説明

ゲーム装置

【課題】 複数の模型体が走行するゲーム装置における模型体の位置検出のためのコストを低減させ、位置検出の精度を高め、位置検出の所要時間を短縮する。
【解決手段】 第1走行面4と、その下方の第2走行面7と、第2走行面7における走路8上を走行する撮影手段46を備えた複数の走行体40とを備え、各走行体40に追従して第1走行面4を複数の模型体30が走行することでゲームが進行するゲーム装置において、第2走行面7に平行な方向に延在する撮影手段46からの撮影が可能な情報配置面に、走路上の任意の位置に配置された走行体30が備える撮影手段46の画角内に常に1つ以上の2次元コードが含まれるサイズ及び配列をもって配列された2次元コードと、撮影手段46により撮影される2次元コードに記録された位置情報に基づいて走行体40の位置を検出する位置検出手段61とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の走行面上を複数の模型体が走行するゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の模型体が所定のトラック上においてある程度自由に走行コースを変えつつ走行できるようにすることにより、走行距離が最短となる内側の有利なコース取りを狙って模型体が競り合って密集するなど、より高い迫力で、或いは、より高いリアリティをもって模型体を走行させることができるゲーム装置を開示している。
【0003】
上記のような複数の模型体が密集して、或いは、競り合って走行するゲーム装置では、模型体同士の接触による模型体の転倒を防止し、或いは、予め定められた順序で確実に模型体をゴールインさせる等のため、模型体の走行位置をリアルタイムに正確に把握、制御できることが必要である。
【0004】
この点、特許文献1のゲーム装置では、トラック下方に設置された走行面上を走行する複数の走行体によりトラック上の各模型体を牽引するように構成するとともに、走行面の下方に、直交する2方向(X方向及びY方向)に延在し、それぞれスイッチを介して比較回路に接続された多数の線路よりなるコイルマトリクスを敷設し、各走行体に搭載した発振コイルを励振させた際にコイルマトリクスに生じる誘電電流により走行体の位置検出を行っている。
【0005】
しかし、上記方法では、走行面の面積の増大に伴ってコイルマトリクスの面積及びスイッチ数を増大させることが必要であり、ゲーム装置が大型化した場合における位置検出のコストが過大になる問題がある。
【0006】
加えて、上記方法では、コイルマトリクスの線路間隔が位置検出の精度限界となるため、位置検出の精度向上のためには線路数を増加させざる得ないが、敷設コストとの兼ね合いから線路数の増加には限界があるし、線路数が増加すると各走行体の位置検出に要する時間が長くなってしまうために、リアルタイムでの位置検出が困難になる問題がある。
【0007】
従って、特許文献1のゲーム装置では、装置を大型化することが困難であり、或いは、複数の模型体がより密集した態様で、激しく競り合いながら高速で走行するゲーム装置を実現することが困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開平10−216355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、下記のいずれか一以上の目的を達成するものである。
【0009】
即ち本発明の目的は、複数の模型体が走行するゲーム装置における模型体の位置検出のためのコストを低減させ、位置検出の精度を高め、及び/又は、位置検出の所要時間を短縮することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、複数の模型体が有利なコース取りを狙うなどのために密集して、或いは、互いに競り合いながら走行する迫力のあるゲーム装置を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、複数の模型体が密集して、或いは、競り合いながら走行するゲーム装置における模型体数を増加させ、及び/又は、模型体の走行速度を高めることを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決したものであり、
第1走行面と、
前記第1走行面の下方に位置する第2走行面と、
前記第2走行面における走路上を走行する複数の走行体であって、それぞれが画像を撮影するための撮影手段を備える走行体と、
それぞれの前記走行体に追従して前記第1走行面を走行する複数の模型体とを備え、前記第1走行面上を複数の前記模型体が走行することでゲームが進行するゲーム装置であって、
前記第2走行面内における位置情報を記録する複数の2次元コードであって、前記第2走行面に平行な方向に延在し、前記撮影手段からの撮影が可能な情報配置面内に配置された2次元コードと、
前記撮影手段により撮影される前記2次元コードに記録された前記位置情報に基づいて前記走行体の位置を検出する位置検出手段とを更に備え、
前記2次元コードは、前記走路上における前記走行体の位置によらず、常に1つ以上の前記2次元コードが前記撮影手段の画角内に含まれるサイズ及び配列をもって配置されていることを特徴とするゲーム装置(請求項1)である。
【0013】
本発明の情報配置面には、各走行体が備える撮影手段の画角内に常に1つ以上の2次元コードが含まれるサイズ及び配列をもって2次元コードが配置されているため、任意のタイミングにおいて撮影した画像に含まれる2次元コードから位置情報を取得することが可能である。従って、より短い時間サイクルで、或いは、連続的に走行体の位置検出を行うことが可能になり、走行体の走行をより高い精度で制御することが可能になる。
【0014】
また、本発明においてゲーム装置が大型化し、走路長や走路面積が大きくなった場合には、これに合わせて情報配置面のサイズを大きくすることが必要であるが、2次元コードは印刷などの安価な方法により形成することが可能であるし、2次元コードの撮影による位置検出の精度や所要時間は情報載置面のサイズの影響を受けない。従って、本発明によれば、大幅なコスト増を伴うことなく、また、位置検出の精度低下や位置検出のための所要時間の延長を伴うことなく、容易にゲーム装置の大型化に対応することが可能である。
【0015】
また、本発明におけるゲーム装置は、第1走行面を模型体が走行することによりゲームが進行するものであるため、情報配置面を外部から(サテライトなどの遊技位置に位置する遊技者から)視認できないように構成することが可能であり、この場合には、2次元コードを配置することによるゲーム装置のデザインや外観への影響を考慮する必要がなくなるため、安価な可視のインクを用いて2次元コードを形成することが可能である。従って、2次元コードの形成に係るコストを低減させ、2次元コードの検査や修復などのメインテナンスを容易化し、及び/又は、赤外線用の撮影手段を用いる場合と比較して、撮影手段に係るコストを低減することが可能になる。
【0016】
本発明における位置検出手段は、前記撮影手段により撮影された撮影画像中における前記2次元コードの位置及び角度、並びに、当該2次元コードに記録された前記位置情報に基づいて、前記走行体の位置の検出を行うこと(請求項2)が好ましい。
