説明

コネクタ、接続検出システム、入力切換システム

【課題】 F型コネクタの規格に準じ、内部構造による高周波特性の劣化を防止して可動片を設けることができるコネクタ、F型プラグの接続を検出することができる接続検出システム、F型プラグの接続状態に応じて自動的に信号の入力を切り換えることができる入力切換システムを提供する。
【解決手段】 F型プラグが嵌合された際に芯線によって押されてスライドする、一端が空間34内に配され他端が突出した絶縁性の可動絶縁片4を配し、突出した可動絶縁片4によって接続検出用のスイッチのオン/オフ状態を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタ、接続検出システム、入力切換システムに関し、特に、F型プラグが嵌合されるコネクタへのF型プラグの接続を検出して自動的に入力を切り換えるのに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】

現在、VHF(Very High Frequency)/UHF(Ultra High Frequency)帯を使用する地上アナログテレビジョン放送が行われている。また、SHF(Super High Frequency)帯を使用するBS(Broadcasting Satellite)デジタル、CS(Communication Satellite)デジタル等の衛星放送が行われている。さらに、近年では、一部の地域において、UHF帯を使用した地上デジタル放送が開始されている。また、有線放送では、光ファイバ等の伝送路を使用したケーブルテレビジョン(CATV)サービスが行われている。
【0003】
これら放送は、例えば、一端側が受信アンテナまたはCATV伝送路と接続されたケーブルの他端側のコネクタとテレビジョン受像機等の受信装置側のコネクタとを接続することで受信される。これら放送のRF(Radio Frequency)信号の入力端子として、例えば、F型コネクタが使用されている。以下、ケーブル側のF型コネクタをF型プラグと称し、受信装置側のF型コネクタをF型レセプタクルと称する。
【0004】
図7は、従来のF型レセプタクルの構成の一例を示す断面図である。図7Aは、プリント配線基板111への搭載面側から見た上面図であり、図7Bはその側面図である。コネクタ101は、図示しないF型プラグが矢印方向から嵌合されるF型レセプタクルである。コネクタ101は、外部導体102、内部導体103および絶縁体104によって構成されている。
【0005】
外部導体102は、金属等の導電性を有する材料からなり、挿入されるF型プラグの外部導体と周面が接触する略円筒状の構成を有している。外部導体102は、受信装置等の受信側の機器の金属筐体105にかしめ等によって固定され接地されている。
【0006】
内部導体103は、金属等の導電性を有する材料からなり、挟持片106,107と、挟持片106と挟持片107とを連結する連結片108とによって、F型プラグの芯線が挿入される空間が形成されるように構成されている。内部導体103は、F型プラグの芯線が嵌合される側に、挟持片106と挟持片107とが近接した接触部109を有している。コネクタ101にF型プラグが嵌合されると、F型プラグの芯線が接触部109に接触して、内部導体103とF型プラグの芯線とが電気的に接続される。
【0007】
連結片108の固着側は、折り曲げられており、端子部110が設けられている。端子部110は、金属筐体105内のプリント配線基板111のスルーホールに挿通されており、半田付けによって固定され、電気的に接続されている。
【0008】
絶縁体104は、内部導体103を外部導体102内に位置決めすると共に、内部導体103と外部導体102とを絶縁している。
【0009】
以上の構成によって、コネクタ101にF型プラグが嵌合されると、内部導体103を介してF型プラグの芯線からプリント配線基板111上の電気回路にRF信号が供給される。
【0010】
上述したRF信号は高周波であり、接続経路においてその高周波特性の劣化の防止を考慮する必要がある。以下の特許文献1には、同軸プラグが装着されていないときは内蔵する終端回路により中心導体が終端され、同軸プラグが装着されたときはその終端が解除されるように、同軸プラグが装着された場合に終端回路の両端に設けられている接点手段がオフとなるようにすることで、高周波特性の劣化を抑える同軸コネクタが提案されている。
【0011】
【特許文献1】特開2004−22280号公報
【0012】
