を形成できればよい。しかしながら、本発明者の検討によると、そのような修正は現実的には困難である。
【0012】
すなわち、本発明者の検討によると、FIB装置は、局所的な部位への成膜には有効な手段であるが、同一の成膜素材を用いて、同一の成膜条件(単位面積当たりのドーズ(Dose)量に相当する電流値)を適用しても、修正膜の成膜面積が異なると、修正膜の成膜膜厚の変動を生じる(光透過率もそれに従い変動する)ことがある。例えば、修正膜の形成領域(成膜面積)が大きい部分と小さい部分とが存在したとき、サイズの小さい方の修正膜の膜厚がサイズの大きい方の修正膜の膜厚よりも大きくなる(厚くなる)ことがある。
【0013】
図12を用いて説明すると、透明基板24上に形成された半透光膜26からなる半透光部に、該半透光膜の欠落による小さいサイズの白欠陥60と大きいサイズの白欠陥61が生じたとき(同図(a))、FIB装置を用いて同一の成膜素材、同一の成膜条件を適用して、各欠陥のサイズにそれぞれ見合う大きさの修正膜28a,28bを形成すると(同図(b))、サイズの小さい方の修正膜28aの膜厚がサイズの大きい方の修正膜28bの膜厚よりも厚くなる(同図(c)の断面図参照)。
【0014】
更に、本発明者の鋭意検討によると、上述のような成膜面積による膜厚変動の現象は、FIB装置による成膜時の走査速度と、成膜材料の成膜部位への供給量の関係に変動が生じることが避けられないためであることを見出した。また、本発明者は、この変動に影響する要素は複雑で、成膜面積が小さいと走査速度に対して、成膜材料の供給量が過分に減少したり、更に成膜面積が小さくなると、逆に過分に多く供給されるなど、成膜面積と膜厚の関係は必ずしもリニアに相関せず、したがって、ある面積を有する所望の部位に成膜しようとしても、実際に成膜される膜厚の制御及び予測が容易ではないことを見出した。ちなみに、図13は、FIB装置による膜厚の成膜面積依存性の関係の一例を示したもので、カーボン修正膜を所望の部位に形成する場合の成膜面積と膜厚変動の相関の一例である。
【0015】
FIB装置の条件変更によりこうした変動をキャンセルする方法もあるが、成膜対象である、グレートーンマスクの半透光部の修正膜に必要とされる膜厚変動(すなわち光透過率変動)の許容値は極めて厳しく、FIB装置のパラメータ調整だけでは、常に所望値の膜厚を得ることはできない。
【0016】
また、従来の欠陥修正方法による問題点は、上述のような成膜面積による膜厚変動の問題だけではない。実際の白欠陥は断面が膜厚方向で略垂直であるような形状に欠落しているとは限らず、例えば図14(a)のように、半透光膜26に断面が透明基板24側に向かって狭まったような形状に欠落した白欠陥62が生じた場合、この欠陥部位に均一膜厚の修正膜28cを形成すると(同図(b))、白欠陥の部分に一部残留している半透光膜26の上に修正膜が形成されるため、半透光膜と修正膜が重なった領域では光透過量が所望値より小さくなってしまうという問題が生じる(同図(c)の断面図参照)。
【0017】
また、図15(a)に示すように、半透光膜26上に遮光膜成分が付着し、または異物が付着することによって黒欠陥63が生じた場合、半透光膜26に影響なく、黒欠陥63部分のみを除去することは困難である。たとえばFIB装置で黒欠陥63部分のみを除去する場合、除去の仕方が不十分だと黒欠陥成分が残ってしまい、黒欠陥を完全に除去しようとすると、その下の半透光膜が一部除去されてしまい、半透光膜26に新たな欠陥64が生じることになる(同図(b)、(c)参照)。さらに、この新たな欠陥64を修正膜で修正しようとすると、上述の図14と同様な問題を生じる。
【0018】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、半透光部に発生した欠陥を好適に修正できるグレートーンマスクの欠陥修正方法を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、このような欠陥修正方法を適用した欠陥修正工程を有するグレートーンマスクの製造方法を提供することを第2の目的とする。さらには、半透光部に発生した欠陥が好適に修正されたグレートーンマスクを提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)透明基板上に半透光膜と遮光膜を形成し、所定のパターニングを施すことにより、遮光部と、透光部と、マスク使用時に用いられる露光光の透過量を所定量低減する半透光部とを有するグレートーンマスクであって、被転写体上に膜厚が段階的または連続的に異なるレジストパターンを形成するためのグレートーンマスクの欠陥修正方法において、前記半透光部が半透光膜により形成され、前記半透光部において欠陥が生じたときに該欠陥部分を特定し、前記特定した欠陥部分に修正膜を形成するための成膜手段と成膜素材を決定し、前記決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、前記露光光の透過量が所定範囲内となるような成膜面積を決定し、前記決定した成膜面積の修正膜を形成することを特徴とするグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
【0020】
(構成2)前記成膜面積は、前記決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、前記露光光の透過量が所定範囲内となるような成膜膜厚を設定し、予め求めた成膜膜厚と成膜面積との相関関係に基づいて決定することを特徴とする構成1に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
(構成3)前記修正膜の形成に先立ち、前記欠陥部分を含む、前記決定した成膜面積にほぼ等しい面積の領域について、前記透明基板を露出させる工程を有することを特徴とする構成1又は2に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
【0021】
(構成4)前記欠陥部分は、正常な半透光部に対して、半透光膜の膜厚が小さい、又は半透光膜が欠落した部位を有するために、露光光の透過量が正常な半透光部より大きい部分であることを特徴とする構成1乃至3の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
(構成5)前記欠陥部分は、半透光部において、半透光膜以外の成分が付着したために、露光光の透過量が正常な半透光部より小さい部分であることを特徴とする構成1乃至3の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
【0022】
(構成6)半透光部において複数の欠陥部分が生じたとき、該複数の欠陥部分に対して、それぞれほぼ同一の成膜面積の修正膜を形成することを特徴とする構成1乃至5の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
(構成7)前記決定した成膜面積の整数倍の領域に対して、該決定した成膜面積の修正膜を形成する工程を前記整数倍の回数を繰り返して行うことを特徴とする構成1乃至6の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
(構成8)前記修正膜の成膜手段は、収束イオンビーム法を適用することを特徴とする構成1乃至7の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
【0023】
(構成9)構成1乃至8の何れか一に記載の欠陥修正方法による欠陥修正工程を含むことを特徴とするグレートーンマスクの製造方法である。
【0024】
(構成10)透明基板上に半透光膜と遮光膜を形成し、所定のパターニングを施すことにより、遮光部と、透光部と、マスク使用時に用いられる露光光の透過量を所定量低減する半透光部とを有し、被転写体上に膜厚が段階的または連続的に異なるレジストパターンを形成するためのグレートーンマスクであって、前記半透光部に、複数のほぼ同一面積の修正膜が形成されていることを特徴とするグレートーンマスクである。
(構成11)前記半透光部にあらかじめ形成された半透光膜と前記修正膜とは異なる組成を有することを特徴とする構成10に記載のグレートーンマスクである。
【発明の効果】
【0025】
本発明のグレートーンマスクの欠陥修正方法によれば、半透光部に求められる露光光の透過量を所望の範囲に設定でき、その所望の露光光の透過量となるような成膜面積の修正膜を再現性良く形成できるため、半透光部における露光光の透過量精度の高い安定した修正を実施することができる。その結果、欠陥が修正された領域は、半透光部における正常なグレートーン部分と同等のグレートーン効果が得られるようになり、半透光部に発生した欠陥を好適に修正することができる。また、半透光部に発生した欠陥の修正膜の安定性、制御性が向上し、グレートーンマスクの歩留りが大幅に向上する。
また、本発明のグレートーンマスクの製造方法によれば、このような本発明の欠陥修正方法を適用した欠陥修正工程を有することにより、半透光部に発生した欠陥が好適に修正されたグレートーンマスクを得ることができる。
【0026】
また、本発明のグレートーンマスクによれば、半透光部に、複数のほぼ同一面積の修正膜が形成されており、複数の欠陥部分に対し、所望の露光光の透過量となるような成膜面積の修正膜が再現性良く形成され、半透光部における露光光の透過量精度の高い安定した好適な修正が施されたグレートーンマスクが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態1を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図、(d)は(c)におけるL−L線に沿った側断面図である。また、図10は、本発明のグレートーンマスクを用いたパターン転写方法を説明するための断面図である。
【0028】