【0017】
即ち、2次元コードに記録された情報のみに基づいて走行体の位置検出を行う場合には、2次元コードの配置密度が位置検出の精度限界となる。この点、本発明では、2次元コードの配置の容易性から、大幅なコスト増を招くことなく、或いは、位置検出の所要時間や処理負荷を増大させることなく2次元コードの配置密度を高めることが可能ではあるものの、位置情報を取得するためのデコードに必要な解像度などとの関係から2次元コードの高密度化には限界があり、それ以上の精度をもって走行体の位置検出を行うことはできない。
【0018】
この点、請求項2の発明によれば、撮影手段により撮影される画像内に1つ以上のQRコードが含まれている限り、2次元コードの配置密度とは無関係に、極めて高い精度をもって位置検出を行うことが可能になる。
【0019】
なお、本発明の位置検出手段は、撮影手段により撮影された画像内におけるQRコードの角度に基づいて、走行体の角度(進行方向)をも導出するものとすることが可能であり、これにより、走行体の走行制御性を一層高めることが可能になる。
【0020】
本発明における走行体は、それぞれが、前記位置検出手段と、前記位置検出手段により検出した前記走行体の位置に基づいて前記走行体の走行を制御する駆動制御手段とを備えること(請求項3)が好ましい。
【0021】
かかる発明によれば、走行体は、自ら検出した自らの位置情報に基づいて自律的な走行制御を行うことが可能であり、走行体から離間した制御装置からの制御に基づいて走行体の走行を制御する場合と比較して、位置情報や制御信号の送受信に係る処理時間や処理負荷を軽減することが可能になる。
【0022】
本発明における走行体は、前記撮影手段の画角内を照明するための照明手段を更に備えること(請求項4)が好ましく、これにより、撮影手段による2次元コードの撮影をより安定した条件下で行うことが可能になる。なお、本発明では、情報配置面に外光が入り込まないように構成することにより、撮影手段による2次元コードの撮影条件を更に安定化させることが可能である。
【0023】
本発明では、前記2次元コードは、前記走路上における前記走行体の位置によらず、常に2つ以上の前記2次元コードが前記撮影手段の画角内に含まれるサイズ及び配列をもって前記情報配置面に配置されており、前記位置検出手段は、前記撮影手段により撮影された撮影画像中の一の前記2次元コードに基づく前記走行体の位置検出に失敗した場合には、前記撮影画像中の他の前記2次元コードに基づく前記走行体の位置検出を実行すること(請求項5)が好ましい。
【0024】
かかる発明によれば、例えば情報配置面上の異物や汚れ、或いは、撮影条件の変動などによって、仮に撮影手段により撮影された画像中のいずれかの2次元コードに基づく位置検出に失敗したとしても、他の2次元コードに基づく位置検出を行うことが可能になるため、走行体の位置検出を一層確実に行うことが可能になる。
【0025】
本発明における「模型体」は、第1走行面上を走行する何らかの形状を付与された物体を言い、「走行体」は、第2走行面上を走行する任意の物体を言う。
【0026】
本発明における「走行」は、第1又は第2走行面における位置を時間の経過に従って移動させることを言い、「模型体が走行体に追従して走行する」は、模型体が走行体と所定の位置関係を保った状態で走行することを言う。
【0027】
本発明における「2次元コード」は、少なくとも第2走行面上における位置情報を含む情報を、2次元的な図形パターンで記録した図形コードを言う。
【0028】
本発明において、「2次元コードが画角内に含まれる」とは、当該2次元コード全体の面積のうち、当該2次元コードに記録された位置情報の読み出しを可能にできる領域が少なくとも画角内に含まれていることを言う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0030】
なお、本発明は、任意の形状を付与された複数の模型体が走行面上を走行することによりゲームが進行するゲーム装置に適用されるものであるが、以下の実施形態では、本発明を、馬と騎手の形状を象った模型体が着順を競って走行する競馬ゲーム装置に適用した場合について説明する。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る競馬ゲーム装置1の外観構成を示す斜視説明図である。
【0032】
図示されるように、この競馬ゲーム装置1は、後述の主制御基板21(図7参照)などが収容される筐体中央の略円柱状の装置本体部2と、装置本体部2の周囲に配置され、通信ケーブルなどを介して上記主制御基板21と電気的に接続される複数のサテライト(ゲーム端末)70とを主体に構成されている。
【0033】
なお、図1では、簡略のために手前の3台のサテライト70のみが示されているが、本実施形態の競馬ゲーム装置1においては、12台のサテライト70が装置本体部2の周囲に配置されているものとする。
【0034】
図2(a)、(b)は、装置本体部2の構成を示す斜視及び平面説明図である。
【0035】
図示されるように、装置本体部2は、円筒状の外側筐体3と、当該外側筐体3の内側に収容され、上下に離間して配置された上面板4と下面板7とからなる2階建て構造とを備えている。
【0036】
上面板4は、概略円形の形状を有する板状の部材であり、その上側表面である第1走行面4sはサテライト70に位置する遊技客などから視認することが可能である。第1走行面4sには、レースにおいて複数の模型体30が着順を競って走行する走路であるトラック5が形成されている他、当該トラック5を走行する模型体30を撮影する複数のフィールドカメラ22、22及びゴールカメラ23、各カメラ22、23により撮影された画像やレースの案内などの情報を表示するモニタ装置24などが配置されている。また、本実施形態では、競馬場の外観をリアルに再現するために、トラック5及びその周辺には、緑色の粉末や繊維等を加工した人工芝材などが敷き詰められている。
【0037】
上記トラック5は、図2(b)に示すように、8の字状に形成されている。従って、本実施形態の競馬ゲーム装置1では、レースの種類に応じてスタート地点であるS1、S2からゴールGに至る符号SR、MR、LRで示す複数種類の走行コースを変更することにより、短距離、中距離、長距離など複数種類の走行コースでのレースを行うことが可能である。
【0038】
なお、図2には示されていないが、本実施形態では、各レースにおいてトラック5上を走行する模型体30の台数変更を可能にするために、装置本体部2は、上面板4の外周部等の適宜の箇所に模型体30を収容する収容部を備えることが可能である。
【0039】
更に、装置本体部2は、現実の競馬と同様のスタートシーンを再現するために、各レースの開始時にスタート地点S1、S2に配置され、レース中には上面板4の外周部等の適宜の箇所に退避収容される出走ゲートを更に備えることが可能である。この場合の出走ゲートは、特許文献1に開示される出走ゲートと同様の構成とすることができる。
【0040】
図3(a)は、上面板4から所定距離下方に離間した位置に配置される下面板7を平面視で示す説明図であり、図3(b)は、下面板7の表面における2次元コードCの配列の様子を示す説明図である。