ところで、マンション等で使用される共同受信システムでは、VHF/UHF放送等の地上放送の信号とBSデジタル放送、CSデジタル放送等の衛星放送の信号とを、それぞれ異なるケーブルによって引き回すと配線が複雑になるため、地上放送の信号と衛星放送の信号とをミキサー(混合器)によって合成し、合成した信号(以下、1軸システム信号と称する)を1本のケーブルによって引き回して、壁面コンセント等の各供給先に供給されていることが多い。
【0013】
通常、1軸システム信号を入力して地上放送と衛星放送とを受信する場合、壁面コンセント等の1軸システム信号の供給先と受信装置との間において、1軸システム信号をセパレータ(分波器)によって分波して、分波した地上放送信号と衛星放送信号とを、それぞれ別々のケーブルによって引き回し、それぞれのケーブル端のF型プラグを、対応するF型レセプタクルに接続する。
【0014】
このように受信側の機器がF型レセプタクルを複数個備えることで、受信環境の異なる多種の信号を適切に入力できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来のF型コネクタによるRF信号の入力には、以下のような問題点があった。RF信号が入力されるF型レセプタクルは、テレビジョン受像機等の受信装置では、通常、機器の背面側に設けられており、配線を行った後にその接続状態を確認することが容易ではなかった。F型コネクタの接続状態は、人間の目視により確認しているが、経年変化等によってケーブル側のF型プラグの芯線のみが後退して抜けた場合、外見からは確認が困難であった。
【0016】
また、F型コネクタは、規格で構造が定められており、電気的特性を劣化させずに芯線と接する内部導体部の近傍に新たな機構物を設けることは困難であった。特許文献1で提案されている同軸コネクタは、その構造からF型コネクタへの適用が困難であり、また、分配器や直列ユニット等の空き端子を終端して流合雑音の発生を防止するものであるため、コネクタの内部構造の高周波特性を考慮したものではなかった。
【0017】
また、上述したように受信側の機器がF型レセプタクルを複数個有している場合、ユーザは、入力に使用するF型レセプタクルを手動で選択する必要があった。
【0018】
したがって、この発明の目的は、F型コネクタの規格に準じ、内部構造による高周波特性の劣化を防止して可動片を設けることができるコネクタ、F型プラグの接続を検出することができる接続検出システム、F型プラグの接続状態に応じて自動的に信号の入力を切り換えることができる入力切換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決するために、この発明の第1の形態は、F型プラグが嵌合されるコネクタにおいて、嵌合されるF型プラグの外部導体と接する略円筒状の外部導体と、F型プラグの芯線と接する内部導体と、内部導体を外部導体内に固定すると共に、内部導体と外部導体とを絶縁する絶縁体と、芯線が挿入される内部空間に一端側が配され、他端側が内部空間の上記芯線が挿入されない側から突出した構成とされ、芯線によって押されてスライドする絶縁性の可動片とを有することを特徴とするコネクタである。
【0020】
また、この発明の第2の形態は、F型プラグが嵌合されるコネクタの接続検出システムにおいて、嵌合されるF型プラグの外部導体と接する略円筒状の外部導体と、F型プラグの芯線と接する内部導体と、内部導体を外部導体内に固定すると共に、内部導体と外部導体とを絶縁する絶縁体と、芯線が挿入される内部空間に一端側が配され、他端側が内部空間の芯線が挿入されない側から突出した構成とされ、芯線によって押されてスライドする絶縁性の可動片とを有するコネクタと、芯線によって押されてスライドした可動片によって接続切換機構が制御されて識別信号を出力するスイッチと、スイッチから出力される識別信号を検出した場合に、コネクタへの上記F型プラグの接続を検出する検出手段とを有することを特徴とする接続検出システムである。
【0021】
また、この発明の第3の形態は、複数個のコネクタから選択的に入力を切り換える入力切換システムにおいて、嵌合されるF型プラグの外部導体と接する略円筒状の外部導体と、F型プラグの芯線と接する内部導体と、内部導体を外部導体内に固定すると共に、内部導体と外部導体とを絶縁する絶縁体と、芯線が挿入される内部空間に一端側が配され、他端側が内部空間の芯線が挿入されない側から突出した構成とされ、芯線によって押されてスライドする絶縁性の可動片とを有するコネクタと、芯線によって押されてスライドした可動片によって接続切換機構が制御されて識別信号を出力する第1のスイッチと、コネクタからの入力と他の入力とを切り換える第2のスイッチと、第1のスイッチから出力される識別信号を検出した場合に、第2のスイッチを切り換えて、信号の入力をコネクタ側に自動的に切り換える切換制御手段とを有することを特徴とする入力切換システムである。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、F型プラグが嵌合されるコネクタにおいて、電界がほとんど発生しないF型プラグの芯線が挿入される内部空間内に、F型プラグの芯線によって押されてスライドする可動片が配されているため、電気的特性の劣化がほとんどなく、可動片を設けることができる。
