説明

ゲートウェイ

【課題】印刷コンテンツをHTTPにより送信する送信側端末から印刷コンテンツをFAXプロトコルにより受信して印刷する受信側端末に対して印刷コンテンツの送信を可能にする。
【解決手段】印刷コンテンツをHTTPにより送信する送信側端末である複合機30と印刷コンテンツをFAXプロトコルにより受信して印刷する受信側端末であるホームゲートウェイ(HGW)60及びFAX装置40との接続を確立した後、ゲートウェイ(GW)20は、印刷コンテンツを要求するデータ要求をHTTPで用いる形式で複合機30に送信し、HTTPで用いる形式で印刷コンテンツを含むデータ応答を受信すると、受信した印刷コンテンツをメモリーに記憶し、記憶した印刷コンテンツをFAXプロトコルで用いる形式に変換してHGW60を介してFAX装置40に送信する処理を行う(ステップS400〜S430)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートウェイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電話回線やインターネットなどの通信ネットワークを介して印刷データを受信して印刷するファクシミリ(FAX)やプリンターが接続されたパーソナルコンピューターなどが知られている。電話回線を介して印刷データを受信するFAXでは、コールに対してFAXである信号をもって応答し、印刷データを受信する毎に印刷したり印刷データをメモリーに記憶してから印刷したりする。インターネットを介して印刷データを受信するパーソナルコンピューターでは、印刷データをハードディスクなどの外部記憶装置に記憶し、その後、印刷用のアプリケーションを起動して外部記憶装置に記憶した印刷データを読み出して印刷する。なお、ネットワークを利用した情報の伝送に関する技術としては、下記の特許文献に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−109701号公報
【特許文献2】特開2003−178028号公報
【特許文献3】特表2005−516320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、IP(Internet Protocol)ネットワークに接続されており個別のIPアドレスを有するプリンター間において、パーソナルコンピューターを介さず直接IPネットワークを介して印刷データの送受信を行うことが今後可能になると考えられている。このとき印刷データの送受信を行うプロトコルとしてはHTTP(HyperText Transfer Protocol)が考えられる。一方、FAXは従来よりIPネットワークや公衆電話回線網(PSTN(Public Switched Telephone Network))と接続して印刷データの送受信を行っているが、このときのプロトコルとしてはFAXプロトコルが用いられている。そのため、例え同じネットワークに接続されていたとしても、HTTPにより印刷データの送受信を行うプリンターからFAXに対して印刷データの送信を行うことはできない。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、印刷コンテンツをHTTPにより送信する送信側端末から印刷コンテンツをFAXプロトコルにより受信して印刷する受信側端末に対して印刷コンテンツの送信を可能にすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のゲートウェイは、
印刷可能な印刷コンテンツをHTTPにより送信する送信側端末と、印刷コンテンツをFAXプロトコルにより受信して印刷する受信側端末と、の間で信号の変換を行うゲートウェイであって、
データを一時的に記憶可能な記憶手段と、
前記送信側端末から送信された接続要求信号の受信に基づいて、該送信側端末と前記受信側端末との接続の確立を行う接続確立手段と、
前記接続確立手段が前記接続の確立を行った後、前記印刷コンテンツを要求するコンテンツ要求を前記HTTPで用いる形式で前記送信側端末に送信し、該送信側端末から前記HTTPで用いる形式で該印刷コンテンツを受信すると該受信した印刷コンテンツを前記記憶手段に記憶し、該記憶手段に記憶した印刷コンテンツを前記FAXプロトコルで用いる形式に変換して前記受信側端末に送信する印刷コンテンツ送受信手段と、
を備えたものである。
【0008】
本発明のゲートウェイは、印刷可能な印刷コンテンツをHTTPにより送信する送信側端末から送信された接続要求信号の受信に基づいて、送信側端末と印刷コンテンツをFAXプロトコルにより受信して印刷する受信側端末との接続の確立を行う。そして、送信側端末と受信側端末との接続を確立すると、印刷コンテンツを要求するコンテンツ要求をHTTPで用いる形式で送信側端末に送信し、送信側端末からHTTPで用いる形式で印刷コンテンツを受信すると、受信した印刷コンテンツをデータを一時的に記憶可能な記憶手段に記憶する。そして、記憶手段に記憶した印刷コンテンツをFAXプロトコルで用いる形式に変換して受信側端末に送信する。これにより、印刷コンテンツをHTTPにより送信する送信側端末から印刷コンテンツをFAXプロトコルにより受信して印刷する受信側端末に対して印刷コンテンツの送信が可能になる。
【0009】
本発明のゲートウェイにおいて、前記接続確立手段が前記接続の確立を行った後、前記印刷コンテンツ送受信手段が前記送信側端末に前記コンテンツ要求を送信する前に、前記印刷コンテンツを前記送信側端末が送信する能力を表す送信側能力情報を要求する能力要求を前記HTTPで用いる形式で該送信側端末に送信し該送信した能力要求に対応して該送信側端末から前記HTTPで用いる形式で送信される該送信側能力情報を受信すると共に、前記印刷コンテンツを前記受信側端末が受信して印刷する能力を表す受信側能力情報を前記FAXプロトコルで用いる形式で該受信側端末から受信し、前記送信側能力情報で表される能力の範囲内且つ前記受信側能力情報で表される能力の範囲内で今回の印刷コンテンツの送受信で使用する能力である使用能力を決定し、該使用能力を表す使用能力情報を前記FAXプロトコルで用いる形式で前記受信側端末へ送信する使用能力調整手段、を備え、前記印刷コンテンツ送受信手段は、前記コンテンツ要求を前記送信側端末に送信するにあたり、前記使用能力で前記印刷コンテンツの送信を行うよう通知する能力通知を伴って該コンテンツ要求を前記送信側端末に送信する手段としてもよい。こうすれば、送信側能力の範囲内且つ受信側能力の範囲内で決定した使用能力で印刷コンテンツの送受信が行われるため、受信側端末が印刷コンテンツを適正に受信して印刷することができる。
【0010】
本発明のゲートウェイにおいて、前記印刷コンテンツ送受信手段は、前記記憶手段に記憶した印刷コンテンツを前記受信側端末に送信するにあたり、前記送信側端末から印刷コンテンツの全てを受信して前記記憶手段に記憶するのを待つことなく該記憶した印刷コンテンツを前記FAXプロトコルで用いる形式に順次変換して該送信側端末に送信する手段としてもよい。こうすれば、印刷コンテンツを受信して記憶手段に記憶する処理と並行して、記憶した印刷コンテンツを受信側端末に送信する処理を行うため、印刷コンテンツを全て受信してから受信側端末へ送信する場合と比較して送信側端末から受信側端末への印刷コンテンツの送信が短時間で完了すると共に、記憶手段の記憶容量が小さくて済む。この場合において、前記印刷コンテンツ送受信手段は、前記送信側端末から前記印刷コンテンツのうち1ページ分のデータを受信する毎に次ページのデータの有無を表す次ページ情報を送信するよう前記HTTPで用いる形式で該送信側端末に要求を行って該送信側端末から該次ページ情報を前記HTTPで用いる形式で受信し、前記記憶手段に記憶した印刷コンテンツのうち1ページ分のデータを前記受信側端末に送信する毎に前記受信した次ページ情報を前記FAXプロトコルで用いる形式で該受信側端末に送信する手段としてもよい。こうすれば、1ページ毎に次ページのデータの有無を適切に受信側端末に通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態のゲートウェイ20を備えた印刷システム10の構成図。
【図2】第1実施形態の複合機30とFAX装置40とのシーケンスを示す説明図。
【図3】印刷コンテンツ送受信処理のシーケンスを示す説明図。
【図4】INVITEメッセージのSDPの内容の一例を示す説明図。
【図5】200 OKメッセージのSDPの内容の一例を示す説明図。
【図6】送信側能力要求の内容の一例を示す説明図。
【図7】送信側能力応答の内容の一例を示す説明図。
