説明

ケーブルユニット及びその保守方法

【課題】作業性を向上させたケーブルユニット及びその保守方法を提供すること。
【解決手段】ケーブルユニット10は、ケーブル1と、ケーブル1の両端に設けられる一対のコネクタ2、3と、ケーブル1に沿って所定間隔で設けられ、発光する複数の発光部4と、を備えている。また、コネクタ2、3又はコネクタ2、3近傍には、発光部4を通電状態又は非通電状態に切り替えるスイッチ5、6が設けられている。発光部4は、ケーブル1内の電源ライン、又は、データ信号及び制御信号に使用しないラインを用いて通電し、発光を行ってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機器を相互に接続するケーブルユニット及びその保守方法に関し、特に作業性を向上させたケーブルユニット及びその保守方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、PCサーバなどを含むコンピュータシステムにおいては、ネットワーク、コンピュータ、周辺機器などが複数のケーブルを介して相互に接続されている。通常、これら相互に接続されたネットワーク、コンピュータ、周辺機器等を保守目的で交換を行う場合、各機器を接続しているケーブルを特定し、特定したケーブルを非接続状態にする、若しくは、変更するなどの処置が行われる。
【0003】
また、近年、ラックマウント型サーバや高密度実装型の装置などの普及に伴い、多数のサーバと接続するための多数のケーブルが一定の設置箇所に集中し、各ケーブルの接続状態の判断が困難となっている。
【0004】
このようなケーブルの接続状態を判断するために、例えば、作業者が目視できる位置まで収納しているケーブルを引出して目視による確認を行い、サーバおよび接続機器間における通電状態を確認して両端のコネクタの特定を行い、或いは、コネクタの両端にコネクタを識別するためのマーキング等が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−215660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記いずれの方法を用いても、接続するケーブル数が増加し、かつ、サーバと同様に高密度にケーブルを収納しなければならない状況においては、各ケーブルの接続状態の判断がより困難となる。その結果、サーバ保守作業に必須なケーブルの特定や交換に、より多くの作業時間を消費することとなる。一方で、発光ユニットをケーブル上に複数装着した発光ユニット付きケーブルが知られているが(例えば、特許文献1参照)、このケーブルは、複数の機器間を接続するものではなく、その保守作業性等を考慮して設計されているとは言えない。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、作業性を向上させたケーブルユニット及びその保守方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、ケーブルと、該ケーブルの両端に設けられる一対のコネクタと、前記ケーブルに沿って所定間隔で設けられ、発光する複数の発光部と、を備えるケーブルユニットであって、前記コネクタ又は該コネクタ近傍には、前記発光部を通電状態又は非通電状態に切り替えるスイッチが設けられている、ことを特徴とするケーブルユニットである。
【0009】
また、上記目的を達成するための本発明の一態様は、ケーブルと、該ケーブルの両端に設けられる一対のコネクタと、前記ケーブルに沿って所定間隔で設けられ、発光する複数の発光部と、を備えるケーブルユニットの保守方法であって、前記コネクタ又は該コネクタ近傍に設けられたスイッチを操作して、前記発光部を通電状態にし、発光させる、ことを特徴とするケーブルユニットの保守方法であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業性を向上させたケーブルユニット及びその保守方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るケーブルユニットの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るケーブルユニットの概略的な構成を示す構成図である。
【図3】USBケーブルのLEDライン及び第1及び第2スイッチの動作を詳細に説明するための概念図である。
【図4】USBケーブルのLEDライン及び第1及び第2スイッチの動作を詳細に説明するための概念図である。
