説明

グロメット

【課題】簡易な構成により、ハーネスとの摩擦による破損を抑制することができるグロメットを提供すること。
【解決手段】車体ボディ2と車体ボディ2に対して可動するサイドドア3との接続部分に設けられ、ハーネス5が挿通されるグロメット10に、車体ボディ2に係合される車体ボディ側係合筒部13と、サイドドア3に係合されるドア側係合筒部14と、車体ボディ側係合筒部13とドア側係合筒部14との間を接続し、屈曲可能な蛇腹部15とが形成されているグロメット本体11と、ハーネス5の蛇腹部15の内周面に対する接触を抑制するために、グロメット本体11の内周面において、その内周面から蛇腹部15の最小内径よりも内方へ突出するハーネス規制部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロメット、詳しくは、車体ボディと車体ボディに対して可動する可動部との接続部分に設けられるグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の車体ボディと、その車体ボディに対して可動する可動部、例えば、ドアなどとの接続部分には、ハーネス(組み配線)が、グロメットに挿通された状態で、配置される。
グロメットは、ハーネスを被覆保護するゴム管であって、通常、その長手方向一方側端部が車体ボディに係合されるとともに、他方側端部がドアに係合されており、それらを中継する長手方向中央部には、伸縮性および屈曲性を有する蛇腹部が形成されている。このようなグロメットに挿通されるハーネスは、蛇腹部の内周面と間隔を隔てて配置され、グロメットによって、防水および保護されている。
【0003】
このようなグロメットとしては、例えば、車体などのパネル穴に係合する取付部と、この取付部に接続する蛇腹とからなり、径の種類が少なくとも2種類からなる蛇腹から成り、長手方向に縮小したとき小径の蛇腹が大径の蛇腹の内径部分にはいりこむようにした蛇腹付グロメットが、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平05−020952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の蛇腹付グロメットを、車体ボディとドアとの接続部分に設け、その内側にハーネスを挿通させる場合には、車体ボディとドアとの相対配置によっては、蛇腹付グロメットの蛇腹部分が屈曲され、蛇腹付グロメットの内周面と、その蛇腹付グロメットに挿通されるハーネスとが接触する場合がある。
そのため、例えば、ドアを開閉するなど、車体ボディに対してドアを繰り返し揺動する場合には、蛇腹付グロメットの内周面とハーネスとが擦れるように摺動する。
【0006】
このような場合には、蛇腹付グロメットとハーネスとの摩擦によって蛇腹付グロメットが破損し、その結果、蛇腹付グロメット内部に埃や水などが入り込むという不具合がある。
本発明の目的は、簡易な構成により、ハーネスとの摩擦による破損を抑制することができるグロメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のグロメットは、車体ボディと前記車体ボディに対して可動する可動部との接続部分に設けられ、ハーネスが挿通されるグロメットであって、車体ボディに係合される車体ボディ側係合筒部と、前記可動部に係合される可動部側係合筒部と、前記車体ボディ側係合筒部と前記可動部側係合筒部との間を接続し、屈曲可能な蛇腹部とが形成されているグロメット本体と、前記ハーネスの前記蛇腹部の内周面に対する接触を抑制するために、前記グロメット本体の内周面において、前記内周面から前記蛇腹部の最小内径よりも内方へ突出するハーネス規制部とを備えていることを特徴としている。
【0008】
このようなグロメットでは、グロメット本体の内周面において、内周面から蛇腹部の最小内径よりも内方へ突出するハーネス規制部が形成されている。そのため、ハーネスが蛇腹部の内周面に対して接触することを抑制することができる。
すなわち、このようなグロメットによれば、車体ボディに対して可動部が繰り返し揺動されても、ハーネスとグロメットの内周面とが接触する前に、ハーネスとハーネス規制部とが接触し、これにより、グロメット本体の内部におけるハーネスの可動範囲が、制限される。
【0009】
そのため、このようなグロメットでは、ハーネスとグロメットとの接触が抑制され、その結果、ハーネスとグロメットとの摩擦によりグロメットが破損することを、効果的に防止することができる。
また、本発明のグロメットでは、前記車体ボディ側係合筒部が、前記ハーネスを固定する固定筒部を備え、前記可動部側係合筒部が、前記ハーネスの動きを許容する非固定部を備え、前記ハーネス規制部が、前記蛇腹部と前記非固定部との間に設けられていることが好適である。