図10に示す本発明のグレートーンマスク20(ここでは修正された欠陥部分は示していない)は、例えば液晶表示装置(LCD)の薄膜トランジスタ(TFT)やカラーフィルタ、またはプラズマディスプレイパネル(PDP)などを製造するために用いられるものであり、図10に示す被転写体30上に、膜厚が段階的または連続的に異なるレジストパターン33を形成するものである。なお、図10中において符号32A、32Bは、被転写体30において基板31上に積層された膜を示す。
【0029】
上記グレートーンマスク20は、具体的には、当該グレートーンマスク20の使用時に露光光を遮光(透過率が略0%)させる遮光部21と、透明基板24の表面が露出した露光光を略100%透過させる透光部22と、露光光の透過率を20〜60%程度に低減させる半透光部23とを有して構成される。半透光部23は、ガラス基板等の透明基板24上に光半透過性の半透光膜26が形成されて構成される。また、遮光部21は、透明基板24上に、上記半透光膜26及び遮光性の遮光膜25が順に設けられて構成される。なお、この遮光部21は、マスク製造に使用するマスクブランクの構造及び製造プロセスによって、透明基板24上に、遮光膜25、半透光膜26が順次設けられる場合や、透明基板24上に遮光膜25だけが設けられる場合がある。また、図10に示す遮光部21、透光部22、及び半透光部23のパターン形状はあくまでも代表的な一例であって、本発明をこれに限定する趣旨ではないことは勿論である。
【0030】
上記半透光膜26としては、クロム化合物、MoSi、Si、W、Alが挙げられる。このうち、クロム化合物には、酸化クロム(CrOx)、窒化クロム(CrNx)、酸窒化クロム(CrOxN)、フッ化クロム(CrFx)や、これらに炭素や水素を含むものがある。また、遮光膜25としては、Cr、Si、W、Alなどが挙げられる。上記遮光部21の透過率は、遮光膜25(あるいは遮光膜25と半透光膜26)の膜材質と膜厚との選定によって設定される。また、上記半透光部23の透過率は、半透光膜26の膜材質と膜厚との選定によって設定される。
【0031】
上述のようなグレートーンマスク20を使用したときに、遮光部21では露光光が実質的に透過せず、半透光部23では露光光が低減されるため、被転写体30上に塗布したレジスト膜(ポジ型フォトレジスト膜)は、遮光部21に対応する部分で膜厚が厚くなり、半透光部23に対応する部分で膜厚が薄くなり、透光部22に対応する部分では膜がないレジストパターン33を形成する(図10を参照)。このレジストパターン33において、半透光部23に対応する部分で膜厚が薄くなる効果をグレートーン効果という。なお、ネガ型フォトレジストを用いた場合には、遮光部と透光部に対応するレジスト膜厚が逆転することを考慮した設計を行う必要があるが、このような場合にも、本発明の効果は充分に得られる。
【0032】
そして、図10に示すレジストパターン33の膜のない部分で、被転写体30における例えば膜32A及び32Bに第1エッチングを実施し、レジストパターン33の膜の薄い部分をアッシング等によって除去しこの部分で、被転写体30における例えば膜32Bに第2エッチングを実施する。このようにして、1枚のグレートーンマスク20を用いて従来のフォトマスク2枚分の工程が実施されることになり、マスク枚数が削減される。
【0033】
次に、本実施の形態による欠陥修正方法について説明する。本実施の形態では、透明基板上に、モリブデンシリサイドを含む半透光膜(露光光透過率50%)、クロムを主成分とする遮光膜を成膜し、所定のパターニングを施すことによって、遮光部、透光部、及び半透光部を備えた、TFT基板製造用のグレートーンマスクを用いる。
本実施の形態では、上記半透光部に生じた白欠陥の修正方法を説明する。
【0034】
(1)製造されたグレートーンマスクについては、欠陥検査装置を用いて、マスクパターンの欠陥検査を行う。そして、半透光部において欠陥が存在するときは、該欠陥部分の位置情報と形状情報を特定する。この場合の欠陥は、正常な半透光部に対して、半透光膜の膜厚が小さい、又は半透光膜が欠落した部位を有するために、露光光の透過量が正常な半透光部より大きい部分であるような所謂白欠陥である。
欠陥検査の結果、図1(a)に示すように、半透光膜26からなる半透光部に、小さいサイズの白欠陥50と、大きいサイズの白欠陥51が存在した。なお、マスクに生じる実際の欠陥は、不規則な形状のものが多いが、ここでは、便宜上矩形状のものを示した。
【0035】
(2)次に、上記で特定した欠陥部分に修正膜を形成するための成膜手段と成膜素材を決定する。本実施の形態では、成膜手段としてFIBを適用する。また、成膜素材としては、FIBによる成膜に好適なカーボンとする。もちろん、カーボンに限定されるわけではなく、半透光膜と同じモリブデンシリサイドを含む材料を用いてもよい。
【0036】
ここで、FIB装置について説明する。FIB装置は成膜だけでなく、膜の除去にも使用することができる。
図11に示すように、このFIB装置40は、Ga+イオンを発生させるイオン源41と、電磁光学系42と、Ga+イオンを中和するための電子を放出する電子銃43と、βガスを放出させるエッチング用ガス銃49と、ピレンガスを放出させるガス銃44とを有して構成される。上記電磁光学系42は、イオン源41から発生したGa+イオンをイオンビーム47とするものであり、このイオンビーム47がスキャンアンプ46により走査される。
【0037】
そして、XYステージ45上に、被修正対象物であるグレートーンマスク20を載置し、XYステージ45を移動させることにより、そのグレートーンマスク20における修正を施す欠陥領域をイオンビーム照射領域に移動する。次に、修正を施す欠陥領域にイオンビーム47を走査し、この際に発生する二次イオンを検出する二次イオン検出器48の作用で、修正を施す欠陥領域の位置を検出する。イオンビーム47が電磁光学系42を介して、グレートーンマスク20の修正を施す欠陥領域に照射されることによって、修正膜の形成や、膜の除去(例えば黒欠陥領域の半透光膜の除去)が実施される。なお、イオンビームのビーム径は、0.1μmφ以下である。
【0038】
修正膜を形成する場合には、電磁光学系42を介してイオンビーム47を放出させながら、ピレンガスをガス銃44により放出させる。これにより、ピレンガスがイオンビーム47に接触して重合(化学反応)し、イオンビーム47の照射領域に修正膜が堆積して成膜される。
また、例えば黒欠陥領域の半透光膜を除去する場合には、エッチング用ガス銃49によりβガスを放出させ、この状態で電磁光学系42を介してイオンビーム47を照射することにより、上記半透光膜が除去される。
【0039】
(3)次に、上記で決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。所定の露光光の透過量として、ここでは40%の透過率とし、それを満たすカーボン膜の膜厚として、45nmを設定した。このような修正膜を得るために、FIBを用いて所定の成膜条件で成膜するには、成膜面積を、400μm2とするのが最も安定に成膜可能であることを、予め求めた上記と同様な成膜条件における成膜膜厚と成膜面積との相関関係に基づいて決定した。このようにして決定した成膜面積は、半透光部にある前記白欠陥50,51を含む大きさである。なお、この成膜膜厚と成膜面積との相関関係は、たとえば前述の図13に示すような相関関係である。
【0040】
(4)次に、半透光部にある前記白欠陥50,51をそれぞれ含み、該白欠陥より大きい領域について、上記(3)で決定した面積(成膜面積)に相当する(等しい、またはほぼ等しい)半透光膜26を除去した。半透光膜26の除去手段としては、FIB装置を用いたが、他のたとえばLASER装置を用いることもできる。この結果、図1(b)に示すように、サイズの異なる白欠陥50,51に対し、同一のサイズ、形状(つまり同一面積)に半透光膜26が除去され(26a、26b)、除去された部分26a,26bでは透明基板24が露出する。
【0041】
(5)上記半透光膜が除去された部分26a,26bを修正膜の成膜領域として、必要な位置情報等をFIB装置に入力するとともに、成膜膜厚やその他の成膜条件を入力し、上記半透光膜が除去された部分26a,26bに、同一のサイズ、形状(つまり同一面積)の修正膜27a,27bを形成した(図1(c)、(d)参照)。形成された修正膜27a,27bの膜厚は、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定したところ、最大高低差1.26nmで面内一定であり、修正膜27aと27bの膜厚のばらつきはなかった。したがって、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる修正膜27a,27bが形成されている。
なお、図1(d)には、半透光膜26と修正膜27a,27bの膜厚がほぼ同一に描かれているが、半透光部が所定の露光光透過量に制御されればよいので、半透光膜26と修正膜27a,27bの膜素材が異なる場合は、膜厚は異なる場合もある。
【0042】
以上説明した本実施の形態1によれば、次のような効果が得られる。
1.半透光部に求められる露光光の透過量を所望の範囲に設定でき、その所望の露光光の透過量となるような成膜面積の修正膜を再現性良く形成できるため、半透光部における露光光の透過量精度の高い安定した修正を実施することができる。
2.従って、欠陥が修正された領域は、半透光部における正常なグレートーン部分と同等のグレートーン効果が得られるようになり、半透光部に発生した欠陥を好適に修正することができる。
3.また、半透光部に発生した欠陥の修正膜の安定性、制御性が向上し、グレートーンマスクの歩留りが大幅に向上する。
【0043】
本実施の形態では、複数の欠陥部分に対し、同一の成膜面積の修正膜を形成するために、欠陥部分を含む同一のサイズ、形状(矩形状)の修正膜を形成しているが、形状は矩形状に限らず、他の例えば円形状であってもかまわない。また、同一の成膜面積であれば、複数の修正膜の形状は互いに異なっていてもよい。さらに、複数の修正膜の面積は厳密に同一でなくても、成膜面積による膜厚変動を生じない限りにおいては、多少異なっていてもよい。
