説明

ゲージ及び希釈液調整方法

【課題】循環使用によって消費した希釈液を補充する際に、補充後の希釈液を簡単な作業で確実に所望の濃度に設定可能にする。
【解決手段】ゲージ1は、表示面4を有するスケール2と、スケール2に横方向にスライド移動自在に支持され、表示面4を覆うカバー部5を有するカーソル3とを備える。原液補給前の複数の希釈液量Pはカーソル3の複数のスライド位置にそれぞれ対応して設定され、カバー部5は縦方向に並ぶ複数の原液補給量表示領域12を含む原液補給量表示窓11を有する。カバー部5の外面には原液補給前の濃度値Qが各原液補給量表示領域12に対応して表示されている。カーソル3が各スライド位置に設定されたとき、そのスライド位置の希釈液量Pに対応する原液補給量Rが各濃度値Qに対応して外部から視認可能に各原液補給量表示領域12内に配置されるように、各原液補給量Rの値がスケール2の表示面4に表示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原液を水で希釈した希釈液を所定濃度に設定するために補給する原液の量を読み取り可能なゲージ及びこのゲージを用いた希釈液調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10−29132号公報には、第1の入口から供給された水流に応じて第2の入口から切削油の原液を吸引し、これら水と切削油の原液とを混合して所定濃度の水溶性切削液を生成する混合バルブ装置と、混合バルブ装置が生成した水溶性切削液を貯蔵する貯留タンクとを備え、貯蔵タンクから複数の工作機械の夫々のタンクに水溶性切削液を供給する供給システムが記載されている。複数の工作機械は、それぞれタンク内の切削液を循環使用することにより切削液が消費されると、貯蔵タンクから各工作機械のタンクへ所定濃度の切削液が供給される。
【0003】
【特許文献1】特開平10−29132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、各工作機械では、切削液を循環使用する際の状況(例えば、切削液の水成分の蒸発量や切り屑などとともに持ち出される切削液の廃棄量など)が相違する。このため、長時間継続して切削液を循環使用すると、切削液の濃度が初期状態から変化し、各工作機械のタンク間で濃度が相違してくる。従って、上記従来の供給システムのように全ての工作機械のタンクに対して同じ濃度の切削液を補充すると、各工作機械のタンク間で切削液の濃度が相違し、適正な初期濃度から乖離してしまう可能性が生じる。
【0005】
また、上記不都合は、各工作機械のタンクにおいて、別々に切削液の濃度を調整することによって解消することが可能であるが、この場合、各タンクに水及び原液を補充する際に、加える水及び/又は原液の量を都度計算しなければならず、作業が煩雑である。
【0006】
そこで、本発明は、循環使用によって消費した希釈液を補充する際に、補充後の希釈液を簡単な作業で確実に所望の濃度に設定することが可能なゲージ及び希釈液調整方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明に係るゲージは、原液を水で希釈した希釈液を所定濃度に設定するために補給する原液の量を読み取り可能なゲージであって、表示面を有するスケールと、スケールに対して第1の方向に沿ってスライド移動自在に支持され、表示面を覆うカバー部を有するカーソルと、を備える。
【0008】
原液補給前の複数の希釈液量は、スケールに対するカーソルの複数のスライド位置にそれぞれ対応して設定される。スケールとカーソルとは、カーソルが複数のスライド位置の任意の一つに設定されているとき、当該一つのスライド位置に対応する希釈液量を視認可能に表す希釈液量表示部を有する。カーソルのカバー部は、第1の方向と交叉する第2の方向に沿って並ぶ複数の原液補給量表示領域を含む原液補給量表示窓を有する。カーソルのカバー部の外面には、原液補給前の希釈液の複数の濃度値が複数の原液補給量表示領域にそれぞれ対応して表示されている。カーソルが複数のスライド位置にそれぞれ設定されたとき、当該設定されたスライド位置の希釈液量に対して補給すべき原液の補給量が、複数の濃度値にそれぞれ対応して外部から視認可能に原液補給量表示領域内に配置されるように、原液の補給量を示す複数の数値がスケールの表示面に表示されている。