【0010】
このようなグロメットでは、非固定部においてハーネスの動きが許容されるため、車体ボディに対して可動部を円滑に揺動させることができ、さらに、ハーネス規制部が蛇腹部と非固定部との間に形成されているため、そのハーネス規制部によってハーネスの可動範囲を制限することができ、ハーネスとグロメットとの摩擦によってグロメットが破損することを、より一層、効果的に防止することができる。
【0011】
また、本発明のグロメットでは、前記グロメット本体が一体的に形成されており、前記ハーネス規制部が、前記グロメット本体の別体として形成されていることが好適である。
このようなグロメットでは、グロメット本体とハーネス規制部とが別体として形成されるため、グロメット本体およびハーネス規制部の性質(例えば、耐摩耗性など)を、それぞれ個別に設定することができる。
【0012】
そのため、このようなグロメットにおいて、例えば、グロメット本体よりも耐磨耗性の良好なハーネス規制部を形成すれば、その結果、グロメットの破損を長期にわたって防止することができながら、さらに、ハーネス規制部の磨耗をも防止することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のグロメットによれば、ハーネスの可動範囲を制限するハーネス規制部が形成されているため、車体ボディに対して可動部が繰り返し動かされる場合にも、ハーネスとグロメットの内周面とが摺動することを抑制することができ、その結果、グロメットが摩擦により破損することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のグロメットの一実施形態が実装される車両を示す要部概略構成図である。
【図2】本発明のグロメットの一実施形態(グロメット本体とハーネス規制部とが一体的に形成される形態)を示す断面図である。
【図3】本発明のグロメットの他の実施形態(ハーネス規制部がグロメット本体の別体として形成され、グロメット本体に嵌合される形態)を示す要部断面図である。
【図4】本発明のグロメットの他の実施形態(ハーネス規制部がグロメット本体の別体として形成され、グロメット本体に埋設される形態)を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明のグロメットの一実施形態が実装される車両を示す要部概略構成図、図2は、本発明のグロメットの一実施形態(グロメット本体とハーネス規制部とが一体的に形成される形態)を示す断面図である。
なお、図1は、グロメット10(後述)が屈曲される状態を示し、また、図2は、グロメット10(後述)の屈曲が解消される状態を示す。
【0016】
図1において、車両1は、車体ボディ2と、車体ボディ2に対して可動する可動部としてのサイドドア3とを備えている。
車体ボディ2は、車両1の基本フレームを形成しており、サイドドア3によって開閉される車室乗降口6を備えている。
サイドドア3は、車体ボディ2の車室乗降口6に配置され、複数(上下に2つ)のヒンジ部材4を介して、車体ボディ2に接続されている。これによって、サイドドア3は、車体ボディ2に対して揺動し、車室乗降口6を開閉する。
【0017】
このような車両1において、車体ボディ2とサイドドア3との接続部分には、図2に示すように、グロメット10と、グロメット10に挿通されるハーネス5とが配置される。
グロメット10は、車体ボディ2とサイドドア3との接続部分(対向部分)において、車体ボディ2に穿孔された車体ボディ側係合孔7と、サイドドア3に穿孔されたサイドドア側係合孔8とに挿通されることにより、車体ボディ2およびサイドドア3に吊設されている。
【0018】
グロメット10は、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などの公知のゴムから一体成形されており、図2に示すように、グロメット本体11とハーネス規制部12とを一体的に備えている。
なお、グロメット10を形成する方法としては、特に制限されず、例えば、押出成形、射出成形、注型成形などの公知の成形方法が挙げられる。
【0019】
グロメット本体11は、例えば、埃や水などからハーネス5を保護するために設けられ、車体ボディ2の車体ボディ側係合孔7に係合される車体ボディ側係合筒部13と、サイドドア3のサイドドア側係合孔8に係合される可動部側係合筒部としてのドア側係合筒部14と、車体ボディ側係合筒部13とドア側係合筒部14との間を接続し、屈曲可能な蛇腹部15とが、一体的に形成されている。
【0020】
