説明

ケーブル管路形成方法

【課題】 光ファイバーケーブルの地中埋設にも適用できるとともに、電力ケーブルや通信ケーブルのための管路の形成にも使用することができ、しかも、地盤沈下にも対応してケーブルを安全確実に保持し、耐震性を有するケーブル管路形成方法を提供する。
【解決手段】 ハンドホール8の側壁に設けられたケーブル管路形成用ブロック体1のソケット部材3に、ケーブル挿通管10をスライド可能に保持させ、前記ケーブル挿通管10と、他のハンドホールから接続延長されたケーブル挿通管10とを、前記ソケット部材3に保持されたケーブル挿通管10のスライド移動と、連結用パイプ12を利用して一体的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力ケーブル、通信ケーブルあるいは光ファイバーケーブルなどを地中に埋設して構築するケーブル管路形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中に電力ケーブル網や通信ケーブル網などを構築するには、所要の距離を存してハンドホールを形成し、相対するハンドホール間をケーブル挿通管で連結して管路形成をし、このケーブル挿通管内に所要のケーブルを挿通して、当該ケーブルが安全かつ確実に使用できるよう構成している。
【0003】
このような管路形成に際し、ケーブル挿通管の管端をハンドホールに接続する手段としては、たとえば、実公昭55−33797号公報(特許文献1)がある。
この特許文献1に記載の埋設管用防水防護接続ブロックでは、ハンドホールの接続側の側壁にあらかじめ所要の大きさの開口部を形成し、前記開口部に、内部にケーブル挿通管の管端部を受入れるためのスリーブを複数埋め込んだコンクリート製のブロック本体の基端部を差し込み、両者を接着剤やセメントなどで一体的に固着し、ハンドホールから突出したブロック体の各スリーブに、ケーブル挿通管の管端を挿入して管路を形成している。
【0004】
一方、出願人は、特開平09−144951号公報(特許文献2)において、硬質発泡ポリウレタン製のブロック内に、1個又は2個以上のソケット部材を前後方向に配置し、前記ソケット部材の一端をブロックから突出せしめ、前記ブロックを、地中の要所に設置されたハンドホールの側壁に固定して、管路形成する手段を提案している。
【0005】
さらに、特公平06−1118号公報(特許文献3)においては、マンホール等の側壁を成形する内側と外側の型枠の内面に、ケーブル挿通管を受入れることのできる接続管の両端部をそれぞれ当接させて挟持状に配置した後、前記型枠内にコンクリートを流し込み、コンクリートの養生後に型枠を撤去し、前記接続管の先端部に、つば部を有する短管を側壁内面の上塗り代を考慮して接続し、前記接続管の後端部にケーブル挿通管を接続して管路形成する手段が開示されている。
【特許文献1】実公昭55−33797号公報
【特許文献2】特開平09−144951号公報
【特許文献3】特公平 6−001118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら公知の地中における通信網等の管路形成において、実公昭55−33797号公報(特許文献1)に開示される手段は、ケーブル挿通管の多数を受入れることのできるスリーブをコンクリートで一体化させてブロック体とし、このブロック体の基端部を、ハンドホールに設けた一つの開口部に固定するという、きわめて簡単な手段によって管路形成できる点において利点を有する。
反面、ブロック体の構成に際しては、ハンドホール側のスリーブ管端には、ダクトソケットを、他端側には、管接続用ソケットを設ける必要があるなど製造工程上に解決すべき問題がある。
【0007】
一方、光による通信方式として優れた特性を有する光ファイバーケーブル網の管路形成においては、光ファイバーケーブルは、電力ケーブルや通信ケーブルなどとは異なったより高い安全性、すなわち、漏水に対する防御、地盤沈下による耐久性および耐震性などに優れた緻密な管路構造であることを要求されると同時に、構築のための作業が容易で、低廉な費用によって構築できるものであることも要望されている。
【0008】
これらの要求を満たすために、パイプ部材に光ファイバーケーブルを個別に通線し、このパイプ部材の1又は2以上の外側を保護管でさらに保護するケーブル管路の構成システムが提案されている。
しかしながら、パイプ部材と、このパイプ部材を囲繞する保護管を設置されたハンドホール間に、正確かつ緊密に管路を形成するには、前記各公報に記載のベルブロックは適用できず、異なった構造の管路形成用のブロックを使用する必要がある。
【0009】
