説明

ケーブル固定構造及び方法

【課題】ケーブル保持力の向上を図ることが可能な、また、大型化防止や作業性向上に配慮することが可能なケーブル固定構造及び方法を提供する。
【解決手段】挿入筒部23の内側の空間28に複数の電線24を挿入しつつ複数の電線24とシース25との内側に挿入筒部23を挿入し、そして、予めケーブル21に装着しておいた金属スリーブ22を挿入筒部23の位置にスライドさせ、この後に金属スリーブ22に加締めを施すと、この時、シース25は金属スリーブ22の凸部26と挿入筒部23の凹部29とにより挟み込まれる。これにより、シース25は保持され抜けが生じなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属スリーブを加締めてケーブルを固定する構造及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7を参照しながら下記特許文献1に開示された二つのケーブル固定構造について説明する。
【0003】
図7(a)及び(b)において、引用符号1は電気ケーブルを示している。また、引用符号2は図示しないケースにボルト止めされる固定具を示している。電気ケーブル1は、複数の電線3と、この電線3の外側に設けられるシース4とを備えて構成されている。一方、固定具2は、電気ケーブル1を挿通するためのスリーブ部5と、このスリーブ部5に一体形成されるフランジ部6と、フランジ部6に貫通形成される穴7に差し込まれて上記ケースに対し固定を行う図示しないボルトと、を備えて構成されている。尚、引用符号8は棒状の心金を示している。
【0004】
上記構成において、電気ケーブル1は、図示の如く複数の電線3の中心位置に心金8を挿入し、この後にスリーブ部5内に差し込まれ、そして、スリーブ部5に加締めを施すことにより固定されるようになっている。スリーブ部5の引用符号9は、加締めにより生じる加締め部を示している。複数の加締め部9は、それぞれ全周にわたって生じるようになっている。電気ケーブル1は、加締め部9と心金8とによりシース4が部分的に圧縮されて挟まれ、これによって電気ケーブル1は固定されるようになっている(心金8を用いるのが一つ目のケーブル固定構造となる)。
【0005】
図7(c)において、複数の電線3の外側の押さえ巻き10と、シース4との間には、上記心金8に替わる円筒状の心金11が挿入されている。上記同様にスリーブ部5に加締めを施すと、加締め部と心金11とによりシース4が部分的に圧縮されて挟まれ、これによって固定されるようになっている(心金11を用いるのが二つ目のケーブル固定構造となる)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−299819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術は、スリーブ部5を加締めて電気ケーブル1を固定するケーブル固定構造であるが、この構造では経時劣化などの要因により保持力が低下してしまうことが懸念される。具体的に説明すると、加締めを施すことにより加締め部9が生じるようになるが、心金8や心金11はこの表面が単なる曲面であることから、シース4が痩せてしまうと保持力の低下は避けられず、このことが懸念される。
【0008】
この他、上記従来技術は、スリーブ部5内に電気ケーブル1の端末全体を差し込む必要があることから、図示しないケースにも電気ケーブル1のサイズに合わせた大きな穴を貫通形成する必要がある。従って、上記従来技術の場合、ケースにおいては必要十分な穴径を確保しなければならず、ケースの大型化に繋がってしまうという問題点を有する。
【0009】
尚、電気ケーブル1ではなく、複数の光ファイバをシースで覆った形態のケーブルを使用することを考えると、この場合の作業は、ケーブルを固定具2及びケースに差し込んだ後にケース内で光ファイバの端末加工を行うような手順になる。ケース内での光ファイバ長が短い場合には、ケースの壁面が邪魔になり作業し難くなることから、光ファイバ端末を破損させてしまうという虞がある。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、ケーブル保持力の向上を図ることが可能な、また、大型化防止や作業性向上に配慮することが可能なケーブル固定構造及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のケーブル固定構造は、シースの内側に挿入される筒状の挿入筒部と、前記シースの外側に設けられる筒状の金属スリーブとを用い、該金属スリーブに加締めを施すことによって前記シースを挟み込み、これによりケーブルを固定するケーブル固定構造において、前記金属スリーブは、該金属スリーブの内側に突出する一又は複数の凸部を予め形成してなるもの、若しくは加締めを施すことにより内側に突出する凸部が一又は複数生じるものであり、前記挿入筒部は、該挿入筒部の外面における前記凸部に対応する位置に凹部を一又は複数有するもの又は部分であることを特徴としている。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、筒状の金属スリーブに対し加締めを施すと、挿入筒部の凹部と金属スリーブの凸部とでシースが挟み込まれた状態になる。凹部と凸部とを複数設ければ、シースは挟み込みによって断面略波形の状態になることから、仮にシースが痩せた(経時劣化)場合であっても引掛かり合う部分が多く、抜けることはない。
