説明

コネクタ、及び、コネクタを構成するコンデンサと端子金具との接続方法

【課題】本発明は、電極接触部がコンデンサの電極から離されて導通不良が発生することを防止することができるとともに、電極接触部とコンデンサの電極とを接続する際の作業性の向上を図ることができるコネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】コネクタ1は、互いに相対する両端面2aそれぞれに一対の電極が形成されたコンデンサ2と、前記一対の電極それぞれに接触される一対の電極接触部31と、前記各電極接触部31に連なる端子部33と、を備えた一対の端子金具3と、前記一対の端子金具3が互いに間隔をあけて保持されるプレート4と、を備えている。前記一対の電極接触部31は、前記一対の電極と接触していない状態において前記端子部33から離れた端部3aに向かうにしたがって前記一対の電極接触部31間の距離が短くなるような傾斜部34を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタにかかり、コンデンサと、このコンデンサに接続される一対の端子金具と、これら一対の端子金具が保持されるプレートと、を備えたコネクタに関するものである。
【0002】
従来、上述したコネクタ101として、例えば、図12から図14に示されたものが提案されている。図12は、従来のコネクタを示す一部切り欠き斜視図である。図13は、図12に示された従来のコネクタの分解斜視図である。図14は、図13に示されたコンデンサが形成される様子を示す斜視図である。同図に示すように、従来のコネクタ101は、互いに相対する両端面102aそれぞれに一対の電極(図示しない)が形成されたコンデンサ102と、前記コンデンサ102に設けられた一対の電極それぞれが接続される一対の端子金具103と、前記一対の端子金具103が互いに間隔をあけて保持される基台104と、これらコンデンサ102及び一対の端子金具103を収容するケース105と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。上記コンデンサ102は、図14に示すように、例えば、表面に金属箔が設けられた2枚の絶縁性のフィルム102A、102Bが重ねられた状態で巻回されることで形成されたフィルムコンデンサである。上述したコネクタ101は、コンデンサ102の電極に一対の端子金具103が接触されるように、コンデンサ102が一対の端子金具103間に挟まれた後、端子金具103とコンデンサ102の電極とがはんだ付けされて、端子金具103とコンデンサ102とが電気的及び機械的に接続されていた。
【0003】
ところで、コネクタ101を構成するコンデンサ102は、表面に金属箔が設けられた絶縁性のフィルム102A、102Bが巻回されることで構成されていたので、コンデンサ102における長手方向の寸法Lに公差範囲のばらつきが生じることがある。コンデンサ102の寸法Lが、一対の端子金具103間の寸法よりも小さい場合には、コンデンサ102と端子金具103との間に隙き間が生じてしまうので、端子金具103がコンデンサ102の電極に押し付けられて、端子金具103とコンデンサ102の電極とが接触された状態ではんだ付けされていた。また、コンデンサ102の寸法Lが、一対の端子金具103間の寸法よりも大きい場合には、一対の端子金具103が互いに離れる方向に押し広げられて一対の端子金具103の基台104側の基端部が互いに離れる方向に曲げられた後、端子金具103の基台104から離れた側の先端部がコンデンサ102の電極に押し付けられて、端子金具103とコンデンサ102の電極とが接触された状態ではんだ付けされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−66427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のコネクタ101には、以下に示す問題点があった。即ち、コンデンサ102の寸法Lが、一対の端子金具103間の寸法よりも小さい場合には、端子金具103が電極に押し付けられた状態ではんだ付けされていたので、端子金具103には電極から離れる方向に反力が働き、そのためにコンデンサ102の電極から端子金具103が剥がれてしまう虞れがあった。また、コンデンサ102の寸法Lが一対の端子金具103間の寸法よりも大きい場合には、図15に示すように、一対の端子金具103が互いに離れる方向に押し広げられて、端子金具103の基端部が互いに離れる方向に曲げられた後、端子金具103の先端部がコンデンサ102の電極に押し付けられた状態ではんだ付けされていたので、端子金具103には電極から離れる方向に反力Fが働き、そのためにコンデンサ102の電極から端子金具103が剥がれてしまう虞れがあった。