説明

グロー放電源

【課題】グロー放電源の領域でのサンプルの冷却を改善すること。
【解決手段】冷却手段として、少なくとも1つのペルチエ素子(27)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アノードと、カソードと、サンプルを直接または間接に冷却するための手段とを具備する、特に、グロー放電により固体サンプルを分析するための、グロー放電源に関する。
【背景技術】
【0002】
グロー放電源は、取分け、質量分析計による分析のためのイオン源として知られている。グロー放電源では、サンプルの表面はプラズマによって除去されかつイオン化される。サンプルから由来するイオンは、イオン源から導き出され、質量分析計に供給される。
【0003】
固体サンプルはプラズマによって加熱される。サンプルの冷却は、溶解を防止するためには、好都合である。このことは、特に、薄いサンプルまたは層システムに当て嵌まる。実際また、一定のサンプル温度は、測定結果の正確性および再現性にとって好都合である。最後に、サンプル表面の除去(スパッター法)の安定が保証されていることが意図される。
【0004】
知られた手段では、サンプルの冷却が水によってなされる。この場合、追加なしでは、氷点に近い温度のみが達成されることができる。このことは、低い融点を有するサンプルにとって、例えばガリウム(Ga)にとって、多分不十分であろう。実際また、冷却のこの方法では、温度変化速度は低い。最後に、凝結を防止するために冷却後にサンプルを加熱することができることは好都合である。このことは、追加の技術的な措置を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によって、グロー放電源の領域でのサンプルの冷却を改善することが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わるグロー放電源は、冷却手段として少なくとも1つのペルチエ素子が設けられていることを特徴とする。電圧をペルチエ素子に印加する際に、一方の側が冷却され、他方、ペルチエ素子の反対側が加熱される。従って、熱は、一方の側から反対側へ伝達される。ペルチエ素子における電圧が反転されるとき、これに対応して、熱の流れが変化する。
【0007】
ペルチエ素子によって、迅速な温度変化が可能であり、0℃より下の比較的低い温度が達成されることができる。凝結を防止すべくサンプルを加熱するためには、電圧を反転しさえすればよい。
【0008】
本発明の他の思想では、ペルチエ素子が、グロー放電源のアノードとカソードの間に設けられている。この場合、2つの部分のうちの一方が冷却され、他方の部分が加熱される。ペルチエ素子が、絶縁体として形成されていることは好ましく、例えばセラミック製の面を有する。それ故に、アノードとカソードの間に良好な電気的絶縁が存する。
【0009】
本発明の他の思想では、ペルチエ素子が、カソードに接触しており、このカソードを冷却し、カソードがサンプルに接触していることが提案されている。ペルチエ素子はカソードの熱を取り、このカソードは、ペルチエ素子によって制御可能な平衡状態に至るまで、サンプルの熱を取る。更に、ペルチエ素子における電圧が反転されることによって、容易な方法で、サンプルの加熱が可能である。
本発明の他の思想では、アノードを冷却するための手段が設けられている。ペルチエ素子によって、カソードの熱エネルギがアノードに伝達される。アノードは、これに応じて、冷却されることができ、この目的のために、流体状の冷却媒体を貫流する複数の通路を有することは好ましい。冷却水または他の冷却液が好ましい。ガス冷却も可能である。アノードが接地電圧にあることは好ましい、それ故に、この領域での流体状の冷却媒体は問題ない。
【0010】
本発明の、ペルチエ素子の使用から独立して請求された思想では、グロー放電源のカソードは、大きな硬さならびに同時に良好な熱伝導性および導電性を有する材料から製造されている。これに関しては、通常用いられる特殊鋼は、特に良好な特性を有しない。機械的な硬さも重要である。何故ならば、サンプルはカソードに接触しており、カソードの硬さが不十分なときに、カソードの表面に引っかき傷をつけ、かくて、サンプルとカソードの間の電気的および熱的伝達従ってまた後の測定結果にも影響を与えることがあるからである。
【0011】
特に、カソードの材料は以下の特性(a),(b),8c)のうちの少なくとも1を有する。
【0012】
a)サンプルに向いた表面のビッカース硬度(HV)は少なくとも120である、
b)導電性は少なくとも14%のICASであり、ICAS値は、通常、銅(100%)の導電性に規格化されている、
c)熱伝導性は少なくとも80W/(mK)である。
