説明

ゲートウェイ装置及び被制御機器

【課題】ネットワークに複数のコントローラが接続している場合、コントローラに表示される被制御機器の状態を同期させる。
【解決手段】ゲートウェイ装置10は、被制御機器30からの制御要求を受信したとき、制御要求が示す要求内容でコントロール値を更新し、全てのコントローラ20は、更新されたコントロール値を被制御機器30の状態として表示する。ゲートウェイ装置10は、被制御機器30から制御成功応答を受信したとき、制御成功応答が示す状態でカレント値を更新する。また、ゲートウェイ装置10は、被制御機器30から制御失敗応答を受信したとき、制御失敗応答に対する制御要求を保持していない場合、カレント値を用いてコントロール値を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコントローラが接続されたゲートウェイ装置及び被制御機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、制御系ネットワークに接続された業務系機器と、情報系ネットワークに接続されたゲートウェイ装置管理サーバとの間に、プロトコル変換を行うゲートウェイ装置コントローラを接続し、ゲートウェイ装置管理サーバが業務系機器を遠隔監視制御する管理運用システムが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、従来、管理側ネットワークと、照明や防犯などのシステムを自動制御するサブシステム側ネットワークとを接続する装置が、それぞれのネットワークに接続される機器がアクセスできる記憶装置を備えることによって、異なるネットワーク間の接続を実現することができるマルチプロトコルゲートウェイが知られている(特許文献2)。また、ゲートウェイ装置は、被制御機器に関して、二種類のデータを保持することによって、異なるネットワークに接続する機器間の通信を可能としてきた。
【特許文献1】特開2002−215222号公報
【特許文献2】特開2003−198590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、ネットワークに接続されているコントローラが、被制御機器を制御して、被制御機器の状態を変更した場合、ネットワークに接続しているその他のコントローラへ、この状態の変更が通知されていなかった。また、ネットワークに接続されているコントローラが、被制御機器の制御に失敗した場合や、被制御機器の状態を参照した場合についても、他のコントローラへ該当する被制御機器の最新状態を通知することがなされていなかった。
【0005】
ここで、被制御機器の状態が、被制御機器のリモコンにより変化された場合、又は被制御機器自身により変化された場合、常にリモコンへ被制御機器の状態の変化を通知することも考えられる。
【0006】
しかしながら、こうすると、ユーザがリモコンにより機器の制御を実行している場合、ユーザが選択した状態と異なる状態が、リモコンの制御画面へ表示され、ユーザが再度リモコンを操作するというように、ユーザに多大なストレスを与えると共に、リモコンから制御要求が再度送信される可能性が高まり、ネットワークに多大な負荷がかかってしまう。
【0007】
すなわち、ユーザにストレスを与えることなく、複数のコントローラに表示される被制御機器の状態の同期を図ることは、非常に困難なことであった。
【0008】
本発明の目的は、ネットワークに接続される全てのコントローラに表示される被制御機器の状態の同期を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるゲートウェイ装置は、コントローラと、前記コントローラによって制御される被制御機器とに接続されるゲートウェイ装置であって、前記コントローラから前記被制御機器を所定の状態に変更するために送信される制御要求を保持する要求データ管理手段と、前記被制御機器の状態として、前記コントローラへ公開するためのコントロール値と、前記被制御機器から送信されるデータに基づいて更新され、被制御機器の実際の状態を示すカレント値とを保持する機器状態保持手段と、前記コントローラから制御要求受信時に、受信した制御要求の送信先の被制御機器のコントロール値を、受信した制御要求が要求する状態で更新する機器管理手段と、前記機器管理手段によりコントロール値が更新されたとき、その更新を通知するための更新通知を全てのコントローラに送信する更新通知手段とを備えることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
また、本発明による被制御機器は、ネットワークを介して接続されるコントローラによって制御される被制御機器であって、前記コントローラから前記被制御機器を所定の状態に変更するために送信される制御要求を保持する要求データ管理手段と、前記被制御機器の状態として、前記コントローラへ公開するためのコントロール値と、前記被制御機器から送信されるデータに基づいて更新されるカレント値とを保持する機器状態保持手段と、前記コントローラから制御要求受信時に、受信した制御要求の送信先の被制御機器のコントロール値を、受信した制御要求が示す状態で更新する機器管理手段と、前記機器管理手段によりコントロール値が更新されたとき、その更新を通知するための更新通知を全てのコントローラに送信する更新通知手段とを備えることを特徴とする(請求項13)。
【0011】
これらの構成によれば、機器状態保持手段は、コントローラへ公開するためのコントロール値と、被制御機器の実際の状態を示すカレント値とを保持し、機器管理手段は、コントローラから制御要求を受信したとき、制御要求が要求する状態で更新し、更新通知手段は、コントロール値が更新されたことを通知するための更新通知を全てのコントローラに送信する。そのため、コントローラは、この更新通知に従って、被制御機器の状態を示す画像を更新すれば、全てのコントローラが表示する被制御機器の状態を示す画像の同期を図ることができる。すなわち、全てのコントローラへ、コントロール値を公開する方式を実行し、コントローラ間の表示の同期を取ることを実現することができる。
【0012】
また、前記被制御機器を制御するための画像、及び前記被制御機器の状態を表示するための画像を表示する表示手段と、前記表示手段へ被制御機器の状態を提供する描画データ提供手段とを更に備えることが好ましい(請求項2)。
【0013】
この構成によれば、ゲートウェイ装置に、被制御機器の状態を表示させることができる。
【0014】
また、描画データ提供手段は、前記被制御機器を制御するための画像の構成要素、及び被制御機器の状態を表示するための画像の構成要素を前記表示手段に出力することが好ましい(請求項3)。
【0015】
この構成によれば、ゲートウェイ装置は、被制御機器を制御するための画像や被制御機器の状態を制御するための画像を表示することができる。
【0016】
また、前記コントロール値の更新通知を、各コントローラのプロトコルへ変換するプロトコル変換処理手段を更に備えるとことが好ましい(請求項4)。
【0017】
この構成によれば、コントロール値の更新通知が、各コントローラのプロトコルに変換されるため、各コントローラが様々なプロトコルを採用する場合であっても、更新通知を全てのコントローラに送信することができる。
【0018】