【0041】
図3(a)に示すように、下面板7は、上面板4と同様円形形状を有する板状の部材であり、その上側表面である第2走行面7sのトラック5に対応する領域は、レースにおいて複数の走行体40が走行する走路8とされている。
【0042】
第2走行面7sの全体又は少なくとも走路8の表面は、第2走行面7sに固定された直交座標であるグローバル座標上における位置座標を記録した多数の2次元コードCが配置された情報配置面とされている。なお、本実施形態では、2次元コードCとしてQRコード(JIS−X−0510)が使用されている。
【0043】
ここで、QRコードCは、図3(b)に示すように、グローバル座標のXg軸及びYg軸方向にそれぞれ一定間隔をもって行列状に配列されるとともに、各QRコードCは、QRコードC上の直交座標であるQR座標上のXqr軸及びYqr軸方向が、グローバル座標上のXg軸及びYg軸方向と一致する角度で配置されている。
【0044】
QRコードCは、走行体40に搭載されるカメラ装置46の撮影角及びカメラ装置46から第2走行面7sまでの距離を考慮して、走路8上のどの位置に走行体40が位置する場合でも、カメラ装置46の画角(撮影視野)V内に常に1以上のQRコードCの全体が含まれるサイズ及び間隔で配置されており、後述の走行体制御基板61は、カメラ装置46による撮影画像中のQRコードCに記録された位置情報と、カメラ装置46により撮影された画像に固定された座標系であるカメラ座標(Xc、Yc)上でのそのQRコードCの位置及び角度とに基づいて、グローバル座標上における走行体40の基準点(例えば、中央輪44a、44bの車軸中央位置)Rの位置座標及び角度(進行方向)Fを導出する。なお、撮影画像中における一のQRコードCからの位置情報の取得に失敗した場合における他のQRコードCからの位置情報の取得を可能にするべく、QRコードCは、カメラ装置46の画角V内に常に2以上のQRコードCの全体が含まれるサイズ及び間隔で配置されていることが好ましい。
【0045】
QRコードCは、例えばポリカーボネイトなどの透明薄板9(図4参照)の一面に上記QRコードCを印刷し、その印刷面を下にした透明薄板9を下面板7上に敷設することにより配置することが好ましく、これにより、走行体40の走行によるQRコードCの毀損等を防ぐことができる。
【0046】
本実施形態では、QRコードCが配置される情報配置面は、外側筐体3及び上面板4に覆われて、サテライト70に着座した遊技者からは見えない構造とされており、QRコードCを可視のインクを用いて形成したとしても、装置のデザイン、外観には何らの影響も与えない。従って、可視のインク等により可視のQRコードCを形成することで、印刷等に係る費用を低減し、QRコードCの検査や修復等のメインテナンスを容易化し、及び/又は、赤外線用のカメラ装置を用いる場合と比較してより安価なカメラ装置46を使用することが可能になる。
【0047】
更に、外側筐体3及び上面板4を遮光性の部材により構成することで、競馬ゲーム装置1が設置される遊技場における照明などが、カメラ装置46による撮影に影響を与えないようにすることも可能であり、これにより、QRコードCに記録された位置情報の読取安定性を高めることが可能である。
【0048】
図4は、第1走行面4s及び第2走行面7sに配置された模型体30及び走行体40を側面視で示す説明図である。
【0049】
図示されるように、模型体30は、台車31と、台車31上に支持柱36を介して取り付けられた模型部分37とから構成されている。
【0050】
台車31は、前後輪32、33と、台車31の両側部に軸支された中央輪34a、34bとにより第1走行面4s上を走行可能とされており、台車31の下面には、第1走行面4sから若干の間隔をもって2つの回転磁石35a、35bが取り付けられている。
【0051】
回転磁石35a、35bは、後述の走行体40の回転磁石55a、55bと磁気的に結合し、第2走行面7s上を走行する走行体40に追従して(走行体40と所定の位置関係を保った状態で)模型体30が第1走行面4s上を走行することを可能にする。
【0052】
また、回転磁石35a、35bは、鉛直方向の軸を中心に回転可能とされ、模型制御モータ56a、56bによる回転磁石55a、55bの回転に同期して回転する。回転磁石35a、35bの回転は、支持柱36及び不図示のギア機構を介して模型部分37に伝達される。
【0053】
模型部分37は、馬(競走馬)及び騎手を象った模型であり、馬の脚や騎手の手足はそれぞれの関節軸の周りに揺動可能とされており、回転磁石35aの回転が支持柱36を介して伝達されると騎手の手足が揺動動作し、回転磁石35bの回転が支持柱36を介して伝達されると馬の前後脚が揺動動作するようになっている。
【0054】
走行体40は、台車41及び支持台50から構成されている。
【0055】
台車41には、前後輪42、43と、左右の中央輪44a、44bと、当該中央輪44a、44bをそれぞれ駆動する走行モータ45a、45bとが搭載されており、駆動制御基板66に制御された走行モータ45a、45bが左右の中央輪をそれぞれ独立に駆動することにより、進行方向を変更自在に走行体40を第2走行面7s上で自力走行(自走)させる。
【0056】
台車41には、更に、下面開口Oを有する空洞部Sの上部において第2走行面7sを垂直に撮影する態様で取り付けられたCCDカメラなどのカメラ装置46と、カメラ装置46の両側部に取り付けられ、カメラ装置46の画角Vを照明する白色LED47と、無線LANによる装置本体部2との通信を行うためのアンテナ48などの機構部品を備えている。
【0057】
支持台50は、スプリング51による上方への付勢力を受けた状態で台車41の上方に取り付けられている。
【0058】
支持台50の上面には、前後輪52、53と、左右の中央輪54a、54bとが取り付けられ、これら車輪52〜54は、スプリング51の付勢力により上面板4の下面に当接する。従って、走行体40は、下部の車輪42〜44と、上部の車輪52〜54に挟まれて、上面板4と下面板7の間の走行空間を直立姿勢を維持しながら安定に走行することができる。
【0059】
支持台50は、更に、回転磁石55a、55b、模型制御モータ56a、56b及び集電子57を備えている。
【0060】
回転磁石55a、55bは、それぞれ模型体30の回転磁石35a、35bに対応する配置をもって上面板4から若干の間隔をもって取り付けられ、模型制御モータ56a、56bの駆動により、鉛直方向の軸を中心に回転動作を行うようになっている。回転磁石55a、55bは、回転磁石35a、35bと磁気的に結合し、走行体40の走行により上面板4上の模型体30を牽引するとともに、回転磁石55a、55bの回転によって模型体30の模型部分37における馬の脚や騎手の手足を揺動動作させる。
【0061】
集電子57は、走行体40の走行中、スプリング51による適切な圧接力をもって上面板4の下面に取り付けられた給電板6に摺接し、走行体40の走行制御に必要な電力を供給する。
【0062】
