説明

コック

【課題】 レバー操作によって弁体が開放された時に快音が出るようにし、そのことによりレバーの操作性を向上したコックの提供。
【解決手段】 コック本体1と、コック本体1の上部に取付けたキャップ3と、コック本体1の液体注出口2を開閉する弁体4と、弁体4を動かすためのレバー5とを備え、キャップ3に音発生機能部6を、レバー5に音発生機能部6への当接部7を備え、レバー5を弁体4の開放方向に操作したとき、レバー5に設けた当接部7が音発生機能部6を押圧して快音を発することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料や液状調味料等の注出に用いられるコックに関する。
【背景技術】
【0002】
液体の取出し口に設けるコックとして、注出口を塞いでいる弁体をハンドルの回転により開閉するネジ式コックと、弁体をレバーの上下揺動により開閉するレバー式コックとが知られている。その内、レバー式コックは、レバーを倒すことで注出口を塞いでいる弁体が引き上げられ、注出口から液体が注出される構造であるが、レバーを操作する加減が使用者によく分からず、また液体が注出されるときに何の音もしない(液体の注出音が発生する)ため、注意していないと液体が出すぎてしまうことがあり、使用者は液体の注出状況を目で確認しながら、慎重にレバーを操作する必要があった。そのため、目の不自由な人には特に使いにくいものであった。
本出願人は、ペットボトルの口部にエルボを介してコックを接続し、これをスタンドに逆立ち状態に保持し、コックのレバーを操作することでペットボトル内の液体を注出できるようにしたサーバーを開発し、特許出願している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−120221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、レバー操作によって弁体が開放される時に快音が出るようにし、そのことによりレバーの操作性を向上したコックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるコックは、コック本体と、コック本体の上部に取付けたキャップと、コック本体の液体注出口を開閉する弁体と、弁体を動かすためのレバーとを備え、キャップに音発生機能部を、レバーに音発生機能部への当接部を備え、レバーを弁体の開放方向に操作したとき、レバーに設けた当接部が音発生機能部を押圧して快音を発することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明によるコックは、請求項1記載の発明の構成に加え、音発生機能部は、2〜3個のドームスプリングを重ね合わせにし、最上部のドームスプリングをレバーの当接部で押圧することで快音を発することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明によるコックは、請求項1又は2記載の発明の構成に加え、レバーの当接部は、音発生機能部の中心からずれた位置を押圧することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明によるコックは、請求項1記載の発明の構成に加え、音発生機能部は弾性爪を有し、レバーの操作時に弾性爪がレバーの当接部に当接して変形・復帰するのに伴って快音を発することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によるコックは、キャップに音発生機能部を、レバーに音発生機能部への当接部を備えているため、レバーを弁体の開放方向に操作する毎に、レバーに設けた当接部が音発生機能部を押圧して快音を発する。その結果、使用者は液体の注出状況を目で確認しなくても、約1回分の液体を注出できる。またこのようにレバーを操作したときに快音を発することで、目の不自由な人にも使いやすいものとなる。更に、快音を発するようにしたことで、レバーの操作性が複雑になることもなく、従来と同様に操作し得る。
【0010】