車体ボディ側係合筒部13は、車体ボディ2側にグロメット本体11を係合し、固定するために設けられており、ハーネス5を固定する固定筒部16と、その固定筒部16から拡径する第1テーパ部17とを備えている。
固定筒部16は、ハーネス5を密着状に被覆するため、内径がハーネス5の太さ(ハーネス5が複数の配線の束である場合には、その束を円筒形状とみなした場合における略直径、以下同様。)と略同一となるように、車体ボディ側係合筒部13の長手方向一方側(グロメット10を装着した車両1の前後方向における前側、以下同様。)に形成されている。
【0021】
第1テーパ部17は、その一方側(前側)端部が固定筒部16に連続するとともに、一方側(前側)から他方側(グロメット10を装着した車両1の前後方向における後側、以下同様。)に向かうに従って拡径する略円錐筒形状に形成されている。
このような第1テーパ部17は、その内側(径方向内側、以下同様。)においてハーネス5の動きを許容するため、内径がハーネス5の太さよりも大径となるように形成されている。
【0022】
また、第1テーパ部17の後端部には、車体ボディ係合溝25が形成されている。
車体ボディ係合溝25は、第1テーパ部17の外側(径方向外側、以下同様。)から内側に向けて、厚み方向途中まで窪む凹リング形状に、形成されている。車体ボディ係合溝25は、車体ボディ側係合筒部13を車体ボディ2に挿通したときに、車体ボディ2の車体ボディ側係合孔7に対して係合する。
【0023】
また、第1テーパ部17の後側端部には、蛇腹部15における小径部21(後述)の内径と略同一の内径となる接続筒部27が設けられている。
ドア側係合筒部14は、サイドドア3側にグロメット本体11を係合し、固定するために設けられており、ハーネス5の動きを許容する非固定部18と、その非固定部18から縮径する第2テーパ部19とを備えている。
【0024】
非固定部18は、その内側においてハーネス5の動きを許容するため、内径がハーネス5の太さよりも大径となる円筒形状をなし、ドア側係合筒部14の後側に形成されている。
また、非固定部18の前端部には、ドア係合溝26が形成されている。
ドア係合溝26は、非固定部18の外側から内側に向けて、厚み方向途中まで窪む凹リング形状に、形成されている。ドア係合溝26は、ドア側係合筒部14をサイドドア3に挿通したときに、サイドドア3のサイドドア側係合孔8に対して係合する。
【0025】
第2テーパ部19は、その後側端部が、非固定部18に連続するとともに、後側から前側に向かうに従って縮径する略円錐筒形状に形成されている。
このような第2テーパ部19は、その内側においてハーネス5の動きを許容するため、内径がハーネス5の太さよりも大径となるように形成されている。
蛇腹部15は、車体ボディ側係合筒部13およびドア側係合筒部14を屈曲可能に接続するように、蛇腹形状に形成されている。
【0026】
より具体的には、蛇腹部15は、所定の内径を有する複数(8つ)の大径部20と、大径部20より小さな内径を有する複数(7つ)の小径部21とが、傾斜接続部22を介して交互に連続するように形成されている。このような蛇腹部15は、その前側端部が接続筒部27の後側に連続し、後側端部が第2テーパ部19の前側に連続するように、車体ボディ側係合筒部13およびドア側係合筒部14の間で、それらに伸縮自在かつ屈曲自在に接続されている。
【0027】
また、蛇腹部15は、その内周面と間隔を隔てるようにハーネス5を被覆するとともに、内側においてハーネス5の動きを許容するため、その最小内径(すなわち、小径部21の内径)がハーネス5の太さよりも大径となるように、形成されている。
ハーネス規制部12は、蛇腹部15と非固定部18との間(第2テーパ部19における前側)に設けられ、ハーネス5の蛇腹部15の内周面に対する接触を抑制するために、グロメット本体11の内周面において、その内周面から蛇腹部15の最小内径(すなわち、小径部21の内径)よりも内方へ突出するように形成される。
【0028】
より具体的には、ハーネス規制部12は、内径がハーネス5の太さよりも大きく、蛇腹部15の最小内径(すなわち、小径部21の内径)よりも小さい筒状の肉厚部分として、設けられている。
このようなハーネス規制部12においては、その内径がハーネス5の太さよりも大径であることから、ハーネス5の動きが許容される一方、蛇腹部15の最小内径(すなわち、小径部21の内径)よりも小径であるため、グロメット10の内側において、ハーネス5の可動範囲が制限されている。
【0029】
そして、このようなグロメット10は、図1および図2に示すように、ハーネス5が挿通される。
