説明

コインセレクタ

【課題】
本発明の第1の目的は、排除手段が排除操作された場合、確実にコインを排除できるようにしたコインセレクタを提供することである。
【解決手段】
コインが移動するコイン通路に沿って配置した真偽判別手段、当該真偽判別手段の下流に配置したキャンセル手段及び前記コイン通路に位置するコインの排除手段を含むコインセレクタにおいて、前記排除手段の排除に連動して前記キャンセル手段をキャンセル位置に移動させる連動手段を有することを特徴とするコインセレクタである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチスロ等に使用されるコインの真偽を判別するコインセレクタに関する。
詳しくは、コインのキャンセルを確実に行えるようにしたコインセレクタに関する。
さらに詳しくは、非キャンセル位置に位置するキャンセルレバをキャンセル操作に連動して強制的にキャンセル位置に移動させることができるコインセレクに関する。
なお、本発明に係るコインセレクタは、パチスロ機の他、コイン式ゲーム機や自動販売機等に使用可能である。
本明細書において、コインとは、硬貨、円盤形のメダルおよびトークン等の総称である。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、コ形基板と開閉板とで天井部に存する入口から垂直下方に延びる垂直路、この垂直路に続いて緩やかに傾斜する傾斜路とにより構成したメダル通路を有し、この傾斜路の途中に可動ガイド板を設けて小径メダルの選別部を設け、また、稼働状態でない場合若しくは受入状態にない場合に前記可動ガイド板をコインをガイドしない非ガイド位置に強制的に移動させる受付規制機構を配置し、コインをコイン通路から強制的に逸らせて返却するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
第2の従来技術として、第1従来技術における前記選別部の下流のコイン通路に選択的に突出されるブロッカを配置し、稼働状態でない場合若しくは受入状態にない場合に前記ブロッカをコイン通路に突出させてコイン通路を転動するコインをブロッカによって係止して強制的に排除するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−248210(図3−図10、段落番号0026〜0054)
【特許文献2】特開2006−296546(図3−図14、段落番号0036〜0079)
【0004】
第1従来技術及び第2従来技術とも、主に小径メダルの選別部のコイン通路におけるジャムコインの排除手段、例えば、上記開閉板を基板に対して離れるように移動させる排除手段と、装着機器が稼働状態でない場合若しくは受入状態にない場合にコインをキャンセルするキャンセル手段である受付規制機構とは、それぞれ別個に制御される。
本来、コインの排除手段が作動される場合、正規のコインであっても受け入れられないようにする意図であるので、コインを受け入れることは不適である。
しかし、第1従来技術及び第2従来技術ともコインの排除手段とキャンセル手段はそれぞれ別個に制御されるので、排除手段により排除されずに通過したコインは、キャンセル手段によってキャンセルされずに受け入れられてしまう、所謂「呑み込み」を生じる可能性がある。
呑み込みが生じた場合、本来、受入コインとしてカウントされるべきコインがカウントされずに受け入れられてしまうという問題がある。
また、コインが切れ目無く連続投入された場合、希にコインが選別部と受付規制機構との間で停止することがある。
この場合、コインはジャムしていないが、実質的にジャム状態と同一であり、従来の排除手段では排除できず、キャンセル可能にする必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、排除手段が排除操作された場合、確実にコインを排除できるようにしたコインセレクタを提供することである。
本発明の第2の目的は、排除手段が排除操作された場合、確実にコインを排除できるようにした小型のコインセレクタを提供することである。
本発明の第3の目的は、排除手段が排除操作された場合、確実にコインを排除できるようにしたコインセレクタを安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明にかかるコインセレクタは以下のように構成される。
請求項1の発明は、コインが移動するコイン通路に沿って配置した真偽判別手段、当該真偽判別手段の下流に配置したキャンセル手段及び前記コイン通路に位置するコインの排除手段を含むコインセレクタにおいて、前記排除手段の排除に連動して前記キャンセル手段をキャンセル位置に移動させる連動手段を有することを特徴とするコインセレクタである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1のコインセレクタにおいて、
前記排除手段は連動レバを有し、前記連動レバは非キャンセル位置に位置する前記キャンセル手段に係止し、前記キャンセル手段をキャンセル位置に移動させることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2のコインセレクタにおいて、前記連動レバは水平方向に伸び、かつ、ピボット軸を支軸として垂直面内において回動可能であり、前記キャンセル手段は垂立軸に取り付けられたキャンセル体であって、水平方向に回動して前記コイン通路に突出するキャンセル位置と前記コイン通路から退出する非キャンセル位置に位置可能であり、
前記連動手段は前記連動レバから前記キャンセル体に向かって伸び、前記非キャンセル位置に位置する前記キャンセル体に係止して同レバをキャンセル位置へ移動させることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、コインの厚みと同様の幅を有し、かつ、コインが転動するガイドレール、
