説明

ケイ素含有重合体の建造用接着剤としての使用

本発明は、C1〜C20アルキル(メタ)アクリラート及び、少なくとも1種のエチレン性不飽和酸無水物又は、カルボン酸基が無水物基を形成することができるエチレン性不飽和ジカルボン酸、又はこれらの混合物、又は少なくとも1種のイソシアナート基を含有するラジカル共重合可能なモノマーの、ケイ素含有コポリマーを少なくとも1種含有する接着剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C1〜C20アルキル(メタ)アクリラート及び、少なくとも1種のエチレン性不飽和酸無水物又は、カルボン酸基が無水物基を形成することができるエチレン性不飽和ジカルボン酸、又はこれらの混合物、又は少なくとも1種のイソシアナート基を含有するラジカル共重合可能なモノマーの、ケイ素含有コポリマーを少なくとも1種含有する接着剤に関する。
【0002】
更に本発明は、この接着剤の製造並びに、建造用接着剤(Bauklebstoff)、特に寄せ木張り接着剤(Parkettkleber)又は構造接着剤としての使用に関する。
【0003】
寄せ木張り接着剤は下地と寄せ木張りの接着に使用され、ここで寄せ木張りは、木材又は木材及び木材原材料からなる。寄せ木張りの接着のためには、実質的に3つの種類の接着剤が使用される:
・分散液接着剤
・溶媒接着剤
・反応樹脂接着剤。
【0004】
DIN281「寄せ木張り接着剤」は、分散液接着剤及び溶媒接着剤のための要求及び試験基準を記載する。
【0005】
分散液接着剤は、水中に分散した有機バインダー、無機充填剤及び必要とあれば添加剤からなる。分散液接着剤は、拡散及び、水の蒸発により硬化する。この接着剤からの水は、寄せ木張り木材/−要素を膨潤させる。欠点は、硬化相における機械的な障害に対する敏感さである。
【0006】
溶媒接着剤は、溶解された有機バインダー、揮発性溶媒、無機充填剤及び添加剤からなる。これは、拡散及び溶媒の揮発により硬化する。溶媒は、分散液接着剤からの水と同様に、寄せ木張り木材を膨潤させる。危険物質指令及びTRGS 610 (BarbBI. 5号/1998)により、高い程度に溶媒を含有する接着剤の使用は、労働者保護の理由から、強力に制限されている。
【0007】
反応樹脂接着剤は、化学的反応性有機バインダー、無機充填剤並びに添加剤からなり、従って理想的には水及び更には溶媒不含である。
【0008】
一成分系(1K)と二成分系(2K)とは区別するべきである。2K系は、連続的な凝固下での混合された成分の化学反応により、硬化する。1K系は、通常は、バインダーと周囲湿分との化学反応により硬化する。反応樹脂接着剤は、通常は、寄せ木張り木材に対して膨潤性に作用する成分を含まない。
【0009】
構造接着剤(二次接着剤ともいう)は、その特性に基づいて種々の構造物のために、特に建造産業において適する組成である。しかしながら、部材、例えば車両−、飛行機−、貨車−、コンテナ−及びボート建造における部材の接着のために、家具の製造の際に、又は気候−及び通気技術においても、構造接着剤はより一層頻繁に使用される。この接着剤は、極めて高い初期付着を、最終的に良好な、木材、金属、セラミック、PVC及び更なるプラスチックの接着の耐久力と同時に屋内領域及び屋外領域で示し、しかしながら、間隙結合(Spaltueberbrueckung)、付着スペクトル、及び柔軟性に関して特殊な能力をも示す。
【0010】
構造接着剤(Montagekleber)の適用は、対象物の、天井、壁及び床に対する迅速かつ長持ちする固定である。しばしば、構造接着剤は、補修作業のためにも、並びに、カーペット−、PVC−、ポリオレフィン−、ゴム−、コルク−又はリノリウムの据え付けの際の固定のために、床においてもまた同様に壁の範囲においても使用することができる。通常は、構造接着剤は、その有利な特性のために、シーラントとしても使用される。構造接着剤では、一方では、粘性及び安定性を、そして他方では有利な流動特性を達成することが重要である。加えて、前記接着材料は、材料の凹凸を橋かけすること(間隙結合)、十分な開放時間を保証し、かつ高い剪断強さを達成することができなくてはならない。
【0011】
構造接着剤では、4種類の系が区別される:
a)溶媒含有系
b)反応系(反応硬化接着剤)
c)溶融接着剤(ホットメルト)
(d)水ベース系(分散液接着剤)。
【0012】
高い程度の溶媒を含有する構造接着剤の使用は、可能な限り最善の労働者保護の理由から可能な限り回避すべきである。溶媒含有接着剤は、加えて特に、大平面の接着の際に、屋内領域で好ましくなく、というのは前記接着剤はしばしば、自由になった溶媒蒸気による臭気の問題を生じるからである。溶媒含有系の使用の際の利点は、この存在する溶媒が迅速に前記接着材料から抜け出ることができ、かつ従って、比較的迅速に堆積作業のための高い付着が達成されることができることにある。
【0013】
ホットメルトは加工のために、特殊な条件/−装置のいずれかの使用を必要とするか、又はホットメルトは、堆積作業のために十分な付着特性を達成するために、比較的長時間を必要とする。
【0014】
水ベース系は、存在する水を緩慢にのみ放出するという欠点を有する。この接着材料の硬化工程は従って、比較的ゆっくりである。水ベース系の大きな利点は、放出される溶媒による臭気の問題及び/又は健康の懸念が生じないことである。
【0015】
反応系は、本発明による系と同様に、水−及び溶媒不含の系であり、かつ従って、例えば、構造接着剤としての使用の際に顕著な収縮が起こらない利点を有する。
【0016】
EP 387 587は、上述のポリマーの製造及びシーラントとしてのその使用を記載する。
【0017】
EP 122 457は、シラン化したポリアクリラート並びシーラント又は接着剤としてのその使用を開示する。
【0018】
EP 199 445は、シラン化したポリアクリラート及び例えばシーラント材料中でのその使用を記載する。
【0019】
WO 02/9249は同様に、シラン化したコポリマー並びにシーラントとしてのその使用を開示する。
【0020】
WO 95/17443は同様に、シラン化したアクリラートコポリマー並びにシーラント材料中でのその使用を記載する。
【0021】
しかしながら公知技術のいずれの文献も、ケイ素含有重合体の、建造用接着剤のための、特に寄せ木張り−又は構造接着剤のための使用を開示しない。
【0022】
本発明の課題は、迅速な強度の建造(Festigkeitsaufbau)並びに良好な剪断強度に優れた接着剤の開発であった。