ハーネス5が挿通されたグロメット10は、車体ボディ側係合筒部13が車体ボディ2の車体ボディ側係合孔7に係合され、ドア側係合筒部14がサイドドア3のサイドドア側係合孔8に係合されることにより、車体ボディ2とサイドドア3とにわたって接続され、それらに吊設されるとともに、ハーネス5を被覆および保護するように、車両1に装着される。
【0030】
なお、ハーネス5は、例えば、車体ボディ2に設けられる電源(例えば、バッテリー、アンプなど)と、サイドドア3に設けられる電気部品(例えば、スピーカーなど)とに接続される。
そして、従来の蛇腹付グロメットは、ハーネス規制部12を備えていないため、蛇腹付グロメットを車体ボディ2とサイドドア3との接続部分に設け、その内側にハーネス5を挿通させる場合には、車体ボディ2とサイドドア3との相対配置によって、蛇腹付グロメットの蛇腹部分が屈曲され、蛇腹付グロメットの内周面と、その蛇腹付グロメットに挿通されるハーネス5とが接触する場合がある。
【0031】
そのため、例えば、サイドドア3を開閉するなど、車体ボディ2に対してサイドドア3を繰り返し揺動する場合には、蛇腹付グロメットの内周面とハーネス5とが擦れるように摺動する。このような場合には、蛇腹付グロメットとハーネス5との摩擦によって蛇腹付グロメットが破損し、その結果、蛇腹付グロメット内部に埃や水などが入り込むという不具合がある。
【0032】
一方、上記したグロメット10では、グロメット本体11の内周面において、内周面から蛇腹部15の最小内径よりも内方へ突出するハーネス規制部12が形成されている。そのため、ハーネス5が蛇腹部15の内周面に対して接触することを抑制することができる。
すなわち、このようなグロメット10によれば、車体ボディ2に対してサイドドア3が繰り返し揺動されても、ハーネス5とグロメット10の内周面とが接触する前に、ハーネス5とハーネス規制部12とが接触し、これにより、グロメット本体11の内部におけるハーネス5の可動範囲が、制限される。
【0033】
そのため、このようなグロメット10では、ハーネス5とグロメット10との接触が抑制され、その結果、ハーネス5とグロメット10との摩擦によりグロメット10が破損することを、効果的に防止することができる。
また、このようなグロメット10では、非固定部18においてハーネス5の動きが許容されるため、車体ボディ2に対してサイドドア3を円滑に揺動させることができ、さらに、ハーネス規制部12が蛇腹部15と非固定部18との間に形成されているため、そのハーネス規制部12によってハーネス5の可動範囲を制限することができ、ハーネス5とグロメット10との摩擦によってグロメット10が破損することを、より一層、効果的に防止することができる。
【0034】
図3は、本発明のグロメットの他の実施形態(ハーネス規制部がグロメット本体の別体として形成され、グロメット本体に嵌合される形態)を示す要部断面図を示す要部断面図である。
なお、上記した各部に対応する部材については、以下の各図において同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0035】
上記した説明(図2参照)では、グロメット本体11とハーネス規制部12とを一体的に形成したが、図3に示すように、例えば、ハーネス規制部12をグロメット本体11の別体として形成することもできる。
図3において、グロメット本体11は、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などの公知のゴムなどから一体成形されている。
【0036】
そして、この実施形態では、グロメット本体11には、蛇腹部15と非固定部18との間において、嵌合凹部30が形成されている。
嵌合凹部30は、より具体的には、蛇腹部15と非固定部18との間(すなわち、第2テーパ部19)において、内側から外側に向かって窪む凹リング形状に形成されている。
また、この実施形態では、ハーネス規制部12は、グロメット本体11の別体として、リング形状に形成されている。
【0037】
このようなハーネス規制部12は、例えば、ポリプロピレン樹脂などの公知の硬質プラスチックなどから成形されており、規制筒部31と嵌合凸部32とを、一体的に備えている。
規制筒部31は、内径がハーネス5の太さよりも大きく、蛇腹部15の最小内径(すなわち、小径部21の内径)よりも小さい肉厚のリング形状に形成されている。
【0038】
嵌合凸部32は、規制筒部31よりも薄いリング形状に形成されており、規制筒部31の前端部において、径方向外側へ向かって突設されている。また、このような嵌合凸部32は、嵌合凹部30に対応する形状で形成され、嵌合凹部30に嵌合可能とされている。