即ち、コンデンサ102の寸法Lが公差範囲の寸法に形成された場合であっても、端子金具103とコンデンサ102の電極とが接続された状態で端子金具103には電極から離れる方向に反力Fが働くこととなり、そのためにコンデンサ102の電極から端子金具103が剥がれてしまう虞れがあった。また、端子金具103がコンデンサ102の電極に押し付けられた状態で端子金具103とコンデンサ102の電極とを接続しなければならないので、端子金具103とコンデンサ102の電極とを接続する際の作業効率が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題にかかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、電極接触部がコンデンサの電極から離されて導通不良が発生することを防止することができるとともに、電極接触部とコンデンサの電極とを接続する際の作業性の向上を図ることができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、互いに相対する両端面それぞれに一対の電極が形成されたコンデンサと、前記一対の電極それぞれに接触される一対の電極接触部と、前記各電極接触部に連なる端子部と、を備えた一対の端子金具と、前記一対の端子金具が互いに間隔をあけて保持されるプレートと、を備えたコネクタにおいて、前記一対の電極接触部は、前記一対の電極と接触していない状態において前記端子部から離れた端部に向かうにしたがって前記一対の電極接触部間の距離が短くなるような傾斜部を有することを特徴とするコネクタである。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において、前記傾斜部の前記端子部から離れた前記端部側には平坦部が連なり、前記一対の平坦部の互いに相対する内面が平行であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載のコネクタを構成するコンデンサと端子金具との接続方法であって、前記一対の電極接触部と前記一対の電極とが接触していない状態において前記コンデンサの前記電極の表面にはんだ材を塗布し、前記一対の電極接触部と前記一対の電極とを接触させた状態で、前記一対の電極接触部を加圧するとともに加熱し前記はんだ材を溶融することで、前記電極接触部と前記コンデンサの電極とを接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の本発明によれば、互いに相対する両端面それぞれに一対の電極が形成されたコンデンサと、前記一対の電極それぞれに接触される一対の電極接触部と、前記各電極接触部に連なる端子部と、を備えた一対の端子金具と、前記一対の端子金具が互いに間隔をあけて保持されるプレートと、を備えたコネクタにおいて、前記一対の電極接触部は、前記一対の電極と接触していない状態において前記端子部から離れた端部に向かうにしたがって前記一対の電極接触部間の距離が短くなるような傾斜部を有しているので、コンデンサの長手方向の寸法が公差範囲内の最小値の場合には、従来のように端子金具をコンデンサの電極に押し付けずとも電極接触部の先端部とコンデンサの電極とが接触される。また、コンデンサの長手方向の寸法が公差範囲内の最大値の場合には、従来のように端子金具をコンデンサの電極に押し付けずとも、コンデンサが一対の電極接触部間を押し広げ、一対の電極接触部がコンデンサの電極から離れる方向に弾性変形した状態で一対の一対の電極接触部とコンデンサとが接触される。即ち、コンデンサの長手方向の寸法が公差範囲内であれば、従来のように端子金具をコンデンサの電極に押し付けずとも、一対の電極接触部には弾性復元力が生じるのでこの弾性復元力によって一対の電極が一対の電極接触部間に挟まれて、これら電極接触部とコンデンサの電極とが接触されるので、電極接触部にはコンデンサの電極から離れる方向に反力が発生することがなくなり、よって、電極接触部がコンデンサの電極から離されることがなくなり、電極接触部とコンデンサとの導通不良が発生することを防止することができる。また、一対の電極接触部間にコンデンサが挟まれるので、一対の電極接触部がコンデンサを保持することとなり、よって、電極接触部に対するコンデンサの位置決めがされるとともにコンデンサが電極接触部に対して動くことがなくなり、電極接触部とコンデンサの電極とを接続する際の作業性の向上を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載の本発明によれば、前記傾斜部の前記端子部から離れた前記端部には平坦部が連なり、前記一対の平坦部の互いに相対する内面が互いに平行であるので、一対の平坦部それぞれとコンデンサの電極とが面接触されることとなり、一対の平坦部がコンデンサを保持する保持力が向上されて、電極接触部に対するコンデンサの位置決めがされるとともにコンデンサが端子金具に対して動くことがなくなり、より一層、電極接触部とコンデンサの電極とを接続する際の作業性の向上を図ることができる。