【0013】
請求項2記載の本発明のケーブル固定構造は、請求項1に記載のケーブル固定構造において、前記挿入筒部は、構造体の一部であることを特徴としている。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、金属スリーブを構造体に一体化させるよりも、構造体側での線材挿通用の穴を小さくすることが可能になる。従って、線材挿通用の穴径の確保を容易にすることが可能になる。
【0015】
請求項3記載の本発明のケーブル固定構造は、請求項2に記載のケーブル固定構造において、前記挿入筒部は、前記シース内側の線材を収容するための部分で分割する分割構造を有するものであることを特徴としている。
【0016】
このような特徴を有する本発明によれば、ケーブル端末の加工をしてからこの加工端末を構造体の内部に入れることが可能になる。
【0017】
請求項4記載の本発明のケーブル固定構造は、請求項3に記載のケーブル固定構造において、前記分割構造は、分割面を段付きに形成して噛み合わせ形状となる分割面を有することを特徴としている。
【0018】
このような特徴を有する本発明によれば、加締めを施した際の圧力を形状的に分散させることが可能になる。筒状の金属スリーブをこの全周方向から加締めた場合、分割面が単純な面であると、この分割面の位置でズレが生じてしまう可能性がある(圧力が大きい場合)が、本発明においては噛み合わせ形状の分割面にしていることから、このようなズレは生じることがない。
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の本発明のケーブル固定方法は、筒状の挿入筒部を分割した状態にし、この後にケーブルのシース内側に存する線材を分割した状態の前記挿入筒部の所定位置に収容する第1工程と、分割した状態の前記挿入筒部を合体させてこれを前記シースと前記線材との間に挿入する第2工程と、前記シースの外側に設けた筒状の金属スリーブに対し加締めを施して前記挿入筒部の凹部と前記金属スリーブの凸部とで前記シースを挟み込む第3工程と、を行うことを特徴としている。
【0020】
このような特徴を有する本発明によれば、ケーブル端末の加工をしてからこの加工端末を構造体の内部に入れ、そしてケーブルの固定を行う方法になる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載された本発明によれば、ケーブル保持力の向上を図ることが可能なケーブル固定構造を提供することができるという効果を奏する。
【0022】
請求項2に記載された本発明によれば、構造体側の大型化防止を図ることができるという効果を奏する。
【0023】
請求項3に記載された本発明によれば、ケーブル端末の加工を先にすることができるという効果を奏する。これにより、作業性の向上に配慮することができるという効果を奏する。
【0024】
請求項4に記載された本発明によれば、加締めを施した際の圧力による挿入筒部の変形を防止することができるという効果を奏する。
【0025】
請求項5に記載された本発明によれば、作業性向上に配慮することが可能なケーブル固定方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のケーブル固定構造を示す断面図である(第1実施例)。
【図2】ハウジングの分解斜視図である。
【図3】本発明のケーブル固定構造を示す断面図である(第2実施例)。
【図4】ハウジングの分解斜視図である。
【図5】ハウジングの挿入筒部の図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図6】加締めの説明に係る断面図である。
【図7】従来例のケーブル固定構造を示す図であり、(a)、(b)は一つ目のケーブル固定構造を示す断面図、(c)は二つ目のケーブル固定構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
シースの内側に挿入される筒状の挿入筒部と、シースの外側に設けられる筒状の金属スリーブとを用いる。シースの内側に挿入筒部を挿入した状態で金属スリーブに加締めを施すと、この時、シースは金属スリーブの凸部と挿入筒部の凹部とにより圧縮された挟み込まれる。シースは保持され抜けが生じなくなる。ケーブルは固定状態になる。