【0009】
希釈液量表示部は、スケールの表示面に表示された指標と、カーソルのカバー部に設けられて第1の方向に沿って延びる指標表示窓と、カーソルのカバー部の外面の指標表示窓の近傍に表示された複数の希釈液量の値と、を備えてもよい。指標は、スライド位置の変更に応じて指標表示窓内を第1の方向に沿って移動するとともに、各スライド位置において複数の希釈液量の値の一つを示す。
【0010】
また、本発明に係る希釈液調整方法は、上記ゲージを用いて希釈液を所定濃度に設定する希釈液調整方法であり、所定の希釈液量となるまで希釈液に水を加え、水を加えた後の希釈液の濃度を測定し、カーソルに表示された複数の濃度値の中から測定した濃度に対応する濃度値を決定し、スケールに対するカーソルのスライド位置を所定の希釈液量に対応する位置に設定し、決定した濃度値に対応する原液の補給量の数値をゲージから読み取り、読み取った補給量の原液を希釈液に加えるものである。
【0011】
上記構成及び上記方法では、循環使用によって消費したタンク内の希釈液を補充する際に、作業者は、所定の希釈液量となるまでタンク内の希釈液に水を加え、水を加えた後の希釈液の濃度を測定し、測定した濃度に対応する濃度値をカーソルに表示された複数の濃度値の中から決定し、スケールに対するカーソルのスライド位置を所定の希釈液量に対応する位置に設定し、決定した濃度値に対応する原液の補給量の数値をゲージから読み取り、読み取った補給量の原液をタンク内の希釈液に加えればよい。すなわち、タンク内に水を加えて濃度を測定した後、加える原液の補給量を都度計算して求めることなく、ゲージから原液の補給量を読み取ればよいので、簡単な作業によって補充後の希釈液を確実に所望の濃度に設定することができる。
【0012】
なお、希釈液の適正濃度が相違する複数のタンクのそれぞれに対して希釈液の補充を行う場合には、各適正濃度に対応した原液の補給量の数値が表示されたスケールを備えた複数のゲージを用意しておけばよい。また、この場合、カーソルとスケールとを着脱自在に構成し、スケールのみを複数用意し、カーソルを共用してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、循環使用によって消費した希釈液を補充する際に、補充後の希釈液を簡単な作業で確実に所望の濃度に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係るゲージを示す正面図、図2は図1のゲージの分解正面図、図3は図1のゲージのIII−III方向矢視断面図、図4は図1のゲージを用いた希釈液調整方法の説明図である。
【0015】
本実施形態のゲージ1は、複数の工作機械の各々のタンクに貯留された水溶性の切削液(希釈液)を、所定の適正濃度(本実施形態では3%)に設定する際に使用される。各タンク内の希釈液は、各工作機械で循環使用され、その循環使用に伴う蒸発や廃棄等によって徐々に減少する。希釈液が減少すると、作業者は、各タンクに減少分に応じて希釈液を補充する。この切削液の補充に際し、作業者は、所定の希釈液量となるまでタンク内の希釈液に水を加え、水を加えた後の希釈液の濃度を測定し、測定した濃度を所定の適正濃度にするために必要な原液の量(補給量)をゲージ1を使って求め、求めた補給量の原液をタンク内の希釈液に加える。
【0016】
図1〜図3に示すように、本実施形態に係るゲージ1は、スケール2とカーソル3とを備える。
【0017】
