説明

ゲームシステム、その制御方法及び、コンピュータプログラム

【課題】ゲームを進行するための仮想3次元空間に対する臨場感を向上させることができるゲームシステムを提供する。
【解決手段】ゲームシステムは、大型モニタ4と、2つのガン型コントローラ5と、各コントローラ5のそれぞれに設けられた小型モニタ7と、を備えている。そして、ゲームシステムは、ゲームを進行させるための仮想3次元ゲーム空間GWを構築し、所定の条件に従って、仮想3次元空間GWの一部の所定の範囲に関する2次元画像を生成し、大型モニタ4に出力するとともに、大型モニタ4に出力される範囲の決定に利用される所定の条件に依存しない各ガン型コントローラ5の銃口5jの方向に従って、仮想3次元ゲーム空間GWのうちの一部の一定の範囲に関する2次元画像を生成し、各コントローラ5の各小型モニタ7に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想3次元空間を利用したゲームシステム及び、その制御方法及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームの進行等に利用される仮想3次元空間に基づいて2次元画像が生成され、その2次元画像がゲーム画像として使用されるゲームが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−251626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなゲームでは、所定の条件に従って仮想3次元空間の所定の範囲が2次元画像として生成される。そして、生成された2次元画像は、ゲーム画像として表示装置に出力される。しかし、このようなゲームでは、ゲーム画像として利用される範囲が所定の範囲に限定されるため、臨場感の演出に限界がある。
【0005】
そこで、本発明は、ゲームを進行するための仮想3次元空間に対する臨場感を向上させることができるゲームシステム、その制御方法及び、コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲームシステムは、少なくとも二つの表示装置(4、7)と、ゲームを進行させるための仮想3次元空間(GW)を構築する空間構築手段(10)と、所定の条件に従って、前記仮想3次元空間の一部の所定の範囲に関する2次元画像(MG)を生成し、一方の表示装置(4)に出力する第1画像出力手段(10)と、前記所定の条件に依存しない特定の条件に従って、前記仮想3次元空間のうちの一部の一定の範囲に関する2次元画像(SG)を生成し、他方の表示装置(7)に出力する第2画像出力手段(10)と、を備えている。
【0007】
本発明によれば、仮想3次元空間のうちの所定の条件に応じた所定の範囲だけでなく、特定の条件に応じた一定の範囲についても2次元画像が生成され、それぞれ別の表示装置に出力される。このため、仮想3次元空間を複数の表示装置を利用して表現することができる。また、特定の条件は、所定の条件に依存しないので、一定の範囲には、所定の範囲と重複する範囲のみならず、全く重複しない異なる範囲、及び、所定の範囲の反対側や隣接範囲等だけでなく所定の範囲とは無関係な範囲も含まれる。このため、2次元画像として生成可能な仮想3次元空間の範囲を特定の条件に応じた範囲まで拡大することができる。これにより、仮想3次元空間の異なる範囲を複数の表示装置を利用して表現することができるので、ゲームを進行するための仮想3次元空間に対する臨場感を向上させることができる。
【0008】
本発明のゲームシステムの一態様において、プレイヤの所作を検出する検出手段(SS)を更に備え、前記第2画像出力手段は、前記特定の条件として前記検出手段の検出結果を利用し、前記検出結果に応じて前記一定の範囲を決定するものでもよい。この場合、プレイヤの要求を反映して2次元画像として出力される一定の範囲を決定することができるので、仮想3次元空間に対する臨場感をより向上させることができる。
【0009】
検出手段を備えた態様において、プレイヤの操作を入力する入力装置(5)を更に備え、前記入力装置は、動作可能に構成され、前記検出手段は、前記入力装置に設けられ、前記プレイヤの所作として前記入力装置の動作を検出してもよい。この場合、入力装置の動作に基づいて2次元画像として生成される仮想3次元空間のうちの一定の範囲を決定することができる。