【0012】
請求項3に記載の本発明によれば、請求項1または請求項2に記載のコネクタを構成するコンデンサと端子金具との接続方法であって、前記一対の電極接触部と前記一対の電極とが接触していない状態において前記コンデンサの前記電極の表面にはんだ材を塗布し、前記一対の電極接触部と前記一対の電極とを接触させた状態で、前記一対の電極接触部を加圧するとともに加熱し前記はんだ材を溶融することで、前記電極接触部と前記コンデンサの電極とを接続するので、電極接触部とコンデンサの電極との導通不良が発生することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるコネクタを示す斜視図である。
【図2】図1中のI−I線に沿う断面図である。
【図3】図1に示されたコネクタを構成する端子金具がプレートに挿入される様子を示す斜視図である。
【図4】図1に示されたコネクタを構成する端子金具が保持されたプレートにコンデンサが近付けられる様子を示す斜視図である。
【図5】図1に示されたコネクタを構成するプレートに保持された端子金具の一部を示す断面図である。
【図6】図1に示されたコネクタを構成する一対の端子金具間にコンデンサが挟まれた状態を示す斜視図である。
【図7】図6中のII−II線に沿う断面図である。
【図8】図1に示されたコネクタを構成する端子金具の一対の平坦部が加圧された状態で加熱されている様子を示す説明図である。
【図9】図1に示されたコネクタを構成する端子金具の一対の平坦部とコンデンサの電極とが接合された状態を示す説明図である。
【図10】図1に示されたコネクタを構成する端子金具の一対の傾斜部が加圧された状態で加熱されている様子を示す説明図である。
【図11】図1に示されたコネクタを構成するアッセンブリ部品がケース部に挿入される様子を示す斜視図である。
【図12】従来のコネクタを示す一部切り欠き斜視図である。
【図13】図12に示された従来のコネクタの分解斜視図である。
【図14】図13に示されたコンデンサが形成される様子を示す斜視図である。
【図15】従来のコネクタの問題点を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態にかかるコネクタを図1ないし図11を参照して説明する。
【0015】
コネクタ1は、図1、図2に示すように、互いに相対する両端面2aそれぞれに一対の電極(図示しない)が形成されたコンデンサ2と、前記コンデンサ2に設けられた一対の電極それぞれが接続される一対の端子金具3と、前記一対の端子金具3が互いに間隔をあけて保持されるプレート4と、を備えたアッセンブリ部品6と、前記アッセンブリ部品6が収容されるケース5と、を備えている。
【0016】
上記コンデンサ2は、表面に金属箔が設けられた絶縁性のフィルムが2枚重ねられた状態で巻回されることで形成されたフィルムコンデンサである。このコンデンサ2は、図4に示すように、円柱状または角柱状に形成されたコンデンサ本体21と、前記コンデンサ本体21の互いに相対する両端面2aそれぞれに形成された図示しない一対の電極と、を備えている。上記一対の電極は、コンデンサ本体21の両端面2a全体に設けられている。また、一対の電極はその表面に、加熱されることで溶融するはんだ材7(図8〜図10に示す)が塗布されている。
【0017】
上記一対の端子金具3は、導電性の板金に打ち抜き加工や曲げ加工が施されることで得られたものである。各端子金具3は、図3に示すように、コンデンサ2に設けられた電極に接触される電極接触部31と、相手方の端子金具に接続される端子部33と、これら電極接触部31と端子部33とを連結する連結部32と、を備えている。一対の端子金具3それぞれが、該端子金具3の長手方向Xに沿ってプレート4に設けられた保持室41に挿入される。各端子金具3が保持室41に挿入されると、保持室41の内側に連結部32及び端子部33の連結部32側の一部33Aが位置付けられ、保持室41の外側に電極接触部31及び端子部33の連結部32から離れた側の他の一部33Bが位置付けられる。即ち、各端子金具3が保持室41に挿入されると、電極接触部31及び端子部33の他の一部33Bは外部に露出している。
【0018】
