説明

ゲル網状組織を含む口腔用組成物の製造方法

本発明は、ゲル網状組織を含む口腔用組成物の製造方法に関する。ゲル網状組織は、脂肪族両親媒性物質分散体及び膨張界面活性剤から形成される。脂肪族両親媒性物質分散体は、1種以上の脂肪族両親媒性物質、1種以上の分散界面活性剤、及び1種以上の溶媒を含む。ゲル網状組織は、脂肪族両親媒性物質分散体が膨張界面活性剤と組み合わされた際に形成される。脂肪族両親媒性物質分散体及び口腔用組成物の製造方法も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル網状組織を含む有口腔用組成物、及びゲル網状組織の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔ケア組成物、特に歯磨剤のレオロジーは処方が非常に難しい。組成物は、チューブから容易に分配できるように粘度が高過ぎてはならないが、歯ブラシ上に留まってブラシの中にまで沈んでしまわないように十分粘度が高くなければならない。口腔用組成物の粘度は、口腔用組成物を貯蔵寿命の間ずっと容易に分配できるように、時間の経過とともに粘度が高くならずに安定でなければならない。容器から分配された後は、口腔用組成物は消費者が扱い易いように糸を引いたり、べとついてはいけない。また口腔用組成物は、一旦口に入ったら容易に分散して、フォームを形成する必要がある。口腔用組成物はまた、シンクに貼りついたり、取り除くのが大変な硬い乾燥物を残さないのが望ましい。粘度とずり減粘とを均衡させて許容可能なレオロジーを形成することに加えて、口腔用組成物は、安定で、フッ化物等の活性成分を有効な状態に保つ必要もある。
【0003】
消費者が所望する口腔用組成物に関する上記の要件に加えて、口腔用組成物は相対的に処理が容易であることも所望される。口腔用組成物は、上述のような所望のレオロジー及び貯蔵安定性を有するだけでなく、口腔用組成物を容器に素早く満たすのに十分粘稠でなければならない。このプロセスが特別な装置を必要とせず、またこのプロセスの時間が長くないことも望ましい。プロセスが経済的であることも望ましい。一般に、口腔用組成物は、高分子増粘剤により増粘化される。高分子増粘剤は水和工程を必要とする場合があるが、それが処理の柔軟性を制限し、空気混入問題を起こし得る。また、口腔用組成物の増粘化システムは低コストで、一般に利用可能な成分を含むのが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に基づき、口腔用組成物のための改良された増粘化又は構造化システムが継続的に必要とされている。口腔用組成物を製造する経済的かつ簡便なプロセスも必要とされている。既存の技術には、本発明の利点及び効果の全てを提供するものは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ゲル網状組織を含む口腔用組成物と、この口腔用組成物の製造方法とに関する。ゲル網状組織を含む口腔用組成物は、2工程プロセスにて製造される。プロセスの第1工程は、脂肪族両親媒性物質分散体を形成することである。分散体は、1種以上の脂肪族両親媒性物質、溶媒及び分散界面活性剤を含む。脂肪族両親媒性物質を、この脂肪族両親媒性物質の融解と、後の乳化とを可能にするのに十分な温度に加熱する。脂肪族両親媒性物質分散体を形成した後、この分散体を室温に急冷し、又は冷却させる。場合により脂肪族両親媒性物質分散体に抑制物質を添加して、脂肪族両親媒性物質の膨張の制限を補助してもよい。第2工程は、口腔用組成物を形成することである。脂肪族両親媒性物質分散体を、口腔用組成物中のその他の材料及び膨張界面活性剤に添加する。膨張界面活性剤を添加した後、ゲル網状組織が形成される。口腔用組成物中のその他の材料は、膨張界面活性剤の添加前、添加と同時に、又は添加した後に添加され得る。プロセスの完了時までゲル網状組織が形成されないように、膨張界面活性剤を最後に添加することが望ましい可能性がある。このプロセスにより、膨張界面活性剤又は口腔キャリア物質を加熱することなくゲル網状組織を形成することができる。
【0006】
本開示を読むことで、本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点が、当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
明細書の各請求項から、その請求範囲は特定され明確にされているが、本発明は、下記記載により、より明確に理解されるであろう。
【0008】
特に指定しない限り、百分率、部、及び比率は全て、本発明の組成物の総重量に基づく。このような全ての重量は、記載した成分に関する限り現実の濃度に基づくものであり、そのため、特に指定されない限り市販材料に包含される可能性のある溶媒若しくは副産物を包含しない。用語「重量百分率」は、本明細書では「重量%」として表示される場合がある。
【0009】
特に指定されない限り、本明細書で使用される分子量は全て、グラム/モルで表される重量平均分子量である。
【0010】
本明細書において、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の成分を添加できることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。本発明の組成物及び方法/プロセスは、本明細書に記載される本発明の必須要素及び限定、並びに本明細書に記載されるあらゆる追加又は任意の成分、構成成分、工程、若しくは限定を含む、それらからなる、及びそれらから本質的になることができる。
【0011】
本明細書において、「有効量」とは、当業者の適切な判断内で明白な利益、好ましくは口腔の健康の利益を顕著に誘導するために十分であるが、重篤な副作用を回避するために十分に低い、すなわち合理的な利益対危険性比を提供する化合物又は組成物の量を意味する。
【0012】
「口腔用組成物」とは、通常の使用過程では、特定の治療剤の全身投与の目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、口腔の活性を目的として実質的に全ての歯の表面及び/又は口腔組織と接触させるのに十分な時間、口腔内に保持される製品を意味する。本発明の口腔用組成物は、練り歯磨き、歯磨剤、歯磨きゲル、液体ゲル、歯肉縁下用ゲル、フォーム、ムース、クリーム、又は義歯製品を含む様々な形態であってもよい。口腔用組成物はまた、ゲル網状組織によって増粘化されたリンスであってもよい。口腔用組成物はまた、口腔表面への直接的な施用又は付着のためのストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「歯磨剤」は、特に指示がない限り、口腔表面の洗浄に使用されるペースト、ゲル、クリーム、粉末又は液体製剤を意味する。歯磨剤組成物は、単相組成物であってもよく、2種以上の別個の歯磨剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨剤組成物は、深い縞状、表面的な縞状、ペーストを囲むゲルを有する多層状、又はこれらの任意の組み合わせのような、任意の所望の形態であってよい。2種以上の別個の歯磨剤組成物を含む、歯磨剤中の各歯磨剤組成物は、ディスペンサーの物理的に分離された区画内に収容され、一緒に分配され得る。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「ディスペンサー」は、口腔用組成物を分与するのに好適な任意のポンプ、チューブ、パッケージ、又は容器を意味する。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「歯」とは、天然歯、並びに人工歯又は歯科補綴物を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」は、1種類のモノマーの重合によって作られた材料又は2つ(すなわちコポリマー)以上の種類のモノマーによって作られた材料を、いずれかを問わずに含むものとする。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「水溶性」は、物質が本組成物中で水に可溶であることを意味する。一般に、物質は25℃にて、水溶媒の0.1重量%、好ましくは1重量%、より好ましくは5重量%、より好ましくは15重量%の濃度で可溶性であるべきである。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「界面活性剤」は、脂肪族両親媒性物質以外の界面活性剤を意味する。好適な界面活性剤の様々な種類を以下に列挙する。脂肪族両親媒性物質の分散界面活性剤と、膨張界面活性剤とが存在する。ゲル網状組織中に少なくとも1種の脂肪族両親媒性物質の分散界面活性剤と、少なくとも1種の膨張界面活性剤とが存在するであろう。口腔用組成物中に追加の界面活性剤が存在してもよい。
【0019】
本発明の口腔用組成物は、2工程プロセスにて形成される。第1工程は、脂肪族両親媒性物質分散体を作製することである。分散体は、1種以上の脂肪族両親媒性物質、溶媒、及び脂肪族両親媒性物質の分散界面活性剤を含む。脂肪族両親媒性物質を加熱して、分散体の形成を可能にする。分散体が形成されたら、この分散体を他の材料と組み合わせる前に冷却することが好ましい。脂肪族両親媒性物質分散体に膨張界面活性剤を添加すると、ゲル網状組織が形成される。口腔キャリア物質は、一般に、膨張界面活性剤の添加前、添加と共に、又は添加後に添加される。口腔用組成物が作製プロセスの完了時まで粘度を形成しないように、大部分の口腔キャリア物質を添加した後に膨張界面活性剤を添加することが望ましい可能性がある。得られた口腔用組成物は、分散したゲル網状組織相と、口腔キャリア相とを含む。裸眼で、分散ゲル網状組織相と口腔キャリア相とは区別できない。これらの相は互いに不混和性である。この必須の構成成分のそれぞれ、並びに好ましい又は任意の構成成分は、本明細書において以下で詳細に説明する。
【0020】
A.脂肪族両親媒性物質分散体及びゲル網状組織
得られた本発明の口腔用組成物は、脂肪族両親媒性物質を含む分散ゲル網状組織相を含む。本明細書で使用するとき、用語「ゲル網状組織」は、以下に詳細する少なくとも1種の脂肪族両親媒性物質、以下に詳細する少なくとも1種の膨張界面活性剤、及び以下に詳細する溶媒を含む層状又は小胞性固体結晶相を指す。層状又は小胞性相は、脂肪族両親媒性物質及び膨張界面活性剤を含み、かつ溶媒を含む第2の層と交互配置されている第1の層から構成される二層を含む。層状結晶相が形成されるには、脂肪族両親媒性物質と膨張界面活性剤とが溶媒中に分散される必要がある。本明細書で使用するとき、用語「固体結晶性」とは、1以上の脂肪族両親媒性物質を含むゲル網状組織の層の鎖融解温度未満の温度において形成される層状相又は小胞性相の構造を指す。鎖融解温度は、示差走査熱量計により測定されることができ、その方法は下記の実施例に記載される。
【0021】
口腔用組成物中のゲル網状組織は、口腔用組成物の構造化に使用することができる。ゲル網状組織によって提供される構造化は、口腔用組成物を増粘化させることによって所望のレオロジー又は粘度を提供する。構造化は、高分子増粘剤を必要とすることなく行うことができるが、高分子増粘剤又はその他の試薬を口腔用組成物の構造化のためにゲル網状組織に加えて使用できる。
【0022】
ゲル網状組織は概して、G.M.Eccleston,「Functions of Mixed Emulsifiers and Emulsifying Waxes in Dermatological Lotions and Creams」,Colloids and Surfaces A:Physiochem.and Eng.Aspects 123〜124(1997)169〜182、及びG.M Eccleston,「The Microstructure of Semisolid Creams」,Pharmacy International,Vol.7,63〜70(1986)により更に記載されている。
【0023】
