説明

ケイ素化合物、ケイ素化合物の製造方法及びケイ素化合物を用いるジエン誘導体の製造方法

【課題】様々な分野への応用可能なケイ素化合物、ケイ素化合物の製造方法を提供し、更に、ケイ素化合物からジエン誘導体への製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされることを特徴とするケイ素化合物。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素化合物、ケイ素化合物の製造方法及びケイ素化合物を用いるジエン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ケイ素化合物は、その特異な性質から、医用やエレクトロニクス分野(有機EL、有機半導体等)などに応用が期待され、注目が高い化合物である(例えば、非特許文献1〜5参照。)。
【0003】
特に最近、シラシクロブテン誘導体は、様々な分野への応用可能なケイ素化合物として注目の高い化合物である。
【0004】
そこで、新規なシラシクロブテン誘導体。ならびに、シラシクロブテン誘導体の新規製造方法を提供することが求められている。
【非特許文献1】Ishikawa,M.;J.Am,Chem,Soc.1982,104,2872
【非特許文献2】Miracle,G.E.;J.Am,Chem,Soc.1993,115,11598
【非特許文献3】Chen,J.;Chem.Mater.2003,15,1535
【非特許文献4】Takahashi,T.;Xi,Z.;Obora,Y.;Suzuki,N.J.Am.Chem.Soc.1995,117,2665.
【非特許文献5】Xi,Z.;Fischer,R.;Hara,R.;Sun,W.;Obora,Y.;Suzuki,N.;Nakajima,K.;Takahashi,T.J.Am.Chem.Soc.1997,119,12842.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、様々な分野への応用可能なケイ素化合物、ケイ素化合物の製造方法を提供し、更に、ケイ素化合物からジエン誘導体への製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0007】
1.下記一般式(1)で表わされることを特徴とするケイ素化合物。
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、R1は置換基を表わし、Ar1、Ar2は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。但し、Ar1、Ar2の少なくともひとつは置換基を有する。〕
2.下記一般式(2)で表わされることを特徴とするケイ素化合物。
【0010】
【化2】

【0011】
〔式中、R2、R3は、各々置換基を表わし、Ar3、Ar4は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。但し、Ar3、Ar4の少なくともひとつは置換基を有する。〕
3.下記一般式(3)で表わされることを特徴とするケイ素化合物。
【0012】
【化3】

【0013】
〔式中、R4、R5は、各々置換基を表わし、Ar5、Ar6は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。但し、Ar5、Ar6の少なくとも一つは置換基を有する。〕
4.下記一般式(5)で表わされる化合物と下記一般式(6)で表わされる化合物を反応させる工程を有することを特徴とする下記一般式(7)で表わされるケイ素化合物の製造方法。
【0014】
【化4】

【0015】
〔式中、Ar1、Ar2は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。〕
【0016】
【化5】

【0017】
〔式中、R1は置換基を表す。〕
【0018】
【化6】

【0019】
〔式中、R1は置換基を表わし、Ar1、Ar2は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。〕
5.前記一般式(7)で表わされるケイ素化合物と前記一般式(6)で表わされる化合物を反応させる工程を有することを特徴とする下記一般式(8)で表わされるケイ素化合物の製造方法。
【0020】
【化7】

【0021】
〔式中、R2、R3は、各々置換基を表わし、Ar3、Ar4は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。〕
6.前記一般式(8)で表わされるケイ素化合物とCP2Zr(CH2=CH2)(ここで、CPはシクロペンタジエニル基を表す。)を反応させる工程、次いで、酸処理を行う工程を有することを特徴とする下記一般式(9)で表わされるケイ素化合物の製造方法。
【0022】
【化8】

【0023】
〔式中、R4、R5は、各々置換基を表わし、Ar5、Ar6は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。〕
7.前記一般式(9)で表わされる化合物と(Ra)4NXを反応させる工程を有することを特徴とする下記一般式(4)で表わされるジエン誘導体の製造方法。
【0024】
【化9】