給電板6は、例えば、ストライプ状のパターンの正電極及び負電極を所定距離離間させて交互に配列して構成することができ、集電子57は、正八角形の頂点位置に配置した8本のピンコンタクトなどで構成し、常に2本以上のピンコンタクトが正負両電極との接触を保つようにするなどにより走行体40への安定な電力供給を行うことが可能である。
【0063】
図5は、各サテライト70の構成を示す斜視説明図である。
【0064】
各サテライト70は、それぞれ同一の構成を有しており、図示されるように、ゲームセンターなどの遊技場の床面に設置され、図示省略の椅子などに腰掛けた遊技者の足や荷物を乗せる台部材から上方に向って立設される脚部72と、その脚部の上端側で支持されるテーブル部74とを主体に構成されている。
【0065】
そして、脚部72には、メダル払出口73が設けられており、テーブル部74には、サテライト画面SPなどの画像を表示し、遊技者によるタッチ操作を検出するタッチパネル式モニタ75、実況放送やファンファーレ、BGMなどの各種演出用の音響を出力するスピーカ76、メダルを投入するためのメダル投入口77及び獲得したメダルの払い出しを行うペイアウトボタン78などが設けられている。また、各サテライト70の内部には、上記メダル払出口73にメダルを払い出すためのメダル払出装置73aや、メダル投入口77から投入されたメダルを検出してその枚数をカウントするメダルセンサ77a等の機構部品が収容されている。
【0066】
各サテライト70では、投票が当選となって配当を受け取る権利が発生した場合には、獲得したメダル枚数をクレジットメダル枚数値として記憶管理するようにされており、そのクレジットメダルを用いてベットすることが可能である。また、メダルを受け取りたい場合には、ペイアウトボタン78を押下することでクレジットメダル枚数値に対応した枚数のメダルをメダル払出口73から払い出させることが可能である。
【0067】
図6は、タッチパネル式モニタ75に表示されるサテライト画面SPの例示的な態様を示す説明図である。
【0068】
図示されるように、本実施形態のサテライト画面SPでは、表示画面の右側に、各レースにおける模型体30の着順についての投票を行うためのベット画面BPを常に表示させる態様にしており、一方、表示画面の左側には、解説画面GP、レース前新聞画面FNP、実況画面BCP、レース後新聞画面ANP等がそれぞれ所定のタイミングで表示されるようになっている。
【0069】
本実施形態に係る投票画面BPでは、操作毎にベットできるメダルの枚数を指定する枚数ボタンBAや、「単勝」、「複勝」、「馬連」、「馬単」、「ワイド」、「三連複」、「三連単」、「三連単ライト」及び「重勝」の9種類の指定態様から好みの指定態様を選択する指定態様ボタンBK、着順の指定方法を説明するインストラクション欄BI、主制御基板21が各模型体30に割り当てた競走馬の馬番や馬名、オッズなどを表示したベットボタンBB、それら各ベットボタンBBに対応した模型体30のイメージ画像BS(模型体30に割り当てられた競走馬と騎手のイメージ画像)等が表示されており、いずれかの枚数ボタンBA及び指定態様ボタンBKを選択した状態でベットボタンBBを操作することにより、選択された枚数のメダルを対価として選択された指定態様で着順を指定した投票を行うことができる。
【0070】
ここで、上記「単勝」は、1着になる模型体30に割り当てられた競走馬(以下、単に「1着になる競走馬」等という)の馬番を指定するものであり、「複勝」は、1着又は2着になる競走馬の馬番を指定するものであり、「馬連」は、2着以内に入る競走馬の馬番をセットで指定するものであり、「馬単」は、1着と2着になる競走馬の馬番を着順通りに指定するものであり、「ワイド」は、1〜3着になる競走馬のうちの任意の2つの馬番を指定するものであり、「三連複」は、1〜3着になる競走馬の馬番の組み合わせを指定するものであり、「三連単」及び「三連単ライト」は、1〜3着になる競走馬の馬番を着順通りに指定するものであり、「重勝」は、複数のレースに渡る競走馬の着順を指定するものである。
【0071】
なお、上記の通り、「三連単」と「三連単ライト」では着順の指定態様は同じであるが、この指定態様では投票が当選になる確率が低い(例えば、10頭立ての場合は平均で720分の1)ことから、遊技者からは、例えば3〜8頭程度の競走馬を指定し、そのうちのどの3頭が1〜3着になっても当選となるように全ての組み合わせの着順を指定するボックスでの投票を希望する場合が多い。しかし、8頭ボックスの場合は336通りの着順を指定した投票が必要であり、各投票の対価をメダル1枚としても336枚のメダルが必要になるなど、多数のメダルが必要になるために気軽にはボックスでの投票を行うことはできない。「三連単ライト」は、このような状況を考慮して準備されたものであり、メダル0.1枚を対価の最低単位として「三連単」の指定態様での投票を受け付けるものである。従って、「三連単ライト」の8頭ボックスで各0.1枚のメダルを対価として投票を行った場合のメダル所用枚数は33.6枚であるが、メダル処理の便宜等から、小数点以下を切り上げて34枚のメダルで上記投票が受け付けられる。
【0072】
図6に示す投票画面BPでは、指定態様ボタンBKから「馬単」の指定態様が選択された状態が示されており、この場合を例として投票の方法を説明すると以下の通りである。
【0073】
指定態様ボタンBKから「馬単」の指定態様を選択した初期状態では、インストラクション欄BIに「1着の馬を指定して下さい」と表示されており、遊技者は、適宜の枚数ボタンBAを操作してから、1着になると思う馬番のベットボタンBBを操作するとインストラクション欄BIが「2着の馬を指定して下さい」に切り替わるので、これに合わせて2着になると思う馬番のベットボタンBBを操作する。これにより、枚数ボタンBAで指定した枚数のメダルを対価として、指定態様ボタンBKで選択した指定態様によって、ベットボタンBBの操作により指定した着順の投票が受け付けられる。
【0074】
他の指定態様においても、インストラクション欄BIの表示に従って、同様の態様で投票を行うことが可能である。
【0075】
投票は、残り時間表示BTがゼロになるまでであれば何度でも繰り返して行うことが可能であり、1レースについて、複数の指定態様で、複数通りの着順を指定した任意枚数のメダルを対価とする投票を行うことが可能である。
【0076】
なお、本実施形態では、投票を行うことに対する遊技者の興趣を喚起するために、ベットボタンBBが操作される毎にイメージ画像BSの競走馬が所定の動作を行うようになっている。
【0077】
具体的には、ベットボタンBBを押下してベットすると対応したイメージ画像BSの競走馬が歩き出す画像が表示され、更にベットすると、その馬が段階をもって走り出し、MAXベットになると、その馬に搭乗した騎手がガッツポーズすると共に、その馬と騎手が光り輝く画像が表示される。
【0078】
更に、本実施形態では、上記のようにイメージ画像BSにおける馬や騎手の動作に連動して、スタート地点S1或いはS2に配置された対応する模型体30の模型部分37において馬の脚や騎手の手足が揺動動作を行うようになっている。このように、ベット行為に対して従来に無い視覚的な反応が生じるため、投票に対する遊技者の興趣を視覚的に盛り上げることが可能である。
【0079】
