説明

ゲーム装置、ゲームプログラム

【課題】プレーヤによりゲームが放棄された場合であっても他のプレーヤに悪い印象を与えることがないようにする。
【解決手段】CPU20は、プレーヤによるハンドル29等の入力装置に対する操作入力を検知し、このプレーヤの操作入力に応じて、ゲーム空間内におけるプレーヤーズカーの動きを制御する。CPU20は、操作入力が予め決められた一定時間ないことを検出した場合に、放棄回避機能を起動して、プレーヤの操作入力に応じた制御に替えて、予め決められたアルゴリズムに従いプレーヤーズカーの動きを制御する自動操縦に移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレーヤによる入力装置に対する操作入力に応じてゲーム空間中のオブジェクトの動作を制御するゲーム装置、ゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して複数のゲーム装置が接続され、複数のプレーヤが参加することができるオンラインゲームシステムが広く普及している。オンラインゲームシステムでは、離れた場所にいるプレーヤ間で対戦ゲームを行うことができる。例えば、ドライブ(カーレース)ゲームでは、複数のプレーヤがそれぞれ制御する車を(コンピュータ制御される車を含む)、ゲーム空間中に設けられたコース上を走行させることによりレースを行う。近年では、ゲームセンターなどに設置された業務用のドライブゲーム装置においても、ネットワークを介して他のゲームセンターに設置されたゲーム装置を利用しているプレーヤとの間でゲームをすることができる。
【0003】
多くの場合、カーレースゲームでは、レースが行われる制限時間が決められており、この制限時間に到達した時点での順位を競うものとなっている。通常、プレーヤは、制限時間いっぱいゲームに参加するが、好結果が得られないと予想される状況となった場合などに、ゲームを放棄する、すなわちゲーム装置から離れてしまうことがある。この場合、ゲーム装置は、プレーヤによる操作入力がないために、制限時間が経過するまでコース上のプレーヤーズカーを停止させた状態とすることになる。
【0004】
特許文献1には、プレーヤにより操縦されるプレーヤ移動体と所定のアイテムに基づき自動操縦される複数のノンプレーヤ移動体とが仮想空間に設けられたコース上で競争するレースゲームを実行するゲームシステムが記載されている。このゲームシステムでは、複数のノンプレーヤ移動体に対して異なる目標順位を設定し、各ノンプレーヤ移動体に対して予め設定されている走行性能値を目標順位に応じてそれぞれ変更し、変更された走行性能値に従って各ノンプレーヤ移動体を自動操縦することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−137449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来の業務用のカーレースゲームでは、プレーヤによってゲームが放棄されると、ゲームの制限時間に到達するまで、プレーヤがそれまで操作していたプレーヤーズカーが停止されたままとなる。この場合、レースに無関係な車がコース上に放置されていることからゲームに支障が生じてしまい、ゲームに参加している他のプレーヤに対して不快感を与えてしまう。
【0007】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、プレーヤによりゲームが放棄された場合であっても他のプレーヤに悪い印象を与えることがないゲーム装置、ゲームプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、プレーヤによる入力装置に対する操作入力を検知する検知手段と、前記検知手段により検知されたプレーヤの操作入力に応じて、ゲーム空間内における第1のオブジェクトの動きを制御する第1制御手段と、前記検知手段による操作入力の検知が予め決められた一定時間ないことを検出する時間検出手段と、 前記時間検出手段により操作入力が一定時間ないことが検出された場合に、前記第1制御手段による制御に替えて、予め決められたアルゴリズムに従い前記第1のオブジェクトの動きを制御する第2制御手段と、前記第1制御手段または前記第2制御手段により制御される前記第1のオブジェクトを含むゲーム画面を表示させる表示制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プレーヤによりゲームが放棄された場合であっても他のプレーヤに悪い印象を与えることがないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態におけるゲームシステムの構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態におけるゲーム装置16の構成を示すブロック図。
