説明

ゲームシステム、ゲームプログラムおよび情報記憶媒体

【課題】好ましくないマッチングが特定のプレーヤに集中することを防止することができるゲームシステム、ゲームプログラムおよび情報記憶媒体を提供すること。
【解決手段】複数のプレーヤが相互に対戦する対戦型ゲームを行うゲームシステムであって、複数のプレーヤのそれぞれが操作する操作部250と、操作部250を操作して行われるプレーヤの操作指示に基づいて対戦型ゲームを行う対戦制御部221と、対戦型ゲームに参加する複数のプレーヤの組合せを、各プレーヤの過去の組合せ情報に基づいて決定するマッチング処理部313とが備わっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプレーヤが参加してゲームを行うゲームシステム、ゲームプログラムおよび情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ネットワークを介して接続された複数のゲーム装置を操作する複数のプレーヤを組み合わせて対人・対戦型のゲームを行うゲームシステムが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。本明細書では、複数のプレーヤを組み合わせる処理を「マッチング処理」と称する。特許文献1のゲームシステムでは、複数のプレーヤの個人情報に基づいて、ゲームに参加するプレーヤの中から適合するプレーヤを選んで組織化している。また、特許文献2のゲームシステムでは、複数のプレーヤがチームを組むマッチング処理を行う際に、レベル平均値が同程度となるようにしている。
【特許文献1】特開2001−344372号公報(第4−6頁、図1−5)
【特許文献2】特開2007−229040号公報(第7−19頁、図1−21)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1や特許文献2に開示された対人・対戦型のゲームでは、レベル等が近いプレーヤ同士を組み合わせるようになっているが、参加希望プレーヤの数によっては必ずしも希望通りの組み合わせを行うことができない場合がある。例えば、プレイ経験が多い上位レベルのプレーヤとプレイ経験が少ない下位レベルのプレーヤが一人ずつしかいない場合には、これら2人のプレーヤを組み合わせたり、ゲーム装置自身が操作するプレーヤをそれぞれのプレーヤと組み合わせることになるため、同程度のレベルのプレーヤとの対戦を希望するプレーヤにとっては、好ましくないマッチング処理が行われたことになる。特に、業務用のゲーム装置であって、比較的プレーヤの数が少ない時間帯(例えば、営業開始直後の時間帯)にはこのような好ましくないマッチング処理の発生が起こる確率が高くなる。このような好ましくないマッチング処理は各プレーヤに対してランダムに発生するものであり、各プレーヤに均等に分散されれば各プレーヤの不満の程度も分散できて望ましいが、短期的には好ましくないマッチング処理が特定のプレーヤに集中するおそれがあるという問題があった。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、好ましくないマッチングが特定のプレーヤに集中することを防止することができるゲームシステム、ゲームプログラムおよび情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明のゲームシステムは、複数のプレーヤのそれぞれに対応するプレーヤキャラクタが相互に対戦する対戦型ゲームを行うゲームシステムであって、複数のプレーヤのそれぞれが操作する複数の操作手段と、複数の操作手段を操作して行われるプレーヤの操作指示に基づいて対戦型ゲームを行う対戦制御手段と、対戦型ゲームに参加する複数のプレーヤの組合せを、各プレーヤの過去の組合せ情報に基づいて決定するプレーヤ組合せ決定手段とを備えている。
【0006】
また、本発明のゲームシステムは、複数のゲーム装置とゲームサーバとがネットワークを介して接続され、複数のゲーム装置のそれぞれを操作するプレーヤに対応する複数のプレーヤキャラクタを対戦させる対戦型ゲームを行う。複数のゲーム装置のそれぞれは、自装置に対応するプレーヤが操作する操作手段と、操作手段を操作して行われるプレーヤの操作指示に基づいて対戦型ゲームを行う対戦制御手段とを備えている。ゲームサーバは、対戦型ゲームに参加する複数のプレーヤの組合せを、各プレーヤの過去の組合せ情報に基づいて決定するプレーヤ組合せ決定手段を備えている。
【0007】
