説明

コイン状部材の移送装置並びにこの移送装置を組み込んだコイン状部材使用機器

【課題】ゲーム機で使用するメダルの払い出し機や、駐車場の駐車料金精算機のつり銭の払い出し装置や、駐車料金を精算するために投入するメダルの払い出し機等の機器に適用可能なコイン状部材の移送装置を提供するものであり、駆動機構を少なくしてコスト低減が図れると共に、小型化に適した移送装置を提供する。
【解決手段】送出装置から送出される倒伏状態のコイン状部材を起立状態に姿勢転換してリフト装置の下部へ導入する姿勢転換部は、倒伏状態で進入するコイン状部材が左右の作用面によって水平方向軸を中心として回転しつつ起立状態で出口部からリフト装置の下部へ導入され、リフト装置はコイン状部材が起立した一列配置状態で上方へ移送され、送出装置から送出されるコイン状部材が押す作用力によって、コイン状部材が姿勢転換部を通ってリフト装置内のコイン状部材を押し上げる関係である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容部のコイン状部材が送出ロータの回転によって1枚ずつ送出部へ送出され、送出されるコイン状部材をリフト装置によって所定の場所へ移送するよう構成されたコイン状部材移送装置、並びにこのコイン状部材移送装置を組み込んだコイン状部材使用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術として、遊技機10に併設したメダル貸機20a内にメダル搬送装置20を組み込んだものがあり、メダル搬送装置20は、メダルを1枚ずつ倒伏姿勢にして送り出す送出機構30と、送出機構30から送られるメダルを倒伏姿勢から起立姿勢にする起立機構40と、起立機構40から送られるメダルを起立姿勢に維持しながらメダルを揚送して投入口に直接投入する揚送機構50とを備えている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−110775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この特許文献1のものは、駆動機構60のモータの駆動によって、それぞれ関連づけた複数の歯車を介して、揚送機構50のスクリュー部材54と、送出機構30の送り部材35と、起立機構40の羽根部材44を回転させるものであり、これらを同期回転させるためにモータの駆動を伝達す歯車機構が多くなり、コストが高く小型化し難い問題がある。
【0004】
本出願は、リフト装置によってメダルやコイン等のコイン状部材を上方へ移送して所定場所へ搬送するための移送装置に関するものであり、リフト装置内にコイン状部材が溜まった状態で待機し、駆動指令によってそのコイン状部材を順次移送して、所期の機能が達成できる機器に適用するものである。この機器として、所定のゲームセンター等に設置されるゲーム機で使用するメダルの払い出し機や、駐車場の駐車料金精算機のつり銭の払い出し装置や、駐車料金を精算するために投入するメダルを駐車場に入場した際に受け取る駐車メダルの払い出し機等がある。本発明は、それらの機器に適するコイン状部材の移送装置を提供するものであり、その場合、駆動機構を少なくしてコスト低減を図ると共に、小型化に適した移送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明のコイン状部材の移送装置は、複数の分離孔を形成してコイン状部材の収容部の底部に配置した送出ロータの回転によって前記収容部のコイン状部材を倒伏状態で1枚ずつ送出部へ送出する送出装置と、コイン状部材を起立状態で一列に上方へ移送するリフト装置と、前記送出装置から送出される倒伏状態のコイン状部材を起立状態に姿勢転換して前記リフト装置の下部の入口部へ導入する姿勢転換部を備えたコイン状部材の移送装置であって、前記姿勢転換部は、倒伏状態で進入するコイン状部材が左右の作用面に沿って移動することによって水平方向軸を中心として回転しつつ起立状態で出口部から前記リフト装置の下部の入口部へ導入される構成であり、前記リフト装置は、コイン状部材が起立した一列配置状態で上方へ移送される構成であり、前記送出装置から送出される先行コイン状部材を後続送出のコイン状部材によって押す作用力によって、コイン状部材が前記姿勢転換部を順次通って前記リフト装置内のコイン状部材を押し上げる関係であることを特徴とする。
【0006】
第2発明は、第1発明のコイン状部材の移送装置において、前記リフト装置の下部の入口部は前記姿勢転換部の出口部へ連通するよう横向きに開口した曲線のコーナ部を備え、このコーナ部の外側通路面にここを移動するコイン状部材に当接して回転する回転ローラを設けたことを特徴とする。
【0007】