上記一対の電極接触部31それぞれは、図5に示すように、一対の電極接触部31が一対の電極と接触していない状態において該電極接触部31の端子部33から離れた端部3aに向かうにしたがってコンデンサ2に近付く方向に傾斜する傾斜部34と、前記傾斜部34の端部3a側に連なる平坦部35と、傾斜部34の端部3aから離れた側に連なる基部36と、を備えている。上記傾斜部34は、電極接触部31の端部3aに向かうにしたがって一対の電極接触部31間の距離が短くなるように形成されている。
【0019】
図2に示すように、一対の電極接触部31が弾性変形していない状態において一対の平坦部35間の寸法L1は、コンデンサ2の寸法L(図4に示す)と等しくなるように形成されている。即ち、一対の平坦部35間の寸法L1が、コンデンサ2の寸法Lにおける公差範囲内の最小値と等しくなるように形成されている。また、一対の電極接触部31が弾性変形していない状態において一対の傾斜部34の基部36側の端部34a間の寸法L2は、コンデンサ2の寸法Lにおける公差範囲内の最大値と等しくなるように形成されている。
【0020】
上記一対の平坦部35は、その長手方向Xの全長に亘って該一対の平坦部35間の距離が等しくなるように形成されている。即ち、一対の平坦部35は、一対の互いに相対する内面が平行になるように形成されている。
【0021】
上記一対の基部36は、その長手方向Xの全長に亘って該一対の基部36間の距離が等しくなるように形成されている。即ち、一対の基部36は、一対の互いに相対する内面が平行になるように形成されている。
【0022】
図4に示すように、コンデンサ2の一対の電極が一対の電極接触部31それぞれに近付けられて、コンデンサ2が一対の電極接触部31間に挟まれると、一対の電極接触部31はコンデンサ2の一対の電極に接触される。コンデンサ2の寸法Lが公差範囲内の最小値と等しい場合には、一対の平坦部35間の寸法L1と公差範囲内の最小値とが等しくなるように形成されているので、一対の平担部35と一対の電極とが接触される。コンデンサ2の寸法Lが公差範囲内の最大値と等しい場合には、一対の傾斜部34の基部36側の端部34a間の寸法L2と公差範囲の最大値とが等しくなるように形成されているので、一対の傾斜部34と一対の電極とが接触される。
【0023】
上記連結部32の幅方向Yに沿った寸法は、端子部33の幅方向Yに沿った寸法よりも大きくなるように形成されている。
【0024】
上記プレート4は絶縁性の合成樹脂から構成されている。プレート4は方体状に形成されている。プレート4には、図3、図4に示すように、端子金具3が挿入される一対の保持室41と、これら一対の保持室41を連通する連通室42と、が設けられている。連通室42は一対の保持室41間に設けられている。また、連通室42はプレート4の長手方向Xに沿った一端部4a側の表面が凹に形成されることで得られた空間である。
【0025】
上記一対の保持室41は、図6、図7に示すように、幅方向Yに沿って間隔をあけて設けられている。また、保持室41は、長手方向Xに沿って伸びた筒状に形成されている。即ち、保持室41の長手方向Xに沿う両端部4a、4bは、プレート4の外部と連通している。このような保持室41は、長手方向Xに沿った一端部4aから他端部4bに向かって上述した端子金具3が挿入される。
【0026】
上記保持室41は、第1収容室43と、前記第1収容室43の長手方向Xに沿った直線上に連なる第2収容室44と、を備えている。第1収容室43の幅方向Yに沿う寸法と、端子金具3の連結部32の寸法とは等しくなるように形成されており、第2収容室44の幅方向Yに沿う寸法と端子金具3の端子部33の寸法とは等しくなるように形成されている。即ち、第1収容室43の幅方向Yに沿う寸法は、第2収容室44の幅方向Yに沿う寸法よりも小さく形成されている。
【0027】
また、保持室41は、第1収容室43の内側に端子金具3の連結部32が位置付けられて、第2収容室44の内側に端子部33の一部33aが位置付けられた状態で、内側にモールド材8が注入される。注入されたモールド材8が硬化されると、一対の端子金具3がプレート4に保持される。
【0028】
次に、上述した構成のアッセンブリ部品6の組み立て手順について説明する。
【0029】
まず、予め、互いに相対する両端面2aそれぞれに一対の電極が形成されたコンデンサ2と、一対の端子金具3と、プレート4と、を別々に製造しておく。そして、コンデンサ2の一対の電極の表面にははんだ材7を塗布する。
【0030】
次に、図3に示すように、一対の端子金具3の端子部33側をプレート4に近付けて、各端子金具3をプレート4の一端部4aから保持室41に挿入する。端子金具3の連結部32を保持室41の第1収容室43の内側に位置付けて、端子金具3の端子部33の一部33Aを保持室41の第2収容室44の内側に位置付ける。この状態でモールド材8を保持室41及び連通室42の内側に注入する。そして、注入されたモールド材8を硬化する。こうして、一対の端子金具3が間隔をあけてプレート4に保持される(図6、図7に示す)。