【図8】ページ情報要求の内容の一例を示す説明図。
【図9】ページ情報応答の内容の一例を示す説明図。
【図10】データ要求の内容の一例を示す説明図。
【図11】次ページが無い場合のページ情報応答の内容の一例を示す説明図。
【図12】第2実施形態のゲートウェイ120を備えた印刷システム110の構成図。
【図13】第2実施形態のシーケンスを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
次に本発明を具現化した第1実施形態について図面を用いて説明する。図1は第1実施形態であるゲートウェイ(GW)20を備えた印刷システム10の構成の概略の一例を示す構成図である。図示するように、印刷システム10は、GW20を備えたIPネットワーク11と、ホームゲートウェイ(HGW)50を介してIPネットワーク11に接続された複合機30と、ホームゲートウェイ(HGW)60を介してIPネットワーク11に接続されたFAX装置40と、を備えている。
【0013】
IPネットワーク11は、例えば、次世代ネットワーク(NGN(Next Generation Network))として構成されており、GW20の他にも、複合機30やFAX装置40などのユーザー・エージェントからのIPメッセージを中継する図示しないSIP(Session Initiation Protocol)プロキシー・サーバーや、ユーザー・エージェントの位置情報(例えば、URI(Uniform Resource Identifier)など)を記憶する図示しないロケーション・サーバーを備えている。
【0014】
GW20は、HTTPで用いられるデータとFAXプロトコルの1つであるみなし音声方式で用いられるデータとの間でプロトコル及びデータの変換を相互に行うことで、HTTPにより印刷コンテンツの送受信を行う装置(例えば、複合機30)とみなし音声方式により印刷コンテンツの送受信を行う装置(例えば、HGW60及びFAX装置40)との接続及び印刷コンテンツの送受信を可能にする装置である。このGW20は、装置全体を制御する制御部21と、制御部21が実行する各種プログラムを記憶したり一時的にデータを記憶したりするメモリー24と、を備えている。なお、GW20は、SIPプロキシー・サーバーとしての機能も備えている。
【0015】
複合機30は、スキャナーとしても機能すると共にプリンターとしても機能する装置であり、IPネットワーク11を介してHTTPにより画像データを含む印刷コンテンツの送受信が可能な装置である。この複合機30は、図示しないインターフェース(I/F)によりHGW50を介してIPネットワーク11のGW20と接続されている。複合機30は、装置全体を制御する制御部31と、文字や画像データなどを印刷する印刷実行部32と、紙などの媒体の文字や画像などをスキャンして画像データとするスキャン実行部33と、制御部31が実行する各種プログラムを記憶したり印刷するためのデータを一時的に記憶したりスキャンにより得られる画像データを一時的に記憶したりするメモリー34と、ユーザーに各種情報を表示したりユーザーからの各種指示が入力されたりする操作部35と、メモリーカード37が接続されたときにメモリーカード37にデータを書き込んだりメモリーカード37に記憶されたデータを読み込んだりするためのメモリーカードドライバー36と、を備えている。なお、印刷実行部32は、各色のインクに圧力をかけこの加圧されたインクを記録紙に吐出することで画像データに基づく画像を記録紙に印刷する印刷処理を実行するインクジェット方式の機構である。なお、インクへ圧力をかける機構は、圧電素子の変形によるものとしてもよいしヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。また、スキャン実行部33は、ガラス台に載置された書類に向かって発光したあとの反射光を各色に分解して読取データとする周知のカラーイメージセンサーを走査して原稿を読み取るスキャナー機構として構成されている。
【0016】
FAX装置40は、FAXプロトコルの1つであるITU−T (International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector) 勧告のT.30方式により印刷コンテンツの送受信を行うG3対応FAXとして構成された装置である。このFAX装置40は、図示しないインターフェース(I/F)によりHGW60を介してIPネットワーク11のGW20と接続されている。FAX装置40は、装置全体を制御する制御部41と、文字や画像データなどを印刷する印刷実行部42と、紙などの媒体の文字や画像などをスキャンして画像データとするスキャン実行部43と、制御部41が実行する各種プログラムを記憶したり印刷するためのデータを一時的に記憶したりスキャンにより得られる画像データを一時的に記憶したりするメモリー44と、ユーザーに各種情報を表示したりユーザーからの各種指示が入力されたりする操作部45と、を備えている。なお、印刷実行部42は、単一感光体方式と中間転写方式とを採用したフルカラーの電子写真方式の印刷装置として構成されており、各色の画像の静電潜像をトナー像として現像し、記録紙に転写し加熱溶着させるものである。スキャン実行部43は、書類に向かって発光したあとの反射光を各色に分解して読取データとする周知のカラーイメージセンサーを走査して原稿を読み取るスキャナー機構として構成されている。
【0017】
HGW50は、複合機30とIPネットワーク11との間に設置され、ルーターとしての機能やプロトコル及びデータの変換を行う機能を備える装置であり、装置全体を制御する制御部51や、制御部51が実行する各種プログラムを記憶したりデータを一時的に記憶したりするメモリー54を備えている。なお、複合機30はHTTPによりデータの送受信が可能であるため、複合機30がIPネットワーク11とデータの送受信を行うにあたり、HGW50はプロトコル変換を行う必要はなくデータの中継のみを行う。また、HGW50には、複合機30以外にも他の機器(例えば、プリンターやIP電話など)が接続されていてもよい。
【0018】
HGW60は、FAX装置40とIPネットワーク11との間に設置され、HGW50と同様にルーターとしての機能やプロトコル及びデータの変換を行う機能を備える装置であり、装置全体を制御する制御部61や、制御部61が実行する各種プログラムを記憶したりデータを一時的に記憶したりするメモリー64を備えている。このHGW60は、FAX装置40と電話回線によって接続されており、VoIP(Voice over Internet Protocol)ゲートウェイとしての機能を備えている。すなわち、HGW60は、FAX装置40が送受信可能なT.30方式のアナログ信号とIPネットワークで利用可能なFAXプロトコルの1つであるみなし音声方式のIPパケットとを相互に変換して、FAX装置40がIPネットワーク11を介して印刷コンテンツの送受信を行えるようにしている。
【0019】
次に、こうして構成された本実施形態のGW20の動作、特に、複合機30からFAX装置40へ印刷コンテンツを送信する際のGW20の動作について説明する。図2は、複合機30とFAX装置40とがGW20及びHGW60を介して接続を確立し印刷コンテンツの送受信を行って接続を切断するまでのシーケンスを示す説明図であり、図3は、図2のシーケンスのうち実際に印刷コンテンツを送受信する印刷コンテンツ送受信処理についてのシーケンスを詳細に示した説明図である。なお、図2及び図3ではHGW50の記載については省略しているが、実際は複合機30とGW20とはHGW50を介してデータの送受信を行っている。
【0020】
複合機30からFAX装置40への印刷コンテンツの送信は、複合機30のユーザーが操作部35を操作して送信する印刷コンテンツの選択(例えば、ガラス台に載置されたスキャン実行部33に読み取らせる書類や、メモリーカード37に記憶されている画像データを選択する)及び送信先であるFAX装置40に割り当てられている固有の識別情報(例えば番号)の入力を行い、図示しない送信ボタンを押下することで開始される。ユーザーが送信ボタンを押下すると、複合機30の制御部31は、ユーザーにより入力された識別情報に割り当てられているFAX装置40とSIPによるセッションを確立する呼制御処理として、まず、GW20に向けてINVITEメッセージを送信する(ステップS100)。
【0021】