【0010】
入力装置を備えた態様において、前記第2画像出力手段が2次元画像を出力する前記他方の表示装置は、前記入力装置に設けられていてもよい。この場合、表示装置を、当該表示装置に出力される一定の範囲の2次元画像を決定するための動作と連動させることができる。また、入力装置にはどのようなものが利用されてもよい。例えば、前記入力装置として、銃口(5j)を有するガン型コントローラが利用され、前記第2画像出力手段は、前記銃口が向けられている方向に応じて前記一定の範囲を決定してもよい。
【0011】
本発明のゲームシステムの制御方法は、少なくとも二つの表示装置(4、7)を備えたゲームシステムに組み込まれるコンピュータ(10)に、ゲームを進行させるための仮想3次元空間(GW)を構築する空間構築工程と、所定の条件に従って、前記仮想3次元空間の一部の所定の範囲に関する2次元画像(MG)を生成し、一方の表示装置(4)に出力する第1画像出力工程と、前記所定の条件に依存しない特定の条件に従って、前記仮想3次元空間のうちの一部の一定の範囲に関する2次元画像(MG)を生成し、他方の表示装置(7)に出力する第2画像出力工程と、を実行させるものである。
【0012】
また、本発明のゲームシステム用のコンピュータプログラムは、少なくとも二つの表示装置(4、7)を備えたゲームシステムに組み込まれるコンピュータ(10)を、ゲームを進行させるための仮想3次元空間(GW)を構築する空間構築手段、所定の条件に従って、前記仮想3次元空間の一部の所定の範囲に関する2次元画像(MG)を生成し、一方の表示装置(4)に出力する第1画像出力手段及び、前記所定の条件に依存しない特定の条件に従って、前記仮想3次元空間のうちの一部の一定の範囲に関する2次元画像(SG)を生成し、他方の表示装置(7)に出力する第2画像出力手段として機能させるように構成されたものである。本発明の制御方法或いは、コンピュータプログラムを実行することにより、本発明のゲームシステムを実現することができる。
【0013】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、本発明によれば、ゲームを進行するための仮想3次元空間に対する臨場感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一形態に係るゲームシステムが適用されたゲーム機の外観を模式的に示す図。
【図2】ゲーム機が備える専用筐体の内部を模式的に示した図。
【図3】ゲーム機の制御系の概略図。
【図4】ガン型コントローラを右前方から見た斜視図。
【図5】ガン型コントローラの可動範囲を模式的に示す図。
【図6】ゲーム画面の関係例を説明するための図。
【図7】仮想3次元ゲーム空間の一例を示す図。
【図8】範囲決定処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図9】第1仮想カメラの撮影範囲の一例を示す図。
【図10】第3仮想カメラの撮影範囲の一例を示す図。
【図11】画像処理部の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一形態に係るゲームシステムが適用されたゲーム機について説明する。なお、本発明のゲーム機は、プレイヤがその操作対象に設定されたキャラクタ(以下で、プレイヤキャラクタと呼ぶことがある)を操作して仮想的なゲーム空間を探索し、所定のミッションを遂行するアクションタイプのゲームを提供するものである。図1は、ゲーム機1の外観を模式的に示す図である。図1に示すように、ゲーム機1は、ポット型の専用筐体2を備えている。専用筐体2の内部には、楕円形の空間が形成され、プレイヤは専用筐体2の内部でゲームをプレイする。
【0017】
図2は、専用筐体2の内部を模式的に示した図である。図2に示すように、専用筐体2の内部には、ゲーム機本体3と、一方の表示装置としての大型モニタ4(一例として液晶ディスプレイ装置)と、プレイヤに与えられる武器を象徴する入力装置としての2つのガン型コントローラ5と、が設けられている。また、各ガン型コントローラ5の上部には、他方の表示装置としての小型モニタ7がそれぞれに設けられている。なお、図示は省力しているが、ゲーム機本体3には、選択或いは決定をするためのボタン、電源スイッチ、ボリューム操作スイッチといった通常の業務用のゲーム機が備えている各種の入力装置及び出力装置が設けられていてもよい。