【0023】
この課題は本発明により、
(A)次のものからなるケイ素含有コポリマーを少なくとも1種含有するポリアクリラート樹脂、
a)C1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート(モノマーA)80〜99.9質量%、及び
b)少なくとも1種のエチレン性不飽和酸無水物又は、カルボン酸基が無水物基を形成できるエチレン性不飽和ジカルボン酸(モノマーB)0.1〜20質量%、又は、少なくとも1種の、イソシアナート基少なくとも1個を含有するラジカル共重合可能なモノマー(モノマーC)0.1〜10質量%、
c)1種又は複数種のラジカル共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(モノマーD)0〜30質量%、及び
d)少なくとも1種の、一般式I、II又はIII
【化1】

[式中、
mは、0、1又は2の数を表す、
1は、10個までのC原子を有する、酸素又は窒素で中断されていてよい炭化水素鎖を表す、
2は、同一の又は異なる加水分解可能な基を表す、及び
3は、同一の又は異なるC1〜C5−アルキル基を表す、
4は、水素残基、又は10個までのC原子を有する、酸素又は窒素を含有してよい炭化水素鎖を表す、かつ
5は、エポキシド残基
【化2】

又は3,4−エポキシシクロヘキシル残基を表す]
のシラン、
(B)充填剤
(C)更なる通常の助剤
(D)並びに可塑剤0〜60質量%を含有する接着剤により解決された。
【0024】
本発明の更なる主題は、本発明による接着剤の製造並びに、建造用接着剤、特に寄せ木張り又は構造接着剤における使用である。更に、開示された接着剤は、フォーム接着剤/−浸漬、シート接着剤、混練材料として並びにコーティング、タイル接着剤のためのバインダーとして及び衝撃音遮音材のために使用されることができる。
【0025】
本発明により使用される共重合体は、必ずしも触媒の存在を必要とすること無しに迅速な強度の建造により優れている。加えて、R2又はR3=エトキシを有するシランの使用では、メタノールの放出が回避できる。
【0026】
モノマーAとして有利には、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルが重合導入され、前記エステルは、1〜10個のC原子を含有するアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール及びイソブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール並びに2−エチルヘキサノールから誘導され、その際、例えばメチルメタクリラート、メチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、エチルアクリラート、ラウリルアクリラート及び2−エチルヘキシルアクリラート、有利にはブチルアクリラート及びエチルヘキシルアクリラートを挙げることができる。このモノマーは、単独又は混合して使用されることができる。
【0027】
モノマーAは、50〜99.9質量%、有利には80〜99.9質量%の量で使用される。
【0028】
モノマーDは、補助モノマーであり、重合体の特定の硬度を調節するために使用されることができる。モノマーDとして、例えばアクリル−又はメタクリルニトリル、アクリルアミド、C2〜C12−n−アルカン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル、並びにビニル芳香族モノマー、例えばスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン又はtert−ブチルスチレンが使用されることができ、その際アクリル−及びメタクリルニトリル並びにスチレンが有利である。更に、エチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はイタコン酸が使用されることができる。
【0029】
モノマーDは、0〜30質量%の量で使用される。
【0030】
有利には、モノマーA、Dの質量部は、フォックスの関係式を用いて、これらのモノマーからのみ構成される重合体が、ガラス転移温度−70〜+15℃、有利には−50〜−10℃を有するように選択する。Fox(T.G. Fox, Bull. Am. Phys. Soc. [Ser. II], 1 , 123 [1956])によれば、共重合体のガラス転移温度に関しては、次式が良好な近似において当てはまる:
【数1】

ここで、x1、x2、・・・xnはモノマー、1、2、・・・nの質量含有率を、そしてTg1、Tg2、・・・Tgnはガラス転移温度を、そのつどモノマー1、2、・・・・又はnの1種のみから構成されたポリマーのケルビン温度で示したものである。
【0031】
このモノマーA及びDのホモポリマーのガラス転移温度は公知であり、例えばJ. Brandrup, E. H. Immergut, Polymer Handbook 1版. J. Wiley, New York, 1966及び2版 J. Wiley, New York, 1975中に挙げられている。
【0032】
モノマーBとして、これはモノマーCよりも好ましいが、有利には二塩基酸の環式の無水物、例えば無水マレイン酸、イタコン酸無水物又はシトラコン酸無水物が使用され、特に有利には無水マレイン酸が使用される。モノマーBは、0.1〜20質量%、有利には0.5〜15質量%、特に有利には1〜10質量%の量で使用される。
【0033】
モノマーCとして、例えば一般式II
【化3】

[式中、可変部は、次の意味を有する:
6は、水素又はメチル
7は、一回又は複数回酸素によって中断されていてよい、12個までのC原子を有する炭化水素鎖]
のω−イソシアナトアルキルアクリラート及び−メタクリラートが考慮され、これは特に、DE-A 35 23 692中に記載されている。更なる可能性のあるモノマーCは、アルケニル基中に2〜4個の炭素原子を有するN−(1−アルケニル)イソシアナート、並びに、1−(4−イソプレニル−フェニル)−1−メチル−エチルイソシアナート及び、ビス[イソシアナート]カルビジイミド及びアクリル酸からのアダクトである。この両方の上記モノマーは特に、「Methoden der organischen Chemie (Houben-Weyl)」, E20, 1573〜1575頁 Georg Thieme Verlag, Stuttgart (1987) 中に記載されている。有利なモノマーCは、ビニルイソシアナート、2−メチル−アクリル酸−(2−イソシアナート−エチルエステル)、2−メチル−アクリル酸−(5−イソシアナート−3−オキサ−ペンチルエステル)並びにアクリル酸−(1,2−ジメチル−3−イソシアナート−プロピルエステル)である。
