説明

ゲームサーバ及びプレイヤ制御プログラム

【課題】部分クエストを一旦クリアしたプレーヤについても、当該部分クエストの受注を可能ならしめ、他のプレーヤとの協力プレイを可能とする、ゲームサーバ及びプレイヤ制御プログラムを提供する。
【解決手段】各プレーヤ毎の連続クエストの達成状態を、連続クエストを構成する部分クエスト毎に示す達成情報を格納する手段11、プレーヤが既にクリアした部分クエストについては、再度実行することが出来ないように制御する手段9、複数のゲーム端末から部分クエストを協力プレイで実行する旨の受注通知が入力されると、各ゲーム端末について、当該部分クエストが実行可能であるか否かを判定する手段9、部分クエストが実行出来ないものと判定されたゲーム端末について、当該部分クエストが実行可能となるように、該部分クエストよりあとの部分クエストの達成状態を全て「クエスト実行前」に書き換え変更する手段9を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線を介して接続された多数のプレイヤがオンラインでゲームを楽しむことの出来るゲームサーバ及び該装置(ゲームサーバコンピュータ)で使用するに好適なプレイヤ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、多数のプレーヤが通信回線を介してゲームサーバに接続し、該サーバ内に設定された仮想空間内でロールプレイングゲームを楽しむことのできる、所謂、MMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)が普及しつつある。
【0003】
RPG(ロールプレイングゲーム)には、プレーヤが操作する操作キャラクタが、ゲームプログラムで設定されたゲームシナリオに基づいて、各種の冒険(クエスト)を行う場合が多々ある(例えば、特許文献1)。こうしたクエストには、単純に一つのシナリオをクリアすることで達成されるものの他に、複数の部分クエストを所定の順番でクリアすることで、初めて全体のクエストを達成することの出来る、所謂、連続クエストというものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−8764号公報
【0005】
MMORPGでは、サーバの仮想空間内に多数のプレーヤが操作する操作キャラクタが多数配置され、それら操作キャラクタはそれぞれのプレーヤのゲーム端末からの指示に従って当該仮想空間内を行動することとなる。従って、当該仮想空間内で操作キャラクタ同士が知り合って、会話し、行動を共にするような事態も、普通に生じることとなる。
【0006】
MMORPGのシナリオにおいても、通常、クエストが設定されており、前述した連続クエストも設定されていることもある。こうしたクエストの場合、通常、それらのクエストを受注して実行するのは、個々のプレーヤ(ゲーム端末)に操作される個々の操作キャラクタであり、ゲームサーバでは、各プレーヤ(ゲーム端末)のクエストの実行状態、即ち、当該プレーヤ(ゲーム端末)があるクエストを、クリアしたか、また、実行中(以下、「受注中」と称する)であるか、あるいは実行前(以下、「受注前」と称する)であるかを管理するために、それぞれのプレーヤ(ゲーム端末)毎に、クエストの実行(受注)状態を格納したクエスト実行管理テーブルをハードディスクなどのメモリ手段に格納して、管理している。
【0007】
通常、クエストが連続クエストの場合には、連続クエストを構成する複数の部分クエストは、シナリオ(ゲームプログラム)で規定された所定の順番で受注しクリアしてゆく必要がある。このように受注順番がゲームプログラムで規定された部分クエストの場合、部分クエストの内容が相互に密接に関連している。例えば、第1部分クエストが「ケーキの材料を採取する」クエスト、第2部分クエストが「第1部分クエストで採取されたケーキの材料を用いてケーキを焼く」クエスト、第3部分クエストが、「第2部分クエストで焼かれたケーキを友人に届ける」クエストのようになっている。この場合、これらの部分クエストは、第1、第2、第3部分クエストの順に実行するように、ゲームプログラムで規定されており、例えば第3部分クエストをクリアしたプレーヤは、第1部分クエストを再度受注することは出来ないように、ゲームプログラムは制御する。
【0008】