また、本実施の形態では、修正膜の成膜手段として、FIBを適用したが、成膜手段はFIBに限定されるわけではなく、例えばレーザーCVD等、他の成膜手段を適用することも可能である。
【0044】
[実施の形態2]
図2は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態2を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図、(d)は(c)におけるL−L線に沿った側断面図である。
前述の図14においても説明したが、実際の白欠陥は断面が膜厚方向で略垂直であるような形状に欠落しているとは限らず、例えば図2(a)のように、半透光膜26に断面が透明基板24側に向かって狭まったような、すり鉢状に欠落した白欠陥52が生じた場合、この欠陥部位に均一膜厚の修正膜を形成すると、白欠陥の部分に一部残留している半透光膜26の上に修正膜が形成されるため、半透光膜と修正膜が重なった領域では光透過量が所望値より小さくなってしまう。このような形状以外の複雑な形状の白欠陥の場合も同様である。
【0045】
本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様にして決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。
そして、半透光部にある上記白欠陥52を含み、該白欠陥より大きい領域について、上記で決定した面積(成膜面積)に相当する半透光膜26を除去する(図2(b)参照)。
【0046】
上記半透光膜が除去された部分26cに、上記で決定した成膜面積の修正膜27cを形成する(図2(c)、(d)参照)。これにより、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる均一な膜厚を有する修正膜が形成される。
したがって、本実施の形態2においても、前述の実施の形態1による1〜3の効果が同様に得られる。
【0047】
[実施の形態3]
図3は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態3を示すもので、(a)、(b)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
グレートーンマスクの半透光部に生じた白欠陥が、一定の面積、例えば前述の実施の形態1と同様にして決定した修正膜の成膜面積を超えるサイズの場合、この一定面積の整数倍の領域を欠陥修正領域とする。
【0048】
まず、本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様にして決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。
そして、半透光部に生じた白欠陥が、上記で決定した成膜面積を超えるサイズである場合、半透光部にある上記白欠陥を含み、該白欠陥より大きい領域について、上記で決定した面積(成膜面積)の整数倍(例えば2倍)に相当する半透光膜26を除去する(図3(a)参照)。
【0049】
上記半透光膜26が除去された部分26dに、上記で決定した成膜面積の修正膜を形成する工程を、形成する修正膜が隣接するように、上記整数倍の回数だけ繰り返して行う。これにより、上記半透光膜26が除去された部分26dに、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる均一な膜厚を有する修正膜27dが形成される(図3(b)参照)。
したがって、本実施の形態3によっても、前述の実施の形態1による1〜3の効果が同様に得られる。
【0050】
[実施の形態4]
図4は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態4を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
白欠陥を含む半透光部の面積が小さく、遮光膜に近接している場合においても、一定の面積(例えば前述の実施の形態1と同様にして決定した修正膜の成膜面積)を欠陥修正領域として、本発明を有効に適用することができる。
【0051】
すなわち、本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様にして決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。
そして、図4(a)に示すように、白欠陥53が生じた半透光部の面積が、周囲の遮光膜25と近接しているために、上記で決定した成膜面積に達していない場合、半透光部にある上記白欠陥53を含み、遮光膜25がなく露出している半透光膜領域について、半透光膜26を除去する(図4(b)参照)。
【0052】
上記半透光膜26が除去された部分26eを含む、上記で決定した成膜面積の修正膜27eを形成する。これにより、上記半透光膜26が除去された部分26eに、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる均一な膜厚を有する修正膜27eが形成される(図4(c)参照)。なお、遮光膜25上にも、修正膜27eの一部が形成されるが、遮光部であるため不具合は生じない。遮光膜上の不要な遮光膜は後で除去してもよい。
したがって、本実施の形態4によっても、前述の実施の形態1による1〜3の効果が同様に得られる。
【0053】
[実施の形態5]
図5は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態5を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
たとえば、微小な半透光膜が製造プロセスで欠落した場合など、透明基板上に孤立している半透光部であって白欠陥を含む半透光膜の面積が小さく一定の面積(例えば前述の実施の形態1と同様にして決定した修正膜の成膜面積)に達していない場合、本来は小さい領域しか膜付けが不要であっても、上記一定面積を欠陥修正領域として、本発明を有効に適用することができる。
【0054】
すなわち、本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様にして決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。
そして、図5(a)に示すように、白欠陥54となった半透光部の面積が、上記で決定した成膜面積に達していない場合、上記白欠陥54を含む透明基板24上の領域について、上記で決定した成膜面積の修正膜27fを形成する(図5(b)参照)。これにより、上記白欠陥54を含む領域に、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる均一な膜厚を有する修正膜27fが形成される。修正膜27fの成膜後、不要な領域55の修正膜は除去することが可能である。
したがって、本実施の形態5においても、前述の実施の形態1による1〜3の効果が同様に得られる。
【0055】
[実施の形態6]
図6は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態6を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
前述の図15においても説明したように、半透光膜上に遮光膜成分が付着し、または異物が付着することによって黒欠陥が生じたとき、半透光膜に影響なく、黒欠陥部分のみを除去することは従来は困難であった。本実施の形態に示すように、このような黒欠陥の修正に対しても本発明を有効に適用することができる。
【0056】
まず、本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様にして決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。
そして、図6(a)に示すような半透光部に生じた黒欠陥56を含み、該黒欠陥より大きい領域について、上記で決定した面積(成膜面積)に相当する半透光膜26を黒欠陥56とともに除去する(図6(b)参照)。
【0057】
上記半透光膜26が除去された部分26gに、上記で決定した成膜面積の修正膜27gを形成する(図6(c)参照)。これにより、半透光部に生じた黒欠陥56は除去され、上記半透光膜26が除去された部分26gには、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる均一な膜厚を有する修正膜27gが形成される。
したがって、黒欠陥の修正にかかわる本実施の形態6においても、前述の実施の形態1による1〜3の効果が同様に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態1を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図、(d)は(c)におけるL−L線に沿った側断面図である。
【図2】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態2を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図、(d)は(c)におけるL−L線に沿った側断面図である。
【図3】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態3を示すもので、(a)及び(b)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
【図4】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態4を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
