説明

コエンザイムQ−10の生物利用性を高めるためのニンニク油の使用

本発明は,スルフィド含有分子,例えばニンニク油と,コエンザイムQ分子とを含む組成物を記載する。スルフィド含有分子はコエンザイムQ分子を溶解し,このため,これを必要とする被験者において,スルフィド含有分子の非存在下でコエンザイムQを投与する場合と比較して,コエンザイムQ分子の生物利用性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は,一般に,ニンニク油またはその単離されたまたは精製された成分の1またはそれ以上と,コエンザイムQとの独特の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
CoQ−10(コエンザイムQ10)は脂溶性キノンであり,ビタミンKと構造的に類似しており,一般にユビキノンとして知られるベンゾキノンである。CoQ−10はほとんどの生きた生物に見いだされ,細胞のエネルギー産生に必須である。CoQ−10(2,3−ジメチル−5−メチル−6−デカプレニルベンゾキノン)(2−(全E)−3,7,11,15,19,23,27,31,35,39−デカメチル−2,6,10,14,18,22,26,30,34,38−テトラコンタデカエニル)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−p−ベンゾキノン)は,食肉および海産物に少量で見いだされる内因性抗酸化剤である。CoQ−10はすべてのヒト細胞に見いだされるが,心臓,肝臓,腎臓および膵臓においてCoQ−10の濃度が最も高い。これは多くの哺乳動物の臓器に天然に見いだされる。
【0003】
CoQ−10は,ミトコンドリアと称される細胞オルガネラの膜に存在するため,重要な栄養である。ミトコンドリアは,好気的(酸素)代謝プロセスによる栄養の分解から生ずるプロトンを出入りさせることにより細胞のエネルギーないしATPを産生する能力をもつため,細胞の"発電所"として知られている。CoQ−10はまた,抗酸化剤としての第2の役割を有する。CoQ−10はATP合成に関与するため,体内のほとんど全ての細胞の機能に影響を及ぼし,このため,すべてのヒト組織および臓器の健康に必須である。CoQ−10は特に,代謝的に最も活性な細胞,すなわち心臓,免疫系,歯肉,および胃粘膜の細胞に影響を及ぼす。
【0004】
CoQ−10は,水などのほとんどの親水性溶媒にあまり溶解しない。したがって,CoQ−10はしばしば,粉体の形で,錠剤または懸濁液として投与される。しかし,これらの方法によるCoQ−10のデリバリーは,この物質の個体への生物利用性を制限している。
【0005】
いくつかの臨床試験は,CoQ−10が血圧およびコレステロールレベルの維持に有効であることを示している。さらに,CoQ−10は心臓血管の健康を改善することも示されている。CoQ−10は,種々の疾病,例えばある種の癌の阻止における必須の成分であることが示唆されている。これらの事実から,多くの者はCoQ−10の補充が個体の健康に不可欠なものであると考えている。
【0006】
還元型ベンゾキノンは,酸素または脂質ラジカルの有効な還元剤として知られている。いくつかの研究により,還元型CoQ−10(ユビキノール)は有効な抗酸化剤であることが示されている。実際,還元型CoQ−10は,抗酸化活性の複雑な連鎖の一部として機能するようである。明らかに,還元型CoQ−10は,抗酸化剤であるアルファ−トコフェロールおよびアスコルビン酸塩が生理学的システムに存在する酸素またはカルボキシルラジカルにより酸化されるときに形成されるラジカルの低減に役割を果たす。トコフェロールラジカルまたは外部アスコルビン酸ラジカルを直接還元する酵素は知られていないが,すべての膜にはCoQ−10を還元することができる酵素が存在し,したがって,還元型CoQ−10は次にトコフェロールラジカルまたはアスコルビン酸ラジカルを還元して,トコフェロールまたはアスコルビン酸塩を生成することができる。CoQ−10を還元する酵素の支持がなければ,脂質または酸素ラジカルとの相互作用により形成されたセミキノンはスーパーオキシドラジカルの形成により容易に自己酸化されるため,還元型CoQ−10は非常に有効な抗酸化剤であるとはいえない。
【0007】
したがって,CoQ−10または還元型CoQ−10を,吸収しうる形でかつ抗酸化活性を維持した形で提供する方法および組成物が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明は,驚くべきことに,コエンザイムQ,還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物と,コエンザイムQ,還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物を溶解するのに適した十分な量のスルフィド含有物質とを含む組成物を提供する。コエンザイムQ物質をスルフィド含有物質に溶解することにより,スルフィド含有物質がない場合の等量のコエンザイムQ物質と比較して,コエンザイムQ物質の生物利用性を高めることができる。一般に,コエンザイムQ物質の生物利用性は,スルフィド含有物質なしの等量のコエンザイムQ製剤に対して約15パーセントから約1500パーセント増加する。
【0009】
本発明のある観点においては,スルフィド含有物質としてニンニク油を用いる。
【0010】
本発明のある観点においては,ニンニク油(または個々のスルフィド含有成分の1またはそれ以上)とコエンザイムQ物質との組み合わせは,LDLの酸化の低下を助ける。したがって,ある観点においては,ニンニク油(またはそのスルフィド含有成分)とコエンザイムQ物質との組み合わせを用いて,LDLの酸化を処置,軽減または予防することができる。有効量の組み合わせを投与することにより,生理学的環境中でLDLの酸化の阻害が助けられる。その結果,コエンザイムQ物質とスルフィド含有物質,例えばニンニク油との組み合わせを用いて,種々の疾病,例えば,糖尿病,アテローム性動脈硬化症および/または心臓血管疾患を治療または予防することができる。
【0011】
本発明の別の観点においては,コエンザイムQ物質を溶解するのに適したスルフィド含有物質としてニンニク油の成分を用いる。コエンザイムQ物質を溶解するのに適したニンニク油の成分としては,例えば,ジアリルスルフィドおよび/またはジアリルジスルフィドが挙げられる。
【0012】
別の観点においては,本発明は,本明細書に記載されるコエンザイムQ/スルフィド含有物質組成物を封入したソフトゼラチンカプセルを提供する。
【0013】
組成物およびソフトゼラチンカプセルはさらに,種々の担体および添加物,例えば適当な抗酸化剤および/またはビタミンを含むことができる。
【0014】
本発明はまた,コエンザイムQ物質とコエンザイムQ物質を溶解するのに適したスルフィド含有物質との溶液を製造する方法を提供する。
【0015】
本発明はさらに,治療を必要とする個体に,本明細書に記載される組成物のいずれかの有効量を投与することにより,コエンザイムQ(例えばコエンザイムQ−10)のレベルの低下に関連する種々の状態,例えば,ミトコンドリア関連疾病および疾患,パーキンソン病,プラーダー−ヴィリ症候群,心臓血管疾患,鬱血性心不全,偏頭痛または頭痛を治療する方法を提供する。
【0016】
さらに別の観点においては,本発明はまた,パッケージされた食品医薬を提供し,これも本明細書に記載される。
【0017】
多くの態様が開示されるが,本発明のさらに別の態様は以下の詳細な説明から当業者には明らかとなるであろう。明らかなように,本発明は,本発明の精神および範囲から逸脱することなく,種々の自明の観点において改変することができる。したがって,詳細な説明は,限定的なものではなく事実上例示的なものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は,種々のサンプル調製物からのCoQ10の%取り込みを示す。
【図2】図2は,種々のサンプル調製物からのCoQ10の最大吸収を示す。
【図3】図3は,サンプル調製物からのCoQ10の%取り込みの低下を示す。
【図4】図4は,ニンニク油によるLDLの酸化の低下を示す。
【図5】図5は,コエンザイムQ−10によるLDLの酸化の低下を示す。
【図6】図6は,ニンニク油とコエンザイムQ−10との組み合わせがLDLに及ぼす相乗効果を示す。
【図7】図7は,コエンザイムQ−10/ニンニク油およびこれらの組み合わせがLDLの酸化に及ぼす相対的同等性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本発明は,驚くべきことに,十分な量の1またはそれ以上のスルフィド含有物質を用いてコエンザイムQ物質を溶解することが可能であることを提供する。スルフィド含有物質を用いることにより,1またはそれ以上のスルフィド含有物質なしで存在する等量のコエンザイムQ物質と比較して,コエンザイムQ物質の生物利用性が増加する。
【0020】
1またはそれ以上のスルフィド含有物質で処理したコエンザイムQ物質の,1またはそれ以上のスルフィド含有物質なしでの等量のコエンザイムQ物質と比較した生物利用性の増加のパーセンテージは,約15パーセントから約1500パーセントの範囲,特に約25パーセントから約500パーセント,より好ましくは約50から250パーセント,さらに好ましくは約100から約200パーセントの範囲である。これらの範囲は包含的であり,15パーセントと1500パーセントの間に含まれる種々の範囲,例えば,16パーセントから約199パーセント,17パーセントから約143パーセント,23パーセントから約187パーセント等の範囲を含むことが理解されるべきである。
【0021】
本明細書および特許請求の範囲において,"含有する"および"含む"との用語は,限定のない用語であり,"・・・を含むがそれに限定されない"ことを意味すると解釈されるべきである。これらの用語は,より限定的な用語である“本質的に・・・からなる”および“からなる”を包含する。
【0022】
"コエンザイムQ物質”との用語は,コエンザイムQ化合物(ユビキノンとして知られる酸化型として)と,還元型コエンザイムQ化合物(ユビキノールとして知られる還元型)との両方,ならびにこれらの混合物を含むことが意図される。
【0023】
本明細書を通して,"コエンザイムQ"または"ユビキノン"(CoQ−10)との用語は,ミトコンドリア調製物における電子伝達,すなわちチトクローム系を介する,コハク酸塩または還元型ニコチンアデニンジヌクレオチド(NADH)の酸化に関与する一群の脂溶性ベンゾキノンを記述するために用いられる。化合物は次のように記述することができる:コエンザイムQn(ここで,nは1−12である)またはユビキノン(x)(ここでxは側鎖における炭素原子の総数を表し,5の任意の倍数である)。性質の相違は鎖の長さの相違による。特に,本発明において用いられるユビキノンは,コエンザイムQ10の還元型であり,ユビキノールとして知られる。したがって,CoQ−10との用語は,nが1から12であるすべての変種を含む。同様に,還元型CoQ−10もまた,nが1から12であるすべての変種を含む。
【0024】
本明細書の全体を通して,"ユビキノール"との用語は,本発明にしたがう組成物において活性成分として用いられる還元型のコエンザイムQnを記述するために用いられる。ユビキノールにおいては,コエンザイムQnのキノン環が還元されて,化合物の構造は下記に示されるようになる。1つの観点においては,ユビキノールは,好ましくはnが10であり,コエンザイムQ10に由来するものである。本発明の組成物中に含まれるユビキノールの量は,重量比でソフトゼラチンカプセル中に封入された最終組成物の約0.1%から約50%の範囲であり,より好ましくは約0.5%から約10%であり,さらにより好ましくは約1%から約5%である。封入されるべき組成物中に含まれるユビキノールの量は,本発明にしたがう組成物中に含まれる脂溶性還元剤の量の約0.1から約10.0倍,より好ましくは約1から約3倍(重量%で)の範囲である。
【0025】
本明細書を通して,CoQ−10および還元型CoQ−10に関して記載する場合,nが上述したものであるすべての可能な誘導体が示されることが理解されるべきである。
【0026】
【化1】