スケール2は、表示面4を有する横長状の矩形薄板体である。カーソル3は、矩形薄板状のカバー部5と、カバー部5の裏面側から突出してスケール2の長手方向の縁部6と係合する断面略L状の係合部7とを有する。縁部6と係合部7との係合により、カーソル3は、スケール2に対して横方向(第1の方向、図1中矢印X方向)に沿ってスライド移動自在に支持され、かかる状態で、カバー部5は、表示面4を部分的に覆う。カバー部5の外面には、希釈液を何れの適正濃度に調整するためのゲージ1であるかを示す文字17(本実施形態では「3%用」の文字)が表示されている。
【0018】
原液を補給する前の希釈液量Pは、スケール2に対するカーソル3の複数のスライド位置(本実施形態では10箇所のスライド位置)にそれぞれ対応するように設定されている。スケール2の表示面4には指標8が表示され、カーソル3のカバー部5には横方向に沿って直線状に延びる指標表示窓9が形成され、カバー部5の外面の指標表示窓9の縦方向両側近傍には、複数の希釈液量Pの値が、「100」〜「1000」(単位:L(リッタ))まで、100L毎に、「タンク規定量目盛」として表示されている。指標8は、スケール2に対するカーソル3のスライド位置の変更に応じて指標表示窓9内を横方向に沿って移動し、各スライド位置において複数の希釈液量Pの値の一つを示す。すなわち、指標8と指標表示窓9と希釈液量Pの値とは、カーソル3が複数のスライド位置の任意の一つに設定されているとき、当該一つのスライド位置に対応する希釈液量Pを視認可能に表す希釈液量表示部として機能する。
【0019】
カーソル3のカバー部5には、横方向と交叉する縦方向(第2の方向)に沿った直線状の原液補給量表示窓11が形成されている。この原液補給量表示窓11は、縦方向に並ぶ複数(本実施形態では5箇所)の原液補給量表示領域12を含む。カーソル3のカバー部5の外面には、原液補給前の希釈液の複数の濃度値Qが、「0.5」〜「2.5」(単位:%)まで、0.5%毎に、複数の原液補給量表示領域12にそれぞれ対応して、「水補給後濃度」として表示されている。カーソル3が複数のスライド位置にそれぞれ設定されたとき、当該設定されたスライド位置の希釈液量Pに対して補給すべき原液の量(原液補給量)Rが、複数の濃度値(原液補給前の濃度値)Qにそれぞれ対応して外部から視認可能に原液補給量表示領域12内に配置されるように、原液補給量Rを表す複数の数値がスケール2の表示面4に表示されている。例えば、指標8を「100」(L)に合わせると(希釈液量Pが100Lであると)、「0.5」、「1」、「1.5」、「2」、及び「2.5」という各濃度値Q(%)にそれぞれ対応して、「2.5」、「2」、「1.5」、「1」、及び「0.5」という原液補給量Rの値(L)が原液補給量表示窓11内に縦方向に並んで表示され、指標8を「200」(L)に合わせると(希釈液量Pが200Lであると)、「5」、「4」、「3」、「2」、及び「1」という原液補給量Rの値(L)が原液補給量表示窓11内に縦方向に並んで表示され、指標8を「300」(L)に合わせると(希釈液量Pが300Lであると)、「7.5」、「6」、「4.5」、「3」、及び「1.5」という原液補給量Rの値(L)が原液補給量表示窓11内に縦方向に並んで表示され、以下同様に、指標8を「400」(L)、「500」(L)、・・・「900」(L)、「1000」(L)に順次合わせると、「0.5」、「1」、「1.5」、「2」、及び「2.5」という各濃度値Q(%)にそれぞれ対応した原液補給量Rの値(L)が原液補給量表示窓11内に縦方向に並んで表示される。原液補給量Rは、原液補給量R(L)=希釈液量P(L)×(適正濃度(%)−原液補給前の濃度値Q(%))/100に従って算出される値である。
【0020】