前記描画データ提供手段は、前記制御要求受信時に、受信した制御要求の送信先の被制御機器のコントロール値を前記表示手段に出力することが好ましい(請求項5)。
【0019】
この構成によれば、制御要求を受信すると、受信した制御要求の送信先の被制御機器のコントロール値が速やかに更新され、コントローラが表示する被制御機器の状態と、ゲートウェイ装置が表示する被制御機器の状態とを同期させることができる。
【0020】
また、前記機器管理手段は、前記被制御機器から制御要求が要求する状態に変更できたことを示す制御成功応答を受信した時に、受信した制御成功応答の送信元の被制御機器のカレント値を、受信した制御成功応答に含まれる状態で更新することが好ましい(請求項6)。
【0021】
この構成によれば、被制御機器の状態が変更されると、カレント値が速やかに更新され、カレント値はより正確に被制御機器の現在の状態を示すことができる。
【0022】
また、前記機器管理手段は、前記被制御機器から制御要求が要求する状態に変更できなかったことを示す制御失敗応答を受信した時に、前記要求データ管理手段が、受信した制御失敗応答の送信元の被制御機器を送信先とし、かつ前記制御失敗応答に含まれる制御種別と同一の制御種別を含む制御要求を保持しない場合、前記機器状態保持手段が保持するカレント値を用いて、前記コントロール値を更新することが好ましい(請求項7)。
【0023】
この構成によれば、制御失敗応答を受信したとき、制御失敗応答に含まれる制御種別と同一の制御種別を含む制御要求が、要求データ管理手段により保持されていない場合は、コントローラを用いたユーザの操作が確定したとして、コントロール値がカレント値で更新されるため、例えば、ある被制御機器に対し、複数のコントローラからほぼ同時に制御要求が送信されたような場合に、当該被制御機器の状態が確定する前に、コントローラに表示される被制御機器の状態が不必要に更新されることを防止することができる。また、ユーザの操作が確定した後は、コントローラに現在の被制御機器の状態を表示させることができる。
【0024】
また、前記制御失敗応答受信時に、前記機器管理手段により更新されたコントロール値を、前記表示手段に表示される画像に反映させる描画データ提供手段を更に備えることが好ましい(請求項8)。
【0025】
この構成によれば、制御失敗応答受信してコントロール値が変更されたとき、速やかに、コントローラが表示する被制御機器の状態と、ゲートウェイ装置が表示する被制御機器の状態との同期を図ることができる。
【0026】
前記機器管理手段は、前記被制御機器から状態参照要求に対して応答できたことを示す状態参照成功応答を受信した時に、受信した状態参照成功応答に含まれる状態で、前記機器状態保持手段が保持するカレント値を更新すると共に、前記要求データ管理手段が、前記状態参照成功応答の送信元の被制御機器を送信先とし、かつ前記状態参照成功応答に含まれる制御種別と同一の制御種別を含む制御要求を保持しない場合、受信した状態参照成功応答に含まれる状態、又は受信した状態参照成功応答に含まれる状態で更新されたカレント値を用いて、前記機器状態保持手段が保持するコントロール値を更新することが好ましい(請求項9)。
【0027】
この構成によれば、状態参照成功応答を、被制御機器から受信したとき、状態参照成功応答に含まれる制御種別と同一の制御種別を含む制御要求を保持していない場合は、コントローラを用いたユーザの操作が確定したとして、コントロール値がカレント値で更新されるため、例えば、ある制御機器に対し、複数のコントローラからほぼ同時に制御要求が送信されたような場合において、当該被制御機器の状態が確定する前に、コントローラに表示される被制御機器の状態が不必要に更新されることを防止することができる。また、ユーザの操作が確定した後は、コントローラに現在の被制御機器の状態を表示させることができる。
【0028】
また、前記状態参照成功応答を受信した時に、前記機器管理手段により更新されたコントロール値を、前記表示手段に表示される画像に反映させる描画データ提供手段を更に備えることが好ましい(請求項10)。
【0029】
この構成によれば、状態参照成功応答を受信してコントロール値が変更されたとき、速やかに、コントローラが表示する被制御機器の状態と、ゲートウェイ装置が表示する被制御機器の状態との同期を図ることができる。
【0030】
また、前記機器管理手段は、前記被制御機器から自己の状態を通知するための状態通知を受信した時に、受信した状態通知に含まれる状態で、前記機器状態保持手段が保持するカレント値を更新する共に、前記要求データ管理手段が、受信した状態通知の送信元の被制御機器を送信先とし、かつ受信した状態通知に含まれる制御種別と同一の制御種別を含む制御要求を保持しない場合、受信した状態通知に含まれる状態、又は受信した状態通知に含まれる状態で更新されたカレント値を用いて、前記機器状態保持手段が保持するコントロール値を更新することが好ましい(請求項11)。
【0031】
この構成によれば、状態通知を、被制御機器から受信したとき、状態通知に含まれる制御種別と同一の制御種別を含む制御要求を保持していない場合は、コントローラを用いたユーザの操作が確定したとして、コントロール値がカレント値で更新されるため、例えば、ある制御機器に対し、複数のコントローラからほぼ同時に制御要求が送信されたような場合において、当該被制御機器の状態が確定する前に、コントローラに表示される被制御機器の状態が不必要に更新されることを防止することができる。また、ユーザの操作が確定した後は、コントローラに現在の被制御機器の状態を表示させることができる。
【0032】
また、前記状態通知受信時に、前記機器管理手段により更新されたコントロール値を、前記表示手段に表示される画像に反映させる描画データ提供手段を更に備えることが好ましい(請求項12)。
【0033】
この構成によれば、状態参照成功応答を受信して、コントロール値が変更されたとき、速やかに、コントローラが表示する被制御機器の状態と、ゲートウェイ装置が表示する被制御機器の状態との同期を図ることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明のコントロール値とカレント値の二種類のデータを用いて、被制御機器のデータを管理することにより、ネットワークに複数のコントローラが接続している場合においても、全てのコントローラが表示する被制御機器の状態の同期をとることができる。また、本発明により、ユーザがコントローラの画面を用いて被制御機器を制御する場合、被制御機器への制御が確定するまで、コントローラに表示される被制御機器の状態は変更されないため、ユーザへのストレスを抑制することができると共に、不要な再送要求の送信を減らすことができ、ネットワークへの負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の形態1にけるゲートウェイ装置をホームネットワークに適用したときのネットワーク構成図を示している。本ゲートウェイ装置は、ゲートウェイ装置10、複数のコントローラ21,22、及び複数の被制御機器31〜34を備えている。なお、コントローラを総称して呼ぶときは、コントローラに20の番号を付す。被制御機器を総称して呼ぶときは、被制御機器に30の番号を付す。コントローラ21及びゲートウェイ装置10は、ネットワークN1を介して接続されている。コントローラ22及びゲートウェイ装置10は、ネットワークN2を介して接続されている。被制御機器31〜34及びゲートウェイ装置10は、ネットワークN3を介して接続されている。ネットワークN1は、プロトコルAにより種々のデータを伝送する。ネットワークN2は、プロトコルBにより種々のデータを伝送する。ネットワークN3は、プロトコルCにより種々のデータを伝送する。本実施の形態では、プロトコルAとしてUPnP(ユニバーサルプラグアンドプレイ)が採用され、プロトコルBとしてHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)が採用され、プロトコルCとしてECHONETが採用される。