ユビキノン(例えば,n=10,コエンザイムQ−10)
【化2】

ユビキノール
【0027】
ジヒドロリポ酸(DHLA)は細胞代謝の構成物であり,コエンザイムQ物質の溶媒として,ならびに抗酸化剤として用いることができる。DHLAは2つのチオール残基をもち,これがラジカル種に対して感受性とし,したがって,生物分子に抗酸化剤としての機能を与える。酸化還元(レドックス反応)は,ドナーからアクセプターへの電子の移動を伴う。ドナーは,電子を失うと,その還元型から酸化型に変換される。アクセプターは,電子を獲得すると,その酸化型から還元型に変化する。酸化型と還元型のレドックス成分,例えばリポ酸とDHLAまたはCoQ−10(ユビキノン)と還元型のCoQ−10(ユビキノール)は,一緒になって“レドックス対”と呼ばれる。
【0028】
ジヒドロリポ酸は,還元型の(電子が付加された)リポ酸(チオクト酸)である。DHLAが酸化されると(その電子が除去されると)リポ酸が生成する。DHLAはRまたはSエナンチオマーのいずれであってもよく,またはラセミ体であってもよいことが理解される。同様に,リポ酸もまた,エナンチオマー的に純粋であってもラセミ体であってもよい。
【0029】
【化3】