【0018】
ゲーム機本体3の内部には、各種装置が収納されている。図3は、ゲーム機本体3の内部の各種装置の一部を含むゲーム機1の制御系の概略図である。図3に示すように、ゲーム機本体3の内部の各種装置には、制御ユニット10、スピーカユニット11、外部記憶装置12が含まれている。制御ユニット10は、マイクロプロセッサとその動作に必要な主記憶装置(RAM、ROM)等の周辺装置とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成されている。制御ユニット10には、大型モニタ4や各小型モニタ7、ガン型コントローラ5、並びに、スピーカユニット11及び、外部記憶装置12が接続されている。その他にも制御ユニット10には、各種の周辺装置が接続され得るが、それらの図示は省略する。
【0019】
外部記憶装置12は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、EEPROMといった不揮発性の記憶媒体を含む記憶装置である。外部記憶装置12には、制御ユニット10の基本的な制御を実現するためのオペレーティングシステムの他に、ゲームを所定の手順で実行するためのアプリケーションソフトウェアとしてのゲームプログラム14、及び、そのゲームプログラム14が適宜に参照するゲームデータ15が記録されている。制御ユニット10がゲームプログラム14を読み取って実行することにより、制御ユニット10にはゲームの実行に必要な各種の論理装置が生成される。その論理装置の一つとして、制御ユニット10には画像処理部16が形成される。画像処理部16は、大型モニタ4及び各小型モニタ7に表示させるべき画像を生成するために必要な各種の演算処理を実行する。画像処理部16の詳細は後述する。
【0020】
ガン型コントローラ5には、検出手段としての照準検出センサSSが設けられている。図4は、ガン型コントローラ5を右前方から見た斜視図である。照準検出センサSSは、銃口5jがどこに向けられているかを検出するためのものである。照準検出センサSSとして、公知の種々のセンサが利用されてよい。本実施の形態では、照準検出センサSSの一例として、後述するようにガン型コントローラ5の可動方向を検出する、レバーを用いた2軸センサがガン型コントローラ5の取り付けられている台の内部に設けられている。但し、このような形態に限定されず照準検出センサSSとして、ジャイロセンサ、地磁気センサ、加速度センサなどの各種センサが利用されてよい。
【0021】
図5は、ガン型コントローラ5の可動範囲を模式的に示す図である。図5の2つの矢印A、Bはいずれもガン型コントローラ5の可動範囲を示している。図5に示すように、ガン型コントローラ5は、左右方向及び、上下方向の両方向に可動可能に構成されている。可動範囲として、大型モニタ4の下方から上方までの矢印Aで示す上下方向の範囲と、専用筐体2の一方の側面から他方の側面までの矢印Bで示す左右方向の範囲とがそれぞれ設定されている。照準検出センサSSは、これらの矢印A、Bで示す可動範囲内で特定の条件としての銃口5jの向いている方向を検出する。なお、図5では、説明の便宜のためにガン型コントローラ5毎に可動範囲を図示しているが、実際の各ガン型コントローラ5には、対応する上下方向と左右方向の両方に可動範囲が設定されている。
【0022】
また、図4に示すように、ガン型コントローラ5には、小型モニタ7の前方に小型カメラ8が設けられている。各ガン型コントローラ5は、各小型カメラ8が撮像した画像を制御ユニット10に出力する。また、各ガン型コントローラ5には、プレイヤの操作を受け付ける操作部としてトリガー部5Tがそれぞれ設けられている。各ガン型コントローラ5は、各トリガー部5Tの操作に対応した信号を制御ユニット10に出力する。
【0023】