【0034】
ハロゲン、アミノ基又は少ない数のC原子を有するアルキルオキシ、アルキルチオ−、アルキルアミノ−又はジアルキルアミノ基は、有利な加水分解可能な基R2に属する。アルキル基とは、1〜5個のC原子を含有するアルキル残基、例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、n−ブチル−、i−ブチル又はペンチル残基が理解される。
【0035】
一回又は複数回酸素によって中断されていてよい、12個までのC原子を有する炭化水素鎖は、エチル−、プロピル−、ブチル−、t−ブチル−、ペンチル−、ヘキシル−、オクチル−、ノニル−、デシル−、ドデシル−又はウンデシル鎖を意味することができる。
【0036】
窒素又は酸素を含有することができる、10個までのC原子を有する炭化水素鎖は、R4についてはメチル−、エチル−、プロピル−又はt−ブチル残基を意味し、またR4については、アミノアルキル、マレイン酸ジアルキルエステル残基、シクロヘキシル−又はフェニル残基を意味し、かつR1については、プロピル、2,2−ジメチルブチル並びに、α−シランの基については、CH2残基を意味する。
【0037】
有利には、使用されるシランIは、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)−トリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、1−ブタンアミン−4−(ジメトキシメチルシリル)−2,2−ジメチル、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)メチルジトキシシラン、(N−フェニルアミノエチル)トリメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリアルコキシシランである。
【0038】
一般式IIのメルカプトシランは、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン又は3−メルカプトプロピルエトキシシランである。一般式IIIのエポキシシランとして、例えば3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン又はβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが理解される。
【0039】
本発明による重合体のシランI、II又はIIIに関する含有量は、モノマーB又はCの含有量に依存する。従って、シランの含有量は、組み込まれたシランのモル数を分子として、そして組み込まれたモノマーB又はモノマーCの形で組み込まれたイソシアナート基のモル数を分母として形成された商Qが、0.1〜1、有利には0.5〜1、特に有利には0.8〜1であるような量となる。
【0040】
本発明による重合体は、接着剤のためのベースとして、特に建造用接着剤、例えば寄せ木張り接着剤及び構造接着剤のために傑出して適する。
【0041】
本発明による重合体の製造は、目的に応じて、モノマーA〜Dから、ラジカル溶液重合の自体公知の方法により、出発ポリマーを製造し、この溶液又は溶融物中で、シランIを通常は、数分間の間撹拌し、ここでこの温度はあまり意味を有さず、25〜120℃であってよい。ラジカル溶液重合のための溶媒として、通常は、エーテル、例えばテトラヒドロフラン又はジオキサン、エステル、例えば酢酸エチル又はn−ブチルアセタート、ケトン、例えばアセトン及びシクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジアルキルカルボン酸アミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド又はN−メチル−2−ピロリドン、芳香族化合物、例えばトルエン及びキシレン、脂肪族炭化水素、例えばイソオクタン、塩素化した炭化水素、例えばtert−ブチルクロリド又は可塑剤、例えばジ−n−ブチルフタラートが使用される。
【0042】
ラジカル開始剤として、特に有機アゾ化合物又は有機過酸化物、例えばアゾ−ビス−(イソブチロニトリル)、過酸化ジベンゾイル、t−ブチルペルピバラート、t−ブチル−ペルオクトアート、t−ブチルペルネオデカノアート、t−ブチルペルイソノナノアート、t−アミル−ペルピバラート並びにt−ブチルペルベンゾアートが考慮される。
【0043】
更なる助剤として、水捕捉剤、触媒又は連鎖移動物質、例えば脂肪族、芳香族又は脂環式メルカプタン、例えばn−ブチルメルカプタン又はn−ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン又はチオグリコール酸アルキルエステル、例えばチオグリコール酸エチルエステル又はテルピノレンが添加されることができる。特に有利な分子量調節剤は、t−ドデシルメルカプタン、テルピノール又はメルカプトアルコキシシランである。
【0044】
重合温度は、有利には70〜160℃である。通常は、この重合は供給方法の形で実施され、その際重合バッチの一部を装入し、重合温度に加熱し、引き続きこの重合温度を維持して、重合バッチの残りを、このうちの1つが前記モノマーを含有する別個の供給手段において連続的に供給する。この供給方法は通常は2〜24時間の期間にわたる。引き続き通常は更に1〜2時間後重合する。目的に応じて、「水不含」の重合媒体中で、即ち、100ppmよりも少ない水含有量で作業する。有利には、自体で水不含の反応関与物質の溶液重合は、少ない量の乾燥剤、例えばテトラアルコキシシラン、例えばテトラメトキシシラン又はオルトギ酸トリアルキルエステル、例えばトリエチルオルトホルミアートの存在下で、場合によりルイス酸の添加下で実施される。このようにして得られる出発ポリマー溶液から、溶媒を要求に応じて、例えば真空中での蒸留により、部分的又は完全に分離することができる。
【0045】
この際生じる出発ポリマーのテトラヒドロフラン(THF)中でのK値は、有利には1〜100、特に有利には1〜30、とりわけ有利には5〜20である。このK値は、相対粘度数であり、これは、25℃でDIN 53726に類似して測定される。これはTHF1モルにつきポリマー0.01gからなる混合物の流動速度を有し、純粋なTHFの流動速度に総体的に、かつ、ポリマーの平均重合度を特徴付ける。
