説明

ケーブル診断装置

【課題】正常時の測定データを予め準備する必要がなく、ケーブルの故障を特定することができるケーブル診断装置を得る。
【解決手段】ステップ波を差動信号線21、22へ出力するステップ波発生器11と、差動信号線21、22から入力した反射信号に基づいて、差動モードインピーダンス、コモンモードインピーダンス、並びに第1又は第2のシングルエンドインピーダンスを測定するインピーダンス測定部12と、基準値1>基準値4>終端抵抗値>基準値3>基準値2>0、かつ基準値1≧2×終端抵抗値の関係がある、基準値1、基準値2、基準値3及び基準値4が予め設定されている基準値設定部13と、測定された差動モードインピーダンス、コモンモードインピーダンス、並びに第1又は第2のシングルエンドインピーダンスと、基準値1、基準値2、基準値3及び基準値4との大小関係に基づいて、ケーブルの複数の故障を診断する診断部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有線ネットワークのケーブルの故障を診断するケーブル診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有線ネットワークにおいては、ケーブルの状態が伝送品質に影響する。例えば、ケーブルの簡単な故障例としては、ショート(短絡)や断線(開放)がある。ケーブル診断方法の一つとして、特許文献1や特許文献2において説明されている反射パルスを用いることが試みられている。具体的には、正常時とのパルス反射時間の差を見て断線状態を判断する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、TDR(Time Domain Relectometry)法とも呼ばれる。
【0003】
また、故障モードと仮想の故障位置を自動的に変更しながら、演算された反射波形と実測された反射波形とを自動的に比較し、一定条件での一致がとれたときにその故障モードおよび仮想の故障位置を表示することにより、人手を介入することなく、人為的な誤差を招くことなく、故障位置を推定する手法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
これら2つの従来手法では、ケーブル診断する際に、正常時の場合と比較することを特徴としている。しかしながら、測定対象が初めから故障を抱えている場合を想定していないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平01−176959号公報
【特許文献2】特開平02−234521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前者の従来例では、故障個所検出装置は表示モニターを見た波形により、正常時と故障点からの反射波の位置変化を判断する。これは人手による介在が必要であって自動化が不可能であり、測定者には経験や知識が求められ、また個人差により推定誤差が生じるという問題点があった。
【0007】
また、後者の従来例では、判定は自動化されているものの、前者の従来例と同様に、正常時の測定データが必要であるという問題点があった。
【0008】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、正常時の測定データを予め準備する必要がなく、測定した複数のインピーダンス値の特長を切り分けることにより、ケーブルの故障を特定することができるケーブル診断装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るケーブル診断装置は、第1及び第2の差動信号線、並びにシールド線から構成されるケーブルの終端に終端抵抗が接続され、前記終端抵抗とは反対側のケーブルの端に接続されたケーブル診断装置であって、立ち上がり時間がナノ秒あるいはピコ秒オーダのステップ波を前記第1及び第2の差動信号線へ出力するステップ波発生器と、前記第1及び第2の差動信号線から入力した反射信号に基づいて、差動モードインピーダンス、コモンモードインピーダンス、並びに第1又は第2のシングルエンドインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、基準値1>基準値4>終端抵抗値>基準値3>基準値2>0、かつ基準値1≧2×終端抵抗値の関係がある、基準値1、基準値2、基準値3及び基準値4が予め設定されている基準値設定部と、前記インピーダンス測定部によって測定された差動モードインピーダンス、コモンモードインピーダンス、並びに第1又は第2のシングルエンドインピーダンスと、前記基準値設定部によって設定された基準値1、基準値2、基準値3及び基準値4との大小関係に基づいて、前記ケーブルの複数の故障を診断する診断部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るケーブル診断装置によれば、正常時の測定データを予め準備する必要がないだけでなく、ネットワークに初めから故障がある場合でも、また、人手を介在することなく、人為的な誤差を招くことなく、さらに、TDR測定結果の見方を知らない人でも、ケーブルの故障を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係るケーブル診断装置とネットワークの接続状態を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るケーブル診断装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態3に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態4に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態5に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態5に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態5に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態6に係るケーブル診断装置の診断部の構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態7に係るケーブル診断装置とネットワークの接続状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のケーブル診断装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0013】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るケーブル診断装置について図1から図3までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るケーブル診断装置とネットワークの接続状態を示す図である。また、図2は、この発明の実施の形態1に係るケーブル診断装置の構成を示すブロック図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0014】
図1において、この発明の実施の形態1に係るケーブル診断装置1と、1本のシリアルケーブル2に多点接続された通信端末4、5、6とが描かれている。
【0015】