この発明はかかる現状に鑑み、光ファイバーケーブルの地中埋設にも適用できるとともに、電力ケーブルや通信ケーブルのための管路の形成にも使用することができ、しかも、地盤沈下にも対応してケーブルを安全確実に保持し、耐震性を有するケーブル管路形成方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の発明は、
ハンドホールの側壁に設けられたケーブル管路形成用ブロック体のソケット部材に、ケーブル挿通管をスライド可能に保持させ、
前記ケーブル挿通管と、他のハンドホールから接続延長されたケーブル挿通管とを、前記ソケット部材に保持されたケーブル挿通管のスライド移動と、連結用パイプを利用して一体的に接続すること
を特徴とするケーブル管路形成方法である。
【0011】
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のケーブル管路形成方法において、
前記連結用パイプによる接続は、
前記各ケーブル挿通管の管端部に装着されるスリーブを用いて行われること
を特徴とするものである。
【0012】
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のケーブル管路形成方法において、
前後方向において相対するケーブル挿通管同士を接続したのち、前記ケーブル管路形成用ブロック体の先端部外周にスライド可能に保持されていた保護管と、他のハンドホールから接続延長されてきた保護管の接続に際し、
前記ケーブル管路形成用ブロック体の先端部外周にスライド可能に保持されていた保護管を、前後方向にスライドさせながら、一方の管端に設けたパッキンとロックリングによって、両保護管を気密に接続すること
を特徴とするものである。
【0013】
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載のケーブル管路形成方法において、
前記相対する保護管同士の接続は、
スライド移動させた保護管の端面と、前記ケーブル管路形成用ブロック体を固定するハンドホールの側壁に生じた隙間を、レジンコンクリートにより固めて気密に保持すること
を特徴とするものである。
【0014】
さらに、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載のケーブル管路形成方法において、
前記ケーブル管路形成用ブロック体は、
ケーブル挿通管の管端部を、管端部同士を接続するためのやり取りが可能な範囲内で、スライドさせることのできる受入れ部を有するソケット部材の複数と、前記複数のソケット部材を一体的に結合保持する先端部が、円筒状であるブロック部材とからなるものであって、
前記ブロック部材の基端部を、ハンドホールの側壁に形成された取付孔と合致する形状とするとともに、
前記ハンドホールの側壁から突出するブロック部材の、円筒状の先端部外周面を、前記ケーブル挿通管の全てを覆う保護管の装着部としたこと
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明のケーブル管路形成方法は、ケーブルを直接保護するケーブル挿通管を保護管で囲繞するので、ケーブルを二重に保護することができ、通常の電力ケーブルや通信ケーブルのための管路形成に勿論使用できるとともに、特に光ファイバーケーブルのための管路形成に使用して高い安全性と緻密な管路の形成に大きく寄与することができるものである。
【0016】
また、使用するケーブル管路形成用ブロック体を、ブロック体を構成するソケット部材自体を所要の長さとし、かつブロック部材のハンドホール側壁から突出する部分を所要の長さに設定することによって、ケーブル挿通管および保護管の挿入代が長く、このブロック体を用いて形成されたケーブル管路は、地盤沈下や耐震性に優れた効果を発揮する。
【0017】
特に、この発明においては、所要長さの複数のソケット部材と、これらソケット部材を一体的に結合させたブロック部材とで構成し、ブロック部材の基端部をハンドホールの側壁に固定するとともに、先端部をハンドホールの側壁から所要の長さで突出させ、この突出部を、ケーブル挿通管全体を覆う保護管の装着部するこよによって、管路形成に際し、ケーブル挿通管の管端部を、前記ソケット部材内において所要の範囲、すなわち、ケーブル挿通管の接続のためのやり取りを可能とする長さだけスライド移動させることができる。
【0018】
さらに、前記保護管も、ブロック部材の先端部外周にスライド自在に保持されるので、ハンドホール間をケーブル挿通管および保護管で連結し、ケーブル管路を構成するに際し、ケーブル挿通管は勿論のこと、保護管もスライドによるやり取りで、接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明のケーブル管路形成方法において使用されるケーブル管路形成用ブロック体は、ケーブル挿通管を受入れることのできるソケット部材の複数と、前記ソケット部材の複数を所要の間隔で一体的に結合保持するブロック部材とから構成されている。