第3発明は、前記リフト装置の上部出口部から機器の前面に設けたコイン状部材の払い出し口へコイン状部材を導入する構成でもって、第1発明又は第2発明のコイン状部材の移送装置が機器内に組み込まれたコイン状部材使用機器である。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明では、送出装置から送出される倒伏状態のコイン状部材は、姿勢転換部によって起立状態に姿勢転換してリフト装置の下部の入口部へ導入される。そして、リフト装置内では、コイン状部材が起立した一列配置状態で上方へ移送される構成である。この場合、コイン状部材が姿勢転換部を通ってリフト装置内を上方へ移動するための作用力は、送出装置から送出される先行コイン状部材を後続送出のコイン状部材によって押す作用力であるため、姿勢転換部とリフト装置には、コイン状部材を移送するための駆動装置が不要となり、駆動機構を少なくしてコスト低減が図れると共に、小型化に適した移送装置が提供できるものとなる。
【0009】
第2の発明では、第1の発明の効果に加えて、立て方向設置のリフト装置に対して姿勢転換部が横向きであるため、リフト装置の下部の入口部は姿勢転換部の出口部へ連通するよう横向きに開口した状態となる。送出装置からは高速で連続してコイン状部材が送出されるため、このコーナ部でのコイン状部材の移動抵抗が問題となり、この抵抗を少なくすることが必要である。このため、このコーナ部の外側通路面に回転ローラを設けることによって、姿勢転換部から高速で進入するコイン状部材も、極めてスムースに移動できることとなり、高速で連続してコイン状部材を上昇移送する装置として好適となる。
【0010】
第3の発明では、第1の発明及び第2の発明の効果を備えた移送装置は、ゲームセンター等に設置されるゲーム機で使用するメダルの払い出し機や、駐車場の駐車料金精算機のつり銭の払い出し装置や、駐車料金を精算するために投入するメダルを駐車場に入場した際に受け取る駐車メダルの払い出し機等の機器に好適となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のコイン状部材の移送装置は、複数の分離孔を形成してコイン状部材の収容部の底部に配置した送出ロータの回転によって前記収容部のコイン状部材を倒伏状態で1枚ずつ送出部へ送出する送出装置と、コイン状部材を起立状態で一列に上方へ移送するリフト装置と、前記送出装置から送出される倒伏状態のコイン状部材を起立状態に姿勢転換して前記リフト装置の下部の入口部へ導入する姿勢転換部を備えたコイン状部材の移送装置であって、前記姿勢転換部は、倒伏状態で進入するコイン状部材が左右の作用面に沿って移動することによって水平方向軸を中心として回転しつつ起立状態で出口部から前記リフト装置の下部の入口部へ導入される構成であり、前記リフト装置は、コイン状部材が起立した一列配置状態で上方へ移送される構成であり、前記送出装置から送出される先行コイン状部材を後続送出のコイン状部材によって押す作用力によって、コイン状部材が前記姿勢転換部を順次通って前記リフト装置内のコイン状部材を押し上げる関係である。本発明の実施例を以下に記載する。
【実施例1】
【0012】
本発明は、ゲームセンター等に設置されるゲーム機で使用するメダルの払い出し機や、駐車場の駐車料金精算機のつり銭の払い出し装置や、駐車料金を精算するために投入するメダルを駐車場に入場した際に受け取る駐車メダルの払い出し機等の機器に適用可能なコイン状部材の移送装置に関する。
【0013】
本発明において、コイン状部材とは、一般通貨であるコイン(円形状硬貨)、及び一般通貨ではないが特定区域内で貨幣価値物として適用される特定コイン(円形状硬貨価値物)、ゲーム機や駐車場機器などに使用される円形状メダル等を含めた総称であり、以下に示す実施例では、コイン状部材を円形状のメダルとして記載する。また、薄片とは、紙幣を含むことは勿論のこと、プリペイドカードやその他のカードであって、遊技メダルの供給を受けるための有価カードを含めた総称であり、紙幣やカードの材質は問わない。
【0014】
前記ゲーム機、駐車メダルの払い出し機等の機器においては、通貨である円形状硬貨や前記薄片をこれらの機器の投入口へ投入して、メダルの払い出しを受ける。また、前記駐車料金精算機においては、精算時に通貨である円形状硬貨や前記薄片をこの駐車料金精算機の投入口へ投入し、必要なつり銭を受け取る。この場合、メダルの受け取り口やつり銭の受け取り口が、機器によって異なり、顧客が使い易い位置や遊技心をそそる位置に形成されるため、その機器の下部に設けたメダル貯蔵部やつり銭貯蔵部から、機器の上部のメダル払い出し口やつり銭払い出し口へ、メダルやつり銭を移送することが必要な場合が生じる。本発明は、このような場合に適用可能なコイン状部材の移送装置を提供するものである。以下、コイン状部材を円形状のメダルとした本発明の実施の形態を図に基づき説明する。