ケーブル診断装置1は、通常、ネットワークの端に設置される。ケーブル2は、2本1組の差動信号線21、22と1本のシールド線23から構成される。また、ケーブル2の終端には、終端抵抗24が接続されている。終端抵抗値は、Rterm[Ω]である。
【0016】
図2において、ケーブル診断装置1は、ステップ波発生器11と、インピーダンス測定部12と、基準値設定部13と、診断部14と、表示部15とが設けられている。
【0017】
つぎに、この実施の形態1に係るケーブル診断装置の動作について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図3は、この発明の実施の形態1に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。
【0019】
ステップ波発生器11は、波形解析に、例えばTDR法を用いる場合、立ち上がりが高速な、例えば、立ち上がり時間がナノ秒(nsec)あるいはピコ秒(psec)オーダのステップ波を出力し、インピーダンス測定部12は、その反射信号を観測する。このインピーダンス測定部12は、2本1組の差動信号線21、22に対して3種類4つのインピーダンス分布を観測する、すなわち、4つのインピーダンスを測定する。
【0020】
4つのインピーダンスとは、差動モードインピーダンスZdiffと、コモンモードインピーダンスZcommと、2本の信号線21及び信号線22に対するシングルエンドインピーダンスZ21及びZ22である。
【0021】
基準値設定部13は、4つの診断の基準値である、基準値1、基準値2、基準値3、基準値4が予め設定されている。4つの診断の基準値は、基準値1>基準値4>Rterm>基準値3>基準値2>0の関係がある。また、基準値1≧2×Rtermである。具体例としては、Rterm=100[Ω]とすると、基準値1=200[Ω]、基準値4=110[Ω]、基準値3=90[Ω]、基準値2=10[Ω]である。
【0022】
最初に、ステップ101において、診断部14は、インピーダンス測定部12から入力したコモンモードインピーダンスZcommと、基準値設定部13から入力した基準値1とを比較し、Zcommが基準値1よりも大きい場合(YES)は、次のステップ102へ移行する。Zcommが基準値1以下の場合(NO)には、ステップ109へ移行する。なお、この実施の形態1では、各インピーダンスは収束値である。
【0023】
次に、ステップ102において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値1とを比較し、Zdiffが基準値1よりも大きい場合(YES)は、次のステップ103へ移行する。Zdiffが基準値1以下の場合(NO)には、ステップ104へ移行する。
【0024】
次に、ステップ103において、診断部14は、診断結果1を出力する。この診断結果1は、信号線21、22のいずれか片方、又は両方が断線していることを表す信号である。また、診断結果1は、終端抵抗24が繋がっていない、すなわち、信号線21、22が繋がっていない(切れている)ので、終端抵抗24の付け忘れを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0025】
ステップ104において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値2とを比較し、Zdiffが基準値2未満の場合(YES)は、次のステップ105へ移行する。Zdiffが基準値2以上の場合(NO)には、ステップ106へ移行する。
【0026】
次に、ステップ105において、診断部14は、診断結果2を出力する。この診断結果2は、信号線21、22同士が短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0027】
ステップ106において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値3及び基準値4とを比較し、Zdiffが基準値3と基準値4の間の値(基準値3<Zdiff<基準値4)の場合、すなわち、Zdiffが基準値3よりも大きく、かつ基準値4未満の場合(YES)は、次のステップ107へ移行する。Zdiffが基準値3と基準値4の間の値でない場合(NO)には、ステップ108へ移行する。
【0028】
次に、ステップ107において、診断部14は、診断結果3を出力する。この診断結果3は、正常状態を表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0029】
一方、ステップ108において、診断部14は、診断結果4を出力する。この診断結果4は、終端抵抗24に関する誤りがあることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。ここでいう終端抵抗24に関する誤りとは、終端抵抗24の終端抵抗値Rterm[Ω]の誤りや、終端抵抗24の接続数の誤り(図1の例では、通信端末6に接続された本来の終端抵抗24の他に、例えば、通信端末4と通信端末5の間に終端抵抗(2つ目)が接続されている場合)が該当する。
【0030】
ステップ109において、シングルエンドインピーダンスZ21と、基準値2とを比較し、Z21が基準値2未満の場合(YES)は、次のステップ110へ移行する。Z21が基準値2以上の場合(NO)には、ステップ111へ移行する。
【0031】
次に、ステップ110において、診断部14は、診断結果5を出力する。この診断結果5は、信号線21がシールド線23と短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0032】
一方、ステップ111において、診断部14は、診断結果6を出力する。この診断結果6は、信号線22がシールド線23と短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0033】
なお、ステップ109において、シングルエンドインピーダンスZ21の代わりに、シングルエンドインピーダンスZ22を使用しても良い。この場合、診断結果が逆となり、ステップ110において、診断結果6を出力し、ステップ111において、診断結果5を出力する。
【0034】
表示部15は、診断結果1−6のいずれかが出力された段階で、診断結果の内容を表示する。例えば、診断結果1の場合、液晶表示器に『差動信号線21、22のいずれか片方、又は両方が断線している。あるいは、終端抵抗24が付け忘れている。』と表示する。
【0035】
以上のように、実施の形態1によれば、ケーブルの故障診断が簡単になる。従来例では、測定者の知識を必要とし、初心者が異常内容を判断することが難しかった。一方、本実施の形態1の場合、ケーブル診断装置が異常内容を判断するため、機械が故障を判断できるだけでなく計測初心者でもケーブル診断できる。また、正常時のデータを必要としない。したがって、本実施の形態1は従来例よりも簡単にケーブル診断することができる。
【0036】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るケーブル診断装置について図4を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施の形態2に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。この発明の実施の形態2に係るケーブル診断装置の構成は、上記の実施の形態1と同じである。
【0037】
この実施の形態2では、上記の実施の形態1と同様に、診断部14は、差動モードインピーダンスZdiffと、コモンモードインピーダンスZcommと、シングルエンドインピーダンスZ21又はZ22を使用するが、各インピーダンスの比較順序が上記の実施の形態1と異なる。
