説明

ケイ素ナノロッドの合成

ケイ素ナノロッドを作製するための方法が提供される。この方法によれば、Auナノ結晶を液体媒体中でシランと反応させてナノロッドを生成し、前記ナノロッドのそれぞれは、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、約1nm〜約100nmの範囲内の長さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年4月16日に出願された米国特許第61/170,063号(Heitschら)、名称「Synthesis of Silicon Nanorods」の優先権を主張し、参照により本明細書に全内容が組み込まれる。
【0002】
本開示は、概してナノ粒子に関し、より具体的にはケイ素ナノロッドの溶液ベースの合成に関する。
【背景技術】
【0003】
多孔質ケイ素およびケイ素ナノ結晶(または量子ドット)は、当該技術分野において極めて興味を持たれてきた。これらの材料は、様々な用途において利用できる、効率的でサイズ調整可能な可視光発光を含む特異的な物理特性を示す。そのような用途には、Si系発光ダイオード(LED)における使用、集積回路の光集積化における使用、および生体画像化造影剤としての使用が含まれる。Siナノ結晶はまた、照射時の増加した光伝導性を示し、したがって次世代の低価格太陽電池に組み込むことができる。
【0004】
ナノロッドは、そのアスペクト比(幅に対する長さの比)により、他のナノ結晶から区別することができる。このように、定義により、ナノロッドは、1より大きく約100までの範囲のアスペクト比を有する。一方、ナノワイヤは、100以上のアスペクトを有し、したがって「無限に」長くてもよい。半導体ナノロッドは、ファセット表面を有してもよく、また円筒形または長円形の形状を有してもよい、異方性ナノ結晶である。
【0005】
半導体ナノ結晶の寸法がボーア励起子直径または電子もしくは正孔のド・ブロイ波長のオーダーである場合、ナノ結晶の光学的、電子的および物理的特性の多くは、それらの厚さおよび長さの両方に依存するサイズ依存的特性となる。一方、球状ナノ結晶およびナノワイヤの対応する光学的および電子的特性は、典型的には、単一の寸法(それらの直径)により決定される。
【0006】
ナノロッドの電子的特性および光学的特性の多くは、球状ナノ結晶とナノワイヤの当該特性の間の何処かに位置する。このように、例えば、図15は、単純なEMA−PIBモデルにより予測される、同一の半導体材料で構成される量子井戸QW、QR、およびQDにおける有効バンドギャップ(ΔES)のサイズ依存性についての勾配関係(図中、dは厚さまたは直径である)を示している。勾配比は、A井戸/Aワイヤ/Aドット=1:00:2.34:4.00と決定される。図に示されるように、ナノロッド領域は、球状ナノ結晶およびナノワイヤの領域に挟まれている。
【0007】
また、半導体ナノロッドは、その偏光を含む他の特性により、球状ナノ結晶およびナノワイヤから区別することができる。そのような偏光は、ナノロッドの長さおよび幅の両方に依存し得る。ナノロッドはまた、極めて偏光された光を放出することができ、大きな永久双極子モーメントを示し得る。また、ナノロッドは、その励起子微細構造および励起状態寿命等の、球状ナノ結晶とは根本的に異なる他の特性を示し得る。ナノロッドはまた、光学利得および自然放出を必要とするレーザにおける使用等のある特定の用途において、他の種類のナノ結晶よりも好適となり得る。
【0008】
ナノロッドはまた、ナノワイヤに比べて処理性に優れる。例えば、ナノロッドは、インクジェットデバイスで印刷することができるが、ナノワイヤは、典型的には長すぎてインクジェットプリンタのオリフィスに適合しない。ナノロッドは、コロイド分散液として生成され得るか、またはポリマーと混合されて良好な流動特性を示す組成物を形成することができ、一方ナノワイヤは、絡まり合って容易に流動しない。ナノロッドは球状ナノ結晶のように容易に分散させることができるが、球状ナノ結晶と比較して、特異的な光学的および電子的特性を示す。ナノロッドはまた、液晶と同様、濃縮された分散液中で配向することができ、好ましくはその長軸が配向する。この種の配向は、偏光発光を示す偏光フィルタまたは蛍光フィルムの生成に利用することができる。
【0009】
多くの異なる種類の半導体材料の単分散ナノ結晶は、溶液ベースの化学合成によって効果的に大量に得ることができる。例えば、アスペクト比が非常に高く、結晶学的欠陥が少ない結晶性ナノワイヤを生成するために使用することができる、気体−液体−固体(VLS)、溶液−液体−固体(SLS)、および超臨界流体−液体−固体(SFLS)プロセスが、当技術分野において開発されてきた。特に、これらのプロセスは全て、半導体ナノワイヤの成長を誘導する金属種粒子の使用に依存している。いくつかの場合において、合成はナノ結晶の形状を幾分調整可能とし、したがって得られる材料の特性に対するある程度の制御を提供する。
【0010】
しかし、ケイ素ナノ結晶の溶液ベースの合成は、ケイ素の比較的高い結晶化エネルギー障壁ならびにその複雑な反応および表面化学のために、非常に困難である。ケイ素ナノ結晶を作製するための既存の方法は、得られるナノ結晶の寸法に対する制御に限りがある。実際に、現在まで、コロイド状Siナノロッドは生成されていない。
【0011】
文献には、成長停止沈降法による溶液中のSiナノ結晶合成の例が数多くある。しかし、これらの方法のほとんどにおいて、Siの結晶化温度が比較的高く、反応が溶媒の沸点により制限されるため、低収率が課題となっている。また、溶液分散性の約5nm以下の量子サイズSiナノ結晶は、「2段階」合成経路、例えばプラズマ支援成長、ガスまたはレーザ熱分解、ケイ素埋め込み酸化物のエッチングによるナノ結晶の遊離、および多孔質Siの超音波処理と、それに続く溶媒中のナノ結晶捕捉(およびしばしば不動態化)等により得ることができる。これらの方法は、溶液分散性Si量子ドットへの効果的経路を提供するが、Siナノ結晶の形状を制御するための明確な方法は提供しない。
【0012】
これらの2段階法とは対照的に、溶液中での直接合成が、配位子支援成長、配向結合、およびナノ結晶種成長等のプロセスを介して多くの異なる半導体の大量のナノロッドおよびナノワイヤを得るための効果的な方法であることが証明されている。Siナノワイヤは、溶液−液体−固体(SLS)成長により溶液中、高沸点溶媒中で、および超臨界流体−液体−固体(SFLS)成長により高圧高温超臨界流体中で合成されている。これらのプロセスは両方とも、ナノワイヤ成長を促進するための種としての金属ナノ結晶の使用に依存している。気体−液体−固体(VLS)法により成長させたSiナノワイヤが単一ワイヤFETに統合され、量子サイズSiナノワイヤの光学的および電子的特性が特性決定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上述のように、現在まで、Siナノロッドは溶液ベースの合成プロセスにより作製されていない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様において、本明細書では、ケイ素ナノロッドを作製するための方法が提供される。この方法によれば、ナノロッドは、Auナノ結晶を液体媒体中で、好ましくは、第1級アミンであるのが好ましい配位性配位子の存在下で、シランと反応させることにより形成される。ナノロッドのそれぞれは、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、約1nm〜約100nmの範囲内の長さを有する。
【0015】
別の態様において、ケイ素ナノロッドを作製するための方法が、本明細書で提供される。この方法は、(a)Siを、第1の液体媒体中に入れたAuナノ結晶と混合することにより、第1の混合物を形成するステップと、(b)第1級アミン(好ましくはドデシルアミン)と、トリオクチルアミン、スクアランおよびオクタコサンからなる群から選択される少なくとも1種の材料とを含む第2の混合物を、340℃を超える温度に加熱するステップと、(c)第1の混合物を第2の混合物に添加するステップとを含む。
【0016】
さらなる態様において、複数のケイ素ナノロッドを含む組成物であって、前記複数のナノロッドのそれぞれは、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、約1nm〜100nmの範囲内の長さを有する組成物が、本明細書で提供される。
【0017】
さらに別の態様において、所望の長さのナノ構造(例えばナノロッドまたはナノワイヤ)を作製するための方法が、本明細書で提供される。この方法は、(a)ナノ構造の所望の長さを決定するステップと、(b)液体媒体中で種材料(例えばAuナノ結晶)を前駆体(例えばシランまたはゲルマン)と反応させてナノ構造を生成するステップとを含む。種材料に対する前駆体のモル比は、所望のナノ構造長を達成するように選択される。ナノ構造のそれぞれは、好ましくは、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有する。
【0018】
別の態様において、所望の長さのケイ素ナノロッドを作製するための方法が、本明細書で提供される。この方法は、(a)ケイ素ナノロッドの所望の長さを決定するステップと、(b)Auナノ結晶を液体媒体中でシランと反応させてナノロッドを生成するステップとを含む。Auナノ結晶に対するシランのモル比は、所望のナノロッド長を達成するように選択され、ナノロッドのそれぞれは、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、約1nm〜約100nmの範囲内の長さを有する。
【0019】
さらに別の態様において、ナノ構造、特にナノロッドおよびナノワイヤを形成するための方法が提供される。この方法は、(a)第IV族金属有機金属前駆体と金属ナノ結晶との液体媒体中の混合物を、前駆体が分解してナノ構造が金属ナノ結晶から成長する温度で加熱するステップと、(b)液体媒体を急冷するステップと、(c)ナノ構造をエッチングに供して、ナノ構造から金属ナノ結晶の材料を除去するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1A〜1Bは、SiナノロッドのTEM画像である。
【図2】図2A〜2Fは、様々な長さおよびアスペクト比のSiナノロッドのTEM画像である。
【図3】本明細書に教示される方法に従い合成されたAu種成長SiナノロッドのXRDのグラフである。
【図4】本明細書における教示に従って作製されたSiナノロッドの一連のTEM画像である。
【図5】本明細書における教示に従って作製されたSiナノロッドのXPSデータである。
【図6】本明細書における教示に従って作製されたSiナノロッドのATR−FTIRスペクトルである。
【図7】様々な液体媒体中に入れたAuナノ結晶が関与する試行された反応の生成物の一連のTEM画像である。
【図8】王水溶液でAuをエッチングした後のSiナノロッドのTEM画像であり、挿入図は、先端に結合したAu種を有さないSiナノロッドを示す。
【図9】Auナノ結晶種が先端に位置するSiナノロッドのクロロホルム分散液のUV−可視吸収スペクトルである。
【図10】トリオクチルアミン(上)およびオクタコサン(下)中で合成されたAu種成長SiナノロッドのXRDのグラフである。
【図11】図11Aは、クロロホルム中のSiナノロッド分散液のデジタル写真である。図11Bは、図11BカーボンTEMグリッドに滴下した分散液のTEM画像である。
【図12】図12Aは、調製直後の直径2nmのAu種ナノ結晶のTEM画像である。図12Bは、ベンゼンに溶解した調製直後の2nmAuナノ結晶を、380℃のスクアラン中に注入することにより生成された、融合したAuを示す画像である。図12Cは、ドデシルアミンに溶解した調製直後の2nmAu種ナノ結晶を、トリオクチルアミン中に注入した後の、凝集したAuナノ結晶を示す画像である。図12Dは、ドデシルアミンに溶解してトリシランと混合した、事前に合成された2nmAuナノ結晶を、トリオクチルアミン中に注入した後の、過剰の遊離Auナノ結晶のHRTEM画像である。
【図13】ドデシルアミンに溶解したAuをトリシランと混合し、還流下のトリオクチルホスフィン中に注入した、Siナノロッド実験の生成物のTEM画像である。
【図14】初期反応物質中のSi:Auモル比に対する、平均Siナノロッドアスペクト比のグラフである。
【図15】単純なEMA−PIBモデルにより予測される、同一の半導体材料で構成される量子井戸QW、QR、およびQDにおける有効バンドギャップ(ΔES)のサイズ依存性の勾配関係(図中、dは厚さまたは直径である)を示すグラフである。
【図16】Auエッチング前のSiナノロッドのTEM画像であり、挿入図は、クロロホルム中に分散したSiナノロッド(1mg/mL)のバイアルの写真である。