請求項2記載の発明によるコックは、請求項1記載の特徴に加えて、音発生機能部としてドームスプリングを2〜3枚重ね合わせにし、最上部のドームスプリングをレバーの当接部で押圧すると、各ドームスプリングが変形し、変形時に快音を発するようにしたので、簡単な構造で確実に快音を発生することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によるコックは、請求項1,2記載の特徴に加えて、レバーの当接部が音発生機能部(ドームスプリング)の中心からずれた位置を押圧するようにしたことで、押圧による変形が一定し、変形時の振動が妨げられないばかりか、音発生機能部から発する快音を大きくできる。
【0012】
請求項4記載の発明によるコックは、請求項1記載の特徴に加えて、音発生機能部は弾性爪を有し、レバーの操作時に弾性爪がレバーの当接部に当接して変形・復帰するのに伴って快音を発するようにしたので、音発生機能部の構造をより簡素化でき、且つレバーを操作する毎に確実に快音を発生させられる。また、快音を発した後にレバーをさらに開放側に操作することを可能にしたことで、流れにくい液体であっても良好に注出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のコックの第一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】同コックの液体注出時の縦断面図である
【図3】同コックの正面図である。
【図4】同コックのキャップ部の分解斜視図である。
【図5】同コックを用いたサーバーの一部切欠正面図である。
【図6】音発生機能部の他の構成例を示すコックの縦断面図である。
【図7】本発明のコックの第二実施形態を示す縦断面図である。
【図8】第二実施形態のコックの正面図である。
【図9−1】第二実施形態のコックの液体注出時における動きを順に示す縦断面図である。
【図9−2】第二実施形態のコックの液体注出後にレバーが復帰する際の動きを順に示す縦断面図である。
【図10】(a)は空気導入管の先端部に設ける逆止弁の第二実施形態を示す正面図、(b)はそのA−A断面図である。
【図11】同逆止弁の使用状態を示す要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。図5は、ペットボトルP(以下、ボトルPとする。)を利用するサーバーの全体図であり、このサーバーはボトルPの口部Qにエルボ9を接続し、エルボ9にコック8を接続し、これをスタンド10に逆立ち状態に立たせ、コック8のレバー5を操作してボトルPから液体Wを注出するものである。
ボトルPには、だし入りの液状タイプの味噌W(以下、液状味噌という)が充填されており、これをコック8からお椀等の容器Eに注ぎ、お湯と好みで具を入れて混ぜることで、美味しい味噌汁が簡単に作れるものである。
【0015】
エルボ9は、スタンド10へ当接する鍔部17より上側にボトル口部Qを捩じ込んで接続するボトル接続部12を、鍔部17より斜め下向きに傾斜するコック接続部13を備え、且つ、ボトルPの中心軸Cに一致する筒状軸部16を垂設し、内部に液状味噌Wを導く管路11が下向きに曲がった状態で形成している。
ボトル接続部12には、ボトル口部Qのネジと螺合する雌ネジ部が形成してあると共に、ボトル口部Qの端面と密着するようにパッキンが取付けてあり、コック接続部13には、左右両側に略L字形の係合溝14が形成してあると共に、コック8の差込部15の端面が密着するパッキンが取付けてある。
筒状軸部16は貫通孔18に空気導入管19を挿入し、下端に空気取り入れ口20を形成し、略鉛直に起立しており、空気導入管19の先端に、空気導入管19内に液状味噌Wが流入するのを防ぐ逆止弁21を取付けてある。
コック8から液状味噌Wを注出する際には、空気取り入れ口20より空気導入管19を通じてボトルP内に空気が流入する。
【0016】
スタンド10は、上側にエルボ9を収容する凹部22が形成してあり、凹部22にはエルボ9の鍔部17を受ける座部23と、座部23の下方の中心位置にエルボ9の筒状軸部16を差し込む竪穴24を設けてある。
このように、エルボ9の鍔部17をスタンド10の座部23で支持すると共に、エルボ9の筒状軸部16を座部23より下方の竪穴24に差込んで保持することにより、ボトルPを常にスタンド10の中心に垂直に安定して保持することができる。
【0017】