チオクト酸(リポ酸)
【化4】

ジヒドロリポ酸(ジヒドロチオクト酸)
【0030】
同様に,ユビキノールはユビキノン(例えばCoQ−10)の還元された(電子が付加された)形である。ユビキノールが酸化されると(その電子が除去されると),ユビキノンが生成する。
【0031】
コエンザイムQ−10(CoQ−10)および還元型CoQ−10とジヒドロリポ酸(DHLA)との溶液は,還元型のCoQを与えるかまたはこれを維持する。興味深いことに,約1モル量のDHLAをモル当量のCoQ−10と混合すると,酸化型のCoQ−10は還元されて還元型のCoQ−10(ユビキノール)となる。
【0032】
約1モル当量のDHLAの存在下では,一般に,酸化型CoQ−10の90%より多くが還元型のCoQ−10に変換され,特に95%より多く,より好ましくは96%,さらに好ましくは97%,より好ましくは98%,さらに好ましくは99%の変換が生じ,酸化型CoQ−10が本質的に残存しない点まで変換される。このとき,過剰のDHLAは溶媒担体として作用して還元型CoQ−10の安定化を助け,長期間の保存安定性を与える。
【0033】
1つの観点においては,本発明は,CoQ−10を還元して95重量%以上還元型のCoQ−10とするのに十分な量のジヒドロリポ酸(DHLA)を,ニンニク油またはニンニク油の構成成分の1またはそれ以上とともに含む,還元型コエンザイムQ−10(CoQ−10)組成物を提供する。
【0034】
本発明にしたがう組成物は,液体形で存在することができる。さもなくば,組成物は,コエンザイムQの濃度によって室温でゲルとしてまたは固体として存在することができるが,体温(37℃)では液体となることができる。
【0035】
“スルフィド含有物質”との語句は,スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,および少なくともペンタスルフィドを含むことが意図される。
【0036】
“十分な量のスルフィド含有物質”との語句は,既知量のコエンザイムQ物質を溶解するのに必要なスルフィド含有物質の量を意味することが意図される。
【0037】
スルフィド含有物質とコエンザイムQ物質との混合物は,一般に液体である。しかし,スルフィド含有物質とコエンザイムQ物質との濃縮組成物がワックス状またはペースト状の物質となり,これが上述したように体温で容易に液体となることも可能である。
【0038】
例示的なスルフィド含有物質としては,限定されないが,スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド,例えば,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェン,またはこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
1つの観点においては,スルフィド含有物質はニンニク油である。ニンニク油は,上述のスルフィド類の多くのものを含む。ニンニク油は精製されたものであっても精製されていないものであってもよい。ニンニク油は,蒸溜手法およびカラムクロマトグラフィーにより精製されてきた。
【0040】
ニンニク油の3つの成分がコエンザイムQ物質を溶解するのに特に有用であることが見いだされた。これらには,ジアリルスルフィド,ジアリルトリスルフィドおよび/またはジアリルジスルフィドが含まれる。この場合にも,ニンニク油の成分は,使用前に精製されていても精製されていなくてもよい。
【0041】
例示的なスルフィド含有物質は,95%またはそれ以上の純度を有するものとして購入することができ,あるいは種々の方法,例えば,蒸留またはクロマトグラフィーにより精製することができる。ある例においては,精製したスルフィド含有物質を用いることが有益である。物質の純度は,一般に約90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%,99%であり,特に99.5%であり,特に好ましくは99.9%またはそれより高い。
【0042】
興味深いことに,スルフィド含有物質の分子量が低ければ低いほど,その物質中でのコエンザイムQの溶解度が高いという相関があるようである。
【0043】
驚くべきことに,コエンザイムQ物質とニンニク油(またはその成分の1またはそれ以上)との組み合わせが,LDLの酸化の減少または防止に対して,したがってLDLの酸化に伴う状態に対して,有益な影響を及ぼすことができることが見いだされた。この組み合わせは,下記に提供されるデータにより示されるように,相乗的であるようである。
【0044】
一般に,ニンニク油(またはその成分の1またはそれ以上)対コエンザイムQ物質(または物質)の比率は,約10ミリグラム(mg)から約400mgのコエンザイムQ物質対1ミリリットル(ml)のニンニク油,またはニンニク油の成分の1またはそれ以上であり,より具体的には1mlのニンニク油またはその成分あたり約100mgから約300mg,さらに具体的には約100mgから約150mgである。
【0045】
"LDL”との用語は,低密度リポ蛋白質を表し,これは当該技術分野においてよく認識されている。低密度リポ蛋白質(LDL)は,コレステロールおよびトリグリセリドを肝臓から末梢組織に運搬するリポ蛋白質である。LDLは5つの主要なリポ蛋白質の群の1つである。この群には,カイロミクロン,超低密度リポ蛋白質(VLDL),中間密度リポ蛋白質(IDL),低密度リポ蛋白質,および高密度リポ蛋白質(HDL)が含まれる。すべてのリポ蛋白質と同様に,LDLは,脂質およびコレステロールが血流の水系溶液中に移動することを可能とする。LDLはまたこれらの部位においてコレステロールの合成を制御する。これは通常は医療現場でコレステロール血液試験の一部として見られ,高レベルのLDLコレステロールは心臓血管疾患等の健康上の問題を示すかもしれないため,しばしば"悪玉コレステロール"と呼ばれる。
【0046】
LDLの酸化は,糖尿病性合併症,アテローム性動脈硬化症,および他の心臓血管疾患と関連している。
【0047】
したがって,本発明は,糖尿病および/または心臓血管疾患を治療または予防するための組成物および方法を提供する。本発明はまた,治療を必要とする被験者に,疾病または状態が治療,軽減,または予防されるように,有効量(治療上有効量)のコエンザイムQ物質およびニンニク油(またはニンニク油の構成成分の1またはそれ以上)を提供(例えば投与)することにより,本明細書に記載される疾病または状態を治療,軽減,または予防するための医薬品を製造する方法を提供する。
【0048】
したがって,ニンニク油(またはその構成成分の1またはそれ以上)とコエンザイムQとの有効量の組み合わせを投与することにより,本明細書に記載される病気の1またはそれ以上を予防または治療する方法が提供される。
【0049】
有効量とは,生理学的状態を治療または予防すると認められた量を表す。これは,病気に伴う1またはそれ以上の症状の軽減または防止により示すことができる。
【0050】
本発明の組成物は,“治療上有効量”または“予防上有効量”の,本発明のスルフィドとコエンザイムQ物質との組み合わせの1またはそれ以上を含む。“治療上有効量”とは,必要な投与量および時間で所望の治療上の結果を達成するのに,例えば,種々の疾病状態または病気に伴う影響を軽減するかまたは防止するのに有効な量を表す。治療上有効量のスルフィド含有物質およびコエンザイムQの組み合わせは,個体の疾患状態,年齢,性別,および体重,および治療用化合物が個体において所望の応答を生じさせる能力等の因子により様々でありうる。治療上有効量はまた,治療上有益な効果が治療用薬剤の毒性または有害な影響を上回る量である。
【0051】
“予防上有効量”とは,必要な投与量および時間で,所望の予防上の結果を達成するのに有効な量を表す。典型的には,予防的投与は罹患する前または疾患の初期に用いられるため,予防上有効量は治療上有効量より低いであろう。
【0052】
投与計画は,最適な所望の応答(例えば,治療または予防応答)を与えるよう調節することができる。例えば,1回のボーラス投与を行ってもよく,ある時間で何回かに分けて投与してもよく,または治療状況の緊急性によって投与量を比例的に減少または増加させてもよい。投与を容易にし,投与量を均一にするために,非経口組成物を単位投与量形態に製剤することが特に有益である。本明細書において用いる場合,単位投与量形態とは,治療すべき哺乳動物被験者への1回投与に適した物理的に別々の単位を表す。各単位は,所望の治療効果を得るよう計算された予め決定された量の活性化合物を,必要な薬学的担体とともに含む。本発明の単位投与形態の詳細は,(a)組み合わせの独特の特徴および達成すべき特定の治療ないし予防効果,および(b)固体における感受性の治療用にそのような活性な組み合わせを配合するの技術分野に固有の制限によって決まり,かつこれに直接的に依存する。
【0053】