【図17】図17A〜Kは、24時間王水/クロロホルムエマルジョンに暴露した後の、熱的にクエンチしたSiナノロッドのTEM画像である。図17Aは、Au先端の95%超を除去したSiナノロッドのTEM画像であり、挿入図は、Auエッチング後にクロロホルム/水界面に分配したSiナノロッドの写真である。図17B〜Iは、ほとんどのナノロッドの先端部の中空Siシェルの拡大画像である。図17Jは、エッチング後のいくつかのナノロッドの高角度散乱暗視野(HAADF)走査TEM画像である。図17Kは、エッチングしたSiナノロッドの高分解能TEM画像である。ナノロッドは、ダイヤモンド立方晶ケイ素の(111)d間隔に対応する、3.1Åの格子面間隔を有する結晶である。円形の輪郭は、エッチング前のAu種の場所を示している。
【図18】図18A〜Bは、王水/クロロホルムエマルジョンに対する24時間の暴露前(黒線)および暴露後(青線)の、熱的にクエンチしたSiナノロッドのXPSデータである。Au4fおよびSi2pピーク強度は両方とも、99.3eVのSiOピーク強度に正規化されている。
【図19】王水/クロロホルムエマルジョンに対する24時間の暴露後のSiナノロッドのTEM画像である。
【図20】エッチング前のSiナノロッドの先端におけるAu種のHRTEM画像である。矢印は、シェルの場所を示している。
【図21A】Au:Si二元状態図(Lは液体Au:Si相を表す)である。反応温度(Trxn=420℃)では、Au:Siは20.5%の溶解Siを含有する。点線は、熱クエンチに関連した非平衡冷却および相分離を示す。
【図21B】Au種エッチングプロセスの図解である。反応物の共融温度未満までの熱クエンチは5秒で行われ、一方徐冷は、同じ温度まで低下させるのに45秒要する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、溶液−液体−固体(SLS)成長停止プロセスによる結晶性ナノロッドの溶液ベースの合成を提供する本明細書に記載の方法により、ケイ素ナノロッドを含む半導体ナノロッドを生成できることが判明した。この方法の好ましい実施形態において、好適な前駆体(これは、ケイ素ナノロッドの合成においては、好ましくはシランであり、より好ましくはトリシラン(Si)である)を、種結晶(好ましくはコロイド状金ナノ結晶)および配位性配位子(好ましくは第1級アミン、より好ましくはドデシルアミン)の存在下で、好ましくは375℃を超える温度に加熱された高沸点溶媒(これは、好ましくはトリオクチルアミン、スクアラン、またはオクタコサンを含む)中で分解させる。適正な条件下では、前駆体が分解してナノロッドを形成する。したがって、例えば、ケイ素ナノロッドの合成において(理論に束縛されることを望まない)、シランが分解して元素状Siを形成し、種結晶がSiのナノロッドへの結晶化を誘導し、配位性配位子が種結晶およびSiナノロッドの立体安定化を提供する。
【0022】
また、このプロセスを使用して、所望の長さおよび直径のナノ構造、特にナノロッドおよびナノワイヤを優先的に生成できることが判明した。特に、種結晶のサイズは、ナノ構造直径を操作するための反応パラメータとして使用することができ、一方、種材料と前駆体の比(例えば、金ナノ結晶およびケイ素前駆体が使用される場合は、Au:Si比)は、ナノ構造長を操作するための反応パラメータとして使用することができることが判明した。
【0023】
さらに、熱クエンチを使用して、前述の方法に従って作製されたナノロッドの後続のエッチングプロセスにおける種結晶材料の除去を向上させることができることが判明した。実際に、この方法は、様々な種類のプロセスに従って作製された様々な組成物のナノ結晶(ナノロッドおよびナノワイヤを含む)から、金属種材料を除去するために使用することができる。
【0024】
したがって、上述のように、気体−液体−固体(VLS)、溶液−液体−固体(SLS)、および超臨界流体−液体−固体(SFLS)プロセスは、半導体ナノワイヤの成長を誘導するための金属種粒子の使用に依存している。これらの手法は、アスペクト比が非常に高く、結晶学的欠陥が少ない結晶性ナノワイヤを提供する。しかし、金属種は、ナノワイヤの端部に結合したままであり、これは、特に、ケイ素(Si)ナノワイヤの最も一般的な種金属である金(Au)が使用される場合に問題となり得る。Auは、Si内への深いトラップ準位を形成し、これが、トランジスタ、光学検出器、および光起電力技術等の電子および光電子デバイスの性能を著しく低下させ得る。Auはまた、Au種を用いて成長させたSiナノワイヤ、Auで装飾されたCdSeナノロッド、およびAuが注入されたSiナノ結晶薄膜において観察されるように、発光を消光させ得る。したがって、これらのプロセスにより成長したナノワイヤからAu先端を除去することが望ましい。
【0025】
しかし、様々な因子に起因して、Siナノワイヤおよびナノロッドの先端からの金属種の化学的除去は、非常に困難である。第1に、エッチングは、Auに対して選択的でなければならず、ナノ構造を損傷または分解してはならない。しかし、周知である金の不活性に起因して、最も一般的なAu腐食溶液は極めて酸化性であり、したがってその使用はナノ構造への損傷をもたらし得る。例えば、三ヨウ化物(I:I:I)水溶液を用いてGeナノワイヤからのAu種エッチングを行う場合、三ヨウ化物はAuを除去するが、ナノワイヤも著しく分解する。
【0026】
第2に、Auエッチングは試料全体にわたり不均一となり得るため、金種材料の一部は試料の一部から除去されず、試料の他の部分はオーバーエッチングされることになる。エッチングの選択性に依存して、そのようなオーバーエッチングはナノ構造を損傷し得る。この問題は、ナノ構造が合成後にどのように改変されるかに依存して親水性から疎水性に及ぶ範囲を取りうるナノ構造表面の濡れ性により、さらに深刻化し得る。結果的に、長期間のエッチング後であっても、金種材料は、ナノ構造の一部からは完全に除去されない可能性がある。
【0027】
ここで、ナノワイヤおよびナノロッドを含むナノ構造の溶液ベースの合成が、各Au種を包囲してAu種に対する化学腐食液の到達を妨げるナノ構造材料のシェルの形成をもたらし得ることが判明した。このシェルの存在、および金属種除去に対するその重要性は、これまで当技術分野において認識されていなかった。さらに、上述のように、種成長ナノ結晶を含有する加熱溶液を急激な熱クエンチに供することにより、このシェルが、その下に存在する種材料のエッチングを可能とするのに充分に分解され得ることが判明した。理論に束縛されることを望まないが、急激な熱クエンチは、おそらくはAuおよびSiの線膨張率の間の著しい差に起因する界面歪みの結果、シェルを破壊し、これによりカプセル化された種材料を腐食液に露出させると考えられる。
【0028】
ケイ素ナノロッドを合成するために、この方法を本明細書に開示されるAu種成長プロセスと併せて実践することは、このプロセスにより均一に分散したコロイドとしてナノロッドが形成され得るため、有利である。したがって、急激な熱クエンチに続いて、王水または別の好適な腐食液を用いてAu種材料を除去することができる。このエッチングプロセス中、コロイドの均一に分散した性質が、均一なエッチングを確実にする。一方、不均一に分散したナノ構造の処理は、不均一または不完全なエッチングをもたらし得る。さらに、Siナノロッドのコロイド分散液のAuエッチングの有効性は、透過型電子顕微鏡法(TEM)を用いて高度の統計的精度で容易に決定することができ、したがってTEMは効率的および効果的なエッチング手順の開発を可能とし、エッチングプロセスの監視のための効果的なツールを提供する。
【0029】
本明細書に開示される方法および組成物、ならびに様々な分析技術によるこれらの組成物およびその属性の特性決定を、後述の具体的な制限されない実施例に関連して例示する。
【0030】
材料
本明細書に記載の実施例においては、以下の材料を使用した。
【0031】
オクタコサン(99%)、スクアラン(99%)、トリオクチルホスフィン(90%)、無水ベンゼン(99.8%)、ドデシルアミン(98%)、ドデセン(≧99.0%)、トリドデシルアミン(85%)、ドデカンチオール(≧98%)、金テトラクロロ金酸塩三水和物(99.9+%)、水素化ホウ素ナトリウム(98+%)、トルエン(99.8%)、ドデカンチオール(≧98%)、メタノール(99.9%)、クロロホルム(99.9%)、トリオクチルアンモニウムブロミド(TOAB、98%)、無水トルエン(99.8%)、無水エタノール(≧99.5%変性)、ペンテンで安定化された無水クロロホルム(99%)、およびベンチトップクロロホルム(ACSグレード)は、Sigma−Aldrich社(St.Louis、MO)から購入した。トリオクチルアミン(>99.0%)およびドデセン(>98%)は、Fluka Analytical社(St.Louis、MO)から購入した。硝酸(99.9%)および塩酸(99.9%)は、Fisher Scientific社(Waltham、Mass)から購入した。トリシラン(99.99%)はVoltaix,LLC(North Branch、NJ)から購入したが、これは高い蒸気圧を有する自然発火性の液体であるため、慎重に使用すべきである。スクアラン以外の化学薬品は全て、供給されたものをそのまま使用したが、スクアランは、減圧下(400mTorr)での3回の凍結−脱気−解凍サイクルによりさらに精製した。18.2MΩ−cm抵抗Barnstead E−pureユニットで濾過した3回蒸留脱イオン水(DI−HO)を、全ての水性調製物に使用した。
【0032】
試料調製および特性決定
示されている場合には、以下の手順を使用して、続く実施例において作製された試料を調製および特性決定した。
【0033】
透過型電子顕微鏡(TEM)試料は、Siナノロッドを含有する希釈クロロホルムまたはトルエン溶液5μLを、200メッシュのカーボン膜銅TEMグリッド(Electron Microscopy Sciences社製)上に滴下することにより調製した。低分解能TEM画像は、加速電圧80kVのPhillips EM208 TEM、およびAMT Advantage HR 1 MBデジタルカメラでデジタル処理により得た。動作電圧200kVのJEOL 2010F高分解能TEMを使用して、Siナノロッドの格子縞を観察した。
【0034】
石英基板上の乾燥SiナノロッドのX線回折(XRD)は、Bruker−Nonius D8 Advance回折装置で得た。走査速度12.0°/分、0.02(2θ°)刻みでの10〜90の2θ°走査を、12時間連続して平均化した。
【0035】
XPS(X線光電子分光法)は、除電器および180°半球型電子エネルギー分析器を備えるKratos光電子分光計で行った。XPS用に、30nmのTiで被覆されたSi基板上に試料を滴下し、拡散ポンプで2日間10−7Torr未満の圧力下で脱気した。後処理中のナノロッドの空気への暴露は、3分未満に最小限化した。XPSデータは、Au4f7/2およびAu4f5/2ピーク位置に対して内部標準化した。
【0036】
Siナノロッドのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトル(400〜4000cm−1)は、減衰全内部反射(ATR)ステージを備えるThermo Mattson Infinity Gold FTIRを使用して得た。
【実施例】
【0037】
実施例1
本実施例は、本明細書に記載の方法における使用に好適なAu種ナノ結晶を調製するための方法の、1つの具体的な制限されない実施形態を示す。
【0038】
Alivisatos,A.P. Science 1996年、第271巻、933〜937ページに記載の方法の改変版に従い、直径2nmのドデカンチオール被覆Auナノ結晶の試料を合成した。修正された方法に準じ、125mLエルレンマイヤーフラスコ内で、トリオクチルアンモニウムブロミド(TOAB)2.188g(4mmol)をトルエン80mLに溶解した。別個のエルレンマイヤーフラスコ内で、テトラクロロ金酸塩三水和物305.8mg(0.77mmol)をDI−HO30mLに溶解した。TOAB溶液を撹拌プレート上に置き、3/4インチ(1.9cm)円柱形TEFLON(登録商標)PTFE撹拌子をエルレンマイヤーフラスコに入れた。溶液を600RPMの速度で適度に撹拌した。
【0039】
テトラクロロ金酸塩水溶液を有機TOAB溶液と混合すると、エマルジョンが形成された。1時間後、混合物を250mL分液漏斗に注ぐと、水相および有機相が1分以内に分離した。有機層を清浄な125mLエルレンマイヤーフラスコ内に回収した。水層を廃棄した。塩化金イオンを含有するトルエン溶液を再び撹拌プレート上に置いて適度に撹拌し、その後ドデカンチオール0.201mL(0.84mmol)を塩化金溶液に注入し、5分間撹拌した。
【0040】
50mLエルレンマイヤーフラスコ内で、水素化ホウ素ナトリウム378.0mg(10mmol)を脱イオンHO25mLに溶解し、得られた溶液を塩化金溶液に徐々に添加した。溶液は速やかに暗赤色/紫色/黒色に変化したが、これは2nmAuナノ結晶の形成を示す。この混合物を3時間撹拌し、次いで250mL分液漏斗に注ぐと、有機相および水相が分離した。水相を廃棄し、Auナノ結晶溶液を、清浄化のために3〜50mL遠心分離管内に回収した。任意の大きなナノ結晶またはキャッピングされていないナノ結晶の懸濁液を除去するために、調製直後のAuナノ結晶溶液をまず8000RPM(8228gRCF)で5分間、室温で遠心分離した。典型的には、このステップ中、ナノ結晶は回収されなかった。次いで、遠心分離管のそれぞれにメタノール20mLを添加し、溶液を10000RPM(12857gRCF)で5分間、10℃で遠心分離した。溶液からAuナノ結晶が沈殿し、これを遠心分離管の側壁上のペレットとして回収した。上澄みを廃棄した。