コック8は、図1に示すように、コック本体1と、コック本体1の上側開口部25を塞ぐキャップ3と、コック本体1の下部に設けた液体注出口2を開閉する弁体4と、キャップ3に挿通して下端部を弁体4と連結した弁棒26と、弁棒26を下向きに付勢するコイルスプリング27と、弁棒26の上端部に連結したレバー5とを備える。コック本体1とキャップ3と弁棒26とレバー5は硬質プラスチック製であり、弁体4はシリコンゴム製であり、コイルスプリング27はステンレス製である。
【0018】
コック本体1は、上下に貫通する空室28を備え、上部と下部が円形に開口すると共に、空室28より斜め上向きにエルボ9と接続するための接続管29を設け、空室28下部の中心部に液体注出口2をくびれた形で設けてある。接続管29は先部にエルボ9への差込部15を備え、差込部15の左右両側に円形断面の突起30が設けてある。コック8をエルボ9と接続する場合、先ず突起30をエルボ9の係合溝14に係合させながら差込部15をエルボ9のコック接続部13に差込み、その後コック8を少しねじって突起30を係合溝14の先端部に係止させることで、コック8がエルボ9から抜けないように固定される。
【0019】
キャップ3は、上位蓋体3aと下位蓋体3bの二部材で構成され、下位蓋体3bは、コック本体1の上側開口部25にネジ31により着脱自在に取付けられ、上位蓋体3aは下位蓋体3b上に中心軸周りに回転自在に嵌合している。
弁棒26は、図1に示すように、上端部にフック部36を、中間部にコイルスプリング27の係止部37を、下端部に弁取付部38が形成してある。
コイルスプリング27は、下位蓋体3bと弁棒26の係止部37間に配置され、弁棒26を下向きに付勢している。
弁体4は、下端部に液体注出口2を上方から塞ぐ塞ぎ部4aが形成され、その上方に連続して弁棒26とコイルスプリング27の周囲を囲む伸縮自在なカバー部4bを有し、カバー部4bの上縁にはフランジ部4cが形成され、フランジ部4cをコック本体1の上端面と下位蓋体3b間に挟持してある。
【0020】
上位蓋体3aは、図1,4に示すように、手前側(レバー5の操作側)に上向きに開口する収容室32が形成してあり、その収容室32内に音発生機能部6を収容保持している。
音発生機能部6は、薄いステンレス板をドーム状に加工した3枚のドームスプリング6a,6b,6cを用いたものであり、具体的には、上側に2枚のドームスプリング6a,6bを上方に膨らむように、下側に1枚のドームスプリング6cを下方に膨らむように納め、弁体4が略開放した頃に後述するレバー5の当接部7が当接して押圧する。
ドームスプリング6a,6b,6cは、樹脂製の保持部材33a,33bで外周縁部を上下から挟み、上位蓋体3aの収容室32内に収容保持してある。さらに上位蓋体3aは、図1,3に示すように、レバー5の側壁34,34を両側から挟む位置に突壁35,35が設けてある。
【0021】
レバー5は、図1,3に示すように、上部より手前側(操作側)に操作部39を突設し、奥側の下面に一対の側壁34,34が対向して形成され、側壁34,34間に水平軸40が架設してあり、水平軸40に弁棒26のフック部36を引っ掛けてある。
水平軸40は、側壁34の前後方向の中心に対して奥側に偏心した位置に設けてあり、側壁手前側縁34aから水平軸40までの距離Xは、側壁下縁34bから水平軸40までの距離Yよりも大きくなっている。側壁手前側縁34aと側壁下縁34bとのコーナー部34cは、水平軸40と略同じ高さまでかかるR状に面取りしてある。
レバー5下面の側壁34,34間には、音発生機能部6への当接部7が手前側の斜め下向きに突き出すように設けてあり、この当接部7は先端に向かうにつれて細くなっており、且つその先端7aは斜めに面取りして尖った状態にしてある。
【0022】
図2に示すように、レバー5の操作部39の手前側(操作側)に手指Fを掛けて下向きに押すと、レバー5が全体的に下向きに傾き、これに伴って水平軸40でレバー5と連結された弁棒26が上方に引き上げられて弁体4が液体注出口2から離れ、液体注出口2よりボトルP内の液状味噌Wが注出される。
このようにレバー5を弁体4が開放する方向に操作したときに、レバー5の当接部先端7aがキャップ3に収容保持した音発生機能部6の最上部のドームスプリング6aに突き当たり、重なり合うドームスプリング6a,6b,6cを押圧し、ドームスプリング6a,6b,6cが変形することで「カチッ」と快音が発生する。