次に、ゲーム画面の一例を説明する。図6は、大型モニタ4及び各小型モニタ7に表示されるゲーム画面の関係を説明するためのゲーム画面の一例を示している。そのゲーム画面GRには、プレイヤキャラクタが移動する場として設定された屋内等の仮想3次元ゲーム空間の様子を示すメイン画像MGが表示される。メイン画像MGには、仮想3次元ゲーム空間として設定された広い空間の一部の様子が表示される。そして、そのメイン画像MGには、仮想3次元ゲーム空間に配置された柱GP1、GP2、或いはキャラクタAC1といった各種のオブジェクトが存在する。プレイヤキャラクタの表示は省略されてもよい。敵のキャラクタAC1は、ゲーム機1の制御ユニット10によって操作される。或いは、ゲーム機1とネットワークを介して接続された他のゲーム機のプレイヤによって操作されるキャラクタACがメイン画像MG内に存在してもよい。
【0024】
一方、各小型モニタ7には、仮想3次元ゲーム空間のうちプレイヤキャラクタの視野範囲として設定される範囲の様子を示すサブ画像SGがそれぞれ表示される。また、視野範囲は、銃口5jが向けられている方向により決められる。具体的には、銃口5jが向けられている方向に対応する仮想3次元ゲーム空間内の一定の範囲が視野範囲として設定される。一定の範囲として、メイン画像MGに対応する範囲よりも小さい範囲が設定されている。また、銃口5jが向けられている方向に対応する範囲は、例えば、銃口5jの初期位置に対応する範囲を初期視野範囲として仮想3次元ゲーム空間内に設定することにより、銃口5jの初期位置からの位置の変化に基づいて決定される。このような初期位置の一例として銃口5jを形成する面が大型モニタ4と並行となるような位置が、この初期位置に対応する初期視野範囲としてメイン画像MGと重複する範囲が設定されていてもよい。各サブ画像SGの中央には、銃口5jが向けられている位置を示す照準マーカーSMがそれぞれ表示される。また、各サブ画像には、メイン画像MGと同様に、各種のオブジェクトも存在する。
【0025】
図6の例では、左側に配置された第1ガン型コントローラ5Aの銃口5jが初期位置に位置している場合の視野範囲を示している。図6の一点鎖線は、第1ガン型コントローラ5Aの視野範囲に対応する一定の範囲AWを示している。図6に示すように、第1ガン型コントローラ5Aの小型モニタ7には、視野範囲として、仮想3次元ゲーム空間のうちメイン画像MGの一部の範囲に対応する範囲の様子が表示されている。また、この一定の範囲AWは、メイン画像MGに示される範囲内に収まっている。
【0026】
一方、図6の右側に配置された第2ガン型コントローラ5Bの銃口5jは、初期位置から位置が変化し、一定の範囲がメイン画像MGに示される範囲から左方向に幅Dだけずれた範囲となるような方向に向けられている。図6の二点鎖線は、第2ガン型コントローラ5Bの視野範囲に対応する一定の範囲BWを示している。このため、第2ガン型コントローラ5Bの小型モニタ7には、仮想3次元ゲーム空間のうちメイン画像MGと共通する範囲だけでなく、メイン画像MGに対応する範囲から左側に幅Dずれた範囲の様子も表示される。これにより、第2ガン型コントローラ5Bの小型モニタ7には、メイン画像MGには表示されていない左側のずれ範囲(一定の範囲BWのうち幅Dに対応するずれ範囲)DWに対応するゲーム空間の様子が表示されている。図6の例において、第2ガン型コントローラ5Bの小型モニタ7には、メイン画像MGの左側に存在する柱GP3及び、その影に隠れるように位置する敵のキャラクタAC2が表示されている。このように、仮想3次元ゲーム空間のうちのメイン画像MGに表示された範囲を基準にしつつ、各小型モニタ7を通じてメイン画像MGに表示されない範囲の仮想3次元ゲーム空間も考慮して、プレイヤはゲームを進行する。なお、大型モニタ4及び、各小型モニタ7には、上記の他にも、ゲージ等、その他の各種の情報が適宜に表示される。
【0027】
次に、画像処理部16(図3の制御ユニット10参照)が実行する処理について説明する。上記のようなメイン画像MG及び、各サブ画像SGを各モニタ4、7に表示させるため、画像処理部16は、いわゆる3Dコンピュータグラフィックス処理の手順に従って各画像MG、SGを描画する。以下、その描画方法を説明する。図7は、画像処理部16が制御ユニット10のメモリ上に論理的に生成する仮想3次元ゲーム空間の一例を示す図である。仮想3次元ゲーム空間GWは、各画像MG、SGに表示されるゲーム空間を3次元モデルとして表現したものである。仮想3次元ゲーム空間GWには、各画像MG、SGの表示され得る柱GP1、GP2、或いはキャラクタACといった各種のオブジェクトが配置される。
【0028】
