ケーブル診断システム
【課題】端末間の通常の通信を遮断せずかつ邪魔せずにケーブル診断を行い通信効率を維持することができるケーブル診断システムを提供する。
【解決手段】有線のケーブルを用いて端末間で通信を行うネットワークにおけるケーブル診断システムであって、端末3から出力される通信データに基づいて前記ケーブル2を診断するテスタ1を備え、前記テスタ1は、端末3から出力される通信データを受信して、予め定められた波形とマッチングを行い、マッチングが成功したらトリガ情報を出力するテスト信号波形検出部11と、前記トリガ情報の受信に基づいて前記ケーブルから判定に必要な時間だけ波形を観測する反射波モニタ12と、前記反射波モニタにより観測された波形の電圧値に基づいて異常か否かを判断する故障判断部13とを有する。
【解決手段】有線のケーブルを用いて端末間で通信を行うネットワークにおけるケーブル診断システムであって、端末3から出力される通信データに基づいて前記ケーブル2を診断するテスタ1を備え、前記テスタ1は、端末3から出力される通信データを受信して、予め定められた波形とマッチングを行い、マッチングが成功したらトリガ情報を出力するテスト信号波形検出部11と、前記トリガ情報の受信に基づいて前記ケーブルから判定に必要な時間だけ波形を観測する反射波モニタ12と、前記反射波モニタにより観測された波形の電圧値に基づいて異常か否かを判断する故障判断部13とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有線のケーブルを用いたネットワークにおけるケーブルを診断するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有線のケーブルを用いたネットワークにおいては、ケーブルの状態が伝送品質に影響する。ケーブルの異常例として例えば短絡や開放(断線)が挙げられる。そのため、定期的なケーブル診断がなされている。
【0003】
従来は、ケーブルを電気回路やネットワークから切り離してケーブル診断を行っていた。しかしながら、ケーブルは端子やコネクタなどの接続具に強固に固定されているので、測定の度にケーブルを外す作業は効率が悪く、ケーブルや接続具の損傷要因にもなる。
【0004】
そこで、ケーブル診断方法の一つとして、TDR(Time Domain Reflectometry:時間領域反射)法を用いることが試みられている(例えば、特許文献1参照)。このケーブル診断方法では、ケーブルを測定する場合に、ケーブルを自動的に電気回路から切り離して予め計測されている負荷インピーダンスを接続するように回路構成することを特徴としている。しかしながら、一旦ケーブルを電気回路から切り離すため、ケーブルを介した通信を行っている場合には通常の通信が遮断されてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−152376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来例では、ケーブル診断のために一旦ケーブルを切り離すことにより通信が遮断される。また、ケーブル品質維持のためにケーブル診断の頻度を上げると通信効率が下がる問題がある。
【0007】
この発明は上述した点に鑑みてなされたもので、端末間の通常の通信を遮断せずかつ邪魔せずにケーブル診断を行い通信効率を維持することができるケーブル診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るケーブル診断システムは、有線のケーブルを用いて端末間で通信を行うネットワークにおけるケーブル診断システムであって、端末から出力される通信データに基づいて前記ケーブルを診断するテスタを備え、前記テスタは、端末から出力される通信データを受信して、予め定められた波形とマッチングを行い、マッチングが成功したらトリガ情報を出力するテスト信号波形検出部と、前記トリガ情報の受信に基づいて前記ケーブルから判定に必要な時間だけ波形を観測する反射波モニタと、前記反射波モニタにより観測された波形の電圧値に基づいて異常か否かを判断する故障判断部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ネットワークの通信端末上にテスタを組み込むことで、通信端末から出力された信号を例えばTDR測定用のテスト信号として用いてTDR測定のようなケーブル診断を行うことで、ケーブル診断のための特別なテスト信号をネットワーク上に流す必要がないため、端末間の通常の通信を遮断せずかつ邪魔せずにケーブル診断を行い通信効率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るケーブル診断システムの全体構成を示す図である。
【図2】TDR法に用いられるステップ波の説明図である。