【図5】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態5を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
【図6】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態6を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
【図7】グレートーンマスクを用いたTFT基板の製造工程を示す概略断面図である。
【図8】グレートーンマスクを用いたTFT基板の製造工程(図7の製造工程の続き)を示す概略断面図である。
【図9】従来の微細パターンタイプのグレートーンマスクの一例を示す平面図である。
【図10】本発明のグレートーンマスクを用いたパターン転写方法を説明するための断面図である。
【図11】FIB装置の構造を示す概略側面図である。
【図12】従来の欠陥修正方法における問題点を説明するための(a)と(b)は斜視図、(c)は断面図である。
【図13】FIB装置を用いて成膜する場合の成膜面積と膜厚との関係を示す図である。
【図14】従来の欠陥修正方法における問題点を説明するための(a)と(b)は斜視図、(c)は断面図である。
【図15】従来の欠陥修正方法における問題点を説明するための(a)と(b)は斜視図、(c)は断面図である。
【符号の説明】
【0059】
10,20 グレートーンマスク
21 遮光部
22 透光部
23 半透光部
24 透明基板
25 遮光膜
26 半透光膜
27a〜27g 修正膜
30 被転写体
33 レジストパターン
40 FIB装置
50〜56 欠陥
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置(Liquid CrystalDisplay:以下、LCDと呼ぶ)製造等に用いられるグレートーンマスクの欠陥修正方法、グレートーンマスクの製造方法及びグレートーンマスクに関するものであり、特に薄膜トランジスタ液晶表示装置の製造に用いられる薄膜トランジスタ基板(TFT基板)の製造に好適に使用されるグレートーンマスクの欠陥修正方法、グレートーンマスクの製造方法及びグレートーンマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、LCDの分野において、薄膜トランジスタ液晶表示装置(Thin FilmTransistor Liquid Crystal Display:以下、TFT−LCDと呼ぶ)は、CRT(陰極線管)に比較して、薄型にしやすく消費電力が低いという利点から、現在商品化が急速に進んでいる。TFT−LCDは、マトリックス状に配列された各画素にTFTが配列された構造のTFT基板と、各画素に対応して、レッド、グリーン、及びブルーの画素パターンが配列されたカラーフィルターが液晶相の介在の下に重ね合わされた概略構造を有する。TFT−LCDでは、製造工程数が多く、TFT基板だけでも5〜6枚のフォトマスクを用いて製造されていた。このような状況の下、TFT基板の製造を4枚のフォトマスクを用いて行う方法が提案された(例えば下記非特許文献1)。
【0003】
この方法は、遮光部と透光部と半透光部(グレートーン部)を有するフォトマスク(以下、グレートーンマスクという)を用いることにより、使用するマスク枚数を低減するというものである。ここで、半透光部とは、マスクを使用してパターンを被転写体に転写する際、透過する露光光の透過量を所定量低減させ、被転写体上のフォトレジスト膜の現像後の残膜量を制御する部分をいい、そのような半透光部を、遮光部、透光部とともに備えているフォトマスクをグレートーンマスクという。
【0004】
図7及び図8(図8は図7の製造工程の続き)に、グレートーンマスクを用いたTFT基板の製造工程の一例を示す。
ガラス基板1上に、ゲート電極用金属膜が形成され、フォトマスクを用いたフォトリソプロセスによりゲート電極2が形成される。その後、ゲート絶縁膜3、第1半導体膜4(a−Si)、第2半導体膜5(N+a−Si)、ソースドレイン用金属膜6、及びポジ型フォトレジスト膜7が形成される(図7(1))。次に、遮光部11と透光部12と半透光部13を有するグレートーンマスク10を用いて、ポジ型フォトレジスト膜7を露光し、現像することにより、TFTチャネル部及びソースドレイン形成領域と、データライン形成領域を覆い、かつチャネル部形成領域がソースドレイン形成領域よりも薄くなるように第1レジストパターン7aが形成される(図7(2))。次に、第1レジストパターン7aをマスクとして、ソースドレイン金属膜6及び第2、第1半導体膜5,4をエッチングする(図7(3))。次に、チャネル部形成領域の薄いレジスト膜を酸素によるアッシングにより除去し、第2レジストパターン7bを形成する(図8(1))。しかる後、第2レジストパターン7bをマスクとして、ソースドレイン用金属膜6がエッチングされ、ソース/ドレイン6a、6bが形成され、次いで第2半導体膜5をエッチングし(図8(2))、最後に残存した第2レジストパターン7bを剥離する(図8(3))。
【0005】
ここで用いられるグレートーンマスクとしては、半透光部が微細パターンで形成されている構造のものが知られている。例えば図9に示されるように、ソース/ドレインに対応する遮光部11a、11bと、透光部12と、チャネル部に対応する半透光部(グレートーン部)13とを有し、半透光部13は、グレートーンマスクを使用するLCD用露光機の解像限界以下の微細パターンからなる遮光パターン13aを形成した領域である。遮光部11a、11bと遮光パターン13aはともにクロムやクロム化合物等の同じ材料からなる同じ厚さの膜から通常形成されている。グレートーンマスクを使用するLCD用露光機の解像限界は、多くの場合、ステッパ方式の露光機で約3μm、ミラープロジェクション方式の露光機で約4μmである。このため、例えば、図9で半透光部13における透過部13bのスペース幅を3μm未満、遮光パターン13aのライン幅を露光機の解像限界以下の3μm未満とすることができる。
【0006】
上述の微細パターンタイプの半透光部は、グレートーン部分の設計、具体的には遮光部と透光部の中間的なハーフトーン効果を持たせるための微細パターンをライン・アンド・スペースタイプにするのかドット(網点)タイプにするのか、或いはその他のパターンにするのかの選択があり、さらにライン・アンド・スペースタイプの場合、線幅をどのくらいにするのか、光が透過する部分と遮光される部分の比率をどうするか、全体の透過率をどの程度に設計するかなどを考慮し設計することができる。
【0007】
一方、ハーフトーン露光したい部分を半透過性のハーフトーン膜(半透光膜)とすることが従来提案されている(例えば下記特許文献1)。このハーフトーン膜を用いることでハーフトーン部分の露光量を少なくしてハーフトーン露光することが出来る。ハーフトーン膜を用いる場合、設計においては全体の透過率がどのくらい必要かを検討し、マスクにおいてはハーフトーン膜の膜種(素材)であるとか膜厚を選択することでマスクの生産が可能となる。マスク製造ではハーフトーン膜の膜厚制御を行う。TFTチャンネル部をグレートーンマスクのグレートーン部で形成する場合、ハーフトーン膜であればフォトリソグラフィー工程により容易にパターニングできるので、TFTチャンネル部の形状が複雑なパターン形状であっても可能であるという利点がある。
【0008】
また、下記特許文献2には、遮光部と、透光部とグレートーン部を有するグレートーンマスクにおいて、グレートーン部の欠陥を修正する際に、グレートーン部の膜が正常なグレートーン効果が得られるような膜厚となるように、FIB(Focused Ion Beam Deposition)を用いたエッチングによる膜厚の低減、又は膜形成が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2002−189280号公報
【特許文献2】特開2004−309515号公報
【非特許文献1】「月刊エフピーディ・インテリジェンス(FPD Intelligence)」、1999年5月、p.31−35
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のような特許文献1に記載のグレートーンマスクにおいて、半透光膜からなるグレートーン部に欠陥が生じることは避けられない。
一方、上記特許文献2によると、グレートーン部に微細パターンを有するグレートーンマスクにおいて、この微細パターン部分に生じた欠陥に対し、比較的容易に、修正度の高い修正を行うことができるとされている。すなわち、正常パターンが微細であるために、欠陥が生じたときにその微細なパターンを同じ形状に復元することが困難であるが、例えばレーザーCVD装置を用いて白欠陥部分に遮光膜を形成する、又は黒欠陥部分を除去して改めて遮光膜を形成するといった方法では、適切なグレートーン効果を得るための透過率制御が容易でないという課題を解決している。
なお、ここでは、膜パターンの余剰や遮光膜成分の付着、又は異物によって、透過率が所定より低くなる欠陥を黒欠陥、膜パターンの不足によって透過率が所定より高くなる欠陥を白欠陥と称する。
【0011】
しかしながら、上記特許文献2のようにFIBを用いたとしても、欠陥部分に対して、所定の露光光の透過量を確保するような修正を実施することは必ずしも容易なことではない。例えば、半透光部に、半透光膜を用いて、露光光の透過量を制御するタイプのグレートーンマスクにおいて、該半透光膜の欠落による白欠陥が生じた場合、理想的には、予め所定の光透過量となるような修正膜の膜素材、膜厚と、それを成膜するための条件等を決定した後、当該欠陥部分に修正膜を形成すればよい。黒欠陥の場合には、黒欠陥部分の膜を除去した上で、同様に、除去部分に上記修正膜を形成できればよい。しかしながら、本発明者の検討によると、そのような修正は現実的には困難である。