【0031】
次に、コンデンサ2の一対の電極と一対の電極接触部31との接続方法について説明する。コンデンサ2の寸法Lが公差範囲の最小値に形成された場合には、図8に示すように、コンデンサ2の一対の電極を一対の電極接触部31それぞれに近付けて、コンデンサ2を一対の電極接触部31間に挟むように、コンデンサ2を長手方向Xに沿ってプレート4に近付ける。一対の電極を一対の平坦部35間に挟むことで、一対の電極と一対の平坦部35とが接触する。一対の電極と一対の平坦部35とが接触した状態で、一対の平坦部35を、該一対の平坦部35が近付く方向に加圧するとともに加熱しはんだ材7を溶融することで、コンデンサ2の一対の電極と一対の電極接触部31とを接合(接続)する(図9に示す)。
【0032】
また、コンデンサ2の寸法Lが公差範囲の最大値に形成された場合には、図10に示すように、コンデンサ2の一対の電極を一対の電極接触部31それぞれに近付けて、コンデンサ2を一対の電極接触部31間に挟むように、コンデンサ2を長手方向Xに沿ってプレート4に近付ける。一対の電極接触部31は互いに離れる方向に弾性変形し、該一対の電極接触部31は互いに離れる方向に広げられる。一対の電極接触部31が互いに離れる方向に弾性変形すると、該一対の電極接触部31には弾性復元力が生じるので、この弾性復元力によって一対の電極が一対の傾斜部34間に挟まれて、一対の電極と一対の傾斜部34とが接触する。一対の電極と一対の傾斜部34とが接触した状態で、一対の傾斜部34を、該一対の傾斜部34が近付く方向に加圧するとともに加熱しはんだ材7を溶融することで、コンデンサ2の一対の電極と一対の電極接触部31とを接合(接続)する。
【0033】
詳しく説明すると、コンデンサ2の一対の電極と一対の電極接触部31とを接続する際には、プラスの電圧がかけられる導電性の金属板9Aとマイナスの電圧がかけられる導電性の金属板9Bとが各一対用いられる。各一対の金属板9A、9Bは互いの間に、一対の電極接触部31とコンデンサ2の一対の電極との接触部位を位置付けた後、これら各一対の金属板9A、9Bを互いに近付く方向に動かす。と同時に、各一対の金属板9A、9Bそれぞれに電圧をかける。各金属板9A、9Bにジュール熱が発生し、ジュール熱が一対のはんだ材7を加熱し該はんだ材7を溶融する。溶融されたはんだ材7が硬化した後、各一対の金属板9A、9Bを互いに離れる方向に動かす。そして、コンデンサ2の一対の電極と一対の電極接触部31とを接合(接続)する。こうして、アッセンブリ部品6が組み立てられる。
【0034】
上記ケース5は絶縁性の合成樹脂から構成されている。ケース5は、図1、図2に示すように、一対の端子部33それぞれが通される一対の孔部50が設けられた基板部51と、前記基板部51の周縁から一方側に立設した第1筒部52と、前記孔部50の周縁から、他方側に立設した一対の第2筒部53と、一対の第2筒部53の間に設けられた間部54と、を備え、長手方向Xに沿って伸びた筒状に形成されている。このようなケース5には、長手方向Xに沿った一端部5aから他端部5bに向かって上述したアッセンブリ部品6が挿入される。
【0035】
アッセンブリ部品6がケース5に挿入されると、図2に示すように、第1筒部52の内側にコンデンサ2、及びプレート4、及び端子金具3の電極接触部31と連結部32と端子部33の一部33aが位置付けられ、第2筒部53の内側に端子部33の他の一部33bが位置付けられる。この状態でケース5は第1筒部52の内側にモールド材8が注入される。
【0036】
次に、上述した構成のコネクタの組み立て手順について説明する。
【0037】
図11に示すように、アッセンブリ部品6の端子部33側をケース5に近付けて、アッセンブリ部品6をケース5の一端部5aから挿入する。第1筒部52の内側にコンデンサ2、及びプレート4、及び端子金具3の電極接触部31と連結部32と端子部33の一部33aが位置付けられ、第2筒部53の内側に端子部33の他の一部33bが位置付けられる。この状態でモールド材8を第1筒部52の内側に注入する。そして、注入されたモールド材8が硬化する。こうしてコネクタが組み立てられる。
【0038】
