説明

コップ収納用トレー

【課題】 複数のサイズのコップを1つの凹部にて確実に収納保持することができ、強度を維持し得るコップ収納用トレーを提供すること。
【解決手段】 コップ収納用凹部(5)の底面(2)と略同一深さの一対の脚部(12)を形成し、上記コップ収納用凹部(5)には、該凹部の中心方向に突出する3箇所の凸面部(6)を間隔を置いて突設し、上記各凸面部(6)の底面近傍に略方形の開口部(8)を設けると共に、これらの開口部(8)の上縁から上方に開口してスリット(9)を形成し、上記開口部(8)はその高さ(α)が横幅(β)の1/3以上の長さを有する方形をなしており、U字状縁部(5’)の連続縁中央部(5b)側に位置するスリット(9a)は、その長さが短く形成され、該スリット上端と上記コップ収納用凹部の上面開口までの周壁に補強用周壁(4b)を形成したコップ収納用トレー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば持ち帰り用の袋或いは折り畳み可能な手提げ箱内等の底部に設置され、1つのコップ収納用凹部において、大きさの異なる紙コップ等を確実に収納保持することができるコップ収納用トレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファーストフード店等において、飲料物を購入して持ち帰るとき、持ち帰り用の紙袋内の底部にトレーを設置し、当該トレーに飲料物の紙コップを収納保持することが行われている。
【0003】
上記従来のトレーとしては、特許文献1,2に示すように、パルプモウルド製のトレーであって、2個又は4個の隣接するコップ収納用凹部を有するものが提案されている。
【0004】
このトレーは、上記コップ収納用凹部に紙コップを収納すると、凹部の内周面が紙コップの外周に接触することにより、当該凹部内に紙コップを保持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−106935号
【特許文献2】特開平11−227736号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1,2のトレーにおいて、逆T字型のスリットがコップ収納用凹部の上縁まで形成されているので、特に脚部とは離れた位置にある両端部側のスリットにおいて、該スリットの上端部側からトレーが断裂し易くなり、トレーの強度が弱いという課題があった。
【0007】
また、上記逆T字型のスリットは下端の水平方向のスリットの幅が狭いので、パルプモウルド成形時に当該スリットがパルプ繊維のバリによって完全に塞がれてしまい、その結果スリットとして機能が失われてしまうという問題があった。上記スリットの機能が失われると、当該スリット近傍の周壁が弾性変形し難くなるため、当該凹部に収納保持し得る紙コップの大きさは一種類に限定されてしまうという課題があった。
【0008】
よって、コップ収納用トレーとしての強度を維持しつつ、複数の大きさの紙コップ等のコップを確実に保持し得るコップ収納用トレーが望まれている。
【0009】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、複数のサイズのコップを1つの凹部にて確実に収納保持することができ、しかも強度を維持し得るコップ収納用トレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、底面から上面開口に向って起立する周壁を有するコップ収納用凹部を具備するパルプモウルド製のコップ収納用トレーにおいて、上記コップ収納用凹部の上面開口の縁にU字状縁部を設け、該U字状縁部の一対の端部側の上記コップ収納用凹部の外側に、上記底面と略同一深さの一対の脚部を形成し、これら一対の脚部と上記底面により当該コップ収納用トレーを自立可能に構成し、上記コップ収納用凹部には、該凹部の中心方向に突出する3箇所の凸面部を、上記U字状縁部の連続縁中央部側の周壁と、上記各脚部近傍の周壁に、互いに120度の間隔を置いて突設し、上記各凸面部の上記底面近傍の周壁に略方形の開口部を各々設けると共に、これらの開口部の上縁から上記各凸面部の中心部を上方に開口してスリットを形成し、上記各スリットの左右周壁を拡径方向に弾性変形可能に形成し、上記U字状縁部の上記連続縁中央部側に位置する上記スリットは、他の2箇所の上記スリットよりその長さが短く形成され、上記短いスリットの上端と上記コップ収納用凹部の上記上面開口までの上記周壁に補強用周壁が形成されているものであることを特徴とするコップ収納用トレーにより構成される。
【0011】
このように構成すると、U字状縁部(5’)の連続縁中央部(5b)側のスリット(9a)の上部側に補強用周壁(4b)が形成されているので、コップ収納用トレーの強度を向上することができる。
【0012】
第2に、上記各開口部の上縁には、上記コップ収納用凹部に収納されるコップの外周面に対向する薄肉保持面が各々形成されているものであることを特徴とする上記第1記載のコップ収納用トレーにより構成される。
【0013】
よって、コップの収納時に、上記薄肉保持面(8a)がコップの外周面に接触するので、コップを確実に収納保持することができる。
【0014】
第3に、上記各開口部はその高さ(α)が横幅(β)の1/3以上の長さから上記横幅(β)と略同じ長さの範囲を有する方形をなしているものであることを特徴とする上記第1又は2記載のコップ収納用トレーにより構成される。
【0015】
このように構成すると、開口部(8)の高さ(α)が横幅(β)の1/3以上の長さを有しているため、パルプモウルド成形においてバリにより塞がれてしまうことがなく、スリット(9)の左右周壁(4a,4a)が十分に弾性変形し得るため、異なる直径のコップをも確実に収納保持することができる。
【0016】
第4に、上記各開口部はその高さ(α)が横幅(β)の1/6以上の長さから上記横幅(β)と略同じ長さの範囲を有する方形をなしているものであることを特徴とする上記第1又は2記載のコップ収納用トレーにより構成される。
【0017】