また、カーソル3のカバー部5には、縦方向に沿った直線状の含有原液量表示窓14が形成されている。この含有原液量表示窓14は、縦方向に並ぶ複数(本実施形態では5箇所)の含有原液量表示領域15を含み、各含有原液量表示領域15は、原液補給前の希釈液の複数の濃度値Qにそれぞれ対応している。カーソル3が複数のスライド位置にそれぞれ設定されたとき、当該設定されたスライド位置の希釈液量Pに既に含まれている原液の量(含有原液量)Sが、複数の濃度値(原液補給前の濃度値)Qにそれぞれ対応して外部から視認可能に含有原液量表示領域15内に配置されるように、含有原液量Sを表す複数の数値がスケール2の表示面4に表示されている。例えば、指標8を「100」(L)に合わせると(希釈液量Pが100Lであると)、「0.5」、「1」、「1.5」、「2」、及び「2.5」という各濃度値Q(%)にそれぞれ対応して、「0.5」、「1.0」、「1.5」、「2.0」、及び「2.5」という含有原液量Sの値(L)が含有原液量表示窓14内に縦方向に並んで表示され、指標8を「200」(L)に合わせると(希釈液量Pが200Lであると)、「1.0」、「2.0」、「3.0」、「4.0」、及び「5.0」という含有原液量Sの値(L)が含有原液量表示窓14内に縦方向に並んで表示され、指標8を「300」(L)に合わせると(希釈液量Pが300Lであると)、「1.5」、「3.0」、「4.5」、「6.0」、及び「7.5」という含有原液量Sの値(L)が含有原液量表示窓14内に縦方向に並んで表示され、以下同様に、指標8を「400」(L)、「500」(L)、・・・「900」(L)、「1000」(L)に順次合わせると、「0.5」、「1」、「1.5」、「2」、及び「2.5」という各濃度値Q(%)にそれぞれ対応した含有原液量Sの値(L)が含有原液量表示窓14内に縦方向に並んで表示される。含有原液量Sは、含有原液量S(L)=希釈液量P(L)×原液補給前の濃度値Q(%)/100に従って算出される値である。
【0021】
さらに、カーソル3のカバー部5には、規定濃度原液必要量表示窓16が形成されている。カーソル3が複数のスライド位置にそれぞれ設定されたとき、当該設定されたスライド位置の希釈液量Pの希釈液が規定濃度(適正濃度)であるときに含まれる原液の量(規定濃度原液必要量)Tが、外部から視認可能に規定濃度原液必要量表示窓16内に配置されるように、規定濃度原液必要量Tを表す複数の数値がスケール2の表示面4に表示されている。例えば、指標8を「100」(L)に合わせると(希釈液量Pが100Lであると)、「3」という規定濃度原液必要量Tの値(L)が規定濃度原液必要量表示窓16内に表示され、指標8を「200」(L)に合わせると(希釈液量Pが200Lであると)、「6」という規定濃度原液必要量Tの値(L)が規定濃度原液必要量表示窓16内に表示され、指標8を「300」(L)に合わせると(希釈液量Pが300Lであると)、「9」という規定濃度原液必要量Tの値(L)が規定濃度原液必要量表示窓16内に表示され、以下同様に、指標8を「400」(L)、「500」(L)、・・・「900」(L)、「1000」(L)に順次合わせると、「12」、「15」、・・・「27」、「30」という規定濃度原液必要量Tの値(L)が規定濃度原液必要量表示窓16内に順次表示される。規定濃度原液必要量Tは、規定濃度原液必要量T(L)=希釈液量P(L)×適正濃度(%)/100に従って算出される値であり、各濃度値Q(%)に対応する原液補給量Rと含有原液量Sとを加算すると、規定濃度原液必要量Tとなる。
【0022】
なお、本実施形態では、指標8と指標表示窓9と希釈液量Pの値とによって希釈液量表示部を構成したが、例えば、カーソル3に希釈液量表示窓と形成し、カーソル3が複数のスライド位置の任意の一つに設定されているとき、当該一つのスライド位置に対応する希釈液量Pが希釈液量表示窓内に配置されるように、複数の希釈液量Pの値をスケール2の表示面4に表示する等、他の希釈液量表示部を採用してもよい。
【0023】
また、希釈液の適正濃度が相違する複数のタンクのそれぞれに対して希釈液の補充を行う場合には、各適正濃度に対応した原液補給量Rの値が表示されたスケール2を備えた複数のゲージ1を用意しておけばよい。この場合、カーソル3とスケール2とを着脱自在に構成し、スケール2のみを複数用意し、各スケール2の表示面4に希釈液を何れの適正濃度に調整するためのゲージ1であるかを示す文字を表示して、カーソル3を共用してもよい。
【0024】
次に、上記ゲージ1を使用した希釈液調整方法の一例について、図4を参照して説明する。