【0012】
すなわち、本発明者の検討によると、FIB装置は、局所的な部位への成膜には有効な手段であるが、同一の成膜素材を用いて、同一の成膜条件(単位面積当たりのドーズ(Dose)量に相当する電流値)を適用しても、修正膜の成膜面積が異なると、修正膜の成膜膜厚の変動を生じる(光透過率もそれに従い変動する)ことがある。例えば、修正膜の形成領域(成膜面積)が大きい部分と小さい部分とが存在したとき、サイズの小さい方の修正膜の膜厚がサイズの大きい方の修正膜の膜厚よりも大きくなる(厚くなる)ことがある。
【0013】
図12を用いて説明すると、透明基板24上に形成された半透光膜26からなる半透光部に、該半透光膜の欠落による小さいサイズの白欠陥60と大きいサイズの白欠陥61が生じたとき(同図(a))、FIB装置を用いて同一の成膜素材、同一の成膜条件を適用して、各欠陥のサイズにそれぞれ見合う大きさの修正膜28a,28bを形成すると(同図(b))、サイズの小さい方の修正膜28aの膜厚がサイズの大きい方の修正膜28bの膜厚よりも厚くなる(同図(c)の断面図参照)。
【0014】
更に、本発明者の鋭意検討によると、上述のような成膜面積による膜厚変動の現象は、FIB装置による成膜時の走査速度と、成膜材料の成膜部位への供給量の関係に変動が生じることが避けられないためであることを見出した。また、本発明者は、この変動に影響する要素は複雑で、成膜面積が小さいと走査速度に対して、成膜材料の供給量が過分に減少したり、更に成膜面積が小さくなると、逆に過分に多く供給されるなど、成膜面積と膜厚の関係は必ずしもリニアに相関せず、したがって、ある面積を有する所望の部位に成膜しようとしても、実際に成膜される膜厚の制御及び予測が容易ではないことを見出した。ちなみに、図13は、FIB装置による膜厚の成膜面積依存性の関係の一例を示したもので、カーボン修正膜を所望の部位に形成する場合の成膜面積と膜厚変動の相関の一例である。
【0015】
FIB装置の条件変更によりこうした変動をキャンセルする方法もあるが、成膜対象である、グレートーンマスクの半透光部の修正膜に必要とされる膜厚変動(すなわち光透過率変動)の許容値は極めて厳しく、FIB装置のパラメータ調整だけでは、常に所望値の膜厚を得ることはできない。
【0016】
また、従来の欠陥修正方法による問題点は、上述のような成膜面積による膜厚変動の問題だけではない。実際の白欠陥は断面が膜厚方向で略垂直であるような形状に欠落しているとは限らず、例えば図14(a)のように、半透光膜26に断面が透明基板24側に向かって狭まったような形状に欠落した白欠陥62が生じた場合、この欠陥部位に均一膜厚の修正膜28cを形成すると(同図(b))、白欠陥の部分に一部残留している半透光膜26の上に修正膜が形成されるため、半透光膜と修正膜が重なった領域では光透過量が所望値より小さくなってしまうという問題が生じる(同図(c)の断面図参照)。
【0017】
また、図15(a)に示すように、半透光膜26上に遮光膜成分が付着し、または異物が付着することによって黒欠陥63が生じた場合、半透光膜26に影響なく、黒欠陥63部分のみを除去することは困難である。たとえばFIB装置で黒欠陥63部分のみを除去する場合、除去の仕方が不十分だと黒欠陥成分が残ってしまい、黒欠陥を完全に除去しようとすると、その下の半透光膜が一部除去されてしまい、半透光膜26に新たな欠陥64が生じることになる(同図(b)、(c)参照)。さらに、この新たな欠陥64を修正膜で修正しようとすると、上述の図14と同様な問題を生じる。
【0018】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、半透光部に発生した欠陥を好適に修正できるグレートーンマスクの欠陥修正方法を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、このような欠陥修正方法を適用した欠陥修正工程を有するグレートーンマスクの製造方法を提供することを第2の目的とする。さらには、半透光部に発生した欠陥が好適に修正されたグレートーンマスクを提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)透明基板上に半透光膜と遮光膜を形成し、所定のパターニングを施すことにより、遮光部と、透光部と、マスク使用時に用いられる露光光の透過量を所定量低減する半透光部とを有するグレートーンマスクであって、被転写体上に膜厚が段階的または連続的に異なるレジストパターンを形成するためのグレートーンマスクの欠陥修正方法において、前記半透光部が半透光膜により形成され、前記半透光部において欠陥が生じたときに該欠陥部分を特定し、前記特定した欠陥部分に修正膜を形成するための成膜手段と成膜素材を決定し、前記決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、前記露光光の透過量が所定範囲内となるような成膜面積を決定し、前記決定した成膜面積の修正膜を形成することを特徴とするグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
【0020】
(構成2)前記成膜面積は、前記決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、前記露光光の透過量が所定範囲内となるような成膜膜厚を設定し、予め求めた成膜膜厚と成膜面積との相関関係に基づいて決定することを特徴とする構成1に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
(構成3)前記修正膜の形成に先立ち、前記欠陥部分を含む、前記決定した成膜面積にほぼ等しい面積の領域について、前記透明基板を露出させる工程を有することを特徴とする構成1又は2に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
【0021】
(構成4)前記欠陥部分は、正常な半透光部に対して、半透光膜の膜厚が小さい、又は半透光膜が欠落した部位を有するために、露光光の透過量が正常な半透光部より大きい部分であることを特徴とする構成1乃至3の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
(構成5)前記欠陥部分は、半透光部において、半透光膜以外の成分が付着したために、露光光の透過量が正常な半透光部より小さい部分であることを特徴とする構成1乃至3の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
【0022】
(構成6)半透光部において複数の欠陥部分が生じたとき、該複数の欠陥部分に対して、それぞれほぼ同一の成膜面積の修正膜を形成することを特徴とする構成1乃至5の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
(構成7)前記決定した成膜面積の整数倍の領域に対して、該決定した成膜面積の修正膜を形成する工程を前記整数倍の回数を繰り返して行うことを特徴とする構成1乃至6の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
(構成8)前記修正膜の成膜手段は、収束イオンビーム法を適用することを特徴とする構成1乃至7の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法である。
【0023】
(構成9)構成1乃至8の何れか一に記載の欠陥修正方法による欠陥修正工程を含むことを特徴とするグレートーンマスクの製造方法である。
【0024】
(構成10)透明基板上に半透光膜と遮光膜を形成し、所定のパターニングを施すことにより、遮光部と、透光部と、マスク使用時に用いられる露光光の透過量を所定量低減する半透光部とを有し、被転写体上に膜厚が段階的または連続的に異なるレジストパターンを形成するためのグレートーンマスクであって、前記半透光部に、複数のほぼ同一面積の修正膜が形成されていることを特徴とするグレートーンマスクである。
(構成11)前記半透光部にあらかじめ形成された半透光膜と前記修正膜とは異なる組成を有することを特徴とする構成10に記載のグレートーンマスクである。
【発明の効果】
【0025】
本発明のグレートーンマスクの欠陥修正方法によれば、半透光部に求められる露光光の透過量を所望の範囲に設定でき、その所望の露光光の透過量となるような成膜面積の修正膜を再現性良く形成できるため、半透光部における露光光の透過量精度の高い安定した修正を実施することができる。その結果、欠陥が修正された領域は、半透光部における正常なグレートーン部分と同等のグレートーン効果が得られるようになり、半透光部に発生した欠陥を好適に修正することができる。また、半透光部に発生した欠陥の修正膜の安定性、制御性が向上し、グレートーンマスクの歩留りが大幅に向上する。
また、本発明のグレートーンマスクの製造方法によれば、このような本発明の欠陥修正方法を適用した欠陥修正工程を有することにより、半透光部に発生した欠陥が好適に修正されたグレートーンマスクを得ることができる。
【0026】
また、本発明のグレートーンマスクによれば、半透光部に、複数のほぼ同一面積の修正膜が形成されており、複数の欠陥部分に対し、所望の露光光の透過量となるような成膜面積の修正膜が再現性良く形成され、半透光部における露光光の透過量精度の高い安定した好適な修正が施されたグレートーンマスクが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態1を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図、(d)は(c)におけるL−L線に沿った側断面図である。また、図10は、本発明のグレートーンマスクを用いたパターン転写方法を説明するための断面図である。
【0028】