このように構成すると、開口部(8)の高さ(α)が横幅(β)の1/6以上の長さを有しているため、パルプモウルド成形においてバリにより完全に塞がれてしまうことがなく、スリット(9)の左右周壁(4a,4a)が十分に弾性変形し得るため、異なる直径のコップをも確実に収納保持することができる。
【0018】
第5に、2個の上記コップ収納用トレーを、互いの一対の上記脚部同士が各々連結されるように左右方向に一体に形成し、上記コップ収納用トレーを一体形成した状態において、上記トレーを一体に連結する左右連結部に、上記両トレーを左右に2分割し得るミシン目を、上記左右方向に直交する方向に形成したものであることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載のコップ収納用トレーにより構成される。
【0019】
このように構成すると、直径の異なるコップを各々収納することができるコップ収納用凹部(5)を2個有するコップ収納用トレー(図3参照)を形成することができる。そして、かかるコップ収納用トレーをそのミシン目(16)から左右に分離することにより、直径の異なるコップを収納することができる1個のコップ収納用凹部(5)を有する2個のコップ収納用トレー(1)に分離することができる。
【0020】
第6に、上記ミシン目にて上記コップ収納用トレーを2分割した状態において、分割後の各コップ収納用トレーは、上記各底面と各一対の上記脚部にて各々自立可能であることを特徴とする上記第5記載のコップ収納用トレーにより構成される。
【0021】
このように構成すると、分割後の1個のコップ収納用凹部(5)を有するコップ収納用トレー(1)にコップを収納した状態で、当該トレー(1)を自立させることができ、1個のコップを例えば持ち帰り用袋の内部で安定して自立させることができる。
【0022】
第7に、上記第5記載の2個の上記コップ収納用凹部を有する上記コップ収納用トレーを、互いの一方の上記脚部同士が各々連結するように前後方向に一体に形成することにより、4個の上記コップ収納用凹部を有するコップ収納用トレーを一体に形成し、上記コップ収納用トレーを一体形成した状態において、上記トレーを一体に連結する前後連結部に、上記トレーを2個ずつの上記コップ収納用凹部を有するコップ収納用トレーに前後に2分割するためのミシン目を、上記前後方向に直交する方向に形成したものであることを特徴とする上記第5記載のコップ収納用トレーにより構成される。
【0023】
このように構成すると、直径の異なるコップを各々収納することができるコップ収納用凹部(5)を4個有するコップ収納用トレー(図5参照)を形成することができる。そして、かかるコップ収納用トレー(1)をそのミシン目(16’)から前後に分離することにより、直径の異なるコップを収納することができる2個のコップ収納用凹部(5)を有する2個のコップ収納用トレーに分離することができる。
【0024】
第8に、上記コップ収納用凹部において、上記各凸面部間の上記底面には該底面より一段高い同一高さの段部を各々設けると共に、上記各段部の内周面によって段部内接円が形成されるように上記各内周面を円弧状に形成し、上記各内周面により形成される上記段部内接円の直径が、上記各凸面部の突出頂部の凸面部内接円の直径より小であることを特徴とする上記第1〜7の何れかに記載のコップ収納用トレーにより構成される。
【0025】
このように構成すると、上記段部内接円(S2)の直径より大きく、上記凸面部内接円(S1)の直径より小さいサイズの直径のコップ(小サイズのコップ22)は、上記段部(10)によって弾性的に収納保持することができ、例えば上記凸面部(6)によって大サイズと中サイズのコップを収納保持し、上記段部(10)によって小サイズのコップを保持することが可能となり、1つのコップ収納用凹部において3種類(大中小)のサイズのコップを収納保持することができる。
【0026】
第9に、上記各段部は、上記各スリットの下端部(9’)位置より低い高さであることを特徴とする上記第8記載のコップ収納用トレーにより構成される。
【0027】
このように構成すると、例えば大サイズ或いは中サイズのコップを収納保持すると、各サイズのコップの外周側面を上記凸面部(6)にて確実に収納保持し得ると共に、各コップの下端は上記各段部(10)の上面(10b)にて支持し得るので、各サイズのコップを安定して保持し得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明は上述のように、異なるサイズのコップを1つのコップ収納用凹部にて確実に収納保持することができ、しかもスリットからの断裂を防止し得て、強度も十分に高いコップ収納用トレーを実現したものである。
【0029】
また、コップ収納時に、薄肉保持面がコップの外周面に接触するので、コップを確実に収納保持することができるものである。
【0030】
また、直径の異なるコップを各々収納することができるコップ収納用凹部を2個有するコップ収納用トレーを形成することができ、しかも、かかるコップ収納用トレーをそのミシン目から左右に分離することができるため、各使用態様に適切に対応可能なコップ収納用トレーを実現し得る。
【0031】
また、1個のコップ収納用凹部を有するコップ収納用トレーにコップを収納した状態で、当該トレーを自立させることができ、1個のコップを例えば持ち帰り用袋の内部で安定して自立させることができる。
【0032】
また、直径の異なるコップを各々収納することができるコップ収納用凹部を4個有するコップ収納用トレーを形成することができ、しかも、かかるコップ収納用トレーをそのミシン目から前後に分離することにより、2個のコップ収納用凹部を有する2個のコップ収納用トレーに分離することができ、各使用態様に適切に対応可能なコップ収納用トレーを実現し得る。
【0033】
また、コップ収納用凹部に段部を形成することによって、1つのコップ収納用凹部において大中小の3種類のサイズのコップを安定して収納保持することができるコップ収納用トレーを実現したものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るコップ収納用トレーの平面図である。
