説明

ゲーム装置、ゲームプログラムおよび記憶媒体

【課題】簡略な処理でリアルタイムにエフェクタの制御をすることができるゲーム装置を提供する。
【解決手段】ゲーム空間内の所定位置に基準点P1や基準線等の基準位置を設定する。ゲーム音声が発生すると、その発生位置と基準位置との距離を算出し、この距離に応じて効果制御値を決定する。ゲーム音声の音声データを読み出してエフェクタに入力するとともに、この効果制御値をエフェクトの程度を制御するパラメータとしてエフェクタに送信する。これにより、ゲーム音声ごとにリアルタイムにエフェクトを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゲーム装置、このゲーム装置を駆動するゲームプログラムおよびこのゲームプログラムを記憶した記憶媒体に関し、特にゲームの音響効果の制御方式の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビゲーム機、パーソナルコンピュータ、携帯型ビデオゲーム機等のCPUの情報処理機能を用いたビデオゲーム機が普及している(非特許文献1参照)。
【0003】
ビデオゲーム機は、ゲームの内容・進行を表示するゲーム画面の表示機能を有するとともに、そのゲームの進行に応じた音声(ゲーム音声)を発生する。ゲーム音声は、従来は単純な効果音程度であったが、近年は、ゲーム画面の精度向上にともなって、臨場感のあるゲーム音声が求められるようになってきている。
【0004】
【非特許文献1】“「プレイステーション・ポータブル」情報”、[online]、PlayStation.com (Japan)、[平成19年1月10日検索]、インターネット<URL:http://www.jp.playstation.com/psp/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲームが進行する仮想的な空間であるゲーム空間は、全体に一様ではなく、たとえば、一つのゲーム空間内に海、砂浜、ジャングルが混在している場合もある。このようなゲーム空間内でゲーム音声を発生する場合、その音に臨場感を持たせようとすれば、同じ音(たとえばキャラクタの足音等)であっても、その発生場所によって響き方を異ならせたほうが好ましい。
【0006】
しかし、ゲーム空間内の場所に応じたゲーム音声をゲーム実行中に音響学的に高精度に演算して発生することは事実上不可能である。一方、ゲーム空間内の各点で発生すべきゲーム音声を各点ごとに予め演算して記憶しておくことは、ゲームプログラム・データを記憶するゲームメディアの記憶容量の制約のために困難であるとともに、膨大な音声データをゲーム機にロードする必要があるため、ゲームスタートやゲームの場面転換に長い時間が掛かるという問題点があった。
【0007】
この発明は、少ないデータ量且つ簡略な処理で高音質の音響を発生することのできるゲーム装置、特にリアルタイムの効果制御をすることができるゲーム装置、ゲームプログラムおよびゲームプログラム等を記憶した記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明であるゲーム装置は、仮想のゲーム空間を設定し、ゲームの進行に応じて前記ゲーム空間内の所定位置で音声が発生する発音イベントを生成する制御部と、発音イベントに対応して音声信号を発生する音声信号発生部と、音声信号発生部が発生した音声信号を入力し、この音声信号に対して所定の効果を付与して出力する音声信号処理部と、を備えたゲーム装置であって、
前記音声信号処理部は、効果制御値によって、前記音声信号に対して付与する効果の程度を制御し、前記制御部は、前記ゲーム空間の所定位置に点状または線状の基準位置を設定し、発音イベントが発生したとき、その発音イベントの発生位置の前記基準位置からの距離を算出し、この算出した距離に応じて効果制御値を決定して前記音声信号処理部に送信することを特徴とする。
【0009】
請求項2は、請求項1の発明において、前記距離に応じた効果制御値が書き込まれたテーブルを記憶した記憶部を備え、前記制御部は、前記算出した距離で前記テーブルを参照して得た値に基づいて効果制御値を決定することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記記憶部は、距離に応じた効果制御値の制御を行う距離範囲の最大値、最小値、この距離範囲を分割する各境界点の距離が書き込まれた第1のテーブルと、前記各境界点毎の効果制御値が書き込まれた第2のテーブルとを記憶し、前記制御部は、前記第1のテーブルを参照して前記算出した距離がどの境界点に挟まれる区間に属するかを割り出し、前記第2のテーブルからこの割り出した区間の一端または両端の境界点に対応する効果制御値を読み出して得た値に基づいて、前記音声信号処理部に送信する効果制御値を決定することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2、3の発明において、前記制御部は、ゲームの進行に応じて、順次複数のゲーム空間を設定するとともに、各ゲーム空間ごとに前記基準位置を設定し、前記記憶部は、各ゲーム空間ごとにテーブルを記憶していることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜3の発明において、前記制御部は、前記ゲームの進行に応じて、前記基準位置を移動させることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項3の発明において、前記記憶部は、それぞれ異なる第1のテーブルを複数記憶しており、前記制御部は、前記ゲームの進行に応じて、使用する第1のテーブルを切り換えることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明であるゲームプログラムは、制御部を備えたゲーム装置に、仮想のゲーム空間、および、このゲーム空間の所定位置に点状または線状の基準位置を設定するゲーム空間設定手順、ゲームの進行に応じて、前記ゲーム空間内の所定位置で音声信号を発生する音声信号発生手順、前記音声信号の発生位置の前記基準位置点からの距離を算出する