図10に示す本発明のグレートーンマスク20(ここでは修正された欠陥部分は示していない)は、例えば液晶表示装置(LCD)の薄膜トランジスタ(TFT)やカラーフィルタ、またはプラズマディスプレイパネル(PDP)などを製造するために用いられるものであり、図10に示す被転写体30上に、膜厚が段階的または連続的に異なるレジストパターン33を形成するものである。なお、図10中において符号32A、32Bは、被転写体30において基板31上に積層された膜を示す。
【0029】
上記グレートーンマスク20は、具体的には、当該グレートーンマスク20の使用時に露光光を遮光(透過率が略0%)させる遮光部21と、透明基板24の表面が露出した露光光を略100%透過させる透光部22と、露光光の透過率を20〜60%程度に低減させる半透光部23とを有して構成される。半透光部23は、ガラス基板等の透明基板24上に光半透過性の半透光膜26が形成されて構成される。また、遮光部21は、透明基板24上に、上記半透光膜26及び遮光性の遮光膜25が順に設けられて構成される。なお、この遮光部21は、マスク製造に使用するマスクブランクの構造及び製造プロセスによって、透明基板24上に、遮光膜25、半透光膜26が順次設けられる場合や、透明基板24上に遮光膜25だけが設けられる場合がある。また、図10に示す遮光部21、透光部22、及び半透光部23のパターン形状はあくまでも代表的な一例であって、本発明をこれに限定する趣旨ではないことは勿論である。
【0030】
上記半透光膜26としては、クロム化合物、MoSi、Si、W、Alが挙げられる。このうち、クロム化合物には、酸化クロム(CrOx)、窒化クロム(CrNx)、酸窒化クロム(CrOxN)、フッ化クロム(CrFx)や、これらに炭素や水素を含むものがある。また、遮光膜25としては、Cr、Si、W、Alなどが挙げられる。上記遮光部21の透過率は、遮光膜25(あるいは遮光膜25と半透光膜26)の膜材質と膜厚との選定によって設定される。また、上記半透光部23の透過率は、半透光膜26の膜材質と膜厚との選定によって設定される。
【0031】
上述のようなグレートーンマスク20を使用したときに、遮光部21では露光光が実質的に透過せず、半透光部23では露光光が低減されるため、被転写体30上に塗布したレジスト膜(ポジ型フォトレジスト膜)は、遮光部21に対応する部分で膜厚が厚くなり、半透光部23に対応する部分で膜厚が薄くなり、透光部22に対応する部分では膜がないレジストパターン33を形成する(図10を参照)。このレジストパターン33において、半透光部23に対応する部分で膜厚が薄くなる効果をグレートーン効果という。なお、ネガ型フォトレジストを用いた場合には、遮光部と透光部に対応するレジスト膜厚が逆転することを考慮した設計を行う必要があるが、このような場合にも、本発明の効果は充分に得られる。
【0032】
そして、図10に示すレジストパターン33の膜のない部分で、被転写体30における例えば膜32A及び32Bに第1エッチングを実施し、レジストパターン33の膜の薄い部分をアッシング等によって除去しこの部分で、被転写体30における例えば膜32Bに第2エッチングを実施する。このようにして、1枚のグレートーンマスク20を用いて従来のフォトマスク2枚分の工程が実施されることになり、マスク枚数が削減される。
【0033】
次に、本実施の形態による欠陥修正方法について説明する。本実施の形態では、透明基板上に、モリブデンシリサイドを含む半透光膜(露光光透過率50%)、クロムを主成分とする遮光膜を成膜し、所定のパターニングを施すことによって、遮光部、透光部、及び半透光部を備えた、TFT基板製造用のグレートーンマスクを用いる。
本実施の形態では、上記半透光部に生じた白欠陥の修正方法を説明する。
【0034】
(1)製造されたグレートーンマスクについては、欠陥検査装置を用いて、マスクパターンの欠陥検査を行う。そして、半透光部において欠陥が存在するときは、該欠陥部分の位置情報と形状情報を特定する。この場合の欠陥は、正常な半透光部に対して、半透光膜の膜厚が小さい、又は半透光膜が欠落した部位を有するために、露光光の透過量が正常な半透光部より大きい部分であるような所謂白欠陥である。
欠陥検査の結果、図1(a)に示すように、半透光膜26からなる半透光部に、小さいサイズの白欠陥50と、大きいサイズの白欠陥51が存在した。なお、マスクに生じる実際の欠陥は、不規則な形状のものが多いが、ここでは、便宜上矩形状のものを示した。
【0035】
(2)次に、上記で特定した欠陥部分に修正膜を形成するための成膜手段と成膜素材を決定する。本実施の形態では、成膜手段としてFIBを適用する。また、成膜素材としては、FIBによる成膜に好適なカーボンとする。もちろん、カーボンに限定されるわけではなく、半透光膜と同じモリブデンシリサイドを含む材料を用いてもよい。
【0036】
ここで、FIB装置について説明する。FIB装置は成膜だけでなく、膜の除去にも使用することができる。
図11に示すように、このFIB装置40は、Ga+イオンを発生させるイオン源41と、電磁光学系42と、Ga+イオンを中和するための電子を放出する電子銃43と、βガスを放出させるエッチング用ガス銃49と、ピレンガスを放出させるガス銃44とを有して構成される。上記電磁光学系42は、イオン源41から発生したGa+イオンをイオンビーム47とするものであり、このイオンビーム47がスキャンアンプ46により走査される。
【0037】
そして、XYステージ45上に、被修正対象物であるグレートーンマスク20を載置し、XYステージ45を移動させることにより、そのグレートーンマスク20における修正を施す欠陥領域をイオンビーム照射領域に移動する。次に、修正を施す欠陥領域にイオンビーム47を走査し、この際に発生する二次イオンを検出する二次イオン検出器48の作用で、修正を施す欠陥領域の位置を検出する。イオンビーム47が電磁光学系42を介して、グレートーンマスク20の修正を施す欠陥領域に照射されることによって、修正膜の形成や、膜の除去(例えば黒欠陥領域の半透光膜の除去)が実施される。なお、イオンビームのビーム径は、0.1μmφ以下である。
【0038】
修正膜を形成する場合には、電磁光学系42を介してイオンビーム47を放出させながら、ピレンガスをガス銃44により放出させる。これにより、ピレンガスがイオンビーム47に接触して重合(化学反応)し、イオンビーム47の照射領域に修正膜が堆積して成膜される。
また、例えば黒欠陥領域の半透光膜を除去する場合には、エッチング用ガス銃49によりβガスを放出させ、この状態で電磁光学系42を介してイオンビーム47を照射することにより、上記半透光膜が除去される。
【0039】
(3)次に、上記で決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。所定の露光光の透過量として、ここでは40%の透過率とし、それを満たすカーボン膜の膜厚として、45nmを設定した。このような修正膜を得るために、FIBを用いて所定の成膜条件で成膜するには、成膜面積を、400μm2とするのが最も安定に成膜可能であることを、予め求めた上記と同様な成膜条件における成膜膜厚と成膜面積との相関関係に基づいて決定した。このようにして決定した成膜面積は、半透光部にある前記白欠陥50,51を含む大きさである。なお、この成膜膜厚と成膜面積との相関関係は、たとえば前述の図13に示すような相関関係である。
【0040】
(4)次に、半透光部にある前記白欠陥50,51をそれぞれ含み、該白欠陥より大きい領域について、上記(3)で決定した面積(成膜面積)に相当する(等しい、またはほぼ等しい)半透光膜26を除去した。半透光膜26の除去手段としては、FIB装置を用いたが、他のたとえばLASER装置を用いることもできる。この結果、図1(b)に示すように、サイズの異なる白欠陥50,51に対し、同一のサイズ、形状(つまり同一面積)に半透光膜26が除去され(26a、26b)、除去された部分26a,26bでは透明基板24が露出する。
【0041】
(5)上記半透光膜が除去された部分26a,26bを修正膜の成膜領域として、必要な位置情報等をFIB装置に入力するとともに、成膜膜厚やその他の成膜条件を入力し、上記半透光膜が除去された部分26a,26bに、同一のサイズ、形状(つまり同一面積)の修正膜27a,27bを形成した(図1(c)、(d)参照)。形成された修正膜27a,27bの膜厚は、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定したところ、最大高低差1.26nmで面内一定であり、修正膜27aと27bの膜厚のばらつきはなかった。したがって、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる修正膜27a,27bが形成されている。
なお、図1(d)には、半透光膜26と修正膜27a,27bの膜厚がほぼ同一に描かれているが、半透光部が所定の露光光透過量に制御されればよいので、半透光膜26と修正膜27a,27bの膜素材が異なる場合は、膜厚は異なる場合もある。
【0042】
以上説明した本実施の形態1によれば、次のような効果が得られる。
1.半透光部に求められる露光光の透過量を所望の範囲に設定でき、その所望の露光光の透過量となるような成膜面積の修正膜を再現性良く形成できるため、半透光部における露光光の透過量精度の高い安定した修正を実施することができる。
2.従って、欠陥が修正された領域は、半透光部における正常なグレートーン部分と同等のグレートーン効果が得られるようになり、半透光部に発生した欠陥を好適に修正することができる。
3.また、半透光部に発生した欠陥の修正膜の安定性、制御性が向上し、グレートーンマスクの歩留りが大幅に向上する。
【0043】
本実施の形態では、複数の欠陥部分に対し、同一の成膜面積の修正膜を形成するために、欠陥部分を含む同一のサイズ、形状(矩形状)の修正膜を形成しているが、形状は矩形状に限らず、他の例えば円形状であってもかまわない。また、同一の成膜面積であれば、複数の修正膜の形状は互いに異なっていてもよい。さらに、複数の修正膜の面積は厳密に同一でなくても、成膜面積による膜厚変動を生じない限りにおいては、多少異なっていてもよい。