【0037】
図1では、ネットワークN1、ネットワークN2に接続されているコントローラ20は、それぞれ一台であるが、実際は二つ以上のコントローラ20が接続されていてもよい。また、ゲートウェイ装置10は、3種類のプロトコルからなるネットワークN1〜N3と接続されているが、2種類のプロトコルからなるネットワーク、又は4種類以上のプロトコルからなるネットワークに接続されてもよい。
【0038】
ゲートウェイ装置10は、プロトコルCからなるネットワークN3に接続される被制御機器30の状態に関するデータを管理しており、ゲートウェイ装置10は、各コントローラ20に被制御機器30の状態を通知したり、コントローラ20からの要求に応答したりすることによって、各コントローラ20へ、被制御機器30の状態を送信する。
【0039】
図2は、図1に示すゲートウェイ装置10のブロック図である。図2に示すゲートウェイ装置10は、CPU、ROM、RAM、及び専用のハードウェア回路等から構成され、プロトコルA〜Cに対応する。機器管理部111は、プロトコルCに接続している被制御機器30のネットワーク接続構成を管理する。具体的には、機器管理部111は、被制御機器30の種別、被制御機器30のアドレス、被制御機器30を開発したメーカ、被制御機器30の商品コード、及び被制御機器30を特定するコード等を保持することで、被制御機器30のネットワーク接続構成を管理する。
【0040】
また、機器管理部111は、コントロール値とカレント値という二つの値を用いて、各被制御機器30の状態を管理する。コントロール値は、各コントローラ20が被制御機器30に対して送信する制御要求に含まれるデータを用いて更新される。カレント値は、ゲートウェイ装置10が、被制御機器30から送信される制御要求に対する応答(制御応答)、状態参照要求に対する応答(状態参照応答)、事故(障害)の状態の通知(状態通知)を受信したときに更新される。
【0041】
ここで、制御応答には、制御要求を受信した被制御機器30が状態を変更できた場合に送信する制御成功応答と、制御要求を受信した被制御機器30が状態を変更できなかった場合に送信する制御失敗応答とが含まれる。状態参照応答には、状態参照要求を受信した被制御機器30が応答できた場合に送信する状態参照成功応答と、状態参照要求を受信した被制御機器30が応答できなかった場合に送信する状態参照失敗応答とが含まれる。
【0042】
図3(a)は、制御要求のデータ構造を示している。図3(a)に示すように、制御要求は、制御要求の送信元を示す「送信元」、制御要求の送信先を示す「送信先」、変更対象となる状態の種類を示す「制御種別」、及び変更対象となる状態の値を示す「状態値」を含む。制御種別としては、制御要求の送信対象となる被制御機器30が、例えばエアコンであれば、エアコンを冷房運転させるか暖房運転させるかを決定するための「冷房/暖房」や、エアコンの設定温度を決定するための「設定温度」や、エアコンの電源のオン・オフを決定するための「電源」等が含まれる。状態値としては、「冷房/暖房」の制御種別に対して「冷房」や、「設定温度」の制御種別に対して「24度」や、「電源」の制御種別に対して「オン」等が含まれる。
【0043】
図3(b)は、状態参照要求のデータ構造を示している。状態参照要求は、状態参照要求の送信元を示す「送信元」、状態参照要求の送信先を示す「送信先」、及び参照対象となる状態の種類を示す「制御種別」を含む。
【0044】
図3(c)は、制御成功応答のデータ構造を示している。制御成功応答は、制御成功応答の送信元を示す「送信元」、制御成功応答の送信先を示す「送信先」、変更した状態の種類を示す「制御種別」、及び変更した状態の値を示す「状態値」を含む。
【0045】
図3(d)は、制御成失敗答のデータ構造を示している。制御失敗応答は、制御失敗応答の送信元を示す「送信元」、制御失敗応答の送信先を示す「送信先」、変更できなかった状態の種類を示す「制御種別」、及び変更できなかった状態の値を示す「状態値」を含む。
【0046】
図3(e)は、状態参照成功応答のデータ構造を示している。状態参照成功応答は、状態参照成功応答の送信元を示す「送信元」、状態参照成功応答の送信先を示す「送信先」、参照した状態の種類を示す「制御種別」、及び参照した状態の値を示す「状態値」を含む。
【0047】
図3(f)は状態参照失敗応答のデータ構造を示している。状態参照成失敗応答は、状態参照失敗応答の送信元を示す「送信元」、状態参照失敗応答の送信先を示す「送信先」を含む。
【0048】
図3(g)は、状態通知のデータ構造を示している。状態通知は、状態通知の送信元を示す「送信元」、状態通知の送信先を示す「送信先」、通知する状態の種類を示す「制御種別」、及び通知する状態の値を示す「状態値」を含む。
【0049】
図2に示す機器管理部111は、ゲートウェイ装置10が、コントローラ20から制御要求を受信した場合、コントローラ20から状態参照要求を受信した場合、被制御機器30から制御成功応答を受信した場合、被制御機器30から制御失敗応答を受信した場合、被制御機器30から状態参照成功応答を受信した場合、被制御機器30から状態参照失敗応答を受信した場合、被制御機器30から状態通知を受信した場合、各々のケースに応じたコントロール値とカレント値の更新処理を実行する。これらの更新処理の詳細は後述する。
【0050】
要求データ管理部112は、ゲートウェイ装置10がコントローラ20から受信した被制御機器30への制御要求を格納する。また、要求データ管理部112は、格納した制御要求に対して、送信待ちフェーズや結果応答受信待ちフェーズといったフェーズを設定することによって制御要求を管理する。
【0051】
機器状態保持部113は、コントロール値とカレント値とを記憶する。ここで、コントロール値とカレント値とは、被制御機器31〜34の各々に対して個別に存在する。
【0052】
図4は、エアコンから構成される被制御機器30のコントロール値のデータ構造の一例を示した図である。図4に示すように、コントロール値は、制御種別のフィールド及び状態値のフィールドを含む。図4の例では、制御種別として、「冷房/暖房」、「設定温度」、「電源」等が含まれ、「冷房/暖房」に対して「冷房」、「設定温度」に対して「24度」、「電源」に対して「オン」の状態値が格納されている。なお、カレント値も、図4に示すコントロール値と同様のデータ構造を有しているため、説明は省略する。
【0053】
更新通知部121は、機器管理部111によりコントロール値が更新されたとき、コントロール値が更新されたことを示す更新通知を全てのコントローラ20に送信する。これにより、ゲートウェイ装置10は、コントロール値を全てのコントローラ20へ公開し、コントローラ20の制御画面を同期させる。