本発明のスルフィド含有/コエンザイムQ組成物の治療上または予防上有効量の例示的非限定的範囲は0.1−20mg/kgであり,より好ましくは1−10mg/kgである。投与量の値は軽減すべき状態のタイプおよび重篤度によって様々でありうることに注意すべきである。さらに,任意の特定の被験者について,特定の投与計画は,個体の必要性,および組成物を投与するか投与を監督する者の専門的な判断にしたがって,時間とともに調節すべきであること,および本明細書に記載される投与量の範囲は例示のためのみであり,本発明の組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0054】
本発明の化合物を医薬品としてヒトおよび哺乳動物に投与する場合,それ自体を投与してもよく,または,例えば0.1から99.5%(より好ましくは,0.5−90%)の活性な組み合わせ,すなわち,少なくとも1つのスルフィド含有化合物および少なくとも1つのコエンザイムQ物質を薬学的に許容しうる担体とともに含む医薬組成物として投与してもよい。
【0055】
"糖尿病性合併症”との用語は,当該技術分野において知られており,糖尿病およびこれに関連する症状,例えば心臓血管疾患を表す。
【0056】
"アテローム性動脈硬化症”との用語は,当該技術分野において知られており,動脈血管に影響を与える疾患を表す。これは動脈の壁における慢性的炎症性応答であり,主としてマクロファージ白血球の蓄積に起因し,機能的高密度リポ蛋白質(HDL)によるマクロファージからの脂質およびコレステロールの適切な除去がないと,低密度リポ蛋白質(LDL)により促進される。これは一般に動脈の"硬化"ないし"毛皮化"と称される。これは動脈内に多数のプラークが形成されることにより引き起こされる。
【0057】
動脈硬化症は,中程度または太い動脈の硬化(および弾力性の喪失)を記述する一般的用語であり,動脈硬化症は,細動脈(細い動脈)の硬化(および弾力性の喪失)であり,アテローム性動脈硬化症は特に粥状斑に起因する動脈の硬化である。したがって,アテローム性動脈硬化症は動脈硬化症の一形態である。
【0058】
"心臓血管疾患”との用語は,当該技術分野において知られており,動脈硬化症,冠状動脈疾患,心臓弁疾患,不整脈,心不全,高血圧症,起立性低血圧症,ショック,心内膜炎,大動脈およびその支枝の疾病,末梢血管系の疾患,および先天性心疾患を表す。
【0059】
さらに,担体がスルフィド含有物質とともにコエンザイムQ物質と一緒に含まれていてもよい。適当な担体としては,例えば,限定されないが,脂肪酸,そのエステルおよび塩が挙げられ,これらは,任意の起源,例えば,限定されないが,天然のまたは合成の油,脂質,ワックスまたはこれらの組み合わせに由来するものであってもよい。さらに,脂肪酸は,限定されないが,非硬化油,半硬化油,硬化油またはこれらの組み合わせに由来するものであることができる。脂肪酸(そのエステルおよび塩)の非限定的な例示的起源としては,種油,魚油または海産物油,菜種油,植物油,サフラワー油,ひまわり油,キンレンカ種油;からし油,オリーブ油,ゴマ油,大豆油,コーンオイル,ピーナッツ油,綿実油,ぬか油,ババスナッツ油,ヤシ油,低エルカ菜種油,パーム核油,ルピナス油,ココナッツ油,アマニ油,月見草油,ホホバ,獣脂,牛脂,バター,鶏脂,ラード,乳脂肪,シアバター,またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
魚油または海産物油の非限定的な例示的起源としては,貝類の油,マグロ油,サバ油,サケ油,ニシン油,アンチョビ,ニシン,マス,イワシまたはこれらの組み合わせが挙げられる。特に,脂肪酸の起源は,魚油または海産物油(DHAまたはEPA),大豆油またはアマニ油である。上述の担体に替えて,あるいはこれと組み合わせて,密ろう,ならびにシリカ(二酸化ケイ素)等の懸濁剤を適当な担体として用いることができる。
【0061】
さらに,リモネンは,単独で,および/または他の環状モノテルペン含有精油,例えば,オレンジ油(95%またはそれ以上のd−リモネンを含むことができる)とともに,1またはそれ以上の担体とともに含まれていてもよい。d−リモネン含有油の非限定的例としては,ラビンジン,ペパーミント,ショウガ,ショウノウ,ゼラニウム,オレンジ,レモン,ラベンダー,ティーツリー,およびローズマリーが挙げられる。
【0062】
本発明の製剤は,これを必要とする個体において,1またはそれ以上のスルフィド含有物質,コエンザイムQ物質および/または追加の抗酸化剤の量を増加させるのに有用な食品サプリメントであると考えられる。
【0063】
本発明の製剤はまた,化粧品として用いてもよい。
【0064】
あるいは,本発明の製剤はまた,食品医薬(nutraceuticals)であるとも考えられる。"食品医薬"との用語は,当該技術分野において理解されており,食品中に見いだされる,疾患を予防することができる化学化合物を記述することを意図する。例えば,還元型CoQ−10および抗酸化剤はそのような化合物である。
【0065】
本発明の製剤はさらに,コエンザイムQ物質および/またはアミノ酸の安定化を助けるかまたはその生物利用性を促進するための,または個体の食餌に対する追加の栄養として働く種々の成分を含むことができる。適当な添加物としては,ビタミンおよび生物学的に許容しうる無機物が挙げられる。ビタミンの非限定的例としては,ビタミンA,Bビタミン,ビタミンC,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンKおよび葉酸が挙げられる。無機物の非限定的例としては,鉄,カルシウム,マグネシウム,カリウム,銅,クロム,亜鉛,モリブデン,ヨウ素,ホウ素,セレン,マンガン,これらの誘導体またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらのビタミンおよび無機物は,いかなる起源または起源の組み合わせに由来するものであってもよい。ビタミンBの非限定的例としては,限定されないが,チアミン,ナイアシンアミド,ピリドキシン,リボフラビン,シアノコバラミン,ビオチン,パントテン酸,またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0066】
ビタミンは,存在する場合には,本発明の組成物中に約5mgから約500mgの範囲の量で存在する。より好ましくは,ビタミンは約10mgから約400mgの量で存在する。より具体的には,ビタミンは約250mgから約400mgの量で存在する。最も具体的には,ビタミンは約10mgから約50mgの範囲の量で存在する。例えば,ビタミンは,通常,約1ミリグラムから約10ミリグラム,例えば約3マイクログラムから約50マイクログラムのB12の範囲で加えられる。例えば,葉酸は,一般に約50から約400マイクログラムの範囲で加えられ,ビオチンは一般に約25から約700マイクログラムの範囲で加えられ,シアノコバラミンは約3マイクログラムから約50マイクログラムの範囲で加えられる。
【0067】
無機物は,存在する場合には,本発明の組成物中に約25mgから約1000mgの範囲の量で存在する。より好ましくは,無機物は,組成物中に約25mgから約500mgの範囲で存在する。さらにより好ましくは,無機物は組成物中に約100mgから約600mgの範囲の量で存在する。
【0068】
本発明の組成物中には種々の添加物を加えることができる。本発明の組成物の任意の添加物としては,限定されないが,リン脂質,L−カルニチン,デンプン,糖,脂質,抗酸化剤,アミノ酸,蛋白質,香味剤,着色剤,加水分解デンプン,およびこれらの誘導体またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
本明細書において用いる場合,"リン脂質"との用語は,当該技術分野において理解されており,ホスファチジルグリセロール,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジルセリン,ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミン,ならびにホスファチジン酸,セラミド,セレブロシド,スフィンゴミエリンおよびカルジオリピンを表す。
【0070】
本明細書において用いる場合,"抗酸化剤"との用語は,当該技術分野において理解されており,化合物の酸化的劣化を防止または遅延させる合成のまたは天然の物質を表す。抗酸化剤の例としては,トコフェロール,フラボノイド,カテキン,スーパーオキシドディスムターゼ,レシチン,ガンマオリザノール;ビタミン,例えば,ビタミンA,C(アスコルビン酸)およびEおよびベータ−カロテン;天然成分,例えば,ローズマリーおよびサンザシの抽出物に見いだされるカルノソール,カルノシン酸およびロスマノール,ブドウ種子または松樹皮の抽出物および緑茶抽出物に見いだされるようなプロアントシアニジンが挙げられる。
【0071】
本明細書において用いる場合,"フラボノイド"との用語は,当該技術分野において理解されており,身体を癌から守ることを助けると考えられている多くの食品中に見いだされる植物色素を含むことが意図される。これらには,例えば,エピガロカテキンガレート(EGCG),エピガロカテキン(EGC)およびエピカテキン(EC)が含まれる。
【0072】