【0013】
カソードの用いられた材料が、すべて、前記3つの特性を有することは好ましい。
【0014】
カソードが以下の特性を有する材料から製造されていることは好ましい。
【0015】
a)サンプルに向いた表面のビッカース硬度(HV)は少なくとも120、好ましくは少なくとも180、特に少なくとも210である、
b)導電性は少なくとも14%のICAS、好ましくは少なくとも20%のICAS、特に少なくとも30%のICASである、
c)熱伝導性は少なくとも80Wm−1−1、好ましくは少なくとも100Wm−1−1、特に少なくとも120Wm−1−1である。
【0016】
種々の特性の、示された変更の実施の形態を、任意に互いに組み合わせてもよい。当然ながら、前記すべての特性に関して最大値を有する材料が最善である。
【0017】
カソードが、以下の材料のうちの少なくとも1、特にまさしく1から製造されていることは好ましい。
【0018】
W75Cu25,WCu,CrZrCu,CoBeCu,WAg,W90NiCu,CuBe2,WNiCu,CuNiBe,CuCoNiBe,CuNiCrSi,CuCr,WCAg。
【0019】
少なくとも、複数の部分から組み立てられたカソードの場合、種々の材料を互いに組み合わせることができる。
【0020】
本発明の他の思想では、サンプルはピン状に形成されており、ピンの長さの一方の部分は、カソードに形成された対応のリセスに導電性をもって差し込まれており、ピンの長さの他方の部分は、アノードに接触することなく、アノードに形成された開口部に突入している。カソードは、この実施の形態では、ピンホルダまたはサンプルホルダとして機能する。ピン状のサンプルは、締付状態で、カソードに差し込まれている。この場合、カソードは複数構成で形成されており、環状の部分と、実質的にディスク状のまたはブロック状の部分とを有する。この環状の部分へはアノードが部分的に突入しており、後者の部分は、サンプルを収容すると同時に、カソードの環状部分を覆うために用いられる。
【0021】
ペルチエ素子の使用およびカソード用の特別な材料とから独立した、本発明の他の思想では、カソードのカバーが設けられており、サンプルは全体的に覆われており、カバーは、カソードに対し、環状の密閉縁部を有し、カバーとサンプルの間の空間は吸引可能であり、カバーは、この目的のために、吸引のための接続部を有する。グロー放電源内では、約1mb(0.1ないし10mb)の真空または圧力が存する。例えば、サンプルとカソードの間にある(非常に平らな)パッキングを用いて、サンプルをカソードに気密に設けることが、従来は通常である。このことは、カソードとサンプルの間の電気的および熱的伝達を難しくする。前記カバーの本発明に係わる解決策によって、サンプルとカソードの間の密閉が省略される。
【0022】
本発明の他の思想では、カソードは分割して形成されており、サンプル付近の部分は、サンプルおよびカバーと共に、カソードの、サンプルから離れた部分から取外し可能である。この措置は特に簡単なサンプル交換を可能にする。新たなサンプルは、グロー放電源の外側では、カソードの、サンプル付近の部分にロックされ、続いて、この部分と共に、カソードの、サンプルから離れた部分に装着されることができる。これに応じて、カソードの2つの部分の間には、真空用パッキングが設けられている。
【0023】
本発明の他の特徴は、その他の記述および請求項から読み取れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して好都合な実施の形態を詳述する。図はグリム光源(Grimmsche Quelle)のタイプのグロー放電源10を示す。アノード11およびカソード12は実質的に環状に形成されており、共通の中心軸13を有する。
【0025】
アノード11とカソード12の間には、ギャップ14が設けられている。このギャップは、実質的にディスク状の絶縁体15によって部分的に満たされている。この場合、ギャップ14は中心軸13に対し直交する方向に延びている。
【0026】
ギャップ14に向かい合って、カソード12には、サンプル16が、詳細には示さない手段によって保持されている。サンプル16とカソード12の間には、良好な電気的および熱的な伝達が保証されていることが意図される。
【0027】
中心軸13に沿って、サンプル16付近でのカソード降下区域18を有する自由空間が延びている。カソード12は、通常、アノード11よりも著しく大きい内径を有する。更に、アノード11のブシュ状の延長部19が、カソード12へおよびサンプル16の方向に延びている。
【0028】