【実施例1】
【0028】
以下、図面を参照しながら第1実施例を説明する。図1は本発明のケーブル固定構造を示す断面図である。また、図2はハウジングの分解斜視図である。
【0029】
図1において、引用符号21はケーブルを示している。また、引用符号22は金属スリーブを示している。さらに、引用符号23は挿入筒部を示している。
【0030】
本実施例において、ケーブル21は電気ケーブルであって、複数の電線24と、この電線24の外側に設けられるシース25とを備えて構成されている(電気ケーブルに限るものでなく、光ファイバケーブルであってもよいものとする)。電線24やシース25は、公知のものが用いられている。
【0031】
金属スリーブ22は、加締めに使用される金属製の円筒であって、加締め型により圧縮されて加締めが施されると、複数の凸部26が内側に突出するようなものとなっている(凸部26は予め打ち出しによって形成することも可能であるものとする。この場合、加締めにより打ち出しの深さが深くなるものとする)。凸部26は、全周にわたって形成されている。金属スリーブ22は、ケーブル21のサイズ及び挿入筒部23の長さに応じて形成されている。
【0032】
挿入筒部23は、複数の電線24とシース25との内側に挿入される筒状のもの又は部分であって、本実施例においては特に限定するものでないが、図2に示す如く合成樹脂製のコネクタハウジング27(アッパーハウジング27a、ロアーハウジング27b)に一体形成されている。
【0033】
挿入筒部23は、円筒形状に形成されており、内側の空間28には複数の電線24が挿入されるようになっている。また、挿入筒部23の外面には、金属スリーブ22の各凸部26に対応する位置に凹部29が形成されている(便宜上、図1の凹部29の数を図2よりも少なくしている。尚、図2の数を少なくして図1のようにしてもよいものとする。十分な保持力を確保することができれば、数は限定されないものとする)。凹部29は、凸部26によって内方へ押されたシース25を圧縮しつつ収容することができるように形成されている。凹部29は、全周にわたって形成されている。
【0034】
上記構成及び構造において、ケーブル固定方法は、挿入筒部23の内側の空間28に複数の電線24を挿入(第1工程)しつつ、複数の電線24とシース25との内側に挿入筒部23を挿入し(第2工程)、そして、予めケーブル21に装着しておいた金属スリーブ22を挿入筒部23の位置にスライドさせ、この後に金属スリーブ22に加締めを施す(第3工程)と、この時、シース25は金属スリーブ22の凸部26と挿入筒部23の凹部29とにより挟み込まれる(図1参照)。これにより、シース25は保持されて抜けが生じない状態となる。ケーブル21は、ロアーハウジング27b(図2参照)に対して固定状態となる。
【0035】
円筒形状の金属スリーブ22に対して加締めを施すと、挿入筒部23の凹部29と金属スリーブ22の凸部26とでシース25が挟み込まれた状態になるとともに、凹部29及び凸部26が複数形成されていることから、シース25は挟み込みによって断面略波形の状態になる。従って、仮にシース25が痩せた(経時劣化)場合であっても、凹凸による引掛かり合いが多い構造であることから、ケーブル21は抜けるようなことはない。
【0036】
以上、図1及び図2を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、凹部29及び凸部26によって、従来よりもケーブル保持力を向上させることができるという効果を奏する。
【0037】
また、本発明によれば、挿入筒部23をコネクタハウジング27に一体化していることから、従来例よりも複数の電線24を挿入するためのコネクタハウジング27側の穴を小さくすることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、線材挿通用の穴径の確保を容易にすることや小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0038】
また、本発明によれば、従来例のような心金8や心金11(図7参照)を使用しないことから、部品点数の削減及び作業工数の低減を図ることができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0039】
以下、図面を参照しながら第2実施例を説明する。図3は本発明のケーブル固定構造を示す断面図である。また、図4はハウジングの分解斜視図、図5はハウジングの挿入筒部の図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、図6は加締めの説明に係る断面図である。尚、上記第1実施例と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