レバー5から手指Fを離すと、弁棒26がコイルスプリング27の押圧力で下降して弁体4が液体注出口2を塞ぐため、液状味噌Wの注出がストップし、レバー5は水平な状態に復帰する。レバー5が復帰する際、当接部7が図1は又は図6に示すように音発生機能部6のドームスプリング6a,6b,6cから離れ、ドームスプリング6a,6b,6cは復帰するため、このときにも音発生機能部6から快音が発せられる。
【0023】
第一実施形態のコック8は以上に述べたように、レバー5を弁体4が開放する方向に操作したときにレバー5の当接部7が音発生機能部6のドームスプリング6a,6b,6cを押圧し、ドームスプリング6a,6b,6cが変形することで快音が発せられるため、使用者は注出状況を目で確認することなく、その音が鳴るまでレバー5を手指Fで押せばよいため、操作性が向上する。またそのようにレバー5の操作時に快音を発することで、目が不自由な人でも容易に液状味噌Wの注出が行える。
さらに、快音が発生するまでレバー5を押し、快音が発生したらすぐレバー5から手指Fを離すことで、お椀一杯の味噌汁を作るのに相当な量だけ液状味噌Wが注出され、毎回の注出量をほぼ一定にできる。
音発生機能部6として安価なドームスプリング6a,6b,6cを利用したので、コストを抑えられ、電子部品や電池等を用いることなく、レバー5の操作に伴って何度でも快音を発生させることができる。
さらに第一実施形態のコック8は、レバー5を弁棒26と共に垂直軸周りに回転させて、使用者が操作しやすい向きにレバー5を向けることができ、上位蓋体3aにはレバー5の側壁34,34を挟むように突壁35,35が設けてあるため、レバー5を回転させると上位蓋体3aもレバー5と共に回転するため、レバー5の向きを変えても当接部7で音発生機能部6を押圧し、快音を発せられる。さらに同コック8は、部品ごとに分解することができ、洗浄も容易に行える。
【0024】
当接部先端7aは先細に尖らせ、音発生機能部6の中心からずれた位置、即ち、ドームスプリング6a,6b,6cの中心からずれた位置に当接し、当接状態からそのまま押し込むようにしてあり、そのことによりドームスプリング6a,6b,6cの変形が安定し、変形時に発する快音が高くなり、使用者がその快音を聞き取りやすくなる。
即ち、当接部7がドームスプリング6aの中心に当接すると、ドームスプリング6a,6b,6cが反転変形してもその振動が当接部7により抑えられるために快音が小さくなるが、上記のように当接部7がドームスプリング6aの中心からずれた位置を押圧すると、ドームスプリング6a,6b,6cが反転変形するときの振動が妨げられず、ドームスプリング6a,6b,6cの変形時に発する快音が大きく高くなり、使用者がその快音を聞き取りやすくなる。さらに、ドームスプリング6a,6b,6cを複数枚重ねて設置することで、ドームスプリング6a,6b,6cから発する音が共鳴し、より大きな快音になる。
【0025】
なおドームスプリング6a,6b,6cは、図6に示すように、3枚とも上方に膨らんだ状態でセットしてもよいし、上方に膨らんだ状態で1枚ないし2枚セットしてもよい。
各ドームスプリング6a,6b,6cは、板厚が0.06〜0.08mmで、膨らみ高さが約0.2mmのものを使用している。
快音発生メカニズムは定かでないが、図1に示すように、上方に膨らんだ2枚のドームスプリング6a,6bと下方に膨らんだ1枚のドームスプリング6cを重ね合わせてセットした場合、上側の2枚のドームスプリング6a,6bが凹み変形して快音を発し、下方に膨らんだドームスプリング6cは、ドームスプリング6a,6bの凹み変形で発した快音を反響するものと思われるし、図6に示すように、ドームスプリング6a,6b,6cを3枚とも上方に膨らむ状態で重ね合わせてセットした場合、ドームスプリング6a,6b,6cが3枚とも凹み変形し、変形音が共鳴して快音を発するものと思われる。
【0026】
図7,8は、本発明のコック8の第二実施形態を示しており、これまでに説明した第一実施形態のコックとは、キャップ3に設けられる音発生機能部6とレバー5に設けられる当接部7が異なっている。