そして、このようなハーネス規制部12は、その嵌合凸部32がグロメット本体11の嵌合凹部30に嵌合することにより、グロメット本体11に固定される。
【0039】
より具体的には、例えば、グロメット本体11のドア側係合筒部14を内側から外側へ向かって弾力変形させて、その内側にハーネス規制部12を挿通した後、嵌合凸部32と嵌合凹部30とが対向する位置において、弾力変形を解消すると、嵌合凸部32が嵌合凹部30に嵌合される。
このようにして、ハーネス規制部12が、グロメット本体11の内側に固定され、グロメット本体11の内周面において、その内周面から蛇腹部15の最小内径(すなわち、小径部21の内径)よりも内方へ突出するように配置される。
【0040】
このようなハーネス規制部12においても、規制筒部31の内径がハーネス5の太さよりも大径であることから、ハーネス5の動きが許容される一方、蛇腹部15の最小内径(すなわち、小径部21の内径)よりも小径であるため、グロメット10の内側において、ハーネス5の可動範囲が制限されている。
そのため、このようなグロメット10でも、ハーネス5とグロメット10との接触が抑制され、その結果、ハーネス5とグロメット10との摩擦によりグロメット10が破損することを、効果的に防止することができる。
【0041】
さらに、このようなグロメット10では、グロメット本体11とハーネス規制部12とが別体として形成されるため、グロメット本体11およびハーネス規制部12の性質(例えば、耐摩耗性など)を、それぞれ個別に設定することができる。
そのため、このようなグロメット10において、例えば、グロメット本体11よりも耐磨耗性の良好なハーネス規制部12を形成すれば、その結果、グロメット10の破損を長期にわたって防止することができながら、さらに、ハーネス規制部12の磨耗をも防止することもできる。
【0042】
図4は、本発明のグロメットの他の実施形態(ハーネス規制部がグロメット本体の別体として形成され、グロメット本体に埋設される形態)を示す要部断面図を示す要部断面図である。
上記した説明(図3参照)では、ハーネス規制部12をグロメット本体11の別体として形成するとともに、グロメット本体11に嵌合させたが、図4に示すように、例えば、ハーネス規制部12をグロメット本体11の別体として形成するとともに、そのハーネス規制部12をグロメット本体11に埋設することもできる。
【0043】
図4において、グロメット本体11は、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などの公知のゴムなどから一体成形されている。
そして、この実施形態では、グロメット本体11には、蛇腹部15と非固定部18との間において、埋設凹部33が形成されている。
埋設凹部33は、より具体的には、蛇腹部15と非固定部18との間(すなわち、第2テーパ部19)において、内側から外側に向かって窪む凹リング形状に形成されている。
【0044】
また、埋設凹部33は、その径方向外側端部において、前後方向両側にわずかに延出された係合凹部34を備えている。
また、この実施形態では、ハーネス規制部12は、グロメット本体11の別体として、リング形状に形成されている。
このようなハーネス規制部12は、例えば、ポリプロピレン樹脂などの公知の硬質プラスチックなどから一体成形されており、規制筒部35と埋設筒部36とを、一体的に備えている。
【0045】
規制筒部35は、内径がハーネス5の太さよりも大きく、蛇腹部15の最小内径(すなわち、小径部21の内径)よりも小さい肉厚のリング形状に形成されている。
埋設筒部36は、規制筒部35と略同一厚さのリング形状に形成されており、規制筒部35の径方向外側端部から連続して形成されている。
また、埋設筒部36は、その径方向外側端部において、係合フランジ部37を備えている。
【0046】
係合フランジ部37は、埋設筒部36の前後方向両側にわずかに突出するように、埋設筒部36の径方向外側端部から連続して形成されている。
また、このような埋設筒部36および係合フランジ部37は、埋設凹部33および係合凹部34に、それぞれ対応する形状で形成され、埋設凹部33および係合凹部34にそれぞれ埋設可能とされている。
【0047】
そして、このようなハーネス規制部12は、その係合フランジ部37が係合凹部34に係合するように、埋設筒部36が埋設凹部33に埋設されることにより、グロメット本体11に固定される。
ハーネス規制部12をグロメット本体11に埋設する方法としては、特に制限されず、例えば、2色成形法などにより、グロメット本体11を形成した後、連続してハーネス規制部12を形成すればよい。
【0048】