【0023】
また、この発明の第2の形態によれば、F型プラグの芯線で押されてスライドした可動片によって、スイッチの接続切換機構を制御して識別信号を検出部に出力するため、検出部は、スイッチから出力される識別信号を検出した際に、F型プラグの接続を検出することができる。これにより、F型プラグの接続状態を画像として表示装置に表示する等によって、ユーザは、F型プラグの接続状態を容易に確認することができる。
【0024】
また、この発明の第3の形態によれば、F型プラグの芯線で押されてスライドした可動片によって、第1のスイッチの接続切換機構を制御して識別信号を制御部に出力し、第1のスイッチから出力される識別信号を制御部が検出した際に、制御部が第2のスイッチを、信号の入力がそのコネクタとなるように自動的に切り換えることによって、F型プラグが嵌合されたコネクタに自動的に信号の入力を切り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、一実施形態によるコネクタの構成の一例を示す斜視図であり、図2は、図1に示すコネクタの分解斜視図である。
【0026】
コネクタ1は、図示しないF型プラグが矢印方向から嵌合されるものであり、外部導体2、内部導体3、可動絶縁片4および絶縁体5によって構成されている。以下、F型プラグが嵌合される側を嵌合側とし、その反対側を固着側として説明する。
【0027】
外部導体2は、金属等の導電性を有する材料からなり、外周面にネジ溝21が設けられた略円筒形状を有している。外部導体2の固着側の外周面には、鍔部22が設けられている。コネクタ1は、例えば、機器の金属筐体等に設けられた取付孔に嵌合側から挿入し、鍔部22をかしめ、半田付け、ナットによる締め付け等によって固着することで取り付けられる。
【0028】
外部導体2には、内部導体3、可動絶縁片4および絶縁体5を組み立てたものが固着側の開口部から挿入され収納されている。図示しないが外部導体2の嵌合側の開口部は、この収納されたものが抜けずに外部導体2内に保持されるように狭められている。
【0029】
コネクタ1にF型プラグが嵌合されると、外部導体2の外周面がF型プラグの外部導体の内周面と接触して互いが電気的に接続される。
【0030】
内部導体3は、金属等の導電性を有する材料からなり、挿入されるF型プラグの芯線(以下、単に芯線と称する)を狭持する挟持片31,32と、狭持片31と挟持片32とを連結する連結片33とによって、空間34が形成されるように構成されている。空間34は、芯線が挿入される内部空間を形成するためのものであり、挿入される芯線を収納すると共に、芯線の太さや長さのばらつきを吸収して、芯線を無理なく挟持できるように形成されている。狭持片31,32および連結片33は、例えば金属板を折り曲げることによって形成されている。
【0031】
内部導体3の嵌合側には、挿入される芯線を狭持片31と挟持片32とによって挟持する挟持部35が形成されている。狭持片31,32は、共に弾性力を有しており、固着側の底部で連結片33と連結されている。これによって、挟持部35において狭持片31と挟持片32とを接触または近接させることで、挿入される芯線が内部導体3と確実に接触し、互いが電気的に接続される構成とされている。
【0032】
挟持部35の嵌合側には、狭持片31と挟持片32とによってハの字状に開いた案内部36が形成されており、芯線の挿入が容易となるように構成されている。
【0033】
連結片33の固着側には、上方に向かって傾斜した傾斜面37が設けられている。さらにその固着側には、芯線の挿入方向に対して水平な水平面38、芯線の挿入方向に対して下方に折り曲げられた端子部39が順次設けられている。端子部39は、F型プラグの芯線と内部導体3とが接触した際に、F型プラグの芯線から供給される電気信号をプリント配線基板等の電気回路に出力するために用いられる。
【0034】
絶縁体5は、内部導体3を外部導体2内に位置決めすると共に、内部導体3と外部導体2とを絶縁するものであり、図2に示したように、上側の半筒状部材51と下側の半筒状部材52とで内部導体3および可動絶縁片4を挟み込み、嵌合側の筒口を蓋体53によって閉じた構成とされている。絶縁体5は、外部導体2に隙間なく収納されるように、外部導体2の内径と略等しい外径を有している。なお、絶縁体5は、半筒状部材51,52および蓋体53の3つの部材によって構成するのに限ったものではない。