仮想3次元ゲーム空間GWには、3台の仮想カメラCAが設定される。図7の例では、各仮想カメラCAは、図7の左から、第1ガン型コントローラ5Aの小型モニタ7用の画像を生成するために設けられた第1仮想カメラCA1、大型モニタ4用の画像を生成するために設けられた第2仮想カメラCA2、第2ガン型コントローラ5Bの小型モニタ7用の画像を生成するために設けられた第3仮想カメラCA3の順に配置されている。第1仮想カメラCA1と第3仮想カメラCA3との間の間隔は第1ガン型コントローラ5Aと第2ガン型コントローラ5Bとの間の間隔に対応するように設定される。また、第1仮想カメラCA1及び、第3仮想カメラCA3よりも大きな範囲の撮影が可能なように、第2仮想カメラCA2には他の仮想カメラCA1、CA3よりも大きな視角が設定されている。若しくは、他のカメラCA1、CA3と同一の視角の第2仮想カメラCA2が、他のカメラCA1、CA3よりも後方(仮想3次元ゲーム空間GWから離れた位置)に配置されていてもよい。
【0029】
仮想3次元ゲーム空間GWにおける各オブジェクトの位置及び、各カメラCAの位置は、X−Y−Z軸の3軸直交座標系(ワールド座標)に従って3次元座標で定義される。また、各カメラCA1、CA2、CA3の撮影範囲は、視角、視点の位置及び、撮影方向に基づいて設定される。更に、各仮想カメラCAには、撮影方向の各カメラCAから一定の距離離れた位置に撮影範囲内の空間を投影するための視野面が設定される。このため、各仮想カメラCAの撮影範囲には、視野面が設定された位置よりも離れた位置に存在する範囲が設定される。
【0030】
第2仮想カメラCA2の視点の位置や撮影方向には、ゲームの進行に対応する所定の条件に応じたものが予め設定されている。このため、第2仮想カメラCA2には、所定の条件に応じて設定された視角、視点の位置、撮影方向に基づいて、3次元ゲーム空間GWのうちの一部の空間が撮影範囲SR2として設定される。また、第2仮想カメラCA2から一定の距離離れた位置には、撮影範囲SR2内の空間を投影するための視野面SH2が設定される。図7の例では、図6のメイン画像MGに対応する空間、つまり、2つの柱GP1、GP2及び、敵のキャラクタAC1が含まれている空間が撮影範囲SR2として設定されている。
【0031】
一方、他の仮想カメラCA1、CA3の視点或いは、撮影方向は、各カメラCA1、CA3が対応する各ガン型コントローラ5の銃口5jの向きに基づいて、制御ユニット10が決定する。この視点或いは、撮影方向は、例えば、ガン型コントローラ5の初期位置に対応する初期撮影方向等を設定し、この初期撮影方向等に対する変化に基づいて決定される。この初期位置に対応する初期撮影方向の一例として、第1仮想カメラCA1及び第3仮想カメラCA3の各撮影範囲がいずれも撮影範囲SR2内に含まれるようなものが利用可能である。
【0032】
図8は、画像処理部16が第1仮想カメラCA1及び第3仮想カメラCA3の撮影範囲を決定するために所定の周期で実行する範囲決定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。図8に示すように、画像処理部16は、まずステップS1にて、照準検出センサSS(図3参照)が出力する信号に基づいて、第1仮想カメラCA1及び第3仮想カメラCA3に対応する各ガン型コントローラ5A、5Bの変化角度を取得する。変化角度として、各ガン型コントローラ5A、5Bの初期位置からの変化角度を水平方向及び、垂直方向について取得する。続くステップS2では、対応する各仮想カメラCA1、CA3の撮影方向を初期撮影方向からステップS1で取得した変化角度だけ水平方向及び、垂直方向に移動させる。この際、各カメラCA1、CA3と各視野面SH1、SH3との間の一定距離が保たれるように移動させる。次のステップS3では、移動後の撮影方向における各視野面SH1、SH3以降の範囲を撮影範囲として決定して、今回のルーチンを終了する。これにより、各カメラCA1、CA3の撮影範囲を仮想3次元ゲーム空間GWのうちの各ガン型コントローラ5の動作に対応した範囲に設定することができる。
【0033】