これは、仮に、第1部分クエストの再受注を可能とした場合、第1部分クエストを「クリア」した状態から、一旦クエストの受注が可能な「受注前」の状態にしなければならず、仮に第1部分クエストを「受注前」にすると、既にクリア済みの第2及び第3部分クエストが、第1部分クエストの「クリア」状態が前提となっているので、シナリオの進行制御に破綻が生じ、適切なシナリオ進行が出来なくなる不都合が生じる。こうした理由から、連続クエストにおいて、一旦クリアした部分クエストについては、その再受注を制限して、シナリオ進行の破綻を防ぐのが従来の制御方法であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、ゲームの仮想世界の中で、他のプレーヤと操作キャラクタを介して知り合いとなり、一緒にクエストを実行する(協力プレイ)機会が生じることの多いMMORPGにおいては、一方で、各プレーヤのクエストの実行状態がバラバラであることが多い。従って、連続クエストの既にクリアした部分クエストの再受注を制限する制御方法では、既に当該部分クエストをクリアしたプレーヤは、未だ当該部分クエストをクリアしていないプレーヤと共に、当該部分クエストを再受注して、協力プレイを行うことが出来ず、MMORPGの魅力を減殺してしまう不都合が生じる。
【0010】
本発明は、MMORPGなどのオンラインゲームでの連続クエストにおいて、部分クエストを一旦クリアしたプレーヤについても、シナリオ進行を破綻させることなく、当該部分クエストの受注を可能ならしめ、他のプレーヤとの協力プレイを可能とする、ゲームサーバ及びプレイヤ制御プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点は、多数のゲーム端末(1A,1B,1C、……)が通信回線(2)を介して接続され、それらゲーム端末をそれぞれのプレーヤが操作することで、ゲームサーバ(3)内の仮想空間で前記プレーヤが自分の操作キャラクタを操作してオンラインでゲームをプレイすることができ、前記ゲームには、複数の部分クエストからなる連続クエストが設定されており、それら部分クエストは所定の順番で実行されることが規定されており、かつ複数の前記プレーヤが協力してプレイする協力プレイで実行することが規定されている、ゲームサーバにおいて、
前記各プレーヤ毎の前記連続クエストの達成状態を、該連続クエストを構成する部分クエスト毎に示す達成情報を格納するメモリ手段(11)、
前記達成情報に基づいて、プレーヤが既にクリアした部分クエストについては、再度実行することが出来ないように制御する実行制限手段(9)、
前記複数のゲーム端末から前記部分クエストを協力プレイで実行する旨の受注通知が入力されると、前記ゲーム端末に対応するクエストの達成情報に基づいて、各ゲーム端末について、当該部分クエストが実行可能であるか否かを判定する実行可否判定手段(9)、
前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末について、当該ゲーム端末の前記連続クエストの達成情報を前記部分クエストが実行可能となるように、該部分クエストよりあとの部分クエストの達成状態を全て「クエスト実行前」に書き換え変更する受注状態変更手段(9)、
この状態で、前記複数のゲーム端末に対して、それら複数のゲーム端末による部分クエストの実行を協力プレイで実行すること許可する協力プレイ許可手段(9)、
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の観点は、前記複数のゲーム端末から前記部分クエストを協力プレイで実行する旨の受注通知が入力されると、その時点の前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末についての前記連続クエストの達成情報を一時的に格納する一時メモリ手段、
前記複数のゲーム端末による協力プレイの後、前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末について、前記一時メモリ手段に格納された前記連続クエストの達成情報に基づいて、前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末の前記連続クエストの達成情報を前記受注通知が入力された時点のものに復帰させる、達成情報復帰手段(9)、
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の観点は、前記メモリに格納される部分クエストの達成情報は、1)当該部分クエストを前記プレーヤが既にクリアしている場合、2)クエストを受注中である場合、3)クエストを未だ受注していない場合、の3つの場合に分けて格納されている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のプレイヤによる協力プレイで連続クエストの部分クエストを実行する際に、実行可否判定手段(9)によって部分クエストが実行出来ないものと判定されたゲーム端末についても、受注状態変更手段(9)が、当該ゲーム端末の連続クエストの達成情報を部分クエストが実行可能となるように、該部分クエストよりあとの部分クエストの達成状態を全て「クエスト実行前」に書き換え変更するので、実行制限手段(9)による部分クエストの実行制限が行われず、部分クエストを一旦クリアしたプレーヤについても、シナリオ進行を破綻させることなく、当該部分クエストの受注が可能となり、色々なレベルにある他のプレーヤとの協力プレイが可能となる。