図3において、引用符号31はケーブルを示している。また、引用符号32は金属スリーブを示している。さらに、引用符号33は挿入筒部を示している。
【0041】
本実施例において、ケーブル31は光ファイバケーブルであって、複数の光ファイバ34と、この光ファイバ34の外側に設けられるシース35とを備えて構成されている(第1実施例の電気ケーブル21であってもよいものとする)。光ファイバ34やシース35は、公知のものが用いられている。
【0042】
金属スリーブ32は、加締めに使用される金属製の円筒であって、加締め型により圧縮されて加締めが施されると、複数の凸部36が内側に突出するようなものとなっている(凸部36は予め打ち出しによって形成することも可能であるものとする。この場合、加締めにより打ち出しの深さが深くなるものとする)。凸部36は、全周にわたって形成されている。金属スリーブ32は、ケーブル31のサイズ及び挿入筒部33の長さに応じて形成されている。
【0043】
挿入筒部33は、複数の光ファイバ34とシース35との内側に挿入される筒状のもの又は部分であって、本実施例においては特に限定するものでないが、図4に示す如く合成樹脂製の光コネクタハウジング37(アッパーハウジング37a、ロアーハウジング37b)に一体形成されている。
【0044】
挿入筒部33は、複数の光ファイバ34を収容するための収容部分38(図4及び図5参照。分割した状態の収容部分を38a、38bとする)で分割される分割構造を有しており、分割した状態の一方の挿入筒部33aがアッパーハウジング37aに、他方の挿入筒部33bがロアーハウジング37bに一体形成されている。分割構造は分割面を有しており、この分割面は、図4及び図5に示す如く、段付きに形成される噛み合わせ形状分割面33c、33dを有するように形成されている。噛み合わせ形状分割面33c、33dは、挿入筒部33を側面から見た場合に凹凸形状の噛み合わせ、挿入筒部33の端面から見た場合も凹凸形状の噛み合わせとなるように形成されている(図5参照)。
【0045】
複数の光ファイバ34を収容するための収容部分38は、上記分割構造を有することから、第1実施例のように線材を挿入する必要性はなく、よって極力小さな径で形成されている。
【0046】
挿入筒部33は、円筒形状に形成されている。挿入筒部33の外面には、金属スリーブ32の各凸部36に対応する位置に凹部39が形成されている(便宜上、図3の凹部39の数を図4及び図5よりも少なくしている。尚、図4及び図5の数を少なくして図3のようにしてもよいものとする。十分な保持力を確保することができれば、数は限定されないものとする)。凹部39は、凸部36によって内方へ押されたシース35を圧縮しつつ収容することができるように形成されている、凹部39は、全周にわたって形成されている。
【0047】
上記構成及び構造において、ケーブル固定方法は、挿入筒部33を分割した状態、すなわち挿入筒部33a、33bの状態にするとともに、この後に予め端末加工をしておいた複数の光ファイバ34を収容部分38bに収容し(第1工程)、そして、分割した状態の挿入筒部33a、33bを合体させてこれをシース35と複数の光ファイバ34との間に挿入し(第2工程)、そして、予めケーブル31に装着しておいた金属スリーブ32を挿入筒部33の位置にスライドさせ、この後に金属スリーブ32に加締めを施す(第3工程)と、この時、シース35は金属スリーブ32の凸部36と挿入筒部33の凹部39とにより挟み込まれる(図3参照)。これにより、シース35は保持されて抜けが生じない状態になる。ケーブル31は、光コネクタハウジング37(図4参照)に対して固定状態となる。
【0048】
円筒状の金属スリーブ32に対して加締めを施すと、挿入筒部33の凹部39と金属スリーブ32の凸部36とでシース35が挟み込まれた状態になるとともに、凹部39及び凸部36が複数形成されていることから、シース35は挟み込みによって断面略波形の状態になる。従って、仮にシース35が痩せた(経時劣化)場合であっても、凹凸による引掛かり合いが多い構造であることから、ケーブル31は抜けるようなことはない。
【0049】
円筒状の金属スリーブ32に対する加締めに関しては、図6に示す如くの加締め型41を使用するようになっている(便宜上、ケーブル31の図示を省略する)。加締め型41は、上型41a及び下型41bと、これらを可動させる図示しない機構部とを備えて構成されている。上型41a及び下型41bは、金属スリーブ32に対して打ち出しをするような凸部42を複数有している。
【0050】
尚、挿入筒部33は、加締めを施した際の圧力を分散させることができるような形状になっている。すなわち、円筒形状の金属スリーブ32をこの全周方向から加締めて大きな圧力を掛けても、この圧力は噛み合わせ形状分割面33c、33dによって図5(b)の矢印のように受けられ、形状的に分散されるようになっている。挿入筒部33は、加締めを施した際の圧力によって位置ズレするようなことがない形状に形成されている(位置ズレがなければ光ファイバ34を噛み込んでしまうことはなく、より良い分割構造になる)。
