説明

ゲル組成物

【課題】 特定のゲル化剤と特定のイオン性液体を含有する、透明なゲル組成物を提供すること。
【解決手段】 式(1):
【化1】


(式中、R〜Rは、(イ)同じであっても異なっていてもよいアルキル基、(ロ)R及びRが結合して窒素原子と共に複素環を形成し、R及びRが同じであっても異なっていてもよいアルキル基、或いは(ハ)R、R及びRがそれぞれ結合して窒素原子と共に芳香族複素環を形成し、Rがアルキル基を表し、且つR〜Rの総炭素数は9以上である。但し、(イ)の場合、R〜Rの総炭素数は10以上である。)で示される四級アンモニウム塩及びゲル化剤として式(2):
【化2】


で示される化合物を含有することを特徴とするゲル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス等の材料として有用なゲル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層キャパシター、色素増感太陽電池等の電子デバイスは、通常アセトニトリル等の有機溶媒に固体状の四級アンモニウム塩等の電解質を溶解させた電解液を用いるため、電解液の液漏れや揮発といった要因により長期にわたる安定動作が困難であり、また、液に有機溶媒を用いることにより発火等の危険を伴う。
【0003】
室温付近を含む広い温度範囲において安定な液体として存在する四級アンモニウム塩は、イオン性液体、イオン液体又は常温溶融塩とよばれる。イオン性液体はイオン伝導性を有するためそれ自体で電解液として利用でき、蒸気圧が極めて低く、室温では実質的に殆ど蒸発しないので、有機溶媒を用いた電解液のように揮発や引火の心配がないことから、揮発による電子デバイス特性の低下を解決する電解液として提案されている(例えば、特許文献1〜3又は非特許文献1参照)。しかし、かかるイオン性液体も液体であることから液漏れをおこすおそれがあり、固体化されたイオン性液体が要望されている。
【0004】
従来、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル等の高分子化合物を含有する固体化されたイオン性液体が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかし、かかる固体化されたイオン性液体を得るには高分子化合物を大量に必要とし、工業的に好ましくない。
【0005】
また、色素増感太陽電池用途では、電解質層が不透明性又は半透明性であると、酸化物半導体多孔膜に到着する光量が減少するため、色素増感太陽電池の発電効率の低下を招くことになる。そのため、電解質層は透明であることが好ましい。
【特許文献1】特開2000−053662号
【特許文献2】特開2001−035253号
【特許文献3】特開2005−116367号
【特許文献4】特開平10−265673号
【非特許文献1】J.Electrochem.Soc.,143(10),3099(1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特定のゲル化剤と特定のイオン性液体を含有する、透明なゲル組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(1):
【0008】
【化1】

(式中、R〜Rは、(イ)同じであっても異なっていてもよいアルキル基、(ロ)R及びRが結合して窒素原子と共に複素環を形成し、R及びRが同じであっても異なっていてもよいアルキル基、或いは(ハ)R、R及びRがそれぞれ結合して窒素原子と共に芳香族複素環を形成し、Rがアルキル基を表し、且つR〜Rの総炭素数は9以上である。但し、(イ)の場合、R〜Rの総炭素数は10以上である。)で示される四級アンモニウム塩(以下、四級アンモニウム塩(1)という。)、及びゲル化剤として式(2):
【0009】
【化2】