また、図9は、第1仮想カメラCA1の撮影範囲SR1の一例を示す図である。図9の例では、ガン型コントローラ5が図6の例の第1ガン型コントローラ5Aに対応する初期位置に位置し、撮影方向等として初期撮影方向等が設定されている場合を示している。第1仮想カメラCA1から一致の距離離れた位置には、撮影範囲SR1内の空間を投影するための視野面SH1が設定されている。図9に示すように、一点鎖線で示す第1仮想カメラCA1の視野面SH1は、破線で示す第2仮想カメラCA2の視野面SH2に含まれている。また、図9の例は、図6の第1ガン型コントローラ5Aの小型モニタ7に表示されるサブ画像SGに対応する空間、つまり柱GP1の下方及び、そこに隠れる敵のキャラクタAC1並びに、柱GP2の一部が含まれる空間が撮影範囲SR1として設定されている。
【0034】
一方、図10は、第3仮想カメラCA3の撮影範囲SR3の一例を示す図である。図10の例は、ガン型コントローラ5が図6の例の第2ガン型コントローラ5Bに対応する位置に位置している場合の撮影方向等を示している。この例では、第2仮想カメラCA3から一定の距離離れた位置に設定される視野面SH3は、第2仮想カメラCA2の視野面SH2から左方向に幅Dだけずれている。視野面SH3を二点鎖線、視野面SH2を破線でそれぞれ示している。これにより、撮影範囲SR3には、仮想3次元ゲーム空間のうちの撮影範囲SR2に含まれない空間が含まれている。この例の撮影範囲SR3は、図6の第2ガン型コントローラ5Bの小型モニタ7に表示されるサブ画像SGに対応する空間、つまり柱GP1の下方及び、そこに隠れる敵のキャラクタAC1に加えて、柱GP3及び、そこに隠れる敵のキャラクタAC2が含まれる空間に対応している。
【0035】
画像処理部16は、各仮想カメラCAの視点位置及び撮影方向を制御しつつ、それらのカメラCAにて3次元仮想ゲーム空間GWの一部の空間を仮想的に撮影する。また、画像処理部16は、撮影した仮想3次元ゲーム空間GWを各仮想カメラCA1、CA2、CA3の各視野面SH1、SH2、SH3に投影した2次元画像を演算する。そして、画像処理部16は、得られた2次元画像をフレームメモリ上に描画し、描画された画像データに対応する画像信号を所定の周期で各モニタ4、7に出力する。これにより、メイン画像MGが大型モニタ4に、各ガン型コントローラ5のそれぞれに対応するサブ画像SGが各小型モニタ7に、それぞれ表示される。
【0036】
なお、メイン画像MG又はサブ画像SGに重ね合わされるべきゲージ等の表示要素はフレームメモリに適宜に重ね合わせて描画される。仮想3次元ゲーム空間GWにおける各種オブジェクトの配置、各カメラCAの視点及び、撮影方向に応じた各仮想カメラCAの制御、或いは、各仮想カメラCAによる撮影といった一連の処理は、3Dコンピュータグラフィックス処理におけるモデリング処理、レンダリング処理といった周知の処理を用いて行われる。
【0037】
次に、上記の方法でメイン画像MG及び各サブ画像SGを生成するための画像処理部16の構成を説明する。図11は、画像処理部16の機能ブロック図である。図11に示すように、画像処理部16には、シーン構築部20と、第1ガン型コントローラ用画像演算部21と、第2ガン型コントローラ用画像演算部22と、大型モニタ用画像演算部23と、画像信号生成部24とが設けられている。
【0038】
シーン構築部20は、仮想3次元ゲーム空間GWに各種のオブジェクトを配置する。この際、シーン構築部20は、ガン型コントローラ5の可動範囲に対応するような全空間に仮想3次元ゲーム空間GWが構築されるように、ガン型コントローラ5の可動範囲に対応する仮想3次元ゲーム空間GWの全ての空間に各種のオブジェクトを配置する。また、シーン構築部20は、各仮想カメラCA1、CA2、CA3を視点及び、撮影方向に応じて仮想3次元ゲーム空間GWに配置する。
【0039】
第1ガン型コントローラ用画像演算部21は、シーン構築部20が構築した仮想3次元ゲーム空間GWを、第1仮想カメラCA1から撮影し、撮影した空間の2次元の画像を描画するために必要な演算を実行する。第2ガン型コントローラ用画像演算部22は、シーン構築部20が構築した仮想3次元ゲーム空間GWを、第3仮想カメラCA3から撮影し、撮影した空間の2次元の画像を描画するために必要な演算を実行する。また、大型モニタ用画像演算部23は、シーン構築部20が構築した仮想3次元ゲーム空間GWを、第2仮想カメラCA2から撮影し、撮影した空間の2次元の画像を描画するために必要な演算を実行する。画像信号生成部24は、各画像演算部21、22、23が描画した各画像データを所定の画像信号に変換して、第1ガン型コントローラ用画像演算部21が描画した画像データを第1ガン型コントローラ5Aの小型モニタ7に、第2ガン型コントローラ用画像演算部22描画した画像データを第2ガン型コントローラ5Bの小型モニタ7に、大型モニタ用画像演算部23が描画した画像データを大型モニタ4に、それぞれ出力する。