また、本発明のゲームプログラムは、コンピュータを、複数の操作手段のそれぞれを操作して行われる複数のプレーヤの操作指示に基づいて対戦型ゲームを行う対戦制御手段と、対戦型ゲームに参加する複数のプレーヤの組合せを、各プレーヤの過去の組合せ情報に基づいて決定するプレーヤ組合せ決定手段として機能させる。
【0008】
上述したゲームシステムやゲームプログラムでは、過去の組合せ情報に基づいて各プレーヤに対して好ましくない組合せが行われたか否かを知ることができるため、特定のプレーヤに好ましくない組合せ(マッチング)が集中することを防止することができる。
【0009】
また、上述したプレーヤ組合せ決定手段は、過去に好ましくない組合せが行われたプレーヤを優先し、このプレーヤの組合せが対戦型ゲームに適した組合せとなるように複数のプレーヤの組合せを決定することが望ましい。これにより、好ましくない組合せが行われる頻度を各プレーヤに分散させることが可能となる。
【0010】
また、上述した好ましくない組合せには、過去に対戦型ゲームを行った回数の差が所定値を超えるプレーヤ同士の組合せが含まれる。あるいは、上述した好ましくない組合せには、過去に対戦型ゲームを行った実績に基づいて決定されたレベル値の差が所定値を超えるプレーヤ同士の組合せが含まれる。上述した好ましくない組合せには、過去に対戦型ゲームを行った際に希望に沿わない設定がなされた場合の組合せが含まれる。上述したプレーヤ組合せ決定手段は、所定の組合せ条件に適合する他のプレーヤが存在しない場合に、一のプレーヤと対戦制御手段によって制御される仮想的な敵キャラクタとを組み合わせる決定を行っており、上述した好ましくない組合せには、過去に対戦型ゲームを行った際に、仮想的な敵キャラクタを相手とする組合せが含まれる。また、上述したプレーヤ組合せ決定手段は、直近の所定回数の組合せに対応する組合せ情報に基づいた決定を行うことが望ましい。あるいは、上述したプレーヤ組合せ決定手段は、直近の所定期間における組合せに対応する組合せ情報に基づいた決定を行うことが望ましい。これらの具体的なケースについて好ましくない組合せの有無を判定することにより、好ましくない組合せに該当するか否かの判定を容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体は、上述したゲームプログラムを記憶している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を適用した一実施形態のゲームシステムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、一実施形態のゲームシステムの全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態のゲームシステムは、複数のゲーム装置200とゲームサーバ300とを備えており、これらの間はネットワーク100を介して接続されている。このネットワーク100は、ゲーム装置200とゲームサーバ300との間を相互に接続可能であれば、インターネットや専用回線、公衆回線、LAN等あるいはこれらを組み合わせたものであってもよい。また、ゲーム装置200は、例えば専用の筐体や表示部を備えた業務用のゲーム装置であって、ゲームセンター等に設置されている。なお、一部あるいは全部を家庭用のゲーム装置や、ゲーム装置として動作するパーソナルコンピュータ等に置き換えるようにしてもよい。
【0013】
ゲームサーバ300は、公知のサーバコンピュータシステムを用いて構成されており、本実施形態のゲームシステムで行われる対人・対戦型のネットワークゲームに参加するゲーム装置200の管理等を行い、ゲームシステム全体を制御する。
【0014】
ゲーム装置200は、各プレーヤが操作する操作部を有し、ネットワーク100に接続する機能と、ゲームサーバ300や他のゲーム装置200との間でデータを送受信する機能とを備えている。
【0015】
図2は、ゲームサーバ300の構成を示す図である。図2に示すように、ゲームサーバ300は、処理部310、記憶部320、通信部330を備えている。
【0016】
処理部310は、記憶部320に格納されているゲームプログラムやデータ、あるいはゲームサーバ300に接続される各ゲーム装置200から送られてくるデータ等に基づいて、ゲームサーバ300全体の制御や、ゲームサーバ300内の各機能部への指示やデータの転送、ゲームシステム全体の制御等の各種処理を行う。この処理部310の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)によって所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0017】