【図2】同上トレーの斜視図である。
【図3】コップ収納用凹部を2個有する同上トレーの平面図である。
【図4】コップ収納用凹部を2個有する同上トレーの斜視図である。
【図5】コップ収納用凹部を4個有する同上トレーの平面図である。
【図6】コップ収納用凹部を4個有する同上トレーの斜視図である。
【図7】同上トレーにコップ(中)を収納した状態を示す側面断面図である。
【図8】同上トレーにコップ(中)を収納した状態を示す一部切欠斜視図である。
【図9】(a)は同上トレーの平面図、(b)はコップ(中)を収納した状態における(a)のD−D線断面図である。
【図10】同上トレーにコップ(大)を収納した状態を示す側面断面図である。
【図11】同上トレーにコップ(大)を収納した状態を示す一部切欠斜視図である。
【図12】(a)は同上トレーの平面図、(b)はコップ(大)を収納した状態における(a)のE−E線断面図である。
【図13】同上トレーの平面図である。
【図14】同上トレーの斜視図である。
【図15】コップ収納用凹部を2個有する同上トレーの平面図である。
【図16】コップ収納用凹部を2個有する同上トレーの斜視図である。
【図17】(a)は同上トレーの平面図、(b)はコップ(小)を収納した状態における(a)のF−F線断面図である。
【図18】(a)は同上トレーの平面図、(b)はコップ(中)を収納した状態における(a)のG−G線断面図である。
【図19】(a)は同上トレーの平面図、(b)はコップ(大)を収納した状態における(a)のH−H線断面図である。
【図20】(a)(b)共に同上トレーの開口部を示す図である。
【図21】同上開口部の上端部近傍の断面図である。
【図22】同上トレーを積み重ねた状態の側面図である。
【図23】同上トレーのミシン目の拡大図である。
【図24】コップ収納用凹部を2個有する同上トレーの他の実施形態の平面図である。
【図25】コップ収納用凹部を2個有する同上トレーの他の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係るパルプモウルド製のコップ収納用トレー1を詳細に説明する。尚、図1〜図12に第1の実施形態のコップ収納用トレー、図13〜図19に第2の実施形態のコップ収納用トレーを示す。
【0036】
図1、図2に示すように、第1の実施形態のコップ収納用トレー1は、パルプモウルド成形により一体に形成されたものであり(第2の実施形態も同じ)、底面2から上面開口3に向って起立する略筒状の周壁4を有するコップ収納用凹部5が形成されている。
【0037】
尚、図1、図2にはコップ収納用凹部5が1個形成されたコップ収納用トレー1を示し、図3、図4には図1のコップ収納用トレー1のコップ収納用凹部5を2個左右方向に一体的に成形したコップ収納用トレー1を示し、図5、図6には、図2のコップ収納用トレー(コップ収納用凹部2個)を2個一体的に連結し、4個のコップ収納用凹部5を一体的に成形したコップ収納用トレー1を示す。これら図1〜図6のコップ収納用トレー1の各コップ収納用凹部5は、各々同一の構成を有するものである。
【0038】
尚、以下の説明において、図1、図3、図5に示すように矢印A方向を「左右方向」、矢印A方向に直交する方向(矢印B方向)を「前後方向」という。
【0039】
上記コップ収納用トレー1は、底面2から上面開口3に向って徐々に広がるように起立するテーパー状の周壁4により形成されたコップ収納用凹部5を具備するパルプモウルド製のコップ収納用トレーであって、上記コップ収納用凹部5の上面開口3の上縁にU字状縁部5’を設け、該U字状縁部5’の一対の端部5a,5a側の上記コップ収納用凹部5の外側に、上記底面2と略同一深さの一対の脚部12,12が形成されており、これら一対の脚部12,12と上記底面2により当該トレー1は自立可能に構成されている。
【0040】
上記脚部12,12は、図1、図2に示すように、上記U字状縁部5’の一対の端部5a,5a部分より下方向けて、その底部12a,12aが上記底面2と同一深さとなるように形成されており、これら一対の脚部12,12の間は、各脚部12の対向面側に設けられた高位部13,13と、高位部13,13間の低位部14と、上記高位部13と上記低位部14とを結ぶテーパー部15,15により前後方向に連結されている。尚、上記高位部13と低位部14の内面側(コップ収納用凹部5側)は上記コップ収納用凹部5の周壁4を構成している(図2参照)。尚、上記低位部14を設けるのは、上記脚部12,12間のトレー1の補強のためであり、上記コップ収納用凹部5にコップを収納した状態において、確実にコップを自立支持するためである。
【0041】
上記コップ収納用凹部5には、該凹部5の中心方向に突出する3箇所の凸面部6,6,6が形成されている。これら凸面部6,6,6は、上記U字状縁部5’の左側の連続縁中央部5b側の周壁と、上記各脚部12,12近傍の周壁に、互いに120度の間隔を置いて突出形成されている。そして、上記各凸面部6,6,6の底面近傍の周壁には、略方形(略四角形)の開口部8,8,8が各々設けられており、これらの開口部8,8,8の上縁の中央部分には、各中央部分から各凸面部6,6,6の中心部を上方に開口することでスリット9,9,9が各々形成されており、各スリット9,9,9の各々の左右周壁4a,4aが拡径方向(矢印C方向)に弾性変形可能に形成されている。即ち、上記スリット9,9,9の各左右周壁4a,4aは、周壁4を形成するパルプモウルドの弾性により、当該凹部5の外側方向(矢印C方向)に弾性変形し得るように構成している。
【0042】
上記各凸面部6,6,6の凹部中心方向に最も突出した突出頂部は、上記スリット9,9,9の下端部9’,9’,9’近傍であるが、この下端部9’,9’,9’近傍の内接円(凸面部内接円)S1の直径より大きな直径を有するコップを収納すると、上記各スリット9,9,9の各周壁4a,4aがコップ外周面により拡径方向に押し広げられ、上記コップは上記左右周壁4a,4aによって弾性的に保持されるように構成されている。即ち、上記凸面部6,6,6の下端部9’,9’,9’に内接する凸面部内接円S1の直径は、当該コップ収納用凹部5に収納されるコップの上記内接円S1に対応する外周面の直径より小さくなるように構成されている。このように構成すると、上記コップを上記コップ収納用凹部5に収納すると、上記周壁4a,4aが上記コップの外周面に弾性的に当接し、コップを確実に保持することができる。