【0025】
この例では、4台の工作機械の各タンク10A〜10Dの容量(所定の希釈液量)は、それぞれ100L、300L、500L、800Lであり、各工作機械における希釈液の適正濃度は、全て3%である。各タンク10A〜10D内の希釈液の初期濃度は、適正濃度(3%)に設定され、各工作機械の稼働に伴って、各タンク10A〜10D内の希釈液が循環使用される。
【0026】
希釈液を長期に亘って循環使用すると、蒸発や廃棄等によって各タンク10A〜10D内の希釈液が減少する。循環使用による減少後の希釈液の量及び濃度(使用濃度)は、各工作機械によって相違する。この例では、各タンク10A〜10Dの各使用濃度が、タンク10Aでは5%、タンク10Bでは6%、タンク10Cでは3%、タンク10Dでは2.5%となった場合を示している。
【0027】
各タンク10A〜10D内の希釈液が減少すると、作業者は、各タンク10A〜10Dに減少分に応じて希釈液を補充する。この切削液の補充に際し、作業者は、まず、所定の希釈液量となるまで各タンク10A〜10D内の希釈液に水を加える。すなわち、タンク10Aでは100L、タンク10Bでは300L、タンク10Cでは500L、タンク10Dでは800Lになるまで、水を加える。
【0028】
次に、作業者は、水を加えた後の希釈液の濃度(希釈濃度)をそれぞれ測定する。この例では、各タンク10A〜10Dの各希釈濃度が、タンク10Aでは2.5%、タンク10Bでは3%、タンク10Cでは2%、タンク10Dでは1.5%であった場合を示している。
【0029】
次に、測定した濃度を所定の適正濃度(3%)にするために必要な原液の量(補給量)をゲージ1を使って求め、求めた補給量の原液を各タンク10A〜10D内の希釈液に加える。
【0030】
例えば、タンク10Aの場合には、カーソル3に表示された希釈液量Pの100(L)の位置にスケール2の指標8が合うように、スケール2に対するカーソル3のスライド位置を設定し、測定した希釈濃度が2.5%であるため、濃度値Q=2.5%に対応する原液補給量Rの数値(0.5(L))をゲージ1の原液補給量表示窓11内から読み取り、読み取った補給量(0.5(L))の原液を希釈液に加える。同様に、タンク10Cの場合には、カーソル3に表示された希釈液量Pの500(L)の位置にスケール2の指標8が合うように、スケール2に対するカーソル3のスライド位置を設定し、測定した希釈濃度が2%であるため、濃度値Q=2.0%に対応する原液補給量Rの数値(5(L))をゲージ1の原液補給量表示窓11内から読み取り、読み取った補給量(5(L))の原液を希釈液に加え、タンク10Dの場合には、カーソル3に表示された希釈液量Pの800(L)の位置にスケール2の指標8が合うように、スケール2に対するカーソル3のスライド位置を設定し、測定した希釈濃度が1.5%であるため、濃度値Q=1.0%に対応する原液補給量Rの数値(12(L))をゲージ1の原液補給量表示窓11内から読み取り、読み取った補給量(12(L))の原液を希釈液に加える。なお、タンク10Bの場合には、測定した希釈濃度が適正濃度である3%であるため、希釈液に原液を加える必要はない。
【0031】
また、測定した希釈濃度が、表示された濃度値Qと一致していない場合には、測定した希釈濃度に最も近い濃度値Qを用いてもよい。また、測定した希釈濃度が、表示された2つの濃度値Qの間である場合、その2つの濃度値Qにそれぞれ対応する2つ原液補給量Rの間の値を比例配分等によって用いてもよい。例えば、上記例において、タンク10Aの希釈濃度が0.8%であった場合、濃度値Q=1.0%に対応する原液補給量Rの数値(2(L))を用いてもよく、また、濃度値Q=0.5%に対応する原液補給量Rの数値(2.5(L))と濃度値Q=1.0%に対応する原液補給量Rの数値(2(L))とを比例配分した数値(2.3(L))を用いてもよい。
【0032】