処理部310は、主な機能部として、プレーヤ管理部311、ゴーストキャラクタ管理部312、マッチング処理部313、ゲーム進行処理部314、タイマ315を備えている。
【0018】
プレーヤ管理部311は、対人・対戦型ゲームに参加したプレーヤに関する情報を管理する。具体的には、ゲーム装置200を操作するプレーヤがゲームサーバ300に最初にアクセスした際に登録されるプレーヤのプレイIDに基づいて、このプレーヤのゲームプレイに関する情報等を管理する。本実施形態では、予めプレーヤがプレイIDが記憶されたプレーヤカードを購入し、このプレーヤカードをゲーム装置200の所定位置にセットすることによりゲームシステムへアクセスする。ゲーム装置200では、セットされたプレーヤカードに記憶されているプレイIDを読み取ってゲームサーバ300に向けて送信する。プレーヤ管理部311は、ゲーム装置200から送られてきたプレイIDをキーとしたデータ管理を行い、プレーヤやこのプレーヤが選択したプレーヤキャラクタ等を特定し、以後このプレーヤのゲーム内容の履歴情報(ゲームを行った日時やプレイ結果(勝敗情報)等のデータ)をプレイID毎に更新する。
【0019】
ゴーストキャラクタ管理部312は、対人・対戦型ゲームに参加した各プレーヤのゴーストキャラクタに関する情報を管理する。本明細書では、ゴーストキャラクタとは、対人・対戦型ゲームに参加したいずれかのプレーヤの操作入力の傾向に関する情報(プレーヤパターン情報)が関連付けられた登録キャラクタである。本実施形態の対人・対戦型ゲームでは、各ゲーム装置200に対応するプレーヤが操作する各キャラクタ(プレーヤキャラクタ)同士が対戦するが、場合によっては(例えば、プレーヤ数が所定人数に達しない場合等)、各ゲーム装置200が所定の処理ルーチンにしたがって操作するキャラクタ(仮想的な敵キャラクタとしてのCPUキャラクタ)をプレーヤキャラクタの代わりにゲームに参加させる場合がある。このCPUキャラクタの動作パターンは、所定の処理ルーチンにしたがって制御されるため、画一的なものになる傾向がある。そこで、CPUキャラクタの行動パターンに各プレーヤの操作入力の傾向を加味したものが上記のゴーストキャラクタであり、各ゲーム装置200は、所定の処理ルーチンを実行する際にプレーヤパターン情報を考慮することで、仮想的な敵キャラクタとしてのゴーストキャラクタの動作パターンの制御を行う。また、本実施形態では、プレーヤIDに基づいて各プレーヤが特定されるため、このプレーヤに対応するゴーストキャラクタもプレーヤIDに基づいて管理されている。
【0020】
マッチング処理部313は、対人・対戦型ゲームに参加するプレーヤを募集するとともに、この募集に応募してきた多数のプレーヤの中から所定人数のプレーヤを選択して組み合わせるマッチング処理を行う。なお、所定人数に達しない場合等においては、不足人数分に相当するプレーヤキャラクタの代わりに上述したゴーストキャラクタ(あるいはCPUキャラクタ)がゲームに参加することになる。
【0021】
ゲーム進行処理部314は、対人・対戦型ゲームの進行を制御する。具体的には、ゲーム進行処理部314は、マッチング処理部313によってゲームへの参加が決定された各プレーヤに対応するゲーム装置200との間で通信を確立し、対人・対戦型ゲームの実行を開始する。また、ゲーム進行処理部314は、経過時間を監視し、所要時間経過後に勝敗を決定し、ゲームを終了させる処理を行う。
【0022】
記憶部320は、処理部310の各機能部を実現するためのゲームプログラムや各種のデータを記憶するためのものであり、プレーヤDB(データベース)321、ゴーストキャラクタDB322、マッチング回数323の各データを含んでいる。この記憶部320は、ハードディスクや半導体メモリ等で実現される。プレーヤDB321は、プレーヤ管理部311によって管理されるプレイID毎の履歴情報を蓄積したものである。ゴーストキャラクタDB322は、各プレーヤに対応するゴーストキャラクタのデータを各プレイID毎に蓄積したものである。あるプレーヤのプレーヤキャラクタをゴーストキャラクタに切り替える(置き換える)場合には、プレーヤキャラクタに対応するプレーヤのプレイIDが特定され、このプレイIDに対応するゴーストキャラクタのデータがゴーストキャラクタDB322から読み出される。マッチング回数323は、マッチング処理部313によるマッチング処理の繰り返し回数を示すデータである。具体的には、マッチング処理によって組み合わされた複数のプレーヤによって対人・対戦型のゲームが行われるが、ゲームオーバーになる前にマッチング処理のやり直しが行われた場合の回数がマッチング回数323として格納される。なお、マッチング処理のやり直しが行われる場合は特別な場合であるため、このような場合を想定しない場合にはマッチング回数323は省略してもよい。また、マッチング処理のやり直しが行われたゲームについてのみマッチング回数323を格納するようにしてもよい。