【図3】ゲーム装置16のゲーム処理時の動作について示すフローチャート。
【図4】ゲーム装置16の放棄回避処理時の動作について示すフローチャート。
【図5】ゲーム実行中のゲーム装置16において表示されるゲーム画面の一例を示す図。
【図6】自動操縦移行時のゲーム装置16において表示されるゲーム画面の一例を示す図。
【図7】他のゲーム装置16において表示されるゲーム画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるゲームシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すゲームシステムは、ゲームサーバ10がネットワーク12を介して、複数のゲーム装置16(16−1,16−2,…,16−n)と接続される。ゲームサーバ10は、ゲーム装置16に対して、ゲーム装置16を通じて複数のプレーヤ間で対戦を行うゲームを実行するためのオンラインゲームサービスを提供する。本実施形態では、カーレースゲームを実行するものとして説明する。
【0012】
ゲームサーバ10は、各地に設けられた複数のゲームセンター等のそれぞれに設置された複数のゲーム装置16とネットワーク12を介して接続される。ゲームサーバ10は、複数のゲーム装置16からのゲームへのエントリ要求を受信して、対戦ゲームに必要な人数のプレーヤをマッチングしてゲームを実行する。
【0013】
ゲームサーバ10は、通信機能を有するコンピュータが実装されたもので、基本プログラム(OS)の他、後述するゲーム処理を実行するためのゲーム制御用のゲームプログラムをプロセッサにより実行することにより、オンラインゲームサービスを提供するための各種機能を実現する。ゲームサーバ10は、メモリにゲームプログラムや実行中のゲームに関する各種データを記録しながらゲームを制御する。
【0014】
ゲームサーバ10は、ゲーム制御用のゲームプログラムを実行することによって、複数のゲーム装置16から送信されたプレーヤによるゲームへのエントリ要求を受信し、この受信されたエントリ要求により、ゲームの実行に必要なプレーヤを揃えるためのマッチング処理を実行する。本実施形態では、例えば、最初のプレーヤによるエントリ要求があってから予め決められた時間内に、エントリ要求があったプレーヤの中からゲームの実行に必要なプレーヤを揃えるものとする。なお、マッチング処理では、例えば同等のレベルのプレーヤをマッチングすることで、各プレーヤがレースゲームを楽しめるようにする。
【0015】
ゲーム装置16は、ゲームセンター等に設置される業務用に構成されたもので、通信機能を有するコンピュータが実装されている。ゲーム装置16は、基本プログラム(OS)の他、他のゲーム装置16を操作するプレーヤとの間で対戦をするためのゲームプログラムをプロセッサにより実行することにより、ゲームサーバ10が提供するオンラインゲームサービスを利用することができる。
【0016】
本実施形態におけるゲーム装置16には、ゲームの実施に必要な各種入力装置、例えばカーレースゲームを実行するゲーム装置16の場合には、ハンドル、ブレーキ/アクセル/クラッチペダル、レバー、ボタン等が設けられている。
【0017】
図2は、本実施形態におけるゲーム装置16の構成を示すブロック図である。ゲーム装置16により実行されるカーレースゲームは、プレーヤが操作するプレーヤーズカー(第1のオブジェクト)と、他のゲーム装置においてプレイするプレーヤ(あるいはコンピュータ)により制御される複数のノンプレーヤーズカー(第2のオブジェクト)とを、仮想三次元空間において設定されるコース上を走行させて順位(あるいはタイム)を競うゲームである。
【0018】
図2に示すように、ゲーム装置には、CPU20、RAM21、ROM22、HDD(ハードディスク装置)23、通信ユニット24、メカ機構制御ユニット25、表示制御ユニット26、音声制御ユニット27、入出力制御ユニット28が設けられている。