【0043】
また、図20に示すように、上記各開口部8はその高さα(後述の薄肉保持面8aより下側の高さ)、横幅βとすると、[α≧β/3](高さαが横幅βの1/3以上の長さを有する)、好ましくは[β≧α≧β/3](高さαが横幅βの1/3以上の長さから横幅βと略同じ長さの範囲を有する)、好ましくは、[β/2≧α≧β/3]、(高さαが横幅βの1/3以上の長さから横幅βの1/2以下の長さを有する)となるような方形をなしている。また、上記薄肉保持面8aを含む上記開口部8の高さをδとすると、[δ≦β](高さδは横幅βの長さ以下)とすることが好ましい。このように構成すると、上記開口部8が縦方向に大きく開口形成されることになり、パルプモウルドの抄製時に、パルプ繊維のバリにより開口部8が閉鎖されてしまうことを効果的に防止し得る。即ち、上記開口部8の高さα方向が低いと、パルプモウルド抄製時に形成されるバリにより開口部8が閉鎖されてしまい、この場合上記左右周壁4a,4aが充分に弾性変形せず、その結果、コップの収納に支障をきたすことになる。本発明では、上記開口部8の縦横比を上述のように構成することにより、開口部8を縦方向に大きく形成し、パルプモウルド抄製時のバリによる開口部8の閉鎖を効果的に抑制している。
【0044】
また、図20(b)に示すように、本発明の発明者らの研究によると、上記開口部8は、[α≧β/6](高さαが横幅βの1/6以上の長さを有する)、好ましくは[β≧α≧β/6](高さαが横幅βの1/6以上の長さから横幅βと略同じ長さの範囲を有する)という条件であっても、パルプモウルドの抄製時に、パルプ繊維のバリにより開口部8が完全に閉鎖されてしまうことを防止し得ることがわかった。尚、α=β/6の場合は、開口部8に極少量のバリはできるが、上記条件で製造した場合であっても、上記左右周壁4a,4aが十分に弾性変形し、確実にコップを収納できる。
【0045】
さらに、図2に示すように、上記各開口部8の上縁には、上記コップ収納用凹部5に収納されるコップの外周面に対向する薄肉保持面8aが各々形成されている。この薄肉保持面8aは、図21に示すように、その保持面8aが、末広がりテーパー状の周壁4に対して略鉛直面を形成しており、コップ(例えば大サイズのコップ21)を収納したとき、コップ21の外周面に当接して、コップを確実に保持するものである。この薄肉保持面8aは上記開口部8の上部コーナー部8b,8bを補強する機能をも有している。即ち、上記開口部8の上縁に沿って上記薄肉保持面8aが形成されているため、上記コーナー部8b,8b部分が補強され、当該コーナー部分8b,8bからの亀裂の発生等を効果的に防止することができる。
【0046】
さらに、上記U字状縁部5’の連続縁中央部5b側に位置する上記スリット9は(以下、この位置のスリットを符号「9a」で示す)、他の2箇所のスリット9,9よりその長さが短く形成され、該スリット9a上端と上記コップ収納用凹部5の上面開口3までの周壁に補強用周壁4bが形成されている(図1、図4参照)。
【0047】
上記コップ収納用凹部5において、上記U字状縁部5’の上記連続縁中央部5b近傍の部分5”(図1、図4参照)は、上記高位部13,13の近傍の周壁4に比較して強度が弱いため、この部分に上面開口3の近接位置まで上下方向に長いスリット9が形成されると、当該スリット9上端部分から上面開口3方向に上記周壁4が断裂してしまうおそれがある。
【0048】
そこで、上記U字状縁部5’の上記連続縁中央部5b側の上記スリット9aは、その高さを他のスリット9,9より低く形成し、当該スリット9aの上端と上記コップ収納用凹部5の上面開口3までの周壁に補強用周壁4bを形成しているものである。このように構成すると、上記スリット9aの上端から上面開口5までに補強用周壁4bが形成されているので、上記スリット9aから上方に向けて上記周壁4が断裂することを防止することができる。また、上記スリット9aを短く構成することにより、当該スリット9aの両側の左右周壁4a,4aの弾性強度を大きくすることができ、より確実にコップを収納保持することができる。
【0049】
さらに、上記各スリット9には図2、図3等に示すように、その上端部近傍部分に上記スリット9の空間を薄い肉厚で閉鎖する薄肉部9bが形成されている。従って上記各スリット9はその上端部分が上記薄肉部9b,9bで補強された状態となり、上記各スリット9の上端部分から亀裂の発生等を効果的に防止することができ、コップ収納用トレー1全体の強度を高めることができる。
【0050】
図3、図4に示すものは、図1のコップ収納用トレー1を、互いの一対の脚部12,12同士が各々連結されるように、これら脚部12,12同士を対向接続させた状態で、左右方向に一体に形成し、その状態において、上記トレーを一体に連結する左右連結部11に、上記両トレーを左右に直線的に2分割し得るミシン目16(図23参照)を、上記左右方向に直交する前後方向(矢印B方向)に形成したものである。尚、ミシン目16は、図23に示すように、接続部16aと開口部16bが交互に繰り返し形成されることにより構成されており、当該ミシン目16に沿ってコップ収納用トレー1を2分割し得るものである。
【0051】
より具体的には、図3、図4のコップ収納用トレー1は、図1に示すコップ収納用凹部5が1つのコップ収納用トレー1の上記脚部12,12同士と、高位部13,13同士と、低位部14,14同士と、テーパー部15,15同士を、互いに向き合わせて連結することにより、2個のコップ収納用凹部5,5が左右方向に連設された状態で形成されたものである。実際には、図3、図4に示す2個のコップ収納用凹部5,5を有するコップ収納用トレー1がパルプモウルドによって一体的に抄造される。尚、上記コップ収納用トレー1において、上記脚部12、高位部13、低位部14、テーパー部15によって形成される上記左右のコップ収納用凹部5,5を連結する前後方向の帯状部分を左右連結部11という。