前記ガイドレールに対し直角をなし、かつ、垂立するガイド壁、前記ガイド壁と平行に前記ガイドレールを挟んで配置される可動ガイド壁、前記ガイドレール、前記ガイド壁及び前記可動ガイド壁によって画定されるコイン通路、前記ガイド壁から前記可動ガイド壁側へ前記ガイドレール上を転動するコインに横方向から押動する逸らせ手段、及び、前記可動ガイド側に配置された固定の直径ゲージを含む真偽判別手段、前記可動ガイド壁を前記ガイド壁から離れる方向に移動させる排除手段、前記可動ガイド壁の移動と連動するコイン係止体、前記コイン通路の下流に選択的に接続されるコイン検知通路及びキャンセル通路、前記コイン通路に配置され、かつ、前記コイン通路を転動してきたコインを前記コイン検知通路若しくはキャンセル通路へ案内するキャンセル手段、を含むコインセレクタにおいて、前記連動レバは水平方向に伸び、かつ、ピボット軸を支軸として垂直面内において回動可能であり、前記キャンセル手段は垂立軸に取り付けられたキャンセル体であって、水平方向に回動して前記コイン通路に突出するキャンセル位置と前記コイン通路から退出する非キャンセル位置に位置可能であり、前記連動手段は前記連動レバから前記キャンセル体に向かって伸び、前記非キャンセル位置に位置する前記キャンセル体に係止して同レバをキャンセル位置へ移動させることを特徴とするコインセレクタである。
【発明の効果】
【0010】
この構成において、コインはコイン通路を転がり、真偽判別手段に達する。
真偽判別手段において、小径の偽貨は排除され、真正コインのみがさらにコイン通路を下流に転動し、キャンセル手段部を通って真正コインとして受け入れられる。
コインがコイン通路においてジャムした場合、排除手段が操作され、コイン通路の側面を画定する可動ガイド壁が移動され、同時に、コインは排除手段によってコイン通路から排除される。
一方、キャンセル手段は連動手段を介して排除手段の排除動作に連動して非キャンセル位置にある場合はキャンセル位置に移動される。
排除手段によって排除されなかったコインはその下流のキャンセル手段によってコイン通路から逸らされてキャンセルされる。
よって、コイン通路に位置するコインは排除手段及びキャンセル手段によって排除されることから、確実に排除され、所謂コインの呑み込みを生じない。
【0011】
請求項2の発明において、前記排除手段は連動レバを有し、前記連動レバは非キャンセル位置に位置する前記キャンセル手段を係止し、キャンセル位置へ強制的に移動させる。
換言すれば、連動レバによってキャンセル手段を非キャンセル位置からキャンセル位置へ移動させるので、極めて簡単な構成であり、安価に構成することができる。
【0012】
請求項3の発明において、前記被動レバは水平方向に伸び、かつ、ピボット軸を支軸として上下方向において回動可能であり、前記キャンセル手段は垂立軸に取り付けられたキャンセル体であって、水平方向に回動して前記コイン通路に突出するキャンセル位置と前記コイン通路から退出する非キャンセル位置に位置可能であり、前記連動手段は前記被動レバから前記キャンセル体に向かって伸び、前記非キャンセル位置に位置する前記キャンセル体に係止して当該キャンセル体をキャンセル位置へ移動させることを特徴とする。
排除手段を構成する被動レバは、コイン通路に隣接する位置においてピボット軸を支点に回動し、キャンセル手段は垂立軸を支点に回動し、被動レバから伸びる連動レバによってコイン通路に進出されるので、限られたスペース内で装置を小型化できる利点がある。
【0013】
請求項4の発明において、コインはガイドレール上をガイド壁及び可動ガイド壁によって案内されつつ下流へ向かって自重により転動する。
ガイドレール上を転動するコインは、横方向から押動する逸らせ手段によって直径ゲージへ向かって所定の力で押し付けられる。
真偽判別手段において、小径コインの上端側面は、直径ゲージによって支えられないので、側方へ押動され、排除される。
可動ガイド壁が排除動作に連動して前記ガイド壁から離れる方向に移動された場合、ガイドレール上のコインは可動ガイド壁に連動するコイン係止体によって移動され、ガイドレールから落下する。
さらに、キャンセル手段はキャンセル位置にある場合、転動してきたコインをコイン通路から逸らせてキャンセルし、コイン通路から外れている場合、コインはコイン検知通路へ進行し、真正コインとして受け入れられる。
排除手段を構成する被動レバはコイン通路に隣接する位置においてピボット軸を支点に回動し、キャンセル手段は垂立軸を支点に回動し、被動レバから伸びる連動レバによってコイン通路へ進出されるので、キャンセル手段が非キャンセル位置にあっても強制的にキャンセル位置へ移動され、コイン通路に位置するコインをキャンセルすることができる。
また、限られたスペース内で装置を小型化できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の最良の形態は、コインの厚みと同様の幅を有し、かつ、コインが転動するガイドレール、前記ガイドレールに対し直角をなし、かつ、垂立するガイド壁、前記ガイド壁と平行に前記ガイドレールを挟んで配置される可動ガイド壁、前記ガイドレール、前記ガイド壁及び前記可動ガイド壁によって画定されるコイン通路、前記ガイド壁から前記可動ガイド壁側へ前記ガイドレール上を転動するコインに横方向から押動する逸らせ手段、及び、前記可動ガイド側に配置された固定の直径ゲージを含む真偽判別手段、前記可動ガイド壁を前記ガイド壁から離れる方向に移動させる排除手段、 前記可動ガイド壁の移動と連動するコイン係止体、前記コイン通路の下流に選択的に接続されるコイン検知通路及びキャンセル通路、前記コイン通路に配置され、かつ、前記コイン通路を転動してきたコインを前記コイン検知通路若しくはキャンセル通路へ案内するキャンセル手段、を含むコインセレクタにおいて、前記排除手段は水平方向に伸び、かつ、ピボット軸を支軸として垂直面内において回動可能な被動レバを含み、前記キャンセル手段は垂立軸に取り付けられたキャンセル体であって、水平方向に回動して前記コイン通路に突出するキャンセル位置と前記コイン通路から退出する非キャンセル位置に位置可能であり、前記連動手段は前記被動レバから前記キャンセル体に向かって伸び、前記非キャンセル位置に位置する前記キャンセル体に係止してキャンセル位置へ移動させることを特徴とするコインセレクタである。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の実施例のコインセレクタの正面斜視図である。
図2は、本発明の実施例のコインセレクタの正面図である。
図3は、本発明の実施例のコインセレクタの第2本体及び第3本体を取り除いた状態の正面図である。
図4は、本発明の実施例のコインセレクタの平面図である。
図5は、本発明の実施例のコインセレクタの左側面図である。
図6は、本発明の実施例のコインセレクタの右側面図である。
図7は、本発明の実施例のコインセレクタの背面図である。
図8は、本発明の実施例のコインセレクタの分解斜視図である。