【0015】
また、協力プレイにより部分クエストを実行する際に、受注状態変更手段(9)により、ある部分クエストよりあとの部分クエストの達成状態が全て「クエスト実行前」に書き換えられたとしても、協力プレイの後に達成情報復帰手段(9)が、連続クエストの達成情報を受注通知が入力された時点のものに復帰させるので、既に当該部分クエストをクリア済みのゲーム端末であっても、自分のクリア履歴を損壊することなく、他のプレーヤと協力プレイを行うことが出来る。
【0016】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明が適用されるゲーム装置及びサーバの一例を示す制御ブロック図。
【図2】図2は、連続クエスト管理テーブルの一例を示す図。
【図3】図3は、図2のテーブルが更新された状態を示す図。
【図4】図4は、図3のテーブルが更新された状態を示す図。
【図5】図5は、連続クエストと部分クエストの関係を示す模式図。
【図6】図6は、ゲームプログラム中の協力プレイ処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【0019】
図1には、複数のゲーム端末1A,1B,1C……(図1には、例示的に3個のゲーム端末1を示すが、実際には極めて多数のゲーム端末1が存在する)及び該ゲーム端末1A,1B,1Cにインターネット、公衆電話網などの公衆通信回線2を介して接続されるゲームサーバ3を示している。各ゲーム端末1A,1B,1C……はコンピュータを内蔵する本体1aを有しており、本体1aには、入力装置としてのコントローラ1bがそれぞれ接続している。
【0020】
また、ゲームサーバコンピュータとしてのゲームサーバ3は、主制御部5を有しており、主制御部5にはバス線6を介して公衆通信回線2に接続された通信制御部7,ゲーム進行制御部8,クエスト進行制御部9,MMORPGのゲームプログラムなどを格納するプログラムメモリ10及びクエスト管理メモリ11などが接続している。なお、本図は、本発明に関係する部分のみを例示的に示したものであり、実際のゲームサーバ3の全ての構成を示すものではない。
【0021】
また、図1に示すゲームサーバ3は、実際にはコンピュータが、プログラムメモリ10等のメモリに格納されたゲームプログラムやその他の公知の制御プログラムを読み出して、実行することで、図示しないCPUやメモリが、マルチタスクにより時分割的に動作し、図1に示す各ブロックに示された機能を実行してゆくこととなる。しかし、ゲームサーバ3を、各ブロックに対応したハードウエアで構成することも可能であり、また各ブロックを各ブロックに分散的に設けられたCPU又はMPUにより制御するように構成することも可能である。
【0022】
ゲーム端末1及びゲームサーバ3は以上のような構成を有するので、MMORPGなどのオンラインゲームをプレーヤが行なう場合には、各プレーヤは自己のゲーム端末1を操作して公衆通信回線2を介してゲームサーバ3に接続し、ゲームサーバ3内のメモリ内に形成された仮想空間内で各プレーヤに対応して設定された操作キャラクタをそれぞれ移動操作して、ゲームサーバ3が制御する所定のシナリオに沿って行動させることで、ゲームを実行してゆく。ゲームサーバ3が実行するゲームプログラムは、ゲームサーバ3内のプログラムメモリ10に格納され、オンラインゲームの主要な制御を行うが、各ゲーム端末1には、ゲームサーバ3に接続して所望するオンラインゲームを実行するための端末制御用ゲームプログラムが所定のメモリに格納されている。
【0023】
ところで、ゲームプログラムで規定されたゲームシナリオ内には、既に述べたように、多数のクエストが設定されており、そうしたクエストの中には、複数の部分クエストからなる連続クエストが設定されていることがある。即ち、例えば、図5に示すように、MMORPGで行うことの出来るクエストとして、連続クエストAが設定されており、連続クエストAは、5つの部分クエスト1〜5から構成されている。部分クエスト1〜5は、部分クエスト1→部分クエスト2→部分クエスト3→部分クエスト4→部分クエスト5の順に、実行する順番がクエスト進行制御部9により制御されており、プレーヤは必ずこの順番でクエスト1〜5を実行しなければならないように規定されている。