【0023】
通信部330は、ネットワーク100を介して各ゲーム装置200との間でデータを送受信するための制御を行うものであり、接続回線に対応した通信制御機能や回線終端機能を有する。接続回線は、有線でも無線でもよい。
【0024】
図3は、ゲーム装置200の構成を示す図である。図3に示すように、ゲーム装置200は、処理部210、記憶部240、操作部250、コイン投入口252、カード読取部254、表示部260、音出力部262、通信部270を備えている。
【0025】
操作部250は、ゲーム装置200を操作するプレーヤがゲームに関する各種操作指示を入力するためのものであり、操作指示に応じた操作信号が処理部210に入力される。この操作部250は、例えば、ボタンスイッチ、レバー、ダイヤル等を備えている。コイン投入口252は、ゲームを行うプレーヤがコインを投入するためのものである。コイン投入口252にコインが投入されると、このコイン投入がセンサ(図示せず)によって検出されてコイン投入信号が処理部210に入力される。カード読取部254は、プレーヤが所持するプレーヤカード256が挿入口から挿入されたときに、このプレーヤカード256に記憶されたプレイIDを読み取る。なお、本実施形態では、プレイID以外のプレーヤの履歴情報はゲームサーバ300に格納されているが、その一部あるいは前部をプレーヤカード256にも格納するようにしてもよい。読み取られたプレイIDは処理部210に入力される。
【0026】
処理部210は、記憶部240に格納されているゲームプログラムやデータ、あるいはゲームサーバ300から送られてくるデータ等に基づいて、ゲーム装置200全体の制御や、ゲーム装置200内の各機能部への指示、画像処理、音処理等の各種処理を行う。この処理部210の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)によって所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0027】
処理部210は、主な機能部として、ゲーム演算部220、画像生成部230、音生成部232を備えており、1フレーム時間(例えば1/60秒)毎に1枚の画像を生成して表示部260に向けて出力するとともに、適宜効果音やBGMを音出力部262に向けて出力する制御を行う。
【0028】
ゲーム演算部220は、操作部250から入力される操作信号、コイン投入時に入力されるコイン投入信号、記憶部240から読み出されたゲームプログラムや各種のデータ、あるいは通信部270を介して接続されるゲームサーバ300や他のゲーム装置200から送られてくるデータ等に基づいて、対人・対戦型ゲームを実現するための各種のゲーム処理を実行する。ゲーム処理としては、例えば、仮想空間の設定処理、仮想空間へのオブジェクトの配置処理、オブジェクトの交差判定処理(ヒットチェック処理)、キャラクタのアクション制御、ゲーム結果の算出処理、視点位置や視線方向の決定処理などが含まれる。
【0029】
ゲーム演算部220には、対戦制御部221、ゴーストキャラクタ管理部222が含まれる。対戦制御部221は、プレーヤキャラクタ同士(あるいはプレーヤキャラクタとゴーストキャラクタ(CPUキャラクタ))の対戦を制御する。具体的には、対戦制御部221は、操作部250から入力される操作信号に基づいて実行コマンドの内容を判定し、この実行コマンドに基づいてこの操作部250を操作するプレーヤに対応するプレーヤキャラクタの移動や攻撃、防御等の挙動を制御するとともに、他のゲーム装置200のプレーヤに対応するプレーヤキャラクタあるいはゴーストキャラクタ(CPUキャラクタ)の挙動を制御する。各プレーヤおよびプレーヤキャラクタに関する情報は、プレーヤ情報241として記憶部240に格納されており、必要に応じて対戦制御部221に読み出される。
【0030】