【0041】
Auナノ結晶をクロロホルム5mL中に再分散させ、1本の遠心分離管内に回収した。次いで、メタノール10mLを添加し、溶液を再び10000RPMで5分間、10℃で遠心分離した。無色半透明の上澄みを廃棄した。Auナノ結晶をクロロホルム1mL中に再分散させ、ガラスバイアルに移した。この特定の調製法により、直径2nmのAuナノ結晶約150mgが合成される。ロータリーエバポレータを使用してAuナノ結晶からクロロホルムを蒸発させた。典型的には、ドデシルアミン(または別の溶媒)中に分散したAuナノ結晶300mgを含有する原液を調製し、ケイ素(Si)ナノロッド実験までグローブボックス内にN下で保存した。
【0042】
実施例2
本実施例は、本明細書における教示に従いケイ素ナノロッドを合成するための方法の、1つの具体的で制限されない実施形態を示す。
【0043】
ケイ素ナノロッドの合成の準備において、合成に使用される全てのシュレンクラインガラス器具を、標準的な水酸化カリウム−イソプロピルアルコール系浴中で清浄化し、続いて硝酸で洗浄してから、脱イオンHOで濯ぎ、次いで圧縮空気で乾燥させた。ガラス器具を、標準的なグリースレスシュレンクラインを収容するMBraun Unilabグローブボックス(<0.1ppmO)内に移した。そのような注意は、トリシラン(自然発火性の液体)の安全な使用を確保し、また酸素または他の汚染物質が合成に影響を与えるのを防止するために必要であった。
【0044】
方法の典型的な実施において、ガラス撹拌子および高沸点溶媒(例えば、オクタコサン(沸点430℃)、スクアラン(沸点420℃)、トリオクチルアミン(沸点380℃)、またはトリオクチルホスフィン(沸点380℃))8mLを、凝縮器およびストップコック弁を備えた50mL四つ口フラスコに入れた。封止した槽をシュレンク連結管に取り付け、合成中いかなる時もグローブボックス雰囲気から隔離したままとした。反応温度は、120ワット(Star Energy Co.製)Variacおよびアルミニウム熱電対(k型、Omega Engineering Inc.(Stamford、CT)より提供)と組み合わせたOmega CN76000自動調整フィードバック温度制御器で制御した。高沸点溶媒を110℃に加熱して、適度に撹拌(600RPM)しながら真空下で30分脱気した。脱気後、反応層をNでパージし、動的な気流下(1psig)に維持しながら、反応条件および溶媒に依存して溶媒を360℃〜430℃の間に加熱した。
【0045】
反応溶液は、グローブボックス内で調製した。109mg/mL、54mg/mL、または36mg/mLの濃度でドデシルアミンに分散したAuナノ結晶の原液を合成に使用したが、ドデカンチオール、トリドデシルアミン、無水ベンゼン、またはドデセンに分散したAuナノ結晶の原液もまた本合成において試した。3mLガラスバイアル内で、トリシラン0.125mL(1.0mmol)、Auナノ結晶原液0.275mL、およびAuナノ結晶を分散させるのに使用した溶媒0.05mLを混合して、反応溶液を形成した。Auナノ結晶原液の濃度を変更し、トリシランおよびAuナノ結晶原液の体積量を、それぞれ0.125mLおよび0.275mLで一定に維持することにより、Si:Au比を変化させた。
【0046】
混合したら、6インチ(15.24cm)針(20.5G)を備えた使い捨てシリンジに反応溶液0.4mLを吸引した。注入する直前に、ストップコック弁を閉じて反応層を隔離し、Nブランケットを形成した。次いで、注入前に針の先端が溶媒中に完全に浸漬するのを確認しながら、速やかにセプタムを通して反応溶液を高温溶媒中に注入した。注入後すぐに加熱マントルを取り外し、ストップコック弁を再び開けて、連続的にNを流入させながら、溶液を室温まで冷却した。
【0047】
Siナノロッドが雰囲気に暴露されるのを防止するために、グローブボックス内で反応溶液を50mL遠心分離管に回収して封止してから、精製を開始した。典型的には、遠心分離はグローブボックスの外で行ったが、生成物を速やかにグローブボックス内に戻してから蓋の封止を解き、沈殿した生成物を回収した。封止を解いた時にはグローブボックス内のOレベルは0.1ppmを超えることはなかったが、これは遠心分離中に遠心分離管のヘッドスペース内へ空気が入り込まなかったことを示していることに留意されたい。
【0048】
溶媒としてオクタコサンを使用した場合には、溶媒の固化を防止するために、溶液が60℃に冷却された際に無水トルエン10mLをフラスコに注入した。この溶液を50mL遠心分離管に移し、8000rpm(8228gRCF)および若干高い温度(約35℃)で1分間遠心分離した。遠心分離後、褐色/黒色沈殿物が遠心分離管の側面に残留した。上澄みを廃棄した。沈殿物を無水トルエン5mLに再分散させ、35℃に加熱し、再び8000rpmで1分間遠心分離した。再び上澄みを廃棄した。
【0049】
溶媒としてスクアラン、トリオクチルアミン、またはトリオクチルホスフィンを使用した場合には、無水トルエン5mLのみを添加して生成物を回収した。さらに、生成物は、35℃で1分間とは対照的に、10℃で5分間遠心分離した。
【0050】
最初の分離プロセスの後、Siナノロッド生成物を全く同じ様式で清浄化した。Siナノロッドを無水トルエン3mLに再分散させた。次いで、無水エタノール3mLを添加し、溶液を10000rpm(12857gRCF)および10℃で5分間遠心分離した。上澄みが清澄な無色透明となるまでこのプロセスを2回繰り返した。最後に、Siナノロッドを無水クロロホルム3mLに再分散させ、さらなる使用までN下で保存した。典型的な合成では、トリシランの約8%の変換で10mgのSiナノロッドが得られた。
【0051】
図9は、Auナノ結晶種が先端に位置するSiナノロッドのクロロホルム分散液のUV−可視吸収スペクトルを示す。参考として、クロロホルム中の2nmナノ結晶種も、Siナノロッドと同じグラフ上にプロットされている。グラフに見られるように、スペクトルは、Au種の吸収が主であり、530nmに表面プラズモン共鳴が観察される。
【0052】
実施例2に記載のプロセスにおいては、Siはトリシランの熱分解により生成される。理論に束縛されることを望まないが、反応温度がAu:Si共融温度である363℃を超えるため、分解反応により生成されたSi原子はAuナノ結晶に溶解してAu:Si溶融物を形成し、Au種中のSi濃度が液相組成を超えると、固体Siが核生成してSiナノロッドを形成すると考えられる。SLS成長プロセスのさらなる議論は、Heitsch,A.T.;Fanfair,D.D.;Tuan,H.Y.;Korgel,B.A. JACS 2008年、第130巻、5436頁〜+ならびにWang,F.D.;Dong,A.G.;Sun,J.W.およびTang,R.;Yu,H.;Buhro,W.E. Inorg.Chem.2006年、第45巻、7511〜7521頁に見出すことができ、これらは両方とも、参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる。
【0053】
また、理論に束縛されることを望まないが、好ましくは第1級アミンである配位性配位子が、AuおよびSi表面の両方に結合して凝集に対する立体障害を提供することにより、このSLSプロセスにより形成するナノロッドを安定化すると考えられる。ナノロッド直径はAu種直径にほぼ一致しており、これは、種結晶サイズの適切な選択を利用して、得られるナノロッドの直径を操作することができることを実証している。また、ナノロッド長は、反応チャンバのSi:Auモル比を調整することにより調節され得ることが判明した。したがって、例えば、反応チャンバ内のAuに対するSiの量を増加させることにより、より長いナノロッドを成長させることができる。本明細書に開示される方法のこの特徴は、後述の実施例8および9においてより詳細に検討されている。
【0054】
実施例3
本実施例は、本明細書に開示される方法に従って作製されたナノ構造(この場合Siナノロッド)の先端から種材料(この場合Au)を除去するための方法(この場合王水マイクロエマルジョンの使用を含む)の、1つの具体的な制限されない実施形態を例示する。
【0055】
本プロセスの典型的な実施において、Siナノロッド3mgをTEFLON(登録商標)ビーカー内のクロロホルム10mLに添加した。次いで、王水(HNO1部:HCl3部)10mLをSiナノロッド分散液に添加し、より高密度のクロロホルムに富む相と王水層との二相性混合物を形成した。ナノロッドの大部分は、溶媒/溶媒界面に分配された。混合物を急速撹拌(約500rpm)することによりエマルジョンを生成させ、王水マトリックス内にクロロホルムポケットを形成させた。混合物を3時間撹拌してから、エマルジョンを分離させた。次いで王水層を抽出して廃棄した。単離されたクロロホルム層を20mLの一定分量のDI−HOで3回洗浄し、残留イオンを除去した。水性廃液を廃棄した。
【0056】
マイクロエマルジョンエッチング法は、Siナノロッド投入量に敏感であったことに留意されたい。Siナノロッド3mgを、クロロホルムおよび王水共に20mLを含有する二相性混合物と合わせると、最適な結果が得られた。ナノロッドの投入量を増加させると生成物回収の妨げとなった永久的なエマルジョンが得られた。
【0057】
実施例4
本実施例は、本明細書に開示される方法に従って作製されたナノ構造(この場合Siナノロッド)の先端から種材料(この場合Au)を除去するための方法(この場合王水マイクロエマルジョンの使用を含む)の、さらなる具体的な制限されない実施形態を例示している。
【0058】
実施例2に記載の種類のSLS成長停止プロセスにより、Siナノロッドを合成した。このプロセスに従い、ドデカンチオールでキャップされたAuナノ結晶およびドデシルアミンの存在下、420℃のスクアラン中でトリシランを分解した。1:40という比較的高いAu:Siモル比で反応を行った。本反応において、ドデシルアミンは、Au種およびSiナノロッドの凝集を防止するためのキャッピング配位子として使用される。
【0059】
このプロセスにより形成されたナノロッドは、30nmの平均長さおよび7nmの直径を有し、また各ナノロッドの先端にちょうど1個のAu種を有していた。Au種は、Siと比較してはるかに暗いそのコントラストにより、TEM画像において明瞭に観察された(例えば図16を参照)。ナノロッドは、クロロホルム中に容易に分散する。分散液の外観は主に暗褐色であり、Au種の特徴である紫の色合いを帯びていた(図16中の挿入図の写真を参照)。
【0060】
Siナノロッドの先端からAu種をエッチングする最初の試みは、総じて不成功であった。すなわち、Siナノロッド反応混合物を室温まで徐冷しても、後続の王水エッチングによりAu先端の約15%しか除去されなかった。理論に束縛されることを望まないが、この結果は、各Au種を被覆して腐食液がAuコアに到達するのを妨げる、Siの薄いシェルの存在に起因するものと考えられる。この存在を知っていれば、非常に慎重なTEMによる画像化により、シェルを観察することができる。しかし、そうでなければ、シェルは厚さがわずか5〜8Åであり、Au表面をコンフォーマルかつ均一に被覆しているため、認識するのは困難である。
【0061】
反応の最後に室温の無水トルエン3mLを成長溶液5mLに注入する、反応混合物の急激な熱クエンチによりナノロッドを調製することで、Au先端を確実および完全にエッチングすることができることが判明した。反応温度は、トルエン添加後5秒未満で、420℃から共融温度(363℃)未満まで低下する。この温度変化は、単に反応物を加熱マントルから取り外した場合に同じ温度範囲をカバーするのに典型的に必要となる48秒の冷却時間より、はるかに速い。
【0062】
クエンチプロセスは、Siシェルに欠陥を形成し、この欠陥は、腐食液がシェルを貫通してAu種材料を除去するためのアクセスを提供すると思われる。このように、図8は、王水エッチング溶液でAuをエッチングした後の、熱的にクエンチしたSiナノロッドのTEM画像である(挿入図は、先端に結合したAu種を有さないSiナノロッドを示す)。示された試料においては、この方法により約90%のAu種先端の除去が得られた。図17は、Au先端がほぼ95%除去された、熱的にクエンチしたSiナノロッドのTEM画像を示す。各ナノロッドの先端には残留シェルが存在する。
【0063】
最も効果的な腐食溶液は、王水(1:3;69%HNO3:37%HCl)15mLおよびクロロホルム15mLの混合物であることが判明した。Siナノロッド3mgをクロロホルム相に分散させ、エマルジョンを室温で24時間撹拌した。クロロホルム分散ナノロッドおよびAu腐食水溶液(王水)の二相性混合物は、疎水性ナノロッドを分散させるために必要であった。三ヨウ化物およびシアン化物塩もまた腐食液として評価したが、王水が最も効果的であることが判明した。
【0064】
エマルジョンの急速撹拌が重要と思われるが、これはおそらく、この撹拌が有機相と水相との間の界面接触を増加させ、エッチングプロセスを促進するためである。最初の混合開始後5分以内に、ナノロッドは水相/有機相界面に分配され、反応期間を通してそこに留まる。