【0046】
出発ポリマーの溶融物又は溶液中でのシランI、II又はIIIの撹拌により、本発明による重合体は、物質中で又は溶液中で得られ、その際シランI又はIIとの反応は一般的に、既に室温で行われ、その一方でシランIIIとの反応では100℃よりも高い温度が必要である。
【0047】
本発明による接着剤の製造の際には、助剤として、特に外部可塑剤、不活性充填剤、表面改質性充填剤、顔料分散剤、レオロジー添加剤、チキソトロープ剤、増粘剤、付着促進剤、水捕捉剤、着色剤、溶媒、難燃剤、耐老化性の向上のための剤又は、空気湿分の作用による硬化を加速する作用物質が添加される。
【0048】
添加物質の量は当業者に良く知られていて、かつ接着剤の所望の特性に依存して選択され、かつ目的に応じて本発明による重合体の溶液又は溶融物中で、又は直接的に重合体中に混入される。調製物の全体の質量に対して、本発明によるケイ素を含有する重合体の割合は、通常は20〜100質量%、有利には30〜70質量%である。
【0049】
適した充填剤又は顔料は、例えば、「Pigment- und Fuellstoff Tabellen」 Lueckert, (2002) Vincentz社に記載されている。
【0050】
不活性充填剤として、特にケイ酸アルミニウム、石英、沈殿又は熱分解シリカ(これは疎水化されていてよい)、軽晶石又は重晶石、タルク、ドロマイト、炭酸カルシウム並びに着色性顔料、例えばチタン白、鉛白、クロム黄、鉛丹、亜鉛黄又はカーボンブラックが考慮され、並びにケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム及びケイ酸マグネシウムが考慮される。充填剤のいくつかは有利に、更なる増強性の効果を、例えば接着剤の凝集により高めることができる。
【0051】
更なる無機充填剤粒子として、例えば、紅柱石、シリマナイト、藍晶石、ムライト、パイロフィライト、オモゴライト(Omogolit)、又はアロフェンからの充填剤粒子が適する。更に適するのは、アルミン酸ナトリウム、シリカート、例えばケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム又はケイ酸(例えばAerosil(R))をベースとする化合物である。同様に適するのは、鉱物、例えば珪土、硫酸カルシウム(石膏)、排煙脱硫装置に起因しない、無水物、半水物又は二水物の形での、石英粉、シリカゲル、沈殿又は天然の硫酸バリウム、二酸化チタン、ゼオライト、リューサイト、カリ長石、黒雲母、ソロ−、シクロ−、イノ−、フィロ−、及びテクトシリカートのグループ、難溶性スルファートのグループ、例えば石膏、無水石膏又は重晶石、並びにカルシウム鉱物、例えば方解石が適する。
【0052】
前述の無機材料は、単独で又は混合しても使用することができる。更なる適した材料は、沈殿又は天然のカオリン、タルク、水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウム(燃焼クラスの調節のため)、膨張グラファイト、シートシリカート、酸化亜鉛並びにジルコニウム塩である。軽量充填剤−、セラミック系微中空球、ガラス中空球、泡ガラス球、発泡又は非発泡ポリスチレン又はその他の軽量充填剤(例えばこれらは、Omega-Minerals社から製造されている)、の添加によりパラメーター、例えば寸法安定性及び密度に影響が及ぼされる。
【0053】
充填剤粒子は、平均粒径分布に関する×50値、約1〜120μm、例えば約3〜60μm又は約60〜90μmを有し、これはイソプロパノール中でSympatec(R) Helos H 0720を用いて測定された。
【0054】
同様に、有機充填剤粒子が使用に適する。ここでは、特に微粉砕したプラスチック粉、例えば、プラスチックのリサイクルの際に生じることがあるプラスチック粉、及び、高架橋したエラストマー又は熱硬化性ポリマーの微粉砕から得られるプラスチック粉が挙げられる。このための例は、ゴム粉であり、例えばこれは、自動車タイヤの微粉砕により生じる。更なる充填剤粒子は、プラスチック繊維、衝撃強さ改質剤、セルロース繊維、ガラス繊維(例えば、商品名、Wollastonit(R))である。
【0055】
この顔料は、前記接着剤又は構造接着剤を着色するために使用される。有利には、有機顔料及び酸化鉄である。例えば、BASF社のLuconyl(R)のタイプである。この顔料は0〜5質量%、有利には0.5〜2質量%の量で使用される。
【0056】
可塑剤として、一般的に、ポリマーと相容性である全てのタイプが考慮され、例えば、アジパート、フタラート、セバカート、リン酸エステル、ジカルボキシラート、シトラート、塩素化又は非塩素化炭化水素可塑剤又は軟質樹脂である。
【0057】
可塑剤として、例えば、0〜60質量%の量で、プロピレングリコールアルキルフェニルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ポリイソブチレン、フタル酸エステル及び/又はスルホン酸エステル、ベンゼンスルホンアミド、Pluriole又は可塑剤を有する樹脂溶融物(天然及び合成樹脂を有する)、ホスファートエステル、ジ−2−エチルヘキシルセバカート(DOS)及びジ−2−エチルヘキシルアゼラート(DOZ)、ジイソデシルセバカート(DIDS)、トリス−2−エチルヘキシルトリメリタート(トリオクチルトリメリタート、TOTM)、L79TM(混合した半線状C7及びC9アルコールのエステル)、及びL810TM、混合したC8及びC10線状アルコールのエステル、又はエポキシド化した大豆油(ESBO)、並びにエポキシド化した亜麻仁油(ELO)が使用される。有利にはしかしながら、可塑剤の使用は断念される。
【0058】
更に、脂肪アルコール又はその誘導体を使用することができ、特に高級脂肪酸のトリグリセリド、有利には天然の油脂が使用されることができる。
【0059】
更なる可塑剤として、フタラート(Palatinol タイプ)、アジパート(Plastomoll(R) タイプ)、ジカルボキシラート(例えば、Hexamoll(R) DINCH)、シトラート又は軟質樹脂(例えば、acResin(R) DS 3500, Acronal(R) 4 F)が使用されることができる。
【0060】