で示される化合物(以下、ゲル化剤(2)という。)を含有することを特徴とするゲル組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゲル組成物はゲル化剤(2)によってゲル化した四級アンモニウム塩(1)を含有し、透明なものであるので、液漏れや発火の危険性がない電解質としてそのまま電子デバイスに利用できるから、安全で効率の良い電子デバイスを構築することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
四級アンモニウム塩(1)は、イオン性液体、即ち室温付近を含む広い温度範囲において安定な液体である。式(1)中、R〜Rは、(イ)同じであっても異なっていてもよいアルキル基、(ロ)R及びRが結合して窒素原子と共に複素環を形成し、R及びRが同じであっても異なっていてもよいアルキル基、或いは(ハ)R、R及びRがそれぞれ結合して窒素原子と共に芳香族複素環を形成し、Rがアルキル基を表し、且つR〜Rの総炭素数は9以上である。但し、(イ)の場合、R〜Rの総炭素数は10以上である。
【0012】
(イ)において、アルキル基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、R〜Rの総炭素数は10以上である。
【0013】
(イ)の場合の四級アンモニウム塩(1)の具体例としては、テトラプロピルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、テトラブチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、テトラペンチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、テトラヘキシルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、テトラヘプチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、テトラオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、テトラノニルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、テトラデシルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、テトラドデシルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、テトラヘキサデシルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、テトラオクタデシルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−メチル−1,1,1−トリプロピルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−メチル−1,1,1−トリブチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−メチル−1,1,1−トリペンチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−メチル−1,1,1−トリヘキシルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−メチル−1,1,1−トリヘプチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−メチル−1,1,1−トリオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−メチル−1,1,1−トリノニルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−メチル−1,1,1−トリデシルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、
【0014】
1,1−ジメチル−1,1−ジブチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1,1−ジメチル−1,1−ジペンチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1,1−ジメチル−1,1−ジヘキシルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1,1−ジメチル−1,1−ジヘプチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1,1−ジメチル−1,1−ジオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1,1−ジメチル−1,1−ジノニルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1,1−ジメチル−1,1−ジデシルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1,1,1−トリメチル−1−オクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1,1,1−トリメチル−1−ノニルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1,1,1−トリメチル−1−デシルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ブチル−1,1,1−トリオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−1,1,1−トリオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−1,1,1−トリオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−1,1,1−トリオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−1,1,1−トリオクチルアンモニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート等が挙げられる。
【0015】
(ロ)において、R及びRで表されるアルキル基としては、前記(イ)で表されるアルキル基が挙げられる。R及びRが結合して窒素原子と共に形成する複素環としては、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ピペラジン環等が挙げられる。また、R〜Rの総炭素数は9以上である。
【0016】
(ロ)の場合の四級アンモニウム塩(1)の具体例としては、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンチル−1−メチルピロリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチル−1−メチルピロリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクチル−1−メチルピロリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニル−1−メチルピロリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシル−1−メチルピロリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−1−メチルピロリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−1−メチルピロリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−1−メチルピロリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ブチル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−プロピル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ブチル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンチル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクチル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ブチル−1−メチルモルフォニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンチル−1−メチルモルフォニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−1−メチルモルフォニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチル−1−メチルモルフォニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクチル−1−メチルモルフォニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニル−1−メチルモルフォニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシル−1−メチルモルフォニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−1−メチルモルフォニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−1−メチルモルフォニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−1−メチルモルフォニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート等が挙げられる。
【0017】
(ハ)において、Rで表されるアルキル基としては、前記(イ)で表されるアルキル基が挙げられる。R、R及びRがそれぞれ結合して窒素原子と共に形成する芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、ピコリン環、ピラジン環、ピロール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ホスフォール環、ホスフォリン環、アザホスフォリン環等が挙げられ、好ましくはピリジン環、ピコリン環及びイミダゾール環である。また、R〜Rの総炭素数は9以上である。
【0018】
(ハ)の場合の四級アンモニウム塩(1)の具体例としては、1−ブチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−プロピル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ブチル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンチル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクチル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−プロピル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ブチル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンチル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクチル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、
【0019】
1−プロピル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ブチル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンチル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクチル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンチル−3−メチルイミダゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニル−3−メチルイミダゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート等が挙げられる。
【0020】
四級アンモニウム塩(1)は、例えば特願2004−379548に記載の製造法、具体的には、三級アミン類とアルキルハライド類を反応させて四級アンモニウム=ハライドを製造した後、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸類とのイオン交換反応により容易に製造できる。
【0021】
ゲル化剤(2)は、公知物質であって、特許公報第2921732号等に記載の公知の製造法、例えば、L−アスパラギン酸とL−フェニルアラニンを反応してL−アスパラギン酸とL−フェニルアラニンの環状ジペプチドを得た後、かかる環状ジペプチドと2−エチルヘキサノールを反応することで容易に製造できる。
【0022】
本発明のゲル組成物を製造するには、四級アンモニウム塩(1)にゲル化剤(2)を混合し、加熱して四級アンモニウム塩(1)にゲル化剤(2)を溶解した後、室温(25℃程度)まで冷却すればよい。このようにすれば容易に本発明のゲル組成物を得ることができる。
【0023】
ゲル化剤(2)の使用量は、四級アンモニウム塩(1)の種類によって異なるが、四級アンモニウム塩(1)1Lに対して、通常1g以上、好ましくは2g〜100g、特に好ましくは3g〜50gである。
【0024】
加熱溶解させる温度は、ゲル化剤(2)が四級アンモニウム塩(1)に溶解する温度であれば特に限定されないが、通常80℃以上、好ましくは100℃〜150℃である。
【0025】
本発明のゲル組成物には、必要であれば適当な溶媒、電解質、添加剤等(以下、添加物という。)を含有させることもできる。かかる場合は、ゲル化剤(2)の混合時に添加物を添加し、加熱後、冷却すればよい。このようにすれば、必要な添加物が含有されたゲル組成物を容易に得ることができる。
【実施例】
【0026】
つぎに、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。イオン伝導度はポテンショ/ガルバノスタットと周波数応答アナライザ(Solartron社製)を用いて測定した。また、透明性は目視によって観察した。
【0027】
実施例1
1−ブチル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート1mlにゲル化剤(2)30mgを混合し、120℃に加熱してゲル化剤(2)を溶解させた。その後、25℃まで冷却し、2時間静置後、1−ブチル−1−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダートの透明なゲル組成物を得た。得られたゲル組成物のイオン伝導度を表2に示す。
【0028】
実施例2〜6、比較例1〜2
実施例1のN−ブチル−N−メチルピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダートに代えて表1に示す四級アンモニウム塩(1)を用いた以外は実施例1と同様にして行い、それぞれ対応するゲル組成物を得た。得られたゲル組成物のイオン伝導度を表2に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

註)30g/L;四級アンモニウム塩(1)1Lに対してゲル化剤(2)30gを混合して得られるゲル組成物のイオン伝導度
【0031】
表2に示されるように、本発明によって得られるゲル組成物は透明であり、また、イオン伝導度は、ゲル化前とほぼ変化が無いことから、電子デバイス材料としての有用性が期待できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

(式中、R〜Rは、(イ)同じであっても異なっていてもよいアルキル基、(ロ)R及びRが結合して窒素原子と共に複素環を形成し、R及びRが同じであっても異なっていてもよいアルキル基、或いは(ハ)R、R及びRがそれぞれ結合して窒素原子と共に芳香族複素環を形成し、Rがアルキル基を表し、且つR〜Rの総炭素数は9以上である。但し、(イ)の場合、R〜Rの総炭素数は10以上である。)で示される四級アンモニウム塩、及びゲル化剤として式(2):
【化2】

で示される化合物を含有することを特徴とするゲル組成物。

【公開番号】特開2006−328268(P2006−328268A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155566(P2005−155566)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000167646)広栄化学工業株式会社 (114)
【Fターム(参考)】