説明

ケーブル用コネクタ

【課題】ケーブルの導体及びグランド部に対してそれぞれ確実に端子部を接触させて良好な接続状態及び接地状態を得ることが可能なケーブル用コネクタを提供する。
【解決手段】ケーブル収容部21に挿入されるケーブルの電極と接触されるコンタクト端子部62と、ケーブル収容部21に挿入されるケーブルのグランド層に接触されるグランド端子部47と、コネクタ本体20に対して回動可能に設けられ、ケーブル収容部21にケーブルが挿入された状態で所定方向へ回動されることにより、ケーブルをコンタクト端子部62側へ加圧するアクチュエータ部材30と、コネクタ本体20に取り付けられたシェルとを有し、グランド端子部47は、アクチュエータ部材30によって加圧されるケーブルの加圧面と同一面側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの一端を配線基板に電気的に接続するケーブル用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器内部における電装部品相互間の電気的接続を行うにあたり、ケーブル用コネクタが実用に供されている。ケーブル用コネクタは、例えば、フラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)、または、フレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Circuit)を介してプリント配線基板に電装品を電気的に接続するものである。ケーブル用コネクタは、ケーブルの固定方法が互いに異なる、例えば、ロータリ式あるいはスライド式が実用に供されている。
【0003】
ロータリ式のケーブル用コネクタとしては、ケーブルを挿入する挿入口を備えるハウジングと、ハウジングに装填され、ケーブルの信号線と電気的に接続するコンタクト片、及び、挿入口と反対側に突出するテール部を備える端子と、ケーブルを挿入可能な第1位置と挿入されたケーブルをコンタクト片に押付ける第2位置との間を姿勢変化可能であって、第2位置において、ケーブルをコンタクト片に押付ける押圧部、及び、第2位置において、ケーブルの挿入方向とほぼ平行となる本体部を備えるアクチュエータと、ハウジングの挿入口側の端部に装填され、信号線とコンタクト片とが接続する位置よりもケーブルを挿入する方向に関する手前側において、ケーブルのグランド層と電気的に接続する端子部を備える接地用導電部材とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−73206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記構造のケーブル用コネクタは、ケーブルのグランド層と電気的に接続する端子部を備えた接地用導電部材が、信号線のコンタクト片と同一側、つまり、アクチュエータによるケーブルへの加圧側と反対側に設けられている。したがって、アクチュエータは、コンタクト片及び接地用導電部材から加圧方向と反対方向へ向かう付勢力を受けることとなる。アクチュエータがケーブルを加圧する位置はコンタクト片に対応した位置であるが、接地用導電部材はアクチュエータによる加圧位置とは異なる位置でケーブルに接触する。このため、接地用導電部材とケーブルとの接触位置ではアクチュエータがケーブルを加圧する力が小さくなってケーブルのグランド層に対する接地用導電部材の接触が不安定となり、良好な接地状態が得られなくなるおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、ケーブルの導体及びグランド部に対してそれぞれ確実に端子部を接触させて良好な接続状態及び接地状態を得ることが可能なケーブル用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明のケーブル用コネクタは、導体とグランド部とを有するケーブルの端部が挿入されるケーブル収容部を備えたコネクタ本体と、
前記コネクタ本体に設けられ、前記ケーブル収容部に挿入される前記ケーブルの前記導体と接触されるコンタクト端子部と、
前記コネクタ本体に設けられ、前記ケーブル収容部に挿入される前記ケーブルの前記グランド部に接触されるグランド端子部と、
前記コネクタ本体に対して回動可能に設けられ、前記ケーブル収容部に前記ケーブルが挿入された状態で所定方向へ回動されることにより、前記ケーブルを前記コンタクト端子部側へ加圧するアクチュエータ部材と、
前記コネクタ本体に取り付けられたシェルとを有し、