【0040】
以上に説明したように、この形態のゲーム機によれば、プレイヤキャラクタが移動等する場として設定される仮想3次元ゲーム空間GWが、大型モニタ4に表示される範囲のみならず、各ガン型コントローラ5の可動範囲に対応する範囲まで構築される。そして、ゲーム機1には、大型モニタ4に加えて、各ガン型コントローラ5にも小型のモニタ7が設けられている。このため、仮想3次元ゲーム空間GWの様子を大型モニタ4に加えて、各コントローラ5の小型モニタ7にも表示することができる。また、各ガン型コントローラ5はプレイヤが任意の方向に向けることができるものなので、大型モニタ4に表示される範囲とは無関係に仮想3次元ゲーム空間のうちからプレイヤが要求する任意の空間の様子を各小型モニタ7に表示することができる。これにより、仮想3次元ゲーム空間GWのうちのプレイヤが同時に利用可能な範囲を、各ガン型コントローラ5の可動範囲まで拡大することができる。これにより、各ガン型コントローラ5の方向に対応する仮想3次元ゲーム空間GWの任意の範囲の様子を各小型モニタ7に表示することができるので、仮想3次元ゲーム空間GWに対するプレイヤの臨場感を向上させることができる。また、プレイヤの臨場感を向上させることにより、ゲームの興趣性を向上させることもできる。更に、仮想3次元ゲーム空間GWのうちの大型モニタ4に表示される範囲以外の空間であってプレイヤが表示対象として任意に指定可能な空間にボーナスオブジェクト等を配置することにより、そのような空間をゲームのオプションとして利用することができる。このような利用により、ゲームの展開に幅を持たせることができるので、よりゲームの興趣性を向上させることができる。
【0041】
以上の形態では、制御ユニット10が画像処理部16のシーン構築手段20を通じて空間構築手段として、各画像演算部21、22、23及び、画像信号生成部24を通じて第1画像出力手段及び、第2画像出力手段として、それぞれ機能する。
【0042】
本発明は上述した形態に限らず、適宜の形態にて実施することができる。上述の形態では、特定の条件としてガン型コントローラの動作が利用されているが、このような形態に限定されるものではない。例えば、特定の条件としてプレイヤの視線が向けられている方向が利用されてもよい。このため、上述の形態では、検出手段としてジャイロセンサ等を例示して入力装置の動作を検出しているが、検出手段が検出する対象は、このような動作に限定されるものではない。従って、検出手段は、プレイヤの所作を検出可能なものであればよい。このようなプレイヤの所作を検出する検出手段の一例として周知の視線検出センサを利用し、プレイヤの視線を検出してもよい。また、このような視線検出センサの一例として、観察対象(大型モニタ4等)の周囲の複数個所から観察者(プレイヤ)に向けて照射される赤外光を、観察者側に設けられた受光部で受光して、その受光状況から受光部が向けられている方向を検出する方式のセンサを利用してもよい。或いは、他の検出手段の例としてカメラを利用してもよい。検出手段としてカメラを利用する形態の一例として、ガン型コントローラに設けられた小型カメラ8が撮影した画像若しくは、プレイヤの周囲にカメラを設置してそのカメラが撮影した画像等を処理することにより、ガン型コントローラの銃口の向き等のプレイヤの所作を検出し、この所作が特定の条件として利用されてもよい。
【0043】
また、特定の条件は、上述のように、プレイヤの所作を利用する形態に限定されるものでもない。特定の条件が大型モニタ4に表示される所定の範囲を決めるための所定の条件に依存しない限りにおいて、特定の条件として種々の条件が採用されてよい。例えば、ゲームの進行、ゲームのオプション、或いは、プレイヤのレベルが特定の条件として利用され、これらの条件に応じて、小型モニタに表示される仮想3次元ゲーム空間の一定の範囲が決定されるような形態でもよい。また、小型モニタ7は、入力装置に設けられる形態に限定されるものではなく、例えば、入力装置付近の固定位置に設けられていてもよい。また、上述の形態では、入力装置として銃を模したガン型コントローラが利用されているが、このような形態に限定されるものではなく、例えば、アーチェリーを模した入力装置等、入力装置として各種のものを利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ゲーム機
