説明

ゲームシステム、プログラム、及び、情報記憶媒体

【課題】生体の脈波を測定する脈波センサを有し、脈波センサを用いて得られた脈波情報をゲーム上のデータとして使用する。
【解決手段】ゲームシステム全体の動作を統括的に制御する主演算部11と、映像データを生成する映像処理部14と、音声データを生成する音声処理部15と、を有し、主演算部11は、前記脈波情報を反映して前記映像データと前記音声データの少なくとも一方を生成するように、映像処理部14及び音声処理部15に指示を送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステム、プログラム、及び、情報記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な入力インタフェイスを使用したゲームが開発されている。例えば、特許文献1には、外部から検出した匂いや味をゲーム要素として用いたゲームシステムが開示・提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−024622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のゲームシステムでは、例えば、プレイヤーの体調や興奮度合いをゲームに反映させることはできなかった。
【0005】
本発明は、本願の発明者らによって見い出された上記の問題点に鑑み、例えば、プレイヤーの体調や興奮度合いをゲームに反映させることが可能なゲームシステム、このゲームシステムを制御するプログラム、及び、このプログラムを格納する情報記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るゲームシステムは、生体の脈波を測定する脈波センサを有し、前記脈波センサを用いて得られた脈波情報をゲーム上のデータとして使用する構成(第1の構成)とされている。
【0007】
なお、上記第1の構成から成るゲームシステムは、前記ゲームシステム全体の動作を統括的に制御する主演算部と、映像データを生成する映像処理部と、音声データを生成する音声処理部と、を有し、前記主演算部は、前記脈波情報を反映して前記映像データと前記音声データの少なくとも一方を生成するように、前記映像処理部及び前記音声処理部に指示を送る構成(第2の構成)にするとよい。
【0008】
また、上記第2の構成から成るゲームシステムにおいて、前記主演算部は、前記脈波情報を反映してゲームキャラクターの表情と声の少なくとも一方を生成するように、前記映像処理部及び前記音声処理部に指示を送る構成(第3の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第2または第3の構成から成るゲームシステムにおいて、前記主演算部は、前記脈波センサの出力に基づいてプレイヤーの血管年齢を算出し、この血管年齢をゲーム上のデータとして使用する構成(第4の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第4の構成から成るゲームシステムにおいて、前記主演算部は、前記脈波センサの出力に基づいて複数のプレイヤーの血管年齢を算出し、これらの血管年齢や比較結果をゲーム上のデータとして使用する構成(第5の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第2〜第5いずれかの構成から成るゲームシステムにおいて、前記主演算部は、複数の前記脈波センサの出力に基づいて複数のプレイヤーの脈波情報を同時又はほぼ同時に取得し、これらの脈波情報をゲーム上のデータとして使用する構成(第6の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第2〜第6いずれかの構成から成るゲームシステムは、他のゲームシステムまたはサーバとの間で前記脈波情報の送受信を行う通信部を有する構成(第7の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第7の構成から成るゲームシステムにおいて、前記主演算部は、前記通信部を介して取得される複数の脈波情報に基づいて複数のプレイヤーのランク付けを行い、そのランク付けの結果を出力するように、前記映像処理部及び前記音声処理部に指示を送る構成(第8の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第2〜第8いずれかの構成から成るゲームシステムは、前記脈波情報を日時に関連付けて保持する情報記憶部を有する構成(第9の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第2〜第9いずれかの構成