【0035】
半筒状部材51,52の固着側の縁部には、凹部56がそれぞれ設けられている。凹部56は、絶縁体5を外部導体2に挿入した際に、図示しない外部導体2の内周部に設けられた突起と嵌合される。これによって、外部導体2内に絶縁体5が位置決めされ、絶縁体5が外部導体2から抜けないように保持される。
【0036】
絶縁体5には、嵌合側と固着側とで外部と通じた空間が形成されており、この空間内に内部導体3が固定されている。すなわち、芯線が挿入される内部空間は、内部導体3の空間34を絶縁体5で覆った構成とされている。嵌合側の蓋体53には、芯線が挿入される開口部54が設けられており、半筒状部材51,52の固着側には、内部導体3の端子部39が突出される開口部を形成するための開口形成部55がそれぞれ設けられている。開口形成部55により形成される開口部からは、内部導体3の端子部39が突出されると共に、内部導体3の空間34内に配置された可動絶縁片4がスライド可能に突出されている。
【0037】
図3は、内部導体3の空間34内に配置された可動絶縁片4の構成の一例を示す。なお、図3は、F型プラグの嵌合側からみた斜視図である。可動絶縁片4は、高周波特性の良い、すなわち誘電正接が小さい絶縁性の材料、例えばテフロン(登録商標)、ポリエチレン等からなるエンジニアリングプラスチックによって略棒状に構成されている。可動絶縁片4の材料を誘電正接が小さいものとすることで、高周波信号への影響が抑えられる。
【0038】
可動絶縁片4は、芯線が挿入される一端側、すなわち嵌合側が内部導体3の空間34に配され、芯線が挿入されない他端側、すなわち固着側が突出するよう配されており、芯線の挿入方向にスライド可能な構成とされている。すなわち、可動絶縁片4は、内部導体3の空間34内に芯線が挿入されると、芯線によって押されて固着側へスライドする。
【0039】
内部導体3の空間34と絶縁体5とによって形成される芯線が挿入される内部空間は、芯線の挿入側でない方に、上述した傾斜面37による縮小部を有している。なお、この縮小部は、傾斜面37によるものに限ったものではない。例えば、縮小部は、連結片33を垂直に折り曲げることで形成してもよいし、連結片33に突起等によって部分的に形成してもよい。また、この縮小部は、挟持片31,32および絶縁体5の形状によって形成してもよい。
【0040】
可動絶縁片4の一端側の底部には、内部導体3の傾斜面37と平行する傾斜面41が下方に向かって形成されており、それにより下方に突出した係止部42が設けられている。係止部42は、可動絶縁片4を固着側にスライドした際に、傾斜面37による縮小部と係止される。なお、係止部42の形状は、縮小部と係止されるのであれば、これに限ったものではなく、例えば、突起等によって部分的に形成してもよい。
【0041】
F型プラグをコネクタ1に嵌合すると、可動絶縁片4は、内部導体3の空間34内に挿入される芯線に押されて、傾斜面41が内部導体3の傾斜面37と合わさるまで固着側にスライドする。これによって、挿入される芯線の長さを適切に制限でき、芯線の差しすぎによるスイッチ等の内部回路の破壊を防ぐことができる。また、可動絶縁片4が抜け出るのを防止することができる。
【0042】
芯線によって押される部分の可動絶縁片4には芯線の挿入方向に向かって窪んだ形状の窪み部43が設けられており、挿入される芯線の軸出しがなされるように構成されている。これによって、F型プラグを嵌合した際の芯線の曲がりを低減することができる。
【0043】
以上の構成を有するコネクタ1は、F型プラグが嵌合されても芯線が挿入される空間34には電界がほとんど発生しない。このため、可動絶縁片4の誘電率によるインピーダンスの影響を小さくでき、電気的特性を劣化させずに、嵌合されるF型プラグの芯線によって押される可動絶縁片4を、芯線が挿入される内部空間に配置することができる。
【0044】
図4は、コネクタ1を接続検出システムに適用したときの構成の一例を示す断面図である。なお、この明細書中において、「システム」とは、複数の装置が論理的に集合した物をいい、各構成の装置が同一筐体中にあるか否かは問わない。図5は、F型プラグが嵌合されたときの断面図である。図4Aおよび図5Aは、プリント配線基板61への搭載面側から見た上面図であり、図4Bおよび図5Bは、その側面図である。
【0045】
コネクタ1は、金属等の導電性を有する材料からなる接続検出システムを構成する機器の筐体60に、外部導体2をかしめ等によって固定することで取り付けられている。これによって、外部導体2と筐体60とは電気的に接続されている。また、図示しないが筐体60は、筐体60内に収納されているプリント配線基板61のアース部分に接地されている。