前記グランド端子部は、前記アクチュエータ部材によって加圧される前記ケーブルの加圧面と同一面側に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のケーブル用コネクタにおいて、前記グランド端子部は、前記アクチュエータ部材による前記ケーブルの加圧箇所に対して、前記ケーブル収容部への前記ケーブルの挿入方向前方側で前記グランド部に接触されることが好ましい。
【0009】
本発明のケーブル用コネクタにおいて、前記グランド端子部は、前記シェルに対して一体に形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明のケーブル用コネクタにおいて、前記グランド端子部は、前記シェルとは別体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るケーブル用コネクタによれば、アクチュエータ部材によってコンタクト端子部側へ加圧されるケーブルの加圧面と同一面側にグランド端子部が配置されているので、アクチュエータ部材による加圧力がグランド端子部によって小さくされることがない。また、グランド端子部はアクチュエータ部材の加圧力によりケーブルに接触するものではないので、アクチュエータ部材の変位に影響されることなく、ケーブルのグランド部に対するグランド端子部の接触を常に安定な状態とすることができる。よって、良好な接続状態及び接地状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るケーブル用コネクタの一例における外観を示す斜視図である。
【図2】図1のケーブル用コネクタの正面図である。
【図3】図1のケーブル用コネクタの後方側から見た斜視図である。
【図4】図1のケーブル用コネクタの分解斜視図である。
【図5】ケーブル用コネクタに接続されるケーブルの断面図である。
【図6】(a)は図2におけるケーブル用コネクタのA−A断面図であり、(b)は図2におけるA−A断面で見たケーブル用コネクタの後方側から見た斜視図である。
【図7】シェルの裏面側から見た斜視図である。
【図8】(a)は図2におけるケーブル用コネクタのB−B断面図であり、(b)は図2におけるB−B断面で見たケーブル用コネクタの後方側から見た斜視図である。
【図9】ケーブル収容部にケーブルを挿入した状態のケーブル用コネクタの斜視図である。
【図10】ケーブル収容部にケーブルを挿入した状態での図2におけるA−A断面図である。
【図11】ケーブル収容部にケーブルを挿入した状態での図2におけるB−B断面図である。
【図12】アクチュエータ部材をロック位置に配置した状態のケーブル用コネクタの斜視図である。
【図13】アクチュエータ部材をロック位置に配置した状態での図2におけるA−A断面図である。
【図14】アクチュエータ部材をロック位置に配置した状態での図2におけるB−B断面図である。
【図15】本発明に係るケーブル用コネクタの変形例を示す斜視図である。
【図16】図15のケーブル用コネクタの分解斜視図である。
【図17】本発明に係るケーブル用コネクタの他の実施形態例を示す斜視図である。
【図18】図17のケーブル用コネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るケーブル用コネクタの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1から図4に示すように、ケーブル用コネクタ10は、例えば、液晶テレビなどの配線用のケーブルが接続されるものであり、電装品等のプリント配線基板1に実装される。このケーブル用コネクタ10は、コネクタ本体20と、アクチュエータ部材30と、シェル40とを備えている。
【0015】
コネクタ本体20は、例えば、硬質の樹脂から成形されたものであり、このコネクタ本体20には、ケーブル50が挿入されるケーブル収容部21が幅方向に沿って形成されている。
【0016】
コネクタ本体20のケーブル収容部21に挿入されるケーブル50は、例えば、フラットケーブルやフレキシブル配線基板からなるものである。本例では、フレキシブル配線基板からなるケーブル50を用いる場合について説明する。
【0017】
フレキシブル配線基板は、例えば、図5に示すように、保護層に覆われた複数の導電層51が絶縁性基材52上に形成された構成とされる。なお、図5ではケーブル50の端部近傍のみを図示し、長尺に延びた左方を省略して示している。絶縁性基材52は、例えば、厚さ50μm程度のガラスエポキシ樹脂、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいは、ポリエーテルイミド(PEI)からなる群の中から適宜選択される一つの材料で成形されている。また、導電層51は、例えば、厚さ12μm程度の銅合金の層で形成されている。保護層は、例えば、熱硬化型のレジスト層、あるいは、ポリイミドフィルムにより形成されている。
