説明

ケース入りラップロール

【課題】簡易な構成によりラップフィルム先端片のラップケース本体内への巻き戻りを防止し得るようにしたケース入りラップロールを提供すること。
【解決手段】ラップフィルム8を巻回してなるラップフィルムロール体7と、前記ラップフィルムロール体7を収容するケース本体2と前記ケース本体2の上部開口を開閉自在に覆蓋するケース蓋体3とを有するケース入りラップロールにおいて、前記ケース本体2はケース本体前板11の中段部に前記ラップフィルム8の先端片41を引出す横スリット12を設ける一方、前記ケース蓋体3は前記ケース本体2の覆蓋状態において前記横スリット12より下方にのびる長さをもつ蓋体前板21をそなえるとともにその蓋体前板21の下縁21aに沿って前記ラップフィルム8を切断するラップカッター22を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、食品などを包装するラップフィルムをロール状に巻回したラップフィルムロール体をラップケース内に収容してなるケース入りラップロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図6に例示するように、長尺のラップフィルムを巻回してなるラップフィルムロール体7を直方体のケース1内に収容したケース入りラップロールが広く使用されている。この従来のケース入りラップロールでは、ラップケース本体2の内部に収容しているロール状のラップフィルムをラップケース本体2の上部開口5から必要長さだけ引き出し、同ラップフィルムをラップケース本体2を覆蓋するケース蓋体3の前板21の下縁に設けられているラップカッター22によって切断して使用するようになっている。
【0003】
ところで、この従来のケース入りラップロールでは、切断されたあとのラップフィルム8の先端片41がそのままラップケース本体2の外側に残らずに、ラップケース本体2内に巻き戻されてしまい、次に使用するときにそのラップフィルムの先端片41を容易に取り出すことができないという問題があった。
【0004】
従来公知のケース入りラップロールの中には、このような問題を改善するためにラップケースのケース本体前板11の前面に感圧粘着剤層からなるラップフィルム保持部を設けたものがある(下記特許文献1)が、この従来例のように特別のフィルム保持部を設けることはそれだけコストアップにつながり得策ではない。
【0005】
【特許文献1】特開2007−112475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、ケース入りラップロールにおける上記のような問題を改善するためになされたもので、簡易な構成によりラップフィルム先端片41のラップケース本体2内への巻き戻りを防止し得るようにしたケース入りラップロールを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、上記課題を達成するための手段として、図1ないし図5に例示するように、ラップフィルム8を巻回してなるラップフィルムロール体7と、前記ラップフィルムロール体7を収容するケース本体2と前記ケース本体2の上部開口を開閉自在に覆蓋するケース蓋体3とを有するケース入りラップロールにおいて、前記ケース本体2はケース本体前板11の中段部に前記ラップフィルム8の先端片41を引出す横スリット12を設ける一方、前記ケース蓋体3は前記ケース本体2の覆蓋状態において前記横スリット12より下方にのびる長さをもつ蓋体前板21をそなえるとともにその蓋体前板21の下縁21aに沿って前記ラップフィルム8を切断するラップカッター22を設けたことを基本的特徴とするものである。
【0008】
そして、本願発明のケース入りラップロールにおいては、これに加えて前記ケース本体前板11が厚紙等の可撓性素材で作られており且つ該ケース本体前板11が適宜の補強手段13によって補強されていることが推奨される。
【0009】
さらに本願発明のケース入りラップロールにおいては、前記ケース本体前板11の前面で前記横スリット12の横方向中央部近傍に触覚により認識できる触覚マーク14が設けられている構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本願発明のケース入りラップロールでは、ラップケース内に収納されているラップフィルムロール体の先端片41は、ケース本体前板11の中段部に設けた横スリット12を通してラップケース外へ引き出され、ケース蓋体3の前板21に設けたラップカッター22によって切断されたあともそのままラップケース1外に残るから従来のケース入りラップロールのようにラップフィルム先端片がラップケース内に巻き戻されて次回の取り出しに困るということがない。したがって、毎回スムーズにラップフィルムの取り出しが行えるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
続いて図1ないし図5を参照して本願発明の好適な実施例を説明すると、図1には本願発明の実施例にかかるケース入りラップロールが、そのケース蓋体3を開いた状態で示されている。このケース入りラップロールは、厚紙で作られるほぼ直方体状のケース本体2と該ケース本体2の開口部後縁にヒンジ結合されたケース蓋体3とでもってラップケース1を形成し、そのケース本体2の内部にラップフィルムをロール状に巻回してなるラップフィルムロール体7を収納して構成されている。