【0020】
前記のソケット部材は、径が約50〜100mmφ程度のパイプ材からなるもので、ハンドホール側に位置する基端部側は、肩部を介して当該パイプ材の内径の約一回り程度縮径させるとともに、その開口部を、外側にラッパ状に拡径させてケーブルの挿通を円滑にするためのガイド部を形成したものである。
一方の先端部近傍には、受入れたケーブル挿通管を、緊密に保持するためのゴム輪保持部が外側に膨出する状態で形成され、内部の凹状部にゴム輪が装着保持されるもので、塩化ビニル樹脂等のプラスチックのブロー成形によって簡単に得ることができる。
【0021】
このソケット部材の先端部側から、基端部側の前記縮径部に至るまでの間は、ケーブル挿通管をスライドさせて受入れることが可能で、この受入れ可能部の一部の内周面に、リング状の凹部を形成し、ケーブル挿通管の管端位置を決定するための標線とすることによって、ケーブル挿通管の管端を簡単に決めることが可能となる。
【0022】
かかるソケット部材は、たとえば、所要の間隔に保持された一対の型枠間に同心円上に配置して固定する。
しかるのち、型枠内にレジンコンクリートを流し込み、ブロック部材を構成するものであるが、このブロック部材を構成するに際し、前記各ソケット部材のゴム輪保持部と、その後方に連なる基端側の外周部の一部を、前記ブロック部材の先端面から突出させてもよく、あるいは各ソケット部材の先端面とブロック部材の先端面が、面一の状態となるにしてもよい。
【0023】
その際、ブロック部材の基端部側は、ハンドホールの側壁部に固定されるため、各ソケット部材の基端部側の開口部は、ブロック部材から突出させないように、ブロック部材でソケット部材を結束保持するものである。
【0024】
また、取付けた際、ハンドホールの側壁内に位置するソケット部材の、基端部の側の外周部には砂付け加工処理を施し、レジンコンクリートとの馴染みを良くすることによってブロック部材により、確実に各ソケット部材を保持することができる。
【0025】
複数のソケット部材を、一体的に結合させたブロック体の基端部は、ハンドホールの側壁に形成されたブロック体の取付孔と合致する形状を有し、ハンドホールの側壁から突出する外周面は、複数のケーブル挿通管を同時に覆う保護管の装着部としたものである。
この装着部は少なくともある程度の長さ、すなわち、ケーブル挿通管の接続のためのやり取りを可能とする長さを有するもので、それに対応して、ソケット部材も前記のように所要の長さとしたものである。
【0026】
なお、前記保護管の装着部となるブロック部材の当該部位は、装着の容易性を考慮て全体が円筒状で、その基端部は、ハンドホールとの結合性等を考慮すると、方形又は矩形であることが好ましいが、ブロック部材は全体の形状が円筒状であってもよいことは勿論である。
【0027】
上記構成のケーブル管路形成用ブロック体を使用してケーブル管路を形成するには、地中に所要の距離をおいて設置した、相対するハンドホールの接続側の壁面に前記ブロック部材の基端部を固定し、このブロック部材に設けられたソケット部材に、ケーブル挿通管の管端部をそれぞれ挿入する。
そして、挿入したケーブル挿通管の管端が、ソケット部材の受入れ部の内周面に形成した、凹部の標線に一致するまでケーブル挿通管をスライド移動させるとともに、このケーブル挿通管を囲繞する保護管の端部を、ハンドホールの側壁から突出したブロック部材の先端部外周に外嵌させ、この保護管の端部をハンドホールの壁面近い位置まで押し込む。
【0028】
ついで、前記の各ケーブル挿通管の先端部に、他のケーブル挿通管を、ソケット接続や雌雄の係合接続手段で、相対するハンドホールに向けて順次接続する。
一方、保護管の他端にも、他の保護管を、適宜の接続手段で、相対するハンドホールに向けて順次接続してゆく。
【0029】
これら両ハンドホールからの接続で、間隔を保って接近した相互のケーブル挿通管の、先端部同士の長さとほぼ等しい長さの連結用パイプ部材を別途準備し、少なくとも一方のケーブル挿通管を、一方のハンドホール側にスライドによって移動させ、一旦ケーブル挿通管同士の間隔を広げる。
しかるのち、この広げられた間隔の内側に、前記連結用パイプ部材を介在させ、移動させたケーブル挿通管を引き戻して元の位置に復帰させながら、ソケット接続あるいは雌雄の係合接続によって、相互のケーブル挿通管同士を連結用パイプ部材で接続する。
【0030】