ゴーストキャラクタ管理部222は、他のゲーム装置200を操作するプレーヤキャラクタがゴーストキャラクタに置き換えられた場合に、このゴーストキャラクタに関する情報(ゴーストキャラクタ情報)を管理する。置き換えに必要なゴーストキャラクタ情報は、ゲームサーバ300から取得され、記憶部240にゴーストキャラクタ情報242として格納される。
【0031】
画像生成部230は、例えば、CPUやDSP等のハードウエアやその制御プログラム、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等によって実現される。この画像生成部230は、ゲーム演算部220による処理結果に基づいて、ゲーム画面を表示するための3DCG画像(あるいは2DCG画像)を生成する。生成した画像に対応する画像信号は表示部260に向けて出力される。
【0032】
音生成部232は、例えば、CPUやDSP等のハードウエアやその制御プログラムによって実現される。この音生成部232は、ゲーム演算部220による処理結果に基づいて、ゲーム中に使用される効果音やBGM等のゲーム音を生成する。生成したゲーム音に対応する音信号は音出力部262に向けて出力される。
【0033】
記憶部240は、処理部210の各機能部を実現するためのゲームプログラムや各種のデータを記憶するためのものであり、プレーヤ情報241、ゴーストキャラクタ情報242を含んでいる。この記憶部240は、ハードディスクや半導体メモリ等で実現される。プレーヤ情報241は、プレイID毎に管理されたプレーヤ毎の履歴情報であり、プレーヤがゲームを行う毎にその内容が更新される。
【0034】
表示部260は、画像生成部230から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画面を表示する。例えば、LCDやELD等で実現される。プレーヤは、表示部260に表示されるゲーム画面を見ながら操作部250を操作して対戦ゲームを行う。音出力部262は、音生成部232から入力される音信号に基づいて効果音やBGMを出力する。例えば、スピーカによって実現される。
【0035】
通信部270は、ネットワーク100を介してゲームサーバ300や他のゲーム装置200との間でデータを送受信するための制御を行うものであり、接続回線に対応した通信制御機能や回線終端機能を有する。接続回線は、有線でも無線でもよい。
【0036】
上述した複数のゲーム装置200のそれぞれに備わった操作部250が複数の操作手段に、対戦制御部221が対戦制御手段に、マッチング処理部313がプレーヤ組合せ決定手段にそれぞれ対応する。
【0037】
本実施形態のゲームシステムはこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。本実施形態のゲームシステムでは、対人・対戦型ゲームに参加する複数のプレーヤの組合せ(マッチング処理)を、各プレーヤの過去の組合せ情報に基づいて決定することにより、特定のプレーヤに好ましくない組合せが集中することがないようにしている。以下、具体例について説明する。
【0038】
図4は、対人・対戦型ゲームに参加する複数のプレーヤを集めて組み合わせるマッチング処理の動作手順を示す流れ図であり、主にゲームサーバ300のマッチング処理部313によって行われる動作手順が示されている。
【0039】
マッチング処理部313は、マッチング処理を開始する(ステップ100)。例えば、各ゲーム装置200に向けてマッチング処理を開始する旨のデータを送る。各ゲーム装置200では、少なくともマッチング処理を行う旨とマッチング処理終了までの残り時間とが含まれる画面が表示部260に表示される。
【0040】
次に、マッチング処理部313は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップ101)。例えば、所定時間として「5分」が設定されており、マッチング処理部313はマッチング処理開始から5分が経過したか否かを判定する。5分が経過するまでは否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、5分が経過すると肯定判断が行われ、次に、マッチング処理部313は、ゲーム参加を希望するプレーヤが存在するか否かを判定する(ステップ102)。参加を希望するプレーヤが一人もいない場合には否定判断が行われ、マッチング処理を終了する。また、参加を希望するプレーヤが少なくとも1人いる場合にステップ102の判定において肯定判断が行われる。
【0041】