【0065】
実施例5
本実施例は、種材料の除去に対するエッチング時間の効果を示す。
【0066】
実施例4において形成されたエマルジョンの5つの1mL一定量を、エッチング開始後1.5時間、3時間、6時間、12時間および24時間に採取した。これらの一定量をTEMにより画像化し、Auエッチングの程度を決定した。最初の1.5時間では、王水がキャッピング配位子を剥離し、ナノロッド表面を若干酸化したことが観察された。3時間後では、Au先端の10%が除去された。エッチングの有効性は、エッチング時間の増加とともに増加した。このように、6時間、12時間、および24時間のエッチング後に、それぞれAu先端の約50%、80%、および95%が除去された。
【0067】
図17Aの挿入図は、Auエッチング反応開始後24時間での二相混合物の画像を示す。エッチングプロセスのこの時点では、種の95%が除去された。ナノロッド分散液の色は、24時間の反応にわたり暗褐色/紫色から徐々に淡褐色に変化し、その後は一定のままであった。紫の色合い(Au種の特徴)の喪失は、Auが確かにナノロッドから除去されていることを裏付けている。淡褐色は、Siナノ構造の予測される色である。
【0068】
エッチング後、ナノロッド生成物を、それぞれ10mLのクロロホルムおよび脱イオン水で3回洗浄した。次いで生成物を有機相/水相界面から回収し、乾燥させ、再分散させてからTEMにより調べた。エッチング後に単離されたSiナノロッドは、アルコール等の極性溶媒に分散性であった。
【0069】
エッチング手順の間、王水はAu種の周囲のSiシェルもまた酸化し、シェルの完全性に影響することなく熱クエンチの間に形成された欠陥を貫通して、内側および外側の両方からSiシェルを酸化する。ナノロッド表面全体はエッチングプロセス中若干酸化されるが、ナノロッドはその結晶性を維持し、エッチング前とほぼ同じ直径を有する。図17Kは、エッチング後の結晶性Siナノロッドの代表例を示すが、格子縞は、ダイヤモンド立方晶Siにおける(111)面間のd間隔に対応し、3.1Åの間隔を有する。
【0070】
実施例6
本実施例は、種材料エッチングの結果としてのナノロッド表面化学の変化を示す。
【0071】
実施例5の試料におけるAuエッチング中のナノロッド表面化学の変化を、X線光電子分光法(XPS)により評価した。エッチング前のナノロッドのXPS(図18を参照)は、Si2p領域での99.3eVにおける支配的なSiピーク、および表面結合アミンと関連した101.7eVにおけるより低い強度の追加的なピークを示す。24時間ナノロッドをエッチングした後では、XPSは、SiOに特徴的な103.3eVにおける強いピークを示した。エッチング後、表面酸化物層の形成と一致して、O1sピーク強度もまた著しく増加する(図示せず)。それにもかかわらず、99.3eVにおいてSiピークが依然として存在するが、これは、エッチングプロセス中、ナノロッドが完全には酸化していないことを裏付けている。
【0072】
また、24時間のエッチング後では、XPSデータにおいてAu4f5/2および4f7/2ピークの消失が見られるが、これはAuの大部分が除去されたことを裏付けている。XPSデータは、エッチングプロセス後では無極性溶媒から極性溶媒へのナノロッド分散性の変化が観察されることにも一致している。
【0073】
実施例7
本実施例は、種材料エッチングの結果としてのナノロッドの表面化学の変化を示す。
【0074】
実施例4を繰り返したが、Au種材料のエッチングを促進するための熱クエンチは用いなかった。代わりに、ナノロッドの合成が完了した後に反応槽を加熱マントルから取り外し、周囲温度まで冷却した。次いで実施例4に記載のようにナノロッドをエッチングに供して種材料を除去した。
【0075】
王水への48時間の暴露後であっても、徐冷Siナノロッドの先端からはAu種はほとんど除去されないことが判明した。試料のTEM(図19を参照)は、図17におけるほぼ完全にAuが除去されたナノロッドを得るために使用されたのと同じ王水混合物にこれらのナノロッドを暴露したにもかかわらず、Au種が依然として存在することを明確に示している。
【0076】
Auがナノロッド先端からエッチングされなかったことのさらなる証拠として、腐食液への暴露後も、分散液はその暗褐色/紫色の色合いを維持していた。図19に示されるように、王水混合物への暴露中、シリカシェル(厚さ1.8nm)がAu種の周囲に形成する。Siシェルは均一に酸化し、エッチング混合物によるAuのエッチングを妨げる。熱的にクエンチしたSiナノロッドと同様、徐冷ナノロッドも、エッチング溶液への暴露後は、アルコール等の極性溶媒に分散性であった。
【0077】
Au種成長Siナノロッドから先端を除去することができないことは、1段階エッチングプロセスを使用して同様に完全なAu除去を達成できなかった過去の報告と一致している。Ferralis,N.;Maboudian,R.;Carraro,C.、J.Am.Chem.Soc.2008年、第130巻、2681〜2685頁を参照されたい。熱クエンチおよびエッチングに供されなかったAu種粒子の高倍TEM画像の一例を示す図20に見られるように、Au種粒子は、薄い低コントラストのSiシェルで被覆されている。そのため、種粒子の周囲のSiシェルは、ナノロッドの先端からAuを除去する前に検出することが非常に困難である。これは、VLS成長ナノワイヤの種粒子周囲のそのようなシェルのいかなる明確な報告すらないことの、考えられ得る理由であると思われる。
【0078】
Au種粒子が除去された後は、シェルは明瞭に観察される。そのようなシェルの形成は、全てのVLS、SLS、およびSFLS成長Siナノワイヤに共通していると考えられ、したがってその存在は、金属種粒子除去のための戦略を考案する上で考慮されるべきである。急激な熱クエンチはシェルの完全性を妨害するのみであり、それを完全に除去するものではないため、本明細書に開示される方法によって、シェルの存在がAu除去後に検証され得るようになる。
【0079】
図21は、熱クエンチプロセスを要約したものであり、クエンチプロセスがいかにしてSiシェルに影響し、Auエッチングを可能とするかを示している。クエンチプロセスがいかにしてシェルの亀裂をもたらすかの動力学はまだ完全に理解されていないが、Siシェルは、ナノロッド相の先端部のAu−Si溶融物が冷却中に分離する際に発生すると思われる。反応混合物が徐冷される場合、Au種粒子の周囲にコンフォーマルなSiシェルが形成する。温度が急激にクエンチされる場合、シェルの完全性が妨害される。
【0080】
AuおよびSiの線膨張率の間にはほぼ1桁の差異があるため(材料の膨張率は、それぞれ14.2×10−6−1および2.6×10−6−1である)、固化後、Au−Si界面に著しい歪みが予測される。急冷は、図21に示されるように、界面歪みを増幅し、シェル中の欠陥密度を増加させると思われる。シェルの存在自体は冷却速度により影響を受けないと思われるが、シェルは顕著により欠陥を有するようになり、Au腐食液により貫通される(図21Bを参照)。反応後徐冷されたナノロッドは、均一に酸化するシェルを有し、したがって腐食液がAu種まで貫通するのを妨げる。
【0081】
実施例8
本実施例は、実施例2に記載の一般的方法に従い生成されたナノロッドのTEM分析、およびこれらの材料の寸法の特性決定を示す。
【0082】
Siナノロッドの試料は、実施例2に記載の方法の変法を使用して得られ、トリシラン(Si)およびドデシルアミン中の直径2nmの(ドデカンチオール安定化)金ナノ結晶の混合物を、380℃の未加工のトリオクチルアミンに添加した。反応に使用されたSi:Auモル比は、40:1であった。次いで、試料をTEM分析に供したが、その結果を図1Aおよび1Bに示す。
【0083】
図1Aは、試料中の75個のナノロッドのTEM分析により決定されたナノロッド直径のヒストグラムを示す。平均直径は5.4±0.9nmである。Au種および円柱形Siナノロッドの輪郭が図1Bに示されている。平均ナノロッド直径は5.4±0.9nmであり、アスペクト比は1.5〜3.0の範囲である。
【0084】
実施例9
本実施例は、本明細書に開示される方法に従う、様々な寸法およびアスペクト比のケイ素ナノロッドの生成を例示する。
【0085】
実施例2による議論において示されるように、ケイ素ナノロッドの長さは、本明細書に記載の方法において、反応チャンバのSi:Auモル比を変更することにより調節することができ、例えば、反応チャンバ内のAuに対するSiの量を増加させることによって、より長いナノロッドを成長させることができる。図2A〜2Fは、この手法を使用して生成された、直径10nmおよび様々な長さのSiナノロッドのTEM画像である。ナノロッドは、(A)2.3、(B)1.6、(C)3.4、(D)3.1、(E)4.8、および(F)6.8のアスペクト比を有する。ナノロッドは、実施例2の一般的方法を使用し、Si:Auモル比を(A〜B)20:1、(C〜D)40:1、または(E〜F)60:1として、還流下のスクアラン(420℃;A、C、E)またはオクタコサン(430℃;B、D、F)中で生成した。トリシランおよびドデシルアミン中のAuナノ結晶を還流下のスクアランに添加すると、平均直径が7nmのSiナノロッドが生成され、一方、溶媒として還流下のオクタコサンを使用した反応では、直径9nmのSiナノロッドが生成された。
【0086】
この手法を使用して、5nmという短さのナノロッド、および少なくとも75nmの長さのナノロッドを作製した。Siナノロッド直径は、スクアランまたはオクタコサン等の非配位性溶媒中でより高温で合成を行うことにより、5nm超まで増加させることができることが判明した。
【0087】
実施例9が示すように、本明細書の教示に従い、反応混合物中のSi:Auモル比を制御することにより(溶媒および反応温度の選択を考慮する)、またはAuナノ結晶に対するシランのモル比を制御することにより、任意の所望の長さのケイ素ナノロッドを作製することができる。ナノロッドの直径は、Au種結晶の寸法を制御することにより制御可能であるため、この手法は、ナノロッドの長さおよび直径の両方に対する制御を可能にする。
【0088】
前述の方法は、金ナノ結晶の存在下(および任意選択で配位性配位子の存在下)でのシラン前駆体の熱分解によるケイ素ナノロッドの合成に限定されないが、これは方法の好ましい実施形態であることが、当業者には認識される。より一般的には、この手法は、様々な組成を有する様々な種類のナノ構造の合成に使用して、それらのナノ構造における所望の寸法を達成することができる。したがって、種材料に対する有機金属前駆体の比、および/またはある特定の寸法の種粒子の選択を使用して、特定の長さおよび直径を有し、また典型的には少なくとも部分的に前駆体(複数可)の選択により決定される化学組成を有するナノ構造、特にナノロッドまたはナノワイヤを達成することができる。好ましくは、有機金属前駆体は、種材料(シラン前駆体の場合は、好ましくはAuナノ結晶を含む)の存在下で反応し、Si、Geまたはこれらの合金等の半導体材料のナノロッドを形成する。
【0089】
実施例10
本実施例は、本明細書に開示される方法に従い生成されたナノロッドのXRDおよびTEMによる特性決定を示す。
【0090】
420℃のスクアランに添加されたAuナノ結晶およびトリシランのドデシルアミン中の反応混合物を利用した、実施例2の方法の変法を使用して、ケイ素ナノロッドの試料を生成した。
【0091】
試料に対してXRD分析を行った。結果を図3に示す。パターンは、ダイヤモンド立方晶Si(PDF#027−1402、a=b=c=5.43088Å)およびAu(PDF#01−071−4073、a=b=c=4.07894Å;*を付したピーク)の組合せを示している。比較として、図10は、オクタコサンおよびトリオクチルアミンを溶媒として使用して合成されたAu種成長SiナノロッドのXRDである。
【0092】
また、試料をTEM分析に供した。図4は、その分析から得られた、Siナノロッドの一連のTEM画像である。図4A〜Dは、Siナノロッドの高分解能TEM画像である。図4E〜Gは、ねじれを有するSiナノロッドを示し、図4Eにおけるナノロッドは双晶欠陥を示す。図4F〜Gは、屈曲しているが単結晶であり、いかなる明確な結晶欠陥も示していないSiナノロッドを示す。
【0093】
XRD分析(図3)およびTEM分析(図4)は、ナノロッドが結晶性(ダイヤモンド立方晶)Siであることを裏付けていた。試料中には大量のAuが存在するため、XRDデータではAuに対応する回折ピークも現れている。いくつかの反応から、XRDデータにおけるAu回折ピークは比較的狭かったが、これは、これらの反応中にある程度Auの集塊化が生じたことを示している。これらの試料は、典型的にはより広い直径分布のSiナノロッドと関連していた。時折、生成物の後処理中に、より大きな直径のAu集塊またはSiナノロッドのさらなる分離が必要であった。SiナノロッドのHRTEM画像は、他の全てのXLS(X=V、S、またはSF)成長に関して観察されているように、結晶性SiがAuと密接していることを示し、これはナノロッドが確かにAuナノ結晶を種としていることを示している。