距離算出手順、前記算出した距離に応じて効果制御値を決定する制御値決定手順、前記発生した音声信号に対して所定の効果を付与し、その効果の程度を前記効果制御値で制御する効果付与手順、を実行させることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記制御値決定手順は、前記算出した距離で、距離に応じた効果制御値が書き込まれたテーブルを参照して得た値に基づいて効果制御値を決定する手順であることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記制御値決定手順は、距離に応じた効果制御値の制御を行う距離範囲の最大値、最小値、この距離範囲を分割する各境界点の距離が書き込まれた第1のテーブルを参照して前記算出した距離がどの境界点に挟まれる区間に属するかを割り出し、前記各境界点毎の効果制御値が書き込まれた第2のテーブルからこの割り出した区間の一端または両端の境界点に対応する効果制御値を読み出して得た値に基づいて、前記音声信号処理部に送信する効果制御値を決定する手順であることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項7に記載のゲームプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0018】
請求項11の発明は、請求項8に記載のゲームプログラム、および、発音イベントの発生位置の基準位置からの距離に応じた効果制御値が書き込まれたテーブルを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、ゲーム空間に基準位置を設定し、この基準位置からの距離に応じて効果を制御するため、データ量や処理負担を増加させることなく、ゲーム空間における発音位置(発音イベントの発生位置)に応じたリアルタイムの効果制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、この発明が適用される携帯型ビデオゲーム機の概略の外観図である。携帯型ビデオゲーム機は、中央にカラー液晶のディスプレイ4、その左に方向キー3、右側にボタン群2(△○×□ボタン)が配置されている。図示しないメディア装着部にゲームプログラム、ゲームデータが記録されているゲームメディアがセットされ、電源がオンされることにより、ゲームがスタートする。遊技者は、左手で方向キー4、右手でボタン群2を操作してゲーム中のキャラクタ等を操作する。また、音声信号の出力部として内蔵スピーカおよびイヤホン端子も設けられている(図2参照)。
【0022】
ゲームメディアには、たとえば、モンスターハンター(登録商標)等のゲームプログラム、ゲームデータが記憶されている。ゲーム「モンスターハンター(登録商標)」は、遊技者が操作する主キャラクタであるハンターが、洞窟や海岸等の複数のゲーム空間で、敵キャラクタであるモンスターと戦うゲームである。ゲームの進行に応じて、BGMのほか、各キャラクタが歩く足音、武器等が摺れる音、波の音等の様々な音声(ゲーム音声)が発生する。
【0023】
図2は、同携帯型ビデオゲーム機1の内部構成を示すブロック図である。
【0024】
携帯型ビデオゲーム機1は、CPU11、描画データ生成プロセッサ12、RAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)14、描画処理プロセッサ15、VRAM(Video-RAM)16、表示部17、音声処理プロセッサ18、アンプ19、スピーカ20、イヤホン端子21、操作部22、メディアインタフェース23、無線LANモジュール24およびバス25を含んでいる。
【0025】
このうち、CPU11、描画データ生成プロセッサ12、RAM13、ROM14、描画処理プロセッサ15、音声処理プロセッサ18、操作部22、メディアインタフェース23および無線LANモジュール24が、バス25によって相互にデータ伝送可能に接続されている。
【0026】
メディアインタフェース23は、図示しないメディア装着部にセットされたゲームメディア5にアクセスしてゲームプログラム等を読み出す機能部である。ゲームメディア5には、上述したようにゲームプログラムおよびゲームデータが記憶されている。ゲームデータは、キャラクタや背景の画像データ、ステータスなどの情報表示用の画像データ、効果音やBGMなどの音声データ、文字や記号によるメッセージデータ、および、図7,図8に示す各種テーブルを含んでいる。CPU11は、ゲームメディア5に記録されているゲームプログラム、ゲームデータの全部または一部をRAM13に読み込み、遊技者による操作部22の操作に応じてこれを実行する。
【0027】
RAM13には、メディアインタフェース23によってゲームメディア5から読み込まれたゲームプログラムおよびゲームデータを格納するロードエリア、および、CPU11がゲームプログラムを処理するためのワークエリアが設定される。RAM13のロードエリアには、ゲームの進行に応じて必要なゲームプログラムとゲームデータとがゲームメディア5から読み込まれる。
【0028】
ROM14には、ディスクローディング機能などのゲーム装置1の基本的機能やゲームメディア5に記憶されているゲームプログラム、ゲームデータの読み出しを制御する基本プログラムが記憶されている。
【0029】
CPU11は、上記のようにゲームメディア5からRAM13に読み込まれたゲームプログラムを実行することより、ゲーム進行を制御する。より具体的には、操作部22から遊技者の操作信号が入力されると、CPU11は、ゲームプログラムに従ってその操作信号に対する所定のゲーム進行処理を行い、その処理結果をゲーム進行を示す画像(以下、「ゲーム画像」という。)として表示部17に表示するとともに、ゲーム進行を示す音声信号(以下、「ゲーム音声」という。)をスピーカ20やイヤホン端子21に出力する。
【0030】