【図5】ラックマウントシステムに予め配線されたケーブルユニットを取り外す状態を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るケーブルユニットの概略的な構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るケーブルユニットの機能ブロック図である。本実施形態に係るケーブルユニット10は、ケーブル1と、ケーブル1の両端に設けられる一対のコネクタ2、3と、ケーブル1に沿って所定間隔で設けられ、発光する複数の発光部4と、を備えている。また、コネクタ2、3又はそのコネクタ2、3近傍には、発光部4を通電状態又は非通電状態に切り替えるスイッチ5、6が夫々設けられている。
【0013】
これにより、作業者は、コネクタ2、3又はコネクタ2、3近傍に設けられたスイッチ5、6のうち操作性の良好な方を操作し、ケーブル1の各発光部4を発光させることができる。したがって、作業者はケーブル1に沿って所定間隔で設けられた複数の発光部4の発光を視認することで、ケーブル1の配線位置、配線状態等を容易に視認することができる。すなわち、ケーブルユニット10の作業性を向上させることができる。
【0014】
図2は、本実施形態に係るケーブルユニットの概略的な構成を示す構成図である。本発明の一実施形態に係るケーブルユニット10は、その長手方向に沿って複数のライン(配線)が並行に埋設されたUSB(Universal Serial Bus)ケーブル1と、USBケーブル1の両端に設けられた一対のUSBコネクタ2、3と、USBケーブル1に設けられ、発光する複数のLED(発光部)4と、LED3を通電状態又は非通電状態に切り替える一対の第1及び第2スイッチ5、6と、を備えている。
【0015】
一対のUSBコネクタ2、3には、4つのピンが夫々設けられており、USBケーブル1には7本のライン(例えば、電力供給ライン11、信号ライン12、13、グランドライン14、LEDライン15)がUSBケーブル1の長手方向に沿って埋設されている。なお、USBコネクタ2、3に設けられるピンの数は任意でよく、USBケーブル1に埋設されるラインの数も任意でよい。また、USBコネクタ2、3の各ピンには、USBケーブル1の各ラインの両端が夫々接続されている。
【0016】
例えば、各USBコネクタ2、3の第1ピン(+5V)21、31に、USBケーブル1の電力供給ライン11の両端が夫々接続されている。各USBコネクタ2、3の第2ピン(DATA−)22、32に、USBケーブル1の信号ライン12の両端が夫々接続されている。各USBコネクタ2、3の第3ピン(DATA+)23、33に、USBケーブル1の信号ライン13の両端が夫々接続されている。各USBコネクタ2、3の第4ピン(GRAND)24、34に、USBケーブル1のグランドライン14の両端が夫々接続されている。なお、USBコネクタ2、3のピンアサインは、上記構成に限らず、任意のピンアサインが適用可能である。
【0017】
USBケーブル1には、LED4に電力を供給し、発光させるためのLEDライン15が埋設されている。また、LEDライン15には、USBケーブル1のシールド上に視認可能なように、その長手方向に沿って所定間隔で配置された、3つのLED4が接続されている。なお、USBケーブル1に設けられるLED4の数は任意でよく、また、複数のLED4が等間隔或いは不等間隔で設けられる構成であってもよく、作業者がLED4の発光を良好に視認できれば任意の構成でよい。さらに、LED4は、USBコネクタ2、3に設けられていてもよい。
【0018】
また、発光部4として、赤色、黄色、緑色、白色、青色等のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)4を用いているが、任意の発光部材を用いることができる。なお、消費電力、寿命、輝度等を考慮すると、本実施形態のようにLED4を用いるのが好ましい。一対の第1及び第2スイッチ5、6は、例えば、押圧等を行うことでオン/オフ切替が可能なスイッチであり、一対のUSBコネクタ2、3に夫々設けられている。また、第1及び第2スイッチ5、6は、各LED4を通電状態に切替えて点灯/点滅させ、又は各LED4を非通電状態に切替えて消灯させることができる。なお、本実施形態において、一対の第1及び第2スイッチ5、6がUSBコネクタ2、3に設けられる構成であるが、これに限らず、設けられるスイッチの数及び位置は任意でよい。例えば、第1及び第2スイッチ5、6は、USBコネクタ2、3近傍の、USBケーブル1に設けられていてもよい。
【0019】