即ち、音発生機能部6は、上位蓋体3aの収容室32内に保持されるベース部42と、ベース部42の手前側より上方に突出し、後方側に折り返して略「つ」の字形を成す弾性爪43とを備え、硬質樹脂で一体成形されている。
レバー5には、弾性爪43への当接部7を鉛直に垂下し、当接部7の先端部の手前側に三角形状の突部44を突設し、突部44の下側斜面44aの下方に弾性爪43の先端部が若干隙間をあけた状態で対向している。
【0027】
第二実施形態のコック8は、図9−1(a)に示すように、レバー5の操作部39に手指Fを掛けて下向きに押すと、弾性爪43の先端が当接部7の先端部に設けた突部44の下側斜面44aに当接して弾性爪43が押し縮められ、さらにレバー5を押し下げると、図9−1(b)に示すように、弾性爪43の先端部が突部44を乗り越え、押し縮められた弾性爪43が弾発的に復帰し、弾性爪43の先端が当接部7に衝突することで、「カチッ」と快音が発生する。この時点で、弁棒26が上方に引き上げられて弁体4が液体注出口2から離れ、液体注出口2よりボトルP内の液状味噌Wが注出される。
さらに第二実施形態のコック8は、図9−1(c)に示すように、弾性爪43の先端を当接部7に摺接させながら、レバー5を快音が発生するときの状態よりさらに大きく押し下げると、弁体4をより上方まで引き上げることができる。
レバー5から手指Fを離すと、レバー5はコイルスプリング27の力で復帰するが、その際に図9−2(d)に示すように、弾性爪43の先端が当接部7の先端部に設けた突部44の上側斜面44bに当接して弾性爪43が押し広げられ、その後に弾性爪43の先端部が突部44を乗り越え、押し広げられた弾性爪43が弾発的に復帰し、図9−2(e)に示すように、弾性爪43の先端が突部44の下側斜面44aに衝突することで、再び「カチッ」と快音が発生する。また、レバー5が復帰するのに伴い、弁棒26が下降して液体注出口2が弁体4により塞がれ、液状味噌Wの注出がストップする。
【0028】
以上に述べたように第二実施形態のコック8は、音発生機能部6を硬質樹脂により一体成形したので、ドームスプリング6a,6b,6cを利用する第一実施形態のものよりも構造を簡素化でき、しかも弾性爪43の変形・復帰によりレバー5を操作する度に確実に快音を発生させられる。
また第二実施形態のコック8は、レバー5を快音発生状態よりさらに大きく押し下げ、弁体4をより上方まで引き上げることができるので、冬期や液状味噌Wを冷蔵庫で冷やしておいたときなど、液状味噌Wの温度が低く流れにくい場合であっても、良好に注出することができる。
【0029】
また第二実施形態のコック8は、図7に示すように、下位蓋体3bの下面と弁体4の上端部に形成されたフランジ部4cとの間に、硬質樹脂等の滑りの良い素材で形成したスリップリング45を介在させている。スリップリング45は、弁体4のフランジ部4cの内周側に挿入される内周突部46と、フランジ部4cの外周側に掛かる外周突部47を有し、外周突部47の突出高さはフランジ部4cの厚みよりも若干低くなっている。
第一実施形態のコックにあっては、下位蓋体3bの下面に弁体4のフランジ部4cが直に当接するため、下位蓋体3bを回転させてコック本体1にネジ31で結合する際に、フランジ部4cが下位蓋体3bの下面と連れ回り、フランジ部4cにねじれ等の変形を生ずることがある。
第二実施形態のコック8は、上記のように下位蓋体3bの下面と弁体4のフランジ部4c間にスリップリング45を介在させたことで、下位蓋体3bを回転させてコック本体1にネジ31で結合する際に、下位蓋体3bとスリップリング45との間で滑りが生じ、フランジ部4cは回転力を受けずに単に圧縮されるため、フランジ部4cのねじれ等の変形を防止し、液状味噌Wが漏れるのを防止できる。スリップリング45の外周に、フランジ部4cの厚みよりも突出高さの低い外周突部47を有しているため、下位蓋体3bを締め込んでいったときに外周突部47がコック本体1の上端に当接したところで下位蓋体3bの締め込みが制限され、フランジ部4cの圧縮量を一定にすることができる。
【0030】
図10は、ボトルP内に挿入される空気導入管19の先端部に取付けられる逆止弁21の第二実施形態を示している。この逆止弁21は、シリコンゴムで一体に成形され、弁下部21aに空気導入管19の挿入部48を有し、弁上部21bは薄肉で鳥のくちばし状に形成され、先端にスリット49が形成してある。逆止弁21の中間部には、外周側に張り出した鍔部50が形成してある。