この本発明の実施形態によれば、本発明のゲル網状組織は、2工程プロセスにて調製される。第1工程は、脂肪族両親媒性物質分散体を形成することである。脂肪族両親媒性物質分散体は、脂肪族両親媒性物質、分散界面活性剤及び溶媒を含む。分散体中の脂肪族両親媒性物質の膨張を制御(低減)して、分散体の粘度を低く保つことが望ましい。脂肪族両親媒性物質分散体の粘度は、200BKU未満でなければならない。脂肪族両親媒性物質分散体は、降伏値により測定されて、容易にずり減粘することが好ましいであろう。分散体は、ポンピング可能な降伏値が可能であれば、分散体は、より高い粘度を有することになる。理論に束縛されず、脂肪族両親媒性物質分散体は、粒子間相互作用と、内部相の充填とより構造化されると考えられる。脂肪族両親媒性物質を約50℃〜約90℃の範囲内のレベルまで加熱する。脂肪族両親媒性物質に分散界面活性剤及び溶媒を添加して、脂肪族両親媒性物質分散体を形成する。この分散体を、例えば混合物を熱交換器に通すことにより、約20℃〜約35℃の範囲内のレベルに冷却してもよい。分散体を冷却させる他の方法は、冷却ジャケット、混合、又は分散体がゆっくりと室温にされる追加の時間を含む。あるいは、分散体の冷却を補助するであろうより低温の追加の材料を分散体に添加してもよい。脂肪族両親媒性物質分散体が冷却されることは必須ではないが、加工において有利な可能性がある。脂肪族両親媒性物質分散体を作製する際、粉砕工程が存在する場合もある。所望であれば、冷却と粉砕とが同時に生じてもよい。
【0024】
脂肪族両親媒性物質、脂肪族両親媒性物質の分散界面活性剤及び溶媒は、膨張が限定された脂肪族両親媒性物質分散体を形成する。次いで、脂肪族両親媒性物質分散体を、口腔用組成物のその他の材料及び膨張界面活性剤に添加し、この膨張界面活性剤は脂肪族両親媒性物質と膨張界面活性剤とが安定なゲル網状組織を形成することを可能にする。この工程において、ゲル網状組織が形成された際に脂肪族アルコールの膨張を最大にすることが望ましい。口腔用組成物の材料は、プロセス中の任意の時間に添加することができる。
【0025】
分散体の調製の代替的方法又は更なる手段は、脂肪族両親媒性物質、脂肪族両親媒性物質の分散界面活性剤、及び/又は溶媒を、これらの構成成分が加熱される間に超音波処理及び/又は粉砕して、溶解した脂肪族両親媒性物質相の粒径を縮小することを含む。このことにより、脂肪族両親媒性物質分散体の表面積が増大する。また、形成された脂肪族両親媒性物質分散体を、脂肪族両親媒性物質を膨張させる膨張界面活性剤と共に超音波処理及び/又は粉砕することは、ゲル網状組織形成の補助において望ましい場合がある。
【0026】
平衡化層状分散体(「ELD」)は、最終的な口腔用組成物にて形成される。ELDは、口腔キャリア及びその他の任意成分と実質的に平衡化したゲル網状組織構成成分から得られる分散した層状又は小胞性相である。
【0027】
ELD形態の口腔用組成物中のゲル網状組織の存在は、X線分析方法、光学顕微鏡法、電子顕微鏡法及び示差走査熱量計等の、当業者に既知の手段により確認することができる。X線分析方法及び示差走査熱量計は、以下の実施例に記載される。
【0028】
本発明の一実施形態では、ゲル網状組織構成成分中の脂肪族両親媒性物質の膨張界面活性剤に対する重量比は、約1:5より大きく、好ましくは約1:3〜約100:1であり、より好ましくは約1:1〜約20:1より大きく、更により好ましくは約2:1〜約10:1より大きい。
【0029】
1.脂肪族両親媒性物質
本発明のゲル網状組織構成成分は、少なくとも1つの脂肪族両親媒性物質を含む。本明細書で使用するとき、「脂肪族両親媒性物質」とは、以下に定義される疎水性末端基R及び化合物を水溶性にしない(不混和性)親水性末端基を有する化合物を指し、化合物はまた、口腔用組成物のpHにおいて、正味の中性電荷を有する。本明細書で使用するとき、用語「水溶性」とは、物質が本組成物中の水に可溶であることを意味する。一般に、物質は25℃にて、水溶媒に対して0.1重量%、好ましくは1重量%、より好ましくは5重量%、より好ましくは15重量%の濃度で可溶であるべきである。
【0030】
本発明の脂肪族両親媒性物質は、6以下の親水性−親油性バランス(「HLB」)を有する化合物として特徴付けられてよい。本明細書で使用するとき、HLBは、Griffin,J.Soc.Cosm.Chem.,vol.5,249(1954)に従う標準的なHLBである。 脂肪族両親媒性物質の混合物を使用する場合、混合物は、約1〜約6、好ましくは約1〜約3のHLBを有することが望ましい。したがって、より小さいHLBを有する他の脂肪族両親媒性と混合される場合、6を越えるHLBを有する脂肪族両親媒性物質を使用することができる。脂肪族両親媒性物質分散体の形成において、分散界面活性剤と共に層状相が形成されないよう小さいHLBが望ましい。より小さいHLBは、脂肪族両親媒性物質が溶媒に可溶とならず、脂肪族両親媒性物質の膨張が低減されるであろうことを意味する。
【0031】
本発明の口腔用組成物は、脂肪族両親媒性物質を、最終的な口腔用組成物の約0.05重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%の量で含む。いくつかの例では、最終的な口腔用組成物中の脂肪族両親媒性物質の量は、約2%〜約8%、より好ましくは約4%〜約6%である。最終的な口腔用組成物中の脂肪族両親媒性物質の量に基づいて、脂肪族両親媒性物質分散体に添加する脂肪族両親媒性物質の量と、最終的な口腔用組成物に添加する脂肪族両親媒性物質分散体の量とが決定され得る。一般に、脂肪族両親媒性物質は、脂肪族両親媒性物質分散体中に約5%〜約80%、より好ましくは約15%〜約60%の量で存在する。いくつかの例では、脂肪族両親媒性物質分散体中の脂肪族両親媒性物質の量は、約30%〜約55%である。脂肪族両親媒性物質の量は、ゲル網状組織の形成及び口腔用製剤の組成に基づいて選択される。例えば、少量の水を含む口腔用組成物は、約1%の脂肪族両親媒性物質を必要とし得るが、多量の水を含む口腔用組成物は、6%以上の脂肪族両親媒性物質を必要とし得る。
【0032】
本発明によれば、好適な脂肪族両親媒性物質、又は2種以上の脂肪族両親媒性物質の好適な混合物は、好ましくは少なくとも約40℃ の融点を有する。いくつかの実施形態において、融点は少なくとも約50℃、約55℃超、又は約60℃超であるのが好ましい。本明細書で使用するとき、融点を、U.S.Pharmacopeia,USP−NF General Chapter <741>「Melting range or temperature」に記載される標準融点法で測定することができる。2種以上の物質の混合物の融点は、その2種以上の物質をそれぞれの融点を超える温度で混合し、その混合物を冷却させることによって測定される。得られた複合物が、約45℃未満で均質固体であるとき、混合物は本発明において使用するために好適な融点を有する。混合物が、個々の融点が約45℃未満である少なくとも1種の脂肪族両親媒性物質を含む、2種以上の脂肪族両親媒性物質の混合物であっても、混合物の複合融点が、少なくとも約45℃であるなら、本発明において使用するのに好適である。
【0033】
本発明によれば、好適な脂肪族両親媒性物質は、疎水性末端基R を有する。本明細書で使用するとき、Rは、アルキル、アルケニル(3個までの二重結合を含む)、アルキル芳香族、又はC12〜C70長の分枝状アルキル基である。本発明の脂肪族両親媒性物質に好適なアルキル、アルケニル、又は分枝状アルキル基の非限定的な例としては、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、アラキジル、ベヘニル、ウンデシレニル、パルミトレイル、オレイル、パルモレイル、リノレイル、リノレニル、アラキドニル、エライジル、エレオステアリル、エルカイル、イソラウリル、イソトリデシル、イソミリスタル、イソペンタデシル、ペトロセリニル、イソセチル、イソヘプタデシル、イソステアリル、イソアラキジル、イソベヘニル、ガドレイル、ブラシジル、及びこれらの工業銘柄混合物が挙げられる。
【0034】
本明細書で使用するとき、Rはまた、より高い分子量の分枝状イソアルコールを生じさせるために、アルコールのアルカリ縮合により調製される分枝状アルキル基であってもよい。当該技術分野において、これらの分枝状イソアルコールは、ゲルベアルコールと呼ばれる。
【0035】
は、小麦胚、ヒマワリ、ブドウ種子、ゴマ、トウモロコシ、アンズ、ヒマシ、アボカド、オリーブ、大豆、スイートアーモンド、パーム、菜種、綿実、へーゼルナッツ、マカデミア、カリテ(karite)、ホホバ、アルファルファ、ケシ、カボチャ種子、ゴマ、キュウリ、クロスグリ、マツヨイグサ、キビ、大麦、キヌア、ライ麦、ベニバナ、キャンドルナッツ、トケイソウ又はムスクローズ油、及びカリテ(karite)バターのような野菜由来のアルキル、アルケニル又は分枝状炭素鎖であってもよい。
【0036】
また本発明の好適な脂肪族両親媒性物質は、例えば6以下のHLBを有する化合物中に、化合物を水溶性にしない親水性の末端基を有する。こうした親水性末端基を有する化合物の部類の非限定的な例としては、脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪族フェノール、アルコキシル化脂肪族フェノール、脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸アミド、脂肪族アミン、脂肪族アルキルアミドアルキルアミン、脂肪族アルコキシル化アミン、脂肪族カルバメート、脂肪族アミンオキシド、脂肪酸、アルコキシル化脂肪酸、脂肪族ジエステル、脂肪族ソルビタンエステル、脂肪族糖エステル、メチルグルコシドエステル、脂肪族グリコールエステル、モノ、ジ、及びトリグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、コレステロール、セラミド、脂肪族シリコーンワックス、脂肪族グルコースアミド、並びにリン脂質が挙げられる。
【0037】
本発明のゲル網状組織構成成分を形成するために、個々の脂肪族両親媒性化合物、又は2種以上の異なる脂肪族両親媒性化合物の組み合わせを選択してもよい。以下に、本発明において使用するのに好適な1種以上の脂肪族両親媒性物質を選択してよい化合物の部類の非限定的な例を提供する。
【0038】
a.脂肪族アルコール/アルコキシル化脂肪族アルコールエーテル
本発明の脂肪族両親媒性物質は、次式に従う脂肪族アルコール化合物又はアルコキシル化脂肪族アルコールエーテル化合物から選択してよい:
【化1】

式中、Rは上述のとおりであり、Rは分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC〜C炭素鎖であり、kは約0〜約5の範囲の数である。
【0039】
本明細書で有用な脂肪族アルコールは、約12〜約60の炭素原子、好ましくは約16〜約60の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは、直鎖又は分枝鎖アルコールであってよく、及び飽和又は不飽和であってよい。好適な脂肪族アルコールの非限定的な例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、エイコシルアルコール、C20〜40アルコール、C30〜50アルコール、C40〜60アルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
好適なアルコキシル化脂肪族アルコールエーテルとしては、約12〜約60個の炭素原子を有する直鎖状脂肪族アルコールとエチレンオキシド1〜5モルとの付加生成物が挙げられ、これらは全て、既知の工業オキシエチル化プロセスにより入手できる付加物である。同様に、好適なのは、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、例えば、直鎖又は分枝鎖構成いずれかの約12〜約60の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物であり、ここで、エチレンオキシドは、アルキルフェノール1モル当たりエチレンオキシド約1〜約5モル当量で存在する。更に好適なアルコキシル化脂肪族アルコールエーテルとしては、エチレンオキシドと、プロピレンオキシド及びエチレンジアミン生成物の反応から得られる生成物との縮合に由来するものが挙げられる。