【0015】
図1は本発明に係るメダル移送装置の概略説明の正面図、図2は本発明に係るコイン状部材送出装置の送出ロータと送出部の関係を示す平面図、図3は本発明に係るコイン状部材の通過検出部の構成を示す側面図、図4は本発明に係るメダル逆流防止装置部分を含むコイン状部材送出装置の部分断面図、図5は本発明に係るメダル逆流防止装置の拡大断面図、図6は本発明に係る送出ロータの裏側斜視図、図7は本発明に係る送出ロータの部分側面図、図8は本発明に係るリフト装置下部の縦断正面図、図9は図8のA−A断面図、図10は本発明に係るリフト装置下部の姿勢転換部の側面図、図11は本発明に係るリフト装置下部の姿勢転換部の背面斜視図である。
【0016】
本発明に係るメダル移送装置300は、メダルを一枚ずつ送出する送出装置3と、この送出装置3から排出されたメダル100を前記機器のメダル払い出し口へ向けて上昇搬送するリフト装置303と、送出装置3から水平状態(倒伏状態)で送出されるメダル100を立った状態(起立状態)に転換してリフト装置303に導入する姿勢転換部40を備えている。リフト装置303を上昇するメダル100は、リフト装置303の上端部の出口部材80の出口86から、直接又はシュータを介して前記機器のメダル払い出し口へ導入される。
【0017】
メダル移送装置300は、前記機器内に組み込まれているが、送出装置3とリフト装置303とがその機器内に収納され、リフト装置303が機器の前面板の裏側に沿って略垂直状態で縦に配置されている。メダル送出装置3は、機器内にネジ等によって固定される。メダル送出装置3の稼動によって、後述の貯蔵容器(ホッパ)5P内のメダル100が静電気を帯びるため、この静電気を逃がすために、貯蔵容器(ホッパ)5P内の導電部材と電気的に接続された金属線が、導電性ネジによって機器内の金属壁に取り付けられて、この静電気が逃げる仕組みである。
【0018】
メダル送出装置3は以下の構成をなす。即ち、機器内に固定される底部は、合成樹脂製のベース部材4で構成され、ベース部材4上には、円形状のメダル100を略2000枚収納する収容部5を形成する合成樹脂製の貯蔵容器(ホッパ)5Pが、ベース部材4に対してネジ又はその他の係止装置によって着脱自在に取り付けられている。貯蔵容器(ホッパ)5Pは、上面と下面にそれぞれ開口5A、5Bを有し、下面開口5Bは略円形をなす。この下面開口5Bに対応してベース部材4上には、複数の分離孔10を形成した合成樹脂製の送出ロータ7が配置され、送出ロータ7は、ベース部材4の下側に取り付けた電動機装置8の回転軸9の先端部に取り付けられている。この構成によって、収容部5の底部に送出ロータ7が配置された状態となる。電動機装置8は、電動機8Aとそれによって回転される複数歯車の組み合わせの伝達機構8Bで構成され、回転軸9を所定回転数で回転させる。
【0019】
電動機装置8の回転軸9の先端部に取り付けられた送出ロータ7は、図2、図4及び図6に示すように、ベース部材4の上面に形成した円形状壁4Aに周囲面が近接状態に囲まれる配置であり、円形状壁4Aの内側で電動機装置8によってR方向へ回転する構成である。送出ロータ7の上面周縁部と周囲面と若干の間隔を存して送出ロータ7の上面周縁部と周囲面を覆うようにロータガイドリング20が設けられている。ロータガイドリング20は、円形状壁4Aの延長上方に円形状壁20Aを形成しており、円形状壁4Aを取り囲むようにベース部材4上に載置され、周縁フランジ部がベース部材4に間隔を存して複数個所に形成した係止爪部21によってベース部材4の所定位置に保持される。送出ロータ7の上方にあってロータガイドリング20の円形状壁20Aの内側には、貯蔵容器(ホッパ)5Pの下面開口5B部分が嵌合された状態で、貯蔵容器(ホッパ)5Pがベース部材4に取り付けられる。
【0020】
図6及び図7に示すように、送出ロータ7は、同心円上に複数の分離孔10(図示のものは5個の分離孔10を有する)を略等間隔に配置した円盤状をなし、各分離孔10は、メダル100の直径よりも若干大きい直径でもって送出ロータ7を上下に円形状に貫通し、上側周縁部には回転方向Rの下流側に向かって下向きの傾斜状に広がった案内面11を形成している。また、各分離孔10の下側周縁部には、送出ロータの周縁に臨む開放出口10Aを形成し、この開放出口10Aの回転方向Rの下流側には、送出ロータ7の周縁へ延びる流線型の押し出し壁12を形成している。
【0021】
ベース部材4の上面には、送出ロータ7を取り囲む円形状壁4Aが切れた部分に、メダル100の送出部13が形成されている。ベース部材4の上面には、送出部13に対応した内側位置において、分離孔10に対応する回転軌跡上に、円錐状の送出案内ピン26が設けられている。このため送出ロータ7の下面には、この送出案内ピン26が衝突しないように、ベース部材4との間に回転軸9を中心とした円形の空間27が形成されている。