すべての剤形およびこれらの組み合わせが本発明により企図される。そのような剤形の例としては,限定されないが,チュアブル錠,エリキシル,液体,溶液,懸濁液,乳濁液,カプセル,ソフトゼラチンカプセル,ハードゼラチンカプセル,カプレット,トローチ,チュアブルトローチ,座剤,クリーム,局所投与剤,摂取用剤,注射剤,点滴剤,ヘルスバー,菓子,動物飼料,シリアル,シリアルコーティングおよびこれらの組み合わせが挙げられる。上述の剤形の製造は当業者によく知られている。
【0073】
例えば,ヘルスバーは,限定されないが,配合物と賦形剤(例えば,結合剤,充填剤,香味剤,着色剤等)を混合して柔軟な塊とすることにより,製造することができる。次にこの塊を引き延ばすかまたは成形して,"棒キャンディー"の形状とし,乾燥するかまたは固化させて最終製品を形成する。
【0074】
ソフトゲルまたはソフトゼラチンカプセルは,例えば,限定されないが,配合物を適当なベヒクル(例えば.ぬか油,DHLAおよび/または蜜ろう)に分散させて,高粘度混合物を形成することにより製造することができる。次にこの混合物を,ソフトゲル工業の当業者に知られる技術および装置を用いて,ゼラチン系フイルムを用いてカプセルに封入する。次にこのように形成された工業単位を一定重量となるまで乾燥させる。典型的には,カプセルの重量は約100から約2500ミリグラムであり,特に約1500から約1900ミリグラムであり,さらに好ましくは約1500から約2000ミリグラムの重量であることができる。
【0075】
例えば,ソフトゼラチンシェルを製造する場合には,シェルは約20から70重量%のゼラチン,一般に可塑剤,および約5から約60重量%のソルビトールを含むことができる。ソフトゼラチンカプセルの充填剤は,液体(主としてリモネン,所望の場合にはぬか油および/または蜜ろうと組み合わせて)であり,抗酸化剤の他に,親水性マトリクスを含むことができる。親水性マトリクスは,存在する場合には,約200から2000の平均分子量をもつポリエチレングリコールである。さらなる成分として,任意に増粘剤を含むことができる。1つの態様においては,親水性マトリクスとしては,約200から2000の平均分子量をもつポリエチレングリコール,5から15%のグリセロール,および5から15重量%の水が挙げられる。ポリエチレングリコールは,プロピレングリコールおよび/またはプロピレンカーボネートと混合してもよい。
【0076】
別の態様においては,ソフトゲルカプセルは,ゼラチン,グリセリン,水および種々の添加物から製造される。典型的には,ゼラチンのパーセンテージ(重量)は約30から約50重量%,特に約35から約45重量%,より好ましくは約42重量%である。製剤は,約15から約25重量%のグリセリンを含み,より好ましくは約17から約23重量%,さらに好ましくは約20重量%のグリセリンを含む。
【0077】
カプセルの残余部分は典型的には水である。その量は,約25重量%から約40重量%の範囲で様々であり,特に約30から約35重量%,より好ましくは約35重量%である。カプセルの残余部分は様々であることができ,一般に約2から約10重量%であり,香味剤,糖,着色剤等,およびこれらの組み合わせから構成される。カプセルを加工した後,最終的なカプセルの水含有量は,しばしば約5から約10重量%,特に7から約12重量%,より好ましくは約9から約10重量%である。
【0078】
製造に関しては,標準的なソフトシェルゼラチンカプセル製造技術を用いてソフトシェル製品を製造しうることが企図される。有用な製造技術の例としては,プレートプロセス,R.P.Schererが最初に開発したロータリーダイプロセス,Nortonカプセル装置を用いるプロセス,Accogel装置,およびLederleにより開発されたプロセスが挙げられる。これらのプロセスのそれぞれは成熟した技術であり,ソフトゼラチンカプセルを製造しようとする者にはすべて広く入手可能である。
【0079】
典型的には,ソフトゲルカプセルを製造する場合,総重量は約250ミリグラムから約2.5グラムであり,例えば,400−750ミリグラムである。したがって,ビタミンおよび抗酸化剤等の添加剤の総重量は約80ミリグラムから約2000ミリグラムであり,あるいは約100ミリグラムから約1500ミリグラムであり,特に約120ミリグラムから約1200ミリグラムである。特に,ソフトゲルカプセルは,典型的には約1000ミリグラムから1300ミリグラムの重量であり,ここで,充填パーセンテージはカプセルの全重量の約50%であり,すなわち,約500から約650ミリグラムの充填物重量である。充填物重量は,活性成分,可溶化剤等を含む。
【0080】
ソフトゲルカプセルの製造は,限定されないが,本明細書の全体,および米国特許6,616,942,6,623,734および米国特許出願10/035,753および09/825,920(これらの内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される,当該技術分野においてよく知られる方法により行う。
【0081】
例えば,ソフトゲルカプセルは,ニンニク油とコエンザイムQ物質とを混合してシロップ状混合物とすることにより調製することができる。次に混合物を上述のゼラチンカプセルに封入する。
【0082】
錠剤,カプセル,粉体および/または溶液は,賦形剤,崩壊剤,潤滑剤,結合剤,着色剤,凝集抑制剤,吸収促進剤,可溶化剤,安定化剤等の1またはそれ以上を含むことができる。
【0083】
賦形剤としては,例えば,白砂糖,ラクトース,グルコース,コーンスターチ,マンニトール,結晶質セルロース,リン酸カルシウム,硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0084】
崩壊剤としては,例えば,スターチ,寒天,クエン酸カルシウム,炭酸カルシウム,炭酸水素ナトリウム,デキストリン,結晶質セルロース,カルボキシメチルセルロース,トラガカント等が挙げられる。
【0085】
潤滑剤としては,例えば,タルク,ステアリン酸マグネシウム,ポリエチレングリコール,シリカ,硬化植物油等が挙げられる。
【0086】
結合剤としては,例えば,エチルセルロース,メチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,トラガカント,セラック,ゼラチン,アラビアゴム,ポリビニルピロリドン,ポリビニルアルコール,ポリアクリル酸,ポリメタクリル酸,ソルビトール等が挙げられる。
【0087】
本発明はまた,コエンザイムQ物質,例えば,還元型CoQ−10および/またはCoQ−10と,スルフィド含有化合物と,錠剤,カプセル,エリキシル等を使用する指針との,包装された製剤を提供する。典型的には,包装された製剤は,形態を問わず,個体の食餌中にコエンザイムQ物質および/またはスルフィド含有物質の量の増加を必要とする個体に投与される。典型的には,必要な投与は1日に約1から約4回である。
【0088】
CoQ−10は,種々の生化学的経路における関与が示唆されており,例えば自然にCoQ−10を産生する身体の能力に影響を与えるスタチン剤等に関連する心臓血管病の治療に適している。CoQ−10はまた,種々の歯周病における関与が示唆されている。さらに,CoQ−10は,ミトコンドリア関連疾病および疾患,例えば,アセチルコエンザイムA産生の欠損,パーキンソン病等の神経疾患,およびプラーダー−ヴィリ症候群,偏頭痛および頭痛における関与が示唆されている。
【0089】
したがって,以下の段落1〜48に,本発明の種々の観点を列挙する。1つの態様においては,第1段落(1)においては,本発明は,コエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物,およびコエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物を溶解するのに適した十分量のスルフィド含有物質を含む組成物を提供する。
【0090】
2. 重量ベースで約20パーセントから約70パーセントのコエンザイムQがスルフィド含有物質に溶解している,請求項1に記載の組成物。
【0091】
3. スルフィド含有物質はニンニク油である,請求項1または2に記載の組成物。
【0092】
4. ニンニク油は精製したニンニク油である,請求項1−3のいずれかに記載の組成物。
【0093】
5. スルフィド含有物質は,スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,ペンタスルフィド,またはこれらの混合物である,請求項1−4のいずれかに記載の組成物。
【0094】
6. スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質は,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,請求項5に記載の組成物。
【0095】
7. スルフィド含有物質は精製した物質である,請求項6に記載の組成物。
【0096】
8. コエンザイムQまたは還元型コエンザイムQは次式:
【化5】