図4は複合機30がステップS100で送信するINVITEメッセージにおけるSDP(Session Description Protocol)の内容の一例である。図4のSDPはメディア記述部を構成している。SDPでは、「m=」行はメディア種類やトランスポートアドレスの情報を示す。図4の「m=」行では、「TCP(Transmission Control Protocol)」を用いてペイロードタイプ「newprint1」で規定されているアプリケーション(application)をポート番号「8080」で扱うことを意味している。ここで、「m=」行における「newprint1」の記述は、HTTPによる印刷コンテンツデータの送受信を含むことを識別するものとしても機能しており、この「newprint1」の記述により、印刷コンテンツを送信する端末がサーバー・クライアントモデルにおけるサーバーとして機能し、印刷コンテンツを受信する端末がサーバー・クライアントモデルにおけるクライアントとして機能してHTTPによる印刷コンテンツの送受信を行うものとしている。このことは、図4の「a=setup:passive」から送信側の端末である複合機30が「受動側」(サーバー)として機能することからも解る。SDPでは、「C=」行はセッションに含まれるメディアのアドレスを示す。図4の「C=」行では、「IN IP xxx.xxx.xxx.xxx」と記述することにより送信側である複合機30のIPアドレスが「xxx.xxx.xxx.xxx」であることが解る。また、図4の最終行の「a=」行の「newprint/capability.xml」の記述は、セッションが確立した後の印刷コンテンツを受信する端末からの最初の要求先のURLである。この記述により、サーバー・クライアントモデルにおけるクライアントとして機能する受信側の端末が最初に複合機30に対して要求する能力要求のURLを取得することができるようになっている。なお、図示しないが、FAX装置40が送信するINVITEメッセージのヘッダーには、送信先を特定する情報として、上述したFAX装置40固有の識別情報が記述されている。
【0022】
このINVITEメッセージをGW20が受信すると、GW20の制御部21は、処理中を意味する状態コードとしての「100Trying」を応答として複合機30に送信する(ステップS110)と共に、INVITEメッセージのヘッダーに記述されているFAX装置40固有の識別情報に基づいてFAX装置40のURIを特定してこのINVITEメッセージをHGW60に送信する(ステップS120)。なお、FAX装置40固有の識別情報に基づくFAX装置40のURIの特定は、例えば、IPネットワーク11のロケーション・サーバーに識別情報を送信して対応するURIを取得することにより行うことができる。
【0023】
HGW60がINVITEメッセージを受信すると、制御部61は、要求失敗を意味する状態コードとしての「4xx error」を送信側であるGW20に送信する(ステップS130)。図4に示したように、HGW60が受信したINVITEメッセージの「m=」行には「newprint1」 が記述されており、送信側がHTTPによる印刷コンテンツの送受信をFAX装置40に要求していることを表している。これに対し、FAX装置40はHGW60を介してみなし音声方式により印刷コンテンツの送受信を行うものであるため、この要求に応えることはできない。そのためHGW60は「m=」行に「newprint1」が記述されているINVITEメッセージに対しては「4xx error」を送信するのである。
【0024】
GW20がこの「4xx error」 を受信すると、制御部21は、印刷コンテンツの受信側の端末がHTTPによる印刷コンテンツの送受信に対応していないと判定して、ステップS100で複合機30から受信したINVITEメッセージに代えて、「m=」行に「newprint1」ではなく「audio」が記述されているINVITEメッセージをHGW60に送信する(ステップS140)。ここで、「m=」行における「audio」 の記述は、みなし音声方式による印刷コンテンツの送受信を含むことを識別するものとして機能するものである。このINVITEメッセージをHGW60が受信すると、制御部61は、みなし音声方式による印刷コンテンツの送受信を行うためにSIPによるセッションを確立するべく、呼び出し中を意味する状態コードとしての「180Ringing」を応答としてGW20に送信する(ステップS150)と共に、FAX装置40に呼出信号を送信する(ステップS160)。GW20の制御部21は、ステップS150の「180Ringing」を受信すると複合機30に「180Ringing」を転送する(ステップS170)。一方、FAX装置40の制御部41は、ステップS160の呼出信号を受信すると、応答信号をHGW60に送信する(ステップS180)。そしてHGW60が応答信号を受信すると、制御部61は、セッションを確立するための呼び出しに対する成功を意味する状態コードとしての「200 OK」をGW20に送信し(ステップS190)、これを受信したGW20の制御部21は「200 OK」を複合機30に送信する(ステップS200)。
【0025】
図5はGW20がステップS200で送信する「200 OK」のメッセージにおけるSDPの内容の一例である。図5の「m=」行では、「TCP」を用いてペイロードタイプ「newprint1」で規定されているアプリケーション(application)をポート番号「3180」で扱うことを意味している。また、図5の「newprint1」及び「a=setup:active」から、印刷コンテンツの受信側(ここではGW20)が「能動側」(クライアント)として機能してHTTPによる印刷コンテンツの送受信を行うことを表していることが解る。これに対し、ステップS190でGW20が受信する「200 OK」は、みなし音声方式による印刷コンテンツの送受信を行う際のSIPによるセッションの確立で用いられるものであり、「m=」行には「newprint1」ではなく「audio」が記述されている。
【0026】
そして、ステップS200の「200 OK」を受信した複合機30の制御部31は、INVITEメッセージに対する最終応答の受信確認として状態コードとしての「ACK」をGW20に送信し(ステップS210)、GW20の制御部21は受信した「ACK」をHGW60に転送する(ステップS220)。以上のステップS100〜S220の呼制御処理により、GW20は、HTTPによる印刷コンテンツの送受信を行うためのセッションをSIPにより複合機30と確立するとともに、みなし音声方式による印刷コンテンツの送受信を行うためのセッションをSIPによりHGW60と確立することになる。
【0027】
上述した呼制御処理が終了すると、GW20の制御部21は、FAX通信の準備を行うFAX通信開始処理として、まず、FAX通信の開始を要求する「CNG(calling tone)」をHGW60に送信する(ステップS230)。そして、HGW60の制御部61は受信した「CNG」をFAX装置40に転送し(ステップS240)、「CNG」を受信したFAX装置40の制御部41はFAX通信を開始できる旨を伝える「CED(called terminal identification)」をHGW60に送信し(ステップS250)、HGW60の制御部61は受信した「CED」をGW20に送信する(ステップS260)。以上のステップS230〜S260のFAX通信開始処理は、みなし音声方式及びT.30方式で規定されている処理であり、通常は送信側の端末が「CNG」を送信することにより開始されるものである。複合機30はHTTPにより印刷コンテンツの送受信を行う装置でありこのFAX通信開始処理は行わないため、GW20が「CNG」を送信するのである。このFAX通信開始処理により、FAX装置40がFAX通信を行う準備が整う。
【0028】
FAX通信開始処理が終了すると、GW20の制御部21は、今回の印刷コンテンツの送受信で使用する能力を調整するための能力調整処理として、まず、複合機30に送信側能力要求を送信する(ステップS270)。この送信側能力要求は、印刷コンテンツを複合機30が送信する能力を表す送信側能力情報をGW20へ送信する旨の要求である。図6は、送信側能力要求の内容の一例を示す説明図である。送信側能力要求の01行には「要求」を示すコマンド「GET」及びステップS100で複合機30から受信したINVITEメッセージに記述されていた最初の要求先のURLである「newprint/capability.xml」が記述されている。また、02行はステップS100で複合機30から受信したINVITEメッセージから得られる複合機30のIPアドレスであり、03行はXMLのテキストを受け付ける意である。なお、このステップS270の送信側能力要求の送信は、呼制御処理の終了以降であれば行うことが可能である。例えば、FAX通信開始処理を行っている間にステップS270の処理を行ってもよい。そして、複合機30の制御部31は、この送信側能力要求を受信すると、送信側能力情報を含む送信側能力応答をGW20に送信する(ステップS280)。この送信側能力情報で表される送信側能力には、送信可能な画像データのサイズ、画像データの解像度、tiffやjpegなど印刷コンテンツを生成する符号化種別、カラー,モノクロなどの色種別、が含まれる。