【0041】
好適なアルコキシル化脂肪族アルコールエーテルの非限定的な例としては、ステアレス−2、ベヘネス−2、ベヘネス−5、ベヘネス−10、C20〜40パレス−3、C20〜40パレス−10、C30〜50パレス−3、及びC30〜50パレス−10が挙げられる。
【0042】
1つの実施形態において、脂肪族アルコールの組み合わせ、例えばセチル及びステアリルアルコールが好ましい。セチルアルコールとステアリルアルコールとの比は、約4:1〜約1:4、好ましくは約2:1〜約1:2、及びいくつかの実施形態では1:1であることができる。
【0043】
b.他の脂肪族両親媒性物質
本発明の脂肪族両親媒性物質は、ジ脂肪族エーテル、脂肪族アルカノールアミド及び脂肪族アルコキシル化アミドを含む脂肪族アミド、脂肪族カルバメート、脂肪族アルキルアミドアルキルアミン、脂肪族アルキルアミン及び脂肪族アルコキシル化アミンを含む脂肪族アミン、脂肪族アミンオキシド、脂肪酸又はアルコキシル化脂肪酸、脂肪族エステル、脂肪族リン化合物脂肪族ソルビタン誘導体、スクロースポリエステル、アルキルスルホキシド、並びにこれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0044】
2.脂肪族両親媒性物質の分散界面活性剤
脂肪族両親媒性物質の分散界面活性剤は、使用される脂肪族両親媒性物質に応じて選択される。分散界面活性剤は、水溶性、又は選択された溶媒に可溶である必要がある。分散界面活性剤は、脂肪族両親媒性物質を乳化又は分散するよう添加されるが、層状相の形成は誘導しない。分散界面活性剤は、粒子を物理的に分離することにより、表面張力を効果的に低減し、及び/又は分散体を立体的に安定化させなければならない。好適な分散界面活性剤は、少なくとも約500ダルトンの分子量を有する必要がある。分子量は、130キロダルトンを越える必要があり、さもなくば脂肪族両親媒性物質分散体の粘度が高くなり過ぎる。好適な分散界面活性剤としては、ISP Corp.により「Ganex P904」として商品化されているブチル化ポリビニルピロリドン等のアルキル化ポリビニルピロリドン;ISP Corp.により「Easy−Sperse」として商品化されている製品中に含まれるようなポリ(メチルビニルマレイン酸ナトリウム塩)のモノブチルエステルを含む、ポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)ナトリウム塩のモノアルキルエステル;ISP Corp.により「Aquafix FX64」として商品化されている製品中に含まれるようなイソブチレン(isobuylene)/エチルマンデルイミド(ethylmadleimide)/ヒドロキシエチルコポリマー;ISP Corp.により「Styleze W20」として商品化されている製品中に含まれるような(3−ジメチルアミノプロピル)−メタクリルアミド/3−メタクリロイルアミドプロピル−ラウリル−ジメチル−アンモニウム(ammoniium)クロリド等の多数の非アルコキシル化水溶性ポリマーが挙げられる。分散界面活性剤は、疎水変性ポリマーを含む。疎水変性ポリマーは、一般に、分散体を立体的に安定化させ、かつ粒子を物理的に分離することにより作用するであろう。好適な疎水変性ポリマーとしては、Herculesにより商品化されているNatrosol Plus等のセチルヒドロキシルエチルセルロース、及びOrafti Bio Based Chemicalsにより商品化されているInutec SP1等のラウリルカルバミン酸イヌリンが挙げられる。好ましい分散界面活性剤は、口腔用組成物での使用において卓越した安全性データを有する必要がある。脂肪族両親媒性物質分散界面活性剤は、一般に、脂肪族両親媒性物質分散体中に約0.01%〜約15%、好ましくは約0.05%〜約5%、通常約0.1%〜約2%の量で存在する。最終的な口腔用組成物中の分散界面活性剤の量は、一般に、分散体中の脂肪族両親媒性物質の量と、最終的な組成物中の脂肪族両親媒性物質の所望の量とに依存する。一般に、分散界面活性剤は、最終的な口腔用組成物中に、最終的な口腔用組成物の約0.001%〜約5%、通常約0.01〜約2%、及び約0.1〜約1重量%の量で存在するであろう。好ましい分散界面活性剤としては、セチルヒドロキシルエチルセルロース、ラウリルカルバミン酸イヌリン、及びブチル化ポリビニルピロリドン、ポリ(メチルビニルマレイン酸ナトリウム塩)のモノブチルエステル、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
3.溶媒
本発明の脂肪族両親媒性物質分散体は、水又は他の好適な溶媒等の溶媒も含む。脂肪族両親媒性物質分散体中の溶媒の濃度は、濃度が高すぎる場合に膨張及び/又は層状相の形成が起こり得るため、制御される必要がある。脂肪族両親媒性物質分散体中に層状相が形成されることは望ましくなく、また膨張量を制限して粘度を低く保つことが望ましい。
【0046】
溶媒は、一般に、最終的な口腔用組成物中にも存在する。溶媒は、一般に、膨張界面活性剤と共に添加される。膨張界面活性剤と追加の溶媒とは、一緒に脂肪族両親媒性物質の膨張に寄与することができる。言い換えると、これは、ゲル網状組織の形成及び安定性を導く。ゲル網状組織の形成に加えて、溶媒は、空気に曝される際に歯磨剤組成物が硬化するのを防ぎ、口内に湿った感触を与える。本明細書で使用するとき、溶媒とは、本発明のゲル網状組織の形成において、水の代わりに又は水と組み合わせて使用することができる好適な溶媒を指す。
【0047】
本発明において脂肪族両親媒性物質分散体、及び最終的な口腔用組成物中に使用される好適な溶媒としては、水、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、エリトリトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の食用多価アルコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ソルビトール、グリセリン、水、及びこれらの組み合わせが好ましい溶媒である。水は、選択される特定の脂肪族両親媒性物質に応じて必要であり得る。低水分の製剤に関しては、水は製剤の他の部分にてより良好に使用され得るため、脂肪族両親媒性物質分散体の形成に使用される溶媒でなくてもよい。溶媒は、一般に脂肪族両親媒性物質分散体中に、脂肪族両親媒性物質分散体の約0.05重量%〜約85重量%、一般に約15重量%〜約80重量%、通常約35重量%〜約80重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、溶媒は、脂肪族両親媒性物質分散体の約40重量%〜約65重量%の量で存在する。
【0048】
本発明の口腔用組成物は、ゲル網状組織相の一部としての溶媒を、本発明による脂肪族両親媒性物質及び膨張界面活性剤と組み合わされた際にゲル網状組織を達成するのに好適な量で含む。好ましい実施形態では、本発明の口腔用組成物は、ゲル網状組織相の一部として、口腔用組成物の少なくとも約0.05重量%の溶媒を含む。溶媒は、口腔用組成物中に、約0.1%〜約99%、約0.5%〜約95%、及び約1%〜約90%の量で存在してよい。
【0049】
4.抑制物質
脂肪族両親媒性物質分散体に抑制物質を添加することが望ましい場合がある。抑制剤の機能は、抑制剤が分散体中に存在する間、分散体が膨張界面活性剤と混合される前に、脂肪族両親媒性物質の膨張を抑制することである。抑制物質は、粘度を低く保ち、層状相の調製の防止を助けるであろう。抑制物質は、脂肪族両親媒性物質の膨張の制御を助ける任意の物質を含む。特定の物質は、約6〜約20、一般に約6〜約13の誘電率(dialetric constant)を有する可溶性及び不溶性の極性物質を含む。好適な材料には、香味油等の極性油、及び冷却剤、塩、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。抑制物質は、場合により脂肪族両親媒性物質分散体に添加される。抑制物質は、最終的な口腔用組成物の約0重量%〜約10重量%、通常約0.1重量%〜約8重量%、及び約1重量%〜約5重量%の量で添加されてもよい。
【0050】
5.膨張界面活性剤
本発明のゲル網状組織構成成分は、膨張界面活性剤も含む。本明細書で使用するとき、「膨張界面活性剤」は、脂肪族両親媒性物質分散体と組み合わされて、本発明のゲル網状組織を形成する1種以上の界面活性剤を指す。膨張界面活性剤は、予め作られた脂肪族両親媒性物質分散体中に存在することが意図されず、脂肪族両親媒性物質分散体は、基本的に膨張界面活性剤を含まないことが望ましい可能性がある。膨張界面活性剤は一般に水溶性であり、又は溶媒若しくは口腔キャリア中に混和可能である。膨張界面活性剤は、6以上、一般に約8〜約30の親水性−親油性バランス(「HLB」)を有する化合物として特徴付けることができる。本明細書で使用するとき、HLBは、Griffin,J.Soc.Cosm.Chem.,vol.5,249(1954) に従う標準的なHLBである。好ましくは、界面活性剤は広いpH域全体にわたって適度に安定であり、フォームを形成する。
【0051】
本発明の口腔用組成物は、膨張界面活性剤 をゲル網状組織相の一部として、口腔用組成物の約0.01重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約5重量%の量で含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤の希釈水溶液を利用する。一実施形態において、界面活性剤の量は、口腔用組成物中に所望される発泡のレベルと、界面活性剤により生じる刺激とに基づき選択される。界面活性剤の濃度が一旦選択されたら、次いでゲル網状組織を形成する脂肪族両親媒性物質の濃度が選択される。例えば、低濃度の溶媒を有する口腔用組成物において、多量の脂肪族両親媒性物質が必要となる場合もあるが、多量の溶媒又は水を有する口腔用組成物においては低濃度の脂肪族両親媒性物質が選択されてもよい。
【0052】
好適な膨張界面活性剤としては、アニオン性、双極性、両性、カチオン性及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。1つの実施形態において、アニオン性界面活性剤が好ましい。膨張界面活性剤は、例えばアニオン性、非イオン性、及び双極性界面活性剤等のうちの2種以上の界面活性剤の組み合わせであってもよい。
【0053】
本明細書で有用なアニオン性界面活性剤としては、アルキルラジカルに8個〜20個の炭素原子を有するアルキルサルフェートの水溶性塩(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)、及び8個〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。本発明の膨張界面活性剤として使用される好ましいアニオン性界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムラウリルサルコシネート、ナトリウムココイルメチルタウレート、ナトリウムモノグリセリドサルフェート、ナトリウムセタリルサルフェート、カリウムココイルグリシネート、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリル乳酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリルグルタミン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウレス炭酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態において、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい膨張界面活性剤である。多数の好適なアニオン性界面活性剤が、Agricola et al.の米国特許第3,959,458号(1976年35月25日発行)に開示されている。