また、本実施の形態では、修正膜の成膜手段として、FIBを適用したが、成膜手段はFIBに限定されるわけではなく、例えばレーザーCVD等、他の成膜手段を適用することも可能である。
【0044】
[実施の形態2]
図2は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態2を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図、(d)は(c)におけるL−L線に沿った側断面図である。
前述の図14においても説明したが、実際の白欠陥は断面が膜厚方向で略垂直であるような形状に欠落しているとは限らず、例えば図2(a)のように、半透光膜26に断面が透明基板24側に向かって狭まったような、すり鉢状に欠落した白欠陥52が生じた場合、この欠陥部位に均一膜厚の修正膜を形成すると、白欠陥の部分に一部残留している半透光膜26の上に修正膜が形成されるため、半透光膜と修正膜が重なった領域では光透過量が所望値より小さくなってしまう。このような形状以外の複雑な形状の白欠陥の場合も同様である。
【0045】
本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様にして決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。
そして、半透光部にある上記白欠陥52を含み、該白欠陥より大きい領域について、上記で決定した面積(成膜面積)に相当する半透光膜26を除去する(図2(b)参照)。
【0046】
上記半透光膜が除去された部分26cに、上記で決定した成膜面積の修正膜27cを形成する(図2(c)、(d)参照)。これにより、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる均一な膜厚を有する修正膜が形成される。
したがって、本実施の形態2においても、前述の実施の形態1による1〜3の効果が同様に得られる。
【0047】
[実施の形態3]
図3は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態3を示すもので、(a)、(b)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
グレートーンマスクの半透光部に生じた白欠陥が、一定の面積、例えば前述の実施の形態1と同様にして決定した修正膜の成膜面積を超えるサイズの場合、この一定面積の整数倍の領域を欠陥修正領域とする。
【0048】
まず、本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様にして決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。
そして、半透光部に生じた白欠陥が、上記で決定した成膜面積を超えるサイズである場合、半透光部にある上記白欠陥を含み、該白欠陥より大きい領域について、上記で決定した面積(成膜面積)の整数倍(例えば2倍)に相当する半透光膜26を除去する(図3(a)参照)。
【0049】
上記半透光膜26が除去された部分26dに、上記で決定した成膜面積の修正膜を形成する工程を、形成する修正膜が隣接するように、上記整数倍の回数だけ繰り返して行う。これにより、上記半透光膜26が除去された部分26dに、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる均一な膜厚を有する修正膜27dが形成される(図3(b)参照)。
したがって、本実施の形態3によっても、前述の実施の形態1による1〜3の効果が同様に得られる。
【0050】
[実施の形態4]
図4は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態4を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
白欠陥を含む半透光部の面積が小さく、遮光膜に近接している場合においても、一定の面積(例えば前述の実施の形態1と同様にして決定した修正膜の成膜面積)を欠陥修正領域として、本発明を有効に適用することができる。
【0051】
すなわち、本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様にして決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。
そして、図4(a)に示すように、白欠陥53が生じた半透光部の面積が、周囲の遮光膜25と近接しているために、上記で決定した成膜面積に達していない場合、半透光部にある上記白欠陥53を含み、遮光膜25がなく露出している半透光膜領域について、半透光膜26を除去する(図4(b)参照)。
【0052】
上記半透光膜26が除去された部分26eを含む、上記で決定した成膜面積の修正膜27eを形成する。これにより、上記半透光膜26が除去された部分26eに、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる均一な膜厚を有する修正膜27eが形成される(図4(c)参照)。なお、遮光膜25上にも、修正膜27eの一部が形成されるが、遮光部であるため不具合は生じない。遮光膜上の不要な遮光膜は後で除去してもよい。
したがって、本実施の形態4によっても、前述の実施の形態1による1〜3の効果が同様に得られる。
【0053】
[実施の形態5]
図5は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態5を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
たとえば、微小な半透光膜が製造プロセスで欠落した場合など、透明基板上に孤立している半透光部であって白欠陥を含む半透光膜の面積が小さく一定の面積(例えば前述の実施の形態1と同様にして決定した修正膜の成膜面積)に達していない場合、本来は小さい領域しか膜付けが不要であっても、上記一定面積を欠陥修正領域として、本発明を有効に適用することができる。
【0054】
すなわち、本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様にして決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。
そして、図5(a)に示すように、白欠陥54となった半透光部の面積が、上記で決定した成膜面積に達していない場合、上記白欠陥54を含む透明基板24上の領域について、上記で決定した成膜面積の修正膜27fを形成する(図5(b)参照)。これにより、上記白欠陥54を含む領域に、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる均一な膜厚を有する修正膜27fが形成される。修正膜27fの成膜後、不要な領域55の修正膜は除去することが可能である。
したがって、本実施の形態5においても、前述の実施の形態1による1〜3の効果が同様に得られる。
【0055】
[実施の形態6]
図6は、本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態6を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
前述の図15においても説明したように、半透光膜上に遮光膜成分が付着し、または異物が付着することによって黒欠陥が生じたとき、半透光膜に影響なく、黒欠陥部分のみを除去することは従来は困難であった。本実施の形態に示すように、このような黒欠陥の修正に対しても本発明を有効に適用することができる。
【0056】
まず、本実施の形態においても、前述の実施の形態1と同様にして決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、所定の露光光の透過量となるような修正膜の成膜面積を決定する。
そして、図6(a)に示すような半透光部に生じた黒欠陥56を含み、該黒欠陥より大きい領域について、上記で決定した面積(成膜面積)に相当する半透光膜26を黒欠陥56とともに除去する(図6(b)参照)。
【0057】
上記半透光膜26が除去された部分26gに、上記で決定した成膜面積の修正膜27gを形成する(図6(c)参照)。これにより、半透光部に生じた黒欠陥56は除去され、上記半透光膜26が除去された部分26gには、あらかじめ設定した所望の露光光透過量が得られる均一な膜厚を有する修正膜27gが形成される。
したがって、黒欠陥の修正にかかわる本実施の形態6においても、前述の実施の形態1による1〜3の効果が同様に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態1を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図、(d)は(c)におけるL−L線に沿った側断面図である。
【図2】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態2を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図、(d)は(c)におけるL−L線に沿った側断面図である。
【図3】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態3を示すもので、(a)及び(b)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
【図4】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態4を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