図9は、本発明の実施例のコインセレクタの第3本体の背面図である。
図10は、本発明の実施例のコインセレクタのキャンセル手段であって(A)は右側面図、(B)は上流側からの斜視図、及び(C)は下流側からの斜視図である。
図11は、図2におけるA―A断面図である。
図12は、図2におけるB―B断面図であって、(A)はコインの受入時、(B)はコインのキャンセル時である。
図13は、図2におけるC―C断面図である。
図14は、図2におけるD―D断面図である。
図15は、図1におけるE―E断面図であり、(B)は移動方向変更手段の拡大図である。
図16は、排除手段がキャンセル操作された状態図であって、(A)は平面図、(B)は左側面図、及び(C)は右側面図である。
【0016】
実施例のコインセレクタ100は、本体102、ガイドレール104、コイン通f路106、コイン通路106の中間に配置された真偽判別手段108である直径選別手段110、移動方向変更手段112、移動方向変更手段112の下流に位置するコイン検知通路114、コイン検知通路114を画定する第2本体118及びコイン検知通路114に配置されたコインセンサ116、コイン通路106におけるコインの排除手段120、コイン通路106からコイン検知通路114への移動を阻止するキャンセル手段122、シャッタ手段124及びコイン排除手段120とキャンセル手段122の連動手段125を含んでいる。
【0017】
まず、本体102を図1から図3及び図8を参照して説明する。
本体102は、コインセレクタ100を構成する部品が取り付けられ、及び、コインCの一面を案内する機能を有する。
本体102は、垂立するガイド壁126、ガイド壁126の左右端部からそれぞれ直角に折り曲げられた左側壁127及び右側壁130を含み、ガイド壁126、左側壁127及び右側壁130によって垂立方向に伸びる凹溝132を形成する。
本体102の幅及び高さは、3.5インチであり、所謂デファクトスタンダードサイズである。
左側壁127及び右側壁130から外向きに突出する突起134をゲーム機の取付溝(図示せず)に掛止めすることにより、コインセレクタ100をゲーム機に取り付ける。
【0018】
次にガイドレール104を図2及び図9を参照して説明する。
ガイドレール104は、投入口136に投入されたコインCを転動させつつ所定の方向へ案内する機能を有する。
ガイドレール104は、本体102のガイド壁126に回動自在に取り付けられた第3本体134のガイド面128から本体102のガイド壁126に向かってコインCの厚みよりも僅かに多く突出し、ほぼ垂立した上部レール104U及び図2、3において斜め右方、図9において斜め左方へ湾曲する湾曲部104Cから構成される。
ガイドレール104は、耐摩耗性を有する材料により第3本体134と一体に成形することができるが、実施例のように金属板ガイドレール130によって構成し、耐摩耗性を向上させることが好ましい。
【0019】
次に第3本体134を図3、8及び図9を参照して説明する。
第3本体134は、コイン通路106の一面を画定し、かつ、ガイドレール104が設けられ、さらに、コイン通路106においてジャムしたコインCをキャンセル可能にする機能を有する。
第3本体134は、ガイド壁126の上端部において横方向に突出する軸受136及び右側壁130からガイド壁126と平行に突出する第1軸138及び第2軸142が第3本体134に形成した第1軸穴144、及び第2軸穴146にそれぞれ挿入されている。
第1軸138及び第2軸142は、図3において左上がりに傾斜する同一軸線L1上に形成されている。
これにより第3本体134は、図11に示すようにガイド壁126に対し平行なガイド位置GP及び下端部がガイド壁126から離れる所定角度回動したキャンセル位置CPの間を回動可能に取り付けられている。
【0020】
第3本体134を本体102に装着する場合、第3本体134を本体102に対して左側壁127の上端の傾斜縁131に沿って斜めに保持し、第1軸138を第1軸穴144に、第2軸142を第2軸孔146に挿入し、横方向(図8において右方向)にずらして各軸に装着した後、ガイド壁126に向けて回動させる。
これにより、第3本体134は、第1軸138と軸穴144に形成された嵌合部(図示せず)が嵌り合い、当該嵌合を解除することができない。
さらに、第3本体134は、ガイド壁126の背面に突出する円筒148内に配置されたスプリング(図示せず)により押されるプッシャ(図示せず)により第2軸穴146の側方の被動斜面150に軸回りのモーメントを受け、ガイド壁126に向かう所定力の付勢力を受ける。
換言すれば、第3本体134は、ガイド壁126に近づくよう弾性的に回動力を受けている。
第3本体134の中央には、コイン通路106に沿って弧状の落下開口152が形成されている。
第3本体134は、左側壁127側の下端部から横方向へ伸び、ガイド壁126の貫通孔151から突出する被動片153が設けられ、ガイド壁126の背面側からガイド壁126側へ後述する排除手段120により押されることにより、第1軸138及び第2軸142を支点に回動され、キャンセル位置CPへ移動可能である(図11において時計方向)。
これにより、ガイドレール104の端面がガイド壁126からコインCの厚み以上離れ、かつ、ガイドレール104が下向きに傾斜するため、コイン通路106において転動出来なくなったコインCはガイドレール104から落下し、リジェクトされる。
リジェクトされたコインCは、凹溝132内の後述のリジェクト通路185を垂直下方向へ落下してリジェクトされる。
【0021】
次にコイン通f路106を図3を参照して説明する。
コイン通路106は、投入口136に投入されたコインCがガイドレール104上を転動して移動方向変更手段112へ案内される機能を有する。
コイン通路106は、ガイド壁126の表面の案内面154、ガイドレール104、第3本体134のガイド面128及び直径選別体156によって画定された断面矩形であって、図2、3において右方へ湾曲する通路であり、第1平面P1(図11、12)内に位置する。
直径選別体156は、所謂直径ゲージを構成する。
案内面154は、コインCの一面を案内する機能を有し、ガイドレール104に沿ってガイド壁126の上部左側に形成され、僅かに垂下した後、図4において右方向へ湾曲し、コインCの転動方向に伸びる複数の突条が形成される。
