説明

ケーブル・ネットワークを介する音声/データ送信システムおよびその方法

無線通信システムが、少なくとも2つの信号を分離する第1の分配器(105)と、第1の信号を無線信号として処理する無線回路と、この無線回路(107、109)と第1の分配器(105)とに接続されており、2つの信号を合成してサービス領域に送信する合成器とを備えている。更に、無線通信システムは、無線信号と第2の信号とを分離する第2の分配器(115)と、無線信号を送信する送信機(113)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声/データ送信に関し、詳しくは、ケーブル・ネットワークを介して音声/データ送信を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル通信業者は、既存のアナログ・ケーブル・システムを双方向対応ディジタル・システムに切り換えると、新たな種類のコンテンツを別途送信できるようになる。更なる利点として、利用可能チャンネルの数が増え、ビデオ品質も向上する。双方向対応ディジタル・システムは、工業所有権(特許権)によって保護されているDOCSIS(Data Over Cable Service Interface Specification)ケーブル・モデムを使用して、実施されている。このディジタル・ケーブル・システムを介して各種音声サービスを家庭に配信する必要性が高まっている。
【0003】
ビデオ・サービスと高速データ・サービスの両方について、例えば、ディジタル・ケーブル・セット・トップ・ボックス、或いは、ディジタル・ケーブル・モデムのような端末装置は、屋内に設置されている。しかし、音声サービスについては、通常、ディジタル端末装置を屋外に設置する方が多い。これは、通常、電話会社によって実施されるが、電話会社は、家屋やその他の建造物の外壁面にネットワーク・インタフェース・デバイス(Network Interface Device)「NID」を設置して使用している。この家屋外に設けられるNIDは、利用可能な無線帯域の送信電力が低いため、完全な無線機能を実現するのは困難である。
【0004】
従って、ケーブル・ネットワークを介して音声/データ送信を行う方法が必要である。
【発明の開示】
【0005】
(発明の概要)
無線通信システムが、少なくとも2つの信号を分離する第1の分配器と、第1の信号を無線信号として処理する無線回路と、この無線回路と第1の分配器とに接続されており、2つの信号を合成してサービス領域に送信する合成器とを備えている。更に、無線通信システムは、無線信号と第2の信号とを分離する第2の分配器と、無線信号を送信する送信機とを備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の各推奨実施形態を、添付図面を参照して、更に詳しく説明する。
【0007】
本発明の一実施形態に従えば、ケーブル・ネットワークを介して音声/データ送信を行うシステムと方法が提供される。尚、以下の詳細な説明に於いて、「音声」という用語と「データ」という用語とは、互いに入れ替え可能である。
【0008】
また、本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特定用途プロセッサ、或いは、それらを任意に組み合わせた様々な形態で実施できる。一実施形態では、本発明は、プログラム記憶装置上に実装されたアプリケーション・プログラムとして、ソフトウェアの形態で実施できる。このアプリケーション・プログラムは、適切な任意のアーキテクチャから成るマシンにアップロードされて、そのマシンによって実行されるようにしてもよい。そのマシンは、1つ以上の中央処理装置(CPU)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および、入力/出力(I/O)インターフェースのようなハードウェアを有するコンピュータ・プラットホームで実施されることが望ましい。このコンピュータ・プラットホームには、また、オペレーティング・システムおよびマイク命令コードも含まれている。ここに説明する種々の処理および機能は、マイク命令コードの一部、或いは、アプリケーション・プログラムの一部(或いは、それらの組み合わせ)であってよく、オペレーティング・システムを介して実行される。更に、例えば、増設データ記憶装置や印刷装置のような様々なその他の周辺装置をコンピュータ・プラットホームに接続してもよい。
【0009】
更に、添付図面に示されている各システムの構成部分および本方法の各処理ステップの一部は、ソフトウェアの形態で実施できるので、システム構成部分(或いは、処理ステップ)相互間の実際の各関係は、本発明がプログラムされる形態によって、異なる場合がある。当業者であれば、ここに示された本発明の開示事項に基づいて、本発明のこれらの実施形態または構成、および、それに類似した実施形態または構成を容易に考案できるであろう。
【0010】
音声サービス、或いは、データ・サービスの何れについても、家屋外に設けられるNIDは、完全な無線機能を実現するのが困難である。その理由は、現在の認可されていない無線帯域、例えば、900MHz、2.4GHz、および、5GHzで利用可能な送信電力が、家屋の外壁を効果的に透通するには不十分だからである。
【0011】