【0052】
このコップ収納用トレー1は、図3に示すように、全体形状としては、一方(左)のコップ収納用凹部5の上縁を形成するU字状縁部5’と、他方(右)のコップ収納用凹部5の上縁を形成するU字状縁部5’とが、互いにそのU字状縁部5’の端部5a,5aを内側に向けた状態で一体に成形されており、各端部5a,5a間のトレー前後外周部に、両トレーの脚部12,12が各々一体化された状態で形成されている。そして、当該トレー1は上記底面2と上記脚部12,12の底部12a,12aにより安定して水平に載置し得るように構成されている。
【0053】
そして、上記左右連結部11の中央部分に、上記コップ収納用凹部5の連設方向(矢印A方向)に直交する前後方向(矢印B方向)の直線状のミシン目16を、該ミシン目16にて上記左右連結部11を左右に均等に2分割可能に設け、上記ミシン目16により上記左右連結部11を左右に均等に2分割した状態で、上記2個のコップ収納用凹部5,5を各別に分離し得るように構成したものである。よって、上記ミシン目16により2分割すると、上記脚部12,12、高位部13,13、テーパー部15,15、低位部14,14が左右方向に均等に2分割され、図1、図2に示すコップ収納用トレー1を2個形成することができる。
【0054】
そして、2分割した各コップ収納用トレー1,1は、図1、図2に示す上記コップ収納用凹部5の底面2と上記2分割された前後一対の脚部12,12により水平に自立可能となるように構成されている。
【0055】
図5、図6に示すコップ収納用トレー1は、上記図2に示すコップ収納用トレー1の脚部12同士を対向させ、上記U字状縁部5’の端部5a,5a側の直線部分5c,5cを互いに接続し、上記2個の凹部5を有する上記トレー1を前後に連設し、4個のコップ収納用凹部5を有するコップ収納用トレー1としたものである。このコップ収納用トレー1は、上記直線部分5c,5cに上記前後方向のミシン目16に直交するミシン目16’が形成されており、当該ミシン目16’に沿って両コップ収納用トレー1を前後に2分割し、図2に示すコップ収納用トレー1に分割し得るように構成されている。尚、上記直線部分5c,5cを含み、中央部に前後のトレーの脚部12,12同士が前後に連結している左右方向の帯状部分を前後連結部11’という。
【0056】
次に、図1〜図6に示すコップ収容用トレー1にコップを収納する機能について説明する。まず、直径が中サイズのコップ20を収納する場合は、図7、図8に示すように、コップ収納用凹部5に上記コップ20をその底部20aから挿入し、該底部20aが上記コップ収納用凹部5の底面2に接触するまで該凹部5内に押し込めば良い。
【0057】
上記コップ20を上記凹部5内に押し込むと、押し込む途中において、コップ20の下部の外周面20bが、コップ収納用凹部5の3個の凸面部6,6,6の最も突出した部分であるスリット9,9,9の下端部9’,9’,9’に当接し(図9)、上記スリット9,9,9の各左右周壁4a,4aが拡径方向(矢印C方向)に弾性変形することで当該コップ収納用凹部5の内径が拡大し(図9(b)参照)、上記コップ20の上記外周面20bに各凸面部6の上記左右周壁4a,4aが強く当接する。そして、上記コップ20の底部20aが上記底面2に当接するまで押し込む。かかる状態においては、上記各スリット9,9,9の左右周壁4a,4aが上記コップ20の上記外周面20bに弾性的に当接しているので、コップ20を確実に収納保持することができる。このとき、3個の開口部8,8,8の薄肉保持面8a,8a,8aが互いに120度の間隔を置いて上記コップ20の外周面20bに接触するので、上記コップ20を確実に保持することができる。
【0058】
図10、図11には、直径が最も大きい大サイズのコップ21を上記コップ収納用トレー1に収納した状態を示す。上記コップ21を上記凹部5内に押し込むと、押し込む途中において、コップ21の下部の外周面21bが、コップ収納用凹部5の3個の凸面部6,6,6の最も突出した部分であるスリット9,9,9の下端部9’,9’,9’に当接し(図12)、上記スリット9,9,9の各左右周壁4a,4aが、中サイズのコップ20より大きく拡径方向(矢印C方向)に弾性変形することで、当該コップ収納用凹部5の内径が大きく拡大し(図12(b)参照)、上記コップ21の上記外周面21bに上記左右周壁4a,4aが強く当接する。そして、上記コップ21の底部21aが上記底面2に当接するまで押し込む。かかる状態においては、上記スリット9,9,9の左右周壁4a,4aが上記コップ21の上記外周面21bに弾性的に当接しているので、大サイズのコップ21を確実に収納保持することができる。このとき、3個の開口部8,8,8の薄肉保持面8a,8a,8aが互いに120度の間隔を置いて上記コップ21の外周面21bに接触するので、上記コップ21を確実に保持することができる。
【0059】
また、上記コップ20又は21を収納した状態において、当該スリット9aの左右周壁4a,4aが弾性変形しても、補強用周壁4bが形成されているので、上記スリット9a部分からトレー1が断裂することを効果的に防止することができる。
【0060】
そして、本発明のコップ収納用トレー1は、図1、図2に示す1個のコップ収納用凹部5を有するコップ収納用トレー1の場合は、1個のコップ(20又は21)を確実に収納保持することができ、当該1個のコップを収納した状態においても、安定して自立が可能である。よって、例えばファーストフード店等において、図1、2の当該コップ収納用トレー1を持ち帰り用の袋の底面に設置し、当該袋内のコップ収納用トレー1に1個のコップを確実に自立状態で収納保持し得るし、当該コップ収納用トレー1は、1個のコップを収納保持した状態で、トレー等の上で安定して自立が可能である。
【0061】