解説画面GPは、指定態様ボタンBKの選択に応じて各指定態様についての解説を表示するものである。遊技者は、解説画面GPにより、各指定態様における着順指定の方法や配当の特性などを理解することが可能である。
【0080】
レース前新聞画面FNPは、各レースの開始前のタイミングで表示される画面である。即ち、このレース前新聞画面FNPにより、各レース開始前に出走する複数の競走馬のいずれが強いのかなどの着順の予想に役立つ情報を遊技者に提供して遊技者の着順予想の手助けを行うことができる。
【0081】
レース後新聞画面ANPは、各レースの終了後のタイミングで表示される画面である。即ち、このレース後新聞画面ANPにより、各レース終了後に勝利した競走馬がどのような勝ち方をしたかなどの結果情報を遊技者に提供する。
【0082】
上記のようなレース前新聞FNP及びレース後新聞ANPに表示される情報から、遊技者は各競走馬の馬名やその戦績、特徴などを覚えることができ、初級者であってもレースを消化するうちにより的確な着順予想を行うなどが可能になる。
【0083】
なお、レース前新聞FNP及びレース後新聞ANPでは、それぞれのレースに適合した文章を自動生成し、或いはそれぞれのレースに適合する画像を自動選択して、毎回異なる記事内容を表示させることが可能である。
【0084】
実況画面BCPは、各レースの実行中に表示される画面であり、フィールドカメラ22やゴールカメラ23で撮影された画像と予め用意された画像を合成した合成画像を実況画像として表示するものである。この実況画面BCPにおいて、例えば、コインマークなどの合成画像を表示させて、遊技者がどの模型体30に投票したか、或いは、どの模型体30の人気が高いかなどを遊技者に視認させることができる。また、ゴールまでの距離などの情報や、遊技者が投票した競走馬に対する応援コメントなどを表示させることで遊技者を更に盛り上げることも可能である。
【0085】
図1に戻って、装置本体部2の側部には4本の支柱部材10が立設され、その上端にはリング状の天井部材11が取り付けられている。支柱部材10及び天井部材11には、上方からトラック5の俯瞰映像を撮影する天井カメラ25、実況放送やファンファーレやBGMなどの各種演出用の音響を出力するスピーカ26、各種演出用の発光を行う照明装置27などが設けられている。
【0086】
なお、本実施形態では、上面板4に形成されたトラック5が、サテライト70に着席した遊技者から見下ろすことができるように、テーブル部74よりも下方位置に配置されており、各サテライト70に着席した遊技者は、現実の競馬場のゴンドラ席からトラックを見下ろす感覚と同様の感覚をもってレースを観戦することが可能である。
【0087】
図7は、競馬ゲーム装置1のハードウェアの概略構成を示す説明図である。
【0088】
図示されるように、本実施形態の競馬ゲーム装置1では、装置本体部2が主制御基板21を備え、各走行体40が走行体制御基板61を備え、各サテライト70がサテライト制御基板71を備えており、主制御基板21は、配線ケーブルや無線LAN回線などによって各走行体制御基板61及び各サテライト制御基板71との間でのデータの送受信が可能とされている。なお、主制御基板21、走行体制御基板61及びサテライト制御基板71は、それぞれ、CPUや、ROM、RAM、ハードディスクなどの記録装置を備える情報処理装置である。
【0089】
主制御基板21には、フィールドカメラ22、ゴールカメラ23、モニタ装置24、天井カメラ25、スピーカ26、照明装置27、通信装置28、無線LAN装置29などが接続されており、主制御基板21は、レースの進行に合わせてこれらの装置を駆動制御するとともに、その記録装置に記録される馬データに基づいて、各走行体40についての走行データの生成やオッズの決定を行い、各走行体制御基板61から送信される走行体40の位置データに基づいて着順を決定するなどの処理を行うことにより、競馬ゲームの進行を制御する。
【0090】
ここで、上記馬データは、複数の競走馬の名称(馬名)やレースの強さに関するパラメータである走行能力値などのデータから構成される。馬名は、実在の競走馬と同一の名称を使用しても良いが、本実施形態では、現実の競馬に余り詳しくない遊技者にも遊技を楽しんで貰えるように、各競走馬にはオリジナル(架空)の馬名が使用されている。走行能力値は、レースによらず各競走馬について固定の値を用いても良く、或いは、走行コースの長短、各レースについて設定される天候、馬場条件との適性などに応じて走行能力値を増減させることで、レース毎のレース展開の多様性を高めることが可能である。また、競馬ゲーム装置1で頻繁に遊技を行う遊技者がより適切な予想を出来るようにするために、過去の戦績に応じて走行能力値を増減させるなども可能である。
【0091】
馬データには、トラック5上に配置される模型体30の台数(例えば、6〜12)と同数の競走馬についてのデータを記録しても良いが、それよりも多数(例えば、100頭)の競走馬についてのデータを記録しておけば、レース毎に異なる競走馬を出走させる(模型体30に割り当てる)ことにより、レースの多様性を高めることができる。
【0092】
また、主制御基板21は、トラック5上に配置される各模型体30に馬データとして記録されるいずれかの競走馬を割り当てるとともに、割り当てた競走馬についての走行能力値やレース展開を多様化するための乱数などを用いた適宜のアルゴリズムに従って走行データを生成する。この走行データは、レース開始からゴールまでの経過時間に対する各走行体40の走路8上における位置座標を指定するものとすることができる。
【0093】
オッズは、1枚のメダルを対価として投票を行った場合に配当として払い出されるメダル枚数の期待値がペイアウト率PO(払戻率。配当として払い出される総メダル数を全ての投票における対価とされた総メダル数で除した値)と等しくなるように設定された配当割合(配当倍率)であり、主制御基板21は、各模型体30に割り当てられた競走馬の走行能力値に基づいて、各指定態様における全ての着順についてオッズ(Odds)Dを算出する。
【0094】
なお、本実施形態におけるオッズDは、レースに出走する競走馬が馬番1〜nのn頭であるとし、それぞれの競走馬の走行能力値をA1〜An、全ての走行能力値A1〜Anの合計をASとすれば、例えば、「単勝」における馬番1の競走馬のオッズD1は、下式(1)に従って導出され、「馬連」における馬番1と馬番2の競走馬のオッズD12は、下式(2)に従って導出される。
D1=AS×PO/A1 (1)
D12={1/(A1/AS)×(A2/(AS−A1))
+(A2/AS)×(A1/SA−A2))} (2)
【0095】
模型体30の着順は、各走行体40から送信される各走行体40の時々刻々の第2走行面7s上における位置座標に基づいて、各模型体30がゴールGに到着した時刻の先後を特定することにより決定される。ここで、上記走行データに基づいて着順を決定するのではなく、現実の走行体40の走行位置データに基づいて着順を決定するものとしたのは、何らかの原因により走行データと異なる着順で各模型体30がゴールした場合におけるトラブル等の発生を回避するためである。
【0096】