【図3】図1における端末3及びテスタ1の内部構成例を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係るケーブル診断システムを説明するもので、図3に対応する端末3及び端末3に組み込まれたテスタ1の内部構成例を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係るケーブル診断システムを説明するもので、テスタ1の別の内部構成例を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係るケーブル診断システムを説明するもので、テスタ1の別の内部構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るケーブル診断システムの全体構成を示す図である。なお、この発明は、実施の形態により限定されるものではない。図1において、ケーブルを診断するテスタ1が、端末3に組み込まれており、端末3から出力された通信データはケーブル2を介して端末4,5,6へと伝送される。ケーブル2は、一本のみで繋がっているわけではなく、何本かで連結されている構成でもよい。
【0012】
テスタ1は、例えば端末3から出力される信号を用いて波形解析を行う。テスタ1は、波形解析に例えばTDR法を用いる場合、通常、図2に示すようなステップ波を利用する。また、TDR法では通常ケーブルの端にテスタを設置して、テスタ自らがステップ波を出してケーブルの反対側の端まで行った波がテスタまで戻ってくる様子を観測するために、テスタはケーブルの途中ではなく端に設置するのが望ましい。そのため、テスタ1を組み込んだ端末3は通常ケーブルの端に設置される。
【0013】
テスタを用いた従来のケーブル診断では、テスタ自らが図2に示すようなステップ波を出力し反射されてテスタまで戻ってきた波を観測して診断を行う。しかし、この発明では、TDR法のようにステップ波を観測するのは同じだが、例えば端末3から出力される通常の通信信号を用いてテスタ1自身からは信号を出さないために端末間通信の邪魔をしないという効果がある。
【0014】
図3は、図1における端末3及び端末3に組み込まれたテスタ1の内部構成例を示すブロック図である。ここでは、テスタ1は端末3の中に記載しているが、端末3の外に置いても構わない。端末3は、通信データの入出力を行うデータ入出力部31を備え、データ入出力部31は、端末3内部にて生成されたデータをデジタル信号からアナログ信号へ変換するD/Aコンバータ32と、D/Aコンバータ32によりアナログ変換された信号に対し所定の遮断周波数より高い周波数の帯域を減衰させてケーブル2を介して外部へ出力するローパスフィルタ33と、ケーブル2を介して外部から入力される信号に対し所定の遮断周波数より高い周波数の帯域を減衰させるローパスフィルタ34と、ローパスフィルタ34を介して入力されるアナログ信号をデジタル変換するA/Dコンバータ35とを有する。なお、データ入出力部31の形態はこれに限定されるものではなく、ドライバを用いる方法などもある。
【0015】
また、テスタ1は、端末3の通信データ入出力部31からの通信データを受信して、予め定められた波形とマッチングを行い、マッチングが成功したらトリガ情報を出力するテスト信号波形検出部11と、トリガ情報の受信に基づいてケーブル2から判定に必要な時間だけ波形を観測する反射波モニタ12と、反射波モニタ12により観測された波形の電圧値に基づいて異常か否かを判断する故障判断部13とを有する。
【0016】
次に、端末3の動作を説明する。端末3の内部ではデータ入出力部31から通信データの入出力を行う。端末3のデータ入出力の例を説明する。データを出す場合は、端末3内部にて生成されたデータはD/Aコンバータ32でデジタル信号からアナログ信号へ変換される。その際同時にテスト信号波形検出部11にもデータが出力される。アナログ変換された信号はローパスフィルタ33を通って外部へと出力される。逆に、外部から端末3にデータが入ってきた場合は、ローパスフィルタ33を通ってA/Dコンバータ34を通ってデジタル信号が端末3内部へと入力される。
【0017】
次に、テスタ1の動作を説明する。テスト信号波形検出部11では、端末3の通信データ入出力部31からの通信データを受信して、予め定められている波形とマッチングを行い、マッチングが成功したらトリガ情報を反射波モニタ12に渡す。トリガ情報を受けた反射波モニタ12では、ケーブル2から判定に必要な時間だけ波形を観測し故障判断部13へと渡す。反射波モニタ12にて波形を観測する際には、メモリを備えることでメモリに波形データを一定時間保有する方法などがある。ここで、一定時間とは例えば(T1+T2)であり、時間T1及びT2については後述する。故障判断部13では、電圧値に基づいて異常かを診断する。例えば観測電圧値が通信データ入出力部31から出た電圧値の2倍ならば、どこかで開放(断線)していると判断できる。