【0019】
CPU20は、RAM21あるいはROM22に記録されたプログラムを実行することにより各種機能を実現して、ゲーム装置全体を制御する。本実施形態では、CPU20は、ゲームプログラムを実行することでカーレースゲームを実現する。ゲーム中では、CPU20は、プレーヤによる入力装置に対する操作入力が検知されると、この検知されたプレーヤの操作入力に応じて、ゲーム空間内におけるプレーヤーズカーの動きを制御する。CPU20は、プレーヤーズカーの動作を示す走行データをゲームサーバ10に送信する。これにより、ゲームサーバ10は、各ゲーム装置16から受信される走行データをもとに、複数のプレーヤーズカーが参加するカーレースゲームを制御できる。また、プレーヤーズカーを制御するためのプレーヤによる操作入力とは独立して、CPU20は、ゲームサーバ10を通じて、他のゲーム装置16におけるプレーヤの操作入力により制御されるノンプレーヤーズカーの動作を示す走行データを受信し、この走行データに応じてゲーム空間内に設定されたコース上でのノンプレーヤーズカーの動きを制御する。
【0020】
本実施形態におけるカーレースゲームでは、CPU20は、プレーヤによりゲームが放棄された場合に、プレーヤによる操作入力に応じた制御に替えて、予め決められたアルゴリズムに従ってプレーヤーズカーの動作を制御する処理に移行することができる。
【0021】
また、ゲームサーバ10によりノンプレーヤーズカーが制御されている場合、及び他のゲーム装置16において放棄回避機能が起動されている場合、すなわちプレーヤからの操作入力によらず、所定のアルゴリズムに従いコンピュータ制御されている場合には、例えばゲームサーバ10からの通知により判別できるものとする。CPU20は、プレーヤによりゲームが放棄された場合に、全てのノンプレーヤーズカーがコンピュータ制御されていればゲームを終了させることもできる。
【0022】
RAM21、ROM22は、プログラムや各種データを記録する。HDD23は、各種プログラムやデータなどを記録するもので、記録されたプログラムやデータが必要に応じて読み出されてRAM21に記録される。
【0023】
HDD23には、ゲームを制御するためのコースの地形を定義するコースデータやゲーム画面を表示するための各オブジェクトについてのデータが記録されている。
【0024】
通信ユニット24は、CPU20の制御のもとで、ネットワーク12を介して接続されたゲームサーバ10あるいは他のゲーム装置16との間の通信を制御する。
【0025】
メカ機構制御ユニット25(反動制御機構)は、CPU20の制御のもとで、プレーヤによってゲーム中に操作される入力装置、すなわちハンドル29、アクセルペダル30、及びブレーキペダル31に対するプレーヤの操作に対する反動(反力)を制御する機構である。例えば、メカ機構制御ユニット25は、ハンドル29を操作(回転)させる場合の固さを制御し、ブレーキペダル31及びアクセルペダル30を踏み込むときの固さ(及び深さ)を制御する。メカ機構制御ユニット25は、例えばゲームに使用されているプレーヤが選択した車の種類やコース上での走行状況に応じて制御される。
【0026】
表示制御ユニット26は、CPU20の制御のもとで、ディスプレイ40においてゲーム空間(XYZ座標系で表現される仮想三次元空間)を表現するゲーム画面を表示するための制御を実行する。
【0027】
音声制御ユニット27は、CPU20の制御のもとで、スピーカ41からゲーム処理中の効果音やBGMなどを出力させる。
【0028】
入出力制御ユニット28は、ゲーム装置16に設けられた各種機器との間のデータ入出力を制御する。入出力制御ユニット28には、コイン検知センサ42、各種ボタン44、カードリーダ43の他、操作系のハンドルセンサ32、アクセルペダルセンサ33、ブレーキペダルセンサ34、シフトレバーセンサ35などが接続されている。
【0029】
コイン検知センサ42は、コイン投入口9から投入されたコインを検知して、入出力制御ユニット28を通じてCPU20に通知する。
【0030】
ハンドルセンサ32、アクセルペダルセンサ33、ブレーキペダルセンサ34、及びシフトレバーセンサ35は、それぞれゲーム装置16に設けられた各入力装置(ハンドル29、アクセルペダル30、ブレーキペダル31、シフトレバー(図示せず))に対するプレーヤによる操作入力を検知するためのセンサである。各センサは、操作量を検知することができ、その操作量を示すデータは、入出力制御ユニット28を通じて、CPU20に通知される。