【0038】
最初に、ステップ201において、診断部14は、インピーダンス測定部12から入力した差動モードインピーダンスZdiffと、基準値設定部13から入力した基準値1とを比較し、Zdiffが基準値1よりも大きい場合(YES)は、次のステップ202へ移行する。Zdiffが基準値1以下の場合(NO)には、ステップ203へ移行する。なお、この実施の形態2では、各インピーダンスは収束値である。
【0039】
次に、ステップ202において、診断部14は、診断結果1を出力する。この診断結果1は、信号線21、22のいずれか片方、又は両方が断線していることを表す信号である。また、診断結果1は、終端抵抗24が繋がっていない、すなわち、信号線21、22が繋がっていない(切れている)ので、終端抵抗24の付け忘れを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0040】
ステップ203において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値2とを比較し、Zdiffが基準値2未満の場合(YES)は、次のステップ204へ移行する。Zdiffが基準値2以上の場合(NO)には、ステップ205へ移行する。
【0041】
次に、ステップ204において、診断部14は、診断結果2を出力する。この診断結果2は、信号線21、22同士が短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0042】
ステップ205において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値3及び基準値4とを比較し、Zdiffが基準値3と基準値4の間の値でない場合(NO)には、次のステップ206へ移行する。Zdiffが基準値3と基準値4の間の値(基準値3<Zdiff<基準値4)の場合、すなわち、Zdiffが基準値3よりも大きく、かつ基準値4未満の場合(YES)は、ステップ207へ移行する。
【0043】
次に、ステップ206において、診断部14は、診断結果4を出力する。この診断結果4は、終端抵抗24に関する誤りがあることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。ここでいう終端抵抗24に関する誤りとは、終端抵抗24の終端抵抗値Rterm[Ω]の誤りや、終端抵抗24の接続数の誤り(図1の例では、通信端末6に接続された本来の終端抵抗24の他に、例えば、通信端末4と通信端末5の間に終端抵抗(2つ目)が接続されている場合)が該当する。
【0044】
ステップ207において、コモンモードインピーダンスZcommと、基準値1とを比較し、Zcommが基準値1よりも大きい場合(YES)は、次のステップ208へ移行する。Zcommが基準値1以下の場合(NO)には、ステップ209へ移行する。
【0045】
次に、ステップ208において、診断部14は、診断結果3を出力する。この診断結果3は、正常状態を表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0046】
ステップ209において、シングルエンドインピーダンスZ21と、基準値2とを比較し、Z21が基準値2未満の場合(YES)は、次のステップ210へ移行する。Z21が基準値2以上の場合(NO)には、ステップ211へ移行する。
【0047】
次に、ステップ210において、診断部14は、診断結果5を出力する。この診断結果5は、信号線21がシールド線23と短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0048】
一方、ステップ211において、診断部14は、診断結果6を出力する。この診断結果6は、信号線22がシールド線23と短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0049】
なお、ステップ209において、シングルエンドインピーダンスZ21の代わりに、シングルエンドインピーダンスZ22を使用しても良い。この場合、診断結果が逆となり、ステップ210において、診断結果6を出力し、ステップ211において、診断結果5を出力する。
【0050】
以上のように、実施の形態2によれば、ケーブルの故障診断が簡単になる。従来例では、測定者の知識を必要とし、初心者が異常内容を判断することが難しかった。一方、本実施の形態2の場合、ケーブル診断装置が異常内容を判断するため、機械が故障を判断できるだけでなく計測初心者でもケーブル診断できる。また、正常時のデータを必要としない。したがって、本実施の形態2は従来例よりも簡単にケーブル診断することができる。
【0051】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係るケーブル診断装置について図5及び図6を参照しながら説明する。図5及び図6は、この発明の実施の形態3に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。この発明の実施の形態3に係るケーブル診断装置の構成は、上記の実施の形態1と同じである。
【0052】
この実施の形態3では、上記の実施の形態1と異なり、診断部14は、差動モードインピーダンスZdiffと、シングルエンドインピーダンスZ21及びZ22を使用するが、コモンモードインピーダンスZcommを使用しない。
【0053】
最初に、ステップ301において、診断部14は、インピーダンス測定部12から入力したシングルエンドインピーダンスZ21と、基準値設定部13から入力した基準値2とを比較し、Z21が基準値2未満の場合(YES)は、次のステップ302へ移行する。Z21が基準値2以上の場合(NO)には、ステップ303へ移行する。なお、この実施の形態3では、各インピーダンスは収束値である。
【0054】
次に、ステップ302において、診断部14は、診断結果5を出力する。この診断結果5は、信号線21がシールド線23と短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0055】
ステップ303において、シングルエンドインピーダンスZ22と、基準値2とを比較し、Z22が基準値2未満の場合(YES)は、次のステップ304へ移行する。Z22が基準値2以上の場合(NO)には、ステップ305へ移行する。
【0056】
次に、ステップ304において、診断部14は、診断結果6を出力する。この診断結果6は、信号線22がシールド線23と短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0057】
ステップ305において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値1とを比較し、Zdiffが基準値1よりも大きい場合(YES)は、次のステップ306へ移行する。Zdiffが基準値1以下の場合(NO)には、ステップ307へ移行する。
【0058】
次に、ステップ306において、診断部14は、診断結果1を出力する。この診断結果1は、信号線21、22のいずれか片方、又は両方が断線していることを表す信号である。また、診断結果1は、終端抵抗24が繋がっていない、すなわち、信号線21、22が繋がっていない(切れている)ので、終端抵抗24の付け忘れを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0059】