【0054】
図2に示すプロトコル変換処理部114は、プロトコルA及びプロトコルC間のプロトコル変換、並びにプロトコルB及びプロトコルC間のプロトコル変換を行う。
【0055】
プロトコルC処理部115は、プロトコルCに関する通信ミドルウェアの機能を有する。すなわち、プロトコルC処理部115は、被制御機器30及びゲートウェイ装置10間の通信インターフェイスとして機能する。プロトコルB処理部116は、プロトコルBに関する通信ミドルウェアの機能を有する。すなわち、プロトコルB処理部116は、コントローラ22及びゲートウェイ装置10間の通信インターフェイスとして機能する。プロトコルA処理部117は、プロトコルAに関する通信ミドルウェアの機能を有している。すなわち、プロトコルA処理部117は、被制御機器30及びゲートウェイ装置10の通信インターフェイスとして機能する。
【0056】
表示部120は、液晶表示パネル等の表示装置から構成され、被制御機器30を制御するため操作画像、又は被制御機器30の状態を示す画像等を表示する。なお、これらの画像は、ゲートウェイ装置10本体に直接描画される場合や、ブラウザ機能を利用して描画される場合がある。
【0057】
描画データ提供部119は、被制御機器30を制御するための操作画像の画像構成要素や、被制御機器30の状態を示す画像の画像構成要素や、被制御機器30の状態を表示部120に出力することによって、被制御機器30の状態をユーザへ提供する。なお、ゲートウェイ装置10は、描画データ提供部119及び表示部120を省いてもよい。
【0058】
図5は、コントローラ20のブロック図を示す。コントローラ20は、表示部210、制御部220、通信部230、及び操作部240を備える。表示部210は、液晶表示パネル等の表示装置から構成され、制御部220の制御の下、被制御機器31〜34の各々のコントロール値を表示する。
【0059】
制御部220は、CPU、ROM、RAM、及び専用のハードウェア回路等から構成され、コントローラ20の全体制御を司る。本実施の形態では、特に、制御要求送信部221、状態参照要求送信部222、及び報知制御部223の機能を備えている。制御要求送信部221は、操作部240がある被制御機器30の状態を変更するためのユーザからの操作指令を受け付けたとき、ある被制御機器30の状態を変更するための制御要求を生成し、通信部230に渡す。
【0060】
状態参照要求送信部222は、操作部240がある被制御機器30に対する状態を参照するためのユーザからの操作指令を受け付けたとき、ある被制御機器30の状態を参照するための状態参照要求を生成し、通信部230に渡す。報知制御部223は、通信部230がゲートウェイ装置10から送信される更新通知を受信したとき、更新通知に含まれる通知内容で、表示部210に表示されるコントロール値を更新する。
【0061】
通信部230は、通信ボード等の通信モジュールから構成され、制御要求送信部221から渡される制御要求、状態参照要求送信部222から渡される状態参照要求を、プロトコルA又はプロトコルBに従ってゲートウェイ装置10に送信する。また、通信部230は、ゲートウェイ装置10から送信される更新通知を受信して、報知制御部223に渡す。操作部240は、被制御機器30の状態を変更するための種々のボタン等から構成される。
【0062】
図6は、被制御機器30のブロック図を示す。被制御機器30は、制御部310及び通信部320を備える。制御部310は、CPU、ROM、RAM、及び専用のハードウェア回路等から構成され、被制御機器30の全体制御を司る。本実施の形態では、制御部310は、特に、制御要求応答部311、状態参照要求応答部312、及び状態通知送信部313の機能を備えている。
【0063】
制御要求応答部311は、通信部320によりゲートウェイ装置10から送信される制御要求が受信されたとき、受信された制御要求に従って被制御機器30の状態を変更する処理を実行し、状態を変更することができた場合は、制御成功応答を生成し、変更することができなかった場合は、制御失敗応答を生成する。
【0064】
状態参照要求応答部312は、通信部320によりゲートウェイ装置10から送信された状態参照要求が受信されたとき、受信された状態参照要求に従って、被制御機器30の状態を参照することができた場合、状態参照成功応答を生成し、被制御機器30の状態を参照することができなかった場合、状態参照失敗応答を生成する。
【0065】
状態通知送信部313は、被制御機器30に障害等が発生したとき、状態通知を生成する。
【0066】
通信部320は、ゲートウェイ装置10から送信される制御要求及び状態参照要求を受信し、制御要求応答部311及び状態参照要求応答部312に渡す。また、通信部320は、制御要求応答部311により生成された制御成功要求及び制御失敗応答をゲートウェイ装置10に送信する。また、通信部320は、状態参照要求応答部312により生成された状態成功参照応答及び状態参照失敗応答、並びに状態通知送信部313により生成された状態通知をゲートウェイ装置10に送信する。
【0067】
図7は、ゲートウェイ装置10が、制御要求をコントローラから受信した場合のコントロール値とカレント値の更新処理を示したフローチャートである。なお、制御要求を送信するコントローラが、プロトコルA、プロトコルB、又はその他のプロトコルに接続されるコントローラ20であっても、ゲートウェイ装置10は同様の更新処理を行う。
【0068】
以下の説明では、コントローラ21が制御要求を送信した場合を例に挙げて説明する。まず、コントローラ21は、プロトコルAに従って制御要求をゲートウェイ装置10に送信する(ステップS1)。次に、ゲートウェイ装置10は、コントローラ21から送信される制御要求を受信すると(ステップS11)、機器管理部111は、プロトコルA処理部117、及びプロトコル変換処理部114を経由して要求データ管理部112へ要求データを格納する(ステップS12)。
【0069】
次に、要求データ管理部112は、制御要求を、プロトコルC処理部115を経由して被制御機器30へ送信し(ステップS13)、被制御機器30は制御要求を受信する(ステップS21)。次に、機器管理部111は、要求データ管理部112に格納した制御要求から、状態の変更対象となる被制御機器30を特定すると共に、制御種別及び状態値を抽出する。次に。機器管理部111は、特定した被制御機器30のコントロール値を更新する(ステップS14)。
【0070】
ここで、機器管理部111は、制御要求から抽出した制御種別と同一の制御種別をコントロール値の中から特定し、特定した制御種別に対する状態値を、抽出した状態値で更新する。このとき、機器管理部111は、カレント値を更新しない。
【0071】
例えば、被制御機器30がエアコンであり、制御要求に制御種別として「設定温度」、状態値として「24度」が含まれていた場合、機器管理部111は、エアコンのコントロール値の「設定温度」を「24度」に更新する。
【0072】