【0029】
図7は、送信側能力応答の一例を示す説明図である。送信側能力応答の01行は要求に対して成功を意味する「200 OK」であり、02行は内容の種別がXMLのテキストであることを意味し、03行は長さを表す。そして、複合機30の送信側能力情報は08行〜40行に記述されており、この例からは、送信可能な画像サイズ(10行の「MediaSize」)はA3,B4,A4,B5サイズ(12行〜15行)であり、解像度(19行の「PrintQuality」)は200×200dpi,300×300dpi,400×400dpi(21行〜23行)であり、符号化種別(27行の「DocumentFormat」)はtiff(29行の「img/tiff」)であり、色種別(33行の「MonoColor」)はカラー,モノクロ(35行、36行)であることが解る。また、この送信側能力応答の42行には、次に印刷コンテンツの受信側からページ情報要求する際のURL(「newprint/capability1.xml」)が記述されている。このURLは、ステップS100で制御部31が送信したINVITEメッセージにおけるSDPで記述した複合機30のIPアドレス「xxx.xxx.xxx.xxx」(図6では02行の「HOST:xxx.xxx.xxx.xxx」)からの相対アドレスとなっている。さらに、43行には、ステータス変更情報を受け取るためのURL(「newprint/event/」)が記述されている。このステータス変更情報を受け取るためのURLは、印刷コンテンツの受信側が正常とは異なる状態、例えば受信した印刷コンテンツを印刷する際に紙詰まりが生じたときなどに複合機30が情報を受け取るためのURLである。
【0030】
一方、FAX装置40の制御部41は、FAX通信開始処理が終了すると、能力調整処理として、印刷コンテンツをFAX装置40が受信して印刷する能力を表す受信側能力情報やFAX装置40の通信速度を表す通信速度情報を含む「DIS(digital identification signal)」をHGW60に送信する(ステップS290)。この「DIS」は64ビットの情報であり、受信側能力情報としては、受信及び印刷が可能な画像データのサイズ、画像データの解像度、tiffやjpegなど印刷コンテンツを生成する符号化種別、カラー,モノクロなどの色種別、が含まれている。ここでは、受信側能力情報で表されるFAX装置40の受信側能力は、画像データのサイズがA4,B5、解像度が200×200dpi、符号化種別がtiff,色種別がカラー,モノクロ、であり、通信速度情報で表されるFAX装置40の通信速度は14.4kビット/秒であるものとした。この「DIS」をHGW60が受信すると、制御部61は、受信した「DIS」をGW20に送信する(ステップS300)。
【0031】
GW20がステップS280の送信側能力応答及びステップS300の「DIS」を受信すると、制御部21は、送信側能力応答に含まれる送信側能力情報で表される送信側能力の範囲内及び「DIS」に含まれる受信側能力情報で表される受信側能力の範囲内で、今回の印刷コンテンツの送受信で使用する使用能力を決定する(ステップS310)。具体的には、送信側能力と受信側能力とに共に含まれる最大の能力を使用能力に決定する。例えば、画像データのサイズについては、送信側能力はA3,B4,A4,B5であり受信側能力がA4,B5であるので、両方に含まれる最大の能力であるA4を使用能力に決定する。同様にして、解像度は200×200dpi,符号化種別はtiff,色種別はカラー、が使用能力として決定される。そして、使用能力を決定すると、制御部21は、使用能力を表す使用能力情報及びステップS300で受信した「DIS」に含まれる通信速度情報を含む「DCS(digital command signal)」をHGW60に送信して決定した使用能力及び通信速度を通知する(ステップS320)。この「DCS」をHGW60が受信すると、制御部61は、受信した「DCS」をFAX装置40に送信する(ステップS330)。これにより、FAX装置40は今回の印刷コンテンツの送受信で使用する能力及び通信速度を知ることができる。以上のステップS270〜S330で能力調整処理は終了する。ここで、「newprint1」で規定されたHTTPによる印刷コンテンツの送受信を行うときには、通常は受信側の端末がサーバー・クライアントモデルにおけるクライアントとして機能するため、受信側の端末が送信側能力要求を行って送信側能力情報を取得し、受信側の端末が使用能力を決定することになっている。一方、みなし音声方式及びT.30方式では、受信側の端末が受信側能力情報を送信し、送信側の端末が使用能力を決定して受信側の端末に通知することになっている。そのため、上述した能力調整処理においてGW20がHTTPにおける受信側の端末の役割を果たすと共にみなし音声方式における送信側の端末の役割を果たすことによって、複合機30とFAX装置40の能力の範囲内での使用能力の決定を行っているのである。なお、みなし音声方式及びT.30方式では、受信側の端末が受信側能力情報の他に受信側の通信速度情報も送信し、印刷コンテンツを送受信する通信速度についても送信側の端末が決定することになっている。しかし「newprint1」で規定されたHTTPにおいては、通信速度の決定は行わないため、GW20はステップS300で受信した「DIS」に含まれる通信速度情報をそのまま今回使用する通信速度として「DCS」に含めてステップS320で送信することとしている。
【0032】
上述した能力調整処理が終了すると、GW20の制御部21は、GW20とFAX装置40との間の通信回線の状況を確認する回線状況確認処理として、まず、トレーニング信号である「TCF(training check)」をステップS320で送信した通信速度情報で表される通信速度でHGW60に送信する(ステップS340)。そして、HGW60の制御部61は受信した「TCF」をFAX装置40に転送し(ステップS350)、FAX装置40の制御部41は受信した「TCF」に1ビットもエラーがなければ、エラーがない旨を伝える信号である「CFR(confirmation to receive)」をHGW60に送信し(ステップS360)、HGW60の制御部61は受信した「CFR」をGW20に送信する(ステップS370)。このステップS340〜S370の回線状況確認処理により、ステップS320で通知した通信速度で通信が可能であることが確認でき、以降の印刷コンテンツの送受信をこの通信速度で行うことが決定される。この回線状況確認処理は、みなし音声方式及びT.30方式で規定されている処理であり、通常は送信側の端末が「TCF」を送信することにより開始されるものである。複合機30はHTTPにより印刷コンテンツの送受信を行う装置でありこの回線状況確認処理は行わないため、GW20が「TCF」を送信するのである。なお、図2では図示していないが、ステップS350でFAX装置40が受信した「TCF」にエラーがあるときには、制御部41はエラーがある旨を伝える信号である「FTT(failure to train)」をHGW60を介してGW20に送信し、GW20は通信速度を1段階下げて再度「TCF」をHGW60に送信することになる。そして、通信速度を順次下げて「TCF」と「FTT」の送受信を繰り返し、FAX装置40から「CFR」を受信したときの通信速度が今回使用する通信速度として最終的に決定される。
【0033】
回線状況確認処理が終了すると、GW20の制御部21は、印刷コンテンツを複合機30からFAX装置40へ送信する印刷コンテンツ送受信処理として、まず、ステップS280の送信側能力応答に記述されたURL(図7の42行の「newprint/capability1.xml」)を用いてページ情報要求を複合機30に送信し(ステップS380(図3参照))、このページ情報要求を受信した複合機30の制御部31からページ情報応答を受信する(ステップS390)。ページ情報要求の一例を図8に示す。ページ情報要求の01行に記載された「newprint/capability1.xml」は図7の能力応答の42行の「newprint/capability1.xml」と同一であることが解る。ページ情報応答の一例を図9に示す。ページ情報応答の09行には1ページ目の印刷コンテンツデータのURL「newprint/scanprint.tiff」が記述されており、10行には印刷コンテンツにおける次のページのURL「newprint/capability2.xml」が記述されているのが解る。GW20の制御部21は、複合機30からのページ情報応答を受信すると、このページ情報応答に印刷コンテンツデータのURLや印刷コンテンツにおける次のページのURLがあれば、これらのURLを取得する。