【0054】
本明細書において有用な非イオン性界面活性剤は、(性質上親水性の)アルキレンオキシド基と、本質的に脂肪族又はアルキル芳香族であることが可能な有機疎水性化合物との縮合によって製造される化合物として広く定義され得る。好適な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(商品名Tweensで販売)、ポリオキシル40「水素添加ヒマシ油」、エトキシル化脂肪族アルコール、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスファインオキシド、ラウリルグリコシド(商品名Plantaren 1200 UPで販売)及び長鎖ジアルキルスルホキシドが挙げられる。7以上のHLBを有する好適な非イオン性界面活性剤としては、スクロースラウレート、スクロースココエート、スクロースステアレート;ステアレス20、21、又は100、及びPEG 20モノステアリン酸ソルビタン(Tween 60として市販)が挙げられる。
【0055】
本発明において膨張界面活性剤として好適な両性界面活性剤は、脂肪族第2級及び第3級アミンの誘導体として広く記載され、ここで脂肪族ラジカルは直鎖状又は分枝状であってもよく、脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含み、1つはカルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネート等のアニオン性水可溶化基を含む。他の好適な両性界面活性剤は、ベタイン、例えばコカミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルベタイン(商品名Macat)LBとして販売)、セチルジメチルベタイン、及びココアンホジアセテートである。追加の両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤は、米国特許第4,051,234号(Gieske et al.、1977年9月27日発行)に見出すことができる。好適なカチオン性界面活性剤の例としては、塩化セチルピリジニウム、コアミドプロピルPG塩化ジモニウムホスフェート(リン脂質CDM)、ミリスチルアミドプロピルPG塩化ジモニウムホスフェート(リン脂質PTM)、ステアルアミドプロピルPG塩化ジモニウムホスフェート(リン脂質SV)、塩化ステアピリウム(steapyrium)(Catemol WPC)、及び他の好適なカチオン性物質が挙げられる。
【0056】
本発明の膨張界面活性剤に、上記に特定した種類の2種以上の界面活性剤を使用することができる。
【0057】
他の膨張界面活性剤、又は任意の種類の界面活性剤も口腔用組成物の口腔キャリア相に添加することができる。この界面活性剤は、ゲル網状組織構造の形成に参加しないため、ゲル網状組織の一部ではない可能性がある。口腔キャリア相における界面活性剤は、向上したフォーム形成特性又は異なるフォーム形成特性を提供し得る。口腔キャリア相に添加される界面活性剤はまた、粘度を変更し、現れる風味を変化させることができる。
【0058】
B.口腔キャリア物質
本発明の口腔用組成物は、口腔キャリア物質を含む。組成物は、口腔キャリアを組成物の約5重量%〜約99重量%、好ましくは約10重量%〜約90重量%の濃度で含む。この相に含まれる口腔キャリアは、ゲル網状組織の形成に使用されない、口腔用組成物中の任意の物質として広く記載される。口腔キャリア相は、バルク相又は溶媒相と称されてもよい。口腔キャリアは、研磨剤又は固体であるその他の不溶性物質のような物質を含むように広く定義される(特定の分析によって、特定相にないものとして記載されてもよい)。口腔キャリアとしては、美容用又は治療用活性物質及び非活性物質を含む。
【0059】
口腔用組成物の調製に好適な口腔キャリアは周知である。それらの選択は、味、コスト、安定性、所望の効果等のような二次的考察によって決定される。
【0060】
1.美容用及び治療用活性物質
歯磨剤組成物はまた、適切な美容用及び/又は治療用活性物質を含むことができる。こうした活性物質としては、口腔に使用するのに一般に安全であるとみなされ、口腔の全体的な外観及び/又は健康に変化を与える任意の物質が含まれ、それらとしては、抗結石剤、フッ化物イオン源、スズイオン源、ホワイトニング剤、抗菌剤、抗歯垢剤、抗炎症剤、栄養素、酸化防止剤、抗ウイルス薬、鎮痛剤及び麻酔剤、H−2拮抗物質、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合、口腔用組成物における美容用及び/又は治療用活性物質の濃度は、1つの実施形態では口腔用組成物の約0.001重量%〜約90重量%、他の実施形態では約0.01重量%〜約50重量%、及び他の実施形態では約0.1重量%〜約30重量%である。
【0061】
以下は、本発明で使用されてもよい活性物質の非限定的な列挙である。
【0062】
a)フッ化物イオン
本発明は、安全かつ有効な量のフッ化物化合物(例えば、水溶性)を含む。フッ化物イオンは、25℃で組成物内のフッ化物イオンに濃度を付与するのに十分な量が存在し、及び/又は、1つの実施形態においては約0.0025重量%〜約5.0重量%の量で使用され得、他の実施形態においては、抗カリエス性の効果性を提供するために、約0.005重量%〜約2.0重量%の量で使用され得る。広範なフッ化物イオン生成物質を、本組成物中の可溶性フッ化物の供給源として使用することができる。好適なフッ化物イオン生成材料の例は、米国特許第3,535,421号、及び同第3,678,154号に開示されている。代表的なフッ化物イオン源としては、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、アミンフッ化物、モノフルオロリン酸ナトリウム、及び、その他多数が挙げられる。1つの実施形態において、歯磨剤組成物は、フッ化第1スズ又はフッ化ナトリウム、並びにこれらの混合物を含む。
【0063】
b)抗結石剤
本発明の歯磨剤組成物はまた、抗結石剤を含んでもよく、これは、1つの実施形態では、歯磨剤組成物の約0.05重量%〜約50重量%で存在してもよく、別の実施形態では約0.05重量%〜約25重量%であり、別の実施形態では、約0.1重量%〜約15重量%である。抗結石剤は、ポリホスフェート(ピロホスフェートを含む)及びそれらの塩、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)及びその塩、ポリオレフィンスルホネート及びそれらの塩、ポリビニルホスフェート及びそれらの塩、ポリオレフィンホスフェート及びそれらの塩、ジホスホネート及びそれらの塩、ホスホノアルカンカルボン酸及びその塩、ポリホスホネート及びそれらの塩、ポリビニルホスホネート及びそれらの塩、ポリオレフィンホスホネート及びそれらの塩、ポリペプチド、並びにこれらの混合物からなる群から選択されてよい。1つの実施形態において、塩はアルカリ金属塩である。ポリホスフェートは、一般に、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩及びこれらの混合物のような、全体的に又は部分的に中和された水溶性アルカリ金属塩として使用される。無機ポリリン酸塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、二酸ジアルキル金属(例えば、ジナトリウム)、一酸トリアルキル金属(例えば、トリナトリウム)、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、及びアルカリ金属(例えば、ナトリウム)ヘキサメタホスフェート、並びにそれらの混合物が挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェートは、通常、非昌質のガラス状物質として生じる。1つの実施形態において、ポリホスフェートは、FMC Corporationで製造され、Sodaphos(n≒6)、Hexaphos(n≒13)、及びGlass H(n≒21、ヘキサメタリン酸ナトリウム)として商業的に既知であるもの、並びにこれらの混合物である。本発明に有用なピロホスフェート塩には、アルカリ金属ピロホスフェート、ジ−、トリ−及びモノ−カリウム又はナトリウムピロホスフェート、ジアルカリ金属ピロホスフェート塩、テトラアルカリ金属ピロホスフェート塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ピロホスフェート塩は、ピロリン酸三ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、ピロリン酸四カリウム(K)、及びこれらの混合物からなる群より選択される。ポリオレフィンスルホネートには、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含むもの及びそれらの塩が挙げられる。ポリオレフィンホスホネートには、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含むものが挙げられる。ポリビニルホスホネートには、ポリビニルホスホン酸が挙げられる。ジホスホネート及びそれらの塩には、アゾシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸及びこれらの塩、アゾシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸のイオン及びこれらの塩、アザシクロヘキサン−2,2−ジホスホン酸、アザシクロペンタン−2,2−ジホスホン酸、N−メチル−アザシクロペンタン−2,3−ジホスホン酸、EHDP(エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸)、AHP(アザシクロヘプタン−2,2−ジホスホン酸)、エタン−1−アミノ−1,1−ジホスホネート、ジクロロメタン−ジホスホネートなどが挙げられる。ホスホノアルカンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩には、それぞれ酸又はアルカリ金属塩として、PPTA(ホスホノプロパントリカルボン酸)、PBTA(ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸)が挙げられる。ポリオレフィンホスフェートには、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含むものが挙げられる。ポリペプチドには、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸が挙げられる。
【0064】
c)スズイオン