ゲーム進行に伴うゲーム画像の描画は、CPU11の指示により、描画処理プロセッサ15が行う。CPU11は、操作部22から入力される遊技者の操作信号に基づき、表示部17に表示すべきゲーム画像の内容を決定し、その内容に対して必要な描画データを描画データ生成プロセッサ12に生成させ、その描画データを描画処理プロセッサ15に転送して描画処理を行わせる。描画処理プロセッサ15は、1/60秒毎にゲーム画像を描画生成し、生成したゲーム画像をVRAM16に書き込む。表示部17は、半透過型カラー液晶ディスプレイとバックライトLED(Light Emitting Diode)を有し、VRAM16に書き込まれたゲーム画像を表示する。
【0031】
また、CPU11は、ゲームの進行に応じて、スピーカ20から出力すべき効果音やBGM等の音声を決定し、その音声を発音するための音声データをRAM13から読み出して、音声処理プロセッサ18に入力する。RAM13に記憶されている音声データは、ゲームメディア5からロードされたものである。
【0032】
音声処理プロセッサ18は、CPU11から入力された音声データに対して所定の効果を付与したのちアナログ信号に変換して、アンプ19に出力する。アンプ19は、音声処理プロセッサ18から入力された音声信号を増幅したのち、スピーカ20およびイヤホン端子21に出力する。なお、スピーカ20は、装置本体の左右の両端部にそれぞれ一個ずつ設けられ、ステレオ出力が可能になっている。なお、RAM13に記憶されている音声データは、CPU11が読み出して音声処理プロセッサ18に供給してもよく、音声処理プロセッサ18が直接RAM13にアクセスして音声データを読み出すようにしてもよい。
【0033】
操作部22は、前記ボタン群2(△○×□ボタン)、方向キー3を含み、遊技者の操作を受け付けて、その操作内容に応じた操作信号をCPU11に入力する。方向キー3は、主として操作者が操作するキャラクタである主キャラクタの移動方向を指示するための操作子である。また、「○」、「△」、「×」、「□」の4個のボタンからなるボタン群2は、主キャラクタの特定の動作(たとえば、ジャンプ、屈む、走る等)を指示するための操作子である。また、操作部22には、これら操作子以外に、電源の入/切を行うための電源スイッチ等が含まれる。
【0034】
メディアインタフェース23は、メディア装着部に装着されたゲームメディア5にアクセスするインタフェースである。ゲームメディア5は、半導体メモリのほか、光ディスクの一種であるUMD
(Universal Media Disc)(登録商標)を採用することができる。
【0035】
無線LANモジュール24は、通信規格IEEE802.11b(使用周波数帯2.4GHz、通信速度11Mbps)に準拠した無線LANによって他のゲーム装置1とデータ通信を行い、ネットワークを構成するための通信モジュールである。
【0036】
図3は、音声処理プロセッサ18の構成を示す図である。音声処理プロセッサ18は、DSP(Digital Signal Processor)で構成されており、機能的に同図に示す構成を備えている。この音声処理 プロセッサ18は、CPU11から入力された音声信号30を、2系統に分岐し、一方の系統(直接音系統)は、音声信号30を合成部34を介して直接アンプ19に入力する。もう一方の系統(効果付与系統)は、音声信号30をエフェクタ32で処理して所定の効果を付与したのち、合成部34を介してアンプ19に入力する。効果付与系統は、オン/オフ切換部31、前記エフェクタ32およびエフェクトボリューム33を直列に接続して構成されている。合成部34は、直接音と効果付与音とを加算合成してアンプ19に出力する。
【0037】
オン/オフ切換部31は、効果付与系統をオン/オフする切換部である。効果付与系統をオフすると、音声処理プロセッサ18から出力される音声信号は、直接音のみの(素の)音声信号となる。たとえば、操作ガイド等のアナウンス音声などは、効果付与系統をオフして直接音のみとして明瞭度を高くする。一方、ゲーム中で発生するゲーム音声は、効果付与系統をオンして、その場面に応じた効果が付与される。
【0038】
エフェクタ32は、マイクロプログラムやパラメータを設定することにより、種々の効果を付与するエフェクタとして設定することができる。たとえば、音声信号に残響効果を付与するリバーブ、音声信号に厚みを付与するコーラス、音声信号を歪ませるリミッタ等である。また、同じリバーブであっても、その長さや密度などが異なる複数種類のリバーブ効果を付与するエフェクタとして設定することができる。
【0039】
以下の説明においては、説明を簡略化するために、リバーブの効果を例に挙げて説明する。上述したように、リバーブとして、長さや密度などが異なる複数の効果を設定することができ、それらをそれぞれリバーブ1、リバーブ2、リバーブ3、・・・と表す。
【0040】
エフェクタ32は、CPU11から入力される効果レベルパラメータにより、その効果の程度をリアルタイムに制御可能である。たとえば、フィードバックを用いたリバーブの場合、そのフィードバックゲインの大きさを制御することにより、リバーブの減衰度を制御することができ、これによりリバーブの長さを制御することができる。
【0041】
また、エフェクタ32の後段には、エフェクタによって効果を付与された効果付与音を直接音に対してどの程度の割合でミキシングするかを制御するエフェクトボリューム33が接続されている。エフェクトボリューム33は、CPU11から入力されるエフェクトボリューム設定値により、ゲインをリアルタイムに制御可能である。エフェクタ32で効果を付与された音声信号は、このエフェクトボリューム33で音声信号としてのレベル(音量)を制御されたのち合成部34に入力される。
【0042】
前記効果レベルパラメータ、エフェクトボリューム設定値は、ともに数ビットの数値パラメータでよいため、CPU11は、ゲーム進行制御に応じてリアルタイムに、その値を生成し、これを音声処理プロセッサ18に送信することができる。
【0043】
この効果レベルパラメータ、エフェクトボリューム設定値の一方または両方が、この発明の効果制御値として用いられる。すなわち、CPU11は、ゲームの進行制御において、後述の発音イベントが発生すると、その発音イベントに応じた音声データをRAM13から読み出して音声処理プロセッサ18に入力するとともに、その発音イベントの内容等に応じた効果制御値を生成して音声処理プロセッサ18に入力し、その音声データに付与する効果をリアルタイムに制御する。