すなわち、2色成形法が採用される場合には、まず、埋設凹部33を備えるグロメット本体11を成形する。次いで、グロメット本体11の埋設凹部33を成形型の一部として、規制筒部35および埋設筒部36を備えるハーネス規制部12を成形する。
これにより、ハーネス規制部12が、グロメット本体11の内側に固定され、グロメット本体11の内周面において、その内周面から蛇腹部15の最小内径(すなわち、小径部21の内径)よりも内方へ突出するように配置される。
【0049】
このようなハーネス規制部12においても、規制筒部31の内径がハーネス5の太さよりも大径であることから、ハーネス5の動きが許容される一方、蛇腹部15の最小内径(すなわち、小径部21の内径)よりも小径であるため、グロメット10の内側において、ハーネス5の可動範囲が制限されている。
そのため、このようなグロメット10でも、ハーネス5とグロメット10との接触が抑制され、その結果、ハーネス5とグロメット10との摩擦によりグロメット10が破損することを、効果的に防止することができる。
【0050】
さらに、このようなグロメット10でも、グロメット本体11とハーネス規制部12とが別体として形成されるため、グロメット本体11およびハーネス規制部12の性質(例えば、耐摩耗性など)を、それぞれ個別に設定することができる。
そのため、このようなグロメット10において、例えば、グロメット本体11よりも耐磨耗性の良好なハーネス規制部12を形成すれば、その結果、グロメット10の破損を長期にわたって防止することができながら、さらに、ハーネス規制部12の磨耗をも防止することもできる。
【0051】
なお、上記した説明では、車体ボディ2に対して可動する可動部としてサイドドア3を挙げて説明したが、車体ボディ2に対して可動する可動部としては、特に制限されず、その他の開閉部材(例えば、ハッチバック(跳ね上げ)式で開閉されるバックドアなど)など、種々の可動部においても、上記と同様にして、グロメット10を用いることができる。
【0052】
また、上記した説明では、ハーネス規制部12を筒状の肉厚部分として形成したが、ハーネス規制部12の形状としては、特に制限されず、例えば、ハーネス規制部12を、蛇腹部15の最小内径(すなわち、小径部21の内径)よりも内側に向かって部分的に突出する少なくとも1つの突起などとして形成することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
2 車体ボディ
3 サイドドア
5 ハーネス
7 車体ボディ側係合孔
8 サイドドア側係合孔
10 グロメット
11 グロメット本体
12 ハーネス規制部
13 車体ボディ側係合筒部
14 ドア側係合筒部
15 蛇腹部
16 固定筒部
17 第1テーパ部
18 非固定部
19 第2テーパ部
20 大径部
21 小径部
22 傾斜接続部
25 車体ボディ係合溝
26 ドア係合溝
27 接続筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体ボディと前記車体ボディに対して可動する可動部との接続部分に設けられ、ハーネスが挿通されるグロメットであって、
車体ボディに係合される車体ボディ側係合筒部と、前記可動部に係合される可動部側係合筒部と、前記車体ボディ側係合筒部と前記可動部側係合筒部との間を接続し、屈曲可能な蛇腹部とが形成されているグロメット本体と、
前記ハーネスの前記蛇腹部の内周面に対する接触を抑制するために、前記グロメット本体の内周面において、前記内周面から前記蛇腹部の最小内径よりも内方へ突出するハーネス規制部と
を備えていることを特徴とする、グロメット。
【請求項2】
前記車体ボディ側係合筒部が、前記ハーネスを固定する固定筒部を備え、
前記可動部側係合筒部が、前記ハーネスの動きを許容する非固定部を備え、
前記ハーネス規制部が、前記蛇腹部と前記非固定部との間に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記グロメット本体が一体的に形成されており、
前記ハーネス規制部が、前記グロメット本体の別体として形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のグロメット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−131617(P2011−131617A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290167(P2009−290167)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】