この操作において、各保護管は、連結用パイプ部材の介在の妨げにならないように適宜の間隔を保持させておく。
前記ケーブル挿通管同士の接続が完了すれば、少なくとも一方の保護管を移動させ、相互に接近した保護管の端部を、適宜の手段で接続することにより、ケーブル管路を形成することができる。
【0031】
かくして形成された管路の、前記ケーブル挿通管の内部に、一方のハンドホールからケーブルを挿入し、他方のハンドホールより引き出し、順次これを実施することによって、ケーブルの地中埋設を終えることができる。
【0032】
ケーブルを挿通保持するための前記ケーブル挿通管は、硬質の塩化ビニル樹脂などのプラスチックで形成し、このケーブル挿通管を囲繞して保護する保護管は難燃性のポリエチレンやポリプロピレンによって形成するものである。
なお、この保護管は、内側をストレートな管で形成し、外側を螺旋もしくは凹条と凸条とによる管を一体化した、いわゆるコルゲート管で構成することによって、土圧に耐えることができるので、使用上好ましいものである。
【実施例】
【0033】
以下、この発明のケーブル管路形成方法に使用するケーブル管路形成用ブロック体(以下、単に形成用ブロック体という)の実施例と、この形成用ブロック体によるケーブル管路の形成方法を、添付の図面に基づいて具体的に説明する。
図1および図2に示すこの発明の形成用ブロック体1は、硬質の塩化ビニル樹脂で形成された6本のソケット部材3,3……と、このソケット部材3,3……をレジンコンクートによって一体的に結合した、ブロック部材2とからなるものである。
【0034】
前記ブロック部材2は、所要の径と長さの円筒体で構成し、円筒体の外周面を保護管の装着部とした先端部2aと、この先端部2aに連設する、断面が所定寸法の正方形で、その厚みが、ハンドホールの側壁の厚みと等しい基端部2bとからなるものである。
前記6本のソケット部材3,3……は、前記先端部2aの円形断面の同一円周上に、所定の間隔を保持して平行に結合されて基端部2bに至って開口している。
【0035】
このソケット部材3は、それぞれその先端部を、前記ブロック部材2の先端部2aから所要の長さで突出させ、この突出した先端開口部の近傍には、後述するケーブル挿通管を受入れて、ゴム輪によって緊密に保持するためのゴム輪保持部4が、内方から外方に向けて形成されている。
【0036】
また、このソケット部材3は、先端面から前記ゴム輪保持部4の部分を経た所要長さの部分を同一内径で直線状に構成して受入れ部5を形成し、その内奥を前記基端部側に向けて緩やかに縮径させて縮径部6を形成し、ついで緩やかにラッパ状に拡径するガイド部7を形成しているものである。
前記縮径部6から基端側の外周面には、ブロック部材2の基端部2bとの馴染みをよくするための砂付け加工が施されている。
【0037】
前記受入れ部5の略中央部には、挿入したケーブル挿通管の、管端の位置決めのための標線5aが形成されている。
この標線5aは、内周壁にリング状に形成された凹部からなるもので、ブロー成形によって簡単に形成でき、この凹状部に光を当てることによって当該部位に陰影が生じ、標線5aの位置を簡単かつ容易に視認することができる。
【0038】
前記ブロック部材2とソケット部材3,3……で構成された形成用ブロック体1は、たとえば、図3に示すように、2個のブロック体1,1を、地中に配設したハンドホール8の接続側の側壁に上下に接触させて取付け、その周囲をレジンコンクリートで固めることによって固定する。
【0039】
ついで、相対向する状態でハンドホールの側壁に取付けられた形成用ブロック体1,1間に、ケーブル挿通管と保護管を取付けてケーブル管路を形成する。
以下、その手順について説明する。
【0040】
まず、図4から明らかなように、形成用ブロック体1を構成するブロック部材2から先端部が突出する各ソケット部材3,3……内に、それぞれ硬質の塩化ビニル樹脂管からなるケーブル挿通管10の管端部を、それぞれ個別に挿入するに際し、ハンドホール内から光線を当てながら、標線5aと管端が一致するまで、ケーブル挿通管10の基端部を挿入すると、位置決めされたケーブル挿通管10は、ソケット部材3のゴム輪保持部4に装着した異形断面のゴム輪9によって、形成用ブロック体1に緊密に保持される。
【0041】
ついで、ストレートな管の外側に、凹凸条による管を一体化して土圧に耐えるようにした難燃性のポリエチレン又はポリプロピレンなどからなる保護管13を、前記ケーブル挿通管10,10……に囲繞させ、その端部を、前記ブロック部材2の先端部2aの外周部に装着させて、保護管13の端部をハンドホール8の側壁に近い位置まで挿入する。
【0042】