【0044】
この携帯型ビデオゲーム機1では、ゲーム進行制御において、発音イベントが発生すると、その発音イベントがゲーム空間内のどの位置で発生したか、より具体的には、その発音イベントの発生位置がゲーム空間内の基準位置からどれだけ離れているかによって効果制御値を発生し、その発音イベントに対応するゲーム音声に付与する効果を制御する。
【0045】
ここで、図4を参照してゲーム空間の一例を説明する。ゲーム空間とは、CPU11がゲームプログラムやゲームデータによるゲーム進行処理において仮想的に生成する空間であり、CPU11は、このゲーム空間内で、キャラクタを活動させ、ゲーム音声を発生させる。
【0046】
上述したゲーム「モンスターハンター(登録商標)」の場合、ゲーム空間は、たとえば洞窟、砂漠、ジャングル、雪山、海岸等の特徴づけがなされており、ゲームデータとしては、上記ゲーム空間の特徴づけに対応した背景をゲーム画面に表示するため描画データや、上記ゲーム空間の特徴を表現するようなゲーム音声が記憶されている。たとえばゲーム音声としては、海岸の場合には波の音、雪山の場合には吹雪の風の音等である。
【0047】
同図(A)は、洞窟につながる砂漠のゲーム空間を示す図である。CPU11は、3次元のゲーム空間を仮想的に設定しているが、この図は、そのゲーム空間の平面図(xz平面)である。なお、ゲーム機のディスプレイ4には、図5に示すように水平方向の視線でゲーム画面がレンダリング表示されるため、高さ方向がy軸となり、図4に示す平面図は、x−z平面となる。
【0048】
同図では、右側(東側)の通路101と左下側(南西側)の通路103が洞窟につながっており、上側の通路102は他の砂漠につながっている。砂漠100では、音響が拡散するため、残響は殆どないが、洞窟に近づくほど洞窟方向に伝わった音声が洞窟内で反響して残響として聞こえてくる。そこで、通路101の洞窟の入り口に点状の基準位置である基準点P1を設定し、また、通路103の同口の入り口に基準点P2を設定し、発音イベントが発生したとき、その発音位置のこれら基準点からの距離に応じてリバーブ(エフェクト)の程度を制御する効果制御値を生成し、音声制御プロセッサ18に送信する。
【0049】
同図の両矢印線R1の範囲が効果制御値の変化範囲であり、この範囲で発音イベントが発生したとき、その発生位置とP1との距離に応じて決定された効果制御値を生成する。洞窟入口の基準点P1に近づくほど効果制御値は大きくなり(距離0で最大値max)、遠ざかるほど効果制御値は小さくなる。基準点P1を中心とし両矢印線R1を半径とする円弧上の位置で最小値minとなり、これよりも基準点P1から遠い位置では、距離に応じた効果制御値の変化はなく、一律に効果制御値=minである。なお、基準点P2についても基準点P1と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
また、同図(B)は、洞窟のゲーム空間を示す図である。この図も同図(A)と同様にゲーム空間の平面図であり、x−z平面を示している。洞窟110は、壁面、天井面が岩で囲まれており、内部でゲーム音声が発生すると、長く大きい残響を伴う音となる。このため、この洞窟のゲーム空間が表示される場面でエフェクタ32にプリセット(設定)されるリバーブは、上記砂漠のゲーム空間が表示される場面でエフェクタ32にプリセットされるリバーブよりも長さ・大きさともにデフォルト値の大きいものである。
【0051】
洞窟110には、下側(南側)、上側(北側)、左側(西側)にそれぞれ出口111,112,113がある。洞窟内部では上述したように残響は長く大きいが、出口に近づくほど、外部に音声が拡散するため、残響が小さくなる。そこで、各出口111,112,113に基準点P11,P12,P13を設定し、発音イベントが発生したとき、その発音位置のこれら基準点からの距離に応じてリバーブ(エフェクト)の程度を制御する効果制御値を生成し、音声制御プロセッサ18に送信する。
【0052】
基準点P11において、同図の両矢印線R11の範囲が効果制御値の変化範囲であり、この範囲で発音イベントが発生したとき、その発生位置とP11との距離に応じて決定された効果制御値を生成する。洞窟出口の基準点P11に近づくほど効果制御値は小さくなり、遠ざかるほど効果制御値は大きくなる。基準点P11との距離がdのとき最小値minとなり、基準点P11との距離がd以下であっても最小値のままである。また、基準点P11を中心とし両矢印線R11+dを半径とする円弧上の位置で最大値maxとなり、これよりも基準点P11から遠い位置(すなわち洞窟の内部)では、距離に応じた効果制御値の変化はなく、一律に効果制御値=maxである。なお、基準点P12、P13についても基準点P11と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
なお、同図(A),(B)にそれぞれ示したゲーム空間では、複数の基準点が設定されており、発音イベントの発生位置(発音位置)によっては、適用する基準点によって効果制御値が異なる場合がある。この場合、「予め、各基準点を適用する範囲の境界線を設定しておく」、「算出された効果制御値の大きい方(または小さい方)を採用する」、「発音位置に近い方の基準点を適用する」等の方式で効果制御値を決定すればよい。
【0054】
なお、上述のゲーム「モンスターハンター(登録商標)」では、図6に示すように、それぞれ洞窟,砂漠,ジャングル雪山,海岸等に特徴づけられた複数のゲーム空間K1〜K10が通路を介して接続され、主キャラクタであるハンターが、ゲーム空間を移動しながら敵キャラクタであるモンスターを狩猟してゆく。ゲーム空間を移動するごとに、そのゲーム空間に対応したリバーブのプリセット設定、および、基準点、変化量等の設定変更が行われる。
【0055】
携帯型ビデオゲーム機のRAM13の容量は限りがあるため、ゲーム空間ごとにゲームメディア5からそのゲーム空間でゲームを実行するためのゲームプログラムおよびゲームデータをロードする。
【0056】