【0022】
この構成によって、送出ロータ7の回転によって、貯蔵容器(ホッパ)5P内のメダル100は、1枚ずつ分離して分離孔10に順次入り込み、分離孔10の底部に入り込んだメダル100は、送出ロータ7の回転に伴ってベース部材4の上面を滑りつつ押し出し壁12によって、開放出口10Aから送出ロータ7の外方へ押し出され、ベース部材4の上面に形成した送出部13へ入る。このため、送出ロータ7は払い出し盤として機能する。
【0023】
送出部13の入口部には、送出ロータ7から外方へ押し出されるメダル100が最初に通過する位置に、メダル100の通過を検出する通過検出部CKを設けている。この通過検出部CKは、メダル100の通過によって往復作動する可動体16と、この可動体16の作動によって動作する検出スイッチ部23を備えている。
【0024】
送出部13の入口部の通路幅T0は、この通路幅T0を形成する一方の壁が、可動体16で構成されている。具体的には、この通路幅T0は、メダル100が当接する可動体16の作用部(後述のローラ16A)と、可動体16に対応配置の固定部15との間隔で形成され、この通路幅T0は、メダル100の直径よりも若干小さい間隔を存して、固定部15と可動体16が配置されている。
【0025】
固定部15は、可動体16に対応する送出部13の入口部において、送出ロータ7の回転方向(R)手前側に位置し、可動体16との間に通路幅T0を形成するように山形にベース部材4の上面から突出し、この山形突出部15Aから送出ロータ7の回転方向(R)手前側に向けて、なだらかな曲線の案内面15Bを形成し、送出ロータ7から送出されるメダル100が案内面15Bに沿って送出部13の入口部に誘導される。耐磨耗性を考慮して固定部15をステンレススチール等の金属製とすることもできる。
【0026】
可動体16は、固定部15に対して送出ロータ7の回転方向(R)前方側に位置し、メダル100によって押し圧作動されるように復帰作用バネ17で付勢された状態に設けられている。可動体16は、略V字状又は略L字状の可動アーム19の中央部がベース部材4の上壁の下側に軸支持部18で回転可能に支持され、図3に示すように、可動アーム19の一方の腕辺に立設した軸19Aが、ベース部材4の上壁に形成した弧状スリット4Sを貫通し、この貫通した軸19Aに回転可能に取り付けた円筒状のローラ16Aが送出部13に臨み、可動アーム19の他方の腕辺はベース部材4の下側に設けた検出スイッチ部23の作動部16Bとして作用する。可動アーム19は一端がベース部材4に保持されたバネ17の引っ張り力によって引っ張られており、この状態で、可動体16のローラ16Aは固定部15との間にメダル100の直径よりも若干小さい間隔を維持している。
【0027】
検出スイッチ部23は、図2及び図3に示すように、発光部24と受光部25で構成された光スイッチであり、可動アーム19がメダル100によって回動する前の状態(待機状態という)では、図2の点線のように、可動アーム19の作動部16Bが発光部24から受光部25へ到達する光通路を遮った状態である。
【0028】
送出ロータ7の回転に伴って分離孔10の底部に入り込んだメダル100は、送出案内ピン26に衝突する。この衝突によってそのメダル100の移動が阻止されるため、送出ロータ7の回転に伴って、そのメダル100は送出ロータ7の下側へ潜り込んで押し出し壁12によって押されつつ、開放出口10Aから送出ロータ7の外方へ移動して、固定側壁15の内側の傾斜面15Bに当接し、押し出し壁12によって押されて回転しつつ押し出される。送出ロータ7の外方へ押し出されたメダル100は、送出部13へ入り、ローラ16Aに当接してバネ17の引っ張り力に抗して可動体16を回動させる。即ち、送出ロータ7の外方へ押し出されたメダル100は、ローラ16Aをバネ17の引っ張り力に抗してローラ16A1の状態に押し退けつつ進み、メダル100の直径部が通過したとき、バネ17の引っ張り力によって復帰する可動体16のローラ16Aによって、固定側壁15の山部を越えて送出出口14方向へ弾き飛ばされる。この弾き飛ばされたメダル100は、送出出口14から送出される。これによって、1秒間に6枚のメダルを連続して送出するような高速送出が行なえ、通過検出部での安定した検出動作ができる。
【0029】
このように、メダル100がローラ16Aに当接してバネ17の引っ張り力に抗して可動体16が、図2の一点鎖線の方向へ回動することによって、前記待機状態にあった可動アーム19の作動部16Bが発光部24から受光部25へ到達する光通路を遮った状態から外れて、発光部24の光が受光部25に到達する状態となる。この受光部25の動作によって、機器内に設けた制御部の計数部(図示せず)が動作して、1枚のメダル100が通過したことを計数する。