【0046】
また、内部導体3の端子部39は、プリント配線基板61のRF信号の入力端子であるスルーホールに挿通され、半田付けによって固定されている。なお、プリント配線基板61への端子部39の固定は、これに限ったものではなく、例えば表面実装であってもよい。
【0047】
プリント配線基板61には、マイクロスイッチ等のスイッチSW1が実装されている。スイッチSW1は、絶縁体5から突出した可動絶縁片4の先端部分にスイッチのオン/オフを切り換える接続切換機構62が位置するように実装されている。接続切換機構62は、バネ等の弾性体による弾性力を有しており、平常時は常にオフとなるように構成されている。すなわち、F型プラグがコネクタ1に嵌合されていないときは、図4に示すように、接続切換機構62の弾性力によって、可動絶縁片4がF型プラグの挿入側に押された状態に保持される。
【0048】
また、スイッチSW1は、F型プラグがコネクタ1に嵌合されたときは、図5に示すように、F型プラグの芯線によって押し出された可動絶縁片4によって接続切換機構62が制御され接続がオン状態に切り換わるように構成されている。なお、図5においてF型プラグ側は、芯線のみを示している。
【0049】
スイッチSW1は、図示しないマイクロコンピュータ等の電気回路の検出部と接続されており、スイッチSW1がオン状態となった場合に、検出部に「芯線の接続の検出」を意味する識別信号を出力する。これによって、検出部は、スイッチSW1から出力されるその識別信号が検出された場合に、F型プラグがコネクタ1に正常に嵌合されていることを検出することができる。
【0050】
例えば、スイッチSW1から識別信号が供給された場合に、検出部が接続検出システムを構成する機器が備える図示しないLED(Light Emitting Diode)等による発光部、ブザー等による音声出力部、画面表示部等を制御することで、コネクタ1にF型プラグが確実に接続されているか否かをユーザに告知することができる。
【0051】
ここで、一実施形態による入力切換システムについて、テレビジョン受像機の受信システムで使用されるRF信号増幅器を例にして説明する。図6は、一実施形態によるRF信号増幅器の構成の一例である。
【0052】
コネクタ1は、VHF/UHF放送等の地上放送信号の入力にのみ対応した、上述した構成を有する入力端子である。
【0053】
コネクタ71は、例えば通常のF型レセプタクルであり、地上放送信号とBSデジタル/CSデジタル放送等の衛星放送信号とを混合した1軸システム信号の入力に対応した入力端子である。コネクタ72は、例えば通常のF型レセプタクルであり、コネクタ1またはコネクタ71を介してRF信号増幅器70の内部に入力され、増幅されたRF信号をRF信号増幅器70の外部に出力する出力端子である。
【0054】
セパレータ73は、衛星放送信号と地上放送信号とを分波する分波器であり、ミキサー74は、衛星放送信号と地上放送信号とを混合する混合器である。なお、この例では、ミキサー74によって衛星放送信号と地上放送信号とが混合された信号をコネクタ72から出力する構成としているが、ミキサー74による混合を行わないで衛星放送信号と地上放送信号とを2つの出力端子からそれぞれ別々に出力する構成であってもよい。
【0055】
アンプ75は、衛星放送信号用の増幅器であり、アンプ76は、地上放送信号用の増幅器である。スイッチSW1は、上述したように、コネクタ1にF型プラグが嵌合された場合に、識別信号を出力するものである。スイッチSW1から出力される識別信号は、コネクタ77を介してRF信号増幅器70の外部の制御部78に供給される。
【0056】
スイッチSW2は、アンプ76の入力側の接続を、セパレータ73の地上放送信号の出力側とコネクタ1とのどちらか一方に切り換えるものである。
【0057】
制御部78は、マイクロコンピュータ等からなり、コネクタ77を介してスイッチSW1およびスイッチSW2と電気的に接続されている。なお、制御部78は、コネクタ77を介さずにRF信号増幅器70内に配置してもよい。制御部78は、コネクタ77を介してスイッチSW1から識別信号が供給された場合、すなわちコネクタ1にF型プラグが接続された場合に、アンプ76の入力側がコネクタ1と接続されるようにスイッチSW2を制御する。それ以外の場合、すなわちコネクタ1にF型プラグが接続されていない場合には、アンプ76の入力側がセパレータ73の地上アナログ放送信号の出力側と接続されるようにスイッチSW2を制御する。
【0058】