【0024】
また、連続クエストAを初めとする全てのクエストは、クエスト進行制御9が、その達成状態を各プレーヤ(各プレーヤに付されたプレーヤID)毎にクエスト実行管理テーブルとしてクエスト管理メモリ11内に管理しており、その管理状態は、例えば図2に示すように、当該プレーヤがクエストを既にクリアしている場合には、「クリア」のフラグFG1が、クエストを受注中である場合には、「受注中」のフラグFG2が、クエストを未だ受注していない場合には、「受注前」のフラグFG3が格納されている。
【0025】
クエストの中には、複数のプレーヤが協力して行わなければならない、「協力プレイ」であるものも設定されており、以後、図5で示す連続クエストAは、3人のプレーヤが協力して行う「協力プレイ」としてゲームプログラムにより規定されている。従ってゲーム進行制御部8は、連続クエストAをプレーヤが実行することを選択した場合、即ち、あるゲーム端末(例えばゲーム端末1A)から連続クエストAの受注がゲームサーバ3に対して通知(受注通知)された場合には、他のゲーム端末1(プレーヤ)から、ゲーム端末1Aをグループとする連続クエストの受注通知がなされていないかを判定し、他のゲーム端末(例えば、ゲーム端末1B、1C)から、連続クエストの受注通知がなされている場合には、直ちにクエスト管理メモリ11を検索して、クエストの受注通知が出力されたゲーム端末1A,1B、1Cに対応する各プレーヤIDのクエスト実行管理テーブルから、連続クエストの達成状態を示す達成情報を各プレーヤ毎に読み出す。
【0026】
なお、他のゲーム端末1(プレーヤ)から、ゲーム端末1Aをグループとするクエストの受注通知がなされていない場合には、ゲーム進行制御部8は、当該受注通知を出力したゲーム端末1Aに対して、他のゲーム端末1と協力してクエストを受注するようにメッセージを送出して、適正なシナリオ進行を担保する。
【0027】
クエストの受注通知がゲーム端末1A,1B、1Cのゲーム端末グループからゲームサーバ3に対して出力され、対応する連続クエストの達成情報がクエスト実行管理テーブルから読み出されたところで、クエスト進行制御9は、ゲームプログラムに基づいて、クエスト管理メモリ11内に、連続クエストAの受注通知をゲームサーバ3に対して出力したゲーム端末1A,1B、1Cに対応する各プレーヤIDについて、図2に示すように、連続クエスト管理テーブルQCTを作成する。連続クエスト管理テーブルQCTは、クエスト実行管理テーブルから読み出された各プレーヤIDについて、連続クエストAを構成する部分クエストの達成情報を編集したものであり、クエスト進行制御部9は、連続クエスト管理テーブルQCTに示された部分クエストの達成状況を参照しながら、各ゲーム端末1A,1B、1Cのクエストの実行を制御する。
【0028】
即ち、クエスト進行制御9は、連続クエストAの受注通知を出力した各ゲーム端末1のプレーヤIDから(図2の場合、ゲーム端末1AのプレーヤのプレーヤIDは、「12345」で、ゲーム端末1BのプレーヤのプレーヤIDは、「23456」で、ゲーム端末1CのプレーヤのプレーヤIDは、「78901」とする)、連続クエストAにける各ゲーム端末1(プレーヤ)の部分クエスト1〜5の達成状態を参照し、今回ゲーム端末1A,1B、1Cが出力された受注通知が、連続クエストAの中のどの部分クエストを受注するものなのかを判定する。各ゲーム端末1からの受注通知には、今回受注する部分クエスト及び一緒に当該部分クエスト2を受注する(協力プレイを行う)他のゲーム端末1を特定する情報が協力プレイを行う協力プレイ実行フラグと共に格納されているので、当該判定は容易に行うことが出来る。
【0029】
また、クエスト進行制御部9は、連続クエスト管理テーブルQCTから、各ゲーム端末1A,1B、1Cが受注可能な部分クエストを判定する。部分クエストは1から順番に実行しなければならず、既にクリアした部分クエストは、再度実行することが出来ないように、ゲームプログラムによりクエスト進行制御部9が制御するが、他のプレーヤと共に協力プレイを行う部分クエストについては、既にクリアした部分クエストであってもその実行を一時的に許可する、協力プレイ処理がゲームプログラム内に規定されている。
【0030】
例えば、図2の場合、通常の制御では、ゲーム端末1A(プレーヤIDが「12345」)では、プレーヤは部分クエスト5を受注中であり、通常は新たな部分クエストの受注を連続クエストA内で行うことは出来ず、受注中の部分クエスト5のみを実行することが出来。また、ゲーム端末1B(プレーヤIDが「23456」)では、部分クエスト1のみをクリアした状態なので、次には部分クエスト2のみが受注可能であり、ゲーム端末1C(プレーヤIDが「78901」)では、部分クエスト1〜3をクリアした状態なので、次には部分クエスト4のみが受注可能となるように制御される。