更なる助剤に、例えば、開放時間及び機械的特性に影響を及ぼすための溶媒、例えばブチルグリコールが属する。粘着付与剤として、コロホニウム−又は炭化水素ベースの樹脂が使用されることができる。更なる助剤は、架橋剤、付着促進剤、顔料分散剤、抗沈殿剤、安定剤であってよい。付着促進剤として、例えば、シラン、例えばビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリアルコキシシリルプロピル)アミンが使用されることができる。特定の基材への付着は、プライマーの使用により更に改善される。
【0061】
更なる通常の助剤は、レオロジー添加剤である。「Lackrohstoff-Tabellen」, Karsten, 10版, Vincentz 社, 856頁〜に概要がある。これには、無機及び有機増粘剤又はチキソトロープ剤、例えば、限定するものではないが、カオリン、シートシリカート、例えばスメクタイト、ベントナイト、ヘクトライト(例えば、Bentone(R) 27, Elementis社)、改質したアルキル樹脂(Borchi(R) Set 134, Borchers社)、改質した尿素樹脂(Byk(R) 410, Byk Chemie)、ポリアミドロウ(Crayvallac(R) SLX, Crayvallac(R) Super, Cray Valley社, Disparlon(R) 6100 , CH. Erbsloeh)、植物油誘導体(Polytix(R) R100, CF社)、変性したひまし油誘導体(Thixatrol(R) ST, Elementis社, Flowtone(R) ST, Cray Valley社)、脂肪酸アミド(Lutovix(R) HP, Lehmann & Voss)並びに繊維充填剤(例えば、ポリエチレン繊維、例えばStewathix(R) 100/200/500/600, STW社)が挙げられる。更に、疎水化されていてよい沈殿又は熱分解ケイ酸(例えば、Aerosil(R) 300,Degussa社又は疎水化したタイプ、例えば、Aerosil(R) R 106 , Degussa社)が、レオロジー添加剤として考慮される。増粘剤として更に、セルロース(エチルセルロース、Herkules社)及びその誘導体、並びに天然の増粘剤、例えばベントナイト、アルギナート、又はデンプンが使用されることができる。
【0062】
本発明による重合体及び処方物は、既に、室温で、空気湿分の作用下で、迅速に進行する硬化により特徴付けられ、これは、必要に応じて、相当する触媒の添加により付加的に加速されることができる。
【0063】
適した触媒は、「Lackrohstoff-Tabellen」, Karsten, 10版, Vincentz社, 797頁〜に記載されている。
【0064】
触媒として、使用できるのは例えば次のものである:有機又は無機酸、例えば、p−トルエンスルホン酸、リン酸、並びにそのモノ−及びジエステル、有機酸の塩、例えばスズナフテナート、スズオクトアート、スズブチラート、鉄ステアラート、テトラ−n−ブチルチタナート、ジ−n−ブチル−スズ−ジ−n−ドデカナート又はジ−n−ブチルスズ−ジアセタート、ジ−n−ブチル−スズ−ジラウラート、又は有機アミン、例えばイソホロン、イミダゾールその他。有利な縮合触媒は、有機スズ塩、例えば、ジブチルスズジラウラート及びジブチルスズジアセタート又は有機ビスマス化合物である。本発明による調製物は、この作用物質0〜5質量%、有利には0〜2質量%、特に有利には0〜1質量%を含有することができる。
【0065】
接着剤は、一成分系の形で製造されることができ、この際全ての成分は混合され、引き続き密閉された容器中で貯蔵される。前記接着剤は、二成分系の形でも使用することができ、この際出発ポリマー及び助剤を、一成分へと混合し、ここの中に、適用前にシランIを第二成分として混入する。一成分系の場合には、とりわけ、水の排除に配慮して注意を払わなくてはならず、というのもさもなければ、接着剤の予定より早い硬化が起こるからである。二成分系の場合には、出発ポリマー中での又は助剤中での少ない痕跡量の水の存在は余り重要でなく、これは、出発成分の加工をも、また接着剤の貯蔵をも容易にする。
【0066】
次の実施例は本発明を詳説するが、それにより本発明は制限されない。
【0067】
実施例B1〜B16並びにB18
主として、アクリル酸及び/又はメタクリル酸エステルから構成されている、様々なケイ素を含有する重合体
B1
トルエン300g、トリエチルオルトホルミアート1g、及び無水マレイン酸50g(510mmol)からなる溶液を、110℃の重合温度に加熱し、引き続きこの重合温度の維持下で、2.5時間の経過の間に、n−ブチルアクリラート550g、及び、これに並行して、3.5時間の経過の間に、トルエン100g中のアゾ−ビス−(イソブチロニトリル)2gの溶液と混合した。この後で、更に2時間110℃で後重合した。溶液中で得られた出発ポリマーのK値(THF中)は32であった。この出発ポリマーの得られた溶液中に、室温で5分間の間、3−アミノプロピルトリメトキシシラン12g(67mmol)を混入した。得られた液体から試料を2mmの層厚で、ガラスプレート上に設け、標準気候(23℃、50%相対湿度)に曝した。24時間後に、この形成したフィルムは流動挙動をもはや示さなかった。
【0068】
B2
B1と同様であるが、但し無水マレイン酸50gの代わりに、2−メチルアクリル酸−(5−イソシアナート−3−オキサペンチルエステル)12g(60mmol)を重合導入した。この出発ポリマーのK値(THF中で)は、36.5であった。70時間後に、この形成したフィルムは流動挙動をもはや示さなかった。
【0069】
B3
トルエン300g及びトリエチルオルトホルミアート2gからなる溶液を、80℃の重合温度に加熱し、引き続き3時間の間に、n−ブチルアクリラート500g、アクリロニトリル90g及び2−メチル−アクリル酸−(2−イソシアナート−エチルエステル)10g(65mmol)からなるモノマー混合物と、かつ、これに並行して、3.5時間の経過の間に、トルエン100g中のアゾ−ビス−(イソブチロニトリル)2gの溶液と混合した。この後で、更に1.5時間110℃で後重合し、引き続き溶媒150gを真空中で留去した。次いで、室温で、K値(THF中で)42.0を有する出発重合体を含有する溶液中に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン11.6g(65mmol)を混入し、この得られた調製物の試料を2mmの層厚で、ガラスプレート上に設け、かつ3週間の間標準気候に曝した。引裂強さ0.37N/mm2及び破断点伸び677%(この両方とも、送り速度100mm/minで、かつ試験体S3Aの使用下でDIN 53 504により)を有する透明な弾性のフィルムが得られた。