サテライト制御基板71には、メダル払出装置73a、タッチパネル式モニタ75、スピーカ76、メダルセンサ77a、ペイアウトボタン78、通信装置79などが接続されており、サテライト制御基板71は、タッチパネル式モニタ75における画像表示並びに遊技者によるタッチ入力の検出、スピーカ76における音声出力、メダル投入口77に投入されたメダルのメダルセンサ77aにおける計数処理、配当の払い出しやペイアウトボタン78の操作に基づくメダル払出のためのメダル払出装置73aの制御などの処理を実行する。
【0097】
より具体的には、サテライト制御基板71は、主制御基板21から送信されるデータに基づいて、各レースについて主制御基板21が各模型体30に割り当てた競走馬の馬名やオッズなどをタッチパネル式モニタ75に表示させ、ベット画面BPに対する遊技者の操作を検出して投票の受付を実行し、各レースの終了後に主制御基板21から送信される着順データが投票において指定された着順と一致しているか否かにより当選の有無を判定し、当選している場合には、当選となった投票において対価とされたメダル枚数にオッズDを乗算することにより算出される枚数のメダルを配当としてメダル払出口73から払い出し、或いは、クレジットメダル計数値を増分するなどの処理を実行する。
【0098】
各走行体制御基板61には、撮影制御基板62、LED制御基板63、画像処理基板(FPGA)64、画像メモリ65、駆動制御基板66、模型制御基板67、無線LAN装置68などが接続されている。
【0099】
撮影制御基板62は、カメラ装置46による撮影動作の制御を行うものであり、本実施形態では、撮影制御基板62の制御により、カメラ装置46は、1秒間に2〜200回程度の頻度で情報配置面である第2走行面7s上のQRコードCを高速撮影する。
【0100】
LED制御基板63は、白色LED47を点灯制御し、カメラ装置46の撮影に必要な照明光を情報配置面に照射する処理を実行する。
【0101】
画像処理基板64は、カメラ装置46により撮影された各画像を走査することで、各画像に含まれる各QRコードCの3頂点に配置されたマーカーを抽出する処理を実行し、また、走行体制御基板61により抽出された撮影画像中のQRコードCをデコードする処理を実行する。
【0102】
画像メモリ65は、カメラ装置46により撮影された画像を一時的に記録するものである。
【0103】
駆動制御基板66及び模型制御基板67は、走行体制御基板61からの信号に従って、それぞれ走行モータ45a、45b及び模型制御モータ56a、56bの駆動制御を行うものである。
【0104】
走行体制御基板61は、画像処理基板64が抽出したマーカーからQRコードCを抽出する処理を行うとともに、そのQRコードCから取得されるグローバル座標上での位置座標と、そのQRコードのカメラ座標上での位置及び角度とに基づいて、グローバル座標上での走行体40の基準点Rの位置座標及び角度Fを特定し、当該位置座標及び角度Fを用いて主制御基板から受信した走行データに従った正確な走行コースで走行体40を走行させるべく駆動制御基板66による走行モータ45a、45bの駆動制御を実行する。
【0105】
無線LAN装置68は、各レース実行前の所定のタイミングで主制御基板21において生成された走行データを受信し、レース中において走行体制御基板61が導出する走行体40の基準点Rのグローバル座標上での位置座標、又は、当該位置座標及び角度Fを主制御基板21に送信するなどの処理を実行する。
【0106】
以下、各走行体40において実行される情報配置面上のQRコードCに基づく走行体40の位置検出処理を説明する。
【0107】
図8(a)は、本実施形態で使用されるQRコードCのコードパターンを拡大して示す説明図である。
【0108】
本実施形態におけるQRコードCは、白黒の2値により判別される所定サイズ(例えば、0.333mm角)の情報記録単位であるモジュールUが縦横21×21に配列された1辺約7mmの正方形領域を有する図形パターンであり、その3隅には位置検出用のマーカーM(M1〜M3)が配置され、マーカーM以外の領域が位置情報を記録する符号化領域Rとなっている。
【0109】
ここで、マーカーMは、いずれも中央の3×3モジュールの黒部分Maと、その外側の5×5モジュールの白部分Mbと、更にその外側の7×7モジュールの黒部分Mcとから構成されており、QRコードCが撮影された画像をマーカーMの中心を通る直線に従って走査すれば、QRコードCが画像内においてどのような角度で配置されているかに関わらず、1:1:3:1:1の長さ比で黒、白、黒、白、黒のパターンが検出されることになる。
【0110】
本実施形態では、QRコードCの上記幾何学的特徴に基づいてマーカーMを簡易に検出することにより画像からQRコードCを抽出して走行体40の位置検出を実行する。
【0111】
図9は、各走行体40において実行される位置検出処理の流れを示すフローチャートである。
【0112】
図示されるように、本実施形態における位置検出処理は、カメラ装置46による情報配置面の撮影(ステップS1)により開始する。なお、この処理は、撮影制御基板62の制御により、例えば、1秒間に120回の頻度で反復して実行される。
【0113】
ステップS2では、ステップS1での撮影画像に対してメディアンフィルタ(Median Filter/画像処理におけるノイズ除去の手法の一つ。ある座標とその周辺の画素をソートし、その中央値をとることによってノイズを除去する。)によるノイズ除去が行われた後に、画像処理基板64が、その撮影画像を所定方向(例えば、カメラ座標におけるXc方向)に走査し、1:1:3:1:1の長さ比で黒、白、黒、白、黒のパターンを検出する毎に、そのパターンをマーカー候補としてピックアップし、ピックアップされた個々のマーカー候補について、上記パターンの中心位置及び上記パターンの長さ(画素数)を1/7することにより得られる値である1モジュール長が記録される。なお、本実施形態におけるステップS2では、マーカー候補の誤認識が多発した場合における処理負荷の増大を回避するなどのため、マーカー候補のピックアップ数は所定の上限数(例えば、64個)の範囲内で行うものとされている。
【0114】
ステップS2の処理において画像処理基板64は、撮影画像を2値化するための閾値を導出する処理を実行し、また、ステップS2の処理と平行して、撮影画像を画像メモリ65に転送する処理が実行される。なお、上記閾値の導出は、ステップS2の実行毎に行うものとしても良く、例えば、装置起動後の最初に実行されるステップS2において導出された閾値を固定値として使用するものとし、以降のステップS2における閾値の導出処理は省略することも可能である。
【0115】
続くステップS3では、各マーカーMの黒部分Maが「黒」で塗られた正方形領域であることに基づいて、ステップS2においてピックアップされたマーカー候補の中心位置の補正処理及び間引き処理が走行体制御基板61により実行される。
【0116】
具体的には、画像メモリ65に転送された画像データを対象として、画像処理基板64がピックアップしたマーカー候補の中心位置の上下左右方向(カメラ座標における+Xc方向、−Xc方向、+Yc方向及び−Yc方向)の画素を検査していくことで「黒」の画素から「白」の画素に切り替わる境界を検出し、そのマーカー候補の中心位置を、検出された上下及び左右の境界の中央点に補正する。また、上下の境界間の距離と、左右の境界間の距離が大きく異なる場合には、黒部分Maではないと考えられるため、両者の比が所定範囲から外れる場合には、そのマーカー候補は削除(間引き)される。上記により中心位置が補正され、間引きされたマーカー候補には、画像中心から近い順に所定のID番号が付される。