2 専用筐体
3 ゲーム機本体
4 大型モニタ(表示装置)
5 ガン型コントローラ(入力装置)
7 小型モニタ(表示装置)
10 制御ユニット(空間構築手段、第1画像出力手段、第2画像出力手段、コンピュータ)
SS 照準検出センサ(検出手段)
GW 仮想3次元ゲーム空間(仮想3次元空間)
MG メイン画像
SG サブ画像
SH1 撮影範囲(一定の範囲)
SH2 撮影範囲(所定の範囲)
SH3 撮影範囲(一定の範囲)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの表示装置と、
ゲームを進行させるための仮想3次元空間を構築する空間構築手段と、
所定の条件に従って、前記仮想3次元空間の一部の所定の範囲に関する2次元画像を生成し、一方の表示装置に出力する第1画像出力手段と、
前記所定の条件に依存しない特定の条件に従って、前記仮想3次元空間のうちの一部の一定の範囲に関する2次元画像を生成し、他方の表示装置に出力する第2画像出力手段と、を備えていることを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
プレイヤの所作を検出する検出手段を更に備え、
前記第2画像出力手段は、前記特定の条件として前記検出手段の検出結果を利用し、前記検出結果に応じて前記一定の範囲を決定する請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
プレイヤの操作を入力する入力装置を更に備え、
前記入力装置は、動作可能に構成され、
前記検出手段は、前記入力装置に設けられ、前記プレイヤの所作として前記入力装置の動作を検出する請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記第2画像出力手段が2次元画像を出力する前記他方の表示装置は、前記入力装置に設けられている請求項3に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記入力装置として、銃口を有するガン型コントローラが利用され、
前記第2画像出力手段は、前記銃口が向けられている方向に応じて前記一定の範囲を決定する請求項3又は4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
少なくとも二つの表示装置を備えたゲームシステムに組み込まれるコンピュータに、
ゲームを進行させるための仮想3次元空間を構築する空間構築工程と、
所定の条件に従って、前記仮想3次元空間の一部の所定の範囲に関する2次元画像を生成し、一方の表示装置に出力する第1画像出力工程と、
前記所定の条件に依存しない特定の条件に従って、前記仮想3次元空間のうちの一部の一定の範囲に関する2次元画像を生成し、他方の表示装置に出力する第2画像出力工程と、を実行させるゲームシステムの制御方法。
【請求項7】
少なくとも二つの表示装置を備えたゲームシステムに組み込まれるコンピュータを、
ゲームを進行させるための仮想3次元空間を構築する空間構築手段、所定の条件に従って、前記仮想3次元空間の一部の所定の範囲に関する2次元画像を生成し、一方の表示装置に出力する第1画像出力手段及び、前記所定の条件に依存しない特定の条件に従って、前記仮想3次元空間のうちの一部の一定の範囲に関する2次元画像を生成し、他方の表示装置に出力する第2画像出力手段として機能させるように構成されたゲームシステム用のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−20016(P2012−20016A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161100(P2010−161100)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】