【0031】
次に、本実施形態におけるゲーム装置16の動作について、図3及び図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
CPU20は、コイン検知センサ42によりコイン投入が検知されることによりゲーム処理を開始する。CPU20は、プレーヤによるボタン44等の操作によりゲームへの参加要求が入力されると、ゲームサーバ10に対してゲームエントリ要求を送信する。
【0032】
ゲームサーバ10は、ゲーム制御用のプログラムを実行することによって、複数のゲーム機16からのゲームへのエントリ要求を受信し、この受信されたエントリ要求により、ゲームの実行に必要なプレーヤを揃えるためのマッチング処理を実行する。本実施形態では、例えば、最初のプレーヤによるエントリ要求があってから予め決められた時間内に、エントリ要求があったプレーヤの中からゲームの実行に必要なプレーヤを揃えるものとする。
【0033】
なお、予め決められた時間内にゲームの実行に必要な人数のプレーヤからエントリ要求がなかった場合には、例えば、ゲームサーバ10がプレーヤに替わって、予め決められたアルゴリズムに従ってノンプレーヤーズカーの動作を制御するものとする。
【0034】
また、ゲーム処理の開始時には、プレーヤによる各種設定操作が行われる。この設定操作では、設定画面を通じて、レースに使用するプレーヤーズカーの車種の選択などが行われる。ゲームサーバ10は、各ゲーム装置16において各種設定操作が完了されると、レースを開始させる。
【0035】
図5には、ゲーム実行中にゲーム装置16において表示されるドライバーズビューによるゲーム画面の一例を示している。図5に示すように、ゲーム画面には、レース中のプレーヤーズカーの状態をプレーヤが把握するためのスピードメータやタコメータなどのメータ類が表示されている。なお、図5では、ゲーム画面中の主要なパーツのみを示しているが、ゲーム空間中においてプレーヤの視界に入る、プレーヤーズカーの車体の一部や他車などがゲーム画面中に表示されるものとする。
【0036】
ゲーム中では、プレーヤは、ハンドル29、アクセルペダル30、ブレーキペダル31、あるいはシフトレバーに対する操作をすることにより、コース上のプレーヤーズカーに対する動きを指示する。CPU20は、プレーヤによる各入力装置に対する操作入力を、各センサ32,33,34,35により検知する。
【0037】
CPU20は、各センサ32,33,34,35により検知されたプレーヤによる操作入力、コースデータが示す地形データ、プレーヤーズカーの性能を示すデータ、他車との衝突判定等に基づいて、コース上におけるプレーヤーズカーの動きを算出する。CPU20は、算出されたプレーヤーズカーの動きに応じたドライバーズビューによるゲーム画面を生成して、表示制御ユニット26を通じてディスプレイ40において表示させる(ステップA1)。
【0038】
なお、図5に示すゲーム画面の例においては表示されていないが、レースに参加している他のプレーヤによって制御されているノンプレーヤーズカーがコース上に存在している。CPU20は、ゲームサーバ10を通じて入力されるノンプレーヤーズカーの動きを示す走行データをもとに、ノンプレーヤーズカーの表示を制御する。
【0039】
CPU20は、ゲーム中において、各センサ32,33,34,35によってプレーヤによる操作入力が継続して有ることが検知されている場合には(ステップA3、Yes)、前述のように、操作入力に応じてプレーヤーズカーを制御してレースを行う。
【0040】
一方、CPU20は、最後の操作入力からの時間、すなわちプレーヤがゲームを放棄したことを判別するための放棄時間の計測を行っている(ステップA3,A4)。CPU20は、計測された放棄時間が、プレーヤがゲームを放棄したことを判別するために予め決められた一定時間を経過したと判別した場合(ステップA5、Yes)、放棄回避機能を発動させる(ステップA6)。
【0041】