【0018】
フレキシブル配線基板からなるケーブル50において接続される一端の一方の表面には、板状の裏板53が設けられている。裏板53は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)で所定の厚さに作られている。なお、裏板53は、ケーブル50の着脱を容易にするために操作部を有していてもよい。
【0019】
ケーブル50の一端には、裏板53の下面に、例えば、端子部としての複数個(例えば、50〜80)の幅0.3mmの電極(導体)54が並列して形成されている。隣接する各電極54は、例えば、約0.5mmの相互間隔で形成されている。電極54は、ケーブル50の内部の導電層51に電気的に接続されている。
【0020】
また、裏板53には、電極54が形成された面と反対の面である上面に、例えば、金属箔からなるグランド層(グランド部)55が設けられている。
【0021】
図1及び図2に示すように、コネクタ本体20のケーブル収容部21は、一端側が挿入口22とされており、この挿入口22から電極54及びグランド層55が設けられたケーブル50の端部の裏板53が挿入される。また、コネクタ本体20の両側部の側壁部23には、挿入口22側に、ケーブル50の裏板53の側部を案内する案内溝24が形成されている。
【0022】
図6に示すように、コネクタ本体20の背面側には、複数のスリット25が形成されており、これらスリット25には、コネクタ本体20の背面側からコンタクト端子60が圧入される。スリット25は、所定の相互間隔でコネクタ本体20の幅方向に沿って形成され、ケーブル収容部21内に連通している。スリット25は、ケーブル収容部21側に向かう前方で、上部スリット25aと下部スリット25bに分岐されている。
【0023】
スリット25に圧入されるコンタクト端子60は、半田付固定により、プリント配線基板1の導電層としての電極パッドに電気的に接続される半田付固定部61と、下部スリット25bに挿入され、ケーブル50の電極54に接触されて電気的に接続されるコンタクト端子部62と、上部スリット25aに圧入され、アクチュエータ部材30の後述する挿通孔32に挿入される固定部63とを有している。また、コンタクト端子部62は、その先端に、上方へ突出する接点62aを有している。
【0024】
このコンタクト端子60は、例えば、銅などの導電性の薄板金属材料で形成されたものであり、コンタクト端子部62と固定部63とが二股状に形成されている。なお、コンタクト端子60は、ステンレススチールからなる薄板金属材料で形成し、表面に銅メッキを施したものであっても良い。
【0025】
コネクタ本体20に取り付けられるシェル40は、例えば、銅などの導電性の薄板金属材料を折り曲げ加工することにより形成されたものであり、図7に示すように、コネクタ本体20の両側部の側壁部23を覆うように装着されるカバー部41と、コネクタ本体20の幅方向に延在してカバー部41同士を連結する連結部42とを有している。
【0026】
シェル40には、それぞれのカバー部41に、半田付固定により、プリント配線基板1のグランドパターンである導電層としての電極パッドに電気的に接続される半田付固定部43が形成されている。
【0027】
このシェル40には、コネクタ本体20に対して、その背面側から前方側へ向かって延在されたグランド端子45が一体に形成されている。そして、このシェル40をコネクタ本体20に装着することにより、ケーブル用コネクタ10の良好なシールド効果が得られる。また、このシェル40をコネクタ本体20に取り付けることによって、グランド端子45がコネクタ本体20に装着される。
【0028】
アクチュエータ部材30は、例えば、硬質の樹脂で成形されたものであり、その両端部には、支持軸31(図4参照)が形成されている。これら支持軸31は、コネクタ本体20の側壁部23に形成された切欠部27内に配置されている。
【0029】
これら切欠部27内に支持軸31を配置させた状態で、コネクタ本体20に対してシェル40を取り付けると、切欠部27の上面がシェル40のカバー41によって覆われる。これにより、アクチュエータ部材30の支持軸31が切欠部27内に保持され、よって、アクチュエータ部材30が支持軸31を中心として回動可能にコネクタ本体20に取り付けられる。