【0117】
続くステップS4では、単一のQRコードCに属する3つのマーカーM間の距離が規定値である(隣接する2つのマーカー間(M1−M2、M1−M3間)の距離は14モジュールであり、対角のマーカー間(M2−M3間)の距離はその√2倍である)ことに基づいて、ステップS3において抽出されたマーカー候補から、単一のQRコードCに属すると考えられる3つのマーカー候補(マーカーセット)を抽出する処理が実行される。
【0118】
図9(b)は、上記ステップS4における処理の詳細を示す説明図である。
【0119】
この処理では、まず、ステップS3において抽出された各マーカー候補間の中心間距離(画素数)が算出され、算出された中心間距離は、マーカー候補のIDをキーとする2次元配列の形態で記録される(ステップS11)。従って、ステップS3において抽出された各マーカー候補から選択される2つのマーカー候補の全ての組み合わせについてのマーカー間距離が記録される。なお、この2次元配列には、各中心間距離とともに、各中心間距離の有効/無効を示すフラグを記録するものとし、無効のフラグが記録された中心間距離をステップS12、S13の処理の対象から除外することにより、処理負荷の軽減、処理時間の短縮を図ることができる。
【0120】
無効フラグは、後述のステップS13における場合の他、前回撮影された画像から検出されたQRコードCにおけるマーカー間距離との差が一定以上に大きい場合、中心間距離を算出した2つのマーカー候補について記録された1モジュール長の差が一定以上に大きい場合などに記録するものとすることができる。
【0121】
続くステップS12では、単一のQRコードCに属する2つのマーカーMの中心間距離は14モジュール分であることから、ステップS11において算出された中心間距離が概略14モジュール分であることを条件に、より具体的には、各中心間距離を、その中心間距離を算出した2つのマーカー候補のうちのID番号の若い方のマーカー候補について記録された1モジュール長で除した値が、「14」から所定の誤差範囲内にあることを条件に、その2つのマーカー候補がマーカーペア(1点目及び2点目のマーカー候補)として抽出される。
【0122】
続くステップS13では、ステップS12において抽出されたマーカーペアの中心間距離をLとして、当該マーカペアのいずれか一方のマーカー候補からの距離L1と上記Lとの比(L1/L)が「1」から所定の誤差範囲内にあり、かつ、当該マーカーペアの他方のマーカー候補からの距離L2と上記Lとの比(L2/L)が「√2」から所定の誤差範囲にあるマーカー候補がマーカーセットを構成する3点目のマーカー候補として抽出される。
【0123】
なお、上記ステップS13の処理では、上記の条件に加え、抽出された3つのマーカー候補によりQRコードCの領域を特定した場合のQRコードCの周囲の領域(クワイエットゾーン(Quiet Zone/2次元コードを読み取る際に必要な2次元コード周囲の空白部分。マージンとも呼ぶ。)における「黒」の画素密度が所定値以下であるなど、他の条件をも考慮して3点目のマーカー候補を抽出するものとすることが可能である。
【0124】
続くステップS14では、後述のステップS8から処理がステップS4に戻された場合のステップS12、S13での重複処理を回避するために、ステップS12、S13において特定されたマーカーセットを構成する3つのマーカー候補と、他の全てのマーカー候補との間の中心間距離に無効フラグを記録する処理が実行される。
【0125】
図9(a)に戻って、ステップS5では、ステップS4においてマーカーセットの抽出が成功裏に成されたか否かの判定が実行され、抽出に失敗した場合には、当該画像からはQRコードCを特定することができないものとして、処理は終了となる。
【0126】
一方、マーカーセットが検出された場合には、処理はステップS6に移行し、検出された各マーカー候補の中心位置に基づいてカメラ座標上におけるQRコードCの位置及び角度が特定され、ステップS7において、画像処理基板64がそのQRコードCのデコードを実行することによりQRコードCに記録された座標データを取得する処理を実行する。なお、ステップS7では、処理の簡略のため、QRコードCにおける21×21のモジュールUの中心位置における画素値によってQRコードCのデコードが実行される。
【0127】
ステップS8では、ステップS7におけるデコードの成否判定が実行され、失敗である場合には、ステップS1において撮影された画像中の他のQRコードCに属するマーカーセットを抽出するべく、処理はステップS4に戻される。
【0128】
一方、ステップS8においてデコード成功が判定された場合には、処理はステップS9に移行し、ステップS6において特定されたQRコードCのカメラ座標上での位置、角度と、ステップS7において取得された座標データに基づいて、以下に示す座標変換を行うことにより走行体の基準点R及び角度Fが導出される。
【0129】
図8(b)は、ステップS1においてカメラ装置46により撮影された例示的な情報配置面の画像を示す説明図である。
【0130】
今、ステップS4において図8(b)に示すQRコードC1の3つのマーカーMがマーカーセットとして抽出されたものとすると、その3つのマーカーMの位置関係からQR座標(Xqr、Yqr)が導かれるので、カメラ座標を図の(Xc、Yc)のように取れば、QR座標の原点から走行体40の基準点RへのベクトルVcは、カメラ座標におけるQR座標の原点の位置Qc、及び、既知であるカメラ座標における走行体40の基準点Rの位置Pcを用いて、下式(3)のように表すことができる。
Vc=Pc−Qc (3)
【0131】
また、カメラ座標におけるQRコードC1の角度をθcとすれば、QR座標系における走行体40の基準点Rの座標値(Pqx,Pqy)は、下式(4)に従ってベクトルVcを−θc回転させることにより得ることができる。
Pqx=Vcx×cosθc−Vcy×sinθc
Pqy=Vcx×sinθc+Vcy×cosθc (4)
【0132】
従って、ステップS7におけるQRコードC1のデコードにより取得された座標値が(Gx、Gy)であるとすれば、グローバル座標系における走行体40の基準点Rの座標値(Pgx,Pgy)は、下式(5)によって得ることができ、グローバル座標系における走行体の進行方向を示す角度θgは、下式(6)によって得ることができる。
Pgx=Pqx+Gx
Pgy=Pqy+Gy (5)
θg=−θc (6)
【0133】
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
【0134】
例えば、上記した実施形態では、馬の形状を与えられた複数の模型体が着順を競って走行する競馬ゲーム装置に本発明を適用した場合を例として説明したが、例えば、サッカー選手の形状を与えられた複数の模型体がボールを追ってフィールド上を走行するサッカーゲーム装置など、任意の形状を付与された複数の模型体が任意の態様で第1走行面上を走行することによりゲームが進行するゲーム装置に本発明を適用することが可能である。