または
【化6】

[式中,nは1から約12である]
を有する,請求項1−7のいずれかに記載の組成物。
【0097】
9. nは10である,請求項8に記載の組成物。
【0098】
10. さらに抗酸化剤を含む,請求項1−9のいずれかに記載の組成物。
【0099】
11. 抗酸化剤はジヒドロリポ酸である,請求項10に記載の組成物。
【0100】
12. 組成物はソフトゼラチンカプセル中に封入されている,請求項1−11のいずれかに記載の組成物。
【0101】
13. コエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物の生物利用性を増加する方法であって,コエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物を溶解するのに適した十分な量のスルフィド含有物質を混合することを含む方法。
【0102】
14. 重量ベースで約20パーセントから約70パーセントのコエンザイムQがスルフィド含有物質に溶解している,請求項13に記載の方法。
【0103】
15. スルフィド含有物質はニンニク油である,請求項13または14に記載の方法。
【0104】
16. ニンニク油は精製したニンニク油である,請求項13−15のいずれかに記載の方法。
【0105】
17. スルフィド含有物質は,スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,ペンタスルフィド,またはこれらの混合物である,請求項13−16のいずれかに記載の方法。
【0106】
18. スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質は,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,請求項17に記載の方法。
【0107】
19. スルフィド含有物質は精製した物質である,請求項18に記載の方法。
【0108】
20. コエンザイムQまたは還元型コエンザイムQは次式:
【化7】

または
【化8】

[式中,nは1〜約12である]
を有する,請求項13−19のいずれかに記載の方法。
【0109】
21. nは10である,請求項20に記載の方法。
【0110】
22. さらに抗酸化剤を含む,請求項13−21のいずれかに記載の方法。
【0111】
23. 抗酸化剤はジヒドロリポ酸である,請求項22に記載の方法。
【0112】
24. コエンザイムQ,還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物の生物利用性が,スルフィド含有物質を含まない組成物と比較して約15パーセントから約1500パーセント増加している,請求項13−23のいずれかに記載の方法。
【0113】
25. ミトコンドリア関連疾病および疾患,パーキンソン病,プラーダー−ヴィリ症候群,心臓血管疾患,鬱血性心不全,偏頭痛または頭痛を治療する方法であって,治療を必要とする被験者に,ミトコンドリア関連疾病および疾患,パーキンソン病,プラーダー−ヴィリ症候群,心臓血管疾患,鬱血性心不全,偏頭痛または頭痛を治療するために有効量のコエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物がデリバリーされるように,有効量のコエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物,およびコエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物を溶解するのに適した十分な量のスルフィド含有物質を投与することを含む方法。
【0114】
26. 重量ベースで約20パーセントから約70パーセントのコエンザイムQがスルフィド含有物質に溶解している,段落25に記載の方法。
【0115】
27. スルフィド含有物質はニンニク油である,段落25または26に記載の方法。
【0116】
28. ニンニク油は精製したニンニク油である,段落25−27のいずれかに記載の方法。
【0117】
29. スルフィド含有物質は,スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,ペンタスルフィド,またはこれらの混合物である,段落25−28のいずれかに記載の方法。
【0118】
30. スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質は,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,段落29に記載の方法。
【0119】
31. スルフィド含有物質は精製した物質である,段落30に記載の方法。
【0120】
32. コエンザイムQまたは還元型コエンザイムQは次式:
【化9】