【0030】
そして、このアクチュエータ部材30は、コネクタ本体20に対して、後方側へ傾いたロック解除位置と、コネクタ本体20に対して前方側へ略水平に配置されたロック位置との間で回動される。
【0031】
アクチュエータ部材30の中間部分には、コネクタ本体20の各スリット25に対向する複数の挿通孔32が長手方向に沿って形成されている。これら挿通孔32には、アクチュエータ部材30がロック解除位置に配置された際に、コンタクト端子60の固定部63の先端側が挿通される。
【0032】
図6に示すように、アクチュエータ部材30の回動中心側の端部は、押圧部33とされている。この押圧部33は、アクチュエータ部材30がロック位置に配置されたロック状態のときにケーブル50の裏板53を押圧する押圧面部33aと、アクチュエータ部材30を回動させることにより、コンタクト端子60の固定部63と接して摺動する摺動面部33bと、この摺動面部33bの対向側に形成された突条部33cとを有している。なお、図6(b)では、アクチュエータ部材30を回動させて下げた状態を示している。
【0033】
アクチュエータ部材30は、ロック解除位置において、ケーブル収容部21の挿入口22を開放する。したがって、この状態において、ケーブル用コネクタ10のケーブル収容部21に対してケーブル50の挿抜が可能とされる。
【0034】
また、アクチュエータ部材30は、ロック位置において、ケーブル収容部21に挿入されたケーブル50に対して、その上面側から押圧部33を加圧する。
【0035】
図8に示すように、シェル40に一体に形成されたグランド端子45は、シェル40をコネクタ本体20に装着する際に、コネクタ本体20の背面側に形成されたグランド端子用スリット26に挿入される。シェル40に一体に形成されたグランド端子45は、コネクタ本体20に形成された係合溝28に係合する係合部46と、この係合部46から延在するグランド端子部47とを有している。なお、図8(b)では、アクチュエータ部材30を回動させて下げた状態を示している。
【0036】
グランド端子部47は、係合部46から上方へ延び、さらに、ケーブル収容部21へのケーブル50の挿入方向と逆方向であるコネクタ本体20の前方側へ向かって、斜め下方へ延在されており、その端部には、下方側へ突出する接点47aが形成されている。
【0037】
なお、グランド端子45を有するシェル40は、ステンレススチールからなる薄板金属材料で形成し、表面に銅メッキを施したものであっても良い。
【0038】
このグランド端子45のグランド端子部47は、アクチュエータ部材30によって加圧されるケーブル50の上面である加圧面と同一面側に配置されている。また、グランド端子45のグランド端子部47は、アクチュエータ部材30によるケーブル50の加圧箇所に対して、ケーブル収容部21へのケーブル50の挿入方向前方側に設けられている。なお、挿入方向前方側とは、ケーブル収容部21の奥側であり、図8(a)における右側を指す。
【0039】
このような構成のケーブル用コネクタ10のケーブル収容部21へケーブル50を挿入すると、グランド端子45のグランド端子部47の接点47aが、ケーブル50のグランド層55に対して、アクチュエータ部材30によって加圧されるケーブル50の上面である加圧面と同一面側で、かつ、アクチュエータ部材30による加圧箇所よりもケーブル収容部21へのケーブル50の挿入方向前方側で接触されるようになっている。
【0040】
次に、上記構成のケーブル用コネクタ10に対してケーブル50を接続する際の動作について説明する。
【0041】
ケーブル用コネクタ10に対してケーブル50を接続する場合、まず、ケーブル用コネクタ10のアクチュエータ部材30をロック解除位置(図1のように上に回動させた状態)に配置させておく。
【0042】
この状態で、図9に示すように、挿入口22からケーブル50の端部をケーブル収容部21へ挿入する。なお、図9ではケーブル50の端部のみを図示し、左手前側に延びる部分の図示を省略している。
【0043】
ケーブル50の端部をケーブル収容部21へ挿入すると、図10に示すように、ケーブル50の裏板53は、各コンタクト端子60のコンタクト端子部62とアクチュエータ部材30の押圧部33との間に配置され、コンタクト端子部62の接点62aが裏板53の各電極54に接触して導通する。
【0044】
また、図11に示すように、ケーブル50の裏板53がグランド端子45のグランド端子部47の下方側に入り込み、このグランド端子部47の接点47aが裏板53のグランド層55に接触して導通する。
【0045】