【0025】
〔式中、R6、R7は、各々置換基を表す。Raはアルキル基または芳香族炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表す。〕
【発明の効果】
【0026】
本発明により、様々な分野に応用可能なケイ素化合物、ケイ素化合物の製造方法を得ることができ、更にケイ素化合物からジエン誘導体の製造方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明のケイ素化合物においては、請求項1〜3のいずれか1項に規定される構成を有することにより、様々な分野、特に医用やエレクトロニクス分野等に応用が期待されるケイ素化合物、該ケイ素化合物の製造方法、特にシラシクロブテン誘導体の新規製造方法を得る事ができ、この製造方法によって、さまざまな置換基を有するシラシクロブテン誘導体の製造が可能になった。更に前記シラシクロブテン誘導体からジエン誘導体の製造方法を提供することができた。
【0028】
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について説明する。
【0029】
上記課題について、本発明者等が種々検討した結果、請求項1〜3のいずれか1項に記載の新規ケイ素化合物を見出し、また、ケイ素化合物の製造方法を得ることができた。
【0030】
更に、本発明のシラシクロブテン誘導体を用いたジエン誘導体の製造方法を併せて得ることに成功した。
【0031】
《一般式(1)で表されるケイ素化合物》
本発明の、一般式(1)で表される化合物について説明する。
【0032】
一般式(1)において、R1は置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、イソプロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
【0033】
これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0034】
一般式(1)において、Ar1、Ar2で各々表される芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
【0035】
これらの基は、更に、一般式(1)において、R1で表される置換基を有していてもよい。
【0036】
尚、一般式(1)において、Ar1、Ar2で各々表される芳香族炭化水素基の少なくともひとつは置換基を有しており、該置換基としては、一般式(1)において、R1で表される置換基を挙げることが出来る。
【0037】
一般式(1)において、Ar1、Ar2で各々表される芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
【0038】
これらの基は、更に、一般式(1)において、R1で表される置換基を有していてもよい。
【0039】
尚、一般式(1)において、Ar1、Ar2で各々表される芳香族複素環基の少なくともひとつは置換基を有しており、該置換基としては、一般式(1)において、R1で表される置換基を挙げることが出来る。
【0040】
《一般式(2)で表されるケイ素化合物》
本発明の、一般式(2)で表される化合物について説明する。
【0041】
一般式(2)において、R2、R3で各々表される置換基は、一般式(1)のR1で表される置換基と同義である。
【0042】
一般式(2)において、Ar3、Ar4で各々表される芳香族炭化水素基は、一般式(1)のAr1、Ar2で各々表される芳香族炭化水素基と同義である。
【0043】
一般式(2)において、Ar3、Ar4で各々表される芳香族複素環基は、一般式(1)のAr1、Ar2で各々表される芳香族複素環基と同義である。
【0044】
《一般式(3)で表されるケイ素化合物》
本発明の、一般式(3)で表される化合物について説明する。
【0045】
一般式(3)において、R4、R5で各々表される置換基は、一般式(1)において、R1で表される置換基と同義である。
【0046】
一般式(3)において、Ar5、Ar6で各々表される芳香族炭化水素基は、一般式(1)のAr1、Ar2で各々表される芳香族炭化水素基と同義である。
【0047】
一般式(3)において、Ar5、Ar6で各々表される芳香族複素環基は、一般式(1)のAr1、Ar2で各々表される芳香族複素環基と同義である。
【0048】
以下に、一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表される、本発明のケイ素化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0049】
【化10】