【0018】
なお、テスト信号波形検出部11のトリガ条件としては、図2に示すのと同様に、端末3から出力される信号のうち、時間T1の間だけ振幅がLOWである瞬間から時間T2だけ振幅がHIGHになる信号を用いるように構成することも可能である。
【0019】
以上のように、ケーブル2のテスト信号として通常の通信信号を用いることにより、従来例のように端末間通信を遮断することがなくケーブルテストを行うことができる。例えば、従来例の場合、通常繋がっているケーブルを切り離して、一旦テスタに切り替えることを必要とした。また、テスト時にOKな場合でも、半断線のようないつ起こるか分からないエラーを捕らえることが難しかった。一方、この発明の場合、ケーブルを切り替えることなく通常の端末間通信を行っているままケーブル診断をすることができる。したがって、この発明は、従来技術よりも少ない手間でケーブルを診断することができる。さらに、ケーブルを切り替えることなくケーブル診断ができるため、常時ケーブルを監視することができ、半断線のような不定期に発生するエラーにも対応することができる。
【0020】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に係るケーブル診断システムを説明するもので、図3に対応する端末3及び端末3に組み込まれたテスタ1の内部構成例を示すブロック図である。なお、図4に示す実施の形態2によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
この図4に示す実施の形態2は、図3に示す実施の形態1とは、通信データ入出力部31内での出力データ分岐を行わずに、ローパスフィルタ33から出力されたアナログ信号がテスト信号波形検出部11に入力される構成となっており、また、バッファ14を設けることにより、他の端末からきた信号をこのバッファ14で吸収することで、テスト信号波形検出部11には他の端末からきた信号が届かない構成となっている。
【0022】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3に係るケーブル診断システムを説明するもので、テスタ1の別の内部構成例を示すブロック図である。図5において、図3の構成とは、記憶部15が付加された点が異なり、異なる点についてのみ説明する。
【0023】
記憶部15は、故障判断部13の出力するエラー情報を蓄積する。図5のような構成にした場合、上述した実施の形態1及び2の効果に加え、エラー情報を蓄積することにより、エラーが複数回起きた場合にその発生する頻度を知ることができる。
【0024】
実施の形態4.
図6は、この発明の実施の形態4に係るケーブル診断システムを説明するもので、テスタ1の別の内部構成例を示すブロック図である。図6において、図3の構成とは、報知部16が付加された点が異なり、異なる点についてのみ説明する。
【0025】
報知部16は、故障判断部13の出力するエラー情報を受けて、例えばアラームが鳴ったり照明が光ったりする。または、記憶部15からの出力信号を入力としても良い。図6のような構成にした場合、上述した実施の形態1ないし3の効果に加え、観測者は診断結果の異常の発生を知ることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 テスタ、2 ケーブル、3 テスタが組み込まれた端末、4,5,6 端末、11 テスト信号波形検出部、12 反射波モニタ、13 故障判断部、14 バッファ、15 記憶部、16 報知部、31 通信データ入出力部、32 D/Aコンバータ、33 ローパスフィルタ、34 A/Dコンバータ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、有線のケーブルを用いたネットワークにおけるケーブルを診断するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有線のケーブルを用いたネットワークにおいては、ケーブルの状態が伝送品質に影響する。ケーブルの異常例として例えば短絡や開放(断線)が挙げられる。そのため、定期的なケーブル診断がなされている。
【0003】
従来は、ケーブルを電気回路やネットワークから切り離してケーブル診断を行っていた。しかしながら、ケーブルは端子やコネクタなどの接続具に強固に固定されているので、測定の度にケーブルを外す作業は効率が悪く、ケーブルや接続具の損傷要因にもなる。
【0004】