例えば、F型プラグを介して供給される信号が、1軸システム信号の場合には、コネクタ71にF型プラグが接続され、コネクタ1にはF型プラグが接続されない。この接続形態では、コネクタ1にF型プラグが接続されないことからスイッチSW2は、アンプ76の入力側がセパレータ73の地上アナログ放送信号の出力側と接続されるように制御部78によって制御される。
【0059】
よって、コネクタ71から入力された1軸システム信号は、セパレータ73によって地上放送信号と衛星放送信号とに分波される。セパレータ73によって分波された衛星放送信号は、アンプ75で増幅されてミキサー74に供給される。セパレータ73によって分波された地上放送信号は、スイッチSW2の接続によってアンプ76に供給され、アンプ76で増幅されてミキサー74に供給される。ミキサー74は、アンプ75から供給される衛星放送信号とアンプ76から供給される地上放送信号とを混合する。ミキサー74で混合された信号は、コネクタ72からテレビジョン受像機のフロントエンド等の増幅したRF信号の供給先に出力される。
【0060】
また、例えばF型プラグを介して供給される信号が、1軸システム信号でない場合、すなわち地上放送信号と衛星放送信号とが異なるF型プラグを介して別々に供給される場合には、衛星放送信号が供給されるF型プラグがコネクタ71に接続され、地上放送信号が供給されるF型プラグがコネクタ1に接続される。この接続形態では、コネクタ1にF型プラグが接続されることからスイッチSW2は、アンプ76の入力側がコネクタ1と接続されるように制御部78によって制御される。
【0061】
よって、コネクタ71から入力された衛星放送信号は、セパレータ73を介して、アンプ75で増幅されてミキサー74に供給される。コネクタ1から入力された地上放送信号は、スイッチSW2の接続によってアンプ76に供給され、アンプ76で増幅されてミキサー74に供給される。ミキサー74は、アンプ75から供給される衛星放送信号とアンプ76から供給される地上放送信号とを混合する。ミキサー74で混合された信号は、コネクタ72からテレビジョン受像機のフロントエンド等の増幅したRF信号の供給先に出力される。
【0062】
また、例えば地上放送信号のみが供給されるF型プラグによって地上放送信号を入力する場合には、地上放送信号が供給されるF型プラグがコネクタ71とコネクタ1とのどちらか一方に接続される。
【0063】
地上放送信号が供給されるF型プラグがコネクタ71のみに接続される接続形態では、コネクタ1にF型プラグが接続されないことからスイッチSW2は、アンプ76の入力側がセパレータ73の地上放送信号の出力側と接続されるように制御部78によって制御される。よって、コネクタ71から入力される地上放送信号は、セパレータ73を介してスイッチSW2の接続によってアンプ76に供給され、アンプ76で増幅されて、ミキサー74を介して、コネクタ72からテレビジョン受像機のフロントエンド等の増幅したRF信号の供給先に出力される。
【0064】
地上放送信号が供給されるF型プラグがコネクタ1のみに接続される接続形態では、コネクタ1にF型プラグが接続されることからスイッチSW2は、アンプ76の入力側がコネクタ1と接続されるように制御部78によって制御される。よって、コネクタ1から入力される地上放送信号は、スイッチSW2の接続によってアンプ76に供給され、アンプ76で増幅されて、ミキサー74を介して、コネクタ72からテレビジョン受像機のフロントエンド等の増幅したRF信号の供給先に出力される。
【0065】
なお、地上放送信号が供給されるF型プラグがコネクタ1とコネクタ71との両方に接続された場合では、コネクタ1にF型プラグが接続されることからスイッチSW2は、アンプ76の入力側がコネクタ1と接続されるように制御部78によって制御される。よって、コネクタ1から入力される地上放送信号は、スイッチSW2の接続によってアンプ76に供給され、アンプ76で増幅されて、ミキサー74を介して、コネクタ72からテレビジョン受像機のフロントエンド等の増幅したRF信号の供給先に出力される。したがって、コネクタ71に接続された方のF型プラグの地上放送信号は使用されない。
【0066】
また、例えば衛星放送信号のみが供給されるF型プラグによって衛星放送信号を入力する場合には、衛星放送信号が供給されるF型プラグがコネクタ71にのみ接続される。この接続形態では、コネクタ1にF型プラグが接続されないことからスイッチSW2は、アンプ76の入力側がセパレータ73の地上放送信号の出力側と接続されるように制御部78によって制御される。よって、コネクタ71から入力される衛星放送信号は、セパレータ73を介してアンプ75に供給され、アンプ75で増幅されて、ミキサー74を介して、コネクタ72からテレビジョン受像機のフロントエンド等の増幅したRF信号の供給先に出力される。