【0050】
【化11】

【0051】
【化12】

【0052】
【化13】

【0053】
【化14】

【0054】
《本発明のケイ素化合物の製造方法(合成方法ともいう)》
本発明に係るケイ素化合物の製造方法について説明する。
【0055】
(a)一般式(1)または一般式(7)で表されるケイ素化合物の製造
本発明の一般式(7)で表されるケイ素化合物は、請求項4に記載のように、上記一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物とを反応させる工程を経て、得られる。
【0056】
一般式(5)において、Ar1、Ar2で各々表される芳香族炭化水素基は、一般式(7)のAr1、Ar2で各々表される芳香族炭化水素基と同義である。
【0057】
一般式(5)において、Ar1、Ar2で各々表される芳香族複素環基は、一般式(7)のAr1、Ar2で各々表される芳香族複素環基と同義である。
【0058】
一般式(6)において、R1で表される置換基は、一般式(7)において、R1で表される置換基と同義である。
【0059】
また、本発明に係る、一般式(1)または一般式(7)で表されるケイ素化合物の製造の具体例は、後述する実施例1の例示化合物1−2の製造例で示す。
【0060】
(b)一般式(2)または一般式(8)で表されるケイ素化合物の製造
本発明に係る、一般式(2)または一般式(8)で表されるケイ素化合物は、請求項5に記載のように、一般式(7)で表されるケイ素化合物と一般式(6)で表される化合物を反応させる工程を経て、得られる。
【0061】
また、本発明に係る、一般式(2)または一般式(8)で表されるケイ素化合物の製造の具体例は、後述する実施例2の例示化合物2−2の製造例で示す。
【0062】
(c)一般式(3)または一般式(9)で表されるケイ素化合物の製造
本発明に係る、一般式(3)または一般式(9)で表されるケイ素化合物は、請求項6に記載のように、一般式(8)で表されるケイ素化合物とCP2Zr(CH2=CH2)(ここで、Cpはシクロペンタジエニル基を表す。)を反応させ、次いで、酸処理を行う工程を経て得られる。
【0063】
《酸処理に用いられる酸》
上記の酸処理に用いられる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、テトラフルオロホウ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類、安息香酸、酢酸のカルボン酸類等が挙げられるが、反応収率向上等の観点から特に好ましいのは塩酸である。
【0064】
また、本発明に係る、一般式(3)または一般式(9)で表されるケイ素化合物の製造の具体例は、後述する実施例3の例示化合物3−6の製造例で示す。
【0065】
また、本発明者等は、本発明に係る、一般式(3)または一般式(9)で表されるケイ素化合物が、ジエン誘導体の新規製造方法として適用可能であることを見出したので、以下に説明する。
【0066】
《ジエン誘導体の製造方法》
本発明に係る、一般式(3)または一般式(9)で表されるケイ素化合物は、請求項7に記載のように、(Ra)4NXと反応させることにより、上記一般式(4)で表されるジエン誘導体の新規製造方法(合成方法ともいう)を提供できる。
【0067】
ここで、Raで表されるアルキル基は、一般式(1)において、R1で表されるアルキル基と同義である。
【0068】
また、Raで表される芳香族炭化水素基は、一般式(1)において、R1で表される芳香族炭化水素基と同義である。
【0069】
Xで表されるハロゲン原子としては、一般式(1)において、R1で表されるハロゲン原子と同義である。
【0070】
また、本発明において、(Ra)4NXとして特に好ましく用いられるのは、テトラブチルアンモニウムフルオライド(Bu4NF)である。
【0071】
《一般式(4)で表されるジエン誘導体》
一般式(4)で表されるジエン誘導体について説明する。
【0072】
一般式(4)において、R6、R7で各々表される置換基は、一般式(1)のR1で表される置換基と同義である。
【0073】
また、一般式(4)で表されるジエン誘導体の製造方法の具体例は、後述する実施例4において、例示化合物4−1の製造例で示す。
【0074】
《用途》
本発明の一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表されるケイ素化合物は、医用やエレクトロニクス分野等への応用が期待されるが、中でも、有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)、有機TFT素子(有機薄膜トランジスタ素子)、有機薄膜太陽電池等の構成材料として用いることができる。
【0075】
具体的な用途しては、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等の構成材料として用いることができる。
【0076】
また、パーソナルコンピュータ、ノート、ラップトップ、パーソナル・アシスタント/発信機、ミニコンピュータ、ワークステーション、メインフレーム、マルチプロセッサー・コンピュータ又は他のすべての型のコンピュータシステム等のデータ処理システム;CPU、メモリ、データ記憶装置等のデータ処理システムを構成する電子部品;電話、PHS、モデム、ルータ等の通信機器;ディスプレイパネル、プロジェクタ等の画像表示機器;プリンタ、スキャナ、複写機等の事務機器;センサ;ビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像機器;ゲーム機、音楽プレーヤ等の娯楽機器;携帯情報端末、時計、電子辞書等の情報機器;カーナビゲーションシステム、カーオーディオ等の車載機器;動画、静止画、音楽等の情報を記録、再生するためのAV機器;洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫、炊飯器、食器洗い機、掃除機、エアコン等の電化製品;マッサージ器、体重計、血圧計等の健康管理機器;ICカード、メモリカード等の携帯型記憶装置等の電子機器への幅広い応用が可能である。
【実施例】
【0077】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0078】
実施例1
《製造例1》:例示化合物1−2の製造
以下の反応スキームに従い、中間体Aを製造し、次いで、前記中間体を用いて、本発明のケイ素化合物の一例である、例示化合物1−2を製造した。
【0079】
【化15】