【0135】
また、上記した実施形態では、第2走行面に固定された直交座標(グローバル座標)のXY軸に沿って行列状に2次元コードが配列された場合について説明したが、2次元コードは、走路上の走行体が備える撮影手段の画角内に常に1つ以上の2次元コードが含まれる限り、任意の規則性のある配列又は規則性の無い配列で配置することが可能である。
【0136】
同様に、上記した実施形態では、第2走行面や撮影画像などに固定された直交座標を用いた座標変換により走行体の基準点Rの位置座標を導出する場合について説明したが、使用する座標系の種類や基準点の導出のための演算の手法、走行体における基準点の取り方などは任意である。
【0137】
また、上記した実施形態では、2次元コードが第2走行面上に配置されている場合について説明したが、本発明における2次元コードは、第2走行面に平行な方向に延在する面であって、撮影手段からの撮影が可能な任意の面(情報配置面)上に配置することが可能であり、例えば、下面板を透明な板部材で形成し、当該透明な下面板の下方に設置した面上に2次元コードを配置するなど、2次元コードは、ゲーム装置における上記実施形態とは異なる部位に配置することも可能である。
【0138】
また、上記実施形態では、装置本体部の周囲に12台のサテライトが配置されたゲーム装置を例として説明したが、本発明のゲーム装置は、13台以上又は11台以下のサテライトを備えることが可能である。
【0139】
その他、上記した実施形態における装置構成や機能構成、具体的な処理の内容、手順等は単なる例として記載したものであり、本発明はこれらにより限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の一実施形態に係る競馬ゲーム装置の外観構成を示す斜視説明図。
【図2】装置本体部の構成を示す斜視図及び平面説明図。
【図3】(a)は、装置本体部に収容される下面板7を平面視で示す説明図。(b)は、下面板の表面における2次元コードCの配列の様子を示す説明図。
【図4】自走体及び走行体の構成を示す説明図。
【図5】サテライトの構成を示す説明図。
【図6】サテライト画面を示す説明図。
【図7】競馬ゲーム装置のハードウェアの概略構成を示す説明図。
【図8】(a)は、QRコードの例示的な形態を示す説明図。(b)は、カメラ装置により撮影された例示的な情報配置面の画像を示す説明図。
【図9】本発明の一実施形態において実行される位置検出処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0141】
1・・・競馬ゲーム装置、2・・・装置本体部、3・・・外側筐体、4・・・上面板、4s・・・走行面、5・・・トラック、6・・・給電板、7・・・下面板、7s・・・走行面、8・・・走路、9・・・透明薄板、10・・・支柱部材、11・・・天井部材、21・・・主制御基板、22・・・フィールドカメラ、23・・・ゴールカメラ、24・・・モニタ装置、25・・・天井カメラ、26・・・スピーカ、27・・・照明装置、28・・・通信装置、29・・・無線LAN装置、30・・・模型体、31・・・台車、32・・・前輪、33・・・後輪、34a、34b・・・中央輪、35a、35b・・・回転磁石、36・・・支持柱、37・・・模型部分、40・・・走行体、41・・・台車、42・・・前輪、43・・・後輪、44a、44b・・・中央輪、45a、45b・・・走行モータ、46・・・カメラ装置、47・・・白色LED、48・・・アンテナ、50・・・支持台、51・・・スプリング、52・・・前輪、53・・・後輪、54a、54b・・・中央輪、55a、55b・・・回転磁石、56a、56b・・・模型制御モータ、57・・・集電子、61・・・走行体制御基板、62・・・撮影制御基板、63・・・LED制御基板、64・・・画像処理基板、65・・・画像メモリ、66・・・駆動制御基板、67・・・模型制御基板、68・・・無線LAN装置、70・・・サテライト、71・・・サテライト制御基板、72・・・脚部、73・・・メダル払出口、73a・・・メダル払出装置、74・・・テーブル部、75・・・タッチパネル式モニタ、76・・・スピーカ、77・・・メダル投入口、77a・・・メダルセンサ、78・・・ペイアウトボタン、79・・・通信装置、C・・・QRコード、M(M1〜M3)・・・マーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1走行面と、
前記第1走行面の下方に位置する第2走行面と、
前記第2走行面における走路上を走行する複数の走行体であって、それぞれが画像を撮影するための撮影手段を備える走行体と、
それぞれの前記走行体に追従して前記第1走行面を走行する複数の模型体とを備え、前記第1走行面上を複数の前記模型体が走行することでゲームが進行するゲーム装置であって、
前記第2走行面内における位置情報を記録する複数の2次元コードであって、前記第2走行面に平行な方向に延在し、前記撮影手段からの撮影が可能な情報配置面内に配置された2次元コードと、
前記撮影手段により撮影される前記2次元コードに記録された前記位置情報に基づいて前記走行体の位置を検出する位置検出手段とを更に備え、
前記2次元コードは、前記走路上における前記走行体の位置によらず、常に1つ以上の前記2次元コードが前記撮影手段の画角内に含まれるサイズ及び配列をもって配置されていることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記位置検出手段は、
前記撮影手段により撮影された撮影画像中における前記2次元コードの位置及び角度、並びに、当該2次元コードに記録された前記位置情報に基づいて、前記走行体の位置の検出を行うことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記走行体のそれぞれが、
前記位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出した前記走行体の位置に基づいて前記走行体の走行を制御する駆動制御手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記走行体が、前記撮影手段の画角内を照明するための照明手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記2次元コードは、前記走路上における前記走行体の位置によらず、常に2つ以上の前記2次元コードが前記撮影手段の画角内に含まれるサイズ及び配列をもって前記情報配置面に配置されており、
前記位置検出手段は、
前記撮影手段により撮影された撮影画像中の一の前記2次元コードに基づく前記走行体の位置検出に失敗した場合には、前記撮影画像中の他の前記2次元コードに基づく前記走行体の位置検出を実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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