【0070】
B4
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は80℃であり、モノマー混合物の組成は、エチルアクリラート540g、アクリロニトリル50g、及び2−メチルアクリル酸−(2−イソシアナートエチルエステル)10g(65mmol)であり、このモノマー混合物の供給を1時間45分の間行い、開始剤溶液はアゾ−ビス(イソブチロニトリル)3gを含有し、かつ、モノマー混合物に並行して、2時間30分間の間供給し、後重合を90℃で行い、留去した溶媒の量は130gであり、この出発ポリマー(THF中で)のK値は、45.9gであり、シランIとして、3−アミノプロピルトリエトキシシラン14.3g(65mmol)を添加し、この引裂強さは1.3N/mm2及び破断点伸びは146%であった。
【0071】
B5
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は105℃であり、モノマー混合物の組成は、エチルアクリラート490g、n−ブチルメタクリラート100g、及び2−メチルアクリル酸−(2−イソシアナートエチルエステル)12g(77mmol)であり、このモノマー混合物の供給を2時間の間行い、開始剤溶液はアゾ−ビス(イソブチロニトリル)3gを含有し、かつ、モノマー混合物に並行して、2時間15分間の間供給し、後重合は2時間かかり、留去した溶媒の量は100gであり、この出発ポリマー(THF中で)のK値は、36.4gであり、シランIとして、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン14.3g(64mmol)を添加し、この引裂強さは0.36N/mm2及び破断点伸びは345%であった。
【0072】
B6
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は100℃であり、モノマー混合物の組成は、n−ブチルアクリラート500g、エチルアクリラート90g、及び2−メチルアクリル酸−(5−イソシアナート−3−オキサペンチルエステル)15g(75mmol)であり、このモノマー混合物は、更にチオグリコール酸エチルエステル2gを含有し、このモノマー混合物の供給を2.5時間の間行い、開始剤溶液はアゾ−ビス(イソブチロニトリル)4gを含有し、かつ、モノマー混合物に並行して、3時間の間添加し、後重合は1時間かかり、この溶媒を完全に留去し、この出発ポリマー(THF中で)のK値は、21.4であり、3−アミノプロピルトリメトキシシランの添加量は12g(67mmol)であり、ジ−n−ブチル−スズ−ジ−n−ドデカナート2gと一緒に添加し、この引裂強さは0.2N/mm2及び破断点伸びは98%であった。
【0073】
B7
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は100℃であり、モノマー混合物の組成は、エチルアクリラート590g及び2−メチルアクリル酸−(5−イソシアナート−3−オキサペンチルエステル)10g(50mmol)であり、このモノマー混合物の供給を2時間の間行い、開始剤溶液はアゾ−ビス(イソブチロニトリル)4gを含有し、かつ、モノマー混合物に並行して、2時間30分の間添加し、この後重合は1時間かかり、溶媒の留去された量は200gであり、この出発ポリマー(THF中で)のK値は、26.1であり、3−アミノプロピルトリメトキシシランの添加量は9g(50mmol)であり、かつ疎水化した熱分解ケイ酸30g並びにジ−n−ブチル−スズ−ジ−n−ドデカナート2gと一緒に添加し、この引裂強さは0.8N/mm2及び破断点伸びは110%であった。
【0074】
B8
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は100℃であり、モノマー混合物の組成は、エチルアクリラート490g、アクリロニトリル100g及び2−メチルアクリル酸−(5−イソシアナート−3−オキサペンチルエステル)10g(50mmol)であり、このモノマー混合物の供給を2時間の間行い、開始剤溶液はアゾ−ビス(イソブチロニトリル)4gを含有し、かつ、モノマー混合物に並行して、2時間30分の間添加し、この後重合は1時間かかり、溶媒の留去された量は100gであり、この出発ポリマー(THF中で)のK値は、39.5であり、3−アミノプロピルトリメトキシシランの添加量は9g(50mmol)であり、この引裂強さは2.3N/mm2及び破断点伸びは550%であった。
【0075】
B9
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は110℃であり、装入した溶液は更に無水マレイン酸10g(102mmol)を含有し、モノマー混合物の組成は、エチルアクリラート510g、メチルメタクリラート60g、及びスチレン20gであり、この後重合は130℃で行われ、1時間かかり、溶媒の留去された量は80gであり、この出発ポリマー(THF中で)のK値は、37.5であり、3−アミノプロピルトリメトキシシランの添加量は18.3g(102mmol)であり、この引裂強さは1.08N/mm2及び破断点伸びは575%であった。
【0076】
B10
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は110℃であり、装入した溶液は更に無水マレイン酸10g(102mmol)を含有し、モノマー混合物の組成は、エチルアクリラート410g、メチルメタクリラート160g、及びスチレン20gであり、この後重合は130℃で行われ、1時間かかり、溶媒は留去されず、この出発ポリマー(THF中で)のK値は、34であり、3−アミノプロピルトリメトキシシランの添加量は10g(56mmol)であり、この引裂強さは1.52N/mm2及び破断点伸びは358%であった。
【0077】
B11