次に、マッチング処理部313は、参加を希望するプレーヤの中に優先プレーヤが含まれるか否かを判定する(ステップ103)。ここで、優先プレーヤとは、マッチング処理を行う際に優先的に組合せが行われるプレーヤである。過去のマッチング処理において好ましくない組合せが行われたプレーヤが優先プレーヤに該当する。例えば、以下に示す具体的なケースのいずれかに該当するプレーヤがこの優先プレーヤに該当する。
【0042】
(1)過去にこの対戦型ゲームを行った回数の差が所定値を超えるプレーヤ同士の組合せが行われた各プレーヤ。例えば、2人が参加する対戦型ゲームの場合に、一方のプレーヤのゲーム回数が100回で他方のプレーヤのゲーム回数が10回である場合のようにゲーム経験の程度が極端に異なる場合である。なお、この場合には、ゲーム回数が少ないプレーヤのみを優先プレーヤとする場合の他、両方のプレーヤをともに優先プレーヤとするようにしてもよい。後者の場合には、あまりにも弱い相手プレーヤと対戦した強い方のプレーヤにとっても対戦ゲームの内容がつまらないと感じる場合があるからである。また、このように、優先プレーヤか否かの判定をゲーム回数を用いて行う場合には、その前提として、各プレーヤ毎にそれまでのゲーム回数(各プレーヤのゲーム回数が「過去の組合せ情報」に対応する)がゲームシステム内に保持されている必要がある。例えば、ゲームサーバ300の記憶部320に記憶されたプレーヤDB321には、各プレーヤ毎のゲーム回数が含まれており、各プレーヤが対戦ゲームを行う毎にこのゲーム回数の値が更新されるようになっている。この更新処理は、プレーヤ管理部311によって行われる。
【0043】
(2)過去に対戦型ゲームを行った実績に基づいて決定されたレベル値の差が所定値を超えるプレーヤ同士の組合せが行われた各プレーヤ。例えば、対戦型ゲームに参加したプレーヤが勝つ回数が多くなるにつれてレベル値が1から順番に大きくなり、最も強い場合にレベル10に達するものとする。2人が参加する対戦型ゲームの場合に、一方のプレーヤのレベル値が10で他方のプレーヤのレベル値が1である場合のようにゲーム経験の程度が極端に異なる場合である。なお、この場合には、レベル値が小さいプレーヤのみを優先プレーヤとする場合の他、両方のプレーヤをともに優先プレーヤとするようにしてもよい。後者の場合には、あまりにも弱い相手プレーヤと対戦した強い方のプレーヤにとっても対戦ゲームの内容がつまらないと感じる場合があるからである。また、このように、優先プレーヤか否かの判定をレベル値を用いて行う場合には、その前提として、各プレーヤ毎にそれまでのゲームの勝敗に基づいて決定されるレベル値(各プレーヤのレベル値が「過去の組合せ情報」に対応する)がゲームシステム内に保持されている必要がある。例えば、ゲームサーバ300の記憶部320に記憶されたプレーヤDB321には、各プレーヤ毎のレベル値が含まれており、各プレーヤが対戦ゲームを行って勝つ毎にレベル値が大きい値に更新され、負ける毎にレベル値が小さい値に更新されるようになっている。この更新処理は、プレーヤ管理部311によって行われる。
【0044】
(3)過去に対戦型ゲームを行った際に希望に沿わない設定で組合せが行われた各プレーヤ。例えば、対戦型ゲームとしてクイズゲームを考えたときに、マッチング処理を行う際に得意なジャンル(参加を希望するジャンル)を指定できるものとする。このような場合に、全てのプレーヤについて希望するジャンルとなるようにプレーヤの組合せを決めることができない場合があり、希望のジャンルでゲームをすることができなかったプレーヤが優先プレーヤとなる。なお、このような優先プレーヤか否かの判定を行う場合には、その前提として、各プレーヤ毎にそれまでに希望に沿わないマッチング処理が行われたか否かを示すデータ(各プレーヤのこのデータが「過去の組合せ情報」に対応する)がゲームシステム内に保持されている必要がある。例えば、ゲームサーバ300の記憶部320に記憶されたプレーヤDB321には、各プレーヤ毎にこのデータが含まれており、各プレーヤが対戦ゲームに参加する毎にこのデータが更新されるようになっている。この更新処理は、プレーヤ管理部311によって行われる。
【0045】