から成るゲームシステムにおいて、前記主演算部は、前記脈波情報を反映してゲームキャラクターの生成、属性の変化、及び、変身の少なくとも一つを行うように、前記映像処理部及び前記音声処理部に指示を送る構成(第10の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第2〜第10いずれかの構成から成るゲームシステムにおいて、前記主演算部は、ある質問に対するプレイヤーの回答時に得られた前記脈波情報に基づいて前記プレイヤーの回答が真実であるか否かの判定を行い、その判定結果をゲーム上のデータとして使用する構成(第11の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第2〜第11いずれかの構成から成るゲームシステムにおいて、前記脈波センサは、ペットに装着される構成(第12の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第2〜第11いずれかの構成から成るゲームシステムにおいて、前記脈波センサは、睡眠中のプレイヤーに装着される構成(第13の構成)にするとよい。
【0019】
また、本発明に係るプログラムは、生体の脈波を測定する脈波センサと、ゲームシステム全体の動作を統括的に制御する主演算部と、プログラムの展開領域として用いられる情報記憶部と、映像データを生成する映像処理部と、音声データを生成する音声処理部と、を有するゲームシステムを制御するためのプログラムであって、前記主演算部に読み出されて実行されることにより、前記脈波情報を反映して前記映像データと前記音声データの少なくとも一方を生成するように、前記映像処理部及び前記音声処理部に指示を送るための手段として、前記主演算部を機能させる構成(第14の構成)とされている。
【0020】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、前記ゲームシステムにより読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記第14の構成から成るプログラムを記憶する構成(第15の構成)とされている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例えば、プレイヤーの体調や興奮度合いをゲームに反映させることが可能なゲームシステム、このゲームシステムを制御するプログラム、及び、このプログラムを格納する情報記憶媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るゲームシステムの一実施形態を示すブロック図
【図2】脈波測定の原理を説明するための模式図
【図3】生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図
【図4】元波形(容積脈波)、速度脈波、及び、加速度脈波の違いを示す図
【図5】血管年齢に応じた加速度脈波の波形パターンを示す図
【図6】脈波情報の第1応用例を説明するための図
【図7】脈波情報の第2応用例を説明するための図
【図8】脈波情報の第3応用例を説明するための図
【図9】脈波情報の第4応用例を説明するための図
【図10】脈波情報の第5応用例を説明するための図
【図11】脈波情報の第6応用例を説明するための図
【図12】脈波情報の第7応用例を説明するための図
【図13】脈波情報の第8応用例を説明するための図
【図14】脈波情報の第9応用例を説明するための図
【図15】脈波情報の第10応用例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<ブロック図>
図1は、本発明に係るゲームシステムの一実施形態を示すブロック図である。本実施形態のゲームシステムは、ゲーム機(本体)10と、コントローラ20と、情報記憶媒体30と、ゲーム出力部40と、脈波センサ50と、を有する。
【0024】
ゲーム機10は、ゲームシステムの中核を成す電子機器であり、主演算部11と、副演算部12と、情報記憶部13と、映像処理部14と、音声処理部15と、を含む。なお、ゲーム機10によって実行される「ゲーム」は、一般にコンピュータゲームと称されるものであり、アクション、対戦格闘、シューティング、スポーツ、レース、ロールプレイング、アドベンチャー、シミュレーション、パズル、テーブル、知育、音楽など、いかなるジャンルのゲームであっても構わない。
【0025】
主演算部11は、ゲームシステム全体の動作を統括的に制御する。なお、主演算部11としては、CPU[Central Processing Unit]などを好適に用いることができる。
【0026】