直径選別体156は、図9に示すように位置決め孔162を第3本体134から突出する位置決めピン163に嵌め合わせ、スクリュウ165によって第3本体134に固定されている。
第3本体134に相対してガイド壁126の上端部から凹溝132内へ向かって突出する取付台159が形成されている(図3参照)。
直径選別体156は、その案内面160がガイド壁126と平行な第3本体134のガイド面128と同一の平面内に位置するよう、かつ、その弧状案内縁164がガイドレール104と相似形に形成され、ガイドレール104と所定の間隔に設定されている。
換言すれば、真正コインCがガイドレール104上を転動する場合、真正コインCの上端部側面は直径選別体156の案内面160に案内され、小径の偽コインSCは、案内面160に案内されず、ガイド面128の端部と弧状案内縁164の間の落下開口152から落下可能である。
よって、ガイド面128及び案内面160は可動ガイド壁を構成する。
【0022】
なお、案内面154には、コインCの移動方向に閉口に伸びる複数の突条を形成し、コインCの移動抵抗を減少させることが好ましい。
ガイド面128及び案内面160にもコインの移動方向に延びる突条を形成することが出来る。
異なる直径のコインCが使用される場合、直径選別体156の弧状案内縁164とガイドレール104との間の距離が異なる直径選別体156に交換される。
直径選別体156は、コインが擦ることから、金属板等耐摩耗性を有する材料で作ることが好ましい。
【0023】
次に直径選別手段110を図2、3、7及び図11を参照して説明する。
直径選別手段110は、コイン通路106を転動する小径の偽コインSCをリジェクトする機能を有する。
直径選別手段110は、逸らせ手段170である逸らせ体172及び第1付勢手段174を含んでいる。
逸らせ体172は、上端の軸178の両端がガイド壁126の背面の上端部に設けた第3軸受176L及び第4軸受176Rに回転自在に取り付けられている(図7参照)。
逸らせ体172は、板状であって、ガイド壁126の弧状開口180を通って直径選別体156の弧状案内縁164よりも僅かにガイドレール104に近いコイン通路106に進退可能であり、コイン通路106の曲率に合わせて湾曲している。
図2に示すように、逸らせ体172によって直径選別体156に近い小径偽コインSCの上端側面を横方向に押すことにより、偽小径コインSCを速やかにコイン通路106から排除することができる。
逸らせ体172の先端172T(図6参照)はコイン通路106に対し傾斜しているので、逸らせ体172がコイン通路106に位置する場合、投入口136から投入されたコインCは横方向に案内され、コイン通路106から押し出される力を受ける。
逸らせ体172のガイド壁126の裏面側には第1付勢手段174としての第1錘182が取り付けられ、逸らせ体172は、軸178を支点に図11において所定の力で時計方向のモーメントを受ける。
【0024】
これにより、通常、逸らせ体172は所定のモーメントでコイン通路106に突出している。
よって、真正コインCがガイドレール104に沿って転動した場合、その上端側面は直径選別体156の案内面160及び第3本体134のガイド面128によって案内されるため、コイン通路106を移動する。
小径の偽コインSCがガイドレール104上を転動した場合、その上端側面は直径選別体156の案内面160に案内されないので、落下開口152へ倒され、ガイドレール104から落下させられ、リジェクト通路185を通ってリジェクトされる。
第1付勢体174は、逸らせ体172に付勢力を与えればよいので、錘に代えてスプリングを用いることができる。
しかし、錘を用いた場合、個々のバラツキが小さいため、品質の安定のため好ましい。
【0025】
次に移動方向変更手段112を図1、図3及び図10を参照して説明する。
移動方向変更手段112は、コイン通路106の下流に配置され、かつ、コイン通路106に対し異なる方向にコインCの移動方向を変更する機能を有する。
本実施例において、移動方向変更手段112によってコインCはコイン通路106に対しオフセット配置されているコイン検知通路114に案内される(図15参照)。
コイン検知通路114は、後述するように、コイン通路106に対し後方(ガイド壁126の裏面側)にオフセットされ、さらに、コイン通路106に対し斜めに傾斜する第2平面P2(図12参照)内に位置している。
【0026】
移動方向変更手段112は、案内体186を含んでいる。
図15に示すように、案内体186はほぼ水平をなす細長矩形の案内板186Tとほぼ垂直な受動片186Pとにより断面L形に形成され、案内板186Tはガイドレール104の延長線上に傾斜配置され、図2において右下がりに傾斜し、さらに、前面側端部の一端は軸受(図示せず)を介してピボット軸である支持軸192に回転自在に取り付けられている。
支持軸192は、ガイド壁126から横方向へ突出する第5軸受194及び右側壁130の近くから突出する第6軸受196に取り付けられている(図3参照)。
この支持軸192は、図12に示すように、平面視、コイン通路106に対し鈍角をなしている。
案内体186の支持軸192の反対側において下方へ延びる受動片186Pに第2付勢体198である第2錘202が固定されている。
これにより、案内体186は図15(B)において支持軸192回りに反時計回りのモーメントを受け、受動片186Pの裏面が第2本体118に形成したストッパ197によって回転を阻止され、案内板186Tの上面がガイドレール104の延長上に位置する待機位置SP1に保持される。
第2付勢体198もスプリング等他の付勢手段に変更できるが、個々のバラツキが少ないため、錘を用いることが好ましい。
図15に示すように案内板186Tの先端は、下向きの丸みを付され、角形鋸歯204に形成され、待機位置SP1に位置する場合、ガイド壁126との間に真正コインCの厚みよりも小さい隙間を形成するよう設定されている。
よって、案内板186tが待機位置SP1に位置する場合、コインCはコイン検知通路114へ通過することができない。
この隙間を形成することにより、案内体186が円滑に回動するようにしている。
【0027】
コイン通路106を転動したコインCが案内板186T上に載った場合、案内体186はコインCの重量によって図15において時計方向へ回動され、下向きに傾斜する。
案内体186が下向きに傾斜した場合、案内板186Tの先端とガイド壁126との距離は真正コインCの厚みよりも大きく離れることができる。
これにより、コインCは案内板186T上を滑り、コイン検知通路114に落下する。