(4)過去に対戦型ゲームを行った際に、所定の組合せ条件に適合する適当な相手プレーヤがいない場合にゴーストキャラクタ(あるいはCPUキャラクタ)を対戦相手としたマッチング処理が行われる場合があり、このようなプレーヤが優先プレーヤに該当する。なお、このような優先プレーヤか否かの判定を行う場合には、その前提として、各プレーヤ毎にそれまでにゴーストキャラクタ(あるいはCPUキャラクタ)を対戦相手としてゲームを行ったか否かを示すデータ(各プレーヤのこのデータが「過去の組合せ情報」に対応する)がゲームシステム内に保持されている必要がある。例えば、ゲームサーバ300の記憶部320に記憶されたプレーヤDB321には、各プレーヤ毎にこのデータが含まれており、各プレーヤが対戦ゲームに参加する毎にこのデータが更新されるようになっている。この更新処理は、プレーヤ管理部311によって行われる。
【0046】
ところで、ステップ103の優先プレーヤか否かの判定は、各プレーヤの過去の履歴をどの程度の期間参照するかで結果が違ってくる。具体的には、各プレーヤ毎に直近の所定回数の組合せ内容を参照する場合や、各プレーヤ毎に直近の所定期間における組合せ内容を参照する場合などが考えられる。
【0047】
優先プレーヤが含まれない場合にはステップ103の判定において否定判断が行われ、次にマッチング処理部313は、各プレーヤ毎のレベル値等を考慮した通常の(優先プレーヤを考慮しない)マッチング処理を行ってプレーヤの組合せを決定する(ステップ104)。
【0048】
一方、優先プレーヤが含まれる場合にはステップ103の判定において肯定判断が行われ、次にマッチング処理部313は、優先プレーヤを優先したマッチング処理を行って、この優先プレーヤを含む組合せが対戦型ゲームに適した組合せとなるように、この優先プレーヤと他のプレーヤの組合せを決定する(ステップ105)。
【0049】
なお、「対戦型ゲームに適した組合せ」とはゲーム回数が近いプレーヤ同士を組み合わせたり、レベル値が近いプレーヤ同士を組み合わせたり、すなわち、次回以降にこのプレーヤが優先プレーヤに該当しなくなる組合せが「対戦型ゲームに適した組合せ」に該当する。
【0050】
また、優先プレーヤが複数存在する場合には、その中でさらに優先順位が決定され、この決定された優先順位にしたがって優先プレーヤがさらに優先的な扱いを受けるようにする。例えば、ゲーム回数やレベル値に基づいて優先プレーヤか否かを判定する場合には、ゲーム回数あるいはレベル値の差がより大きいプレーヤの方がこの差がより小さいプレーヤよりも優先順位が高くなる。また、これらの場合にゲームに負けたプレーヤと勝ったプレーヤの両方が優先プレーヤとして扱われる場合には、負けたプレーヤの方が勝ったプレーヤよりも優先順位が高くなる。また、各プレーヤ毎に直近の所定期間における組合せ内容を参照して優先プレーヤか否かを判定する場合には、この所定期間において優先プレーヤに該当した回数が多いプレーヤの方が少ないプレーヤよりも優先順位が高くなる。
【0051】
ステップ104あるいは105のマッチング処理が終了すると、ゲーム進行処理部314の制御によって、マッチング処理によって組み合わされたプレーヤ毎に対戦ゲームが開始される。
【0052】
このように、本実施形態のゲームシステムでは、過去の組合せ情報に基づいて各プレーヤに対して好ましくない組合せが行われたか否かを知ることができるため、特定のプレーヤに好ましくない組合せ(マッチング)が集中することを防止することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、複数のゲーム装置200とゲームサーバ300とがネットワーク100を介して接続されたゲームシステムについて説明したが、これらの機能を1台のゲーム装置(コンピュータ)に持たせるようにしてもよい。このゲーム装置には複数の操作部が接続されており、複数のプレーヤが対人・対戦型ゲームを行う際に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】一実施形態のゲームシステムの全体構成を示す図である。
【図2】ゲームサーバの構成を示す図である。
【図3】ゲーム装置の構成を示す図である。
【図4】対人・対戦型ゲームに参加する複数のプレーヤを集めて組み合わせるマッチング処理の動作手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0055】
100 ネットワーク
200 複数のゲーム装置
210、310 処理部
220 ゲーム演算部
221 対戦制御部
222、312 ゴーストキャラクタ管理部
230 画像生成部
232 音生成部
240、320 記憶部
250 操作部
252 コイン投入口
254 カード読取部
260 表示部
262 音出力部
270、330 通信部
300 ゲームサーバ
311 プレーヤ管理部
313 マッチング処理部