特に、主演算部11は、本発明に関連する重要な機能の一つとして、脈波センサ50を用いて得られた脈波情報をゲーム上のデータとして使用する構成とされている。より具体的に述べると、主演算部11は、上記の脈波情報を反映してゲームの映像データと音声データの少なくとも一方を生成するように、映像処理部14及び音声処理部15に指示を送る機能を備えている。
【0027】
このような構成とすることにより、例えば、プレイヤーの体調や興奮度合いをゲームに反映させることが可能なゲームシステムを構築することが可能となる。脈波情報をどのようにしてゲームに反映させるかについては、後ほど具体例を挙げて詳細に説明する。
【0028】
なお、上記の「脈波情報」とは、脈波センサ50で得られる容積脈波(生データ)のみを指すのではなく、この容積脈波を1回微分ないしは2回微分して得られる速度脈波や加速度脈波、さらには、これらの波形を解析することで得られる種々の情報(脈拍数、加速度脈波の波形パターン、特定の波形パターンの検出状態(検出回数、検出頻度、継続検出時間)、及び、加速度脈波の波形パターンから判定される血管年齢など)を含んでいる。主演算部11は、このような波形解析のうち、特に負荷の大きい二次演算処理(カオス解析など)を主体として実行する。
【0029】
副演算部12は、脈波センサ50から入力される容積脈波(生データ)に対して負荷の小さい一次演算処理(1回微分や2回微分など)を行う。なお、副演算部12としては、小規模なマイクロコンピュータなどを好適に用いることができる。このような副演算部12を有する構成であれば、主演残部11の処理能力(延いてはゲームの実行処理能力)を損なわずに、脈波情報の取得や解析を行うことが可能となる。ただし、主演算部11の処理能力が十分に高い場合には、必ずしも副演算部12を設ける必要はない。
【0030】
情報記憶部13は、基本ソフト(OS[Operating System])の記憶領域やゲームプログラムの展開領域、或いは、主演算部11の作業領域として用いられる。なお、情報記憶部13としては、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブなどを好適に用いることができる。
【0031】
映像処理部14は、主演算部11の指示に基づいて映像データを生成し、これをゲーム出力部40に出力する。なお、映像処理部14としては、映像処理LSI[Large Scale Integration]などを好適に用いることができる。
【0032】
音声処理部15は、主演算部11の指示に基づいて音声データを生成し、これをゲーム出力部40に出力する。なお、音声処理部15としては、音声処理LSIなどを好適に用いることができる。
【0033】
コントローラ20は、プレイヤーの入力操作を受け付けるユーザインタフェイスであって、十字キー、各種ボタン、3軸加速度センサ、タッチパネルなどを備えている。なお、コントローラ20は、ゲーム機10に有線または無線で外付けされる構成であってもよいし、或いは、ゲーム機10に内蔵される構成であってもよい。
【0034】
情報記憶媒体30は、ゲームシステムにより読み取り可能な形態であって、ゲームシステムを制御してゲームを実行させるためのゲームプログラム31を記憶している。なお、情報記憶媒体30としては、光ディスク(CD−ROM、DVD−ROM、BD−ROMなど)や半導体メモリ(専用カートリッジやUSBメモリなど)を好適に用いることができる。上記のゲームプログラム31には、本発明に関連する重要な機能の一つとして、主演算部11に読み出されて実行されることにより、脈波情報を反映して映像データと音声データの少なくとも一方を生成するように、映像処理部14及び音声処理部15に指示を送るための手段として、主演算部11を機能させるためのプログラムが含まれている。ただし、ゲームプログラム31は、必ずしも情報記憶媒体30から読み出して取得される必要はなく、ネットワークからのダウンロードによって取得されるものであってもよいし、或いは、ゲーム機10の情報記憶部13に予め格納されているものであってもよい。
【0035】
ゲーム出力部40は、ゲーム機10からの映像データと音声データを受け付けて、ゲームの映像や音声を出力する。なお、ゲーム出力部40としては、ディスプレイとスピーカの両方を備えたテレビなどを好適に用いることができる。
【0036】