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は100℃であり、装入物は更に無水マレイン酸20g(204mmol)を含有し、モノマー混合物の組成は、n−ブチルアクリラート510g、アクリロニトリル60g、及びスチレン20gであり、このモノマー混合物は更に、チオグリコール酸エチルエステル2gを含有し、この開始剤溶液を、モノマー混合物に並行して3時間の間添加し、この後重合は100℃で行われ、1時間かかり、留去された溶媒の量は400gであり、この出発ポリマー(THF中で)のK値は、30.5であり、3−アミノプロピルトリメトキシシランの添加量は10g(56mmol)であり、この引裂強さは1.32N/mm2及び破断点伸びは363%であった。
【0078】
B12
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は100℃であり、装入物は更に無水マレイン酸10g(102mmol)を含有し、モノマー混合物は、エチルアクリラート590gのみからなり、かつ2時間の間添加し、開始剤溶液をモノマー混合物と並行して2.5時間の間供給し、この後重合は1時間かかり、溶媒の留去された量は120gであり、この出発ポリマー(THF中で)のK値は28.4であり、シランIとして、3−アミノプロピルトリエトキシシラン10g(45mmol)を添加し、この引裂強さは0.36N/mm2及び破断点伸びは347%であった。
【0079】
B13
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は90℃であり、装入物は更に無水マレイン酸30g(306mmol)を含有し、モノマー混合物の組成は、n−ブチルアクリラート510g、アクリロニトリル60g、及びスチレン20gであり、モノマー混合物の供給を2.5時間の間行い、この開始剤溶液はアゾ−ビス−(イソブチロニトリル)4gを含有し、モノマー混合物に並行して3時間の間添加し、この後重合は1時間かかり、溶媒は留去されず、この出発ポリマー(THF中で)のK値は、36.1であり、シランIとして、3−アミノプロピルトリエトキシシラン12g(54mmol)を、疎水化した熱分解ケイ酸50g並びにジ−n−ブチル−スズ−ジ−n−ドデカナート2gと一緒に添加し、この引裂強さは1.1N/mm2及び破断点伸びは230%であった。
【0080】
B14
B3と同様であるが、次の違いを有する:重合温度は120℃であり、装入物は、ジ−n−ブチルフタラート370g、テトラエトキシシラン5g、及び無水マレイン酸20g(204mmol)からなり、モノマー混合物の組成は、エチルアクリラート710g及びメチルメタクリラート180gであり、モノマー混合物の供給を2.5時間の間行い、この開始剤溶液はtert−ブチルペルベンゾアート5g並びにジ−n−ブチルフタラート30gからなり、かつモノマー混合物に並行して、3.0時間の間添加し、この後重合は120℃で行われ、1時間かかり、溶媒は留去されず、この出発ポリマー(THF中で)のK値は、39であり、シランIとして、3−アミノプロピルトリエトキシシラン14g(63mmol)を添加し、この引裂強さは0.1N/mm2及び破断点伸びは83%であった。
【0081】
B15
2−エチルヘキシルアクリラート225g、エチルアクリラート60gからのモノマー混合物5%並びにメチルエチルケトン45g中のtert−ブチルペルピバラート8gの開始剤溶液10%を、メチルエチルケトン228g及び無水マレイン酸15g(153mmol)と、80℃の重合温度に加熱し、引き続き3時間のうちに、このモノマー混合物の残量と、かつこれに並行して、3.25時間の経過の間に、この開始剤溶液の残量と混合した。この経過の終了後に、tert−ブチルペルピバラート0.4g及びメチルエチルケトン30gからなる開始剤溶液を5分間のうちに計量供給した。この後で、更に45分間90℃で後重合し、引き続き溶媒を真空中で留去した。溶液中に得られる出発ポリマーのK値(THF中で)は、18.1であった。
【0082】
B16
2−エチルヘキシルアクリラート225g、n−ブチルアクリラート60gからのモノマー混合物5%並びにメチルエチルケトン55g中のtert−ブチルペルピバラート8gの開始剤溶液10%を、メチルエチルケトン219g及び無水マレイン酸15g(153mmol)と、80℃の重合温度に加熱し、引き続き3時間のうちに、このモノマー混合物の残量と、かつこれに並行して、3.25時間の経過の間に、この開始剤溶液の残量と混合した。この経過の終了後に、tert−ブチルペルピバラート0.4g及びメチルエチルケトン30gからなる開始剤溶液を5分間のうちに計量供給した。この後で、更に45分間90℃で後重合し、引き続き溶媒を真空中で留去した。溶液中に得られる出発ポリマーのK値(THF中で)は、17.3であった。
【0083】
B17
2−エチルヘキシルアクリラート202g、エチルアクリラート60g及びメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン38g(153mmol)からのモノマー混合物5%並びにメチルエチルケトン53g中のtert−ブチルペルピバラート8gの開始剤溶液10%を、メチルエチルケトン217gと一緒に80℃の重合温度に加熱し、引き続き3時間のうちに、このモノマー混合物の残量と、かつこれに並行して、3.25時間の経過の間に、この開始剤溶液の残量と混合した。この経過の終了後に、tert−ブチルペルピバラート0.4g及びメチルエチルケトン35gからなる開始剤溶液を5分間のうちに計量供給した。この後で、更に45分間90℃で後重合し、引き続き溶媒を真空中で留去した。溶液中に得られる出発ポリマーのK値(THF中で)は、20.0であった。
【0084】
B18
n−ブチルアクリラート219g、エチルアクリラート60g及び無水マレイン酸21g(214mmol)からのモノマー混合物5%並びにo−キシレン70g中のtert−ブチルペルオクトアート6gの開始剤溶液10%を、o−キシレン220gと一緒に140℃の重合温度に加熱し、引き続き3時間のうちに、このモノマー混合物の残量と、かつこれに並行して、3.25時間の経過の間に、この開始剤溶液の残量と混合した。この経過の終了後に、tert−ブチルペルオクトアート0.3g及びo−キシレン15.3gからなる開始剤溶液を5分間のうちに計量供給した。この後で、更に45分間140℃で後重合し、引き続き溶媒を真空中で留去した。溶液中に得られる出発ポリマーのK値(THF中で)は、11.2であった。
【0085】
本発明による実施例B15〜B18の強度建造の試験
例の処方物V1〜V10:
出発ポリマー(B15〜B17) 50.00g
Dynasilane 1189(又はDynasilan AMEO、両方のシランはDegussa社から) 5.99g
ジブチルスズジラウラート(触媒) 0.50g