【0080】
(中間体Aの製造)
2,4,6トリメチルフェニルブロマイド5.0gをTHF20mlに溶かし、その溶液に窒素気流下、−60℃で、n−BuLi(1.54M、17.1ml)をゆっくり滴下した。
【0081】
1時間、−78℃で攪拌した後、テトラクロロシラン4.26gを加えた。次いで、室温まで昇温させて16時間攪拌した。フェニルリチウム(シクロヘキサン/ジエチルエーテル溶液、1.05M、25.04ml)を0℃でゆっくり加えた。その後、室温まで昇温させて1時間攪拌した。不溶のリチウム塩をろ過し、濾液を減圧下に濃縮した。
【0082】
その残渣に、50mlのEt2Oを加え、更に、CuF2(4.5g)を加え、室温で12時間攪拌した。
【0083】
その後、1Mの塩酸で処理した後、50mlのEt2Oで3回抽出した。このEt2O溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、蒸留精製(150℃、0.27kPa)する事で、中間体Aを4.47g(収率:61%)得た。
【0084】
(例示化合物1−2の製造)
フェニルアセチレン204mgをTHF5mlに溶かし、その溶液に窒素気流下−78℃で、n−BuLi(1.6Mヘキサン溶液、1.32ml)をゆっくり滴下した。
【0085】
−78℃で1時間攪拌した。この溶液を、524mgの中間体AをTHF3mlに溶かした溶液に−78℃で滴下した。
【0086】
室温まで昇温させて1時間攪拌し、1Mの塩酸で処理した後、20mlのEt2Oで3回抽出した。
【0087】
得られたEt2O溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製する事で、例示化合物1−2を540mg(78%)得た。
【0088】
例示化合物1−2は、1H−NMR(400MHz、CDCl3)、13C−NMR(75MHz、CDCl3)を用いて構造を確認した。
【0089】
測定条件及びスペクトル情報を下記に示す。
【0090】
1H−NMR:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子製
δ:7.76〜7.74(m、2H)、7.56〜7.55(m、2H)、7.53〜7.32(m、6H)、6.88(s、2H)、2.47〜2.46(m、6H)、2.30(s、3H)
得られたスペクトルを図1に示す。
【0091】
13C−NMR:JEOL JNM−AL300(75MHz):日本電子製
δ:145.43、141.10、134.23、132.26、131.04、129.52、129.31、128.41、124.79、122.02、108.30、89.06、23.98、23.94、22.41
得られたスペクトルを図2に示す。
【0092】
実施例2
《製造例2》:例示化合物2−2の製造
【0093】
【化16】

【0094】
106mgの中間体BをTHF5mlに溶かし、その溶液に窒素気流下−60℃で、n−BuLi(1.52M、ヘキサン溶液0.69ml)をゆっくり滴下し、−60℃で1時間攪拌した。
【0095】
得られた溶液を、524mgの例示化合物1−2をTHF3mlに溶かした溶液に−60℃で滴下した。
【0096】
室温まで昇温させて1時間攪拌し、1Mの塩酸で処理した後、20mlのEt2Oで3回抽出した。このEt2O溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製する事で、例示化合物2−2を421mg(98%)得た。
【0097】
例示化合物2−2は、1H−NMR(400MHz、CDCl3)、13C−NMR(100MHz、CDCl3)を用いて構造を確認した。
【0098】
測定条件及びスペクトル情報を下記に示す。
【0099】
1H−NMR:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子製
δ:8.01〜7.98(m、2H)、7.54〜7.53(m、3H)、7.43〜7.41(m、3H)、7.02(s、2H)、6.41(s、1H)、2.75(s、6H)、2.43(s、3H)、2.35〜2.21(m、4H)、1.77〜1.69(m、4H)
得られたスペクトルを図3に示す。
【0100】
13C−NMR:JEOL JNM−AL400(100MHz):日本電子製
δ:145.59、140.03、137.14、135.81、134.54、131.89、129.69、129.36、128.80、128.18、125.63、123.01、120.85、110.64、107.96、91.20、87.42、28.68、25.81、25.10、22.25、21.51、21.24
得られたスペクトルを図4に示す。
【0101】
実施例3
《製造例3》:例示化合物3−6の製造
【0102】
【化17】