脈波センサ50は、発光部から照射されて生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより生体の脈波(容積脈波)を測定し、その測定結果をゲーム機10(より具体的には副演算部12)に出力する。なお、脈波センサ50の形態としては、プレイヤーの手の指に装着される指袋型や指輪型、或いは、耳朶に装着されるクリップ型などを採用すればよい。また、脈波センサ50は、ゲーム機10に有線または無線で外付けされる構成であってもよいし、或いは、ゲーム機10やコントローラ20に内蔵される構成であってもよい。例えば、脈波センサ50をコントローラ20に内蔵する場合には、プレイヤーがコントローラ20を手に持った状態で、プレイヤーの指が必然的に当接または近接する位置に脈波センサ50を設けておくことが望ましい。このような構成とすることにより、プレイヤーに特段の意識をさせることなく、プレイヤーの脈波を測定し、その測定結果をゲーム内容に反映させることが可能となる。
【0037】
なお、図1の描写は、家庭用の据え置き型ゲーム機を念頭に置いたものであるが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、携帯型ゲーム機(ゲーム機能を備えた携帯電話機などを含む)や業務用の筐体型ゲーム機にも当然に本発明を適用することが可能である。例えば、本発明を携帯型ゲーム機に適用する場合には、少なくともコントローラ20とゲーム出力部40がゲーム機10の本体に内蔵された形態となる。
【0038】
<脈波測定の原理>
図2は、脈波測定の原理を説明するための模式図であり、図3は、生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図である。
【0039】
容積脈波法による脈波測定では、例えば、図2に示すように、測定窓に押し当てられた指先(血管が走行していれば、その他の部位でも可)に向けて発光部(LEDなど)から光が照射され、体内を透過して体外に出てくる光の強度が受光部(フォトダイオードやフォトトランジスタなど)で検出される。ここで、図3に示したように、生体組織や静脈血(脱酸素化ヘモグロビンHb)による光の減衰量(吸光度)は一定であるが、動脈血(酸素化ヘモグロビンHbO)による光の減衰量(吸光度)は拍動によって時間的に変動する。従って、可視領域から近赤外領域にある「生体の窓」(光が生体を透過しやすい波長領域、例えば近赤外領域(700〜1200nm))を利用して、末梢動脈の吸光度変化を測定することにより、容積脈波を測定することができる。
【0040】
<脈波から分かること>
なお、心臓及び自立神経の支配を受けている脈波は、常に一定の挙動を示すものではなく、被測定者の状態によって様々な変化(揺らぎ)を生じるものである。自律神経(交感神経、副交感神経)のバランスによって揺らぎは変化する。自律神経の更進・抑制は、人間の心理状態を反映するので、脈波揺らぎから被測定者の心理状態情報を取得することもできる。従って、脈波の変化(揺らぎ)を解析することにより、被測定者の様々な身体情報や心理状態情報を得ることができる。例えば、心拍数からは、被測定者の運動能力や緊張度などを知ることができ、心拍変動からは、被測定者の疲労度、快眠度、及び、ストレスの大きさなどを知ることができる。また、容積脈波を時間軸で2回微分することにより得られる加速度脈波からは、被測定者の血管年齢や動脈硬化度などを知ることができる。
【0041】
<加速度脈波>
図4は、元波形(容積脈波)、速度脈波、及び、加速度脈波の違いを示す図である。元波形(容積脈波)を1回微分した一次微分波が速度脈波であり、2回微分した二次微分波が加速度脈波である。ただし、これらは血液流の速度、加速度自体とは直接関係はない。
【0042】
加速度脈波において、各極値を持つピークは、収縮初期陽性波(a波)、収縮初期陰性波(b波)、収縮中期再上昇波(c波)、収縮後期陰性波(d波)、及び、拡張初期陽性波(e波)と命名されており、基線から各波形のピークまでの高さを計ってそれぞれの値としている。
【0043】
<加速度脈波の波形パターン>
図5は、血管年齢に応じた加速度脈波の波形パターン(A型〜G型)を示す図である。基本的にa波に対してb波が充分深くd波が浅いのがA型であり、逆に、a波に対してb波が浅くd波が深いのがG型である。高齢になるにつれてb波が浅く、d波が深くなる傾向にある。20歳代ではA型やB型が多く、30歳代ではA型が減少してB型やC型が増加する。40歳代から50歳代にかけてはC型やD型が増加し、70歳代ではE型〜G型が過半数を占める。このように、加速度脈波の波形パターンを解析することにより、血管年齢を判定することが可能となる。
【0044】
<脈波情報の第1応用例>
図6は、脈波情報の第1応用例(脈波情報をゲームキャラクターの表情や声に反映させる構成)を説明するための図である。第1応用例のゲームシステムにおいて、主演算部11は、脈波情報を反映してゲームキャラクターの表情と声の少なくとも一方を生成するように、映像処理部14及び音声処理部15に指示を送る。
【0045】