本発明の歯磨剤組成物は、スズイオン源を含むことができる。スズイオンは、フッ化第1スズ及び/又は他のスズ塩から提供されてもよい。フッ化第1スズは、歯肉炎、歯垢、敏感度の低減、及び改善された息の利益に役立つことが見出されている。歯磨剤組成物において提供されるスズイオンは、歯磨剤組成物を使用している対象物に効能を提供する。効能は、歯肉炎の低減以外の利益を含むことができるが、効能は、その場の歯垢代謝における顕著な低減量として定義される。このような効能を提供する製剤は一般に、全歯磨剤組成物の約3,000ppm〜約15,000ppmスズイオン範囲のフッ化第1スズ及び/又は他のスズ塩によって提供されるスズ濃度を含む。スズイオンは、約4,000ppm〜約12,000ppm、1つの実施形態では、約5,000ppm〜約10,000ppmの量で存在する。別のスズ塩には、酢酸第1スズ、グルコン酸第1スズ、シュウ酸第1スズ、マロン酸第1スズ、クエン酸第1スズ、第1スズエチレングリコシド、ギ酸第1スズ、硫酸第1スズ、乳酸第1スズ、酒石酸第1スズ等の有機スズカルボキシレートが挙げられる。他のスズイオン供給源には、塩化第1スズ、臭化第1スズ、ヨウ化第1スズ及び塩化第1スズ二水化物(dihydride)等のハロゲン化第1スズが挙げられる。1つの実施形態において、スズイオン供給源はフッ化第1スズであり、別の実施形態では、塩化第1スズ二水和物(stannous chloride dihydrate)である。合わせたスズ塩は、歯磨剤組成物の約0.001重量%〜約11重量%の量で存在してよい。スズ塩は、1つの実施形態では、歯磨剤組成物の約0.01重量%〜約7重量%の量、他の実施形態では、約0.1重量%〜約5重量%、他の実施形態では、約1.5重量%〜約3重量%で存在してよい。
【0065】
d)ホワイトニング剤
ホワイトニング剤は、本歯磨剤組成物の活性物質として含まれてもよい。ホワイトニングに適した活性物質は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属過酸化物、亜塩素酸金属、単水和物及び四水和物を含む過ホウ酸塩、過リン酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸及び過硫酸塩、例えばアンモニウム、カリウム、ナトリウム及びリチウム過硫酸塩、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。好適な過酸化物化合物には、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、過酸化マグネシウム、過酸化亜鉛、過酸化ストロンチウム、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、過酸化物化合物は過酸化カルバミドである。好適な亜塩素酸金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。追加的な白化活性物質は、次亜塩素酸塩及び二酸化塩素であってもよい。1つの実施形態において、亜塩素酸塩は亜塩素酸ナトリウムである。別の実施形態において、過炭酸塩は過炭酸ナトリウムである。1つの実施形態では、過硫酸塩はオキソンである。これらの物質の濃度は、分子が、染みを漂白するために提供できる、利用可能な酸素又は塩素それぞれによって左右される。1つの実施形態において、ホワイトニング剤は、歯磨剤組成物の約0.01重量%〜約40重量%の濃度で、他の実施形態では約0.1重量%〜約20重量%、他の実施形態では約0.5重量%〜約10重量%、更に他の実施形態では約4重量%〜約7重量%で存在してもよい。ゲル網状組織組成物は、ホワイトニング剤又は過酸化物を含んでもよく、又は口腔キャリア相に含まれてもよい。ゲル網状組織は、過酸化物の安定化に役立ち得る。
【0066】
e)抗菌剤
本発明の歯磨剤組成物は、抗菌剤を含んでもよい。そのような試薬には、慣用的にトリクロサンと呼ばれる、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール;8−ヒドロキシキノリン及びその塩;塩化銅(II)、硫酸銅(II)、酢酸銅(II)、フッ化銅(II)及び水酸化銅(II)が挙げられるが、これらに限定されない銅II化合物;フタル酸一カリウムマグネシウムを含む米国特許第4,994,262号で開示されているものが挙げられるが、これらに限定されないフタル酸及びその塩;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CPC);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC);オクテニジン;ヨウ素;スルホンアミド;ビスビグアニド;フェノール;デルモピノール、オクタピノール、及びその他のピペリジノ誘導体;ナイアシン調剤;亜鉛又はスズイオン剤;ナイスタチン;グレープフルーツ抽出物;リンゴ抽出物;タイム油;チモール;オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン、塩化セチルピリジニウム、及びクリンダマイシンなどの抗生物質;上記の類似体及び塩;サリチル酸メチル;過酸化水素;亜塩素酸塩の金属塩;並びに上記の全ての混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。クエン酸亜鉛、酸化亜鉛、乳酸亜鉛及び他の亜鉛種のような可溶性又は不溶性亜鉛塩を、抗菌剤若しくは抗歯垢剤として、又は様々な他の利益のために使用することができる。抗菌剤構成成分は、歯磨剤組成物の約0.001重量%〜約20重量%で存在してよい。別の実施形態において、本発明の歯磨剤組成物は一般に約0.1重量%〜約5重量%の抗菌剤を含む。
【0067】
f)抗歯垢剤
本発明の歯磨剤組成物は、抗歯垢剤、例えばスズ塩、銅塩、ストロンチウム塩、マグネシウム塩又はジメチコンコポリオールを含むことができる。ジメチコンコポリオールは、C12〜C20アルキルジメチコンコポリオール及びこれらの混合物から選択される。1つの実施形態において、ジメチコンコポリオールは、商標名Abil EM90で市販されているセチルジメチコンコポリオールである。ジメチコンコポリオールは、1つの実施形態において、歯磨剤組成物の約0.001重量%〜約25重量%、別の実施形態では、約0.01重量%〜約5重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約1.5重量%の濃度で存在することができる。
【0068】
g)抗炎症剤
抗炎症剤が本発明の歯磨剤組成物に存在してもよい。このような試薬は、非限定的に非ステロイド性抗炎症(NSAID)剤、オキシカム、サリチラート、プロピオン酸、酢酸及びフェナム酸を含んでもよい。このようなNSAIDには、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ピロキシカム、ナブメトン、アスピリン、ジフルニサル、メクロフェナム酸、メフェナム酸、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、及びアセトアミノフェンが挙げられるが、これらに限定されない。ケトロラクのようなNSAIDの使用は、米国特許第5,626,838号で特許請求されている。そこで開示されているものは、NSAIDの有効量の口腔又は中咽頭への局所投与によって、口腔又は中咽頭の原発性及び再発性の扁平上皮細胞癌を予防及び/又は治療する方法である。好適なステロイド性抗炎症剤には、フルオシノロン(fluccinolone)及びヒドロコルチゾンのような副腎皮質ホルモンが挙げられる。
【0069】
h)栄養素
栄養素は、口腔の状態を改善することができ、本発明の歯磨剤組成物に含まれることができる。栄養素としては、ミネラル、ビタミン、経口栄養補給剤、経腸栄養補給剤、及びこれらの混合物が挙げられる。有用なミネラルには、カルシウム、リン、亜鉛、マンガン、カリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。ビタミンは、ミネラルと共に含まれることができるか、又は別個に使用されることもできる。好適なビタミンには、ビタミンC及びD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラ−アミノ安息香酸、バイオフラボノイド、並びにこれらの混合物が挙げられる。経口栄養補給剤には、アミノ酸、脂肪親和物質、魚油、及びこれらの混合物が挙げられる。アミノ酸には、L−トリプトファン、L−リジン、メチオニン、スレオニン、レボカルニチン又はL−カルニチン及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪親和物質には、コリン、イノシトール、ベタイン、リノール酸、リノレン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。魚油は、大量のオメガ3(N−3)多不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含む。経腸栄養補給剤には、タンパク質製品、グルコースポリマー、コーン油、ベニバナ油、中鎖トリグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。ミネラル、ビタミン、経口栄養補給剤及び経腸栄養補給剤は、Drug Facts and Comparisons(ルーズリーフ式薬剤情報サービス)、Wolters Kluer Company,St.Louis,Mo.,著作権1997,pps.3〜17及び54〜57に更に詳細に記載されている。
【0070】
i)酸化防止剤
酸化防止剤は一般に歯磨剤組成物において有用と認識されている。酸化防止剤は、Marcel Dekker,Inc.によるCadenas and Packer,The Handbook of Antioxidants,著作権1996等のテキストに開示されている。本発明に有用な酸化防止剤としては、ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、カロチノイド、ビタミンA、フラボノイド及びポリフェノール、薬草抗酸化剤、メラトニン、アミノインドール、リポ酸、並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
j)鎮痛剤及び麻酔剤
耐痛み剤又は減感剤も本発明の歯磨剤組成物に存在し得る。鎮痛剤は、意識を撹乱させることなく、又はその他の感覚様相を変えることなく、痛みの閾値を上げるように中枢的に作用することによって痛みを緩和する試薬である。そのような試薬には、塩化ストロンチウム;硝酸カリウム;フッ化ナトリウム;硝酸ナトリウム;アセトアニリド;フェナセチン;アセルトファン(acertophan);チオルファン;スピラドリン(spiradoline);アスピリン;コデイン;テバイン;レボルフェノール(levorphenol);ヒドロモルフォン;オキシモルフォン;フェナゾシン;フェンタニール;ブプレノルフィン;ブタファノール(butaphanol);ナルブフィン;ペンタゾシン;没食子のような自然の薬草;アサルム;クベビン;ガランガ;スクテラリア;両面針;及び白止を挙げることができるが、これらに限定されない。アセトアミノフェン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸トロラミン、リドカイン及びベンゾカインのような麻酔剤又は局所鎮痛剤もまた存在してもよい。これらの鎮痛活性剤は、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Volume 2,Wiley−Interscience Publishers(1992),pp.729〜737に、詳細に記載されている。
【0072】
k)H−1及びH−2拮抗物質
本発明は、また、米国特許第5,294,433号に開示されている化合物を含む、選択的なH−1及びH−2拮抗物質を任意に含んでもよい。
【0073】
l)抗ウイルス活性物質
本組成物において有用な抗ウイルス性活性物質は、ウイルス感染を治療するために通常使用される任意の既知の活性物質を含む。そのような抗ウイルス性活性物質は、Drug Facts and Comparisons,Wolters Kluer Company,1997,pp.402(a)〜407(z)に開示されている。具体的な例としては、米国特許第5,747,070号(1998年5月5日発行)に開示された抗ウイルス性活性物質が含まれる。前記特許はウイルスをコントロールするためのスズ塩の使用を開示している。スズ塩、及び他の抗ウイルス性活性物質は、Kirk & Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Third Edition,Volume 23,Wiley−lnterscience Publishers(1982),pp.42〜71に詳細が説明されている。本発明に使用し得るスズ塩には、有機スズカルボキシレート、及び無機スズハロゲン化物が含まれる。フッ化第1スズが使用され得るが、それは典型的に、別のスズハライド、又は1つ以上のスズカルボン酸塩、あるいは他の治療薬との組み合わせでのみ使用される。