この状態で、ロック解除位置に配置されたアクチュエータ部材30をケーブル用コネクタ10の前方側へ引き起こす。
【0046】
すると、アクチュエータ部材30は、その摺接面部33bがコンタクト端子50の固定部63に摺接されて案内されながら回動され、この回動に伴って、アクチュエータ部材30の押圧部33がケーブル50の上面に当接される。これにより、ケーブル50は、アクチュエータ部材30の押圧部33によって、コンタクト端子60のコンタクト端子部62が設けられた下方側へ次第に押圧される。
【0047】
アクチュエータ部材30がさらに回動されると、ケーブル50の上面に突条部33cが接触する。
【0048】
その後、アクチュエータ部材30がさらに回動され、ケーブル50の上面に対する突条部33cの接触箇所がアクチュエータ部材30の回動中心の軸線よりもケーブル用コネクタ10の後方側となると、アクチュエータ部材30には、突条部33cによって受けるケーブル50からの反力によってロック位置へ向かう回転力が生じる。これにより、アクチュエータ部材30は、図12に示すように、ロック位置へ配置され、押圧面部33aがケーブル50の上面に当接する。
【0049】
これにより、ケーブル50は、図13に示すように、その上面が、アクチュエータ部材30の押圧面部33aによってコンタクト端子60のコンタクト端子部62側へ向かって加圧されて保持される。したがって、ケーブル50は、裏板53の電極54がコンタクト端子60のコンタクト端子部62の接点62aに押し付けられ、確実に導通した状態に接触される。
【0050】
また、図14に示すように、ケーブル50の裏板53の上面に設けられたグランド層55には、アクチュエータ部材30によって加圧されるケーブル50の上面である加圧面と同一面側に配置されたグランド端子45のグランド端子部47の接点47aが確実に導通した状態に接触される。
【0051】
なお、接続状態にあるケーブル50をケーブル用コネクタ10から取り外すにあたっては、ロック位置に配置されたアクチュエータ部材30を引き起こしロック解除位置へ回動させれば良い。
【0052】
このようにすると、アクチュエータ部材30によるケーブル50の加圧が解除されるとともに、コネクタ本体20のケーブル収容部21が開放され、よって、ケーブル50を、ケーブル用コネクタ10から容易に取り外すことができる。
【0053】
このように、上記実施形態に係るケーブル用コネクタ10によれば、アクチュエータ部材30によってコンタクト端子部62側へ加圧されるケーブル50の加圧面と同一面側にグランド端子45のグランド端子部47が配置されているので、アクチュエータ部材30による加圧力がグランド端子部47によって付勢されて小さくされることがない。また、グランド端子部47はアクチュエータ部材30の加圧力によりケーブル50への接触状態を維持するものではない。従って、アクチュエータ部材30の変位に影響されることなく、ケーブル50のグランド層55に対するグランド端子部47の接点47aの接触を常に安定な状態とすることができる。よって、ケーブル50の良好な接続状態及び接地状態を維持することができる。
【0054】
特に、グランド端子部47が、アクチュエータ部材30によるケーブル50の加圧箇所に対して、ケーブル収容部21へのケーブル50の挿入方向前方側でグランド層55に接触される構造である。このため、ケーブル50の先端側がグランド端子45のグランド端子部47によってアクチュエータ30による加圧方向と同一方向へ押し付けられる。
【0055】
これにより、ケーブル50のグランド層55とグランド端子部47の接点47aとの接触状態をさらに良好に維持することができる。しかも、ケーブル50の浮き上がりを抑制してケーブル50の電極54とコンタクト端子60のコンタクト端子部62の接点62aとの接触状態を良好に維持させることができる。
【0056】
また、アクチュエータ部材30によるケーブル50の加圧箇所に対して、ケーブル収容部21へのケーブル50の挿入方向後方側にグランド端子部47を設ける構造と比較して、コネクタ本体20のケーブル50の挿入方向の長さを短くして小型化及び軽量化を図ることができる。
【0057】
しかも、グランド端子部47がシェル40に対して一体に形成されているので、部品点数を減らすことができ、組立工数の削減及び部品管理の簡略化を図ることができる。
【0058】
また、グランド端子45のグランド端子部47は、ケーブル収容部21へのケーブル50の挿入方向と逆方向であるコネクタ本体20の前方側へ向かって延在されているので、ケーブル50を迎え入れる形状となり、ケーブル収容部21に挿入されるケーブル50のグランド層55に対するグランド端子部47の接触力を大きくしやすく、さらに、良好な接触状態を得ることができる。