【0051】
以上、図3ないし図6を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、凹部39及び凸部36によって、従来よりもケーブル保持力を向上させることができるという効果を奏する。
【0052】
また、本発明によれば、挿入筒部33を光コネクタハウジング37に一体化していることから、従来例よりも複数の光ファイバ34に対する光コネクタハウジング37側の穴を小さくすることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、線材挿通用の穴径の確保を容易にすることや小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0053】
また、本発明によれば、従来例のような心金8や心金11(図7参照)を使用しないことから、部品点数の削減及び作業工数の低減を図ることができるという効果を奏する。
【0054】
また、本発明によれば、挿入筒部33を分割構造にしていることから、複数の光ファイバ34を穴に挿入する必要性がなく、結果、光ファイバ34の端末加工を挿入筒部33への収容前にすることができるという効果を奏する。これにより、作業性の向上や光ファイバ34の損傷防止に配慮することができるという効果を奏する。
【0055】
また、本発明によれば、噛み合わせ形状分割面33c、33dを有する分割構造にしていることから、加締めを施した際の圧力による挿入筒部33の変形を防止することができるという効果を奏する。
【0056】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である(例えば、挿入筒部23をコネクタハウジング27に対して後付けするような別体構造にしてもよいものとする)。
【符号の説明】
【0057】
21…ケーブル
22…金属スリーブ
23…挿入筒部
24…電線(線材)
25…シース
26…凸部
27…コネクタハウジング(構造体)
28…空間
29…凹部
31…ケーブル
32…金属スリーブ
33…挿入筒部
33a、33b…挿入筒部
33c、33d…噛み合わせ形状分割面
34…光ファイバ(線材)
35…シース
36…凸部
37…光コネクタハウジング(構造体)
38…収容部分
39…凹部
41…加締め型
41a…上型
41b…下型
42…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シースの内側に挿入される筒状の挿入筒部と、前記シースの外側に設けられる筒状の金属スリーブとを用い、該金属スリーブに加締めを施すことによって前記シースを挟み込み、これによりケーブルを固定するケーブル固定構造において、
前記金属スリーブは、該金属スリーブの内側に突出する一又は複数の凸部を予め形成してなるもの、若しくは加締めを施すことにより内側に突出する凸部が一又は複数生じるものであり、
前記挿入筒部は、該挿入筒部の外面における前記凸部に対応する位置に凹部を一又は複数有するもの又は部分である
ことを特徴とするケーブル固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル固定構造において、
前記挿入筒部は、構造体の一部である
ことを特徴とするケーブル固定構造。
【請求項3】
請求項2に記載のケーブル固定構造において、
前記挿入筒部は、前記シース内側の線材を収容するための部分で分割する分割構造を有するものである
ことを特徴とするケーブル固定構造。
【請求項4】
請求項3に記載のケーブル固定構造において、
前記分割構造は、分割面を段付きに形成して噛み合わせ形状となる分割面を有する
ことを特徴とするケーブル固定構造。
【請求項5】
筒状の挿入筒部を分割した状態にし、この後にケーブルのシース内側に存する線材を分割した状態の前記挿入筒部の所定位置に収容する第1工程と、
分割した状態の前記挿入筒部を合体させてこれを前記シースと前記線材との間に挿入する第2工程と、
前記シースの外側に設けた筒状の金属スリーブに対し加締めを施して前記挿入筒部の凹部と前記金属スリーブの凸部とで前記シースを挟み込む第3工程と、
を行う
ことを特徴とするケーブル固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−193571(P2010−193571A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33509(P2009−33509)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】