314 ゲーム進行処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレーヤのそれぞれに対応するプレーヤキャラクタが相互に対戦する対戦型ゲームを行うゲームシステムであって、
前記複数のプレーヤのそれぞれが操作する複数の操作手段と、
前記複数の操作手段を操作して行われる前記プレーヤの操作指示に基づいて前記対戦型ゲームを行う対戦制御手段と、
前記対戦型ゲームに参加する前記複数のプレーヤの組合せを、各プレーヤの過去の組合せ情報に基づいて決定するプレーヤ組合せ決定手段と、
を備えることを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
複数のゲーム装置とゲームサーバとがネットワークを介して接続され、前記複数のゲーム装置のそれぞれを操作するプレーヤに対応する複数のプレーヤキャラクタを対戦させる対戦型ゲームを行うゲームシステムであって、
前記複数のゲーム装置のそれぞれは、
自装置に対応する前記プレーヤが操作する操作手段と、
前記操作手段を操作して行われる前記プレーヤの操作指示に基づいて前記対戦型ゲームを行う対戦制御手段と、を備え、
前記ゲームサーバは、前記対戦型ゲームに参加する前記複数のプレーヤの組合せを、各プレーヤの過去の組合せ情報に基づいて決定するプレーヤ組合せ決定手段を備えることを特徴とするゲームシステム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記プレーヤ組合せ決定手段は、過去に好ましくない組合せが行われた前記プレーヤを優先し、このプレーヤの組合せが前記対戦型ゲームに適した組合せとなるように前記複数のプレーヤの組合せを決定することを特徴とするゲームシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記好ましくない組合せは、過去に前記対戦型ゲームを行った回数の差が所定値を超える前記プレーヤ同士の組合せであることを特徴とするゲームシステム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記好ましくない組合せは、過去に前記対戦型ゲームを行った実績に基づいて決定されたレベル値の差が所定値を超える前記プレーヤ同士の組合せであることを特徴とするゲームシステム。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記好ましくない組合せは、過去に前記対戦型ゲームを行った際に希望に沿わない設定がなされた場合の組合せであることを特徴とするゲームシステム。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記プレーヤ組合せ決定手段は、所定の組合せ条件に適合する他のプレーヤが存在しない場合に、一のプレーヤと前記対戦制御手段によって制御される仮想的な敵キャラクタとを組み合わせる決定を行っており、
前記好ましくない組合せは、過去に前記対戦型ゲームを行った際に、前記仮想的な敵キャラクタを相手とする組合せであることを特徴とするゲームシステム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記プレーヤ組合せ決定手段は、直近の所定回数の組合せに対応する前記組合せ情報に基づいた決定を行うことを特徴とするゲームシステム。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記プレーヤ組合せ決定手段は、直近の所定期間における組合せに対応する前記組合せ情報に基づいた決定を行うことを特徴とするゲームシステム。
【請求項10】
コンピュータを、
複数の操作手段のそれぞれを操作して行われる複数のプレーヤの操作指示に基づいて対戦型ゲームを行う対戦制御手段と、
前記対戦型ゲームに参加する前記複数のプレーヤの組合せを、各プレーヤの過去の組合せ情報に基づいて決定するプレーヤ組合せ決定手段と、
して機能させるためのゲームプログラム。
【請求項11】
請求項10において、
前記プレーヤ組合せ決定手段は、過去に好ましくない組合せが行われた前記プレーヤを優先し、このプレーヤの組合せが前記対戦型ゲームに適した組合せとなるように前記複数のプレーヤの組合せを決定するゲームプログラム。
【請求項12】
請求項10または11に記載のゲームプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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