【0034】
続いて、GW20の制御部21は、1ページ分の印刷コンテンツデータを複合機30からFAX装置40へ送信するページ送受信処理を行う。このページ送受信処理では、制御部21は、まず、受信した最も新しいページ情報応答の09行に記述されたURLを用いて、印刷コンテンツデータを送信するよう要求するデータ要求を複合機30に送信する(ステップS400)。従って、1ページ目のページ送受信処理では、ステップS390で取得したURL(図9のページ情報応答の09行の「newprint/scanprint.tiff」)を用いてデータ要求を行う。このデータ要求の一例を図10に示す。データ要求の01行に記述された「newprint/scanprint.tiff」は図9のページ情報応答の09行の「newprint/scanprint.tiff」と同一であることが解る。また、このデータ要求には能力調整処理で決定した使用能力の通知が伴っている。具体的には図10のデータ要求の01行に記述された「MediaSize=iso_A4_210x297mm」が画像データのサイズはA4であることを表し、「PrintQuality=200×200」が解像度は200×200dpiであることを表し、「DocumentFormat=img/tiff」が符号化種別はtiffであることを表し、「MonoColor=color」が色種別はカラーであることを表している。このデータ要求を送信することにより、GW20は、決定した使用能力で印刷コンテンツデータを送信するよう複合機30に要求を行うのである。そして、このデータ要求を受信した複合機30の制御部31は、呼制御処理の前に複合機30のユーザーが送信することを選択した印刷コンテンツのうちデータ要求で指定されたURLで特定される印刷コンテンツデータを、データ要求で通知された使用能力で作成する。例えば、ユーザーがガラス台に載置された書類を印刷コンテンツとして選択したときは、図9のデータ要求では1ページ目の印刷コンテンツデータが要求されているため、データ要求で通知された使用能力でガラス台に載置された書類をスキャン実行部33に読み取らせて1ページ目の印刷コンテンツデータを作成する。また、ユーザーがメモリーカード37に記憶されている画像データを印刷コンテンツとして選択したときには、画像データを必要に応じてデータ要求で通知された使用能力のデータに変換して印刷コンテンツデータを作成する。続いて、制御部31は、作成した1ページ分の印刷コンテンツデータを含むデータ応答をGW20に送信する(ステップS410)。
【0035】
GW20は、複合機30からステップS410のデータ応答を順次受信してデータ応答に含まれる1ページ分の印刷コンテンツデータをメモリー24に記憶すると共に、記憶した印刷コンテンツデータを回線状況確認処理で決定した通信速度で順次HGW60に送信する(ステップS420)。なお、ステップS410でGW20が受信するデータ応答はIPパケットとして分割された状態で複合機30から順次送信される。このため、制御部21は、1ページ分の印刷コンテンツデータを全て受信してメモリー24に記憶する処理と並行して、順次記憶した印刷コンテンツデータをみなし音声方式で用いる形式に変換してHGW60に送信するステップS420の処理を行う。そして、HGW60は、ステップS420でGW20から送信された1ページ分の印刷コンテンツデータを受信し順次T.30方式で用いるアナログ信号に変換してFAX装置40に送信する(ステップS430)。
【0036】
GW20の制御部21は、ステップS410で複合機30から送信されるデータ応答を全て受信すると、次ページのデータの有無を確認するためページ情報要求を行う(ステップS440)。このステップS440のページ情報要求は、上述したステップS380のページ情報要求と同様である。ただし、01行に記述されるURLは、ステップS280で受信した送信側能力応答に記述されたURLではなく、受信した最も新しいページ情報応答の10行に記述された印刷コンテンツにおける次のページのURLである。従って、2ページ目のデータの有無を確認するページ情報要求では、ステップS390で受信したページ情報応答の10行に記載されたURL(図9の10行の「newprint/capability2.xml」)が01行に記述される。なお、このステップS440の処理は、ステップS410で複合機30から送信されるデータ応答を全て受信した以降に行えばよく、印刷コンテンツデータを順次HGW60に送信するステップS420の実行中に行ってもよいし、実行後に行ってもよい。そして、このステップS440で送信されたページ情報要求を受信した複合機30の制御部31は、ページ情報応答をGW20に送信する(ステップS450)。このステップS450のページ情報応答は、上述したステップS390のページ情報応答と同様である。ただし、ページ情報応答の09行には、ステップS440でGW20から受信したページ情報要求の01行に記述されたURLで指定されたページの印刷コンテンツデータのURLが記述され、ページ情報応答の10行には、ステップS440でGW20から受信したページ情報要求の01行に記述されたURLで指定されたページの次のページのURLが記述される。GW20がステップS450のページ情報要求を受信すると、制御部21は、受信したページ情報応答の09行に印刷コンテンツデータのURLが記述されているか否かを調べ、URLが記述されているときには次ページが有ると判定する。
【0037】
そして、制御部31は、ステップS420における1ページ分の印刷コンテンツデータの送信が全て終了し、且つ、ステップS450で受信したページ情報応答により次ページが有ると判定すると、次ページが有ることを表す信号である「MPS(multipage signal)」をHGW60に送信する(ステップS460)。続いて、HGW60の制御部61は、ステップS430における1ページ分の印刷コンテンツデータの送信が全て終了し、且つステップS460の「MPS」を受信すると、受信した「MPS」をFAX装置40に送信して次ページが有ることを伝える(ステップS470)。「MPS」を受信したFAX装置40の制御部41はステップS430におけるHGW60からの印刷コンテンツデータの受信が完了した旨を通知する「MCF(message confirmation)」をHGW60に送信する(ステップS480)と共に受信した印刷コンテンツデータの印刷を行う。そして、「MCF」を受信したHGW60の制御部61は、GW20に「MCF」を送信する(ステップS490)。
【0038】
以上のステップS400〜S490によりページ送受信処理が終了する。以降は、印刷コンテンツの最終ページの1ページ前の送受信が完了するまでステップS400〜S490のページ送受信処理を繰り返す。そして、印刷コンテンツの最終ページのページ送受信処理では、図3に示すようにステップS500〜S540についてはステップS400〜S440と同様の処理であるが、ステップS540のページ情報要求を受信した複合機30の制御部31は次のページが無いことを表すページ情報応答を行う(ステップS550)。このページ情報応答の一例を図11に示す。図11では、ページ情報応答の09行の「none」及び10行の「none」から印刷コンテンツデータのURLも次のページのURLもないことが解る。このようなページ情報応答を受信したGW20の制御部21は、ページ情報応答の09行に印刷コンテンツデータのURLが記述されていないため次のページが無いと判定する。
【0039】