【0094】
ナノロッドは主に<111>方向に成長した(図4B〜C)が、<110>成長方向を有する、または、いくつかの場合においては、いかなる明確な格子方向にも対応しない成長方向を有する顕著な数のナノロッドも観察された(図4Aおよび4D)。<110>成長方向を有するナノロッドは、一般に、3未満のアスペクト比を有していた。ナノロッドの大部分は直線形であった(図4A〜D)が、ナノロッドの一部はねじれていた。これらのねじれたナノロッドの大半には結晶学的欠陥は観察されず(図4F〜G)、ねじれは必ずしも双晶形成の結果ではないことを示唆している。ねじれは、成長不足に続く追加的な生長期間の結果である可能性がある。図4Fは、最初に[−111]方向に成長してから[111]成長方向に変化した、ねじれたSiナノロッドを示す。図4Gは、[110]方向から[111]成長方向に変化したSiナノロッドを示す。図4Eに示されるように、いくつかのねじれたナノロッドには双晶欠陥も観察されたが、双晶に関連したねじれは、典型的には、双晶に関連しないねじれと比較してより突発的であった。
【0095】
より短い「どんぐり」型ナノロッドの成長方向およびAu/Si界面は、より高いアスペクト比のナノロッドのものほど明確ではなかった。Siナノロッドの表面は明瞭であり、著しい表面層または酸化物はHRTEMにより観察されなかった。
【0096】
実施例11
本実施例は、本明細書に開示される方法に従い生成されたナノロッドの表面化学の、X線光電子分光法(XPS)および減衰全内部反射フーリエ変換赤外(ATR−FTIR)分光法による特性決定を示す。
【0097】
420℃のスクアランに添加されたAuナノ結晶およびトリシランのドデシルアミン中の反応混合物を利用した、実施例2の方法の変法を使用してケイ素ナノロッドの試料を生成した。試料を、Si2pとN1s結合エネルギーの範囲内でXPS分析に供した。試料は、3分を超えて周囲雰囲気に暴露することはなかった。Si2p領域をSi(99.3eV、赤)、Si−N(101.7eV、青)、およびSi4+(103.3eV、緑)に対応するモデルにフィッティングすることにより、最小限の酸化が生じたこと、およびSi−N結合が幅広いピークの大半を占めることが示された。N1s領域のピークは、Si(397.4eV、青)に適合した。
【0098】
0価Siに対応する99.3eVの強いピークが、Si2+、Si3+、およびSi4+種に対応するより高い結合エネルギー(101.3eV〜103.3eV)での弱い肩を伴って現れた。酸化Si種は、Si、SiC、SiO、または他の亜酸化物を含む、可能性のある多くの表面組成に対応し得る。
【0099】
XPSデータは、N1s領域での397.2eVの結合エネルギーにおけるピークにより、試料中に窒素が存在することを示した。この結合エネルギーは、バルクSi(397.4eV)のN1s結合エネルギーよりも若干低いが、これは、Nが、バルクSi中よりも若干陽電性の環境にあるために、各N原子がαまたはβ−Siにおける3個未満のSi原子と結合していることを示唆している。アミンによるSi−N結合は、有機単分子層被覆平面Si表面上で観察されており、トリオクチルアミンの存在下で成長した金属触媒Siナノ結晶の表面上に生じることが提案されている。したがって、Si2p領域での高エネルギーの肩は、Siナノロッドの表面に対するアミンによるSi−N結合に対応すると考えられる。試料にArを10秒間スパッタリングしてもXPSデータは変化しなかったが、これは、ナノロッドが試料全体にわたり連続的かつ均質な表面特性を有することを示唆している。
【0100】
また、ナノロッドの試料をATR−FTIR分光分析に供した。図6は、図5におけるXPSにより検査されたSiナノロッドのATR−FTIRスペクトルを示す。図に見られるように、2840〜2975cm−1の逆対称および対称CH/CH伸縮振動、1390〜1370cm−1のメチル対称横揺れ振動、および1480〜1440cm−1のメチル逆対称横揺れ/CHはさみ振動を含む、アルキル炭化水素の伸縮振動が現れている。N−H変形振動(1650〜1580cm−1)もまた観察され、これはナノロッド表面上にドデシルアミンが存在していることを示している。3000cm−1を超える波数でのN−H伸縮振動は観察されず(この結果は、この伸縮振動に関連したより大きな雑音および弱い吸収に起因すると考えられる)、Si−N結合による振動モードは、1200〜750cm−1の比較的広く特徴のない吸収ピークで隠されていると思われる。
【0101】
1200〜750cm−1の波数にわたる幅広い吸収特性は、1000cm−1未満の波数における指紋領域のほとんどを占めており、Si−O−SiもしくはSi−O−C(1100〜1000cm−1)、第1級もしくは第2級アミンによるC−N伸縮振動(1020〜1190cm−1)、Si−アルキル伸縮振動(1175〜1250cm−1)、またはSi−N−Si逆対称伸縮振動(約900cm−1)を含む、多くの異なる種に帰属することができる。この波数範囲におけるスペクトル特性は、典型的にはケイ素酸化物に帰属されるが、XPSは著しい表面酸化を示さなかった。さらに、吸収ピークはケイ素酸化物が占める波数領域よりも広い波数範囲にわたっており、これは、他の表面種が寄与していることを示唆している。
【0102】
ATR−FTIRスペクトルでは、ケイ素水素化物もまた観察された。例えば、Si−H(2090cm−1)およびSi−H(2150cm−1)伸縮振動の両方が現れており、これは、ナノロッドが部分的に水素化物で終端しており、全てのSi表面原子がドデシルアミンに結合しているわけではないことを示唆している。Siナノロッド表面に吸着した可能性のあるトリシラン分解反応中に発生した水素の濃度は高い。XPSと一致して、全体的なATR−FTIRスペクトルは、ドデシルアミンが、部分的に水素化物により終端したSiナノロッド表面に結合することを示している。
【0103】
実施例11に記載の実験的証拠は、ドデシルアミンがSiナノロッド表面と結合することを示唆している。このように、SiナノロッドのTEM画像は明瞭な表面を示しているが観察され得る酸化物は示さず、XPSデータはSi2pおよびN1s領域においてSi−N結合を示し、ATR−FTIRデータはアルキル炭化水素およびN−H振動を示している。理論に束縛されることを望まないが、アミンは、ナノロッドおよび種ナノ結晶の集塊化を防止するキャッピング配位子として作用することにより、合成において重要な役割を果たしていると考えられる。
【0104】
ドデシルアミンは、ナノロッドを被覆し、有機溶媒への分散性を促進する。この効果は、クロロホルム中のSiナノロッド分散液(1.5mg/mL)のデジタル写真である図11Aに見ることができる。分散液の色は褐色である。図11Bは、カーボンTEMグリッドに滴下した分散液のTEM画像である。ドデシルアミンは、反応媒体中でのAuナノ結晶の融合を軽減すると考えられ、これは小径Siナノロッドの成長に重要である。ここで、アミンはAuナノ結晶用の知られたキャッピング配位子であり、ナノロッドの成長に使用される高温においても、立体安定化を提供すると思われることに留意されたい。この事実は、図12A〜Dに関連して認識することができる。
【0105】
図12Aは、本明細書に記載のSiナノロッド合成のいくつかにおいて使用される、調製直後の直径2nmのAu種ナノ結晶のTEM画像である。図12Bは、ベンゼンに溶解した調製直後の2nmAuナノ結晶を、380℃のスクアラン中に注入することにより生成された、融合したAuを示す。図12Cは、ドデシルアミンに溶解した調製直後の2nmAu種ナノ結晶を、380℃のトリオクチルアミン中に注入した後の、凝集した直径5〜6nmのAuナノ結晶を示す。図12Dは、ドデシルアミンに溶解してトリシランと混合した、事前に合成された2nmAuナノ結晶を、380℃のトリオクチルアミン中に注入した後の、過剰の遊離Auナノ結晶のHRTEM画像である。
【0106】
図12A〜Dから、ドデシルアミンまたはベンゼンに溶解した直径2nmのAuナノ結晶種を高温スクアラン(トリシランを含まない)中に注入すると、ドデシルアミン中のAuナノ結晶は直径4〜6nmのAuナノ結晶を生成し、一方ベンゼンに溶解したナノ結晶は、融合して大きな多結晶Au集塊となったことが認識される。全ての集塊化が防止されたわけではなく、Siナノロッドの先端上のAu種は平均して直径4nm〜6nmの間であり、これは、ナノロッド成長の初期段階において、Auナノ結晶がある程度凝集することを示唆している。これらの観察に基づき、約8個〜27個の2nmAu種が融合して4〜6nmAuナノ結晶を生成するに違いないと思われる。特に、ケイ素ナノロッドは、ドデシルアミンの添加なしにこの方法によって生成することはできなかった。
【0107】
本合成において、ドデシルアミンを他のキャッピング配位子で置換すると、Siナノロッドの生成に悪影響を及ぼすことが判明した。このように、図7は、トリシランと混合する前に、40:1のSi:Au比でAuナノ粒子を(A)無水ベンゼン、(B)ドデカンチオール、(C)ドデセン、または(D)トリドデシルアミンに溶解し、還流下のオクタコサン中に注入することによる、430℃のオクタコサン中で試行した反応の生成物の一連のTEM画像である。
【0108】
無水ベンゼンを使用すると、ナノワイヤ形態のSiが生成されたが、長さおよび直径は制御不能であった。さらに、生成物の著しい凝集が見られた。ドデカンチオールを添加して行った反応は、Siナノロッドを全く生成しなかった。ドデセンの添加は、はるかに大きな直径を有する多分散Siナノロッドをもたらした。トリドデシルアミンは、不明瞭なSiナノワイヤまたは生成物の大きな塊のみをもたらした。
【0109】
代替の配位性溶媒としてトリオクチルホスフィンを試験した。Auナノ結晶をドデシルアミンに溶解し、トリシランと混合し、還流下のトリオクチルホスフィン(沸点380℃)に注入すると、ナノロッドは得られなかった。このように、図13は、ドデシルアミンに溶解したAuをトリシランと混合し、還流下の380℃のトリオクチルホスフィン中に注入した、Siナノロッド実験の生成物のTEM画像である。図に見られるように、この手法はナノロッドを生成しなかった。
【0110】
アミンは、トリシランの分解を妨げないと思われる。しかし、トリシランのSiナノロッドへの変換率は、比較的低い(約10%)。実験データと、系内に導入されるSiおよびAu原子の理論的物質収支との比較によって、トリシランの低い変換率が示される。このように、図14は、初期反応物質のSi:Auモル比に対する、平均Siナノロッドアスペクト比のグラフである。また、反応物質の100%変換を仮定した理論的物質収支もプロットされている。実験データは、溶媒およびSiナノロッドが合成された温度、すなわち、オクタコサン430℃(三角)、スクアラン420℃(正方形)、またはトリオクチルアミン380℃(菱形)に関してプロットされている。トリオクチルアミンを溶媒として使用すると、スクアランまたはオクタコサン中で行われた反応とは異なり、長さにおいて成長限界があるようであった。
【0111】
9つの異なる反応のナノロッドの得られたアスペクト比に対する注入したSi:Auモル比のプロットは、トリオクチルアミン中での反応が、注入したSi:Auの量とは無関係に、類似したアスペクト比をもたらしたことを示している。スクアランまたはオクタコサン中で作製されたナノロッドのアスペクト比は、Si:Au比の増加とともに増加した。これは、トリオクチルアミンを溶媒として使用すると、Siの利用率がより低いことから、より小さくより短いナノロッドが形成されることを暗示している。より低い利用率は、380℃(すなわちトリオクチルアミンの沸点)においてトリシランから遊離するSi原子がより少ないことによるものであると考えられる。スクアラン(沸点420℃)またはオクタコサン(430℃)を溶媒として使用すると、過剰の温度によって、より多くのSiがSiナノロッドの成長に利用され得るようになる。
【0112】
本開示の教示の範囲を逸脱せずに、本明細書に記載のプロセスにおいて様々な改変および置換を行うことができる。したがって、例えば、ナノロッドから金属ナノ結晶(または金属ナノ結晶の材料)を除去するための前述の方法は、本方法の単なる1つの具体的な好ましい(ただし制限されない)実施形態であることが、当業者に認識される。故に、本方法は、ケイ素ナノロッドからの金種材料のエッチングまたは除去に限定されず、より一般的に、ナノ結晶およびナノワイヤを含む様々な異なる種類のナノ構造からの、様々な種類の種結晶または種材料の除去を促進するために使用され得る。ナノ構造はまた、様々な化学組成を有し得る。したがって、本方法において使用されるナノ構造は、好ましくはSi、Geまたはこれらの合金等の半導体材料を含むが、他の様々な材料が使用されてもよい。したがって、例えば、いくつかの実施形態において、ナノ構造は、第IV族金属有機金属前駆体から形成されてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態において、種成長ナノ構造は、実施例2に記載の液体媒体合成の種類以外の方法を含む、任意の好適な方法により形成され得る。次いで、種成長ナノ構造は、好ましくは好適な液体媒体中に入れられ、この液体媒体は、そこからの種材料のエッチングまたは除去を促進するために、本明細書に記載の方法に従い、加熱および急冷されてもよい。