ステップ307において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値2とを比較し、Zdiffが基準値2未満の場合(YES)は、次のステップ308へ移行する。Zdiffが基準値2以上の場合(NO)には、ステップ309へ移行する。
【0060】
次に、ステップ308において、診断部14は、診断結果2を出力する。この診断結果2は、信号線21、22同士が短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0061】
ステップ309において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値3及び基準値4とを比較し、Zdiffが基準値3と基準値4の間の値(基準値3<Zdiff<基準値4)の場合、すなわち、Zdiffが基準値3よりも大きく、かつ基準値4未満の場合(YES)は、次のステップ310へ移行する。Zdiffが基準値3と基準値4の間の値でない場合(NO)には、ステップ311へ移行する。
【0062】
次に、ステップ310において、診断部14は、診断結果3を出力する。この診断結果3は、正常状態を表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0063】
一方、ステップ311において、診断部14は、診断結果4を出力する。この診断結果4は、終端抵抗24に関する誤りがあることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。ここでいう終端抵抗24に関する誤りとは、終端抵抗24の終端抵抗値Rterm[Ω]の誤りや、終端抵抗24の接続数の誤り(図1の例では、通信端末6に接続された本来の終端抵抗24の他に、例えば、通信端末4と通信端末5の間に終端抵抗(2つ目)が接続されている場合)が該当する。
【0064】
なお、図5と図6のフローチャートの異なる点は、シングルエンドインピーダンスZ21と、シングルエンドインピーダンスZ22の比較順序が逆になっていることであり、その他は同じである。
【0065】
以上のように、実施の形態3によれば、ケーブルの故障診断が簡単になる。従来例では、測定者の知識を必要とし、初心者が異常内容を判断することが難しかった。一方、本実施の形態3の場合、ケーブル診断装置が異常内容を判断するため、機械が故障を判断できるだけでなく計測初心者でもケーブル診断できる。また、正常時のデータを必要としない。したがって、本実施の形態3は従来例よりも簡単にケーブル診断することができる。
【0066】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係るケーブル診断装置について図7を参照しながら説明する。図7は、この発明の実施の形態4に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。この発明の実施の形態4に係るケーブル診断装置の構成は、上記の実施の形態1と同じである。
【0067】
この実施の形態4では、上記の実施の形態1と若干異なり、診断部14は、コモンモードインピーダンスZcommと、差動モードインピーダンスZdiffと、シングルエンドインピーダンスZ21と、シングルエンドインピーダンスZ22を使用する。なお、この実施の形態4では、各インピーダンスは、原則的には収束値であるが、ステップ505、ステップ511及びステップ512では所定の時間間隔、例えば、1ナノ秒(nsec)間隔のサンプリング値を使用する。
【0068】
最初に、ステップ501において、診断部14は、インピーダンス測定部12から入力したコモンモードインピーダンスZcommと、基準値設定部13から入力した基準値1とを比較し、Zcommが基準値1よりも大きい場合(YES)は、次のステップ502へ移行する。Zcommが基準値1以下の場合(NO)には、ステップ521へ移行する。
【0069】
次に、ステップ502において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値1とを比較し、Zdiffが基準値1よりも大きい場合(YES)は、ステップ511へ移行する。Zdiffが基準値1以下の場合(NO)には、Zcommよりケーブル長が判明し、次のステップ503へ移行する。
【0070】
次に、ステップ503において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値2とを比較し、Zdiffが基準値2未満の場合(YES)は、ステップ508へ移行する。Zdiffが基準値2以上の場合(NO)には、次のステップ504へ移行する。
【0071】
次に、ステップ504において、差動モードインピーダンスZdiffと、基準値3及び基準値4とを比較し、Zdiffが基準値3と基準値4の間の値(基準値3<Zdiff<基準値4)の場合、すなわち、Zdiffが基準値3よりも大きく、かつ基準値4未満の場合(YES)は、次のステップ505へ移行する。Zdiffが基準値3と基準値4の間の値でない場合(NO)には、ステップ509へ移行する。
【0072】
次に、ステップ505において、差動モードインピーダンスZdiffと、終端抵抗24の終端抵抗値Rtermの半分とを比較し、ZdiffがRterm/2と等しい場合(YES)は、ステップ507へ移行する。ZdiffがRterm/2と等しくない場合(NO)は、次のステップ506へ移行する。
【0073】
次に、ステップ506において、診断部14は、診断結果3を出力する。この診断結果3は、正常状態を表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0074】
ステップ507において、診断部14は、診断結果10を出力する。この診断結果10は、終端抵抗24の接続位置の誤りを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。なお、終端抵抗24の接続位置の誤りとは、図1の例では、通信端末6に終端抵抗24が接続されておらず、例えば、通信端末5と通信端末6の間に終端抵抗が接続されている場合が該当する。
【0075】
ステップ508において、診断部14は、診断結果2を出力する。この診断結果2は、信号線21、22同士が短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0076】
ステップ509において、診断部14は、診断結果4を出力する。この診断結果4は、終端抵抗24に関する誤りがあることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。ここでいう終端抵抗24に関する誤りとは、終端抵抗24の終端抵抗値Rterm[Ω]の誤りや、終端抵抗24の接続数の誤り(図1の例では、通信端末6に接続された本来の終端抵抗24の他に、例えば、通信端末4と通信端末5の間に終端抵抗(2つ目)が接続されている場合)が該当する。
【0077】
ステップ511において、シングルエンドインピーダンスZ21と、シングルエンドインピーダンスZ22とを比較し、Z21がZ22と等しい場合(YES)は、ステップ515へ移行する。Z21がZ22と等しくない場合(NO)には、次のステップ512へ移行する。
【0078】
次に、ステップ512において、シングルエンドインピーダンスZ21と、シングルエンドインピーダンスZ22とを比較し、Z21がZ22よりも大きい場合(YES)は、ステップ514へ移行する。Z21がZ22以下の場合(NO)には、次のステップ513へ移行する。