また、本発明のコップ収納用トレー1は、図3、図4に示す2個のコップ収納用凹部5を有するコップ収納用トレー1の場合は、2個のコップ(20又は21)を確実に収納保持することができ、2個のコップを収納した状態においても、安定して自立が可能である。よって、例えばファーストフード店等において、当該コップ収納用トレー1を持ち帰り用の袋の底面に設置し、当該袋内のコップ収納用トレー1に2個のコップを確実に自立状態で収納保持し得るし、当該コップ収納用トレー1は、2個のコップを収納保持した状態で、トレー等の上で安定して自立が可能である。勿論、サイズが異なる2個のコップをも同時に収納保持することができる。
【0062】
さらに、図5、図6に示す4個のコップ収納用凹部5を有するコップ収納用トレー1の場合は、4個のコップ(20又は21)を確実に収納保持することができ、4個のコップを安定して収納保持することができる。勿論、サイズが異なるコップをも同時に収納保持することができる。
【0063】
次に、本発明のコップ収納用トレー1の第2の実施形態を図13〜図19によって説明する。尚、上記図1〜図12の実施形態と同一部分については同一符号を付して、便宜上それらの説明は省略する。
【0064】
図13、図14に示す第2の実施形態においては、各上記凸面部6,6,6の間に形成された3箇所の周壁4’に対応する底面2において、上記底面2より一段高い各同一高さの段部10,10,10を各々設けたものである。これらの段部10は、上記隣接する凸面部6,6間の1箇所の上記周壁4’の部分に着目すると、当該周壁4’に対応する底面2において、背面を上記周壁4’に接し、その内周面10a,10aをコップ収納用凹部5の中央側に向けた状態で、間に間隙Pを残して両側の凸面部6,6の対向側面に各々の側面が接するように、一対の段部10,10が形成されており、これらの一対の段部10,10が、上記各凸面部6,6間の3箇所に各々形成されている。即ち、上記一対の段部10,10及び間隙Pが、上記各凸面部6間に120度間隔で上記底面2上に形成されている。
【0065】
これら各段部10の内周面10aは、各内周面10aによって段部内接円S2が形成されるように、各々円弧状に形成されている(図13参照)。そして、上記各段部10,10,10の内周面10a,10a,10aにより形成される段部内接面S2の直径が、上記各凸面部6,6,6の最も中央方向に突出した突出頂部(上記スリット9,9,9の下端部9’,9’,9’部分)の上記凸面部内接円S1の直径より小となるように形成したものである。
【0066】
そして、上記段部内接円S2の直径を、当該コップ収納用凹部5に収納される最も小さい小サイズのコップ22の下端部の外周面22bの直径より若干小さく形成する。
【0067】
さらに、上記段部内接円S2の直径は、中サイズのコップ20の下端部の直径及び大サイズのコップ21の下端部の直径より小さく形成する。かつ上記突出頂部の凸面部内接円S1の直径は、上記中サイズのコップ20の上記突出頂部に対応する外周面20bの直径及び上記大サイズのコップ21の上記突出頂部に対応する外周面21bの直径より小さくなるように構成し、これにより中サイズのコップ20及び大サイズのコップ21は、その下端部が上記段部10,10,10の上面10b,10b,10b上に載置された状態で、上記凸面部6,6,6の弾性力によって確実に収納保持されるように構成している。
【0068】
また、上記各段部10,10,10は、上記各スリット9,9,9の下端部9’より低い高さとなるように構成されている。従って、上記小サイズのコップ22を上記3個の段部10,10,10により形成される空間内に収納したとき、上記内周面10a,10a,10aにて上記小サイズの紙コップ22の外周下端を、パルプモウルド製の段部10,10,10の弾性により確実に保持し得るように構成している(図17参照)。
【0069】
次に、図13〜図16に示すコップ収容用トレー1にコップを収納する機能について説明する。まず、直径が最も小さい小サイズのコップ22を収納する場合は、図17(a)(b)に示すように、コップ収納用凹部5に上記コップ22をその底部22aから挿入し、該底部22aが上記コップ収納用凹部5の底面2に接触するまで該凹部5内に押し込めば良い。
【0070】
すると、上記コップ22の底面22a近傍の下端部外周面22bが上記段部10,10,10の内周面10a,10a,10aに当接した状態となり、上記段部10,10,10の弾性力によって上記コップ22は上記コップ収納用凹部5内に確実に収納保持される。即ち、上記コップ22の上記外周面22bは、上記内周面10a,10a,10aにより構成される段部内接円S2の直径より若干大きいため、上記コップ22はその下端部を以って上記段部10,10,10に嵌合した状態となり、当該凹部5内において自立状態で確実に収納保持される。
【0071】
次に、直径が中サイズのコップ20を収納する場合は、図18(a)(b)に示すように、コップ収納用凹部5に上記コップ20をその底部20aから挿入し、該底部20aが上記コップ収納用凹部5の上記段部10,10,10の上面10b,10b,10bに接触するまで該凹部5内に押し込めば良い。
【0072】
上記コップ20を上記凹部5内に押し込むと、押し込む途中において、コップ20の外周面20bが、コップ収納用凹部5の3個の凸面部6,6,6の最も突出した部分であるスリット9,9,9の下端部9’,9’,9’に当接し、さらにコップ20を押し込むと、上記スリット9,9,9の左右周壁4a,4aが拡径方向(矢印C方向)に弾性変形することで当該コップ収納用凹部5の内径が拡大し(18(b)参照)、上記コップ20の外周面20bに上記左右周壁4a,4aが当接した状態で、上記コップ20の底部20aが上記段部10,10,10の上面10b,10b,10bに当接するまで押し込む。かかる状態においては、上記スリット9,9,9の左右周壁4a,4aが上記コップ20外周面20bに弾性的に当接しているので、コップ20を確実に収納保持することができる。このとき、3個の開口部8,8,8の薄肉保持面8a,8a,8aが互いに120度の間隔を置いて上記コップ20の外周面20bに接触するので、上記コップ20を確実に保持することができる。