【0012】
ケース本体2のケース本体前板11の中段部にはラップフィルムロール体7の全幅にまたがる長さをもって横スリット12が形成されており、該横スリット12からはラップフィルムロール体7の最外周に巻回されているラップフィルム8の先端片41がケース本体2外に引き出されて露出している。
【0013】
ケース蓋体3はケース本体前板11の前面を覆う蓋体前板21を有しており、該蓋体前板21はケース蓋体3の閉蓋時にケース本体前板11側の横スリット12より寸法Bだけ下方にのびる縦長さAを有している(図2参照)。蓋体前板21の下縁部には鋸歯状のラップカッター22が横スリット12の長さに対応する長さで設けられている。
【0014】
図示実施例のケース入りラップロールは次のようにして使用される。
【0015】
すなわち、このケース入りラップロールは、出荷時には図1に示すようにラップフィルム8の先端片41をケース本体前板11に形成してある横スリット12から引き出した状態とされ、この先端片41の引き出し状態でケース蓋体3をケース本体2上に覆蓋して出荷される(図2参照)。そしてこのケース入りラップロールからラップフィルム8を取り出して使用するに際しては、ケース蓋体3を開けて図3、図4に示すようにラップフィルム8を必要長さだけ横スリット12を通して引き出したあと、図5に示すようにケース蓋体3を閉じ、さらにラップフィルム8の先端片41側をラップカッター22に当てて切断する。
【0016】
このようにすると、ラップフィルムロール体7側のラップフィルム先端片41は図5に示すようにケース本体前板11と蓋体前板21の間に挟まれた状態となって残るから、同ラップフィルム先端片41が不用意にケース本体2内に巻き戻されることがない。そして、次回にラップフィルムを使用すべくケース蓋体3を開いたときには、常に図1に示すようにラップフィルム先端片41が一定寸法だけケース本体2の外側に露出しており、容易に同先端片41をつかんでラップフィルム8を引き出すことができる。
【0017】
なお、図示実施例のケース入りラップロールでは、ケース本体2側のケース本体前板11の強度を補強するための補強材(厚紙製)13がケース本体前板11の裏面に同ケース本体前板11の横方向全長に亘って貼着されている。また、ケース本体前板11の前面には横スリット12の長さ方向中央部付近において視覚障害者用の触覚マーク(触覚によりラップフィルム先端片41の中央部付近を認識可能にする、たとえばエンボス加工)が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の実施例にかかるケース入りラップロールの開蓋状態における斜視図である。
【図2】図1に示すケース入りラップロールの閉蓋状態における縦断面図である。
【図3】図2に示すケース入りラップロールの開蓋状態図である。
【図4】図3に示すケース入りラップロールの斜視図である。
【図5】図3に示すケース入りラップロールにおける閉蓋状態図である。
【図6】従来公知のケース入りラップロールの斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1はラップケース、2はケース本体、3はケース蓋体、4はケース内室、7はラップフィルムロール体、8はラップフィルム、11はケース本体前板、12は横スリット、13は補強材
14は触覚マーク、21は蓋体前板、22はラップカッター、41はラップフィルム先端片である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップフィルム(8)を巻回してなるラップフィルムロール体(7)と、前記ラップフィルムロール体(7)を収容するケース本体(2)と前記ケース本体(2)の上部開口を開閉自在に覆蓋するケース蓋体(3)とを有するケース入りラップロールであって、前記ケース本体(2)はそのケース本体前板(11)の中段部に前記ラップフィルム(8)の先端片(41)を引出す横スリット(12)を設ける一方、前記ケース蓋体(3)は前記ケース本体(2)の覆蓋状態において前記横スリット(12)より下方にのびる長さをもつ蓋体前板(21)をそなえるとともにその蓋体前板(21)の下縁(21a)に沿って前記ラップフィルム(8)を切断するラップカッター(22)を設けたことを特徴とするケース入りラップロール。
【請求項2】
前記ケース本体前板(11)が厚紙等の可撓性素材で作られており且つ該ケース本体前板(11)が適宜の補強手段(13)によって補強されていることを特徴とする請求項1記載のケース入りラップロール。
【請求項3】
前記ケース本体前板(11)の前面で前記横スリット(12)の横方向中央部近傍に触覚により認識できる触覚マーク(14)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のケース入りラップロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−296993(P2008−296993A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146368(P2007−146368)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(507180711)
【Fターム(参考)】