また、案内板186Tはコイン通路106に対して鈍角をなしていることから、コインCは案内板186Tに対し鈍角で衝突する。
よって、案内板186Tは下向きに傾斜することにより、コインCに対しつま先上がりの傾斜を呈するので、案内板186TはコインCの重量のみならず、コインCの移動によっても下向きに傾斜させられる。
これらにより、コインCはコイン検知通路114へスムーズに移動することができる。
さらに、コインCは傾斜する案内板186Tによってガイド壁126側へ、換言すれば、横方向へスライドされる。
これによって、後続のコインCが連なっていても、移動方向変更手段112においてジャムすることなく移動することができる。
【0028】
次にコイン検知通路114を図3及び8を参照して説明する。
コイン検知通路114は、移動方向変更手段112によって移動方向を変更された真正コインCを所定方向に案内する機能を有し、さらに、当該コイン検知用のコインセンサ116が配置される。
コイン検知通路114は、コイン通路106の下流に配置され、コイン通路106とは異なるほぼ垂立する平面に配置される。
換言すれば、コイン検知通路114は、コイン通路106に対しガイド壁126側にオフセットしたほぼ垂立する第2平面P2内に配置される(図12参照)。
本実施例において図12に示すようにコイン検知通路114はコイン通路106に対し傾斜するほぼ垂立する第2平面内P2に配置されている。
移動方向変更手段112は、コイン検知通路114の上端部に配置されている。
コイン検知通路114は、検知通路ガイド壁210、検知通路ガイド壁210から横方向に突出する弧状の検知部ガイドレール212、及び第2本体118の内面213によって画定され、図3に示すように右側下方に向かって湾曲し、下流端は右側壁130にほぼ垂直に開口した縦長スリット形の出口214である。
検知通路ガイド壁210は、後述のコインセンサ116を通過するまで、コイン通路106に対して傾斜する第2平面P2内に位置し、後述のシャッタ手段124の直前においてコイン通路106の案内面154と同一平面内に位置するよう形成してある。
なお、コイン検知通路114は、コイン通路106に対し傾斜させず、平行にすることもできる。
【0029】
次にコインセンサ116を図3及び図8を参照して説明する。
コインセンサ116は、コイン検知通路114を転動する真正コインCを検知する機能を有する。
コインセンサ116は、透過式光電センサ、反射式光電センサ、磁気センサ、及び、接触センサ等使用することができ、複数配置することが好ましい。
検知信号の出力順等を判別することにより、投入口136若しくはリジェクト通路185から挿入した不正用器具挿入による不正を判別できるからである。
コインセンサ116は、透過式光電センサ216及び磁気センサ218の異なる方式の複数のセンサにより構成されている。
異なる方式のセンサを用いた場合、不正を行うには異なるセンサに対応して誤検知を生じるよう行わねばならないため、不正を一層困難にする利点がある。
上流側に配置された透過式光電センサ216は、コイン検知通路114を挟んで投光部と受光部とが配置されている。
下流側に隣接配置された磁気センサ218は、コイン検知通路114を挟んでコイルが配置されている。
案内板186Tが糸吊りしたコインCによって引き上げられ、受動片186Pがストッパ197によって係止され、かつ、ガイドレール104の延長上の待機位置SP1において進行が停止された場合、透過式光電センサ216及び磁気センサ218がコインCの検知状態を維持する位置関係に配置されている。
これにより、光電センサ216及び磁気センサ218が同時に所定時間以上検知信号を出力する場合、異常であることを検知できる。
【0030】
次にキャンセル手段122を図3、10及び12を参照して説明する。
キャンセル手段122は、真偽判別手段108を通過した真正コインCをコイン検知通路114ではなく、キャンセル通路230へ進行するよう案内する機能を有する。
キャンセル通路230は、図15において案内体186よりも左側の上下方向に伸びる開放通路である。
キャンセル手段122は、キャンセル片222及び電磁アクチュエータ224を含んでいる。
キャンセル片222は、ほぼ水平面内で往復回動し、案内体186の上方のコイン通路106に進退自在であり、適宜励磁される電磁アクチュエータ224であるロータリーソレノイド226の垂立軸たる出力軸228に固定されている。
出力軸228は、図7に示すように垂線に対して傾斜しているが、本発明においてこの程度は、垂立の範囲である。
本実施例においてキャンセル片222は上キャンセル片222Aと下キャンセル片222Bに分離して形成されているが、一方のみでも可能である。
ロータリーソレノイド226が消磁されている場合、キャンセル片222は、バネ299により図12において時計方向に回動される。
これにより、キャンセル片222に一体に形成された突起252がガイド壁126の裏面に当接してキャンセル片222A、222Bの案内縁254A、254Bがコイン通路106を横断するキャンセル位置CP2(図12B参照)に保持される。
よって、ガイドレール104上を転動してきたコインCは、案内縁254A、254Bによって横方向へ逸らされ、案内体186上からキャンセル通路230へ落下される。
このとき、案内体186上にコインCが乗るが、コインCは案内体186に乗る前から案内縁254によって案内体186の支持軸192側へ逸らされることにより、案内体186がそのモーメントに反して回動されることはなく、案内板186Tは待機位置SP1を保持する。
よって、コインCは案内体186上からキャンセル通路230へ落下し、キャンセルされる。
【0031】
次に移動方向変更部案内体260を図3、10及び12を参照して説明する。
移動方向変更部案内体260は、コインCが案内板186T上で横方向へスライドする際、不安定になり、キャンセル通路230へ落下するのを防止する機能を有する。
本実施例において、キャンセル片222の中間から上方へ垂直に伸びるステ257の上端の軸258に倒立L形部材259の水平部端部が回動自在に取り付けられ、当該水平部から下方へ延びる垂立部が移動方向変更部案内体260である。
移動方向変更部案内体260は、案内体186の上方のキャンセル片222に対しコイン通路106を挟んだ側方のキャンセル片222の最上流部に相対して配置されている。