【0073】
図19(a)(b)には、直径が最も大きい大サイズのコップ21を上記コップ収納用トレー1に収納した状態を示す。この大サイズのコップ21を収納する場合もその機能は上記中サイズのコップ20の場合と同様であり、上記コップ21の底面21aが上記段部10,10,10の上面10b,10b,10bに接触するまで押し込めば良い。図19(b)に示すように、上記コップ21を押し込んでいくと、上記スリット9,9,9の左右周壁4a,4aは、上記中サイズのコップ20のときよりより大きく拡径方向(矢印C方向)に弾性変形し、上記コップ21を確実に収納保持することができる。
【0074】
そして、当該第2の実施形態のコップ収納用トレー1においても、上記第1の実施形態と同様に、図13、図14に示す1個のコップ収納用凹部5を有するコップ収納用トレー1の場合は、1個のコップ(20又は21又は22)を確実に収納保持することができ、当該1個のコップを収納した状態においても、安定して自立が可能である。よって、例えばファーストフード店等において、当該コップ収納用トレー1を持ち帰り用の袋の底面に設置し、当該袋内のコップ収納用トレー1に1個のコップを確実に自立状態で収納保持し得るし、当該コップ収納用トレー1は、1個のコップを収納保持した状態で、トレー等の上で安定して自立が可能である。
【0075】
また、第2の実施形態のコップ収納用トレー1は、図15、図16に示す2個のコップ収納用凹部5を有するコップ収納用トレー1の場合は、2個のコップ(20又は21又は22)を確実に収納保持することができ、2個のコップを収納した状態においても、安定して自立が可能である。よって、例えばファーストフード店等において、当該コップ収納用トレー1を持ち帰り用の袋の底面に設置し、当該袋内のコップ収納用トレー1に2個のコップを確実に自立状態で収納保持し得るし、当該コップ収納用トレー1は、2個のコップを収納保持した状態で、トレー等の上で安定して自立が可能である。勿論、サイズが異なる2個のコップをも同時に収納保持することができる。
【0076】
さらに、上記第2の実施形態のコップ収納用トレー1は、図5、図6に示す4個のコップ収納用凹部5を有するコップ収納用トレー1の場合は、4個のコップ(20又は21又は22)を確実に収納保持することができ、4個のコップを確実に収納保持できる。勿論、サイズ(大中小)が異なる4個のコップをも確実に収納保持することができる。このように第2に実施形態は、1つのコップ収納用凹部5において、大中小の3種類のサイズのコップを確実に収納保持することができる。
【0077】
上記第1、第2の実施形態において、23は、上記コップ収納用凹部5において、2箇所のコーナー部分に外向きに突出形成された外向小突起である。この外向小突起23,23は、図4に示すように、外向きに突出した水平面23aを有しており、当該水平面23aは各々同一水準位置となるように構成されている。
【0078】
よって、本発明におけるコップ収納用トレー1を図22に示すように、複数個積み重ねた状態において、上側のトレー1の上記外向小突起23の水平面23aが下側のコップ収納用トレー1の上記U字状縁部5’に接することで、当該外向小突起23がスペーサとしての機能を発揮し、当該外向小突起23の高さの空間を空けた状態で複数のトレー1を水平に積み重ねることができる。このように構成すると、図22に示す積み重ね状態から1個のコップ収納用トレー1を容易に取り外すことができ、使用現場における1個のトレーの取り外し性を向上して、使い勝手を向上させることができる。
【0079】
尚、上記外向小突起23は1つのコップ収納用凹部5に2個設けられているので、図2のコップ収納用トレーでは4個の外向小突起23、図5のコップ収納用トレーでは8個の外向小突起23によって積み重ね状態におけるトレーの取り外し性能を向上することができるものである。
【0080】
図24、図25に示すものは上記第1の実施形態の一部変形例を示すものであり、図3,4に示すコップ収納用トレー1に対して、上記底面2の上記開口部8,8,8の各下端に沿って円弧状の低突出段部17,17,17を設けたものである。このように低突出段部17,17,17を設けることにより、パルプモウルド成形において、底部2を補強して底部2の保形性を高めることができる。尚、この実施形態においては、上記開口部8,8,8の下端は上記低突出段部17,17,17の上面から上方に向けて開口している。
【0081】
本発明は以上のように、異なるサイズのコップ(20,21等)を1つのコップ収納用凹部5にて確実に収納保持することができ、しかもスリット9aからのトレーの断裂を防止し得て、強度も十分に高いコップ収納用トレーを実現したものである。
【0082】
また、コップ収納時に、上記開口部8の薄肉保持面8aがコップの外周面3箇所に接触するので、コップを確実に収納保持することができるものである。
【0083】
また、直径の異なるコップを各々収納することができるコップ収納用凹部5を2個有するコップ収納用トレー1(図2参照)を形成することができ、しかも、かかるコップ収納用トレー1をそのミシン目16から左右に分離することができるため、コップの数等、各使用態様に適切に対応可能なコップ収納用トレーを実現し得る。
【0084】
また、1個のコップ収納用凹部5を有するコップ収納用トレー(図1参照)にコップを収納した状態で、当該トレー1を自立させることができ、1個のコップを例えば持ち帰り用袋の内部で安定して自立させることができるし、1個のコップを1個のコップ収納用凹部5を有するトレー1に収納保持した状態で、当該トレー1を安定して自立させることができる。
【0085】
また、直径の異なるコップを各々収納することができるコップ収納用凹部5を4個有するコップ収納用トレー(図4参照)を形成することができ、しかも、かかるコップ収納用トレー1をそのミシン目16’から前後に分離することにより、2個のコップ収納用凹部5を有する2個のコップ収納用トレー1に分離することができ、各使用態様に適切に対応可能なコップ収納用トレーを実現し得る。