【0059】
なお、上記実施形態では、二つのカバー部41が連結部42によって連結されたシェル40を用いたが、図15及び図16に示すように、二つのカバー部41がそれぞれ分離していても良い。
【0060】
また、上記実施形態では、シェル40に対して、グランド端子部47を有するグランド端子45を一体に形成したが、グランド端子45は、シェル40とは別体であっても良い。
【0061】
図17及び図18に示すように、このケーブル用コネクタ10Aでは、ピン状に形成された一対のシェル40Aと、これらのシェル40Aとは別体のグランド端子部47を有するグランド端子45Aとを備えている。
【0062】
シェル40Aには、半田付固定により、プリント配線基板1のグランドパターンである導電層としての電極パッドに電気的に接続される半田付固定部43が形成されている。これらのシェル40Aは、コネクタ本体20に形成された係合スリット29に差し込まれることにより、コネクタ本体20に取り付けられる。
【0063】
また、シェル40Aと別体のグランド端子部47を有するグランド端子45Aは、半田付固定により、プリント配線基板1のグランドパターンである導電層としての電極パッドに電気的に接続される半田付固定部48が形成されている。これらのグランド端子45Aは、コネクタ本体20の背面側に形成されたグランド端子用スリット26に挿入されてコネクタ本体20に装着される。
【0064】
そして、このように、シェル40Aとは別体のグランド端子45Aを備えたケーブル用コネクタ10Aによれば、シェル40A及びグランド端子部47を有するグランド端子45Aの構造の簡略化を図ることができ、製造コストを低減させることができる。
【0065】
なお、上記実施形態では、フレキシブル配線基板(FPC)からなるケーブル50を用いる場合を例示して説明したが、ケーブル50としては、フレキシブル配線基板に限らず、複数の導体を並列に配置させて外被によって一体化させたフラットケーブル(FFC)等であっても良い。
【符号の説明】
【0066】
10,10A:ケーブル用コネクタ、20:コネクタ本体、21:ケーブル収容部、30:アクチュエータ部材、40,40A:シェル、47:グランド端子部、50:ケーブル、54:電極(導体)、55:グランド層(グランド部)、62:コンタクト端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体とグランド部とを有するケーブルの端部が挿入されるケーブル収容部を備えたコネクタ本体と、
前記コネクタ本体に設けられ、前記ケーブル収容部に挿入される前記ケーブルの前記導体と接触されるコンタクト端子部と、
前記コネクタ本体に設けられ、前記ケーブル収容部に挿入される前記ケーブルの前記グランド部に接触されるグランド端子部と、
前記コネクタ本体に対して回動可能に設けられ、前記ケーブル収容部に前記ケーブルが挿入された状態で所定方向へ回動されることにより、前記ケーブルを前記コンタクト端子部側へ加圧するアクチュエータ部材と、
前記コネクタ本体に取り付けられたシェルとを有し、
前記グランド端子部は、前記アクチュエータ部材によって加圧される前記ケーブルの加圧面と同一面側に配置されていることを特徴とするケーブル用コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル用コネクタであって、
前記グランド端子部は、前記アクチュエータ部材による前記ケーブルの加圧箇所に対して、前記ケーブル収容部への前記ケーブルの挿入方向前方側で前記グランド部に接触されることを特徴とするケーブル用コネクタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のケーブル用コネクタであって、
前記グランド端子部は、前記シェルに対して一体に形成されていることを特徴とするケーブル用コネクタ。
【請求項4】
請求項1または2に記載のケーブル用コネクタであって、
前記グランド端子部は、前記シェルとは別体であることを特徴とするケーブル用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−171097(P2011−171097A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33365(P2010−33365)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】