例えば、主演算部11は、脈波測定の結果が善い場合(緊張度が低い場合や血管年齢が実年齢よりも低い場合など)には、ゲームキャラクターを笑顔としたり、ゲームキャラクターに「好調」である旨を発声させたりするように、映像処理部14及び音声処理部15に指示を送り、逆に、脈波測定の結果が悪い場合(緊張度が高い場合や血管年齢が実年齢よりも高い場合など)には、ゲームキャラクターの表情を曇らせたり、ゲームキャラクターに「不調」である旨を発声させたりするように、映像処理部14及び音声処理部15に指示を送る。もちろん、脈波測定の結果の善し悪しだけでなく、プレイヤーの興奮度とゲームキャラクターの表情(興奮度)をシンクロさせるなど、脈波情報をゲームに反映させる手法について、種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0046】
なお、ゲームキャラクターの「表情」を変化させるためのパラメータとしては、顔の輪郭、顔を構成するパーツ(目、眉、鼻、口、耳、髪など)の形状、及び、顔色などを挙げることができる。
【0047】
第1応用例のゲームシステムであれば、脈波センサ50を用いて得られた脈波情報に対応付けてゲームキャラクターの表情や声を変化させることができるので、プレイヤーの体調や興奮度合いをゲームに反映させることが可能となる。
【0048】
<脈波情報の第2応用例>
図7は、脈波情報の第2応用例(血管年齢に基づく複数プレイヤーの勝敗判定)を説明するための図である。第2応用例のゲームシステムにおいて、主演算部11は、脈波センサ50の出力に基づいて複数のプレイヤーの血管年齢を算出し、これらの血管年齢や比較結果をゲーム上のデータとして使用する。
【0049】
ステップS11では、複数プレイヤーの一人に対して脈波センサ50を装着するようにメッセージが出力される。ステップS12では、脈波センサ50を装着しているプレイヤーの脈波測定と血管年齢判定が行われる。この判定結果は、情報記憶部13に一時格納される。ステップS13では、全プレイヤーの脈波測定と血管年齢判定が終了したか否かの判定が行われる。ステップS13でノー判定が下された場合には、フローがステップS11に戻されて脈波測定と血管年齢判定が繰り返される。一方、ステップS13でイエス判定が下された場合には、ステップS14で複数プレイヤーの血管年齢が比較され、その結果に基づいてゲームの勝敗判定が行われる。なお、ゲームの勝敗判定の手法としては、例えば、予め入力しておいた実際の年齢に対して血管年齢が最も若いプレイヤーを勝者とすることが考えられる。ステップS15では、勝敗判定の結果がゲーム出力部40に出力され、一連のフローが終了する。
【0050】
第2応用例のゲームシステムであれば、血管年齢に基づいて複数プレイヤーの勝敗判定を行うことができるので、ゲーム操作の腕前に関係なく、誰でも気軽に楽しめる対戦ゲームを提供することが可能となる。
【0051】
なお、図7のフローチャートは、一つの脈波センサ50を複数プレイヤーで順次持ち替えて各々の脈波測定を行うことを念頭に置いたものであるが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、脈波センサ50を複数用いて複数プレイヤーの脈波測定を同時又はほぼ同時に行う構成としてもよい。このような構成とすることにより、ゲームのプレイ時間を短縮することが可能となる。
【0052】
また、上記では脈波センサ50の出力に基づいて算出された複数プレイヤーの血管年齢を勝敗判定に用いる構成を例に挙げて説明を行ったが、血管年齢をゲームに反映させる手法はこれに限定されるものではなく、主演算部11では、脈波センサ50の出力に基づいて単独プレイヤーの血管年齢を算出し、この血管年齢をゲーム上のデータとして使用することも可能である。例えば、先に説明した第1応用例の変形バージョンとして、プレイヤーの血管年齢に応じてゲームキャラクターの外見(子供、青年、壮年、老人など)を変化させることが考えられる。
【0053】
<脈波情報の第3応用例>
図8は、脈波情報の第3応用例(同時に測定された複数の脈波情報に基づく相性判定)を説明するための図である。第3応用例のゲームシステムにおいて、主演算部11は、複数の脈波センサ50−1及び50−2の出力に基づいて複数のプレイヤーP1及びP2の脈波情報を同時(又はほぼ同時)に取得し、これらの脈波情報をゲーム上のデータとして使用する。
【0054】
例えば、プレイヤーP1とプレイヤーP2が手を繋いだ状態で脈波測定を行い、各々の脈波情報に基づいて両プレイヤーの相性を判定することが考えられる。なお、相性判定の手法としては、例えば、プレイヤーP1とプレイヤーP2が手を繋ぐことによって、一方のプレイヤーの脈拍数のみが上昇した場合は相性50%(片思い)、両方のプレイヤーの脈拍数が同時に上昇した場合は相性100%(両思い)、両方のプレイヤーの脈拍数に何ら変化がなかった場合は相性0%とすることが考えられる。