【0086】
また、コップ収納用凹部5に段部10を形成することによって、1つのコップ収納用凹部5において大中小の3種類のサイズのコップを安定して収納保持することができるものである。
【0087】
また、開口部8,8,8が上下方向に広く、開口部の下端が底面2の位置から開口しているので、コップを収納したとき、コップの下端外周部面が上記開口部8,8,8から大きく張り出すため、各スリット9,9,9の左右周壁4a,4aの弾性によりコップの外周部を確実に保持して、コップ収納用凹部5内においてコップを確実に収納保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のコップ収納用トレーは、例えばファーストフード店においてコーヒー等の飲み物を入れた紙コップを収納保持するコップ収納用トレーとして幅広く利用が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 コップ収納用トレー
2 底面
3 上面開口
4 周壁
4a,4a 左右周壁
4b 補強用周壁
5 コップ収納用凹部
5’ U字状縁部
5a 端部
5b 連続縁中央部
6 凸面部
8 開口部
8a 薄肉保持面
9,9a スリット
9’ 下端部
10 段部
10a 内周面
11 左右連結部
11’ 前後連結部
12 脚部
16,16’ ミシン目
20 中サイズのコップ
20b 外周面
21 大サイズのコップ
21b 外周面
22 小サイズのコップ
22b 外周面
A 矢印(左右方向)
B 矢印(前後方向)
C 矢印(拡径方向)
S1 凸面部内接円
S2 段部内接円
α 高さ
β 横幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面から上面開口に向って起立する周壁を有するコップ収納用凹部を具備するパルプモウルド製のコップ収納用トレーにおいて、
上記コップ収納用凹部の上面開口の縁にU字状縁部を設け、該U字状縁部の一対の端部側の上記コップ収納用凹部の外側に、上記底面と略同一深さの一対の脚部を形成し、これら一対の脚部と上記底面により当該コップ収納用トレーを自立可能に構成し、
上記コップ収納用凹部には、該凹部の中心方向に突出する3箇所の凸面部を、上記U字状縁部の連続縁中央部側の周壁と、上記各脚部近傍の周壁に、互いに120度の間隔を置いて突設し、
上記各凸面部の上記底面近傍の周壁に略方形の開口部を各々設けると共に、これらの開口部の上縁から上記各凸面部の中心部を上方に開口してスリットを形成し、上記各スリットの左右周壁を拡径方向に弾性変形可能に形成し、
上記U字状縁部の上記連続縁中央部側に位置する上記スリットは、他の2箇所の上記スリットよりその長さが短く形成され、上記短いスリットの上端と上記コップ収納用凹部の上記上面開口までの上記周壁に補強用周壁が形成されているものであることを特徴とするコップ収納用トレー。
【請求項2】
上記各開口部の上縁には、上記コップ収納用凹部に収納されるコップの外周面に対向する薄肉保持面が各々形成されているものであることを特徴とする請求項1記載のコップ収納用トレー。
【請求項3】
上記各開口部はその高さ(α)が横幅(β)の1/3以上の長さから上記横幅(β)と略同じ長さの範囲を有する方形をなしているものであることを特徴とする請求項1又は2記載のコップ収納用トレー。
【請求項4】
上記各開口部はその高さ(α)が横幅(β)の1/6以上の長さから上記横幅(β)と略同じ長さの範囲を有する方形をなしているものであることを特徴とする請求項1又は2記載のコップ収納用トレー。
【請求項5】
2個の上記コップ収納用トレーを、互いの一対の上記脚部同士が各々連結されるように左右方向に一体に形成し、
上記コップ収納用トレーを一体形成した状態において、上記トレーを一体に連結する左右連結部に、上記両トレーを左右に2分割し得るミシン目を、上記左右方向に直交する方向に形成したものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のコップ収納用トレー。
【請求項6】
上記ミシン目にて上記コップ収納用トレーを2分割した状態において、分割後の各コップ収納用トレーは、上記各底面と各一対の上記脚部にて各々自立可能であることを特徴とする請求項5記載のコップ収納用トレー。
【請求項7】
請求項5記載の2個の上記コップ収納用凹部を有する上記コップ収納用トレーを、互いの一方の上記脚部同士が各々連結するように前後方向に一体に形成することにより、4個の上記コップ収納用凹部を有するコップ収納用トレーを一体に形成し、
上記コップ収納用トレーを一体形成した状態において、上記トレーを一体に連結する前後連結部に、上記トレーを2個ずつの上記コップ収納用凹部を有するコップ収納用トレーに前後に2分割するためのミシン目を、上記前後方向に直交する方向に形成したものであることを特徴とする請求項5記載のコップ収納用トレー。
【請求項8】
上記コップ収納用凹部において、上記各凸面部間の上記底面には該底面より一段高い同一高さの段部を各々設けると共に、上記各段部の内周面によって段部内接円が形成されるように上記各内周面を円弧状に形成し、
上記各内周面により形成される上記段部内接円の直径が、上記各凸面部の突出頂部の凸面部内接円の直径より小であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のコップ収納用トレー。
【請求項9】
上記各段部は、上記各スリットの下端部位置より低い高さであることを特徴とする請求項8記載のコップ収納用トレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−30888(P2012−30888A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211903(P2010−211903)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000206392)大石産業株式会社 (34)
【Fターム(参考)】