このように、本実施形態では、循環使用によって消費したタンク10A〜10D内の希釈液を補充する際に、作業者は、所定の希釈液量となるまでタンク10A〜10D内の希釈液に水を加え、水を加えた後の希釈液の濃度(希釈濃度)を測定し、指標8を所定の希釈液量Pに合わせることによってスケール2に対するカーソル3のスライド位置を設定し、濃度値Q(希釈濃度)に対応する原液補給量Rの数値をゲージ1から読み取り、読み取った補給量の原液をタンク10A〜10D内の希釈液に加えればよい。すなわち、タンク10A〜10D内に水を加えて濃度を測定した後、加える原液の補給量を都度計算して求めることなく、ゲージ1から原液の補給量を読み取ればよいので、簡単な作業によって補充後の希釈液を確実に所望の濃度に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のゲージ及び希釈液調整方法は、原液を水で希釈した希釈液に原液を加えて所定濃度に設定する作業において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲージを示す正面図である。
【図2】図1のゲージの分解正面図である。
【図3】図1のゲージのIII−III方向矢視断面図である。
【図4】図1のゲージを用いた希釈液調整方法の説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1:ゲージ
2:スケール
3:カーソル
4:表示面
5:カバー部
8:指標(希釈液量表示部)
9:指標表示窓(希釈液量表示部)
11:原液補給量表示窓
12:原液補給量表示領域
P:原液補給前の希釈液量
Q:原液補給前の希釈液の濃度値(希釈濃度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液を水で希釈した希釈液を所定濃度に設定するために補給する原液の量を読み取り可能なゲージであって、
表示面を有するスケールと、
前記スケールに対して第1の方向に沿ってスライド移動自在に支持され、前記表示面を覆うカバー部を有するカーソルと、を備え、
原液補給前の複数の希釈液量が、前記スケールに対する前記カーソルの複数のスライド位置にそれぞれ対応して設定され、
前記スケールと前記カーソルとは、前記カーソルが前記複数のスライド位置の任意の一つに設定されているとき、当該一つのスライド位置に対応する希釈液量を視認可能に表す希釈液量表示部を有し、
前記カーソルのカバー部は、前記第1の方向と交叉する第2の方向に沿って並ぶ複数の原液補給量表示領域を含む原液補給量表示窓を有し、
前記カーソルのカバー部の外面には、原液補給前の希釈液の複数の濃度値が前記複数の原液補給量表示領域にそれぞれ対応して表示され、
前記カーソルが前記複数のスライド位置にそれぞれ設定されたとき、当該設定されたスライド位置の希釈液量に対して補給すべき原液の補給量が、前記複数の濃度値にそれぞれ対応して外部から視認可能に前記原液補給量表示領域内に配置されるように、前記補給量を示す複数の数値が前記スケールの表示面に表示されている
ことを特徴とするゲージ。
【請求項2】
請求項1に記載のゲージを用いて希釈液を前記所定濃度に設定する希釈液調整方法であって、
所定の希釈液量となるまで希釈液に水を加え、
水を加えた後の希釈液の濃度を測定し、
前記カーソルに表示された複数の濃度値の中から前記測定した濃度に対応する濃度値を決定し、
前記スケールに対する前記カーソルのスライド位置を前記所定の希釈液量に対応する位置に設定し、前記決定した濃度値に対応する原液の補給量の数値を前記ゲージから読み取り、
前記読み取った補給量の原液を前記希釈液に加える
ことを特徴とする希釈液調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−202253(P2009−202253A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45033(P2008−45033)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】