そこで、ケーブル診断方法の一つとして、TDR(Time Domain Reflectometry:時間領域反射)法を用いることが試みられている(例えば、特許文献1参照)。このケーブル診断方法では、ケーブルを測定する場合に、ケーブルを自動的に電気回路から切り離して予め計測されている負荷インピーダンスを接続するように回路構成することを特徴としている。しかしながら、一旦ケーブルを電気回路から切り離すため、ケーブルを介した通信を行っている場合には通常の通信が遮断されてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−152376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来例では、ケーブル診断のために一旦ケーブルを切り離すことにより通信が遮断される。また、ケーブル品質維持のためにケーブル診断の頻度を上げると通信効率が下がる問題がある。
【0007】
この発明は上述した点に鑑みてなされたもので、端末間の通常の通信を遮断せずかつ邪魔せずにケーブル診断を行い通信効率を維持することができるケーブル診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るケーブル診断システムは、有線のケーブルを用いて端末間で通信を行うネットワークにおけるケーブル診断システムであって、端末から出力される通信データに基づいて前記ケーブルを診断するテスタを備え、前記テスタは、端末から出力される通信データを受信して、予め定められた波形とマッチングを行い、マッチングが成功したらトリガ情報を出力するテスト信号波形検出部と、前記トリガ情報の受信に基づいて前記ケーブルから判定に必要な時間だけ波形を観測する反射波モニタと、前記反射波モニタにより観測された波形の電圧値に基づいて異常か否かを判断する故障判断部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ネットワークの通信端末上にテスタを組み込むことで、通信端末から出力された信号を例えばTDR測定用のテスト信号として用いてTDR測定のようなケーブル診断を行うことで、ケーブル診断のための特別なテスト信号をネットワーク上に流す必要がないため、端末間の通常の通信を遮断せずかつ邪魔せずにケーブル診断を行い通信効率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るケーブル診断システムの全体構成を示す図である。
【図2】TDR法に用いられるステップ波の説明図である。
【図3】図1における端末3及びテスタ1の内部構成例を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係るケーブル診断システムを説明するもので、図3に対応する端末3及び端末3に組み込まれたテスタ1の内部構成例を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係るケーブル診断システムを説明するもので、テスタ1の別の内部構成例を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係るケーブル診断システムを説明するもので、テスタ1の別の内部構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るケーブル診断システムの全体構成を示す図である。なお、この発明は、実施の形態により限定されるものではない。図1において、ケーブルを診断するテスタ1が、端末3に組み込まれており、端末3から出力された通信データはケーブル2を介して端末4,5,6へと伝送される。ケーブル2は、一本のみで繋がっているわけではなく、何本かで連結されている構成でもよい。
【0012】
テスタ1は、例えば端末3から出力される信号を用いて波形解析を行う。テスタ1は、波形解析に例えばTDR法を用いる場合、通常、図2に示すようなステップ波を利用する。また、TDR法では通常ケーブルの端にテスタを設置して、テスタ自らがステップ波を出してケーブルの反対側の端まで行った波がテスタまで戻ってくる様子を観測するために、テスタはケーブルの途中ではなく端に設置するのが望ましい。そのため、テスタ1を組み込んだ端末3は通常ケーブルの端に設置される。
【0013】
テスタを用いた従来のケーブル診断では、テスタ自らが図2に示すようなステップ波を出力し反射されてテスタまで戻ってきた波を観測して診断を行う。しかし、この発明では、TDR法のようにステップ波を観測するのは同じだが、例えば端末3から出力される通常の通信信号を用いてテスタ1自身からは信号を出さないために端末間通信の邪魔をしないという効果がある。
【0014】
図3は、図1における端末3及び端末3に組み込まれたテスタ1の内部構成例を示すブロック図である。ここでは、テスタ1は端末3の中に記載しているが、端末3の外に置いても構わない。端末3は、通信データの入出力を行うデータ入出力部31を備え、データ入出力部31は、端末3内部にて生成されたデータをデジタル信号からアナログ信号へ変換するD/Aコンバータ32と、D/Aコンバータ32によりアナログ変換された信号に対し所定の遮断周波数より高い周波数の帯域を減衰させてケーブル2を介して外部へ出力するローパスフィルタ33と、ケーブル2を介して外部から入力される信号に対し所定の遮断周波数より高い周波数の帯域を減衰させるローパスフィルタ34と、ローパスフィルタ34を介して入力されるアナログ信号をデジタル変換するA/Dコンバータ35とを有する。なお、データ入出力部31の形態はこれに限定されるものではなく、ドライバを用いる方法などもある。