【0103】
0.862gのCp2ZrCl2をTHF6mlに溶かし、その溶液に窒素気流下−60℃で、EtMgBr(0.91M、THF溶液6.48ml)をゆっくり滴下した。
【0104】
−60℃で1時間攪拌し、得られた溶液に、1.02gの例示化合物2−2を−60℃で加えた。その後、室温まで昇温させて1時間攪拌した。
【0105】
その後、3Mの塩酸で処理した後、50mlのEt2Oで2回抽出した。このEt2O溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、例示化合物3−6を520mg(51%)得た。
【0106】
例示化合物3−6は、1H−NMR(400MHz、CDCl3)、13C−NMR(100MHz、CDCl3)を用いて構造を確認した。
【0107】
測定条件及びスペクトル情報を下記に示す。
【0108】
1H−NMR:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子製
δ:7.61〜7.59(m、2H)、7.52(s、H)、7.37〜7.28(m、3H)、7.21(d、J=8.0Hz、2H)、7.11(t、J=8.0Hz、2H)、7.06〜7.03(m、1H)、6.84(s、2H)、6.73(s、1H)、5.91(s、1H)、2.32(s、2H)、2.28(s、3H)、2.26(s、6H)、2.12(s、2H)、1.73〜1.56(m、4H)
得られたスペクトルを図5に示す。
【0109】
13C−NMR:JEOL JNM−AL400(100MHz):日本電子製
δ:159.94、149.71、148.95、146.20、140.38、139.17、137.80、135.89、134.02、131.62、129.60、129.31、128.36、128.33、127.78、127.12、126.76、126.54、26.35、25.36、24.68、22.68、22.33、21.29
得られたスペクトルを図6に示す。
【0110】
実施例4
《製造例4》:ジエン誘導体の例示化合物4−1の製造
【0111】
【化18】

【0112】
175mgの例示化合物3−6をTHF5mlに溶かし、その溶液に窒素気流下室温で、テトラブチルアンモニウムフルオライド(Bu4NF)(1MのTHF溶液0.893ml)をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。
【0113】
その後、1Mの塩酸で処理した後、20mlのEt2Oで3回抽出した。このEt2O溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジエン誘導体の例示化合物4−1を83mg(98%)得た。
【0114】
例示化合物4−1は、1H−NMR(400MHz、CDCl3)、13C−NMR(75MHz、CDCl3)を用いて確認した。
【0115】
測定条件及びスペクトル情報を下記に示す。
【0116】
1H−NMR:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子製
δ:7.39〜7.37(m、2H)、7.31〜7.27(m、2H)、7.20〜7.16(m、1H)、6.86〜6.80(dd、J=15.63Hz、1H)、6.54〜6.50(d、J=15.63Hz、1H)、6.37〜6.30(dt、J=14.65Hz、J=14.65Hz、2H)、5.83〜5.81(m、1H)、2.20〜2.16(m、4H)、1.71〜1.60(m、4H)
得られたスペクトルを図7に示す。
【0117】
13C−NMR:JEOL JNM−AL300(75MHz):日本電子製
δ:137.77、137.07、136.09、131.05、130.86、129.63、128.64、127.15、126.20、125.63、26.37、24.72、22.69
得られたスペクトルを図8に示す。
【0118】
実施例5
《製造例5》:例示化合物3−10の製造
【0119】
【化19】