USBケーブル1のLEDライン15は、第1ライン151と、第2ライン152と、第3ライン153と、の3本のラインで構成されている。LEDライン15の第1乃至3ライン151、152、153の両端は、一対の第1及び第2スイッチ5、6を介して、電力供給ライン11及びグランドライン14に夫々接続されている。したがって、USBケーブル1のピンアサイン、インタフェース、USBコネクタ形状等を変更することなく、USBケーブル1の配線位置、接続状態等を認識するための各LED4の発光を実現することができる。
【0020】
図3は、USBケーブルのLEDライン及び第1及び第2スイッチの動作を詳細に説明するための概念図である。第1及び第2スイッチ5、6は、第1接点51、61と、第2接点52、62と、一端が電力供給ライン11を介して第1ピン21、31に接続され、他端が第1接点51、61又は第2接点52、62とに接触を切換える切替部53、63と、を夫々有している。
【0021】
第1ライン151は、その間に各LED4が接続されており、その両端に第1及び第2スイッチ5、6の第1接点51、61が夫々接続されている。同様に、第2ライン152は、その間に各LED4が接続されており、その両端に第1及び第2スイッチ5、6の第2接点52、62が夫々接続されている。第3ライン153は、その間に各LED4が接続されており、その両端にUSBコネクタ2、3の第4ピン24、34が夫々接続されている。
【0022】
なお、第1及び第2スイッチ5、6は、3路スイッチを構成している。すなわち、表1に示すように、第1スイッチ5の切替部53が第1接点51に接触し、かつ、第2スイッチ6の切替部63が第1接点61に接触するとき、各LED4は通電状態に切替り点灯/点滅する(図3)。また、第1スイッチ5の切替部53が第2接点52に接触し、かつ、第2スイッチ6の切替部63が第2接点62に接触するとき、各LED4は通電状態に切替り点灯/点滅する。
【0023】
一方で、第1スイッチ5の切替部53が第1接点51に接触し、かつ、第2スイッチ6の切替部63が第2接点62に接触するとき、各LED4は非通電状態に切替り消灯する。また、第1スイッチ5の切替部53が第2接点52に接触し、かつ、第2スイッチ6の切替部63が第1接点61に接触するとき、各LED4は通電状態に切替り消灯する(図4)。このように、第1及び第2スイッチ5、6を、3路スイッチとして構成することで、第1及び第2スイッチ5、6のうち操作性の良好な方を操作することで、各LED4の点灯と消灯とを容易に切換えることができる。
【表1】

【0024】
例えば、図5に示すように、ケーブルユニット10が、ラックマウントシステム100に予め配線されており、このケーブルユニット10をラックマウントシステム100から取り外す場合を想定する。この場合、まず、作業者は、USBコネクタ2、3の第1及び第2スイッチ5、6のうち操作性の良好な方(例えば、作業者により近い方)を操作して切換え、USBケーブル1の各LED4を点灯/点滅させることができる。これにより、作業者は、USBケーブル1の長手方向に沿って所定間隔で設けられた複数のLED4の点灯/点滅を視認することで、USBケーブル1の配線位置、配線状態等を容易に視認することができる。
【0025】
上述したように、ケーブルユニット10の保守交換などにより、ラックマウントシステム100に収納された複数のサーバに接続される多数のUSBケーブル1の中から、特定のUSBケーブル1を取り外す、或いはUSBケーブル1を交換する場合において、複数のケーブルが一箇所に集中的に収納されている状態でも、取外すUSBケーブル1を容易に特定することができる。例えば、作業者は、複数の同一形状のUSBケーブル1が、どのサーバに接続されているのかを、容易に判別することができる。また、作業者は、同一サーバに複数のケーブルが接続されている場合、どのサーバのどのUSBケーブル1がどの機器に接続されているかを、容易に判別することができる。
【0026】
さらに、USBケーブル1の一部が連続的或いは断続的に他の部材の陰に隠れ、作業者が視覚的にUSBケーブル1の全体を識別するのが困難な場合も想定される。この場合でも、作業者は、USBケーブル1上に一定間隔で設けられた各LED4を、USBコネクタ2、3に近い位置から順に視覚認識し追跡することで、取り外すUSBケーブル1全体の配線位置、接続状態、収納状態などを容易に認識することができる。したがって、例えば、作業者は、各LED4の発光状況を視覚認識しつつ、保守作業におけるケーブル特定作業、ケーブリング作業等の作業効率を大幅に向上させることができる。すなわち、ケーブルユニット10の作業性を向上させることができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0028】