位置決めしたケーブル挿通管10に接続すべき他のケーブル挿通管10を、中央内面に突条からなるストッパ11aを形成したスリーブ11によって、相対するハンドホールに向けて順次接続してゆき、同様にして保護管13の他端に、他の保護管13を相対するハンドホールに向けて順次接続してゆく。
【0043】
この保護管13,13同士の接続は、一方の保護管13の端部に形成された雌の受け口14に、接続せんとする保護管13の端部に形成された雄の受け口15を係合させることによって行う。
その際、図6に示すように、雄の受け口15内の凹凸条に介在させたパッキング16とロックリング17で気密に接続するものである。
【0044】
一方のハンドホールから、相対する他方のハンドホールに向けてケーブル挿通管10および保護管13を順次接続し、接続したケーブル挿通管および保護管の先端部がそれぞれ短い間隔で対峙するようになったとき、各ケーブル挿通管10,10の各先端に、ストッパ11aを備えたスリーブ11,11を装着し、相互のスリーブ11,11の各ストッパ11aまでの間隔に等しい長さの連結用パイプ部材12を別途準備する。
また、一方のケーブル挿通管部材10(図4において右側のケーブル挿通管10)を、
矢視の方向にスライドさせ、対峙する両ケーブル挿通管10,10の間隔を広げる。
【0045】
このスライド移動は、ケーブル挿通管10を、ソケット部材3の受入れ部5の範囲内で行うことができるよう構成されているが、図4の場合は、スリーブ11の長さの分だけ標線5aを越えて右方にスライドさせればよく、これによって両スリーブ11,11の間に連結用パイプ部材12を介在させることができる。
その際、スライド移動するケーブル挿通管10は、ソケット部材3のハンドホール側の内部が縮径されているため、それ以上の移動を阻止される。
なお、この操作において、各保護管13,13は、前記連結用パイプ部材12の介装の妨げにならない程度の間隔を保持させておく。
【0046】
ついで、図5に示すように、一方のケーブル挿通管10のスライドで広がった間隔の部分に連結用パイプ部材12を介在させ、この連結用パイプ部材12の一方の端部を一方のスリーブ11に取付ける。
ついで、ケーブル挿通管10を元の位置(図4において左方向)へ引っ張って、連結用パイプ部材12の他方の端部を、他方のスリーブ11に装着することによって、両ケーブル挿通管10,10を一体的に連結することができる。
【0047】
この最終段階において、ケーブル挿通管10の管端位置はソケット部材3の受入れ部5における標線5aの位置に復帰する。
かくして、6本のケーブル挿通管10,10……の接続を終えたのち、図6に示すように、保護管13を矢視のとおり左方にスライドさせて、雌の受口14内に、他の保護管13の、雄の受口15を嵌入させることにより、雄の受け口15の凹凸条に介在させたパッキング16とロックリング17により、気密に接続して一つの管路を形成する。
【0048】
なお、前記保護管13は、ハンドホール8の側に接近しているが固定されておらず、ブロック部材2に対してスライド自在である。
そのため、ケーブル挿通管10,10同士の接続距離によっては、保護管13の端面が図6に示すように、ハンドホール8の壁面から離れる場合もある。
かかる場合には、設置後にレジンコンクリートによって、固めて気密を保持するものである。
【0049】
前記ケーブル挿通管10と保護管13のスライドは、上記の通りいずれか一方のケーブル挿通管や保護管をスライドさせてもよい。
また、双方のケーブル挿通管や保護管を、スライドさせることによっても達成することができる。
かくして形成したケーブル管路は、一方のハンドホール8から各ケーブル挿通管10内にケーブルを挿入し、他方のハンドホール8から引き出し、順次これを実施することによって所期のとおりケーブルを地中に敷設することができる。
【0050】
図7は、この発明に使用するケーブル管路形成用ブロック体の、他の実施例を示す。
形成用ブロック体21は、硬質の塩化ビニル樹脂で形成された、前記図1と同様の6本のソケット部材23,23……と、このソケット部材23,23……を、レジンコンクートで一体的に結合したブロック部材22とからなるものである。
【0051】
このブロック部材22は、前記図1に示したブロック部材2のように、先端部2aを円筒体とし、基端部2bを角形断面とすることなく、全体を所要の径と長さの円筒形としたものである。
この円筒状の基端部を、ハンドホール28の側壁に設けた円形の取付孔に挿入し、レジンコンクリートで固定して装着することができるものである。
【0052】
このブロック部材22は全体が円筒状であるため、ハンドホール28の側壁の厚みに相当する基端部を殊更異形のものとして設定する必要がなく、ハンドホール28に簡単に取付けて、ハンドホール28から突出した先端部の外周面を、保護管の装着部とすることができるものである。