上記のように、このゲームでは、ゲーム空間において、基準点からの距離に応じて効果制御値を決定し、ゲーム音声に付与する効果をリアルタイムに制御するが、臨場感のある効果制御をするためには、効果制御値を単純に距離に対して一次関数的に決定するよりも、多次関数的に制御したほうがよい場合がある。しかし、発音イベント発生の都度、効果制御値を多次関数演算しようとすると、CPU11の処理負担が増大する。そこで、基準点との距離に応じた効果制御値を簡略に割り出すことができるように各種のテーブルを設けておき、効果制御値を多次関数的に制御する場合でも、このテーブルを参照し、且つ単純な演算によって、簡略に効果制御値を決定できるようにしている。そして、このテーブルは、各ゲーム空間ごとに欄が設定されており、各ゲーム空間の特徴に合わせた効果制御値の設定ができるようになっている。
【0057】
図7,図8は、上記各種テーブルを示す図である。このテーブル群は、ゲームデータとしてゲームメディア5に記録されており、ゲームスタート時にRAM13にロードされる。
【0058】
図7に示すテーブルは、エフェクタ32にプリセットするリバーブを各ゲーム空間ごとに指定するためのテーブルである。同図(A)は、エフェクトアサインテーブルを示している。同図(B)は、デフォルト値テーブルを示している。
【0059】
同図(A)のエフェクトアサインテーブルには、各ゲーム空間0、1、2、・・毎に、そのゲーム空間の形状を描画するためのデータを指定するエリアナンバとデフォルトテーブル(同図(B))が対応づけて書き込まれている。同図(B)のデフォルトテーブルは、このゲーム空間のゲームを実行するとき、エフェクタ32にプリセットするエフェクト(リバーブ)の種類と、遊技者が操作する主キャラクタである「ハンター」、一般的な敵キャラクタ「敵」、敵キャラクタのうち最も有力なボスキャラクタ「ボス」の効果制御値デフォルト値を記憶したテーブルである。すなわち、デフォルトテーブルの欄1、欄2等では、同じゲーム音声であっても、ハンターやボスキャラクタが発生した音声は、一般的な敵キャラクタが発生した音声よりも効果が大きくなるように制御される。この効果の大小によって、そのキャラクタが発生するゲーム音声の特徴づけが行われる。
【0060】
図8は、発音イベントの発生位置(発音位置)に応じたエフェクト制御のためのテーブル群を示す図である。同図(A)は、エフェクト制御設定テーブルを示している。同図(B)は、制御スケールテーブルを示している。同図(C)は、エフェクト変化量テーブルを示している。
【0061】
同図(A)のエフェクト制御設定テーブルは、各ゲーム空間ごとに、基準位置の種類(基準点(ポイント)または基準線(ライン))、基準位置のゲーム空間における座標、効果制御値を決定するための制御スケールテーブル(同図(B))およびエフェクト変化量テーブル(同図(C))を指定する情報を対応づけて記憶している。この図のテーブルでは、基準点の座標が2つ登録されるようになっているが、基準点の数は2に限定されない。また、図4に示すように基準点が複数ある場合において、それぞれの基準点について、このエフェクト制御設定テーブルにそれぞれ別々の欄を設けてもよい。なお、これらのことは基準線についても同様である。基準線については、図12を参照して後で詳細に説明する。
【0062】
同図(B)の制御スケールテーブルは、エフェクトを制御する距離範囲と、効果制御値を変更する区間距離を決定するためのテーブルである。たとえば、このテーブルの第0欄では、距離0〜距離400(この数値は、メートル等の実際の距離スケールを適用してもよく、ゲーム空間における仮想的な距離の単位に基づくものであってもよい。)の範囲で距離100の区間毎に効果制御値を変更することを示している。また、第1欄では、距離100〜700の範囲で距離200の区間毎に効果制御値を変更することを示している。
【0063】
同図(C)のエフェクト変化量テーブルは、上記制御スケールテーブルで指定された制御範囲の各区間ごとの効果制御値の修正値を指定するテーブルである。たとえば、このテーブルの第0欄では、最も基準位置に近い制御範囲の区間では効果制御値を+127する。以下、基準位置から離れるに従って各区間ごとに+100、+80、+40、+10、0に効果制御値を制御する。なお、この効果制御値、+127、+100、・・・は、上述のデフォルトテーブル(図7(B))に設定されているデフォルト値に加算する値であり、たとえば、デフォルト値が20であり、この効果制御値が+100であれば、エフェクタ32に入力される効果制御値は120となる。なお、このデフォルト値にテーブルから割り出された効果制御値を加算した値が、効果制御値の最大値(たとえば127)を超える場合には、最大値がそのときエフェクタ32に入力される効果制御値として決定される。
【0064】
制御スケールテーブルが本発明の第1のテーブルに対応し、エフェクト変化量テーブルが本発明の第2のテーブルに対応する。なお、テーブルの構成は、図7,図8に示したものに限定されない。
【0065】
図9,図10は、上記エフェクト制御設定テーブルによる効果制御値の補正値の変化の例を示す図である。
図9は、エフェクト制御設定テーブルの第0欄による制御例を示す図である。エフェクト制御設定テーブルの第0欄は、制御スケールテーブルの第0欄と、エフェクト変化量テーブルの第0欄を指定している。制御スケールテーブルの第0欄では、0mから400mまで100mごとの境界点ごとに効果制御値を設定する。エフェクト変化量テーブルの第0欄では、制御点に近い境界点から順に127、100、80、40、10、0と6個の効果制御値が設定されているが、0m〜400mの間の制御区間は、4つであり、区間の境界点が5つであるため、127、100、80、40、10の5つの効果制御値が使用され、同図に示すような変化となる。すなわち、0mの境界点では効果制御値が127であり、100mの境界点では効果制御値は100であり、200mの境界点では効果制御値は80であり、300mの境界点では効果制御値は40であり、400mの境界点では効果制御値は10となる。そして、境界点と境界点との間の区間では、一次関数的な直線補間で効果制御値を求める。そして、0m〜100mの区間では効果制御値が127〜100に変化し、100m〜200mの区間では効果制御値が100〜80に変化し、200m〜300mの区間では効果制御値が80〜40に変化し、300m〜400mの区間では効果制御値が40〜10に変化し、400m以遠では効果制御値は10となる。