【0079】
次に、ステップ513において、診断部14は、診断結果9を出力する。この診断結果9は、信号線22が断線していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0080】
ステップ514において、診断部14は、診断結果8を出力する。この診断結果8は、信号線21が断線していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0081】
ステップ515において、診断部14は、診断結果7を出力する。この診断結果7は、終端抵抗24が繋がっていない、すなわち、信号線21、22が繋がっていない(切れている)ので、終端抵抗24の付け忘れを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0082】
ステップ521において、シングルエンドインピーダンスZ21と、基準値2とを比較し、Z21が基準値2未満の場合(YES)は、次のステップ522へ移行する。Z21が基準値2以上の場合(NO)には、ステップ523へ移行する。
【0083】
次に、ステップ522において、診断部14は、診断結果5を出力する。この診断結果5は、信号線21がシールド線23と短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0084】
一方、ステップ523において、診断部14は、診断結果6を出力する。この診断結果6は、信号線22がシールド線23と短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0085】
なお、ステップ521において、シングルエンドインピーダンスZ21の代わりに、シングルエンドインピーダンスZ22を使用しても良い。この場合、診断結果が逆となり、ステップ522において、診断結果6を出力し、ステップ523において、診断結果5を出力する。
【0086】
以上のように、実施の形態4によれば、ケーブルの故障診断が簡単になる。従来例では、測定者の知識を必要とし、初心者が異常内容を判断することが難しかった。一方、本実施の形態4の場合、ケーブル診断装置が異常内容を判断するため、機械が故障を判断できるだけでなく計測初心者でもケーブル診断できる。また、正常時のデータを必要としない。したがって、本実施の形態4は従来例よりも簡単にケーブル診断することができる。さらに、この実施の形態4の場合、各インピーダンスの収束値だけで判定していた場合よりも更に詳しい故障診断が可能となる。
【0087】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係るケーブル診断装置について図8から図10までを参照しながら説明する。図8、図9及び図10は、この発明の実施の形態5に係るケーブル診断装置の診断部の動作を示すフローチャートである。この発明の実施の形態5に係るケーブル診断装置の構成は、上記の実施の形態1と同じである。
【0088】
この実施の形態5では、上記の実施の形態1と異なり、基準値設定部13は、5つの診断の基準値である、基準値1、基準値2、基準値3、基準値4、基準値5が予め設定されている。5つの診断の基準値は、基準値1>基準値4>Rterm>基準値3>基準値5>基準値2>0の関係がある。また、基準値1≧2×Rtermである。具体例としては、Rterm=100[Ω]とすると、基準値1=200[Ω]、基準値4=110[Ω]、基準値3=90[Ω]、基準値5=50[Ω]、基準値2=10[Ω]である。なお、この基準値5は、ケーブル診断装置の基準(標準)インピーダンスであり、通常、50[Ω]である。
【0089】
また、この実施の形態5では、上記の実施の形態1と異なり、診断部14は、シングルエンドインピーダンスZ21又は/及びZ22を使用するが、コモンモードインピーダンスZcommと、差動モードインピーダンスZdiffを使用しない。
【0090】
最初に、ステップ601において、診断部14は、インピーダンス測定部12から入力したシングルエンドインピーダンスZ21と、基準値設定部13から入力した基準値2とを比較し、Z21が基準値2未満の場合(YES)は、次のステップ602へ移行する。Z21が基準値2以上の場合(NO)には、ステップ603へ移行する。なお、この実施の形態5では、シングルエンドインピーダンスZ21は、収束値である。
【0091】
次に、ステップ602において、診断部14は、診断結果5を出力する。この診断結果5は、信号線21がシールド線23と短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0092】
ステップ603において、シングルエンドインピーダンスZ21と、基準値1とを比較し、Z21が基準値1よりも大きい場合(YES)は、次のステップ604へ移行する。Z21が基準値1以下の場合(NO)には、ステップ605へ移行する。
【0093】
次に、ステップ604において、診断部14は、診断結果1を出力する。この診断結果1は、信号線21、22のいずれか片方、又は両方が断線していることを表す信号である。また、診断結果1は、終端抵抗24が繋がっていない、すなわち、信号線21、22が繋がっていない(切れている)ので、終端抵抗24の付け忘れを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0094】
ステップ605において、シングルエンドインピーダンスZ21と、基準値5とを比較し、Z21が基準値5と等しい場合(YES)は、次のステップ606へ移行する。Z21が基準値5と等しくない場合(NO)には、ステップ607へ移行する。
【0095】
次に、ステップ606において、診断部14は、診断結果2を出力する。この診断結果2は、信号線21、22同士が短絡していることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0096】
ステップ607において、シングルエンドインピーダンスZ21と、基準値3、基準値4及び基準値5とを比較し、Z21が基準値3及び基準値5を加算した加算値と基準値4及び基準値5を加算した加算値の間の値(基準値3+基準値5<Z21<基準値4+基準値5)の場合、すなわち、Z21が基準値3及び基準値5を加算した加算値よりも大きく、かつ基準値4及び基準値5を加算した加算値未満の場合(YES)は、次のステップ608へ移行する。Z21が基準値3及び基準値5を加算した加算値と基準値4及び基準値5を加算した加算値の間の値でない場合(NO)には、ステップ609へ移行する。
【0097】
次に、ステップ608において、診断部14は、診断結果3を出力する。この診断結果3は、正常状態を表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。
【0098】
一方、ステップ609において、診断部14は、診断結果4を出力する。この診断結果4は、終端抵抗24に関する誤りがあることを表す信号である。診断部14は、ここで処理を終了する。ここでいう終端抵抗24に関する誤りとは、終端抵抗24の終端抵抗値Rterm[Ω]の誤りや、終端抵抗24の接続数の誤り(図1の例では、通信端末6に接続された本来の終端抵抗24の他に、例えば、通信端末4と通信端末5の間に終端抵抗(2つ目)が接続されている場合)が該当する。
【0099】
なお、図8と図9のフローチャートの異なる点は、シングルエンドインピーダンスZ21だけを使用する点と、シングルエンドインピーダンスZ22だけを使用する点であり、前者はステップ602において診断結果5を出力し、後者はステップ702において診断結果6を出力し、その他は同じである。