ブシュ状の延長部19と、この延長部に対し外側のカソード12との間には、環状空間20が形成されている。この環状空間は、径方向に向いた空間21を介して、グロー放電区域すなわちカソード降下区域18と接続されている。この場合、径方向空間21は、軸方向で、一方ではサンプル16によって、他方では延長部19によって規定されている。この延長部は、サンプル16に向いた領域で、外側に向いた厚肥部22を有している。それ故に、環状空間20は、ギャップ14の付近の幅の広い部分23と、厚肥部22の高さにある幅の狭い部分24とに区分されている。
【0029】
実質的にブシュ状の絶縁体25が、カソード12の、環状の内側26に設けられている。この場合、この絶縁体25は、前記絶縁体15からサンプル16まで延びている。それ故に、カソード12は、アノード11に立つ観察者(そこにいるとすれば)にとっては隠されている。
【0030】
絶縁体15の領域で、アノード11とカソード12の間には、周方向に離間して、複数の、ここでは6つのペルチエ素子27が設けられている(図4を参照せよ)。これらのペルチエ素子は、上側と下側とが、アノード11とカソード12とに夫々接触しており、良好な熱伝達が保証されている。同時に、ペルチエ素子27は、電気的絶縁を保証するために、セラミック材料から製造されている。これらのペルチエ素子が夫々30ワットを有するペルチエ素子であることは好ましい。この場合、180ワットの全出力がグロー放電の出力よりも大きいか、その出力に等しいほうがよい。このようなペルチエ素子は、例えば、最大電流(Imax)3.9アンペア,最大電圧(Umax)16.4ボルト、最大冷却力(Pcmax)35.6ワット、最大温度差(δT):72℃を有する、テレメーター・エレクトローニック・ゲーエムベーハー社の高温素子PF-127-10-13(ケイ素で密閉されている)である。ペルチエ素子27の回りに設けられた部分の寸法は、ペルチエ素子27がギャップなしにまたは中間層を介してアノード11およびカソード12に接触しており、良好な熱伝達が存するような寸法である。
【0031】
ペルチエ素子27は、詳細に示さない方法で、電圧源に接続されており、直接にカソード12を従ってまた間接的にサンプル16を冷却する。同時に、アノード11が直接的に加熱される。ペルチエ素子における電圧の反転は可能である。このことによって、サンプル16は、例えば測定の実施の後に、加熱されることができる。その目的は、サンプルの領域での真空の終了後に、凝結の低下を防止するためである。
【0032】
アノード11は、複数の冷却手段を有する。この例では、アノード11は複数の冷却通路28を有する。これらの冷却通路は、特に周方向に延びており、流体状の冷却媒体を収容し、詳細に示さない方法で、外部の冷却装置に接続されていてもよい。
【0033】
アルゴンが、プロセスガスとして、グロー放電源10へ、ここでは、径方向に向いた少なくとも1つの通路29を通って流れる。この通路は、自由空間17に通じており、アノード11中で、(径方向面に位置している)冷却通路28と、ペルチエ素子27との間に延びている。
【0034】
これに応じて、カソード12は、径方向に向いた少なくとも1つの排出通路30を有する。この排出通路は、前記環状空間20に、即ち環状空間の幅の広い部分23に接続されており、この目的のために、絶縁体25を貫通している。
【0035】
プロセスガスは、自由空間17の領域でイオン化する。イオンは、サンプル16の表面から粒子を叩き出す。これらの粒子は、サンプル16から離れて、矢印31の方向に、自由空間17に沿って、図示しない質量分析計に送られる。
【0036】
カソード12は、特に硬くてかつ同時に導電性のおよび熱伝導性の材料から、好ましくは、75%のタングステン成分と、25%の銅成分を有するタングステン・銅合金により製造されている。
【0037】
作動中に、グロー放電区域18には、約0.1ないし10mbの圧力が支配的である。冷却をすることによって、サンプルを、0℃より著しく下の温度で、例えば、冷却水によって冷却されているアノードの温度より下の最大限70ケルビン(−203.15℃)の温度で分析することができる。
【0038】
図示しない制御回路によって、ペルチエ素子の、従ってまたサンプルの温度を一定に保つことができる。この関連で重要であるのは、ペルチエ素子の出力の、グロー放電源10に発生する熱出力への適合である。
【0039】
ペルチエ素子の設置は、例えばサンプルを直接に冷却するために、他の個所でなされることができる。
【0040】
この場合には、アノード11が接地電圧にあり、他方、カソード12およびサンプル16は電圧下にある。
【0041】