【0055】
第3応用例のゲームシステムであれば、今までにない体験型のゲームを提供することが可能となる。
【0056】
なお、上記では同時に測定された複数の脈波情報を相性判定に用いる構成を例に挙げて説明を行ったが、複数の脈波情報をゲームに反映させる手法はこれに限定されるものではなく、例えば、対戦者がドキっとするような言葉を互いに掛け合うことで、対戦者の驚愕や緊張を誘発させることにより、対戦者の心拍数をより高めた方が勝者になるようなゲームを構築してもよい。
【0057】
<脈波情報の第4応用例>
図9は、脈波情報の第4応用例(脈波情報のネットワーク共有)を説明するための図である。第4応用例のゲームシステムは、他のゲームシステム(ゲーム機10A〜10C)またはサーバ70との間で、ネットワーク60経由で脈波情報の送受信を行う通信部(ゲーム機10A〜10Cに各々内蔵される通信部16A〜16C)を有する。
【0058】
第4応用例のゲームシステムであれば、例えば、オンラインゲームにおいて、プレイヤーPA〜PCの心拍数を指標とし、対戦者や協力者の興奮度合いをゲームに反映させることができるので、対戦ゲームの臨場感を高めたり、協力者との一体感を味わったりすることが可能となる。
【0059】
なお、図9では、脈波情報のネットワーク通信(ネットワーク60経由の通信)を行う構成を例に挙げて説明を行ったが、通信方式はこれに限定されるものではなく、ゲーム機10A〜10C同士で相互にアドホック通信を行う構成としても構わない。
【0060】
<脈波情報の第5応用例>
図10は、脈波情報の第5応用例(脈波情報に基づく複数プレイヤーのランク付け)を説明するための図である。第5応用例のゲームシステムは、先に説明した第4応用例の変形バージョンであり、主演算部11は、通信部(図9の符号16A〜16Cを参照)を介して取得される複数の脈波情報に基づいて複数のプレイヤーのランク付けを行い、そのランク付けの結果を出力するように、映像処理部14及び音声処理部15に指示を送る。
【0061】
第5応用例のゲームシステムであれば、複数のプレイヤーは、それぞれ、自身以外のプレイヤーと比較したランキング表示を楽しむことができる。
【0062】
<脈波情報の第6応用例>
図11は、脈波情報の第6応用例(脈波情報の時間的遷移出力)を説明するための図である。第6応用例のゲームシステムは、脈波情報を日時に関連付けて情報記憶部13に保持する。なお、「日時」については、プレイヤーの操作によって、分単位、時間単位、日単位、及び、年単位のいずれにも任意に切り替えることが可能である。
【0063】
第6応用例のゲームシステムであれば、プレイヤーは、脈波情報の時間的な遷移(体調や緊張度合いの変化、血管年齢の若返り度など)を容易に把握することができる。また、フィットネスゲームと組み合わせれば、運動中における脈拍数の変化を履歴として残すこともできるので、日々の体調管理や運動能力の向上に関して、プレイヤーに有益なアドバイス情報を提供することも可能となる。
【0064】
<脈波情報の第7応用例>
図12は、脈波情報の第7応用例(脈波情報をゲームキャラクターの生成、属性変化、変身に反映させる構成)を説明するための図である。第7応用例のゲームシステムにおいて、主演算部11は、脈波情報を反映してゲームキャラクターの生成、属性変化、及び、変身の少なくとも一つを行うように、映像処理部14及び音声処理部15に指示を送る。
【0065】
例えば、脈拍数が所定の基準値よりも大きく、プレイヤーが興奮状態であると判断された場合は、プレイヤーの興奮時にのみ登場するキャラクターX(例えば強力なボスキャラクター)が生成される。また、キャラクターYについては、その性格として第1属性(例えば攻撃的な性格)が付与される。また、キャラクターZについては、その外見が第1形態(例えば髪の毛が逆立った形態)とされる。
【0066】
一方、脈拍数が所定の基準値よりも小さく、プレイヤーが冷静状態であると判断された場合は、先述のキャラクターXが非生成とされる。また、キャラクターYについては、その性格として第2属性(例えば防御的な性格)が付与される。また、キャラクターZについては、その外見が第2形態(例えば髪の毛がなで下ろされた形態)とされる。
【0067】
第7応用例のゲームシステムであれば、脈波センサ50を用いて得られた脈波情報に対応付けてゲームキャラクターの生成、属性変化、変身を行うことができるので、プレイヤーの体調や興奮度合いをゲームに反映させることが可能となる。
【0068】
<脈波情報の第8応用例>