上述した実施形態によれば、コンデンサ2の寸法Lが公差範囲内の最小値の場合には、図8に示すように、電極接触部31をコンデンサ2の電極に押し付けずとも一対の電極と一対の平坦部35とが接触するので、従来のように、電極接触部31にはコンデンサ2の電極から離れる方向に反力が発生することがなくなり、端子金具3とコンデンサ2との導通不良が発生することを防止することができる。また、コンデンサ2の寸法Lが公差範囲内の最大値の場合には、図10に示すように、一対の電極接触部31が互いに離れる方向に弾性変形し、該一対の電極接触部31は互いに離れる方向に広げられる。一対の電極接触部31が互いに離れる方向に弾性変形すると、該一対の電極接触部31には弾性復元力が生じるので、この弾性復元力によって一対の電極が一対の傾斜部34間に挟まれて、一対の電極と一対の傾斜部34とが接触するので、従来のように、電極接触部31にはコンデンサ2の電極から離れる方向に反力が発生することがなくなり、端子金具3とコンデンサ2との導通不良が発生することを防止することができる。また、一対の電極接触部31間にコンデンサ2が挟まれるので、一対の電極接触部31がコンデンサ2を保持することとなり、よって、電極接触部31に対するコンデンサ2の位置決めがされるとともにコンデンサ2が電極接触部31に対して動くことがなくなり、電極接触部31とコンデンサ2の電極とを接続する際の作業性の向上を図ることができる。
【0039】
また、傾斜部34の端子部33から離れた端部3a側には平坦部35が連なり、一対の平坦部35の互いに相対する内面が平行であるので、一対の平坦部35それぞれとコンデンサ2の電極とが面接触されることとなり、一対の平坦部35がコンデンサ2を保持する保持力が向上されて、電極接触部31に対するコンデンサ2の位置決めがされるとともにコンデンサ2が端子金具3に対して動くことがなくなり、より一層、電極接触部31とコンデンサ2の電極とを接続する際の作業性の向上を図ることができる。
【0040】
また、請求項1または請求項2に記載のコネクタ1を構成するコンデンサ2と端子金具3との接続方法であって、一対の電極接触部31と一対の電極とが接触していない状態においてコンデンサ2の電極の表面にはんだ材7を塗布し、一対の電極接触部31と一対の電極とを接触させた状態で、一対の電極接触部31を加圧するとともに加熱しはんだ材7を溶融することで、電極接触部31とコンデンサ2の電極とを接続するので、電極接触部31とコンデンサ2の電極との導通不良が発生することを確実に防止することができる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、各電極接触部31は、傾斜部34と、前記傾斜部34に連なる平坦部35と、を備えていたが、本発明はこれに限ったものではなく、各電極接触部31には平坦部35が設けられていなくてもよく、各電極接触部31は傾斜部34のみから構成されていてもよい。
【0042】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 コネクタ
2 コンデンサ
2a 両端面
3 端子金具
31 電極接触部
33 端子部
3a 端部
34 傾斜部
35 平坦部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相対する両端面それぞれに一対の電極が形成されたコンデンサと、
前記一対の電極それぞれに接触される一対の電極接触部と、前記各電極接触部に連なる端子部と、を備えた一対の端子金具と、
前記一対の端子金具が互いに間隔をあけて保持されるプレートと、を備えたコネクタにおいて、
前記一対の電極接触部は、前記一対の電極と接触していない状態において前記端子部から離れた端部に向かうにしたがって前記一対の電極接触部間の距離が短くなるような傾斜部を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記傾斜部の前記端子部から離れた前記端部側には平坦部が連なり、前記一対の平坦部の互いに相対する内面が平行であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコネクタを構成するコンデンサと端子金具との接続方法であって、
前記一対の電極接触部と前記一対の電極とが接触していない状態において前記コンデンサの前記電極の表面にはんだ材を塗布し、
前記一対の電極接触部と前記一対の電極とを接触させた状態で、前記一対の電極接触部を加圧するとともに加熱し前記はんだ材を溶融することで、前記電極接触部と前記コンデンサの電極とを接続することを特徴とするコンデンサと端子金具との接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−186116(P2012−186116A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50090(P2011−50090)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】