【0066】
図10は、同じくエフェクト制御設定テーブルの第3欄による制御例を示す図である。エフェクト制御設定テーブルの第3欄は、制御スケールテーブルの第2欄と、エフェクト変化量テーブルの第3欄を指定している。制御スケールテーブルの第2欄では、200mから1000mまでの間で400mごとの境界点ごとに効果制御値を設定する。エフェクト変化量テーブルの第3欄では、制御点に近い境界点から順に70、40、10、0、0、0と6個の効果制御値が設定されているが、200m〜1000mの間の制御区間は、2つであり、区間の境界点が3つであるため、70、40、10の3つの効果制御値が使用される。これにより、200mの境界点では効果制御値が70であり、600mの境界点では効果制御値は40であり、1000mの境界点では効果制御値は10となる。そして、0m〜200mの制御範囲外の区間では効果制御値が70であり、200m〜600mの区間では効果制御値が70〜40に変化し、600m〜1000mの区間では効果制御値が40〜10に変化し、1000m以遠では効果制御値は10となる。
【0067】
図11は、同携帯型ビデオゲーム機の動作を説明するフローチャートである。
同図(A)は、ゲームスタート時の動作を説明するフローチャートである。電源がオンされると、そのとき、メディア装着部にセットされているゲームメディア5からメインプログラムおよびメインデータをロードして(S1)、ゲームをスタートさせる(S2)。このときロードされるデータ中には、図7、図8に示したテーブル群も含まれている。そして、遊技者の操作によってゲーム空間が選択されると(S3)、そのゲーム空間用のゲームプログラムおよびゲームデータを、ゲームメディア5からRAM13にロードする(S4)。このときロードされるゲームデータには、そのゲーム空間で発音される音声データが含まれている。
【0068】
こののち、図7,図8のテーブル群からこのゲーム空間に対応する欄を選択し(S5)、選択したテーブルによって指定されたエフェクト(リバーブ)をエフェクタ32にプリセットする(S6)。そして、このゲーム空間を舞台として展開されるゲームをスタートする(S7)。そして、このゲーム空間を舞台とするゲームが終了すると(S8)、次のゲーム空間を選択するためにS3にもどる。
【0069】
同図(B)は、発音イベントに応じて実行される発音イベント処理動作を示すフローチャートである。発音イベントが発生する毎にこの処理が実行される。発音イベントとは、ゲーム中で音声を発生させるべきゲーム進行処理を指し、たとえば、キャラクタが歩行して地面に足をつくゲーム進行処理が行われた場合、プレイヤーの武器で敵キャラクタを切るゲーム進行処理が行われた場合等である。
【0070】
この発音イベント処理動作は、発音イベントが発生したとき、メインプログラムによってサブルーチンとして起動される。または、この発音イベント処理動作は、一定間隔で繰り返し実行され、実行毎に発音イベントレジスタを確認する。そして、発音イベントレジスタにメインプログラムが登録した発音イベントがある場合は、その発音イベントを処理する。
【0071】
発音イベント処理では、まず発生した発音イベントの種類およびその発音位置を取得する(S10,S11)。イベントの種類とは、足音,装備の音等の発生する音声の種類を示す情報である。また、発音位置とはその発音イベントが発生した位置を特定するための情報であり、ゲーム空間内のx,y,z座標値で取得される。これらの情報は、メインプログラムがゲームを進行させるうえで自動的に生成しており、メインプログラムから取得すればよい。発音位置を取得すると、この発音位置と基準位置(基準点または基準線)との距離を求める(S12)。そして、この距離を引数としてテーブルを参照して効果制御値を取得する(S13)。テーブルは、同図(A)のゲームスタート処理のS5で選択されたものを用いる。なお、S13で取得される効果制御値は、デフォルト値+テーブルからえられた効果制御値である。
【0072】
S13で取得した効果制御値をエフェクタ32に送信するとともに(S14)、イベント種類に対応する音声データをRAM13から読み出して音声処理プロセッサ18に入力する(S15)。
【0073】
これにより、発音イベントの発生位置に応じた効果制御値をテーブルを参照して得た値を単純な直線補間するのみの簡略な処理で求めることができ、リアルタイムの効果制御をCPU11に負担を掛けることなく行うことができる。
【0074】
なお、上記実施形態では、図9(A),図10(A)に示したように、境界点と境界点との間の区間を直線補間して効果制御値を割り出すようにしているが、この境界点と境界点との間の区間における補間は、本願発明の趣旨を損なわない範囲で直線補間に限定されない。
【0075】
また、処理をより簡略化するために、境界点と境界点との間の区間は、補間を行わず、いずれか一方の端の境界点に設定されている値をそのまま用いてもよい。この場合、図9(A),図10(A)のグラフは階段状になる。
【0076】
上記説明では、基準位置として点状の基準点Pについてのみ説明したが、ここで、図12を参照して、線状の基準位置(基準線)が設定されるゲーム空間について説明する。
同図(A)は、ジャングルと海岸に挟まれた砂浜のゲーム空間を示す図である。ジャングルでは、音声が樹木で反射して残響が生じるが、海岸線では音声が拡散するため、殆ど反響が生じない。このように、効果制御の基準となる位置が、海岸線やジャングルの境界線のように線状に分布している場合、基準位置を線状に設定し(基準線)、この基準線からの距離に応じて効果制御値を制御するようにする。
【0077】
同図では、海岸線を基準線L1とし、基準線L1上でエフェクト(リバーブ)が最小値minで、ジャングルに接近するほどエフェクトが大きくなるように制御する。また、逆に、ジャングルと砂浜の境界線を基準線とし、基準線でエフェクトが最大値maxで海岸線方向に離れるにしたがって効果制御値が小さくなるように制御してもよい。
【0078】