【0074】
m)キレート剤
キレート剤は、細菌の細胞壁に見られるカルシウムを錯化でき、このバイオマスを完全なまま保持するのを助けるカルシウム架橋からカルシウムを除去することによって歯垢を崩壊するのを補助することができる。好適なキレート剤としては、酒石酸及びその塩、クエン酸及びアルカリ金属シトレート、可溶性ピロリン酸塩、アニオン性高分子ポリカルボキシレート、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
n)抗侵食剤
本発明の組成物は、任意に、同一出願人に譲渡された米国特許第6,685,920号に記載されるような抗侵食剤を含む。歯牙侵食とは、細菌作用により引き起こされる表面下の脱鉱質化又は虫歯に対し、過酷な研磨及び酸のような化学作用による、表面からの歯質の永久的な損失を意味する。ここに記載される抗侵食剤は、歯表面に対して親和性を有する。これらの試薬は、歯表面に結合するか、又は歯表面上に不溶性化合物又は錯体を形成するかのいずれかにより、歯表面上に保護膜又はコーティングを形成する。これらの保護コーティングの結果として、歯には、これらの試薬を含む組成物の使用後長期間にわたって歯牙侵食問題に対する顕著な抵抗性及び保護がもたらされる。有用な抗侵食剤としては、縮合リン酸化ポリマーのような高分子鉱物界面活性剤;ポリホスホネート;ポリカルボキシレート及びカルボキシ置換ポリマー;ホスフェート若しくはホスホネート含有モノマー若しくはポリマーと、エチレン性不飽和モノマー、アミノ酸、あるいはタンパク質、ポリペプチド、多糖類、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エタクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(マレエート)、ポリ(アミド)、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアセテート)、又はポリ(ビニルベンジルクロライド)から選択される他のポリマーとのコポリマー;並びにこれらの混合物が挙げられる。抗侵食剤としてまた有用なものは、スズ、亜鉛及び銅から選択される金属イオンであり、それらは、口腔用組成物の他の成分及び/又は象牙表面の構成成分と金属イオンとの反応から形成される化合物又は錯体の極めて不溶性の膜又は沈澱物を歯に堆積させる。
【0076】
o)追加の活性物質
本発明での使用に好適な追加の活性物質には、インスリン、ステロイド、天然物質、薬草及び他の植物由来治療薬を挙げることができるが、これらに限定されない。加えて、当該技術分野において既知の抗歯肉炎剤又は歯肉ケア剤も含まれてよい。歯に清涼感を付与する構成成分が任意に含まれていてもよい。これらの構成成分には、例えば、重曹又はガラスH(Glass-H)を挙げることができる。また、治療の特定の形態において、これら上記名称の試剤の組み合わせが、最適の効果を得るために有用である可能性があることが認められる。したがって、例えば、抗菌剤及び抗炎症剤は、組み合わされた有効性を提供するために単一の歯磨剤組成物に組み合わせてもよい。他の成分、例えば抗敏感性効果をもたらす物質も使用できる。
【0077】
使用される任意の試剤には、例えば米国特許第4,627,977号に記載されているような、ポリアクリレート及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えば、Gantrez)を含む合成アニオン性ポリマーとして既知の物質などが挙げられ、並びに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(polyamino propoane sulfonic acid)(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリホスフェート(例えば、トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート)、ジホスホネート(例えば、EHDP、AHP)、ポリペプチド(例えば、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸)、並びにこれらの混合物が挙げられる。更に、歯磨剤組成物は、例えば米国特許第6,682,722号及び同第6,589,512号及び米国特許出願第10/424,640号及び同第10/430,617号に記載のポリマーキャリアを含むことができる。
【0078】
2.追加の口腔キャリア
a)緩衝剤
口腔用組成物は緩衝剤を含んでもよい。本明細書で使用するとき、緩衝剤とは、口腔用組成物のpHをpH約3.0〜pH約10の範囲に調整するために用いることができる試剤を指す。緩衝剤には、水酸化アルカリ金属、水酸化アンモニウム、有機アンモニウム化合物、炭素塩、セスキ炭酸ソーダ、ボレート、シリケート、ホスフェート、イミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。具体的な緩衝剤には、モノナトリウムリン酸塩、リン酸三ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、炭酸ナトリウム、イミダゾール、ピロリン酸塩、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムが挙げられる。緩衝剤は、口腔用組成物の約0.1重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、及びより好ましくは約0.3重量%〜約3重量%の濃度で用いられる。
【0079】
b)砥粒研磨物質
砥粒研磨物質も、口腔用組成物中に含まれてよい。本発明の組成物に用いることが考えられる砥粒研磨物質は、象牙質を過度に磨耗しない任意の物質であることができる。典型的な砥粒研磨物質には、ゲル及び沈澱物を含むシリカ;アルミナ;オルトリン酸塩、ポリメタリン酸塩、及びピロリン酸塩を含むリン酸塩;及びこれらの混合物が挙げられる。具体例には、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、不溶性ポリメタリン酸ナトリウム、もみ殻シリカ、水和アルミナ、βピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、並びに尿素及びホルムアルデヒドの粒子状縮合生成物のような樹脂性砥粒物質、並びに1962年12月25日に発行された米国特許第3,070,510号でCooleyらにより開示されたような他のものが挙げられる。研磨剤の混合物も使用することができる。口腔用組成物又は特定の相が、約4以上の平均鎖長を有するポリホスフェートを含む場合には、カルシウム含有研磨剤及びアルミナは、好ましい研磨剤ではない。最も好ましい研磨剤はシリカである。
【0080】
様々な種類のシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に削らない、優れた歯の洗浄及び研磨性能という独特の効果があるために好ましい。他の研磨剤と同様に、本明細書のシリカ砥粒研磨物質は、一般に、約0.1マイクロメートル〜約30マイクロメートル、好ましくは約5マイクロメートル〜約15マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する。研磨剤は、沈殿シリカ、又は、Pader et al.の米国特許3,538,230号(1970年3月2日に発行)、及びDiGiulioの米国特許第3,862,307号(1975年1月21日に発行)で説明されているシリカゼロゲルなどのシリカゲルであり得る。Grace & Company,Davison Chemical Divisionから「Syloid」の商品名で販売されているシリカゼロゲルが好ましい。J.Huber Corporationにより商品名「Zeodent」で市販されているもののような沈降性シリカ(precipitated silica)材料、特に「Zeodent 119」の名称を有するシリカも好ましい。本発明の練り歯磨きに有用なシリカ歯科用研磨剤の種類は、Wasonの米国特許第4,340,583号(1982年7月29日発行)で詳細に説明されている。シリカ研磨剤は、Riceの米国特許第5,589,160、5,603,920、5,651,958、5,658,553、及び5,716,601号でも説明されている。本明細書に記載されている口腔用組成物中の研磨剤は、一般に、組成物の約6重量%〜約70重量%の濃度で存在する。好ましくは、口腔用組成物は、口腔用組成物の約10重量%〜約50重量%の研磨剤を含む。
【0081】
c)二酸化チタン
また二酸化チタンを本組成物に添加してもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明感を加える白色粉末である。二酸化チタンは一般に、組成物の約0.25重量%〜約5重量%を構成する。
【0082】
d)着色剤
着色剤もまた本組成物に添加されてもよい。着色剤は水溶液、好ましくは1%の着色剤水溶液の形態であってよい。顔料、パール剤(pealing agent)、充填剤粉末、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、オキシ塩化ビスマス、酸化亜鉛、及び口腔用組成物に視覚的変化を生みだすことができるその他の物質も使用できる。着色溶液及びその他の試薬は、一般に組成物の約0.01重量%〜約5重量%を構成する。
【0083】
e)風味付け構成成分
好適な風味付け構成成分としては、冬緑油、クローブバッドオイル、メントール、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、カッシア、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリオイル、オキサノン、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、桂皮、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、4−シス−ヘプテナール、ジアセチル、メチル−パラ−tert−ブチルフェニルアセテート、クランベリー、チョコレート、緑茶、及びこれらの混合物が挙げられる。冷却剤も風味剤組成物の一部であってよい。本組成物に好適な冷却剤には、パラメンタンカルボキシアミド剤、例えばN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3、WS−23、WS−5として商業的に既知である)、MGA、TK−10、フィスクール(physcool)、及びこれらの混合物が挙げられる。唾液分泌促進剤、加温剤、局部麻酔剤、及びその他の任意物質は、口腔用組成物が使用されている間に信号を伝達するために使用できる。風味剤組成物は、口腔ケア組成物にて、口腔ケア組成物の約0.001重量%〜約5重量%の濃度で通常使用される。風味剤組成物は、好ましくは約0.01重量%〜約4重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、及びより好ましくは約0.5重量%〜約2重量%の量で存在する。
【0084】
f)甘味剤
甘味剤を組成物に添加することができる。これらには、サッカリン、ブドウ糖、スクロース、ラクトース、キシリトール、マルトース、果糖、アスパルテーム、シクラミン酸ナトリウム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセスルファム、スクラロース、ネオテーム、及びこれらの混合物が挙げられる。種々の着色剤も本発明に組み込まれてよい。甘味剤は、一般に、組成物の約0.005重量%〜約5重量%の濃度で練り歯磨きに使用される。