【0114】
本方法に従い液体媒体を急冷するために、様々な手段を使用することができる。好ましくは、加熱された液体媒体を効果的に熱的にクエンチするために、充分な割合のより低温の液体を液体媒体に添加することにより、この目的が達成される。より低温の液体は、液体媒体と同じまたは異なってもよく、いくつかの実施形態において、液体媒体の成分の1つ以上を含んでもよい。好ましくは、より低温の液体は室温(約23℃)であるが、より低温の液体が他の温度であるか、または室温未満まで冷却される実施形態もまた可能である。
【0115】
より低温の液体の温度および体積は、典型的には、液体媒体と混合される際に所望の冷却率または温度が達成されるように選択される。典型的には、液体媒体に対する冷却液体の体積比は、約1:10〜約10:1の範囲内、好ましくは約1:5〜約5:1の範囲内、より好ましくは約1:3〜約1:1の範囲内、さらにより好ましくは約2:5〜約4:5の範囲内、最も好ましくは約3:5である。
【0116】
熱クエンチが行われる好ましい速度は、種材料の組成、ナノ構造の組成、および反応媒体等の因子に依存し得る。しかし、典型的には、反応媒体は、反応温度から種材料の共融温度未満まで、約30秒未満、好ましくは約20秒未満、より好ましくは約10秒未満、最も好ましくは約5秒未満で冷却される。典型的には、反応媒体は、5秒間にわたり少なくとも20℃、好ましくは5秒間にわたり少なくとも30℃、より好ましくは5秒間にわたり少なくとも40℃、最も好ましくは5秒間にわたり少なくとも50℃冷却される。典型的には、反応媒体は、少なくとも5℃/秒の速度、好ましくは少なくとも8℃/秒の速度、より好ましくは少なくとも11℃/秒の速度、最も好ましくは少なくとも14℃/秒の速度で冷却される。
【0117】
また、液体媒体が他の手段により冷却される本方法の実施形態も可能である。例えば、液体媒体を含有する槽を氷浴内に浸漬するか、またはヒートシンクと接触させてもよい。液体媒体はまた、より低温の表面、または放熱フィン、ヒートシンクもしくは液体媒体から熱を抽出するように適合された他のコンポーネントを備える表面に暴露するか、またはその上に通過させてもよい。いくつかの実施形態において、凝縮ユニット、冷却コイル、または他のそのようなデバイスを液体媒体中に浸漬して、そこから熱を引き出してもよい。他の実施形態において、液体媒体は、冷却効果を達成するために、オリフィスから環境内に微粒化、噴霧、および/または誘導されてもよい。液体媒体が噴霧される環境は、密閉または制御されてもよく、また不活性雰囲気を含有してもよい。さらに他の実施形態において、冷却のために液体媒体中に気体が放出されてもよい。
【0118】
本明細書に開示されるように、少なくとも5nmという小さい平均直径および少なくとも75nmという長さを有するSiナノロッドが、SLS成長停止プロセスにより合成された。アスペクト比は、反応物質のSi:Auモル比を調節することにより調整され得ることが判明した。第1級アミンは、トリシラン分解に悪影響を及ぼすことなく、種の集塊化およびナノロッドの凝集を防止するキャッピング配位子として機能すると思われるため、合成においては第1級アミン(特にドデシルアミン)が好ましい。ここで、ドデシルアミンのSiナノロッド表面への結合は、本明細書に記載のようにFTIR分光法およびXPSにより確認されたことに留意されたい。
【0119】
本明細書に開示される方法およびデバイスにおいては、様々な前駆体を利用することができる。好ましくは、利用される前駆体は、有機基を含む第IV族金属であってもよい有機金属前駆体である。本明細書において使用される場合、「第IV族金属」は、ケイ素、ゲルマニウム、およびスズの元素を含む。一般に、有機金属第IV族前駆体は、熱分解されて主に第IV族金属で構成されるナノロッドを形成し得る化合物である。いくつかの実施形態において、ナノロッドは第IV族元素、例えば、SiGe1−x、SiSn1−x、またはGeSn1−x等の混合を含有し得る。有機金属第IV族前駆体は、有機ケイ素、有機ゲルマニウムおよび有機スズ化合物を含むが、これらに限定されない。第IV族前駆体のいくつかの例は、アルキルゲルマニウム、アルキルシラン、アルキルスタンナン、クロロシラン、クロロゲルマニウム、クロロスタンナン、芳香族シラン、ならびに芳香族ゲルマニウムおよび芳香族スタンナンを含むが、これらに限定されない。有機金属ケイ素前駆体の具体例は、テトラエチルシランまたはジフェニルシランを含むが、これらに限定されない。有機金属ゲルマニウム前駆体の具体例は、テトラエチルゲルマンまたはジフェニルゲルマンを含むが、これらに限定されない。しかし、好ましくは、前駆体はシランであり、より好ましくは、前駆体はアルキルシランであり、最も好ましくは、前駆体はトリシランである。
【0120】
本明細書に記載の方法およびデバイスは、ケイ素ナノロッドの形成に特に好適であるが、これらの方法およびデバイスはまた、様々な他の材料を含むナノロッドの形成にも使用できることが、当業者に認識される。これらのナノロッドは、制限されることなく、Ge、および前述の材料の各種合金を含むナノロッドを含む。さらに、これらの方法は、適切な改変を加えて、ナノワイヤおよびナノ結晶を製造するために利用することができる。
【0121】
金ナノ結晶が本明細書に記載の方法および組成物において使用される好ましい種材料であるが、いくつかの実施形態においては、他の金属種をAu金属種と置き換える、またはAu金属種と併用することができる。そのような他の金属種は、Bi、Ni、Co、In、Ga、およびFe、ならびにこれらの各種合金を含む、またはこれらからなる金属種を含むが、これらに限定されない。これらの金属(またはそれらの合金)の使用は、合成が行われる液体媒体の最適な、または望ましい温度を変化させ得る。例えばBiの場合、そのような種の使用は、合成温度を280℃以下に低下させ得る。これらの種材料を最終生成物から除去するために使用される方法および化学は、所望により、種材料の素性に基づいて選択され得ることが認識される。
【0122】
本明細書に開示される方法においては、様々な濃度の種材料を使用することができる。Auナノ結晶の場合、濃度は、典型的には、約5〜約250mg/mlの範囲内、好ましくは約10〜約120mg/mlの範囲内、より好ましくは約20〜約65mg/mlの範囲内、最も好ましくは約25〜約35mg/mlの範囲内である。
【0123】
本明細書の教示に従うナノロッドおよび他のナノ構造を合成するための方法は、配位性配位子を利用してもよい。配位性配位子は、ナノ構造の形成中に有機金属前駆体と相互作用して、粒子の成長の制御を補助し得る。配位性配位子は、粒子表面に共有結合するか、または水素結合等の弱い相互作用により付着してもよい。配位性配位子は、粒子表面に物理吸着してもよい。
【0124】
配位性配位子の選択は、利用される溶媒系、ナノ構造の化学組成、反応条件、および他のそのような因子等の因子に依存し得る。しかし、好ましくは、配位性配位子は、種の集塊化およびナノ構造の凝集を防止するキャッピング配位子として機能することができ、また前駆体の分解に悪影響を及ぼさない材料である。
【0125】
ケイ素ナノロッドの合成の場合、配位性配位子は、好ましくは第1級アミン、より好ましくはドデシルアミンである。しかし、本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態において、配位性配位子は、一般式(R)−X(式中、Xは、ナノ粒子の表面に結合することができる原子または官能基である)を有する化合物であってもよい。「結合(binding)」という用語は、配位性配位子をナノ粒子に関連付ける相互作用を指す。そのような相互作用は、イオン結合、共有結合、双極子相互作用、配位結合、四極子相互作用、またはファンデルワールス相互作用を含み得る。各R基は、独立して、水素、1個〜20個の炭素原子を有するアリール基、または1個〜20個の炭素原子を有するアルキル基であってもよい。Xは、窒素、炭素、酸素、硫黄、およびリンを含むがこれらに限定されない原子であってもよい。あるいは、Xは、カルボキシレート、スルホネート、アミド、アルケン、アミン、アルコール、ヒドロキシル、チオエーテル、ホスフェート、アルキン、エーテル、または第4級アンモニウム基を含むがこれらに限定されない官能基であってもよい。配位性配位子の例は、アルコール、アルケン、アルキン、チオール、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、アミン、アミド、カルボキシレート、スルホネート、または第4級アンモニウム化合物を含むが、これらに限定されない。
【0126】
いくつかの実施形態において、配位性配位子は、アルコールであってもよい。使用可能なアルコールは、1個〜20個の炭素原子を有するn−アルコールを含む。そのようなn−アルコールの例は、1−オクタノールである。他の実施形態において、配位性配位子は、アルケンであってもよい。使用可能なアルケンは、1個〜20個の炭素原子を有するα−オレフィン、または不飽和鎖を有するオレフィンを含む。そのようなアルケンの例は、1−オクテンである。別の実施形態において、配位性配位子は、チオールであってもよい。使用可能なチオールは、1個〜20個の炭素原子を有する1−チオールを含む。そのようなチオールの例は、1−チオオクタノールである。
【0127】
本明細書に記載の方法において、溶媒または液体媒体として様々な材料を使用することができる。そのような材料は、例えば、化学式
【0128】
【化1】

(式中、Aは、NまたはPであり、R、RおよびRのそれぞれは、少なくとも8個の炭素原子を有する炭化水素部分構造である)を有する材料を含む。そのような材料はまた、ホスフィン、特に式(R−P(式中、Rは、少なくとも8個の炭素原子を有する炭化水素部分である)を有する第3級ホスフィンを含む。そのような材料はまた、第1級または第3級アミン、好ましくは式NH−RまたはN−(R(式中、Rは、好ましくは少なくとも6個の炭素原子を有する、より好ましくは少なくとも9個の炭素原子を有する、最も好ましくは少なくとも12個の炭素原子を有する炭化水素部分構造である)を有する第1級または第3級アミンを含む。液体媒体は、最も好ましくは、ドデシルアミン、トリオクチルアミン、スクアラン、またはオクタコサンを含む。当然ながら、本明細書に開示される方法の様々な実施形態において、上記材料のいずれかの様々な混合物を使用することができることが、当業者には認識される。
【0129】
好ましくは、本明細書に開示される方法において、液体媒体は、合成されているナノロッドまたは特定の種類のナノ構造の形成を生じさせる前駆体材料の分解を誘導するために充分加熱される。典型的には、液体媒体は、340℃を超える、好ましくは375℃を超える、より好ましくは380℃を超える、さらにより好ましくは420℃を超える、最も好ましくは430℃を超える温度に加熱されるが、最も好ましい温度範囲は、例えば選択される液体媒体、圧力、および他のそのような考慮点に依存して実施形態毎に変動し得ることが認識される。
【0130】
本明細書に開示される方法において、好ましくはシランである利用される前駆体は、熱分解に供されてナノロッドを形成する。しかし、いくつかの実施形態において、熱分解と併せて、または熱分解の代わりに、過酸化物または他の反応種と併せてUVまたは電子ビーム源を使用した光分解法の使用を制限されることなく含む、他の方法が使用されてもよいことが、当業者に認識される。
【0131】
本明細書に記載の方法により形成されたナノロッドは、様々な寸法を有し得る。好ましくは、ナノロッドは、約1nm〜約100nmの範囲内の長さを有し、より好ましくは、ナノロッドは、約15nm〜約75nmの範囲内の長さを有する。好ましくは、ナノロッドは、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、より好ましくは、ナノロッドは、約5nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有する。
【0132】
本発明の上記説明は例示的であり、制限を意図しない。したがって、本発明の範囲から逸脱せずに、上述の実施形態に様々な追加、置換および改変を行うことができることが認識される。故に、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して解釈されるべきである。
【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図2F】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図4D】

【図4E】

【図4F】

【図4G】

【図7A】

【図7B】

【図7C】

【図7D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Auナノ結晶を液体媒体中でシランと反応させることによりケイ素ナノロッドを作製する方法であって、前記ナノロッドのそれぞれは、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、約1nm〜約100nmの範囲内の長さを有する、方法。