【0053】
また、前記6本のソケット部材23,23……は、先端部がブロック部材22の先端部と面一となるようにして、円形断面の同一円周上に、所定の間隔を保持して平行に結合されている。
【0054】
図中、24はゴム輪保持部、25はケーブル挿通管の受入れ部、25aは標線、26は縮径部、27はガイド部である。
これらは、図1に示したゴム輪保持部4、受入れ部5、標線5a、縮径部6およびガイド部7に、それぞれ対応して同様の機能を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明に使用する、ケーブル管路形成用ブロック体の一例を示す一部切欠側面図である。
【図2】図2の縦断面図である。
【図3】ハンドホールへの取付けの一例を略示した斜視図である。
【図4】この発明のケーブル管路形成方法のステップを示す説明図である。
【図5】同じくパイプ部材の接続直後の状態を示す説明図である。
【図6】接続完了時の説明図である。
【図7】この発明に使用するケーブル管路形成用ブロック体の、他の例を示す一部切欠側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1,21 ケーブル管路形成用ブロック体
2,22 ブロック部材
2a 先端部
2b 基端部
3,23 ソケット部材
5,25 受入れ部
5a,25a 標線
8,28 ハンドホール
10 ケーブル挿通管
11 スリーブ
12 連結用パイプ部材
13 保護管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドホールの側壁に設けられたケーブル管路形成用ブロック体のソケット部材に、ケーブル挿通管をスライド可能に保持させ、
前記ケーブル挿通管と、他のハンドホールから接続延長されたケーブル挿通管とを、前記ソケット部材に保持されたケーブル挿通管のスライド移動と、連結用パイプを利用して一体的に接続すること
を特徴とするケーブル管路形成方法。
【請求項2】
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
前記連結用パイプによる接続は、
前記各ケーブル挿通管の管端部に装着されるスリーブを用いて行われること
を特徴とする請求項1に記載のケーブル管路形成方法。
【請求項3】
前後方向において相対するケーブル挿通管同士を接続したのち、前記ケーブル管路形成用ブロック体の先端部外周にスライド可能に保持されていた保護管と、他のハンドホールから接続延長されてきた保護管の接続に際し、
前記ケーブル管路形成用ブロック体の先端部外周にスライド可能に保持されていた保護管を、前後方向にスライドさせながら、一方の管端に設けたパッキンとロックリングによって、両保護管を気密に接続すること
を特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル管路形成方法。
【請求項4】
前記相対する保護管同士の接続は、
スライド移動させた保護管の端面と、前記ケーブル管路形成用ブロック体を固定するハンドホールの側壁に生じた隙間を、レジンコンクリートにより固めて気密に保持すること
を特徴とする請求項3に記載のケーブル管路形成方法。
【請求項5】
前記ケーブル管路形成用ブロック体は、
ケーブル挿通管の管端部を、管端部同士を接続するためのやり取りが可能な範囲内で、スライドさせることのできる受入れ部を有するソケット部材の複数と、前記複数のソケット部材を一体的に結合保持する先端部が、円筒状であるブロック部材とからなるものであって、
前記ブロック部材の基端部を、ハンドホールの側壁に形成された取付孔と合致する形状とするとともに、
前記ハンドホールの側壁から突出するブロック部材の、円筒状の先端部外周面を、前記ケーブル挿通管の全てを覆う保護管の装着部としたこと
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のケーブル管路形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−136350(P2008−136350A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18899(P2008−18899)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【分割の表示】特願平10−170884の分割
【原出願日】平成10年6月18日(1998.6.18)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】