【0015】
また、テスタ1は、端末3の通信データ入出力部31からの通信データを受信して、予め定められた波形とマッチングを行い、マッチングが成功したらトリガ情報を出力するテスト信号波形検出部11と、トリガ情報の受信に基づいてケーブル2から判定に必要な時間だけ波形を観測する反射波モニタ12と、反射波モニタ12により観測された波形の電圧値に基づいて異常か否かを判断する故障判断部13とを有する。
【0016】
次に、端末3の動作を説明する。端末3の内部ではデータ入出力部31から通信データの入出力を行う。端末3のデータ入出力の例を説明する。データを出す場合は、端末3内部にて生成されたデータはD/Aコンバータ32でデジタル信号からアナログ信号へ変換される。その際同時にテスト信号波形検出部11にもデータが出力される。アナログ変換された信号はローパスフィルタ33を通って外部へと出力される。逆に、外部から端末3にデータが入ってきた場合は、ローパスフィルタ33を通ってA/Dコンバータ34を通ってデジタル信号が端末3内部へと入力される。
【0017】
次に、テスタ1の動作を説明する。テスト信号波形検出部11では、端末3の通信データ入出力部31からの通信データを受信して、予め定められている波形とマッチングを行い、マッチングが成功したらトリガ情報を反射波モニタ12に渡す。トリガ情報を受けた反射波モニタ12では、ケーブル2から判定に必要な時間だけ波形を観測し故障判断部13へと渡す。反射波モニタ12にて波形を観測する際には、メモリを備えることでメモリに波形データを一定時間保有する方法などがある。ここで、一定時間とは例えば(T1+T2)であり、時間T1及びT2については後述する。故障判断部13では、電圧値に基づいて異常かを診断する。例えば観測電圧値が通信データ入出力部31から出た電圧値の2倍ならば、どこかで開放(断線)していると判断できる。
【0018】
なお、テスト信号波形検出部11のトリガ条件としては、図2に示すのと同様に、端末3から出力される信号のうち、時間T1の間だけ振幅がLOWである瞬間から時間T2だけ振幅がHIGHになる信号を用いるように構成することも可能である。
【0019】
以上のように、ケーブル2のテスト信号として通常の通信信号を用いることにより、従来例のように端末間通信を遮断することがなくケーブルテストを行うことができる。例えば、従来例の場合、通常繋がっているケーブルを切り離して、一旦テスタに切り替えることを必要とした。また、テスト時にOKな場合でも、半断線のようないつ起こるか分からないエラーを捕らえることが難しかった。一方、この発明の場合、ケーブルを切り替えることなく通常の端末間通信を行っているままケーブル診断をすることができる。したがって、この発明は、従来技術よりも少ない手間でケーブルを診断することができる。さらに、ケーブルを切り替えることなくケーブル診断ができるため、常時ケーブルを監視することができ、半断線のような不定期に発生するエラーにも対応することができる。
【0020】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2に係るケーブル診断システムを説明するもので、図3に対応する端末3及び端末3に組み込まれたテスタ1の内部構成例を示すブロック図である。なお、図4に示す実施の形態2によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
この図4に示す実施の形態2は、図3に示す実施の形態1とは、通信データ入出力部31内での出力データ分岐を行わずに、ローパスフィルタ33から出力されたアナログ信号がテスト信号波形検出部11に入力される構成となっており、また、バッファ14を設けることにより、他の端末からきた信号をこのバッファ14で吸収することで、テスト信号波形検出部11には他の端末からきた信号が届かない構成となっている。
【0022】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3に係るケーブル診断システムを説明するもので、テスタ1の別の内部構成例を示すブロック図である。図5において、図3の構成とは、記憶部15が付加された点が異なり、異なる点についてのみ説明する。
【0023】
記憶部15は、故障判断部13の出力するエラー情報を蓄積する。図5のような構成にした場合、上述した実施の形態1及び2の効果に加え、エラー情報を蓄積することにより、エラーが複数回起きた場合にその発生する頻度を知ることができる。
【0024】
実施の形態4.