そして、制御部31は、ステップS520における1ページ分の印刷コンテンツデータの送信が全て終了し、且つ、ステップS550で受信したページ情報応答により次ページが無いと判定すると、次ページが無いことを表す信号である「EOP(end of procedure)」をHGW60に送信する(ステップS560)。続いて、HGW60は受信した「EOP」をFAX装置40に送信して次ページが無いことをFAX装置40に伝え(ステップS570)、「EOP」を受信したFAX装置40の制御部41はステップS530におけるHGW60からの印刷コンテンツデータの受信が完了した旨を通知する「MCF(message confirmation)」をHGW60に送信する(ステップS580)と共に受信した印刷コンテンツデータの印刷を行う。そして、「MCF」を受信したHGW60の制御部61は、GW20に「MCF」を送信する(ステップS590)。以上のステップS500〜S590により最終ページのページ送受信処理を行うことで、印刷コンテンツ送受信処理が終了する。この印刷コンテンツ送受信処理においても、能力調整処理と同様に、GW20がサーバー・クライアントモデルにおけるクライアントとして機能してサーバーとしての複合機30からHTTPによる印刷コンテンツの受信を行うと共に、GW20がみなし音声方式における送信側の端末として機能してFAX装置40への印刷コンテンツの送信を行っている。
【0040】
印刷コンテンツ送受信処理が終了すると、GW20の制御部21は、セッションを終了する呼切断処理として、複合機30にセッションを終了するための状態コードとしての「BYE」を送信し(ステップS600)、「BYE」を受信した複合機30の制御部31が送信する「200 OK」を制御部21が受信することで(ステップS610)、複合機30との接続が終了する。また、GW20の制御部21は、HGW60に対しても通信の切断を通知する「DCN(disconnect)」を送信し(ステップS620)、HGW60の制御部61は受信した「DCN」をFAX装置40に送信する(ステップS630)。続いて、制御部21は、ステップS620の「DCN」を送信した後に「BYE」をHGW60に送信する(ステップS640)。そして、「BYE」を受信したHGW60の制御部61はFAX装置40に切断信号を送信する(ステップS650)と共に話中音を流し(ステップS660)、これを受けたFAX装置40の制御部41が終話信号をHGW60に送信する(ステップS670)と、HGW60の制御部61はGW20に「BYE」を送信する(ステップS680)。これによりFAX装置40との接続が終了する。
【0041】
ここで、第1実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。第1実施形態の複合機30が本発明の送信側端末に相当し、FAX装置40及びHGW60が受信側端末に相当し、GW20がゲートウェイに相当し、メモリー24が記憶手段に相当し、呼制御処理を実行する制御部21が接続確立手段に相当し、印刷コンテンツ送受信処理を行う制御部21が印刷コンテンツ送受信手段に相当し、能力調整処理を行う制御部21が使用能力調整手段に相当する。また、みなし音声方式がFAXプロトコルに相当する。
【0042】
以上詳述した第1実施形態では、GW20の制御部21が、複合機30から送信されたINVITEメッセージの受信に基づいて、複合機30とHGW60及びFAX装置40との接続の確立をSIPにより行う。そして、接続を確立すると、印刷コンテンツデータを要求するデータ要求をHTTPで用いる形式で複合機30に送信し、複合機30からHTTPで用いる形式で印刷コンテンツデータを含むデータ応答を受信すると、受信した印刷コンテンツデータをメモリー24に記憶する。そして、メモリー24に記憶した印刷コンテンツデータをみなし音声方式で用いる形式に変換してHGW60及びFAX装置40に送信する。これにより、印刷コンテンツをHTTPにより送信する複合機30から印刷コンテンツをみなし音声方式により受信して印刷するHGW60及びFAX装置40に対して印刷コンテンツの送信が可能になる。また、GW20の制御部21が能力調整処理を行って複合機30の送信側能力の範囲内且つFAX装置40の受信側能力の範囲内で決定した使用能力で印刷コンテンツの送受信が行われるため、FAX装置40が印刷コンテンツを適正に受信して印刷することができる。さらに、ステップS410,S510の印刷コンテンツデータを受信してメモリー24に記憶する処理と並行して、記憶した印刷コンテンツデータをHGW60及びFAX装置40に送信するステップS420,S520の処理を行うため、印刷コンテンツを全て受信してからHGW60及びFAX装置40へ送信する場合と比較して複合機30からFAX装置40への印刷コンテンツの送信が短時間で完了すると共に、メモリー24の記憶容量が小さくて済む。さらにまた、ステップS410,S510で1ページ分の印刷コンテンツデータを受信する毎にページ情報要求を複合機30に送信し、複合機30から受信したページ情報応答の09行の情報に基づいて次ページのデータの有無を判定し、ステップS420,S520で1ページ分の印刷コンテンツデータをHGW60に送信する毎に「MPS」又は「EOP」を送信して判定した次ページのデータの有無をHGW60及びFAX装置40に送信するため、1ページ毎に次ページのデータの有無を適切にHGW60及びFAX装置40に通知できる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図12は、第2実施形態であるゲートウェイ(GW)120を備えた印刷システム110の構成の概略の一例を示す構成図である。なお、印刷システム110の構成要素のうち、印刷システム10と同じものについては同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
図12に示すように、印刷システム110は、GW120及びSIPプロキシー・サーバー122を備えたIPネットワーク111と、GW120と接続され交換機152を備えたPSTN(Public Switched Telephone Networks)150と、を備えている。また、複合機30はHGW50を介してIPネットワーク111に接続され、FAX装置40はHGWを介さずにPSTN150に接続されている。
【0045】
IPネットワーク111は、IPネットワーク11と同様、例えば、次世代ネットワーク(NGN(Next Generation Network))として構成されており、GW120及びSIPプロキシー・サーバー122の他にも、IPメッセージを中継する図示しないSIPプロキシー・サーバーや、ユーザー・エージェントの位置情報を記憶する図示しないロケーション・サーバーを備えている。
【0046】
GW120は、プロトコル及びデータの変換を行うことで、IPネットワーク111とPSTN150の間のデータのやり取りを可能にする装置である。具体的には、HTTPで用いられるデータとFAXプロトコルの1つであるT.30方式で用いられるデータとの間でプロトコル及びデータの変換を相互に行って、HTTPにより印刷コンテンツの送受信を行う装置(例えば、複合機30)とT.30方式により印刷コンテンツの送受信を行う装置(例えば、FAX装置40)との接続及び印刷コンテンツの送受信を可能にする。このGW120は、装置全体を制御する制御部121と、制御部121が実行する各種プログラムを記憶したり一時的にデータを記憶したりするメモリー124と、を備えている。なお、GW120は、第1実施形態と異なりSIPプロキシー・サーバーとしての機能は備えていないものとした。
【0047】
SIPプロキシー・サーバー122は、IPネットワーク111に接続されたユーザー・エージェント間のSIPによる接続の確立や切断を行う装置である。このSIPプロキシー・サーバー122は、複合機30と接続されており、複合機30とGW120との間でIPメッセージの中継を行うことが可能な装置である。
【0048】
PSTN150は、公衆電話回線網として構成されており、交換機152の他にも図示しない他の交換機を複数備えている。交換機152は、PSTN150に接続されたFAX装置間や電話機間で接続を確立して通信を可能にする装置であり、GW120とFAX装置40との間でT.30方式のデータの中継を行うことが可能である。
【0049】
次に、こうして構成された本実施形態のGW120の動作、特に、複合機30からFAX装置40へ印刷コンテンツを送信する際のGW120の動作について説明する。図13は、複合機30とFAX装置40とがGW120及び交換機152を介して接続を確立し印刷コンテンツの送受信を行って接続を切断するまでのシーケンスを示す説明図である。なお、このシーケンスの各処理のうち、第1実施形態において図2を用いて説明したシーケンスと同じ処理については、同じステップ番号を付し、その説明を省略する。また、図13ではHGW50及びSIPプロキシー・サーバー122の記載については省略しているが、実際は複合機30とGW120とはHGW50及びSIPプロキシー・サーバー122を介してデータの送受信を行っている。