【0120】
1.4gのCp2ZrCl2をTHF10mlに溶かし、その溶液に窒素気流下−60℃で、EtMgBr(0.91M、THF溶液10.5ml)をゆっくり滴下した。
【0121】
−60℃で1時間攪拌し、得られた溶液に、1.96gのビス(フェニルエチニル)フェニル(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)シランを−60℃で加えた。その後、室温まで昇温させて1時間攪拌した。
【0122】
その後、3Mの塩酸で処理した後、50mlのEt2Oで2回抽出した。このEt2O溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、例示化合物3−10を1.28g(51%)得た。
【0123】
例示化合物3−10は、1H−NMR(400MHz、CDCl3)、13C−NMR(100MHz、CDCl3)を用いて構造を確認した。
【0124】
測定条件及びスペクトル情報を下記に示す。
【0125】
1H−NMR:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子製
δ:7.83(s、1H)、7.73(d、J=7.2Hz、2H)、7.47〜7.44(m、3H)、7.31〜7.29(m、4H)、7.23〜7.21(m、1H)、7.07(s、5H)、6.98(s、1H)、6.93(s、2H)、3.08(sept、J=6.8Hz、1H)、2.83(sept、J=6.8Hz、1H)、1.21(d、J=6.8Hz、6H)、0.80(d、J=6.8Hz、6H)、0.54(d、J=6.8Hz、6H).
13C−NMR:JEOL JNM−AL400(100MHz):日本電子製
δ:157.49、157.40、156.44、151.02、147.84、139.58、138.94、136.41、135.56、130.46、129.62、128.44、128.41、128.11、128.03、127.05、126.93、126.84、126.73、121.54、34.95、34.27、24.79、24.52、23.99、23.86.
実施例6
《製造例6》:例示化合物3−11の製造
【0126】
【化20】

【0127】
154mgのCp2ZrCl2をTHF2mlに溶かし、その溶液に窒素気流下−60℃で、EtMgBr(0.91M、THF溶液1.2ml)をゆっくり滴下した。
【0128】
−60℃で1時間攪拌し、得られた溶液に、220mgのフェニル(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)(フェニルエチニル)((1,3,4−トリメチルフェニル)エチニル)シランを−60℃で加えた。その後、室温まで昇温させて1時間攪拌した。
【0129】
その後、3Mの塩酸で処理した後、50mlのEt2Oで2回抽出した。このEt2O溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって精製し、例示化合物3−11を213mg(95%)得た。
【0130】
例示化合物3−11は、1H−NMR(400MHz、CDCl3)、13C−NMR(100MHz、CDCl3)を用いて構造を確認した。
【0131】
測定条件及びスペクトル情報を下記に示す。
【0132】
1H−NMR:JEOL JNM−AL400(400MHz):日本電子製
δ:7.74(s、1H)、7.70〜7.67(m、2H)、7.45〜7.39(m、3H)、7.06〜7.02(m、5H)、6.96(s、1H)、6.92(s、2H)、6.89(s、1H)、6.88(s、1H)、3.00(sept、J=6.59Hz、2H)、2.86(sept、J=7.08Hz、1H)、2.19(s、3H)、2.13(s、3H)、2.11(s、3H)、1.23〜1.21(d、J=7.08Hz、6H)、0.79〜0.78(d、J=6.59Hz、6H).
13C−NMR:JEOL JNM−AL400(100MHz):日本電子製
δ: 159.05、158.33、156.22、150.78、148.20、138.93、136.73、136.34、135.49、134.99、133.47、132.48、131.62、130.26、129.36、128.96、128.16、128.01、128.00、127.07、126.46、121.31、34.94、34.31、31.80、24.97、24.28、23.98、23.96、22.88、20.78、19.55、19.31、14.36
実施例7
《例示化合物1−1、1−3、1−4、1−5、1−12の製造》
実施例1の例示化合物1−2の製造と同様にして、例示化合物1−1、1−3、1−4、1−5、1−12を製造した。
【0133】
図9、図11、図13、図15、図17に、例示化合物1−1、1−3、1−4、1−5、1−12の1H−NMRスペクトルを各々示す。
【0134】
図10、図12、図14、図16、図18に、例示化合物1−1、1−3、1−4、1−5、1−12の13C−NMRスペクトルを各々示す。
【0135】
《例示化合物2−1、2−3、2−4、2−7、2−8、2−9の製造》
実施例2の例示化合物2−2の製造と同様にして、例示化合物2−1、2−3、2−4、2−7、2−8、2−9を製造した。
【0136】
図19、図21、図23、図25、図27、図29に、例示化合物2−1、2−3、2−4、2−7、2−8、2−9の1H−NMRスペクトルを各々示す。
【0137】
図20、図22、図24、図26、図28、図30に、例示化合物2−1、2−3、2−4、2−7、2−8、2−9の13C−NMRスペクトルを各々示す。
【0138】
《例示化合物3−1、3−2、3−3、3−4、3−7、3−8、3−9の製造》
実施例3の例示化合物3−6の製造と同様にして、例示化合物3−1、3−2、3−3、3−4、3−7、3−8、3−9を製造した。
【0139】
図31、図33、図35、図37、図39、図41、図43に、例示化合物3−1、3−2、3−3、3−4、3−7、3−8、3−9の1H−NMRスペクトルを各々示す。
【0140】
図32、図34、図36、図38、図40、図44に、例示化合物3−1、3−2、3−3、3−4、3−7、3−8、3−9の13C−NMRのスペクトルを各々示す。
【0141】
実施例8
本発明のケイ素化合物である、例示化合物3−10を下記に示す計算方法によってHOMO、LUMO値を計算した。尚、HOMO、LUMOの計算方法は、米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian03(Gaussian03、Revision C.02,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.)を用いて計算した時の値であり、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)である。
【0142】
尚、本発明の例示化合物3−10の分子軌道計算を行うに当たり、比較化合物として、従来公知の電子注入兼輸送材料として代表的な化合物である、BAlqを選択して、比較計算を行った。
【0143】
【化21】