図2は他の実施の形態を示す。ここでは、サンプル16は、カバーすなわちハウジング32によって覆われている。このハウジングは、蓋状に形成されており、縁部で環状のパッキング33を有する。パッキングは、サンプル16から間隔をあけて、カソード12に接触している。ハウジング32は、ほぼ中央にかつサンプル16に向かい合って、真空用導管のための接続用短管34を有する。ハウジング32の内部空間35は大幅に真空にされ、好ましくは残留圧力を有する。この残留圧力は、ほぼ、グロー放電源10での圧力に対応し、あるいは、場合によっては幾らか高いことがある。サンプル用の複数の保持手段が設けられているが、図示されていない。
【0042】
ハウジング32の特別な利点は、サンプル16がカソード12に対し気密には設けられている必要がないことにある。カソード12とサンプル16の間の特別な密閉手段を、かくして設けなくてもよい。
【0043】
最後に、図3は他の実施の形態を示す。ここでは、同様にハウジング32が設けられている。しかし、図2に示された実施の形態に比較して,カソード12が2部分構成で形成されており、カソードの、サンプル付近の部分36(取外し可能な部分)と、サンプルから離れた部分37(固定部分)とを有する。サンプル付近の部分36が、サンプルから離れた部分37よりも小さい外径をもって形成されていることは好ましい。ハウジング32は、ここでは、サンプル付近の部分36を経てサンプルから離れた部分37まで延びている。環状のパッキング33は、特に、サンプルから離れた部分37に対しておよびサンプル付近の部分36に対しても密閉し、複数の部分すなわちハウジング32と、サンプル付近の部分36と、サンプルから離れた部分37との間で、隅に設けられている。
【0044】
サンプル16を除去するために、サンプル付近の部分36およびサンプル16と共にハウジング32を、これらの部分を除いたグロー放電源10から取り外すことができる。続いて、既に準備された新たなハウジングを、他のサンプルと共に用いることができる。複数の測定の順序を、かくして、著しく加速することができる。絶縁体25がカソード12の部分36,37にのみ差し込まれており、そこには、静止摩擦によって保持されていることは好ましい。通路30は、部分37内に延びている。案内管38が自由空間17に挿入されていることができる。このことは、グロー放電源10の複数の実施の形態でも同様である。
【0045】
図5は、アナライザを有するグロー放電源10の略斜視図を示す。アナライザのうち、ここでは、ハウジング壁部39のみが示されている。
【0046】
図6は、図1に示すグロー放電源の他の実施の形態を示す。実質的にディスク状のサンプルの代わりに、図6では、ピン状のサンプルすなわちピン41が示されている。このピンは、ホルダ43の、対応のリセス42に保持されている。この場合、ピン41は中心軸13に沿って延びており、ピンの長さ方向の一方の部分は、リセス42の内部にあり、ピンの長さ方向の他方の部分は、自由空間17、即ち延長部19内まで延びている。
【0047】
前記ホルダ43は、カソード12と同電位であり、この目的のために、部分的にカソード12に接触している。それ故に、ホルダ43はカソード12の構成部材である。ホルダ43は、少なくとも縁部側で、絶縁体46を有しないカソード12の部分に直接接触している。それ故に、良好な熱伝導性および導電性が保証されている。
【0048】
前記リセス42は、ホルダ43の、カソード12に接触している側の壁部44に形成されている。更に、比較的平坦なリセス45が、リセス42に実質的に共軸に、壁部44に形成されている。このリセス45中には、例えばセラミック製の絶縁体46が面一に位置しており、絶縁体の自由な外側47は、一方では、自由空間17、即ち環状空間20に向かい合っており、他方では、絶縁体25およびカソード12に接触している。絶縁体46を設ける目的は、ここでは、グロー放電源の内部に対してホルダ43を覆うためである。カソード電位と同じ電位となっているピン41のみが、自由空間17に突入している。
【0049】
延長部19の自由端48内には、ピン41が設けられているので、特別な形状を有する。自由端48は、錐形に延びている横断面領域と、開口部49の領域での最小の直径とを有する狭隘部を形成している。開口部49は、絶縁体46の付近にかつこの絶縁体から間隔をあけて設けられている。
【0050】
前記ピン41は、開口部49を通って、自由空間17に延びている。
【0051】
(ホルダ43を含む)カソードの材料が出来る限り良好な熱伝導性および導電性、同時に、出来る限り大きな表面硬さを有することが意図される。材料としては、タングステン・銅合金(WCu)または類似の性質を有する他の合金、例えば銅・クロム(CuCr)、タングステン・銀(WAg)、タングステン・炭素・銀(WCAg)が好ましい。60ないし90%の成分を含むタングステン・銅合金、特にW75Cu25が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係わるグロー放電源の第1の実施の形態の中心軸に沿った断面図である。