【0100】
また、図8と図10のフローチャートの異なる点は、シングルエンドインピーダンスZ21だけを使用する点と、シングルエンドインピーダンスZ21及びZ22を使用する点であり、前者はステップ602において診断結果5を出力し、後者はステップ802において診断結果5を出力するとともに、ステップ804において診断結果6を出力し、その他は同じである。
【0101】
以上のように、実施の形態5によれば、ケーブルの故障診断が簡単になる。従来例では、測定者の知識を必要とし、初心者が異常内容を判断することが難しかった。一方、本実施の形態5の場合、ケーブル診断装置が異常内容を判断するため、機械が故障を判断できるだけでなく計測初心者でもケーブル診断できる。また、正常時のデータを必要としない。したがって、本実施の形態5は従来例よりも簡単にケーブル診断することができる。
【0102】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係るケーブル診断装置について図11を参照しながら説明する。図11は、この発明の実施の形態6に係るケーブル診断装置の診断部の構成を示すブロック図である。
【0103】
図11において、ケーブル診断装置1は、ステップ波発生器11と、インピーダンス測定部12と、基準値設定部13と、診断部14と、表示部15と、記憶部16とが設けられている。
【0104】
この実施の形態6では、上記の各実施の形態と比較して、記憶部16が付加された点が異なり、異なる点についてのみ説明する。
【0105】
診断部14は、各診断結果を表示部15へ出力するとともに、記憶部16へも出力する。記憶部16は、診断部14が出力する各診断結果を蓄積する。記憶部16は、記憶した各診断結果を表示部15に出力しても良い。上述した各実施の形態の効果に加え、各診断結果を蓄積することにより、同じ診断結果が複数回生じた場合にその発生する頻度を知ることができる。なお、この実施の形態6は、上記の各実施の形態に適用できる。
【0106】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係るケーブル診断装置について図12を参照しながら説明する。図12は、この発明の実施の形態7に係るケーブル診断装置とネットワークの接続状態を示す図である。
【0107】
この実施の形態7では、上記の各実施の形態とは異なり、通信端末3の中にケーブル診断装置を搭載している構成となっている。ケーブル診断装置を通信端末3内に組み込むことにより、ケーブル診断機能を持たせた通信端末3で通信を行うことができる。なお、この実施の形態7は、上記の各実施の形態に適用できる。
【符号の説明】
【0108】
1 ケーブル診断装置、2 ケーブル、3 通信端末、4 通信端末、5 通信端末、6 通信端末、11 ステップ波発生器、12 インピーダンス測定部、13 基準値設定部、14 診断部、15 表示部、16 記憶部、21 差動信号線、22 差動信号線、23 シールド線、24 終端抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の差動信号線、並びにシールド線から構成されるケーブルの終端に終端抵抗が接続され、前記終端抵抗とは反対側のケーブルの端に接続されたケーブル診断装置であって、
立ち上がり時間がナノ秒あるいはピコ秒オーダのステップ波を前記第1及び第2の差動信号線へ出力するステップ波発生器と、
前記第1及び第2の差動信号線から入力した反射信号に基づいて、差動モードインピーダンス、コモンモードインピーダンス、並びに第1又は第2のシングルエンドインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
基準値1>基準値4>終端抵抗値>基準値3>基準値2>0、かつ基準値1≧2×終端抵抗値の関係がある、基準値1、基準値2、基準値3及び基準値4が予め設定されている基準値設定部と、
前記インピーダンス測定部によって測定された差動モードインピーダンス、コモンモードインピーダンス、並びに第1又は第2のシングルエンドインピーダンスと、前記基準値設定部によって設定された基準値1、基準値2、基準値3及び基準値4との大小関係に基づいて、前記ケーブルの複数の故障を診断する診断部と
を備えたことを特徴とするケーブル診断装置。
【請求項2】
前記診断部は、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、かつ差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きい場合は、前記第1及び第2の差動信号線のいずれか片方、又は両方が断線している、あるいは前記終端抵抗が付け忘れていると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、かつ差動モードインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1及び第2の差動信号線同士が短絡していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間の場合は、正常状態であると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間でない場合は、前記終端抵抗に関する誤りがあると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上の場合は、前記第2の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断する
ことを特徴とする請求項1記載のケーブル診断装置。
【請求項3】
前記診断部は、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、かつ差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きい場合は、前記第1及び第2の差動信号線のいずれか片方、又は両方が断線している、あるいは前記終端抵抗が付け忘れていると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、かつ差動モードインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1及び第2の差動信号線同士が短絡していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間の場合は、正常状態であると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間でない場合は、前記終端抵抗に関する誤りがあると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第2の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上の場合は、前記第1の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断する
ことを特徴とする請求項1記載のケーブル診断装置。
【請求項4】
前記診断部は、
差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きい場合は、前記第1及び第2の差動信号線のいずれか片方、又は両方が断線している、あるいは前記前記終端抵抗が付け忘れていると診断し、