【0030】
このように、送出ロータ7の回転に伴ってメダル100が1枚ずつ送出されるため、その都度、可動体16が回動してメダル100の通過枚数を計数することができる。このため、遊技客によって1回の遊技で使用される単位金額に応じて送出するメダル100の所定枚数を予め設定しておけば、この計数値がこの所定枚数に達したとき、前記制御部によって電動機装置8の回転を停止するように構成すれば、安定した送出動作が得られる。
【0031】
送出出口14から水平状態(倒伏状態)で送出されるメダル100は、姿勢転換部40を通ってリフト装置303へ導入される。機器内に設置されるメダル送出装置3の向きは任意に設定できるが、実施例では、メダル送出装置3は、図1に示すように、メダル100の送出出口14が横に向くように機器内に設置される。この構成において、送出出口14から水平状態(倒伏状態)で1枚ずつ送出されるメダル100は、姿勢転換部40の中央部に形成した入口部45へ水平状態(倒伏状態)で導入され、メダル100の表裏いずれかの平面部が前面に向く状態に立つように、姿勢転換部40で水平状態(倒伏状態)から垂直状態に立った状態(起立状態)に姿勢転換されて、リフト装置303の下部の入口部へ導入される。
【0032】
次に、姿勢転換部40の構成を説明する。姿勢転換部40の内径T1は、メダル100の直径よりも若干大きい寸法(メダル100の直径よりも大でその直径の1.5倍以下)の水平方向の筒状径をなし、中心方向に向かってそれぞれの頂点部が近接するように突出した一対の断面三角形状(又は山形)の突壁41、42が、水平方向に長く形成されている。一対の断面三角形状の突壁41、42は、それぞれの頂点稜線部41A、42Aが凸状曲面を形成して相互に離間状態で対抗配置され、姿勢転換部40へ水平状態で進入するメダル100の上下の面に対面する側の突壁41の上面43と、突壁42の下面44が、その水平方向の延長線上において間隔S1を存して略平行状態である。
【0033】
この間隔S1は、メダル100の厚さよりも大でありその厚さの1.5倍以下である。これによって、メダル100が進入する姿勢転換部40の水平方向の入口部45が、この間隔S1によって姿勢転換部40の中央部に形成される。そして、入口部45の最小の厚さ(上下寸法)がこの間隔S1であり、この入口部45の幅(左右寸法)が姿勢転換部40の内径T1である。入口部45は送出出口14に対応配置され、送出出口14から水平状態で1枚ずつ送出されるメダル100は、姿勢転換部40の中央部に形成した入口部45へ水平状態で導入される。
【0034】
また、突壁41のもう一方の面である縦方向面47と、突壁42のもう一方の面である縦方向面48が、その垂直方向の延長線上において間隔S2を存して略平行状態である。この間隔S2は、メダル100の厚さの略2倍であり、この間隔S2の中央部に姿勢転換部40の出口部46が垂直状態で開口している。これによって、出口部46は、水平方向の入口部45に対して略90度回転した垂直方向に位置し、その上下寸法(高さ)は内径T1であり、前後寸法(幅又は厚さ)はメダル100の厚さよりも大でその厚さの1.5倍以下である。
【0035】
姿勢転換部40の出口部46は、リフト装置303の下部の入口部49へ連通配置される関係であり、リフト装置303の下部の入口部49の大きさは、姿勢転換部40の出口部46の大きさと略同じであることによって、メダル100が、姿勢転換部40の出口部46からリフト装置303の下部の入口部49へスムースに導入される。
【0036】
姿勢転換部40の出口側の間隔S2が入口側の間隔S1よりもかなり広く形成したのは、後述のように、入口部45に進入したメダル100が姿勢転換部40内で水平方向軸を中心として回転(図10、図11で時計方向回転)しつつ、出口部46へスムースに移動するための動作確保のためである。
【0037】
姿勢転換部40は、入口部45から水平状態(倒伏状態)で入ったメダル100が、垂直状態(起立状態)に姿勢転換されて、出口部46からリフト装置303の下部の入口部49へ導入されるように動作するものである。このため、突壁41の上面43と突壁42の下面44は、前面視で相互に交差する向きに、入口部45の奥側から出口部46に向けて徐々にカーブ又は傾斜した作動面50A、50Bを形成している。
【0038】
姿勢転換部40の入口部45へ進入したメダル100は、メダル100の左右両側部分が作動面50A、50Bの頂部付近に当接し、そこから左右の作動面50A、50Bを滑りつつ、作動面50A、50Bの傾斜に沿って姿勢転換部40内において、突壁41、42のそれぞれの頂点稜線部41A、42A間を水平方向軸として回転(図10、図11で時計方向回転)しつつ出口部46へ向かい、略90度回転した垂直状態(起立状態)で、出口部46からリフト装置303の下部の入口部49へ導入される。