【0144】
得られた結果を下記に示す。
【0145】
HOMO値 LUMO値 備考
3−10 −5.16 −1.56 本発明
BAlq −5.13 −1.42 比較
本発明のケイ素化合物3−10のHOMO、LUMOの電子雲を図45、図46に各々示す。
【0146】
得られた結果から、本発明のケイ素化合物3−10は、従来公知の、代表的な電子注入兼輸送材料であるBAlqと比較して、深いHOMO、LUMO値を示しており、電子注入兼輸送性の高い化合物である事が示唆される。
【0147】
上記から、本発明のケイ素化合物の一例である、例示化合物3−10が高い電子注入兼輸送性を示すことから、有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)、有機TFT(有機薄膜トランジスタ)、有機薄膜太陽電池等のエレクトロニクス分野等への応用が、大いに期待できる化合物であることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】例示化合物1−2の1H−NMRスペクトルを示す。
【図2】例示化合物1−2の13C−NMRスペクトルを示す。
【図3】例示化合物2−2の1H−NMRスペクトルを示す。
【図4】例示化合物2−2の13C−NMRのスペクトルを示す。
【図5】例示化合物3−6の1H−NMRスペクトルを示す。
【図6】例示化合物3−6の13C−NMRスペクトルを示す。
【図7】例示化合物4−1の1H−NMRスペクトルを示す。
【図8】例示化合物4−1の13C−NMRスペクトルを示す。
【図9】例示化合物1−1の1H−NMRスペクトルを示す。
【図10】例示化合物1−1の13C−NMRスペクトルを示す。
【図11】例示化合物1−3の1H−NMRスペクトルを示す。
【図12】例示化合物1−3の13C−NMRスペクトルを示す。
【図13】例示化合物1−4の1H−NMRスペクトルを示す。
【図14】例示化合物1−4の13C−NMRスペクトルを示す。
【図15】例示化合物1−5の1H−NMRスペクトルを示す。
【図16】例示化合物1−5の13C−NMRスペクトルを示す。
【図17】例示化合物1−12の1H−NMRスペクトルを示す。
【図18】例示化合物1−12の13C−NMRスペクトルを示す。
【図19】例示化合物2−1の1H−NMRスペクトルを示す。
【図20】例示化合物2−1の13C−NMRスペクトルを示す。
【図21】例示化合物2−3の1H−NMRスペクトルを示す。
【図22】例示化合物2−3の13C−NMRスペクトルを示す。
【図23】例示化合物2−4の1H−NMRスペクトルを示す。
【図24】例示化合物2−4の13C−NMRスペクトルを示す。
【図25】例示化合物2−7の1H−NMRスペクトルを示す。
【図26】例示化合物2−7の13C−NMRスペクトルを示す。
【図27】例示化合物2−8の1H−NMRスペクトルを示す。
【図28】例示化合物2−8の13C−NMRスペクトルを示す。
【図29】例示化合物2−9の1H−NMRスペクトルを示す。
【図30】例示化合物2−9の13C−NMRスペクトルを示す。
【図31】例示化合物3−1の1H−NMRスペクトルを示す。
【図32】例示化合物3−1の13C−NMRスペクトルを示す。
【図33】例示化合物3−2の1H−NMRスペクトルを示す。
【図34】例示化合物3−2の13C−NMRスペクトルを示す。
【図35】例示化合物3−3の1H−NMRスペクトルを示す。
【図36】例示化合物3−3の13C−NMRスペクトルを示す。
【図37】例示化合物3−4の1H−NMRスペクトルを示す。
【図38】例示化合物3−4の13C−NMRスペクトルを示す。
【図39】例示化合物3−7の1H−NMRスペクトルを示す。
【図40】例示化合物3−7の13C−NMRスペクトルを示す。
【図41】例示化合物3−8の1H−NMRスペクトルを示す。
【図42】例示化合物3−8の13C−NMRスペクトルを示す。
【図43】例示化合物3−9の1H−NMRスペクトルを示す。
【図44】例示化合物3−9の13C−NMRスペクトルを示す。
【図45】本発明のケイ素化合物3−10のHOMOの電子密度の分布図を示す。
【図46】本発明のケイ素化合物3−10のLUMOの電子密度の分布図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表わされることを特徴とするケイ素化合物。
【化1】