次に、機器管理部111は、コントロール値を更新した被制御機器30の状態を描画データ提供部119へ通知し、描画データ提供部119は、更新されたコントロール値を表示部120に表示されたコントロール値に反映させる(ステップS15)。次に、更新通知部121は、コントロール値が更新されたことをコントローラ20に通知するための更新通知を生成し、プロトコル変換処理部114は、生成されたコントロール値をプロトコルA,Bに変換し、コントローラ21,22へ送信する(ステップS16)。ただし、更新通知部121は、コントロール値の更新通知を必ずしなければならないものではなく、被制御機器30の状態が変更されたときのみ送信してもよい。また、更新通知部121は、制御要求を送信し、応答結果待ちのコントローラ20へ対して、更新通知を送信しなくてもよい。
【0073】
次に、コントローラ20は、ゲートウェイ装置10から送信された更新通知を受信し(ステップS2)、受信した更新通知に従って、表示部210に表示されているコントロール値を更新する(ステップS3)。例えば、被制御機器31がエアコンであり、エアコンのコントロール値の設定温度が「24度」に更新されたとすると、コントローラ20は、表示部210に表示されたエアコンのコントロール値の設定温度を「24度」に更新する。
【0074】
図8は、ゲートウェイ装置10が、制御成功応答を被制御機器30から受信した場合のコントロール値とカレント値の更新処理を示した図である。ここでは、被制御機器31が制御成功応答を送信したものとする。まず、被制御機器31は、制御成功応答をゲートウェイ装置10に送信する(ステップS71)。次に、ゲートウェイ装置10は、被制御機器31から制御成功応答を受信すると(ステップS61)、機器管理部111が、受信した制御成功応答に含まれる送信元から被制御機器31を特定すると共に、受信した制御成功応答に含まれる制御種別及び状態値を抽出する(ステップS62)。次に、機器管理部111は、抽出した状態値で、被制御機器31のカレント値を更新する(ステップS63)。例えば、被制御機器31がエアコンであり、制御成功応答に制御種別として「設定温度」、状態値として「24度」が含まれていたとすると、機器管理部111は、エアコンのカレント値の設定温度に対する状態値を「24度」に更新する。ここで、要求データ管理部112は、制御種別が「設定温度」である制御要求を保持している場合は、その制御要求を削除する。
【0075】
また、要求データ管理部112は、例えばコントローラ21からエアコンの設定温度を24度にする制御要求(先の制御要求)を保持している状態、すなわち、エアコンから先の制御要求に対する制御応答を受信待ちの状態において、コントローラ22からエアコンの設定温度を23度にする制御要求(後の制御要求)を受信した場合、機器管理部111は、後の制御要求のエアコンへの送信を保留して、要求データ管理部112に保持させる。そして、エアコンから先の制御要求に対する制御応答を受信したとき、要求データ管理部112は、先の制御要求を削除し、機器管理部111は、後の制御要求をエアコンに送信する。ここで、要求データ管理部112は、制御応答の受信待ちの制御要求に対し、フラグを設定する等して、制御応答の受信待ちの制御要求と、被制御機器30に未送信である制御要求とを区別する。
【0076】
図9は、ゲートウェイ装置10が、制御成失敗応答を被制御機器31から受信した場合のコントロール値とカレント値の更新シーケンスを示したフローチャートである。まず、被制御機器30は、制御失敗応答をゲートウェイ装置10に送信する(ステップS131)。ゲートウェイ装置10は、被制御機器30から制御失敗応答を受信すると(ステップS121)、機器管理部111は、受信した制御失敗応答から送信元及び制御種別を抽出し、要求データ管理部112は、以下に示す2つの条件の両方を満たし、かつ、制御応答が受信待ちである制御要求を削除する。
【0077】
次に、機器管理部111は、以下に示す2つの条件を両方満たす制御要求が要求データ管理部112に保持されているか否かを判定する(ステップS122)。
【0078】
条件1:送信先が、受信した制御失敗応答に含まれる送信元と同一
条件2:制御種別が、受信した制御失敗応答に含まれる制御種別と同一
機器管理部111は、要求データ管理部112に、条件1,2の両方を満たす制御要求が存在すると判定した場合(ステップS122でYES)、コントロール値を更新することなく処理を終了する(ステップS123)。
【0079】
例えば、制御失敗応答を送信した被制御機器31をエアコンとし、受信した制御失敗応答の制御種別が「設定温度」、状態値が「24度」であったとすると、要求データ管理部112は、エアコンの温度を設定するための制御要求であって、制御応答が受信待ちである制御要求、すなわち、制御種別を「設定温度」とするエアコンへの制御要求であって、制御応答が受信待ちである制御要求を削除する。
【0080】
そして、機器管理部111は、制御種別を「設定温度」とするエアコンの制御要求が要求データ管理部112に保持されている場合は、コントロール値の更新を行わない。
【0081】
一方、機器管理部111は、要求データ管理部112に条件1,2の両方を満たす制御要求が存在しないと判定した場合(ステップS122でNO)、制御失敗応答を送信した被制御機器31のコントロール値を、被制御機器31のカレント値で更新する(ステップS124)。
【0082】
例えば、被制御機器31をエアコンとし、制御失敗応答に制御種別として「設定温度」が含まれたとすると、機器管理部111は、エアコンのコントロール値の設定温度に対する状態値を、エアコンのカレント値の設定温度に対する状態値で更新する。
【0083】
ステップS122でNOと判定される場合として、例えば、ゲートウェイ装置10にエアコンの温度を設定するための制御要求が複数送信された場合に、要求データ管理部112が、エアコンの温度を設定するための制御要求であって、制御応答が受信待ちである制御要求を削除した後に、要求データ管理部112がエアコンの温度を設定するための制御要求を保持している場合が該当する。
【0084】
次に、描画データ提供部119は、機器管理部111により更新されたコントロール値を表示部120に表示する(ステップS125)。例えば、エアコンのコントロール値の設定温度が「24度」に更新された場合、描画データ提供部119は、表示部120に表示されたエアコンのコントロール値の設定温度を「24度」に更新する。
【0085】
次に、更新通知部121は、機器管理部111により被制御機器31のコントロール値が更新されたことを通知する更新通知を生成し、全てのコントローラ20に送信する(ステップS126)。
【0086】
次に、コントローラ20は、ゲートウェイ装置10から送信された更新通知を受信し(ステップS111)、受信した更新通知に従って、表示部210に表示されているコントロール値を更新する(ステップS112)。例えば、被制御機器31がエアコンであり、エアコンのコントロール値の設定温度が「24度」に更新されたとすると、コントローラ20は、表示部210に表示されたエアコンのコントロール値の設定温度を「24度」に更新する。
【0087】
図10は、ゲートウェイ装置10が、状態参照要求をコントローラから受信した場合のコントロール値とカレント値の更新シーケンスを示したフローチャートである。まず、コントローラ20は、状態参照要求をゲートウェイ装置10に送信する(ステップS31)。ゲートウェイ装置10は、コントローラ20から状態参照要求を受信すると(ステップS41)、機器管理部111は、プロトコルA処理部117、及びプロトコル変換処理部114を経由して、要求データ管理部112へ状態参照要求を格納する(ステップS41)。そして、機器管理部111は、状態参照要求を被制御機器30へ送信し(ステップS42)、被制御機器30は状態参照要求を受信する(ステップS51)。このとき、機器管理部111は、コントロール値、カレント値のいずれの値も更新しない。