【0085】
g)増粘剤
本発明の口腔用組成物は、ゲル網状組織によって構造化又は増粘化されるが、追加の増粘剤、例えば高分子増粘剤を利用してもよい。いくつかの実施形態において、口腔用組成物の構造化の大部分は、ゲル網状組織に由来する。別の実施形態では、構造化の大部分は、高分子増粘剤に由来してもよく、ここでゲル網状組織は、口腔用組成物に更なる構造化を提供する。
【0086】
適切な増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ラポナイト、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテルの水溶性塩である。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム、及びトラガカントゴムのような天然ゴムを使用することができる。更に質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカを増粘剤の一部として使用することができる。いくつかの好適な増粘シリカは既知であり、口腔用組成物に使用されている。増粘剤は、高分子ポリエーテル化合物、例えば、炭素原子1〜約18個を含むアルキル又はアシル基で末端保護されたポリエチレン又はポリプロピレンオキシド(M.W.300〜1,000,000)を含むことができる。
【0087】
好適な部類の増粘剤又はゲル化剤には、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル若しくはスクロースのアルキルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー、又はカルボマーの部類が挙げられる。カルボマーは、Carbopol(登録商標)シリーズとしてB.F.Goodrichから市販されている。特に、カーボポールとして、Carbopol 934、940、941、956、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0088】
ラクチド及びグリコリドモノマーのコポリマーである、約1,000〜約120,000(数平均)の範囲の分子量を有するコポリマーは、「歯肉縁下用ゲルキャリア」として歯周ポケットの中又は歯周ポケットの周りに活性物質を送達するのに有用である。これらのポリマーは、米国特許第5,198,220号、米国特許第5,242,910号及び米国特許第4,443,430号に記載されている。
【0089】
全口腔用組成物の約0重量%〜約15重量%又は約0.01重量%〜約6重量%の量、他の実施形態では、約0.1重量%〜約5重量%の増粘剤が使用され得る。口腔用組成物は、ゲル網状組織により構造化又は増粘化される場合、増粘剤を本質的に含まなくてもよい。他の実施形態では、少量の増粘剤、例えば約0.01%〜約1%又は約0.05%〜約0.5%を、ゲル網状組織と組み合わせて使用できる。増粘剤の具体的な量は、所望のレオロジー及びゲル網状組織の機能に基づいて選択される。
【0090】
h)保湿剤
保湿剤は、空気に曝される際に歯磨剤組成物が硬化するのを防ぎ、口に湿った感触を与えるのを補助することができる。ゲル網状組織中には溶媒が必要である。保湿剤又は追加の溶媒が、口腔キャリア相に添加されてよい。本発明に好適な保湿剤としては、水、食用多価アルコール、例えば、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ソルビトール、グリセリン、水、及びこれらの組み合わせが好ましい湿潤剤である。湿潤剤は、約0%〜約99%、約0.5%〜約95%、約1%〜約90%の量で存在し得る。口腔キャリア相はまた、保湿剤なしでも構成できる。典型的な高分子増粘剤の代わりに若しくは少量の高分子増粘剤と共にゲル網状組織で構造化された口腔用組成物は保湿剤を必要としない可能性があり、又は少量の保湿剤でよい可能性がある。ゲル網状組織を有する口腔用組成物は、通常、空気に曝されたときにも湿った口腔感触を与え、及び/又は乾燥しない。ゲル網状組織組成物は、義歯接着剤組成物として使用するために保湿剤又は無水物を含まなくてもよい。
【0091】
i)界面活性剤
分散界面活性剤以外の追加の界面活性剤、及び膨張界面活性剤を口腔用組成物の口腔キャリア相に添加してもよい。これは、ゲル網状組織相に添加されるのと同じ界面活性剤であっても異なる界面活性剤であってもよい。界面活性剤は、口腔用組成物の洗浄又はフォーム形成を助けることができる。好適な界面活性剤は、以前に記載されている。
【0092】
C.口腔用組成物の製造方法
本発明の1つの態様は、本発明の口腔用組成物の製造方法に関する。口腔用組成物の製造方法は、脂肪族両親媒性物質分散体からゲル網状組織を形成することを含む。ゲル網状組織形成を形成する一般的なプロセスにわたって膨張が制御又は限定されている、予め作られた脂肪族両親媒性物質分散体からゲル網状組織を形成する本方法の利点は、多数存在する。この方法により、プロセス前に脂肪族両親媒性物質のプレミックスを形成することが可能となり、更なる柔軟性が付与され、製造時間が短縮される。脂肪族両親媒性物質分散体に含まれる脂肪族両親媒性物質は、加熱が必要な口腔用組成物の唯一の部分であり、これは、分散界面活性剤を要因として、膨張界面活性剤が脂肪族両親媒性物質分散体に任意の温度で添加できるためである。このことは、加熱を必要とする材料が非常に少量のため、口腔用組成物の製造に要する総エネルギーを低減する。加えて、熱安定性でない、又は熱により悪影響を受け得る物質を製剤に添加することができる。
【0093】
脂肪族両親媒性物質分散体は、脂肪族両親媒性物質と、場合により分散界面活性剤及び溶媒とを、脂肪族両親媒性物質が乳化し得る温度、典型的には脂肪族両親媒性物質の溶解温度の少なくとも約5℃を越えて加熱することにより形成される。脂肪族両親媒性物質分散体は、脂肪族両親媒性物質の溶解温度より低温に冷却されてもよい。場合によりプロセス中の任意の時間、例えば加熱前、加熱中、又は加熱後に、口腔キャリア成分を脂肪族両親媒性物質分散体に添加してもよい。この分散体に抑制物質を添加することが望ましい場合がある。
【0094】
本発明の一実施形態では、本発明の脂肪族両親媒性物質分散体は、脂肪族両親媒性物質を、この脂肪族両親媒性物質の溶解温度を少なくとも5℃越えるレベルまで加熱することにより調製されてもよい。2種以上の脂肪族両親媒性物質が使用される場合、分散体は、最も高い溶解温度を有する脂肪族両親媒性物質の溶解温度を少なくとも5℃越えるように加熱される必要がある。脂肪族両親媒性物質は、最も高い脂肪族両親媒性物質の溶解温度を10℃越えるように加熱されることが好ましい。加熱は、約50℃〜約90℃、通常は約70℃〜約90℃の範囲であってよい。分散界面活性剤及び溶媒は、脂肪族両親媒性物質分散体の形成を可能とするように脂肪族両親媒性物質が熱い間に添加されてもよい。これらの物質は、加熱中、加熱後、冷却中、及び冷却後に混合されてもよい。混合により又は剪断の提供により、溶解した脂肪族両親媒性物質の粒径が低減される。一実施形態において、脂肪族両親媒性物質は加熱され、次いで1分間ホモジナイズされる。加熱された後、混合物を約20℃〜約35℃の範囲内のレベルまで冷却してもよい。バッチサイズ、装置、特定の材料、及び時間に応じて、脂肪族両親媒性物質分散体は、混合のみ、氷浴、又は混合物を熱交換器に通すことにより冷却されてもよい。例えば約1度/分又はそれ以上の急速な冷却により、粒径が整えられ、及び/又は粒径をよりばらつきのないものとすることができる。代替的な方法では、脂肪族両親媒性物質分散体は加熱及び形成され、この分散体が高温にある間に膨張界面活性剤及び溶媒を添加してもよい。いくつかのプロセスでは、脂肪族両親媒性物質分散体が加熱されて、容易にポンピングできる間に分散体を添加することが望ましい。所望であれば、脂肪族両親媒性物質分散体は、最終的な口腔用組成物を製造する数時間又は数日間前に作製され、保管されてもよい。
【0095】
一実施形態において、脂肪族両親媒性物質分散体は、追加の溶媒を含む残りの口腔キャリア物質に添加された後、最後に膨張界面活性剤が添加されてゲル網状組織が形成される。脂肪族両親媒性物質と膨張界面活性剤とが相互作用して、結晶性ゲル網状組織を形成する。脂肪族両親媒性物質分散体の形成中、分散体の形成後、追加の口腔キャリア物質を膨張界面活性剤と共に、及び/又は膨張界面活性剤を添加した後に添加してもよい。一般に、脂肪族両親媒性物質分散体に最初に膨張界面活性剤を添加しないことが望ましく、これは分散体の粘度がプロセスにとって高くなり、また硬くなり過ぎるためである。膨張界面活性剤は、脂肪族両親媒性物質分散体が追加の口腔キャリア物質と混合される前に分散体に添加されないことが好ましく、また脂肪族両親媒性物質分散体は膨張界面活性剤を含まないことが好ましい。膨張界面活性剤と溶媒とのプレミックスを脂肪族両親媒性物質分散体に添加してもよく、又は溶媒及び他の口腔ケア物質を最初に添加してもよい。
【0096】
脂肪族両親媒性物質、分散界面活性剤及び溶媒を、これらの構成成分を加熱する前、加熱中、又は加熱した後に、超音波処理及び/又は粉砕することにより、融解した脂肪族両親媒性物質相の粒径の更なる低減が補助されるであろう。これにより、脂肪族両親媒性物質相の表面積の増大と、粘度の低減とがもたらされる。脂肪族両親媒性物質分散体の表面積の増大も、膨張界面活性剤及び溶媒と脂肪族両親媒性物質分散体との相互作用を可能にする。ゲル網状組織の調製における他の好適な変形は、脂肪族両親媒性物質を加熱及び混合し、最初に界面活性剤を分散した後、この混合物を溶媒に加えて脂肪族両親媒性物質分散体を形成することを含む。
【0097】
ゲル網状組織は、単独で使用して口腔用組成物を構造化又は増粘化して、所望のレオロジーを提供できる。ゲル網状組織はまた、その他の増粘物質と組み合わせて使用できる。口腔用組成物のレオロジーの温度安定性を補助するために、他の高分子増粘材料が所望される場合がある。高分子増粘剤は、室温でレオロジーに寄与しても、又はしなくてもよい。ゲル網状組織は、固体及び他の粒子を浮遊させ得るレオロジーを有し、容器からの分配が容易であり、歯磨剤が分配されたら歯ブラシ頭部上に留まらせ、分配された際に糸引きが小さいか又は存在せず、口内での分散が容易であり、及び歯磨剤に所望される他のレオロジー特性を有する歯磨剤を製造するよう調製されてもよい。
【0098】
歯磨剤の粘度は、歯磨剤の包装時に測定して、一般に約5〜約100BKU、約8〜約50BKUであり、通常約10〜約50BKUである。歯磨剤の粘度は、特に高分子増粘剤が歯磨剤に含まれる場合、包装後かつ使用前に200BKUにも増大する可能性がある。本明細書で使用するとき、BKUは粘度の単位である。粘度計は、Brookfield「Heliopath」スタンドを有するBrookfield粘度計、Model 1/2 RVT(1/2バネ強度)である。スピンドルは、従来の「Eシリーズ」T型スピンドルである。粘度計はHeliopathスタンド上に配置され、アルコール水準器により水平にされる。Eスピンドルが取り付けられ、粘度計は作動中2.5RPMに設定される。粘度は1分後に測定され、温度は25℃にて一定である。歯磨剤組成物は、許容可能なレオロジー、良好な触感、満足な美しさ、及び約0.9〜約1.8の脱気比重(de-aerated specific gravity)を有すると思われ、脱気比重は約1.1〜約1.6であってもよい。
【0099】
D.使用方法
本発明の組成物は、歯を洗浄するための従来の様式にて使用される。一般に、歯を洗浄するための歯磨剤を用いる方法は、本発明の組成物を歯ブラシに適用する工程と、一定期間歯を磨く工程と、次いで口腔から歯磨剤をすすぐ工程とを含む。約0.01〜約3グラムの練り歯磨きが通常は使用される。
【0100】
非限定的な実施例
次の実施例で示される口腔用組成物は、本発明の口腔用組成物の特定の実施形態を示しているが、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者は、他の修正を実行することができる。