第二実施形態の逆止弁21は、中間部に鍔部50を設けたことで、図11に示すように、空気導入管19が曲がっても逆止弁21の弁上部21bがボトルPの内面に接触しないため、空気導入管19に液状味噌Wが流入するのを確実に防止できる。
【0031】
本発明のコックは以上に述べた実施形態に限定されない。例えば、音発生機能部6は、ドームスプリング以外にも変形時に快音を発するものであれば利用できるし、ドームスプリングは、1枚や2枚であってもよい。また、ドームスプリングによる快音の発生は、ドームスプリング6aの膨らみ部の一を、膨らみ方向と反対側に押圧し、押圧部が反転変形した際に発するものと思われる。弾性爪43の形状、材質は、適宜変更することができる。
コックから注出する液体Wの種類は任意であり、液状味噌に限らず、醤油やマヨネーズ等の液状味噌以外の調味料であってもよいし、清涼飲料、お茶や水、ウイスキーや焼酎等のアルコール類でもよい。
本発明のコックは、エルボ9を介することなく使用し得る。例えば、ドリンクバーに配置されているサーバーに直接取付けてあるコックであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 コック本体
2 液体注出口
3 キャップ,3a 上位蓋体,3b 下位蓋体
4 弁体,4a 塞ぎ部,4b カバー部,4c フランジ部
5 レバー
6 音発生機能部,6a,6b,6c ドームスプリング
7 当接部,7a 当接部先端
8 コック
9 エルボ
10 スタンド
11 管路
12 ボトル接続部
13 コック接続部
14 係合溝
15 差込部
16 筒状軸部
17 鍔部
18 貫通孔
19 空気導入管
20 空気取り入れ口
21 逆止弁,21a 弁下部,21b 弁上部
22 凹部
23 座部
24 竪穴
25 上側開口部
26 弁棒
27 コイルスプリング
28 空室
29 接続管
30 突起
31 ネジ
32 収容室
33a,33b 保持部材
34 レバー側壁,34a 側壁手前側縁,34b 側壁下縁,34c コーナー部
35 突壁
36 フック部
37 係止部
38 弁取付部
39 操作部
40 水平軸
42 ベース部
43 弾性爪
44 突部,44a 突部の下側斜面,44b 突部の上側斜面
45 スリップリング
46 内周突部
47 外周突部
48 挿入部
49 スリット
50 鍔部
W 液状味噌(液体)
E 容器
P ペットボトル
Q ボトル口部
C ペットボトルの中心軸
F 手指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コック本体と、コック本体の上部に取付けたキャップと、コック本体の液体注出口を開閉する弁体と、弁体を動かすためのレバーとを備え、
キャップに音発生機能部を、レバーに音発生機能部への当接部を備え、
レバーを弁体の開放方向に操作したとき、レバーに設けた当接部が音発生機能部を押圧して快音を発することを特徴とするコック。
【請求項2】
音発生機能部は、2〜3個のドームスプリングを重ね合わせにし、最上部のドームスプリングをレバーの当接部で押圧することで快音を発することを特徴とする請求項1記載のコック。
【請求項3】
レバーの当接部は、音発生機能部の中心からずれた位置を押圧することを特徴とする請求項1又は2記載のコック。
【請求項4】
音発生機能部は弾性爪を有し、レバーの操作時に弾性爪がレバーの当接部に当接して変形・復帰するのに伴って快音を発することを特徴とする請求項1記載のコック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−64490(P2013−64490A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11151(P2012−11151)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【出願人】(510303707)有限会社ユタカ産業 (4)
【出願人】(595068232)マルコメ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】