差動モードインピーダンスが基準値1以下、かつ差動モードインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1及び第2の差動信号線同士が短絡していると診断し、
差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間の値でない場合は、前記終端抵抗に関する誤りがあると診断し、
差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間、かつコモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きい場合は、正常状態であると診断し、
差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間、コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断し、
差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間、コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上の場合は、前記第2の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断する
ことを特徴とする請求項1記載のケーブル診断装置。
【請求項5】
前記診断部は、
差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きい場合は、前記第1及び第2の差動信号線のいずれか片方、又は両方が断線している、あるいは前記前記終端抵抗が付け忘れていると診断し、
差動モードインピーダンスが基準値1以下、かつ差動モードインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1及び第2の差動信号線同士が短絡していると診断し、
差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間の値でない場合は、前記終端抵抗に関する誤りがあると診断し、
差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間、かつコモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きい場合は、正常状態であると診断し、
差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間、コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第2の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断し、
差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間、コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつかつ第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上の場合は、前記第1の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断する
ことを特徴とする請求項1記載のケーブル診断装置。
【請求項6】
第1及び第2の差動信号線、並びにシールド線から構成されるケーブルの終端に終端抵抗が接続され、前記終端抵抗とは反対側のケーブルの端に接続されたケーブル診断装置であって、
立ち上がり時間がナノ秒あるいはピコ秒オーダのステップ波を前記第1及び第2の差動信号線へ出力するステップ波発生器と、
前記第1及び第2の差動信号線から入力した反射信号に基づいて、差動モードインピーダンス、並びに第1及び第2のシングルエンドインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
基準値1>基準値4>終端抵抗値>基準値3>基準値2>0、かつ基準値1≧2×終端抵抗値の関係がある、基準値1、基準値2、基準値3及び基準値4が予め設定されている基準値設定部と、
前記インピーダンス測定部によって測定された差動モードインピーダンス、並びに第1又は第2のシングルエンドインピーダンスと、前記基準値設定部によって設定された基準値1、基準値2、基準値3及び基準値4との大小関係に基づいて、前記ケーブルの複数の故障を診断する診断部と
を備えたことを特徴とするケーブル診断装置。
【請求項7】
前記診断部は、
第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断し、
第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、かつ第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第2の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断し、
第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きい場合は、前記第1及び第2の差動信号線のいずれか片方、又は両方が断線している、あるいは前記前記終端抵抗が付け忘れていると診断し、
第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値1以下、かつ差動モードインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1及び第2の差動信号線同士が短絡していると診断し、
第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間の場合は、正常状態であると診断し、
第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間の値でない場合は、前記終端抵抗に関する誤りがあると診断する
ことを特徴とする請求項6記載のケーブル診断装置。
【請求項8】
前記診断部は、
第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第2の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断し、
第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断し、
第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きい場合は、前記第1及び第2の差動信号線のいずれか片方、又は両方が断線している、あるいは前記前記終端抵抗が付け忘れていると診断し、
第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値1以下、かつ差動モードインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1及び第2の差動信号線同士が短絡していると診断し、
第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間の場合は、正常状態であると診断し、
第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間の値でない場合は、前記終端抵抗に関する誤りがあると診断する
ことを特徴とする請求項6記載のケーブル診断装置。