【請求項2】
前記Auナノ結晶を、配位性配位子の存在下でシランと反応させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記配位性配位子が、アミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミンが、第1級アミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記配位性配位子が、アルキルアミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記配位性配位子が、ドデシルアミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ナノロッドのそれぞれが、約15nm〜約75nmの範囲内の長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ナノロッドのそれぞれが、約5nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノロッドの形成後に前記Auナノ結晶をエッチングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記シランが、Siである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記液体媒体が、トリオクチルアミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記液体媒体が、スクアランを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記液体媒体が、オクタコサンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記液体媒体が、n−オクタコサンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記液体媒体が、第1級アミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記液体媒体が、式NH−R(式中、Rは、少なくとも6個の炭素原子を有する炭化水素部分構造である)を有するアミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記液体媒体が、式NH−R(式中、Rは、少なくとも9個の炭素原子を有する直鎖炭化水素部分構造である)を有するアミンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記液体媒体が、式NH−R(式中、Rは、少なくとも12個の炭素原子を有する直鎖炭化水素部分構造である)を有するアミンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記液体媒体が、ドデシルアミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記液体媒体が、340℃を超える温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記液体媒体が、375℃を超える温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記液体媒体が、380℃を超える温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記液体媒体が、420℃を超える温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記液体媒体が、430℃を超える温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記液体媒体が、375℃を超える温度に加熱され、ただし、前記液体媒体は長鎖炭化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記液体媒体が、375℃を超える温度に加熱され、ただし、前記液体媒体は長鎖炭化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記液体媒体が、375℃を超える温度に加熱され、ただし、前記液体媒体は第3級アミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記液体媒体が、375℃を超える温度に加熱され、ただし、前記液体媒体は第3級ホスフィンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記液体媒体が、約360℃〜約430℃の範囲内の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記液体媒体が、式
【化1】

(式中、Aは、NまたはPであり、R、RおよびRのそれぞれは、少なくとも8個の炭素原子を有する炭化水素部分構造である)を有する化学化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記第3級アミンが、式
(R−N
(式中、Rは、少なくとも8個の炭素原子を有する炭化水素部分構造である)を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記第3級ホスフィンが、式
(R−P
(式中、Rは、少なくとも8個の炭素原子を有する炭化水素部分構造である)を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
シランとAuナノ結晶の第1の液体媒体中の分散液との第1の混合物を形成するステップと、
前記第1の混合物を、375℃を超える温度に加熱された第2の液体媒体に添加するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の混合物を前記第2の液体媒体中にシリンジで注入することにより、前記第1の混合物を前記第2の液体媒体に添加する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の液体媒体が、ドデシルアミン、ドデカンチオール、トリドデシルアミン、ベンゼンおよびドデセンからなる群から選択される材料を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の液体媒体中のAuナノ結晶の濃度が、約125〜約25mg/mLの範囲内である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の液体媒体中のAuナノ結晶の濃度が、約100〜約120mg/mLの範囲内である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の液体媒体中のAuナノ結晶の濃度が、約45〜約65mg/mLの範囲内である、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の液体媒体中のAuナノ結晶の濃度が、約25〜約35mg/mLの範囲内である、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記反応により形成される前記ケイ素ナノロッドが、前記液体媒体中にコロイドとして存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
ケイ素ナノロッドを作製する方法であって、
Siを、第1の液体媒体中に入れたAuナノ結晶と混合することにより、第1の混合物を形成するステップと、
第1級アミンと、トリオクチルアミン、スクアランおよびオクタコサンからなる群から選択される少なくとも1種の材料とを含む第2の混合物を、340℃を超える温度に加熱するステップと、
前記第1の混合物を前記第2の混合物に添加するステップと
を含む方法。
【請求項42】
前記ナノロッドのそれぞれが、約1nm〜約100nmの範囲内の長さを有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ナノロッドのそれぞれが、約15nm〜約75nmの範囲内の長さを有する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記ナノロッドのそれぞれが、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記ナノロッドのそれぞれが、約5nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の混合物が、375℃を超える温度に加熱される、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記第1級アミンが、ドデシルアミンである、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
複数のケイ素ナノロッドを含む組成物であって、ただし、前記複数のナノロッドのそれぞれは、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、約1nm〜100nmの範囲内の長さを有する、組成物。
【請求項49】
前記複数のナノロッドのそれぞれが、約15nm〜約75nmの範囲内の長さを有する、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
請求項48に記載の組成物を含む発光ダイオード。
【請求項51】
請求項48に記載の組成物を含む集積回路。
【請求項52】
前記集積回路が光回路である、請求項51に記載の集積回路。
【請求項53】
請求項48に記載の組成物を含む造影剤。
【請求項54】
生体試料を画像化する方法であって、
請求項51に記載の組成物を含む造影剤で前記試料を処理するステップと、
前記処理された試料を画像化するステップと
を含む方法。
【請求項55】
請求項48に記載の組成物を含む太陽電池。
【請求項56】
請求項48に記載の組成物を含むトランジスタ。
【請求項57】
前記トランジスタが、電界効果トランジスタである、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記ナノロッドのそれぞれが、約5nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有する、請求項48に記載の方法。
【請求項59】
所望の長さのナノ構造を作製するための方法であって、
前記ナノ構造の所望の長さを決定するステップと、
液体媒体中で種材料を前駆体と反応させて前記ナノ構造を生成するステップと
を含み、ただし、前駆体に対する種材料のモル比は、所望のナノ構造長を達成するように選択される、方法。
【請求項60】
前記前駆体が、シランである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記前駆体が、ゲルマンである、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記種材料が、Auナノ結晶である、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記ナノ構造のそれぞれが、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、約1nm〜約100nmの範囲内の長さを有する、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記ナノ構造のそれぞれが、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、100nmを超える長さを有する、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記ナノ構造が、ナノロッドである、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記ナノ構造が、ナノワイヤである、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
前記種材料がAuナノ結晶であり、ただし、前記前駆体はシランであり、ただし、前記種材料および前駆体は配位性配位子の存在下で反応する、請求項59に記載の方法。
【請求項68】
前記配位性配位子が、ドデシルアミンである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記シランが、Siである、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記液体媒体中のAuに対するSiの量が、前記ナノ構造の所望の長さとともに増加する、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記液体媒体中のAuに対するSiの量が、前記ナノ構造の所望の長さに比例する、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記液体媒体中のAuに対するSiの量が、前記ナノ構造の所望の長さの関数である、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