倒立L形部材259は、図10(A)において反時計方向の自己モーメントを有し、一体の第1ストッパ259Aがステ257の表面に当接することによりキャンセル片222に近づく方向の回動が阻止され、コイン通路106と平行する位置に保持され、第2ストッパ259Bがステ257の背面に当接することによりキャンセル片222から離れる方向の回動が阻止される。
移動方向変更部案内体260がキャンセル片222から離れる方向に移動した場合、コインCを案内体186から落下させ易いためである。
キャンセル片222が非キャンセル位置である待機位置SP2に位置する場合、移動方向変更部案内体260はコイン通路106の隣接した側方に位置し、コインCが案内体186から落下しないよう案内する(図12(A)参照)。
待機位置SP2は、キャンセル片222の背面が連動手段125に係止されることにより保持される。
キャンセル片222がキャンセル位置CP2に位置する場合、移動方向変更部案内体260はコイン通路106から離れ、案内体186上から落下するコインCを邪魔しない(図12(B)参照)。
【0032】
次にシャッタ手段124を図2、3、8、13及び14を参照し説明する。
シャッタ手段124は、出口214からコイン検知通路114への不正用器具の挿入を阻止する機能を有する。
本実施例のシャッタ手段124は、シャッタ体262を含んでいる。
シャッタ体262は、平面視クランク形の板状(図14参照)であって、コインセンサ116と出口214との間のコイン検知通路114に進退可能である。
シャッタ体262は、図13に示すように、第2本体118の表側に突出する第7軸受264及び第8軸受266に回転自在に取り付けられている。
第7軸受264は、下向きの円錐形穴であって、シャッタ体262の端部上端部に形成された錐形軸272が回動自在に挿入されている。
第8軸受266は、円錐形穴であって、シャッタ体262の端部下端部に形成された円錐形軸が回転自在に嵌め合わされている。
第8軸受268の円錐穴の円錐角度が円錐形軸の円錐角度よりも大さく形成され、シャッタ体262の回転抵抗がより小さくなるように形成されている。
第7軸受264と第8軸受286の軸線は、図2に示すように同一軸線上に配置され、正面視コイン検知通路114の伸長方向、換言すれば、コインCの転動方向に対し直角をなすよう配置されている。
【0033】
よって、シャッタ体262は図2に示すように本体102に対し斜めに取り付けられ、その重心位置により軸線回りにモーメントを受ける。
シャッタ体262は、自己モーメントにより図14において反時計方向に回転するよう設定されている。
換言すれば、通常、シャッタ体262の先端262Tはコイン検知通路壁210側に回転し、コイン検知通路壁210に形成された受入溝268の底に所定の力で接している。
このとき、先端262Tはコイン検知通路114においてコインの移動方向の下流側に向かって傾斜している。
これにより、コインCがコイン検知通路114を転動する場合、シャッタ体262の先端262Tは転動するコインCにより押されて図14において時計方向へ回動され、コインCは出口214へ移動することができる。
このとき、コインCによってシャッタ体262は回動軸線に対し直交方向から回転力を受けるので、スムーズに回転することができる。
よって、コインCはコイン検知通路114においてジャムすることなくシャッタ体262部を通過する。
出口214から不正用器具を挿入した場合、シャッタ体262は斜面を押され、図14において反時計方向へ押されるから、シャッタ体262の先端262Tは一層大きな力で受入溝268に押し付けられ、それ以上の進行を阻止される。
換言すれば、シャッタ体262はコイン検知通路114の遮蔽位置を継続する。
よって、出口214から挿入した器具によってコインセンサ116に不正が行われることはない。
【0034】
次にコイン排除手段120を図4、5、7及び8を参照して説明する。
コイン排除手段120は、コイン通路106においてジャムしたコインをコイン通路106から排除する機能を有し、ガイド壁126に隣接して伸び、かつ、下面の軸受272A、272Bがピボット軸である軸178に回動自在に取り付けられた板状の被動レバ274、被動レバ274から下方へ伸びる押動レバ276及び直径選別体156よりなり、第3本体134をキャンセル位置CPへ移動させる機能を有する。
なお、一層確実にコインCをコイン通路106から排除するため、直径選別体156と一体に形成されたコイン係止体である移動フック278を備えることが好ましい。
被動レバ274は、その下端部が被動片153の先端に相対し、待機状態において、自己モーメントにより図5における上下方向において反時計方向へ回動され、被動片153の先端に係止され、ほぼ水平状態の待機位置SP3に保持される。
ゲーム機のキャンセルレバ(図示せず)がキャンセル操作された場合、被動レバ274の端部が押し下げられ、図5において反時計方向へ回動され、図17(B)の状態まで回動される。
これにより、押動レバ276が被動片153を押動するので第3本体134が図17(B、C)に示すように回動され、キャンセル位置CP位置する。
【0035】
移動フック278は、倒立チャンネル形であってコイン通過溝282を有し、第3本体134が待機位置SP3に位置する場合、コイン通路106の上端部を囲うよう位置される。
コイン通路106を転動する真正コインCの上端部は、このコイン通過溝282を通って案内板186上に達する。
コインCがコイン通路106においてジャムし、転動しなくなった場合、第3本体134が図17(B、C)のように回動され、キャンセル位置CPに位置した場合、コインCの上端部が移動フック278によって案内面154から強制的に離され、結果としてガイドレール104から落下させられる。
【0036】
次に連動手段125を説明する。
連動手段125は、コイン排除手段120がコインの排除操作をされた場合、この排除操作に連動してキャンセル手段122、したがって、キャンセル片222が待機位置SP2に位置する場合であってもキャンセル位置CP2へ移動させる機能を有する。
連動手段125は、被動レバ274から下方に延び、下端部がキャンセル片222の背面の被動突起282の側方に位置する連動レバ284である。
連動レバ284は被動レバ274と一体に樹脂にて成形され、弾性変形可能に構成されている。
無理な力が作用しても弾性変形により破損等を回避するためである。
被動レバ274が待機位置SP3に位置する場合、連動レバ284の下端部は被動突起282に相対している。