基準線は、直線(線分)の場合、両端のxyz座標で特定するようにしてもよく、1次(または高次)方程式で表してもよい。また、基準線は、折れ線や曲線であってもよく、複数のプロット座標値や高次方程式等で特定することができる。
【0079】
同図(B)は、石造りの神殿と神殿前の広場からなるゲーム空間を示す図である。この図では、神殿を理解し易いようにゲーム空間を斜視図で表している。このゲーム空間では、神殿の奥の支柱に沿って基準線L2を設定し、その基準線L2の位置でエフェクト(リバーブ)が最大値maxで、広場方向に離れるほどエフェクトが小さくなるように制御する。
【0080】
また、基準線や基準点の基準位置は、ゲーム空間内で固定されている必要はなく、ゲームの進行に応じて移動してもよい。また、エフェクト変化量等の制御内容が変動してもよい。
【0081】
図13は、ゲームの進行に応じて基準線が移動する例を示している。同図(A)は、図12(A)と同じような海岸線を有する砂浜のゲーム空間であるが、時間の経過とともに潮の満干により、海岸線が移動する例を示している。海岸線の移動に伴って基準線L3も移動する。基準線L3が移動するのみでもよいが、基準線L3が移動するとゲーム空間における砂浜(陸地)の幅も変化するため、これに合わせて制御スケールテーブルやエフェクト変化量テーブルを切り換えてもよい。すなわち、海岸線の移動に伴って、基準線L3を移動させるとともに、制御スケールテーブル、エフェクト変化量テーブルの選択を切り換える。この場合、図8(A)のエフェクト制御設定テーブルに、1つのゲーム空間について、潮の満干に対応して複数の欄を設定すればよい。
【0082】
また、同図(B)は、川幅の変化によって河川敷の陸地の幅(基準線L4)が変動する例を示している。この場合、川幅の変動は、潮の満干のように単に時間の経過に依存する変動ではなく、降雨等の天候の変化に依存して変動させる。
【0083】
さらに、同図(C)は、店舗の店先にかけられている屋根型の可動テントを有するゲーム空間を示す図である。この図は、側面図を示している。店舗前面が基準線L5であり、基準線L5の位置で効果制御値が最大値maxである。そして、テントの先端が制御範囲の最も遠い位置(図8(B)の最大値)となる。この場合、テントの出し入れに基づいて、基準線L5は移動しないが、制御スケールテーブル(または、制御スケールテーブルとエフェクト変化量テーブル)の選択を変更する。また、この効果制御値の制御内容の変動は、時間の経過や天候に依存したものではなく、主キャラクタの行動すなわち遊技者の操作に応じて発生させることができる。
【0084】
このように、基準線や制御スケールテーブルを同じゲーム空間中で切り換えることにより、例えば、天候や地形の変化などに伴う音響の変化を、比較的容易に行うことができる。
【0085】
図14は、より複雑な効果制御値の決定方式の例を示す図である。この例は、階段状の斜面を有する峡谷のゲーム空間における効果制御値の決定方式を示している。
【0086】
すなわち、このような階段状の斜面を有する峡谷では、それぞれの段ごとに残響が異なるうえ、各段においても斜面(垂直面)からの距離によって残響が異なる。すなわち、山頂寄りの上方の段では音声が上空に拡散するため残響が少ないが、川寄りの下方の段では音声が峡谷で反射するため残響が大きい。また、同じ段で発生した音声であっても、斜面(垂直面)寄りで発生した音声のほうが谷側で発生した音声よりも残響が大きい。また、山頂の丘陵では、周辺の山のエコーによって少し残響がある。
【0087】
このように、このようなゲーム空間では、同図(C)のグラフに示すように不連続にリバーブが変化するため、ゲーム空間全体を連続的に残響が変化する一体の空間として設定することができない。このグラフに示すような効果制御値の変化特性も図8(A)のエフェクト制御設定テーブルに登録されている。
【0088】
そこで、同図(B)に示すように、階段状の斜面の垂直面に沿って複数の基準線L21,L22,・・・を設定し、各基準線ごとに制御スケールテーブルおよびエフェクト変化量テーブルを持つ。そして、ゲーム音声の発生位置(主キャラクタの存在位置)に応じて基準線並びにそれに対応する制御スケールテーブルおよびエフェクト変化量テーブルを選択する。峡谷のゲーム空間の場合、発音位置から見て山頂に近い側、すなわち、上り側の垂直面に沿った基準線およびそれに対応するエフェクト変化量テーブルを選択して、効果制御値を決定する。
【0089】
図15は、図14に示したゲーム空間における発音イベント処理動作を示すフローチャートである。発音イベント処理では、まず発生した発音イベントの種類およびその発音位置を取得する(S20,S21)。イベントの種類とは、足音,装備の音等の発生する音声の種類を示す情報である。また、発音位置とはその発音イベントが発生した位置を特定するための情報であり、ゲーム空間内のx,y,z座標値で取得される。これらの情報は、メインプログラムがゲームを進行させるうえで自動的に生成しており、メインプログラムから取得すればよい。発音位置を取得すると、この発音位置と山頂との距離を求める(S22)。そして、この山頂との距離に基づいて、発音位置が峡谷の斜面のどの段で発生したかを割り出し(S23)、基準線およびそれに対応するエフェクト変化量テーブルを選択する(S24)。そして、その基準線との距離を求め(S25)。この距離を引数として選択したエフェクト変化量テーブルを参照して効果制御値を取得する(S26)。なお、ここで取得される効果制御値は、デフォルト値+テーブルからえられた効果制御値である。この効果制御値をエフェクタ32に送信するとともに(S27)、イベント種類に対応する音声データをRAM13から読み出して音声処理プロセッサ18に入力する(S28)。
【0090】
上記実施形態では、エフェクトとしてリバーブを例に挙げて説明したが、本願発明を適用するエフェクト(効果)は、リバーブに限定されない。また、エフェクト変化量テーブルにおける境界点間の補間は、一次関数に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】この発明が適用される携帯型ビデオゲーム機の概略の外観図
【図2】同携帯型ビデオゲーム機の内部構成を示すブロック図