本発明の一実施形態に従えば、無線データを既存の同軸ケーブルを介して家屋内へ伝送して、家屋内で分離・分配することが出来る。既存のビデオ・サービスは、殆どの場合、約860MHzより高くはならない。従って、現在の認可されていない無線帯域のデータは、ビデオ・サービスと同じケーブルに乗せることができ、家屋内で分離・分配することが出来る。無線音声信号、或いは、無線データ信号は、家屋内に伝送されると、ビデオ信号から分離され、増幅され、アンテナを介して送信される。また、増幅器に対する電力は、同軸ケーブルを介してDC電源として送ることが出来、或いは、標準的なAC/DC電源によって給電できる。
【0012】
電話/ケーブル事業者にとって、無線システムを使用する利点は、家屋内で必要な配線の量を減らせることである。無線電話システムの場合、事業者は、家屋内で撚線対線を新たに配線する必要が無い。
【0013】
現在敷設されている同軸ケーブルの殆どは、900MHzより高い周波数をあまり効果的に送信できない。しかし、殆どの場合、無線帯域抽出回路は、同軸ケーブルの入力ポイントのすぐ近くに配置される。同軸送信の長さが十分に短い、例えば、15フィート(約457cm)より短いと、同軸ケーブルの損失は、周波数が高い場合でもあまり大きくはならない。
【0014】
図1に於いて、信号が、ケーブル103を介して、インターフェース101に供給される。分配器105がこの信号を受信して、音声部分とビデオ部分とを分離する。ボイス・オーバー・ケーブル回路であるボイス・オーバーHFC(Hybrid/Fiber optic Coaxial)回路107が信号の音声部分を処理する。無線電話回路109が、ボイス・オーバーHFC回路107に接続されている。無線電話回路109は、音声部分を無線信号、例えば、所望の周波数を有する無線信号に変換する。この無線電話回路109は、別の無線回路、例えば、802.11B無線データ回路、或いは、その他の任意の適切な無線通信装置に置き換えることが出来る。このように、本システムは、無線音声サービス、および/または、無線データ・サービスに対応できる。無線データは、合成器111で、テレビジョン信号と合成できる。同軸ケーブルが、無線送信機113に接続されている。この無線送信機は、無線データからテレビジョン信号を分離するハイ/ロー(hi/low)フィルタ115を備えている。テレビジョン信号は、テレビジョンに送ることが出来る。無線データ信号は、狭帯域フィルタ117と増幅器119とを経て、アンテナ121によって送信できる。
【0015】
図2に於いて、信号が、電話部分とテレビジョン部分とに分離される(ステップ201)。電話部分は、無線音声信号、および/または、無線データ信号として処理される(ステップ203)。この無線信号はテレビジョン信号と合成され、その合成信号は、屋内領域、即ち、サービス領域に供給される(ステップ205)。無線信号は、テレビジョン信号から分離され、濾波され、増幅され、送信される(207)。このように、ボイス・オーバーHFC信号は、サービス領域(例えば、事業所)内で無線送信できる。
【0016】
無線データは、品質とセキュリティを向上させる為に、様々なチャンネルを介して送信できる。また、無線データは、暗号化して、例えば、無線電話回路109によって無線送信できる。受信機、例えば、電話機は、その無線信号を復号化して、セキュリティ保護されたサービスを利用できる。
【0017】
以上、各実施例を説明したが、当業者であれば、上述の開示事項から、様々な修正や変更を行うことが出来る。本明細書に開示した本発明の具体的な各実施例に於いて、本願の特許請求の範囲に記載された各請求項に規定される、本発明の範囲と精神から逸脱することなく、様々な変更を加えることが出来る。以上、特許法が要求する詳しさと綿密さを以って、本発明を説明したが、特許によって保護されるべき各請求事項は、本願の特許請求の範囲の各請求項に詳しく記載している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従って、ケーブル・ネットワークを介して音声/データ送信を行うシステムの図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従って、ケーブル・ネットワークを介して音声/データ送信を行う方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムであって、
第1の信号と第2の信号とを分離する第1の分配器(105)と、
前記第1の分配器(105)に接続されており、前記第1の信号を無線信号として処理する無線回路(107、109)と、
前記無線回路(107、109)と前記第1の分配器(105)とに接続されており、前記無線信号と前記第2の信号とを合成して合成信号を生成して、該合成信号をサービス領域に送信する合成器(111)と、
前記合成器(111)に接続されており、前記無線信号と前記第2の信号とを分離する第2の分配器(115)と、
前記第2の分配器(115)に接続されており、前記無線信号を送信する送信機(113)と、
を含む無線通信システム。
【請求項2】
前記無線回路が、
前記第1の信号を前処理するボイス・オーバー・ケーブル回路と、
前記第1の信号を前記無線信号に変換する無線データ回路と、
を備えている、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第2の分配器がハイ/ロー・フィルタを備えている、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記送信機が、
前記第2の分配器に接続された狭帯域フィルタと、
前記第2の分配器から前記無線信号を受信する増幅器と、
前記増幅器に接続されており、前記無線信号を送信するためのアンテナと、