ケイ酸 500 LS(チキソトロープ剤) 1.00g。
【0086】
150mlのPEビーカー中に、前記のポリアクリラート、シラン及び触媒を量り取った。この混合物をディゾルバーを用いて均質混合した。チキソトロープ剤を量り取り、同様に、ディゾルバーを用いて均質混合した。
【0087】
例の処方物V1−V10の強度建造の試験
DIN EN 14293に従った寄せ木張り接着剤の動的な剪断強度:接着剤の例の処方物を、歯付き角材(Zahnleiste)TKB B 3を用いて、オークのモザイク寄せ木張り薄片(160x23x8mm)に対して、側面に対して横に、接着すべき面の範囲において設けた。塗布後すぐさま、このオークのモザイク寄せ木張り薄片を、テンプレートを用いて、接着面26×23mm(〜6cm2)が生じるように、はめ込んだ。この際、上側の寄せ木張り薄片が、下側の寄せ木張り薄片の縁に対して、対称的かつ平行に配置されるように注意しなくてはならない。この配置の後に、接着した面を1分間、2kg/6cm2でもって負荷した。
【0088】
そのつど5つの試験体を、標準気候(NKL:相対空気湿分50%で、23℃)中で次のように貯蔵した:A:2時間、B:4時間、C:24時間、D:7日間、E:14日間
この動的剪断強度の試験を、試験速度20mm/minを用いて、試験装置Zwick Z010 (Zwick GmbH & Co. KG社, Ulm)を用いて行った。
【0089】
表:試験した例の処方物V1〜V10の組成
【表1】

接着剤P1の例示的処方:
B18 出発ポリマー 300.00g
Palatinol N (可塑剤)+2% EC N 100(エチルセルロース) 70.00g
Polycarb SB(充填剤) 100.00g
Precarb 100(充填剤) 130.00g
ケイ酸500 LS(チキソトロープ剤) 18.00g
Dynasilan A 1637(架橋剤)26.66g
Dynasilan 1505(架橋剤)22.45g
ビニルトリメトキシシラン(水捕捉剤) 4.00g。
【0090】
押し込みタイプの金属缶中に、出発ポリマーB18、溶解したエチルセルロースを有する可塑剤、チキソトロープ剤及び充填剤を量り取った。この混合物を、高い回転数でもって均質混合し、その際この材料は、前記缶中で60℃の温度を越えなかった。水捕捉剤、付着促進剤及び架橋剤を、ここに添加した。この混合物を典型的には1時間真空下で、およそ50℃の温度で撹拌した。
【0091】
表:DIN EN 14293に従った動的剪断試験の結果
【表2】

【表3】

【0092】
この試験結果は、本発明による例V2〜V4並びにV6〜V8により、比較例V9及びV10によるよりもより高い剪断強度が、達成されることを示す(終強度)。加えて、迅速な強度の建造が、触媒の非使用下でも、本発明による例により達成される。ポリマー組成物の適した処方又は変動により、より高い加工性とともに、更により高い終強度が実現可能である(P1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のものを含有する接着剤。
(A)次のものからなるケイ素含有コポリマーを少なくとも1種含有するポリアクリラート樹脂、
a)C1〜C20−アルキル(メタ)アクリラート(モノマーA)80〜99.9質量%、及び
b)少なくとも1種のエチレン性不飽和酸無水物又は、カルボン酸基が無水物基を形成できるエチレン性不飽和ジカルボン酸(モノマーB)0.1〜20質量%、又は、少なくとも1種の、イソシアナート基少なくとも1個を含有するラジカル共重合可能なモノマー(モノマーC)0.1〜10質量%、
c)1種又は複数種のラジカル共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(モノマーD)0〜30質量%、及び
d)少なくとも1種の、一般式I、II又はIII
【化1】

[式中、
mは、0、1又は2の数を表す、
1は、10個までのC原子を有する、酸素又は窒素で中断されていてよい炭化水素鎖を表す、
2は、同一の又は異なる加水分解可能な基を表す、及び
3は、同一の又は異なるC1〜C5−アルキル基を表す、
4は、水素残基、又は10個までのC原子を有する、酸素又は窒素を含有してよい炭化水素鎖を表す、かつ
5は、エポキシド残基
【化2】

又は3,4−エポキシシクロヘキシル残基を表す]
のシラン、
(B)充填剤
(C)更なる通常の助剤並びに
(D)可塑剤0〜60質量%。
【請求項2】
ポリアクリラート樹脂A)の含有量が、20〜100質量%であることを特徴とする、請求項1記載の接着剤。
【請求項3】
ポリアクリラート樹脂A)の含有量が、30〜70質量%であることを特徴とする、請求項1記載の接着剤。
【請求項4】
接着剤が、1〜100のK値を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の接着剤。
【請求項5】
接着剤が、建造用接着剤であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の接着剤。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか1項記載の接着剤の建造用接着剤としての使用。
【請求項7】
部材の接着のための、請求項1から5までのいずれか1項記載の接着剤の使用。
【請求項8】
請求項1から5までのいずれか1項記載の接着剤の寄せ木張り接着剤としての使用。
【請求項9】
請求項1から4までのいずれか1項記載の接着剤の構造接着剤としての使用。
【請求項10】
接着剤を、一成分系の形で製造することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の接着剤の製造方法。
【請求項11】
接着剤を、二成分系の形で製造することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の接着剤の製造方法。

【公表番号】特表2008−540718(P2008−540718A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509431(P2008−509431)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061959
【国際公開番号】WO2006/117362
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】