【図3】音声処理プロセッサの構成を示す図
【図4】ゲーム空間の一例を説明する図
【図5】携帯型ビデオゲーム機のディスプレイに表示されるゲーム画像の例を示す図
【図6】複数のゲーム空間が通路を介して接続されている形態を説明する図
【図7】エフェクタにプリセットするエフェクトを選択するテーブル群を示す図
【図8】エフェクト制御を設定するテーブル群を示す図
【図9】距離に応じた効果制御値の変化例を示す図
【図10】距離に応じた効果制御値の変化例を示す図
【図11】携帯型ビデオゲーム機の動作を説明するフローチャート
【図12】線状の基準位置(基準線)が設定されるゲーム空間の例を示す図
【図13】ゲームの進行に応じて基準線が移動する例を示す図
【図14】階段状の斜面を有する峡谷のゲーム空間の例を示す図
【図15】発音イベントの処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0092】
1…携帯型ビデオゲーム機
2…ボタン群
3…方向キー
4…ディスプレイ
5…ゲームメディア
11…CPU
13…RAM
18…音声処理プロセッサ
20…スピーカ
21…イヤホン端子
32…エフェクタ
33…エフェクトボリューム
P1,P2,P11,P12,P13…基準点
L1,L2,L21,L22,L23,L24…基準線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想のゲーム空間を設定し、ゲームの進行に応じて前記ゲーム空間内の所定位置で音声が発生する発音イベントを生成する制御部と、
発音イベントに対応して音声信号を発生する音声信号発生部と、
音声信号発生部が発生した音声信号を入力し、この音声信号に対して所定の効果を付与して出力する音声信号処理部と、
を備えたゲーム装置であって、
前記音声信号処理部は、効果制御値によって、前記音声信号に対して付与する効果の程度を制御し、
前記制御部は、前記ゲーム空間の所定位置に点状または線状の基準位置を設定し、発音イベントが発生したとき、その発音イベントの発生位置の前記基準位置からの距離を算出し、この算出した距離に応じて効果制御値を決定して前記音声信号処理部に送信する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記距離に応じた効果制御値が書き込まれたテーブルを記憶した記憶部を備え、
前記制御部は、前記算出した距離で前記テーブルを参照して得た値に基づいて効果制御値を決定する請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記記憶部は、距離に応じた効果制御値の制御を行う距離範囲の最大値、最小値、この距離範囲を分割する各境界点の距離が書き込まれた第1のテーブルと、前記各境界点毎の効果制御値が書き込まれた第2のテーブルとを記憶し、
前記制御部は、前記第1のテーブルを参照して前記算出した距離がどの境界点に挟まれる区間に属するかを割り出し、前記第2のテーブルからこの割り出した区間の一端または両端の境界点に対応する効果制御値を読み出して得た値に基づいて、前記音声信号処理部に送信する効果制御値を決定する請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記制御部は、ゲームの進行に応じて、順次複数のゲーム空間を設定するとともに、各ゲーム空間ごとに前記基準位置を設定し、
前記記憶部は、各ゲーム空間ごとにテーブルを記憶している請求項2または請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ゲームの進行に応じて、前記基準位置を移動させる請求項1、請求項2または請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記記憶部は、それぞれ異なる第1のテーブルを複数記憶しており、
前記制御部は、前記ゲームの進行に応じて、使用する第1のテーブルを切り換える請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項7】
制御部を備えたゲーム装置に、
仮想のゲーム空間、および、このゲーム空間の所定位置に点状または線状の基準位置を設定するゲーム空間設定手順、
ゲームの進行に応じて、前記ゲーム空間内の所定位置で音声信号を発生する音声信号発生手順、
前記音声信号の発生位置の前記基準位置点からの距離を算出する距離算出手順、
前記算出した距離に応じて効果制御値を決定する制御値決定手順、
前記発生した音声信号に対して所定の効果を付与し、その効果の程度を前記効果制御値で制御する効果付与手順、
を実行させるためのゲームプログラム。
【請求項8】
前記制御値決定手順は、前記算出した距離で、距離に応じた効果制御値が書き込まれたテーブルを参照して得た値に基づいて効果制御値を決定する手順である請求項7に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記制御値決定手順は、距離に応じた効果制御値の制御を行う距離範囲の最大値、最小値、この距離範囲を分割する各境界点の距離が書き込まれた第1のテーブルを参照して前記算出した距離がどの境界点に挟まれる区間に属するかを割り出し、前記各境界点毎の効果制御値が書き込まれた第2のテーブルからこの割り出した区間の一端または両端の境界点に対応する効果制御値を読み出して得た値に基づいて、前記音声信号処理部に送信する効果制御値を決定する手順である請求項8に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
請求項7に記載のゲームプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項11】
請求項8に記載のゲームプログラム、および、発音イベントの発生位置の基準位置からの距離に応じた効果制御値が書き込まれたテーブルを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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