所望の長さのケイ素ナノロッドを作製するための方法であって、
ケイ素ナノロッドの所望の長さを決定するステップと、
Auナノ結晶を液体媒体中でシランと反応させて前記ナノロッドを生成するステップと
を含み、ただし、Auナノ結晶に対するシランのモル比は、所望のナノロッド長を達成するように選択され、ただし、前記ナノロッドのそれぞれは、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、約1nm〜約100nmの範囲内の長さを有する、方法。
【請求項74】
前記Auナノ結晶を、配位性配位子の存在下で前記シランと反応させる、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記配位性配位子が、ドデシルアミンである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記シランが、Siである、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記液体媒体中のAuに対するSiの量が、前記ナノロッドの所望の長さとともに増加する、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記液体媒体中のAuに対するSiの量が、前記ナノロッドの所望の長さに比例する、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
前記液体媒体中のAuに対するSiの量が、前記ナノロッドの所望の長さの関数である、請求項73に記載の方法。
【請求項80】
ナノ構造を形成するための方法であって、
第IV族金属有機金属前駆体と金属ナノ結晶との液体媒体中の混合物を、前記前駆体が分解してナノ構造が前記金属ナノ結晶から成長する温度で加熱するステップと、
前記液体媒体を急冷するステップと、
前記ナノ構造をエッチングに供して、前記ナノ構造から前記金属ナノ結晶の材料を除去するステップと
を含む方法。
【請求項81】
前記ナノ構造が、半導体材料を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記ナノ構造が、SiおよびGeからなる群から選択される材料を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記ナノ構造のそれぞれが、少なくとも4の前記ナノ構造の幅に対する前記ナノ構造の長さの比として定義されるアスペクト比を有する、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記ナノロッドのそれぞれが、約1.2nm〜約10nmの範囲内の平均直径を有し、約1nm〜約100nmの範囲内の長さを有する、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
前記液体媒体を、前記液体媒体への第2の液体の添加により急冷する、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
前記第2の液体が、室温である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記液体媒体が反応槽内で加熱され、ただし、前記反応槽を第2の液体内に浸漬することにより前記液体媒体を急冷する、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
前記液体媒体が反応槽内で加熱され、ただし、前記反応槽をヒートシンクと接触させることにより前記液体媒体を急冷する、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
前記液体媒体を急冷するステップが、第2のより低温の液体を前記液体媒体に添加するステップを含み、ただし、前記第2の液体と前記液体媒体の体積比は、約1:5〜約5:1の範囲内である、請求項80に記載の方法。
【請求項90】
前記液体媒体を急冷するステップが、第2のより低温の液体を前記液体媒体に添加するステップを含み、ただし、前記第2の液体と前記液体媒体の体積比は、約1:3〜約1:1の範囲内である、請求項80に記載の方法。
【請求項91】
前記液体媒体を急冷するステップが、第2のより低温の液体を前記液体媒体に添加するステップを含み、ただし、前記第2の液体と前記液体媒体の体積比は、約2:5〜約4:5の範囲内である、請求項80に記載の方法。
【請求項92】
前記第2の液体が、室温である、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を、前記反応温度から前記金属ナノ結晶の共融温度未満まで、約30秒未満で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項94】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を、前記反応温度から前記金属ナノ結晶の共融温度未満まで、約20秒未満で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項95】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を、前記反応温度から前記金属ナノ結晶の共融温度未満まで、約10秒未満で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項96】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を、前記反応温度から前記金属ナノ結晶の共融温度未満まで、約5秒未満で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項97】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を、5秒間にわたり少なくとも20℃で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項98】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を、5秒間にわたり少なくとも30℃で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項99】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を、5秒間にわたり少なくとも40℃で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項100】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を、5秒間にわたり少なくとも50℃で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項101】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を少なくとも5℃/秒の速度で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項102】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を少なくとも8℃/秒の速度で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項103】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を少なくとも11℃/秒の速度で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項104】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記反応媒体を少なくとも14℃/秒の速度で冷却するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項105】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記液体媒体中に気体を注入するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項106】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記液体媒体を噴霧するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項107】
前記液体媒体を急冷するステップが、オリフィスから前記液体媒体を噴射するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項108】
前記液体媒体を急冷するステップが、オリフィスから不活性雰囲気中に前記液体媒体を噴射するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項109】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記液体媒体を微粒化するステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項110】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記液体媒体を熱伝達表面上に通過させるステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項111】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記液体媒体を少なくとも1つの熱伝達フィン上に通過させるステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項112】
前記液体媒体を急冷するステップが、前記液体媒体中に熱伝達コイルを入れるステップを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項113】
前記ナノ構造が、ナノロッドである、請求項80に記載の方法。
【請求項114】
前記ナノ構造が、ナノワイヤである、請求項80に記載の方法。

【図8】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図17E】
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【図17F】
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【図17G】
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【図17H】
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【図17I】
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【図17J】
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【図17K】
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【図19】
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【図20】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図14】
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【図15】
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【図18】
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【図21A】
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【図21B】
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【公表番号】特表2012−524018(P2012−524018A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506151(P2012−506151)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/030990
【国際公開番号】WO2010/120849
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】