【0088】
図11は、ゲートウェイ装置10が、状態参照成功応答を被制御機器30から受信した場合のコントロール値とカレント値の更新シーケンスを示したフローチャートである。まず、被制御機器30は、ゲートウェイ装置10に状態参照成功応答を送信する(ステップS101)。ゲートウェイ装置10は、被制御機器30から状態参照成功応答を受信する(ステップS91)。ここでは、被制御機器31が状態参照成功応答を送信したものとする。次に、機器管理部111は、受信された状態参照成功応答から送信元、制御種別、及び状態値を抽出し、被制御機器31を特定し、被制御機器31のカレント値を、抽出した状態値で更新する(ステップS92)。例えば、被制御機器31をエアコンとし、状態参照成功応答に、制御種別として「設定温度」、状態値として「24度」が含まれていたとすると、機器管理部111は、エアコンのカレント値の設定温度の状態値を24度に更新する。
【0089】
次に、機器管理部111は、要求データ管理部112に以下に示す2つの条件1,2を両方満たす制御要求が存在するか否かを判定する(ステップS93)。
【0090】
条件1:送信先が、受信した状態参照成功応答に含まれる送信元と同一
条件2:制御種別が、受信した状態参照成功応答に含まれる制御種別と同一
機器管理部111は、要求データ管理部112に、条件1,2の両方を満たす制御要求が存在すると判定した場合(ステップS93でYES)、コントロール値を更新することなく処理を終了する(ステップS94)。
【0091】
例えば、制御対象となる被制御機器30をエアコンとし、受信した状態参照成功応答の制御種別が「設定温度」、状態値が「24度」であったとすると、機器管理部111は、エアコンの温度を設定するための制御要求、すなわち、制御種別を「設定温度」とするエアコンへの制御要求が、要求データ管理部112に保持されていた場合、コントロール値を更新しない。
【0092】
一方、機器管理部111は、要求データ管理部112に、条件1,2の両方を満たす制御要求が存在しないと判定した場合(ステップS93でNO)、状態参照成功応答を送信した被制御機器31のコントロール値を、抽出した状態値で更新する(ステップS95)。
【0093】
次に、描画データ提供部119は、機器管理部111により更新されたコントロール値を表示部120に表示する(ステップS96)。例えば、エアコンのコントロール値の設定温度が「24度」に更新された場合、描画データ提供部119は、表示部120に表示されたエアコンのコントロール値の設定温度を「24度」に更新する。
【0094】
次に、更新通知部121は、機器管理部111により被制御機器31のコントロール値が更新されたことを通知する更新通知を生成し、全てのコントローラ20に送信する(ステップS97)。
【0095】
次に、コントローラ20は、ゲートウェイ装置10から送信された更新通知を受信し(ステップS81)、受信した更新通知に従って、表示部210に表示されているコントロール値を更新する(ステップS82)。例えば、被制御機器31がエアコンであり、エアコンのコントロール値の設定温度が「24度」に更新されたとすると、コントローラ20は、表示部210に表示されたエアコンのコントロール値の設定温度を「24度」に更新する。ただし、更新通知部121は、コントロール値の更新通知を必ずしなければならないものではなく、被制御機器30の状態が変更されたときのみ送信してもよい。
【0096】
図12は、ゲートウェイ装置10が、状態参照失敗応答を被制御機器30から受信した場合のコントロール値とカレント値の更新シーケンスを示したフローチャートである。まず、被制御機器30は、ゲートウェイ装置10に状態参照失敗応答を送信する(ステップS151)。次に、ゲートウェイ装置10は、被制御機器30から状態参照失敗応答を受信すると(ステップS141)、機器状態保持部113が保持するカレント値、コントロール値ともに更新しない(ステップS142)。
【0097】
図13は、ゲートウェイ装置10が、状態通知を被制御機器30から受信した場合のコントロール値とカレント値の更新シーケンスを示したフローチャートである。まず、被制御機器30は、ゲートウェイ装置10に状態通知を送信する(ステップS181)。ここでは、被制御機器31が状態通知を送信したものとする。
【0098】
次に、ゲートウェイ装置10は、被制御機器30から状態通知を受信すると(ステップS171)、機器管理部111は、状態通知から送信元、制御種別、及び状態値を抽出し、被制御機器31を特定し、被制御機器31のカレント値を、抽出した状態値で更新する(ステップS172)。例えば、被制御機器31をエアコンとし、状態通知に、制御種別として「設定温度」、状態値として「24度」が含まれていたとすると、機器管理部111は、エアコンのカレント値の設定温度の状態値を24度に更新する。
【0099】
次に、機器管理部111は、要求データ管理部112に以下に示す2つの条件1,2を両方満たす制御要求が存在するか否かを判定する(ステップS173)。
【0100】
条件1:送信先が、受信した状態通知に含まれる送信元と同一
条件2:制御種別が、受信した状態通知に含まれる制御種別と同一
機器管理部111は、要求データ管理部112に、条件1,2の両方を満たす制御要求が存在すると判定した場合(ステップS173でYES)、コントロール値を更新することなく処理を終了する(ステップS174)。
【0101】
例えば、制御対象となる被制御機器30をエアコンとし、受信した状態通知の制御種別が「設定温度」、状態値が「24度」であったとすると、機器管理部111は、エアコンの温度を設定するための制御要求、すなわち、制御種別を「設定温度」とするエアコンへの制御要求が、要求データ管理部112に保持されていた場合、コントロール値を更新しない。
【0102】
一方、機器管理部111は、要求データ管理部112に、条件1,2の両方を満たす制御要求が存在しないと判定した場合(ステップS173でNO)、状態通知を送信した被制御機器31のコントロール値を、抽出した状態値で更新する(ステップS175)。
【0103】
次に、描画データ提供部119は、機器管理部111により更新されたコントロール値を表示部120に表示する(ステップS176)。ステップS173でNOと判定される場合としては、例えば、要求データ管理部112が受信待ちである制御要求を保持している状態において、当該制御要求によって制御される被制御機器30から状態通知を受信した場合が該当する。
【0104】
次に、更新通知部121は、機器管理部111により被制御機器31のコントロール値が更新されたことを通知する更新通知を生成し、全てのコントローラ20に送信する(ステップS177)。
【0105】
次に、コントローラ20は、ゲートウェイ装置10から送信された更新通知を受信し(ステップS161)、受信した更新通知に従って、表示部210に表示されているコントロール値を更新する(ステップS162)。ただし、更新通知部121は、コントロール値の更新通知を必ずしなければならないものではなく、被制御機器30の状態が変更されたときのみ送信してもよい。
【0106】