【0039】
リフト装置303は、各メダル100が垂直状態に立った状態(起立状態)で、下側のメダル100の周縁上に上側のメダル100が乗る一列配置状態で上方へ移送されるように、内部にメダル100の左右両側に位置する周縁部が嵌り込む直線状の溝303Cが上下方向に形成された上下方向通路303Tが形成されている。具体的構成として、図9に示すように、上下方向に長い基部材303Aの左右部分には、基部材303Aの長さ方向に直線状の溝303Cが対抗配置され、基部材303Aの前面開口が前面板303Bによって覆われている。基部材303Aは押し出し成形などによって形成されたものであり、左右の溝303Cは、メダル100の厚さよりも若干大きく、メダル100の厚さよりも大でその厚さの1.5倍以下である。これによって、メダル100が垂直状態に立った状態(起立状態)で、下側のメダル100の周縁上に上側のメダル100が乗る一列配置状態で上方へ移送される。前面板303Bは透明であるため、リフト装置303の前面からリフト装置303内のメダル100の状態が透視でき、確認ができる。
【0040】
このような構成によって、メダル送出装置3から1枚ずつ連続して送出されるメダル100は、先に送出された先行メダル100を後続送出のメダル100で押す作用力によって、各メダル100は姿勢転換部40を順次通ってリフト装置303の下部の入口部49へ導入される。その導入されたメダル100は、図1に示すようにリフト装置303内では、各メダル100が垂直状態に立った状態で、下側のメダル100の周縁上に上側のメダル100が乗る一列配置状態で、前記作用力によって、下側のメダル100が上側のメダル100を押し上げる関係によって上昇(リフトアップ)し、このメダル100は起立状態のままリフト装置303の上部の出口部材80によって、略垂直軸の周りに略90度回転した状態で、出口部材80の出口部86から送出される。出口部86から送出されるメダル100は、直接又はシュータを介して前記機器のメダル払い出し口へ導入される。この場合、常にメダル100の直径対応部分を押し合って移送されることとなり、その移送が安定したものとなる。
【0041】
本発明では、リフト装置303の下部の入口部49は、姿勢転換部40の出口部46へ連通するために、横向きに開口した曲線のコーナ部51を備えており、それぞれコイン状部材100の移動通路となる姿勢転換部40の中心線と、コーナ部51を含むリフト装置303の中心線とが一致する配置構成である。このため、姿勢転換部40からリフト装置303の入口部49へ入るコイン状部材100の移動がスムースとなり、入口部49へ垂直状に立った状態で導入されたメダル100は、図1及び図8に示すように、その立った姿勢のまま、リフト装置303の左右の中央部を垂直方向に上昇する。このように、送出装置3の送出部13から姿勢転換部40を通ってリフト装置303を上昇するコイン状部材100は、常にコイン状部材100の直径対応部分を押し合って移送されることとなり、その移送が安定したものとなる。このような動作を抵抗少なく行なえるようにするために、コーナ部51の外側メダル通路面に、ここを移動するメダル100に当接して回転するように、若干露出状態で回転ローラ52を設けている。
【0042】
実施例では、曲線のコーナ部51を通過するメダル100の移動抵抗を少なくして、スムースな通過ができるようにするために、回転ローラ52として、2個の回転ローラ52A、52Bを近接配置している。この2個の回転ローラ52A、52Bは、図8に示すように、ここを通過するメダル100ごとに、そのメダル100の周面が同時に2個の回転ローラ52A、52Bに当接するように近接配置している。これによって、入口部49へ垂直状に立った状態で導入されたメダル100は、その立った姿勢のまま、曲線のコーナ部51において、2個の回転ローラ52A、52Bの回転を伴ってスムースに通過し、リフト装置303内を垂直方向に上昇することができる。このため、姿勢転換部40の出口部46とリフト装置303を近接配置して小型化を図る場合でも、安定したメダル搬送ができるものとなる。
【0043】
また、送出装置3は、上記のように、送出ロータ7の回転に伴って送出されるメダル100は、バネ17の引っ張り力に抗してローラ16Aを押し退けつつ進み、メダル100の直径部が通過したとき、バネ17の引っ張り力によって復帰するローラ16Aによって、送出出口14方向へ弾き飛ばされる。このため、可動体16のローラ16Aに対してメダル100の直径部が通過する時点よりも送出出口14側の位置に、常時、送出部13に突出し、送出部13を通過するコイン状部材100ごとに、送出部13から退避と突出を繰り返すように動作するメダル逆流防止装置55を設ける。