【請求項9】
第1及び第2の差動信号線、並びにシールド線から構成されるケーブルの終端に終端抵抗が接続され、前記終端抵抗とは反対側のケーブルの端に接続されたケーブル診断装置であって、
立ち上がり時間がナノ秒あるいはピコ秒オーダのステップ波を前記第1及び第2の差動信号線へ出力するステップ波発生器と、
前記第1及び第2の差動信号線から入力した反射信号に基づいて、差動モードインピーダンス、コモンモードインピーダンス、並びに第1及び第2のシングルエンドインピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
基準値1>基準値4>終端抵抗値>基準値3>基準値2>0、かつ基準値1≧2×終端抵抗値の関係がある、基準値1、基準値2、基準値3及び基準値4が予め設定されている基準値設定部と、
前記インピーダンス測定部によって測定された差動モードインピーダンス、コモンモードインピーダンス、並びに第1又は第2のシングルエンドインピーダンスと、前記基準値設定部によって設定された基準値1、基準値2、基準値3及び基準値4との大小関係に基づいて、前記ケーブルの複数の故障を診断する診断部と
を備えたことを特徴とするケーブル診断装置。
【請求項10】
前記診断部は、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、かつ差動モードインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1及び第2の差動信号線同士が短絡していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間の値でない場合は、前記終端抵抗に関する誤りがあると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間、かつ差動モードインピーダンスが前記終端抵抗の抵抗値/2と等しくない場合は、正常状態であると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間、かつ差動モードインピーダンスが前記終端抵抗の抵抗値/2と等しい場合は、前記終端抵抗の接続位置の誤りであると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きく、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが第2のシングルエンドインピーダンスと等しい場合は、前記終端抵抗が付け忘れであると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きく、第1のシングルエンドインピーダンスが第2のシングルエンドインピーダンスと等しくなく、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが第2のシングルエンドインピーダンスよりも大きい場合は、前記第1の差動信号線が断線していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きく、第1のシングルエンドインピーダンスが第2のシングルエンドインピーダンスと等しくなく、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが第2のシングルエンドインピーダンス以下の場合は、前記第2の差動信号線が断線していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上の場合は、前記第2の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断する
ことを特徴とする請求項9記載のケーブル診断装置。
【請求項11】
前記診断部は、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、かつ差動モードインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第1及び第2の差動信号線同士が短絡していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、かつ差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間の値でない場合は、前記終端抵抗に関する誤りがあると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間、かつ差動モードインピーダンスが前記終端抵抗の抵抗値/2と等しくない場合は、正常状態であると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1以下、差動モードインピーダンスが基準値2以上、差動モードインピーダンスが基準値3と基準値4の間、かつ差動モードインピーダンスが前記終端抵抗の抵抗値/2と等しい場合は、前記終端抵抗の接続位置の誤りであると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きく、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが第2のシングルエンドインピーダンスと等しい場合は、前記終端抵抗が付け忘れであると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きく、第1のシングルエンドインピーダンスが第2のシングルエンドインピーダンスと等しくなく、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが第2のシングルエンドインピーダンスよりも大きい場合は、前記第1の差動信号線が断線していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1よりも大きく、差動モードインピーダンスが基準値1よりも大きく、第1のシングルエンドインピーダンスが第2のシングルエンドインピーダンスと等しくなく、かつ第1のシングルエンドインピーダンスが第2のシングルエンドインピーダンス以下の場合は、前記第2の差動信号線が断線していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2未満の場合は、前記第2の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断し、
コモンモードインピーダンスが基準値1以下、かつ第2のシングルエンドインピーダンスが基準値2以上の場合は、前記第1の差動信号線が前記シールド線と短絡していると診断する
ことを特徴とする請求項9記載のケーブル診断装置。
【請求項12】
前記診断部の診断結果を記憶する記憶部をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれかに記載のケーブル診断装置。
【請求項13】
通信端末内に組み込まれた
ことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかに記載のケーブル診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−42269(P2012−42269A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182225(P2010−182225)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】