以上説明したように、本ゲートウェイ装置10によれば、機器状態保持部113は、コントローラ20へ公開するためのコントロール値と、被制御機器の実際の状態を示すカレント値とを保持し、機器管理部111は、コントローラ20から制御要求を受信したとき、制御要求が要求する状態で更新し、更新通知部121は、コントロール値が更新されたことを通知するための更新通知を全てのコントローラ20に送信し、コントローラ20は、この更新通知に従って、被制御機器30の状態を示す画像を更新する。そのため、全てのコントローラ20が表示する被制御機器30の状態の同期を図ることができる。
【0107】
また、ゲートウェイ装置10は、制御成功応答を受信したとき、更新通知をコントローラ20に送信しなくとも、制御成功応答に対する制御要求の受信時にコントローラ20が表示する被制御機器30の状態の同期が図られているため、コントロール値を更新する必要がなく、ネットワークへの負荷を軽減することができる。
【0108】
また、ゲートウェイ装置10は、制御失敗応答を受信したとき、制御失敗応答に対する制御要求を保持している場合、コントロール値を更新しないため、ユーザが要求する状態とは異なる状態がコントローラ20に表示されることを防止することができ、ユーザへのストレスを軽減することができる。
【0109】
更に、ゲートウェイ装置10は、制御失敗応答を受信したとき、制御失敗応答に対する制御要求が保持されていない場合、コントロール値を更新するため、ユーザが被制御機器30の本体を操作して、被制御機器30の状態が変更された場合であっても、コントローラ20に実際の被制御機器30の状態を表示させることができる。
【0110】
更に、ゲートウェイ装置10は、状態参照成功応答、及び状態通知を受信したとき、カレント値を更新するため、カレント値に実際の被制御機器30の状態を保持させることができる。
【0111】
更に、ゲートウェイ装置10は、状態参照成功応答を受信したとき、状態参照成功応答に対する制御要求を保持している場合、その制御要求の受信時にコントローラ20が表示する被制御機器30の状態の同期が図られているため、コントロール値を更新する必要がなく、ネットワークへの負荷を軽減することができる。
【0112】
更に、ゲートウェイ装置10は、状態参照成功応答を受信したとき、状態参照成功応答に対する制御要求を保持していない場合、コントロール値を更新するため、ユーザが被制御機器30の本体を操作して、被制御機器30の状態が変更された場合であっても、コントローラ20に実際の被制御機器30の状態を表示させることができる。
【0113】
更に、ゲートウェイ装置10は、状態通知を受信したとき、状態通知に対する制御要求を保持している場合、その制御要求の受信時にコントローラ20が表示する被制御機器30の状態の同期が図られているため、コントロール値を更新する必要がなく、ネットワークへの負荷が増大することを防止することができる。
【0114】
更に、ゲートウェイ装置10は、状態通知を受信したとき、状態通知に対する制御要求を保持していない場合、ユーザが被制御機器30の本体を操作して、被制御機器30の状態が変更された場合であっても、コントローラ20に実際の被制御機器30の状態を表示させることができる。
【0115】
(実施の形態2)
図14は、本発明の実施の形態2による被制御機器をホームネットワークに適用したときのネットワーク構成図を示している。このネットワークは、2つのコントローラ21,22、及び被制御機器30aを備えている。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同一のものは同一の符号を付し、説明を省略する。
【0116】
被制御機器30aのブロック図は、図2のゲートウェイ装置10と同様である。次に、被制御機器30aの動作について説明する。被制御機器30aは、コントローラ20から制御要求を受信すると、機器管理部111は、プロトコルB処理部116、プロトコル変換処理部114を介して、又はプロトコルA処理部117、プロトコル変換処理部114を介して制御要求を要求データ管理部112に格納するとともに、制御要求が示す状態でコントロール値を更新する。そして、更新通知部121は、コントロール値が更新されたことを示す更新通知をプロトコル変換処理部114、プロトコルB処理部116を介してコントローラ22に送信すると共に、プロトコル変換処理部114、プロトコルA処理部117を介してコントローラ21に送信する。
【0117】
このように本被制御機器30aによれば、複数のコントローラ20に表示される状態の同期を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、被制御機器の状態をコントロール値とカレント値の二つの値で管理するため、ネットワーク上に複数のコントローラが接続している場合においても、全てのコントローラに表示されている被制御機器の状態を同期させることが可能である。また、制御が確定するまでコントローラに対して、被制御機器の状態を不必要に通知しないことにより、ユーザが要求する被制御機器の状態と異なる状態をコントローラへ表示させない。その結果、ユーザへストレスを軽減することができると共に、ユーザによる制御要求の再送が減り、ネットワークの負荷が軽減され、ネットワークの通信信頼性も大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の形態1にけるゲートウェイ装置をホームネットワークに適用したときのネットワーク構成図を示している。
【図2】図1に示すゲートウェイ装置10のブロック図である。
【図3】(a)は制御要求のデータ構造を示している。(b)は状態参照要求のデータ構造を示している。(c)は制御成功応答のデータ構造を示している。(d)は制御失敗応答のデータ構造を示している。(e)は状態参照成功応答のデータ構造を示している。(f)は状態参失敗応答のデータ構造を示している。(g)は状態通知のデータ構造を示している。
【図4】コントロール値のデータ構造を示した図である。
【図5】コントローラのブロック図を示す。
【図6】被制御機器のブロック図を示している。
【図7】ゲートウェイ装置が、制御要求をコントローラから受信した場合のコントロール値とカレント値の更新処理を示したフローチャートである。
【図8】ゲートウェイ装置が、状態参照要求を受信する際の処理を示すフローチャートである。
【図9】ゲートウェイ装置が、制御成失敗応答を被制御機器から受信した場合のコントロール値とカレント値の更新シーケンスを示したフローチャートである。
【図10】ゲートウェイ装置が、状態参照要求をコントローラから受信した場合のコントロール値とカレント値の更新シーケンスを示したフローチャートである。
【図11】ゲートウェイ装置が、状態参照成功応答を被制御機器30から受信した場合のコントロール値とカレント値の更新シーケンスを示したフローチャートである。
【図12】ゲートウェイ装置が、状態参照失敗応答を被制御機器30から受信した場合のコントロール値とカレント値の更新シーケンスを示したフローチャートである。
【図13】ゲートウェイ装置が、状態通知を被制御機器から受信した場合のコントロール値とカレント値の更新シーケンスを示したフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態2における被制御機器をホームネットワークに適用したときのネットワーク構成図を示している。