【0101】
口腔用組成物がこの用途の焦点となっているが、最初に脂肪族両親媒性物質分散体を形成することによるゲル網状組織の製造の2工程方法は、他の製品分野に使用されてもよい。好適な製品分野は、ゲル網状組織を含む任意の製品を含むであろう。例としては、シャンプー、コンディショナー、毛髪着色剤、柔軟仕上げ剤、織物柔軟剤、液体洗剤、手洗い食器洗浄用又は食器洗浄機用の液体食器洗い洗剤、クレンジング又は保湿、スキンケア、身体洗浄のためのパーソナルケア組成物、及び他の同様の製品が挙げられる。
【0102】
口腔用組成物の実施例
次の実施例は、ゲル網状組織を利用する口腔用組成物の具体的な実施形態を示す。
【0103】
実施例1〜5では、工程1にて脂肪族両親媒性物質分散体を形成する。工程1の材料を混合容器内で組み合わせ、混合し、約75℃〜約80℃に加熱する。脂肪族両親媒性物質のみを加熱し、その後残りの工程1の材料を添加することが望ましい可能性がある。材料をMaterials,Inc.製の750ワットビブラセル(vibra cell)超音波ホモジナイザーで1分間混合する。脂肪族両親媒性物質分散体を、混合しながら急速に約25〜30℃に冷却する。次いで、脂肪族両親媒性物質分散体を、工程2の材料に添加する。膨張界面活性剤が添加されたら、ゲル網状組織が形成される。抑制物質として風味剤を工程1で添加してもよく、工程2で添加してもよく、又は最終成分として添加して、揮発損失を最小にしてもよい。
【実施例】
【0104】
(実施例1〜4):
【表1】

【表2】

【0105】
脂肪族両親媒性物質分散体の作製から24時間後、この分散体の粘度を測定し、室温で保管した。脂肪族両親媒性物質分散体を、15%の脂肪族両親媒性物質分散体及び5%のラウリル硫酸ナトリウム溶液で水中に配置した際の粘度も24時間後に測定した。本明細書で使用するとき、cpsは粘度の単位である。粘度計は、Brookfield「Heliopath」スタンドを有するBrookfield粘度計、Model 1/2 RVT(1/2バネ強度)である。スピンドルは、従来の「Eシリーズ」T型スピンドルである。粘度計はHeliopathスタンド上に配置され、アルコール水準器により水平にされる。Eスピンドルが取り付けられ、粘度計は作動中2.5RPMに設定される。粘度は30秒後に測定され、温度は25℃にて一定である。
【表3】

【0106】
他の実施例において、濃縮歯磨剤が形成されてもよい。濃縮歯磨剤はゲル網状組織によって構造化される。パッケージ化された後、溶媒、好ましくは水を濃縮歯磨剤に添加して、通常濃度の活性物質及び歯磨き用のレオロジーを有する歯磨剤を形成できる。所定の製剤において、ゲル網状組織により構造化された口腔ケア組成物は、過剰量の水又は他の溶媒で希釈された際に、均質な構造を維持する。これは、通常の高分子増粘化口腔用組成物とは対照的である。濃縮歯磨剤は、通常の歯磨剤組成物よりも2倍、3倍、4倍、5倍又はそれ以上の量の活性物質又は固形物質を含むように配合できる。濃縮歯磨剤は使用前又は使用中に希釈できる。
【0107】
口腔用組成物には1を超えるゲル網状組織組成物が使用できる。2以上のゲル網状組織組成物が、口腔用組成物を構造化するために使用できる。あるいは、1つのゲル網状組織組成物を口腔用組成物の構造化のために使用でき、風味剤のような物質の送達を助けるために第2のゲル網状組織を使用できる。2以上のゲル網状組織組成物は、縞又はマルチカラー製品といった特定の外観を達成するために所望される場合もある。色安定性を与え、風味を送達し、又は非相溶性物質を組み込むために、口腔用ケア組成物に1以上のゲル網状組織組成物を有するのが望ましい場合がある。ゲル網状組織組成物はまた、風味剤若しくは冷却剤又は種々の風味を示すための他の大きな有機物質を封鎖するのに役立ち得る。ゲル網状組織組成物はまた、カチオン性、アニオン性、親水性、疎水性、不溶性、又は可溶性物質、あるいはこれらの組み合わせの送達を助けることもできる。これは、非相溶性物質を送達するのに有益な場合がある。ゲル網状組織組成物はまた、活性物質、風味剤のような物質、又は審美的理由若しくはその他の利益のための他の物質の送達、放出、又は長期送達という目的にも役立ち得る。
【0108】
分析方法及び実施例
次の方法はゲル網状組織を同定するために使用される。
【0109】
示差走査熱量計方法
1以上の脂肪族両親媒性物質を含むゲル網状組織中の層の鎖融解温度(すなわち、ゲル網状組織の融解転移温度)は、次の方法に従い、示差走査熱量計を使用して得ることができる。TA Instruments Q100 DSCを利用して、およそ50mgのゲル網状組織プレミックス、又はゲル網状組織を含む最終口腔用組成物を、ステンレス鋼高容量DSCパン内に入れる。空の参照パンと共に、試料を機器に入れる。試料は、以下の条件/温度プログラムを用いて分析される:窒素パージ、温度を等温が2分間得られるまで5.00℃で均衡化する。3.00℃/分の速度で90.00℃まで温度を上昇させる。各試料を、二重に分析する。TA Instruments Universal Analysis Softwareを使用して、得られたDSCデータを分析する。
【0110】
ゲル網状組織に関する溶解転移温度(melt transition temperature)の測定のためのDSCの使用は、T.de Vringer et al.,Colloid and Polymer Science,vol.265,448〜457(1987)、及びH.M.Ribeiro et al.,Intl.J.of Cosmetic Science,vol.26,47〜59(2004)により更に記載されている。
【0111】
X線分析方法
中間相における周期構造を決定するために使用される小角X線散乱(「SAXS」)は、本質的にX線回折技術である。これは、ミセル、ゲル網状組織、層状、六方及び立方液晶のような凝集構造を特徴付けるために、従来の広角X線回折(「WXRD」)と連動して使用される。周期構造を示す異なる中間相は、ブラッグ方程式(d=λ/2Sinθ)(式中、dは面間間隔を表し、λは放射波長を表し、及びθは散乱(回折)角を表す)に由来する、それらの反射の相対位置(d−間隔)によって特徴付けることができる。
【0112】
一次元層状ゲル網状組織相は、SAXS領域(長距離秩序)において1:2:3:4:5等の値を有する面間間隔d/d、d/d、d/d3、/d、d/dの比と、広範のハローバックグラウンドに渡る3.5及び4.5Åを中心とするWXRD領域(短距離)における1つ又は2つの不変反射により特徴付けられる。他の中間相(例えば、六方晶系又は立方晶系)は、特徴的に異なるd−間隔比を有するであろう。
【0113】
WXRDデータは、イメージプレート位置敏感型検出器を備えるStoe STADI−P回折装置にて、透過モード(transmission mode)で収集される。被検査物を試料ホルダー内の2つのMylarフィルム間に配置し、X線ビームの経路内に配置する。IP検出器は、約120°2θの立体角を有し、同時に、回折X線ビームを記録する。データを収集し、XPOWソフトウェアを使用して分析する。
【0114】
SAXSデータは、Bruker−AXSからのHI−STAR2次元領域検出器を備える高精度焦点フィラメントを有するRigaku回転アノード発生器上で収集される。設備は、被検査物を収容し、空気散乱を減らすために検出器に通じる真空管と結合する空のチャンバーを有する。被検査物試料ホルダーは、流体様物質を保持し、X線ビームを透過するために、小さな長方形の空洞を有する銅板からなる。空洞への開口部は、真空下で漏電フリーの環境を提供するために、カプトン(kapton)ウインドウで封止される。2−Dデータは、方位角的に集積され、Igorプラットホーム上でGADDSソフトウェア及び既知の技術を実行する内蔵ソフトウェアモジュールの組み合わせにより、強度−対−散乱ベクトル(q)又はそのd相当物に分析される。
【0115】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0116】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0117】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔用組成物の製造方法であって、
a)脂肪族両親媒性物質分散体を調製する工程であって、
i)鎖融解温度を有する脂肪族両親媒性物質、分散界面活性剤及び溶媒を提供する工程、並びに
ii)前記脂肪族両親媒性物質を、前記脂肪族両親媒性物質が乳化して分散界面活性剤及び溶媒と共に脂肪族両親媒性物質分散体を形成するのに十分な温度に加熱する工程、を含む工程と、
b)前記脂肪族両親媒性物質分散体を膨張界面活性剤に添加してゲル網状組織を形成する工程と、
c)工程a)内、工程a)の後の工程b)内、及び/又は工程b)の後において、口腔キャリア物質を添加する工程と、
を含む、口腔用組成物の製造方法。
【請求項2】
前記ゲル網状組織が、前記膨張界面活性剤が添加されるまでは脂肪族両親媒性物質分散体中に形成されない、請求項1に記載の口腔用組成物の製造方法。
【請求項3】
前記脂肪族両親媒性物質分散体が、工程b)において膨張界面活性剤と混合される前に、前記脂肪族両親媒性物質の鎖融解温度より低温に冷却される、請求項1又は2に記載の口腔用組成物の製造方法。
【請求項4】
前記脂肪族両親媒性物質分散体に前記膨張界面活性剤を添加する前に、いくつかの口腔キャリアが前記脂肪族両親媒性物質分散体に組み合わされる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の口腔用組成物の製造方法。
【請求項5】
工程a)の後にいくつかの口腔キャリアが添加される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記脂肪族両親媒性物質分散体に抑制物質が添加される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記脂肪族両親媒性物質分散体が調製された後、前記口腔用組成物の調製中に更なる加熱が起こらない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の歯磨剤組成物の製造方法であって、
a)前記脂肪族両親媒性物質分散体が、
i)セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上の脂肪族両親媒性物質と、
ii)セチルヒドロキシルエチルセルロース、ラウリルカルバミン酸イヌリン、ブチル化ポリビニルピロリドン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上の分散界面活性剤と、
iii)1種以上の溶媒と、
iv)任意選択で、抑制物質と、
を含み、加熱及び混合により形成される、製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の歯磨剤組成物の製造方法であって、
i)前記1種以上の脂肪族両親媒性物質が、脂肪族両親媒性物質分散体の15重量%〜60重量%の量で存在し、
ii)前記1種以上の分散界面活性剤が、脂肪族両親媒性物質分散体の0.05重量%〜5重量%の量で存在し、
iii)前記1種以上の溶媒が、脂肪族両親媒性物質分散体の35重量%〜80重量%の量で存在し、
iv)前記抑制物質が、脂肪族両親媒性物質分散体の0重量%〜10重量%の量で存在する、製造方法。

【公表番号】特表2011−515492(P2011−515492A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502050(P2011−502050)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/038379
【国際公開番号】WO2009/120854
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】