【図2】サンプルを覆うようにカバーが設けられている、図1に類似の実施の形態を示す。
【図3】カバーおよび分割して形成されたカソードとが設けられている、図2に類似の実施の形態を示す。
【図4】図1ないし3の線A−Bに沿った断面図である。
【図5】グロー放電源の斜視図である。
【図6】本発明に係わるグロー放電源の他の実施の形態の中心軸に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0053】
10 グロー放電源
11 アノード
12 カソード
13 中心軸
14 ギャップ
15 絶縁体
16 サンプル
17 自由空間
18 カソード低下区域、グロー放電区域
19 延長部
20 環状空間
21 径方向空間
22 厚肥部
23 幅の広い部分
24 幅の狭い部分
25 絶縁体
26 内側
27 ペルチエ素子
28 冷却通路
29 通路
30 排出通路
31 矢印
32 ハウジング、カバー
33 パッキング
34 接続用短管
35 内部空間
36 サンプル付近の部分
37 サンプルから離れた部分
38 案内管
39 ハウジング壁部
41 ピン
42 リセス
43 ホルダ
44 壁部
45 リセス
46 絶縁体
47 自由外側
48 自由端
49 開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード(11)と、カソード(12)と、サンプル(16)を直接または間接的に冷却するための冷却手段とを具備する、特に、グロー放電により固体サンプルを分析するための、グロー放電源において、
前記冷却手段として、少なくとも1つのペルチエ素子(27)が設けられていることを特徴とするグロー放電源。
【請求項2】
前記ペルチエ素子(27)は、前記アノード(11)と前記カソード(12)との間に設けられており、これら両者の一方を冷却し、他方を加熱することを特徴とする請求項1に記載のグロー放電源。
【請求項3】
前記ペルチエ素子(27)は、前記カソード(12)に接触しており、このカソードを冷却すること、および前記カソードは、前記サンプル(16)に接触していることを特徴とする請求項1または2に記載のグロー放電源。
【請求項4】
前記アノード(11)を冷却するための手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載のグロー放電源。
【請求項5】
前記アノード(11)は、流体状の冷却媒体を貫流する複数の通路(28)を有することを特徴とする請求項4に記載のグロー放電源。
【請求項6】
前記カソード(12)は、良好な導電性または熱伝導性を有する材料から製造されており、以下の特性(a),(b),(c)のうちの少なくとも1を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1に記載のグロー放電源。
a)前記サンプル(16)に向いた表面のビッカース硬度(HV)は少なくとも120である、
b)少なくとも14%のICASの導電性を有する、
c)少なくとも80Wm−1−1の熱伝導性を有する。
【請求項7】
前記カソード(12)は、以下の特性を有する1つまたは複数の材料から製造されていることを特徴とする請求項6に記載のグロー放電源。
a)前記サンプル(16)に向いた表面のビッカース硬度(HV)は少なくとも120、好ましくは少なくとも180、特に少なくとも210である、
b)少なくとも14%のICAS、好ましくは少なくとも20%のICAS、特に少なくとも30%のICASの導電性を有する、
c)少なくとも80Wm−1−1、好ましくは少なくとも100Wm−1−1、特に少なくとも120Wm−1−1の熱伝導性を有する。
【請求項8】
前記カソード(12)は、以下の材料のうちの少なくとも1種、特に1種のみから製造されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1に記載のグロー放電源。
W75Cu25,WCu,CrZrCu,CoBeCu,WAg,W90NiCu,CuBe2,WNiCu,CuNiBe,CuCoNiBe,CuNiCrSi,CuCr,WCAg。
【請求項9】
前記カソード(12)は、タングステン・銅合金からなることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1に記載のグロー放電源。
【請求項10】