【符号の説明】
【0120】
10 ゲートウェイ装置
20 コントローラ
21,22 コントローラ
30,30a 被制御機器
31〜34 被制御機器
111 機器管理部
112 要求データ管理部
113 機器状態保持部
114 プロトコル変換処理部
115 プロトコルC処理部
116 プロトコルB処理部
117 プロトコルA処理部
119 描画データ提供部
120 表示部
121 更新通知部
210 表示部
220 制御部
221 制御要求送信部
222 状態参照要求送信部
223 報知制御部
230 通信部
240 操作部
310 制御部
311 制御要求応答部
312 状態参照要求応答部
313 状態通知送信部
320 通信部
N1 ネットワーク
N2 ネットワーク
N3 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラと、前記コントローラによって制御される被制御機器とに接続されるゲートウェイ装置であって、
前記コントローラから前記被制御機器を所定の状態に変更するために送信される制御要求を保持する要求データ管理手段と、
前記被制御機器の状態として、前記コントローラへ公開するためのコントロール値と、前記被制御機器から送信されるデータに基づいて更新され、被制御機器の実際の状態を示すカレント値とを保持する機器状態保持手段と、
前記コントローラから制御要求受信時に、受信した制御要求の送信先の被制御機器のコントロール値を、受信した制御要求が要求する状態で更新する機器管理手段と、
前記機器管理手段によりコントロール値が更新されたとき、その更新を通知するための更新通知を全てのコントローラに送信する更新通知手段とを備えることを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
前記被制御機器を制御するための画像、及び前記被制御機器の状態を表示するための画像を表示する表示手段と、
前記表示手段へ被制御機器の状態を提供する描画データ提供手段とを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項3】
描画データ提供手段は、前記被制御機器を制御するための画像の構成要素、及び被制御機器の状態を表示するための画像の構成要素を前記表示手段に出力することを特徴とする請求項2記載のゲートウェイ装置。
【請求項4】
前記コントロール値の更新通知を、各コントローラのプロトコルへ変換するプロトコル変換処理手段を更に備えるとことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の前記ゲートウェイ装置。
【請求項5】
前記描画データ提供手段は、前記制御要求受信時に、受信した制御要求の送信先の被制御機器のコントロール値を前記表示手段に出力することを特徴とする請求項2又は3記載の前記ゲートウェイ装置。
【請求項6】
前記機器管理手段は、前記被制御機器から制御要求が要求する状態に変更できたことを示す制御成功応答を受信した時に、受信した制御成功応答の送信元の被制御機器のカレント値を、受信した制御成功応答に含まれる状態で更新することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゲートウェイ装置。
【請求項7】
前記機器管理手段は、前記被制御機器から制御要求が要求する状態に変更できなかったことを示す制御失敗応答を受信した時に、前記要求データ管理手段が、受信した制御失敗応答の送信元の被制御機器を送信先とし、かつ前記制御失敗応答に含まれる制御種別と同一の制御種別を含む制御要求を保持しない場合、前記機器状態保持手段が保持するカレント値を用いて、前記コントロール値を更新することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の前記ゲートウェイ装置。
【請求項8】
前記制御失敗応答受信時に、前記機器管理手段により更新されたコントロール値を、前記表示手段に表示される画像に反映させる描画データ提供手段を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の前記ゲートウェイ装置。
【請求項9】
前記機器管理手段は、前記被制御機器から状態参照要求に対して応答できたことを示す状態参照成功応答を受信した時に、受信した状態参照成功応答に含まれる状態で、前記機器状態保持手段が保持するカレント値を更新すると共に、前記要求データ管理手段が、前記状態参照成功応答の送信元の被制御機器を送信先とし、かつ前記状態参照成功応答に含まれる制御種別と同一の制御種別を含む制御要求を保持しない場合、受信した状態参照成功応答に含まれる状態、又は受信した状態参照成功応答に含まれる状態で更新されたカレント値を用いて、前記機器状態保持手段が保持するコントロール値を更新することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の前記ゲートウェイ装置。
【請求項10】
前記状態参照成功応答を受信した時に、前記機器管理手段により更新されたコントロール値を、前記表示手段に表示される画像に反映させる描画データ提供手段を更に備えることを特徴とする請求項9記載の前記ゲートウェイ装置。
【請求項11】
前記機器管理手段は、前記被制御機器から自己の状態を通知するための状態通知を受信した時に、受信した状態通知に含まれる状態で、前記機器状態保持手段が保持するカレント値を更新する共に、前記要求データ管理手段が、受信した状態通知の送信元の被制御機器を送信先とし、かつ受信した状態通知に含まれる制御種別と同一の制御種別を含む制御要求を保持しない場合、受信した状態通知に含まれる状態、又は受信した状態通知に含まれる状態で更新されたカレント値を用いて、前記機器状態保持手段が保持するコントロール値を更新することを特徴とする請求項1〜10記載の前記ゲートウェイ装置。
【請求項12】
前記状態通知受信時に、前記機器管理手段により更新されたコントロール値を、前記表示手段に表示される画像に反映させる描画データ提供手段を更に備えることを特徴とする請求項11記載の前記ゲートウェイ装置。
【請求項13】
ネットワークを介して接続されるコントローラによって制御される被制御機器であって、
前記コントローラから前記被制御機器を所定の状態に変更するために送信される制御要求を保持する要求データ管理手段と、
前記被制御機器の状態として、前記コントローラへ公開するためのコントロール値と、前記被制御機器から送信されるデータに基づいて更新されるカレント値とを保持する機器状態保持手段と、
前記コントローラから制御要求受信時に、受信した制御要求の送信先の被制御機器のコントロール値を、受信した制御要求が示す状態で更新する機器管理手段と、
前記機器管理手段によりコントロール値が更新されたとき、その更新を通知するための更新通知を全てのコントローラに送信する更新通知手段とを備えることを特徴とする被制御機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−27144(P2008−27144A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198419(P2006−198419)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】