【0031】
仮に、ゲーム端末1A,1B、1Cから出力された受注通知が、部分クエスト2を協力プレイとして受注する通知であった場合に、クエスト進行制御部9は、本来、部分クエスト2を受注する資格が、受注通知を出力したゲーム端末1A,1B、1Cの内、いずれかに有るか否かを連続クエストAの部分クエストの達成情報から判定する。この場合、ゲーム端末1Bが部分クエスト2を受注(実行)可能であり、他のゲーム端末1A、1Cは、部分クエスト2を受注(実行)することは出来ないものと判定される。しかし、受注通知が協力プレイを行う旨の通知を含み、更に少なくとも一つのゲーム端末1について、受注通知に示された部分クエストを受注する資格が有ると判定された場合には、クエスト進行制御部9は、各受注通知に示された協力プレイ実行フラグに基づいて、協力プレイ処理を開始する。
【0032】
協力プレイ処理は、図6に示すように、まずステップS1で、部分クエスト2を受注する資格があると判定された有資格端末、即ちゲーム端末1Bについて、図3に示すように、連続クエスト管理テーブルQCTの部分クエスト2の達成状態を「受注前」から「受注中」に書き換え更新する。次に、ステップS2で、既に当該部分クエスト2はクリア済みだが、有資格端末に協力して協力プレイを行う他のゲーム端末1A、1C、即ち協力端末であるゲーム端末1A、1Cの受注通知をゲームサーバ3が受領した時点の連続クエストAの達成状態を、図示しないバッファメモリ(一時メモリ手段)に一時的に格納する。即ち、図2の連続クエスト管理テーブルQCTのゲーム端末1A(プレーヤID=12345)、1C(プレーヤID=78901)の連続クエストAの達成状態がバッファメモリに格納される。
【0033】
次に、協力プレイ処理は、ステップS3に入り、クエスト進行制御部9を介して、協力端末であるゲーム端末1A(プレーヤID=12345)、1C(プレーヤID=78901)に対して、通信制御部7及び公衆通信回線2を介して、現在の連続クエストAの達成状態を一時的に保留・変更する旨を通知する。これに対して各協力端末側では、プレーヤが当該連続クエストAの達成状態の一時的な保留・変更を許可する旨の信号を入力手段であるコントローラ1bを介してゲームサーバ3に対して出力する。これを受けてゲームサーバ3のクエスト進行制御部9は、協力プレイ処理のステップS4,S5に入り、協力端末が有資格端末と共に受注した部分クエストが受注可能となるように連続クエスト管理テーブルQCTを書き換える処理を行う。
【0034】
即ち、協力端末が既にクリアした部分クエストについては、連続クエスト管理テーブルQCTの当該アドレスにはクリアのフラグが格納されているので、クエスト進行制御部9は、そのままでは、連続クエストAのシナリオ進行が破綻する危険があるので、当該部分クエスト2の実行を協力端末に対して許可することは出来ない。しかし、協力プレイ要求が出されている複数のゲーム端末1については、協力プレイ処理により、一時的な連続クエスト管理テーブルQCTの書き換え処理を行う。即ち、ゲーム端末1A(プレーヤID=12345)、1C(プレーヤID=78901)の連続クエストAの達成状態を、それまでの
ゲーム端末1A(プレーヤID=12345):「クリア−クリア−クリア−クリア−受注中」から、「クリア−受注中−受注前−受注前−受注前」
ゲーム端末1C(プレーヤID=78901):「クリア−クリア−クリア−受注前−受注前」から、「クリア−受注中−受注前−受注前−受注前」
に書き換える。有資格端末であるゲーム端末1Bは、既にステップS1で部分クエスト2が「受注中」と更新されているので、特別な処理は行わない。
【0035】
こうして、連続クエスト管理テーブルQCTは、図2の協力プレイの受注通知時の状態から、図3に示す状態に書き換え変更され、協力プレイに参加する全てのゲーム端末1A,1B,1Cが協力プレイの対象となる部分クエスト2が「受注中」となり、それより後の部分クエスト3−5は「受注前」、即ち「クエスト実行前」になる。クエスト進行制御部9は、ステップS6で、協力プレイに参加する全てのゲーム端末1A,1B,1Cの協力プレイの対象となる部分クエスト2よりも後の部分クエスト3−5が全て「受注前」であることを確認して、ステップS7に入り、協力プレイに参加する全てのゲーム端末1A,1B,1Cに対して、部分クエスト2の実行を許可する。
【0036】