【0050】
複合機30からFAX装置40への印刷コンテンツの送信は、第1実施形態と同様に、複合機30のユーザーによって開始され、複合機30の制御部31は呼制御処理として、まず、SIPプロキシー・サーバー122に向けてINVITEメッセージを送信し、SIPプロキシー・サーバー122は受信したINVITEメッセージをGW120に送信する(ステップS800)。なお、INVITEメッセージを受信したSIPプロキシー・サーバー122は、INVITEメッセージのヘッダーに記述されているFAX装置40固有の識別情報に基づいて、INVITEメッセージの送信先であるFAX装置40がIPネットワーク111とPSTN150とのいずれに接続されている装置かを判定し、PSTN150に接続されている装置であると判定したときにGW120にINVITEメッセージを送信するようになっている。なお、この判定は、例えば、IPネットワーク11のロケーション・サーバーにFAX装置40固有の識別情報を送信して対応するURIを取得し、そのURIに基づいて行うものとしてもよいし、ロケーション・サーバーからURIと共にIPネットワーク111とPSTN150とのいずれに接続されているかを表す情報を取得し、取得した情報により行うものとしてもよい。
【0051】
GW120がINVITEメッセージを受信すると、制御部121は、T.30方式によりFAX装置40と接続を行うべく、交換機152に発呼信号を送信する(ステップS810)。ここで、第1実施形態では、ステップS100のINVITEメッセージを受信した制御部61は、FAX装置40がIPネットワーク11に接続されており複合機30が要求するHTTPによる印刷コンテンツの送受信に対応しているか否かが不明であるため、受信したINVITEメッセージを転送するステップS120の処理を実行するものとした。これに対して第2実施形態では、INVITEメッセージの送信先がPSTN150に接続された装置である場合にのみGW120はステップS800のINVITEメッセージを受信するため、最初からT.30方式による接続を開始するのである。そして、発呼信号を受信した交換機152から送信される発信音(ダイヤル・トーン)をGW120が受信すると(ステップS820)、制御部121は、INVITEメッセージに含まれているFAX装置40固有の識別情報又はそれにより特定したURIに基づいて、FAX装置40の電話番号を選択信号として交換機152に送信する(ステップS830)。選択信号を受信した交換機152は、呼び出し中を意味する呼出音をGW120に送信する(ステップS840)と共に、FAX装置40に呼出信号を送信し(ステップS160)、FAX装置40からの応答信号を受信する(ステップS180)。そして、応答信号を受信した交換機152がGW120に応答信号を送信すると(ステップS850)、これを受信したGW120は「200 OK」を複合機30に送信し(ステップS200)、複合機30から送信される「ACK」を受信する(ステップS210)。以上の呼制御処理により、GW120は、HTTPによる印刷コンテンツの送受信を行うためのセッションをSIPにより複合機30と確立するとともに、交換機152を介してFAX装置40とT.30方式による印刷コンテンツの送受信を行うための接続を確立することになる。
【0052】
以降のFAX通信開始処理,能力調整処理,回線状況確認処理,印刷コンテンツ送受信処理については、GW120がHGW60ではなく交換機152を介してFAX装置40とデータの送受信を行う点と、GW120と交換機152との間でやり取りされるデータがみなし音声方式ではなくT.30方式で用いる形式のデータである点と、が第1実施形態と異なるのみであり、処理の手順やデータの表す内容は同じである。そのためこれらの処理については説明を省略するとともに、印刷コンテンツ送受信処理については図示を省略する。
【0053】
そして、印刷コンテンツ送受信処理が終了すると、GW120の制御部121は、セッションを終了する呼切断処理として、複合機30との間で上述したステップS600〜S610の処理を行って複合機30との接続を終了する。また、GW120の制御部121は、交換機152に対して通信の切断を通知する「DCN(disconnect)」をT.30方式で用いる形式で送信し(ステップS620)、交換機152は受信した「DCN」をFAX装置40に送信する(ステップS630)。続いて、制御部21は、ステップS620の「DCN」を送信した後に切断信号を交換機152に送信する(ステップS860)。そして、切断信号を受信した交換機152はFAX装置40に切断信号を送信する(ステップS650)と共に話中音を流し(ステップS660)、これを受けたFAX装置40の制御部41が終話信号を交換機152に送信する(ステップS670)。これにより、FAX装置40との接続が終了する。
【0054】
ここで、第2実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。第2実施形態の複合機30が本発明の送信側端末に相当し、FAX装置40が受信側端末に相当し、GW120がゲートウェイに相当し、メモリー124が記憶手段に相当し、呼制御処理を実行する制御部121が接続確立手段に相当し、印刷コンテンツ送受信処理を行う制御部121が印刷コンテンツ送受信手段に相当し、能力調整処理を行う制御部121が使用能力調整手段に相当する。また、T.30方式がFAXプロトコルに相当する。
【0055】
以上詳述した第2実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、印刷コンテンツをHTTPにより送信する複合機30から印刷コンテンツをT.30方式により受信して印刷するFAX装置40に対して印刷コンテンツの送信が可能になる効果や、GW120の制御部121が能力調整処理を行うことでFAX装置40が印刷コンテンツを適正に受信して印刷可能になる効果や、印刷コンテンツを全て受信してからFAX装置40へ送信する場合と比較して複合機30からFAX装置40への印刷コンテンツの送信が短時間で完了すると共にメモリー24の記憶容量が小さくて済む効果や、1ページ毎に次ページのデータの有無を適切にFAX装置40に通知できる効果を得ることができる。
【0056】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、印刷コンテンツ送受信処理において、GW20,120は、ステップS460,S560の次ページの有無を送信する処理の前にページ情報応答を複合機30から受信して次ページの有無を確認しているが、複合機30から次ページの有無を表す情報を受信しなくてもよい。例えば、次ページの印刷コンテンツデータを実際に受信したときに次ページがあるものと判定してFAX装置40に「MPS」を送信し、一定時間の次ページの印刷コンテンツデータを受信しないときに次ページがないものと判定してFAX装置40に「EOP」を送信するものとしてもよい。
【0058】
上述した実施形態では、印刷コンテンツ送受信処理において、GW20,120は、複合機30からステップS410,S510で受信した1ページ分の印刷コンテンツデータをメモリー24,124に記憶すると共に、記憶した印刷コンテンツデータを順次FAX装置40に送信するステップS420,S520の処理を行うものとしたが、ステップS410,S510の受信が全て完了してから、ステップS420,520の処理を行うものとしてもよい。
【0059】
上述した実施形態では、GW20,120は、使用能力を決定する能力調整処理を行ったあと印刷コンテンツ送受信処理を行っているが、このような能力調整処理を行わなくてもよい。例えば、複合機30が送信側能力の範囲で送信した印刷コンテンツデータを、GW20がFAX装置40の受信側能力で受信及び印刷可能な範囲のデータに変換するものとしてもよい。
【0060】
上述した実施形態では、GW20,120は、複合機30から1ページ分の印刷コンテンツデータを含むデータ応答を受信するものとしたが、1ページ分を複数回に分けて受信するものとしてもよい。例えば、複合機30がページ情報応答に1ページ分の印刷コンテンツデータのデータ長を表す情報を付加してGW20,120に送信するものとし、GW20,120は、受信したデータ長に基づいて1回のデータ応答で要求するデータ長を表す情報をデータ要求に付加して複合機30に送信するものとしてもよい。この場合、データ要求及びデータ応答の送受信を複数回行って1ページ分の印刷コンテンツデータをGW20,120が受信することになる。このようにすれば、FAX装置40に印刷コンテンツデータを送信する通信速度やメモリー24,124の空き容量に応じて、GW20,120が適切なデータ長を指定して印刷コンテンツデータを受信することができる。