すなわち、一定時間(例えば10秒程度)、プレーヤによる操作入力がなかった場合には、プレーヤーズカーは、コース上で停止した状態となっている。この状態のままではゲームに参加している他のプレーヤにとっては、プレーヤーズカー(他のゲーム装置ではノンプレーヤーズカーとして表示されている)がゲームに無関係な障害物となってしまうため、プレーヤーズカーを自動操縦して、継続してゲームに参加しているように見せかける。
【0042】
CPU20は、ゲームサーバ10を通じて入力される他のノンプレーヤーズカーに対する走行データに応じて、ノンプレーヤーズカーのコース上での動きを制御すると共に(ステップA1)、放棄回避機能の作動中においては(ステップA2、Yes)、放棄回避処理を実行して、プレーヤーズカーに対してプレーヤからの操作入力に応じた制御に替えて、予め決められたアルゴリズムに従う制御により自動操縦を実行する(ステップA7)。
【0043】
図4は、放棄回避処理を説明するためのフローチャートである。
まず、CPU20は、放棄回避機能を起動してプレーヤーズカーに対する自動操縦に移行すると、例えば図6に示すような、自動操縦に移行したことを、プレーヤあるいはゲーム装置16の周囲にいる他の利用者に通知するためのメッセージを表示する(ステップB1)。図6に示すゲーム画面の例では、「自動操縦中」の文字と共に「操作を再開すると解除されます」のメッセージが表示されている。
【0044】
CPU20は、プレーヤーズカーの自動操縦による動作を決定するために、ゲームサーバ10を通じて入力されているノンプレーヤーズカーの走行データをもとに、予め決められたアルゴリズムによりプレーヤーズカーの走行データを生成し(ステップB2,B3)、この走行データに応じてプレーヤーズカーの動きを制御する(ステップB4)。
【0045】
例えば、ノンプレーヤーズカーの走行と無関係にプレーヤーズカーに対して自動操縦を行った場合、他のノンプレーヤーズカーよりも突出した速度で走行したり、逆に、他のノンプレーヤーズカーと競争にならない低いレベルで走行したりするおそれがある。そこで、自動操縦のアルゴリズムは、例えば他のノンプレーヤーズカーを含めた走行順位が予め決められた範囲の順位内で変動するように、プレーヤーズカーの走行を制御する。例えば、プレーヤーズカーとノンプレーヤーズカーの合計が10台である場合に、3〜7位の範囲で走行するようにプレーヤーズカーの速度を調整する。これにより、他のプレーヤに対してプレーヤーズカーの走行に違和感を与えることなく、またレースに適度に参加しているように走行させることができる。
【0046】
また、自動操縦のアルゴリズムでは、前述したように、他のノンプレーヤーズカーの動作に合わせてプレーヤーズカーを制御するだけでなく、放棄回帰機能が発動される前のプレーヤーズカーの走行履歴(タイム、速度、コース取りなど)を記録しておき、この走行履歴をもとに生成した走行データによりプレーヤーズカーを制御するようにしても良い。例えば、走行履歴と同じようにプレーヤーズカーを走行させることにより、他のプレーヤに対して自動操縦前後で違和感を与えないようにできる。
【0047】
ゲームサーバ10は、ゲーム装置16において放棄回避機能が起動されると、自動操縦による走行データをゲームに参加している他のゲーム装置16に対して送信する。従って、他のゲーム装置16では、ゲームサーバ10を通じて入力される走行データをもとに、実際にはプレーヤに放棄されたノンプレーヤーズカーについても、プレーヤにより操作されているように走行が制御される。
【0048】
図7は、他のゲーム装置16において表示されるゲーム画面の一例を示す図である。
図7において、例えば正面に位置しているノンプレーヤーズカーに対応するゲーム装置16において、プレーヤがゲームを放棄したものとする。このノンプレーヤーズカーは、ゲームが放棄されたゲーム装置16において放棄回避機能が発動されているため、自動操縦によって他のノンプレーヤーズカーと同様にしてレースに参加しているように振る舞う。従って、ゲームにおいて障害になることもない。
【0049】
一方、プレーヤにゲームが放棄されたゲーム装置16では、ゲームの制限時間内では、図6に示すメッセージが表示されたゲーム画面を表示し続けている(ステップA8(No),A1,A2,A7)。ここで、プレーヤが入力装置に対する操作入力を行った場合、CPU20は、各センサ32,33,34,35からの通知をもとに操作入力があったことを検知することができる(ステップA8、Yes)。この場合、CPU20は、放棄回避機能を解除して、通常のプレーヤからの操作入力に応じたプレーヤーズカーに対する制御に移行する(ステップA9)。すなわち、自動操縦によって制御されていたプレーヤーズカーの状況をそのまま引き継いでゲームに復帰する。