これを受けて、各ゲーム端末1A,1B,1Cのプレーヤは、ゲームサーバ3内で部分クエスト2を実行する(図6のステップS8)。協力プレイに参加する各ゲーム端末1A,1B,1Cの連続クエスト管理テーブルQCTでは、すべてのゲーム端末1について、部分クエスト3以降の部分クエストが「受注前(クエスト実行前)」となっているので、連続クエストAの部分クエスト2は、各ゲーム端末1について、連続クエストAのシナリオの破綻を生じることなく実行される。
【0037】
当該部分クエスト2をクリアすると、クエスト進行制御部9は、協力プレイ処理のステップS9に入り、クエスト管理メモリ11内の連続クエスト管理テーブルQCTの、有資格端末、従ってゲーム端末1Bの部分クエスト2について、図4に示すように、達成状態をそれまでの「受注中」から「クリア」に変更すると共に、本来部分クエスト2が実行出来ないものと判定された協力端末であるゲーム端末1A、1Bについては、ステップS2でバッファメモリに格納した協力プレイ受注時のクエスト達成状態を読み出して、各協力端末の部分クエストの達成状態を協力プレイ受注時以前の状態に復帰させる。この処理により、協力端末であるゲーム端末1A、1Bについては、ゲーム端末1Bとの協力プレイ以前の連続クエストAの達成状態に復帰することが出来る。なお、協力端末であるゲーム端末1A、1Bの達成状態の復帰動作は、各ゲーム端末1A、1Bからの指示により行うよう構成しても良い。これにより、協力端末側のプレーヤは、今回協力プレイを行った部分クエスト2以降の既にクリア済みの部分クエストについても、再受注が可能となるように構成することが出来る。
【0038】
図4に示すように、協力端末であるゲーム端末1A、1Bがゲーム端末1Bとの協力プレイ以前の連続クエストAの達成状態に復帰し、有資格端末が協力プレイの対象となった部分クエスト2について「クリア」フラグが連続クエスト管理テーブルQCTに格納されたところで、クエスト管理メモリ11内のクエスト実行管理テーブルの内容を、連続クエスト管理テーブルQCTの内容で更新し、部分クエスト2の実行を終了する。なお、図4の場合、ゲーム端末1Aの部分クエスト5が、図2の協力プレイ以前は「受注中」となっていたものが、協力プレイ後は、「受注前」となっている。これは、本実施例では、ゲームサーバ3側では各ゲーム端末1の部分クエスト内での進行状態を記録していないので、こうした処理をしているが、クエスト進行制御部9が、各部分クエスト内でのクエストの進行状態を記録している場合には、協力プレイ後は、対応する部分クエスト、この場合部分クエスト5を「受注前」から「受注中」として、ゲーム端末1Aが協力プレイを開始した際に当該ゲーム端末1Aが実行していた部分クエスト5内の所定のシナリオ位置から部分クエスト5を再開できるように制御することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
1A.1B,1C、1……ゲーム端末
2……通信回線(公衆通信回線)
3……ゲームサーバ、ゲームサーバコンピュータ
9……実行制限手段、実行可否判定手段、協力プレイ許可手段、達成情報復帰手段(クエスト管理メモリ)
11……メモリ手段(クエスト管理メモリ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のゲーム端末が通信回線を介して接続され、それらゲーム端末をそれぞれのプレーヤが操作することで、ゲームサーバ内の仮想空間で前記プレーヤが自分の操作キャラクタを操作してオンラインでゲームをプレイすることができ、前記ゲームには、複数の部分クエストからなる連続クエストが設定されており、それら部分クエストは所定の順番で実行されることが規定されており、かつ複数の前記プレーヤが協力してプレイする協力プレイで実行することが規定されている、ゲームサーバにおいて、
前記各プレーヤ毎の前記連続クエストの達成状態を、該連続クエストを構成する部分クエスト毎に示す達成情報を格納するメモリ手段、
前記達成情報に基づいて、プレーヤが既にクリアした部分クエストについては、再度実行することが出来ないように制御する実行制限手段、
前記複数のゲーム端末から前記部分クエストを協力プレイで実行する旨の受注通知が入力されると、前記ゲーム端末に対応するクエストの達成情報に基づいて、各ゲーム端末について、当該部分クエストが実行可能であるか否かを判定する実行可否判定手段、
前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末について、当該ゲーム端末の前記連続クエストの達成情報を前記部分クエストが実行可能となるように、該部分クエストよりあとの部分クエストの達成状態を全て「クエスト実行前」に書き換え変更する受注状態変更手段、