図6は、この発明の実施の形態4に係るケーブル診断システムを説明するもので、テスタ1の別の内部構成例を示すブロック図である。図6において、図3の構成とは、報知部16が付加された点が異なり、異なる点についてのみ説明する。
【0025】
報知部16は、故障判断部13の出力するエラー情報を受けて、例えばアラームが鳴ったり照明が光ったりする。または、記憶部15からの出力信号を入力としても良い。図6のような構成にした場合、上述した実施の形態1ないし3の効果に加え、観測者は診断結果の異常の発生を知ることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 テスタ、2 ケーブル、3 テスタが組み込まれた端末、4,5,6 端末、11 テスト信号波形検出部、12 反射波モニタ、13 故障判断部、14 バッファ、15 記憶部、16 報知部、31 通信データ入出力部、32 D/Aコンバータ、33 ローパスフィルタ、34 A/Dコンバータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有線のケーブルを用いて端末間で通信を行うネットワークにおけるケーブル診断システムであって、
端末から出力される通信データに基づいて前記ケーブルを診断するテスタを備え、
前記テスタは、
端末から出力される通信データを受信して、予め定められた波形とマッチングを行い、マッチングが成功したらトリガ情報を出力するテスト信号波形検出部と、
前記トリガ情報の受信に基づいて前記ケーブル2から判定に必要な時間だけ波形を観測する反射波モニタと、
前記反射波モニタにより観測された波形の電圧値に基づいて異常か否かを判断する故障判断部と
を有する
ことを特徴とするケーブル診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル診断システムにおいて、
前記テスタが接続された端末のケーブルには、他の端末からの信号を吸収するバッファを設けた
ことを特徴とするケーブル診断システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のケーブル診断システムにおいて、
前記テスタは、前記故障判断部からのエラー情報を蓄積する記憶部をさらに有する
ことを特徴とするケーブル診断システム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載のケーブル診断システムにおいて、
前記テスタは、前記故障判断部からのエラー情報を報知する報知部をさらに有する
ことを特徴とするケーブル診断システム。
【請求項1】
有線のケーブルを用いて端末間で通信を行うネットワークにおけるケーブル診断システムであって、
端末から出力される通信データに基づいて前記ケーブルを診断するテスタを備え、
前記テスタは、
端末から出力される通信データを受信して、予め定められた波形とマッチングを行い、マッチングが成功したらトリガ情報を出力するテスト信号波形検出部と、
前記トリガ情報の受信に基づいて前記ケーブル2から判定に必要な時間だけ波形を観測する反射波モニタと、
前記反射波モニタにより観測された波形の電圧値に基づいて異常か否かを判断する故障判断部と
を有する
ことを特徴とするケーブル診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル診断システムにおいて、
前記テスタが接続された端末のケーブルには、他の端末からの信号を吸収するバッファを設けた
ことを特徴とするケーブル診断システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のケーブル診断システムにおいて、
前記テスタは、前記故障判断部からのエラー情報を蓄積する記憶部をさらに有する
ことを特徴とするケーブル診断システム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載のケーブル診断システムにおいて、
前記テスタは、前記故障判断部からのエラー情報を報知する報知部をさらに有する
ことを特徴とするケーブル診断システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−179889(P2011−179889A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42691(P2010−42691)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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