【0061】
上述した第1実施形態のGW20はSIPプロキシー・サーバーの機能を備えているものとしたが、SIPプロキシー・サーバーの機能を備えていないものとしてもよい。この場合、第2実施形態と同様に、複合機30はまずSIPプロキシー・サーバーにINVITEメッセージを送信し、SIPプロキシー・サーバーはINVITEメッセージの送信先の装置がHTTPとFAXプロトコルとのいずれの方式で印刷コンテンツデータの送受信を行うかを送信先のURIなどの情報により判定して、送信先の装置がFAXプロトコルによる印刷コンテンツデータの送受信を行う場合にのみGW20にINVITEメッセージを送信するようにすればよい。こうすれば、GW20は、ステップS100のINVITEメッセージを受信するとステップS140の処理を行えばよく、ステップS120〜130の処理を行う必要がなくなる。また、GW20がSIPプロキシー・サーバーの機能を備えている場合でも、INVITEメッセージの送信先の装置がHTTPとFAXプロトコルとのいずれの方式で印刷コンテンツデータの送受信を行うかを送信先のURIなどの情報により判定するものとすれば、同様にステップS120〜S130の処理を行う必要がなくなる。第2実施形態のGW120についても同様であり、GW120がSIPプロキシーサーバーの機能を備えているものとしてもよい。また、GW20,120はSIPプロキシーサーバーの機能に加えてロケーション・サーバーの機能を備えており、装置固有の識別情報とその装置のURIとその装置がHTTPとFAXプロトコルとのいずれの方式で印刷コンテンツデータの送受信を行うかの情報とを対応づけて記憶しているものとしてもよい。こうすれば、INVITEメッセージの送信先の装置がいずれの方式で印刷コンテンツデータの送受信を行うかをGW20,120のみで判定できる。
【0062】
上述した実施形態では、複合機30は印刷実行部32,スキャン実行部33,メモリーカードドライバー36を備えるものとしたが、HTTPにより印刷コンテンツデータの送信を行うことができればどのような装置であってもよく、これらの一部又は全部を備えないものとしてもよい。例えば、印刷コンテンツを格納したりFAX装置40に配信したりするポスティングサーバーであってもよい。
【0063】
上述した第1実施形態では、FAX装置40がHGW60を介してみなし音声方式によりGW20と印刷コンテンツデータの送受信を行うものとしたが、FAX装置40自体がみなし音声方式による印刷コンテンツデータの送受信可能な装置であってもよい。その場合、HGW60は無くてもよいし、データの中継のみを行ってもよい。
【0064】
上述した実施形態では、GW20がHTTPとみなし音声方式との間でプロトコル及びデータの変換を行い、GW120がHTTPとT.30方式との間でプロトコル及びデータの変換を行うものとしたが、印刷可能な印刷コンテンツをHTTPにより送信する送信側端末と、印刷コンテンツをFAXプロトコルにより受信して印刷する受信側端末と、の間で信号の変換を行うものであれば、どのようなゲートウェイでもよい。例えば、T.30方式で印刷コンテンツの送受信を行うG1,G2,SuperG3対応のFAX装置と複合機30との間で信号の変換を行うものとしてもよい。また、みなし音声方式及びT.30方式以外の他のFAXプロトコルとHTTPとの間で信号の変換を行うものとしてもよい。他のFAXプロトコルとしては、例えば、T38方式(リアルタイム方式)やG4対応のFAX装置のプロトコルが挙げられる。これらのプロトコルは、データの形式が異なっても処理の手順及びデータの内容はみなし音声方式やT.30方式と同様であるため、上述したGW20,120と同様にして本発明のゲートウェイを適用することができる。
【0065】
上述した第1実施形態では、IPネットワーク11の中にGW20があるものとしたが、IPネットワーク11の外にあるものとしてもよい。例えば、HGW50又はHGW60がSIPプロキシー・サーバーとしての機能を除くGW20の機能を備えているものとしてもよい。このようにしても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0066】
10,110 印刷システム、11,111 IPネットワーク、20,120 ゲートウェイ(GW)、21,121 制御部、24,124 メモリー、30 複合機、31 制御部、32 印刷実行部、33 スキャン実行部、34 メモリー、35 操作部、36 メモリーカードドライバー、37 メモリーカード、40 FAX装置、41 制御部、42 印刷実行部、43 スキャン実行部、44 メモリー、45 操作部、50,60 ホームゲートウェイ(HGW)、51,61 制御部、54,64 メモリー、122 SIPプロキシー・サーバー、150 PSTN、152 交換機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷可能な印刷コンテンツをHTTPにより送信する送信側端末と、印刷コンテンツをFAXプロトコルにより受信して印刷する受信側端末と、の間で信号の変換を行うゲートウェイであって、
データを一時的に記憶可能な記憶手段と、
前記送信側端末から送信された接続要求信号の受信に基づいて、該送信側端末と前記受信側端末との接続の確立を行う接続確立手段と、
前記接続確立手段が前記接続の確立を行った後、前記印刷コンテンツを要求するコンテンツ要求を前記HTTPで用いる形式で前記送信側端末に送信し、該送信側端末から前記HTTPで用いる形式で該印刷コンテンツを受信すると該受信した印刷コンテンツを前記記憶手段に記憶し、該記憶手段に記憶した印刷コンテンツを前記FAXプロトコルで用いる形式に変換して前記受信側端末に送信する印刷コンテンツ送受信手段と、
を備えたゲートウェイ。
【請求項2】
請求項1に記載のゲートウェイであって、
前記接続確立手段が前記接続の確立を行った後、前記印刷コンテンツ送受信手段が前記送信側端末に前記コンテンツ要求を送信する前に、前記印刷コンテンツを前記送信側端末が送信する能力を表す送信側能力情報を要求する能力要求を前記HTTPで用いる形式で該送信側端末に送信し該送信した能力要求に対応して該送信側端末から前記HTTPで用いる形式で送信される該送信側能力情報を受信すると共に、前記印刷コンテンツを前記受信側端末が受信して印刷する能力を表す受信側能力情報を前記FAXプロトコルで用いる形式で該受信側端末から受信し、前記送信側能力情報で表される能力の範囲内且つ前記受信側能力情報で表される能力の範囲内で今回の印刷コンテンツの送受信で使用する能力である使用能力を決定し、該使用能力を表す使用能力情報を前記FAXプロトコルで用いる形式で前記受信側端末へ送信する使用能力調整手段、
を備え、
前記印刷コンテンツ送受信手段は、前記コンテンツ要求を前記送信側端末に送信するにあたり、前記使用能力で前記印刷コンテンツの送信を行うよう通知する能力通知を伴って該コンテンツ要求を前記送信側端末に送信する手段である、
ゲートウェイ。
【請求項3】
前記印刷コンテンツ送受信手段は、前記記憶手段に記憶した印刷コンテンツを前記受信側端末に送信するにあたり、前記送信側端末から印刷コンテンツの全てを受信して前記記憶手段に記憶するのを待つことなく該記憶した印刷コンテンツを前記FAXプロトコルで用いる形式に順次変換して該送信側端末に送信する手段である、
請求項1又は2に記載のゲートウェイ。
【請求項4】
前記印刷コンテンツ送受信手段は、前記送信側端末から前記印刷コンテンツのうち1ページ分のデータを受信する毎に次ページのデータの有無を表す次ページ情報を送信するよう前記HTTPで用いる形式で該送信側端末に要求を行って該送信側端末から該次ページ情報を前記HTTPで用いる形式で受信し、前記記憶手段に記憶した印刷コンテンツのうち1ページ分のデータを前記受信側端末に送信する毎に前記受信した次ページ情報を前記FAXプロトコルで用いる形式で該受信側端末に送信する手段である、
請求項3に記載のゲートウェイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−251852(P2010−251852A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96235(P2009−96235)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】