【0050】
このようにして、本実施形態におけるゲームシステムでは、ゲーム装置16においてプレーヤがゲームを放棄したとしても、一定時間が経過するとプレーヤーズカーに対する制御が放棄回避機能による自動操縦に切り替えられ、継続してゲームに参加させることができる。このため、コース上にプレーヤーズカーが放置されることなくゲームが進行され、他のプレーヤに不快感を与えることもない。また、自動操縦に制御が移行されたとしても、プレーヤが再び操作入力を開始することで自動操縦が解除され、簡単にゲームに復帰してプレイすることもできる。
【0051】
なお、前述した説明では、プレーヤによる操作入力が一定時間なかった場合に放棄回避機能が起動され、プレーヤーズカーの動作がゲーム終了まで制御されるものとしているが、ゲームに参加している他のノンプレーヤーズカーの全てがコンピュータ(ゲームサーバ10、ゲーム装置16による自動操縦)により制御されている場合には、ゲームを強制終了させるようにしても良い。これにより、プレーヤによりゲームが放棄された後、ゲームが時間切れになって終了されるまで無駄に動作させることがないので、ゲーム装置16の稼働率を向上させることが可能となる。
【0052】
また、他のノンプレーヤーズカーの全てがコンピュータ制御されていない場合であっても、プレーヤにゲームが放棄されたと判別した場合に、このゲーム装置16においてのみゲーム処理を強制終了するようにしても良い。この場合、ゲームサーバ10は、ゲーム処理が強制終了されたゲーム装置16に対応するプレーヤーズカーをゲーム空間(コース上)から消去して、他のゲーム装置16において参加しているゲームを継続させるものとする。また、ゲーム処理の強制終了は、プレーヤによる操作入力が予め決められた一定時間無いことが判別されると直ちに実行するのではなく、放棄回避機能が発動された後、さらに予め決められた一定時間が経過した場合に実行するようにしても良い。これにより、放棄回避処理中に操作入力を再開して、ゲームに復帰することも可能となる。
【0053】
また、前述した説明では、ゲーム装置16において、同ゲーム装置16に対応するプレーヤーズカーを自動操縦するとして説明しているが、ゲームサーバ10において、各ゲーム装置16におけるプレーヤーズカーを自動制御するようにしても良い。ゲームサーバ10は、各ゲーム装置16から受信されたデータをもとに操作状況を監視し、一定時間、操作入力がないことが検知された場合に、このゲーム装置16に替わって、同ゲーム装置16に対応するプレーヤーズカーの動作を制御し、レースに参加している他のゲーム装置16に対して、プレーヤーズカーの動作を示す走行データを送信する。
【0054】
また、前述した説明では、プレーヤによる操作入力が一定時間以上ない場合に放棄回避機能を起動して、プレーヤに替わってプレーヤーズカーを自動操縦するものとして説明しているが、プレーヤからの指示に応じて放棄回避機能を起動するようにしても良い。例えば、所定のボタン44に対する操作があった場合に、CPU20は、一定時間の経過について判定することなく、直ちに放棄回避機能を起動してプレーヤーズカーを自動操縦する。これにより、プレーヤは、リアルタイムで実行されているゲーム中に操作入力を中断したい場合に、ゲームを継続させたままで操作入力から離れることができる。また、ゲームに復帰する場合には、入力装置に対する操作を再開するだけで良い。
【0055】
また、本実施形態では、複数のプレーヤによって対戦が行われるカーレースゲームを例にしているが、カーレースゲーム以外の他のゲームを対象とすることが可能である。すなわち、継続してプレーヤが操作入力を行う必要があるゲームにおいて、一定時間以上操作入力がない場合にゲームが放棄されたものと判別し、放棄回避機能を発動して、プレーヤの操作入力に応じた制御に替えて、所定のアルゴリズムに従うコンピュータ制御に移行する。
【0056】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0057】