前記カソード(12)のカバーを具備し、前記サンプル(16)が全体的に覆われており、前記カバーは、前記カソードに対し、環状の密閉縁部を有し、前記カバーと前記サンプルの間の空間は吸引可能であり、前記カバーは、この目的のために、吸引のための接続部を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1に記載のグロー放電源。
【請求項11】
前記カソード(12)は、分割して形成されており、前記サンプル付近の部分(36)は、前記サンプル(16)および前記カバーと共に、前記カソードの、前記サンプルから離れた部分(37)から取外し可能であることを特徴とする請求項10に記載のグロー放電源。
【請求項12】
前記サンプルは、ピン状に形成されており、ピンの長さ方向の一方の部分は、前記カソードに形成された対応のリセス(42)に導電性をもって差し込まれており、前記ピンの長さ方向の他方の部分(37)は、前記アノードに接触することなく、前記アノードに形成された開口部(49)に突入していることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1に記載のグロー放電源。
【請求項13】
アノード(11)と、カソード(12)と、好ましくは、サンプル(16)を直接または間接的に冷却するための手段とを具備する、特に、グロー放電により固体サンプルを分析するための、グロー放電源において、
前記カソード(12)は、良好な導電性または良好な熱伝導性を有する材料から製造されており、以下の特性(a),(b),(c)のうちの少なくとも一方を有することを特徴とするグロー放電源。
a)前記サンプル(16)に向いた表面のビッカース硬度(HV)は少なくとも120である、
b)少なくとも14%のICASの導電性を有する、
c)少なくとも80Wm−1−1の熱伝導性を有する。
【請求項14】
前記カソード(12)は、以下の特性を有する1つまたは複数の材料から製造されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
a)前記サンプル(16)に向いた表面のビッカース硬度(HV)は、少なくとも120、好ましくは少なくとも180、特に少なくとも210である、
b)少なくとも14%のICAS、好ましくは少なくとも20%のICASおよび特に少なくとも30%のICASの導電性を有する、
c)少なくとも80Wm−1−1、好ましくは少なくとも100Wm−1−1および特に少なくとも120Wm−1−1の熱伝導性を有する。
【請求項15】
前記カソード(12)は、以下の材料のうちの少なくとも1種、特に1種のみからから製造されていることを特徴とする請求項13または14に記載のグロー放電源。
W75Cu25,WCu,CrZrCu,CoBeCu,WAg,W90NiCu,CuBe2,WNiCu,CuNiBe,CuCoNiBe,CuNiCrSi,CuCr,WCAg。
【請求項16】
前記カソード(12)は、タングステン・銅合金からなることを特徴とする請求項13ないし15のいずれか1に記載のグロー放電源。
【請求項17】
前記サンプルは、ピン状に形成されており、ピンの長さ方向の一方の部分は、前記カソード(12)に形成された対応のリセス(42)に導電性をもって差し込まれており、前記ピンの長さ方向の他方の部分は、前記アノードに接触することなく、前記アノード(11)に形成された開口部(49)に延出していることを特徴とする請求項13ないし16のいずれか1に記載のグロー放電源。
【請求項18】
前記カソード(12)のカバーを具備し、前記サンプル(16)が全体的に覆われており、前記カバーは、前記カソードに対し、環状の密閉縁部を有し、前記カバーと前記サンプルの間の空間は吸引可能であり、前記カバーは、この目的のために、吸引のための続部を有することを特徴とする請求項13ないし17のいずれか1に記載のグロー放電源。
【請求項19】
前記カソード(12)は、分割して形成されており、前記サンプル付近の部分(36)は、前記サンプル(16)および前記カバーと共に、前記カソードの、前記サンプルから離れた部分(37)から取外し可能であることを特徴とする請求項18に記載のグロー放電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−210347(P2006−210347A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17855(P2006−17855)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(506029314)サーモ・エレクトロン・(ブレーメン)・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】