【0067】
したがって、この一実施形態によるRF信号増幅器70では、コネクタ1にF型プラグが接続された場合に、信号の入力を自動的にコネクタ1側に切り換えることができる。すなわち、RF信号増幅器70が1軸システム信号を入力できるコネクタ71と地上放送信号のみを入力できるコネクタ71とを有し、地上放送信号と衛星放送信号とが混合された1軸システム信号と、地上放送信号と衛星放送信号とがそれぞれ別々に供給される所謂2軸システム信号との両方に対応する場合であっても、ユーザは、供給されている信号が1軸システム信号か2軸システム信号かを意識することなく自動的に入力を切り換えることができる。
【0068】
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述したコネクタ1は、F型プラグが嵌合されるものとしたが、これに限らず、今後普及するコネクタ等、同様な構造を有する他のコネクタに適用してもよい。
【0069】
また、上述した接続切換システムは、1軸システム信号に対応したコネクタ71と地上放送信号に対応したコネクタ1とで入力の切り換えを行う構成であったが、対応する入力信号の組み合わせは、これに限らず、BSデジタル放送、CSデジタル放送、アナログVHF/UHF放送、地上デジタル放送、ケーブルテレビジョン放送等の信号や、VCR(Video Cassette Recorder)、ハードディスクレコーダ等の再生機器からの再生信号、またはこれらの混合信号等による、他の様々な組み合わせを適用することができる。
【0070】
また、上述した接続切換システムでは、入力端子としてコネクタ1とコネクタ71との2つを有するものとして説明したが、これに限らず、3つ以上入力端子を有するものであってもよい。また、接続切換システムとして、テレビジョン受像機のRF信号増幅器を例にして説明したが、これに限らず、チューナ、セットトップボックスや、VCR、ハードディスクレコーダ等のレコーダ、単体としての入力切換装置等、複数個のF型プラグから信号の入力を選択的に切り換える他の機器についても適用することができる。
【0071】
また、上述した接続切換システムでは、スイッチSW1から出力された識別信号が検出された場合に、制御部78がスイッチSW2の接続状態を切り換えて、地上放送信号が供給されるコネクタ1側に信号の入力を選択的に切り換えるとしたが、コネクタ1に供給される放送信号の種別が衛星放送等のケーブルにコンバータ電源を重畳する必要のあるものの場合には、信号の入力をコネクタ1側に選択的に切り換えると共に、コネクタ1のコンバータ電源の出力を切り換えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】一実施形態によるコネクタの構成の一例を示す斜視図である。
【図2】一実施形態によるコネクタの構成の一例を示す分解斜視図である。
【図3】内部導体の空間に配置された可動絶縁片の構成の一例を示す斜視図である。
【図4】一実施形態による接続検出システムの構成の一例を示す断面図である。
【図5】F型プラグが嵌合されたときの接続検出システムの状態を示す断面図である。
【図6】一実施形態による入力切換システムを適用したRF信号増幅器の構成の一例を示す図である。
【図7】従来のF型レセプタクルの構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1,71・・・コネクタ(入力側)
2・・・外部導体
3・・・内部導体
4・・・可動絶縁片
5・・・絶縁体
31,32・・・挟持片
33・・・連結片
34・・・空間
35・・・挟持部
37・・・傾斜面
39・・・端子部
41・・・傾斜面
42・・・係止部
43・・・窪み部
60・・・筐体
61・・・プリント配線基板
62・・・接続切換機構
SW1,SW2・・・スイッチ
70・・・RF信号増幅器
72・・・コネクタ(出力側)
78・・・制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
F型プラグが嵌合されるコネクタにおいて、
嵌合されるF型プラグの外部導体と接する略円筒状の外部導体と、
上記F型プラグの芯線と接する内部導体と、
上記内部導体を上記外部導体内に固定すると共に、上記内部導体と上記外部導体とを絶縁する絶縁体と、
上記芯線が挿入される内部空間に一端側が配され、他端側が上記内部空間の上記芯線が挿入されない側から突出した構成とされ、上記芯線によって押されてスライドする絶縁性の可動片とを有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1において、