ロータリーソレノイド226が励磁された場合、キャンセル片222は図12において反時計方向へ回動され、案内縁254A、254Bがコイン通路106から退避した位置において突起252がガイド壁126の裏面に阻止されて回動を停止される。
この退避位置にキャンセル片222が位置する場合において、コイン排除手段120が排除操作された場合、換言すれば、被動レバ274が図5において反時計方向へ回動され、図17(B)の位置に回動された場合、連動レバ274の下端は被動突起282を押すのでキャンセル片222はロータリーソレノイド226の回動力に反してガイド壁126側へ回動され、キャンセル位置CP2へ移動される。
突起252がガイド壁126の裏面に移動を阻止された以降は、連動レバ274が弾性変形し、キャンセル片222に過負荷が加わらない。
【0037】
次に実施例の作用を説明する。
コインセレクタ100が装着されたゲーム機等がコインCの受入状態にない場合、ロータリーソレノイド226が消磁されているので、キャンセル片222がスプリング229により回動され、図12(B)に示すように、コイン通路106に進出したキャンセル位置CP2に保持されている。
【0038】
真正コインCが投入口136に投入された場合、コインCは案内面154、第3本体134のガイド面128及び直径選別体156の案内面160によって両側面を案内されつつガイドレール104上を転動し、キャンセル片222に達する。
コインCは案内板186T上に乗る前からコイン通路106を横断するキャンセル片222A、222Bの案内縁254A、254Bに案内されて案内板186Tの支持軸192側に逸らされ、キャンセル通路230へ落下させられる。
【0039】
次に、コインセレクタ100がコインCの受入状態にある場合を説明する。
換言すれば、図12(A)に示すように、ロータリーソレノイド226が励磁され、キャンセル片222がコイン通路106から退出している状態である。
まず、真正コインCが投入されたケースを説明する。
真正コインCは、ガイドレール104上を転動し、真偽判別部110に達する。
真偽判別部108である直径選別手段110において、真正コインCはコイン通路106を横断する逸らせ体172の先端172Tによって横方向へ逸らされる。
しかし、真正コインCの上端部側面は直径選別体156の案内面160によって、下端部側面は第3本体134のガイド面128によって案内されるので、コインCは真偽判別部110を落下することなく通過し、案内体186に達する。
案内体186は、案内板186T上に乗った真正コインCによって図15において支持軸192の時計回りにモーメントを受け、回動する。
これにより、案内板186Tは真正コインCの重量及びコインCの衝突によって生じるモーメントにより、図15において時計方向へ回動される。
よって、真正コインCは案内体186上を滑ってコイン通路106に対し横方向にオフセット配置されているコイン検知通路114に移動し、検知部ガイドレール212上を転動する。
検知部ガイドレール212上を転動するコインCは光電センサ216の透過光を遮断するので光電センサ216は検知信号を出力し、直後に磁気センサ218も金属製のコインを検知して検知信号を出力する。
これら検知信号は、真正コインCのカウント等に用いられる。
さらに、真正コインCはシャッタ体262を押して図14において時計方向へ回動させてシャッタ手段124を通過し、出口214からゲーム機に取り込まれる。
【0040】
次に小径偽コインSCが投入された場合を説明する。
真偽判別部110において、小径偽コインSCの上端側面は直径選別体156によって案内されない。
よって、逸らせ体172の横方向からの押し力によって、小径偽コインCの上端部は落下開口152へ押し出されるので、コインCは側転してガイドレール104からリジェクト通路185へ落下し、リジェクトされる。
【0041】
次に大径偽コインが投入された場合を説明する。
大径偽コインは、取付台159の周縁とガイドレール104との間に挟まり、コイン通路106を転動できない。
この場合、排除手段120が排除操作される。
すなわち、ゲーム機のキャンセルレバの操作により被動レバ274が図15において時計方向に回動され、図17(B)の位置へ回動される。
これにより、押動レバ276の下端は被動片153を押動し、第3本体134を軸線L1回りに回動させてキャンセル位置CPへ回動させる(図11、16(B、C参照)。
これにより、第3本体134のガイドレール104の端面と案内面154との間にはコインCの厚み以上の間隔が形成され、かつ、ガイドレール104の上面が下向きに傾斜し、さらに、移動フック278がコインCの上部を案内面154から離すので、動けなくなったコインCがガイドレール104からリジェクト通路185へ落下し、リジェクトされる。
この時、ロータリーソレノイド226が継続励磁されている場合であっても、被動レバの回動によって連動レバ284が被動突起282を押し、キャンセル片222をキャンセル位置CP2へ強制的に移動させる。
これにより、案内体186上に達したコインCはキャンセル片222によって案内体186上から押しやられてキャンセル通路230へ落下させられる。
よって、排除手段120が排除操作された場合、コインCがコイン検知通路114へ移動することはない。
【0042】
次に不正用器具を投入口136に挿入した場合を説明する。
不正用器具をコイン通路106に沿わせて挿入した場合であっても、コイン通路106に対しオフセット配置された異なる平面P2に位置するコイン検知通路114に進行させる必要がある。
しかし、オフセットされたコイン検知通路114へ狭い範囲で不正用器具を進行させるには、不正用器具が大きな柔軟性を有していなければならず、極めて困難であり、実質的にコイン検知通路114へ進行させることは出来ない。
よって、投入口136から挿入した不正用器具によってコインセンサ116に不正を行うことはできない。
また、真正コインCに紐を結びつけ、コインセンサ116をON、OFFさせようとしても、コインCを引き上げた場合、コインCは案内体186に係止され、案内体186を図15において反時計回りに回動させる。
これにより、案内体186はガイドレール104の延長上の待機位置SP1まで回動可能である。
よって、コインCは前述のように光電センサ216及び磁気センサ218により所定時間以上検知され続けるので、コインCの糸吊りを検知し、警報等を発することができるので、糸吊りによる不正を行うことが出来ない。