例えば、上記一実施形態において、USB用のケーブルユニット10が適用されているが、これに限らず、例えば、RS232C用のケーブルユニット20に適用してもよく(図6)、任意のケーブルユニットに適用可能である。
【0029】
このRS232C用のケーブルユニット20は、図6に示すように、複数のラインがクロスするクロスケーブルとして構成されたRS232Cケーブル7と、RS232Cケーブル7の両端に設けられた一対のRS232Cコネクタ8、9と、RS232Cケーブルに設けられ、発光する3つのLED4と、LED4を通電状態又は非通電状態に切り替える一対の第1及び第2スイッチ5、6と、を備えている。
【0030】
一対のRS232Cコネクタ8、9には、9つのピンが夫々設けられており、RS232Cケーブル7には12本のライン(例えば、電力供給ライン、信号ライン、グランドライン、LEDライン)がRS232Cケーブル7の長手方向に沿って埋設されている。
【0031】
各RS232Cコネクタ8、9の第9ピン(VCC+5V)に、RS232Cケーブル7の電力供給ラインの両端が夫々接続されている。また、各RS232Cコネクタ8、9の第5ピン(GRAND)に、RS232Cケーブル7のグランドラインの両端が夫々接続されている。さらに、LEDラインの第1乃至3ラインの両端は、一対の第1及び第2スイッチ5、6を介して、電力供給ライン及びグランドラインに接続されている。したがって、RS232Cケーブル7のピンアサイン、インタフェース、RS232Cコネクタ形状等を変更することなく、RS232Cケーブル7の配線位置、接続状態等を認識するための各LED4の発光を実現することができる。
【0032】
また、上記一実施形態において、USBケーブル1の各LED4の発光色は、同一であってもよく、異なっていてよい。また、各LED4は、USBケーブル1上に異なる配列で配置されていてもよい。さらに、各LED4の発光色、発光周期、配列等を変えたUSBケーブル1を複数組構成してもよい。これにより、各USBケーブル1におけるLED4の発光方法を視覚的に認識することで、同一種類のUSBケーブル1における接続状態やUSBケーブル1の収納状況などを容易に認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えば、コンピュータシステムのネットワーク、コンピュータ、周辺機器等を相互に接続するケーブルユニット及びその保守方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 USBケーブル
2、3 USBコネクタ
4 LED
5 第1スイッチ
6 第2スイッチ
10 ケーブルユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルと、該ケーブルの両端に設けられる一対のコネクタと、
前記ケーブルに沿って所定間隔で設けられ、発光する複数の発光部と、を備えるケーブルユニットであって、
前記コネクタ又は該コネクタ近傍には、前記発光部を通電状態又は非通電状態に切り替えるスイッチが設けられている、ことを特徴とするケーブルユニット。
【請求項2】
請求項1記載のケーブルユニットであって、
前記発光部は、前記ケーブル内の電源ライン、又は、データ信号及び制御信号に使用しないラインを用いて通電し、発光を行う、ことを特徴とするケーブルユニット。
【請求項3】
請求項1又は2記載のケーブルユニットであって、
前記発光部は、LEDである、ことを特徴とするケーブルユニット。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のケーブルユニットであって、
前記ケーブルは、USBケーブル又はRS232Cケーブルである、ことを特徴とするケーブルユニット。
【請求項5】
ケーブルと、該ケーブルの両端に設けられる一対のコネクタと、前記ケーブルに沿って所定間隔で設けられ、発光する複数の発光部と、を備えるケーブルユニットの保守方法であって、
前記コネクタ又は該コネクタ近傍に設けられたスイッチを操作して、前記発光部を通電状態にし、発光させる、ことを特徴とするケーブルユニットの保守方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−90414(P2012−90414A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234376(P2010−234376)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】