図13は、脈波情報の第8応用例(簡易うそ発見器)を説明するための図である。第8応用例のゲームシステムにおいて、主演算部11は、ある質問に対するプレイヤーの回答時に得られた脈波情報に基づいてプレイヤーの回答が真実であるか否かの判定を行い、その判定結果をゲーム上のデータとして使用する。
【0069】
ステップS21では、脈波センサ50を装着しているプレイヤーに対して、所定の質問メッセージが出力される。この質問メッセージは、プレイヤーが「はい」/「いいえ」のいずれかで回答する内容(例えば、「あなたは○○をしたことがありますか?」といった内容)とされている。ステップS22では、脈波センサ50を装着しているプレイヤーの回答時における脈波測定が行われる。ステップS23では、ステップS22で得られた脈波情報に基づいて、プレイヤーの回答が真実であるか否かの判定が行われる。例えば、ある質問に対するプレイヤーの回答時に、脈拍数の変動が生じていなければプレイヤーの回答を真実と判定し、脈拍数に急激な変動(上昇)が生じていればプレイヤーの回答を虚偽と判定することができる。この判定結果は、情報記憶部13に一時格納される。ステップS24では、全ての質問が終了したか否かの判定が行われる。ステップS24でノー判定が下された場合には、フローがステップS21に戻されて質問メッセージの出力が繰り返される。一方、ステップS24でイエス判定が下された場合には、ステップS25で質問毎の判定結果がゲーム出力部40に出力され、一連のフローが終了する。
【0070】
第8応用例のゲームシステムであれば、今までにない体験型のゲームを提供することが可能となる。
【0071】
<脈波情報の第9応用例>
図14は、脈波情報の第9応用例(ペットコミュニケーションツール)を説明するための図である。第9応用例のゲームシステムにおいて、脈波センサ50は、プレイヤーではなくペットPaに装着される。特に、ペットPaの自由度を奪わないように、脈波センサ50を首輪型とし、かつ、ゲーム機10と無線接続を行う構成とすることが望ましい。
【0072】
第9応用例のゲームシステムであれば、脈波センサ50を用いて得られた脈波情報に基づいてペットPaのリラックス度や緊張度などをゲームに反映させることが可能となる。
【0073】
<脈波情報の第10応用例>
図15は、脈波情報の第10応用例(快眠度モニタ)を説明するための図である。第10応用例のゲームシステムにおいて、脈波センサ50は、遊戯中のプレイヤーではなく、睡眠中のプレイヤーPbに装着される。特に、プレイヤーPbの睡眠を妨げることなく、脈波センサ50の脱落を防止するためには、脈波センサ50を指輪型やブレスレット型とし、かつ、ゲーム機10と無線接続を行う構成とすることが望ましい。
【0074】
第10応用例のゲームシステムであれば、睡眠中の脈波情報に基づいてプレイヤーPbの睡眠の質(快眠度)をゲームに反映させることが可能となる。
【0075】
<その他の変形例>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0076】
例えば、特許文献1の「匂いセンサ」や「味覚センサ」を本発明の「脈波センサ」に置き換えれば、脈波センサを用いて得られた脈波情報に基づいて、プレイヤーの持ち点を増加/減少させたり、ゲームの難易度を設定/変更したり、ゲームキャラクターの行動パターン/感情/嗜好などを決定したり、ゲーム内の状況をプレイヤーにとって有利/不利な方向に展開させたり、背景映像やバックグランドミュージックを変化させたり、或いは、ストーリーの分岐先を決定したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、遊び心に富んだ新しいタイプのゲームシステムを提供する上で好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 ゲーム機
10A、10B、10C ゲーム機
11 主演算部
12 副演算部
13 情報記憶部
14 映像処理部
15 音声処理部
16A、16B、16C 通信部
20 コントローラ
30 情報記憶媒体
31 ゲームプログラム
40 ゲーム出力部
50 脈波センサ
50−1、50−2 脈波センサ
50A、50B、50C 脈波センサ
60 ネットワーク
70 サーバ
P1、P2 プレイヤー
PA、PB、PC プレイヤー
Pa ペット
Pb プレイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の脈波を測定する脈波センサを有し、前記脈波センサを用いて得られた脈波情報をゲーム上のデータとして使用することを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
前記ゲームシステム全体の動作を統括的に制御する主演算部と、
映像データを生成する映像処理部と、
音声データを生成する音声処理部と、