を備えている、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第2の信号がテレビジョン信号である、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第1の信号が約900MHzより上に存在し、前記第2の信号が約900MHzより下に存在する、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項7】
データを送信する方法であって、
信号を第1の信号部分と第2の信号部分とに分離するステップ(201)と、
前記第1の信号部分を無線データ信号として処理するステップ(203)と、
前記無線データ信号と前記第2の信号部分とを合成して合成信号を生成するステップ(205)と、
前記合成信号を媒体を介して送信するステップと、
前記合成信号を前記無線データ信号と前記第2の信号部分とに分離するステップと、
前記無線データ信号を無線で送信するステップ(207)と、
を含む前記方法。
【請求項8】
前記第1の信号部分が音声信号である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第2の信号部分がテレビジョン信号である、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記無線データ信号を濾波するステップと、
送信する前に、前記無線データ信号を増幅するステップと、
を更に含む、請求項7記載の方法。
【請求項11】
無線通信システムであって、
双方向ディジタル・ケーブル信号を少なくとも第1の信号部分と第2の信号部分とに分離する手段と、
前記第1の信号部分を無線データ信号として処理する手段と、
前記無線データ信号と前記第2の信号部分とを合成して合成信号を生成する手段と、
前記合成信号を同軸ケーブルを介して送信する手段と、
前記合成信号を前記無線データ信号と前記第2の信号部分とに分離する手段と、
前記無線データ信号を無線で送信する手段と、
を含む無線通信システム。
【請求項12】
前記合成信号を前記無線データ信号と前記第2の信号部分とに分離する前記手段が、ハイ/ロー・フィルタを備えている、請求項11記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記ハイ/ロー・フィルタが、約900MHzより上に存在する前記第1の信号部分と、約900MHzより下に存在する前記第2の信号部分とに分離する、請求項12記載の無線通信システム。
【請求項14】
前記第1の信号部分を前記無線データ信号として処理する前記手段が、
前記第1の信号部分を前処理するボイス・オーバー・ケーブル回路と、
前記第1の信号部分を前記無線データ信号に変換する無線データ回路と、
を備えている、請求項11記載の無線通信システム。
【請求項15】
前記ブロードキャストする手段が、
前記無線データ信号と前記第2の信号部分とに分離する前記手段に接続された狭帯域フィルタと、
前記無線データ信号と前記第2の信号部分とに分離する前記手段から前記無線データ信号を受信する増幅器と、
前記増幅器に接続されており、前記無線データ信号を送信するためのアンテナと、
を備えている、請求項11記載の無線通信システム。
【請求項16】
音声信号とデータ信号とを処理する装置であって、
第1の信号と第2の信号とを分離する第1の分配器(105)と、
前記第1の分配器(105)に接続されており、前記第1の信号を無線信号として処理する無線回路(107、109)と、
前記無線回路(107、109)と前記第1の分配器(105)とに接続されており、前記無線信号と前記第2の信号とを合成して合成信号を生成して、該合成信号をサービス領域に送信する合成器(111)と、
前記合成器(111)に接続されており、前記無線信号と前記第2の信号とを分離する第2の分配器(115)と、
前記第2の分配器(115)に接続されており、前記無線信号を送信する送信機(113)と、
を含む前記装置。
【請求項17】
前記無線回路が、
前記第1の信号を前処理するボイス・オーバー・ケーブル回路と、
前記第1の信号を前記無線信号に変換する無線データ回路と、
を備えている、請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記第2の分配器がハイ/ロー・フィルタを備えている、請求項16記載の装置。
【請求項19】
前記送信機が、
前記第2の分配器に接続された狭帯域フィルタと、
前記第2の分配器から前記無線信号を受信する増幅器と、
前記増幅器に接続されており、前記無線信号を送信するためのアンテナと、
を備えている、請求項16記載の装置。
【請求項20】
無線音声信号と無線データ信号とが合成された信号を処理する装置であって、
受信信号を無線信号と別の信号とに分離する分配器(115)と、
前記分配器(115)に接続されており、前記無線信号を送信する送信機(113)と、
を含む前記装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−522497(P2006−522497A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568586(P2004−568586)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/040580
【国際公開番号】WO2004/075552
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】