または
【化10】

[式中,nは1から約12である]
を有する,段落25−31のいずれかに記載の方法。
【0121】
33. nは10である,段落32に記載の方法。
【0122】
34. さらに抗酸化剤を含む,段落25−33のいずれかに記載の方法。
【0123】
35. 抗酸化剤はジヒドロリポ酸である,段落34に記載の方法。
【0124】
36. コエンザイムQ,還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物の生物利用性が,スルフィド含有物質を含まない組成物と比較して約15パーセントから約1500パーセント高い,段落25−35のいずれかに記載の方法。
【0125】
37. 被験者においてLDLの酸化を治療または予防する方法であって,治療または予防を必要とする被験者に,被験者におけるLDLの酸化が治療または予防されるように,十分な量のスルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質と,コエンザイムQとを提供することを含む方法。
【0126】
38. スルフィドは,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,段落37に記載の方法。
【0127】
39. スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質はニンニク油である,段落37または38に記載の方法。
【0128】
40. 被験者において心臓血管疾患を治療または予防する方法であって,治療または予防を必要とする被験者に,被験者において心臓血管疾患が治療または予防されるように,十分な量のスルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質とコエンザイムQとを提供することを含む方法。
【0129】
41. スルフィドは,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,段落40に記載の方法。
【0130】
42. スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質はニンニク油である,段落40または41に記載の方法。
【0131】
43. 被験者において糖尿病を治療または予防する方法であって,治療または予防を必要とする被験者に,被験者において糖尿病が治療または予防されるように,十分な量のスルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質とコエンザイムQとを提供することを含む方法。
【0132】
44. スルフィドは,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,段落43に記載の方法。
【0133】
45. スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質はニンニク油である,段落43または44に記載の方法。
【0134】
46. 被験者においてアテローム性動脈硬化症を治療または予防する方法であって,治療または予防を必要とする被験者に,被験者においてアテローム性動脈硬化症が治療または予防されるように,十分な量のスルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質とコエンザイムQとを提供することを含む方法。
【0135】
47. スルフィドは,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,段落46に記載の方法。
【0136】
48. スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質はニンニク油である,段落46または47のいずれかに記載の方法。
【実施例】
【0137】
以下の実施例は例示のみを意図したものであり,限定であると解釈してはならない。
【0138】
Caco−2細胞を用いた吸収試験の方法
1.細胞培養
1.1.Caco−2細胞の維持
Caco−2HTB−37(ヒト結腸腺癌)はATCCから入手し,20%FCS(ウシ胎児血清),1%非必須アミノ酸,0.83mML−グルタミンおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含むDMEM(ダルベッコ/ボート改変イーグル最少必須培地)で37℃でCO2の湿潤雰囲気で維持した。細胞は75cm2培養フラスコ(T75)で成長させ,培地は3日ごとに交換した。コンフルエントに達したらなるべく早く−1週間に1回−トリプシンを用いて分割した。
【0139】
1.2.Caco−2細胞の継代培養
古い培地を廃棄した後,単層を10mLのPBSで洗浄した。次に,細胞をはがすために3mLのトリプシンを加えた。Caco−2細胞はゆっくりした速度で成長することが知られているため,細胞を9mLDMEMとともに激しく混合し,3mLの細胞懸濁液をフラスコに残してこれに17mLのDMEMを加えることにより,細胞を1:4に分割することが合理的である。
【0140】
残りの9mLの細胞懸濁液を15mLのファルコン管に移して実験に用いた。Neubauerチャンバを用いて細胞を計数した後,細胞を6ウエルシンサート(6 Well Thin Certs)および6ウエル(6 Well)にそれぞれ3x105および6.76x105の密度で播種した。最終容量が6ウエル中5mL,6ウエルシンサート中3mLとなるように,DMEMを加えた。
【0141】
培養物は,コンフルエントの約14日後に実験に用いた。これは,この時点でマーカー酵素であるアルカリホスファターゼおよびスクラーゼにより最大の分化が示されたためである。
【0142】
2.実験の設計
2.1.乳濁液の調製
サフラワー油中に溶解/懸濁するか,ニンニク油に溶解するか,または結晶形のCoQ10を,プラスチックチューブに入れ,0.4gのオリーブ油を加えた。サンプルをボルテックスし,10分間超音波処理した。次に,サンプルを80℃の水浴中で10分間静置した。100mLの150mMNaCl溶液中10mM胆汁塩を加えた(10mMの胆汁塩溶液は消化の間の十二指腸中の平均胆汁塩濃度に相当する)。
【0143】
各サンプルについて乳濁剤レシチンの最適量を決定しなければならなかった。レシチン:胆汁塩のモル比は,ほとんどの場合に0.4が適当であることがわかった(0.4236gレシチンを100mLの10mM胆汁塩溶液に加えた)。その後,サンプルを激しく撹拌し,40℃で超音波処理した。適切な溶解のためには連続して撹拌することが必要であった。
【0144】
2.2.懸濁液の調製
また,結晶形のCoQ10については,胆汁塩/NaCl溶液中の単純な懸濁液を調製し,さらに処理することなく吸収試験に用いた。
【0145】
2.3.調製したサンプル
【表1】

【0146】
種々の調製物を用いてCoQ10の吸収を試験した。
【0147】
CoQ10は,ジヒドロリポ酸(DHLA)またはアスコルビン酸−パルミチン酸(AP)をCoQ10のニンニク油溶液に加えることにより,還元型(ユビキノール)としても利用可能であった。
【0148】
【表2】

【0149】
2.4.細胞取り込み
コエンザイムQ10−ミセル溶液をDMEMで1:3(v/v)に希釈した。
【0150】
細胞の単層を2mLのPBSで洗浄した後,1−1.5mLの試験溶液を加えた。細胞培養物を37℃で2時間までインキュベーションした。
【0151】
30,60および120分後,プレート(3プレート/時点)を氷上に置き,培地を別々に回収した。ウエルを1mLのPBSで数回洗浄した。次に,細胞を回収して1−2mLのPBSに加えた。次に,細胞を1,000gで6分間,4℃で遠心分離した。上清を廃棄した。細胞は1mLの2−プロパノール/ヘキサン(1/9,v/v)の存在下で超音波処理により破壊した。CoQ10(酸化型および還元型)を含む有機層をHPLC分析に供した。
【0152】
2.5.HPLC分析
孔径5μm長さ4.6mmの逆相カラム(Spherimage−80)を用いた。溶出は,下記を含む溶媒でアイソクラチックで行った:6.8g酢酸ナトリウム,15mL氷酢酸,15mL2−プロパノール,695mLメタノール,275mLヘキサン,流速1mL/分間。コエンザイムQ10(酸化型および還元型)は275nmでモニターした。
【0153】
2.6.データの評価
CoQ10は培地(細胞外)および細胞内で測定した。酸化型および還元型の両方のCoQ10を定量した。
【0154】
CoQ10の含有量はサンプル調製物によって変動するため,細胞への取り込みは,細胞内部と細胞外部との間の相対的相違(%取り込み)により表す。一連のすべてのサンプルについて,時間0におけるCoQ10の培地の濃度を参照値として用いた。分析により,培地中のCoQ10の含有量はインキュベーション条件の間一定であることが示された。
【0155】
次に,各時点における%取り込みを,ノンコンパートメント薬物動態分析(Cmax,AUC0-120min)に供した。
【0156】
結果
1.1.種々のCoQ10調製物の比較の試験結果
下記に示す結果は還元型と酸化型CoQ10の合計を示す。
【表3】

【表4】

【0157】
表に示されるように,CoQ10をニンニク油に溶解すると,サフラワー油に溶解/懸濁したCoQ10および結晶形で懸濁液としたCoQ10と比較して,実質的により高い吸収値が得られた。
【0158】
1.2.還元型および酸化型CoQ10の吸収の比較
さらに,DHLAまたはアスコルビルパルミチン酸(AP)のいずれかをCoQ10の5倍過剰(モル基準)で加えた後の,ニンニク油中のCoQ10(30%)の溶解を試験した。
【0159】
溶液を室温で光から保護して4日間まで連続的に撹拌して,反応の時間を求めた。
【0160】
APを加えると,1.5日後に完全な還元(>90%の還元型CoQ10)が認められた。DHLAを加えると,4日後に完全な還元が認められた。
【0161】
完全な還元の後,上述したようにインキュベーションを行った。データ分析はサンプル中に見いだされた還元型および酸化型CoQ10の合計である。
【0162】
表3および図3はCoQ10のCaCo2細胞への%取り込みを示す。
【表5】