を有し、
前記主演算部は、前記脈波情報を反映して前記映像データと前記音声データの少なくとも一方を生成するように、前記映像処理部及び前記音声処理部に指示を送ることを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記主演算部は、前記脈波情報を反映してゲームキャラクターの表情と声の少なくとも一方を生成するように、前記映像処理部及び前記音声処理部に指示を送ることを特徴とする請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記主演算部は、前記脈波センサの出力に基づいてプレイヤーの血管年齢を算出し、この血管年齢をゲーム上のデータとして使用することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記主演算部は、前記脈波センサの出力に基づいて複数のプレイヤーの血管年齢を算出し、これらの血管年齢や比較結果をゲーム上のデータとして使用することを特徴とする請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記主演算部は、複数の前記脈波センサの出力に基づいて複数のプレイヤーの脈波情報を同時又はほぼ同時に取得し、これらの脈波情報をゲーム上のデータとして使用することを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項7】
他のゲームシステムまたはサーバとの間で前記脈波情報の送受信を行う通信部を有することを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記主演算部は、前記通信部を介して取得される複数の脈波情報に基づいて複数のプレイヤーのランク付けを行い、そのランク付けの結果を出力するように、前記映像処理部及び前記音声処理部に指示を送ることを特徴とする請求項7に記載のゲームシステム。
【請求項9】
前記脈波情報を日時に関連付けて保持する情報記憶部を有することを特徴とする請求項2〜請求項8のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項10】
前記主演算部は、前記脈波情報を反映してゲームキャラクターの生成、属性の変化、及び、変身の少なくとも一つを行うように、前記映像処理部及び前記音声処理部に指示を送ることを特徴とする請求項2〜請求項9のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項11】
前記主演算部は、ある質問に対するプレイヤーの回答時に得られた前記脈波情報に基づいて前記プレイヤーの回答が真実であるか否かの判定を行い、その判定結果をゲーム上のデータとして使用することを特徴とする請求項2〜請求項10のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項12】
前記脈波センサは、ペットに装着されることを特徴とする請求項2〜請求項11のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項13】
前記脈波センサは、睡眠中のプレイヤーに装着されることを特徴とする請求項2〜請求項11のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項14】
生体の脈波を測定する脈波センサと、
ゲームシステム全体の動作を統括的に制御する主演算部と、
プログラムの展開領域として用いられる情報記憶部と、
映像データを生成する映像処理部と、
音声データを生成する音声処理部と、
を有するゲームシステムを制御するためのプログラムであって、
前記主演算部に読み出されて実行されることにより、
前記脈波情報を反映して前記映像データと前記音声データの少なくとも一方を生成するように、前記映像処理部及び前記音声処理部に指示を送るための手段として、前記主演算部を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
前記ゲームシステムにより読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項14に記載のプログラムを記憶することを特徴とする情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−81063(P2012−81063A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229782(P2010−229782)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】