〔式中、R1は置換基を表わし、Ar1、Ar2は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。但し、Ar1、Ar2の少なくともひとつは置換基を有する。〕
【請求項2】
下記一般式(2)で表わされることを特徴とするケイ素化合物。
【化2】

〔式中、R2、R3は、各々置換基を表わし、Ar3、Ar4は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。但し、Ar3、Ar4の少なくともひとつは置換基を有する。〕
【請求項3】
下記一般式(3)で表わされることを特徴とするケイ素化合物。
【化3】

〔式中、R4、R5は、各々置換基を表わし、Ar5、Ar6は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。但し、Ar5、Ar6の少なくとも一つは置換基を有する。〕
【請求項4】
下記一般式(5)で表わされる化合物と下記一般式(6)で表わされる化合物を反応させる工程を有することを特徴とする下記一般式(7)で表わされるケイ素化合物の製造方法。
【化4】

〔式中、Ar1、Ar2は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。〕
【化5】

〔式中、R1は置換基を表す。〕
【化6】

〔式中、R1は置換基を表わし、Ar1、Ar2は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。〕
【請求項5】
前記一般式(7)で表わされるケイ素化合物と前記一般式(6)で表わされる化合物を反応させる工程を有することを特徴とする下記一般式(8)で表わされるケイ素化合物の製造方法。
【化7】

〔式中、R2、R3は、各々置換基を表わし、Ar3、Ar4は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。〕
【請求項6】
前記一般式(8)で表わされるケイ素化合物とCP2Zr(CH2=CH2)(ここで、CPはシクロペンタジエニル基を表す。)を反応させる工程、次いで、酸処理を行う工程を有することを特徴とする下記一般式(9)で表わされるケイ素化合物の製造方法。
【化8】

〔式中、R4、R5は、各々置換基を表わし、Ar5、Ar6は、各々芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。〕
【請求項7】
前記一般式(9)で表わされる化合物と(Ra)4NXを反応させる工程を有することを特徴とする下記一般式(4)で表わされるジエン誘導体の製造方法。
【化9】

〔式中、R6、R7は、各々置換基を表す。Raはアルキル基または芳香族炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表す。〕

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2008−127338(P2008−127338A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315001(P2006−315001)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】