上記可動片の上記芯線により押される部分が窪んでいることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1において、
上記内部空間は、上記芯線の挿入側でない方に縮小部を有しており、上記縮小部と係止される係止部が上記可動片の一端側に形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項1において、
上記可動片は、誘電正接が小さい材料からなることを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
F型プラグが嵌合されるコネクタの接続検出システムにおいて、
嵌合されるF型プラグの外部導体と接する略円筒状の外部導体と、上記F型プラグの芯線と接する内部導体と、上記内部導体を上記外部導体内に固定すると共に、上記内部導体と上記外部導体とを絶縁する絶縁体と、上記芯線が挿入される内部空間に一端側が配され、他端側が上記内部空間の上記芯線が挿入されない側から突出した構成とされ、上記芯線によって押されてスライドする絶縁性の可動片とを有するコネクタと、
上記芯線によって押されてスライドした上記可動片によって接続切換機構が制御されて識別信号を出力するスイッチと、
上記スイッチから出力される識別信号を検出した場合に、上記コネクタへの上記F型プラグの接続を検出する検出手段とを有することを特徴とする接続検出システム。
【請求項6】
請求項5において、
さらに、上記F型プラグが嵌合されていないときに上記可動片を上記芯線の挿入側に保持する保持手段を有することを特徴とする接続検出システム。
【請求項7】
請求項6において、
上記保持手段は、上記接続切換機構が有する弾性力によって上記可動片を上記芯線の挿入側に保持することを特徴とする接続検出システム。
【請求項8】
請求項5において、
上記可動片の上記芯線により押される部分が窪んでいることを特徴とする接続検出システム。
【請求項9】
請求項5において、
上記内部空間は、上記芯線の挿入側でない方に縮小部を有しており、上記縮小部と係止される係止部が上記可動片の一端側に形成されていることを特徴とする接続検出システム。
【請求項10】
請求項5において、
上記可動片は、誘電正接が小さい材料からなることを特徴とする接続検出システム。
【請求項11】
複数個のコネクタから選択的に入力を切り換える入力切換システムにおいて、
嵌合されるF型プラグの外部導体と接する略円筒状の外部導体と、上記F型プラグの芯線と接する内部導体と、上記内部導体を上記外部導体内に固定すると共に、上記内部導体と上記外部導体とを絶縁する絶縁体と、上記芯線が挿入される内部空間に一端側が配され、他端側が上記内部空間の上記芯線が挿入されない側から突出した構成とされ、上記芯線によって押されてスライドする絶縁性の可動片とを有するコネクタと、
上記芯線によって押されてスライドした上記可動片によって接続切換機構が制御されて識別信号を出力する第1のスイッチと、
上記コネクタからの入力と他の入力とを切り換える第2のスイッチと、
上記第1のスイッチから出力される上記識別信号を検出した場合に、上記第2のスイッチを切り換えて、信号の入力を上記コネクタ側に自動的に切り換える切換制御手段とを有することを特徴とする入力切換システム。
【請求項12】
請求項11において、
さらに、上記F型プラグが嵌合されていないときに上記可動片を上記芯線の挿入側に保持する保持手段を有することを特徴とする入力切換システム。
【請求項13】
請求項12において、
上記保持手段は、上記接続切換機構が有する弾性力によって上記可動片を上記芯線の挿入側に保持することを特徴とする入力切換システム。
【請求項14】
請求項11において、
上記可動片の上記芯線により押される部分が窪んでいることを特徴とする入力切換システム。
【請求項15】
請求項11において、
上記内部空間は、上記芯線の挿入側でない方に縮小部を有しており、上記縮小部と係止される係止部が上記可動片の一端側に形成されていることを特徴とする入力切換システム。
【請求項16】
請求項11において、
上記可動片は、誘電正接が小さい材料からなることを特徴とする入力切換システム。
【請求項17】
請求項11において、
上記切換制御手段は、さらにコンバータ電源の出力を切り換えることを特徴とする入力切換システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−164669(P2006−164669A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352467(P2004−352467)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】