【0043】
次に不正用器具を出口214に挿入したケースを説明する。
不正用器具を出口214に挿入した場合、シャッタ体262の先端262Tは器具によって図14において反時計方向へおされるので、先端が受入溝268の底部に押し付けられ、コイン検知通路114の遮蔽状態は継続される。
よって、出口214に挿入した不正用器具によってコインセンサ116に不正を行うことはできない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明の実施例のコインセレクタの正面斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例のコインセレクタの正面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例のコインセレクタの第2本体及び第3本体を取り除いた状態の正面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例のコインセレクタの平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例のコインセレクタの左側面図である。
【図6】図6は、本発明の実施例のコインセレクタの右側面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例のコインセレクタの背面図である。
【図8】図8は、本発明の実施例のコインセレクタの分解斜視図である。
【図9】図9は、本発明の実施例のコインセレクタの第3本体の背面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例のコインセレクタのキャンセル手段であって(A)は右側面図、(B)は上流側からの斜視図、及び(C)は下流側からの斜視図である。
【図11】図11は、図2におけるA―A断面図である。
【図12】図12は、図2におけるB―B断面図であって、(A)はコインの受入時、(B)はコインのキャンセル時である。
【図13】図13は、図2におけるC―C断面図である。
【図14】図14は、図2におけるD―D断面図である。
【図15】図15は、図1におけるE―E断面図であり、(B)は移動方向変更手段の拡大図である。
【図16】図16は、排除手段がキャンセル操作された状態図であって、(A)は平面図、(B)は左側面図、及び(C)は右側面図である。
【符号の説明】
【0045】
C コイン
CP2 キャンセル位置
SP2 非キャンセル位置
104 ガイドレール
106 コイン通路
108 真偽判別手段
114 コイン検知通路
120 排除手段
122 キャンセル手段
125 連動手段
126 ガイド壁
128、160 可動ガイド壁
170 逸らせ手段
178 支軸
230 キャンセル通路
228 垂立軸
274 被動レバ
278 コイン係止体
284 連動レバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイン(C)が移動するコイン通路(106)に沿って配置した真偽判別手段(108)、当該真偽判別手段の下流に配置したキャンセル手段(122)及び前記コイン通路に位置するコインの排除手段(120)を含むコインセレクタにおいて、
前記排除手段の排除に連動して前記キャンセル手段をキャンセル位置に移動させる連動手段(125)を有することを特徴とするコインセレクタ。
【請求項2】
請求項1のコインセレクタにおいて、
前記排除手段は連動レバ(284)を有し、前記連動レバは非キャンセル位置に位置する前記キャンセル手段に係止し、前記キャンセル手段をキャンセル位置に移動させることを特徴とする。
【請求項3】
請求項2のコインセレクタにおいて、
前記被動レバ(274)は水平方向に伸び、かつ、ピボット軸を支軸(178)として上下方向において回動可能であり、前記キャンセル手段は垂立軸(228)に取り付けられたキャンセル体であって、水平方向に回動して前記コイン通路に突出するキャンセル位置(CP2)と前記コイン通路から退出する非キャンセル位置(SP2)に位置可能であり、前記連動手段は前記被動レバから前記キャンセル体に向かって伸び、前記非キャンセル位置に位置する前記キャンセル体に係止して当該キャンセル体をキャンセル位置へ移動させることを特徴とする。
【請求項4】
コインの厚みと同様の幅を有し、かつ、コインが転動するガイドレール(104)、
前記ガイドレールに対し直角をなし、かつ、垂立するガイド壁(126)、
前記ガイド壁と平行に前記ガイドレールを挟んで配置される可動ガイド壁(128、160)、
前記ガイドレール、前記ガイド壁及び前記可動ガイド壁によって画定されるコイン通路(106)、
前記ガイド壁から前記可動ガイド壁側へ前記ガイドレール上を転動するコインに横方向から押動する逸らせ手段(170)、及び、前記可動ガイド側に配置された固定の直径ゲージを含む真偽判別手段(108)、
前記可動ガイド壁を前記ガイド壁から離れる方向に移動させる排除手段(120)、
前記可動ガイド壁の移動と連動するコイン係止体(278)、
前記コイン通路の下流に選択的に接続されるコイン検知通路(114)及びキャンセル通路(230)、
前記コイン通路に配置され、かつ、前記コイン通路を転動してきたコインを前記コイン検知通路若しくはキャンセル通路へ案内するキャンセル手段(122)、
を含むコインセレクタにおいて、
前記排除手段は水平方向に伸び、かつ、ピボット軸を支軸として前記ガイド壁に隣接する位置において回動可能であり、
前記キャンセル手段は垂立軸に取り付けられたキャンセル体であって、水平方向に回動して前記コイン通路に突出するキャンセル位置と前記コイン通路から退出する非キャンセル位置に位置可能であり、
前記連動手段は前記被動レバから前記キャンセル体に向かって伸び、前記非キャンセル位置に位置する前記キャンセル体に係止して同レバをキャンセル位置へ移動させ連動レバを含んでいることを特徴とするコインセレクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−198106(P2008−198106A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35133(P2007−35133)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】