また、実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、コンピュータに実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)をコンピュータ内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、コンピュータ内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【符号の説明】
【0058】
10…ゲームサーバ、12…ネットワーク、16…ゲーム装置、20…CPU、21…RAM、22…ROM、23…HDD、24…通信ユニット、25…メカ機構制御ユニット、26…表示制御ユニット、27…音声制御ユニット、28…入出力制御ユニット、29…ハンドル、30…アクセルペダル、31…ブレーキペダル、32…ハンドルセンサ、33…アクセルペダルセンサ、34…ブレーキペダルセンサ、40…ディスプレイ、41…スピーカ、42…コイン検知センサ、43…カードリーダ、43…ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤによる入力装置に対する操作入力を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知されたプレーヤの操作入力に応じて、ゲーム空間内における第1のオブジェクトの動きを制御する第1制御手段と、
前記検知手段による操作入力の検知が予め決められた一定時間ないことを検出する時間検出手段と、
前記時間検出手段により操作入力が一定時間ないことが検出された場合に、前記第1制御手段による制御に替えて、予め決められたアルゴリズムに従い前記第1のオブジェクトの動きを制御する第2制御手段と、
前記第1制御手段または前記第2制御手段により制御される前記第1のオブジェクトを含むゲーム画面を表示させる表示制御手段と
を具備したことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記第2制御手段により前記第1のオブジェクトの動きが制御されている時に、前記検知手段により操作入力が検知された場合には、前記第1制御手段は、前記第2制御手段による制御に替えて、前記第1のオブジェクトの動きを制御することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
ゲーム空間内における複数の第2のオブジェクトの動きを制御する第3制御手段をさらに具備し、
前記第2制御手段は、前記第3制御手段により制御される複数の前記第2のオブジェクトの動きに応じて、前記第1のオブジェクトの動きを制御することを特徴とする請求項2記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記第3制御手段は、予め決められたアルゴリズムに従って前記第2のオブジェクトの動作を制御するものであり、
前記時間検出手段により操作入力が一定時間ないことが検出された場合に、複数の前記第2のオブジェクトの全てが前記第3制御手段によって制御されていればゲームを終了させる終了制御手段をさらに具備したことを特徴とする請求項3記載のゲーム装置。
【請求項5】
コンピュータを、
プレーヤによる入力装置に対する操作入力を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知されたプレーヤの操作入力に応じて、ゲーム空間内における第1のオブジェクトの動きを制御する第1制御手段と、
前記検知手段による操作入力の検知が予め決められた一定時間ないことを検出する時間検出手段と、
前記時間検出手段により操作入力が一定時間ないことが検出された場合に、前記第1制御手段による制御に替えて、予め決められたアルゴリズムに従い前記第1のオブジェクトの動きを制御する第2制御手段と、
前記第1制御手段または前記第2制御手段により制御される前記第1のオブジェクトを含むゲーム画面を表示させる表示制御手段として機能させるためのゲームプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−324(P2011−324A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146710(P2009−146710)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)
【Fターム(参考)】