【0163】
【表6】

【0164】
LDL酸化の防止
ヒトLDLは新鮮なヒト血液から超遠心分離により取得し,次に10mMPBS(pH7.4)に対して4℃で暗所で24時間透析した。LDL(0.1mg/ml)を種々の量の活性構成成分と混合した。CuSO4(10μM)の溶液を加えることにより反応を開始した。次にサンプルを37℃で22時間インキュベーションした。共役ジエンの形成は,Hewlett−Packard分光光度計(Agilent,PaloAlto)を用いて234nmで測定した。
【0165】
データの評価は,ジエン形成の増加の傾きの比較により行った。最も急勾配の傾き(抗酸化剤の添加なし)を100%とした。結果は相対的%として示す。
【0166】
得られた速度論曲線からジエン形成の開始までの遅延時間を見積もった。結果は分で示す。
【0167】
第1部
ニンニク油の存在下におけるLDL−酸化
結果1
【表7】

【0168】
表5に示されるように,ニンニク油は,試験アッセイ溶液(LDLの濃度は0.1mg/mlであった)中50μL/mLの濃度で,LDLの酸化を約54%阻害することができる。
【0169】
第2部
コエンザイムQ10の存在下におけるLDLの酸化
【表8】

【0170】
表6に示されるように,CoQ−10は,試験アッセイ溶液中1mg/mLの濃度で,LDLの酸化(LDL濃度0.1mg/mlにおいて)を約43%阻害することができる。
【0171】
第3部
ニンニク油およびコエンザイムQ10の存在下におけるLDLの酸化
【表9】

【0172】
表7および図6に示されるように,ニンニク油とコエンザイムQ10との組み合わせは,0.1mgのLDLにつき10μLニンニク油/mLおよび10mgコエンザイムQ10/mLの濃度で,LDLの酸化を90%まで阻害する。
【0173】
表5から7および図4から6のデータによれば,LDLの酸化の抑制においてニンニク油とCoQ10との相乗効果が見いだされた。
【0174】
例えば,(10μLニンニク油および0.1mgCoQ10)/mLの組み合わせは,LDLの酸化(0.1mgLDL)を45%阻害し,これは各抗酸化剤の個々の阻害である26%と13%との合計より高い。
【0175】
結果2
以下は,ニンニク油および/またはコエンザイムQ10の存在下においてLDLの酸化を阻害することによる,ニンニク油とCoQ10との間の相対的同等性(relative equivalent)の相関を示す。上述の第1,2および3部に基づいて,図7のデータを計算することができる。
【0176】
図7に基づけば,溶液1mlあたり0.1mgのLDLと混合したとき,ニンニク油がある場合の1mgのCoQ10はニンニク油がない場合の10mgのCoQ10と等価である。
【0177】
結果3
遅延時間を測定したところ,表8に示される結果が得られた。表8のデータは,LDL−酸化の開始の遅延時間(LDL濃度0.1mg/ml)を,個々の成分と,ニンニク油とCoQ10との組み合わせについて比較したときに示される相乗効果を示す。
【表10】

【0178】
好ましい態様を参照して本発明を説明してきたが,当業者は,発明の精神および範囲から逸脱することなく,本発明を形式的および具体的に変更することが可能であることを理解するであろう。背景の節を含め本明細書に引用されるすべての参考文献は,その全体が本明細書に組み込まれる。当業者は,日常的な実験以上のものを用いることなく,本明細書に特定的に記載される本発明の特定の態様に対する多くの均等物を認識し,または確かめることができる。そのような均等物は下記の特許請求の範囲の範囲内に包含されることが意図される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物と,コエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物を溶解するのに適した十分な量のスルフィド含有物質とを含む組成物。
【請求項2】
重量ベースで約10ミリグラムから約400ミリグラムのコエンザイムQが1ミリリットルのスルフィド含有物質に溶解している,請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
スルフィド含有物質はニンニク油である,請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ニンニク油は精製したニンニク油である,請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
スルフィド含有物質は,スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,ペンタスルフィド,またはこれらの混合物である,請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質は,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
コエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物の生物利用性を高める方法であって,コエンザイムQ,または還元型コエンザイムQ,またはこれらの混合物と,これを溶解するのに適した十分な量のスルフィド含有物質とを混合することを含む方法。
【請求項8】
スルフィド含有物質はニンニク油である,請求項7に記載の方法。
【請求項9】
スルフィド含有物質は,スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,ペンタスルフィド,またはこれらの混合物である,請求項7に記載の方法。
【請求項10】
スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質は,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,請求項9に記載の方法。
【請求項11】
被験者において心臓血管疾患を治療または予防する方法であって,治療または予防を必要とする被験者に,被験者において心臓血管疾患が治療または予防されるように十分な量のスルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質とコエンザイムQとを提供することを含む方法。
【請求項12】
スルフィドは,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,請求項11に記載の方法。
【請求項13】
スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質はニンニク油を含む,請求項11に記載の方法。
【請求項14】
被験者において糖尿病を治療または予防する方法であって,治療または予防を必要とする被験者に,被験者において糖尿病が治療または予防されるように十分な量のスルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質とコエンザイムQとを提供することを含む方法。
【請求項15】
スルフィドは,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,請求項14に記載の方法。
【請求項16】
スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質はニンニク油を含む,請求項14に記載の方法。
【請求項17】
被験者においてアテローム性動脈硬化症を治療または予防する方法であって,治療または予防を必要とする被験者に,被験者においてアテローム性動脈硬化症が治療または予防されるように十分な量のスルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質と,コエンザイムQとを提供することを含む方法。
【請求項18】
スルフィドは,ジアリルスルフィド,アリルメチルスルフィド,アリルエチルスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチルアリルジスルフィド,エチルアリルジスルフィド,ジアリルジスルフィド,メチルアリルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,エチルアリルトリスルフィド,ジアリルテトラスルフィド,アジョエン,2−ビニル−4H−1,3−ジチイン,3−ビニル−5H−1,2−ジチイン,メチルアリルスルフィド,ジメチルトリスルフィド,ジメチルジスルフィド,プロピルアリルジスルフィド,アリルプロピルトリスルフィド,メチルアリルテトラスルフィド,メチルアリルペンタスルフィド,6−メチル−1−チア−2,4−シクロヘキサジエン,3−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−メチル−1,2−ジチア−3−シクロペンテン,4−ビニル−1,2,3−トリチア−5−シクロヘキセン,3−ビニル−1,2−ジチア−4−シクロヘキセン,ジプロペニルジスルフィド,ジチオ−(プロペニル)−プロピオネート,2−エチルテトラヒドロチオフェンのいずれか,またはこれらの混合物である,請求項17に記載の方法。
【請求項19】
スルフィド,ジスルフィド,トリスルフィド,テトラスルフィド,またはペンタスルフィド含有物質はニンニク油を含む,請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−505383(P2011−505383A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536232(P2010−536232)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/085267
【国際公開番号】WO2009/073661
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510086512)シーピーシー(ティエンジン)ファイン ケミカルズ コーポレイション,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】