【0044】
メダル逆流防止装置55は、図4及び図5に示すように、逆流防止部材56が、バネ58によって送出部13に突出している。具体的には、送出部13の下壁の下側において、逆流防止部材56は、その一端部の軸支持部56Bがベース部材4の上壁の下側に回動可能に支持され、ベース部材4に設けたバネ支持部57に支持したコイルバネ58によって上方へ付勢された状態で、逆流防止部材56の先端の逆止部56Aが、送出部13の底壁のスリット59を貫通して送出部13に突出している。逆止部56Aは、送出部13を送出出口14へ向けて移動するコイン状部材100の送出方向に向けて、後方から前方へ向けて徐々に上方へ向け高く傾斜した傾斜案内面56Cを形成している。
【0045】
このような構成によって、逆流防止部材56は、通常状態ではコイルバネ58によって上方へ付勢されてベース部材4の上壁の下側に当接し、先端の逆止部56Aが送出部13に突出している。送出ロータ7の回転に伴ってメダル100が1枚ずつ送出され、可動体16のローラ16Aを押し退けつつメダル100が送出出口14へ向かう。送出部13の上壁と下壁の間隔は、メダル100の厚さより若干大きい寸法であるため、送出出口14へ向かうメダル100の先端部が傾斜案内面56Cに当接しつつ、逆止部56Aをコイルバネ58の付勢力に抗して押し下げる。このため、送出されるメダル100は、その下面で逆止部56Aを押し下げたまま通過する。
【0046】
通常、複数枚のメダル100が連続状態で送出されるが、逆止部56Aは続いて送出されるメダル100ごとに退避と突出の動作を行なうように、各メダル100の外周面相互で形成される間隔部に対応する位置に配置されている。このため、送出されるメダル100ごとに、メダル100の逆流(戻る方向への移動)が防止される。
【0047】
リフト装置303内には、下側のメダル100の周縁上に上側のメダル100が乗る一列配置状態で複数のメダル100が収納されるため、入口部49のコーナ部51にあるメダル100へ多くの荷重が掛かる。リフト装置303内のメダル100の下降を抑止してこの荷重を軽減するために、リフト装置303の入口部49に近接した下部に、メダル100の下降抑止装置70を設けている。下降抑止装置70は、メダル100がリフト装置303内を上昇することは許容し、メダル100がリフト装置303内を下降することは阻止するものであり、一方向クラッチと称することもできる。
【0048】
この下降抑止装置70(一方向クラッチ70)は、種々の形態とすることができるが、図示のものは、基部材303Aの裏側に取り付けた支持部材72に軸支持部74で回転自在に支持したゴムローラ71が、基部材303Aを貫通してリフト装置303内の起立したメダル100の平面部を押し圧状態に保つ。ゴムローラ71は、一端が基部材303Aに係止し他端が軸支持部74に係止したコイルバネ73によって、ゴムローラ71がリフト装置303内の起立したメダル100の平面部を押し圧するように付勢している。このため、軸支持部74は支持部材72の横方向長孔75に横方向移動可能に嵌合した状態である。また、ゴムローラ71は、リフト装置303内を上昇するメダル100によって正回転するが、リフト装置303内を下降しようとするメダル100によって逆回転しないように作用するクラッチ機構(図示せず)を備えている。このクラッチ機構の一つとして、魚釣り用リールのスプール軸の逆転阻止用に設けた一方向クラッチ機構があるが、これに替わって、ゴムローラ71の逆回転に対してゴムローラ71の側面に設けた歯車に爪が引っ掛かり、ゴムローラ71の正回転ではこの歯車に爪が引っ掛からずに空回りする機構(ラッチ機構ともいう)とすることもできる。
【0049】
この下降抑止装置70(一方向クラッチ70)によって、リフト装置303内に一列配置状態に収納されたメダル100のうち、下部の一枚のメダル100がゴムローラ71によって下降が阻止された状態に保持されるため、入口部49のコーナ部51にあるメダル100へ、その上方に積み上げられたメダル100の荷重が掛かることが抑止され、その後方から入口部49へ送り込まれるメダル100の移送が安定したものとなる。
【0050】