この状態で、前記複数のゲーム端末に対して、それら複数のゲーム端末による部分クエストの実行を協力プレイで実行すること許可する協力プレイ許可手段、
を有することを特徴とするゲームサーバ。
【請求項2】
前記複数のゲーム端末から前記部分クエストを協力プレイで実行する旨の受注通知が入力されると、その時点の前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末についての前記連続クエストの達成情報を一時的に格納する一時メモリ手段、
前記複数のゲーム端末による協力プレイの後、前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末について、前記一時メモリ手段に格納された前記連続クエストの達成情報に基づいて、前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末の前記連続クエストの達成情報を前記受注通知が入力された時点のものに復帰させる、達成情報復帰手段、
を有することを特徴とする請求項1記載のゲームサーバ。
【請求項3】
前記メモリに格納される部分クエストの達成情報は、1)当該部分クエストを前記プレーヤが既にクリアしている場合、2)クエストを受注中である場合、3)クエストを未だ受注していない場合、の3つの場合に分けて格納されている、
ことを特徴とする、請求項1記載のゲームサーバ。
【請求項4】
多数のゲーム端末が通信回線を介して接続され、それらゲーム端末をそれぞれのプレーヤが操作することで、ゲームサーバコンピュータ内の仮想空間で前記プレーヤが自分の操作キャラクタを操作してオンラインでゲームをプレイすることができ、前記ゲームには、複数の部分クエストからなる連続クエストが設定されており、それら部分クエストは所定の順番で実行されることが規定されており、かつ複数の前記プレーヤが協力してプレイする協力プレイで実行することが規定されているゲームサーバコンピュータにおいて使用される、プレイヤ制御プログラムであって、
該プレイヤ制御プログラムは、前記ゲームサーバコンピュータを、
前記各プレーヤ毎の前記連続クエストの達成状態を、該連続クエストを構成する部分クエスト毎に示す達成情報を格納するメモリ手段、
前記達成情報に基づいて、プレーヤが既にクリアした部分クエストについては、再度実行することが出来ないように制御する実行制限手段、
前記複数のゲーム端末から前記部分クエストを協力プレイで実行する旨の受注通知が入力されると、前記ゲーム端末に対応するクエストの達成情報に基づいて、各ゲーム端末について、当該部分クエストが実行可能であるか否かを判定する実行可否判定手段、
前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末について、当該ゲーム端末の前記連続クエストの達成情報を前記部分クエストが実行可能となるように、該部分クエストよりあとの部分クエストの達成状態を全て「クエスト実行前」に書き換え変更する受注状態変更手段、
この状態で、前記複数のゲーム端末に対して、それら複数のゲーム端末による部分クエストの実行を協力プレイで実行すること許可する協力プレイ許可手段、
として機能させることを特徴とするプレイヤ制御プログラム。
【請求項5】
更に、前記プレイヤ制御プログラムは、前記ゲームサーバコンピュータを、
前記複数のゲーム端末から前記部分クエストを協力プレイで実行する旨の受注通知が入力されると、その時点の前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末についての前記連続クエストの達成情報を一時的に格納する一時メモリ手段、
前記複数のゲーム端末による協力プレイの後、前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末について、前記一時メモリ手段に格納された前記連続クエストの達成情報に基づいて、前記部分クエストが実行出来ないものと判定された前記ゲーム端末の前記連続クエストの達成情報を前記受注通知が入力された時点のものに復帰させる、達成情報復帰手段、
として機能させることを特徴とする請求項4記載のプレイヤ制御プログラム。
【請求項6】
前記メモリに格納される部分クエストの達成情報は、1)当該部分クエストを前記プレーヤが既にクリアしている場合、2)クエストを受注中である場合、3)クエストを未だ受注していない場合、の3つの場合に分けて格納されている、
ことを特徴とする、請求項4記載のプレイヤ制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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