【図5】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態5を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
【図6】本発明に係るグレートーンマスクの欠陥修正方法の実施の形態6を示すもので、(a)〜(c)はそれぞれ欠陥修正方法を工程順に説明するための斜視図である。
【図7】グレートーンマスクを用いたTFT基板の製造工程を示す概略断面図である。
【図8】グレートーンマスクを用いたTFT基板の製造工程(図7の製造工程の続き)を示す概略断面図である。
【図9】従来の微細パターンタイプのグレートーンマスクの一例を示す平面図である。
【図10】本発明のグレートーンマスクを用いたパターン転写方法を説明するための断面図である。
【図11】FIB装置の構造を示す概略側面図である。
【図12】従来の欠陥修正方法における問題点を説明するための(a)と(b)は斜視図、(c)は断面図である。
【図13】FIB装置を用いて成膜する場合の成膜面積と膜厚との関係を示す図である。
【図14】従来の欠陥修正方法における問題点を説明するための(a)と(b)は斜視図、(c)は断面図である。
【図15】従来の欠陥修正方法における問題点を説明するための(a)と(b)は斜視図、(c)は断面図である。
【符号の説明】
【0059】
10,20 グレートーンマスク
21 遮光部
22 透光部
23 半透光部
24 透明基板
25 遮光膜
26 半透光膜
27a〜27g 修正膜
30 被転写体
33 レジストパターン
40 FIB装置
50〜56 欠陥
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に半透光膜と遮光膜を形成し、所定のパターニングを施すことにより、遮光部と、透光部と、マスク使用時に用いられる露光光の透過量を所定量低減する半透光部とを有するグレートーンマスクであって、被転写体上に膜厚が段階的または連続的に異なるレジストパターンを形成するためのグレートーンマスクの欠陥修正方法において、
前記半透光部が半透光膜により形成され、
前記半透光部において欠陥が生じたときに該欠陥部分を特定し、
前記特定した欠陥部分に修正膜を形成するための成膜手段と成膜素材を決定し、
前記決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、前記露光光の透過量が所定範囲内となるような成膜面積を決定し、
前記決定した成膜面積の修正膜を形成することを特徴とするグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項2】
前記成膜面積は、前記決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、前記露光光の透過量が所定範囲内となるような成膜膜厚を設定し、予め求めた成膜膜厚と成膜面積との相関関係に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項3】
前記修正膜の形成に先立ち、前記欠陥部分を含む、前記決定した成膜面積にほぼ等しい面積の領域について、前記透明基板を露出させる工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項4】
前記欠陥部分は、正常な半透光部に対して、半透光膜の膜厚が小さい、又は半透光膜が欠落した部位を有するために、露光光の透過量が正常な半透光部より大きい部分であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項5】
前記欠陥部分は、半透光部において、半透光膜以外の成分が付着したために、露光光の透過量が正常な半透光部より小さい部分であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項6】
半透光部において複数の欠陥部分が生じたとき、該複数の欠陥部分に対して、それぞれほぼ同一の成膜面積の修正膜を形成することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項7】
前記決定した成膜面積の整数倍の領域に対して、該決定した成膜面積の修正膜を形成する工程を前記整数倍の回数を繰り返して行うことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項8】
前記修正膜の成膜手段は、収束イオンビーム法を適用することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一に記載の欠陥修正方法による欠陥修正工程を含むことを特徴とするグレートーンマスクの製造方法。
【請求項10】
透明基板上に半透光膜と遮光膜を形成し、所定のパターニングを施すことにより、遮光部と、透光部と、マスク使用時に用いられる露光光の透過量を所定量低減する半透光部とを有し、被転写体上に膜厚が段階的または連続的に異なるレジストパターンを形成するためのグレートーンマスクであって、
前記半透光部に、複数のほぼ同一面積の修正膜が形成されていることを特徴とするグレートーンマスク。
【請求項11】
前記半透光部にあらかじめ形成された半透光膜と前記修正膜とは異なる組成を有することを特徴とする請求項10に記載のグレートーンマスク。
【請求項1】
透明基板上に半透光膜と遮光膜を形成し、所定のパターニングを施すことにより、遮光部と、透光部と、マスク使用時に用いられる露光光の透過量を所定量低減する半透光部とを有するグレートーンマスクであって、被転写体上に膜厚が段階的または連続的に異なるレジストパターンを形成するためのグレートーンマスクの欠陥修正方法において、
前記半透光部が半透光膜により形成され、
前記半透光部において欠陥が生じたときに該欠陥部分を特定し、
前記特定した欠陥部分に修正膜を形成するための成膜手段と成膜素材を決定し、
前記決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、前記露光光の透過量が所定範囲内となるような成膜面積を決定し、
前記決定した成膜面積の修正膜を形成することを特徴とするグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項2】
前記成膜面積は、前記決定した成膜手段と成膜素材を適用したときに、前記露光光の透過量が所定範囲内となるような成膜膜厚を設定し、予め求めた成膜膜厚と成膜面積との相関関係に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項3】
前記修正膜の形成に先立ち、前記欠陥部分を含む、前記決定した成膜面積にほぼ等しい面積の領域について、前記透明基板を露出させる工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項4】
前記欠陥部分は、正常な半透光部に対して、半透光膜の膜厚が小さい、又は半透光膜が欠落した部位を有するために、露光光の透過量が正常な半透光部より大きい部分であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項5】
前記欠陥部分は、半透光部において、半透光膜以外の成分が付着したために、露光光の透過量が正常な半透光部より小さい部分であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項6】
半透光部において複数の欠陥部分が生じたとき、該複数の欠陥部分に対して、それぞれほぼ同一の成膜面積の修正膜を形成することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項7】
前記決定した成膜面積の整数倍の領域に対して、該決定した成膜面積の修正膜を形成する工程を前記整数倍の回数を繰り返して行うことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項8】
前記修正膜の成膜手段は、収束イオンビーム法を適用することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一に記載のグレートーンマスクの欠陥修正方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一に記載の欠陥修正方法による欠陥修正工程を含むことを特徴とするグレートーンマスクの製造方法。
【請求項10】
透明基板上に半透光膜と遮光膜を形成し、所定のパターニングを施すことにより、遮光部と、透光部と、マスク使用時に用いられる露光光の透過量を所定量低減する半透光部とを有し、被転写体上に膜厚が段階的または連続的に異なるレジストパターンを形成するためのグレートーンマスクであって、
前記半透光部に、複数のほぼ同一面積の修正膜が形成されていることを特徴とするグレートーンマスク。
【請求項11】
前記半透光部にあらかじめ形成された半透光膜と前記修正膜とは異なる組成を有することを特徴とする請求項10に記載のグレートーンマスク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−216346(P2008−216346A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50234(P2007−50234)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(507066644)韓国ホーヤ電子株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(507066644)韓国ホーヤ電子株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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