本発明の移送装置300は、駐車場に設置された駐車料金の精算や支払いなどに使用される機器内に設置されたコイン状部材の移送装置として適する。即ち、駐車場に入場する際に、乗車したままで運転者がメダルの貸与を受け、駐車場を退場する際に乗車したままで運転者がメダルを投入して、清算し釣り銭を受け取る場合、そのメダルや釣り銭の受け取りがし易い位置までメダルや釣り銭をリフトアップする機構として有効である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り種々の変更が考えられ、それに係る種種の実施形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るメダル移送装置の概略説明の正面図である。(実施例1)
【図2】本発明に係るコイン状部材送出装置の送出ロータと送出部の関係を示す平面図である。(実施例1)
【図3】本発明に係る通過検出部の構成を示す側面図である。(実施例1)
【図4】本発明に係るメダル逆流防止装置部分を含むコイン状部材送出装置の部分断面図である。(実施例1)
【図5】本発明に係るメダル逆流防止装置の拡大断面図である。(実施例1)
【図6】本発明に係る送出ロータの裏側斜視図である。(実施例1)
【図7】本発明に係る送出ロータの部分側面図である。(実施例1)
【図8】本発明に係るリフト装置下部の縦断正面図である。(実施例1)
【図9】図8のA−A断面図である。(実施例1)
【図10】本発明に係るリフト装置下部の姿勢転換部の側面図である。(実施例1)
【図11】本発明に係るリフト装置下部の姿勢転換部の背面斜視図である。(実施例1)(実施例1)
【符号の説明】
【0053】
3・・・・メダル送出装置
4・・・・ベース部材
4A・・・円形状壁
5・・・・メダルの収容部
5A・・・上面開口
5B・・・下面開口
5E・・・入口開口
5P・・・貯蔵容器(ホッパ)
5X・・・オーバーフロー出口
7・・・・送出ロータ
8・・・・電動機装置
9・・・・回転軸
10・・・分離孔
13・・・送出部
14・・・送出出口
16・・・可動体
16A・・ローラ
16B・・作動部
20・・・ロータガイドリング
23・・・検出スイッチ部
24・・・発光部
25・・・受光部
40・・・姿勢転換部
41・・・三角形状の突壁
42・・・三角形状の突壁
43・・・突壁41の上面
44・・・突壁42の下面
45・・・姿勢転換部の入口部
46・・・姿勢転換部の出口部
47・・・突壁41の縦方向面
48・・・突壁42の縦方向面
49・・・リフト装置の入口部
50A・・作動面
50B・・作動面
51・・・コーナ部
52・・・回転ローラ
52A・・回転ローラ
52B・・回転ローラ
55・・・メダル逆流防止装置
56・・・逆流防止部材
57・・・バネ支持部
58・・・バネ
80・・・出口部材
86・・・出口部
300・・メダル移送装置
303・・リフト装置
303C・・溝
303T・・上下方向通路
CK・・・コイン状部材の通過検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分離孔を形成してコイン状部材の収容部の底部に配置した送出ロータの回転によって前記収容部のコイン状部材を倒伏状態で1枚ずつ送出部へ送出する送出装置と、コイン状部材を起立状態で一列に上方へ移送するリフト装置と、前記送出装置から送出される倒伏状態のコイン状部材を起立状態に姿勢転換して前記リフト装置の下部の入口部へ導入する姿勢転換部を備えたコイン状部材の移送装置であって、前記姿勢転換部は、倒伏状態で進入するコイン状部材が左右の作用面に沿って移動することによって水平方向軸を中心として回転しつつ起立状態で出口部から前記リフト装置の下部の入口部へ導入される構成であり、前記リフト装置は、コイン状部材が起立した一列配置状態で上方へ移送される構成であり、前記送出装置から送出される先行コイン状部材を後続送出のコイン状部材によって押す作用力によって、コイン状部材が前記姿勢転換部を順次通って前記リフト装置内のコイン状部材を押し上げる関係であることを特徴とするコイン状部材の移送装置。
【請求項2】
前記リフト装置の下部の入口部は前記姿勢転換部の出口部へ連通するよう横向きに開口した曲線のコーナ部を備え、このコーナ部の外側通路面にここを移動するコイン状部材に当接して回転する回転ローラを設けたことを特徴とする請求項1に記載のコイン状部材の移送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記移送装置が機器内に組み込まれ、前記リフト装置の上部出口部から機器の前面に設けたコイン状部材の払い出し口へコイン状部材を導入することを特徴とするコイン状部材使用機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−33790(P2008−33790A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208571(P2006−208571)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】